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特許7447136エンジンピストン、エンジン、ハンドヘルドツール、及びエンジンピストンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】エンジンピストン、エンジン、ハンドヘルドツール、及びエンジンピストンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F02F 3/00 20060101AFI20240304BHJP
   F16J 1/00 20060101ALI20240304BHJP
   B22C 9/24 20060101ALI20240304BHJP
   B22C 9/10 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
F02F3/00 M
F02F3/00 G
F16J1/00
B22C9/24 A
B22C9/10 J
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021552634
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 SE2020050228
(87)【国際公開番号】W WO2020180232
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】1950283-0
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】511234781
【氏名又は名称】フスクバルナ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク アッサールソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアン レーン
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-169322(JP,A)
【文献】特開平03-107565(JP,A)
【文献】特開平08-144847(JP,A)
【文献】特開昭61-103059(JP,A)
【文献】実開平04-121575(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 3/00- 3/28
F16J 1/00
B22C 9/24
B22C 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2ストロークエンジンピストン(1)であって、
ピストン先端部(3)と、
外套面(5)と、
該外套面(5)の層状掃気チャネル(7)と、
前記ピストン先端部(3)と前記層状掃気チャネル(7)との間に準備された重量減少空間(9)と、備え、
前記重量減少空間(9)は、前記外套面(5)における前記2ストロークエンジンピストン(1)の中心軸(ax)に平行な方向において最大の第1の軸方向範囲(a1)と、前記外套面(5)の半径方向内側で前記2ストロークエンジンピストン(1)の前記中心軸(ax)に平行な方向における第2の軸方向範囲(a2)とを有し、
前記第2の軸方向範囲(a2)は前記最大の第1の軸方向範囲(a1)よりも大きく、
前記2ストロークエンジンピストン(1)は、
前記外套面(5)の第2の層状掃気チャネル(7’)と、
前記ピストン先端部(3)と前記第2の層状掃気チャネル(7’)との間に準備された第2の重量減少空間(9’)と、を備える2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項2】
前記第2の軸方向範囲(a2)は、前記最大の第1の軸方向範囲(a1)よりも少なくとも10%大きいか、又は少なくとも40%大きい、請求項1に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項3】
前記第2の軸方向範囲(a2)は、前記最大の第1の軸方向範囲(a1)よりも少なくとも80%大きいか、又は少なくとも100%大きい、請求項2に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項4】
前記重量減少空間(9)は、前記外套面(5)における第1の最上部区画面(10')と、前記外套面(5)の半径方向内側における第2の上部区画面(10”)とを有し、前記第2の上部区画面(10”)は、前記第1の最上部区画面(10')よりも前記ピストン先端部(3)に近接して準備されることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項5】
前記2ストロークエンジンピストン(1)は前記外套面(5)に第1のピストンリング凹部(11)を有し、前記重量減少空間(9)は、前記第1のピストンリング凹部(11)の半径方向内側に延在していることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項6】
前記2ストロークエンジンピストン(1)は前記外套面(5)に第2のピストンリング凹部(13)を有し、前記重量減少空間(9)は、前記第2のピストンリング凹部(13)の半径方向内側に延在していることを特徴とする、請求項5に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項7】
前記重量減少空間(9)は前記外套面(5)における第1の最下部区画面(15’)と、前記外套面(5)の半径方向内側における第2の下部区画面(15”、15’”)とを有し、前記第2の下部区画面(15”、15’”)は、前記第1の最下部区画面(15’)よりも前記ピストン先端部(3)からさらに離間して準備されることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項8】
前記重量減少空間(9)は、層状掃気チャネル(7)の半径方向内側に延びていることを特徴とする、請求項7に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項9】
前記重量減少空間(9)の半径方向範囲(r1)は、前記2ストロークエンジンピストン(1)の半径(r)の少なくとも15%、又は少なくとも35%である、請求項1~8の何れか一項に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項10】
前記重量減少空間(9)は、前記外套面(5)において最大の第1の接線方向範囲(T1)と、前記外套面(5)の半径方向内側に第2の接線方向範囲(T2)とを有し、前記第2の接線方向範囲(T2)は前記最大の第1の接線方向範囲(T1)よりも大きい、請求項1~9の何れか一項に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項11】
前記第2の接線方向範囲(T2)は、前記最大の第1の接線方向範囲(T1)よりも少なくとも5%大きいか、又は少なくとも10%大きい、請求項10に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項12】
前記重量減少空間(9)は、前記2ストロークエンジンピストン(1)を備えるエンジン(30)の作動中に、任意のガス移動チャネルの相互接続を分離するように構成される、請求項1~11の何れか一項に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項13】
前記重量減少空間(9)は、前記2ストロークエンジンピストン(1)の中心軸(ax)に沿って延在する平面(p1)の第1の側(s1)に準備され、前記第2の重量減少空間(9')は前記平面(p1)の第2の側(s2)に準備される、請求項に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項14】
前記第2の重量減少空間(9’)は、前記重量減少空間(9)と実質的に同一であるが鏡面対称形状を有する、請求項又は13に記載の2ストロークエンジンピストン(1)。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載の2ストロークエンジンピストン(1)を備える2ストロークエンジン(30)。
【請求項16】
請求項15に記載の2ストロークエンジン(30)を備えるハンドヘルドツール(40)。
【請求項17】
2ストロークエンジンピストン(1)を製造する方法(100)であって、
キャビティ(52)を有する鋳型(50)を提供するステップ(110)であって、キャビティ(52)内に備わるピストン(1)が、ピストン先端部(3)と、外套面(5)と、該外套面(5)内の層状掃気チャネル(7)とを有するように、前記キャビティ(52)が準備される、ステップ(110)と、
キャビティ(52)内にコア(54)を準備するステップ(120)であって、コア(54)の外面(54’)が2ストロークエンジンピストン(1)の重量減少空間(9)の内面(8)を規定するように、かつ、重量減少空間(9)が、ピストン先端部(3)と層状掃気チャネル(7)との間に準備され、前記外套面(5)において2ストロークエンジンピストン(1)の中心軸(ax)に平行な方向で最大の第1の軸方向範囲(a1)と、前記外套面(5)の半径方向内側における2ストロークエンジンピストン(1)の中心軸(ax)に平行な方向で第2の軸方向範囲(a2)と、を提供し、前記第2の軸方向範囲(a2)が前記最大の第1の軸方向範囲(a1)よりも大きい、ステップ(120)と、
を有し、
前記2ストロークエンジンピストン(1)は、
前記外套面(5)の第2の層状掃気チャネル(7’)と、
前記ピストン先端部(3)と前記第2の層状掃気チャネル(7’)との間に準備された第2の重量減少空間(9’)と、を備える方法(100)。
【請求項18】
コア(54)を準備するステップ(120)は、鋳型(50)とは異なる材料のコア(54)を準備するステップ(122)含む、請求項17に記載の方法(100)。
【請求項19】
コア(54)を準備するステップ(120)は、前記コア(54)がロストコア(54)となるようにコア(54)を準備するステップ(124)を含む、請求項17又は18に記載の方法(100)。
【請求項20】
コア(54)を準備するステップ(120)は、多孔質材料のコア(54)を準備するステップ(126)を含む、請求項1719の何れか一項に記載の方法(100)。
【請求項21】
多孔質材料のコア(54)を準備するステップ(126)は、砂及び/又は塩のコア(54)を準備するステップ(128)を含む、請求項20に記載の方法(100)。
【請求項22】
コア(54)を準備するステップ(120)は、3次元印刷によりコア(54)を準備するステップ(130)を含む、請求項1721の何れか一項に記載の方法(100)。
【請求項23】
エンジンピストン(1)を製造する方法(200)であって、
キャビティ(52)を有する鋳型(50)を提供するステップ(110)であって、キャビティ(52)内に備わるピストン(1)が、ピストン先端部(3)と、外套面(5)と、該外套面(5)内の層状掃気チャネル(7)とを有するように、前記キャビティ(52)が準備される、ステップ(110)と、
キャビティ(52)にコア(54)を準備するステップ(120)であって、コア(54)の外面(54’)がピストン(1)の重量減少空間(9)の内面(8)を規定し、かつ、重量減少空間(9)が、外套面(5)においてエンジンピストン(1)の中心軸(ax)に平行な方向で最大の第1の軸方向範囲(a1)と、外套面(5)の半径方向内側におけるエンジンピストン(1)の中心軸(ax)に平行な方向で第2の軸方向範囲(a2)とを提供し、前記第2の軸方向範囲(a2)が前記最大の第1の軸方向範囲(a1)よりも大きい、ステップ(120)と、
を有し、
前記エンジンピストン(1)は、
前記外套面(5)の第2の層状掃気チャネル(7’)と、
前記ピストン先端部(3)と前記第2の層状掃気チャネル(7’)との間に準備された第2の重量減少空間(9’)と、を備える方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重量減少空間を備える2ストロークエンジンピストンに関する。
本開示はさらに、ピストンを備える2ストロークエンジンと、2ストロークエンジンを備えるハンドヘルドツールと、エンジンピストンを製造する方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
2ストロークエンジンとは、内燃機関の一種で、クランク軸1回転だけの間にピストンの2ストロークでパワーサイクルを完結させるものである。シリンダ内のピストンの最上部位置は通常、上死点と呼ばれ、シリンダ内のピストンの最下部位置は通常、下死点と呼ばれる。2ストロークエンジンは4ストロークエンジンに比べ、可動部品点数を大幅に削減し、コンパクト化、大幅な軽量化を実現した。したがって、2ストロークガソリンエンジンは、機械的簡易性、軽量性、および高い電力対重量比が主な懸念事項である用途で使用される。典型的な用途は、チェーンソーのようなハンドヘルドツールである。
【0003】
ほとんどの小型2ストロークエンジンはクランクケース掃気エンジンである。つまり、これらのエンジンはピストンのパワーストローク中にクランクケース内に圧力を増加するために、これらのエンジンがチャージングポンプとしてピストンの下の領域を使用するということである。これらのエンジンの幾つかには、クランクケースに空気/燃料混合気を供給するように構成されたキャブレターのような燃料供給装置が設けられている。2ストロークエンジンの動力行程では、燃料の燃焼によって得られるシリンダ内の増加した圧力と温度がエンジンのクランク軸に供給される機械的仕事に部分的に変換される。同時に、クランクケース内の圧力は、ピストンが下死点に向かって移動結果として増加する。シリンダ壁に準備された排気口を開放し、ピストンが下死点に向かうその動きでシリンダに対して第1の位置に達したときに、排気ガスをシリンダから流出させる。ピストンは、下死点に向かって移動を続け、第1の位置より下の第2の位置に到達すると、シリンダ壁内に準備された入口ポートが開放される。入口ポートは、移送ダクトを介してクランクケースに流体的に接続される。クランクケース内の混合気はクランクケース内の過圧力により、入口ポートを介して強制的にシリンダ内に流入する。
【0004】
従って、上記から理解されるように、このタイプのエンジンでは排気ポートとシリンダ内の入口ポートとが、エンジンの掃気段階、すなわちピストンが下死点の領域にあるときに、同時に開いている。その結果、空気/燃料混合物のいくらかは、吸気ポートから掃気段階で排気ポートにシリンダを通って流れることができる。したがって、小型の2ストロークエンジンに関連する問題は、未燃炭化水素、すなわち未燃燃料の排気である。この課題に対抗する方法は、層状掃気装置をエンジンに提供することである。
【0005】
このようなエンジンでは、ピストンが上死点の領域にあるときに、移送ダクトとシリンダ壁内の空気流路とを重ね合わせるように準備された層状の掃気流路を備えることができる。ピストンがこの位置にあるとき、清浄な空気、すなわち付加された燃料のない空気が空気流路から移送ダクト内に流れ込む可能性がある。その結果、ピストンが、入口ポートが開放された上述した第2の位置に到達すると、清浄な空気は移送ダクト内をさらに下がった空気/燃料混合物がシリンダに到達する前に、まずシリンダ内に入る。このようにして、掃気段階において排気ポートを通って流出する燃料が少なくなり、それによって未燃焼炭化水素の排気を大幅に低減することができる。
【0006】
しかし、ピストン内に層状掃気チャネルを有する欠点は、ピストン内のチャネル壁を必要とするため、ピストンに重量を付加することである。エンジンのピストンの重量は重要な側面であり、ピストンの重量の増加はいくつかの欠点をもたらす。例えば、より高い重量を有するピストンは、ピストンの移動によって引き起こされる振動を増大させる。従って、ピストンを含むエンジンはより振動し、クランクシャフト上のカウンターウェイトを必要とすることがあり、このカウンターウェイトはより大きな重量を有するとともに、ベアリングはより大きな重量を有する。従って、このようなエンジンは、ハンドヘルドツールの重量を増加させ、使用中にそれをより振動させる可能性がある。以上のことから理解されるように、エンジンのピストンの軽量化により、多くの利点を得ることができる。しかしながら、ピストンの重量を軽減しようとするときにも、多くの課題が存在する。部分的には、ピストンがエンジンでの動作中に受ける高温、力、および圧力に耐えるために、一定構造的強度および剛性を必要とするからである。さらに、ピストンの重量の減少は、必要とされるピストンの構造および幾何学的形状により問題となる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服するか、又は少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、目的は、ピストン先端部と、外套面と、外套面内の層状掃気チャネルと、ピストン先端部と層状掃気チャネルとの間に準備された重量減少空間とを備える2ストロークエンジンピストンによって達成される。重量減少空間は外套面で最大の第1の軸方向範囲、外套面内で半径方向に第2の軸方向範囲を有し、第2の軸方向範囲は、最大の第1の軸方向範囲よりも大きい。
【0009】
第2の軸方向範囲は、最大の第1の軸方向範囲よりも大きいので、構造的に強固で堅固なピストンのための条件が提供される一方で、ピストンの重量を大幅に軽減するための条件が提供される。これは外套面における重量減少空間の比較的より小さい第1の軸方向範囲が、ピストンの構造的強度および剛性を大きく損なわない一方で、重量減少空間の比較的大きい第2の軸方向範囲が、外套面の半径方向内側であるため、ピストンの大幅な重量減少をもたらすことができるからである。外套面における重量減少空間の比較的より小さい第1の軸方向範囲は、ピストンの外套面が外套面の半径方向内部の材料よりも、ピストンの構造的強度および剛性にとって重要であるため、ピストンの構造的強度および剛性を大きく損なうことはないであろう。
【0010】
さらに、ピストンの外套面は、シールを備え、熱を伝導し、シリンダに沿ったピストンの移動時にエンジンのシリンダに対してピストンを安定させるなど、多くのエンジン関連機能を有する。したがって、第2の軸方向範囲は最大の第1の軸方向範囲よりも大きいので、外套面のエンジン関連機能が著しく損なわれることはないが、ピストンの重量を大幅に軽減するための条件が提供される。
【0011】
さらに、ピストンを大幅に軽量化するための条件が提供されるので、運転中の重量を大幅に軽減し、振動を低減した燃焼エンジンのための条件も提供される。
【0012】
さらに、ピストンは層状掃気チャネルを含むので、ピストンが2ストロークエンジンで使用されるとき、炭化水素の低排気のための条件が提供される。さらに、重量減少空間により、ピストンがピストンに重量を加える層状掃気チャネルを含むにもかかわらず、軽量ピストンを設けることができる。
【0013】
したがって、上述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服するか、又は少なくとも軽減するピストンが提供される。その結果、上記目的が達成される。
【0014】
任意選択で、第2の軸方向範囲は、最大の第1の軸方向範囲よりも少なくとも10%大きいか、又は少なくとも40%大きい。それによって、構造的に強い剛性のピストンのための条件が提供され、ピストンの重量の有意な減少のための条件が提供される。
【0015】
任意選択で、第2の軸方向範囲は、最大の第1の軸方向範囲よりも少なくとも80%大きいか、又は少なくとも100%大きい。それによって、構造的に強い剛性のピストンのための条件が提供され、ピストンの重量の有意な減少のための条件が提供される。
【0016】
任意に、重量減少空間は外套面における第1の最上部区画面と、外套面の半径方向内側における第2の上部区画面とを含み、第2の上部区画面は、第1の最上部区画面よりもピストン先端部に近接して準備される。それによって、構造的に強い剛性のピストンのための条件が提供され、ピストンの重量の有意な減少のための条件が提供される。これは、外套面における第1の最上部区画面とピストン先端部との間の比較的大きい軸方向距離が構造的に強固で堅固なピストンを確保し、一方、第2の上部区画面とピストン先端部との間の比較的小さい軸方向距離がピストンの重量の有意な減少のための条件を提供するからである。
【0017】
任意に、ピストンは外套面内の第1のピストンリング凹部を備え、重量減少空間は第1のピストンリング凹部の内側に半径方向に延在する。これにより、構造強度及び剛性が著しく損なわれることなく、ピストンのさらなる軽量化のための条件が提供される。これは、ピストンリング凹部の半径方向内側の材料がピストンの構造強度と剛性に与える影響が小さいためである。さらに、外套面のエンジン関連機能が著しく損なわれない一方で、ピストンの重量の有意な減少のための条件が提供される。
【0018】
任意に、ピストンは外套面内にある第2のピストンリング凹部を備え、重量減少空間は第2のピストンリング凹部の内側に半径方向に延在する。これにより、ピストンのさらなる軽量化のための条件が提供され、一方、エンジン関連機能およびピストンの構造的強度および剛性は、それほど損なわれない。さらに、これらの実施形態に係るピストンは、2つのピストンリング凹部を備えているので、ピストンとシリンダ壁との間に改善されたシールを得るための条件を有するピストンが提供される。
【0019】
任意選択で、重量減少空間は外套面において第1の最下部区画面と、外套面の半径方向内側において第2の最下部区画面とを備え、第2の最下部区画面は第1の最下部区画面よりもピストン先端部からさらに準備される。それによって、構造的に強い剛性のピストンのための条件が提供され、ピストンの重量の有意な減少のための条件が提供される。これは、第2の下部区画面とピストン先端部との間の比較的大きい軸方向距離がピストンの重量の有意な減少のための条件を提供し、一方、外套において第1の下部区画面とピストン先端部との間の比較的小さい軸方向距離が構造的に強固で堅固なピストンを確保するからである。
【0020】
任意に、重量減少空間は、層状掃気チャネルの内側に半径方向に延在する。これにより、ピストンがピストンに重量を付加する層状掃気チャネルを含むにもかかわらず、ピストンをさらに軽量化するための条件が提供される。
【0021】
任意に、略円筒形ピストンに対して、重量減少空間の半径方向範囲は、ピストンの半径の少なくとも15%、又は少なくとも35%である。これにより、ピストンの大幅な軽量化を保証することができる。
【0022】
任意に、重量減少空間は外套面において最大の第1の接線方向範囲、および外套面の半径方向内部において第2の接線方向範囲を有し、第2の接線方向範囲は、最大の第1の接線方向範囲よりも大きい。これにより、構造的に強固な剛性のピストンのための条件が提供され、ピストンの重量のさらなる減少のための条件が提供される。これは、ピストンの外套面の材料が外套面の半径方向内部の材料よりも、ピストンの構造強度や剛性にとって重要であるためである。さらに、外套面のエンジン関連機能が著しく損なわれない一方で、ピストンの重量の有意な減少のための条件が提供される。
【0023】
任意選択で、第2の接線方向範囲は、最大の第1の接線方向範囲よりも少なくとも5%大きいか、又は少なくとも10%大きい。これにより、エンジン関連機能及びピストンの構造強度及び剛性を著しく損なわない間に、ピストンの大幅な軽量化を確保することができる。
【0024】
任意に、重量減少空間は、ピストンを備えるエンジンの動作中に任意のガス移動チャネルを相互接続することから隔離されるように構成される。これにより、重量減少空間の唯一の目的がピストンの軽量化であるピストンが提供される。従って、重量減少空間がいかなるガス移動チャネル間の接続にも関与しないピストンが設けられる。さらに任意選択的に、重量減少空間はピストンを備えるエンジンの動作中に、任意のガス移動チャネルから隔離されるように構成されてもよい。
【0025】
任意に、ピストンは、外套面にある第2の層状掃気チャネルと、ピストン先端部と第2の層状掃気チャネルとの間に準備された第2の重量減少空間とを備える。これにより、ピストンが、各々重量をピストンに加える2つの層状掃気チャネルを含むにもかかわらず、重量が低いピストンに対して条件が提供される。
【0026】
第2の重量減少空間は上述した重量減少空間の実施形態のいずれかに従って、外套面で最大の第1の軸方向範囲、外套面の半径方向内部で最大の第2の軸方向範囲を有し得、第2の軸方向範囲は、最大の第1の軸方向範囲よりも大きい。
【0027】
任意に、前記重量減少空間は前記ピストンの中心軸に沿って延在する平面の第1の側に準備され、前記第2の重量減少空間は前記平面の第2の側に準備される。それによって、構造的に強い剛性のピストンのための条件が提供され、ピストンのさらなる重量減少のための条件が提供される。
【0028】
任意選択的に、第2の重量減少空間は、重量減少空間と実質的に同一であるが鏡像対称の形状を有する。それによって、構造的に強い剛性のピストンのための条件が提供され、ピストンのさらなる重量減少のための条件が提供される。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、この目的は、本開示のいくつかの実施形態によるピストンを備える2ストロークエンジンによって達成される。
【0030】
それによって、使用中に低量の振動および炭化水素を生成する低重量2ストロークエンジンのための条件が提供される。これは、エンジンがその重量を大幅に減少させる条件を有するピストンを備えているため、およびピストンが層状掃気チャネルを備えているためである。
【0031】
したがって、上述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服するか、又は少なくとも軽減する2ストロークエンジンが提供される。その結果、上記目的が達成される。
【0032】
本発明の第3の態様によれば、この目的は、本開示のいくつかの実施形態による2ストロークエンジンを備えるハンドヘルドツールによって達成される。
【0033】
それによって、使用中に少量の振動および炭化水素を生成しながら、軽量のハンドヘルドツールのための条件が提供される。これは、エンジンがその重量を大幅に減少させる条件を有するピストンを備えているため、およびピストンが層状掃気チャネルを備えているためである。
【0034】
したがって、上述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服するか、又は少なくとも軽減するハンドヘルドツールが提供される。その結果、上記目的が達成される。
【0035】
本発明の第4の態様によれば、目的は、以下のステップを含む2ストロークエンジンピストンの製造方法によって達成される。
キャビティを有する鋳型を提供するステップであって、キャビティ内に鋳造されたピストンが、ピストン先端部、外套面、および外套面内の層状掃気チャネルを有するように、キャビティが準備された、ステップと、
コアをキャビティ内に準備するステップであって、コアの外面がピストンの重量減少空間の内面を規定するように、かつ、重量減少空間がピストン先端部と層状掃気チャネルとの間に準備され、外套面において最大の第1の軸方向範囲と、外套面内部において半径方向に第2の軸方向範囲とを提供し、ここで、第2の軸方向範囲は最大の第1の軸方向範囲よりも大きい、ステップ。
【0036】
この方法は第2の軸方向範囲が最大の第1の軸方向範囲より大きくなるようにコアを準備するステップを含むので、この方法はピストンの重量を大幅に減少させるための条件を提供する一方で、ピストンの構造的強度および剛性はそれほど損なわれない。これは外套面における重量減少空間の比較的より小さい第1の軸方向範囲が、ピストンの構造的強度および剛性を大きく損なうことがない一方で、外套面の半径方向内部における重量減少空間の比較的大きい第2の軸方向範囲が、ピストンの大幅な重量減少をもたらすことができるからである。外套面における重量減少空間の比較的より小さい第1の軸方向範囲は、ピストンの外套面が外套面の半径方向内部の材料よりも、ピストンの構造的強度および剛性にとって重要であるため、ピストンの構造的強度および剛性を大きく損なうことはないであろう。
【0037】
さらに、ピストンの外套面は、シールを備え、熱を伝導し、シリンダに沿ったピストンの移動時にエンジンのシリンダに対してピストンを安定させるなど、多くのエンジン関連機能を有する。したがって、本方法は、第2の軸方向範囲が最大の第1の軸方向範囲よりも大きくなるようにコアを準備するステップを含むので、本方法は外套面のエンジン関連機能を著しく損なわない間に、ピストンの重量を大幅に減少させるための条件を提供する。
【0038】
さらに、この方法は、キャビティ内に鋳造されたピストンが層状掃気チャネルを有するように準備されたキャビティを有する鋳型を提供するステップを含むので、ピストンが2ストロークエンジンで使用されるときに炭化水素の低排気のための条件が提供される。さらに、ピストンが層状掃気チャネルを含むにもかかわらず、低重量のピストンを提供することができる方法が提供される。
【0039】
したがって、上述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服するか、又は少なくとも軽減する方法が提供される。その結果、上記目的が達成される。
【0040】
任意選択的に、コアを準備するステップは、以下のステップを含む。
鋳型とは異なる材料のコアを準備するステップ。
【0041】
これにより、ピストンを鋳型に鋳込んだ後に取り出すのが簡単な材料のコアを準備する条件が提供される。さらに、材料のコアを準備するための条件が提供され、コアのより複雑な幾何学的形状を可能にし、したがって、重量減少空間のより複雑な幾何学的形状も可能にする。
【0042】
任意選択的に、コアを準備するステップは、以下のステップを含む。
コアがロストコアとなるようにコアを準備するステップ。
【0043】
これにより、ピストンが層状掃気チャネルを備えているにもかかわらず、また、重量減少空間の第2の軸方向範囲が最大の第1の軸方向範囲よりも大きいにもかかわらず、ピストンを鋳型に鋳込んだ後に取り除くことが容易なコアが得られる。
【0044】
任意選択的に、コアを準備するステップは、以下のステップを含む。
多孔質材料のコアを準備するステップ。
【0045】
これにより、ピストンが層状の掃気チャネルを備えているにもかかわらず、また、重量減少空間の第2の軸方向範囲が最大の第1の軸方向範囲よりも大きいにもかかわらず、ピストンを鋳型内に鋳造した後に、簡単な方法でコアを除去するための条件が提供される。
【0046】
任意選択的に、多孔質材料のコアを準備するステップは、以下のステップを含む。
珪砂及び/又は塩でできたコアを準備するステップ。
【0047】
これにより、ピストンが層状の掃気チャネルを備えているにもかかわらず、また、重量減少空間の第2の軸方向範囲が最大の第1の軸方向範囲よりも大きいにもかかわらず、ピストンを鋳型内に鋳造した後に、簡単な方法でコアを除去するための条件が提供される。
【0048】
任意選択的に、コアを準備するステップは、以下のステップを含む。
付加的な製造方法を用いてコアを準備するステップ。
【0049】
それによって、より複雑な幾何学形状を有するコアを得るための条件が提供され、したがって、より複雑な幾何学形状を有する重量減少空間を得るための条件も提供される。そのさらなる結果として、さらなる構造的に強い剛性のピストンを得るため、ならびにピストンのさらなる重量減少を得るための条件が提供される。
【0050】
本発明の第5の態様によれば、この目的は、以下のステップを含むエンジンピストンの製造方法によって達成される。
キャビティ内に鋳造されたピストンが、ピストン先端部及び外套面を有するように準備されたキャビティを有する鋳型を提供するステップと、
コアをキャビティ内に準備するステップであって、コアの外面がピストンの重量減少空間の内面を規定するように、かつ、重量減少空間が外套面で最大の第1の軸方向範囲と、外套面内部で半径方向に第2の軸方向範囲とを提供し、ここで、第2の軸方向範囲は最大の第1の軸方向範囲よりも大きい、ステップ。
【0051】
これらの実施形態によれば、本方法によって製造されるピストンは、4ストロークピストンなどの2ストロークエンジンピストンとは別のタイプのエンジンピストンであってもよい。このようなピストンは例えば、ディーゼルエンジンのような圧縮点火エンジン、又は火花点火装置を有するオットーエンジンに使用されるように構成されても同様、オットーエンジンは、ガス、ガソリン、アルコール、同様の揮発性燃料、又はそれらの組み合わせで作動するように構成されてもよい。しかしながら、第5の態様による方法は、第4の態様による方法を参照して上で定義された実施形態のそれぞれと組み合わせることができることが理解されるのであろう。
【0052】
本方法は第2の軸方向範囲が最大の第1の軸方向範囲よりも大きくなるようにコアを準備するステップを含むので、本方法はピストンの重量を大幅に低減するための条件を提供する一方で、ピストンの構造的強度および剛性はそれほど損なわれない。これは外套面における重量減少空間の比較的より小さい第1の軸方向範囲が、ピストンの構造的強度および剛性を大きく損なうことがない一方で、外套面の半径方向内部における重量減少空間の比較的大きい第2の軸方向範囲が、ピストンの大幅な重量減少をもたらすことができるからである。外套面における重量減少空間の比較的より小さい第1の軸方向範囲は、ピストンの外套面が外套面の半径方向内部の材料よりも、ピストンの構造的強度および剛性にとって重要であるため、ピストンの構造的強度および剛性を大きく損なうことはないであろう。
【0053】
さらに、シールを備え、熱を伝導し、シリンダに沿ったピストンの移動時にエンジンのシリンダに対してピストンを安定させるなど、ピストンの外套面は多くのエンジン関連機能を有する。したがって、本方法は、第2の軸方向範囲が最大の第1の軸方向範囲よりも大きくなるようにコアを準備するステップを含むので、本方法は外套面のエンジン関連機能を著しく損なわない間に、ピストンの重量を大幅に減少させるための条件を提供する。
【0054】
したがって、上述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服するか、又は少なくとも軽減する方法が提供される。その結果、上記目的が達成される。
【0055】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の特許請求の範囲および以下の詳細な説明を検討すると明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の様々な態様(その特定の特徴および利点を含む)は、以下の詳細な説明および添付の図面において議論される例示的な実施形態から容易に理解される。
図1図1はいくつかの実施形態による2ストロークエンジンピストンの斜視図を示す図である。
図2図2図1に例示されたピストンの第1の断面を示す図である。
図3図3図1および図2に例示されたピストンの第2の断面を示す図である。
図4図4はいくつかの実施形態によるハンドヘルドツールを示す図である。
図5図5はいくつかの実施形態による鋳型を示す図である。
図6図6はいくつかの実施形態によるコアを示す図である。
図7図7はいくつかの実施形態による2ストロークエンジンピストンの製造方法を示す図である。
図8図8はいくつかのさらなる実施形態によるエンジンピストンの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
ここで、本発明の態様をより完全に説明する。同じ参照符号は全体を通して同じ要素を指す。周知の機能又は構成は簡潔さ及び/又は明確さのために、必ずしも詳細に説明されない。
【0058】
図1は、いくつかの実施形態による、2ストロークエンジンピストン1の斜視図を示す。2ストロークエンジンピストン1は簡潔さと明瞭さの理由から、ここでは「ピストン1」と呼ばれることもある。ピストン1はピストン先端部3を備える。ピストン先端部3はピストン1がエンジンシリンダ内に準備されている場合に、2ストロークエンジンのエンジンシリンダのシリンダヘッドに対向するように準備されている。ピストン先端部3は、エンジンシリンダのシリンダ壁と共に燃焼室を画定するように準備されている。したがって、ピストン先端部3は、ピストン1を備えるエンジンの動力行程中、高温燃焼ガスと接触するように準備される。さらに、ピストン1は、円筒形状の外套面5を備える。外套面5の外径はエンジンシリンダの内径よりも僅かに小さく、外套面5はその中にピストン1を準備したときにエンジンシリンダのシリンダ壁に対向するように準備されている。ピストン1の外套面5は、ピストンスカートと呼ばれることもある。
【0059】
ピストン1は、外套面5内の第1および第2のピストンリング凹部11、13を備えている。第1及び第2のピストンリング凹部11、13の各々は、ピストン1の外套面5とエンジンシリンダのシリンダ壁との間にシールを与えるためのピストンリングを受け入れるように準備されている。さらに、ピストン1は、ピストン1をエンジンのコネクティングロッドに接続するためのガジオンピン(ピストンピン)を受け入れるように構成された開口部12を備えている。
【0060】
ピストン1は、外套面5内に層状掃気チャネル7を更に備える。層状掃気チャネル7はピストン1がエンジンシリンダに対してある位置にあるときに、エンジンのシリンダ壁内に移送ダクトと空気チャネルとを重ね合わせて準備されている。ピストン1がこの位置にあるとき、清浄な空気、すなわち付加された燃料のない空気は、層状掃気チャネル7を介して空気チャネルから移送ダクト内に流入することができる。その結果、エンジンによって生成される未燃炭化水素の排気を大幅に低減することができる。
【0061】
図1に示すように、ピストン1は、ピストン先端部3と層状掃気チャネル7との間に準備された重量減少空間9を更に備える。図示の実施形態によれば、重量減少空間9は、ピストン1を含むエンジンの動作中に任意のガス移動チャネルから隔離されるように構成され、エンジンの動作中に任意のガス移動機能を割り当てられない。重量減少空間9はピストン1の外套面5を貫通して延在し、外套面5に開口部14を有する。図示された実施形態によれば、重量減少空間9の開口部14は、重量減少空間9の唯一の開口部である。図1では、開口部14からは見えない、外套面5の半径方向内側の重量減少空間9の区画面の部分を鎖線で示している。重量減少空間9は、外套面5において、最大の第1の軸方向範囲a1を有する。用語「最大の第1の軸方向範囲a1」は、ここでは外套面5における重量減少空間9の2つの区画面の間、すなわち開口部14において、ピストン1の中心軸に平行な方向に測定された重量減少空間9の最大の範囲a1を包含することを意図している。ピストン1の中心軸は、エンジンにおけるピストン1の動作中にピストン1の移動方向と一致する。さらに、ピストン1の中心軸も円筒状の外套面5の中心軸と一致している。
【0062】
さらに、本開示によれば、重量減少空間9は、外套面5の半径方向内側に第2の軸方向範囲a2を有する。図1から分かるように、第2の軸方向範囲a2は、最大の第1の軸方向範囲a1よりも大きい。用語「第2の軸方向範囲a2」は、ここではピストン1の中心軸に平行な方向において、外套面5の半径方向内側にある重量減少空間9の2つの区切られた表面の間で測定される重量減少空間9の範囲a2を包含することを意図している。本開示のいくつかの実施形態によれば、第2の軸方向範囲a2は、第1の軸方向範囲a1の半径方向内側で測定される。すなわち、かかる実施形態によれば、第1の軸方向範囲a1および第2の軸方向範囲a2は同一平面内で測定され、ここで、この平面はピストン1の中心軸に沿って延在される。
【0063】
本明細書でさらに説明されるように、第2の軸方向範囲a2は最大の第1の軸方向範囲a1よりも大きいので、構造的に強い剛性のピストン1のための条件が与えられ、一方、ピストン1の重量の有意な減少のための条件が与えられる。さらに、ピストン1の外套面5はシリンダに沿ったピストンの移動時に、シールを備え、熱を伝導し、ピストン1をエンジンのシリンダに対して安定させるなど、エンジンに関連する多くの機能を有する。したがって、第2の軸方向範囲a2が最大の第1の軸方向範囲a1よりも大きいので、外套面5のエンジン関連機能が著しく損なわれない一方で、ピストン1の重量の有意な減少のための条件が提供される。
【0064】
図示の実施形態によれば、第2の軸方向範囲a2は、最大の第1の軸方向範囲a1よりも約128%大きい。さらなる実施形態によれば、第2の軸方向範囲a2は、最大の第1の軸方向範囲a1よりも少なくとも10%大きくてもよく、又は少なくとも40%大きくてもよい。さらに、いくつかの実施形態によれば、第2の軸方向範囲a2は、最大の第1の軸方向範囲a1よりも少なくとも80%大きくてもよく、又は少なくとも100%大きくてもよい。
【0065】
図2は、図1に示されるピストン1の第1の断面を示す。図2の第1の断面は、中心軸からオフセットされた位置でピストン1の中心軸に平行な平面内に作られる。図2に示すように、重量減少空間9は、外套面5における第1の最上部区画面10'を備える。用語「第1の最上部区画面10’」はここではピストン1の中心軸に平行な方向に測定されたピストン先端部3に最も近い外套面5、すなわち開口部14における重量減少空間9の区画面10’を包含することを意図しており、さらに、重量減少空間9は、外套面5の半径方向内側にある第2の上部区画面10”を含んでいる。図2に見られるように、第2の上部区画面10”は、第1の最上部区画面10’よりもピストン先端部3に近接して準備される。このようにして、構造的に強い剛性のピストン1のための条件が与えられ、ピストン1の重量を著しく減少させるための条件が与えられる。
【0066】
第2の上部区画面10”は図示された実施形態に従う場合と同様に、外套面5の半径方向に位置する重量減少空間9の最上部区画面10”であってもよく、すなわち、外套面5の半径方向の内側にある重量減少空間9の区画面10”はピストン1の中心軸axと平行な方向に測定されたピストン先端部3に最も近い位置にある。ピストン1が扁平なピストン先端部3を含む場合には第1の最上部区画面10’の面法線、および第2の上部区画面10”の面法線はピストン先端部の面法線とは反対の方向を向いている。さらに、ピストン1がエンジンに搭載されているときには、第1の最上部区画面10’の面法線および第2の上部区画面10”の面法線がそれぞれ、ピストン1の移動方向と一致する方向を指し、下死点に向かう方向に移動する。しかしながら、明らかに、本明細書の教示は、非扁平状ピストン先端部を有するピストンにも適用可能であることが理解されるのであろう。
【0067】
図1および図2では、第1および第2のピストンリング凹部11、13が示されている。図2に最もよく示されているように、重量減少空間9は第1のピストンリング凹部11の内側に半径方向に延在するとともに、第2のピストンリング凹部13の内側に半径方向に延在する。さらに、重量減少空間9は外套面5における第1の最下部区画面15’と、外套面5の半径方向内側における第2の下部区画面15”とから構成されており、図2に示すように、第2の下部区画面15”は、第1の最下部区画面15’よりもピストン先端部3からさらに離れて準備されている。このようにして、構造的に強い剛性のピストン1のための条件が与えられ、ピストン1の重量を著しく減少させるための条件が与えられる。
【0068】
用語「第1の最下部区画面15’”」はここでは外套面5における重量減少空間9の区画面15’を包含するように意図されており、すなわち、開口部14において、ピストン1の中心軸に平行な方向に測定されるピストン先端部3から最も離れている。第2の下部区画面15”は図示の実施形態による場合のように、外套面5の半径方向内側の重量減少空間9の最下部区画面15”であってもよく、すなわち、ピストン1の中心軸に平行な方向に測定されるピストン先端部3から半径方向に最も離れている外套面5の半径方向内側の重量減少空間9の区画面15”であってもよい。ピストン1が扁平状ピストン先端部3を備える場合、第1の最下部区画面15’の面法線および面法線の第2の下部区画面15”は、それぞれピストン先端部の面法線の方向を指す。更に、第1の最下部区画面15’の面法線及び面法線の第2の下部区画面15”はピストン1がエンジンに搭載されている場合にはピストン1の移動方向と一致する方向を各々指し示し、上死点に向かう方向に移動する。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態によれば、重量減少空間9は、層状掃気チャネル7の内側に半径方向に延びることができる。このような重量減少空間9の下部区画面15’”は、図2の鎖線15’”で示されている。
【0070】
図示の実施形態によれば、重量減少空間9の半径方向範囲r1は、ピストン1の半径の約57%である。さらなる実施形態によれば、重量減少空間9の半径方向範囲r1は、ピストン1の半径の少なくとも15%、又は少なくとも35%であってもよい。重量減少空間9の半径方向範囲r1は、外套面5から重量減少空間9の半径方向内側の区画面まで、ピストン1の半径方向、すなわちピストン1の中心軸に垂直な方向に測定することができる。
【0071】
図3図1および図2に示すピストン1の第2の断面を示す図である。図3の第2の断面は、ピストン1の中心軸に垂直な平面内で作られる。重量減少空間9は図3に示すように、外套面5における第1の接線方向範囲T1が最も大きく、外套面5における第2の接線方向範囲T2が半径方向内部にあり、第2の接線方向範囲T2が最大の第1の接線方向範囲T1よりも大きい。これにより、構造的に強固な剛性のピストン1のための条件が与えられ、ピストン1の重量を更に減少させるための条件が与えられる。これは、ピストン1の外套面5における材料が外套面5の半径方向内側の材料よりも、ピストン1の構造強度及び剛性にとって重要であるからである。
【0072】
本明細書で言及される接線方向範囲T1、T2は、中心軸と交差する中心正常なc1、c2を有する測定線L1、L2に沿ってピストン1の中心軸に垂直な平面で測定された、重量減少空間9の2つの区画面間の距離である。図示の実施形態によれば、第2の接線方向範囲T2は、最大の第1の接線方向範囲T1よりも約18%大きい。さらなる実施形態によれば、第2の接線方向範囲T2は、最大の第1の接線方向範囲T1よりも少なくとも5%大きくてもよく、又は少なくとも10%大きくてもよい。
【0073】
図1に示すように、図示の実施形態によれば、ピストン1は、外套面5内に第2の層状掃気チャネル7’を備えている。また、第2の層状掃気チャネル7’はピストン1がエンジンシリンダに対してある位置にあるときに、エンジンのシリンダ壁内に移送ダクトと空気チャネルとを重ね合わせるように準備されている。すなわち、ピストン1がこの位置にあるとき、清浄な空気、すなわち付加された燃料のない空気は、空気流路から第2の層状掃気チャネル7’を介して移送ダクト内にも流入することができる。さらに、図1図2、および図3に見られるように、ピストン1は、ピストン先端部3と第2の層状掃気チャネル7’との間に準備された第2の重量減少空間9’を備える。図3に示すように、重量減少空間9はピストン1の中心軸に沿って延びる平面p1の第1の側s1上に準備され、第2の重量減少空間9’は平面p1の第2の側s2上に準備され、第2の側s2は第1の側s1とは反対側に準備されている。第2の重量減少空間9’は重量減少空間9と実質的に同一であるが鏡面対称形状を有し、本明細書ではこれ以上詳細に説明しない。
【0074】
さらに、図1および図3に示されるように、ピストン1は第3の重量減少空間9”および第4の重量減少空間9’”を備え、図示される実施形態によれば、第3の重量減少空間9”および第4の重量減少空間9’”はそれぞれ、ピストン先端部3とピストン1の層状掃気チャネル7、7’との間に準備され、第3の重量減少空間9”および第4の重量減少空間9’”はそれぞれ、本明細書で説明される重量減少空間9と同様の又は対応する特徴を備え得る。
【0075】
ピストン1はアルミニウム合金で形成することができる。さらに、本明細書でさらに説明するように、ピストン1は、鋳造製造方法を使用して製造することができる。図1~3に示す実施形態によるピストン1は、小型クランクケース掃気2ストロークエンジン用の2ストロークエンジンピストン1である。
【0076】
図4は、いくつかの実施形態によるハンドヘルドツール40を示す。図示の実施形態によれば、ハンドヘルドツール40はチェーンソーである。さらなる実施形態によれば、ハンドヘルドツール40は、ヘッジトリマー、リーフブロワー、マルチツールなどの別のタイプの携帯ツールであってもよい。ハンドヘルドツール40は、2ストロークエンジン30を備える。2ストロークエンジン30は、図1~3に示す実施形態によるピストン1を備える。
【0077】
図5は、いくつかの実施形態による鋳型50を示す。図示の実施形態によれば、鋳型50は、キャビティ52内に鋳造されたピストンが、外套面内のピストン先端部、外套面、および層状掃気チャネルを有するように準備されたキャビティ52を有する。図示の実施形態によれば、鋳型50は2つの鋳型半体53、53’を含む。2つの鋳型半体53、53’は、キャビティ52の中心軸に沿って延びる分離平面に沿って互いに分離することができる。
【0078】
図6は、いくつかの実施形態によるコア54を示す。本明細書でさらに説明するように、図示の実施形態によれば、コア54は、鋳型50のキャビティ52内に準備されるように構成される。
【0079】
図7は、いくつかの実施形態による、2ストロークエンジンピストン1の製造方法100を示す。ピストン1は、図1~3に示す実施形態によるピストン1とすることができる。更に、図5に示されている鋳型50及び図6に示されているコア54は、以下で参照される。従って、以下では、図1~3及び図5~7を同時に参照する。2ストロークエンジンピストン1を製造する方法100は、以下のステップを含む。
キャビティ52内に鋳造されたピストン1が、ピストン先端部3と、外套面5と、外套面5内の層状掃気チャネル7とを有するキャビティ52を有する鋳型50を設けるステップ110と、
コア54をキャビティ52内に準備するステップ120であって、コア54の外面54’がピストン1の重量減少空間9の内面8を画定し、重量減少空間9がピストン先端部3と層状掃気チャネル7との間に準備され、外套面5における最大の第1の軸方向範囲a1と、外套面5の半径方向内側における第2の軸方向範囲a2とを提供し、ここで第2の軸方向範囲a2は最大の第1の軸方向範囲a1よりも大きい、ステップ。
【0080】
図1には、上述した重量減少空間9の内面8が示されている。キャビティ52内にコア54を準備するステップ120は、鋳型50を準備するステップ110の後に実行されてもよい。このような実施形態によれば、コア54は、キャビティ52の区画面に取り付けることができる。代替として、鋳型50を設けるステップ110と、コア54をキャビティ52内に準備するステップ120とは、同時に実行されてもよい。このような実施形態によれば、コア54は鋳型50と一体化されてもよい。
【0081】
図7に示すように、コア54を準備するステップ120は、以下のステップを含むことができる。
鋳型50とは異なる材料のコア54を準備するステップ122。
【0082】
一例として、鋳型50は鋼材料などの金属材料で提供されてもよく、コア54は砂及び/又は塩などの多孔質物質でアレンジされてもよい。
【0083】
図7に示すように、コア54を準備するステップ120は、以下のステップを含む。
コア54がロストコア54、すなわち、一度使用されることが意図された使い捨てコア54になるようにコア54を準備するステップ124。
【0084】
このようにして、コア54はピストン1が層状掃気チャネル7を備えているにもかかわらず、また、重量減少空間9の第2の軸方向範囲a2が最大の第1の軸方向範囲a1よりも大きいにもかかわらず、ピストン1を鋳造した後に、鋳型50内で除去するのが容易となる。
【0085】
図7に示すように、コア54を準備するステップ120は、以下のステップを含む。
多孔質材料のコア54を準備するステップ126。
【0086】
このようにして、コア54はピストン1が層状掃気チャネル7を備えているにもかかわらず、また、重量減少空間9の第2の軸方向範囲a2が最大の第1の軸方向範囲a1よりも大きいにもかかわらず、ピストン1を鋳造した後に、鋳型50内で除去するのが容易となる。
【0087】
図7に示すように、多孔質材料のコア54を準備するステップ126は、以下のステップを含む。
砂及び/又は塩のコア54を準備するステップ128。
【0088】
このようにして、コア54はピストン1が層状掃気チャネル7を備えているにもかかわらず、また、重量減少空間9の第2の軸方向範囲a2が最大の第1の軸方向範囲a1よりも大きいにもかかわらず、ピストン1を鋳造した後に、鋳型50内で除去するのが容易となる。
【0089】
図7に示すように、コア54を準備するステップ120は、以下のステップを含む。
付加的な製造方法を用いてコア54を準備するステップ130。
【0090】
これらの実施形態によれば、コア54および鋳型50は、付加的な製造方法を使用して提供されてもよい。
【0091】
付加的な製造方法を使用してコア54を準備するステップ130は、以下のステップを含むことができる。
堆積された材料層が共にコア54を形成するように、材料層を連続的に堆積させるステップ。
【0092】
任意選択で、方法100は、以下を含むことができる。
材料の層を連続的に堆積させて、材料の堆積された層が一緒になって鋳型50およびコア54を形成するステップ。
【0093】
付加的製造は、時には3次元印刷と呼ばれる。本明細書で言及される付加的な製造方法は、液槽光重合法、ステレオリソグラフィー、材料噴射、バインダー噴射、粉末床溶融、材料押出、指向性エネルギー堆積、選択的レーザー溶融/焼結、又はシート積層のカテゴリー内の付加的な製造方法であってもよい。
【0094】
本明細書で説明する方法100は、以下のステップをさらに含むことができる。
鋳型50のキャビティ52にピストン1を鋳造させるステップ132。
【0095】
ピストン1は、例えばアルミニウム合金を用いて鋳造してもよい。さらに、一例として、ピストン1は、ダイカスト又は重力鋳造を用いて鋳造されてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の方法100は、以下のステップをさらに含むことができる。
ピストン1を鋳造するステップ132の後に、ピストン先端部3、外套面5、および層状掃気チャネル7のうちの1つ又は複数を機械加工するステップ。
【0097】
機械加工のステップは、例えば、研削、旋削、およびフライス削りのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0098】
図8は、いくつかのさらなる実施形態による、エンジンピストン1の製造方法200を示す。方法200は、以下のステップを含む。
キャビティ52を有する鋳型50を提供するステップ150であって、キャビティ52内に鋳造されたピストン1が、ピストン先端部3及び外套面5を有するように、キャビティが準備された、ステップ150と、
コア54をキャビティ52内に準備するステップ160であって、コア54の外面54’がピストン1の重量減少空間9の内面8を画定し、重量減少空間9が外套面5で最大の第1の軸方向範囲a1と、外套面5の半径方向内側で第2の軸方向範囲a2とを提供し、ここで第2の軸方向範囲a2が最大の第1の軸方向範囲a1よりも大きい、ステップ。
【0099】
これらの実施形態によれば、ピストンは、4ストロークピストンなどの2ストロークエンジンピストン1よりも別のタイプのエンジンピストンであってもよい。このようなピストンは例えば、ディーゼルエンジンのような圧縮点火エンジン、又は火花点火装置を有するオットーエンジンに使用されるように構成されても同様、オットーエンジンは、ガス、ガソリン、アルコール、同様の揮発性燃料、又はそれらの組み合わせで作動するように構成されてもよい。
【0100】
さらに、図8に示すように、方法200は、図7を参照して本明細書で説明するステップ122、124、126、128、130、132のいずれか1つを含むことができる。さらに、方法200によって製造されるピストンは図1~3を参照して説明したピストン1と同様に、1つ又は複数の特徴、機能、および利点を備えることができる。
【0101】
上記は各種例示的な実施形態を例示するものであり、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解されたい。当業者は添付の特許請求の技術的範囲によって定義されるように、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態を修正することができ、例示的な実施形態の異なる特徴を組み合わせて、本明細書で説明されるもの以外の実施形態を作成することができることを理解するのであろう。
【0102】
本明細書で使用されるように、用語「comprising」又は「comprises」はオープンエンドであり、1つ又は複数の述べられた特徴、要素、ステップ、成分、又は機能を含むが、1つ又は複数の他の特徴、要素、ステップ、成分、機能、又はそれらのグループの存在又は追加を排除しない。
【0103】
ピストン1が2つ以上の重量減少空間9、9’、9”、9’”を含む実施形態では本明細書で言及される「重量減少空間9」が「第1の重量減少空間9」とも呼ばれることがあり、したがって、本開示全体を通して、「重量減少空間9」という用語は「第1の重量減少空間9」という用語に置き換えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8