(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】冶金鋳造設備
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
(21)【出願番号】P 2021535176
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2019085621
(87)【国際公開番号】W WO2020127244
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-29
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500180226
【氏名又は名称】ベスビウス グループ,ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】ダビード カロシェッリ
(72)【発明者】
【氏名】マリアーノ コッルラ
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン デルシーネ
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-508224(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009050216(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0045106(US,A1)
【文献】特開平07-308883(JP,A)
【文献】特表2014-508051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット(20)を備える冶金鋳造設備であって、前記ロボット(20)が、結合要素(29)によって前記ロボットのアームに結合されたハンドリングツール(21)を備え、前記結合要素が、
・前記ハンドリングツール(21)に剛性的に結合されたツールインターフェース(2)と、
・前記ロボットの前記アームに剛性的に結合されたロボットインターフェース(1)と、を備える冶金鋳造設備において
a)前記結合要素(29)のコンプライアンスが、前記ツールインターフェース(2)に負荷を加えると、前記ツールインターフェース(2)を第1、第2、および第3の直交空間軸X1、X2、X3のうちの1つ以上に沿って並進させることによって、および/または第1、第2、および第3の直交空間軸X1、X2、X3のうちの1つ以上を中心に回転させることによって、前記ロボットインターフェース(1)に対して移動させることができるように制御することができることと、
b)前記結合要素(29)は、前記負荷が解放されると、前記ツールインターフェース(2)が、前記ツールインターフェース(2)と前記ロボットインターフェース(1)とを離隔するリセット距離Drに対応する、前記ロボットインターフェース(1)に対するリセット位置に戻るという点で弾性的であることと、
c)前記結合要素(29)が、長手軸Z1に沿って延在する少なくとも1つのアンカーロッド(3)を備え、
i.前記アンカーロッド(3)が、前記ロボットインターフェース(1)
および前記ツールインターフェース(2)
のうちの一方からなる第1のインターフェースに剛性的に固定された固定端を備え、前記第1のインターフェースが、前記
アンカーロッド
(3)の前記長手軸Z1を横断する平面(X2、X3)を画定し、
ii.前記アンカーロッド(3)が、前記ロボットインターフェース(1)および前記ツールインターフェース(2)のうちの他方からなる第2のインターフェースの通路(4)に挿入されたアンカー端部分(31)を備え、前記アンカーロッド(3)および前記通路(4)が、前記ツールインターフェース(2)を少なくとも前記第1の
直交空間軸X1に沿って前記ロボットインターフェース(1)から離れるようにおよび前記ロボットインターフェース(1)に向かうように移動させるよう、互いに対して自由に並進移動し、
iii.前記通路(4)は、前記ツールインターフェース(2)が前記ロボットインターフェース(1)から最大距離D1まで離れて移動することができる距離を制限するために、前記アンカー端部分(31)に当接するための、前記アンカー端部分(31)の直径よりも小さい直径を有する、当接部分(41)を備え、
iv.前記結合要素(29)が、調整可能なコンプライアンスレベルを有するコンプライアンス要素(5)を備え、前記コンプライアンス要素が、前記ロボットインターフェース(1)と前記ツールインターフェース(2)との間に位置し、前記ロボットインターフェース(1)および前記ツールインターフェース(2)のうちの少なくとも1つに結合されていることと、
d)前記結合要素の前記コンプライアンス要素が、変形可能な壁を有する密閉された膨張可能なチャンバ(5)であり、前記密閉された膨張可能なチャンバ(5)が、前記ツールインターフェース(2)と前記ロボットインターフェース(1)との間の距離が前記最大距離D1に等しい圧力までの可変圧力に膨張することができることと、
を特徴とする、冶金鋳造設備。
【請求項2】
前記コンプライアンス要素(5)が、前記ロボットインターフェース(1)に対する前記ツールインターフェース(2)の前記リセット位置が、前記第1の
直交空間軸X1に沿って調整可能であるように構成されており、前記リセット位置が、前記ロボットインターフェース(1)と前記ツールインターフェース(2)との間の、前記最大距離D1以下の距離に対応する位置範囲で調整可能である、請求項1に記載の冶金鋳造設備。
【請求項3】
前記結合要素(29)の前記コンプライアンス要素(5)は、前記リセット位置が、前記ロボットインターフェース(1)と前記ツールインターフェース(2)との間の、前記最大距離D1よりも短い距離に対応する中間位置で調整されるときに、前記第1の
直交空間軸X1の両方向にコンプライアンスを提供するように構成されている、請求項2に記載の冶金鋳造設備。
【請求項4】
前記密閉された膨張可能なチャンバ(5)が、前記ロボットインターフェース(1)および前記ツールインターフェース(2)に固定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の冶金鋳造設備。
【請求項5】
前記結合要素が、複数のアンカーロッド(3)を備え、前記アンカーロッドが、前記コンプライアンス要素の周りに分散されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の冶金鋳造設備。
【請求項6】
前記アンカーロッド(3)および前記通路(4)は、前記ツールインターフェース(2)がD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるときに、前記第2のインターフェースの前記通路(4)が、前記第1のインターフェースに固定された前記アンカーロッド(3)に対して前記第2の
直交空間軸X2に沿って自由に並進移動するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の冶金鋳造設備。
【請求項7】
前記アンカーロッド(3)および前記通路(4)は、前記ツールインターフェース(2)がD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるときに、前記第2のインターフェースの前記通路(4)が、前記第1のインターフェースに固定された前記アンカーロッド(3)に対して前記第3の
直交空間軸X3に沿って自由に並進移動するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の冶金鋳造設備。
【請求項8】
前記アンカーロッド(3)および前記通路(4)は、前記ツールインターフェース(2)がD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるときに、前記第2のインターフェースの前記通路(4)が、前記第1のインターフェースに固定された前記アンカーロッド(3)に対して前記第1の
直交空間軸X1を中心に自由に回転するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の冶金鋳造設備。
【請求項9】
前記アンカーロッド(3)および前記通路(4)は、前記ツールインターフェース(2)がD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるときに、前記第2のインターフェースの前記通路(4)が、前記第1のインターフェースに固定された前記アンカーロッド(3)に対して前記第2の
直交空間軸X2を中心に自由に回転するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の冶金鋳造設備。
【請求項10】
前記アンカーロッド(3)および前記通路(4)は、前記ツールインターフェース(2)がD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるときに、前記第2のインターフェースの前記通路(4)が、前記第1のインターフェースに固定された前記アンカーロッド(3)に対して前記第3の
直交空間軸X3を中心に自由に回転するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の冶金鋳造設備。
【請求項11】
前記アンカーロッド(3)の前記長手軸Z1が前記第1の
直交空間軸X1に平行であり、前記通路(4)内の前記少なくとも1つのアンカーロッド(3)の前記アンカー
端部分(31)および前記当接部分(41)は、前記ツールインターフェース(2)が前記最大距離D1まで前記第1の
直交空間軸X1に沿って前記ロボットインターフェース(1)に対して並進されるときに、前記
アンカーロッド(3)の前記長手軸Z1が前記通路(4)の長手軸Z2と自動的に整列するように、自動調心機構として構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の冶金鋳造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金鋳造設備に関する。冶金鋳造設備は、ロボットと、結合要素によってロボットのアームに結合されたハンドリングツールとを備える。
【背景技術】
【0002】
先行技術の説明
冶金産業では、ますます多くのタスクがロボットによって実行される。しかしながら、一部のタスクは、現在の冶金ロボットの能力を超えた精度と器用さとを必要とするため、依然として人間のオペレータによって実行される。しかしながら、これは厳しい労働である。高温で強度を必要とする時間的圧力下での重量物のハンドリングは、人間の労働者の健康に有害である可能性がある。さらに、人為的なエラーは、このようなストレスが多い条件下でなされ得る。冶金産業以外の産業では、ロボットのアームをハンドリングツールに結合するコンプライアンス結合要素が使用されている。アームツールの端部の位置がロボットのアームの精度を超えて微調整される必要がある場合、そのようなコンプライアンス結合要素は、ハンドリングツールとロボットによってハンドリングされる要素との間のわずかな相対的な位置ずれまたは芯ずれを補償することができる。
【0003】
文献US2017/0045106は、ワークピースにラベルを適用することなどの用途のために、ツールをロボットに結合するためのコンプライアンス結合要素を開示している。しかしながら、このようなコンプライアンス結合要素は、金属鋳造設備における用途のために使用されるように適合されていない。冶金産業は、実際には、ロボットによってハンドリングされる要素の重い重量および比較的大きいサイズによって、かつまた、金属形成プロセスによって通常必要とされる高い機械的応力および高温に起因するそのような要素の高い変形によって特徴付けられる。本先行技術文献からのコンプライアンス結合要素は、高い負荷を負担し、冶金鋳造施設の要素の大きなサイズと一致するように適合されていない。
【0004】
文献US2017/0045106では、結合要素は、ロボットアームに取り付けられるベース構成要素またはロボット結合インターフェースと、ベース構成要素に取り付けられるコンプライアンス構成要素またはツール結合インターフェースとを備える。コンプライアンス構成要素は、係合負荷からの機械力に応答して、ベース構成要素に対して、軸方向に、横方向に、回転方向に、および傾斜して、少なくともある程度移動することができる。負荷が係合解除されるとき、コンプライアンス構成要素は、コンプライアンス構成要素がベース構成要素から間隔を空けているが、ベース構成要素と平行である、リセット位置に戻る。
【0005】
結合要素のコンプライアンスは、ベース構成要素を押し付けるピストンによって提供され、空気圧ポートを有するチャンバ内に配置されており、コンプライアンスレベルは、ピストンの後ろのチャンバ内の空気圧を変化させることによって変更することができる。ピストンは、コンプライアンス構成要素をリセット位置の間隔をあけた位置に戻す。コンプライアンス構成要素の対応する円錐面でベース構成要素シートに固定されたショルダーボルトまたはアンカーロッドは、リセット位置の横方向および回転方向の構成要素を画定する。リセット位置では、ショルダーボルトは、空気圧チャンバ内の十分な圧力のおかげで存在する場合、およびばね付勢の下で、ピストンによって円錐面内に着座するように付勢される。ばねは、実際には、コンプライアンス構成要素の円錐面をベース構成要素に固定されたボルトのショルダー部分に押し付けるように、ベース構成要素とコンプライアンス構成要素との間に挿入される。
【0006】
この構成では、コンプライアンス要素に印加される均一な圧縮負荷の下で、結合要素の軸方向のコンプライアンスが、ばねの圧縮および空気圧チャンバ内のピストンの格納位置を同時に必要とするため、ばねおよび空気圧チャンバは、したがって平行に配置される。コンプライアンス要素に印加される不均一な圧縮負荷の下で、異なるばねは、ベース構成要素に対するコンプライアンス構成要素の非平行な位置決めを可能にするように、異なるレベルの圧縮を受けることができる。この配置では、したがって、ばねは、コンプライアンス構成要素を不均一な圧縮負荷下で、そのリセット位置に確実に戻すために不可欠な要素である。しかしながら、このようなばねは、特に冶金施設の過酷な条件下で摩耗しやすい。さらに、ボルトのショルダー部分に対してコンプライアンス構成要素の円錐面を動かすこのようなばねの存在は、引張応力の印加下での結合要素のコンプライアンスの欠如をもたらす。ボルトのショルダー部分は、実際には、コンプライアンス構成要素がベース構成要素から離れて移動するのを防止する。
【0007】
文献EP2500150は、ロボットが容器から部品を選択するなどの用途のために使用することができる、ロボットのためのアームツールのコンプライアンス端部を開示している。アームのコンプライアンス端部は、ロボット結合インターフェースとツール結合インターフェースとの間に挟まれたコンプライアンスデバイスを備える。一実施形態では、コンプライアンスデバイスは、加圧空気を有するゴムチューブまたは空気袋であり得る。産業繊維またはケーブルなどのテザーは、2つの結合インターフェース間のコンプライアンスデバイスを収容するために使用され得る。テザーを使用して、アームツールのコンプライアンス端部のコンプライアンスレベルを制御することもできる。本先行技術文献による別の実施形態では、コンプライアンスデバイスは、ばねまたは圧縮性材料であってもよい。これにより、アームツールの端部の構造は明らかに簡素化されるが、一方で、これは、コンプライアンスのレベルを動的に変更する可能性を排除する。しかしながら、本先行技術文献に開示されているコンプライアンス結合要素は、高剪断応力に耐えるようには装備されていない。したがって、これらの結合要素は、アームツールの端部が重い重量で様々な要素をハンドリングすることができる必要がある冶金用途に適合していない。
【0008】
文献EP0621087は、ロボットを備える鋳造設備を開示し、ロボットは、冶金容器の摺動ゲートを保持し、その置き換えを実行するように適合されている。ロボットは、ハンドリングツールと、ハンドリングツールとロボットの本体との間のインターフェースに対応する結合プレートとを備える。ロボットとハンドリングツールとの間のインターフェースは、剛性のある結合である。したがって、ロボットは、ハンドリングツールとハンドリングされる摺動ゲートとの間の相対的な位置決めミスまたは位置合わせミスの場合に許容差がないため、ハンドリングツールを操作するときに非常に高い精度を必要とする。
【0009】
文献DE10/2009/050216はまた、ロボットを備える鋳造設備を開示し、ロボットは、冶金容器の摺動ゲートを保持するように適合されている。ロボットとハンドリングツールとの間のインターフェースが剛性のある結合であるので、ハンドリングツールとハンドリングされる摺動ゲートとの間の相対的な位置決めミスまたは位置合わせミスの場合に許容差がないため、またしてもロボットはハンドリングツールを操作するときに非常に高い精度を必要とする。
【発明の概要】
【0010】
ハンドリングツールを有するロボットを備えた冶金設備を提供することが本発明の目的であり、ハンドリングツールの位置をロボットのアームの精度を超えて微調整する必要がある場合、ハンドリングツールとロボットによってハンドリングされる要素との間の軽微な相対的な位置決めミスまたは位置合わせミスのための補償機構が存在する。
【0011】
本発明は、添付の独立請求項で定義される。好ましい実施形態は、従属請求項で定義される。特に、本発明は、ロボットを備える冶金鋳造設備に関するものであり、当該ロボットは、結合要素によってロボットのアームに結合されたハンドリングツールを備え、当該結合要素は、
・ハンドリングツール(21)に剛性的に結合されたツールインターフェース(2)と、
・ロボットのアームに剛性的に結合されたロボットインターフェース(1)と、を備え、
a)結合要素(29)のコンプライアンスは、ツールインターフェース(2)に負荷(荷重)を加えると、ツールインターフェース(2)を第1、第2、および第3の直交空間軸X1、X2、X3のうちの1つ以上に沿って並進させること、および/または第1、第2、および第3の直交空間軸X1、X2、X3のうちの1つ以上を中心に回転させることによって、ロボットインターフェース(1)に対して移動させることができるように制御することができ、
b)結合要素(29)は、負荷が解放されると、ツールインターフェース(2)が、ツールインターフェース(2)とロボットインターフェース(1)とを離隔するリセット距離Drに対応する、ロボットインターフェース(1)に対するリセット位置に戻るという点で弾性的であり、
c)結合要素(29)は、長手軸Z1に沿って延在する少なくとも1つのアンカーロッド(3)を備え、
i.アンカーロッド(3)は、ロボットインターフェース(1)またはツールインターフェース(2)からなる第1のインターフェースに剛性的に固定された固定端を備え、第1のインターフェースは、ロッドの長手軸Z1を横断する平面(X2、X3)を画定し、
ii.アンカーロッド(3)は、ロボットインターフェース(1)およびツールインターフェース(2)のうちの他方からなる第2のインターフェースの通路(4)に挿入されたアンカー端部分(31)を備え、アンカーロッド(3)および通路(4)は、ツールインターフェース(2)を少なくとも第1の軸X1に沿ってロボットインターフェース(1)から離れるように、およびロボットインターフェース(1)に向かうように移動させるよう、互いに対して自由に並進移動し、
iii.通路(4)は、ツールインターフェース(2)がロボットインターフェース(1)から最大距離D1まで離れて移動することができる距離を制限するために、アンカー端部分(31)に当接するための、アンカー端部分(31)の直径よりも小さい直径を有する当接部分(41)を備え、
iv.結合要素(29)は、調整可能なコンプライアンスレベルを有するコンプライアンス要素(5)を備え、当該コンプライアンス要素は、当該ロボットインターフェース(1)と当該ツールインターフェース(2)との間に位置し、当該ロボットインターフェース(1)および当該ツールインターフェース(2)のうちの少なくとも一方に結合され、
d)結合要素のコンプライアンス要素は、変形可能な壁を有する密閉された膨張可能なチャンバ(5)であり、密閉された膨張可能なチャンバ(5)は、当該ツールインターフェース(2)と当該ロボットインターフェース(1)との間の距離が最大距離D1に等しい圧力までの可変圧力に膨張することができる。
【0012】
好ましい実施形態では、コンプライアンス要素は、ロボットインターフェースに対するツールインターフェースのリセット位置が第1の軸X1に沿って調整可能であるように構成され、リセット位置は、ロボットインターフェースとツールインターフェースとの間の、最大距離D1以下の距離に対応する位置範囲で調整可能である。
【0013】
好ましい実施形態では、結合要素のコンプライアンス要素は、リセット位置が、ロボットインターフェースとツールインターフェースとの間の、最大距離D1より短い距離に対応する中間位置で調整されるときに、第1の軸X1の両方向にコンプライアンスを提供するように構成される。
【0014】
好ましい実施形態では、密閉された膨張可能なチャンバは、当該ロボットインターフェースおよび当該ツールインターフェースに固定される。
【0015】
好ましい実施形態では、結合要素は、複数のアンカーロッドを備え、当該アンカーロッドは、コンプライアンス要素の周囲に分散される。
【0016】
好ましい実施形態では、アンカーロッドおよび通路は、ツールインターフェースがD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるとき、第2のインターフェースの通路が、第1のインターフェースに固定されたアンカーロッドに対して第2の軸X2に沿って自由に並進移動するように構成される。
【0017】
好ましい実施形態では、アンカーロッドおよび通路は、ツールインターフェースがD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるとき、第2のインターフェースの通路が、第1のインターフェースに固定されたアンカーロッドに対して第3の軸X3に沿って自由に並進移動するように構成される。
【0018】
好ましい実施形態では、アンカーロッドおよび通路は、ツールインターフェースがD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるとき、第2のインターフェースの通路が、第1のインターフェースに固定されたアンカーロッドに対して第1の軸X1を中心に自由に回転するように構成される。
【0019】
好ましい実施形態では、アンカーロッドおよび通路は、ツールインターフェースがD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるとき、第2のインターフェースの通路が、第1のインターフェースに固定されたアンカーロッドに対して第2の軸X2を中心に自由に回転するように構成される。
【0020】
好ましい実施形態では、アンカーロッドおよび通路は、ツールインターフェースがD1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるとき、第2のインターフェースの通路が、第1のインターフェースに固定されたアンカーロッドに対して第3の軸X3を中心に自由に回転するように構成される。
【0021】
好ましい実施形態では、アンカーロッドの長手軸Z1は、第1の軸X1に平行であり、ツールインターフェースが第1の軸X1に沿ってロボットインターフェースに対して最大距離D1まで並進されるときに、ロッドの長手軸Z1が通路の長手軸Z2とで自動的に整列するように、当該通路内の当該少なくとも1つのアンカーロッドのアンカー部分および当接部分は、自動調心機構として構成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のこれらのおよびさらなる態様は、例として、および添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【
図1】本発明による冶金鋳造設備内のロボットによって冶金容器内の摺動ゲートバルブプレートを変更するための様々なステップを示す。
【
図2】結合要素およびハンドリングツールの拡大図を用いて、本発明による冶金鋳造設備内のロボットによって摺動ゲートバルブプレートをプレート支持フレームに結合するための様々なステップを示す。
【
図3】ツールインターフェースが最大距離D1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるときの、本発明による冶金設備内のハンドリングツールとロボットのアームとの間の結合要素の例の断面図である。
【
図4】ツールインターフェースが最大距離D1よりも小さい距離によって画定された中間リセット位置にあるときの、
図3の結合要素内のアンカーロッドおよび通路の断面図である。
【
図5】ツールインターフェースが最大距離D1によって画定されたリセット位置にあるときの、
図3の結合要素内のアンカーロッドおよび通路の断面図である。 なお、図面は、一定の縮尺で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1(a)は、磨耗部品や修復のためにチェックされる冶金鋳造施設の作業場において、その横に置かれたタンディッシュまたは取鍋などの冶金容器51を示す。冶金容器は、摩耗した摺動ゲートバルブプレート10t、10Lを変更し、それらを使用の準備ができた適切な場所に保管された新しい摺動ゲートバルブプレート1nと置き換えるために垂直に露出された摺動ゲートバルブを備える。
図1(a)~(d)に表されるように、本発明による冶金鋳造設備は、摺動ゲートバルブプレートを摺動ゲートバルブに固定するまたは摺動ゲートバルブから取り外すためのロボット20を備えることができる。ロボット20は、摺動ゲートバルブプレートを把持および操作するためのハンドリングツール21を備える。
【0024】
図1(a)および(b)に示すように、冶金容器51が作業場に持ち込まれるとき、それをその側に置いて摺動ゲートバルブを露出させることができる。摺動ゲートバルブは、上部プレート支持フレーム11tに対して底部プレート支持フレーム11Lのヒンジを中心に回転することによってロボットによって開かれる。ロボット20は、それぞれのプレート支持フレーム11t、11Lから摺動ゲートバルブプレート10t、10Lを取り外し、それらを修理または処分のために保管する(
図1(c)参照)。
図1(c)および(d)に示すように、ロボットは、使用のために保管された新たな摺動ゲートバルブプレート1nを取り出し、それらを対応するプレート支持フレーム11t、11Lの受容クレードル12に結合する。底部プレート支持フレーム11Lを閉じて、上部および底部摺動ゲートバルブプレート10t、10Lの摺動面1sを互いに摺動接触させることができる(
図1(a)参照、ただし新たな摺動ゲートバルブプレート付き)。
【0025】
本発明で使用されるロボット20は、冶金鋳造設備においてタスクを実行するための、例えば、5~7自由度などの十分な自由度を有し、市場で利用可能な任意のロボットであり得る。冶金容器内の摺動ゲートバルブプレートを変更するための
図1(a)~(d)に描かれる用途では、ロボット20は、摺動ゲートバルブプレートを収集し、それを保管位置と摺動ゲートバルブとの間で移動させる動作を実行するために、および摺動ゲートバルブプレートを対応する受容クレードル12中に位置決めするために構成される。
【0026】
本発明の重要な特徴の1つは、ロボット20のアームの端部に設けられるハンドリングツール21である。したがって、ハンドリングツール21は、冶金鋳造設備の要素との機械的相互作用を生成するためにロボット20によって使用されるアームツールの端部である。
図1(a)~(d)に示す用途では、ハンドリングツール21は、摺動ゲートバルブプレートを把持するための把持クランプを好ましく備え、
・摺動ゲートバルブプレートの新たなユニット1nを収集し、対応するプレート支持フレーム11に結合してロックするために、および/または
・対応するプレート支持フレーム11から摺動ゲートバルブプレートの使用済みユニット1sをロック解除して取り外すために、ならびに
・保管位置とプレート支持フレーム11との間で摺動ゲートバルブプレートを安全に輸送するために構成される。
【0027】
図1(a)~(d)に描かれた構成の例に加えて、本発明のロボット20およびハンドリングツール21は、冶金鋳造設備において任意の他の有用なタスクを実行するために構成され得る。本発明によるロボット20およびハンドリングツール21が使用され得る他の用途の例としては、連続鋳造プラットフォームおよび/または取鍋修繕エリア内の酸素切断、バルブゲートの油圧または空気圧シリンダの設置または除去、例えば、コレクタノズル、上部ノズル、パージプラグなどの耐火性要素の設置、調節デバイスの任意の機械的部分の設置または除去、プローブ、サンプリングユニット、レベル、厚さ、または温度測定ユニットなどのような監視デバイスのハンドリングなどが挙げられる。
【0028】
各新たな冶金容器51またはロボット20によってハンドリングされる冶金設備内の任意の他の要素は、必ずしも全く同じ位置に配置されないため、各新たな冶金容器51と全く同じ動きを繰り返すようにロボットを構成することは実用的ではない。したがって、ロボットには、要素、赤外線(例えば、ライダー)、レーダーなどの認識を有する光学カメラシステムなどの電磁波認識システムが提供されることが好ましい。これらのシステムは、ロボットによって実行される動作に必要な精度を有さない場合があり、光学認識システムの場合では、煙および蒸気は、可視性および動きの精度を妨げる可能性がある。
【0029】
したがって、
図2に例示される実施形態では、ハンドリングツール21は、誘導ピン23を備えてもよい。このような誘導ピン23は、摺動ゲートバルブプレート1nが把持されるときに、摺動面1sを含む平面を超えて突出する。プレート支持フレーム11は、誘導ピンを受容し、受容クレードル12と位置合わせして摺動ゲートバルブプレートを誘導するための漏斗形状の空洞13を備える。
図2に示されるように、誘導ピンは、プレート支持フレーム11に対して摺動ゲートバルブプレートを保持するハンドリングツール21の再位置合わせを可能にする。しかしながら、これは、ロボット20のアームとハンドリングツール21との間の「手首」が柔軟である場合にのみ可能になる。
【0030】
ロボット20のアームとハンドリングツール21との間の結合のそのような柔軟性またはコンプライアンスは、冶金鋳造設備内の多くのロボット化用途において非常に好ましいことが分かった。また、多くの冶金用途において、調整可能なコンプライアンスレベルを有する結合要素を提供することが重要であることも観察された。これは、ロボットの特定の操作中、典型的には、ロボット20のハンドリングツール21が冶金施設からの要素に結合される必要があるときに、比較的より高いコンプライアンスレベルが必要になるためである。一方で、ロボットによる要素の1つの場所から別の場所への安全な輸送などの他の操作は、ロボットのアームとアームツールの端部との間の比較的剛性である結合を必要とする。
【0031】
この目的のために、本発明の別の本質的な特徴は、ロボット20のアームをハンドリングツール21に結合する結合要素29である。結合要素29は、ハンドリングツール21に剛性的に結合されたツールインターフェース2と、ロボット20のアームに剛性的に結合されたロボットインターフェース1とを備える。結合要素29のコンプライアンスは、ツールインターフェース2に負荷を加えると、ツールインターフェース2が、第1、第2、および第3の直交空間軸X1、X2、X3のうちの1つ以上に沿って並進することによって、かつ/またはそれを中心に回転することによって、ロボットインターフェース1に対して移動することができるように制御することができる。
【0032】
結合要素29はまた、負荷が解放されると、ツールインターフェース2が、ツールインターフェース2とロボットインターフェース1とを離隔するリセット距離Drに対応するリセット位置にロボットインターフェース1に対して戻るという点で弾性的である。負荷を解放すると、ツールインターフェース2は、したがって、負荷を加える前と同じロボットインターフェース1に対する位置に戻る。距離Drは、このリセット位置におけるツールインターフェース2とロボットインターフェース1との間の間隔を特徴付ける距離であり、いくつかの基準点のうちの2点間の距離に対応し、一方の基準点はロボットインターフェース1上で取得され、他方はツールインターフェース2上で取得される。2つの基準点は、それらが空間軸X1に平行な同じ軸に属するように選択されなければならず、ロボットインターフェース1とツールインターフェース2から成る2つのインターフェースのうちの1つは、平面(X2、X3)を画定する。
【0033】
図3~
図5の実施形態では、結合要素29は、ロボットインターフェース1に剛性的に固定されたアンカーロッド3を備える。ロボットインターフェース1は、平面(X2、X3)を画定し、アンカーロッド3は、この平面(X2、X3)に対して好ましくは垂直に横断する長手軸Z1を有する。アンカーロッド3は、ツールインターフェース2の通路4に挿入されたアンカー端部分31を備える。
図3に表されるように、アンカーロッド3および通路3は、ツールインターフェース2を第1の軸X1に沿ってロボットインターフェース1から離れるように、およびロボットインターフェース1に向かうように移動させるよう、互いに対して自由に並進移動する。通路4は、
図4に表されるように、ツールインターフェース2がロボットインターフェース1から最大距離D1まで離れて移動することができる距離を制限するために、アンカー端部分31に当接するための、アンカー端部分31の直径よりも小さい直径を有する、当接部分41を備える。
【0034】
別の実施形態では、ロボットインターフェース1およびツールインターフェース2は、逆構成で配置される。そのような逆構成では、アンカーロッド3は、ツールインターフェース2に剛性的に固定され、アンカー端部分31は、ロボットインターフェース1の通路4に挿入される。
図3~
図5の実施形態および逆構成の両方とも、通路4に挿入されたアンカーロッド3は、冶金用途に特に好ましいことが分かった。通路4に挿入されるこのようなアンカーロッド3は、実際には、ロボットインターフェース1に対するツールインターフェース2の軸X2およびX3を中心としたコンプライアンスな回転の振幅を制限する。さらに、結合要素が剛性になるようにコンプライアンスが調整されると、このようなアンカーロッド3は、結合要素29の曲げ剛性をさらに増加させる。したがって、アンカーロッド3および通路4を伴うこの機械的構成は、そのコンプライアンスが低レベルおよび高レベルで調整されるときの両方において、高負荷が通常結合要素29に印加される冶金用途に非常に好ましい。
図2~
図5の実施形態では、コンプライアンス要素29は、コンプライアンスコンプライアンス要素の周囲に分散した複数のアンカーロッド3を備える。代替の実施形態では、単一のアンカーロッド3を提供することができ、コンプライアンス要素は、単一のアンカーロッド3の周囲にまたは隣接して位置することができる。
【0035】
結合要素29は、調整可能なコンプライアンスレベルを有するコンプライアンス要素を備える。コンプライアンス要素は、ロボットインターフェース1とツールインターフェース2との間に位置し、これらの2つのインターフェースのうちの少なくとも一方に結合される。コンプライアンス要素は、少なくとも一部のレベルのコンプライアンスのために、ロボットインターフェース1およびツールインターフェース2の両方と接触することができるように構成されなければならない。この構成では、ツールインターフェース2に印加される十分な圧縮負荷は、コンプライアンス要素の変形を生成し、それにより、ロボットインターフェース1に対するツールインターフェース2の相対運動を可能にする。負荷が解放されると、コンプライアンス要素は、ツールインターフェース2がロボットインターフェース1に対してそのリセット位置に戻るように、その初期構成に戻る。コンプライアンス要素は、好ましくは、コンプライアンスレベルを調節するように、変形可能なチャンバ内の圧力を変化させるために、空気圧または油圧システムに接続された変形可能なチャンバを備える。変形可能なチャンバは、膨張可能なチャンバなどの単一の変形可能な壁で作られたチャンバ、または一方の壁が他方に摺動可能に取り付けられた平行六面体の空気圧または油圧チャンバなどの、一方の壁が他方に対して並進移動することができる複数の剛性壁を有するチャンバであることができる。コンプライアンス要素はまた、ロボットインターフェース1とツールインターフェース2との間に位置するばねなどの他の要素を備えてもよい。この構成では、コンプライアンス要素はまた、好ましくは、ばねによって提供されるコンプライアンスレベルを調整することができるように、ばね、およびツールインターフェース2とロボットインターフェース1との間の対応する距離を延伸または圧縮するための機械的手段を備える。
【0036】
図3~
図5の実施形態では、コンプライアンス要素は、変形可能な壁を有する密閉された膨張可能なチャンバ5である。密閉された膨張可能なチャンバ5は、空気圧システムによって好ましくは、少なくともツールインターフェース2とロボットインターフェース1との間の距離が最大距離D1に等しい圧力まで、可変圧力に膨張可能であるように構成される。したがって、結合要素29のコンプライアンスレベルは、膨張可能なチャンバ5内の圧力を変化させることによって変更される。圧力が低いほど、コンプライアンスが高くなる。密閉された膨張可能なチャンバ5内の圧力は、密閉された膨張可能なチャンバ5に動作可能に接続された空気圧または油圧システムによって提供され得る。密閉された膨張可能なチャンバ5は、ロボットインターフェース1およびツールインターフェース2のうちの少なくとも一方に好ましく固定され、好ましくは、それらの両方に固定される。密閉された膨張可能なチャンバ5は、コンプライアンス要素の単純であるが効率的かつ費用対効果の高い機械的実装である。以上、このような膨張可能なチャンバ5のメンテナンス操作は単純である。さらに、それは、広範囲の圧力に膨張することができるため、結合要素29に対して広範囲のコンプライアンス値を提供する。好ましい実施形態では、密閉されたチャンバ5は、高圧、低圧、およびゼロ圧力の3つの圧力レベルモードで操作されることができる。一方、前述したように、アンカーロッド3の存在は、冶金用途で典型的に観察される高負荷を負担するために好ましい。
【0037】
ロボット20とハンドリングツール21との間の剛性結合が必要とされるとき、膨張可能チャンバ5内の圧力は、ツールインターフェース2とロボットインターフェース1との間の距離が最大距離D1に相当する圧力まで上昇する。この構成では、ロボット20とハンドリングツール21との間の結合は、ツールインターフェース2とロボットインターフェース1との間の距離Drが既に最大可能距離D1にあるため、引っ張り時に完全に剛性である。圧縮では、コンプライアンスのレベルに反比例する剛性のレベルは、膨張可能なチャンバ5に印加される圧力に直接依存する。
図2の実施形態では、
図2(c)に表されるように、結合要素29のコンプライアンスは、誘導ピン23が対応する漏斗形状の空洞13に接触するときにコンプライアンスな結合を提供するように調整される。誘導ペン23と漏斗形状の空洞13との間の接触の前および後に、
図2(a)、(b)、(d)に描かれるように、結合要素29のコンプライアンスが剛性結合を提供するように好ましく調整される。
【0038】
図2(c)に表されるように、密閉された膨張可能なチャンバ5の変形は、ツールインターフェース2がロボットインターフェース1と非平行になるようにすることができる。変形可能な壁を有する密閉された膨張可能なチャンバ5のこの特性は、結合要素29が非対称負荷下で適応する必要があるときに好ましい。ツールとロボットインターフェースとのこの非平行性を達成するためには、アンカー端部分31に、軸X2およびX3のうちの少なくとも1つに沿って通路4に対して移動することができるような形状と寸法とを提供することも必要である。
図3~
図5の実施形態では、リセット位置がD1よりも小さい距離によって画定されると、アンカー端部分31の外面と通路4の内面との間に軸X2およびX3に沿った隙間がある。したがって、通路4の内面がアンカー端部分31の外面に接触するまで、通路4を軸X2およびX3に沿ってアンカーロッド3に対して移動させることができる。アンカー端部分31の外面と、軸X2およびX3に沿った通路4の内面との間の隙間はまた、軸X1、X2およびX3を中心としたアンカーロッド3に対する通路4のある振幅への回転を可能にする。軸X2およびX3を中心とした回転は、軸X1を中心とした回転がねじりのコンプライアンスのために要求される間、結合要素29が屈曲にコンプライアンスである必要があるときに要求される。
【0039】
密閉された膨張可能なチャンバ5において圧力が変化すると、その体積は、そのコンプライアンスのレベルとともに変更する。密閉された膨張可能なチャンバ5のこの特性は、通路4内のアンカーロッド3で作られた機械的構成と組み合わせて好ましい。密閉された膨張可能なチャンバ5の体積を変更することによって、結合要素29は、実際には、
図3および
図4に表されるように、ロボットインターフェース1とツールインターフェース2との間のリセット距離Drが最大距離D1よりも短い構成で設定され得る。この構成は、ロボットインターフェース1に対するツールインターフェース2のこのリセット位置から始まり、ツールインターフェース2を軸X1の両方向に移動させることができるため、好ましい。したがって、そのような構成は、結合要素29の引っ張り時および圧縮時の両方においてコンプライアンスを提供する。代替的に、既に前述したように、結合要素29は、
図5に表されるように、ロボットインターフェース1とツールインターフェース2との間のリセット距離Drが最大距離D1に等しい構成で設定され得る。この構成では、結合要素29によって提供される結合は、引っ張り時に完全に剛性があり、一方、圧縮時には剛性は、膨張可能なチャンバ5内の圧力に直接依存する。膨張可能なチャンバ5内に十分な圧力があると、したがって、結合要素29は、引っ張り時および圧縮時の両方において剛性になり得る。ツールインターフェース2の調整可能なリセット位置および軸X1の両方向における潜在的なコンプライアンスのこの特性は、密閉された膨張可能なチャンバ5の存在の結果である。しかしながら、代替の実施形態では、そのような特性は、密閉された膨張可能なチャンバ5が、ロボットインターフェース1およびツールインターフェース2の両方に結合され、一部は引っ張り時に作動し、それ以外はリセット位置で圧縮時に作動する、複数のばねに置き換えられるときに、依然として得ることができる。次いで、結合要素29のリセット距離およびコンプライアンスレベルを変更するために、バネを圧縮または延伸し、ロボットインターフェース1およびツールインターフェース2のうちの少なくとも一方からバネを結合または離隔するための機械的手段が好ましく提供される。
【0040】
図3~
図5の実施形態では、アンカー端部分31は円錐形状を有し、通路4の当接部分41は対応する円錐面を有する。この構成では、アンカー部分31および当接部分41は、自動調心機構として構成される。ツールインターフェース2が第1の軸X1に沿ってロボットインターフェース1に対して最大距離D1まで並進されるとき、ロッド3の長手軸Z1は、実際には、通路4の長手軸Z2上で自動的に位置合わせされる。この自動調心機構は、結合要素29のコンプライアンスが低レベルで調整されるとき、ロボットインターフェース1に対するツールインターフェース2の適切な位置合わせを可能にする。ハンドリングツール21とロボット20との間の剛性結合の場合、実際には、ツールインターフェース2が、ロボットによって所定のおよび既知のロボットインターフェース1に対して自動的に特定の位置に配置されることを確実にすることが好ましい。
【0041】
参照符のリスト
1.ロボットインターフェース
2.ツールインターフェース
3.アンカーロッド
4.通路
5.コンプライアンス要素:密閉された膨張可能なチャンバ
10.摺動ゲートバルブプレート:
10t.摺動ゲート上部プレート
10L.摺動ゲート底部プレート
10n.新たな摺動ゲートバルブプレート
10s.上部および底部摺動ゲートバルブプレートの摺動面
11.プレート支持フレーム:
11L.底部プレート支持フレーム
11t.上部プレート支持フレーム
12.クレードル
13.漏斗形状の空洞
20.ロボット
21.ハンドリングツール
23.誘導ピン
29.結合要素
31.アンカー端部分
41.当接部分
51.冶金容器