(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】液晶組成物のための二色性アゾ-アゾメチン色素
(51)【国際特許分類】
C09B 55/00 20060101AFI20240304BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20240304BHJP
C09K 19/60 20060101ALI20240304BHJP
G02F 1/137 20060101ALI20240304BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240304BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240304BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20240304BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
C09B55/00 A CSP
C09B55/00 B
C09B67/20 A
C09K19/60 A
G02F1/137
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02F1/13363
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2021544644
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2020051103
(87)【国際公開番号】W WO2020156832
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-16
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】レオンハルト・フェイラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ルーシュ
(72)【発明者】
【氏名】フランク・バッハマン
(72)【発明者】
【氏名】マリー-パスカル・ペリタズ
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルドゥス・デ・ケイゼル
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/024891(WO,A1)
【文献】特開昭6-98768(JP,A)
【文献】特開昭60-262858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 55/00
C09B 67/00
C09K 19/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)又は(B)
【化1】
の化合物
[式中、
Ar
1、Ar
5、及びAr
10は、互いから独立して、
【化2】
からなる群より選択される残基であり、
Ar
2、Ar
3、Ar
6、Ar
7、Ar
8、及びAr
9は、互いから独立して且つ各出現において、
【化3】
から選択され、
Ar
4は、
【化4】
、C
2~C
10-ヘテロアリール、又は、C
1~C
12-アルキル、C
1~C
12-アルコキシ、C
1~C
12-アルキルチオ、OH、ハロゲン、C
1~C
4-ハロアルキル、NR
12R
13、CO
2R
14、COR
15、SO
2R
16、NO
2、若しくはCNで置換されたC
2~C
10-ヘテロアリールの残基であり、
Xは、C
1~C
6-ハロアルキル、ハロゲン、CN、COOR
17、CONR
18R
19、SO
2R
20、又はヘテロアリールであり、
前記ヘテロアリールは、
【化5】
からなる群より選択され、
Yは、H、C
1~C
12-アルキル;OH若しくはNH
2で置換され且つ/あるいはNR
23、O若しくはSで中断されたC
1~C
12-アルキル;C
1~C
12-ハロアルキル、C
7~C
12-アラルキル;NR
24R
25、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
12-アルコキシ;Oで中断されたC
2~C
12-アルコキシ;C
1~C
12-アルキルチオ、COOR
26、C
6~C
12-アリール;C
1~C
12-アルキル、C
1~C
12-アルコキシ、C
1~C
12-アルキルチオ、CN、ハロゲン、OH、若しくはNR
27R
28で置換されたC
6~C
12-アリール;C
2~C
10-ヘテロアリール;C
1~C
12-アルキル、C
1~C
12-アルコキシ、C
1~C
12-アルキルチオ、OH、ハロゲン、CN若しくはNR
29R
30で置換されたC
2~C
10-ヘテロアリール;C
3~C
18-シクロアルキル;又は、C
1~C
12-ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
12-アルコキシ、C
1~C
12-アルキルチオ、若しくはNR
31R
32で置換され且つ/あるいは1個又は複数のOで中断されたC
3~C
18-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは、一緒に基
【化6】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~7員複素環を形成し、
Qは、NR
33、O、又はSであり、
前記基
【化7】
又は前記複素環は、非置換であるか、又はC
1~C
4アルキルで置換されており、
R
1は、C
1~C
12-アルキル、C
1~C
12-ハロアルキル、ハロゲン、CN、C
1~C
12-アルコキシ、又はOで中断されたC
2~C
12-アルコキシであり、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
21、及びR
22は、互いから独立して且つ各出現において、H、ハロゲン、OCF
3、NO
2、CN、ホルミル、COOR
34、COR
35、SO
2R
36、CONR
37R
38、C
1~C
12-アルキル;ハロゲン若しくはCNで置換されたC
1~C
12-アルキル;C
1~C
12-アルコキシ;Oで中断されたC
2~C
12-アルコキシ;C
3~C
12-シクロアルキル;ハロゲン若しくはCNで置換され且つ/あるいは1個若しくは複数のOで中断されたC
3~C
12-シクロアルキル;フェニル;又は、ハロゲン、CN、C
1~C
8-アルキル、若しくはC
1~C
8-ハロアルキルで置換されたフェニルから選択され、
或いは、R
2及びR
3、又はR
6及びR
7は一緒に、C
3~C
4-アルキレンであるか、又はベンゾ縮合環を形成し、前記アルキレン又は前記ベンゾ縮合環は、非置換であるか、又はC
1~C
4-アルキル、CN、C
1~C
4-アルコキシ、NO
2、ハロゲン、若しくはSO
2R
39で置換されており、
或いは、R
21及びR
22は一緒に、C
3~C
4-アルキレンであり、前記アルキレンは非置換であるか、又はC
1~C
4-アルキル、CN、C
1~C
4-アルコキシ、NO
2、ハロゲン、若しくはSO
2R
40で置換されており、
R
8及びR
9は、互いから独立して且つ各出現において、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル、ハロゲン、CN、又はC
1~C
4-アルコキシから選択され、
R
10は、各出現において、C
1~C
12-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル、C
1~C
12-アルコキシ、OH、ハロゲン、又はCNから選択され、
R
11は、各出現において、C
1~C
4-アルキルであり、
R
14、R
15、R
16、R
17、R
20、R
26、R
34、R
35、R
36、R
39及びR
40は、互いから独立して、C
1~C
12-アルキル;CN若しくはOHで置換されたC
1~C
12-アルキル;C
1~C
12-ハロアルキル;C
3~C
18-シクロアルキル;C
1~C
12-ハロアルキル、CN、OH、若しくはハロゲンで置換され且つ/あるいは1個若しくは複数のOで中断されたC
3~C
12-シクロアルキル;C
6~C
12-アリール;ハロゲン、CN、OH、C
1~C
12-アルキル、若しくはC
1~C
12-ハロアルキルで置換されたC
6~C
12-アリール;フェニレン-C
3~C
18-シクロアルキル;ハロゲン、CN、若しくはOHで置換されたフェニレン-C
3~C
18-シクロアルキル;C
3~C
12-シクロアルキレン-フェニル;又は、C
1~C
12-アルキル、C
1~C
12-ハロアルキル、ハロゲン、CN、若しくはOHで置換されたC
3~C
12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R
12、R
13、R
18、R
19、R
24、R
25、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
37、又はR
38は、互いから独立して、H、C
1~C
12-アルキル;C
3~C
14-シクロアルキル;C
6~C
12-アリール;ハロゲン、CN、OH、C
1~C
12-アルキル、若しくはC
1~C
12-ハロアルキルで置換されたC
6~C
12-アリール;フェニレン-C
3~C
18-シクロアルキル;ハロゲン、CN、若しくはOHで置換されたフェニレン-C
3~C
18-シクロアルキル;C
3~C
12-シクロアルキレン-フェニル;又は、C
1~C
12-アルキル、C
1~C
12-ハロアルキル、ハロゲン、CN、若しくはOHで置換されたC
3~C
12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R
12及びR
13、R
18及びR
19、R
24及びR
25、R
27及びR
28、R
29及びR
30、R
31及びR
32、又はR
37及びR
38は一緒に、C
2~C
12-アルキレン、又は、O、S、及び/若しくはNR
41で中断されたC
2~C
12-アルキレンであり、
R
23、R
33、及びR
41は、互いから独立して、H、C
1~C
12-アルキル、C
3~C
12-シクロアルキル、フェニル、又は、C
1~C
6-アルキル、F、若しくはCNで置換されたフェニルであり、
Lは、単結合、又は
【化8】
、C
4~C
10-ヘテロアリーレン、若しくは、R
44で置換されたC
4~C
10-ヘテロアリーレンから選択される基であり、
R
42、R
43、及びR
44は、互いから独立して且つ各出現において、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル、C
1~C
4-アルコキシ、ハロゲン、OH、CN、又はCOOR
45から選択され、
R
45は、C
1~C
4-アルキルであり、
m、n、p、及びqは、互いから独立して0又は1であり、
但し、和m+n≧1であり、
s、t、u、v、y、及びzは、互いから独立して0、1、又は2であり、
wは、0、1、2、3、又は4であり、
xは、1又は2である]。
【請求項2】
以下の式
【化9A】
【化9B】
のうちの1つを有する、請求項1に記載の化合物
[式中、
Ar
1、Ar
5、及びAr
10は、互いから独立して、
【化10】
からなる群より選択される残基であり、
Ar
4は、
【化11】
、C
2~C
10-ヘテロアリール;又は、C
1~C
12-アルキル、C
1~C
12-アルコキシ、C
1~C
12-アルキルチオ、OH、ハロゲン、CF
3、NR
12R
13、CO
2R
14、COR
15、SO
2R
16、NO
2、若しくはCNで置換されたC
2~C
10-ヘテロアリールの残基であり、
Xは、CF
3、F、CN、COOR
17、CONR
18R
19、SO
2R
20、又は
【化12】
であり、
Yは、H、C
1~C
12-アルキル;OH若しくはNH
2で置換され且つ/あるいはNR
23若しくはOで中断されたC
1~C
12-アルキル;CF
3、C
7~C
12-アラルキル、NR
24R
25、F、CN、OH、C
1~C
12-アルコキシ;C
1~C
12-アルキルチオ、COOR
26、C
6~C
12-アリール;C
1~C
12-アルキル、C
1~C
12-アルコキシ、C
1~C
12-アルキルチオ、CN、F、OH、若しくはNR
27R
28で置換されたC
6~C
12-アリール;C
2~C
10-ヘテロアリール;C
1~C
12-アルキル、C
1~C
12-アルコキシ、C
1~C
12-アルキルチオ、OH、F、CN、若しくはNR
29R
30で置換されたC
2~C
10-ヘテロアリール;C
5~C
18-シクロアルキル、又はCF
3、F、CN、OH、C
1~C
12-アルコキシ、C
1~C
12-アルキルチオ;又は、NR
31R
32で置換され且つ/あるいは1個又は複数のOで中断されたC
5~C
18-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは、一緒に基
【化13】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~7員複素環を形成し、
Qは、NR
33、O、又はSであり、
前記基
【化14】
又は前記複素環は、非置換であるか、又はCH
3で置換されており、
R
1は、C
1~C
4-アルキル、CF
3、F、CN、又はC
1~C
4-アルコキシであり、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
21、及びR
22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、NO
2、CN、COOR
34、C
1~C
12-アルキル;F若しくはCNで置換されたC
1~C
12-アルキル;C
1~C
12-アルコキシ;C
3~C
12-シクロアルキル;F若しくはCNで置換されたC
3~C
12-シクロアルキル;フェニル;又は、F、CN、C
1~C
8-アルキル、若しくはCF
3で置換されたフェニルから選択され、
或いは、R
2及びR
3は一緒に、ブチレンであるか、又はベンゾ縮合環を形成し、前記n-ブチレン又は前記ベンゾ縮合環は、非置換であるか、又は、CH
3、C
2H
5、CN、OCH
3、OC
2H
5、NO
2、F、若しくはSO
2R
39で置換されており、
或いは、R
21及びR
22は、一緒にブチレンであり、前記ブチレンは、非置換であるか、又はCH
3、C
2H
5、CN、OCH
3、OC
2H
5、NO
2、F、若しくはSO
2R
40で置換されており、
R
8及びR
9は、互いから独立して且つ各出現において、CH
3、CF
3、F、CN、又はOCH
3であり、
R
10は、各出現において、C
1~C
8-アルキル、CF
3、F、C
1~C
8-アルコキシ、OH、又はCNから選択され、
R
11は、各出現において、CH
3又はC
2H
5であり、
R
14、R
15、R
16、R
17、R
20、R
26、R
34、R
39、及びR
40は、互いから独立して、C
1~C
8-アルキル;CNで置換されたC
1~C
8-アルキル;C
5~C
14-シクロアルキル;CN若しくはFで置換されたC
5~C
14-シクロアルキル;フェニル;F、CN、C
1~C
8-アルキル、若しくはCF
3で置換されたフェニル;フェニレン-C
5~C
14-シクロアルキル;F若しくはCNで置換されたフェニレン-C
5~C
14-シクロアルキル;C
5~C
12-シクロアルキレン-フェニル;又はC
1~C
8-アルキル、CF
3、F、若しくはCNで置換されたC
5~C
12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R
12、R
13、R
18、R
19、R
24、R
25、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、及びR
32は、互いから独立して、H、C
1~C
8-アルキル;C
5~C
14-シクロアルキル;フェニル;C
1~C
8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C
5~C
14-シクロアルキル;C
5~C
12-シクロアルキレン-フェニル;又は、C
1~C
8-アルキルで置換されたC
5~C
12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R
12及びR
13、R
18及びR
19、R
24及びR
25、R
27及びR
28、R
29及びR
30、又はR
31及びR
32は、一緒に、C
3~C
6-アルキレン、又は、O、S、及び/若しくはNR
41で中断されたC
3~C
6-アルキレンであり、
R
23、R
33、及びR
41は、互いから独立して、H、C
1~C
8-アルキル、C
5~C
6-シクロアルキル、又はフェニルであり、
Lは単結合、又は
【化15】
から選択される基であり、
R
42及びR
44は、互いから独立して且つ各出現において、C
1~C
4-アルキル、CF
3、C
1~C
4-アルコキシ、F、OH、CN、又はCOOR
45から選択され、
Z及びZ'は、互いから独立して、NR
46、O、又はSであり、
或いは、R
44の隣接する2個の基はベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は、非置換であるか、又はR
44で置換されており、
R
45は、CH
3又はC
2H
5であり、
R
46は、H、C
1~C
4-アルキル、C
5~C
6-シクロアルキル、又はフェニルであり、
m、n、p、及びqは、互いから独立して0又は1であり、
但し、和m+n≧1であり、
k、s、t、u、v、及びyは、互いから独立して0、1、又は2であり、
wは、0、1、2、3、又は4であり、且つ
x及びx'は、互いから独立して1又は2である]。
【請求項3】
Ar
1、Ar
5、及びAr
10は、互いから独立して、
【化16】
からなる群より選択される残基であり、
Ar
4は、
【化17】
の残基であり、
Xは、CF
3、F、CN、COOR
17、CONR
18R
19、SO
2R
20、又は
【化18】
であり、
Yは、H、C
1~C
8-アルキル;CF
3、NR
24R
25、F、CN、OH、C
1~C
8-アルコキシ;C
1~C
8-アルキルチオ;COOR
26、フェニル;C
1~C
8-アルキル、C
1~C
8-アルコキシ、C
1~C
8-アルキルチオ、F、CN、若しくはNR
27R
28で置換されたフェニル;又は、C
5~C
14-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは、一緒に基
【化19】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~7員複素環を形成し、
QはNR
33又はOであり、
前記基
【化20】
又は前記複素環は、非置換であるか、又はCH
3で置換されており、
R
1は、CH
3、CF
3、F、又はCNであり、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
21及びR
22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、COOR
34、C
1~C
8-アルキル、シクロヘキシル、又はフェニルから選択され、
或いは、R
2及びR
3は、一緒にベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はCH
3、C
2H
5、若しくはCNで置換されており、
R
10は、各出現において、C
1~C
8-アルキル、CF
3、F、C
1~C
8-アルコキシ、OH、又はCNから選択され、
R
11は、各出現において、CH
3又はC
2H
5であり、
R
14、R
17、R
20、R
26、及びR
34は、互いから独立して、C
1~C
8-アルキル、C
5~C
14-シクロアルキル;フェニル;C
1~C
8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C
5~C
14-シクロアルキル;又は、C
5~C
12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R
12、R
13、R
18、R
19、R
24、R
25、R
27及びR
28は、互いから独立して、H、C
1~C
8-アルキル、C
5~C
14-シクロアルキル;フェニル;フェニレン-C
5~C
14-シクロアルキル;又は、C
5~C
12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R
12及びR
13、R
18及びR
19、R
24及びR
25、又はR
27及びR
28は、一緒に、C
5~C
6-アルキレン、又は、O若しくはNR
41で中断されたC
3~C
6-アルキレンであり、
R
33、R
41、及びR
49は、互いから独立して、H、C
1~C
4-アルキル、C
5~C
6-シクロアルキル、又はフェニルであり、
R
47及びR
48は、互いから独立して且つ各出現において、C
1~C
8-アルキル、C
1~C
8-アルコキシ、C
1~C
8-アルキルチオ、OH、F、CF
3、NR
12R
13、CO
2R
14、又はNO
2から選択され、
或いは、R
47又はR
48の隣接する2個の基は、ベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又は、C
1~C
8-アルキル、C
1~C
8-アルコキシ、C
1~C
8-アルキルチオ、OH、F、CF
3、NR
12R
13、CO
2R
14、若しくはNO
2で置換されており、
r及びr'は、0、1又は2であり、
sは、0又は1であり、
vは、0、1又は2であり、且つ
wは、0、2、又は4である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Lは、
【化21】
から選択される基であり、
R
42及びR
44は、互いから独立して且つ各出現において、C
1~C
4-アルキル、CF
3、C
1~C
4-アルコキシ、F、OH、CN、又はCOOR
45から選択され、
Z及びZ'は、互いから独立してS又はNR
46であり、
R
45は、CH
3又はC
2H
5であり、
R
46はH又はC
1~C
4-アルキルであり、
k及びyは互いから独立して0、1、又は2であり、且つ
x及びx'は1又は2である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
以下の式
【化22A】
【化22B】
のうちの1つを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物
[式中、
Ar
1、Ar
5、及びAr
10は、互いから独立して、
【化23】
からなる群より選択される残基であり、
Ar
4は、
【化24】
の残基であり、
Xは、CF
3、F、CN、COOR
17、CONR
18R
19、SO
2R
20、又は
【化25】
であり、
Yは、H、C
1~C
8-アルキル;NR
24R
25、F、CN、OH、C
1~C
8-アルコキシ;C
1~C
8-アルキルチオ;COOR
26、フェニル;C
1~C
8-アルキル、C
1~C
8-アルコキシ、C
1~C
8-アルキルチオ、若しくはNR
27R
28で置換されたフェニル;又は、C
5~C
14-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは、一緒に、基
【化26】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~6員複素環を形成し、
QはNR
33又はOであり、
前記基
【化27】
又は前記複素環は、非置換であるか、又はCH
3で置換されており、
R
1は、CH
3、CF
3、F、又はCNであり、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
21及びR
22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、CO
2R
34、C
1~C
8-アルキル、又はフェニルから選択され、
或いは、R
2及びR
3は、一緒にベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はCH
3、C
2H
5、若しくはCNで置換されており、
R
8及びR
9は、互いから独立して且つ各出現において、CH
3であり、
R
10は、各出現において、C
1~C
8-アルキル、CF
3、F、C
1~C
8-アルコキシ、OH、又はCNから選択され、
R
11は、各出現において、CH
3又はC
2H
5であり、
R
14、R
17、R
20、R
26、及びR
34は、互いから独立して、C
1~C
5-アルキル、C
6~C
12-シクロアルキル、フェニル;C
1~C
5-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C
6~C
12-シクロアルキル;又は、C
6~C
12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R
12、R
13、R
18、R
19、R
24、R
25、R
27、及びR
28は、互いから独立して、H、C
1~C
8-アルキル、C
5~C
14-シクロアルキル、フェニル;フェニレン-C
6~C
12-シクロアルキル;又は、C
6~C
12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R
12及びR
13、R
18及びR
19、R
24及びR
25、又はR
27及びR
28は、一緒に、C
5~C
6-アルキレン、又は、O若しくはNR
41で中断されたC
3~C
6-アルキレンであり、
R
33、R
41、及びR
49は、互いから独立して、H、C
1~C
4-アルキル、C
5~C
6-シクロアルキル、又はフェニルであり、
Lは、
【化28】
から選択される基であり、
R
42及びR
44は、互いから独立して且つ各出現において、CH
3又はOCH
3から選択され、
R
47及びR
48は、互いから独立して且つ各出現において、C
1~C
6-アルキル、C
1~C
6-アルコキシ、NR
12R
13、CO
2R
14、又はNO
2から選択され、
k、t、v、及びyは、互いから独立して0、1、又は2であり、
x及びx'は、1であり、
r、r'、s、及びuは、互いから独立して0又は1であり、且つ
wは、0、2、又は4である]。
【請求項6】
Ar
1、Ar
5、及びAr
10は、互いから独立して、
【化29】
からなる群より選択される残基であり、かつ、Ar
5及びAr
10は、同一であり、
Ar
4は、
【化30】
の残基であり、
Xは、CF
3、F、CN、又はCOOR
17であり、
R
2及びR
3は、互いから独立してH、F、C
1~C
7-アルキル、又はCF
3であり、
或いは、R
2及びR
3は、一緒にベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はCH
3、C
2H
5、若しくはCNで置換されており、
R
10は、C
1~C
7-アルキル、CF
3、F、Cl、Br、C
1~C
6-アルコキシ、OH、又はCNであり、
Yは、H、C
1~C
7-アルキル;OH若しくはNH
2で置換されたC
1~C
7-アルキル;NR
24R
25、F、CN、OH、C
1~C
6-アルコキシ;COOR
26、フェニル;C
1~C
7-アルキル、C
1~C
6-アルコキシ、若しくはNR
27R
28で置換されたフェニル;又は、C
5~C
6-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは、一緒に、基
【化31】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~6員複素環を形成し、
QはNR
33又はOであり、
前記基
【化32】
又は前記複素環は、非置換であるか、又はCH
3で置換されており、
R
14、R
17、及びR
26は、互いから独立して、C
1~C
5-アルキル;C
6~C
12-シクロアルキル;フェニル;C
1~C
5-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C
6~C
12-シクロアルキル、又はC
6~C
12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R
12、R
13、R
24、R
25、R
27、及びR
28は、互いから独立して、H又はC
1~C
5-アルキルであり、
或いは、R
12及びR
13、R
24及びR
25、又はR
27及びR
28は、一緒に、C
5~C
6-アルキレン、又は、O若しくはNR
41で中断されたC
5~C
6-アルキレンであり、
R
33、R
41、及びR
49は、互いから独立して、H又はC
1~C
4-アルキルであり、
R
47及びR
48は、互いから独立して且つ各出現において、C
1~C
6-アルキル、C
1~C
6-アルコキシ、NR
12R
13、CO
2R
14、又はNO
2から選択され、
Lは、
【化33】
から選択される基であり、
vは、0、1又は2であり、且つ
r及びr'は、0又は1である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(A)又は(B)の化合物を調製するための方法であって、
- 式(A)の化合物の場合には、
式(A-A)のアミノ置換されたアゾ化合物と、式(A-B) のアルデヒドと
【化34】
の縮合による、
- 式(B)の化合物の場合には、
式(B-A)のアミノ置換されたアゾ化合物と、式(B-B) のジアルデヒドと
【化35】
の縮合による、方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(A)又は(B)の化合物1種又は複数を含み、任意選択で更なる二色性色素1種又は複数を含んでいてもよい、二色性色素混合物。
【請求項9】
黒色の混合物である、請求項8に記載の二色性色素混合物。
【請求項10】
液晶材料と、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(A)若しくは(B)の化合物又は請求項8少なくとも1種若しくは9に記載の二色性色素混合物と、を含む液晶組成物。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(A)若しくは(B)の化合物1種若しくは複数、又は請求項8若しくは9に記載の二色性色素混合物、又は請求項10に記載の液晶組成物を含む、光吸収異方性エレメント。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(A)若しくは(B)の化合物1種又は複数、又は請求項8若しくは9に記載の二色性色素混合物、又は請求項10に記載の液晶組成物を含む、切り替え可能な光学装置。
【請求項13】
ポリマー分散型液晶系、リバースポリマー分散型液晶系、ポリマーネットワーク液晶系、スマートウィンドウ用光シャッター、透過型ディスプレイ、反射型ディスプレイ、又は装飾用光シャッターである、請求項12に記載の切り替え可能な光学装置。
【請求項14】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(A)若しくは(B)の化合物1種又は複数、又は請求項8若しくは9に記載の二色性色素混合物、又は請求項10に記載の液晶組成物を含む、光学異方性フィルム。
【請求項15】
延伸ポリマーフィルム、コーティング可能な偏光子、リターダーフィルム、セキュリティー機能体、又はブランド保護のための機能体である、請求項14に記載の光学異方性フィルム。
【請求項16】
光学的に切り替え可能な装置の構成部分又は光学異方性フィルムの構成部分としての光吸収異方性エレメントにおける、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(A)若しくは(B)の化合物、又は請求項8若しくは9に記載の二色性色素混合物、又は請求項10に記載の液晶組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アゾ-アゾメチン色素、前記アゾ-アゾメチン色素を含む二色性色素混合物、液晶材料及び前記アゾ-アゾメチン色素を含む液晶組成物、並びに前記アゾ-アゾメチン色素を調製するための方法に関する。更に本発明は、前記アゾ-アゾメチン色素を含む光吸収異方性エレメントに関する。アゾ-アゾメチン色素は、切り替え可能な光学装置における光吸収異方性エレメントの一部として、例えばポリマー分散型液晶系、リバースポリマー分散型液晶系、ポリマーネットワーク液晶系、スマートウィンドウ若しくは装飾エレメント用光シャッター、透過型ディスプレイ、若しくは反射型ディスプレイとして、又は光学異方性フィルムにおいて、例えば延伸ポリマーフィルム、コーティング可能な偏光子、リターダーフィルム、セキュリティー機能体、若しくはブランド保護のための機能体(feature)として、適切である。
【背景技術】
【0002】
アゾ化合物は、多くの技術分野の用途で関心がもたれている。発色団、例えばアゾ化合物系のものは、二色性色素として適切であることが公知である。
【0003】
本出願の意味において、二色性色素は、吸収特性が、光の偏光方向に対する化合物の整列(配向)に依存する光吸収化合物である。二色性色素化合物は典型的に細長い形状を有する、即ち、当該化合物は1つの空間方向(長軸方向)において他の2つの空間方向においてよりも著しく長い。
【0004】
したがって、二色性色素は、切り替え可能な光学装置の液晶混合物において有用である。
【0005】
少なくとも1種の二色性色素を含む、そのような液晶混合物を用いて、光の吸収又は放出(又は両方)を色素によって制御することが可能である。吸収をどれほど良好に制御することができるかの尺度は、液晶混合物中の色素の二色比(DR)である。二色比(DR)は、分子の配向軸に対して平行に偏光された光(A||)の吸収対配向軸に対して垂直に偏光された光(A⊥)の吸収における比であり、DR(二色比)=A||/A⊥である。
【0006】
二色性の程度を表すための別の値は、秩序パラメーター(S)であり、秩序パラメーター(S)は、
【0007】
【0008】
と定義される。秩序パラメーターは、完全秩序では1であり、完全等方系では0である。
【0009】
高い二色比又は秩序パラメーターにより、吸収における高いコントラストが実現可能となり、これは多くの用途において望ましい。
【0010】
光の吸収の良好な制御を達成するために、高い二色比が望ましい。
【0011】
更に、液晶混合物における二色性色素の高い溶解度を有することが望ましい。色素の溶解度が高いほど、光制御装置のための光学的コントラストが高い。
【0012】
更に、色素の光安定性が高いことが望ましい。光安定性により、太陽光線、レーザー、又は室内照明等の高出力条件における装置の寿命を長くすることが可能となる。
【0013】
その良好な二色比のために、アゾ化合物発色団は液晶混合物における色素として提案されてきた。
【0014】
WO 2011/157614 A1は、青色二色性ポリアゾ色素、並びに前記青色色素及び更なる少なくとも1種の赤色ポリアゾ色素を含む黒色二色性色素組成物、並びにディスプレイ技術におけるその使用を開示している。組成物は、例えば、以下の化合物
【0015】
【0016】
を含む。
【0017】
US 4,565,424 Aは、二色性色素、及びそれらとネマチック液晶とのゲスト-ホスト組み合わせに関する。二色性色素は、ポリ(アリールアゾ)結合基、ビス-置換アリールチアジル置換基、及びナフチル置換基、ペリミジン置換基、又はジュロリジン置換基のいずれかを有する非対称分子である。液晶装置において、約400~600nmの間の吸収極大を有する、追加の周知の二色性色素とともに二色性色素を使用することにより、一般に、電界が存在する場合又は存在しない場合に、それぞれ無彩色の黒色と透明な状態との間で交互するディスプレイが提供される。US 4,565,424 Aによる適切な色素の例は、以下の構造式
【0018】
【0019】
を有する色素1である。
【0020】
JP 2011-046904 Aは、一般式(I): Ar1-N=N-Ar2-L1-Ar3-L2-Ar4 (I)の少なくとも1種の液晶二色性色素を含有する二色性色素組成物、例えば、調製のためにアゾ含有アルデヒドを必要とする、以下の構造式
【0021】
【0022】
を有する化合物A9を開示している。組成物は、高い二色比及び良好な配向特性を示すことが記載されており、薄い膜厚及び高い偏光度を有する偏光フィルムを形成するのに適している。前記フィルムは液晶ディスプレイ装置において使用されてもよい。
【0023】
JP S61-098768 Aは、液晶ディスプレイにおける使用のための、黄色から紫色のベンゾオキサゾール置換ジアゾ色素又はアゾ-アゾメチン色素を開示している。JP S60-262858 Aは、ベンゾトリアゾール置換アゾ色素を開示している。
【0024】
EP 0202341 A1は、液晶ディスプレイにおける使用に適切であると記載される、p-置換ビフェニレン-アゾ-1,4-ナフィレン単位の特長を有する二色性アゾ色素、例えば以下の式
【0025】
【0026】
の化合物を開示している。
【0027】
H. Sekiら、Mol. Cryst. Liq. Cryst.、1981年、第66巻、209~218頁において、ゲスト-ホスト相互作用を使用する液晶カラーディスプレイ装置の光安定性が検討されている。高い二色比を有する様々なアゾメチン-、ジアゾ-、及びアントラキノン-色素が試験され、ここで、ビフェニル混合物LIXON GR-41(Chisso Corp.社)がホストとして使用された。H. Sekiらにおいて、1種のアゾメチン色素
【0028】
【0029】
が言及されている。
【0030】
US 2015/0218455 A1は、例えば、Sekiらによって開示されるものと同じアゾ-アゾメチン色素を含む二色性色素混合物、及びアミノ-アントラキノン系の2種の二色性色素を開示している。ホスト液晶組成物MLC-2039(Merck社)中に含有される混合物は、420~680nmの間の光に対する均一な吸収、及び良好な低温保管安定性を有することが記載されている。
【0031】
US 2006/0147652 A1は、良好な溶解度及び高い二色比を示すことが記載されている二色性色素、例えば、以下の構造式
【0032】
【0033】
の化合物、及びZLI 1840 (Merck社)におけるのと同じものを含有する二色性組成物を開示している。
【0034】
本明細書において上に言及した従来技術は、例えばディスプレイ装置において利用される、液晶「ゲスト-ホスト」系、に主に関する。「ホスト」という用語は液晶材料を指し、「ゲスト」という用語は、ホストによって整列されて、対照的な光吸収性状態を生成することができる薬剤を指す。
【0035】
本明細書において上に言及したように、光の吸収(又は放出、又は両方)の良好な制御を達成するために、高い二色比が望ましい。更に、液晶混合物における二色性色素の高い相溶性、例えば高い溶解度、及び良好な耐久性を有することが望ましい。
【0036】
高い溶解度を提供するために、長いアルキル基又は任意選択で置換フェニル-シクロヘキシル基を有する色素が好ましく、それはそのような基は溶解度に肯定的に影響するためである。十分に高い二色比を提供するために、二色性色素は典型的に、細長い形状を有し、同じく細長い形状を含む液晶材料と同様の置換基を有する。高い溶解度及び高い二色比という要件に応じるために、二色性色素への継続的な要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【文献】WO 2011/157614 A1
【文献】US 4,565,424 A
【文献】JP 2011-046904 A
【文献】JP S61-098768 A
【文献】JP S60-262858 A
【文献】EP 0202341 A1
【文献】US 2015/0218455 A1
【文献】EP 1352943 A1,
【文献】EP 3048159 A1
【文献】EP 2725083 A2
【文献】DE 3022818 A1
【文献】EP 0260450 A1
【非特許文献】
【0038】
【文献】H. Sekiら、Mol. Cryst. Liq. Cryst.、1981、第66巻、209~218頁
【文献】「Enamines - Synthesis, Structures and Reactions」、出版者A.G. Cook、Marcel Dekker社、New-York (1969)
【文献】P.W. Hickmott、Tetrahedron 38、1975~2050頁;3363~3446頁(1982)
【文献】A.V. Ivashchenkoによる、CRC社によって出版された「Dichroic Dyes for Liquid Crystal Display」、1994
【文献】M. Schadtら、Jpn. J. Appl. Phys., 34、1995、3240~3249頁
【文献】Paul S. Drzaic、Pure & Applied Chem., 68(7)、1996、1435~1440頁
【文献】J. Sun、S.-T. Wu、Polym. Phys., 52 (3)、2014、183~192頁
【文献】Macromol. Chem. Phys. 2007、208頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
したがって、液晶混合物における高い相溶性、例えば高い溶解度、及び高い耐光性のような良好な耐久性、及びそれらと同時に高い二色比を有する、液晶組成物において使用するための容易に入手可能な二色性色素を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0040】
特定のアゾ-アゾメチン色素が、高い二色比によって、並びに液晶混合物における高い相溶性、例えば高い溶解度、及び良好な耐久性によって特徴付けられることが見出された。
【0041】
したがって、第1の態様において、本発明は式(A)又は(B)
【0042】
【0043】
の化合物に関する
【0044】
[式中、
Ar1、Ar5、及びAr10は互いから独立して、
【0045】
【0046】
からなる群より選択される残基であり、
Ar2、Ar3、Ar6、Ar7、Ar8、及びAr9は、互いから独立して且つ各出現において、
【0047】
【0048】
から選択され、
Ar4は、
【0049】
【0050】
、C2~C10-ヘテロアリール、C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、OH、ハロゲン、C1~C4-ハロアルキル、NR12R13、CO2R14、COR15、SO2R16、NO2、又はCNで置換されたC2~C10-ヘテロアリールの残基であり、
Xは、C1~C6-ハロアルキル、ハロゲン、CN、COOR17、CONR18R19、SO2R20、又はヘテロアリールであり、
前記ヘテロアリールは、
【0051】
【0052】
からなる群より選択され、
【0053】
YはH、C1~C12-アルキル;OH若しくはNH2で置換された、且つ/又はNR23、O若しくはSで中断されたC1~C12-アルキル;C1~C12-ハロアルキル、C7~C12-アラルキル;NR24R25、ハロゲン、CN、OH、C1~C12-アルコキシ;Oで中断されたC2~C12-アルコキシ;C1~C12-アルキルチオ;COOR26、C6~C12-アリール;C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、CN、ハロゲン、OH、若しくはNR27R28で置換されたC6~C12-アリール;C2~C10-ヘテロアリール、C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、OH、ハロゲン、CN、若しくはNR29R30で置換されたC2~C10-ヘテロアリール;C3~C18-シクロアルキル、又はC1~C12-ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ若しくはNR31R32で置換された、且つ/又は1個又は複数のOで中断されたC3~C18-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0054】
【0055】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~7員複素環を形成し、
QはNR33、O、又はSであり、
前記基
【0056】
【0057】
又は複素環は非置換であるか、又はC1~C4アルキルで置換されており、
R1は、C1~C12-アルキル、C1~C12-ハロアルキル、ハロゲン、CN、C1~C12-アルコキシ、又はOで中断されたC2~C12-アルコキシであり、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R21、及びR22は、互いから独立して且つ各出現において、H、ハロゲン、OCF3、NO2、CN、ホルミル、COOR34、COR35、SO2R36、CONR37R38、C1~C12-アルキル;ハロゲン若しくはCNで置換されたC1~C12-アルキル;C1~C12-アルコキシ;Oで中断されたC2~C12-アルコキシ;C3~C12-シクロアルキル;ハロゲン若しくはCNで置換された、且つ/又は1個若しくは複数のOで中断されたC3~C12-シクロアルキル;フェニル;又はハロゲン、CN、C1~C8-アルキル、若しくはC1~C8-ハロアルキルで置換されたフェニルから選択され、
或いは、R2及びR3、又はR6及びR7は一緒に、C3~C4-アルキレンであるか、又はベンゾ縮合環を形成し、前記アルキレン又はベンゾ縮合環は非置換であるか、又はC1~C4-アルキル、CN、C1~C4-アルコキシ、NO2、ハロゲン、若しくはSO2R39で置換されており、
或いは、R21及びR22は一緒に、C3~C4-アルキレンであり、前記アルキレンは非置換であるか、又はC1~C4-アルキル、CN、C1~C4-アルコキシ、NO2、ハロゲン、若しくはSO2R40で置換されており、
R8及びR9は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、ハロゲン、CN、又はC1~C4-アルコキシから選択され、
R10は各出現において、C1~C12-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C12-アルコキシ、OH、ハロゲン、又はCNから選択され、
R11は各出現において、C1~C4-アルキルであり、
R14、R15、R16、R17、R20、R26、R34、R35、R36、R39及びR40は、互いから独立して、C1~C12-アルキル;CN若しくはOHで置換されたC1~C12-アルキル;C1~C12-ハロアルキル;C3~C18-シクロアルキル、C1~C12-ハロアルキル、CN、OH、若しくはハロゲンで置換された、且つ/又は1個若しくは複数のOで中断されたC3~C12-シクロアルキル;C6~C12-アリール、ハロゲン、CN、OH、C1~C12-アルキル、若しくはC1~C12-ハロアルキルで置換されたC6~C12-アリール;フェニレン-C3~C18-シクロアルキル;ハロゲン、CN、若しくはOHで置換されたフェニレン-C3~C18-シクロアルキル;C3~C12-シクロアルキレン-フェニル;又はC1~C12-アルキル、C1~C12-ハロアルキル、ハロゲン、CN、若しくはOHで置換されたC3~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R12、R13、R18、R19、R24、R25、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R37、又はR38は、互いから独立して、H、C1~C12-アルキル;C3~C14-シクロアルキル;C6~C12-アリール、ハロゲン、CN、OH、C1~C12-アルキル、若しくはC1~C12-ハロアルキルで置換されたC6~C12-アリール;フェニレン-C3~C18-シクロアルキル;ハロゲン、CN、若しくはOHで置換されたフェニレン-C3~C18-シクロアルキル;C3~C12-シクロアルキレン-フェニル;又はC1~C12-アルキル、C1~C12-ハロアルキル、ハロゲン、CN、若しくはOHで置換されたC3~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R12及びR13、R18及びR19、R24及びR25、R27及びR28、R29及びR30、R31及びR32、又はR37及びR38は一緒に、C2~C12-アルキレン、又はO、S、及び/若しくはNR41で中断されたC2~C12-アルキレンであり、
R23、R33、及びR41は、互いから独立して、H、C1~C12-アルキル、C3~C12-シクロアルキル、フェニル、又はC1~C6-アルキル、F、若しくはCNで置換されたフェニルであり、
Lは単結合、又は
【0058】
【0059】
、C4~C10-ヘテロアリーレン、若しくはR44で置換されたC4~C10-ヘテロアリーレンから選択される基であり、
R42、R43、及びR44は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C4-アルコキシ、ハロゲン、OH、CN、又はCOOR45から選択され、
R45はC1~C4-アルキルであり、
m、n、p、及びqは互いから独立して0又は1であり、
但し、和m+n≧1であり、
s、t、u、v、y、及びzは互いから独立して0、1、又は2であり、
wは0、1、2、3、又は4であり、
xは1又は2である]。
【0060】
更なる態様において、本発明は、本明細書において定義されるような式(A)又は(B)の化合物を調製するための方法に関する。
【0061】
更なる態様において、本発明は、本明細書において定義されるような1種又は複数の式(A)又は(B)の化合物、及び任意選択で更なる二色性色素を含む二色性色素混合物に関する。
【0062】
更なる態様において、本発明は、液晶材料、及び本明細書において定義されるような少なくとも1種の式(A)若しくは(B)の化合物、又は本明細書において定義されるような二色性色素混合物を含む液晶組成物に関する。
【0063】
更なる態様において、本発明は、本明細書において定義されるような式(A)若しくは(B)の化合物、又は本明細書において定義されるような二色性色素混合物、又は本明細書において定義されるような液晶組成物を含む光吸収異方性エレメントに関する。
【0064】
更なる態様において、本発明は、本明細書において定義されるような式(A)若しくは(B)の化合物、又は本明細書において定義されるような二色性色素混合物、又は本明細書において定義されるような液晶組成物を含む切り替え可能な光学装置に関する。
【0065】
更なる態様において、本発明は、本明細書において定義されるような式(A)若しくは(B)の少なくとも1種の化合物、又は本明細書において定義されるような二色性色素混合物、又は本明細書において定義されるような液晶組成物を含む光学異方性フィルムに関する。
【0066】
更なる態様において、本発明は、光学的に切り替え可能な装置の、若しくは光学異方性フィルムの構成部分としての光吸収異方性エレメントにおける、本明細書において定義されるような式(A)若しくは(B)の化合物、又は本明細書において定義されるような二色性色素混合物、又は本明細書において定義されるような液晶組成物の使用に関する。
【0067】
アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ハロゲンという用語は、当技術分野で公知であり、前記基が、以下で言及される特定の実施形態において更に特定されない場合、一般に以下の意味を有する。
【0068】
アルキル、例えば、C1~C4-アルキル、C1~C6-アルキル、C1~C8-アルキル、C1~C12-アルキル、C5~C12-アルキル、C2~C12-アルキルは、可能である場合は直鎖状又は分枝の炭素原子の所与の制限内にあってもよい。例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、1-メチルヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、1-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、及び前述のn-アルキルラジカルの構造異性体がある。任意のアルキル部分が、例えばF、CN、及び/又はOH、好ましくはF又はCNで置換されてもよい。
【0069】
2個以上、特に3個以上の炭素原子の任意のアルキル部分、アルコキシ部分、又はアルキルチオ部分、又は別の部分の一部であるそのようなアルキル部分が、O、S、又はNR'のようなヘテロ官能基で中断されてもよく、ここでR'は、例えばH、C1~C12-アルキル、C3~C12-シクロアルキル、又はフェニルである。それらの部分は、これらのヘテロ官能基のうちの1種又は複数で中断されてもよく、各場合の1つの基は一般に、アルキル部分又はアルコキシ部分の1つのC-C結合に挿入されている。割り込まれた部分が追加的に置換される場合、置換基は一般に、ヘテロ原子ではない。-O-、-NR'-、-S-型の割り込む基が1個の遊離基において2個以上生じる場合、それらは同一であることが多い。
【0070】
アルキレン、例えばC3~C4-アルキレン、C2~C12-アルキレンは、上に定義されるアルキルの任意の末端炭素原子からH原子を抽出することによって、そのアルキルに由来してもよい。
【0071】
シクロアルキル、例えばC3~C18-シクロアルキル、C3~C12-シクロアルキル、C5~C14-シクロアルキル、C5~C6-シクロアルキルは、非置換であっても、アルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基を含む。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert-ブチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、ヘキシルシクロヘキシル、ドデシルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロドデシル、又は1,4-シクロヘキシレン-シクロヘキシルがある。シクロヘキシル及びシクロペンチルが好ましく、より好ましいのは、任意選択で、C1~C12-アルキル、C1~C8-アルキル、C1~C7-アルキル、又はC1~C5-アルキルで4-置換されている、シクロヘキシルである。シクロアルキル、例えば1個又は複数のO、好ましくは1個のOで中断されたC3~C18-シクロアルキルは、例えばテトラヒドロピラニルである。
【0072】
フェニレン-C3~C18-シクロアルキル基の例は、
【0073】
【0074】
、好ましくは
【0075】
【0076】
である。ハロゲン、CN、又はOHのような置換基は、好ましくはアルキル基に位置している。
【0077】
C3~C18-シクロアルキレン-フェニル基の例は、
【0078】
【0079】
、好ましくは
【0080】
【0081】
である。アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、CN、又はOHのような置換基は、好ましくはフェニル環に位置している。
【0082】
ハロアルキル、例えば、C1~C4-ハロアルキル、C1~C6-ハロアルキル、C1~C8-ハロアルキル、C1~C12-ハロアルキルは、可能である場合は直鎖状又は分枝の炭素原子の所与の制限内にあってもよい。例としては、本明細書において上に言及されるアルキル基であり、ここでそのH原子は一部又はすべてがハロゲン原子によって置換されている。好ましいハロアルキル基はフルオロアルキル基であり、より好ましいのはペルフルオロ基、最も好ましいのはCF3である。
【0083】
アルコキシ、例えばC1~C4-アルコキシ、C1~C8-アルコキシ、C1~C12-アルコキシ、C2~C12-アルコキシは、アルキル-Oである。
【0084】
アルキルチオ、例えばC1~C4-アルキルチオ、C1~C12-アルキルチオ、C2~C12-アルキルチオは、アルキル-Sである。
【0085】
アリール、例えばC6~C10-アリール、又はC6~C12-アリールは、炭素原子、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニリル、又はフェロセニルの所与の制限内にあってもよい。前記アリール基は非置換であっても置換されていてもよい。
【0086】
ヘテロアリール、例えばC2~C10-ヘテロアリール、C2~C5-ヘテロアリールは、典型的にO、S、及び/又はNを含有する、非縮合ヘテロアリール基であっても縮合ヘテロアリール基であってもよい。例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾフラニル、ビピリジル、イソインドリル、インドリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、アザベンゾ-イソチアゾリル、チエノチエニル、又はチエノ[2,3-d]チアゾール-イルがある。前記ヘテロアリール基は非置換であっても置換されていてもよい。
【0087】
ヘテロアリーレン、例えばC4~C10-ヘテロアリーレン、又はC4~C6-ヘテロアリーレンは、チオフェン-2,5-ジイル、ピロール-2,5-ジイルであってもよく、例えば、
【0088】
【0089】
、式中、R46はH、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニル基、好ましくはH、メチル、又はエチルである。
【0090】
アラルキル、例えばC7~C12-アラルキルは、炭素原子の所与の制限内にあってもよく、例えば、ベンジル、2-ベンジル-2-プロピル、β-フェニル-エチル(フェネチル)、α,α-ジメチルベンジル、ω-フェニル-ブチル、ω,ω-ジメチル-ω-フェニル-ブチルであり、そこでは脂肪族及び芳香族炭化水素基両方が、非置換であっても置換されていてもよい。好ましい例はベンジル、フェネチル、α,α-ジメチルベンジル、ω-フェニル-ブチル、ω-フェニル-ドデシル、及びω-フェニル-オクタデシルである。
【0091】
ハロゲン(Hal)は、I、Br、Cl、又はFを、好ましくはF又はClを、より好ましくはFを表す。
【0092】
基
【0093】
【0094】
[式中Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0095】
【0096】
を形成し、QはNR33、O、又はSである]の例は、
【0097】
【0098】
であってもよく、好ましくは
【0099】
【0100】
である。前記基は、非置換であるか、C1~C4-アルキルで、好ましくはメチル又はエチルで置換されている。より好ましいのは、非置換の基である。
【0101】
基
【0102】
【0103】
[式中、Y及び1個の隣接するHは一緒に1個又は2個のQを含有する5~7員複素環を形成する]の例は、
【0104】
【0105】
であってもよく、式中、R50はH又はC1~C4-アルキル、好ましくはH、メチル、又はエチルである。前記基は、非置換であるか、C1~C4-アルキル、好ましくはメチル又はエチルで置換されている。より好ましいのは、非置換の基であり、vは0である。
【0106】
式
【0107】
【0108】
[式中、R2及びR3は一緒にC3~C4-アルキレンである]の基の例は、
【0109】
【0110】
であってもよい。基は非置換であっても置換されていてもよい。ブチレンが好ましい。同じことがR6及びR7並びにR21及びR22に適用される。
【0111】
式
【0112】
【0113】
[式中、R2及びR3は一緒にベンゾ縮合環を形成する]の基の例は、
【0114】
【0115】
であってもよく、これは非置換であっても置換されていてもよい。
【0116】
例えばNR12NR13[式中、R12及びR13は一緒にC2~C12-アルキレン又はO、S、及び/又はNR41で中断されたC2~C12-アルキレンである]によって表されるようなアミン基は、環式アミンであり、ここで、したがって、R12及びR13は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、2~12個の環炭素原子を含む脂肪族N-複素環式残基を形成し、当該炭素原子は任意選択でアルキル基によって置換されていてもよい。例は、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、
【0117】
【0118】
、又はそれらのC1~C8-アルキル置換バリアントである。
【0119】
「置換された」という用語は、「で1回又は複数回置換された」を意味し、回数は、可能である場合、1~3回である、好ましくは1~2回である、より好ましくは1回である。1つの基において置換基が1回より多く生じる場合、各出現において異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【
図1】LCセルにおける実施例36の視覚範囲における吸収スペクトル、及び照射240時間後の吸収スペクトルを示すグラフである(連続的な線:初期の吸収スペクトル、破線:240時間後)。
【
図2】LCセルにおける実施例37の視覚範囲における吸収スペクトル、及び照射240時間後の吸収スペクトルを示すグラフである(連続的な線:初期の吸収スペクトル、破線:240時間後)。
【
図3】LCセルにおける実施例38の視覚範囲における吸収スペクトル、及び照射240時間後の吸収スペクトルを示すグラフである(連続的な線:初期の吸収スペクトル、破線:240時間後)。
【
図4】LCセルにおける比較例1の視覚範囲における吸収スペクトル、及び照射240時間後の吸収スペクトルを示すグラフである(連続的な線:初期の吸収スペクトル、破線:240時間後)。
【発明を実施するための形態】
【0121】
好ましくは、Ar1基、Ar5基、及びAr10基は
【0122】
【0123】
からなる群より選択される残基であってもよく、
Xは、CF3、F、CN、COOR17、CONR18R19、SO2R20、又は
【0124】
【0125】
であり、式中、
R1はC1~C4-アルキル、CF3、F、CN、又はC1~C4-アルコキシであり、
R2、R3、R4、R5、R21、及びR22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、NO2、CN、COOR34、C1~C12-アルキル;F若しくはCNで置換されたC1~C12-アルキル;C1~C12-アルコキシ;C3~C12-シクロアルキル;F若しくはCNで置換されたC3~C12-シクロアルキル;フェニル;又はF、CN、C1~C8-アルキル、若しくはCF3で置換されたフェニルから選択され、
或いは、R2及びR3は一緒に、ブチレンであるか、又はベンゾ縮合環を形成し、前記n-ブチレン又はベンゾ縮合環は非置換であるか、又は、CH3、C2H5、CN、OCH3、OC2H5、NO2、F、若しくはSO2R39で置換されており、
或いは、R21及びR22は一緒にブチレンであり、前記ブチレンは非置換であるか、又はCH3、C2H5、CN、OCH3、OC2H5、NO2、F、若しくはSO2R40で置換されており、
R17、R20、R34、R39、及びR40は、互いから独立して、C1~C8-アルキル;CNで置換されたC1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル、CN若しくはFで置換されたC5~C14-シクロアルキル;フェニル、F、CN、C1~C8-アルキル、若しくはCF3で置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;F若しくはCNで置換されたフェニレン-C5~C14-シクロアルキル;C5~C12-シクロアルキレン-フェニル;又はC1~C8-アルキル、CF3、F、若しくはCNで置換されたC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R18及びR19は、H、C1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル;フェニル、C1~C8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;C5~C12-シクロアルキレン-フェニル;又はC1~C8-アルキルで置換されたC5~C12-シクロアルキレン-フェニルである。
或いは、R18及びR19は一緒に、C3~C6-アルキレン、又はO、S、及び/若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、
R41はH、C1~C8-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニル;並びに
sは0、1又は2である。
【0126】
置換基Xは好ましくはp-置換されている。
【0127】
Ar1、Ar5、及びAr10のより好ましい基は
【0128】
【0129】
からなる群より選択される残基であり、Ar1、Ar5、及びAr10の最も好ましい基は
【0130】
【0131】
からなる群より選択される残基である。
【0132】
特に、Ar1、Ar5、及びAr10の好ましい基は
【0133】
【0134】
からなる群より選択される残基である。
【0135】
Ar5基及びAr10基は、式(B)の化合物において同じであっても、又は異なっていてもよい。好ましくは、Ar5基及びAr10基は同じである。
【0136】
代替的には、好ましいのは、式(B)の化合物であり、ここで、Ar5及びAr10は異なる。
【0137】
Ar1基、Ar5基、及びAr10基内の置換基Xは、CF3、F、CN、COOR17、CONR18R19、SO2R20、又は
【0138】
【0139】
であってもよく、式中、
R21及びR22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、COOR34、C1~C8-アルキル、シクロヘキシル、又はフェニルから選択され、
R17、R20、及びR34は、互いから独立して、C1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル;フェニル、C1~C8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル、又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R18、及びR19は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル;フェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル、又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R18及びR19は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、
R41はH、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルであり、且つ
R21及びR22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、COOR34、C1~C8-アルキル、シクロヘキシル、又はフェニルから選択される。
【0140】
置換基Xは、より好ましくはCF3、F、CN、COOR17、CONR18R19、SO2R20、又は
【0141】
【0142】
であり、式中、
R21及びR22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、CO2R34、C1~C8-アルキル、又はフェニルから選択され、
R17、R20、及びR34は、互いから独立して、C1~C5-アルキル;C6~C12-シクロアルキル;フェニル、C1~C5-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C6~C12-シクロアルキル、又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R18及びR19は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル;フェニル;フェニレン-C5~C12-シクロアルキル:又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R18及びR19は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、
R41はH、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルであり、且つ
R21及びR22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、COOR34、C1~C8-アルキル、シクロヘキシル、又はフェニルから選択される。
【0143】
最も好ましくは、置換基XはCF3、F、CN、又はCOOR17であり、式中、
R17は、C1~C5-アルキル;C6~C12-シクロアルキル;フェニル、C1~C5-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C6~C12-シクロアルキル、又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニル;特にC1~C5-アルキル;C6~C12-シクロアルキル、又はフェニルであり、
Ar1基、Ar5基、及びAr10基内の置換基R1は、C1~C4-アルキル、CF3、F、CN、又はC1~C4-アルコキシ、好ましくはC1~C4-アルキル、CF3、F、又はCN、より好ましくはCH3又はF、最も好ましくはCH3である。
【0144】
特に好ましいのは、Ar1基、Ar5基、及びAr10基であり、ここで、sは0である。
【0145】
好ましくは、Ar1基、Ar5基、及びAr10基内の置換基R2、R3、R4、及びR5は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、COOR34、C1~C8-アルキル、シクロヘキシル、又はフェニルから選択され、
或いは、R2及びR3は一緒にベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はCH3、C2H5、若しくはCNで置換されており、且つ
R34は、C1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル;フェニル、C1~C8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル、又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルである。
【0146】
より好ましくは、Ar1基、Ar5基、及びAr10基内の置換基R2、R3、R4、及びR5は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、CO2R34、C1~C8-アルキル、又はフェニルから選択され、
或いは、R2及びR3は一緒にベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はCH3、C2H5、若しくはCNで置換されており、且つ
R34は、C1~C5-アルキル;C6~C12-シクロアルキル;フェニル、C1~C5-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C6~C12-シクロアルキル、又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニル、好ましくは非置換のC6~C12-シクロアルキレン-フェニルである。
【0147】
特に、Ar1基、Ar5基、及びAr10基内の置換基R2、R3、R4、及びR5は、互いから独立して、H、F、C1~C7-アルキル、又はCF3であり、
或いは、R2及びR3は一緒にベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はCH3、C2H5、若しくはCNで置換されており、好ましくは非置換である。
【0148】
好ましくは、Ar2基、Ar3基、Ar6基、Ar7基、Ar8基、及びAr9基は、互いから独立して且つ各出現において、
【0149】
【0150】
から選択され、式中、
R8及びR9は、互いから独立して且つ各出現において、CH3、CF3、F、CN、又はOCH3、より好ましくはCH3であり、
t及びuは互いから独立して0、1、又は2である。
【0151】
好ましくは、Ar4基は
【0152】
【0153】
、C2~C10-ヘテロアリール、C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、OH、ハロゲン、CF3、NR12R13、CO2R14、COR15、SO2R16、NO2、又はCNで置換されたC2~C10-ヘテロアリールの残基であってもよく、
YはH、C1~C12-アルキル;OH若しくはNH2で置換された、且つ/又はNR23若しくはOで中断されたC1~C12-アルキル;CF3、C7~C12-アラルキル、NR24R25、F、CN、OH、C1~C12-アルコキシ;C1~C12-アルキルチオ;COOR26、C6~C12-アリール;C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、CN、F、OH、若しくはNR27R28で置換されたC6~C12-アリール;C2~C10-ヘテロアリール、C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、OH、F、CN、若しくはNR29R30で置換されたC2~C10-ヘテロアリール;C5~C18-シクロアルキル、又はCF3、F、CN、OH、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、若しくはNR31R32で置換された、且つ/又は1個又は複数のOで中断されたC5~C18-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0154】
【0155】
又はQを含有する5~7員複素環を形成し、
QはNR33、O、又はSであり、
前記複素環は非置換であるか、又はCH3で置換されており、
R10は各出現において、C1~C8-アルキル、CF3、F、C1~C8-アルコキシ、OH、又はCNから選択され、
R11は各出現において、CH3又はC2H5であり、
R14、R15、R16、及びR26は、互いから独立して、C1~C8-アルキル;CNで置換されたC1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル、CN若しくはFで置換されたC5~C14-シクロアルキル;フェニル、F、CN、C1~C8-アルキル、若しくはCF3で置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;F若しくはCNで置換されたフェニレン-C5~C14-シクロアルキル;C5~C12-シクロアルキレン-フェニル;又はC1~C8-アルキル、CF3、F、若しくはCNで置換されたC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R12、R13、R24、R25、R27、R28、R29、R30、R31、及びR32は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル;フェニル、C1~C8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;C5~C12-シクロアルキレン-フェニル;又はC1~C8-アルキルで置換されたC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R12及びR13、R24及びR25、R27及びR28、R29及びR30、又はR31及びR32は一緒に、C3~C6-アルキレン、又はO、S、及び/若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、
R23、R33、及びR41は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルであり、
vは0、1又は2であり、且つ
wは0、1、2、3、又は4である。
【0156】
より好ましいAr4基は、
【0157】
【0158】
の残基、特に
【0159】
【0160】
の基である。
【0161】
チエニル基
【0162】
【0163】
は、好ましくは非置換であり、式
【0164】
【0165】
の基、又は式
【0166】
【0167】
の基であり、式中、
R47は、C1~C6-アルキル、C1~C6-アルコキシ、NR12R13、CO2R14、又はNO2であり、
R14は、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル;フェニル、C1~C8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R12及びR13は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル;フェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル、又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R12及びR13は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、且つ
R41はH、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルである。
【0168】
特に、式
【0169】
【0170】
の基は非置換であるか、又は式
【0171】
【0172】
の基であり、式中、
R47は、C1~C6-アルキル、C1~C6-アルコキシ、NR12R13、又はNO2であり、
R12及びR13は、互いから独立して、C1~C6-アルキルであり、
或いは、R12及びR13はN原子と一緒に、ピロリジニル環、ピペリジニル環、モルホリニル環、又はピペラジニル環、又はC1~C4-アルキルで置換されたN-置換ピペラジニル環を形成する。
【0173】
式
【0174】
【0175】
の基は、好ましくは式
【0176】
【0177】
の基、式
【0178】
【0179】
の基、又は式
【0180】
【0181】
の基であり、式中、
R48は、C1~C6-アルキル、C1~C6-アルコキシ、NR12R13、CO2R14、又はNO2であり、
R14は、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル;フェニル、C1~C8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R12及びR13は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル;フェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル、又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R12及びR13は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、且つ
R41及びR49はH、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルである。
【0182】
特に、式
【0183】
【0184】
の基は、式
【0185】
【0186】
の基、式
【0187】
【0188】
の基であり、式中、
R48は、C1~C6-アルキル、C1~C6-アルコキシ、NR12R13、又はNO2から選択され、
R12及びR13は、互いから独立して、C1~C6-アルキルであり、
或いは、R12及びR13はN原子と一緒に、ピロリジニル環、ピペリジニル環、モルホリニル環、又はピペラジニル環、又はC1~C4-アルキルで置換されたN-置換ピペラジニル環を形成し、且つ
R49はH又はC1~C4-アルキルである。
【0189】
Ar4基内の置換基Yは、H、C1~C8-アルキル;CF3、NR24R25、F、CN、OH、C1~C8-アルコキシ;C1~C8-アルキルチオ;COOR26、フェニル;C1~C8-アルキル、C1~C8-アルコキシ、C1~C8-アルキルチオ、F、CN、若しくはNR27R28で置換されたフェニル;又はC5~C14-シクロアルキルから選択されてもよく、
或いは、Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0190】
【0191】
又はQを含有する5~7員複素環を形成し、
QはNR33又はOであり、
前記複素環基は非置換であるか、又はCH3で置換されており、
R26は、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル;フェニル、C1~C8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R24、R25、R27及びR28は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル;フェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル、又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R24及びR25、又はR27及びR28は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、且つ
R33及びR41は、互いから独立して、H、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルである。
【0192】
置換基Yは、より好ましくはH、C1~C8-アルキル;NR24R25、F、CN、OH、C1~C8-アルコキシ;C1~C8-アルキルチオ;COOR26、フェニル;C1~C8-アルキル、C1~C8-アルコキシ、C1~C8-アルキルチオ、若しくはNR27R28で置換されたフェニル;又はC5~C14-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0193】
【0194】
又はQを含有する5~6員複素環を形成し、
QはNR33又はOであり、
前記複素環基は非置換であるか、又はCH3で置換されており、
R26は、C1~C5-アルキル;C6~C12-シクロアルキル;フェニル、C1~C5-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C6~C12-シクロアルキル、又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニルである。
R24、R25、R27及びR28は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル、フェニル;フェニレン-C6~C12-シクロアルキル;又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R24及びR25、又はR27及びR28は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、且つ
R33及びR41は、互いから独立して、H、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルである。
【0195】
最も好ましくは、置換基Yは、H、C1~C7-アルキル;OH若しくはNH2で置換されたC1~C7-アルキル;NR24R25、F、CN、OH、C1~C6-アルコキシ;COOR26、フェニル;C1~C7-アルキル、C1~C6-アルコキシ、若しくはNR27R28で置換されたフェニル;又はC5~C6-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0196】
【0197】
又はQを含有する5~6員複素環を形成し、
QはNR33又はOであり、
前記複素環は非置換であるか、又はCH3で置換されており、
R26は、C1~C5-アルキル;C6~C12-シクロアルキル;フェニル、C1~C5-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C6~C12-シクロアルキル、又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R24、R25、R27、及びR28は、互いから独立してH、C1~C5-アルキルであり、
或いは、R24及びR25、又はR27及びR28は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC5~C6-アルキレンであり、且つ
R33及びR41は、互いから独立してH又はC1~C4-アルキルである。
【0198】
Ar4基内の置換基R10は、C1~C8-アルキル、CF3、F、C1~C8-アルコキシ、OH、又はCN、好ましくはC1~C7-アルキル、CF3、F、Cl、Br、C1~C6-アルコキシ、OH、又はCNから選択されてもよい。
【0199】
Ar4基内の置換基R11は、CH3又はC2H5から選択されてもよい。
【0200】
【0201】
の基は好ましくは非置換であるか、又は式
【0202】
【0203】
の基であり、より好ましくは式
【0204】
【0205】
の基である。
【0206】
好ましくは、L基は単結合、又は
【0207】
【0208】
から選択される基であり、
R42及びR44は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C4-アルキル、CF3、C1~C4-アルコキシ、F、OH、CN、又はCOOR45から選択され、
Z及びZ'は、互いから独立してNR46、O、又はS、特にS又はNR46、特別にSであり、
或いは、R44の隣接する2個の基はベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はR44で置換されており、
R45は、CH3又はC2H5であり、
R46はH、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルである。
k及びyは互いから独立して0、1、又は2であり、且つ
x及びx'は互いから独立して1又は2である。
【0209】
より好ましくは、L基は
【0210】
【0211】
から選択される基であり、
R42及びR44は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C4-アルキル、CF3、C1~C4-アルコキシ、F、OH、CN、又はCOOR45から選択され、
Z及びZ'は、互いから独立してS又はNR46であり、
R45は、CH3又はC2H5であり、
R46はH又はC1~C4-アルキルであり、
k及びyは互いから独立して0、1、又は2であり、且つ
x及びx'は互いから独立して1又は2である。
【0212】
特に好ましいのは
【0213】
【0214】
から選択される基であり、式中、
R42及びR44は、互いから独立して且つ各出現において、CH3又はOCH3から選択され、
k及びyは互いから独立して0、1、又は2、特別に0であり、且つ
x及びx'は1である。
【0215】
式(A)及び(B)の化合物は、Ar2基、Ar3基、Ar6基、Ar7基、Ar8基、及びAr9基としてフェニル基、ナフチレン基、又はフェニレン基及びナフチレン基を含んでもよい。
【0216】
したがって、好ましい態様において、本発明は以下の式
【0217】
【0218】
のうちの1つを有する化合物に関し、式中、
Ar1、Ar5、及びAr10は互いから独立して、
【0219】
【0220】
からなる群より選択される残基であり、
Ar4は
【0221】
【0222】
、C2~C10-ヘテロアリール、C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、OH、ハロゲン、CF3、NR12R13、CO2R14、COR15、SO2R16、NO2、又はCNで置換されたC2~C10-ヘテロアリールの残基であり
Xは、CF3、F、CN、COOR17、CONR18R19、SO2R20、又は
【0223】
【0224】
であり、
YはH、C1~C12-アルキル;OH若しくはNH2で置換された、且つ/又はNR23若しくはOで中断されたC1~C12-アルキル;CF3、C7~C12-アラルキル、NR24R25、F、CN、OH、C1~C12-アルコキシ;C1~C12-アルキルチオ、COOR26、C6~C12-アリール;C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、CN、F、OH、若しくはNR27R28で置換されたC6~C12-アリール;C2~C10-ヘテロアリール、C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、OH、F、CN、若しくはNR29R30で置換されたC2~C10-ヘテロアリール;C5~C18-シクロアルキル、又はCF3、F、CN、OH、C1~C12-アルコキシ、C1~C12-アルキルチオ、若しくはNR31R32で置換された、且つ/又は1個又は複数のOで中断されたC5~C18-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0225】
【0226】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~7員複素環を形成し、
QはNR33、O、又はSであり、
前記基
【0227】
【0228】
又は複素環は非置換であるか、又はCH3で置換されており、
R1はC1~C4-アルキル、CF3、F、CN、又はC1~C4-アルコキシであり、
R2、R3、R4、R5、R21、及びR22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、NO2、CN、COOR34、C1~C12-アルキル;F若しくはCNで置換されたC1~C12-アルキル;C1~C12-アルコキシ;C3~C12-シクロアルキル;F若しくはCNで置換されたC3~C12-シクロアルキル;フェニル;又はF、CN、C1~C8-アルキル、若しくはCF3で置換されたフェニルから選択され、
或いは、R2及びR3は一緒に、ブチレンであるか、又はベンゾ縮合環を形成し、前記n-ブチレン又はベンゾ縮合環は非置換であるか、又は、CH3、C2H5、CN、OCH3、OC2H5、NO2、F、若しくはSO2R39で置換されており、
或いは、R21及びR22は一緒にブチレンであり、前記ブチレンは非置換であるか、又はCH3、C2H5、CN、OCH3、OC2H5、NO2、F、若しくはSO2R40で置換されており、
R8及びR9は、互いから独立して且つ各出現において、CH3、CF3、F、CN、又はOCH3であり、
R10は各出現において、C1~C8-アルキル、CF3、F、C1~C8-アルコキシ、OH、又はCNから選択され、
R11は各出現において、CH3又はC2H5であり、
R14、R15、R16、R17、R20、R26、R34、R39、及びR40は、互いから独立して、C1~C8-アルキル;CNで置換されたC1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル、CN若しくはFで置換されたC5~C14-シクロアルキル;フェニル、F、CN、C1~C8-アルキル、若しくはCF3で置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;F若しくはCNで置換されたフェニレン-C5~C14-シクロアルキル;C5~C12-シクロアルキレン-フェニル;又はC1~C8-アルキル、CF3、F、若しくはCNで置換されたC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R12、R13、R18、R19、R24、R25、R27、R28、R29、R30、R31、及びR32は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル;C5~C14-シクロアルキル;フェニル、C1~C8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;C5~C12-シクロアルキレン-フェニル;又はC1~C8-アルキルで置換されたC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R12及びR13、R18及びR19、R24及びR25、R27及びR28、R29及びR30、又はR31及びR32は一緒に、C3~C6-アルキレン、又はO、S、及び/若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、
R23、R33、及びR41は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルであり、
Lは単結合、又は
【0229】
【0230】
から選択される基であり、
R42及びR44は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C4-アルキル、CF3、C1~C4-アルコキシ、F、OH、CN、又はCOOR45から選択され、
Z及びZ'は、互いから独立してNR46、O、又はSであり、
或いは、R44の隣接する2個の基はベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はR44で置換されており、
R45は、CH3又はC2H5であり、
R46はH、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルであり、
m、n、p、及びqは互いから独立して0又は1であり、
但し、和m+n≧1であり、
k、s、t、u、v、及びyは互いから独立して0、1、又は2であり、
wは0、1、2、3、又は4であり、且つ
x及びx'は互いから独立して1又は2である。
【0231】
式(A1)、(A2)、及び(A3)の化合物が好ましく、式中、nは0であり、mは1である。
【0232】
Ar1基、Ar5基、及びAr10基は、様々な芳香族基又はヘテロ芳香族基から選択されてもよい。好ましくは、それらは電子求引官能性を有する基から選択される。
【0233】
したがって、式(A)、(B)の、又は式(A1)、(A2)、(A3)、(B1)、(B2)、(B3)、若しくは(B4)の化合物が好ましく、式中、
Ar1、Ar5、及びAr10は互いから独立して、
【0234】
【0235】
からなる群より選択される残基であり、
Ar4は
【0236】
【0237】
の残基であり、
Xは、CF3、F、CN、COOR17、CONR18R19、SO2R20、又は
【0238】
【0239】
であり、
YはH、C1~C8-アルキル;CF3、NR24R25、F、CN、OH、C1~C8-アルコキシ;C1~C8-アルキルチオ;COOR26、フェニル;C1~C8-アルキル、C1~C8-アルコキシ、C1~C8-アルキルチオ、F、CN、若しくはNR27R28で置換されたフェニル;又はC5~C14-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0240】
【0241】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~7員複素環を形成し、
QはNR33又はOであり、
前記基
【0242】
【0243】
又は複素環基は非置換であるか、又はCH3で置換されており、
R1は、CH3、CF3、F、又はCNであり、
R2、R3、R4、R5、R21及びR22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、COOR34、C1~C8-アルキル、シクロヘキシル、又はフェニルから選択され、
或いは、R2及びR3は一緒にベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はCH3、C2H5、若しくはCNで置換されており、
R10は各出現において、C1~C8-アルキル、CF3、F、C1~C8-アルコキシ、OH、又はCNから選択され、
R11は各出現において、CH3又はC2H5であり、
R14、R17、R20、R26、及びR34は、互いから独立して、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル;フェニル;C1~C8-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル;又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R12、R13、R18、R19、R24、R25、R27及びR28は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル;フェニル;フェニレン-C5~C14-シクロアルキル、又はC5~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R12及びR13、R18及びR19、R24及びR25、又はR27及びR28は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、
R33、R41、及びR49は、互いから独立して、H、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルであり、
R47及びR48は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C8-アルキル、C1~C8-アルコキシ、C1~C8-アルキルチオ、OH、F、CF3、NR12R13、CO2R14、又はNO2から選択され、
或いは、R47又はR48の隣接する2個の基はベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はC1~C8-アルキル、C1~C8-アルコキシ、C1~C8-アルキルチオ、OH、F、CF3、NR12R13、CO2R14、若しくはNO2で置換されており、
r及びr'は0、1又は2であり、
sは0又は1であり、
vは0、1又は2であり、且つ
wは0、2、又は4である。
【0244】
二価基Lは、直接結合、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基、好ましくはアリーレン基、又はヘテロアリーレン基であってもよい。
【0245】
したがって、式(A)又は(B)の化合物が好ましく、式中、
Lは
【0246】
【0247】
から選択される基であり、
R42及びR44は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C4-アルキル、CF3、C1~C4-アルコキシ、F、OH、CN、又はCOOR45から選択され、
Z及びZ'は、互いから独立してS又はNR46であり、
R45は、CH3又はC2H5であり、
R46はH又はC1~C4-アルキルであり、
k及びyは互いから独立して0、1、又は2であり、且つ
x及びx'は1又は2である。
【0248】
より好ましいのは、式(A1)、(A2)、(A3)、(B1)、(B2)、(B3)、又は(B4)の化合物であり、式中、
Lは
【0249】
【0250】
から選択される基であり、
R42及びR44は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C4-アルキル、CF3、C1~C4-アルコキシ、F、OH、CN、又はCOOR45から選択され、
Z及びZ'はSであり、
R45は、CH3又はC2H5であり、
k及びyは互いから独立して0、1、又は2であり、且つ
x及びx'は1又は2である。
【0251】
式(A1)、(A2)、及び(A3)の化合物が好ましく、式中、nは0であり、mは1である。
【0252】
したがって、式(A)又は(B)の好ましい化合物は、以下の式
【0253】
【0254】
のうち1つを有する式(A1-1)、(A2-1)、(A3-1)、(B1-1)、(B1-2)、(B2-1)、(B2-2)、(B3-1)、又は(B4-1)の化合物であり、式中、
Ar1、Ar5、及びAr10は互いから独立して、
【0255】
【0256】
からなる群より選択される残基であり、
Ar4は
【0257】
【0258】
の残基であり、
Xは、CF3、F、CN、COOR17、CONR18R19、SO2R20、又は
【0259】
【0260】
であり、
YはH、C1~C8-アルキル;NR24R25、F、CN、OH、C1~C8-アルコキシ;C1~C8-アルキルチオ;COOR26、フェニル;C1~C8-アルキル、C1~C8-アルコキシ、C1~C8-アルキルチオ、若しくはNR27R28で置換されたフェニル;又はC5~C14-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0261】
【0262】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~6員複素環を形成し、
QはNR33又はOであり、
前記基
【0263】
【0264】
又は複素環基は非置換であるか、又はCH3で置換されており、
R1は、CH3、CF3、F、又はCNであり、
R2、R3、R4、R5、R21及びR22は、互いから独立して且つ各出現において、H、F、CN、CO2R34、C1~C8-アルキル、又はフェニルから選択され、
或いは、R2及びR3は一緒にベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はCH3、C2H5、若しくはCNで置換されており、
R8及びR9は、互いから独立して且つ各出現において、CH3であり、
R10は各出現において、C1~C8-アルキル、CF3、F、C1~C8-アルコキシ、OH、又はCNから選択され、
R11は各出現において、CH3又はC2H5であり、
R14、R17、R20、R26、及びR34は、互いから独立して、C1~C5-アルキル、C6~C12-シクロアルキル、フェニル、C1~C5-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C6~C12-シクロアルキル;又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R12、R13、R18、R19、R24、R25、R27、及びR28は、互いから独立して、H、C1~C8-アルキル、C5~C14-シクロアルキル、フェニル;フェニレン-C6~C12-シクロアルキル;又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
或いは、R12及びR13、R18及びR19、R24及びR25、又はR27及びR28は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC3~C6-アルキレンであり、
R33、R41、及びR49は、互いから独立して、H、C1~C4-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、又はフェニルであり、
Lは
【0265】
【0266】
から選択される基であり、
R42及びR44は、互いから独立して且つ各出現において、CH3又はOCH3から選択され、
R47及びR48は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C6-アルキル、C1~C6-アルコキシ、NR12R13、CO2R14、又はNO2から選択され、
k、t、v、及びyは互いから独立して0、1、又は2であり、
x及びx'は1であり、
r、r'、s、及びuは互いから独立して0又は1であり、且つ
wは0、2、又は4である。
【0267】
特別には、式(A)又は(B)の化合物、好ましくは式(A1)、(A2)、(A3)、(B1)、(B2)、(B3)、又は(B4)の化合物、より好ましくは式(A1-1)、(A2-1)、(A3-1)、(B1-1)、(B1-2)、(B2-1)、(B2-2)、(B3-1)、又は(B4-1)の化合物は、Ar1基、Ar5基、及びAr10基として、p-置換されたアリール基又はチアゾリル基を含む。
【0268】
特に好ましいのは、式(B1-1)、(B1-2)、(B2-1)、(B2-2)、又は(B3-1)の化合物であり、ここでAr5及びAr10は同一である。
【0269】
したがって、式(A1-1)、(A2-1)、(A3-1)、(B1-1)、(B1-2)、(B2-1)、(B2-2)、(B3-1)、又は(B4-1)の化合物がより好ましく、式中、
Ar1、Ar5、及びAr10は互いから独立して、
【0270】
【0271】
からなる群より選択される残基であり、Ar5及びAr10は同一であり、
Ar4は
【0272】
【0273】
の残基であり、
XはCF3、F、CN、又はCOOR17であり、
R2及びR3は、互いから独立してH、F、C1~C7-アルキル、又はCF3であり、
或いは、R2及びR3は一緒にベンゾ縮合環を形成し、前記ベンゾ縮合環は非置換であるか、又はCH3、C2H5、若しくはCNで置換されており、
R10は、C1~C7-アルキル、CF3、F、Cl、Br、C1~C6-アルコキシ、OH、又はCNであり、
Yは、H、C1~C7-アルキル;OH若しくはNH2で置換されたC1~C7-アルキル;NR24R25、F、CN、OH、C1~C6-アルコキシ;COOR26、フェニル;C1~C7-アルキル、C1~C6-アルコキシ、若しくはNR27R28で置換されたフェニル;又はC5~C6-シクロアルキルであり、
或いは、Y及び1個の隣接するHは一緒に基
【0274】
【0275】
又は1個若しくは2個のQを含有する5~6員複素環を形成し、
QはNR33又はOであり、
前記基
【0276】
【0277】
又は複素環は非置換であるか、又はCH3で置換されており、
R14、R17、及びR26は、互いから独立して、C1~C5-アルキル;C6~C12-シクロアルキル;フェニル、C1~C5-アルキルで置換されたフェニル;フェニレン-C6~C12-シクロアルキル、又はC6~C12-シクロアルキレン-フェニルであり、
R12、R13、R24、R25、R27、及びR28は、互いから独立してH又はC1~C5-アルキルであり、
或いは、R12及びR13、R24及びR25、又はR27及びR28は一緒に、C5~C6-アルキレン、又はO若しくはNR41で中断されたC5~C6-アルキレンであり、
R33、R41、及びR49は、互いから独立してH又はC1~C4-アルキルである。
R47及びR48は、互いから独立して且つ各出現において、C1~C6-アルキル、C1~C6-アルコキシ、NR12R13、CO2R14、又はNO2から選択され、
Lは
【0278】
【0279】
から選択される基であり、
vは0、1又は2であり、且つ
r及びr'は0又は1である。
【0280】
本発明による式(A)及び(B)の化合物は、アミノ基置換されたアゾ化合物とアルデヒドとの縮合によって調製され、所望であれば、公知の方法、特にアゾ色素化学分野における公知の方法と同様に更に精製されてもよい。
【0281】
したがって、更なる態様において、本発明は、本明細書において上に言及した任意の態様において定義されるような式(A)又は(B)の化合物を調製するための方法であって、
- 式(A)の化合物の場合-
式(A-A)のアミノ置換されたアゾ化合物と式(A-B)のアルデヒド
【0282】
【0283】
との縮合による、
- 式(B)の化合物の場合-
式(B-A)のアミノ置換されたアゾ化合物と式(B-B)のジアルデヒド
【0284】
【0285】
との縮合による、方法に関する。
【0286】
化合物(A-A)、(A-B)、(B-A)、及び(B-B)中の残基及び記号は、化合物(A)及び(B)の定義において前述されている。
【0287】
適切な縮合条件は当技術分野で公知であり、例えば、「Enamines - Synthesis, Structures and Reactions」、出版者A.G. Cook、Marcel Dekker社、New-York (1969)、又はP.W. Hickmott、Tetrahedron 38、1975~2050頁;3363~3446頁(1982)のような参考文献に記載されている。
【0288】
通常は、式(A-A)及び式(A-B)の化合物の等モル量を高温で、任意選択で酸性触媒反応下、溶媒中で反応させ、式(A)の化合物の配合物を形成させる。反応の完全性を確実にするために、(A-B)の量は、等モルから過剰まで変動してもよい。式(B)の化合物は通常、式(B-B)のジアルデヒドの1当量と式(B-A)の化合物の2当量とを反応させることによって調製される。
【0289】
温度は、40~180℃の範囲、好ましくは70~160℃であってもよい。適切な溶媒は、エタノール、n-プロパノール、又はブタノールのようなアルコール、トルエン、o-ジクロロベンゼン、若しくはキシレンのような水の共沸蒸留を可能にする溶媒、又はN,N-ジメチルホルムアミドのような極性非プロトン溶媒であってもよい。適切な触媒の例は、酢酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、又はギ酸である。反応中に形成される水は通常、水分離器によって、適切な分子ふるいのような水吸収体を使用して、又は共沸蒸留によって、排除される。
【0290】
アゾ化合物(A-A)及び(A-B)は市販されている、且つ/又はUS 4,565,424(例えば9~10列を参照されたい)若しくはWO 2011/157614 A1の実施例部に記載されるように調製されてもよい。更に、それらは、A.V. Ivashchenkoによる、CRC社によって出版された「Dichroic Dyes for Liquid Crystal Display」、1994に記載される方法に従って調製されてもよい。
【0291】
アルデヒド(A-B)及び(B-B)は市販であるか、又は当技術分野で公知のように調製される。
【0292】
このようにして得られた式(A)及び(B)の化合物は、当業者に公知の従来の方法によって単離され、精製されてもよい。
【0293】
本発明の式(A)及び(B)の化合物は、高い二色比によって特徴付けられる。好ましくは、室温(即ち25℃)で測定される式(A)又は(B)のアゾ-アゾメチン色素の二色比(平行吸光/垂直吸光)は、Merck KGaA社(ドイツ)から市販されているネマチック液晶混合物MLC2132における5μmのセルギャップの薄膜セル中の2%溶液(wt%)として、液晶材料MLC2132において≧7.5、好ましくは≧8、より好ましくは≧10である。
【0294】
式(A)及び(B)の化合物は、液晶材料における良好な溶解度によって更に特徴付けられる。標準的な液晶混合物における式(A)及び(B)の化合物の溶解度(室温(即ち25℃)での)は、例えばMLC2132において、液晶混合物の全量基準で、好ましくは≧0.1wt%、より好ましくは≧0.2wt%、最も好ましくは≧0.3wt%である。式(A)及び(B)の2種以上の化合物の混合物は、液晶材料におけるより高い溶解度を有しうる。
【0295】
式(A)又は(B)の化合物は単一の二色性色素として使用されてもよい。
【0296】
式(A)又は(B)の化合物は、式(A)及び/又は(B)の化合物のうちの少なくとも1種を含む混合物として使用されてもよい。したがって、二色性色素混合物は、式(A)の少なくとも1種の化合物を含んでもよいか、又は式(B)の少なくとも1種の化合物を含んでもよいか、又は式(A)の化合物のうちの少なくとも1種、及び式(B)の化合物のうちの少なくとも1種を含んでもよい。
【0297】
任意選択で二色性色素混合物は、式(A)又は(B)の化合物とは異なる更なる二色性色素を含んでもよい。
【0298】
したがって、更なる態様において、本発明は、本明細書における任意の態様において定義されるような1種又は複数の式(A)又は(B)の化合物、及び任意選択で1種又は複数の更なる二色性色素を含む二色性色素混合物に関する。
【0299】
二色性色素混合物は通常、1種又は複数の式(A)及び/又は(B)の化合物、好ましくは式(A)及び/又は(B)の化合物のうちの1、2、3、4、若しくは5種を含有する。二色性色素混合物はまた、式(A)又は(B)の化合物とは異なる1種又は複数の更なる二色性色素、好ましくは1、2、3、4、若しくは5種の更なる二色性色素を含有してもよい。
【0300】
一般に、二色性色素混合物を使用してある特定の色を達成する。更なる二色性色素は、任意の公知の二色性色素、例えば、式(A)又は(B)の化合物とは異なる、二色性アゾ色素、二色性アントラキノン色素、又は二色性アゾメチン色素から選択されてもよい。
【0301】
二色性色素混合物は、ある特定の色合いの二色性色素混合物、又は黒色二色性色素混合物のいずれかである。
【0302】
二色性色素混合物は、好ましくはある特定の色合いの二色性色素混合物である。
【0303】
代替的には、二色性色素混合物は、好ましくは黒色二色性色素混合物である。通常は、例えば、黄色、青色、及び赤色色素、又はマゼンタ、シアン、及び黄色色素、又は紫色、緑青色、及び橙色色素を混合することによって、望ましい黒色を達成するために少なくとも2種又は3種の色素が必要とされる。例えば、黒色二色性色素混合物は、400~500nmの吸収極大を有する黄色色素、500~580の吸収極大を有するマゼンタ色素、及び580~700nm吸収極大を有するシアン色素を含んでもよい。
【0304】
特別には、色素混合物は、式(A)及び/又は(B)の化合物、及び青色二色性色素、例えばアゾ色素又はアントラキノン色素、好ましくはアゾ色素を含む。そのような二色性色素混合物は、アゾ色素系の二色性色素混合物と比較して、より良好な光安定性を有しうることが見出された。
【0305】
一般に、式(A)若しくは(B)の化合物、又は二色性色素混合物は、液晶材料(LC材料)と混ぜ合わされ、液晶組成物を形成する。
【0306】
通常は、式(A)若しくは(B)の化合物、又は二色性色素混合物は通常、公知の手法、例えば、溶媒、特に高蒸気圧の溶媒、例えば低級アルキルエーテル、炭化水素、若しくはハロ炭化水素、例えばジクロロメタン中の色素のうちの1種又は複数のプレ溶液を形成し、プレ溶液とLC材料とを混合し、溶媒を減圧及び/又は加熱下で除去することに従って、LC材料に溶解可能である。一般に、LC材料は市販されている。液晶材料における色素の適用、液晶材料の種類、液晶セルの組み立て、及び試験方法は当技術分野で公知である。いくつかは、例えばUS-4565424に記載されている(例えば13~18列を参照されたい)。
【0307】
式(A)及び/若しくは(B)の化合物、又は本発明の二色性色素混合物は、0.01~10wt%、好ましくは0.05~7wt%、より好ましくは0.1~5wt%の量で液晶組成物中に存在してもよい。
【0308】
したがって、更なる態様において、本発明は、液晶材料、並びに本明細書における任意の態様において定義されるような式(A)及び/若しくは(B)のうちの少なくとも1種の化合物、又は本明細書における任意の態様において上に定義されるような二色性色素混合物を含む液晶組成物に関する。
【0309】
本発明の液晶組成物中のLC材料は一般に、単一の化合物又は複数の異なる化合物を含む。
【0310】
通常は、本発明の液晶組成物のLC材料は、細長い形状を有する分子の形態である少なくとも1種の化合物を含み、当該形状は、1つの空間方向において他の2つの方向より著しく長い。
【0311】
より好ましくは、本発明の液晶組成物は、1,4-フェニレン及び/又は1,4-シクロへキシレンに基づく構造要素を含有する少なくとも1種の化合物、好ましくは2~20種の化合物、特に好ましくは2~18種の、より好ましくは1,4-フェニレン及び/又は1,4-シクロへキシレンに基づく構造要素を含有する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16種の化合物を含むLC材料を含む。
【0312】
液晶組成物のLC材料として有用である適切な化合物は当技術分野で公知である。適切なLC材料は、例えばEP 1352943 A1、EP 3048159 A1、又はEP 2725083 A2に記載されている。更に適切であるのは、例えば、Merck KGaA社(ドイツ)から市販される、商標名がlicristal(登録商標)又はlicrivision(登録商標)である液晶混合物である。
【0313】
本発明の液晶組成物は、本明細書における任意の態様において上に定義されるような式(A)又は(B)のうちの少なくとも1種の化合物、及び液晶材料を含む。液晶組成物において、上に言及する化合物に加えて、更なる化合物、例えば、溶剤、キラルドーパント、界面活性剤、抗真菌剤、抗菌剤、若しくは滅菌剤のような安定剤、抗はじき剤、非液晶性重合性モノマー、非液晶性バインダーポリマー、重合性LC色素モノマー、光開始剤、UV光吸収剤、又はラジカルスカベンジャーが存在してもよい。
【0314】
適切なLC材料は最終用途に応じて当業者によって選択され得る。スメクチック相又はネマチック相のような様々な相は異方性効果を与えることが公知である。
【0315】
本発明の式(A)及び(B)の化合物、二色性色素混合物、又は液晶組成物は、様々な用途において、例えば、ゲスト-ホストLC適用媒体におけるゲストとして使用されて、光吸収異方性エレメントを形成してもよい。
【0316】
したがって、更なる態様において、本発明は、本明細書における任意の態様において定義されるような式(A)若しくは(B)の化合物、又は本明細書における任意の態様において定義されるような二色性色素混合物、又は本明細書における任意の態様において定義されるような液晶組成物を含む光吸収異方性エレメントに関する。
【0317】
本明細書で使用される「光吸収異方性エレメント」という用語は、二色性色素層の内表面で、厚さ方向及び任意の2つの直交方向の全3方向から選択される任意の2方向において、電磁気特性における異方性を有する二色性色素含有偏光エレメントである。電磁気特性の例としては、吸収及び反射等の光学特性、並びに抵抗及び静電容量等の電気特性が挙げられる。
【0318】
本発明の光吸収異方性エレメントの作製の方法は一般に、
a)式(A)若しくは(B)の化合物、又は本発明の二色性色素混合物をLC材料に溶解させて、LC組成物を含む液晶層を形成する工程と、
b)前記層において式(A)若しくは(B)の化合物又は二色性色素混合物を整列させるための手段を用意する工程と
を含む。
【0319】
例えば、整列させる工程は、電界によって、又は延伸、摩擦、若しくは偏光への暴露によって配向層を用いて行われてもよい。
【0320】
したがって、式(A)若しくは(B)の化合物又は二色性色素混合物又は液晶組成物を、式(A)若しくは(B)の化合物又は二色性色素混合物が、一般に重合性LC材料によって形成された重合性マトリックス中に固定されている用途のために、又は式(A)若しくは(B)の化合物又は二色性色素混合物及びLC材料を含む切り替え可能な光学装置である用途のために、使用してもよい。
【0321】
第1の事例において、式(A)若しくは(B)の化合物、又は二色性色素混合物は、静的異方性フィルムのための光吸収異方性エレメントの一部として使用されてもよく、静的異方性フィルムは一般に、様々な用途を有する重合性液晶材料に基づいている。例は、延伸ポリマーフィルム、コーティング可能な偏光子、リターダーフィルム、セキュリティー機能、例えば紙幣、クレジットカード、若しくは身分証明カード、又はブランド保護機能等である。
【0322】
延伸ポリマーフィルムは、ポリマーがすべて同じ方向に整列されているフィルムである。
【0323】
コーティング可能な偏光子は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)のための、インセル偏光子又は偏光フィルムである。
【0324】
そのようなフィルムは通常、重合性LC材料、例えば1個又は2個のアルキル(オキシ)アクリラート基を一端又は両端に含有するLC分子、例えば式
アルキル-O-[LC]-O-(CH2)n-O-CO-C(R)=CH2
の化合物を使用することによって形成され、
式中、[LC]は分子のメソゲンである部分を表し、アルキルはアルキル基、例えば1~12個の炭素原子のアルキル基であり、RはH又はメチル、nは1~12の整数である。
【0325】
したがって、更なる態様において、本発明は、本明細書における任意の態様において定義されるような式(A)若しくは(B)の化合物、又は本明細書における任意の態様において定義されるような二色性色素混合物、又は本明細書における任意の態様において定義されるような液晶組成物を含む光学異方性フィルムに関する。
【0326】
好ましい態様において、本発明は、延伸ポリマーフィルム、コーティング可能な偏光子、リターダーフィルム、セキュリティー機能、又はブランド保護のための機能である光学異方性フィルムに関する。
【0327】
代替的には、式(A)若しくは(B)の化合物、又は二色性色素混合物、又は液晶組成物は、切り替え可能な光学装置のために使用されてもよい。
【0328】
したがって、更なる態様において、本発明は、本明細書における任意の態様において定義されるような式(A)若しくは(B)の化合物、又は本明細書における任意の態様において定義されるような二色性色素混合物、又は本明細書における任意の態様において定義されるような液晶組成物を含む切り替え可能な光学装置に関する。好ましくは、本発明は、本明細書における任意の態様において定義されるような式(A)若しくは(B)の化合物、又は本明細書における任意の態様において定義されるような二色性色素混合物を含む切り替え可能な光学装置に関する。
【0329】
切り替え可能な光学装置は、例えば、ポリマー分散型液晶(PDLC)系、リバースPDLC系、及びポリマーネットワーク液晶(PNLC)系等であってもよい。切り替え可能な光学装置はまた、好ましくは黒色二色性色素混合物を使用する、スマートウィンドウ用光シャッター、透過型ディスプレイ、又は反射型ディスプレイであってもよい。切り替え可能な光学装置はまた、好ましくは単一の二色性色素又は有色の二色性色素混合物を使用する、装飾用光シャッター、透過型ディスプレイ、又は反射型ディスプレイであってもよい。本明細書で使用される有色の二色性色素混合物は、黒色二色性色素混合物ではない。反射型ディスプレイは、電子棚札において使用されてもよい。
【0330】
式(A)若しくは(B)の化合物をそれぞれ含有する液晶組成物は一般に、切り替え可能な光学装置の切り替え可能な層中に存在する。液晶組成物は、純粋な形態で、又はポリマー分散型液晶層の形態で存在してもよい。
【0331】
本発明による液晶混合物を分散させるために適切なポリマーは、当業者に公知であり、例えばポリアクリラート類、ポリメタクリラート類、及び関連するコポリマー類、又はポリウレタン類である。
【0332】
切り替え可能な光学装置の適切な構造は、当技術分野で公知であり、例えばTN(ねじれネマチック)切り替え可能エレメント(例えばDE 3022818 A1に記載されている)、STN(超ねじれネマチック)切り替え可能エレメント(例えばEP 0260450 A1に記載されている)、及びVA(垂直に整列されている)切り替え可能エレメントである。
【0333】
切り替え可能な光学装置の更なる適切な構造は、例えばM. Schadtら、Jpn. J. Appl. Phys., 34、1995、3240~3249頁によって、若しくはPaul S. Drzaic、Pure & Applied Chem., 68(7)、1996、1435~1440頁によって記載されているような、PDLC(ポリマー分散型液晶)系若しくはリバースPDLC系、又は例えばJ. Sun、S.-T. Wu、Polym. Phys., 52 (3)、2014、183~192頁によって記載されているようなPNLC(ポリマーネットワーク液晶)系のような液晶-ポリマー複合体である。
【0334】
切り替え可能な光学装置は、ウィンドウ(スマートウィンドウ)において/として、例えば建築用ガラス又はサンルーフにおいて、ディスプレイ、可変透過率を有する切り替え可能な光学エレメント又はミラーにおいて使用してもよい。
【0335】
好ましい実施形態において、スマートウィンドウは、透明から黒色又は灰色まで、且つその逆でも切り替え可能であるべきである。したがって、異なる吸収帯域を有する二色性色素を混合して、可視光の、又は太陽光の大部分のほぼ完全なスペクトルの吸収を達成する。
【0336】
そのようなスマートウィンドウは、いくつかの用途、例えば建造物、家具、車、列車、飛行機、及び船において、並びにファサード、天窓、ガラス屋根、段板、ガラス橋、天蓋、手すり、車の板ガラス及び列車の板ガラス、眼科用レンズ、サングラス、スポーツ用眼鏡、又は3D眼鏡において有用である。
【0337】
したがって、好ましい態様において、本発明は、ポリマー分散型液晶系、リバースポリマー分散型液晶系、ポリマーネットワーク液晶系、スマートウィンドウ用光シャッター、透過型ディスプレイ、反射型ディスプレイ、又は装飾用光シャッターである切り替え可能な光学装置に関する。
【0338】
式(A)又は(B)の化合物はアゾ-アゾメチン構造に基づく二色性色素である。式(A)又は(B)の化合物は、十分に高い二色比によって、並びに液晶組成物における高い相溶性、例えば高い溶解度、及び良好な耐久性、特に高い耐光性によって特徴付けられる。式(A)又は(B)の化合物は、必要な二色性色素の量がより少量となる、非常に広範囲の吸収スペクトル及び高い吸光を示す。
【0339】
更に、式(A)及び(B)のアゾ-アゾメチン色素は、高い純度、高い光安定性及び電気抵抗率によって特徴付けられる。式(A)及び(B)のアゾ-アゾメチン色素は、アゾ単位を必要としないビルディングブロックとしてアルデヒドを使用することにより、容易に入手可能である。
【0340】
本発明の二色性色素混合物を含有するLC組成物、好ましくは、更なる青色二色性色素を含有する黒色二色性色素混合物は、高い光安定性のような良好な耐久性を示す。
【0341】
したがって、二色性色素は、スマートウィンドウのための使用だけでなく光吸収異方性エレメントの用途にもよく適している。
【0342】
本明細書において上に言及される式(A)又は(B)の化合物に与えられる定義及び優先は、任意の組み合わせにおいて、且つ本発明の他の態様のための任意の組み合わせにおいて適用される。
【0343】
ここから、本発明を以下の実施例を参照しながらより詳細に説明する。これらの実施例は限定するものと解釈されるべきではない。別段に記載されていない限り、「%」は常に質量%(wt%)である。
【実施例】
【0344】
以下のアゾ前駆体を使用して実施例1~35を調製した。
【0345】
式(I)のアゾ前駆体I:WO 2011/157614 A1の実施例6aに従って調製した。
【0346】
【0347】
式(II)のアゾ前駆体II:WO 2011/157614 A1の実施例6bに従って調製した
【0348】
【0349】
式(IV)のアゾ前駆体IV:WO 2011/157614 A1の実施例4aに従って調製した
【0350】
【0351】
式(VI)のアゾ前駆体VI:WO 2011/157614 A1の実施例3aに従って調製した
【0352】
【0353】
式(VII)のアゾ前駆体VII:WO 2011/157614 A1の実施例9aに従って調製した
【0354】
【0355】
(合成実施例1):アゾ前駆体III
1.1g(5mmol)の4-[(E)-(4-アミノフェニル)アゾ]ベンゾニトリル(Macromol. Chem. Phys. 2007、208頁に記載されるように調製した)を25mlのN-メチルピロリドン(NMP)に溶解した。溶液を5~10℃に冷却し、続いて1.54g(48mmol)のニトロシル硫酸(40%)を液滴で加えた。得られたジスアゾ溶液を10℃で1時間撹拌した。0.71g(5mmol)の1-ナフチルアミンを25mlのメタノールに溶解し、5℃に冷却し、続いてジスアゾ溶液を1つの部分で加えた。得られた混合物を5℃で1時間撹拌した。1時間後、1.3mlの1N水酸化ナトリウム溶液を加えた。式(III)の得られた暗紫色の沈殿物をろ過して取り除き、水及びメタノールで洗浄した。収率1.35g(72%)。
【0356】
【0357】
(合成実施例2):アゾ前駆体V
a)36.0gの4-アミノベンゾニトリル(0.30mol)を150mlのメタノールに溶解し、続いて450mlの2N HClを加えた。黄色の溶液を5℃に冷却し、続いて76mlの4Nの亜硝酸ナトリウム水溶液を、撹拌下38分の間じゅう、ゆっくりと加えた。得られた懸濁液を5℃で3時間撹拌し、次いで250mlのイソプロパノール中の36.4g(0.30mol)の2,5-ジメチルアニリンの冷却した(5℃)溶液にゆっくりと加えながら、350mlのイソプロパノールを加えた。得られた混合物をゆっくりと上昇する温度(5℃から最高で室温(RT)まで)で一晩撹拌した。赤紫色の懸濁液をろ過し、残留物を800mlの水に分散させ、水酸化ナトリウム溶液(30%)をpHが8~9に上昇するまで加えた。混合物をろ過し、ろ過ケーキを乾燥させて(50℃/200mbar)、式(Va)の橙色の固体生成物を得た。収率58g(77%)。
【0358】
【0359】
b)工程a)の30.5g(0.12mol)の生成物を300mlのNMPに溶解し、得られた赤色溶液を-2℃まで冷却し、続いて38gのニトロシル硫酸を25分以内に-2℃で加え、更に90分間撹拌した。
得られた赤橙色の懸濁液を15分の間じゅう、100mlのNMP及び100mlの2N HCl中の17g(0.12mol)の1-ナフチルアミンの冷却した(5℃)溶液に加えた。得られた懸濁液を、更なる250mlのNMPを加えることによって希釈し、ゆっくりと上昇する温度(5℃~RT)下、一晩撹拌した。600gの氷を加え、1時間撹拌した後沈殿物をろ過して取り除き、続いて濃縮ブラインで洗浄した。残留物を1500mlの水に分散させ、30%水性NaOHでpHを9~9.5に調整した。沈殿物をろ過し、乾燥させて、式(Vb)のアゾ前駆体Vの暗紫色の固体を得た。収率28g(58%)。
【0360】
【0361】
(合成実施例3):アゾ前駆体VIII
a)12.0gの4-アミノ-シアノ-ベンゼン(0.1mol)を300mlの1N HClに分散させ、5℃に冷却し、続いて26mlの4N亜硝酸ナトリウム水溶液を、撹拌しながら26分の間じゅう、ゆっくりと加えた。鮮黄色の分散液を5℃で2時間撹拌し、過剰の亜硝酸塩をスルファミン酸を加えることによって破壊した。得られた溶液を、5℃で撹拌下10分間、21.5gのアニリノ-メタンスルホン酸(0.1mol)水溶液及び25gの重炭酸ナトリウムにゆっくりと加えた。得られた橙色の懸濁液を5℃で2時間、RTで17時間撹拌し、次いでろ過した。沈殿物を1Lの水に70℃で分散し、続いて100mlの30%水性NaOHを加えながら温度を80℃に上昇させた。30分後、懸濁液を40℃に冷却し、ろ過し、沈殿物を水で洗浄し、乾燥させて(200mbar/50°C)、式(VIIIa)の橙色の生成物を得た。収率17.1g(77%)。
【0362】
【0363】
b)式(VIIIa)の10.3gの化合物(46mmol)を270mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。橙色の溶液を5℃に冷却し、続いて水中の10mlの50%テトラフルオロホウ酸及び8.5mlのtert-ブチル亜硝酸を加え(1分以内)、10~15℃で2時間撹拌した。得られた懸濁液をろ過し、紫色の残留物を各回100mlのテトラブチルメチルエーテルで2回洗浄して対応するテトラフルオロホウ酸ジアゾニウムを得た。
【0364】
c)12.5gの酢酸ナトリウム三水和物(92mmol)及び3.7gのm-トルイジン(35mmol)を150mlのメタノールに溶解し、5℃に冷却した。工程b)の7.77g(35mmol、1eq)の生成物を加え、得られた懸濁液を5℃で3時間撹拌した。懸濁液をろ過し、残留物をメタノール/水(1:1)で洗浄し、乾燥させて、式(VIIIc)のアゾ前駆体VIIIの7.6gの褐色がかった固体を得た。
【0365】
【0366】
(実施例1)
4.19g(10mmol)のアゾ前駆体IIを、29.7mlのn-プロパノール及び2.1mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて5.32gのジエチルアミノ-ベンズアルデヒド(30mmol)及び13.34gの活性化分子ふるい(Aldrich UOP 8-12メッシュタイプ、4Å)を加えた。混合物を48時間還流し、次いでRTに冷却した。固体をろ過して取り除き、10mlのn-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後、式(1)の暗赤色の固体を得た。収率1.15g(20%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.28 (t, CH3, 6H), 3.50 (q, CH2, 4H), 6.79 (d, Ar-H, 2H), 7.16 (d, アリール-H, 1H), 7.63 (m, アリール-H, 2H), 7.74 (m, アリール-H, 2H), 7.88 (dd, アリール-H, 4H), 8.04 (d, アリール-H, 1H), 8.09 (d, アリール-H, 2H), 8.20 (m, アリール-H, 4H), 8.45 (s, N=CH, 1H), 8.51 (d, アリール-H, 1H), 9.06 (d, アリール-H, 1H).
【0367】
【0368】
(実施例2)
2.21g(5mmol)のアゾ前駆体IIを、15.6mlのn-プロパノール及び1.1mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて2.82gの4-ビフェニルアルデヒド(10mmol)及び7.02gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を24時間還流し、次いでRTに冷却した。固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、生成物の乾燥後(50℃、200mbar)、式(2)の橙色の固体を得た。収率1.60g(55%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.21 (d, アリール-H, 1H), 7.42-7.47 (m, アリール-H, 1H), 7.53 (m, アリール-H, 2H), 7.65-7.78 (m, アリール-H, 4H), 7.83 (t, アリール-H, 4H), 8.4 (d, アリール-H, 1H), 8.10 (dd, アリール-H, 2H), 8.15-8.26 (m, アリール-H, 6H), 8.48 (d, アリール-H, 1H), 8.67 (s, CH=N, 1H), 9.08 (d, アリール-H, 1H).
【0369】
【0370】
(実施例3)
4.19g(10mmol)のアゾ前駆体IIを、31.2mlのn-プロパノール及び2.2mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて1.34gの4-シアノベンズアルデヒド(10mmol)及び14.04gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を48時間還流し、次いでRTに冷却した。固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄し、残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、50℃及び200mbarで生成物を乾燥した後、式(3)の橙色の固体を得た。収率3.12g(59%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.22 (d, アリール-H ,1H), 7.69 (m, アリール-H, 1H), 7.79 (m, アリール-H, 1H), 7.83-7.88 (m, アリール-H, 4H), 8.02 (d, アリール-H, 1H), 8.10 (d, アリール-H, 2H), 8.17-8.27 (m, アリール-H, 5H), 8.43 (d, アリール-H, 1H), 8.68 (s, N=CH, 1H), 9.08 (d, アリール-H, 1H).
【0371】
【0372】
(実施例4)
1.23g(2.14mmol)のアゾ前駆体IIを、25mlのトルエンに溶解させ、続いて0.32g(2.14mmol)の4-エトキシ-ベンズアルデヒド及び3gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。得られた混合物を、N2下30時間還流させた。RTに冷却させた後、混合物をろ過し、残留物を20mlのトルエンで洗浄した。ろ液を蒸発させ、残留物を30mlのメタノール中で撹拌し、58℃で30分間撹拌した。混合物を熱いうちにろ過し、残留物を30mlのメタノールで洗浄した。残留物をジクロロメタンに懸濁させて生成物を溶解し、ろ過した。ジクロロメタンろ液を蒸発させて、乾燥後(80℃/125mbar)、式(4)の生成物を得た。
MALDI-TOF-MS (陽モード): 552.4
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.51 (t, 3H, CH3), 4.18 (q, 2H, CH2), 7.06 (d, 2H, アリール-H), 7.17 (d, 1H, アリール), 7.65 (m, 1H, アリール-H), 7.76 (m, 1H, アリール-H), 7.84 (d, 2H, アリール-H), 8.02 (m, 3H, アリール-H), 8.09 (m, 2H, アリール-H), 8.17 (m, 2H, アリール-H), 8.23 (m, 2H, アリール-H), 8.46 (d, 1H, アリール-H), 8.54 (s, 1H, CH=N), 9.06 (d, 1H, アリール-H).
【0373】
【0374】
(実施例5)
1.23g(2.14mmol)のアゾ前駆体IIを、25mlのトルエンに溶解させ、続いて0.32g(2.14mmol)のピペロナール及び1gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。赤色の混合物を、N2下30時間還流させた。RTに冷却させた後、混合物をろ過し、80mlのトルエンで洗浄した。ろ液を蒸発させて、残留物を、ヘプタン/酢酸エチル(5:1)を溶離液として使用してフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、乾燥後(95℃/125mbar)、式(5)の赤橙色の固体を得た。
MALDI-TOF-MS (陰): 551.3
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 6.10 (m, 2H, OCH2), 6.97及び7.18 (d, 各1H, アリール-H), 7.40 (m, 1H, アリール-H), 7.66 (m, 1H, アリール-H), 7.76及び7.84 (m, 各2H, アリール-H), 8.0-8.25 (m, 7H, アリール-H), 8.46 (m, 1H, アリール-H), 8.49 (s, 1H, CH=N), 9.08 (d, 1H, アリール-H).
【0375】
【0376】
(実施例6)
1.50g(5.7mmol)のアゾ前駆体Iを、50mlのトルエンに溶解させ、続いて0.38g(2.8mmol)のテレフタルアルデヒド及び3gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。得られた混合物を、N2下30時間、110℃に加熱した。RTに冷却させた後、赤色の混合物をろ過し、残留物をトルエン及び酢酸エチルで洗浄した。分子ふるいを含有する残留物をジクロロメタン中で撹拌し、混合物をろ過して取り除き、ジクロロメタンで洗浄し、混ぜ合わせたジクロロメタンろ液を蒸発させて、乾燥後(95℃/125mbar)、式(6)の暗色の固体を得た。
【0377】
【0378】
(実施例7)
2.21g(5mmol)のアゾ前駆体IIを、15.6mlのn-プロパノール及び1.1mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて0.68gのテレフトアルデヒド(5mmol)を加えた。混合物を48時間還流し、RTに冷却し、ろ過した。沈殿物をn-プロパノール及び5mlのTHFで洗浄し、乾燥させて(50℃/200mbar)、式(7)の橙赤色の固体を得た。収率1.29g(55%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.23 (d, 2H, アリール-H), 7.69 (m, 2H, アリール-H), 7.79 (m, 2H, アリール-H), 7.85 (d, 4H, アリール-H), 8.03 (d, 2H, アリール-H), 8.09 (d, 8H, アリール-H), 8.18 (d, 4H, アリール-H), 8.24-8.28 (m, 8H, アリール-H), 8.46 (d, 2H, アリール-H), 8.72 (s, 2H, アリール-H), 9.08 (d, 2H, アリール-H), 10.17 (s, 2H, CH=N).
【0379】
【0380】
(実施例8)
17.66g(42mmol)のアゾ前駆体IIを、124.9mlのn-プロパノール及び8.9mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて9.97gのサリチルアルデヒド(80mmol)及び56.16gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を24時間還流して、更に4.98gのサリチルアルデヒド(40mmol)を加え、続いて更に24時間還流した。混合物をRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、10mlのn-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させ、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(8)の暗赤色の固体を得た。収率12.9g(62%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.05 (t, アリール-H, 1H), 7.16 (d, アリール-H, 1H), 7.33 (d, アリール-H, 1H), 7.47-7.55 (m, アリール-H, 2H), 7.68-7.74 (m, アリール-H, 1H), 7.77-7.82 (m, アリール-H, 1H), 7.85 (d, アリール-H, 1H), 8.04 (d, アリール-H, 1H), 8.10 (d, アリール-H, 1H), 8.19 (d, アリール-H, 2H), 8.26 (d, アリール-H, 2H), 8.39 (d, アリール-H, 1H), 8.80 (s, N=CH, 1H), 9.10 (d, アリール-H, 1H), 13.14 (広幅, OH, 1H).
【0381】
【0382】
(実施例9)
0.50g(1.19mmol)のアゾ前駆体IIを、20mlのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、続いて0.14g(1.02mmol)の4-メチル-2-ヒドロキシ-ベンズアルデヒド及び3gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。赤色の混合物を、N2下48時間、140℃で撹拌させた。分子ふるいをろ過によって分離した後、溶媒を蒸留によって除去し、乾燥させた。生成物を、ヘプタン/酢酸エチル(4:1)を溶離液として使用して、フラッシュクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、乾燥後(95℃/125mbar)、式(9)の赤褐色の粉末を得た。収率0.58g(91%)。NMRスペクトルはシス形及びトランス形のイミンの混合物を示す。
MALDI-TOF-MS (陽): 538.4
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.45 (s, 3H, Ar-CH
3
), 7.2-7.4 (m, 2H, アリール-H), 7.68-7.82 (m, 2H, アリール-H), 7.85 (d, 2H, アリール-H), 8.0-8.4 (m, 8H, アリール-H), 8.76及び8.81 (2s, 1H, CH=N), 9.09 (m, 1H, アリール-H).
【0383】
【0384】
(実施例10)
0.25g(0.6mmol)のアゾ前駆体IIを、15mlのDMFに溶解させ、続いて0.09g(0.6mmol)の2-ヒドロキシ-3-エトキシ-ベンズアルデヒド及び1gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。赤色の混合物を、N2下4時間、130℃で撹拌させた。0.09g(0.6mmol)の2-ヒドロキシ-3-エトキシ-ベンズアルデヒドを加えた。130℃での撹拌を17時間継続した。分子ふるいをろ過によって分離した後、溶媒を蒸留によって除去し、乾燥させた。生成物を、ヘプタン/酢酸エチル(4:1)を溶離液として使用して、フラッシュクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、乾燥後(95℃/125mbar)、式(10)の暗色の固体を得た。収率66mg(20%)。
MALDI-TOF-MS (陽) 554.4
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 4.03 (s, 3H, OCH3), 7.0 (m,1H, アリール-H), 7.12 (m, 1H, アリール-H), 7.15 (m,1H, アリール-H), 7.38 (m, 1H, アリール-H), 7.7 -7.9 (m, 4H, アリール-H), 8.0-8.3 (m, 7H, アリール-H), 8,41 (m, 1H, アリール-H), 8.82 (s, 1H, CH=N), 9.1 (m, 1H, アリール-H), 13.67 (s, 1H, OH).
【0385】
【0386】
(実施例11)
4.98g(10mmol)のアゾ前駆体IIを、35.3mlのn-プロパノール及び2.5mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて3.51gの2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド(20mmol)及び15.84gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を17時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(11)の黒色の結晶0.66gを得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.26 ppm (d, アリール-H, 1H), 7.44 (t, アリール-H, 1H), 7.51 (d, アリール-H, 1H), 7.59-7.64 (m, アリール-H, 1H), 7.73-7.86 (m, アリール-H, 6H), 7.95 (d, アリール-H, 1H), 8.09 (d, アリール-H, 1H), 8.11 (d, アリール-H, 2H), 8.19 (m, アリール-H, 2H), 8.24 (m, アリール-H, 3H), 8.46 / 8.49 (2s, CH=N, 1H), 9.12 (m, アリール-H, 1H), 9.63 (s, OH, 1H).
【0387】
【0388】
(実施例12)
0.65g(17mmol)のアゾ前駆体IIIを20mlの無水DMFに撹拌下、懸濁させ、続いて210mg(17mmol)のサリチルアルデヒドを加えた。混合物を、48時間、120℃に加熱した。次いで0.11mlのメタン-スルホン酸を加えた。混合物をろ過し、ろ液を蒸発させ、粗生成物を、ヘプタン/アセチル酢酸(比9:1~1:1の勾配)を溶離液として使用して、クロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、乾燥後、式(12)の暗色の固体を得た。収率15mg(19%)。
MALDI-TOF-MS (陰) 479.2
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.0-8.4 (m, 17H, アリール-H), 8.81 (s, 1H, CH=N), 9.1 (m, 1H, アリール-H), 13.13 (s, 1H, OH).
【0389】
【0390】
(実施例13)
4.19g(10mmol)のアゾ前駆体IIを、31.2mlのn-プロパノール及び2.2mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて3.86gの4-(ジエチルアミノ)-サリチルアルデヒド(20mmol)及び14.04gの分子ふるい(3Å)を加えた。混合物を24時間還流し、次いでRTに冷却した。固体をろ過して取り除き、10mlのn-プロパノールで洗浄し、残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過によって除去した。ろ液を蒸発させて、乾燥後、式(13)の暗色の固体を得た。収率4.57g(77%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.28 (t, CH3; 6H), 3.48 (q, CH2, 4H), 6.33 (m, アリール-H, 2H), 7.31 (s, アリール-H, 1H), 7.67 (m, アリール-H, 1H), 7.76 (m, アリール-H, 1H), 7.85 (d, アリール-H, 2H), 8.05 (d, アリール-H, 2H), 8.10 (d, アリール-H, 2H), 8.18 (m, アリール-H, 2H), 8.24 (m, アリール-H, 2H), 8.45 (d, アリール-H, 1H), 8.61 (s, CH=N, 1H), 9.09 (d, アリール-H, 1H), 13.74 (s, OH, 1H).
【0391】
【0392】
(実施例14)
2.21g(5mmol)のアゾ前駆体IIを、15.6mlのn-プロパノール及び1.1mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて1.65gの5-ニトロ-2-チオフェンカルボキサルデヒド(10mmol)及び7.02gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を24時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(14)の固体生成物を得た。収率1.85g(66%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.29 (d, 1H, アリール-H), 7.52 (d, アリール-H, 1H), 7.69-7.82 (m, アリール-H, 2H), 7.85 (d, アリール-H, 2H), 7.98-8.01 (m, アリール-H, 2H), 8.09 (d, アリール-H, 2H), 8.17-8.26 (m, アリール-H, 4H), 8.47 (d, アリール-H, 1H), 8.74 (s, CH=N, 1H), 9.06 (d, アリール-H, 1H).
【0393】
【0394】
(実施例15)
2.21g(5mmol)のアゾ前駆体IIを、15.6mlのn-プロパノール及び1.1mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて1.12gの2-チオフェンカルボキサルデヒド(10mmol)及び7.02gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を24時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(15)の赤色の固体を得た。収率1.92g(75%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.21 (d, アリール-H, 1H), 7.23 (t, アリール-H, 1H), 7.62-7.70 (m, アリール-H, 3h), 7.74-7.79 (m, アリール-H, 1H), 7.85 (d, アリール-H, 2H), 8.01 (d, アリール-H, 2H), 8.16-8.25 (m, アリール-H, 4H), 8.48 (d, アリール-H, 1H), 8.75 (s, CH=N, 1H), 9.05 (d, アリール-H, 1H).
【0395】
【0396】
(実施例16)
3.99g(10mmol)のアゾ前駆体IVを、28.3mlのn-プロパノール及び2.0mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて2.17gのサリチルアルデヒド(20mmol)及び12.70gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を17時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(16)の暗色の固体を得た。収率3.03g(63%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.04 (dt, アリール-H, 1H), 7.15 (d, アリール-H, 1H), 7.33 (d, アリール-H, 1H), 7.47-7.54 (m, アリール-H, 3H), 7.68-7.82 (m, アリール-H, 2H), 8.03 (d, アリール-H, 1H), 8.13 (d, アリール-H, 1H), 8.24 (s, アリール-H, 3H), 8.37 (d, アリール-H, 1H), 8.80 (s, アリール-H, 1H), 9.08 (d, アリール-H, 1H), 13.12 (s, CH=N, 1H).
【0397】
【0398】
(実施例17)
3.99g(10mmol)のアゾ前駆体IVを、28.3mlのn-プロパノール及び2.0mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて3.94gの4-ジエチルアミノ-サリチルアルデヒド(20mmol)及び12.70gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を16時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(17)の暗色の固体を得た。収率3.46g(65%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.27ppm (t, CH3, 6H), 3.47 (q, CH2, 4H), 6.29-6.36 (m, アリール-H, 2H), 7.26-7.30 (m, アリール-H, 2H), 7.49 (d, アリール-H, 1H), 7.64-7.79 (m, アリール-H, 2H), 8.04 (d, アリール-H, 1H), 8.11 (d, アリール-H, 1H), 8.23 (s, アリール-H, 3H), 8.44 (dd, アリール-H, 1H), 8.59 (s, アリール-H, 1H), 9.07 (d, アリール-H, 1H), 13.74 (s, CH=N, 1H).
【0399】
【0400】
(実施例18)
0.42g(10mmol)のアゾ前駆体IIIを20mlのトルエンに撹拌下、懸濁させた。この懸濁液に280mg(10mmol)の8-ヒドロキシ-1,1,7,7-テトラメチルジュロリジン-9-カルボキサルデヒド及び180mgのp-トルエンスルホン酸を加えた。反応混合物を、120℃に加熱し、その温度にて48時間撹拌した。反応混合物を20℃まで冷却した。生成物をろ過によって単離した。減圧下、ろ液を蒸発させて乾燥させた。残留物を20mlのジクロロメタンに溶解し、続いて10mlのヘプタンを液滴で加えた。沈殿物をろ過して取り除き、式(18)の暗橙色の油を得た。
LC-MS: 674.3
【0401】
【0402】
(実施例19)
1.63g(2.82mmol)のアゾ前駆体II及び0.75g(2.82mmol)のアゾ前駆体Iを、30mlのトルエンに懸濁させ、続いて0.38g(2.82mmol)のテレフトアルデヒド、0.05gのp-トルエン-スルホン酸を加えた。混合物を24時間還流して、次いで追加の0.20gのアゾ前駆体IIを加え、更に40時間還流を継続した。混合物をろ過し、ろ液を蒸発させた。残留物を酢酸エチルに溶解し、ろ過し、ろ液を蒸発させた。残留物をクロロホルムに溶解し、ろ過し、ろ液を再度蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、主に式(19)の生成物を含有する混合物の橙色の固体1.50g(58%)を得た。
【0403】
【0404】
(実施例20)
4.26g(10mmol)のアゾ前駆体Vを、30.1mlのn-プロパノール及び2.2mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて2.49gのサリチルアルデヒド(20mmol)及び13.54gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を16時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物THFを溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(20)の暗色の固体0.47g(10%)を得た。
【0405】
【0406】
(実施例21)
4.98g(10mmol)のアゾ前駆体IIを、35.3mlのn-プロパノール及び2.5mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて2.23gのN-メチル-2-ピロールカルボキサルデヒド(20mmol)及び15.84gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を36時間還流して、更に1.1g(10mmol)のN-メチル-2-ピロールカルボキサルデヒドを加え、更に20時間還流を継続した。RTに冷却後、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(21)の暗色の固体5.07gを得た。
【0407】
【0408】
(実施例22)
3.94g(10mmol)のアゾ前駆体VIを、27.9mlのn-プロパノール及び2.0mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて3.94gの4-ジエチルアミノ-サリチルアルデヒド(20mmol)及び12.53gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を16時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(22)の暗色の固体1.87g(34%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.27 (t, CH3, 6H), 2.88 (s, CH3, 3H), 3.48 (q, CH2, 4H), 6.28-6.39 (m, アリール-H, 2H), 7.27 (d, アリール-H, 1H), 7.46 (d, アリール-H, 1H), 7.64-7.69 (m, アリール-H, 1H), 7.73-7.79 (m, アリール-H, 1H), 7.90-8.04 (m, アリール-H, 4H), 8.07 (d, アリール-H, 1H), 8.10 (d, アリール-H, 1H), 8,43 (dd, アリール-H, 1H), 8.58 (s, CH=N, 1H), 13.78 (br, OH, 1H).
【0409】
【0410】
(実施例23)
1.00g(2mmol)のアゾ前駆体VIIを、7.1mlのn-プロパノール及び0.5mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて0.5gのサリチルアルデヒド(4mmol)及び3.17gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を16時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(23)の暗色の固体0.48g(50%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.46 (t, CH3, 3H), 4.49 (q, CH2, 2H), 7.05 (t, アリール-H, 1H), 7.16 (d, アリール-H, 1H), 7.36 (d, アリール-H, 1H), 7.48-7.56 (m, アリール-H, 2H), 7.69-7.85 (m, アリール-H, 4H), 8.03 (d, (アリール-H, 1H), 8.12-8.17 (m, アリール-H, 4H), 8.29 (d, アリール-H, 2H), 8.40 (d, アリール-H, 1H), 8.82 (s, CH=N, 1H), 9.08-9.11 (m, アリール-H, 1H), 9.18 (d, アリール-H, 2H), 13.16 (s, OH, 1H).
【0411】
【0412】
(実施例24)
1.00g(2mmol)のアゾ前駆体VIIを、7.1mlのn-プロパノール及び0.5mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて0.79gの4-ジエチルアミノ-サリチルアルデヒド(4mmol)及び3.17gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を16時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(24)の暗色の固体0.87g(67%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.30 (t, CH3, 6H), 1.48 (t, CH3, 3H), 3.49 (q, CH2, 4H), 4.45 (q, CH2, 2H), 6.31 (s, アリール-H, 1H), 7.30 (t, アリール-H, 1H), 7.65-7.70 (m, アリール-H, 1H), 7.75-7.83 (m, アリール-H, 3H), 8.02-8.17 (m, アリール-H, 4H), 8.44 (d, アリール-H, 1H), 8.59 (s, CH=N, 1H), 9.05-9.09 (m, アリール-H, 1H), 9.14-9.20 (m, アリール-H, 2H), 13.77 (br., OH, 1H).
【0413】
【0414】
(実施例25)
4.41g(10mmol)のアゾ前駆体IIを、31.2mlのn-プロパノール及び2.2mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて1.42gの2,5-チオフェンジカルボキサルデヒド(10mmol)を加えた。混合物を16時間還流して、次いで追加の2.20g(5mmol)のアゾ前駆体IIを加え、混合物を更に20時間還流した。RTに冷却後、沈殿物をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄し、残留物を乾燥させて(50℃/200mbar)、式(25a)及び式(25b)の化合物の25:75%混合物(1H-NMRによって確認された)を含有する赤色の結晶6.27gを得た。
【0415】
【0416】
(実施例26)
1.20g(2mmol)のアゾ前駆体IVを、8.5mlのn-プロパノール及び0.6mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて0.99gの5-ニトロ-2-チオフェンカルボキサルデヒド(6mmol)及び3.81gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を16時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、ソックスレー抽出器を用いてn-プロパノールで抽出した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(26)の暗色の固体0.20g(13%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.52 (m, アリール-H, 2H), 7.69-7.83 (m, アリール-H, 2H), 8.00 (s, アリール-H, 1H), 8.01 (d, アリール-H, 1H), 8.13 (d, アリール-H, 1H), 8.25 (s, アリール-H, 4H), 8.47 (d, アリール-H, 1H), 8.74 (s, CH=N, 1H), 9.06 (d, アリール-H, 1H).
【0417】
【0418】
(実施例27)
2.00g(5mmol)のアゾ前駆体IVを、14.1mlのn-プロパノール及び1.0mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて1.34gの5-シアノベンズアルデヒド(10mmol)及び6.35gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を16時間還流し、次いでRTに冷却した。固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(27)の暗色の固体0.70g(=29%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.22 (d, アリール-H, 1H), 7.52 (d, アリール-H, 1H), 7.66-7.71 (m, アリール-H, 1H), 7.76-7.82 (m, アリール-H, 1H), 7.87 (d, アリール-H, 2H), 8.03 (d, アリール-H, 1H), 8.13 (d, アリール-H, 1H), 8.20 (d, アリール-H, 2H), 8.25 (s, アリール-H, 3H), 8.43 (d, アリール-H, 1H), 8.68 (s, CH=N, 1H), 9.08 (d, アリール-H, 1H).
【0419】
【0420】
(実施例28)
0.85g(2.5mmol)のアゾ前駆体VIIIを、6.3mlのn-プロパノール及び0.5mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて0.62gの4-(ジエチルアミノ)-サリチルアルデヒド(3.2mmol)及び2.85gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を17時間還流し、次いでRTに冷却した。固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(28)の黒色の結晶0.58g(45%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): 1.25 (t, CH3, 6H), 2.83 (s, CH3, 3H), 3.44 (q, CH2, 4H), 6.23 (s, アリール-H, 1H), 6.30 (d, アリール-H, 1H), 7.16-7.25 (m, アリール-H, 2H), 7.41 (d, アリール-H, 1H), 7.82-7.88 (m, アリール-H, 3H), 7.99-8.08 (m, アリール-H, 4H), 8.12 (m, アリール-H, 2H), 8.52 (s, CH=N, 1H), 13.5 (br, OH, 1H).
【0421】
【0422】
(実施例29)
1.25g(2.55mmol)のアゾ前駆体IIを、8.8mlのn-プロパノール及び0.6mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて0.56gのベンゾチアゾール-2-カルボキサルデヒド(5mmol)及び3.96gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を24時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(29)の暗色の結晶1.04g(81%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.38 (d, アリール-H, 1H), 7.54-7.64 (m, アリール-H, 2H), 7.71-7.81 (m, アリール-H, 2H), 7.85 (d, アリール-H, 2H), 8.02-8.11 (m, アリール-H, 4H), 8.17-8.27 (m, アリール-H, 5H), 8.54 (d, アリール-H, 1H), 9.00 (s, CH=N, 1H), 9.08 (d, アリール-H, 1H).
【0423】
【0424】
(実施例30)
0.75g(1.5mmol)のアゾ前駆体IIを、5.3mlのn-プロパノール及び0.4mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて0.67gの9-ホルミル-8-ヒドロキシジュロリジン(3mmol)及び2.38gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を16時間還流し、次いでRTに冷却し、固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(30)の暗色の結晶を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.93-2.08 (m, CH2, 4H), 2.68-2.78 (m, CH2, 3H), 2.85 (t, CH2, 1H), 3.27-3.34 (m, CH2, 4H), 6.87 (d, アリール-H, 1H), 7.26 (d, アリール-H, 1H), 7.66 (m, アリール-H, 1H), 7.75 (m, アリール-H, 1H), 7.84 (d, アリール-H, 2H), 8.02-8.10 (m, アリール-H, 3H), 8.15-8.24 (m, アリール-H, 4H), 8.47 (d, アリール-H, 1H), 8.53 (s, CH=N, 1H), 9.07 (d, アリール-H, 1H), 9.40 (s, OH, 0.3H), 11.82 (s, OH, 0.25H), 13.39 (br., OH, 0.45H).
【0425】
【0426】
(実施例31)
2.21g(5mmol)のアゾ前駆体IIを、17.6mlのn-プロパノール及び1.3mlの酢酸の混合物に懸濁させ、続いて2.09gの2-ホルミル-5-フェニル-フェノール(10mmol)及び7.93gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を40時間還流し、次いでRTに冷却した。固体をろ過して取り除き、n-プロパノールで洗浄した。残留物をTHFに懸濁させて生成物を溶解し、固体をろ過して取り除き、THFで洗浄した。ろ液を蒸発させて、乾燥後(50℃/200mbar)、式(31)の黒色の固体2.24g(75%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.34-7.39 (m, アリール-H, 2H), 7.45-7.61 (m, アリール-H, 5H), 7.72 (m, アリール-H, 3H), 7.78-7.86 (m, アリール-H, 3H), 8.05 (d, アリール-H, 1H), 8.10 (d, アリール-H, 2H), 8.17-8.27 (m, アリール-H, 4H), 8.41 (d, アリール-H, 1H), 8.84 (s, CH=N, 1H), 9.10 (d, アリール-H, 1H), 13.25 (br., OH, 1H).
【0427】
【0428】
(実施例32)
1.23g(2.14mmol)のアゾ前駆体IIを、25mlのトルエンに懸濁させ、続いて0.44g(2.14mmol)の4-(ヘキシルオキシ)-ベンズアルデヒド及び1.0gの活性化分子ふるい(3Å)を加えた。混合物を24時間還流した。混合物をろ過し、ろ液を蒸発させた。残留物をジクロロメタンに溶解し、ろ過し、ろ液を蒸発させて、乾燥後、式(32)の橙色の固体を得た。
LC-MS (pos.)584.1
【0429】
【0430】
(実施例33)
1.23g(2.14mmol)のアゾ前駆体IIを、25mlのトルエンに懸濁させ、続いて0.32g(2.14mmol)の4-ジメチルアミノ-ベンズアルデヒド及び3.0gの活性化分子ふるい(3Å)を加えた。混合物を30時間還流した。混合物をろ過し、ろ液を蒸発させた。残留物を30mlのメタノール中で混合し、58℃で30分間撹拌した。分散液を熱時ろ過し、メタノールで洗浄した。残留物をジクロロメタンに溶解し、ろ過し、ろ液を蒸発させて、乾燥後、式(33)の橙色の固体を得た。
【0431】
【0432】
(実施例34)
0.42g(1.0mmol)のアゾ前駆体IIを、20mlのトルエンに懸濁させ、続いて0.21g(1.0mmol)の4-ジメチルアミノ-1-ナフトアルデヒド、0.18gのp-トルエン-スルホン酸、及び3.0gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を72時間還流した。混合物をろ過し、ろ液を蒸発させた。残留物を、20mlのヘプタン-酢酸エチル(8:2)混合物と混合し、30分間撹拌した。分散液をろ過し、ろ液を蒸発させて、乾燥後、式(34)の暗色の固体を得た。
【0433】
【0434】
(実施例35)
0.63g(1.5mmol)のアゾ前駆体IIを、30mlのトルエンに懸濁させ、続いて0.21g(1.5mmol)の2-メトキシ-ベンズアルデヒド及び3.0gの活性化分子ふるい(4Å)を加えた。混合物を72時間還流し、ろ過した。ろ液を蒸発させた。残留物を30mlのメタノール中で混合し、RTで1時間撹拌した。分散液をろ過し、メタノールで洗浄して、乾燥後(50℃/200mbar)、式(35)の暗色の固体を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 3.97 ppm (s, CH3, 3H), 7.05 (d, アリール-H, 1H), 7.14-7.20 (m, アリール-H, 2H), 7.55 (t, アリール-H, 1H), 7.65 (t, アリール-H, 1H), 7.75 (t, アリール-H, 1H), 7,84 (d, アリール-H, 2H), 8.03 (d, アリール-H, 1H), 8.09 (d, アリール-H, 2H), 8.18 (d, アリール-H, 2H), 8.24, アリール-H, 2H), 8.40 (dd, アリール-H, 1H), 8.46 (d, アリール-H, 1H), 9.07 (d, アリール-H, 1H), 9.09 (s, CH=N, 1H).
【0435】
【0436】
LC材料における適用
二色比:アンチパラレル摩擦配向層(ポリイミド)及び5μmの距離で取り付けられた透明な導電性層(ITO)(Linkam Scientific Instruments社、英国)を有するガラスプレートで作られたLCセル中のネマチック液晶混合物としてのMLC-2132(Merck KGaA社)における色素の二色比を測定した。
【0437】
色素を示されるような割合で、約100mgのMLC-2132及び2mlのジクロロメタンにおいて混合した。混合物を超音波で10分間処理し、完全な溶解を確実にした。溶媒の蒸発後、残留混合物を加熱プレート(Prazitherm、20~250℃、Harry Gestigkeit GmbH社、デュッセルドルフ、ドイツ)上で、液晶材料の透明点より高い130℃に加熱した。LCセルを加熱プレート(Pra zitherm、20~250℃、Harry Gestigkeit GmbH社、デュッセルドルフ、ドイツ)上で230℃に加熱して、使用した接着剤の完全な架橋を確実にした。130℃に冷却後、LCセルを、上に言及した、加熱したLC-色素混合物で充填し、その後RTに冷却した。
【0438】
充填したLCセルを、偏光子が取り付けられたAgilent 8453 UV-Vis分光光度計を使用して測定した。1つはLCセルの偏光に対して平行な偏光子を用いて、1つはLCセルの偏光に対して垂直して配向された偏光子を用いて、2つの測定を行った。二色比は、垂直する状態における最大吸光度での平行吸光度(A||)と垂直吸光度(A⊥)の比DR=A||/A⊥によって算出する。二色比をTable 1(表1)に列挙する。
【0439】
耐光性:耐光性測定のために、上に言及したように作製された充填したLCセルを、450W/m2の出力で、UVカットフィルターが取り付けられたAtlasサンテスター(Atlas Material Testing Technology GmbH社、ドイツ)を使用して、40時間繰返し照射した。色素の吸光の減衰を、各40時間サイクル後に測定した。色素の減衰持続時間は、残存50%吸光に対して外挿又は内挿したのであり、これは、照射の持続時間後に色素-LC混合物が残存50%吸光を示す照射の持続時間を表す。減衰持続時間をTable 1(表1)に列挙する。許容される減衰時間は通常、160時間以上である。
【0440】
【0441】
(実施例36~38)
様々な量の単一の化合物が以下のリストに従って使用されたこと以外は本明細書において上に記載されるように、単一の化合物のために、液晶材料MLC-2132中の二色性色素の黒色の混合物を作製した。量はwt%として言及される。
青色のジアゾ色素=WO 11/157614 A1に記載されるような実施例6c
赤色のビスアゾ色素=WO 11/157614 A1に記載されるような実施例10b
黄色のビスアゾ色素=WO 11/157614 A1に記載されるような実施例31
【0442】
【0443】
図1~
図3は、本発明の少なくとも1種のアゾメチン色素を含有する黒色二色性混合物を使用する場合、従来技術の二色性色素混合物(
図4を参照されたい)と比較して耐光性を向上することができることを示している。