(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】織機および織機内で織物をガイドするための方法
(51)【国際特許分類】
D03J 1/22 20060101AFI20240304BHJP
D03D 49/00 20060101ALI20240304BHJP
D03D 49/62 20060101ALI20240304BHJP
D03D 47/24 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
D03J1/22
D03D49/00
D03D49/62 Z
D03D47/24
(21)【出願番号】P 2021500687
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2019068650
(87)【国際公開番号】W WO2020011908
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】102018211531.1
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591021578
【氏名又は名称】リンダウェル、ドルニエ、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】LINDAUER DORNIER GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ラウカンプ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、メガ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク、ヤニツェビック
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-089857(JP,A)
【文献】特開2016-191158(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第3333426(DE,A1)
【文献】特表2006-508272(JP,A)
【文献】特表2014-507571(JP,A)
【文献】特表2009-507138(JP,A)
【文献】特表2016-528400(JP,A)
【文献】特表2008-527194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03J 1/22
D03D 49/00
D03D 49/62
D03D 47/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の経糸(80,80a,80b)で形成された織機杼口(9)を開閉するための杼口形成装置(5)と、開いた織機杼口(9)を通して緯糸を挿入するための緯糸挿入手段(8)を備えた緯糸挿入装置(7)と、挿入された緯糸を織物縁部に対して筬打ちするための織機用筬(10)と、織物(82)を引き抜くための引き抜き装置(12)と、を備えた織機(1)、好ましくはグリッパ織機において、
少なくとも1つのガイド装置(30)が少なくとも1つのガイドユニット(32,34)を備え、前記ガイドユニット(32,34)は、織物幅にわたって少なくとも部分的に延在し、それぞれ、前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域における前記織物(82)の接触ガイダンスのために織物厚さ方向(G)に本質的に位置決め可能な少なくとも1つのガイド部分(33,35)を備え、その上面(84)で前記織物(82)をガイドするための少なくとも1つの上部ガイドユニット(32)および/またはその下面(85)で前記織物(82)をガイドするための少なくとも1つの下部ガイドユニット(34)が設けられ、
制御ユニット(15)が、本質的に前記織物厚さ方向(G)において前記少なくとも1つのガイド部分(33,35)の位置を変更するために前記少なくとも1つのガイドユニット(32,34)に接続された、少なくとも1つのドライブ(38,39)を制御するように構成され、前記制御ユニット(15)は、規定された作動のために、前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域における織物構造に関連する情報、および/または前記開いた織機杼口(9)の前記経糸(80,80a,80b)の位置に関する情報を処理する、
ことを特徴とする、織機(1)。
【請求項2】
前記制御ユニット(15)が:
記憶ユニット(25)に格納され、前記規定された情報が直接的または間接的に格納され、前記制御ユニット(15)によってアクセスされるパターンドラフト(26);
第1の記憶ユニット(25)に格納され、織りパターン設計が格納される、パターンドラフト(26)に加えて設けられた第2の記憶ユニット(28)であって、前記第2の記憶ユニットは、迅速に、好ましくは、前記制御ユニット(15)によって前記パターンドラフト(26)の前記情報と同時に読み取られる、第2の記憶ユニット(28);
前記パターンドラフト(26)の作成中に前記制御ユニット(15)の前記規定された情報を生成し、それらを前記パターンドラフト(26)に格納するか、実行中の製織動作中にこれらの情報をまだ含んでいない前記パターンドラフト(26)から前記規定された情報を計算して、前記制御ユニット(15)に提供する、アルゴリズム(29);および/または
1つまたは複数のセンサ(50)、例えば、織物表面を分析するための少なくとも1つの光学センサおよび/または少なくとも1つの超音波センサであって、前記少なくとも1つのセンサ(50)は、前記織機用筬の筬打ち面(14)の前に、好ましくは前記織機用筬(10)の端面に、および/または前記ガイドユニット(32,34)と前記織機用筬(10)との間に静止して、および/または前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域内の前記織物(82)の下および/または前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域内の前記織物(82)の上に配置される、1つまたは複数のセンサ(50)、
の1つまたは複数から前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域内の前記織物構造に関連する前記規定された情報を取得することを特徴とする、請求項1に記載の織機(1)。
【請求項3】
例えば光学センサとして実現される1つまたは複数のセンサ(55)が、前記開いた織機杼口(9)の前記経糸(80,80a,80b)の位置を分析するために設けられ、前記分析の結果は、前記少なくとも1つの規定されたドライブ(38,39)を作動させるために、前記制御ユニット(15)によって前記規定された情報として処理されることを特徴とする、請求項1または2に記載の織機(1)。
【請求項4】
前記制御ユニット(15)が、前記規定された情報に基づいて前記少なくとも1つのドライブ(38,39)を作動させることができるように構成され、その結果、前記筬打ち(14)の領域において前記織物(82)全体が、前記織物厚さ方向(G)にシフト変位し、例えば、前記開いた織機杼口(9)を形成する上および下の前記経糸(80,80a,80b)に対して本質的に同じ間隔距離で、前記織機杼口(9)を通して衝突のない方法で、好ましくはグリッパとして実現される、挿入される前記緯糸ための緯糸挿入手段(8)をガイドすることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項5】
前記制御ユニット(15)が、前記規定された情報に基づいて前記少なくとも1つのドライブ(38,39)を作動させることができるように構成され、その結果、前記織物(82)は、前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域において、その上面および/または下面(84,85)で接触するようにガイドされ、それにより、必ずしも前記織物(82)全体を前記織物厚さ方向(G)にシフト変位させる必要はないことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項6】
複数の経糸(80,80a,80b)で形成された織機杼口(9)を開閉するための杼口形成装置(5)と、開いた織機杼口(9)を通して緯糸を挿入するための緯糸挿入手段(8)を備えた緯糸挿入装置(7)と、挿入された緯糸を前記織物縁部に対して筬打ちするための織機用筬(10)と、前記織物(82)を引き抜くための引き抜き装置(12)と、を備えた織機(1)、好ましくはグリッパ織機において、
少なくとも1つのガイド装置(30)が少なくとも2つのガイドユニット(32,34)を備え、前記ガイドユニット(32,34)は前記織物幅にわたって少なくとも部分的に延在し、それぞれ、前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域における前記織物(82)の接触ガイダンスのために前記織物厚さ方向(G)に本質的に位置決め可能な少なくとも1つのガイド部分(33,35)を備え、その上面(84)で前記織物(82)をガイドするための少なくとも1つの上部ガイドユニット(32)およびその下面(85)で前記織物(82)をガイドするための少なくとも1つの下部ガイドユニット(34)が設けられ、
前記規定された少なくとも2つのガイドユニット(32,34)は、それらが前記織物厚さ方向(G)において同方向および逆方向の両方で移動可能であるように、制御ユニット(15)に接続された少なくとも1つのドライブ(38,39)にそれぞれ接続されている、
ことを特徴とする、好ましくは請求項1から5のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの上部および少なくとも1つの下部ガイドユニット(32,34)の前記ガイド部分(33,35)が、1つまたは複数の前記ドライブ(38,39)によって前記織物厚さ方向(G)において:
それぞれ同じ方向で両方の前記ガイドユニット(32,34)のガイド部分(33,35)を同方向に位置決め可能である;
反対方向に前記両方のガイドユニット(32,34)のガイド部分(33,35)を逆方向に位置決め可能である;
一方のみの前記ガイドユニット(34)のガイド部分(35)を一方向に位置決め可能であるが、他方の前記ガイドユニット(32)は静止したままである;および/または一方のみの前記ガイドユニット(32)のガイド部分(33)を一方向に位置決め可能であるが、前記織物(82)の反対側にある他方の前記ガイドユニット(34)のガイド部分(35)は、受動的な方法で、この受動的なガイドユニット(34)が、例えばばねによって生成される力によって衝突されるように移動する
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのガイドユニット(32,34)が、受動的または能動的に駆動されるローラとして、または循環する連続ベルトとして、緯糸方向に延びる剛性プロファイル部材として実現されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項9】
前記規定された下側および/または上側のガイドユニット(32,34)の少なくとも1つが、経糸方向(KR)に延びる前記織物(82)の側方長さ方向縁部(86)の領域、および/または前記織物の中心に向かってそのような長さ方向縁部(86)に隣接する前記織物(82)の部分の領域に配置されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのガイドユニット(32,34)の前記少なくとも1つのガイド部分(33,35)、好ましくはすべての前記ガイドユニット(32,34)のすべての前記ガイド部分(33,35)が、織物長さ方向GRにおいて前記織機用筬の筬打ち面(14)から測定した、0から100mmの間隔距離(d)を有する領域内、好ましくは0から50mmの間隔距離(d)を有する領域内で、その上面および/または下面(84,85)で前記織物(82)に接触するように配置されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項11】
1つまたは複数のガイドユニット(32,34)が:
前記上面(84)からのみ前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域で前記織物(82)に接触する;
前記下面(85)からのみ前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域で前記織物(82)に接触する;
前記上面と前記下面(84,85)の両方から前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域で前記織物(82)に接触する;
という可能性の1つに従って、前記織物厚さ方向(G)に位置決め可能であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項12】
複数の経糸(80,80a,80b)で形成された織機杼口(9)を開閉するための杼口形成装置(5)と、開いた織機杼口(9)を通して緯糸を挿入するための緯糸挿入手段(8)を備えた緯糸挿入装置(7)と、挿入された緯糸を前記織物縁部に対して筬打ちするための織機用筬(10)と、前記織物(82)を引き抜くための引き抜き装置(12)と、を備えた織機(1)、好ましくはグリッパ織機において、
少なくとも1つのガイド装置(130;230;330)が少なくとも1つのガイドユニット(132;232;332)を備え、前記ガイド装置(130;230;330)は前記織物幅にわたって少なくとも部分的に延在し、好ましくは、それぞれ、前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域における前記織物(82)の接触ガイダンスのために前記織物厚さ方向(G)に本質的に位置決め可能な少なくとも1つのガイド部分(133;233;333)を備え、その上面(84)で前記織物(82)をガイドするための少なくとも1つの上部ガイドユニット(132;232;332)および/またはその下面(85)で前記織物(82)をガイドするための少なくとも1つの下部ガイドユニットが設けられ、少なくとも1つのガイドユニット(132;232;332)の1つまたは複数のガイド部分(133;233;333)は、全体として、緯糸方向(SR)のプロファイル形状(136;236;336)を含む
ことを特徴とする、好ましくは請求項1から11のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのガイドユニット(132;232;332)の前記少なくとも1つのガイド部分(133;233;333)のプロファイル形状(136;236;336)が:
緯糸方向(SR)に見られる連続プロファイル形状(136);
すべて一緒にガイド部分(233)を形成する、それぞれの割り当てられたガイド部分セクション(233a)とともに前記緯糸方向(SR)に前後に配置された個々のアクチュエータ(237)であって、前記個々のアクチュエータ(237)と前記ガイド部分セクション(233a)は、本質的に前記織物厚さ方向(G)において別個に調整可能であり、前記ガイド部分セクション(233a)は、好ましくは、前記ガイド部分セクション(233a)間の移行部を覆う可撓性シース(238)で覆われる、個々のアクチュエータ(237);
前記緯糸方向(SR)に本質的に平行に延びる回転軸を有する連続ローラであって、前記連続ローラは、前記ガイド部分を形成する連続プロファイル形状を備える、連続ローラ;
前記緯糸方向(SR)に本質的に平行に延びる回転軸(339)を有するローラ(337)であって、前記ローラ(337)は、前記緯糸方向(SR)に前後に配置され、少なくとも部分的に異なる直径および/または前記回転軸(339)に対して偏心した配置を有するセグメント(338)を備える、ローラ(337);
前記緯糸方向(SR)に前後に配置された個々のセグメントで構成されたローラであって、前記個々のセグメントの1つまたは複数は、前記緯糸方向に延びる前記ローラの長手方向軸の周りおよび/またはそれぞれ前記長手方向軸に対して偏心して延びる軸の周りで回転可能である、ローラ
の構成の少なくとも1つに従って構成されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項14】
少なくとも1つの弾性要素(238)が、前記ガイド部分(233)の少なくとも1つに配置され、例えば、圧縮空気が衝突するホースとして、またはばねサスペンションとして実現され、前記少なくとも1つの弾性要素(238)は、好ましくは前記織物幅にわたって延在することを特徴とする、請求項
12または13に記載の織機(1)。
【請求項15】
前記ガイド
ユニット(132)の少なくとも1つが、緯糸方向(SR)に湾曲または屈曲して対応して延びる前記織物(82)のガイダンスのために、前記緯糸方向(SR)に湾曲または屈曲して延びる輪郭を含むことを特徴とする、請求項
12から14のいずれか一項に記載の織機(1)。
【請求項16】
織機(1)、好ましくはグリッパ織機において織物(82)をガイドするための方法であって、前記方法は、好ましくは、請求項1から15のいずれか一項による織機(1)において実施され、前記方法は:
前記織物(82)が、少なくとも1つのガイド装置(30)によって、前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域においてその上面および/または下面(84,85)上でガイドされ、前記ガイド装置(30)は、少なくとも部分的に前記織物幅にわたって延在する少なくとも1つのガイドユニット(32,34)を備え、それぞれが、前記織物厚さ方向(G)において位置決め可能な少なくとも1つのガイド部分(33,35)を備え、前記織物厚さ方向(G)において、上部ガイドユニット(32)は前記織物(82)の前記上面(84)をガイドし、および/または下部ガイドユニット(34)は前記下面(85)をガイドするステップと、
制御ユニット(15)が、前記少なくとも1つのガイドユニット(32,34)に接続された少なくとも1つのドライブ(38,39)を制御して、前記織物厚さ方向(G)における少なくとも1つのガイド部分(33,35)の位置を変更し、前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域における前記織物構造に関連する情報、および/または前記開いた織機杼口(9)における前記経糸(80,80a,80b)の位置に関する情報が、規定された作動のために前記制御ユニット(15)に提供されるステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記制御ユニット(15)が:
記憶ユニット(25)に格納され、前記規定された情報が直接的または間接的に格納され、前記制御ユニット(15)によってアクセスされるパターンドラフト(26);
第1の記憶ユニット(25)に格納され、織りパターン設計が格納される、パターンドラフト(26)に加えて設けられる第2の記憶ユニット(28)であって、前記第2の記憶ユニットは、迅速に、好ましくは、前記制御ユニット(15)によって前記パターンドラフト(26)の前記情報と同時に読み取られる、第2の記憶ユニット(28);
前記パターンドラフト(26)の作成中に前記制御ユニット(15)の前記規定された情報を生成し、それらを前記パターンドラフト(26)に格納するか、実行中の製織動作中にこれらの情報をまだ含んでいない前記パターンドラフト(26)から前記規定された情報を計算して、前記制御ユニット(15)に提供する、アルゴリズム(29);
1つまたは複数のセンサ(50)、例えば、織物表面を分析するための少なくとも1つの光学センサおよび/または少なくとも1つの超音波センサであって、前記規定された少なくとも1つのセンサ(50)は、前記織機用筬の筬打ち面(14)の前に、好ましくは前記織機用筬(10)の端面に、および/または前記ガイド
ユニット(32,34)と前記織機用筬(10)との間に静止して、および/または前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域内の前記織物の下(82)および/または前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域内の前記織物(82)の上に配置される、1つまたは複数のセンサ(50);および/または
前記開いた織機杼口(9)内の前記経糸(80,80a,80b)の位置を分析するための、例えば光学センサとして実現された1つまたは複数のセンサ(55)
の1つまたは複数から前記規定された情報を取得することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記制御ユニット(15)が、前記規定された情報に基づいて前記少なくとも1つのドライブ(38,39)を作動させ、その結果、前記筬打ちの領域の前記織物(82)が、前記織物厚さ方向(G)にシフト変位するようにし、例えば、前記開いた織機杼口(9)を形成する上および下の前記経糸(80,80a,80b)に対して本質的に等しい間隔距離(a1,a2)で、前記開いた織機杼口(9)を通して衝突のない方法で、好ましくはグリッパとして実現される、挿入される前記緯糸ための緯糸挿入手段(8)をガイドすることを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記制御ユニット(15)が、前記規定された情報に基づいて少なくとも1つの前記ドライブ(38,39)を作動させ、その結果、前記織物(82)は、前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域において、その上面および/または下面(84,85)で接触するようにガイドされ、それにより、必ずしも前記織物(82)全体を前記織物厚さ方向(G)にシフト変位させる必要はないことを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
織機(1)において織物(82)をガイドするための方法であって、前記方法は、好ましくは、装置の請求項1から15のいずれか一項による織機(1)において実施され、前記方法は:
前記織物(82)が、少なくとも1つのガイド装置(30)によって、前記織機用筬の筬打ち面(14)の領域においてその上面および/または下面(84,85)上でガイドされ、前記ガイド装置(30)は、少なくとも部分的に前記織物幅にわたって延在する少なくとも1つのガイドユニット(32,34)を備え、それぞれが、前記織物厚さ方向(G)に位置決め可能な少なくとも1つのガイド部分(33,35)を備え、前記織物厚さ方向(G)において、上部ガイドユニット(32)は前記織物(82)の前記上面(84)をガイドし、および/または下部ガイドユニット(34)は前記下面(85)をガイドするステップ
を含み、
前記規定された少なくとも2つのガイドユニット(32,34)は、前記織物厚さ方向(G)において同方向および逆方向の両方で移動可能であるように、少なくとも1つのドライブ(38,39)に接続されている、好ましくは請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文による織機に関する。同様に、本発明は対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような織機は、例えば、グリッパまたはレピア織機およびエアジェット織機の形で長い間知られている。これらに共通して、製造方向に隣り合って走る複数の経糸は、(少なくとも)1つの緯糸が挿入される開口杼口を形成するために、杼口形成装置によって上下に動かされる。その後、杼口は再び閉じられ、緯糸は織機用筬によって交絡点に対して筬打ちされ、杼口を再び開く。織物は、引き抜き装置または取り出し装置によって連続的に引き抜かれ、例えば、クロスビームに巻き上げられるか、または水平状態で織機から取り出される。
【0003】
既知の織機では、特に典型的な形状から逸脱する織物、特に厚さがより厚いおよび/または不均一な表面特性を有する織物について、安全または信頼できる製織プロセスが常に保証されるとは限らないことは不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改善された織物制御または織物ガイダンスを達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。
【0006】
本発明の利点は、特に、織機用筬の筬打ち面の領域における織物のガイダンスを可能にする手段および方法が提供されることであり、そのガイダンスは、多くの製織条件下でより正確かつ利用可能である。本明細書では、織機用筬の筬打ち面の領域という用語は、織機用筬の筬打ちのすぐ近くにある、すなわちすでに製造されている織物の方向に織機用筬の筬打ち面から数ミリメートル(0mmまで)から数センチメートルの範囲にある織物の領域を意味すると理解される。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、織機は、少なくとも部分的に織物幅にわたって延在する少なくとも1つのガイドユニットを備える少なくとも1つのガイド装置を備える。この少なくとも1つのガイドユニットは、それぞれ、本質的に織物厚さ方向に位置決めすることができる少なくとも1つのガイド部分を含み、これにより、織物は、織機用筬の筬打ち面の領域において接触してガイド可能であり、つまり、ガイド部分が織物に接触して織物をガイドする。これに関して、その上面で織物をガイドするための少なくとも1つの上部ガイドユニット、および/またはその下面で織物をガイドするための少なくとも1つの下部ガイドユニットが設けられる。さらに、少なくとも1つのドライブを制御するように構成された制御ユニットが設けられる。この少なくとも1つのドライブは、そのガイド部分の少なくとも1つの位置を本質的に織物厚さ方向に変更するために、少なくとも1つのガイドユニットに接続されている。これに関して、好ましい変形による規定された制御の目的のために、規定された制御ユニットは、織機用筬の筬打ち面の領域における織物構造に関連する情報を処理する。
【0008】
本発明のこの態様では、織機用筬の筬打ち面の領域の織物構造は、織物がこの領域、すなわち、織物表面に対してほぼ垂直である織物厚さ方向において織機用筬の筬打ち面の領域でどのようにガイドされるかを規定する。この点に関して、織物構造という用語は、内側または内部の織物構造、すなわち、パターンドラフト、織機用筬の筬打ち面の領域における織物の厚さ、および/または織機用筬の筬打ち面の領域における織物の下面および/または上面の表面特性(それぞれの厚さの変動または経糸方向および/もしくは緯糸方向の表面特性の変動を含む)に依存する、織物の経糸および緯糸のコースまたはパターンを含む。
【0009】
例えば、緯糸方向および/または経糸方向に異なる厚さを含む織物について、最適なガイダンスを達成することができる。織物にそのような「うねり(wandering)」厚みがある場合に、本発明による織物のガイダンスは、織機杼口の開口中に織機用筬の筬打ち面の領域の綜絖によって経糸が織物から持ち上げられるのを防ぐ、あるいは織物全体が織り面から移動されるのを防ぐ。
【0010】
織物幅にわたって少なくとも部分的に延びる少なくとも1つのガイドユニットという用語の下で、織機用筬の筬打ち面の領域内の織物は、緯糸方向、つまり織物幅において織物の少なくとも1つのセクションにわたってガイドされることが理解されるべきである。これに関して、緯糸方向に互いに隣接して延びるいくつかのガイドユニットも設けることができ、それにより、例えば、2つの隣接するガイドユニットの端面を、互いにすぐ近くに、または互いに間隔を置いて配置することができる。原則として、この点に関して、織物の少なくともセクション、好ましくは全幅にわたるガイダンスが実現される限り、最も多様な実施形態が可能である。
【0011】
「織機用筬の筬打ち面の領域における織物構造に関連する情報」という用語は、特に、織物構造から直接導き出せるような情報だけでなく、織物構造に適合もしくは調整されているか、または織物構造が考慮されている情報も含むと理解されるべきである。以下では、好適な対応する例が特定されている。
【0012】
特に好ましくは、制御ユニットは、以下にリストされたソースのうちの1つまたは複数から、織物構造に関連する規定された情報を受け取る。それに対応する好ましい実施形態によれば、織物ガイダンスは、パターン制御された方法で達成される。このために、規定された情報は、直接または間接的に、例えば、パターンドラフトに、すなわち、電子的に格納された織物パターンに格納され、それによって、制御ユニットはこれらの情報にアクセスする。パターンドラフトに直接格納する場合、パターン設計者はプログラミング中にこれらの情報を導入する必要がある。このために、例えば、パターンドラフトに存在する特殊なトラックが使用され、それによって(例えば、ビットパターンで符号化された方法で)、少なくとも1つのガイドユニットを位置決めするための情報を格納することができる。これらの情報は、さらなる追加情報なしで少なくとも1つのガイドユニットを位置決めするために、織機によって直接解釈される。
【0013】
少なくとも1つのガイドユニットを位置決めするための情報の選択という意味での情報の間接的な格納に関連して、例えば、インデックスを、例えば、プログラマまたは織機オペレータによって、パターンドラフトの特殊なトラックで定義することができ、これにより、インデックスは、対応する情報を有する異なるソースを参照し、これらの情報は、織機の異なる場所または織機の外部、例えば織布工場の中央制御に格納される。これらの情報は、例えば、少なくとも1つのガイドユニットが織物厚さ方向に移動しなければならない位置であり、次に、少なくとも1つのガイドユニットを対応して作動させるために、制御ユニットによって対応して処理される。
【0014】
代替案によれば、制御ユニットは、パターンドラフトとは無関係に、対応する情報が格納されている記憶ユニットにアクセスする。制御ユニットによるそのようなアクセスは、パターンドラフト内の実際のパターン情報の読み取りと時間的に近接して、好ましくは同時に行われ、その結果、製織ウェブガイダンスは、織物パターンに時間的に調整される。
【0015】
記載されているように、パターンドラフトまたは別個の記憶ユニットへの情報の間接的な格納は、織物構造に関連する情報の例である。これらの場合、織物構造と制御ユニットによって処理される情報との間に直接の関係はなく、むしろ間接の関係がある。規定された情報は、すなわち、織物構造と調整されるか、または織物構造が、例えば織機のプログラマまたはオペレータによって情報を生成または確立するときに考慮されており、少なくとも1つのガイドユニット、およびそれとともに、織機用筬の筬打ち面の領域における織物の所望のまたは提供された位置決めを実現する。
【0016】
さらなる代替案では、制御ユニットは、アルゴリズムがパターンドラフトに格納された織りパターンから規定された情報を計算するように構成される。これに関して、織物ガイダンスのためのコマンドまたは命令は、上記の場合に提供されるので、織りパターンにプログラムされていない。代わりに、規定されたアルゴリズムは、織りパターン自体から、織物厚さ方向における織物ガイダンスのために少なくとも1つのドライブを作動させるための対応する情報を計算することができる。あるいは、パターンドラフトをすでに確立または設定しているときに、パターン設計者は上記のアルゴリズムを使用して、制御ユニットへの命令が、織機で利用できるようになるパターンドラフトにすでに含まれているようにする。
【0017】
上記のすべての場合において、パターンドラフトを、杼口形成装置に、例えば、ジャカード装置の制御、または織機の中央制御、またはさらに上位の制御、例えば織布工場の中央制御に格納することができる。
【0018】
さらなる代替案では、織物ガイダンスを調整または設定するための情報が以前に格納されておらず、むしろ製織プロセス中に決定される。このために、1つまたは複数のセンサ、例えば、少なくとも1つの光学センサおよび/または少なくとも1つの超音波センサを設けることができ、これにより、織機用筬の筬打ち面の領域において、織物構造の一部として、織物表面を分析し、対応する測定値を制御ユニットに提供する。これらから、制御ユニットは、織物ガイダンスの制御コマンドまたは命令を計算する。これに関して、規定された少なくとも1つのセンサは、織機用筬の筬打ち面の前に、好ましくは織機用筬の端面に配置され、および/またはガイド装置と織機用筬との間や、織機用筬の筬打ち面の領域の織物の下および/または織機用筬の筬打ち面の領域の織物の上に静止して固定される。
【0019】
制御ユニットが織物構造に関連する情報を受け取る上記のソースを、代替として、または任意の所望の組み合わせで制御ユニットに設けることができる。
【0020】
織機用筬の筬打ち面の領域の織物構造に関連する規定された情報の代わりに、またはそれに加えて、制御ユニットは、開いた織機杼口内の経糸の位置に関する情報を処理し、それに対応して、少なくとも1つのガイドユニットを作動させ、それを織物厚さ方向に位置決めする。開いた織機杼口を直接観察することにより、例えば、緯糸挿入手段と経糸との差し迫った衝突を認識し、少なくとも1つのガイドユニットの対応する位置決めによって防止することができる。
【0021】
本発明の一実施形態では、それに対応して、経糸の位置を分析するための1つまたは複数のセンサが開口杼口に設けられる。少なくとも1つの対応するセンサは、例えば、カメラの形などでの光学センサとして実現される。一実施形態はまた、例えば互いに上下に配置され、例えば異なる高さで織機杼口を通してビームを送るいくつかのレーザの形態で可能である。杼口に関する分析の結果は、例えば、織物を織物厚さ方向にシフトするために、少なくとも1つの規定されたドライブを作動させるための制御ユニットによって処理され、その結果、経糸と衝突することなく、緯糸ピックを開口杼口から挿入することができる。
【0022】
特に好ましくは、制御ユニットは、織物構造に関連する、および/または開いた織機杼口内の経糸の位置に関連する規定された情報に基づいて、筬打ちの領域で、織物全体が織物厚さ方向にシフトするような方法で、少なくとも1つのドライブを作動させることができる。これにより、緯糸を無衝突で織機杼口に挿入するための緯糸挿入手段をガイドすることができる。これに関して、緯糸挿入手段は、好ましくは、グリッパとして(したがって、織機はグリッパ織機として)実現される。特に、例えば5mmを超えるまたは10mmを超えるまたは20mmを超えるまたは50mmを超える厚さの厚い織物の場合、織物の方向への織物の変位のために、緯糸挿入手段は、例えば、開いた織機杼口を形成する上下の経糸までの本質的に等しい間隔距離で、織機杼口を通って移動することができる。例えば、緯糸が多層織物の1つの織物表面の領域に挿入される場合、織機用筬が筬打ちする結合または交絡縁部、つまり、断面図で見られるような製織縁部が、織物の中央または中心面を通って延びる中立杼口に対するこの織物表面の方向にシフトされる。緯糸挿入手段が開口杼口を通って衝突のない方法で移動できるようにするために、織機用筬の筬打ち面の領域の織物は、好ましくは全体として、その厚さ方向において織物の他の表面の方向にシフトされる。
【0023】
代替的または追加的に、制御ユニットは、織物をその厚さ方向にガイドするためのガイドユニットの少なくとも1つを作動させることができるように好適に構成される。これに関して、織物全体を織物厚さ方向に変位させることのないガイダンスも可能である。例えば、織物は、中立杼口が厚さ方向に変位することなく、厚さの変動があっても、その上面および/または下面で接触する方法でガイドされ得る。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、装置の独立請求項の前文に記載の織機は、少なくとも部分的に織物幅にわたって延びる少なくとも2つのガイドユニットを備えた少なくとも1つのガイド装置を備え、ガイドユニットはそれぞれ、織機用筬の筬打ち面の領域における織物の接触ガイダンスのために、本質的に織物厚さ方向に位置決め可能な少なくとも1つのガイド部分を備える。これに関して、その上面で織物をガイドするための少なくとも1つの上部ガイドユニットと、その下面で織物をガイドするための少なくとも1つの下部ガイドユニットが設けられる。さらに、規定された少なくとも2つのガイドユニットは、それぞれ少なくとも1つのドライブに接続され、これらは、制御ユニットに接続され、その結果、織物厚さ方向において同方向および逆方向の両方で移動可能である。
【0025】
本発明の第1の態様の特徴と組み合わせることができる、本発明の第2の態様による織機のこの実施形態では、織物ガイダンスに関して高い柔軟性または適合性が達成される。織物は、織物の厚さに対して一方または他方の方向に2つのガイドユニットの同方向の動きでシフトすることができ、逆方向の動きで、ガイドユニットは織物の厚さの変化に追従できる。
【0026】
本発明の態様とは無関係に、好適な変形例によれば、1つの下部ガイドユニットのみまたは1つの上部ガイドユニットのみの1つまたは複数のガイド部分は、他方のガイドユニットが静止したままである間、織物厚さ方向に一方向にのみ位置決め可能である。これにより、対応するガイド部分も、織物の片面でのみ厚さの変化に追従できることが保証される。
【0027】
代替的または追加的に、一方のガイドユニットのみの1つまたは複数のガイド部分は、ドライブによって一方向に移動可能であるが、織物の反対側にある他方のガイドユニットの1つまたは複数のガイド部分は、それとともに単に受動的な方法で移動され、それによってこの受動的なガイドユニットは、例えばばねによって生成される力で衝突される。したがって、この実施形態において、最も単純な変形では、少なくとも1つのガイド部分の能動的な動きのために1つの単一ドライブのみが必要とされる。この構成は、本発明の第1の態様による実施形態に特に当てはまる。
【0028】
少なくとも1つ、好ましくはすべてのガイドユニットの様々な異なる構成または実施形態が、本発明の態様とは無関係に可能である。一実施形態では、少なくとも1つのガイドユニットは、緯糸方向に延びる剛性プロファイルとして実現または構成される。これを、少なくとも1つのドライブによって、織物厚さ方向に位置決めすることができる。あるいは、少なくとも1つのガイドユニット(またはいくつか)は、受動的または能動的に駆動されるローラとして実現される。受動的なローラを使用すると、これは、引き抜きまたは取り出し装置によって引き起こされる織物の動きによって回転運動をもたらすことができる。能動的に駆動されるローラを使用すると、その円周速度は、好ましくは、織物の引き抜き速度に適合されるか、またはそれと調整される。同じことが、少なくとも1つのガイドユニットが循環するエンドレスベルトまたはバンドとして実現または構成される実施形態にも当てはまる。
【0029】
規定された下側および/または上側ガイドユニットの少なくとも1つが、以下の領域の少なくとも1つおよび/または両方に設けられることが好適であると判断された:側方ガイダンス、すなわち、経糸方向に延びるその長さ方向縁部(該当する場合、実際の主織物に隣接するいわゆる織り端を含む)の少なくとも1つでの織物のガイダンスの目的のために、好適には、そのような下側および/または上側ガイダンスは、1つまたは複数の対応するガイドユニットを介して存在する。代替的または追加的に、織物は、織物の中心または中央の方向の長さ方向縁部の少なくとも1つに隣接する領域の下側および/または上側でガイドされることが好ましい。例えば、2つの長さ方向縁部が、(主織物として指定することもできる)それらの間にある織物領域以外のガイドユニットによってガイドされる可能性がある。別の実施形態では、下部および/または上部ガイドユニットが長さ方向縁部に設けられ、一方、主織物および他の長さ方向縁部は、共通の下部および/または上部ガイドユニットでガイドまたは移動される。これらのすべての対策は、要件に応じて、織機用筬の筬打ち面の領域での織物の制御を全体的に改善する。
【0030】
少なくとも1つのガイドユニットの少なくとも1つのガイド部分、好ましくはすべてのガイドユニットのすべてのガイド部分の間の接触ゾーンは、好ましくは、織機用筬の筬打ち面から、つまり、織物長さ方向において、織物の筬打ち縁部に対する筬打ち時点での織機用筬の位置から測定して、0から100mmの範囲内にある。好ましくは、接触領域は、0から50mmの間にある。
【0031】
織物を両側から織物厚さ方向にガイドするためのガイドユニットが一般に存在する場合でも、これらのガイドユニットは、好ましくは織物厚さ方向にそのような方法で位置決め可能であり、このため、織物が一時的または恒久的に、織機用筬の筬打ち面の領域において、織物の下面からのみ、上面からのみ、および/または下面と上面から、接触する方法でガイド可能である。
【0032】
さらに、ハーネスなど、他の方法ではアクセスが困難な織機部品に、オペレータが簡単にアクセスできるようにするために、上部および/または下部ガイドユニットは、織物から離れて移動可能であり、これに関して好ましくは織物厚さ方向にも移動可能であることが好適であり得る。ガイドユニットのそのような動きは、例えばレバー機構によって、および/または対応するコマンドもしくは命令を制御ユニットに入力し、次に対応して1つまたは複数のドライブを作動させることによって、純粋に機械的に実現され得る。
【0033】
装置の独立請求項の前文による本発明の第3の態様によれば、少なくとも1つのガイド装置は、少なくとも部分的に織物幅にわたって延在し、それぞれ織機用筬の筬打ち面の領域での織物の接触ガイダンスのための少なくとも1つのガイド部分を含む少なくとも1つのガイドユニットを備える。本発明の第1および第2の態様と同様に、織物をその上面でガイドするための少なくとも1つの上部ガイドユニット、および/または織物をその下面でガイドするための少なくとも1つの下部ガイドユニットが設けられる。さらに、少なくとも1つのガイドユニットの1つまたは複数のガイド部分は、緯糸方向に全体的にプロファイル形状を含む。本明細書におけるプロファイル形状という用語は、少なくとも1つのガイドユニットの織物に接触する1つまたは複数のガイド部分の緯糸方向における非線形のコースまたは進行として理解される。これにより、1つまたは複数のガイド部分が緯糸方向に沿って織物との接触を失うことなく、緯糸方向の織物の厚さの変化を考慮することができる。
【0034】
規定されたプロファイル形状を、様々な異なる方法で実現することができ、非常に単純な場合、織物のセクション全体にわたってまたは織物幅全体にわたって、例えばつながった(through-going)、つまり連続的な、緯糸方向に見られる非線形プロファイル形状である。例えば、少なくとも1つのガイドユニットは、堅固にまたは固定的に実現され、したがって、例えば緯糸方向に延びる回転軸の周りを回転しない。特に、緯糸方向に変化するが経糸方向には一定のままである厚さの輪郭または進行を有する織物を、この方法で好適にガイドすることができる。
【0035】
代替案によれば、プロファイル形状は、緯糸方向に前後に配置された個々のアクチュエータによって実現され、それにガイド部分セクションがそれぞれ割り当てられ、全体的にすなわちすべて一緒にガイド部分を形成する。これに関して、個々のアクチュエータ、したがってそれらのガイド部分セクションも、本質的に織物厚さ方向に別々に調整可能である。このようにして、アクチュエータの目標とする作動を通じて、これらのアクチュエータと接触する織物領域を、画定された方法でガイドすることができる。この代替案のさらなる発展によれば、ガイド部分セクションは、好ましくは、隣接するガイド部分間の移行部を覆いそして橋渡しする可撓性シースで覆われ、したがって、織物の穏やかなすなわち保護的な取り扱いに寄与する。
【0036】
さらなる代替案では、プロファイル形状は、緯糸方向に本質的に平行に延びる回転軸を備えた、つながったすなわち連続ローラによって実現される。これに関して、ローラは、ガイドセクションを形成するつながったすなわち連続プロファイル形状を含む。緯糸方向が異なるが断面が一定である厚さの輪郭または進行を有する織物は、プロファイル形状が緯糸方向に延びる回転軸に関して対称的に実現される場合、そのようなプロファイル形状によってもガイドされ得る。
【0037】
あるいは、そのような回転軸を備えたローラが設けられ、ローラは、緯糸方向に前後に配置されたセグメントに分割される。これらのセグメントは、カムシャフトのように、少なくとも部分的に異なる直径および/または回転軸に対して偏心した配置を含む。ローラを製造方向に回転させることにより、緯糸方向に隣り合って横たわる織物の領域を、それらの下面および/または上面の異なる高さでガイドすることができる。
【0038】
さらに別の代替案では、ローラは、緯糸方向に前後に配置された個々のセグメントから構成される。これに関して、1つまたは複数の個々のセグメントは、それぞれ、緯糸方向に延びるローラの長手方向軸の周りで回転可能である。いくつかの個々のセグメントが、この長手方向軸に対して偏心して延びる軸の周りでそれぞれ回転可能であることも可能である。一般に、そのような実施形態は、緯糸方向における織物の最も多様な厚さの変化を考慮に入れることを可能にし、それにより、織物ガイダンスは、確実に保証されたままである。
【0039】
記載された実施形態を通して、織物の厚さの変化を考慮に入れることができるだけでなく、特に、杼口を通して衝突のない方法でグリッパをガイドすることができるように、織物厚さ方向における交絡点または結合縁部の変位またはシフトも均一化または均等化できる。この目的のために、プロファイル形状は、織物のパターンシーケンスに対応して一致または適合されなければならない。
【0040】
本発明の第3の態様の好ましいさらなる発展によれば、少なくとも1つの弾性要素が、ガイド部分の少なくとも1つに配置されている。織物の穏やかなすなわち保護的な取り扱いに特に役立つそのような弾性要素は、例えば、圧縮空気が衝突するホースとして実現されるか、またはばねサスペンションとして構成される。これに関して、各位置で織物を緯糸方向にガイドするために、少なくとも1つの弾性要素が織物の幅にわたって延びることが好ましい。
【0041】
好ましくは、ガイド部分の少なくとも1つは、緯糸方向に湾曲または屈曲して延びる輪郭を含み、それに対応して湾曲または屈曲して延びる織物を緯糸方向にガイドできるようにする。
【0042】
プロファイル形状を形成する1つまたは複数のガイド部分は、静止してまたは位置決め可能に、好ましくはその場合、織物厚さ方向に配置され得る。後者の場合、そのような位置決め可能性は、例えば、手動で、または制御ユニットおよび1つまたは複数の対応する作動ドライブを用いて実現することができ、また、例えば、本発明の第1および/または第2の態様の範囲内で実現することができる。
【0043】
本発明の上記の3つの態様は、好適には、互いに対になって、またはすべて一緒に組み合わせることができる。
【0044】
本発明の様々な態様に対応する本発明による織機は、特に好ましくはジャカードタイプであり、そのため、個々の綜絖の個々の位置決めが可能になり、また三次元、すなわち、複雑度の高い比較的厚い織物を織ることができる。
【0045】
さらに、本発明の様々な態様による、本発明による織物ガイダンスおよび織物シフトまたは変位を、それ自体が知られている織機杼口内のグリッパの高さシフトまたは変位と組み合わせることができ、これにより、適用可能性がさらに広がる。
【0046】
さらに、個々のガイド装置は、別個の発明と見なすことができ、したがって、それぞれがそれ自体で織機に設置するために設けられた本発明による装置と見なすことができる。
【0047】
同様に、本発明は、方法の独立請求項による方法に関する。対応する特徴および利点は、上でさらに議論された装置に関連してすでに説明されている。
【0048】
以下では、本発明を図面に関連してさらに詳細に説明する。これらの図は、単に例示的な実施形態と見なされるべきであり、また、個々の特徴を、他の実施形態と組み合わせることができる。同じ参照符号は、同じ要素または同じ効果を有する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図2】ただ1つのガイドユニット(経糸なし、織物なし)を備えた織機用筬の筬打ち面の領域における織機の第1の実施形態の一部の概略側面図である。
【
図3】2つのガイドユニット(経糸なし、織物なし)を備えた織機用筬の筬打ち面の領域における織機の第2の実施形態の一部の概略側面図である。
【
図4】
図3による概略側面図であり、ここでは、経糸および織物を備えている。
【
図5】
図4による概略側面図であり、織物を下げた状態である。
【
図6】制御ユニットに情報を提供するための一代替案を示す図である。
【
図7】制御ユニットに情報を提供するための別の代替案を示す図である。
【
図8】制御ユニットに情報を提供するためのさらに別の代替案を示す図である。
【
図9】制御ユニットに情報を提供するためのさらに別の代替案を示す図である。
【
図10】織物表面の分析のためのセンサを備えた織機の一部の概略側面図である。
【
図11】開いた織機杼口を分析するためのセンサを備えた織機の一部の概略側面図である。
【
図12】ばね式の下部ガイドユニットを備えた織機の一部の概略側面図である。
【
図13】経糸方向に厚さが変化する織物を備えた織機の一部の概略側面図である。
【
図14】ガイドユニットとして高さ移動可能または高さ駆動可能なローラを備えた織機の一部の概略側面図である。
【
図15】ガイドユニットとして高さ移動可能または高さ駆動可能な連続循環バンドまたはベルトを備えた織機の一部の概略側面図である。
【
図17】様々なガイド装置を備えた織物の上面図である。
【
図18】長手方向断面(緯糸方向の断面)におけるガイドユニットの一実施形態を示す図である。
【
図19】長手方向断面(緯糸方向の断面)におけるガイドユニットの別の実施形態を示す図である。
【
図20】長手方向断面(緯糸方向の断面)におけるガイドユニットのさらに別の実施形態を示す図である。
【
図21】長手方向断面(緯糸方向の断面)におけるガイドユニットのさらに別の実施形態を示す図である。
【
図22】長手方向断面(緯糸方向の断面)におけるガイドユニットのさらに別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、織機1の可能な実施形態の概略側面図を示している。互いに隣接して延びる複数の経糸80は、例えば、経糸ビーム2から(あるいはクリールから)供給され、バックレストローラまたはホイップロール3を介して、経糸ストップモーション4を通った後、杼口形成装置5に経糸方向KR(矢印を参照)にガイド的に供給され、その杼口形成手段は、織機杼口9を開閉するために、好ましくは、互いに反対方向に移動可能であり、既知の方法で振動する綜絖6から形成されている。好ましい実施形態によれば、杼口形成装置5はジャカードタイプのものである。
【0051】
緯糸挿入装置7(単に示されている)は、緯糸挿入手段8を備え、これは、ここでは糸グリッパとして実現され、開いた織機杼口9を通して緯糸を送る。さらに、織機1は、織機用筬10を備えており、これにより、挿入された緯糸を、すでに製造された織物82のいわゆる交絡点11に対して筬打ちすることができる。この目的のために、織機用筬10は、軸10aの周りで回転可能に支持されている。完成した織物82は、例えば、特により厚い織物の場合、単に概略的に示されている引き抜きまたは取り出し装置12によって、あるいはクロスビーム(図示せず)での巻き上げのために、水平に引き抜かれる。
【0052】
制御ユニット15は、様々なドライブに接続され、これらを制御する。これに関して、ドライブ16は経糸ビーム2に接続され、ドライブ17は杼口形成装置5に接続され、ドライブ18は織機用筬10に接続され、さらなるドライブ19は引き抜き装置12に接続される。このドライブの概念は単なる一例として選択されたにすぎず、他の概念が可能であることは言うまでもない。制御ユニット15は、織機1のトラブルのない動作を確実にするために、ここでは経糸ストップモーション4のために示されるセンサデータをさらに取得する。これに関して、上記の装置は、点線で示されているように、信号送信線またはケーブルによって制御ユニット15に接続されている。
【0053】
本発明は、織機用筬の筬打ち面の領域における1つまたは複数のガイド装置による織物82のガイダンスに関する。
図1に記載および示されているような杼口形成装置5は、緯糸挿入手段8を備えた緯糸挿入装置7、織機用筬10、ならびに引き抜き装置12も、本発明による1つまたは複数の織機1に存在する。
【0054】
図2は、織物の下面に接触するためのガイド部分35を備えた、断面がL字型である下部ガイドユニット34を含むガイド装置30を示している。この場合、下部ガイド部分34は、織機用筬の筬打ち面14のすぐ近く、すなわち織機用筬10の筬打ち面(
図2に示されるように、開いた杼口の位置に連続した実線があり、生地の縁部に対する筬打ち中に破線がある;いくつかの図では、筬打ちの織機用筬10が破線で示され、織機用筬の筬打ち面14をより明確に認識できるようにするために、他の図では示されていない)で織物をガイドする。任意選択で、破線で示されているように、断面がL字型であり、ガイド部分33を備えた上部ガイドユニット32が存在し、これは、本例では剛性かつ不動に実現される。存在する場合、上部ガイドユニット32は、織物の上面のガイダンスに役立つ。
【0055】
下部ガイドユニット34は、制御ユニット15に接続されたドライブ39に接続され、制御ユニット15は、下部ガイドユニット34が矢印方向f2に、すなわち織物厚さ方向に駆動されるように、ドライブ39を作動させ、それにより、織物をその下面からガイドする。もちろん、上部ガイドユニット32が、制御ユニット15に接続されたドライブによって織物厚さ方向Gに駆動され、それによって、任意選択で、例えば、剛性の下部ガイドユニット34が存在し得ることも可能である(図示せず)。
【0056】
図3には、ガイド装置30が示され、この場合、ガイド装置30は、互いに上下に置かれた2つのガイドユニット32,34を含む。上部ガイドユニット32は、織物(
図3には示されていない)の上に位置決めされ、下部ガイドユニット34は、織物の下に配置されている。限定的または制約的に解釈されるべきではない図示の例示的な実施形態では、両方のガイドユニット32,34は、断面がL字型に実現され、それによって、ガイドユニット32,34のそれぞれは、互いに向き合った2つのガイド部分33または35を備え、これにより織機用筬の筬打ち面14のすぐ近くで織物と接触する。織機用筬の筬打ち面14は、緯糸を挿入した後、織機用筬10が織物82に対して筬打ちする面である。
【0057】
さらに、両方のガイドユニット32,34は、ドライブ38または39に接続され、ドライブ38または39は、次に、制御ユニット15に接続される。制御ユニット15は、2つのドライブ38,39を、ガイドユニット32,34を互いに向かって、または反対方向に、ならびにそれぞれの同じ方向に駆動できるように作動させ、その方向は、それぞれ矢印f1およびf2によって示されている(本発明の上記の第2の態様に対応する)。これは、織物82が所定の位置にクランプされた状態では(
図4を参照)、織物厚さ方向Gであり、織機用筬の筬打ち面14に平行に延びる。
【0058】
上部および/または下部ガイドユニット32,34は、好ましくは、織物幅全体にわたって緯糸方向に延びる。あるいは、織物の一部のみにわたって延びることも可能である。また、緯糸方向に隣り合って延びる複数の上部および/または下部ガイドユニット32,34を実現することができる。
【0059】
図3では、織物長さ方向GR(ここでは経糸方向KRに平行に延びる)の方向に織機用筬の筬打ち面14から測定された、実寸ではない間隔距離dが示されている。この間隔距離dは、ガイドユニット32,34が接触する方法で織物82をガイドする好ましい領域を示し、ここで、規定されたガイダンスは、領域全体にわたって行われる必要はないが、領域内であり得る。織機用筬の筬打ち面14から間隔距離dの領域は、織物長さ方向GRにおいて、好ましくは0から100mm、特に好ましくは0から50mmの間で延在する。
【0060】
図4では、織機1の同じカットアウトセクションが
図3と同じように示されているが、ここでは経糸80a,80bおよび織物82を備えている。ここに示される場合に、織物は比較的厚く、例えば、10mmよりも厚いか、または20mmよりも厚いか、またはそれよりさらに厚く、100mmまでまたはそれ以上の厚さが可能である。緯糸の層状織りは、曲がりくねった形のコースまたは進行89によって示され、この最も単純な場合の織機杼口9は、上から下へ、または下から上へ交互に切り替えられ、緯糸の順序または進行は、垂直方向に順番に発生する。このようにして製造された織物82は、層ごとに構築される。
【0061】
図4は、ガイドユニット32,34が中立位置にある状態、すなわち、ガイドユニット32,34の位置が織物厚さ方向Gに変化していない状態を表している。
図4では、織物82の上層がちょうど製造されており、緯糸挿入手段8は、開いた織機杼口9を通ってガイドされている。織機杼口9は、例えば、ジャカード織機として実現された杼口形成装置の場合、対応する綜絖のためのアクチュエータの作動によって、上経糸80aおよび下経糸80bによって製造される。
図4でさらに見られるように、位置11aに「交絡点」という用語の使用は、ここでは誤解を招く可能性があり;より厚い織物では、断面図で図の平面内に垂直に延びる「交絡または結合縁部」がより多く関与し、これは、この場合、開いた織機杼口9の方向の経糸80a,80bの開始点であり、織物82の比較的厚い厚さのために、緯糸挿入手段8の高さで経糸方向KRに延びる中立杼口nFまでの大きな間隔距離を含む。これは、次に、上経糸80aへの緯糸挿入手段の比較的大きな間隔距離a1、または下経糸80bへの比較的小さな間隔距離a2の基になる。間隔距離a2が小さいため、緯糸挿入手段8が、開いた織機杼口9を通過する間に下経糸80bと衝突し、それが製織プロセスの停止や織物82ならびに供給された経糸80の損傷につながるという大きな危険がある。
【0062】
さらに、
図4に示される2つの図示された経糸80a,80bのコースは、2つの経糸80a,80bが必ずしも位置11aで一緒に走るわけではないので、単なる例を表すことに留意されたい。代わりに、織物82に応じて、上経糸80aが織物82に対してさらに下向きに筬打ちされ、一方、下経糸80bがこの上経糸80の上に筬打ちされることも可能である。
【0063】
本発明によれば、織物82は、少なくとも1つのガイドユニット32,34によって織物厚さ方向Gにシフトまたは変位され、その結果、緯糸挿入手段8は、衝突のない方法で、開いた織機杼口9を通してガイドされ得る。
図4では、両方のガイドユニット32,34が下向きにシフトまたは変位しているため(矢印f1,f2を参照)、位置11aは基本的に中立杼口nFの高さにあり、緯糸挿入手段8までの間隔距離a1およびa2は、
図5に示されているように、本質的に同じサイズである。これにより、緯糸挿入手段8は、衝突のない方法で、開いた織機杼口9を通過することができる。
【0064】
したがって、言い換えれば、織物82の上層(または最上層)が、
図4の例に対応する、パターンドラフトに格納された織りパターン設計に対応して織られているだけである場合、織物82は、それに対応する情報のためにガイドユニット32,34を用いて下げられ、それは次にドライブ38,39の作動によって制御ユニット15によって実行される(
図5を参照)。
【0065】
ガイドユニット32,34の対応する作動のために(本発明の上記の第1の態様による)、制御ユニット15は、織機用筬の筬打ち面14の領域における織物82の構造に関連する情報を処理する。これらの情報は、例えば、織物82に次に挿入される経糸の位置を含み、これは、
図4および
図5に見られるように、より厚い織物にとって特に非常に重要である。これらの図では、制御ユニット15が記憶ユニット25に接続されており、記憶ユニット25は、制御ユニット15のための情報を準備して、ガイドユニット32,34を織物厚さ方向Gに位置決めするためにこれらをドライブ38,39へのコマンドまたは命令に変換することが示されている。この配置の特定の実施形態は、
図6から
図9に示されている。
【0066】
織物82のパターンドラフト26は、
図6に従って記憶ユニット25に格納される。一実施形態によれば、織りパターン設計は、パターンドラフト26自体に格納されるだけでなく、さらに規定された情報にも格納され、例えば、現在織られる層が織物82の最上層であり、したがって、ガイドユニット32,34は、織物厚さ方向Gにおいて織物厚さの半分だけ下げられ、緯糸挿入手段8が開いた織機杼口9を通って衝突のない移動を可能にすることが含まれる。情報はまた、直接制御命令としてパターンドラフト26に格納されることができ、これは、制御ユニット15によって、ドライブ38,39のための制御コマンドに変換される。それにより、これらの情報のすべては、織物縁部83または織機用筬の筬打ち面14の領域における瞬間的な織物構造に関連している。
【0067】
図7に概略的に示されている代替案によれば、織りパターン設計に加えて、別個の情報が、記憶ユニット25に格納されたパターンドラフトに格納され、これらの別個の情報は、例えば、同様に記憶ユニット25に格納されたデータトラック27を参照するインデックスを含み、データトラック27は、ドライブ38,39の次の作動のための制御ユニット15について規定された情報を含む。これに関して、データトラック27内の情報は、杼口形成装置5および緯糸挿入装置7のための命令と対応して同期される。次に、パターンドラフト26を読み取ると、インデックスを介して、データトラック27が制御ユニット15によって本質的に同時に読み取られる。
【0068】
さらなる代替案を
図8に示す。ここでは、織りパターン設計を定義するパターンドラフト26が格納される第1の記憶ユニット25に加えて、第2の記憶ユニット28が設けられている。織機用筬の筬打ち面14の領域における織物構造に関連する情報は、この第2の記憶ユニット28に格納される。制御ユニット15は、これらの情報にアクセスし、それらを処理し(織物縁部83または織機用筬の筬打ち面14上の実際の瞬間的な織物位置と同期して)、ガイドユニット32,34のドライブ38,39を作動させる。
【0069】
図9に概略的に示されているさらなる代替案によれば、ドライブ38,39の制御命令は、対応する実現されたアルゴリズム29によって、パターンドラフト26から直接、すなわち、記憶ユニット25に格納された電子的格納の織りパターン設計から計算される。そのような計算は、好適には、製織動作中に連続的に実行され、それによって、アルゴリズム29は、例えば、制御ユニット15(
図9に示される)によって、または異なる(図示されていない)プロセッサユニットから処理され、その後、対応する情報が制御ユニット15にさらに転送される。代替案によれば、ドライブ38,39を作動させるための規定された情報を事前にパターンドラフト26に導入または格納するために、パターンドラフト26を確立するときにアルゴリズムがすでに利用されており、その後、製織動作中の制御ユニット15によって連続的に呼び出される。
【0070】
図10には、制御ユニット15が、ドライブ38,39を作動させるために規定された情報をどのように受信するかについての、本発明による代替案が示されている。
図10に示される変形例では、センサ50は、織物82の上面84の上に配置され、制御ユニット15に接続されている。センサ50は、例えば、超音波センサまたは光学センサとして実現され、織物82の上面を感知または検出し、これは光線円錐51によって示されている。特に、織物82の上面からセンサ50までの間隔距離から、制御ユニットは、干渉のない製織動作のために、ガイドユニット32,34によって、織物82を下降させるか上方に変位させる必要があるかを決定することができる。
【0071】
センサ50の配置は単なる例示である。代替的または追加的に、センサは、織物82の下面85を検出または感知することができる。2つ以上のセンサも可能である。再び代替的または追加的に、1つまたは複数のセンサは、織機用筬10の端面上に、および/または一方または両方のガイド装置32,34と織機用筬10との間に静止して配置され得、ここで、規定された少なくとも1つのセンサが織機用筬の筬打ち面の前に配置される。
【0072】
ドライブ38,39の制御の代替案が
図11に示されている。ここでは、開いた織機杼口9内の経糸80(80a,80b)の位置を分析するセンサ55が設けられている。この目的のために、センサ55は、好ましくは光学センサとして、特に好ましくはカメラとして実現され、織機杼口9から側方に配置され、緯糸方向に(したがって紙面に垂直に)開いた織機杼口9を検出し、これは、緯糸方向に開いた織機杼口9を検出した領域56によって示される。光学センサは、開いた織機杼口9を分析し、特に、緯糸挿入手段8と経糸80a,80bとの衝突の可能性を特に認識するために、織機杼口9内の経糸80a,80bの位置を決定する。センサ55は、測定結果、または計算後の分析結果を制御ユニット15に送信し(破線を参照)、制御ユニット15は、ドライブ38,39を作動させるために結果を処理する。
【0073】
図12には、織機用筬の筬打ち面14の領域における織物82のガイダンスが示されており、上部ガイドユニット32は、ドライブ38によって織物厚さ方向Gに能動的に位置決めされ、一方、下部ガイドユニット34は受動的に追従する。このために、下部ガイドユニット34は、例えば、
図12に概略的に示されているように、1つまたは複数のばね20からのばね力で衝突される。上部ガイドユニット32を上方に動かすと、ばね力により下部ガイドユニット34が下から織物82に押し付けられるため、下部ガイドユニット34と織物82との間に常に接触が存在する。そのような配置は、特に単純な構造の利点を有する。もちろん、下部ガイドユニット34がドライブによって能動的に位置決めされ、上部ガイドユニット32が以下の方法で受動的にガイドされることも可能である。
【0074】
図13は、織物82の後の適用のための特別な要件を満たすために、織物82が経糸方向KRに厚さ変化を有して織られる例を示している。製織プロセス中に織物82が織機用筬の筬打ち面14の領域で常に織物厚さ方向Gにガイドされ得るように、2つのガイドユニット32,34は、続いて、それぞれの織物厚さに一定の適合の下でガイドされ、これには、制御ユニット15からドライブ38,39への制御コマンドによって実行される、織物厚さ方向Gにおける2つのガイドユニット32,34の必要な逆走すなわち逆運動が含まれる(矢印f1およびf2も参照)。しかしながら、2つのガイドユニット32,34を共通の方向に位置決めすることも可能であり、特に、例えば、一定の織物厚さで、経糸方向KRに上向きまたは下向きにスイングまたは振動する織物構造が織られる場合に可能である。
【0075】
経糸方向KRで織物厚さが変化する、織物厚さ方向Gに対する2つのガイドユニット32,34の逆走すなわち逆方向運動も、一方の織物側面からの少なくとも1つのアクティブガイドユニット32または34と、他方の織物側面からの少なくとも1つの受動的、例えば、ばね式のガイドユニット34または32によって実現することができる。
【0076】
ガイドユニット32,34の経糸方向KRにおける織物の厚さへの適合フィッティングはまた、上記の
図4および
図5に関連して特に説明されているように、織物厚さ方向に全体として、問題なく、織機用筬の筬打ち面14の領域における織物のシフトまたは変位と組み合わせることができる。
【0077】
図2から
図13によるL字型ガイドユニット32の2つの代替案が、
図14および
図15に示されている。
図14に対応して、ガイドユニット32は、能動的に駆動されるローラまたは受動的なローラとして実現される(回転方向を参照)。
図15によれば、ガイドユニット32は、能動的に駆動されるかまたは受動的に循環する連続バンドまたはベルトとして実現され、これは、ローラとまったく同じように、織物82の経糸方向KRへの輸送にも利用できる。ローラおよび循環する連続ベルトを、矢印f1およびf2によって示されるように、好ましくは高さ、すなわち、織物厚さ方向Gに位置決めすることができる。ドライブおよび制御ユニットは、それぞれ、ここでは、図示されていない。
【0078】
ガイド装置30の可能な実施形態の斜視図が
図16に示されており、そのガイド装置は、上部ガイドユニット32および下部ガイドユニット34を含む。両方のガイドユニット32,34は、断面がL字型であり、緯糸方向SRに延びる剛性プロファイルとして実現される。上部ガイドユニット32は、ガイドユニット32に平行に延びる横方向プロファイル41を有する垂直支柱40によって接続され、横方向プロファイル41は、次に、その2つの端面(1つのみが示されている)でドライブプロファイル42と接続され、その上に、ガイドユニット32を織物厚さ方向Gに位置決めするためにドライブ38が係合する。ドライブプロファイル42は、単に概略的に示されており、例えば、ドライブ38によって駆動されるピニオンが係合する歯付きラックを含むことができる。最も多様な実施形態は、ドライブ38によって織物方向にガイドユニット32を駆動または移動するために可能である。
【0079】
図示の例示的な実施形態によれば、下部ガイドユニット34は、二重旋回機構45を介して、固定機械部品46に接続されている。二重旋回ジョイントは、互いに上下に配置された2つの旋回アームまたはスイングレバー47を備え、その一端は旋回軸47aの周りに旋回方式で接続され、他端は旋回軸47bの周りに垂直支柱48で旋回する方法で接続されている。次に、垂直支柱48は、一方では、断面がL字型である下部ガイドユニット34に接続され、他方では、ガイドユニット34に平行に延びる横方向プロファイル49に接続され、その上にドライブ39が係合し、二重旋回機構45との結合によって制御され定義された方法でそれを下向きに下げたり、上向きに駆動したりすることができる(二重矢印f2を参照)。これに関して、下部ガイドユニット34は、二重旋回機構45を介して最小のスイングまたは旋回運動を実行するが、この運動は、経糸方向KRまたはその逆方向の下部ガイドユニット34のガイド部分35の運動とともに進む;ただし、これは、織物厚さ方向の変位のシフトと比較して重要ではない。
【0080】
図17は、様々な異なる織物領域における織物の上面84のガイダンスを担当する、異なるガイドユニット32を備えた織物82の上面図を示している。中央または中心のガイドユニット32は、経糸方向(KR)に延びる織物82の2つの側方長さ方向縁部86(織り端とも呼ばれる)の間にある織物領域のガイダンスを担当し、ガイドユニット32は、織物縁部83または織機用筬の筬打ち面14の領域において、織物82の上面84に対して置かれている(
図2から
図16による説明に対応する)。織物82のこの部分は、主織物とも呼ばれる。比較すると、2つの外側ガイドユニット32は、織物82の長さ方向縁部86のガイダンスのために設けられる。織物82のガイダンスのためのタスクのそのような分散は、例えば、層の数が少ないために、例えば、織物82の側方長さ方向縁部86が主織物とは異なる厚さを含む場合、賢明であるか、または適切である。そのような場合、それぞれの結合縁部を、次に、それぞれの異なる織物領域に対して個別に調整することができる。
【0081】
好ましくは、対応するガイドユニットは、織物の下面にも設けられ、そのうちの1つまたは複数のガイドユニットは、主織物のガイダンスのために設けられ得、1つまたは複数の他のガイドユニットは、側方長さ方向縁部86のガイダンスのために設けられ得る。すべてのアクティブガイドユニットの作動は、好ましくは、制御ユニット15および対応するドライブによって再度達成される。
【0082】
図示されていない実施形態では、一方の長さ方向縁部86のための1つの上部(および/または下部)ガイドユニット32が存在し、主織物および他方の長さ方向縁部86は、共通の上部(および/または下部)ガイドユニット32によってガイドまたは移動される。
【0083】
間隔距離dは、
図17にスケッチされており、これは、
図3に関連してすでに説明したように、織物長さ方向GR(ここでは経糸方向KRと一致する)で織機用筬の筬打ち面14から始まる領域を定義し、好ましくはそこにガイドユニット32が配置される。
【0084】
図18から
図22は、ガイド部分133,233,333(これらの構成は、本発明の第3の態様に関連する)異なるプロファイル形状136,236,336をそれぞれ備えるガイドユニット132,232,332を用いて、緯糸方向SRで切断されるガイド装置130,230,330(それぞれ部分的にのみ示される)の様々な異なる実施形態を示している。上で説明したように、ガイド部分133,233,333は、それぞれ、織物82(図示せず)の上面84と接触している。
図18から
図22に示されるプロファイル形状136,236,336は、代替的または追加的に、織物82の下面85をガイドするための下部ガイドユニットにも存在し得ることが理解される。規定されたプロファイル形状136,236,336が上面84または下面85に設けられ、平面プロファイルセクション(
図2から
図16のように)が(能動的に駆動されるまたは受動的なガイドユニットとともに)下面85または上面84に設けられることも可能である。上部ガイドユニットのガイド部分が、下部ガイドユニットのガイド部分とは異なるプロファイル形状を含むことも可能である。
【0085】
以下でより詳細に説明されるすべてのプロファイル形状136,236,336に共通して、それらは、例えば、ガイドされていない領域からの個々の経糸が杼開口中に織物から持ち上げられるように、緯糸方向SRに異なる厚さで織物82をガイドすることができる。
図18から
図22のガイドユニット132,232,332は、好ましくは、織物幅全体にわたって緯糸方向に延びる。あるいは、織物の一部のみにわたって延びることも可能である。緯糸方向に互いに隣接して延びるいくつかのガイドユニット132,232,332も実現可能である(代替的におよび/または追加的に、織物をその下面にガイドするための対応するプロファイル化が実現された下部ガイドユニットも実現可能である)。
【0086】
図18によれば、ガイドユニット132のガイド部分133のプロファイル形状136は、緯糸方向SRで連続的に実現され、織物82の上面84の対応する表面プロファイルに適合される。ガイドユニット132は、剛性的に、または例えば、緯糸方向に延びる回転軸に関して好ましくは対称的に実現されるローラとして実現され得る。
【0087】
図19の例示的な実施形態は、ガイドユニット232のプロファイル形状236が、緯糸方向SRにおいて前後に配置された個々のアクチュエータ237と、それぞれ割り当てられたガイド部分セクション233aとを備え、これらがすべて一緒にガイド部分233を形成することを特徴とする。個々のアクチュエータ237およびそれとともにガイド部分セクション233aは、織りパターン設計で指定された緯糸方向SRにおける織物82の厚さ変動に、特に製織動作中に反応することができるように、(図示されていない制御ユニット15)によって、織物厚さ方向Gで別々に調整可能であり、これにより常に最適な織物ガイダンスを保証する。
【0088】
図20による実施形態は、単に、ガイド部分セクション233aが、ガイド部分セクション233a間の移行部を覆い、それによって接触中の織物82を穏やかにまたは保護的に取り扱う可撓性シース238で覆われているという点で、
図19の実施形態とは区別される。
【0089】
次に、
図21の実施形態は、弾性要素239がガイド部分233上に配置され、ここでは圧縮空気が衝突するホースとして実現されるという点で、
図19および
図21の実施形態とは区別される。
図21による図では、ホースの下部輪郭は、対応する輪郭の織物82(図示せず)と接触している状態で示されている。
【0090】
最後に、
図22において、ガイドユニット332のプロファイル形状336は、緯糸方向SRに平行に延びる回転軸339の周りで回転可能であるように支持され、好ましくは回転運動(矢印f4を参照)に能動的に設定されるローラ337によって実現される。ローラ337は、緯糸方向SRにおいて前後に配置されたいくつかのセグメント338を備え、これらは、ここでは部分的に異なる直径を含み、さらに少なくとも部分的に回転軸339に対して偏心して配置されている。
【0091】
また、緯糸方向にずれている形成された織機杼口9の位置または層は、
図18から
図22による説明に関連して例示的な方法で説明されているように、セグメント化されたプロファイル形状を用いて、織物の厚さに関して均等化または均一化され得る。ここでの例は、織物82の側方長さ方向縁部86、ならびにこれらの2つの側方長さ方向縁部86の間の主織物についてすでに上述したものである。適切なプロファイル形状を介して(例えば、
図18に対応するつながった連続プロファイル形状136を用いて、または
図19から
図21によるアクチュエータ237によって)、そのような厚さの変化があっても、安全な、すなわち信頼できる織物ガイダンスを実現することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1 織機
2 経糸ビーム
3 バックレストローラまたはホイップロール
4 経糸ストップモーション
5 杼口形成装置
6 綜絖
7 緯糸挿入装置
8 緯糸挿入手段
9 織機杼口
10 織機用筬
10a 回転軸
11 交絡点
11a 位置
12 引き抜きまたは取り出し装置
14 織機用筬の筬打ち面
15 制御ユニット
16 ドライブ
17 ドライブ
18 ドライブ
19 ドライブ
20 ばね
25 記憶ユニット
26 パターンドラフト
27 データトラック
28 第2の記憶ユニット
29 アルゴリズム
30 ガイド装置
32 ガイドユニット
33 ガイド部分
34 ガイドユニット
35 ガイド部分
38 ドライブ
39 ドライブ
40 垂直支柱
41 横方向プロファイル
42 ドライブプロファイル
45 二重旋回機構
46 固定機械部品
47 旋回アームまたはスイングレバー
47a 旋回軸またはスイング軸
47b 旋回軸またはスイング軸
48 垂直支柱
49 横方向プロファイル
50 センサ
51 光線円錐
55 センサ
56 検出領域
80 経糸
80a 上経糸
80b 下経糸
82 織物
83 織物縁部
84 織物の上面
85 織物の下面
86 織物の側方長さ方向縁部
89 曲がりくねったコースまたは進行
130 ガイド装置
132 ガイドユニット
133 ガイド部分
136 プロファイル形状
230 ガイド装置
232 ガイドユニット
233 ガイド部分
233a ガイド部分セクション
236 プロファイル形状
237 アクチュエータ
238 シース
239 弾性要素
330 ガイド装置
332 ガイドユニット
333 ガイド部分
336 プロファイル形状
337 ロールまたはローラ
338 セグメント
339 回転軸
G 織物厚さ方向
f1~f4 運動方向
nF 中立杼口
KR 経糸方向
SR 緯糸方向
GR 織物長さ方向
a1,a2 間隔距離
d 間隔距離