(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】粉末剤を流動化して送達するための装置
(51)【国際特許分類】
A61M 31/00 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
A61M31/00
(21)【出願番号】P 2021517012
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 US2019053987
(87)【国際公開番号】W WO2020072439
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ピック、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】キング、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】グリムズビー、ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ファブロー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ライデッカー、ローレン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-527974(JP,A)
【文献】特表2007-503930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0205087(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02863503(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 31/00
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びて、粉末剤が受承される内部空間を画定するキャニスターと、
前記内部空間に気体を供給して、受承された粉末剤を
混合し
て混合物を生成するために気体源に接続可能な入口と、
前記気体混合物が治療のために標的部位に送達される出口と、
前記出口に連通する第1の端部から前記内部空間の中に延びる第2の端部まで延びるチューブと、同チューブはチューブの壁を貫通して延びるスロットを含み、前記第2の端部及び前記スロットを通過した前記気体混合物が前記内部空間から前記出口に通過させることと、
前記チューブに移動可能に取り付けられて、前記スロットの上部を移動して前記キャニスターの前記内部空間に開口した前記スロットのサイズを制御するドアと
を備える粉末剤
を送達するための装置。
【請求項2】
前記ドアは、前記チューブ上に移動可能に取り付けられたオーバーチューブである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記オーバーチューブから前記キャニスターの内面まで径方向外方に延びて前記チューブを前記キャニスターに対して固定する安定化リングをさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記キャニスターは、前記チューブに対して回転可能であり、前記チューブに対して前記オーバーチューブを長手方向に移動させて前記内部空間に面するスロットのサイズを制御する、請求項2及び3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記内部空間を囲むために前記キャニスターに連結可能な蓋をさらに備え、前記入口及び前記出口は、前記蓋を貫通して延びる開口部として構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記出口に接続可能な送達カテーテルをさらに含み、前記送達カテーテルは、内視鏡のワーキングチャンネルの中を通って標的部位に挿入されるようなサイズ及び形状に形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びるとともに、内部に粉末剤が受承される第1の内部空間を含むキャニスターと、
前記第1の内部空間に気体を供給して内部に受承された粉末剤を
混合し
て混合物を生成するために気体源に接続可能な第1の入口と、
前記気体混合物が治療のために前記第1の内部空間から標的部位に送達されるための出口と、
充填材の入口によって前記第1の内部空間に連通し、且つ、内部の
全材料の量を一定に維持するために充填材のチャンバーから前記第1の内部空間に通過できる充填材を収容する充填材のチャンバーとを備え、
前記
全材料は、前記粉末剤
及び前記充填
材を含む、粉末剤
を送達するための装置。
【請求項8】
前記充填材は、模擬粒子、ビーズ、バウンスボール、及び発泡材料のうちの1つを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記充填材は、前記充填材が前記出口を通過できないようなサイズ、形状、及び構成に形成されている、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記充填材のチャンバーは、前記充填材を前記充填材のチャンバーから第1の内部空間まで駆動するための気体が供給される、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記充填材のチャンバーは、前記キャニスターによって画定された第2の内部空間として構成される、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第2の内部空間は、前記充填材を前記充填材の入口に指向する角度の付いた表面を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記充填材は追加的な粉末剤である、請求項7及び10から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記充填材の入口を覆う第1の形態と、前記充填材の入口を開放して前記充填材が前記充填材のチャンバーから前記第1の内部空間まで重力によって通過することを許容する第2の形態との間で、前記充填材の入口に対して移動可能なドアをさらに備える、請求項7から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記充填材の入口の中に収容されたパドルに接続されたタービンをさらに備え、前記タービンは、気体の流れによって駆動され、気体の流れが、タービンを収容する流路内に受承された時、前記タービンは回転し、それに対応して前記パドルを回転させ、前記充填材のチャンバー内の充填材は、前記充填材のチャンバーから前記第1の内部空間の中に能動的に駆動される、請求項7から13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡医療機器及び使用方法に関する。より詳細には、本発明は、患者の標的部位に物質、例えば、粉末又は試薬を流動化するため及びその物質を患者の標的部位に分配するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、止血剤などの乾燥粉末の形態の治療薬は、流動化及び送達装置を使用して、生体内の標的部位に送達される場合がある。そのような装置は、一般に、粉末が受承され且つ流動化ベッドを作り出すために高流量気体が導入されるチャンバーを含む。これにより、気体に懸濁された粒子状固体を含む2相混合物が形成される。懸濁液は、気体流体の特性を保持するとともに高圧から低圧の方向に移動して、粒子を低圧領域に効果的に送達する。例えば、止血粉末は、この方法を使用して、内視鏡カテーテルの中を通過して標的位置(例えば、出血部位)に送達され得る。研究では、止血粉末の出血位置への粒子送達速度が一定の閾値レベルを下回ると、場合によっては、初期の止血を達成するのにもはや効果的ではない可能性があることが示されている。しかしながら、現在の粉末流動化及び送達装置は、時間の経過とともに粉末送達速度の低下を示すことが多い。
【発明の概要】
【0003】
本実施形態は、粉末剤を流動化及び送達するための装置に関し、第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びるとともに粉末剤が受承される内部空間を画定するキャニスターと、その内部に受承された粉末剤を流動化して流動化混合物を形成するために内部空間に気体を供給するための気体源に接続可能な入口と、治療の為に気体混合物が通って標的部位に送達されるための出口と、出口に接続された第1の端部から内部空間の中に延びる第2の端部まで延び、且つ、気体混合物が内部空間から第2の端部及びスロットを介して出口の中を通過できるようにその壁の内部を貫通して延びるスロットを含むチューブと、チューブに対して移動可能に連結され、キャニスターの内部空間に開くスロットのサイズを制御するためにスロット上で移動可能であるドアと、を備える。
【0004】
一実施形態では、ドアは、チューブ上に移動可能に取り付けられたオーバーチューブとして構成される。
一実施形態では、装置は、キャニスターに対してチューブを固定するために、オーバーチューブからキャニスターの内面まで径方向外方に延びる安定化リングをさらに備える。
【0005】
一実施形態では、キャニスターは、チューブに対して回転可能であり、オーバーチューブをチューブに対して長手方向に移動させて内部空間に開放しているスロットのサイズを制御することができる。
【0006】
一実施形態では、装置は、内部空間を囲むためにキャニスターに連結可能な蓋をさらに備え、入口及び出口は、蓋の中を貫通して延びる開口部として構成される。
一実施形態では、装置は、出口に接続可能な送達カテーテルをさらに備え、該送達カテーテルは、内視鏡のワーキングチャンネルの中を通って標的部位に挿入されるようなサイズ及び形状を有する。
【0007】
本実施形態は、粉末剤を流動化及び送達するための装置にも関し、該装置は、第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びて、粉末剤がその内部に受承される第1の内部空間と、その内部に受承された粉末剤を流動化して流動化混合物を生成するために第1の内部空間に気体を供給するための気体源に接続された第1の入口と、気体混合物が第1の内部空間から治療の為にその中を通って標的部位に送達される出口と、充填材の入口を介して第1の内部空間に接続され、且つ、充填材のチャンバーから第1の内部空間まで通過可能な充填材を収容して内部の物質の体積をほぼ一定に維持する充填材のチャンバーとを備え、該物質には、粉末剤及び充填材のうちの少なくとも一方が含まれる。
【0008】
一実施形態では、充填材は、模擬粒子、ビーズ、バウンスボール、及び発泡材のうちの1つを含む。
一実施形態では、充填材は、充填材が出口を通過できないようなサイズ、形状、及び構成に形成される。
【0009】
一実施形態では、充填材のチャンバーは、充填材を充填材のチャンバーから第1の内部空間に駆動するために気体を供給される。
一実施形態では、充填材のチャンバーは、キャニスターによって画定された第2の内部空間として構成される。
【0010】
一実施形態では、第2の内部空間は、充填材を充填材の入口に指向する角度の付いた表面を含む。
一実施形態では、充填材は、追加的な粉末剤である。
【0011】
一実施形態では、装置は、ドアが充填材の入口を覆う第1の形態と、ドアが充填材の入口を開放して充填材が重力によって充填材のチャンバーから第1の内部空間に移動することを許容する第2の形態との間で、充填材の入口に対して移動可能なドアをさらに備える。
【0012】
一実施形態では、装置は、充填材の入口内に収容されたパドルに接続されたタービンをさらに含み、タービンは、気体の流れによって駆動され、気体の流れが、タービンを収容する流路内に受承された時、タービンが回転して、それに対応してパドルを回転させ、充填材のチャンバー内の充填材は充填材のチャンバー内から第1の内部空間内に能動的に駆動される。
【0013】
本実施形態は、粉末剤を流動化するために内部に粉末剤が受承されるキャニスター内の内部空間に気体を供給することと、流動化混合物を形成することと、内視鏡のワーキングチャンネルの中を通って標的部位に挿入された送達カテーテルを介して患者の体内の標的部位に流動化混合物を送達することとを含む方法にも関し、流動化混合物の送達中、チューブ上に移動可能に取り付けられたドアは、送達カテーテルに連通するキャニスターの内部空間内に延びるチューブの壁を貫通して延びるスロットに対して移動され、内部空間に露出されたスロットのサイズ又はその一部を制御する。
【0014】
本実施形態は、粉末剤を流動化及び送達するための装置にも関し、該装置は、第1の端部から第2の端部まで長手方向に延び、且つ粉末剤が受承される内部空間を画定するキャニスターと、内部に受承された粉末剤を流動化して流動化混合物を生成するために内部空間に気体を供給するための気体源に接続可能な入口と、治療の為に気体混合物が通って標的部位に送達される出口と、キャニスターに移動可能に連結され、且つ、流動化混合物の標的部位への送達中、粉末剤の量が減少するにつれて、キャニスターの第1の端部に連結された初期の形態からキャニスターの第2の端部に向かって移動して内部空間の容積を減少させるピストンポンプとを備える。
【0015】
一実施形態では、入口及び出口はそれぞれ、ピストンの一部を貫通して延びる。
一実施形態では、出口は、内視鏡のワーキングチャンネルを貫通して標的部位に挿入されるようなサイズ及び形状を有する送達カテーテルに接続可能である。
【0016】
一実施形態では、ピストンは、空気圧シリンダー及びモーターのうちの一方を用いて移動可能である。
一実施形態では、装置は、キャニスターの内部空間に対向するピストンの一側でキャニスターの第1の端部に連結されたチャンバーをさらに備え、該チャンバーは、流動化混合物の送達中に気体を受承するように構成された拡張可能部材を収容し、該拡張可能部材は膨張してピストンをキャニスターの第2の端部に向かって移動させる。
【0017】
一実施形態では、拡張可能部材は、拡張可能部材の中への気体の流れを許容しつつ、拡張可能部材の外への気体の流れを防止する一方向弁を含む接続部材によって気体源に接続されている。
【0018】
一実施形態では、装置は、キャニスターの第1の端部に接続されてねじ付きロッドによってピストンに連結されたバイパスをさらに含み、バイパスは、ねじ付きロッドに接続されたタービンを収容してその内部を通過する気体の流れを受承するように構成され、流動化混合物の送達中に気体がバイパスの中を通過して流れる時、タービンとねじ付きロッドは回転してピストンをキャニスターの第2端に向かって移動させる。
【0019】
本実施形態は、粉末剤を流動化及び送達するための装置に関し、該装置は、第1の端部から第2の端部まで長手方向に延び、且つ、粉末剤が受承される第1の内部空間を含むキャニスターと、その内部に受承された粉末剤を流動化して流動化混合物を形成するために第1の内部空間に気体を供給するための気体源に接続可能な入口と、治療の為に気体混合物が通って標的部位に送達される出口と、初期の付勢された形態と拡張形態との間で移動可能な拡張可能部材とを備え、拡張形態において、該拡張可能部材は、流動化混合物の標的部位への送達中に第一の内部空間内の粉末剤の量が減少するにつれて、その一部が第1の内部空間の中に延びてその容積を減少させるように変形される。
【0020】
一実施形態では、キャニスターは、流動化混合物の標的部位への送達中にその内部に気体を受承するように構成された第2の内部空間をさらに含む。
一実施形態では、第1及び第2の内部空間は、拡張可能部材を介して互いに分離されており、第1及び第2の内部空間の間の圧力差は、拡張可能部材を第1の内部空間の中に変形させる。
【0021】
一実施形態では、拡張可能部材は隔膜である。
一実施形態では、第1の内部空間は、拡張可能部材の内壁によって形成され、第2の内部空間は、拡張可能部材の外壁及びキャニスターの内面によって形成される。
【0022】
一実施形態では、拡張可能部材は、ほぼ円筒形である。
一実施形態では、拡張可能部材は、キャニスターの第1の端部からキャニスターの第2の端部まで延び得る。
【0023】
一実施形態では、拡張可能部材は、キャニスター内に収容され、内部に気体を受承するように構成されたバルーンであり、バルーンが膨張されると、バルーンは第1の内部空間を満たす。
【0024】
本実施形態は、その内部に粉末剤が受承されるキャニスターの内部空間に気体を供給することと、この粉末剤を流動化することと、流動化混合物を形成することと、内視鏡のワーキングチャンネルを通って標的部位に挿入された送達カテーテルの中を通って流動化混合物を患者の体内の標的部位に送達することとを含み、流動化混合物の送達中に、キャニスターの内部空間の容積は、粉末剤の体積の減少に対応して減少されて、流動化混合物の送達速度はほぼ一定に保たれる。
【0025】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、様々な実施形態を示し、発明の詳細な説明とともに、開示された実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の形態における、第1の実施形態に係る装置を示す概略図。
【
図2】第2の形態における、
図1の装置を示す斜視図。
【
図3】本発明の別の実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図4】本発明の代替的な実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図5】本発明のさらに別の実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図6】線6-6に沿った
図5の装置を示す横断面図。
【
図7】本発明の別の実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図8】第1の形態における、本発明のさらに別の実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図9】第2の形態における、
図8の装置を示す概略図。
【
図10】第1の形態における、本発明の代替的な実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図12】本発明の一実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図13】本発明の代替的な実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図14】本発明の別の代替実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図16】本発明の別の実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図17】本発明のさらに別の実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図19】本発明のさらに別の実施形態にかかる装置を示す概略図。
【
図20】本発明の代替的な実施形態にかかる装置を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
上記一般的な説明及び以下の詳細な説明はともに、例示的であるとともに説明的なものであって、特許請求の範囲に記載されているように、特徴を限定するものではない。本明細書で使用される場合、「備える」、「備えている」、「有する」、「含む」、又はそれらの別の変形等の用語は、非排他的に包含することを意図しており、要素の列挙を含む工程、方法、物品、または装置は、それらの要素だけを含むのではなく、明示的に列挙されていない、又はそのような工程、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含み得る。本開示では、例えば、「約」、「実質的に」、「一般的に」、及び「概して」などの相対的な用語は、記載された値又は特性の±10%の可能な変動を示すために使用される。
【0028】
本発明は、以下の説明及び添付図面を参照してさらに理解することができ、類似する要素は、同一の参照符号で参照される。本発明は、粉末剤の有効な送達速度が維持される持続時間を長くするために、一定の送達速度で流動化された粉末を送達するための装置及び方法に関し、粉末の送達速度が止血を達成するのに必要とされる閾値速度を下回ることなく使用者(例えば、医師)がより多くの出血部位を治療することを可能にする。これにより、処置ごとに必要とされる装置の数(及び/又は装置を再搭載又は再設定する必要がある回数)を減少させることができるため、治療時間を短縮できる。一実施形態では、装置は、経時的に所望の送達速度を維持するために、流動化された粉末の送達中に粉末出口開口部のサイズを変更するための要素を含む。別の実施形態では、装置は、キャニスター内の粉末の沈降を防止して粉末の所望の送達速度を維持するためにタービュレータプレートを含む。別の実施形態では、装置は、キャニスター内における不均一な粉末分布を防止するために、粉末が受承されるキャニスター内に延びるチューブの外周囲に配置された複数の粉末出口スロットを含む。さらに別の実施形態では、装置は、流動化された粉末が送達されるにつれて、充填材及び/又は追加の粉末を注入することによって送達速度をほぼ一定に維持するために、キャニスター内の材料を一定の量に維持する。別の実施形態では、使用者(例えば、医師)は、より長い期間、効果的かつ最適な送達ゾーンを維持する。これにより、使用者はより多くの出血部位を治療できるようになり、処置ごとに必要な装置の数を減少させ、それによって治療時間は短縮される。実施形態は、送達中に粉末の体積が減少するにつれて、時間の経過とともに流動化キャニスターの内部容積を減少させる粉末流動化チャンバー及び送達装置について説明する。全体の処理に亘ってキャニスターに対する粉末の体積比を維持して、治療中に送達速度を一定に維持するために、キャニスターの容積を減少させることができる。当業者であれば、これらの特徴のすべては、治療の過程の間、所望の流動化された粉末の送達速度を維持することが理解できる。例えば、所望の送達速度は、粉末の適用期間中にほぼ一定に維持され、又は送達速度は、臨界閾値送達速度(例えば、粉末の送達が意図された目的の為にもはや効果的ではない速度)を下回らない所望の送達速度の範囲内で変動し得る。
【0029】
図1,2に示すように、本発明の一実施形態にかかる、粉末剤(例えば、粉末治療剤)を流動化して生体内の部位(例えば、標的部位)に送達するための装置100は、その内部空間104の内部に粉末剤(例えば、止血剤)を受承するように構成されたキャニスター102を備える。止血剤には、例えば、粒状キトサン塩、ゼオライト粉末、スメクタイト粘土及びポリアクリル酸を使用する粉末剤、又は馬鈴薯澱粉に由来する多糖ヘモスフェアが含まれ得る。装置100は、気体(例えば、CO
2)が入口106から導入され、粉末剤を流動化してキャニスター102に供給される。流動化された粉末混合物は出口108を通過してキャニスター102から吐出され、体内のオリフィスより体管腔の中に挿入された送達装置(例えば、内視鏡)を介して標的部位(例えば、出血部位)に送達される。チューブ110(例えば、ハイポチューブ)は、出口108からキャニスター102の内部空間104内に延び、流動化された粉末混合物は、その内部に受承されてキャニスター102を出る。この実施形態のチューブ110は、壁を貫通して延びるスロット112を含み、流動化された粉末混合物は、チューブ110の端部114及びスロット112の双方を通過してキャニスター102から吐出される。この実施形態による装置100は、チューブ110の一部の上に移動可能に取り付けられたオーバーチューブ116をさらに含み、オーバーチューブ116は、チューブ110の長さに沿って移動してスロット112上に延びて、スロット112の開口のサイズを制御する。テストでは、スロットのサイズを大きくすると粉末の送達速度は増加し、スロットのサイズを小さくすると粉末の送達速度は低下することが示された。オーバーチューブ116は、オーバーチューブ116がスロット112を少なくとも部分的に覆う初期の形態から、治療の過程で、オーバーチューブ116がチューブ110の一定の長さに沿って移動されてスロットのサイズが徐々に増加する開口形態に向かってチューブ110に対して移動可能であり、流動化された粉末の送達速度は、粉末が分配されて、キャニスター102内の粉末剤の体積が減少しても一定の閾値レベル以上に維持される(例えば経時的にほぼ一定に保たれる)。流動化された粉末/材料は、限定ではないが、推進剤流体(気体など)をその中又はその中を通過させることによって流体の特性を獲得する粉末/材料、及び推進剤流体に従う粉末/材料、又は推進剤流体によって押される材料である攪拌された粉末/材料を含む。
【0030】
一実施形態によれば、目標送達割合は、1グラム/5秒以上である。装置100は、キャニスター102が粉末剤で約45%から80%満たされている時、最良の送達結果を提供し得る。例えば、充填度が80%では、目標とする送達量/時間の割合は、30秒間維持される。この送達割合は、装置100が送達に使用することができる気体の量によっても決定される。流動化された粉末混合物がキャニスター102から外部に流出することのできるスロット112のサイズを徐々に大きくすることによって、キャニスター102内の粉末剤の量が減少しても、送達割合を維持することができる(例えば、送達時間が30秒を過ぎて)。
【0031】
この実施形態のキャニスター102は、開放された第1の端部118から閉鎖された第2の端部120まで長手方向に延びて、内部空間104を画定し、内部空間104は、その中に粉末剤を受承するように構成されている。蓋122は、第1の端部118に連結されて、内部空間104を囲んで粉末剤及び/又は気体が内部空間104から漏出することを防止する。一実施形態では、蓋122は、第1の端部118内に連結される。この実施形態における入口106及び/又は出口108は、蓋122を貫通する開口部として構成される。しかしながら、当業者であれば、入口106及び出口108はそれぞれ、高流量の気体を粉末剤に供給して粉末剤を流動化し、流動化された粉末混合物を標的部位に送達するために気体源及び送達部材に接続可能である限り、任意の様々な構成を有し得ることが理解できる。例えば、入口106は、気体源に接続される接続部材124に接続される。一実施形態では、気体は、5~20psi(34.5~137.9kPa)の間の範囲の圧力及び/又は8~15標準リットル/分の流速でキャニスター102に供給される。この実施形態の出口108は、可撓性内視鏡のワーキングチャンネル内を通過して生体内の標的部位に挿入されるようなサイズ、形状、構成をなす可撓性送達カテーテル126に接続される。一例では、送達カテーテル126は、0.065インチ~0.11インチ(0.17~0.28センチメートル)の間の内径を有する。別の実施形態では、入口106及び出口108は、キャニスター102の一部を貫通して延びる。
【0032】
チューブ110は、出口108に接続された第1の端部128から内部空間104内に延びる第2の端部114まで延びる。上記のように、
図1,2のチューブ110は、チューブ110の壁を貫通して延びるスロット112も含む。この実施形態のスロット112は、第1の端部128に近接して配置され、流動化された粉末混合物は、チューブ110の第2の端部114及び第1の端部128に近接するスロット112のうちの一方を介してキャニスター102の内部空間104から流出することができる。
【0033】
オーバーチューブ116は、チューブ110の長さの一部を覆って移動可能に取り付けられている。オーバーチューブ116は、チューブ110に対して移動可能である。オーバーチューブ116がチューブ110上を移動すると、オーバーチューブ116によって覆われるスロット112の領域が変化して、内部空間102に露出され、かつ流動化された粉末混合物がキャニスター102の内部空間104から流出することができるスロット112の部分のサイズを制御する。例えば、初期の形態では、オーバーチューブ116はスロット112全体にわたって延びてスロット112を完全に覆い、流動化された粉末混合物がスロットから流出することを防止する。しかしながら、標的部位の治療の過程で、オーバーチューブ116は、チューブ110に対して移動されて、スロット112の流出部分の露出量を増加させて、流動化された粉末の流出量を増加させることにより流動化された粉末混合物の送達速度を所望のレベル(例えば、閾値送達速度を超えるレベル)に維持する。たとえば、
図2は、オーバーチューブ116の一部によって部分的に覆われている時のスロット112を示し、
図3は、完全に露出されている時のスロット112を示す。この実施形態は、初期の形態ではスロット112全体が覆われることを示している。流動化された粉末が通って出るスロット112のサイズは、キャニスター102内の粉末が分配されるにつれて増大される限り、オーバーチューブ116は、スロット112に対して任意の様々な初期の形態を有し得る。
【0034】
当業者であれば、オーバーチューブ116は、任意の様々な機構を用いてチューブ110に対して移動され得ることも理解できる。一実施形態では、オーバーチューブ116は、例えば、オーバーチューブ116からキャニスター102の内面まで径方向外方に延びる安定化リング130に連結されて、キャニスター102に対するオーバーチューブ116の位置を固定することができる。この例では、キャニスター102とチューブ110は互いに回転可能に接続されているため、キャニスター102がチューブ110に対して回転されると、オーバーチューブ116は、対応してチューブ110を中心として回転しつつチューブ110に対して長手方向にも移動して、流動化された粉末混合物が内部を通過して出ることができるスロット112のサイズを増加させる(又は回転方向に応じて減少させる)。一例では、チューブ110は蓋122から延びている。蓋122は、部分的にらせん状の経路に沿って延びるカム経路123を有する。カム経路123中にキャニスター102の係合要素(例えば、突起)が載置されるため、キャニスター102及びオーバーチューブ116が蓋122及びチューブ110に対して回転されると、オーバーチューブ116は、チューブ110に対して長手方向に移動する。当業者であれば理解できるだろうが、カム経路123及び対応するキャニスター102の係合要素は、キャニスター102と蓋122との間のねじ込み式の係合と同様に機能して、オーバーチューブ116とチューブ110の間の所望する相対移動を達成する。
【0035】
実施形態においては、流動化された粉末混合物が流出するために使用されるスロット112の一部のサイズは、オーバーチューブ116によって制御される。しかし、スロット112のサイズは、「ドア」が治療の過程で、徐々に開放されてキャニスター102から出る治療薬の所望の流速を維持することができるものであれば、任意の構造及び形状を有する「ドア」で制御されてもよい。オーバーチューブ116又は別の任意の「ドア」の移動は、例えば、オーバーチューブ116を物理的にねじることによって機械的に駆動することができ、又は気体の流れによって空気圧によって駆動することができる。さらに、実施形態は、単一のスロット112を示し且つ説明しているが、チューブ110は、上記のように、任意のいくつかのドア機構によって、必要に応じて覆われたり、露出されたりする2つ以上のスロット112を含んでもよい。
【0036】
装置100を使用する例示的な方法によれば、キャニスター102には、装置100の組み立ての前に、例えば止血剤などの粉末剤が充填される。キャニスター102を所望の量の粉末治療薬で充填すると、キャニスター102に蓋122が組みつけられ、内部の粉末剤を密封する。次に、入口106は、例えば、接続部材124を介して気体源に接続され、出口108は、送達カテーテル126に接続される。次に、送達カテーテル126は、生体内の標的部位に挿入される(例えば、内視鏡などの送達装置のワーキングチャンネルの中を通って)。高流量気体がキャニスター102の内部空間104に導入されて、流動化された粉末混合物を形成する。使用者は、トリガー又は別の制御部材を押圧して、流動化混合物を噴霧し、流動化混合物を標的部位(例えば、出血部位)に送達して、標的部位に対して治療を行うことができる。流動化された粉末混合物が標的部位に送達される時、使用者は、キャニスター102をチューブ110に対して回転させて、流動化混合物が内部空間104から流出するスロット112のサイズを増大させて所望の流れレベルを維持することができる。代替的には、流動化された粉末混合物の送達を制御するためにトリガーが使用される場合、トリガーが押圧されると、空気圧シリンダー又はモーターが作動されて、キャニスター102に対して蓋122を回転及び移動させて、スロット122のより大きな断面積が露出されるため、流動化混合物を内部空間から流出させるスロット112のサイズは大きくなる。したがって、キャニスター102内の粉末剤の体積が減少するにつれて、露出されるスロット112の断面積は増加されて、流動化された粉末混合物の送達速度をほぼ一定に維持する。代替的には、センサーが流速を検出し、スロット112の開口を自動的に制御して、所望の流速が維持されることを確実にし得る。
【0037】
図3に示す本発明の別の実施形態にかかる装置200は、明示の記載がある場合を除いて、上記装置100とほぼ類似する。装置200は、内部に粉末剤が受承される部空間204を画定するキャニスター202を備える。装置100と同様に、内部空間204は、それに連結された蓋222によって囲まれ、入口206を介して内部空間204に高流量気体が供給された時、内部空間204内に含まれる粉末剤は流動化された粉末混合物を形成する。流動化された粉末混合物は、出口208を通って内部空間204を出て、治療中に患者の体内の標的部位に送達される。内部空間204内の粉末剤の体積が治療の過程で減少するにつれて所望の送達速度を維持するために、蓋122は、タービュレータプレート230を含む。気体がタービュレータプレート230を通過すると、タービュレータプレート230は、振動したりガタガタ音を立てて、キャニスター202内に含まれる粉末剤の沈降を防止したり、又は少なくとも減少させる。仮に、タービュレータプレート230を欠く構成であると、治療の過程で、一部の粉末剤は平衡状態に落ち着いて、流動化に抵抗し、治療剤の所望の送達速度を維持することが困難になる。
【0038】
キャニスター102と同様に、キャニスター202は、開放された第1の端部218から閉鎖された第2の端部220まで長手方向に延びて、内部空間204を画定する。蓋222は、第1の端部218に連結されて、内部空間204を囲み、その中に粉末剤を収容する。入口206及び出口208は、蓋222を貫通して延びて内部空間204に連通する開口部として構成される。図示されていないが、装置100と同様に、出口208は、出口から内部空間204内に延びるチューブを含み、流動化された粉末混合物がチューブ及び出口208を通って出ることを可能にする。
【0039】
この実施形態におけるタービュレータプレート230は、内部空間204から離間する方向を向く蓋222の部分に沿って延びる。この実施形態では、タービュレータプレート230は、その壁234を貫通して延びる開口232を含み、開口232は、例えば、接続要素224によって気体源に接続される。タービュレータプレート230は、開口部232が入口206と連通するように、蓋222に沿って延びる。したがって、気体は、タービュレータプレート230を通過し、入口206より内部空間204に入る。タービュレータプレート230の内部236は、例えば、リブ、バンプ、又はボスなどの複数の構造238を含み、これにより、その内部を通過する気体の流れが乱流にされ、タービュレータプレート230に振動応答を付与する。次に、振動は、粉末剤が蓋222に沈降するのを防止する。したがって、タービュレータプレート230の中を通って内部空間204に入る気体の流れは、タービュレータプレート230の振動と、キャニスター202内の動力を与えられた薬剤の流動化の両方を引き起こす。当業者であれば理解できるであろうが、振動の大きさは、気体がタービュレータプレート230を通過する速度を制御することによって制御され得る。この実施形態では、タービュレータプレート230の振動の大きさは、使用者が気体をキャニスター202に供給するためのトリガーを押し下げている限り、経時的に一定に保たれる。流動化された粉末剤は、タービュレータプレート230の内部236に連通していない出口208を通ってキャニスター202を出る。この実施形態の出口208は、流動化された粉末混合物を標的部位に送達するための送達カテーテル226に接続されている。
【0040】
代替的な実施形態では、
図4に示すように、装置200’は、明示の記載がある場合を除いて、上記装置200にほぼ類似する。この実施形態では、タービュレータプレート230’は、蓋222’の一部に沿って延び、蓋は、キャニスター202’によって画定された内部空間204’を囲み、且つ、その壁234’を貫通して延びる第1の開口部232’及び第2の開口部240’を含む。第1の開口部232’も第2の開口部240’も、装置200’の入口206’及び出口208’に連通していない。入口206’及び第1の開口部232’はそれぞれ、内部空間204’及びタービュレータプレート230’にそれぞれ気体を供給するための気体源に接続されるように構成される。入口206’及び第1の開口部232’はそれぞれ、同じ又は異なる気体源に接続される。
【0041】
第1の開口部232’を介してタービュレータプレート230’に供給された気体は、タービュレータプレート230’を通過し、第2の開口部240’を介してタービュレータプレート230’を出る。気体は、例えば、一定の大きさの振動を維持するために、粉末剤が流動化されて標的部位に送達される間、一定の速度でタービュレータプレート230’に供給される。代替的には、タービュレータプレート230’に供給される気体の流れは、流動化された粉末混合物の送達速度を最適化するために、必要に応じて、経時的又は断続的に変更されて振動の大きさを変更することができる。しかしながら、当業者であれば、タービュレータプレート230’の機能は、他の点では装置200と同じであり、粉末剤が蓋222’に沈降するのを防止することが理解できる。
【0042】
図5,6に示すように、本発明の別の実施形態による装置300は、明示の記載がある場合を除いて、装置100,200にほぼ類似する。装置300は、治療のために標的部位(例えば、出血部位)に送達するために、その内部に粉末剤(例えば、止血剤)が受承されて高流量気体によって流動化される内部空間304を画定するキャニスター302を備える。内部空間304は、キャニスター302の開放端に取り付けられた蓋322によって囲まれ、気体は、蓋322を貫通して延びる入口306を通って内部空間304に供給される。得られた流動化された粉末混合物は、蓋322を貫通して延びる出口308を通って内部空間304を出て、標的部位に送達される。装置300は、出口308に接続された第1の端部328から内部空間304内に延びる第2の端部314まで延びるチューブ310も含む。しかしながら、チューブ310は、チューブ310の壁を貫通して延びる1個のスロットではなく、キャニスター302内の粉末の不均一な分布を防止し且つ粉末がチューブ310の任意の側に蓄積するのを防止するために、チューブ310の外周囲に配置された複数のスロット210を含み、これは、流動化された粉末混合物の送達速度を低下させ得る。
【0043】
一実施形態では、
図6に示すように、チューブ310は、チューブ310の外周囲に設けられ、互いに等間隔で配置された4つのスロット312を含む。この実施形態のスロット312は、第1の端部328の近くに配置されている。しかしながら、当業者であれば、スロット312の数、位置、及び構成を変えることができることが理解できる。
【0044】
図7に示すように、本発明の別の実施形態にかかる装置400は、明示の記載がある場合を除いて、上記の装置100、200、及び300にほぼ類似する。装置400は、粉末剤405が受承され、流動化されて、生体内の標的部位に送達するための流動化された粉末混合物を形成する内部空間404を画定するキャニスター402を備える。同様に、装置400は、粉末剤405を流動化するために気体が通って内部空間404に供給される入口406と、流動化された粉末剤が通ってキャニスター402を出て標的部位に送達される出口408とともに、内部空間404を囲む蓋422を含む。装置400は、出口408に連通して内部空間404内に延びるチューブ410を含む。装置400は、キャニスター402に連結されて、キャニスター402の内部空間404に連通する充填材のチャンバー450をさらに備える。充填材のチャンバー450は、例えば、模擬粒子、ビーズ、小さな「バウンスボール」又は発泡材料などの充填材452を収容し、流動化された粉末混合物がキャニスター402を出るのにつれて注入されて、流動化された粉末混合物が標的部位に送達されることに伴う粉末混合物の量の損失を補填する。充填材452は、キャニスター402内に注入されて、キャニスター402内の気体の体積に対する材料(例えば、粉末剤及び充填材)の体積の比率を一定に維持して、流動化された粉末混合物の標的部位への所望の送達速度を維持する。
【0045】
充填材のチャンバー450は、充填材452が充填材のチャンバー450から充填材の入口454の中を通ってキャニスター402に通過するように、キャニスター402に接続される。一実施形態では、充填材のチャンバー450は、気体入口456を含むため、使用者が、例えば、トリガーを押すことによって、流動化された粉末混合物の標的部位への送達を駆動させると、気体がキャニスター402及び充填材のチャンバー450の双方に供給される。充填材のチャンバー450に供給された気体は、充填材452を充填材のチャンバー450からキャニスター402の中に駆動する。充填材のチャンバー450は、必要に応じて、キャニスター402に供給される充填材452の体積を制御して、キャニスター402を出る粉末剤405の体積に対応するように、気体入口圧力を制御する圧力調整器を含み得る。一実施形態では、充填材の入口454は、充填材452(例えば、ビーズ)の単一の流れがその内部を通ってキャニスター402の中に入るのを容易にするように構成されたサイズ、形状、及び/又は構成に形成される。
【0046】
充填材452は、キャニスター402の内部空間404に入ることができるように構成されるが、流動化された粉末混合物の送達中にキャニスター402から出ることが防止される。一実施形態では、これは、充填材452の個々の粒子のサイズ形成を介して達成される。例えば、充填材452は、それがチューブ410及び/又は出口408に入ることを防止するようなサイズ及び/又は形状に形成される。言い換えれば、充填材452の各ビーズ又は粒子は、チューブ410の開口部及び/又は出口408の開口部よりも大きくなるように選択される。充填材452は、充填材がキャニスター402を出るのを防止するために十分な大きさであると同時に、粉末剤が内部空間404内で移動されて流動化されるとき、キャニスター402の壁で跳ね返るように構成されて、装置400の目詰まりを防止する。
【0047】
したがって、使用中には、装置400のキャニスター402は、流動化された粉末剤の送達中に粉末を損失するが、対応する量の充填材452をキャニスター402に同時に供給することによって損失を補償する。キャニスター402への充填材452の送達速度は、一定の流動化された粉末混合物の送達速度が与えられた場合に、失われた粉末の体積を計算するとともに、粉末剤405に対する充填材452の体積及びそれらの流速の差に基づいて調整することによって決定され得る。キャニスター402の中への充填材452の送達速度は、粉末405の体積の損失を補償して、流動化された粉末混合物の送達速度をほぼ一定に維持するように選択される。キャニスター402の入口406及び充填チャンバー450の気体の入口456は、単一の気体源に接続されているように示され且つ説明されているが、当業者であれば、入口406及び気体の入口456はそれぞれ別個の気体源に接続され、標的部位への流動化された粉末混合物の送達が駆動及び/又はトリガーされると、各気体源は入口406及び気体の入口456に気体を供給することが理解できる。
【0048】
図8,
図9に示すように、装置500は、明示の記載がある場合を除いて、装置400にほぼ類似する。装置500は、その内部に粉末剤が受承されるとともに流動化され、且つ、流動化された粉末混合物を治療のために患者の標的部位に送達する第1の内部空間504を画定するキャニスター502を備える。しかしながら、別個の充填チャンバーではなく、キャニスター502は、第1の内部空間504と、装置500が作動位置にあるとき、第1の内部空間504の上に延びる第2の内部空間550の両方を画定する。加えて、第1の内部空間504を充填材で満たしてその中の材料(粉末及び/又は充填材)の体積を一定に維持するのではなく、第2の内部空間550は、追加的な粉末剤を収容し、追加的な粉末剤は、流動化された粉末混合物が第1の内部空間504を出て標的部位に送達されるにつれて、重力によって第1の内部空間504に供給される。入口及び出口(図示せず)は、第1の内部空間504に連通しているため、第1の内部空間504内に含まれる粉末剤のみが流動化されて流動化された粉末混合物を形成し、第1の内部空間504内の粉末剤のみが装置500を出て標的部位に向かうことが許容される。
【0049】
第2の内部空間550は、間に延びる開口部554を通って第1の内部空間504に連通していてもよい。装置500はさらに、
図8に示すような治療処置の開始前の第1の形態と、
図9に示すような治療過程中における第2の形態との間で移動可能なドア558を備える。第1の形態では、流動化された粉末混合物が送達されていない時、ドア558は、開口部554全体を覆って延びて、粉末剤が第2の内部空間550から第1の内部空間504に入るのを防止する。
図8の点線で示すように、第1の内部空間504は、その中に所与の量の粉末剤を含む。
【0050】
図9に示すように、使用者が流動化された粉末混合物の送達を駆動及び/又はトリガーすると、ドア558の移動も開始されて、ドア558が開いて開口554が露出し、第2の内部空間550から第1の内部空間504への粉末剤の通過を許容する。ドア558の駆動は、任意のいくつかの異なる方法でトリガーすることができる。例えば、ドア558は、装置500の駆動時に作動するモーター、作動時に磁気を使用してドア558を開く磁気機構、及び/又は装置作動時の圧力上昇によって生じる圧力差を含む。第2の内部空間550は、粉末剤を開口部554に向かわせる角度の付いた表面560を含むため、ドア558が開いた時、第2の内部空間550内の粉末剤は、第1の内部空間504の中に落下することが許容される。したがって、第1の内部空間504は、重力によって追加の粉末剤が受動的に供給される。
図9の点線で示すように、流動化された粉末混合物が送達されるにつれて、第1の内部空間504は、満たされるため、第1の内部空間504内の粉末の体積は、治療の過程で一定に維持されるはずである。開口部554は、第1の内部空間504内の粉末剤の体積をほぼ一定に保つように選択された制御された速度で粉末剤がその中を通って落下できるサイズに形成され及び/又は構成され得る。
【0051】
第2の内部空間550内の追加的な粉末剤は、重力によって第1の内部空間504に受動的に供給されると説明されているが、別の実施形態では、
図10,11に示すように、装置500’のキャニスター502’の第2の内部空間550’内の粉末剤は、例えば、気体流によって動力を付与されるタービン562’によってキャニスター502’の第1の内部空間504’の中に能動的に供給されてもよい。この実施形態では、回転可能なパドル564’は、第1の内部空間504’と第2の内部空間550’との間に延びる開口部554’内に取り付けられている。回転可能なパドル564’は、タービン562’に接続され、タービンは、キャニスター502’の外部に沿って配置され、且つ気体流路566’内に収容される。気体流路566’は、気体源を入口(図示せず)に接続する接続要素524’として構成され、気体がその中を通って第1の内部空間504に入ることを許可する。したがって、この実施形態では、接続要素524’は、キャニスター502’の外側に沿って延びて、タービン562’を収容する。
【0052】
図10に示すように、流動化された粉末混合物の送達が駆動されず、従って気体が流路566’の中を通って流れない装置500’の第1の形態では、タービン562’は回転せず、したがって粉末剤は、第2の内部空間550’から第1の内部空間504’に入ることが許可されない。
図11に示すように、流動化された粉末混合物の送達が駆動されると、第2の形態では、タービン562’は、気体流路566’の中を通過する気体の流れによって回転される。タービン562’の回転は、対応してパドル564’を回転させて、第2の内部空間550’内の粉末剤を開口部554’の中を通って第1の内部空間504’の中に能動的に駆動する。気体の流れは、使用者が流動化された粉末混合物の標的部位への送達を駆動したりトリガーする時に開始されるので、第2の内部空間550’から第1の内部空間504’への粉末剤の供給は、第1の内部空間504’内から粉末剤(例えば、流動化された粉末混合物)が出るのとほぼ同時に生じて、第1の内部空間504’内の粉末剤の体積をほぼ一定に維持する。第1の内部空間504’内で粉末剤の体積を維持することにより、それに対応して流動化された粉末混合物の送達速度をほぼ一定に維持する。
【0053】
上記の実施形態は、一個のガス源/供給を説明しているが、当業者であれば、第2の内部空間550’から第1の内部空間504’に供給される粉末剤の体積が、第1の内部空間504’を出る粉末剤の体積に対応する限り、タービン562’は、装置500’の入口に接続された気体源とは別の気体源を介して駆動されてもよいことが理解できる。さらに、実施形態は、気体駆動型タービンによる粉末剤の能動的移動を説明しているが、第2の内部空間550’から第1の内部空間504’への能動的移動は、別の機構によっても起こり得る。
【0054】
図12に示すように、本発明の一実施形態にかかる粉末剤(例えば、止血剤)を流動化し及び送達するための装置1200は、キャニスター1202及びキャニスター1202に移動可能に連結されたピストン1204を備える。キャニスター1202は、その内部空間1206内に粉末剤を受承するように構成される。続いて、キャニスター1202は、例えば、管状部材1212を介して気体源に接続される入口1208を通って気体で満たされる。粉末は、気体を用いて流動化されて、出口1210に接続されたカテーテル1214を通って標的部位(例えば、出血部位)に噴霧される二相混合物を形成する。カテーテル1214は、標的部位まで患者の体内に(例えば、天然の体の開口部を介してアクセスされる体管腔内を通って可撓性の内視鏡が横断する蛇行性経路に沿って)内視鏡的に挿入されるのに十分なサイズ及び形状を有し、十分に可撓性である。標的部位への混合物の送達速度をほぼ一定に維持するために、ピストン1204は、標的部位の治療の過程で、内部空間1206の容積を減少させるためにキャニスター1202に対して移動可能である。したがって、キャニスター1202内の粉末の体積が減少されると、内部空間1206の容積も減少されて、キャニスターの容積に対する粉末剤の体積の比率をほぼ一定に維持する。ピストン1204は、任意のいくつかの異なる方法で、キャニスター1202に対して移動される。この実施形態では、ピストン1204は、空気圧シリンダー又はモーター1220によって移動される。
【0055】
この実施形態のキャニスター1202は、剛性材料で形成されて内部空間1206を画定し、内部空間1206は、気体とともに粉末剤を受承して、標的部位に噴霧されて標的部位に治療を行う気体状流体混合物を形成するように構成される。キャニスター1202は、開放された第1の端部1216から閉鎖された第2の端部1218まで長手方向に延びる。ピストン1204は、第1の端部1216でキャニスター1202に移動可能に連結され、内部空間1206の容積を減少させるために第2の端部1218に向かって移動可能である。ピストン1204は、内部空間1206を囲み、粉末、気体、及び/又は気体混合物は、キャニスター1202から漏れることなく、出口1210を通ってキャニスター1202を出て、そこからカテーテル1214の中に入り標的部位に向かって出る。したがって、この実施形態のピストン1204は、開放された第1の端部1216内に受承され、第1の端部1216の開口部のサイズ及び形状に対応するように実質的にサイズ及び形状が形成される。一例では、キャニスター1202は、ほぼ円筒形であるが、ピストン1204は、ほぼ円盤状であり、キャニスター1202の開放された第1の端部1216内に受承される。キャニスター1202は、ピストン1204がその長さの少なくとも一部に沿って第2の端部1218に向かって移動可能であり、内部空間1206の容積を減少させつつ、内部空間1206内で受承された流体/物質の漏れを防止するようなサイズ及び形状に形成される。一例では、ピストン1204は、そこを通過して粉末、気体、及び/又は流体の漏れを防止するために、その外周囲に延びるシールリングを含む。
【0056】
上記のように、装置1200は、気体が通って内部空間1206の中に導入される入口1208と、流動化された粉末が標的部位に到達するために流動化された粉末が通ってカテーテル1214に送達される出口1210とを含む。一実施形態では、入口1208及び出口1210はそれぞれ、ピストン1204の一部を貫通して延びて、管状部材1212及びカテーテル1214にそれぞれ接続される開口部として構成される。しかしながら、当業者であれば、入口1208及び出口1210は、入口1208がその内部を通って内部空間1206の中に高圧気体を受承するように構成されているものであれば、キャニスター1202及び/又はピストン1204の任意の部分に又はそれに沿って配置されてもよいし、出口1210は、例えば内部空間1206から流動化混合物を標的部位に送達するカテーテル1214などの送達要素に接続可能であることが理解できる。また、当業者であれば、入口1208が管状部材1212を介して気体源に接続されていると説明されているが、入口1208は、十分な気体の流れがそれを通って供給可能なものであれば、任意のいくつかの連結を介して気体源に接続され得ることも理解できる。加えて、出口1210は、ピストン1204の中を貫通して延びる開口部として示されるとともに説明されているが、当業者であれば、出口1210は、内部空間1206内に形成された流動化混合物がハイポチューブの中に受承されてカテーテル1214の中を通って標的部位に送達されるように、内部空間1206内に延びるハイポチューブを含むように構成されてもよいことが理解できる。
【0057】
この実施形態では、ピストン1204は、空気圧シリンダー又はモーター1220によってキャニスター1202に対して移動可能である。装置1200は、例えば、時間などの1つ以上の入力を含むようにプログラムされてもよい。流動化混合物を標的部位に送達することが望まれる場合には、使用者は、トリガーなどのコントローラーを使用して送達を開始し得る。例えば、使用者がトリガーを押して流動化混合物を送達すると、ピストン1204は、予め設定された速度で第2の端部1218に向かって移動する。使用者がトリガーを放した時、ピストン1204は停止し、使用者がトリガーを再び押すまで、キャニスター1202に対してその位置を維持することができる。代替的に又は追加的に、装置1200は、例えば、キャニスター1202の内部空間1206、入口1208及び/又は出口1210の内部の流れや圧力センサに基づく入力などの別の入力を使用してもよい。
【0058】
装置1200のピストン1204は、空気圧シリンダー又はモーター1220を介して駆動されるものとして説明されるとともに示されているが、当業者であれば、ピストン1204は、第1の端部1216に近接する初期の位置から任意の様々な異なる駆動機構によって第2の端部1218に移動されることを理解することができ、その例は、以下でさらに詳細に説明される。さらに、ピストン1204は、キャニスター1202の基部(例えば、底部)を形成するように示されているが、当業者であれば、ピストン1204は、任意の構成でキャニスター1202に連結されてもよいことが理解できる。特に、ピストン1204は、キャニスター1202の蓋(例えば、上部)として構成されてもよい。さらなる実施形態では、装置1200は、1つ以上のピストン1204を含み、それらはそれぞれ、その内部空間1206の容積を減少させるために、キャニスター1202に対して移動可能である。
【0059】
装置1200を使用する例示的な方法によれば、キャニスター1202は、装置1200の組み立ての前に、例えば、止血剤などの粉末剤で満たされてもよい。キャニスター1202に所望の量の粉末を充填した後に、キャニスター1202及びピストン1204は組み立てられ、入口1208は、例えば、管状部材1212を介して気体源に接続され、出口1210は、カテーテル1214に接続される。次に、カテーテル1214は、内視鏡などの送達装置のワーキングチャンネルの中を通って体内の標的部位に挿入される。使用者は、トリガー又は他のコントローラーを押し下げて、キャニスター1202の内部空間1206に高流量気体を導入して流動化混合物を形成し、流動化混合物を標的部位(例えば、出血部位)に送達して、標的部位に対して治療を行うことができる。トリガーが押されると、空気圧シリンダー又はモーター1220が作動されて、ピストン1204を第2の端部1218に向かって移動させて、粉末が出口1210を通ってキャニスター1202を出るにつれて、内部空間1206内に残る粉末の体積の減少に対応する量だけ内部空間1206の容積を減少させる。使用者がトリガーを放すと、流動化混合物の送達とピストン1204の移動の双方は停止される。したがって、ピストン1204は、流動化混合物が送達されている間のみ移動するため、内部空間1206の容積の減少は、内部空間1206内に収容されている粉末の体積の減少に対応する。上記のように、ピストン1204の移動速度は、例えば、キャニスター1202、入口1208、及び出口1210内の時間、流れ及び/又は圧力などの入力に基づくことができる。一実施形態では、ピストン1204は、残っている粉末の体積に対するキャニスター1202内で利用可能な内部空間1206の容積の比率をほぼ一定に維持する速度で移動して、流動化混合物の送達速度をほぼ一定に維持するように構成される。
【0060】
図13に示すように、別の実施形態による装置1300は、装置1200にほぼ類似し、キャニスター1302と、キャニスターに対して移動可能に連結されてキャニスター1302の第1の端部1316に近接する初期の位置から第2の端部1318に向かって移動して流動化された粉末混合物が標的部位に送達されるにつれて、キャニスター1302の内部空間1306の容積を減少させるピストン1304とを備える。装置1200と同様に、高流量気体が内部空間1306に送達されて、キャニスター1302内に受承された粉末剤を流動化して、体内の標的部位に送達するための流動化混合物を形成する。気体は、例えば、管状部材1312によって気体源に接続された入口1308を通ってキャニスター1302内に受承される。流動化混合物は、装置1300の出口1310に接続された送達カテーテル1314を通って標的部位に送達される。しかしながら、この実施形態では、ピストン1304は、気体が内部に受承されると拡張する拡張可能部材1322を含むチャンバー1320によって移動される。特に、使用者がコントローラをトリガーして(例えば、トリガーを押す)流動化混合物を標的部位に送達した時、気体の一部は、拡張可能部材1322に振り向けられ、気体は、
図13の破線で示すように、拡張可能部材1322を拡張し、ピストン1304を第2の端部1318に向かって移動させる。
【0061】
この実施形態では、拡張可能部材1322を収容するチャンバー1320は、内部空間1306の反対側であるピストン1304の側でキャニスター1302の第1の端部1316に接続されているため、拡張可能部材1322が拡張すると、ピストン1304はキャニスター1302の第2の端部1318に向かって移動される。拡張可能部材1322は、接続部材1324を介して気体源に接続され、接続部材1324は、一方向弁を含み、気体は、その中を通って第1の方向に拡張可能チャンバー1322に入ることができるが、拡張可能チャンバー1322の外へ第2の方向に流出するのを防止される。上記のように、気体は、流動化混合物が標的部位に送達されている間のみチャンバー1320に向けられ、内部空間1306の容積の減少は、キャニスター1302内の粉末剤の体積の減少に対応する。装置1200と同様に、装置1300は、流れ、圧力、及び/又は時間に対応する入力を受け取ることができ、ピストン1304が第2の端部1318に向かって移動される速度を制御することができる。当業者であれば、装置1300は、装置1200とほぼ類似する方法で使用され得ることが理解できる。
【0062】
図14,15に示すように、別の実施形態にかかる装置1400は、上記装置1200,1300にほぼ類似し、その内部空間1406内に粉末剤を受承されるためのキャニスター1402と、キャニスター1402に移動可能に取り付けられたピストン1404とを含む。高流量気体は、気体源に接続された入口1408を通って内部空間1406に送達され、装置1400の出口1410に接続された送達カテーテル1414を通って標的治療領域に送達するための流動化された粉末混合物を形成する。ピストン1404は、キャニスター1402の第1の端部1416に近接する初期の位置から第2の端部1418に向かって移動可能であり、内部空間1406内の粉末剤の体積が減少するにつれて、内部空間1406の容積を減少させる。しかしながら、装置1400は、ピストン1404がねじで連結されたねじ付きロッド1428に接続されたタービン1426をさらに含む。キャニスター1402の場合、タービン1426は、第1の端部1416に接続されたバイパス1424内に収容されている。気体の一部は、使用者がコントローラーをトリガーして流動化混合物を送達するときに、バイパス1424の中に振り向けられる。バイパス1424を通る気体の流れは、タービン1426を回転させ、それにより、ねじ付きロッド1428はその長手方向軸線を中心として回転させられる。ねじ付きロッド1428が回転されるにつれて、ピストン1404は、第2の端部1418に向かって長手方向に沿って移動する。
【0063】
図15に示すように、バイパス1424は、気体が受承される第1の開口1430及び気体が出る第2の開口1432を含み、気体は、バイパス1424を通って第1の開口1430から第2の開口1432に流れて内部に収容されたタービン1426を回転させるように流れる。ねじ付きロッド1428は、タービン1426の回転がねじ付きロッド1428の回転をもたらすように、タービン1426に接続されている。ピストン1404がロッド1428にねじ込まれているため、ねじ付きロッド1428の回転は、ピストン1404を長手方向に沿って移動させる。ピストン1404は、バイパス1424を通る気体の流れを介してねじ付きロッド1428が回転されると、ピストン1404が第2の端部1418に向かって長手方向に移動するように、ロッド1428にねじが切られている。装置1300と同様に、気体の一部は、流動化混合物の送達中にバイパス1424の中を通ってのみ振り向けられる、内部空間の容積の減少は、内部空間1406に残っている粉末の体積に対応する。当業者であれば、装置1400が、上記のように、装置1200、1300にほぼ類似する方法で使用され得ることが理解できる。
【0064】
図16に示すように、本発明の別の実施形態による装置1600は、上記装置1200、1300、及び1400にほぼ類似し、気体による流動化のためにその内部に粉末剤を受承するように構成されたキャニスター1602を含む。装置1200、1300、及び1400と同様に、キャニスター1602の内部空間1606の容積は、流動化混合物が治療のために標的部位に送達されるのにつれて減少される。しかしながら、装置1600は、可動ピストンを介して内部空間1606の容積を減少させるのではなく、
図16の破線で示すように、その容積を減少させるために、キャニスター1602の内部空間1606内に拡張する拡張可能部材1604を含む。
【0065】
装置1200、1300、及び1400と同様に、気体は、入口1608を通ってキャニスター1602に供給され、入口は接続部材1612によって気体源に接続されている。流動化混合物は、出口1610に接続された送達カテーテル1614を通って標的部位に送達される。装置1600は、キャニスター1602に接続された二次チャンバー1620をさらに備える。上記装置1300と同様に、気体源からの気体の一部は、流動化混合物の送達中に二次チャンバー1620に振り向けることができる。二次チャンバー1620の内部空間1634は、拡張可能部材1604によってキャニスター1602の内部空間1660から分離されている。この実施形態では、拡張可能部材1604は、キャニスター1602と二次チャンバー1620との間に延びる拡張可能隔膜として構成されるため、気体が供給管1624を通って二次チャンバー1620の内部空間1634内に受承されると、二次チャンバー1620の内部空間1634及びキャニスター1602の内部空間1606は、拡張可能部材をキャニスター1602の中に偏向させて、
図16の破線で示すように、内部空間1606の容積を減少させる。
【0066】
装置1300、1400に関して上で説明したように、気体は、流動化混合物の送達中にのみ二次チャンバー1620に振り向けられる。送達がトリガーされると、気体は二次チャンバー1620に振り向けられる。使用者が送達のためにトリガーを放すと、二次チャンバー1620への気体の送達は停止される。また上記のように、二次チャンバー1620に振り向けられた流れの量は、装置1600内で検出された時間、圧力、及び/又は流れによって決定され得る。より多くの気体が二次チャンバー1620に流入すると、その圧力が増加して、隔膜をキャニスター1602の内部空間1606の中にさらに偏向させる。したがって、装置1600は、上記装置とほぼ類似する方法で利用することができる。
【0067】
装置1600は、一個の拡張可能な隔膜に関して示され且つ説明されているが、当業者であれば、装置1600は、複数の拡張可能な隔膜を含んでもよく、拡張可能部材は、任意の様々な形状を有し得ることが理解できる。
【0068】
図17に示すように、別の実施形態による装置1700は、上記装置1600にほぼ類似し、内部に受承された粉末剤が流動化され且つ治療の為に標的部位に送達されるにしたがって、拡張してキャニスター1702の第1の内部空間1706の容積を減少させる拡張可能な部材1704を含むキャニスター1702を備える。しかしながら、この実施形態では、拡張可能部材1704は、キャニスター1702内に収容されて、粉末剤が流動化される第1の内部空間1706及び気体の一部がその中に振り向けられて拡張可能部材1704を第1の内部空間1702の中に偏向させてその容積を減少させる第2の内部空間1720の双方を画定する。キャニスター1702の第1の端部1716は、基部1740によってほぼ閉鎖されている。第1の内部空間1706に気体を供給するための入口1708と、流動化混合物が通って標的部位に送達される出口1710とは、第1の内部空間1706に連通する基部1740の中を貫通して延びる。
【0069】
拡張可能な部材1704は、一例では、ほぼ円筒形の構成を有する。円筒形の拡張可能部材1704は、キャニスター1702内に収容され、拡張可能部材1704の内部は、その内部に粉末剤が収容された後に粉末剤が入口1708を通って気体源からに供給される高流量気体によって流動化される第1の内部空間1706を画定する。第2の内部空間1720は、拡張可能部材1704の外面1736及びキャニスター1702の内面1738によって画定され、流動化混合物は、出口1710に接続された送達カテーテル1714を通って第1の内部空間1706から標的部位に送達され、気体源からの気体の一部は、接続部材1724によって第2の内部空間1729の中に振り向けられる。第1及び第2の内部空間1706、1720間の圧力差により、拡張可能部材1704は、
図17の破線で示すように、拡張形態に向かって第1の内部空間1706の中に偏向され、
図17の破線で示すように、第1の内部空間1706内の粉末の体積が減少するにつれて、第1の内部空間1706の容積を減少させる。一実施形態では、拡張形態では、拡張可能部材1704は、ほぼ砂時計の形状を形成する。しかしながら、当業者であれば、拡張可能部材1704は、拡張可能部材1704が拡張されたときに、拡張可能部材1704が第1の内部空間1706の容積を減少させるものである限り、任意の様々な形状及び構成を有し得ることが理解できる。上記装置と同様に、気体は、流動化混合物の送達中に第2の内部空間1720にのみ振り向けられ、時間及び/又は装置1700内の流れ及び/又は圧力などの入力によって制御されてもよい。
【0070】
装置1700は、ほぼ円筒形を有する拡張可能部材1704を含むものとして示され且つ説明されているが、当業者であれば、拡張可能部材1704は、上記のように、拡張可能部材が、第1及び第2の内部空間1706,1720を画定する限り、任意の様々な形状を有してもよいことが理解できる。
【0071】
図18に示すように、別の実施形態にかかる装置1800は、上記装置1700とほぼ同様であり、キャニスター1802と、粉末剤が、その内部で気体源からの気体を介して流動化されて流動化混合物を形成する第1の内部空間1806を画定する拡張可能部材1804と、流動化混合物を標的部位に送達中に気体源から振り向けられる気体の一部を受承する第2の内部空間1820とを含む。第1の内部空間1806は、拡張可能部材1804の内壁1805によって画定される。第2の外部空間1820は、拡張可能部材1806の外壁1836及びキャニスター1802の内面1838によって画定される。しかしながら、この実施形態では、拡張可能部材1804は、キャニスター1802の第1の端部1816からキャニスター1802の第2の端部1818まで延びるため、初期の付勢された形態では、拡張可能部材1804は、形状がキャニスター1802にほぼ対応する。しかしながら、第2の内部空間1820が振り向けられた気体で満たされるにつれて、拡張可能部材1804は、第1の内部空間1806の中に偏向し、
図18の破線で示すように、第2の内部空間1820の容積を増加させて、第2の内部空間1820の容積を減少させる。
【0072】
装置1700と同様に、装置1800は、第1及び第2の内部空間1806,1820を囲むために、キャニスター1802の第1の端部1816に基部1840を含む。入口1808及び出口1810は、基部1840の中を貫通して延びて第1の内部空間1806に連通し、気体が入口1808を通ってその中供給されて、その内部の粉末剤を流動化し、流動化混合物は出口1810を通って標的部位に送達される。気体源からの気体の一部は、接続要素1824によって第2の内部空間1820に振り向けられ、接続要素1824は、基部1840に沿って配置されて第2の内部空間1820に連通する。
【0073】
上記のように、流動化混合物の標的部位への送達中に、気体の一部が第2の内部空間1820に振り向けられ、第1及び第2の内部空間1806,1820との間の圧力差により、拡張可能部材は、
図18の破線で示すように、径方向内方にそらされて、第1の内部空間1806の容積を減少する。したがって、第1の内部空間1806内の粉末剤の体積が減少するにつれて、第1の内部空間1806の容積は、それに応じて減少されて、流動化混合物の送達速度をほぼ一定に維持する。そらされた形態では、拡張可能な部材1804は、ほぼ円錐形をとり得る。しかしながら、当業者であれば、拡張可能部材1804は、拡張可能部材1804が、第1の内部空間の壁の内の第1の内部空間1806と、拡張可能部材1804及びキャニスター1802の壁の間の第2の内部空間1802の双方を画定する可撓性を有する、すなわち偏向可能な材料で形成されている限り、任意の構成、形状及びサイズを有してもよいことが理解できる。
【0074】
図19に示すように、別の実施形態にかかる装置1900は、上記装置1600、1700、及び1800にほぼ類似し、キャニスター1902と、拡張可能部材1904を含み、拡張可能部材は、粉末剤が流動化されて治療の標的部位に送達されるにつれて、拡張してキャニスター1902の内部空間1906の容積を減少させる。内部空間1906の容積は、内部空間1906内の粉末剤の体積の減少に対応するように減少される。しかしながら、この実施形態における拡張可能な部材1904は、内部空間1906内に収容された拡張可能なバルーンとして構成される。したがって、バルーン1904が膨張してバルーン1904の体積が増加するにつれて、内部空間1906の容積は減少される。
【0075】
装置1600、1700、及び1800と同様に、装置1900は、粉末剤を流動化するために内部空間1906に気体を供給するための入口1908と、流動化混合物が通って標的部位に送達される出口1910とを含む。入口1908及び出口1910はそれぞれ、キャニスター1902の端部に連結されて内部空間1906を画定する装置1900の基部1940を貫通して延びる。装置1900に供給される気体の一部は、接続要素1924を通って拡張可能部材1904に振り向けられて、バルーンを膨張させ、内部空間1906を満たす。上記のように、入口1908は、任意の様々な構成を有し、一実施形態では、内部空間1906内に延びるハイポチューブ1911を含み得る。ハイポチューブ1911は、その壁を貫通してその一部に沿って延びるスロット1944を含む。膨張した拡張可能部材1904は、スロット1944を通過する気体及び粉末の流れを制限することなく、ハイポチューブ1911を囲む空間を満たすことができる。ハイポチューブ1911はスロット1944を含むと説明されているが、当業者であれば、「スロット」という用語は、その壁を貫通して延びる任意の開口部又は穴を指し得ることが理解できる。
【0076】
接続要素1924は、図示のように、基部1940に接続されて気体を拡張可能部材1904に送達することができる。当該実施形態の当業者であれば、接続要素1920は、内部空間1906の中を貫通して延びて、拡張可能部材1904に接続できることが理解できる。代替的には、
図20に示すように、装置1900’は、キャニスター1902’の一部を貫通して延び、その内部に収容された拡張可能部材1904’に気体を供給する別個の供給ライン1924’を有してもよい。当業者であれば、バルーン構成を有する拡張可能部材1904,1904’は、任意の様々な機構によって拡張可能部材を膨張させるために気体を供給され得ることが理解できる。
【0077】
上記実施形態は、気体の一部を気体源/供給から振り向けて、ピストンの移動又は拡張可能部材の膨張を駆動するものとして説明されているが、当業者であれば、上記装置は、内部空間の両方に気体を供給するため、及びピストンを駆動するため、及び/又は拡張可能部材を拡張させるために1つ以上の気体源を含み得ることが理解できる。
【0078】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、開示された装置に対して様々な修正及び変形を行うことができることは明白である。例えば、分配装置から標的部位への材料の一貫した出力を維持するための様々な他の構造及び技術が達成され得る。本発明の他の実施形態は、本明細書を考慮して本明細書に開示された発明を実施する当業者には明白である。本明細書及び実施例は、単に例示として考慮されることが意図されており、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の請求項によって示されている。