(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】フィルター基板の選択的接触還元触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/76 20060101AFI20240304BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240304BHJP
B01J 35/57 20240101ALI20240304BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20240304BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
B01J29/76 A
B01D53/94 222
B01D53/94 228
B01D53/94 280
B01J35/57 E
B01J35/57 L
B01J37/02 101D
B01J37/08
(21)【出願番号】P 2021523202
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2019079607
(87)【国際公開番号】W WO2020089275
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ペーター,マッティアス
(72)【発明者】
【氏名】シュティーベルス,ズザンネ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンブヤ,カリファラ
(72)【発明者】
【氏名】ツァベル,クラウディア
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/025245(WO,A1)
【文献】特開2018-149463(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0111089(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0045097(US,A1)
【文献】国際公開第2017/178576(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒であって、前記触媒が、
入口端、出口端、前記入口端と前記出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む多孔性ウォールフローフィルター基板を含み、前記複数の通路が、前記多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、前記複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、前記通路と前記多孔性内壁との間の境界面が、前記内壁の表面によって画定され;
前記触媒が、第1のコーティングをさらに含み、前記第1のコーティングが、前記基板の前記入口端から前記出口端に向けて前記基板軸長のx%にわたって延び、xは10~100の範囲であり、前記第1のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
前記触媒が、第2のコーティングをさらに含み、前記第2のコーティングが、前記基板の前記出口端から前記入口端に向けて前記基板軸長のy%にわたって延び、yは20~90の範囲であり、前記第2のコーティングが、銅および任意に8員環細孔ゼオライト材料を含み;
前記触媒が、任意に、第3のコーティングをさらに含み、その少なくとも90質量%が、前記内壁の孔中に含まれ、前記第3のコーティングが、前記基板軸長のz%にわたって延び、zは95~100の範囲であり、前記第3のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
前記基板の前記出口端から前記入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、前記基板の前記入口端から前記出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される前記出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、選択的接触還元触媒。
【請求項2】
前記第1のコーティングと前記第2のコーティングとの間にギャップがあり、前記ギャップが前記基板軸長のg%にわたって延び、gは、最大10、好ましくは0.2~5の範囲、より好ましくは0.5~2の範囲であり、x+y+g=100である、請求項1に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項3】
x+y=100であり、前記第1のコーティングと前記第2のコーティングとの間にギャップがない、請求項1に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項4】
xが95~100の範囲であり、yが20~50の範囲、好ましくは25~40の範囲であり、x+y>100、好ましくは100<x+y≦150である;または
前記基板軸長のq%にわたって前記第1のコーティングと前記第2のコーティングとの重なりがあり、qは最大50、好ましくは10~45の範囲、より好ましくは20~40の範囲であり、x+y-q=100である、請求項1に記載の選択的還元触媒。
【請求項5】
前記第1のコーティングに含有される前記ゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHAおよびAEIからなる群から選択される型のフレームワークを有し、前記第1のコーティングに含有される前記ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し;
前記ゼオライト材料のフレームワーク構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、AlおよびOからなり、フレームワーク構造中、モル濃度SiO
2:Al
2O
3として計算されるSi対Alのモル比が、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは2:1~40:1の範囲、より好ましくは5:1~30:1の範囲、より好ましくは10:1~30:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲であり、より好ましくは、前記ゼオライト材料のフレームワーク構造の、最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、Pからなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項6】
前記第1のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、前記非ゼオライト酸化物材料が、好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の前記非ゼオライト酸化物材料が、アルミナおよびシリカからなり;
前記第1のコーティングが、より好ましくは、添加量(l1)/(g/in
3)の前記ゼオライト材料、および添加量(l2)/(g/in
3)の前記非ゼオライト酸化物材料を含み、(l1)対(l2)の比である(l1):(l2)が、2:1~18:1の範囲、より好ましくは4:1~16:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~14:1の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項7】
前記第1のコーティングが、CuOとして計算して、前記第1のコーティングの前記ゼオライト材料の質量に対して、0.5~7質量%の範囲、好ましくは1~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~4.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.75質量%の範囲の量の銅を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項8】
前記第2のコーティングが、8員環細孔ゼオライト材料を含み、前記ゼオライト材料が、好ましくは、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHAおよびAEIからなる群から選択される型のフレームワークを有し、前記第2のコーティングに含有される前記ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項9】
前記第2のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、前記第2のコーティングの前記非ゼオライト酸化物材料が、好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含む、請求項8に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項10】
前記第2のコーティングが、CuOとして計算して、前記第2のコーティングの前記ゼオライト材料の質量に対して、2.5~15質量%の範囲、好ましくは3~10質量%の範囲、より好ましくは3.5~6質量%の範囲の量の銅を含む、請求項8または9に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項11】
前記第2のコーティングの、98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、CuOからなる、請求項1から7のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項12】
前記第2のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、前記第2のコーティングの前記非ゼオライト酸化物材料が、好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
前記第2のコーティングの前記非ゼオライト酸化物材料の、前記第2のコーティングに含まれる銅に対する質量比が、好ましくは0.1:1~5:1の範囲、より好ましくは1:1~4:1の範囲、より好ましくは2:1~4:1の範囲、より好ましくは2.5:1~3.5:1の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項13】
第3のコーティングをさらに含み、前記第3のコーティングが、前記入口端から前記出口端に向けて、または前記出口端から前記入口端に向けて、前記基板軸長のz%にわたって延び、前記第3のコーティングが、好ましくは、前記多孔性内壁の孔中に存在する場合、前記第1のコーティングおよび/または前記第2のコーティングの下に、より好ましくは、前記多孔性内壁の孔中に存在する場合、前記第1のコーティングおよび前記第2のコーティングの下に配置される、請求項1から12のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項14】
前記第3のコーティングの前記ゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHAおよびAEIからなる群から選択される型のフレームワークを有し、前記ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し;
前記第3のコーティングが、好ましくは、酸化物材料をさらに含み、前記酸化物材料が、好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiの2種以上を含む混合酸化物の1種または複数を含み、前記酸化物材料が、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアの1種または複数、より好ましくはジルコニアを含み;
前記第3のコーティングが、より好ましくは0.01~0.4g/in
3の範囲、好ましくは0.02~0.1g/in
3の範囲の添加量で前記酸化物材料を含む、請求項13に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項15】
前記第3のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、前記非ゼオライト酸化物材料が、好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
前記第3のコーティングが、好ましくは、添加量(l1”)/(g/in
3)のゼオライト材料、および添加量(l2”)/(g/in
3)の前記非ゼオライト酸化物材料を含み、(l1”)対(l2”)の比である(l1”):(l2”)が、2:1~18:1の範囲、より好ましくは4:1~16:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~14:1の範囲である、請求項13または14に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項16】
前記第3のコーティングが、CuOとして計算して、前記第3のコーティングの前記ゼオライト材料の質量に対して、0.5~7質量%の範囲、好ましくは1~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~4.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.75質量%の範囲の量の銅を含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項17】
CuOとして計算される前記入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される前記出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、0.30:1~0.95:1の範囲、好ましくは0.40:1~0.92:1の範囲、より好ましくは0.50:1~0.90:1の範囲、より好ましくは0.55:1~0.88:1の範囲である、請求項1から16のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項18】
前記出口ゾーンの前記ゼオライト材料の添加量l(out)/(g/in
3)の、前記入口ゾーンの前記ゼオライト材料の添加量l(in)/(g/in
3)に対する比であるl(out)/l(in)が、0.9:1~1.1:1の範囲、好ましくは0.95:1~1.05:1の範囲である、請求項1から17のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒を製造するための方法であって、
(a)入口端、出口端、前記入口端と前記出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む非コーティング多孔性ウォールフローフィルター基板を用意する工程であって、前記複数の通路が、前記多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、前記複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、前記通路と前記多孔性内壁との間の境界面が、前記内壁の表面によって画定される、工程;
(b)任意に、水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意し、前記混合物を、(a)で用意された前記基板上に、前記基板軸長のz%(zは、95~100の範囲である)にわたって配置し、その上に配置された前記混合物を含む前記基板を焼成し、第3のコーティングを含む基板を得る工程であって、前記コーティングの少なくとも90質量%が、前記基板の前記内壁の孔中に含まれる、工程;
(c)水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意し、前記混合物を、(a)で用意された前記基板上、または(b)で得られた第3のコーティングを含む前記基板上に、前記基板の前記入口端から前記出口端に向けて前記基板軸長のx%(xは、10~100の範囲である)にわたって配置し、その上に配置された前記混合物を含む前記基板を焼成し、第1のコーティングおよび任意に第3のコーティングを含む基板を得る工程;
(d)水、銅の供給源、および任意に8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意し、前記混合物を、(c)で用意された基板上に、基板の前記出口端から前記入口端に向けて前記基板軸長のy%(yは、20~90の範囲である)にわたって配置し、その上に配置された混合物を含む基板を焼成し、前記第1のコーティング、前記第2のコーティングおよび任意に前記第3のコーティングを含む基板を得る工程
を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
前記基板の前記出口端から前記入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、前記基板の前記入口端から前記出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される前記入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される前記出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、方法。
【請求項20】
受動点火エンジンを出る排気ガス流を処理する排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排気ガス処理システムが、請求項1から18のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒、ならびにディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、アンモニア酸化触媒、NOxトラップおよび粒子フィルターのうちの1種または複数を含む、排気ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒、および前記触媒を製造するための方法に関する。本発明は、前記選択的接触還元触媒を含む排気ガス処理システム、ならびに前記選択的接触還元触媒および前記排気ガス処理システムを使用する方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
US2015/0098870A1は、銅を含むベータゼオライトを含む第1の層、および銅を含むチャバザイト型ゼオライトを含む第2の層の2つの触媒層を含む選択的接触還元触媒を開示している。WO2017/178576A1は、チャバザイト型分子篩を含む第1の上流ゾーン、および銅を含むレバイン型分子篩を含む第2の下流ゾーンを含むフィルターの選択的接触還元触媒を開示している。US2018/0296979A1は、Fe含有ベータゼオライトを含む入口コーティング、ならびにFe含有ベータゼオライトおよび銅含有SAPOを含む出口コーティングを含む排気ガス精製材料を開示している。しかしながら、幅広い温度ウィンドウ、すなわち150~650℃において改善されたNOx変換を示す選択的接触還元触媒を提供する必要性がなお存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】US2015/0098870A1
【文献】WO2017/178576A1
【文献】US2018/0296979A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、幅広い温度ウィンドウ、すなわち150~650℃において改善されたNOx変換を示す、受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒であって、触媒が、
入口端、出口端、入口端と出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む多孔性ウォールフローフィルター基板を含み、複数の通路が、多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、通路と多孔性内壁との間の境界面が、内壁の表面によって画定され;
触媒が、第1のコーティングをさらに含み、前記第1のコーティングが、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%にわたって延び、xは10~100の範囲であり、第1のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
触媒が、第2のコーティングをさらに含み、第2のコーティングが、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%にわたって延び、yは20~90の範囲であり、第2のコーティングが、銅および任意に8員環細孔ゼオライト材料を含み;
触媒が、任意に、第3のコーティングをさらに含み、その少なくとも90質量%が、内壁の孔中に含まれ、第3のコーティングが、基板軸長のz%にわたって延び、zは95~100の範囲であり、第3のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
基板の出口端から入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、基板の入口端から出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、選択的接触還元触媒に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】200、600および650℃における実施例1および比較例1の触媒により得られたNOx変換を示す図である。
【
図2】200℃における実施例1および比較例1の触媒により得られたNH
3保存を示す図である。
【
図3】200、230、600および650℃における実施例7および8、ならびに比較例3の触媒により得られたNOx変換を示す図である。
【
図4】230℃における実施例10~12、および比較例1の触媒により得られたNOx変換を示す図である。
【
図5】650℃における実施例10および比較例1の触媒により得られたNOx変換を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
xは20~80の範囲であること、およびyは20~80の範囲であることが好ましい。
【0008】
xは55~80の範囲、より好ましくは60~75の範囲であることが好ましい。
【0009】
yは20~45の範囲、より好ましくは25~40の範囲であることが好ましい。xは55~80の範囲、より好ましくは60~75の範囲であること、およびyは20~45の範囲、より好ましくは25~40の範囲であることがより好ましい。
【0010】
xは20~45の範囲、より好ましくは25~40の範囲であることが好ましい。
【0011】
yは55~80の範囲、より好ましくは60~75の範囲であることが好ましい。xは20~45の範囲、より好ましくは25~40の範囲であること、およびyは55~80の範囲、より好ましくは60~75の範囲であることがより好ましい。
【0012】
xは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲であることが好ましい。
【0013】
yは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲であることが好ましい。xは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲であること、およびyは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲であることがより好ましい。
【0014】
x+yは、95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲であることが好ましい。
【0015】
第1のコーティングと第2のコーティングとの間にギャップがあり、ギャップは基板軸長のg%にわたって延び、gは最大10、より好ましくは0.2~5の範囲、より好ましくは0.5~2の範囲であり、x+y+g=100であることが好ましい。ギャップは、少なくとも部分的にフィルター基板内部にあることがより好ましい。
【0016】
あるいは、x+y=100であり、第1のコーティングと第2のコーティングとの間にギャップがないことが好ましい。
【0017】
さらなる代替例として、xは95~100の範囲であること、およびyは20~50の範囲、より好ましくは25~40の範囲であることが好ましい。
【0018】
x+y>100、より好ましくは100<x+y≦150であることが好ましい。xは95~100の範囲であること、およびyは25~50の範囲、より好ましくは25~40の範囲であること、およびx+y>100、より好ましくは100<x+y≦150であることがより好ましい。
【0019】
基板軸長のq%にわたって第1のコーティングと第2のコーティングとの重なりがあり、qは最大50、より好ましくは10~45の範囲、より好ましくは20~40の範囲であり、x+y-q=100であることが好ましい。重なりは、少なくとも部分的にフィルター基板内部にあることがより好ましい。
【0020】
第1のコーティングに含有されるゼオライト材料として、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHAおよびAEIからなる群から選択される型のフレームワークを有することが好ましい。第1のコーティングに含有されるゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有することがより好ましい。
【0021】
ゼオライト材料のフレームワーク構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、AlおよびOからなり、フレームワーク構造中、モル濃度SiO2:Al2O3として計算されるSi対Alのモル比は、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは2:1~40:1の範囲、より好ましくは5:1~30:1の範囲、より好ましくは10:1~30:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲である。
【0022】
最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%の、第1のコーティングに含有されるゼオライト材料のフレームワーク構造は、Pからな
ることが好ましい。
【0023】
より好ましくはCHA型フレームワークを有する第1のコーティングに含まれるゼオライト材料は、走査型電子顕微鏡により決定される、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子径を有することが好ましい。
【0024】
第1のコーティングは、0.1~3g/in3の範囲、より好ましくは0.2~2.5g/in3の範囲、より好ましくは0.7~2.25g/in3の範囲の添加量でゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0025】
第1のコーティングは、酸化物材料をさらに含み、酸化物材料は、より好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiの2種以上を含む混合酸化物の1種または複数を含み、酸化物材料は、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアの1種または複数、より好ましくはジルコニアを含むことが好ましい。第1のコーティングは、0.01~0.2g/in3の範囲、より好ましくは0.03~0.1g/in3の範囲の添加量で酸化物材料を含むことがより好ましい。
【0026】
第1のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含むことが好ましい。95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の非ゼオライト酸化物材料が、アルミナおよびシリカからなることがより好ましい。アルミナ対シリカの質量比は、10:1~20:1の範囲、より好ましくは12:1~18:1の範囲であることがより好ましい。
【0027】
したがって、本発明は、好ましくは、受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒であって、触媒が、
入口端、出口端、入口端と出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む多孔性ウォールフローフィルター基板を含み、複数の通路が、多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、通路と多孔性内壁との間の境界面が、内壁の表面によって画定され;
触媒が、第1のコーティングをさらに含み、前記第1のコーティングが、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%にわたって延び、xは10~100の範囲であり、第1のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し、第1のコーティングが、より好ましくは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
触媒が、第2のコーティングをさらに含み、第2のコーティングが、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%にわたって延び、yは20~90の範囲であり、第2のコーティングが、銅および任意に8員環細孔ゼオライト材料を含み;
触媒が、任意に、第3のコーティングをさらに含み、その少なくとも90質量%が、内壁の孔中に含まれ、第3のコーティングが、基板軸長のz%にわたって延び、zは95~100の範囲であり、第3のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
基板の出口端から入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、基板の入口端から出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、選択的接触還元触媒に関する。
【0028】
本発明の文脈において、第1のコーティングは、0.08~0.8g/in3の範囲、より好ましくは0.09~0.3g/in3の範囲の添加量で非ゼオライト酸化物材料を含むことが好ましい。
【0029】
第1のコーティングは、添加量(l1)/(g/in3)のゼオライト材料、および添加量(l2)/(g/in3)の非ゼオライト酸化物材料を含み、(l1)対(l2)の比である(l1):(l2)は、2:1~18:1の範囲、より好ましくは4:1~16:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~14:1の範囲であることが好ましい。
【0030】
第1のコーティングは、好ましくは、CuOとして計算して、第1のコーティングのゼオライト材料の質量に対して、0.5~7質量%の範囲、より好ましくは1~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~4.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.75質量%の範囲の量の銅を含む。
【0031】
第1のコーティングのゼオライト材料は銅を含み、より好ましくは75~100質量%、より好ましくは80~100質量%の、第1のコーティング中に含まれる銅が、前記ゼオライト材料中に含まれることが好ましい。
【0032】
触媒は、0.1~4g/in3の範囲、より好ましくは0.2~3g/in3の範囲、より好ましくは0.5~2.5g/in3の範囲の添加量で第1のコーティングを含むことが好ましい。
【0033】
第1のコーティングの、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ゼオライト材料、CuOとして計算される銅、前述で定義された通りの非ゼオライト酸化物材料、およびより好ましくは前述で定義された通りの酸化物材料からなる。
【0034】
第1のコーティングの、30~100質量%、より好ましくは40~100質量%、より好ましくは50~100質量%、より好ましくは80~100質量%が、内壁の孔中にあることが好ましい。
【0035】
第1のコーティングは、入口通路の内壁の表面に配置されていることが好ましい。
【0036】
第1のコーティングの、0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、マンガン、より好ましくはマンガン、コバルトおよびニッケルからなることが好ましい。
【0037】
第1のコーティングの、0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、パラジウム、より好ましくはパラジウム、白金およびロジウム、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、オスミウムおよびイリジウム、より好ましくは貴金属からなることが好ましい。
【0038】
第2のコーティングは、8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHAおよびAEIからなる群から選択される型のフレームワークを有することが好ましい。第2のコーティングに含有されるゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有することがより好ましい。
【0039】
ゼオライト材料のフレームワーク構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、AlおよびOからなり、フレームワーク構造中、モル濃度SiO2:Al2O3として計算されるSi対Alのモル比は、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは2:1~40:1の範囲、より好ましくは5:1~30:1の範囲、より好ましくは10:1~30:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲である。
【0040】
最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%の、ゼオライト材料のフレームワーク構造が、Pからなることが好ましい。
【0041】
より好ましくはCHA型フレームワークを有する第2のコーティングに含まれるゼオライト材料は、走査型電子顕微鏡により決定される、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子径を有することが好ましい。
【0042】
第2のコーティングは、0.1~3g/in3の範囲、より好ましくは0.2~2.5g/in3の範囲、より好ましくは0.7~2.25g/in3の範囲の添加量でゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0043】
第2のコーティングは、酸化物材料をさらに含み、酸化物材料は、より好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiの2種以上を含む混合酸化物の1種または複数を含み、酸化物材料は、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアの1種または複数、より好ましくはジルコニアを含むことが好ましい。第2のコーティングが、0.01~0.2g/in3の範囲、より好ましくは0.03~0.1g/in3の範囲の添加量で酸化物材料を含むことがより好ましい。
【0044】
第2のコーティングは、好ましくは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含む。95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、アルミナおよびシリカからなることがより好ましい。アルミナ対シリカの質量比は、10:1~20:1の範囲、より好ましくは12:1~18:1の範囲であることがより好ましい。
【0045】
したがって、本発明は、好ましくは、受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒であって、触媒が、
入口端、出口端、入口端と出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む多孔性ウォールフローフィルター基板を含み、複数の通路が、多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、通路と多孔性内壁との間の境界面が、内壁の表面によって画定され;
触媒が、第1のコーティングをさらに含み、前記第1のコーティングが、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%にわたって延び、xは10~100の範囲であり、第1のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し、第1のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第1のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
触媒が、第2のコーティングをさらに含み、第2のコーティングが、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%にわたって延び、yは20~90の範囲であり、第2のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し、第2のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
触媒が、任意に、第3のコーティングをさらに含み、その少なくとも90質量%が、内壁の孔中に含まれ、第3のコーティングが、基板軸長のz%にわたって延び、zは95~100の範囲であり、第3のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
基板の出口端から入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、基板の入口端から出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、選択的接触還元触媒に関する。
【0046】
本発明の文脈において、第2のコーティングは、0.08~0.8g/in3の範囲、より好ましくは0.09~0.3g/in3の範囲の添加量で非ゼオライト酸化物材料を含むことが好ましい。
【0047】
第2のコーティングは、添加量(l1’)/(g/in3)のゼオライト材料、および添加量(l2’)/(g/in3)の非ゼオライト酸化物材料を含み、(l1’)対(l2’)の比である(l1’):(l2’)は、2:1~18:1の範囲、より好ましくは4:1~16:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~14:1の範囲であることが好ましい。
【0048】
第2のコーティングは、CuOとして計算して、第2のコーティングのゼオライト材料の質量に対して、2.5~15質量%の範囲、より好ましくは3~10質量%の範囲、より好ましくは3.5~6質量%の範囲の量の銅を含むことが好ましい。
【0049】
第2のコーティングのゼオライト材料は銅を含み、より好ましくは、75~100質量%、より好ましくは80~100質量%の、第2のコーティング中に含まれる銅が、前記ゼオライト材料中に含まれることが好ましい。
【0050】
選択的接触還元触媒は、好ましくは0.1~4g/in3の範囲、より好ましくは0.2~3g/in3の範囲、より好ましくは0.5~2.5g/in3の範囲の添加量で第2のコーティングを含む。
【0051】
第2のコーティングの、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ゼオライト材料、CuOとして計算される銅、前述で定義された通りの非ゼオライト酸化物材料、およびより好ましくは前述で定義された通りの酸化物材料からなる。
【0052】
第2のコーティングとして、第2のコーティングの、98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、CuOからなることが代替的に好ましい。
【0053】
触媒は、0.01~1g/in3の範囲、より好ましくは0.01~0.5g/in3の範囲、より好ましくは0.015~0.3g/in3の範囲の添加量で第2のコーティングを含むことが好ましい。
【0054】
したがって前記代替例によると、本発明は、好ましくは、受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒であって、触媒が、
入口端、出口端、入口端と出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む多孔性ウォールフローフィルター基板を含み、複数の通路が、多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、通路と多孔性内壁との間の境界面が、内壁の表面によって画定され;
触媒が、第1のコーティングをさらに含み、前記第1のコーティングが、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%にわたって延び、xは10~100の範囲であり、第1のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し、第1のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第1のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
触媒が、第2のコーティングをさらに含み、第2のコーティングが、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%にわたって延び、yは20~90の範囲であり、第2のコーティングが銅を含み、第2のコーティングの、98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、CuOからなり;
触媒が、任意に、第3のコーティングをさらに含み、その少なくとも90質量%が、内壁の孔中に含まれ、第3のコーティングが、基板軸長のz%にわたって延び、zは95~100の範囲であり、第3のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
基板の出口端から入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、基板の入口端から出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、選択的接触還元触媒に関する。
【0055】
本発明の文脈において、第2のコーティングについて、さらなる代替例として、第2のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含むことが好ましい。95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、アルミナおよびシリカからなることがより好ましい。アルミナ対シリカの質量比が、10:1~20:1の範囲、より好ましくは12:1~18:1の範囲であることがより好ましい。
【0056】
第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料の、第2のコーティングに含まれる銅に対する質量比は、0.1:1~5:1の範囲、より好ましくは1:1~4:1の範囲、より好ましくは2:1~4:1の範囲、より好ましくは2.5:1~3.5:1の範囲であることが好ましい。
【0057】
触媒は、0.01~1g/in3の範囲、より好ましくは0.01~0.5g/in3の範囲、より好ましくは0.015~0.3g/in3の範囲の添加量で第2のコーティングを含むことが好ましい。
【0058】
第2のコーティングの、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、CuOおよび前述で定義された通りの非ゼオライト材料からなる。
【0059】
上記の代替例によると、第2のコーティングの、0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%、より好ましくは0~0.00001質量%が、ゼオライト材料からなることが好ましい。
【0060】
したがって前記代替例によると、本発明は、好ましくは、受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒であって、触媒が、
入口端、出口端、入口端と出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む多孔性ウォールフローフィルター基板を含み、複数の通路が、多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、通路と多孔性内壁との間の境界面が、内壁の表面によって画定され;
触媒が、第1のコーティングをさらに含み、前記第1のコーティングが、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%にわたって延び、xは10~100の範囲であり、第1のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し、第1のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第1のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
触媒が、第2のコーティングをさらに含み、第2のコーティングが、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%にわたって延び、yは20~90の範囲であり、第2のコーティングが銅を含み、第2のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
触媒が、任意に、第3のコーティングをさらに含み、その少なくとも90質量%が、内壁の孔中に含まれ、第3のコーティングが、基板軸長のz%にわたって延び、zは95~100の範囲であり、第3のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
基板の出口端から入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、基板の入口端から出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、選択的接触還元触媒に関する。
【0061】
第2のコーティングに関して本発明の文脈において、第2のコーティングの、30~100質量%、より好ましくは50~100質量%、より好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%が、内壁の孔中にあることが好ましい。
【0062】
第2のコーティングに関して本発明の文脈において、第2のコーティングは出口通路の内壁の表面に配置されることが好ましい。
【0063】
第2のコーティングに関して本発明の文脈において、第2のコーティングの、好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、マンガン、より好ましくはマンガン、コバルトおよびニッケルからなることが好ましい。
【0064】
第2のコーティングに関して本発明の文脈において、第2のコーティングの、好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、パラジウム、より好ましくはパラジウム、白金およびロジウム、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、オスミウムおよびイリジウム、より好ましくは貴金属からなることが好ましい。
【0065】
98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の本発明の選択的接触還元触媒が、多孔性ウォールフローフィルター基板、第1のコーティング、および第2のコーティングからなることが好ましい。
【0066】
本発明の第1の態様によると、本発明の選択的接触還元触媒は、第1のコーティングおよび第2のコーティングを含み、
第1のコーティングは、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有し、第1のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第1のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
第2のコーティングは、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有し、第2のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
x+y=100であり;
xは、40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲であり;または
xは、55~80の範囲、より好ましくは60~75の範囲であり;または
xは、20~45の範囲、より好ましくは25~40の範囲であることが好ましい。
【0067】
本発明の第2の態様によると、本発明の選択的接触還元触媒は、第1のコーティングおよび第2のコーティングを含み、
第1のコーティングは、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有し、第1のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第1のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
第2のコーティングは銅を含み、第2のコーティングの、98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、CuOからなり;
x+y>100、より好ましくは100<x+y≦150であり;
xは、95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲であり、yは、20~50の範囲、より好ましくは25~40の範囲であることが好ましい。
【0068】
本発明の第3の態様によると、本発明の選択的接触還元触媒は、第1のコーティングおよび第2のコーティングを含み、
第1のコーティングは、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有し、第1のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第1のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
第2のコーティングは銅を含み、第2のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
x+y>100、より好ましくは100<x+y≦150であり;
xは、95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲であり、yは、20~50の範囲、より好ましくは25~40の範囲であることが好ましい。
【0069】
あるいは、本発明の文脈において、触媒は、第3のコーティングをさらに含み、第3のコーティングは、基板の入口端から出口端に向けて、または出口端から入口端に向けて、基板軸長のz%にわたって延びることが好ましい。
【0070】
第3のコーティングは、多孔性内壁の孔中に存在する場合、第1のコーティングおよび/または第2のコーティングの下に、より好ましくは、多孔性内壁の孔中に存在する場合、第1のコーティングおよび第2のコーティングの下に配置されることがより好ましい。
【0071】
zは、98~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲であることが好ましい。
【0072】
第3のコーティングのゼオライト材料は、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHAおよびAEIからなる群から選択される型のフレームワークを有することが好ましい。第3のコーティングのゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有することがより好ましい。
【0073】
ゼオライト材料のフレームワーク構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、AlおよびOからなり、フレームワーク構造中、モル濃度SiO2:Al2O3として計算されるSi対Alのモル比は、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは2:1~40:1の範囲、より好ましくは5:1~30:1の範囲、より好ましくは10:1~30:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲である。
【0074】
最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%の、ゼオライト材料のフレームワーク構造が、Pからなることが好ましい。
【0075】
より好ましくはCHA型フレームワークを有する第3のコーティングに含まれるゼオライト材料は、走査型電子顕微鏡により決定される、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子径を有する。
【0076】
第3のコーティングは、0.1~3g/in3の範囲、より好ましくは0.3~1g/in3の範囲の添加量でゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0077】
第3のコーティングは、酸化物材料をさらに含み、酸化物材料は、より好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiの2種以上を含む混合酸化物の1種または複数を含み、酸化物材料は、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアの1種または複数、より好ましくはジルコニアを含む。第3のコーティングは、0.01~0.4g/in3の範囲、より好ましくは0.02~0.1g/in3の範囲の添加量で酸化物材料を含むことがより好ましい。
【0078】
第3のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含むことが好ましい。95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の、第3のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、アルミナおよびシリカからなることがより好ましい。アルミナ対シリカの質量比は、10:1~20:1の範囲、より好ましくは12:1~18:1の範囲であることがより好ましい。
【0079】
したがって、本発明は、好ましくは、受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒であって、触媒が、
入口端、出口端、入口端と出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む多孔性ウォールフローフィルター基板を含み、複数の通路が、多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、通路と多孔性内壁との間の境界面が、内壁の表面によって画定され;
触媒が、第1のコーティングをさらに含み、前記第1のコーティングが、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%にわたって延び、xは10~100の範囲であり、第1のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し、第1のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第1のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
触媒が、第2のコーティングをさらに含み、第2のコーティングが、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%にわたって延び、yは20~90の範囲であり、第2のコーティングが銅を含み、
第2のコーティングが、8員環細孔ゼオライト材料をさらに含み、ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し、第2のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;または
第2のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;または
第2のコーティングの、98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、CuOからなり;
触媒が、第3のコーティングをさらに含み、その少なくとも90質量%が、内壁の孔中に含まれ、第3のコーティングが、基板軸長のz%にわたって延び、zは95~100の範囲であり、第3のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し、第3のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
x+yは、少なくとも90であり;
基板の出口端から入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、基板の入口端から出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、選択的接触還元触媒に関する。第2のコーティングは、8員環細孔ゼオライト材料をさらに含み、ゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有し、第2のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含むことがより好ましい。
【0080】
本発明の文脈において、第3のコーティングは、0.02~0.8g/in3の範囲、より好ましくは0.04~0.2g/in3の範囲の添加量で非ゼオライト酸化物材料を含むことが好ましい。
【0081】
第3のコーティングは、添加量(l1”)/(g/in3)のゼオライト材料、および添加量(l2”)/(g/in3)の非ゼオライト酸化物材料を含み、(l1”)対(l2”)の比である(l1”):(l2”)は、2:1~18:1の範囲、より好ましくは4:1~16:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~14:1の範囲であることが好ましい。
【0082】
第3のコーティングは、CuOとして計算して、第3のコーティングのゼオライト材料の質量に対して、0.5~7質量%の範囲、より好ましくは1~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~4.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.75質量%の範囲の量の銅を含むことが好ましい。
【0083】
第3のコーティングゼオライト材料は銅を含み、より好ましくは75~100質量%、より好ましくは80~100質量%の、第3のコーティング中に含まれる銅が、前記ゼオライト材料中に含まれることが好ましい。
【0084】
触媒は、0.3~3g/in3の範囲、より好ましくは0.4~2g/in3の範囲、より好ましくは0.5~1.5g/in3の範囲の添加量で第3のコーティングを含むことが好ましい。
【0085】
第3のコーティングの、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ゼオライト材料、CuOとして計算される銅、前述で定義された通りの非ゼオライト酸化物材料、およびより好ましくは前述で定義された通りの酸化物材料からなる。
【0086】
第3のコーティングの、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、内壁の孔中に含まれる。
【0087】
第3のコーティングの、好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、マンガン、より好ましくはマンガン、コバルトおよびニッケルからなる。
【0088】
第3のコーティングの、好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、パラジウム、より好ましくはパラジウム、白金およびロジウム、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、オスミウムおよびイリジウム、より好ましくは貴金属からなる。
【0089】
98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の本発明の選択的接触還元触媒が、多孔性ウォールフローフィルター基板、第1のコーティング、第2のコーティング、および第3のコーティングからなることが好ましい。
【0090】
本発明の第4の態様によると、本発明の選択的接触還元触媒は、第1のコーティング、第2のコーティング、および第3のコーティングを含み、
ゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有し、第1のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第1のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
第2のコーティングは、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有し、第2のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
第3のコーティングは、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、CHA型フレームワークを有し、第3のコーティングは、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、非ゼオライト酸化物材料は、より好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
x+yは、95~100の範囲であり、
第1のコーティングと第2のコーティングとの間にギャップがあり、ギャップは基板軸長のg%にわたって延び、gは最大10、より好ましくは0.2~5の範囲、より好ましくは0.5~2の範囲であり、x+y+g=100であり;
zは、より好ましくは、98~100の範囲であることが好ましい。
【0091】
本発明の文脈において、CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)は、0.30:1~0.95:1の範囲、より好ましくは0.40:1~0.92:1の範囲、より好ましくは0.50:1~0.90:1の範囲、より好ましくは0.55:1~0.88:1の範囲であることが好ましい。
【0092】
本発明の文脈において、出口ゾーンのゼオライト材料の添加量l(out)/(g/in3)の、入口ゾーンのゼオライト材料の添加量l(in)/(g/in3)に対する比であるl(out)/l(in)は、0.9:1~1.1:1の範囲、より好ましくは0.95:1~1.05:1の範囲であることが好ましい。CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)は、0.30:1~0.95:1の範囲、より好ましくは0.40:1~0.92:1の範囲、より好ましくは0.50:1~0.90:1の範囲、より好ましくは0.55:1~0.88:1の範囲であること、および出口ゾーンのゼオライト材料の添加量l(out)/(g/in3)の、入口ゾーンのゼオライト材料の添加量l(in)/(g/in3)に対する比であるl(out)/l(in)は、0.9:1~1.1:1の範囲、より好ましくは0.95:1~1.05:1の範囲であることがより好ましい。
【0093】
本発明の文脈において、ウォールフローフィルター基板は、コーディエライト、炭化ケイ素またはチタン酸アルミニウム、より好ましくは炭化ケイ素またはチタン酸アルミニウム、より好ましくは炭化ケイ素を含む、より好ましくはそれらからなることが好ましい。
【0094】
本発明の文脈において、第1のコーティング、第2のコーティング、および任意に第3のコーティングを含む多孔性内壁は、35~70%の範囲、より好ましくは58~70%の範囲の相対平均多孔度を有し、相対平均多孔度は、第1のコーティング、第2のコーティング、および任意に第3のコーティングを含む内壁の平均多孔度対第1のコーティング、第2のコーティング、および第3のコーティングを含まない内壁の平均多孔度として定義され、平均多孔度は、参照例2に従って定義される。
【0095】
本発明は、本発明による選択的接触還元触媒を製造するための方法であって、
(a)入口端、出口端、入口端と出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む非コーティング多孔性ウォールフローフィルター基板を用意する工程であって、複数の通路が、多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、通路と多孔性内壁との間の境界面が、内壁の表面によって画定される、工程;
(b)任意に、水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意し、前記混合物を、(a)で用意された基板上に、基板軸長のz%(zは95~100の範囲である)にわたって配置し、その上に配置された混合物を含む基板を焼成し、第3のコーティングを含む基板を得る工程であって、前記コーティングの少なくとも90質量%が基板の内壁の孔中に含まれる、工程;
(c)水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意し、前記混合物を、(a)で用意された基板上、または(b)で得られた第3のコーティングを含む基板上に、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%(xは、10~100の範囲である)にわたって配置し、その上に配置された混合物を含む基板を焼成し、第1のコーティングおよび任意に第3のコーティングを含む基板を得る工程;
(d)水、銅の供給源、および任意に8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意し、前記混合物を、(c)で用意された基板上に、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%(yは、20~90の範囲である)にわたって配置し、その上に配置された混合物を含む基板を焼成し、第1のコーティング、第2のコーティング、および任意に第3のコーティングを含む基板を得る工程
を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
基板の出口端から入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、基板の入口端から出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、方法にさらに関する。
【0096】
(c)について、(c)は、
(c.1)水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意すること;
(c.2)前記混合物を(a)で用意された基板上に、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%(xは10~100の範囲である)にわたって配置することであって、混合物の配置が、混合物を基板上に噴霧することによって、または基板を混合物に浸漬することによって、より好ましくは基板を混合物に浸漬することによって実施される、配置すること;
(c.3)より好ましくは、(c.2)で得られた基板を、60℃~300℃の範囲、より好ましくは90℃~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥することであって、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素を含む、乾燥すること;
(c.4)(c.2)、より好ましくは(c.3)で得られた基板を、300~900℃の範囲、より好ましくは400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成することであって、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素を含む、焼成すること
を含むことが好ましい。
【0097】
(c.3)による乾燥について、乾燥は、10分~4時間の範囲、より好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2時間の範囲の時間、実施されることが好ましい。
【0098】
(c.4)による焼成について、焼成は、10分~4時間の範囲、より好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2.5時間の範囲の時間、実施されることが好ましい。
【0099】
(c.1)について、(c.1)は、
(c.1.1)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、より好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅、より好ましくはCuOである、製造すること;
(c.1.2)より好ましくは、より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること;任意に、酸化物材料の前駆体を添加することであって、酸化物材料の前駆体が、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくは酢酸ジルコニウムである、添加すること;
(c.1.3)水およびゼオライト材料を含む第2の混合物を製造することであって、ゼオライト材料が、任意に銅を含む、製造すること;
(c.1.4)(c.1.3)で得られた第2の混合物を、(c.1.1)、より好ましくは(c.1.2)で得られた第1の混合物と混合すること
を含むことが好ましい。
【0100】
(c.1)について、(c.1)は、
(c.1.5)水、前述で定義された通りの非ゼオライト酸化物材料を含み、より好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む第3の混合物を製造すること;
(c.1.6)(c.1.5)で得られた第3の混合物を、(c.1.4)で得られた混合物と混合すること、より好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加すること
をさらに含み;
(c.1)は、より好ましくは、(c.1.1)、(c.1.2)、(c.1.3)、(c.1.4)、(c.1.5)、および(c.1.6)からなることが好ましい。
【0101】
(c.1.2)の粉砕について、粉砕は、第1の混合物の粒子が、5~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで実施され、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定されることが好ましい。
【0102】
(c.1.4)について、第2の混合物を第1の混合物と混合した後、(c.1.4)は、より好ましくは得られた混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、得られた混合物を粉砕することをさらに含み、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定されることが好ましい。
【0103】
(d)について、(d)は、
(d.1)水、銅の供給源、および任意に8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意すること;
(d.2)前記混合物を(a)で用意された基板上に、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%(yは20~90の範囲である)にわたって配置することであって、混合物の配置が、混合物を基板上に噴霧することによって、または基板を混合物に浸漬することによって、より好ましくは基板を混合物に浸漬することによって実施される、配置すること;
(d.3)より好ましくは、(d.2)で得られた基板を、60℃~300℃の範囲、より好ましくは90℃~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥することであって、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素を含む、乾燥すること;
(d.4)(d.2)、より好ましくは(d.3)で得られた基板を、300~900℃の範囲、より好ましくは400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成することであって、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素を含む、焼成すること
を含むことが好ましい。
【0104】
(d.3)による乾燥について、乾燥は、10分~4時間の範囲、より好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2時間の範囲の時間、実施されることが好ましい。
【0105】
(d.4)による焼成について、焼成は、10分~4時間の範囲、より好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2.5時間の範囲の時間、実施されることが好ましい。
【0106】
(d.1)について、(d.1)は、
(d.1.1)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、より好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅、より好ましくはCuOである、製造すること;
(d.1.2)より好ましくは、より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること、任意に、酸化物材料の前駆体を添加することであって、酸化物材料の前駆体が、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくは酢酸ジルコニウムである、添加すること;
(d.1.3)水およびゼオライト材料を含む第2の混合物を製造することであって、ゼオライト材料が、任意に銅を含む、製造すること;
(d.1.4)(d.1.3)で得られた第2の混合物を、(d.1.1)、より好ましくは(d.1.2)で得られた第1の混合物と混合すること
を含むことが好ましい。
【0107】
(d.1)について、(d.1)は、
(d.1.5)水、前述で定義された通りの非ゼオライト酸化物材料を含み、より好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む第3の混合物を製造すること;
(d.1.6)(d.1.5)で得られた第3の混合物を、(d.1.4)で得られた混合物と混合すること、より好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加すること
をさらに含み;
(d.1)は、より好ましくは、(d.1.1)、(d.1.2)、(d.1.3)、(d.1.4)、(d.1.5)、および(d.1.6)からなることがより好ましい。
【0108】
(d.1.4)について、第2の混合物を第1の混合物と混合した後、(d.1.4)は、より好ましくは得られた混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、得られた混合物を粉砕することをさらに含み、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定されることが好ましい。
【0109】
あるいは、(d.1)について、(d.1)は、
(d.1.I)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、より好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅、より好ましくはCuOである、製造すること;
(d.1.II)より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること
を含む、より好ましくは、それらからなることが好ましい。
【0110】
あるいは、(d.1)について、(d.1)は、
(d.1.i)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、より好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅、より好ましくはCuOである、製造すること;
(d.1.ii)より好ましくは、より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること;
(d.1.iii)前述で定義された通りの非ゼオライト酸化物材料を、(d.1.i)、より好ましくは(d.1.ii)で得られた第1の混合物に混合すること、より好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を添加すること
を含む、より好ましくは、それらからなることが好ましい。
【0111】
(d.1.2)、(d.1.II)および(d.1.ii)の各々の粉砕は、第1の混合物の粒子が、5~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで実施され、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定されることが好ましい。
【0112】
(b)について、(b)は、
(b.1)水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意すること;
(b.2)前記混合物を、(a)で用意された基板上に、基板の入口端から出口端に向けて、または出口端から入口端に向けて基板軸長のz%(zは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲である)にわたって配置することであって、混合物の配置が、混合物を基板上に噴霧することによって、または基板を混合物に浸漬することによって、より好ましくは基板を混合物に浸漬することによって実施される、配置すること;
(b.3)より好ましくは、(b.2)で得られた基板を、60℃~300℃の範囲、より好ましくは90℃~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥することであって、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素を含む、乾燥すること;
(b.4)(b.2)、より好ましくは(b.3)で得られた基板を、300~900℃の範囲、より好ましくは400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成することであって、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素を含む、焼成すること
を含むことが好ましい。
【0113】
(b.3)による乾燥について、乾燥は、10分~4時間の範囲、より好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2時間の範囲の時間、実施されることが好ましい。
【0114】
(b.4)による焼成について、焼成は、10分~4時間の範囲、より好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2.5時間の範囲の時間、実施されることが好ましい。
【0115】
(b.1)について、(b.1)は、
(b.1.1)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、より好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅、より好ましくはCuOである、製造すること;
(b.1.2)より好ましくは、より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること、任意に、前述で定義された通りの酸化物材料の供給源を添加すること;
(b.1.3)水およびゼオライト材料を含む第2の混合物を製造することであって、ゼオライト材料が、任意に銅を含む、製造すること;
(b.1.4)(b.1.3)で得られた第2の混合物を、(b.1.1)、より好ましくは(b.1.2)で得られた第1の混合物と混合すること
を含むことが好ましい。
【0116】
(b.1)は、
(b.1.5)水、前述で定義された通りの非ゼオライト酸化物材料を含み、より好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む第3の混合物を製造すること;
(b.1.6)(b.1.5)で得られた第3の混合物を、(b.1.4)で得られた混合物と混合すること、より好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加すること
をさらに含み、
(b.1)は、より好ましくは、(b.1.1)、(b.1.2)、(b.1.3)、(b.1.4)、(b.1.5)、および(b.1.6)からなることが好ましい。
【0117】
(b.1.2)の粉砕について、粉砕は、第1の混合物の粒子が、5~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで実施され、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定されることが好ましい。
【0118】
(b.1.4)について、第2の混合物を第1の混合物と混合した後、(b.1.4)は、より好ましくは得られた混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、得られた混合物を粉砕することをさらに含み、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定されることが好ましい。
【0119】
方法は、(a)、(b)、(c)、および(d)からなることが好ましい。
【0120】
本発明は、選択的接触還元触媒、好ましくは、本発明による方法によって得ることができる、得られた、または製造可能な、または製造された本発明による選択的接触還元触媒にさらに関する。
【0121】
本発明は、受動点火エンジンを出る排気ガス流を処理する排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排気ガス処理システムが、本発明による選択的接触還元触媒、ならびにディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、アンモニア酸化触媒、NOxトラップおよび粒子フィルターのうちの1種または複数を含む、排気ガス処理システムにさらに関する。
【0122】
排気ガス処理システムは、エンジンの下流および本発明による選択的接触還元触媒の上流に配置されたディーゼル酸化触媒を含み、任意に、前記ディーゼル酸化触媒は、NOx保存機能を含有することが好ましい。
【0123】
排気ガス処理システムは、選択的接触還元触媒および本発明による選択的接触還元触媒の下流に配置されたアンモニア酸化触媒の1種または複数をさらに含むことがより好ましい。
【0124】
排気ガス処理システムは、ディーゼル酸化触媒の下流、かつ発明による選択的接触還元触媒の上流に配置された選択的接触還元触媒をさらに含むことが好ましい。
【0125】
本発明は、NOxの選択的接触還元のために、本発明による選択的接触還元触媒を使用する方法にさらに関する。
【0126】
本発明は、受動点火エンジンからの排気ガス流の処理のために、実施形態102から105のいずれか1つによる排気ガス処理システムを使用する方法にさらに関する。
【0127】
本発明は、窒素酸化物を選択的に接触還元するための方法であって、窒素酸化物が、排気ガス流に含まれ、前記方法が、
(1)より好ましくはディーゼルエンジンから、排気ガス流を用意する工程;
(2)(1)で用意された排気ガス流を、本発明による選択的接触還元触媒を通過させる工程
を含む、方法にさらに関する。
【0128】
本発明は、ディーゼルエンジンからの排気ガス流を処理するための方法であって、
(1’)前記排気ガス流を用意する工程;
(2’)(1’)で用意された排気ガス流を、本発明による排気ガス処理システムを通過させる工程
を含む、方法にさらに関する。
【0129】
本発明の文脈において、用語「ゼオライト材料の質量に対して」は、ゼオライト材料単独、つまり銅を含まない質量を指す。さらに、本発明の文脈において、用語「チャバザイトの質量に対して」は、チャバザイト単独、つまり銅を含まない質量を指す。
【0130】
さらに、本発明の文脈において、用語「所与の成分/コーティングの添加量」(単位g/in3またはg/ft3)は、フィルター基板の体積当たりの前記成分/コーティングの質量を指し、フィルター基板の体積は、フィルター基板の断面積×前記成分/コーティングが存在するフィルター基板の軸長によって定義される。例えば、フィルター基板の軸長のx%にわたって延び、Xg/in3の添加量を有する第1のコーティングの添加量が言及される場合、前記添加量は、フィルター基板全体の体積(単位in3)のx%当たりXグラム第1のコーティングを指すと考えられる。
【0131】
さらに、本発明の文脈において、用語「Xは、A、BおよびCの1つまたは複数である」は、Xが、所与の特徴であり、A、BおよびCの各々が、前記特徴の具体的な実現を表す場合、Xは、A、またはB、またはC、またはAおよびB、またはAおよびC、またはBおよびC、またはA5およびBおよびCのいずれかであることを開示すると理解される。これに関して、当業者は、上記の抽象的な用語を具体例に変換することが可能であり、例えば、Xが化学元素である場合、A、BおよびCは、Li、NaおよびKなどの具体的な元素であり、またはXが温度である場合、A、BおよびCは、10℃、20℃および30℃などの具体的な温度であることに留意されたい。これに関して、当業者は、上記用語を、前記特徴のあまり具体的ではない実現、例えば、Xが、A、もしくはB、もしくはAおよびBのいずれかであることを開示する10「Xは、AおよびBの1つまたは複数である」、または前記特徴のより具体的な実現、例えば、Xが、A、B、もしくはC、もしくはD、もしくはAおよびB、もしくはAおよびC、もしくはAおよびD、もしくはBおよびC、もしくはBおよびD、もしくはCおよびD、もしくはAおよびBおよびC、もしくはAおよびBおよびD、もしくはBおよびCおよびD、もしくはAおよびBおよびCおよびDのいずれかであることを開示する「Xは、A、B、CおよびDの1つまたは複数である」に拡張することが可能であることにさらに留意されたい。
【0132】
さらに、本発明の文脈において、用語「内壁の表面」は、壁の「素地」、または「露出面」、または「ブランク面」、すなわち、表面が汚染され得る不可避不純物を除いて、壁の材料からなる未処理状態の壁の表面を指す。
【0133】
本発明は、以下の実施形態の組、ならびに示される通りの従属性および前方参照から得られる実施形態の組合せによってさらに例示される。特に、実施形態の範囲が言及される各例において、例えば、「実施形態1から3のいずれか1つの選択的接触還元触媒」などの用語の文脈において、この範囲の各実施形態は、当業者のために明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の表現は、「実施形態1、2および3のいずれか1つの選択的接触還元触媒」と同義であると当業者に理解されることに留意されたい。
【0134】
1. 受動点火エンジンの排気ガス流の処理のための選択的接触還元触媒であって、触媒が、
入口端、出口端、入口端と出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む多孔性ウォールフローフィルター基板を含み、複数の通路が、多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、通路と多孔性内壁との間の境界面が、内壁の表面によって画定され;
触媒が、第1のコーティングをさらに含み、前記第1のコーティングが、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%にわたって延び、xは10~100の範囲であり、第1のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
触媒が、第2のコーティングをさらに含み、第2のコーティングが、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%にわたって延び、yは20~90の範囲であり、第2のコーティングが、銅および任意に8員環細孔ゼオライト材料を含み;
触媒が、任意に、第3のコーティングをさらに含み、その少なくとも90質量%が、内壁の孔中に含まれ、第3のコーティングが、基板軸長のz%にわたって延び、zは95~100の範囲であり、第3のコーティングが、銅および8員環細孔ゼオライト材料を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
基板の出口端から入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、基板の入口端から出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、選択的接触還元触媒。
【0135】
2. xが20~80の範囲であり、yが20~80の範囲である、実施形態1の選択的還元触媒。
【0136】
3. xが55~80の範囲、好ましくは、60~75の範囲である、実施形態1または2の選択的還元触媒。
【0137】
4. yが20~45の範囲、好ましくは25~40の範囲である、実施形態1から3のいずれか1つの選択的還元触媒。
【0138】
5. xが20~45の範囲、好ましくは、25~40の範囲である、実施形態1または2の選択的還元触媒。
【0139】
6. yが55~80の範囲、好ましくは、60~75の範囲である、実施形態1または5の選択的還元触媒。
【0140】
7. xが40~60の範囲、好ましくは、45~55の範囲である、実施形態1または2の選択的還元触媒。
【0141】
8. yが40~60の範囲、好ましくは、45~55の範囲である、実施形態1または7の選択的還元触媒。
【0142】
9. x+yが95~100の範囲である、実施形態1から8のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0143】
10. 第1のコーティングと第2のコーティングとの間にギャップがあり、ギャップが基板軸長のg%にわたって延び、gは、最大10、好ましくは0.2~5の範囲、より好ましくは0.5~2の範囲であり、x+y+g=100であり、ギャップが、好ましくは少なくとも部分的にフィルター基板内部にある、実施形態1から9のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0144】
11. x+y=100であり、第1のコーティングと第2のコーティングとの間にギャップがない、実施形態1から9のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0145】
12. xが95~100の範囲であり、yが20~50の範囲、好ましくは25~40の範囲である、実施形態1の選択的還元触媒。
【0146】
13. x+y>100、好ましくは100<x+y≦150である、実施形態1または12の選択的接触還元触媒。
【0147】
14. 基板軸長のq%にわたって第1のコーティングと第2のコーティングとの重なりがあり、qは最大50、好ましくは10~45の範囲、より好ましくは20~40の範囲であり、x+y-q=100であり、重なりが、好ましくは少なくとも部分的にフィルター基板内部にある、実施形態1の選択的接触還元触媒。
【0148】
15. 第1のコーティングに含有されるゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHAおよびAEIからなる群から選択される型のフレームワークを有し、第1のコーティングに含有されるゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有し;
ゼオライト材料のフレームワーク構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、AlおよびOからなり、フレームワーク構造中、モル濃度SiO2:Al2O3として計算されるSi対Alのモル比は、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは2:1~40:1の範囲、より好ましくは5:1~30:1の範囲、より好ましくは10:1~30:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲であり、より好ましくは、ゼオライト材料のフレームワーク構造の、最大1質量%、好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、Pからなる、実施形態1から12のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0149】
16. 好ましくはCHA型フレームワークを有する第1のコーティングに含まれるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定される、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子径を有する、実施形態15の選択的接触還元触媒。
【0150】
17. 第1のコーティングが、0.1~3g/in3の範囲、好ましくは0.2~2.5g/in3の範囲、より好ましくは0.7~2.25g/in3の範囲の添加量でゼオライト材料を含む、実施形態1から16のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0151】
18. 第1のコーティングが酸化物材料をさらに含み、酸化物材料が、好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiの2種以上を含む混合酸化物の1種または複数を含み、酸化物材料は、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアの1種または複数、より好ましくはジルコニアを含み;
第1のコーティングが、0.01~0.2g/in3の範囲、好ましくは0.03~0.1g/in3の範囲の添加量で酸化物材料を含む、実施形態1から17のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0152】
19. 第1のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、非ゼオライト酸化物材料が、好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含み;
好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の非ゼオライト酸化物材料が、アルミナおよびシリカからなり;
アルミナ対シリカの質量比が、好ましくは10:1~20:1の範囲、好ましくは12:1~18:1の範囲である、実施形態1から18のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0153】
20. 第1のコーティングが、0.08~0.8g/in3の範囲、好ましくは0.09~0.3g/in3の範囲の添加量で非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態19の選択的接触還元触媒。
【0154】
21. 第1のコーティングが、添加量(l1)/(g/in3)のゼオライト材料、および添加量(l2)/(g/in3)の非ゼオライト酸化物材料を含み、(l1)対(l2)の比である(l1):(l2)が、2:1~18:1の範囲、好ましくは4:1~16:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~14:1の範囲である、実施形態19または20の選択的接触還元触媒。
【0155】
22. 第1のコーティングが、CuOとして計算して、第1のコーティングのゼオライト材料の質量に対して、0.5~7質量%の範囲、好ましくは1~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~4.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.75質量%の範囲の量の銅を含む、実施形態1から21のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0156】
23. 第1のコーティングのゼオライト材料が銅を含み、好ましくは75~100質量%、より好ましくは80~100質量%の、第1のコーティング中に含まれる銅が、前記ゼオライト材料中に含まれる、実施形態1から22のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0157】
24. 0.1~4g/in3の範囲、好ましくは0.2~3g/in3の範囲、より好ましくは0.5~2.5g/in3の範囲の添加量で第1のコーティングを含む、実施形態1から23のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0158】
25. 第1のコーティングの、98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ゼオライト材料、CuOとして計算される銅、実施形態18から21のいずれか1つで定義された通りの非ゼオライト酸化物材料、および好ましくは実施形態17で定義された通りの酸化物材料からなる、実施形態1から24のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0159】
26. 第1のコーティングの、30~100質量%、好ましくは40~100質量%、より好ましくは50~100質量%、より好ましくは80~100質量%が、内壁の孔中にある、実施形態1から25のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0160】
27. 第1のコーティングが、入口通路の内壁の表面に配置される、実施形態1から25のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0161】
28. 第1のコーティングの、0~0.01質量%、好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、マンガン、好ましくは、マンガン、コバルトおよびニッケルからなる、実施形態1から27のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0162】
29. 第1のコーティングの、0~0.01質量%、好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、パラジウム、好ましくはパラジウム、白金およびロジウム、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、オスミウムおよびイリジウム、より好ましくは貴金属からなる、実施形態1から28のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0163】
30. 第2のコーティングが、8員環細孔ゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が、好ましくは、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHAおよびAEIからなる群から選択される型のフレームワークを有し、第2のコーティングに含有されるゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有する、実施形態1から29のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0164】
31. ゼオライト材料のフレームワーク構造の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、AlおよびOからなり、フレームワーク構造中、モル濃度SiO2:Al2O3として計算されるSi対Alのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは2:1~40:1の範囲、より好ましくは5:1~30:1の範囲、より好ましくは10:1~30:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲であり、より好ましくは、ゼオライト材料のフレームワーク構造の、最大1質量%、好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、Pからなる、実施形態30の選択的接触還元触媒。
【0165】
32. 好ましくはCHA型フレームワークを有する第2のコーティングに含まれるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定される、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子径を有する、実施形態30または31の選択的接触還元触媒。
【0166】
33. 第2のコーティングが、0.1~3g/in3の範囲、好ましくは0.2~2.5g/in3の範囲、より好ましくは0.7~2.25g/in3の範囲の添加量でゼオライト材料を含む、実施形態30から32のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0167】
34. 第2のコーティングが酸化物材料をさらに含み、酸化物材料が、好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiの2種以上を含む混合酸化物の1種または複数を含み、酸化物材料が、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアの1種または複数、より好ましくはジルコニアを含み;
第2のコーティングが、好ましくは0.01~0.2g/in3の範囲、より好ましくは0.03~0.1g/in3の範囲の添加量で酸化物材料を含む、実施形態30から33のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0168】
35. 第2のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含む、実施形態30から34のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0169】
36. 95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、アルミナおよびシリカからなり;
アルミナ対シリカの質量比が、好ましくは10:1~20:1の範囲、より好ましくは12:1~18:1の範囲である、実施形態35の選択的接触還元触媒。
【0170】
37. 第2のコーティングが、0.08~0.8g/in3の範囲、好ましくは0.09~0.3g/in3の範囲の添加量で非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態35または36の選択的接触還元触媒。
【0171】
38. 第2のコーティングが、添加量(l1’)/(g/in3)のゼオライト材料、および添加量(l2’)/(g/in3)の非ゼオライト酸化物材料を含み、(l1’)対(l2’)の比である(l1’):(l2’)が、2:1~18:1の範囲、好ましくは4:1~16:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~14:1の範囲である、実施形態35から37のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0172】
39. 第2のコーティングが、CuOとして計算して、第2のコーティングのゼオライト材料の質量に対して、2.5~15質量%の範囲、好ましくは3~10質量%の範囲、より好ましくは3.5~6質量%の範囲の量の銅を含む、実施形態30から38のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0173】
40. 第2のコーティングのゼオライト材料が銅を含み、好ましくは、75~100質量%、より好ましくは80~100質量%の、第2のコーティング中に含まれる銅が、前記ゼオライト材料中に含まれる、実施形態30から39のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0174】
41. 0.1~4g/in3の範囲、好ましくは0.2~3g/in3の範囲、より好ましくは0.5~2.5g/in3の範囲の添加量で第2のコーティングを含む、実施形態30から40のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0175】
42. 第2のコーティングの、98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ゼオライト材料、CuOとして計算される銅、実施形態35から38のいずれか1つで定義された通りの非ゼオライト酸化物材料、および好ましくは実施形態34で定義された通りの酸化物材料からなる、実施形態30から41のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0176】
43. 第2のコーティングの、98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、CuOからなる、実施形態1から29のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0177】
44. 第2のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含む、実施形態1から29のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0178】
45. 95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の、第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、アルミナおよびシリカからなり;
アルミナ対シリカの質量比が、好ましくは10:1~20:1の範囲、好ましくは12:1~18:1の範囲である、実施形態44の選択的接触還元触媒。
【0179】
46. 第2のコーティングの非ゼオライト酸化物材料の、第2のコーティングに含まれる銅に対する質量比が、0.1:1~5:1の範囲、好ましくは1:1~4:1の範囲、より好ましくは2:1~4:1の範囲、より好ましくは2.5:1~3.5:1の範囲である、実施形態44または45の選択的接触還元触媒。
【0180】
47. 触媒が、0.01~1g/in3の範囲、好ましくは0.01~0.5g/in3の範囲、より好ましくは0.015~0.3g/in3の範囲の添加量で第2のコーティングを含む、実施形態43から46のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0181】
48. 第2のコーティングの、98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、CuO、および実施形態44および45のいずれか1つで定義された通りの非ゼオライト材料からなる、実施形態44から47のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0182】
49. 第2のコーティングの、0~0.001質量%、好ましくは0~0.0001質量%、より好ましくは0~0.00001質量%が、ゼオライト材料からなる、実施形態43から48のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0183】
50. 第2のコーティングの、30~100質量%、好ましくは50~100質量%、より好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%が、内壁の孔中にある、実施形態1から49のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0184】
51. 第2のコーティングが、出口通路の内壁の表面に配置される、実施形態1から49のいずれか1つの接触還元触媒。
【0185】
52. 第2のコーティングの、0~0.01質量%、好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、マンガン、好ましくは、マンガン、コバルトおよびニッケルからなる、実施形態1から51のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0186】
53. 第2のコーティングの、0~0.01質量%、好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、パラジウム、好ましくはパラジウム、白金およびロジウム、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、オスミウムおよびイリジウム、より好ましくは貴金属からなる、実施形態1から52のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0187】
54. 第3のコーティングをさらに含み、第3のコーティングが、入口端から出口端に向けて、または出口端から入口端に向けて、基板軸長のz%にわたって延びる、実施形態1から53のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0188】
55. 第3のコーティングが、多孔性内壁の孔中に存在する場合、第1のコーティングおよび/または第2のコーティングの下に、好ましくは、多孔性内壁の孔中に存在する場合、第1のコーティングおよび第2のコーティングの下に配置される、実施形態54の選択的接触還元触媒。
【0189】
56. 第3のコーティングのゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHAおよびAEIからなる群から選択される型のフレームワークを有し、ゼオライト材料が、CHA型フレームワークを有する、実施形態54または55の選択的接触還元触媒。
【0190】
57. ゼオライト材料のフレームワーク構造の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、AlおよびOからなり、フレームワーク構造中、モル濃度SiO2:Al2O3として計算されるSi対Alのモル比が、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは2:1~40:1の範囲、より好ましくは5:1~30:1の範囲、より好ましくは10:1~30:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲であり、より好ましくは、ゼオライト材料のフレームワーク構造の、最大1質量%、好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、Pからなる、実施形態56の選択的接触還元触媒。
【0191】
58. 好ましくはCHA型フレームワークを有する第3のコーティングに含まれるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定される、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子径を有する、実施形態56または57の選択的接触還元触媒。
【0192】
59. 第3のコーティングが、0.1~3g/in3の範囲、好ましくは0.3~1g/in3の範囲の添加量で非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態54から58のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0193】
60. 第3のコーティングが酸化物材料をさらに含み、酸化物材料が、好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiの2種以上を含む混合酸化物の1種または複数を含み、酸化物材料が、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアの1種または複数、より好ましくはジルコニアを含み;
第3のコーティングが、好ましくは0.01~0.4g/in3の範囲、好ましくは0.02~0.1g/in3の範囲の添加量で酸化物材料を含む、実施形態54から59のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0194】
61. 第3のコーティングが、非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、非ゼオライト酸化物材料が、好ましくは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアおよび酸化鉄の1種または複数、より好ましくはアルミナ、チタニアおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびシリカを含む、実施形態54から60のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0195】
62. 95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%の、第3のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、アルミナおよびシリカからなり;
アルミナ対シリカの質量比が、好ましくは10:1~20:1の範囲、好ましくは12:1~18:1の範囲である、実施形態61の選択的接触還元触媒。
【0196】
63. 第3のコーティングが、0.02~0.8g/in3の範囲、好ましくは0.04~0.2g/in3の範囲の添加量で非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態61または62の選択的接触還元触媒。
【0197】
64. 第3のコーティングが、添加量(l1”)/(g/in3)のゼオライト材料、および添加量(l2”)/(g/in3)の非ゼオライト酸化物材料を含み、(l1”)対(l2”)の比である(l1”):(l2”)が、2:1~18:1の範囲、好ましくは4:1~16:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~14:1の範囲である、実施形態61から63のいずれか1つの選択的還元触媒。
【0198】
65. 第3のコーティングが、CuOとして計算して、第3のコーティングのゼオライト材料の質量に対して、0.5~7質量%の範囲、好ましくは1~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~4.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.75質量%の範囲の量の銅を含む、実施形態54から64のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0199】
66. 第3のコーティングのゼオライト材料が銅を含み、好ましくは75~100質量%、より好ましくは80~100質量%の、第3のコーティング中に含まれる銅が、前記ゼオライト材料中に含まれる、実施形態54から65のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0200】
67. 0.3~3g/in3の範囲、好ましくは0.4~2g/in3の範囲、より好ましくは0.5~1.5g/in3の範囲の添加量で第3のコーティングを含む、実施形態54から66のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0201】
68. 第3のコーティングの、98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ゼオライト材料、CuOとして計算される銅、実施形態61から64のいずれか1つで定義された通りの非ゼオライト酸化物材料、および好ましくは実施形態60で定義された通りの酸化物材料からなる、実施形態54から67のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0202】
69. 第3のコーティングの、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、内壁の孔中に含まれる、実施形態54から68のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0203】
70. 第3のコーティングの、0~0.01質量%、好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、マンガン、好ましくは、マンガン、コバルトおよびニッケルからなる、実施形態54から69のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0204】
71. 第3のコーティングの、0~0.01質量%、好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%が、パラジウム、好ましくはパラジウム、白金およびロジウム、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、オスミウムおよびイリジウム、より好ましくは貴金属からなる、実施形態54から70のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0205】
72. CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、0.30:1~0.95:1の範囲、好ましくは0.40:1~0.92:1の範囲、より好ましくは0.50:1~0.90:1の範囲、より好ましくは0.55:1~0.88:1の範囲である、実施形態1から71のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0206】
73. 出口ゾーンのゼオライト材料の添加量l(out)/(g/in3)の、入口ゾーンのゼオライト材料の添加量l(in)/(g/in3)に対する比であるl(out)/l(in)が、0.9:1~1.1:1の範囲、好ましくは0.95:1~1.05:1の範囲である、実施形態1から72のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0207】
74. ウォールフローフィルター基板が、コーディエライト、炭化ケイ素またはチタン酸アルミニウム、好ましくは炭化ケイ素またはチタン酸アルミニウム、より好ましくは炭化ケイ素を含む、より好ましくはそれらからなる、実施形態1から73のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0208】
75. 第1のコーティング、第2のコーティング、および任意に第3のコーティングを含む多孔性内壁が、35~70%の範囲、好ましくは58~70%の範囲の相対平均多孔度を有し、相対平均多孔度が、第1のコーティング、第2のコーティング、および任意に第3のコーティングを含む内壁の平均多孔度対第1のコーティング、第2のコーティング、および第3のコーティングを含まない内壁の平均多孔度として定義され、平均多孔度が、参照例2に従って定義される、実施形態1から74のいずれか1つの選択的接触還元触媒。
【0209】
76. 実施形態1から75のいずれか1つの選択的接触還元触媒を製造するための方法であって、
(a)入口端、出口端、入口端と出口端との間に延びる基板軸長w、および複数の通路を含む非コーティング多孔性ウォールフローフィルター基板を用意する工程であって、複数の通路が、多孔性ウォールフローフィルター基板の多孔性内壁によって画定され、複数の通路が、開放入口端および閉鎖出口端を有する入口通路、ならびに閉鎖入口端および開放出口端を有する出口通路を含み、通路と多孔性内壁との間の境界面が、内壁の表面によって画定される、工程;
(b)任意に、水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意し、前記混合物を、(a)で用意された基板上に、基板軸長のz%(zは95~100の範囲である)にわたって配置し、その上に配置された混合物を含む基板を焼成し、第3のコーティングを含む基板を得る工程であって、前記コーティングの少なくとも90質量%が基板の内壁の孔中に含まれる、工程;
(c)水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意し、前記混合物を、(a)で用意された基板上、または(b)で得られた第3のコーティングを含む基板上に、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%(xは、10~100の範囲である)にわたって配置し、その上に配置された混合物を含む基板を焼成し、第1のコーティングおよび任意に第3のコーティングを含む基板を得る工程;
(d)水、銅の供給源、および任意に8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意し、前記混合物を、(c)で用意された基板上に、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%(yは、20~90の範囲である)にわたって配置し、その上に配置された混合物を含む基板を焼成し、第1のコーティング、第2のコーティング、および任意に第3のコーティングを含む基板を得る工程
を含み;
x+yは、少なくとも90であり;
基板の出口端から入口端に向けてy%のwが、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、基板の入口端から出口端に向けて(100-y)%のwが、コーティングされた基板の入口ゾーンを画定し;
CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)が、1:1未満である、方法。
【0210】
77. (c)が、
(c.1)水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意すること;
(c.2)前記混合物を、(a)で用意された基板上に、基板の入口端から出口端に向けて基板軸長のx%(xは10~100の範囲である)にわたって配置することであって、混合物の配置が、混合物を基板上に噴霧することによって、または基板を混合物に浸漬することによって、好ましくは基板を混合物に浸漬することによって実施される、配置すること;
(c.3)好ましくは、(c.2)で得られた基板を、60℃~300℃の範囲、より好ましくは90℃~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥することであって、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素を含む、乾燥すること;
(c.4)(c.2)、好ましくは(c.3)で得られた基板を、300~900℃の範囲、好ましくは400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成することであって、ガス雰囲気が、好ましくは酸素を含む、焼成すること
を含む、実施形態76の方法。
【0211】
78. (c.3)による乾燥が、10分~4時間の範囲、好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2時間の範囲の時間、実施される、実施形態77の方法。
【0212】
79. (c.4)による焼成が、10分~4時間の範囲、好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2.5時間の範囲の時間、実施される、実施形態77または78の方法。
【0213】
80. (c.1)が、
(c.1.1)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅である、製造すること;
(c.1.2)好ましくは、より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること;任意に、酸化物材料の前駆体を添加することであって、酸化物材料の前駆体が、好ましくはジルコニウム塩、より好ましくは酢酸ジルコニウムである、添加すること;
(c.1.3)水およびゼオライト材料を含む第2の混合物を製造することであって、ゼオライト材料が、任意に銅を含む、製造すること;
(c.1.4)(c.1.3)で得られた第2の混合物を、(c.1.1)、好ましくは(c.1.2)で得られた第1の混合物と混合すること
を含む、実施形態77から79のいずれか1つの方法。
【0214】
81. (c.1)が、
(c.1.5)水、実施形態18から21のいずれか1つで定義された通りの非ゼオライト酸化物材料を含み、好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む第3の混合物を製造すること;
(c.1.6)(c.1.5)で得られた第3の混合物を、(c.1.4)で得られた混合物と混合すること、好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加すること
をさらに含み、
(c.1)が、好ましくは、(c.1.1)、(c.1.2)、(c.1.3)、(c.1.4)、(c.1.5)、および(c.1.6)からなる、実施形態80の方法。
【0215】
82. (c.1.2)の粉砕が、第1の混合物の粒子が、5~15マイクロメートルの範囲、好ましくは5~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで実施され、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定される、実施形態80または81の方法。
【0216】
83. (c.1.4)が、好ましくは得られた混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、得られた混合物を粉砕することをさらに含み、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定される、実施形態80から82のいずれか1つの方法。
【0217】
84. (d)が、
(d.1)水、銅の供給源、および任意に8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を用意すること;
(d.2)前記混合物を(a)で用意された基板上に、基板の出口端から入口端に向けて基板軸長のy%(yは20~90の範囲である)にわたって配置することであって、混合物の配置が、混合物を基板上に噴霧することによって、または基板を混合物に浸漬することによって、好ましくは基板を混合物に浸漬することによって実施される、配置すること;
(d.3)好ましくは、(d.2)で得られた基板を、60℃~300℃の範囲、より好ましくは90℃~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥することであって、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素を含む、乾燥すること;
(d.4)(d.2)、好ましくは(d.3)で得られた基板を、300℃~900℃の範囲、好ましくは400℃~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成することであって、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含む、焼成すること
を含む、実施形態76から83のいずれか1つの方法。
【0218】
85. (d.3)による乾燥が、10分~4時間の範囲、好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2時間の範囲の時間、実施される、実施形態84の方法。
【0219】
86.(d.4)による焼成が、10分~4時間の範囲、好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2.5時間の範囲の時間、実施される、実施形態84または85の方法。
【0220】
87. (d.1)が、
(d.1.1)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅である、製造すること;
(d.1.2)好ましくは、より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること;任意に、酸化物材料の前駆体を添加することであって、酸化物材料の前駆体が、好ましくはジルコニウム塩、より好ましくは酢酸ジルコニウムである、添加すること;
(d.1.3)水およびゼオライト材料を含む第2の混合物を製造することであって、ゼオライト材料が、任意に銅を含む、製造すること;
(d.1.4)(d.1.3)で得られた第2の混合物を、(d.1.1)、好ましくは(d.1.2)で得られた第1の混合物と混合すること
を含む、実施形態84から86のいずれか1つの方法。
【0221】
88. (d.1)が、
(d.1.5)水、実施形態35から38のいずれか1つで定義された通りの非ゼオライト酸化物材料を含み、好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む第3の混合物を用意すること;
(d.1.6)(d.1.5)で得られた第3の混合物を、(d.1.4)で得られた混合物と混合すること、好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加すること
をさらに含み、
(d.1)が、好ましくは、(d.1.1)、(d.1.2)、(d.1.3)、(d.1.4)、(d.1.5)、および(d.1.6)からなる、実施形態87の方法。
【0222】
89. (d.1.4)が、好ましくは得られた混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、得られた混合物を粉砕することをさらに含み、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定される、実施形態87または88の方法。
【0223】
90. (d.1)が、
(d.1.I)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅である、製造すること;
(d.1.II)より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること
を含む、好ましくは、それらからなる、実施形態86の方法。
【0224】
91. (d.1)が、
(d.1.i)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅である、製造すること;
(d.1.ii)好ましくは、より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること;
(d.1.iii)実施形態44から46のいずれか1つで定義された通りの非ゼオライト酸化物材料を、(d.1.i)、好ましくは(d.1.ii)で得られた第1の混合物に混合すること、好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を添加すること
を含む、好ましくは、それらからなる、実施形態86の方法。
【0225】
92. (d.1.2)、(d.1.II)および(d.1.ii)の各々の粉砕が、第1の混合物の粒子が、5~15マイクロメートルの範囲、好ましくは5~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで実施され、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定される、実施形態87から91のいずれか1つの方法。
【0226】
93. (b)が、
(b.1)水、銅の供給源、および8員環細孔ゼオライト材料を含む水性混合物を製造すること;
(b.2)前記混合物を、(a)で用意された基板上に、基板の入口端から出口端に向けて、または出口端から入口端に向けて基板軸長のz%(zは95~100の範囲である)にわたって配置することであって、混合物の配置が、混合物を基板上に噴霧することによって、または混合物に基板を浸漬することによって、好ましくは混合物に基板を浸漬することによって実施される、配置すること;
(b.3)好ましくは、(b.2)で得られた基板を、60℃~300℃の範囲、より好ましくは90℃~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥することであって、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素を含む、乾燥すること;
(b.4)(b.2)、好ましくは(b.3)で得られた基板を、300~900℃の範囲、好ましくは400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成することであって、ガス雰囲気が、好ましくは酸素を含む、焼成すること
を含む、実施形態76から92のいずれか1つの方法。
【0227】
94. (b.3)による乾燥が、10分~4時間の範囲、好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2時間の範囲の時間、実施される、実施形態93の方法。
【0228】
95. (b.4)による焼成が、10分~4時間の範囲、好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは30分~2.5時間の範囲の時間、実施される、実施形態93または94の方法。
【0229】
96. (b.1)が、
(b.1.1)水および銅の供給源を含む第1の混合物を製造することであって、銅の供給源が、好ましくは、酢酸銅、酸化銅、硝酸銅およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、酸化銅である、製造すること;
(b.1.2)好ましくは、より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで第1の混合物を粉砕することであって、Dv90が、参照例3に記載されている通りに決定される、粉砕すること、任意に、酸化物材料の供給源を添加すること;
(b.1.3)水およびゼオライト材料を含む第2の混合物を製造することであって、ゼオライト材料が、任意に銅を含む、製造すること;
(b.1.4)(b.1.3)で得られた第2の混合物を、(b.1.1)、好ましくは(b.1.2)で得られた第1の混合物と混合すること
を含む、実施形態93から95のいずれか1つの方法。
【0230】
97. (b.1)が、
(b.1.5)水、実施形態61から64のいずれか1つで定義された通りの非ゼオライト酸化物材料を含み、好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む第3の混合物を製造すること;
(b.1.6)(b.1.5)で得られた第3の混合物を、(b.1.4)で得られた混合物と混合すること、好ましくは、酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加すること
をさらに含み、
(b.1)が、好ましくは、(b.1.1)、(b.1.2)、(b.1.3)、(b.1.4)、(b.1.5)、および(b.1.6)からなる、実施形態96の方法。
【0231】
98. (b.1.2)の粉砕が、第1の混合物の粒子が、5~15マイクロメートルの範囲、好ましくは5~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで実施され、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定される、実施形態96または97の方法。
【0232】
99. (b.1.4)が、好ましくは得られた混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、得られた混合物を粉砕することをさらに含み、Dv90は、参照例3に記載されている通りに決定される、実施形態96から98のいずれか1つの方法。
【0233】
100. (a)、(b)、(c)、および(d)からなる、実施形態76から99のいずれか1つの方法。
【0234】
101. 選択的接触還元触媒、好ましくは、実施形態76から100のいずれか1つ、好ましくは実施形態100による方法によって得ることができる、または得られた、または製造可能な、または製造された、実施形態1から75のいずれか1つによる選択的接触還元触媒。
【0235】
102. 受動点火エンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排気ガス処理システムが、実施形態1から75および101のいずれか1つによる選択的接触還元触媒、ならびにディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、アンモニア酸化触媒、NOxトラップおよび粒子フィルターのうちの1種または複数を含む、排気ガス処理システム。
【0236】
103. エンジンの下流、かつ実施形態の1から75および101のいずれか1つによる選択的接触還元触媒の上流に配置されたディーゼル酸化触媒を含み、任意に前記ディーゼル酸化触媒が、NOx保存機能を含有する、実施形態102の排気ガス処理システム。
【0237】
104. 選択的接触還元触媒および実施形態1から75および101のいずれか1つによる選択的接触還元触媒の下流に配置されたアンモニア酸化触媒の1種または複数をさらに含む、実施形態103の排気ガス処理システム。
【0238】
105. ディーゼル酸化触媒の下流、かつ実施形態1から75および101のいずれか1つによる選択的接触還元触媒の上流に配置された選択的接触還元触媒をさらに含む、実施形態103または104の排気ガス処理システム。
【0239】
106. NOxの選択的接触還元のために、実施形態1から75および101のいずれか1つによる選択的接触還元触媒を使用する方法。
【0240】
107. 受動点火エンジンからの排気ガス流の処理のために、実施形態102から105のいずれか1つによる排気ガス処理システムを使用する方法。
【0241】
108. 窒素酸化物を選択的に接触還元するための方法であって、窒素酸化物が、排気ガス流に含まれ、前記方法が、
(1)好ましくはディーゼルエンジンから、排気ガス流を用意する工程;
(2)(1)で用意された排気ガス流を、実施形態1から75および101のいずれか1つによる選択的接触還元触媒を通過させる工程
を含む、方法。
【0242】
109. ディーゼルエンジンからの排気ガス流を処理するための方法であって、
(1’)前記排気ガス流を用意する工程;
(2)(1’)で用意された排気ガス流を、実施形態102から105のいずれか1つによる排気ガス処理システムを通過させる工程
を含む、方法。
【0243】
本発明は、以下の参照例、実施例および比較例によってさらに例示される。
【実施例】
【0244】
[参照例1]
BET比表面積の測定
アルミナのBET比表面積を、液体窒素を使用して、DIN66131またはDIN-ISO9277に従って決定した。
【0245】
[参照例2]
多孔質ウォールフロー基板の平均多孔度および平均孔径の測定
多孔性ウォールフロー基板の平均多孔度を、DIN66133およびISO15901-1に従って、水銀ポロシメトリーを使用した水銀圧入によって決定した。
【0246】
[参照例3]
体積に対する粒径分布の決定
粒径分布を、Sympatec HELOS (3200)&QUIXEL装置を使用した静的光散乱法によって決定し、サンプルの光学濃度は、6~10%の範囲であった。
【0247】
[実施例1]
本発明による選択的接触還元触媒(3つのコーティング - 添加量比Cu(in):Cu(out) 0.88:1)
第3のコーティング(底部)
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を、水に添加した。CuOの量は、焼成後の銅の量が、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して3.5質量%となるように計算した。得られた混合物を、粒子のDv50値が約2.5マイクロメートルであり、粒子のDv90値が約9マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、5質量%の固体分を有した。酢酸ジルコニウム水溶液を、CuO含有混合物に添加して、スラリーを形成した。酢酸ジルコニウムの量は、コーティング中のジルコニアの量が、ZrO2として計算して、チャバザイトの質量に対して5質量%となるように計算した。
【0248】
これとは別に、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して1.25質量%のCu含有量のCu-チャバザイト(20マイクロメートルのDv50、25のSiO2:Al2O3、0.5マイクロメートル未満の一次粒径、および約600m2/gのBET比表面積)を水に添加して、38質量%の固体分を有する混合物を形成した。Cu-チャバザイト混合物を、粉砕銅含有スラリーに混合した。Cu-チャバザイトの量は、焼成後、チャバザイトの添加量が、コーティングの添加量の84.5%となるように計算した。得られたスラリーを、粒子のDv90値が約5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
【0249】
これとは別に、26質量%の固体分を有し、アルミナ(173m2/gのBET比表面積、約5マイクロメートルのDv90を有し、6質量%のSiO2を含む94質量%のAl2O3)を含む水性スラリーを製造した。アルミナ+シリカの量は、焼成後、アルミナ+シリカの添加量が、触媒のコーティングの添加量の8.5%の添加量となるように計算した。酒石酸を水性スラリーに添加した。酒石酸の量は、焼成後、チャバザイトの質量に対して0.7質量%となるように計算した。得られたスラリーおよびCu-チャバザイト含有スラリーを合わせ、チャバザイトの質量に対して3.2質量%の酢酸を添加して、最終スラリーを形成した。最終スラリーの固体分を、34質量%に調節した。
【0250】
さらなる希釈によりスラリーの固体分を減少させた後、多孔性非コーティングウォールフローフィルター基板、炭化ケイ素、(平均多孔度60.5%、平均孔径20マイクロメートルおよび350CPSI、ならびに壁厚0.28mm、172.8mm(直径)×127.9mm(長さ))を、基板の入口端から出口端まで基板軸長の100%にわたって最終スラリーに浸した。圧力パルスを出口端に適用して、過剰のスラリーを除去し、次いで、同じ圧力を入口端に適用して、スラリーをフィルター壁に均一に分布させた。コーティングされた基板を、140℃で約1時間乾燥し、次いで、450℃で2時間焼成した。焼成後の第3のコーティングの添加量は、0.59g/in3(84.5/100×0.7)のチャバザイト、0.06g/in3(8.5/100×0.7)のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.03g/in3(5/100×0.595)のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して3.5質量%の銅(CuOとして計算して2g/in3の銅)を含む、0.7g/in3であった。
【0251】
第1のコーティング
得られた多孔性コーティングウォールフローフィルター基板を、それが基板軸長の69%であったことを除いて、第3のコーティングのために製造した同じスラリーで基板の入口端から出口端までコーティングした。焼成後の第1のコーティングの添加量は、1.098g/in3のチャバザイト、0.1105g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.055g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して3.5質量%の銅(CuOとして計算して0.038g/in3の銅)を含む、1.3g/in3であった。
【0252】
第2のコーティング
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を、水に添加した。CuOの量は、焼成後の銅の量が、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して4.2質量%となるように計算した。得られた混合物を、粒子のDv50値が約2.5マイクロメートルであり、粒子のDv90値が約9マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、5質量%の固体分を有した。酢酸ジルコニウム水溶液を、CuO含有混合物に添加して、スラリーを形成した。酢酸ジルコニウムの量は、コーティング中のジルコニアの量が、ZrO2として計算して、チャバザイトの質量に対して5質量%となるように計算した。これとは別に、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して1.25質量%のCu含有量のCu-チャバザイト(20マイクロメートルのDv50、25のSiO2:Al2O3、0.5マイクロメートル未満の一次粒径、および約600m2/gのBET比表面積)を、水に添加して、38質量%の固体分を有する混合物を形成した。Cu-チャバザイト混合物を、CuO含有スラリーに混合した。得られたスラリーを、粒子のDv90値が約5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。Cu-チャバザイトの量は、焼成後、チャバザイトの添加量が、第2のコーティングの添加量の84.5%となるように計算した。
【0253】
これとは別に、26質量%の固体分を有し、アルミナ(173m2/gのBET比表面積、約5マイクロメートルのDv90を有し、6質量%のSiO2を含む94質量%のAl2O3)を含む水性スラリーを製造した。アルミナ+シリカの量は、焼成後、アルミナ+シリカの添加量が、触媒の第2のコーティングの添加量の8.5%の添加量となるように計算した。酒石酸を水性スラリーに添加した。酒石酸の量は、焼成後、チャバザイトの質量に対して0.7質量%となるように計算した。得られたスラリーおよびCu-チャバザイト含有スラリーを合わせ、焼成後のチャバザイトの質量に対して1質量%の酢酸を添加して、最終スラリーを形成した。最終スラリーの固体分を、34質量%に調節した。
【0254】
さらなる希釈によりスラリーの固体分を減少させた後、得られた多孔性コーティングウォールフローフィルター基板を、基板の出口端から入口端まで基板軸長の30%にわたって最終スラリーに浸した。圧力パルスを、入口端から2回適用した。コーティングされた基板を、140℃で1時間乾燥し、次いで、450℃で2時間焼成した。焼成後の第2のコーティングの添加量は、1.098g/in3のチャバザイト、0.1105g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.055g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して4.2質量%の銅(CuOとして計算して0.046g/in3の銅)を含む、約1.3g/in3であった。
【0255】
したがって、本実施例において、入口ゾーンは、基板の入口端から出口端まで基板軸長の70%にわたって延び、第1のコーティングおよび第3のコーティングの一部を含み、出口ゾーンは、基板の出口端から入口端まで基板軸長の30%にわたって延び、第2のコーティングおよび第3のコーティングの一部を含む。CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)は、約0.88:1である。
【0256】
[比較例1]
本発明によらない選択的接触還元触媒(ゾーニングなし)
コーティングを、実施例1の第3のコーティングのために製造した最終スラリーを基板に適用することによって得た。特に、多孔性非コーティングウォールフローフィルター基板、炭化ケイ素、(平均多孔度60.5%、平均孔径20マイクロメートルおよび350cpsi、ならびに壁厚0.28mm、172.8mm(直径)×127.9mm(長さ))を、基板の入口端から出口端まで基板軸長の100%にわたって前記最終スラリーに浸した。圧力パルスを出口端に適用して、過剰のスラリーを除去し、次いで、同じ圧力を入口端に適用して、スラリーをフィルター壁に均一に分布させた。コーティングされた基板を、140℃で1時間乾燥し、次いで、450℃で2時間焼成した。焼成後の得られた第1のコーティングの添加量は、1.2g/in3であった。
【0257】
コーティングされた基板を、基板の入口端から出口端まで基板軸長の100%にわたって、実施例1の第3のコーティングのために製造した最終スラリーに再度浸した。圧力パルスを出口端に適用して、過剰のスラリーを除去し、次いで、同じ圧力を入口端に適用して、スラリーをフィルター壁に均一に分布させた。コーティングされた基板を、140℃で1時間乾燥し、次いで、450℃で2時間焼成した。焼成後の第2のコーティングの添加量は、0.8g/in3であった。
【0258】
コーティング(第1のコーティング+第2のコーティング)の添加量は、1.69g/in3のチャバザイト、0.17g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.085g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して3.5質量%の銅(CuOとして計算して0.059g/in3の銅)を含む、2.0g/in3であった。
【0259】
[実施例2]
実施例1および比較例1の触媒の使用 - NOx変換およびNH
3保存
実施例1および比較例1のエイジングした触媒(800℃で16時間の水熱エイジング)の20ppm NH
3スリップでのNOx変換を、2リットルエンジン(V
L=120~130m
3/時、200℃で約1.5、ならびに600および650℃で2の化学量論比(NSR)で標準化)のエンジンベンチで測定した。実施例1および比較例1のエイジングした触媒のアンモニア保存もまた、200℃で測定した。結果を、それぞれ
図1および2に示す。
【0260】
図1および2から分かるように、実施例1のエイジングした触媒は、本発明によらない比較例1のエイジングした触媒と比較して、低温、特に200℃において、改善されたNOx変換(+7%)を示す。実施例1のエイジングした触媒は、比較例1のエイジングした触媒と比較して、200℃において、改善されたアンモニア保存能を示す。さらに、実施例1のエイジングした触媒は、高温、すなわち、600および650℃において、比較例1のエイジングした触媒により得られたNOx変換に匹敵する良好なNOx変換を維持する。この例は、本発明の触媒の特有の構成により、非ゾーニング触媒に対して、低温においてNOx変換を改善し、一方、高温において同じNOx変換を維持することが可能になることを実証している。
【0261】
[実施例3]
本発明による選択的接触還元触媒(2つのコーティング - 添加量比Cu(in):Cu(out) 0.69:1)
第1のコーティング
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を、水に添加した。CuOの量は、焼成後の銅の量が、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して2.75質量%となるように計算した。得られた混合物を、粒子のDv50値が約2.5マイクロメートルであり、粒子のDv90値が約9マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、5質量%の固体分を有した。酢酸ジルコニウム水溶液を、CuO含有混合物に添加して、スラリーを形成した。酢酸ジルコニウムの量は、第1のコーティング中のジルコニアの量が、ZrO2として計算して、チャバザイトの質量に対して5質量%となるように計算した。これとは別に、H形態-チャバザイト(1.3マイクロメートルのDv50、27のSiO2:Al2O3、および約761m2/gのBET比表面積)を水に添加して、38質量%の固体分を有する混合物を形成した。チャバザイト混合物を、スラリーに混合した。チャバザイトの量は、焼成後、チャバザイトの添加量が、第1のコーティングの添加量の85.8%となるように計算した。得られたスラリーを、粒子のDv90値が3.5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
【0262】
これとは別に、26質量%の固体分を有し、アルミナ(173m2/gのBET比表面積、約5マイクロメートルのDv90を有し、6質量%のSiO2を含む94質量%のl2O3)を含む水性スラリーを製造した。アルミナ+シリカの量は、焼成後、アルミナ+シリカの添加量が、触媒の第1のコーティングの添加量の6.4%の添加量となるように計算した。酒石酸を水性スラリーに添加した。酒石酸の量は、第1のコーティングのチャバザイトの質量に対して0.7質量%となるように計算した。得られたスラリーおよびCu-チャバザイト含有スラリーを合わせ、チャバザイトの質量に対して1質量%の酢酸を添加して、最終スラリーを形成した。最終スラリーの固体分を、34質量%に調節した。
【0263】
さらなる希釈によりスラリーの固体分を減少させた後、多孔性非コーティングウォールフロー炭化ケイ素フィルター基板、(平均多孔度63%、平均孔径20マイクロメートル、350cpsi、および壁厚0.28mm)を、基板の入口端から出口端まで基板軸長の30%にわたって最終スラリーに浸した。圧力パルスを出口端に適用して、過剰のスラリーを除去し、次いで、同じ圧力を入口端に適用して、スラリーをフィルター壁に均一に分布させた。コーティングされた基板を、140℃で1時間乾燥し、次いで、450℃で2時間焼成した。コーティングの添加量は、1.14g/in3であった。さらなる希釈によりスラリーの固体分を減少させた後、コーティング法を1回繰り返した(さらなるコーティングの添加量は0.76g/in3であった)。焼成後の第1のコーティングの添加量は、1.716g/in3のチャバザイト、0.128g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.0858g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して2.75質量%の銅(CuOとして計算して0.048g/in3の銅)を含む、約2.0g/in3であった。
【0264】
第2のコーティング
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を、水に添加した。CuOの量は、焼成後の銅の量が、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して4.0質量%となるように計算した。得られた混合物を、粒子のDv50値が約2.5マイクロメートルであり、粒子のDv90値が約9マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、5質量%の固体分を有した。酢酸ジルコニウム水溶液を、CuO含有混合物に添加して、スラリーを形成した。酢酸ジルコニウムの量は、第2のコーティング中のジルコニアの量が、ZrO2として計算して、チャバザイトの質量に対して5質量%となるように計算した。これとは別に、H形態-チャバザイト(1.3マイクロメートルのDv50、27のSiO2:Al2O3、および約761m2/gのBET比表面積)を水に添加して、38質量%の固体分を有する混合物を形成した。チャバザイト混合物を、スラリーに混合した。チャバザイトの量は、焼成後、チャバザイトの添加量が、第2のコーティングの添加量の85.8%となるように計算した。得られたスラリーを、粒子のDv90値が3.5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
【0265】
これとは別に、26質量%の固体分を有し、アルミナ(173m2/gのBET比表面積、約5マイクロメートルのDv90を有し、5質量%のSiO2を含む95質量%のAl2O3)を含む水性スラリーを製造した。アルミナ+シリカの量は、焼成後、アルミナ+シリカの添加量が、触媒の第2のコーティングの添加量の6.5%の添加量となるように計算した。酒石酸を水性スラリーに添加した。酒石酸の量は、第2のコーティングのチャバザイトの質量に対して0.7質量%となるように計算した。得られたスラリーとCu-チャバザイト含有スラリーを合わせた。最終スラリーの固体分を、34質量%に調節した。
【0266】
さらなる希釈によりスラリーの固体分を減少させた後、得られたコーティング多孔性ウォールフローフィルター基板を、基板の出口端から入口端まで基板軸長の70%にわたって最終スラリーに浸した。圧力パルスを出口端に適用して、過剰のスラリーを除去し、次いで、同じ圧力を入口端に適用して、スラリーをフィルター壁に均一に分布させた。コーティングされた基板を、140℃で1時間乾燥し、次いで、450℃で2時間焼成した。コーティングの添加量は、1.14g/in3であった。さらなる希釈によりスラリーの固体分を減少させた後、コーティング法を1回繰り返した(さらなるコーティングの添加量は0.76g/in3であった)。焼成後の第2のコーティングの添加量は、1.716g/in3のチャバザイト、0.128g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.0858g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して4質量%の銅(CuOとして計算して0.069g/in3の銅)を含む、2.0g/in3であった。
【0267】
したがって、本実施例において、入口ゾーンは、入口端から出口端まで基板軸長の30%にわたって延び、第1のコーティングを含み、出口ゾーンは、入口端から出口端まで基板軸長の70%にわたって延び、第2のコーティングを含む。CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)は、約0.69:1である。
【0268】
[実施例4]
本発明による選択的接触還元触媒(2つのコーティング - 添加量比Cu(in):Cu(out) 0.875:1)
第1のコーティング
実施例4の第1のコーティングを、焼成後の銅の量が、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して3.5質量%であったことを除いて、実施例3の第1のコーティングの通りに製造した。多孔性ウォールフローフィルター基板を、基板の入口端から出口端まで基板軸長の50%にわたって最終スラリーに浸したことを除いて、実施例3のコーティングプロセスを繰り返した。焼成後の第1のコーティングの添加量は、1.716g/in3のチャバザイト、0.128g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.0858g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して3.5質量%の銅(CuOとして計算して0.06g/in3の銅)を含む、約2.0g/in3であった。
【0269】
第2のコーティング
実施例4の第2のコーティングを、実施例3の第2のコーティングの通りに製造した。多孔性ウォールフローフィルター基板を、基板の出口端から入口端まで基板軸長の50%にわたって最終スラリーに浸したことを除いて、実施例3のコーティングプロセスを繰り返した。焼成後の第2のコーティングの添加量は、1.716g/in3のチャバザイト、0.128g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.0858g/in3のジルコニア、チャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して4.0質量%の銅(CuOとして計算して0.069g/in3の銅)を含む、約2.0g/in3であった。
【0270】
したがって、本実施例において、入口ゾーンは、基板の入口端から出口端まで基板軸長の50%にわたって延び、第1のコーティングを含み、出口ゾーンは、基板の入口端から出口端まで基板軸長の50%にわたって延び、第2のコーティングを含む。CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)は、約0.87:1である。
【0271】
[実施例5]
本発明による選択的接触還元触媒(2つのコーティング - 添加量比Cu(in):Cu(out) 0.73:1)
第1のコーティング
実施例5の第1のコーティングを、実施例3の第1のコーティングの通りに製造した。多孔性ウォールフローフィルター基板を、基板の入口端から出口端まで基板軸長の50%にわたって最終スラリーに浸したことを除いて、実施例3のコーティングプロセスを繰り返した。焼成後の第1のコーティングの添加量は、1.716g/in3のチャバザイト、0.128g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.086g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して2.75質量%の銅(CuOとして計算して0.047g/in3の銅)を含む、約2.0g/in3であった。
【0272】
第2のコーティング
実施例5の第2のコーティングを、CuOの量を、焼成後の銅の量が、チャバザイトの質量に対して3.75質量%となるように計算したことを除いて、実施例3の第2のコーティングの通りに製造した。多孔性ウォールフローフィルター基板を、基板の出口端から入口端まで基板軸長の50%にわたって最終スラリーに浸したことを除いて、実施例3のコーティングプロセスを繰り返した。焼成後、第2のコーティングの添加量は、約1.716g/in3のチャバザイト、0.128g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.0858g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して3.75質量%の銅(CuOとして計算して0.064g/in3の銅)を含む、約2.0g/in3であった。
【0273】
したがって、本実施例において、入口ゾーンは、基板の入口端から出口端まで基板軸長の50%にわたって延び、第1のコーティングを含み、出口ゾーンは、基板の出口端から入口端まで基板軸長の50%にわたって延び、第2のコーティングを含む。CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)は、約0.73:1である。
【0274】
[比較例2]
本発明によらない選択的接触還元触媒(ゾーニングなし)
第1のコーティング
比較例2の第1のコーティングを、CuOの量を、焼成後の銅の量が、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して3.5質量%となるように計算したことを除いて、実施例5の第1のコーティングの通りに製造した。焼成後の第1のコーティングの添加量は、1.716g/in3のチャバザイト、0.128g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.086g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して3.5質量%の銅(CuOとして計算して0.06g/in3の銅)を含む、約2.0g/in3であった。
【0275】
第2のコーティング
比較例2の第2のコーティングを、CuOの量を、焼成後の銅の量が、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して3.5質量%となるように計算したことを除いて、実施例5の第2のコーティングの通りに製造した。焼成後の第2のコーティングの添加量は、約1.716g/in3のチャバザイト、0.128g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.0858g/in3のジルコニア、チャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して3.5質量%の銅(CuOとして計算して0.06g/in3の銅)を含む、約2.0g/in3であった。第1および第2のコーティングは、同じ組成を有した。
【0276】
[実施例6]
実施例3~5および比較例2の触媒の使用
実施例3~5および比較例2のエイジングした触媒(800℃で16時間の水熱エイジング)の100ppmのNH3スリップでのNOx変換を、3リットルエンジン(VL=200℃で128m3/時および580℃で115m3/時、200℃で約1.5、および580℃で2の化学量論比(NSR)で標準化)のエンジンベンチで測定した。結果を、以下の表1に示す。
【0277】
【0278】
表1から分かる通り、様々な入口/出口ゾーン長のゾーニング構成を有する本発明による実施例3、4および5のエイジングした触媒により、ゾーニング構成を有さない比較例2のエイジングした触媒と比較して、200℃において改善されたNOx変換を得、一方、580℃などのより高温において高いNOx変換を維持することが可能になった。
【0279】
この例は、本発明の選択的接触還元触媒の特有の構成により、比較例と比較して、低温において、100ppmのNH3スリップでのNOx変換を改善し、一方、高温において同様のNOxを維持することが可能になることを実証している。最後に、この例は、この効果がまた、実施例1の触媒の第3のコーティングの存在なしに達成されることも実証している。
【0280】
[実施例7および8、ならびに比較例3]
実施例7および8の選択的接触還元触媒を、表2にまとめる通りのコーティング長さで以下の表2にまとめる銅の量を適用したことを除いて、実施例1の触媒と同じ方法で製造した。比較例3の触媒を、表2にまとめる通りのコーティング長さで以下の表2にまとめる銅の量を適用したことを除いて、実施例1の触媒と同じ方法で製造した。
【0281】
【0282】
[実施例9]
実施例7および8、ならびに比較例3の触媒の使用
実施例7および8、ならびに比較例3の触媒を、800℃(10%H
2O、20%O
2、70%N
2)で16時間、エイジングした。実施例7および8、ならびに比較例3のエイジングした触媒で得られる20ppm NH
3スリップでのNOx変換を、異なる温度、すなわち、200、230、600および650℃において2リットルエンジンで測定した。結果を、
図3に示す。
【0283】
図3から分かる通り、実施例7および8の触媒により得られた20ppm NH
3スリップでのNOx変換は、反対にゾーニングされた構成を有する比較例3の触媒により得られたNOx変換と比較して、200℃において少なくとも+5%改善された。高温NO
Xは、3種のサンプルすべてについて同様である。さらに、理論に縛られることを望むものではないが、低温におけるこの正の効果は、本発明の触媒の特定のゾーニング構成におけるより高いNH
3保存能に起因すると推定することができる。
【0284】
この例は、本発明の選択的接触還元触媒の特有の構成により、低温においてNOx変換を改善し、一方、高温において高いNOxを維持することが可能になることを実証している。
【0285】
[実施例10]
本発明による選択的接触還元触媒(2つのコーティング - 添加量比Cu(in):Cu(out) 0.72:1)
第1のコーティング
実施例10の第1のコーティングを、銅の量が、焼成後、CuOとして計算して、チャバザイトの質量に対して3.3質量%であったことを除き、かつ最終スラリーを、異なる基板にコーティングしたことを除いて、実施例1の第3のコーティングの通りに製造した。特に、それを、多孔性非コーティングウォールフローフィルター基板、炭化ケイ素、(平均多孔度60.5%、平均孔径20マイクロメートルおよび350CPSI、ならびに壁厚0.28mm、58mm(直径)×150.5mm(長さ))にコーティングした。コーティング法は実施例1と同じであり、1回繰り返して、1.61g/in3のチャバザイト、0.16g/in3のアルミナ+シリカ、ZrO2として計算して0.08g/in3のジルコニア、およびチャバザイトの質量に対して、CuOとして計算して3.3質量%の銅(CuOとして計算して0.053g/in3の銅)を含む、約1.9g/in3の第1のコーティングの添加量を得た。
【0286】
第2のコーティング
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を、水に添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、5質量%の固体分を有した。得られたスラリー中のアルミナ+シリカ対CuOの比が3:1となるように、アルミナ+シリカ(173m2/gのBET比表面積、約5マイクロメートルのDv90を有し、6質量%のSiO2を含む94質量%のAl2O3)の粉末を添加した。さらに、焼成後のアルミナ+シリカの添加量に対して0.07質量%の酒石酸、焼成後の第2のコーティングの添加量に対して1質量%の酢酸を添加し、最終スラリーを得た。
【0287】
得られたコーティング多孔性ウォールフローフィルター基板を、基板の出口端から入口端まで基板軸長の33%にわたって最終スラリーに浸した。コーティングされた基板を、140℃で1時間乾燥し、次いで、450℃で2時間焼成した。焼成後、第2のコーティングの添加量は、0.021g/in3のCuO、0.063g/in3のアルミナ+シリカを含む、0.084g/in3であった。
【0288】
したがって、本実施例において、入口ゾーンは、基板の入口端から出口端まで基板軸長の67%にわたって延び、第1のコーティングの一部を含み、出口ゾーンは、基板の出口端から入口端まで基板軸長の33%にわたって延び、第2のコーティングおよび第1のコーティングの一部を含む。銅の量は、CuOとして計算して、第1のコーティングのチャバザイトの質量に対して4.6質量%であった。CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)は、約0.72:1である。
【0289】
[実施例11]
本発明による選択的接触還元触媒(2つのコーティング - 添加量比Cu(in):Cu(out) 0.6:1)
実施例11の選択的還元触媒を、焼成後の第2のコーティングの添加量が、0.035g/in3のCuO、0.106g/in3のアルミナ+シリカを含む0.141g/in3であったことを除いて、実施例10の選択的接触還元触媒の通りに製造した。
【0290】
したがって、本実施例において、入口ゾーンは、基板軸長の67%にわたって延び、第1のコーティングの一部を含み、出口ゾーンは、基板軸長の33%にわたって延び、第2のコーティングおよび第1のコーティングの一部を含む。銅の量は、CuOとして計算して、出口ゾーンのチャバザイトの質量に対して5.5質量%であった。CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)は、約0.6:1である。
【0291】
[実施例12]
本発明による選択的接触還元触媒(2つのコーティング - 添加量比Cu(in):Cu(out) 0.72:1)
第1のコーティング
実施例12の第1のコーティングを、実施例10の第1のコーティングの通りに製造した。
【0292】
第2のコーティング
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を、水に添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、5質量%の固体分を有した。
【0293】
コーティング多孔性ウォールフローフィルター基板を、基板の出口端から入口端まで基板軸長の33%にわたってスラリーに浸した。コーティングされた基板を、140℃で1時間乾燥し、次いで、450℃で2時間焼成した。焼成後の第2のコーティングの添加量は、0.021g/in3のCuOを含む、0.021g/in3であった。出口端から入口端までの第2のコーティングの長さは、コーティングされた基板の出口ゾーンを画定し、銅の量は、CuOとして計算して、出口ゾーンのチャバザイトの質量に対して4.6質量%であった。
【0294】
したがって、本実施例において、入口ゾーンは、基板軸長の67%にわたって延び、第1のコーティングの一部を含み、出口ゾーンは、基板軸長の33%にわたって延び、第2のコーティングおよび第1のコーティングの一部を含む。CuOとして計算される入口ゾーンの銅の添加量Cu(in)の、CuOとして計算される出口ゾーンの銅の添加量Cu(out)に対する比であるCu(in):Cu(out)は、約0.72:1である。
【0295】
[実施例13]
実施例10~12および比較例1の触媒の使用
実施例10~12および比較例1のエイジングした触媒(800℃で16時間の水熱エイジング)のNOx変換を、MLB 140kW Euro6エンジンのエンジンベンチ(230℃で約1.5、および580℃で2の化学量論比(NSR)で標準化)で測定した。結果を、
図4および5に示す。
【0296】
図4から分かる通り、実施例10~12の触媒による、230℃、20ppm NH
3スリップでのNOx変換は、ゾーニング構成を有さない比較例1の触媒により得られたNOx変換と比較して、少なくとも+5%改善された。さらに、より高温でも改善された結果が見られた。さらに、
図5から分かる通り、同等の結果が、650℃におけるNOx変換について見られた(本発明の触媒によりわずかな改善さえある)。
【0297】
この例は、本発明の選択的接触還元触媒の特有のゾーニング構成により、低温においてNOx変換を改善し、一方、高温において高いNOxを維持することが可能になることを実証している。