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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】巻取り機
(51)【国際特許分類】
   B65H 54/20 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
B65H54/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021535810
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2019084564
(87)【国際公開番号】W WO2020126724
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102018010038.4
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ライナルト フォス
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ ヴァルターマン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン コヴァルスキー
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ヴィトコフスキー
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-158436(JP,A)
【文献】特開平08-310723(JP,A)
【文献】特開2011-255979(JP,A)
【文献】特開2016-026970(JP,A)
【文献】米国特許第06161790(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 54/00- 54/553
B65H 54/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の糸を巻き取るための巻取り機であって、糸を巻成してパッケージを形成するための、長く突出した少なくとも1つの巻取りスピンドル(2)であって、回転可能に駆動されて機械フレーム(1)に保持されている巻取りスピンドル(2)と、複数の巻取り箇所(10.1~10.4)のための接触ローラ(6)および綾振り装置(8)とを備え、前記綾振り装置(8)および前記接触ローラ(6)が、可動な保持キャリア(5)に保持されており、前記保持キャリア(5)は前記機械フレーム(1)に突出して取り付けられたサポートキャリア(4)に結合されている、巻取り機において、
前記保持キャリア(5)が、旋回支承部(11)により、前記サポートキャリア(4)に保持されており、制御可能な旋回駆動装置(12)が設けられており、該旋回駆動装置(12)により、前記保持キャリア(5)が前記サポートキャリア(4)に対して相対的に移動可能であり、
前記保持キャリア(5)が、ガイド装置(15)により、前記サポートキャリア(4)の突出した端部においてガイドされており、前記ガイド装置(15)が、前記サポートキャリア(4)と前記保持キャリア(5)との間に形成されており、前記ガイド装置(15)が、複数の成形材レール(16.2,16.3)の間でガイドされたローラキャリッジ(16.1)を備えたリニアローラガイド(16)により形成されていることを特徴とする、巻取り機。
【請求項2】
前記旋回支承部(11)が、前記巻取りスピンドル(2)の支承された端部の領域に形成されていて、前記巻取りスピンドル(2)に対して横方向に向けられた旋回軸(13)を有している、請求項記載の巻取り機。
【請求項3】
前記複数の成形材レール(16.2,16.3)のうちの一の成形材レールが、前記サポートキャリア(4)に取り付けられており、前記複数の成形材レール(16.2,16.3)のうちの別の一つの成形材レールが、前記保持キャリア(5)に取り付けられており、両成形材レール(16.2,16.3)が互いに角度を成す、請求項1または2記載の巻取り機。
【請求項4】
前記複数の成形材レール(16.2,16.3)のうちの一の成形材レールが、前記巻取りスピンドル(2)に対して平行に配向されている、請求項記載の巻取り機。
【請求項5】
前記旋回駆動装置(12)が、リニア駆動装置(17)により形成されており、該リニア駆動装置(17)が、前記ローラキャリッジ(16.1)に直接結合されている、請求項3または4記載の巻取り機。
【請求項6】
前記旋回駆動装置(12)が、制御装置(14)に接続されており、前記制御装置(14)が、前記巻取りスピンドル(2)の状態を検出するための少なくとも1つのセンサ装置(18)に接続されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の巻取り機。
【請求項7】
前記巻取りスピンドル(2)が、巻取りリボルバ(19)に配置されており、該巻取りリボルバ(19)が、第2の巻取りスピンドル(2.1)を支持し、回転可能に前記機械フレーム(1)に支承されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の巻取り機。
【請求項8】
前記接触ローラ(6)が、可動のローラキャリア(7)により前記保持キャリア(5)に保持されている、請求項記載の巻取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の糸を巻き取るための巻取り機に関する。
【0002】
溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を製造する場合、通常は複数本の糸が1つの糸群として並行に製造され、巻き取られてパッケージを形成する。したがって、10本、12本またはそれ以上の糸を同時にパッケージに巻き取ってパッケージを形成することが通常である。このためには、巻取り機が使用される。巻取り機は、長く突出した巻取りスピンドルにおいて複数の糸を巻き取ってパッケージを形成する。糸の敷設は、綾巻きで行われるので、糸は綾振り装置によりパッケージ幅内で往復運動させられる。次いでパッケージ表面への糸の敷設は、接触ローラにより行われる。この接触ローラは、予め規定された押圧力でパッケージの周面に接触している。接触ローラは、回転可能に支承されている。このような巻取り機では、巻取りスピンドルの性質に応じて、増大するパッケージ重量が、巻取りスピンドルの撓みをもたらす。しかし、巻取りスピンドルの突出した自由端部において特に顕著であるこのような撓みは、接触ローラの押圧力における差異と、糸の敷設における差異とを引き起こす。巻取りスピンドルのこのような撓みを補償するために、基本的には、接触ローラおよび綾振り装置を、巻取りスピンドルの撓みに応じて、機械フレーム内で傾斜させることが知られている。このような巻取り機は、たとえば欧州特許出願公開第2392532号明細書に記載されている。
【0003】
この公知の巻取り機では、接触ローラおよび綾振り装置が、可動の保持キャリアに配置されている。保持キャリアは、傾斜を実施するための調節機構に接続されている。調節機構は、回転可能に支承された巻取りリボルバに機械的に連結されている。巻取りリボルバは、巻取りスピンドルを支持している。巻取りスピンドルは、糸の巻成中に、巻取りリボルバの回転によって、巻取りスピンドルと接触ローラとの間の間隔を拡大するためにガイドされる。巻取りリボルバの回転角度が増すにつれて、巻取りスピンドルにおけるパッケージ直径、ひいてはパッケージ重量が高まるので、巻取りリボルバの位置に応じて、調節機構が接触ローラの保持キャリアにおいて傾斜角を調節する。したがって、接触ローラの傾斜は、公知の巻取り機では、巻取りリボルバの位置に応じて、機械的な連結部により強制ガイドされる。しかし、このような機械的な連結部は、基本的に、巻成されたパッケージの実際の状態および巻取りスピンドルにおいて保持されたパッケージ重量を考慮しないままであるという欠点を有している。巻取り法、プロセス実施および糸タイプに応じて、巻成されたパッケージのパッケージ直径が同一でも、種々異なるパッケージ重量が発生することがある。巻取りリボルバの回転運動が、専ら巻き取られ巻成されたパッケージのパッケージ直径により制御可能であるので、このような重量変動は考慮されない。しかし巻取りスピンドルの撓みにとっては、専らパッケージ重量が重要であり、パッケージ直径は重要ではない。
【0004】
したがって、本発明の課題は、糸を巻き取るための冒頭で述べた形式の巻取り機を改良して、長く突出した巻取りスピンドルにおいて均一なパッケージが巻取り可能であり、特に各パッケージにおいて、同一の糸敷設が実施可能であるようにすることである。
【0005】
この課題は、本発明によれば、保持キャリアが、旋回支承部によりサポートキャリアにおいて保持されており、制御可能な旋回駆動装置が設けられており、旋回駆動装置により保持キャリアがサポートキャリアに対して相対的に移動可能であることにより解決される。
【0006】
本発明の有利な改良形は、従属請求項に記載の特徴および特徴の組み合わせにより定義されている。
【0007】
本発明は、綾振り装置および接触ローラを、巻取りスピンドルのその都度の位置とは無関係に、巻取りスピンドルの撓みに適合させることができることにより優れている。したがって、綾振り装置と個接触ローラとを備えた保持キャリアが、能動的にサポートキャリアにおいて移動させられて、これにより巻取りスピンドルのその都度目下の撓み状況を補償することができる。
【0008】
特に、巻取りスピンドルの撓みを、サポートキャリアにおける保持キャリアの移動時に考慮するために、旋回支承部が、巻取りスピンドルの支承された端部の領域に形成されていて、巻取りスピンドルに対して横方向に向けられた旋回軸を有している本発明の変化形が特に有利である。したがって、保持キャリアの回転点が、巻取りスピンドルの回転軸線内に移動させられる。これにより、保持キャリアの簡単な旋回運動によって、巻取りスピンドルの各パッケージにおいて、実質的に同一の押圧力ならびに同一の糸敷設を生じさせることができる。
【0009】
保持キャリアが、サポートキャリアにおいて、できるだけ正確に最小の運動ステップで巻取りスピンドルの撓みに追従することができるようにするために、保持キャリアが、ガイド装置により、サポートキャリアの突出した端部においてガイドされており、ガイド装置が、サポートキャリアと保持キャリアとの間に配置されていることがさらに規定されている。
【0010】
ガイド装置が、複数の成形レールの間でガイドされたローラキャリッジを備えたリニアローラガイドにより形成されている本発明の変化形が特に有利であることが判った。これにより、荷重が高い場合でさえ、保持キャリアの極めて正確な調節が実施される。
【0011】
サポートキャリアに対する保持キャリアの相対的な移動のために、成形材レールのうちの少なくとも1つの成形材レールがサポートキャリアに取り付けられていて、他方の成形材レールが保持キャリアに取り付けられていて、両成形材レールが、互いに角度を成している。これにより、成形材レールの角度配置に応じて、ローラキャリッジの移動による極めて正確な調節を実施することができる。
【0012】
成形材レールのうちの一方の成形材レールが、負荷を加えられていない巻取りスピンドルに対して平行に配向されている場合のために、有利には対応する成形材レールの角度付けされた配置により保持キャリアの降下が調節される。
【0013】
このためには、旋回駆動装置が、好適にはリニア駆動装置により構成されており、リニア駆動装置が、ローラキャリッジに直接に結合されている。これにより、保持キャリアにおける簡単なリニア運動を介して、旋回軸を中心とした予め規定された旋回角度が調節される。
【0014】
保持キャリアの旋回運動をパッケージの巻成中の巻取りスピンドルのその都度の状態に適合させることができるようにするために、旋回駆動装置が制御装置に接続されており、制御装置が、巻取りスピンドルの状態を検出するための少なくとも1つのセンサ装置に接続されている本発明の改良形が特に有利である。したがって、たとえば距離センサにより、巻取りスピンドルの突出した端部の位置を検出し、旋回駆動装置の制御時に考慮することができる。しかしセンサ装置を、回転数センサによっても構成することもでき、回転数センサは、巻取りスピンドルの回転数を検出し、これによりそれぞれのパッケージ直径のための大きさを表す。
【0015】
連続的な巻取りプロセスを実現するために、巻取りスピンドルは好適には巻取りリボルバに配置されており、巻取りリボルバは、第2の巻取りスピンドルを支持し、機械フレームにおいて回転可能に支承されている。
【0016】
パッケージの巻成中に巻取りリボルバの回転運動を制御するために、接触ローラは可動のローラキャリアにより保持キャリアに保持されている。したがって、接触ローラの行程運動を、パッケージの巻成中に巻取りリボルバを制御するために使用することができる。
【0017】
本発明の巻取り機は、複数本の糸を、たとえば2mの長さを有している長く突出した巻取りスピンドルにおいて巻成するために特に適している。パッケージ重量により引き起こされる巻取りスピンドルの撓みは、有利には、サポートキャリアに対して相対的な保持キャリアの可動性により補償され、接触ローラおよび綾振り装置は、その互いに対する相対位置を維持する。綾振り装置に前置されたヘッド糸ガイドは、同様に好適には保持キャリアに配置されている。
【0018】
本発明に係る巻取り機を、以下に幾つかの実施例につき添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る巻取り機の第1の実施例を概略的に示す側面図である。
図2図1に示した実施例を概略的に示す反対側の側面図である。
図3図1に示した本発明に係る巻取り機の実施例を概略的に示す正面図である。
図4図1に示した実施例のガイド装置を概略的に示す横断面図である。
図5】本発明に係る巻取り機の別の実施例を概略的に示す側面図である。
図6図5に示した実施例を概略的に示す正面図である。
【0020】
図1図2および図3は、本発明に係る巻取り機の第1の実施例を複数の視点で図示している。この実施例は、図1には側面図で図示されており、図2には反対側の側面図で図示されており、図3には正面図で図示されている。図面のうちの1つの図面の明瞭に関連付けが成されない限り、以下の説明は全ての図面に当てはまる。
【0021】
本発明に係る巻取り機の実施例は、機械フレーム1を有している。機械フレーム1には、長く突出した巻取りスピンドル2が回転可能に支承されて保持されている。巻取りスピンドル2は、スピンドル駆動装置3に対応配置されている。巻取りスピンドル2の上には、突出したサポートキャリア4が延びており、このサポートキャリア4の一端部は、機械フレーム1に固定的に結合されている。サポートキャリア4には、保持キャリア5が配置されている。保持キャリア5は、実質的にサポートキャリア4の長さにわたって延びている。保持キャリア5には、綾振り装置8と、接触ローラ6とが保持されている。綾振り装置8および接触ローラ6は、4つの巻取り箇所10.1~10.4にわたって延びている。各巻取り箇所10.1~10.4に対して、綾振り装置8は、複数本の糸20のうちの1本の糸をガイドするための綾振りユニットを有している。綾振り装置8は、綾振り駆動装置8.1により駆動される。接触ローラ6は、ローラキャリア7を介して保持キャリア5に配置されている。ローラキャリア7は、この実施例ではサポートキャリア4を貫通している。
【0022】
各巻取り箇所10.1~10.4に対して、巻取りスピンドル2において、糸20がそれぞれ巻き取られてパッケージ9を形成する。このためには、巻取りスピンドル2が、各巻取り箇所10.1~10.4に対してそれぞれ1つの巻管21を支持している。
【0023】
保持キャリア5は、サポートキャリア4において可動に配置されており、旋回支承部11を介してサポートキャリア4に結合されている。旋回支承部11は、巻取りスピンドル2の支承された端部の領域に配置されている。旋回支承部11は、旋回軸13を有している。旋回軸13は、横方向に向けられていて、巻取りスピンドル2に対してほぼ直交するように配向されている。したがって、保持キャリア5は、旋回軸13を中心として回動調節される。
【0024】
特に図2および図3の図面から明らかであるように、サポートキャリア4と保持キャリア5との間に、ガイド装置15が配置されている。ガイド装置15は、この実施例では、ローラガイド16により形成されている。
【0025】
ローラガイド16を説明するために付加的に図4が参照される。図4には、ローラガイド16の横断面図が概略的に図示されている。
【0026】
ローラガイド16は、2つの成形材レール16.2および16.3から成っており、これらの成形材レール16.2,16.3の間に、ローラキャリッジ16.1が滑るようにガイドされている。成形材レール16.2,16.3は、複数のローラ16.4上に支持されており、これらのローラ16.4が、ローラキャリッジ16.1において回転可能に保持されている。
【0027】
特に図2の図面から明らかであるように、成形材レール16.3は、サポートキャリア4に配置されていて、負荷を加えられていない巻取りスピンドル2に対してほぼ平行に延びている。成形材レール16.2は、対峙するように保持キャリア5に配置されているので、上側の成形材レール16.2は、ローラキャリッジ16.1を介して下側の成形材レール16.3上に支持されている。ローラキャリッジ16.1は、旋回駆動装置12に結合されており、旋回駆動装置12は、この実施例ではリニア駆動装置17により形成されている。リニア駆動装置17は、たとえば、一端部でローラキャリッジ16.1に取り付けられている、駆動されるスピンドルにより構成されていてよい。リニア駆動装置17により、ローラキャリッジ16.1は、成形材レール16.2,16.3の間で移動させられる。成形材レール16.2,16.3間で形成された角度により、ローラキャリッジ16.1の移動によって、保持キャリア5が、サポートキャリア4に対して相対的に旋回軸13を中心として回動調節される。したがって、たとえばパッケージ形成過程の終了時に、パッケージ重量が最大の場合に、ローラキャリッジ16.1は、リニア駆動装置17によって、巻取りスピンドル2の支承端部に向かって移動させられるので、保持キャリア5の自由端は、サポートキャリア4に対して傾斜させられて、接触ローラ6および綾振り装置8と、巻取りスピンドル2の撓みに追従させられる。
【0028】
図1の図面から明らかであるように、巻取りスピンドル2の自由端には、センサ装置18が対応配置されており、これにより巻取りスピンドル2の位置を検出することができる。センサ装置18は、制御装置14に接続されている。制御装置14は、スピンドル駆動装置3、綾振り駆動装置8.1および旋回駆動装置12、この場合はリニア駆動装置17に結合されている。
【0029】
運転時に、巻取りスピンドル2は、合計4本の糸20を巻き取ってパッケージ9を形成する。巻取り箇所の個数、ひいては巻取りスピンドルにおいて保持されるパッケージ9の個数は、例示的である。基本的には、このような巻取りスピンドルは>1.80mの長さを有していてよく、14個、16個またはそれ以上のパッケージを同時に巻成することができる。パッケージ9の巻成中に、巻取りスピンドル2の自由端は、たとえば距離センサであってよいセンサ装置18により監視される。巻取りスピンドル2の自由端が、パッケージ重量による曲げ負荷に基づいて変位すると、センサ装置18を介して、位置変更が制御装置14に供給される。制御装置14内で、保持キャリア5が規定された旋回角度だけ旋回軸13を中心として旋回させられて、接触ローラ6が各パッケージ9において均一に接触するように、旋回駆動装置12が制御される。パッケージ9が最後まで巻成された後に、保持キャリア5は、旋回駆動装置12の作動によりその出発位置へと戻される。
【0030】
旋回軸13と巻取りスピンドル2との間の間隔が大きくなっていて、降下させられた状態において過大な軸方向のずれが生じる場合のために、特に、互いに異なる回転点に基づく綾振り部とパッケージとの間のこの軸方向のずれを、サポートキャリア4における保持キャリア5の軸方向の移動によって相殺する可能性が生じる。代替的には、回転点、ひいては保持キャリア5の旋回支承部11を、サポートキャリア4において軸方向に移動可能に構成する可能性も生じる。これにより、保持キャリア5および巻取りスピンドル2の互いに異なる回転点に基づく軸方向のずれは、完全に補償可能である。
【0031】
パッケージ9の巻成中に巻取りスピンドル2と接触ローラ6との間の軸間隔をパッケージの増大に関して拡大するために、機械フレーム1がキャリッジを有している。このキャリッジにより、サポートキャリア4が保持キャリア5と一緒に高さ調節可能である。しかし代替的には、巻取りスピンドル2を機械フレーム1内でキャリッジ内に支承し、これにより巻取りスピンドル2の位置を変更する可能性もある。通常、巻取りスピンドル2は、巻取りリボルバの形の可動のパッケージキャリアに可動に保持され、巻取りリボルバには、第2の巻取りスピンドルが配置されている。このためには、図5および図6が、本発明に係る巻取り機の別の実施例を図示している。
【0032】
この実施例は、図5には側面図で、図6では正面図で概略的に示されている。2つの図面のうちの一方の図面に明瞭に関連付けが成されない限り、以下の説明は両方の図面に当てはまる。
【0033】
図5および図6で図示された実施例では、巻取りスピンドル2は、機械フレーム1において回転可能に支承された巻取りリボルバ19に保持されている。巻取りリボルバ19には、巻取りスピンドル2に対して180°だけずらされて配置された第2の巻取りスピンドル2.1が配置されている。巻取りスピンドル2,2.1には、スピンドル駆動装置3,3.1が対応配置されている。機械フレーム1における巻取りリボルバ19の駆動は、リボルバ駆動装置19.1により制御される。巻取りスピンドル2,2.1に対して平行に、サポートキャリア4が延びている。このサポートキャリア4の一端部は、機械フレーム1に取り付けられている。サポートキャリア4には、可動の保持キャリア5が設けられている。保持キャリア5は、旋回支承部11を介してサポートキャリア4に結合されている。保持キャリア5の旋回支承部11は、巻取りスピンドル2,2.1の端部領域に配置されており、旋回軸13は、巻取りスピンドル2,2.1に対して直交するように配向されている。保持キャリア5には、接触ローラ6が可動のローラキャリア7を介して回転可能に支承されて保持されている。接触ローラ6の上には、綾振り装置8が設けられている。綾振り装置8は、4つの巻取り箇所10.1~10.4のために合計4つの綾振りユニットを有している。
【0034】
サポートキャリア4の自由端には、ガイド装置15が配置されている。このガイド装置15は、サポートキャリア4と保持キャリア5との間に延びている。この実施例では、ガイド装置が、ガイドレール22とガイド溝23とにより形成されている。ガイドレール22とガイド溝23とは、曲率半径を有している。この曲率半径は、旋回軸13を中心とした旋回運動に適合している。ガイドレール22は、サポートキャリア4に取り付けられており、ガイド溝23は、対応して保持キャリア5に形成されている。保持キャリア5の自由端には、旋回駆動装置12が設けられている。旋回駆動装置12は、この実施例では同様にリニア駆動装置17として構成されている。リニア駆動装置17は、サポートキャリア4に保持され、保持キャリア5に作用する。リニア駆動装置17は、制御装置14に接続されている。制御装置14は、センサ装置18に接続されている。センサ装置18は、運転中の巻取りスピンドルのその都度の状態を監視する。したがって、センサ装置18は、回転数センサであってよく、回転センサは、スピンドル回転数に対する接触ローラの回転数を監視し、これにより目下のパッケージ直径を算出することができる。付加的に、駆動装置3,3.1,8.1,19.1が制御装置14に接続されている。
【0035】
運転中に、巻取りスピンドルのうちの一方、この場合は、巻取りスピンドル2が運転領域に保持され、これにより、巻取り位置10.1~10.4において、それぞれ1本の糸が巻成されてパッケージ9を形成する。巻取りリボルバ19の回転運動を制御するためには、接触ローラ6に位置監視装置が対応配置されているので、パッケージ直径の増大時に、巻取りリボルバ19の回転によって、巻取りスピンドル2に対する、回転している接触ローラ6の相対位置は維持されたままである。巻取りスピンドル2の突出した端部は、センサ装置18により監視され、起こり得る撓みを早期に検知することができる。サポートキャリア4に対して相対的な保持キャリア5の移動による接触ローラ6および綾振り装置8の追従の機能は、上述の実施例と同様であるので、この箇所ではさらに説明を行わない。
【0036】
したがって、本発明に係る巻取り機は、長く突出した巻取りスピンドルにおける複数の巻取り箇所で均一なパッケージを巻成するために特に適している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6