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特許7447108層状の材料塗布によって三次元の成形品を製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】層状の材料塗布によって三次元の成形品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20240304BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20240304BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20240304BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240304BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240304BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240304BHJP
【FI】
B29C64/40
B29C64/245
B29C64/112
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021523629
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019000298
(87)【国際公開番号】W WO2020094246
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】102018008704.3
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018008808.2
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517393617
【氏名又は名称】ディー・ピー ポーラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】dp polar GmbH
【住所又は居所原語表記】Daimlerstrasse 32a, D-76344 Eggenstein-Leopoldshafen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス マテア
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-164981(JP,A)
【文献】特開平07-040445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状の材料塗布によって三次元の成形品(1)を製造するための方法であって、
前記成形品(1)のための幾何学データと、
前記三次元の成形品(1)を載せるための基礎面(3)を備える支持部材(2)と、
硬化可能な液状のまたは流動性の第1の材料(4)と、
硬化可能な液状の、流動性の、ペースト状の、または粉末状の第2の材料(5)と、
を準備し、
前記第2の材料(5)は、エネルギを用いた処理によって架橋可能な少なくとも1つの主成分と、熱によって活性可能な潜伏性硬化剤とを含み、前記硬化剤によって、熱作用により前記主成分の化学的な架橋を引き起こすことができ、
a)雌型層(12)を形成するために、前記流動性の第1の材料(4)の材料ポーションを、前記幾何学データに相応して、前記基礎面(3)に、かつ/または前記三次元の成形品(1)の、前記基礎面(3)の上に位置している硬化した材料層に塗布し、前記雌型層(12)が、該雌型層(12)の、前記基礎面(3)とは反対側の表面に、前記成形品(1)の製造すべき材料層の雌型を有する少なくとも1つのキャビティ(13)を有するようにし、
b)前記雌型層(12)を硬化させ、
c)成形品層(16)を形成するために、前記キャビティ(13)を前記第2の材料(5)によって満たし、前記成形品層(16)に転写されるようにし、
d)前記キャビティ(13)内に充填された前記第2の材料(5)の前記主成分を、エネルギを用いた処理によって部分架橋させて硬化させ、
e)硬化した前記雌型層(12)および/または硬化した前記成形品層(16)の、前記基礎面(3)に対して予め設定された間隔を置いて配置された平面を越えて突出している領域を、材料除去によって取り除き、
f)ステップa)~e)を、前記基礎面(3)を有する前記支持部材(2)を材料塗布中にかつ前記材料(4,5)の硬化中に回転軸線(11)を中心にして回転させ、前記回転軸線(11)に沿って移動させることによって、少なくとも1回繰り返し、
g)前記成形品層(16)から形成された前記成形品(1)の前記主成分を、熱処理によってさらに架橋させて、前記第2の材料(5)が、硬化した前記第1の材料(4)および/または部分架橋した前記第2の材料(5)よりも高い強度を有するように硬化させ、
h)前記雌型層(12)を、前記熱処理の実施前、実施中かつ/または実施後に前記成形品(1)から取り除く、
方法。
【請求項2】
前記第1の材料(4)の前記材料ポーションを、インクジェット印刷法または粉末塗布法によって、前記基礎面に、かつ/または前記基礎面の上に位置している硬化した前記雌型層(12)に、かつ/または硬化した成形品層(16)に塗布し、前記第1の材料(4)は、エネルギの作用によって硬化可能な材料であり、該材料に、前記雌型層(12)の硬化のために、前記エネルギを加える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2の材料の前記主成分は、少なくとも1つのエポキシド、少なくとも1つのオキセタン、少なくとも1つの機能性(メタ)アクリレート、少なくとも1つのビニルエーテル、またはこれらの材料のうちの少なくとも2つの材料から成る混合物を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記潜伏性硬化剤は、ジシアンジアミドおよび/または酸無水物および/または少なくとも1つのブロックイソシアネートおよび/または少なくとも1つのカルボジイミドを含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記潜伏性硬化剤の濃度は、前記第2の材料の0.2~5%の体積パーセントである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
流動性の、ペースト状の、または粉末状の前記第2の材料(5)を、前記幾何学データに関連して、部分選択的な被覆法によって前記雌型層(12)に塗布し、前記第2の材料の少なくとも1回の材料ポーションを、前記少なくとも1つのキャビティ(13)内に完全充填するように放出し、前記雌型層の、前記キャビティの外に位置している少なくとも1つの箇所を、前記第2の材料(5)に接触させないようにする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記第2の材料(5)は、流体および少なくとも1つの添加剤を含む複合材であり、前記流体は、作業温度時に少なくとも50mPa・sの粘度を有し、前記添加剤は、前記流体内に配置されている固形粒子を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第2の材料(5)に圧力を加え、こうして圧力下にある前記第2の材料(5)を少なくとも1つの弁(30)を介して少なくとも1つのノズル(27)に案内し、前記ノズルの流出開口を前記基礎面(3)に沿って前記支持部材(2)に対して位置決めし、前記弁(30)を、製造すべき前記成形品(1)のために準備された前記幾何学データと、前記ノズル(27)と前記支持部材(2)との間の相対位置とに関連して制御し、前記流出開口が、前記第2の材料(5)を前記ノズル(27)から前記キャビティ(13)に放出することができるように前記キャビティ(13)に位置決めされている場合には、材料流を解放し、前記流出開口が、前記第2の材料(5)を前記ノズル(27)から前記キャビティ(13)内に放出することができないように位置決めされている場合には、前記材料流を遮断する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記第2の材料(5)を、フレキソ印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、レーザ転写法、マイクロ調量法によって、かつ/またはドクタ(24)および/またはチャンバドクタおよび/または粉末塗布法によって、非選択的にまたは部分選択的に前記キャビティ(13)内に充填する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記キャビティ(13)内に充填された前記第2の材料(5)をその主成分の部分架橋前に固形粒子と接触させ、前記固形粒子を、前記キャビティ(13)内に位置している前記第2の材料(5)内に完全にかつ/または部分的に押し込む、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記固形粒子を固形粒子層として転写ローラの周面に被着し、その後、被覆された前記周面を、前記固形粒子層が前記第2の材料(5)と接触しかつ前記転写ローラの前記周面が前記第2の材料(5)から間隔を置いて配置されるように、前記キャビティ(13)内に充填された前記第2の材料(5)の表面に密に位置決めする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
硬化した一番上側の前記雌型層(12)および/または硬化した一番上側の前記成形品層(16)を、材料除去時に発生した除去物に対してクリーニングする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
硬化した前記第1の材料(4)を溶解することができる溶剤(33)を準備し、前記雌型層(12)を前記熱処理の実施前、実施中かつ/または実施後に前記溶剤(33)と接触させ、硬化した前記第1の材料(4)を前記溶剤(33)内で溶解する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記雌型層(12)を前記熱処理の実施前、実施中かつ/または実施後に、硬化した前記第1の材料(4)の相転移によって前記成形品(1)から取り除く、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
硬化していない状態における第2の材料(5)の粘度は、硬化していない状態における第1の材料(4)の粘度よりも高い、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層状の材料塗布によって三次元の成形品を製造するための方法であって、成形品のための幾何学データと、三次元の成形品を載せるための基礎面を備える支持部材と、硬化可能な液状のまたは流動性の第1の材料と、硬化可能な液状の、流動性の、ペースト状の、または粉末状の第2の材料とを準備する、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実地に基づいて公知のこのような方法では、第1の材料および第2の材料として、紫外線の影響によって硬化可能である液状のポリマーが使用される。既に公知の方法では、第1の材料および第2の材料の液滴状の材料ポーションが、インクジェットプリンタを用いて、支持部材の基礎面の種々様々な箇所に噴射されることによって、基礎面の上にまず第1の材料層が被着される。種々様々な材料から成る材料液滴が基礎面に塗布される箇所は、製造すべき成形品のための準備された幾何学データに関連して、材料層の、第2の材料から成る領域が、製造すべき成形品の一番下側の層を形成するように選択される。第1の材料は支持材料として働き、この支持材料は、第2の材料が塗布されない箇所において基礎面に塗布され、このような箇所の上方に成形品は、第1の材料の別の材料層の被着後にオーバハングを有しており、これらのオーバハングは、すべての材料層が硬化するまで支持材料によって支持されることが望ましい。こうして得られた一番下側の材料層には、更なるステップにおいて紫外線が照射され、これによって、第1の材料および第2の材料内に含有されたポリマーを架橋によって硬化させることができる。
【0003】
一番下側の材料層が完成した後、この一番下側の材料層の上に、相応して別の材料層が被着されて硬化される。この作業は、成形品のすべての層が製造されて硬化されるまで続けられる。その後、こうして得られた積層体を溶剤と接触させる。この接触は、第1の材料が溶剤内で溶解するまで続けられる。第2の材料は溶剤内で可溶性ではない。
【0004】
公知の方法によって、確かに、三次元の成形品をプロトタイプとしてまたは少量の個数で比較的安価に製造することができる。紫外線によって架橋可能なポリマーの使用および印刷時の高い解像度によって、良好な表面品質が可能になる。しかしながら、高い解像度を有する3D印刷のためには、ポリマーを細いノズルを通して基礎面に、または基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布することができるようにするために、ポリマーの極めて低い粘度が必要である。
【0005】
インクジェット印刷法(インクジェット法)では、ノズルは、通常、25mPa・sの最大粘度を処理することができる。通常、それよりも高い粘度は噴射不能である。このような材料から作成された物体は最低限の耐荷量しか有しておらず、単に鑑賞用オブジェクトとしてしか働くことができない。
【0006】
実地に基づいて、射出成形機用の射出成形型を、層状の材料塗布によって硬化可能な液状のポリマーからインクジェット3Dプリンタを用いて製造することも既に公知である。射出成形型は2つの型部分を有しており、両型の間にはキャビティが形成されており、このキャビティは、射出成形機において製造すべき成形品の三次元の雌型を有している。射出成形型は、3Dプリンタにおいてポリマー製の多数の層の被着によって製造され、ポリマーは、ノズルを用いて液状の形態で基礎面に、または基礎面の上に予め被着されて硬化した材料層に塗布される。それぞれの材料層の被着後に、なお液状のポリマーにはそれぞれ紫外線光が照射され、これによって、ポリマーを架橋させ、これにより、該当の材料層を硬化させることができる。次いで、相応して更なる材料層が被着されて硬化される。この作業は、射出成形型が完成するまで続けられる。次いで、射出成形型は、3Dプリンタから取り外されて、射出成形機内に組み込まれ、これによって、射出成形型に設けられた射出開口を通して、ポリマーとは異なる高温プラスチックをキャビティ内に射出することができる。キャビティにプラスチックが充填され、プラスチックが冷却された後、射出成形型が開放され、成形品がエジェクタを用いてキャビティから突き出される。この方法には、3D印刷で製造された型が、充填材料の高温に基づいて極めて制限された耐用寿命しか有しておらず、約10~100回の射出成形工程の後に新しくされなければという欠点がある。さらに、射出成形機内への射出成形型の取付けには、比較的時間がかかる。このことは、特に成形品の個別製造時に不都合である。
【0007】
固体を構成材料として使用する別の公知の技術では、多くの場合、熱可塑性樹脂が溶融され、ノズルによってまたは粉末の形態で焼結法にて層状に塗布される。これによって、確かに良好な耐荷量が得られるが、しかしながら、このような耐荷量を得るために、(極めてゆっくりとした)印刷時間または低い解像度または表面品質を甘受しなくてはならない。
【0008】
比較的高い粘度をも処理することができるステレオリソグラフィ法は、ある程度の利点を提供する。この利点は、材料をノズルを通して噴射する必要がなく、外部の紫外線によって指示に従ってポリマー容器内で架橋させるという事実に由来する。これによって、さらに高められた特性を有する、いわゆる2成分紫外線ポリマーも処理することができる。これによって、成形品の比較的良好な耐荷量も得られる。しかしながら、1つの物体を作成するための大量の材料、2成分混合物の制限された硬化時間、高い材料消費(消費されなかったポリマーの再使用が不可能)といった欠点がある。これらすべてのことによって、部品製造のコストは著しく高騰してしまう。
【0009】
インクジェット法を除いて、すべての公知の3D技術はなお他の重大な欠点を有している。すなわち、すべての公知の3D技術では、マルチ材料を使用することができない。このことは、同時に一種類の材料しか使用することができないということを意味している。これによって、産業でのこの方法の使用可能性が極めて制限されてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ゆえに、本発明の課題は、冒頭に記載した形態の方法を改良して、機械的に安定した耐荷性の三次元の成形品を高い解像度でもって印刷することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。本発明によれば、層状の材料塗布によって三次元の成形品を製造するための方法であって、成形品のための幾何学データと、三次元の成形品を載せるための基礎面を備える支持部材と、硬化可能な液状のまたは流動性の第1の材料と、硬化可能な液状の、流動性の、ペースト状の、または粉末状の第2の材料とを準備し、第2の材料は、エネルギを用いた処理によって架橋可能な少なくとも1つの主成分と、熱によって活性可能な潜伏性硬化剤とを含み、この硬化剤によって、熱作用により主成分の化学的な架橋を引き起こすことができ、
a)雌型層を形成するために、流動性の第1の材料の材料ポーションを、幾何学データに相応して、基礎面に、かつ/または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布し、雌型層が、この雌型層の、基礎面とは反対側の表面に、成形品の製造すべき材料層の雌型を有する少なくとも1つのキャビティを有するようにし、
b)雌型層を硬化させ、
c)成形品層を形成するために、キャビティを第2の材料によって満たし、雌型が雄型として成形品層に転写されるようにし、
d)キャビティ内に充填された第2の材料の主成分を、エネルギを用いた処理によって部分架橋させて硬化させ、
e)硬化した雌型層および/または硬化した成形品層の、基礎面に対して予め設定された間隔を置いて配置された平面を越えて突出している領域を、材料除去によって取り除き、
f)ステップa)~e)を少なくとも1回繰り返し、
g)成形品層から形成された成形品の主成分を、熱処理によってさらに架橋させて、第2の材料が、硬化した第1の材料および/または部分架橋した第2の材料よりも高い強度を有するように硬化させ、
h)雌型層を、熱処理の実施前、実施中かつ/または実施後に成形品から取り除く、
方法が提案されている。
【0012】
つまり、本発明によれば、ハイブリッド法が提案されており、このハイブリッド法では、互いに異なる特性を備えた材料が互いに異なる印刷法によって処理され、かつ/または互いに異なる印刷装置を用いて、基礎面に、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に、層状に塗布される。このことは、連続する3D印刷プロセスにて行うことができ、すなわち、方法は、完全に3D印刷ステーションで実施することができる。3D印刷ステーション以外で更なる印刷プロセスは不要である。
【0013】
第1の材料は、極めて低粘度または希薄または高流動性であってよい。なぜならば、第1の材料は、第2の材料のための型を製造するためにしか働かないからである。第1の材料が、基礎面への、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している既に硬化した材料層への塗布中に有している低い粘度または高い流動性によって、第1の材料の相応に小さな多数の材料ポーションを基礎面に、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布することにより、型をデジタル式の印刷法によって高い解像度および表面品質でもって印刷することができる。
【0014】
型の、第1の材料から成る材料層の機械的な安定性および強度には、僅かな要求しか課されない。なぜならば、型は第2の材料を保持しさえすればよく、場合によっては、第2の材料を塗布するために行われる印刷法で第1の材料に加えられる力を支持しさえすればよいからである。第1の材料の硬化によって、第1の材料は、第2の材料のために賦形体として機能することができるのに十分な強度に達する。硬化した状態にある第1の材料の機械的な強度は、第2の材料の硬化した層から形成された成形品の機械的な安定性に影響を及ぼさない。なぜならば、硬化した第1の材料は、すべての材料層の被着後に成形品から取り除かれるからである。
【0015】
第2の材料は、成形品のための本来の構造材料であり、第1の材料とは別の特性、特に比較的高い粘度を有していてよい。第2の材料には、例えば繊維および/または他の固形粒子のような補強添加剤を充填することができる。第2の材料は、第1の材料から製造された型の形成(Abformen)によって幾何学的に成形されるので、高い印刷解像度を得るために、第2の材料の小さな材料ポーションを、基礎面に、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布することは不要である。むしろ、高粘度の第2の材料によっても作業を行うことができる。これによって、成形品の高い機械的な安定性および強度を得ることができる。それどころか、必要な場合には、第2の材料は、少なくとも2種類の材料から成る混合物および/または材料強度を高めるための、例えば繊維または他の材料のような少なくとも1つの添加物を含んでいることが可能である。第2の材料は、デジタル式の印刷法によっても、大まかに選択的にまたは部分選択的に、基礎面に、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布することができ、つまり、成形品のために準備された幾何学データに相応して選択される種々様々な箇所への多数の材料ポーションの塗布によって、基礎面に、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布することができる。キャビティの輪郭が隙間なく充填されることを保証するために、第2の材料は、幾何学データ領域に輪郭を越えて拡がるように充填される。これによって、第2の材料の量は、キャビティを充填するために必要であるよりも常に幾分多くなる。また、第2の材料をアナログ式の印刷法によって、基礎面に、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布することも可能である。印刷モジュールの上流側に配置された混合装置は、ただ1つの印刷モジュールによる段階的な材料特性を可能にする。そのために、必要に応じて、少なくとも2つの材料成分が、相応に適合された比で、印刷モジュールへの充填の直前に混合される。こうして、例えば、硬質の混合物を軟質の混合物へと段階的に変化させることができる。このとき、確かに、第2の材料の2つ以上の成分を、基礎面に、または基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布することが可能であり、これによって、異なる複数の成分を含有する成形品を製造することができる。このようなマルチ材料技術は、第2の材料のために複数の印刷モジュールを相前後して配置することによって達成することができる。こうして、種々様々な機械的なかつ/または電気的な特性および/または種々様々な色を得ることができる。
【0016】
本発明に係る方法では、好ましくは、それぞれの個々の材料層の印刷後、硬化した雌型層および/または硬化した成形品層の、基礎面に対して予め設定された間隔を置いて、好ましくは基礎面に対して平行に配置された平面を越えて突出している領域が、材料除去によって取り除かれるので、成形品の個々の層が正確に互いに平行に延びているかまたは互いに予め設定された配置形態で配置されていて、予め設定された層厚さを有している。さらに、材料除去によって、第2の材料によるキャビティの充填時に第1の材料の硬化した一番上側の層の表面において、この表面と第2の材料が接触した場合に発生してしまう「汚れ」が取り除かれる。つまり、平面を越えて突出している領域の除去は、硬化した第1の材料と第2の材料とから成る混合層が常に所望の厚さを有していて、第1の材料の表面には、取り除くべき第2の材料が存在しないようにするために役立つ。このことは、成形品の、極めて正確でかつ歪みの少ない製造を可能にする。材料除去は、好ましくは切削加工により、特にいわゆるプレーナ(Dickenfraeser)、グラインダおよび/またはポリッシャを用いて行われる。
【0017】
実地に基づいて、確かに、成形品を、インクジェットプリンタによる層状の材料塗布によって低粘度の材料から製造する3D印刷法も公知である。この方法では、個々の材料層をそれぞれ、被着後に紫外線の照射によって硬化させる。これに加えて、すべての材料層の被着後に成形品の熱処理が実施され、この熱処理時に成形品における機械的な応力を消滅させ、成形品の材料はさらに幾分硬化する。しかしながら、この方法は、熱によって活性化可能な硬化剤を含有する材料の印刷には適してない。なぜならば、このような硬化剤が、3Dプリンタの印刷ヘッドにおいて発生する損失熱によって活性化され、その結果、材料が既に印刷ヘッドにおいて硬化し、印刷ヘッドを閉塞してしまうからである。したがって、公知の方法によって製造された成形品は、比較的低い機械的な強度しか可能にしない。
【0018】
本発明に係る方法では、成形品層のそれぞれの被着後、硬化した雌型層および硬化した成形品層の、基礎面に対して予め設定された間隔を置いて、好ましくは基礎面に対して平行に配置された平面を越えて突出している領域が、材料除去によって取り除かれる。したがって、本発明に係る方法によって、他のプロセスを要することなしに、成形品を1つのプリンタで完全に製造することができる。
【0019】
本発明によれば、個々の成形品層の主成分は、ステップd)において、それぞれエネルギを用いた処理によって、成形品層がその形状を維持する程度に部分的にまたは弱く架橋する。第2の材料の主成分は、エネルギを用いた処理によって架橋可能な少なくとも1つのモノマー、少なくとも1つのオリゴマーおよび/または少なくとも1つのポリマーを含んでいてよい。
【0020】
エネルギを用いた処理とは、適切な電磁放射、好ましくは紫外放射、電子放射および/またはイオン放射を意味している。紫外放射が利用される場合には、第2の材料が、好ましくは光開始剤を含有している。
【0021】
次いで行われる、熱によって引き起こされる化学的なステップh)において、第2の材料のゆっくりとした緩和および最終架橋が実施され、このステップにおいて、個々の成形品層の被着によって形成された成形品の主成分がさらに硬化する。主成分と硬化剤との組成は、好ましくは、予め設定された温度以上で初めて化学的な架橋が引き起こされるように調整される。この温度は、相応の硬化剤の選択によって調整可能である。この温度未満では、化学的な架橋はまったくまたは極めてゆっくりとしか行われない。このことは、材料混合物が、既に印刷モジュール内で架橋することなしに、材料混合物の十分に長い時間にわたる使いやすさを可能にする。
【0022】
熱処理は、好ましくは約100℃~200℃の温度、特に約120℃~180℃の温度で行われる。熱処理は、主成分および硬化剤の種類に応じて、15~90分、特に30~75分続く。その後、均一な材料から成形された成形品が得られる。
【0023】
ステップd)は、成形品のすべての層が被着された後に初めて実施されるので、単に1回の熱処理を行うだけでよい。本発明に係る方法は、成形品の迅速な形状取得と、成形品の高い機械的なかつ/または化学的な耐荷量とを可能にする。このことは、成形品の工業的な有用性のための基本条件である。
【0024】
BERLAC AG社( Allmendweg 39, 4450 Sissach, スイス国)によりインターネットにて公開された情報誌、題名「BERLAC DUAL CURE UV-KLARLACK」に基づいて、クリアニスのための2段階の硬化法が公知である。この方法では、一成分ニスが表面保護剤として単層法で成形済みの物体に塗布される。しかしながら、このニスは、まず熱によって物体に固定され、その後に初めて紫外線を用いて最終架橋される。
【0025】
本発明の好適な構成では、第1の材料の材料ポーションを、好ましくはインクジェット印刷法または粉末塗布法(粉末粒子移送)によって、基礎面に、かつ/または基礎面の上に位置している硬化した雌型層に、かつ/または硬化した成形品層に塗布し、第1の材料は、エネルギの作用によって硬化可能な材料であり、この材料に、雌型層の硬化のために、エネルギを加える。第2の材料は、熱によって活性化可能な硬化剤(架橋剤)を含有しており、この硬化剤は、既に高められた室温で容易に架橋反応を引き起こしてしまうので、第2の材料は、高解像度を有するインクジェットプリンタのノズルには適していない。既にインクジェットプリンタの印刷ヘッドの廃熱によって達してしまう高められた温度によって、第2の材料の粘度は、ゆっくりとではあるが継続的に上昇し、これによって、短い時間(数時間)のうちにインクジェットプリンタが機能不能になり、場合によっては、印刷ヘッドおよび/または第2の材料を印刷ヘッドに供給するための装置(供給管路、貯蔵容器)が損傷してしまう。本発明は、この重大な欠点を回避するために、単に低粘度の第1の(支持)材料から成る雌型だけが、例えばインクジェットプリンタを用いて層状に印刷され、エネルギを用いた処理によって架橋させられる。第1の材料の機械的な強度は、成形品の強度にとって意味がない。なぜならば、第1の材料はのちに取り除かれるからである。これに対して、成形品の本来の高粘度の第2の材料は、方法によって層状に、雌型の、高粘度の材料混合物を処理することができるキャビティ内に収容して架橋させることができる。
【0026】
方法の好適な実施形態では、硬化していない状態における第2の材料の粘度は、硬化していない状態における第1の材料の粘度よりも高く、場合によっては、少なくとも10倍ほど高く、特に少なくとも200倍ほど高く、好ましくは少なくとも2000倍ほど高く、かつ/または流動性の第1の材料と、流動性の、ペースト状の、または粉末状の第2の材料とは、固体部分を有しており、第2の材料の硬化していない状態における第2の材料の固体部分は、第1の材料の硬化していない状態における第1の材料の固体部分よりも高く、場合によっては、少なくとも10倍ほど高く、特に少なくとも200倍ほど高く、好ましくは少なくとも2000倍ほど高い。このことは、高い表面品質および表面精度ならびに同時に優れた機械的な強度を有している成形品の製造を可能にする。さらに、第2の材料は、球面状または繊維に似た形態の固体部分(添加剤)を含めて準備することができ、このような固体部分は、機械的なかつ/または電気的な特性を、固体部分を有しない相応の材料に比べて著しく高める。
【0027】
本発明の好適な構成では、第1の材料は、噴射のために適した作業粘度を有しており、この作業粘度は、1000mPa・sよりも僅かであり、特に100mPa・sよりも僅かであり、場合によっては30mPa・sよりも僅かであり、好ましくは10mPa・sよりも僅かであり、液滴の形態で少なくとも360dpiの解像度、特に少なくとも720dpiの解像度、好ましくは少なくとも1440dpiの解像度で、基礎面に、かつ/または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布される。このことは、成形品の高い表面品質を可能にする。第2の材料は、好ましくは室温に対して作業温度に高められ、これによって、第2の材料の流動性を変化させることができ、好ましくは第2の材料の流動性を高めるかまたは粘度を低下させることができる。その後、作業温度に加熱された第2の材料は、基礎面に、または基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布される。
【0028】
好ましくは、第2の材料の主成分は、少なくとも1つのエポキシド、少なくとも1つのオキセタン、少なくとも1つの機能性(メタ)アクリレート、少なくとも1つのビニルエーテル、またはこれらの材料のうちの少なくとも2つの材料から成る混合物を含んでいる。少なくとも1つのビニルエーテルは、Sを促進するための共反応樹脂(Coreactand)として働く。第2の材料はさらに、少なくとも1つの汎用の光開始剤および/または最終特性(強度、機械的な低い応力、化学的な耐性)を改善するための少なくとも1つの添加剤を含有していてよい。
【0029】
本発明の好適な実施形態では、潜伏性硬化剤は、ジシアンジアミドおよび/または酸無水物および/または少なくとも1つのブロックイソシアネートおよび/または少なくとも1つのカルボジイミドを含有している。これらの材料の選択によってまたはこれらの材料のうちの複数の材料の組合せによって、化学的な架橋を引き起こすために少なくとも必要な温度を調整することができる。
【0030】
硬化剤の濃度は、本発明の好適な構成では、第2の材料の0.2~5%の体積パーセント、特に1.2~4%の体積パーセント、好ましくは2.2~3%の体積パーセントである。好ましくは、硬化剤の濃度は、放射線硬化後におけるベース材料の機能性または強度に適合される。
【0031】
本発明の発展形態では、流動性の、ペースト状の、または粉末状の第2の材料を、幾何学データに関連して、部分選択的なデジタル式の被覆法/調量法によって雌型層に塗布し、第2の材料の少なくとも1回の材料ポーションを、少なくとも1つのキャビティ内に完全充填するように放出し、好ましくは、雌型層の、キャビティの外に位置している少なくとも1つの箇所を、第2の材料にまったくまたは僅かしか接触させないようにする。部分選択的な被覆法というのは、第2の材料が、キャビティ内において全面的に雌型層に、かつキャビティの外では雌型層の表面の部分領域にしか塗布されない被覆法を意味している。キャビティ内への第2の材料の充填は、弁またはこれに類した調整装置を用いて開放位置と閉鎖位置とに移動可能であるノズルを用いて行うことができる。キャビティとノズルの放出開口との間の相対位置に関連した弁の同期は、制御装置によって行うことができる。このことは、第2の材料が大面積で塗布される、つまり、キャビティの内部とキャビティの外部とに選択的に塗布されないアナログ式の被覆法と比較して好適である。第2の材料は、キャビティ内への充填時に、第1の材料とは別の特性を有していてよく、特に第2の材料は、この第2の材料が、基礎面に、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布される場合に、第1の材料が有している粘度よりも高い粘度を有していてよい。
【0032】
本発明の好適な構成では、第2の材料は、流体および少なくとも1つの添加剤を含む複合材であり、流体は、室温時に少なくとも50mPa・sの粘度、好ましくは少なくとも1000mPa・sの粘度を有し、添加剤は、流体内に配置されている固形粒子を有する。固形粒子は、繊維、特にカーボン繊維、ナノチューブ、ガラス球、黒鉛、スチロールブロックコポリマー、特に固体のスチロール-エチレン-ブチレン-スチロール(SEBS)、ナノ/マイクロ-粒子を、充填剤としてかつ/または高分岐ポリエステルオールおよび/またはこれらの混合物を含んでいてよい。複合材は、室温時にまたは加熱されて室温よりも高い温度時にキャビティ内に充填することができる。
【0033】
本発明の好適な構成では、第2の材料は、第1の材料よりも高い粘度および/または高い固体部分を有しており、第1の材料および第2の材料は、インクジェット印刷法によって、基礎面に、かつ/または基礎面の上に位置している硬化した雌型層および/または成形品層に塗布され、インクジェット印刷法では、第1の材料は少なくとも1つの第1のノズルから噴射され、第2の材料は少なくとも1つの第2のノズルから噴射され、第2のノズルの流出開口は、好ましくは、第1のノズルの流出開口よりも大きな横断面を有しており、かつ/または第2のノズルの流出開口には、第1のノズルの流出開口よりも高い作業圧が加えられ、特に第2のノズルの流出開口の直径は、第1のノズルの流出開口の直径よりも大きい。インクジェット印刷法というのは、第2の材料が圧電式の作動装置によって、パルス状にかつ/またはポーション状にノズルから噴射される(飛翔)印刷法を意味する。第2のノズルの比較的大きな横断面および/または比較的高い作業圧によって、高粘度の第2の材料のインクジェット印刷が可能になる。第1のノズルの流出開口の、第2のノズルの流出開口の横断面と比較して小さな横断面および/または第2のノズルの、第1のノズルの作業圧と比較して高い作業圧は、第1の材料を高解像度で基礎面に、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に塗布することを可能にする。
【0034】
ノズルは、第2の材料を塗布することが望まれている表面に対して小さな間隔を置いて配置される。ノズルの下にキャビティが位置すると、ノズルの材料通路からの第2の材料の流出が開始される。第2の材料がノズルから押し出され、ノズルに対する表面の相対的な移動時に第2の材料のストライプが表面に載置される。材料押出しの停止後、ノズルは表面への材料放出なしに移動する。
【0035】
本発明の発展形態では、第2の材料に圧力、特にガス圧を加え、こうして圧力下にある第2の材料を少なくとも1つの弁を介して少なくとも1つのノズルに案内し、ノズルの流出開口を基礎面に沿って支持部材に対して位置決めし、弁を、製造すべき成形品のために準備された幾何学データと、ノズルと支持部材との間の相対位置とに関連して制御し、流出開口が、第2の材料をノズルからキャビティに放出することができるようにキャビティに位置決めされている場合には、材料流を解放し、流出開口が、第2の材料をノズルからキャビティ内に放出することができないように位置決めされている場合には、材料流を遮断する。このとき、材料流は、キャビティのところでまたはキャビティの直前で解放することができ、キャビティから離れた場合またはキャビティから離れた直後に遮断することができる。弁は、電磁式にまたは圧電素子によって操作することができる。
【0036】
好ましくは、ノズルの流出開口は、キャビティの内部で延びている連続的なラインに沿って支持部材に対して移動され、液状の、流動性の、またはペースト状の第2の材料が、このラインに沿って流出開口からキャビティ内に連続的に放出される。このことは、連続的な材料塗布ひいては第2の材料によるキャビティの充填時における迅速な作業進行を可能にする。第2の材料は、それ自体公知の、連続的な搬送プロセスのために適したマイクロポンプを用いて、または第2の材料に圧力を加えることによって、ノズルに供給することができる。ノズル通路からの第2の材料の圧送は直接、高粘度のための圧電式の作動装置または(ノズル通路を開閉する)ノズル通路スライダのための圧電式の作動装置または通路内への圧縮空気または押圧ピストンの押込みによって行われる。圧縮空気は、電磁弁によって電磁式に活性化させることができる。
【0037】
本発明の発展形態では、第2の材料を、フレキソ印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、マイクロ調量法によって、ドクタおよび/またはチャンバドクタおよび/または粉末塗布法によって、非選択的にまたは部分選択的にキャビティ内に充填する。つまり、第2の材料は、アナログ式の被覆法によって、非選択的にまたは部分選択的にキャビティ内に充填される。非選択的な被覆法では、材料塗布の、幾何学的に方向付けられた制御が完全に省かれる。部分選択的な被覆法では、高い解像度が不要であるので、制御を極めて簡単に実現することができる。このことは、電子制御装置を極めて効果的に簡単化し、すべての方法の構成においてコスト低減のために役立つ。高粘度の印刷材料(予め複数の材料成分から混合される複合材料も)がノズルを用いて塗布される3D印刷法は、確かにそれ自体公知である。しかしながら、このとき、成形品は、電子的な見本(Vorlage)に相応して、つまり、雌型の使用なしに直接(デジタル式にかつ選択的に)印刷される。しかしながら、この3D印刷法は、低い印刷解像度しか可能でない。なぜならば、ノズルのノズル直径が、印刷材料の高い粘度に基づいて比較的大きくなくてはならないからである。
【0038】
本発明の発展形態では、キャビティ内に充填された第2の材料をその主成分の部分架橋前に固形粒子、特に繊維と接触させ、固形粒子を、キャビティ内に位置している第2の材料内に完全にかつ/または部分的に押し込む。これによって、第2の材料が強化される。固形粒子は、キャビティの充填後に初めて第2の材料と接触するので、固形粒子がノズルを閉塞させるおそれなしに、第2の材料を簡単にノズルによってキャビティ内に充填することができる。
【0039】
好ましくは、固形粒子を固形粒子層として転写ローラの周面に被着し、その後、被覆された周面を、固形粒子層が第2の材料と接触しかつ転写ローラの周面が第2の材料から間隔を置いて配置されているように、キャビティ内に充填された第2の材料の表面に密に位置決めする。第2の材料は、固形粒子とだけ接触し、転写ローラとは接触しないので、第2の材料が転写ローラに付着し続け、この転写ローラを汚染することが回避される。一方で固形粒子、他方で転写ローラの周面を帯電させることができる。このとき、固形粒子の電荷の極性は、転写ローラにある電荷の極性とは逆であり、これによって、固形粒子が、転写ローラの周面に付着し続けるかまたは転写ローラによって引き付けられる。キャビティ内に充填された第2の材料には、固形粒子の電荷の極性とは逆の極性を有している電荷が帯電されていてよい。これによって、固形粒子が第2の材料の近傍に達した場合または第2の材料と接触する場合に、固形粒子をローラの周面からより容易に剥離することができる。繊維は、コンベヤベルトによって供給することもできる。
【0040】
好ましくは、硬化した一番上側の雌型層および/または硬化した一番上側の成形品層を、材料除去時に発生した除去物に対してクリーニングする。これによって、平らで綺麗な表面が得られ、この表面に大きな精度で更なる材料層を塗布することができる。
【0041】
本発明の好適な実施形態では、基礎面を有する支持部材を材料塗布中にかつ場合によっては材料の硬化中に回転軸線を中心にして回転させ、好ましくは回転軸線に沿って移動させる。これによって、互いに上下に配置された多数の材料層を中断なしに印刷することができる。このことは、迅速な材料塗布を可能にし、高い製品品質に役立つ。
【0042】
本発明の好適な構成では、硬化した第1の材料を溶解することができる溶剤を準備し、雌型層を熱処理の実施前、実施中かつ/または実施後に溶剤と接触させ、硬化した第1の材料を溶剤内で溶解する。硬化した第2の材料は、溶剤内で溶解することはない。これによって、第1の材料を成形品から簡単に取り除くことができる。
【0043】
本発明の他の好適な構成では、雌型層を熱処理の実施前、実施中かつ/または実施後に、硬化した第1の材料の相転移によって成形品から取り除く。このとき、第1の材料は、例えば、加熱によって溶融され、場合によっては蒸発するワックスまたはこれに類した材料であってよい。
【0044】
さらに付言すると、第2の材料は粉末状に、基礎面に、かつ/または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層に被着することもできる。このとき、第2の材料は、貯蔵容器内に配置されていてよく、この貯蔵容器は、円筒軸線を中心にして回転駆動される転写ローラの周面によって部分的に画定される。転写ローラは、例えば充電コロナを用いて静電気帯電され、第2の材料内に含有された粉末粒子が転写ローラの周面に転写されて、そこで予め設定された厚さを有する静電気帯電された粉末層を形成するようになっている。粉末粒子の帯電は、例えば、いわゆる摩擦帯電効果によって、粉末粒子が接触摩擦によって制御可能な静電位を形成することにより得られる。基礎面、または三次元の成形品の、基礎面の上に位置している硬化した材料層は、粉末層の帯電形態(正または負)とは逆の帯電形態(負または正)によって静電気帯電され、転写ローラの周面のそばを密に通過し、粉末層の帯電された粉末粒子が、静電気によって生じた力によって、基礎面に、または基礎面の上に位置している硬化した材料層に転写され、雌型の1つまたは複数のキャビティ内に収容されるようになっている。キャビティ内において粉末粒子は、適切な固定剤によって固定される。固定時に粉末粒子は、互いにかつ基礎面に、または基礎面の上に位置している硬化した材料層に結合される。更なる処理ステップにおいて、硬化した雌型層および/または硬化した成形品層の、基礎面に対して予め設定された間隔を置いて配置された平面を越えて突出している領域が、材料除去によって取り除かれる。これについては既に上述してある。
【0045】
次に本発明の実施例を図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】層状の材料塗布によって三次元の成形品を製造するための、極座標の形態の好適な装置であって、種々様々な液状の硬化可能な材料を放出するための種々様々な放出装置を有している装置を示す図である。
図2】三次元の成形品を製造するための装置であって、第1の放出装置を有しており、この放出装置が、液状の第1の材料を層状に塗布するためのノズルと、フレキソ印刷装置または凹版印刷装置として構成された、液状の第2の材料を塗布するための第2の材料塗布ステーションとを有している、装置を示す側面図である。
図3図3A図3Fは、成形品の製造の種々様々な方法ステップ中の成形品を示す横断面図である。
図4】材料層の除去中の材料除去ユニットを示す側面図である。
図5】すべての材料層の塗布後の成形品の第1実施例を示す横断面図である。
図6】成形品の、第1の材料と第2の材料とから成る硬化した材料層を、概略的に示す図であって、層が透明に示されている図である。
図7】第1の材料の材料層と第2の材料の材料層とから成る積層体を示す斜視図である。
図8】溶剤を用いた第1の材料の材料層の取除き後の成形品を示す斜視図である。
図9】すべての材料層の塗布後の成形品の第2実施例を示す横断面図である。
図10】第1の材料の材料層の取除き後の成形品の第2実施例を示す横断面図である。
図11】フレキソ印刷装置の代わりに回転スクリーン印刷装置が設けられている装置を示す、図2に似た側面図である。
図12】フレキソ印刷装置の代わりにチャンバドクタ被覆装置が設けられている装置を示す、図2に似た側面図である。
図13】装置の第2の放出装置が複数のプリンタ構成群を有しており、これらのプリンタ構成群によって、それぞれ複数の異なる材料から成る成形品層が製造可能である装置を示す、図2に似た図である。
図14】円筒形の被覆ローラを示す図である。
図15】円錐形の被覆ローラを示す図である。
図16】フレキソ印刷装置の代わりに高粘度のためのインクジェット印刷装置が設けられている装置を示す、図2に似た側面図である。
図17】フレキソ印刷装置の代わりにマイクロ調量/被覆装置が設けられている装置を示す、図2に似た側面図である。
図18図17の一部を拡大して示す図であって、第2の材料によるキャビティの充填時のノズルを示す図である。
図19図17に示された構成要素に加えて固形粒子を塗布するための装置を有している、マイクロ調量/被覆装置を示す図である。
図20図19の一部を拡大して示す図であって、固形粒子を塗布するための装置を示す図である。
図21】固形粒子を塗布するための装置を有している、三次元の成形品を製造するための装置を示す側面図である。
図22】第2の放出装置が、異なる材料成分のための複数のリザーバと材料成分を混合するための混合器とを有している装置を示す、図2に似た図である。
図23】第2の材料を塗布するための印刷ヘッドモジュールを概略的に示す図である。
図24】第2の材料が充填されたキャビティを示す図である。
図25】円形の流出開口を有しているノズルを備えたマイクロ調量ユニットを示す図である。
図26】被覆面増大のための方形の流出開口を有しているノズルを備えたマイクロ調量ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
層状の材料塗布によって三次元の型および三次元の成形品1を製造するための方法では、成形品1のための幾何学データが、ソフトウエアを実行するコンピュータに接続されている制御ユニットによって準備される。さらに、成形品1を載せるための水平面に配置された基礎面3を備えたプレート状の支持部材2が準備される。図1において分かるように、基礎面3はほぼ円環ディスクの形状を有している。しかしながら、また、基礎面3が、特に完全円形ディスクの形状を有していてよいかまたは方形に構成されていてよい他の構成も考えられる。
【0048】
さらに、この方法では、硬化可能な液状の第1の材料4と、第1の材料とは異なる硬化可能な液状の第2の材料5と、硬化した第1の材料4のための溶剤としての水とが準備される。硬化した第2の材料5は、溶剤内では溶解不能である。第1の材料4は、ポリマーと、紫外線による処理時にポリマーを架橋させる光開始剤とを含んでいる。
【0049】
第2の材料5は、第1の材料4よりも高い粘度を有しており、主成分として、光架橋剤と混合されているエポキシドを含んでいる。光架橋剤は、紫外線による処理時に主成分を架橋させる。光架橋剤に加えて、第2の材料5は、熱によって活性可能な潜伏性硬化剤を含んでおり、この硬化剤は、最低120°の温度への第2の材料5の加熱時に主成分の化学的な架橋を引き起こす。
【0050】
液状の第1の材料4は、第1のリザーバ6内に配置されており、液状の第2の材料5は、第2のリザーバ7内に配置されている。好ましくは、更なる材料リザーバを使用することも可能であり、これらの材料リザーバは他の材料を含んでいて、場合によって存在している材料混合をさらに拡張する。第1のリザーバ6は、管路を介して第1の材料4のための第1の放出装置8に接続されている。図2において認識できるように、第1のリザーバ6は、ほぼ閉鎖された容器として形成されていて、第2のリザーバ7は槽として形成されている。
【0051】
第1の放出装置8は、一列に配置された多数のノズル(図面には詳しく図示せず)を備えた第1のインクジェット印刷ヘッドを有しており、ノズルは、第1の材料4の材料ポーションを放出するために、基礎面3に、もしくは第1の材料4および/または第2の材料5の、基礎面3の上に位置している硬化した材料層に向けられている。ノズル列は、基礎面3の平面に対して平行に配置されており、基礎面3の周方向に対して横方向に、好ましくは基礎面3の中心に対してほぼ半径方向に延在している。
【0052】
支持部材2と第1の放出装置8とは、第1の位置決め装置9によって矢印10の方向および矢印10とは逆方向に互いに相対的に回転可能であり、かつ回転軸線11に対して平行に移動可能である。このとき、基礎面3に位置していて、回転軸線11から間隔をおいて位置している点は、渦巻き状または螺線状の軌道曲線に沿って移動する。
【0053】
第1の放出装置8および第1の位置決め装置9は、制御装置(図面には詳しく図示せず)に接続されており、この制御装置は、製造すべき成形品1の幾何学データを記憶するためのデータメモリを有している。第2の材料5による選択的なまたは部分選択的な充填時に、幾何学データは、同様にノズルまたはこれに類した放出要素の作動または停止のために評価されかつ使用される。
【0054】
制御装置を用いて、第1の材料4の材料ポーションの放出および第1の位置決め装置9は、幾何学データに関連して、流動性の第1の材料から成る雌型層12が、基礎面3に、もしくは第1の材料4および/または第2の材料5の、予め基礎面3の上に被着されている硬化した材料層に被着可能であるように制御可能である(図3A)。このとき、雌型層12は、それぞれ少なくとも1つのキャビティ13を有しており、このキャビティ13は、成形品1の製造すべき材料層の雌型を有している。キャビティ13は、それぞれ該当する雌型層12の全層厚さにわたって基礎面3に至るまでまたは雌型層12の下に位置している硬化した材料層に至るまで延在している。
【0055】
矢印10の方向において第1の放出装置8の下流側には、第1の硬化装置14が配置されており、この第1の硬化装置14によって、基礎面3、またはその上に位置している硬化した材料層に塗布された液状の第1の材料4は硬化可能である。第1の硬化装置14は、この目的のために、第1の紫外線源(図面には詳しく図示せず)を有しており、この第1の紫外線源を用いて紫外線は、第1の材料内に含まれた光架橋剤が活性化され、かつ第1の材料4内に含まれたポリマーが架橋するように、第1の材料の硬化すべき材料層に照射可能である。
【0056】
矢印10の方向において第1の硬化装置14の下流側には、第2の放出装置15が配置されており、この第2の放出装置15によって、予め硬化したそれぞれの雌型層12のキャビティ13が第2の材料5によって満たされ、これによって、成形品層16を形成することができる(図3B)。図2に示された実施例では、第2の放出装置15はフレキソ印刷装置として構成されている。
【0057】
この第2の放出装置15は、フレキソ印刷ローラとして構成された転写体17と、第2のリザーバ7に接触している被覆装置18とを有しており、この被覆装置18によって、転写体17の少なくとも1つの表面領域が、第2の材料5の層19によって被覆可能である。第2の位置決め装置によって、円錐形に形成された転写体17は仮想の回転軸線を中心にして回転可能であり、これにより、第2の材料5の、転写体17の周面に位置している層19が、キャビティ13の底部および内壁と接触し、これにより、流動性の第2の材料5はキャビティ13内に充填され、次いで、成形品層16を形成するようになっている。成形品層16は、製造すべき成形品1の1つの層の、層12の雌型とは逆の雄型を有している。
【0058】
その後、こうして得られた成形品層16を第2の硬化装置21によって硬化させる。図1において分かるように、第2の硬化装置21は矢印10の方向において第2の放出装置15の下流側に配置されている。第2の硬化装置21は第2の紫外線源を含んでおり、この第2の紫外線源を用いて、紫外線が成形品層16に照射可能であり、これによって、第2の材料を、その中に含有されたポリマーの架橋によって、成形品層16から製造すべき成形品1がその形状を維持するように硬化させることができる。
【0059】
その後、更なる方法ステップにおいて、硬化した雌型層12および/または硬化した成形品層16の領域および/または雌型層に配置されている硬化した第2の材料5が、プレーナ22を用いて取り除かれる(図3C図4)。このとき、硬化した第1の材料4および/または第2の材料5の、基礎面3に対して予め設定された間隔を置いて基礎面3に対して平行に配置された平面を越えて突出している領域が、材料除去によって取り除かれ、次いで、サクションノズル23を用いて吸引される。必要な場合には、サクションノズル23の下流側に表面クリーニング装置20が配置されていてよい。
【0060】
いま、相応して、硬化した雌型層12および成形品層16の表面に更なる雌型層12(図3D)および更なる成形品層16(図3E図3F)が被着される。これらのステップは、製造すべき成形品のすべての成形品層16が得られるまで繰り返される(図5図8)。
【0061】
更なる方法ステップにおいて、雌型層12は、硬化した第1の材料4が溶剤33内で完全に溶解するように、溶剤33と接触する。このことは、例えば、雌型層12と成形品層16とから成る積層体が、予め設定された時間、容器34内にある溶剤33内に浸漬されることによって達成することができる。その後、完成した成形品(図8)が、溶剤33から取り出されて乾燥される。
【0062】
雌型の取除き後に熱処理が実施され、この熱処理時に、互いに上下に積層された成形品層16から成る成形品1が、第2の材料5に適合された温度に段階的に加熱され、この温度において、第2の材料5内に含有された硬化剤が、第2の材料5の主成分の化学的な架橋を引き起こす。熱処理の実施のために、成形品1は、好ましくは炉35内に移動され、そこで15~90分であってよい予め設定された時間、例えば130℃の予め設定された温度に保たれる。この時間および温度は、使用される材料混合物において可変である。
【0063】
このとき、主成分は最終架橋し、緩和下において硬化し、これによって、第2の材料5は、溶剤33との接触前に硬化した第1の材料4が有していた強度よりも高い強度を有する。最終架橋はゆっくりと行われ、これによって、主成分における機械的な応力が回避されるかまたは消滅する。
【0064】
図9および図10において分かるように、本発明に係る方法によって、オーバハング25および中空室26を備えた成形品をも製造することができる。
【0065】
第2の材料5は、スクリーン印刷法でもキャビティ13内に充填することができる。図11において分かるように、転写体18は回転スクリーン印刷ローラとして構成されている。この回転スクリーン印刷ローラは、穿孔されたスクリーン状の周面を有している。第2のリザーバ7は、回転スクリーン印刷ローラの内部空洞内に配置されている。
【0066】
周面に設けられたパーフォレーション孔はその寸法に関して、第2の材料5が回転スクリーン印刷ローラの円筒壁の内周面に線接触するドクタ24を用いて押圧されてパーフォレーション孔を貫通できるように、第2の材料5の粘度に適合されている。ドクタ24の作用領域の外側では、第2の材料5はパーフォレーション孔を貫いて進出しない。放出箇所の下流側に配置されたクリーニング装置が、回転スクリーン印刷ローラで取り込まれなかった材料を取り除き、取り除かれた材料を再使用のために循環路に案内する。その他の点において、図11に示された装置は図2に示された装置に相当しているので、図2の記載は図11に対して相応に通用する。
【0067】
第2の材料5は、チャンバドクタ法でもキャビティ13内に充填することができる。図12において分かるように、転写体18はドクタローラとして構成されていて、このドクタローラの外周面にはチャンバドクタ32が配置されている。ドクタローラは、相応に彫られた、材料収容のために準備された周面を有している。その他の点において、図12に示された装置は図2に示された装置に相当しているので、図2の記載は図12に対して相応に通用する。
【0068】
図13に示された実施例では、第1のリザーバ6と、第1の放出装置8と、第1の硬化装置14とから成るアセンブリは、図2におけるアセンブリに相応している。すなわち、第1の材料4はインクジェット印刷ヘッドによって塗布される。第1の放出装置8には、複数のプリンタ構成群37,37’が割り当てられており、これらのプリンタ構成群37,37’は、支持部材2の搬送方向36において第1の放出装置8の上流側に配置されている。すなわち、基礎面3、または基礎面3の上に位置している硬化した材料層の、積層すべき個々の領域は、それぞれ最初に第1の放出装置8のそばを通過し、その後に初めてプリンタ構成群37,37’のそばを通過する。そのために、それぞれのプリンタ構成群37,37’は、それぞれ1つの第2の放出装置15,15’と、フレキソ印刷ローラとして構成された転写体17,17’と、被覆装置18,18’とを含んでいる。したがって、第2の放出装置15,15’の構造は、図2に示された第2の放出装置15の構造に相当している。
【0069】
それぞれの第2の放出装置15;15’には、それぞれ複数の第2のリザーバ7A,7B,7C;7A’,7B’,7C’が割り当てられており、これらの第2のリザーバ7A,7B,7C;7A’,7B’,7C’内には、互いに異なる材料成分4A,4B,4C;4A’,4B’,4C’が貯蔵されており、これらの材料成分4A,4B,4C;4A’,4B’,4C’から、該当する第2の材料5,5’が混合によって製造可能である。それぞれの第2の放出装置15;15’の第2のリザーバ7A,7B,7C;7A’,7B’,7C’は、それぞれ割り当てられた調量器38A,38B,38A’,38B’を介して混合器39,39’の流入開口に接続されている。混合器39,39’の流出開口は、割り当てられた第2の放出装置15,15’に接続されている。調量器38A,38B,38A’,38B’の制御入力部は、制御線路を介して制御装置40に接続されている。制御装置40によって、個々の材料成分4A,4B,4C;4A’,4B’,4C’の調量は、成形品の製造プロセス中に、データメモリに記憶された場所に関連した材料データに関連してプログラム制御されて変化させることができ、これによって、材料成分4A,4B,4C;4A’,4B’,4C’の混合比を、第2の材料5,5’のそれぞれ所望の材料特性に相応して調整することができる。これによって、特に、第2の材料5から製造された材料層の強度を、階段状に材料層ごとに複数の材料層にわたって第1の強度値から第2の強度値へと高めること(または低減すること)ができ、これによって、成形品の材料のより大きな急激な強度変化を回避することができる。
【0070】
図13において分かるように、それぞれのプリンタ構成群37,37’はさらに、それぞれに割り当てられた第2の硬化装置21,21’と、プレーナ22,22’と、表面クリーニング装置20,20’とを有している。これらの構成要素に関しては、図11の記載が図13に対して相応に通用する。
【0071】
さらに述べておくと、プリンタ構成群37,37’は双方向矢印41の方向において基礎面3に対して横方向に基礎面3に対して位置決め可能である。
【0072】
直交座標系の方法では、被覆装置18のローラは円筒形の形状を有している(図14)のに対して、極座標系の方法では、ローラは円錐形の形状を有している(図15)。
【0073】
第2の材料5は、インクジェット印刷法でもキャビティ13内に充填されてよい(図16)。第2の放出装置15は、この目的のために、一列に配置された多数のノズルを備えた第2のインクジェット印刷ヘッドを有しており、これらのノズルは、第2の材料5の材料ポーションを放出するために、基礎面3、もしくは第1の材料4および/または第2の材料5の、基礎面3の上に位置している硬化した材料層に向けられている。ノズル列は、基礎面3の平面に平行に配置されていて、基礎面3の周方向に対して横方向に、好ましくは基礎面3の中心に対してほぼ半径方向に延在している。第2の材料5は、第1の材料4よりも高い粘度を有しているので、第2のインクジェット印刷ヘッドのノズルは、第1のインクジェット印刷ヘッドのノズルよりも大きな横断面を有している。比較的大きなノズル横断面を有する代わりにまたはそれに加えて、第2のインクジェット印刷ヘッドのノズルでは、第1のノズルよりも高いノズル圧で作業を行うことが可能である。インクジェット印刷ヘッドに対する支持部材2の位置決めは、図1に相応して位置決め装置を用いて行われる。第2の材料5の噴出は、インクジェット印刷ヘッドと支持部材2との間の相対位置と、製造すべき成形品1のために準備された幾何学データとに関連して制御される。
【0074】
図17に示された実施例では、第2の材料5はノズル法でキャビティ13内に充填される。ノズル法では、高粘度の第2の材料5が、室温でガス圧を用いてノズル出口を通して圧送される。ノズル27(図18)に対する支持部材2の位置決めは、図1に相応して位置決め装置9によって行われる。ノズル27からの第2の材料5の噴出は、ノズル27と支持部材2との間の相対位置と、製造すべき成形品1のために準備された幾何学データとに関連して制御される。第2の材料がキャビティ13内に充填された後、第2の材料は冷却によって硬化する。
【0075】
図19に示された実施例では、キャビティ13内に充填された第2の材料5は、その主成分の部分架橋の前に、繊維状の固形粒子42と接触し、これによって、固形粒子42が、キャビティ13内に位置している第2の材料5内に押し込まれる。装置は、この目的のために、第2の放出装置15と第2の硬化装置21との間に配置された、固形粒子42を塗布するための装置45を有している。固形粒子42は、下側において転写ローラ44の周面によって画定される貯蔵容器43内に配置されている。転写ローラ44は、支持部材2の基礎面3に対して平行にかつ基礎面3の搬送方向36に対して直角に配置された回転軸線を中心にして、矢印46の方向に回転駆動されている。貯蔵容器43の側壁47と転写ローラ44の周面との間には、固形粒子42は通過する間隙が配置されている。貯蔵容器43内に位置している固形粒子42のそばを転写ローラ44の周面が通過すると、固形粒子42は固形粒子層48として転写ローラ44の周面に被着される。
【0076】
図20において分かるように、転写ローラ44の周面は、キャビティ13内に充填された流動性の第2の材料5の表面に密に位置決めされ、これによって、固形粒子層48は第2の材料5と接触するが、転写ローラ44は第2の材料5と接触しないようになっている。転写ローラ44は、少なくともその周面において導電性材料から成っており、この導電性材料には正の電位が印加される。固形粒子42は負に帯電される。付加的に、基礎面、または第2の材料の、転写ローラ44に向けられた表面は、静電気によって正に帯電され、これによって、固形粒子42が静電荷の電場に達した場合に、基礎面、または第2の材料の、転写ローラ44に向けられた表面が、固形粒子42を引き付ける。
【0077】
図21に示された実施例が、図19に示された実施例と異なっているのは、ノズル27を有している第2の放出装置15の代わりに、フレキソ印刷ローラとして構成された転写体17を備えた放出装置15が設けられていることである。この放出装置15の構造は、図13に示された第2の放出装置15の構造に相当している。すなわち、第2の材料5は、印刷プロセス中に複数の材料成分4A,4B,4Cから混合される。図21に示された実施例は、単に1つのプリンタ構成群37しか有していない。しかしながら、また、固形粒子42を塗布するためのそれぞれ1つの装置45を有している複数のプリンタ構成群37が相前後して配置されていてよい他の構成も可能である。相応のことは、図19に示された装置に対して通用する。
【0078】
図22において分かるように、放出装置15は、混合器39を介して複数の第2のリザーバ7A,7B,7Cまたは7A’,7B’,7C’に接続されていてもよく、これらの第2のリザーバ7A,7B,7C内には、互いに異なる材料成分4A,4B,4Cが貯蔵されている。第2のリザーバ7A,7B,7Cはそれぞれ、第2のリザーバ7A,7B,7Cに割り当てられた調量器38A,38Bを介して混合器39,39’の流入開口に接続されている。混合器39,39’の流出開口は、第2の放出装置15に接続されている。調量器38A,38Bの制御入力部は、制御線路を介して制御装置40に接続されている。制御装置40によって、個々の材料成分4A,4B,4Cの調量は、成形品1の製造プロセス中に、データメモリに記憶された場所に関連した材料データに関連してプログラム制御されて変化させることができる。
【0079】
第2の材料5は、マイクロ調量法によってキャビティ13内に充填することもできる。図23において分かるように、第2のリザーバ7は、例えば空気圧源であってよいガス圧源28に接続されており、これによって、第2の材料5を圧力下にもたらすことができる。リザーバ7は、開放位置および閉鎖位置に移動可能なそれぞれ1つの弁30が内部に配置されている管路29を介して、材料放出のためのノズル27に接続されている。ノズル27の流出開口は、基礎面3に対して僅かな間隔を置いて配置され、基礎面3に沿って支持部材2に対して位置決めされる。個々の弁30はそれぞれ、製造すべき成形品1のために準備された幾何学データと、ノズル27と支持部材2との間の相対位置とに関連して制御され、ノズル27の流出開口がキャビティ13に位置決めされている場合に、第2の材料5の材料流が解放されるようになっている。材料流は、ノズル27の流出開口がキャビティ13に位置していない場合には遮断される。
【0080】
図23において分かるように、複数のマイクロ調量ユニット31が設けられていてよく、これらのマイクロ調量ユニット31の弁30のそれぞれの入口は、管路29を介して第2のリザーバ7に接続されている。それぞれのマイクロ調量ユニット31は、該当する弁30の出口に接続されているそれぞれ1つのノズル27を有している。これらのノズル27は、複数の列および/または複数の行を成してマトリックス状に配置されている。弁30は、キャビティ13が第2の材料5によって面状に覆われるように制御される(図24)。ノズル27は、円形(図25)のまたは角張った、好ましくは方形(図26)の流出開口を有していてよい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26