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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】車両用操作ペダル装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 25/00 20060101AFI20240304BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20240304BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20240304BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
G05G25/00 C
G05G1/30 E
G05G1/38
B60T7/02 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021553553
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2020039858
(87)【国際公開番号】W WO2021085322
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2019198084
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】津隈 智弘
(72)【発明者】
【氏名】安部 純也
(72)【発明者】
【氏名】樅山 雅
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 康多
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 直哉
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537306(JP,A)
【文献】特開2008-183974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/00-25/04
B60T 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両部材に固定され、互いに向かい合う一対のサポート部材と、
一端側に筒形状のペダル用のボスが設けられ、前記サポート部材に設けられた穴と前記 ボスとに挿入される回動軸部材を中心にして前記一対のサポート部材の間で回動可能に支 持される操作ペダルと、
前記操作ペダルの回転角を検出する角度センサと、を備え、
前記角度センサは、前記一対のサポート部材の内側に設けられるホール素子と、
前記ホール素子と対向する状態で前記操作ペダルの一端側に設けられ、前記ホール素子に磁界を検出させる磁石と、を備え、
前記ホール素子が固定され、前記サポート部材に取り付けられる素子ホルダと、
前記磁石が固定され、前記操作ペダルの一端側に取り付けられる磁石ホルダと、
前記素子ホルダ又は前記磁石ホルダから張り出し、前記ホール素子と前記磁石とが対向する間隙と外方空間との少なくとも一部に介在するカバー部と、を備えることを特徴とする車両用操作ペダル装置。
【請求項2】
前記磁石は、前記操作ペダルの一端側の側面において、前記操作ペダルの回転中心線から等距離の円弧状に配設されることを特徴とする請求項1に記載の車両用操作ペダル装置。
【請求項3】
前記カバー部は、前記素子ホルダに設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用操作ペダル装置。
【請求項4】
前記カバー部は、前記磁石ホルダに設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用操作ペダル装置。
【請求項5】
前記カバー部は、前記間隙の上方側、車両の前方側、及び前記車両の後方側の少なくと も一方側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用操作ペダル装置。
【請求項6】
前記カバー部は、前記外方空間に対向する面が先端から基端に向かうに従って下方に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の車両用操作ペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ペダルの回転角を検出する角度センサを備えた車両用操作ペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、上記車両用操作ペダル装置に関し、種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載の技術は、操作量検出装置であって、ペダル部の踏面のストローク(ペダルストローク)を検出するストロークセンサを備える。このストロークセンサは、センサ本体と、センサ本体に対しセンサ回動軸を回動中心として回動可能に設けられるセンサアーム(センサ本体の一部)を備える。センサアームは、二股に分岐して略平行に延在する一対の分岐部を有する。一対の分岐部の間には、センサ回動軸から半径外方向に向かって延在し直線状に形成されたガイド溝が設けられる。このガイド溝には、ペダルアームに固定されたピンが摺動可能に係合する。ペダルアームは、略円弧状であって、ペダル部の上端に固定されペダル部と一体的に回動する。ピンは、ペダルアームの上端に固定されペダルアームの延在方向と略直交する方向(ストロークセンサ側)に突出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-21791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の操作量検出装置は、車両用のペダル部に設けられるため、コンパクトなものが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、操作ペダルの回転角を検出する角度センサの搭載スペースがコンパクトな車両用操作ペダル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、車両用操作ペダル装置であって、車両部材に固定され、互いに向かい合う一対のサポート部材と、一端側に筒形状のペダル用のボスが設けられ、サポート部材に設けられた穴とボスとに挿入される回動軸部材を中心にして一対のサポート部材の間で回動可能に支持される操作ペダルと、操作ペダルの回転角を検出する角度センサと、を備え、角度センサは、一対のサポート部材の内側に設けられるホール素子と、ホール素子と対向する状態で操作ペダルの一端側に設けられ、ホール素子に磁界を検出させる磁石と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車両用操作ペダル装置であって、ホール素子及び磁石は、操作ペダルの一端側の側面よりも回動軸部材側で対向することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の車両用操作ペダル装置であって、磁石は、操作ペダルの一端側の側面において、操作ペダルの回転中心線から等距離の円弧状に配設されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の車両用操作ペダル装置であって、ホール素子が固定され、サポート部材に取り付けられる素子ホルダと、磁石が固定され、操作ペダルの一端側に取り付けられる磁石ホルダと、素子ホルダ又は磁石ホルダから張り出し、ホール素子と磁石とが対向する間隙と外方空間との少なくとも一部に介在するカバー部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の車両用操作ペダル装置であって、カバー部は、素子ホルダに設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の車両用操作ペダル装置であって、カバー部は、磁石ホルダに設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項4乃至請求項6のいずれか一つに記載の車両用操作ペダル装置であって、カバー部は、間隙の上方側、車両の前方側、及び車両の後方側の少なくとも一方側に設けられることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項4乃至請求項7のいずれか一つに記載の車両用操作ペダル装置であって、外方空間に対向する面が先端から基端に向かうに従って下方に傾斜していることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用操作ペダル装置であって、ホール素子が固定される凸部を有し、サポート部材の外側から取り付けられる素子ホルダを備え、素子ホルダの凸部がサポート部材の貫入穴においてサポート部材の外側から内側に差し入れられることによって、ホール素子が一対のサポート部材の内側に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用操作ペダル装置では、操作ペダルの回転角を検出する角度センサの搭載スペースがコンパクトである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の車両用操作ペダル装置が表された斜視図である。
図2】同車両用操作ペダル装置が表された分解斜視図である。
図3】同車両用操作ペダル装置が表された側面図である。
図4】同車両用操作ペダル装置が表された正面図である。
図5】同車両用操作ペダル装置が図3の線I-Iで切断された断面で表された図である。
図6】第2実施形態の車両用操作ペダル装置が表された斜視図である。
図7】同車両用操作ペダル装置が表された分解斜視図である。
図8】同車両用操作ペダル装置が表された側面図である。
図9】同車両用操作ペダル装置が表された正面図である。
図10】同車両用操作ペダル装置が図8の線II-IIで切断された断面で表された図である。
図11】第3実施形態の車両用操作ペダル装置が表された斜視図である。
図12】同車両用操作ペダル装置が表された分解斜視図である。
図13】同車両用操作ペダル装置が表された側面図である。
図14】同車両用操作ペダル装置が表された正面図である。
図15】同車両用操作ペダル装置が図13の線III-IIIで切断された断面で表された図である。
図16】第4実施形態の車両用操作ペダル装置が表された斜視図である。
図17】同車両用操作ペダル装置が表された分解斜視図である。
図18】同車両用操作ペダル装置が表された側面図である。
図19】同車両用操作ペダル装置が表された正面図である。
図20】同車両用操作ペダル装置が図18の線IV-IVで切断された断面で表された図である。
図21】第5実施形態の車両用操作ペダル装置が表された斜視図である。
図22】同車両用操作ペダル装置が表された分解斜視図である。
図23】同車両用操作ペダル装置が表された側面図である。
図24】同車両用操作ペダル装置が表された正面図である。
図25】同車両用操作ペダル装置が図23の線V-Vで切断された断面で表された図である。
図26】第6実施形態の車両用操作ペダル装置が表された斜視図である。
図27】同車両用操作ペダル装置が表された分解斜視図である。
図28】同車両用操作ペダル装置が表された側面図である。
図29】同車両用操作ペダル装置が表された正面図である。
図30】同車両用操作ペダル装置が図28の線VI-VIで切断された断面で表された図である。
図31】第1実施形態の車両用操作ペダル装置の第1変更例が図3の線I-Iで切断された断面で表された図である。
図32】同車両用操作ペダル装置の第2変更例が図3の線I-Iで切断された断面で表された図である。
図33】同車両用操作ペダル装置の第3変更例が図3の線I-Iで切断された断面で表された図である。
図34】第3実施形態の車両用操作ペダル装置の変更例が図13の線III-IIIで切断された断面で表された図である。
図35】第1実施形態の車両用操作ペダル装置の第4変更例が図3の線VII-VIIで切断された断面で表された図である。
図36】車両用操作ペダル装置の変更例が表された側面図である。
図37】同変更例の一部が拡大して表された側面図である。
図38】第7実施形態の車両用操作ペダル装置が表された斜視図である。
図39】同車両用操作ペダル装置が表された分解斜視図である。
図40】同車両用操作ペダル装置が表された側面図である。
図41】同車両用操作ペダル装置が表された正面図である。
図42】同車両用操作ペダル装置が図40の線VIII-VIIIで切断された断面で表された図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用操作ペダル装置について、具体化した各実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。各実施形態において、本発明に係る車両用操作ペダル装置は、車両に取り付けられることにより、ブレーキペダルとして使用されるものである。但し、ブレーキペダル以外の車両のペダル(例えば、アクセルペダル又はクラッチペダル等)として使用されるものでもよい。
【0019】
以下の説明に用いる各図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。各実施形態で対応関係にある部分には、同一の符号を付す。更に、符号に添付される英字は、「A」が第1実施形態、「B」が第2実施形態、「C」が第3実施形態、「D」が第4実施形態、「E」が第5実施形態、「F」が第6実施形態を示す。但し、各実施形態で実質的に共通する部分には、上記の添付英字を省略した同一の符号を付し、第2実施形態以降では、詳しい説明を省略する。また、各実施形態を区別することなく部分等を総称する場合には、上記の添付英字を省略した符号を用いて説明する。
【0020】
また、各図における方向は、各図に記載された通りである。但し、図3図8図13図18図23図28図36、及び図37の各側面図では、紙面から奥側へ向かう方向が右方向であり、紙面から手前側へ向かう方向が左方向である。つまり、図3図8図13図18図23図28図36、及び図37の各紙面に対して直交する方向が、左右方向である。
【0021】
また、図4図9図14図19図24、及び図29の各正面図では、紙面から奥側へ向かう方向が前方向であり、紙面から手前側へ向かう方向が後方向である。つまり、図4図9図14図19図24、及び図29の各紙面に対して直交する方向が、前後方向である。これらの点は、図5図10図15図20図25、及び、図30乃至図34の各断面図においても、同様である。
【0022】
また、図35の断面図では、紙面から奥側へ向かう方向が下方向であり、紙面から手前側へ向かう方向が上方向である。つまり、図35の紙面に対して直交する方向が、上下方向である。
【0023】
(1)第1実施形態
図1乃至図5に表されたように、第1実施形態の車両用操作ペダル装置10Aは、操作ペダル12及びサポート部材14等を備えており、車両に搭載される。操作ペダル12の下端側には、踏部16が設けられている。操作ペダル12の上端側には、筒形状のボス18が貫通した状態で固定されている。ボス18には、その左右端から一対のブッシュ28が嵌装された状態で、カラー29が嵌入されている。これによって、各ブッシュ28の円筒部が、ボス18とカラー29との間に備え付けられる。
【0024】
サポート部材14は、左側サポート部材20、右側サポート部材22、及び上側中央サポート部材24等から構成されており、車両(例えば、ダッシュパネルP等)に固定される。左側サポート部材20及び右側サポート部材22は、それらの前端側から上端側に亘って上側中央サポート部材24に連結されており、左右方向で互いに向かい合っている。左側サポート部材20には、左側回動穴21が設けられている。右側サポート部材22には、右側回動穴23が設けられている。左側回動穴21と右側回動穴23との間に操作ペダル12のボス18を介在させると、ボス18内のカラー29を介して、左側回動穴21と右側回動穴23とが、左右方向で連通した状態になる。そのような状態において、回動ボルト26が、左側回動穴21から、ボス18内のカラー29を介して、右側回動穴23まで通される。
【0025】
左側サポート部材20では、回動ボルト26の頭部が当接される。これに対して、右側サポート部材22では、回動ボルト26の先端部が右方へ突き出しており、その突き出し部分にナット30がねじ込まれる。これによって、カラー29の左右端が左側サポート部材20と右側サポート部材22とで挟まれるので、左側サポート部材20(の左側回動穴21)と右側サポート部材22(の右側回動穴23)の左右方向の距離が一定に保持される。更に、ボス18の左端では、一方のブッシュ28の円形フランジ部が、ボス18と左側サポート部材20との間に備え付けられる。また、ボス18の右端では、他方のブッシュ28の円形フランジ部が、ボス18と右側サポート部材22との間に備え付けられる。
【0026】
このようにして、左側サポート部材20(の左側回動穴21)と右側サポート部材22(の右側回動穴23)の間では、操作ペダル12の上端側にあるボス18が回動可能に支持されており、操作ペダル12の下端側にある踏部16が前方へ踏み込まれると、ボス18に挿入された回動ボルト26及びカラー29等を介して、操作ペダル12が回動する。
【0027】
尚、符号13で示す一点鎖線は、操作ペダル12が回動するときの中心となる直線(以下、「回動中心線」という。)を示している。また、操作ペダル12の上端面は、操作ペダル12の回動中心線13からの距離が等しい曲面形状に形作られている。
【0028】
車両用操作ペダル装置10Aには、角度センサ50が設けられている。角度センサ50は、回動中心線13を中心にして回動する操作ペダル12の回転角を検出するものであって、IC(Integrated Circuit)ホルダ52及び磁石ホルダ54等を備えている。ICホルダ52には、IC56が露呈した状態で固定されている。磁石ホルダ54には、磁石58が露呈した状態で固定されている。IC56は、磁石58の磁界を検出する磁界センサであって、例えば、ホールIC等がある。
尚、IC56が磁石58の磁界を検出できるのであれば、IC56及び磁石58は、露呈状態でなくてもよい。この点は、以下の各実施形態及び各変更例においても、同様である。
【0029】
ICホルダ52は、略直方体である。ICホルダ52の左面には、スナップフィット部60及びねじ穴62が設けられている。ICホルダ52の後面には、コネクタ64が設けられている。ICホルダ52の右面は、その下方側が直方体状のブロックが突出して形成されており、その右方側面に、IC56が配設されている。
【0030】
ICホルダ52は、その左面が左側サポート部材20の内面(右面)に接した状態で、左側サポート部材20に取り付けられる。そのために、左側サポート部材20には、その上端と左側回動穴21との間において、第1取付穴31及び第2取付穴32が設けられている。第1取付穴31には、その右方側から、突起状のスナップフィット部60が係入される。第2取付穴32には、その左方側から、取付ボルト66が通される。更に、取付ボルト66は、ねじ穴62に組み付けられる。このようにして、ICホルダ52が左側サポート部材20の内面(右面)に取り付けられることによって、ICホルダ52のIC56が、左側サポート部材20及び右側サポート部材22の間(つまり、内側)に配設される。
【0031】
磁石ホルダ54は、平面部55と、曲面部57とを有している。磁石ホルダ54の曲面部57は、操作ペダル12の上端面と同程度の曲率で曲っている。磁石ホルダ54の平面部55は、磁石ホルダ54の曲面部57の左端から下方へ延びている。更に、磁石ホルダ54の平面部55の左面には、回動中心線13からIC56までの距離と同程度の半径で円弧状に配列された磁石58が設けられている。磁石ホルダ54は、操作ペダル12の上端面に取り付けられる。そのために、磁石ホルダ54には、スナップフィット部68が設けられている。スナップフィット部68は、突起状であり、操作ペダル12の上端に係入される。このようにして、磁石ホルダ54が操作ペダル12の上端側に取り付けられると、操作ペダル12の上端面が磁石ホルダ54の曲面部57で被せ覆われ、操作ペダル12の左面のうちボス18よりも上方側の領域が磁石ホルダ54の平面部55で被せ覆われる。更に、磁石ホルダ54の平面部55の左面に設けられた磁石58の円弧の中心が、回動中心線13に位置する。これにより、操作ペダル12の左面のうちボス18よりも上方側の領域において、磁石ホルダ54の磁石58が、ICホルダ52のIC56と左右方向で対向する。
【0032】
つまり、IC56及び磁石58は、操作ペダル12の上端面よりもボス18側(つまり、回動ボルト26及びカラー29側)で対向する。
【0033】
磁石ホルダ54には、カバー部70が設けられている。カバー部70は、側面視で扇状の磁石ホルダ54の平面部55の上端辺及び後端辺から、ICホルダ52の右面方向へ向けて張り出している。これによって、カバー部70は、IC56と磁石58とが対向する間隙に対して、側面視で扇状の磁石ホルダ54の平面部55の上端辺及び後端辺に沿って接する外方空間に介在し、IC56と磁石58とが対向する間隙を覆い隠している。
【0034】
(2)第2実施形態
図6乃至図10に表されたように、第2実施形態の車両用操作ペダル装置10Bは、操作ペダル12Bを備えている。操作ペダル12Bは、一対の分割体が重ね合わされた中空ペダルである。操作ペダル12Bの上端側では、隔離した一対の分割体において、第1係止穴33と第2係止穴34が形成されている。
【0035】
車両用操作ペダル装置10Bには、角度センサ50Bが設けられている。角度センサ50Bは、ICホルダ52B及び磁石ホルダ54B等を備えている。ICホルダ52Bの右面は、その上方側が直方体状のブロックが突出して形成されており、その右方側面において、IC56Bが露呈した状態で固定されている。
【0036】
磁石ホルダ54Bの右面には、スナップフィット部68Bが設けられている。スナップフィット部68Bは、突起状であり、操作ペダル12Bの第2係止穴34に係入される。これに対して、磁石ホルダ54Bの左面には、磁石58B及びスナップフィット部69Bが設けられている。磁石58Bは、磁石ホルダ54Bの左面において、回動中心線13からIC56までの距離と同程度の半径で円弧状に配列され、露呈した状態で固定されている。スナップフィット部69Bは、突起状であり、操作ペダル12Bの第1係止穴33に係入される。このようにして、磁石ホルダ54Bが操作ペダル12Bの上端側に取り付けられると、操作ペダル12Bの上端面の一部が、磁石ホルダ54Bの上面で形成される。更に、磁石ホルダ54Bの左面に設けられた磁石58Bの円弧の中心が、回動中心線13に位置する。
【0037】
これにより、IC56B及び磁石58Bは、操作ペダル12Bの上端面よりもボス18側(つまり、回動ボルト26及びカラー29側)において左右方向で対向する。
【0038】
磁石ホルダ54Bには、カバー部70Bが設けられている。カバー部70Bは、磁石ホルダ54Bの左面の上端辺及び後端辺から、ICホルダ52Bよりも上方向及び後方向へ向けて張り出している。これによって、カバー部70Bは、IC56Bと磁石58Bとが対向する間隙に対して、磁石ホルダ54Bの左面の上端辺及び後端辺に沿って接する外方空間に介在し、IC56Bと磁石58Bとが対向する間隙を覆い隠している。
【0039】
(3)第3実施形態
図11乃至図15に表されたように、第3実施形態の車両用操作ペダル装置10Cには、角度センサ50Cが設けられている。角度センサ50Cは、ICホルダ52C及び磁石ホルダ54C等を備えている。ICホルダ52Cは、略直方体をなしている。スナップフィット部60Cは、ICホルダ52Cの左面において、ねじ穴62寄りに設けられている。そのため、左側サポート部材20では、スナップフィット部60Cが係入される第1取付穴31Cが、第2取付穴32(図2参照)寄りであって、左側回動穴21の真上に設けられている。IC56Cは、ICホルダ52Cの下面において、露呈した状態で固定されている。ICホルダ52Cが左側サポート部材20に取り付けられると、ICホルダ52CのIC56Cは、左側サポート部材20と右側サポート部材22との間の略中央で、操作ペダル12よりも上方側に位置し、操作ペダル12の上端面中央と上下方向で向かい合う。
【0040】
磁石ホルダ54は、平面部55Cと、曲面部57Cとを有している。磁石ホルダ54Cの曲面部57Cは、操作ペダル12の上端面と同程度の曲率で曲っている。更に、磁石ホルダ54Cの曲面部57Cの上面には、その左右方向の中央を通る中心線上に、磁石58Cが露呈した状態で配列している。磁石ホルダ54Cの平面部55Cは、磁石ホルダ54Cの曲面部57Cの左端から下方へ延びている。磁石ホルダ54Cは、操作ペダル12の上端面に取り付けられる。そのために、磁石ホルダ54Cには、2つのスナップフィット部68C,69Cが設けられている。スナップフィット部68Cは、突起状であり、操作ペダル12の左面に係入される。スナップフィット部69Cは、溝状であり、操作ペダル12の上端に係着される。このようにして、磁石ホルダ54Cが操作ペダル12の上端側に取り付けられると、操作ペダル12の上端面が磁石ホルダ54Cの曲面部57Cで被せ覆われ、操作ペダル12の左面のうちボス18よりも上方側の領域が磁石ホルダ54Cの平面部55Cで被せ覆われる。
【0041】
これにより、磁石ホルダ54Cの曲面部57Cの上面に設けられた磁石58Cは、操作ペダル12の上端面において、回動中心線13から等しい距離の円弧状に位置し、左側サポート部材20と右側サポート部材22との間の略中央で、IC56Cと上下方向で対向する。
【0042】
磁石ホルダ54Cには、カバー部70Cが設けられている。カバー部70Cは、磁石ホルダ54Cの曲面部57Cの右端面から、ICホルダ52Cよりも右方向へ向けて張り出している。これによって、カバー部70Cは、IC56Cと磁石58Cとが対向する間隙に対して、磁石ホルダ54Cの曲面部57Cの右端面に沿って接する外方空間に介在し、IC56Cと磁石58Cとが対向する間隙の右方側を覆い隠している。
【0043】
(4)第4実施形態
図16乃至図20に表されたように、第4実施形態の車両用操作ペダル装置10Dは、操作ペダル12Dを備えている。操作ペダル12Dは、一対の分割体が重ね合わされた中空ペダルである。
【0044】
第4実施形態の車両用操作ペダル装置10Dには、角度センサ50Dが設けられている。角度センサ50Dは、ICホルダ52D及び磁石ホルダ54D等を備えている。ICホルダ52Dは、平面視でL字状の立体形状をなしている。スナップフィット部60Dは、ICホルダ52Dの左面において、ねじ穴62寄りに設けられている。そのため、左側サポート部材20では、スナップフィット部60Dが係入される第1取付穴31Dが、第2取付穴32(図2参照)寄りであって、左側回動穴21の真上に設けられている。IC56Dは、ICホルダ52Dの下面において、露呈した状態で固定されている。ICホルダ52Dが左側サポート部材20に取り付けられると、ICホルダ52DのIC56Dは、左側サポート部材20と右側サポート部材22との間の略中央で、操作ペダル12Dよりも上方側に位置し、操作ペダル12Dの上端面中央と上下方向で向かい合う。
【0045】
磁石ホルダ54Dは、平面部55Dと、曲面部57Dとを有している。磁石ホルダ54Dの曲面部57Dは、操作ペダル12の上端面と同程度の曲率で曲っている。更に、磁石ホルダ54Dの曲面部57Dの上面には、その左右方向の中央を通る中心線上に、磁石58Dが露呈した状態で配列している。磁石ホルダ54Dの平面部55Dは、磁石ホルダ54Dの曲面部57Dの左端から下方へ延びている。操作ペダル12Dの上端側では、隔離した一対の分割体において、磁石ホルダ54Dが取り付けられている。そのために、磁石ホルダ54Dには、スナップフィット部68D,69Dが設けられている。一方のスナップフィット部68Dは、突起状であり、磁石ホルダ54Dの平面部55Dの左面に設けられ、操作ペダル12Dの左面(左側分割体)の係止穴15に係入される。スナップフィット部68D及び係止穴15は、2組設けられている。他方のスナップフィット部69Dは、溝状であり、磁石ホルダ54Dの曲面部57Dの下面に設けられ、操作ペダル12Dの右面(右側分割体)の上端に係着される。このようにして、磁石ホルダ54Dが操作ペダル12Dの上端側に取り付けられると、操作ペダル12Dの上端面の一部が、磁石ホルダ54Dの上面で形成される。
【0046】
これにより、磁石ホルダ54Dの曲面部57Dの上面に設けられた磁石58Dは、操作ペダル12Dの上端面において、回動中心線13から等しい距離の円弧状に位置し、左側サポート部材20と右側サポート部材22との間の略中央で、IC56Dと上下方向で対向する。
【0047】
磁石ホルダ54Dには、カバー部70Dが設けられている。カバー部70Dは、磁石ホルダ54Dの曲面部57Dの上面において、磁石58Dの右方側に沿いながら、ICホルダ52Dよりも右方向へ向けて張り出している。これによって、カバー部70Dは、IC56Dと磁石58Dとが対向する間隙に対して、ICホルダ52Dの右方側に沿って接する外方空間に介在し、IC56Dと磁石58Dとが対向する間隙の右方側を覆い隠している。
【0048】
(5)第5実施形態
図21乃至図25に表されたように、第5実施形態の車両用操作ペダル装置10Eには、角度センサ50Eが設けられている。角度センサ50Eは、ICホルダ52及び磁石ホルダ54E等を備えている。磁石ホルダ54Eは、円形開口部71を有する略円環形状をなす。
磁石ホルダ54Eの左面においては、磁石58Eが、円形開口部71の中心と、回動中心線13からIC56までの距離と同程度の半径とで形成される円弧状に配列され、円形開口部71よりも上側で露呈した状態で固定されている。
【0049】
磁石ホルダ54Eは、操作ペダル12の上端左側において、ボス18に嵌装されている。そのために、磁石ホルダ54Eには、上記した円形開口部71が形成されている。円形開口部71には、ボス18が嵌め入れられる。このようにして、磁石ホルダ54Eが操作ペダル12の上端側に取り付けられると、操作ペダル12の左面のうちボス18の周辺部が磁石ホルダ54Eで覆われる。更に、円形開口部71の中心とボス18の中心とが一致するため、磁石ホルダ54Eの左面に設けられた磁石58Eの円弧の中心が、回動中心線13に位置する。これにより、操作ペダル12の左側では、ボス18よりも上方において、磁石ホルダ54Eの磁石58Eが、ICホルダ52のIC56と左右方向で対向する。
【0050】
つまり、IC56及び磁石58Eは、操作ペダル12の上端面よりもボス18側(つまり、回動ボルト26及びカラー29側)で対向する。
【0051】
尚、左側サポート部材20では、左側回動穴21よりも前方において、左穴35が設けられている。同様にして、右側サポート部材22には、右側回動穴23よりも前方において、右穴36が設けられている。
【0052】
(6)第6実施形態
図26乃至図30に表されたように、第6実施形態の車両用操作ペダル装置10Fには、角度センサ50Fが設けられている。角度センサ50Fは、ICホルダ52F及び磁石ホルダ54F等を備えている。ICホルダ52Fは、略直方体である。ICホルダ52Fの下面には、IC56Fが露呈した状態で固定されている。ICホルダ52Fが左側サポート部材20に取り付けられると、ICホルダ52FのIC56Fは、左側サポート部材20と操作ペダル12との間の略中央で、操作ペダル12の左側のボス18よりも上方側に位置し、操作ペダル12の左側のボス18における左右方向中央と上下方向で向かい合う。磁石ホルダ54Fは、円環形状をなしている。磁石ホルダ54Fは、その円環中心から外側側面までの距離(つまり、磁石ホルダ54Fの半径)が、回動中心線13からIC56Fまでの距離よりも僅かに短い。更に、磁石ホルダ54Fの外側側面の上方側には、その左右方向の中央を通る中心線上に、磁石58Fが露呈した状態で配列している。つまり、磁石ホルダ54Fの円環中心から磁石58Fの露呈面までの距離は、回動中心線13からIC56Fまでの距離よりも僅かに短い。また、磁石ホルダ54Fの内径は、操作ペダル12の左側のボス18の外径と略等しい。
【0053】
円環形状の磁石ホルダ54Fは、操作ペダル12の上端左側において、操作ペダル12の左側のボス18に嵌装される。そのために、操作ペダル12の左側のボス18の側面の上方側には、その左右方向の中央を通る中心線に沿って、凹状のスナップフィット部17が設けられている。これに対して、円環形状の磁石ホルダ54Fの内側側面の上方側には、その左右方向の中央を通る中心線に沿って、凸状のスナップフィット部68Fが設けられている。操作ペダル12の左側のボス18のスナップフィット部68Fには、円環形状の磁石ホルダ54Fのスナップフィット部17が嵌め入れられる。
【0054】
このようにして、磁石ホルダ54Fが操作ペダル12の上端側に取り付けられると、円環形状の磁石ホルダ54Fの外側側面に設けられた磁石58Fは、操作ペダル12の上端面よりもボス18側(つまり、回動ボルト26及びカラー29側)において、回動中心線13から等しい距離の円弧状に位置し、左側サポート部材20と操作ペダル12との間の略中央で、ICホルダ52FのIC56Fと上下方向で対向する。
【0055】
(7)まとめ
以上詳細に説明した通り、各実施形態の車両用操作ペダル装置10では、角度センサ50のIC56が、左側サポート部材20及び右側サポート部材22の間(つまり、内側)に設けられ、角度センサ50の磁石58が、IC56と対向する状態で操作ペダル12の上端側に設けられている。このような構成によって、各実施形態の車両用操作ペダル装置10は、操作ペダル12の回転角を検出する角度センサ50の搭載スペースをコンパクトにすることが可能である。
【0056】
また、第1実施形態の車両用操作ペダル装置10Aでは、IC56及び磁石58が、操作ペダル12の上端面よりもボス18側(つまり、回動ボルト26及びカラー29側)で対向している。これによって、第1実施形態の車両用操作ペダル装置10Aは、角度センサ50の搭載スペースを一層にコンパクトにすることが可能である。この点は、第2実施形態の車両用操作ペダル装置10B、第5実施形態の車両用操作ペダル装置10E、及び第6実施形態の車両用操作ペダル装置10Fにおいても、同様である。
【0057】
また、第3実施形態の車両用操作ペダル装置10Cにおいて、磁石58Cは、操作ペダル12の上端面において、操作ペダル12の回動中心線13から等距離の円弧状に設けられている。これによって、第3実施形態の車両用操作ペダル装置10Cは、IC56による検出精度を向上させている。この点は、第4実施形態の車両用操作ペダル装置10Dにおいても、同様である。
尚、第1実施形態の車両用操作ペダル装置10Aの磁石58は、操作ペダル12の上端面よりもボス18側(つまり、回動ボルト26及びカラー29側)において、操作ペダル12の回動中心線13から等距離の円弧状に設けられている。よって、第1実施形態の車両用操作ペダル装置10Aにおいても、IC56による検出精度を向上させている。この点は、第2実施形態の車両用操作ペダル装置10B、第5実施形態の車両用操作ペダル装置10E、及び第6実施形態の車両用操作ペダル装置10Fにおいても、同様である。
【0058】
また、第1実施形態の車両用操作ペダル装置10Aでは、IC56と磁石58とが対向する間隙を、磁石ホルダ54から張り出し、その間隙と接する外方空間に介在するカバー部70で覆い隠しており、これによって、角度センサ50の検出空間に対する異物侵入の防止が図られている。この点は、第2実施形態の車両用操作ペダル装置10B、第3実施形態の車両用操作ペダル装置10C、及び第4実施形態の車両用操作ペダル装置10Dにおいても、同様である。
【0059】
また、第1実施形態の車両用操作ペダル装置10Aでは、磁石ホルダ54から張り出したカバー部70によって、IC56と磁石58とが対向する間隙の上方側に加え、車両の後方側からIC56と磁石58とが対向する間隙の後方側を覆い隠しており、これによって、角度センサ50の検出空間に対する異物侵入の防止を向上させている。この点は、第2実施形態の車両用操作ペダル装置10Bにおいても、同様である。
【0060】
ちなみに、各実施形態において、操作ペダル12の上端面は、「操作ペダルの一端側の側面」の一例である。左側回動穴21及び右側回動穴23は、「サポート部材に設けられた穴」の一例である。回動ボルト26及びカラー29は、「回動軸部材」の一例である。左側サポート部材20及び右側サポート部材22は、「一対のサポート部材」の一例である。ICホルダ52は、「素子ホルダ」の一例である。IC56は、「ホール素子」の一例である。
【0061】
(8)その他
尚、本発明は上記各実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0062】
例えば、第1実施形態のカバー部70は、図31に表されたように、カバー部170に代えられてもよい。そのような場合、カバー部170は、側面視で扇状の磁石ホルダ54の平面部55の上端辺及び後端辺から、ICホルダ52よりも上方向及び後方向へ向けて張り出している。これによって、カバー部170は、IC56と磁石58とが対向する間隙に対して、側面視で扇状の磁石ホルダ54の平面部55の上端辺及び後端辺に沿って接する外方空間に介在し、IC56と磁石58とが対向する間隙を覆い隠している。更に、カバー部170は、磁石ホルダ54へ向かうに連れて上方へ傾斜している。つまり、カバー部170では、IC56と磁石58とが対向する間隙に対して、その接する外方空間に対向する上面が、その先端から基端(磁石ホルダ54の平面部55の近傍部)に向かうに従って下方に傾斜している。
【0063】
また、第1実施形態のカバー部70は、図32に表されたように、カバー部270に代えられてもよい。そのような場合、カバー部270は、ICホルダ52の上面の上端辺及び後端辺から、磁石ホルダ54よりも上方向及び後方向へ向けて張り出している。これによって、カバー部270は、IC56と磁石58とが対向する間隙に対して、側面視で扇状の磁石ホルダ54の平面部55の上端辺及び後端辺に沿って接する外方空間に介在し、IC56と磁石58とが対向する間隙を覆い隠している。
【0064】
また、第1実施形態のカバー部70は、図33に表されたように、カバー部370に代えられてもよい。そのような場合、カバー部370は、ICホルダ52の上面の上端辺及び後端辺から、磁石ホルダ54よりも上方向及び後方向へ向けて張り出し、磁石ホルダ54よりも右方側にまで達している。これによって、カバー部370は、IC56と磁石58とが対向する間隙に対して、側面視で扇状の磁石ホルダ54の平面部55の上端辺及び後端辺に沿って接する外方空間に介在し、IC56と磁石58とが対向する間隙を覆い隠している。更に、カバー部370の先端部は、その先端(右方向)へ向かうに連れて下方へ傾斜している。
【0065】
また、第3実施形態のカバー部70Cは、図34に表されたように、カバー部470に代えられてもよい。そのような場合、カバー部470は、上記カバー部70Cと同様にして、磁石ホルダ54Cの曲面部57Cの右端面から、ICホルダ52Cよりも右方向へ向けて張り出している。これによって、カバー部470は、IC56Cと磁石58Cとが対向する間隙に対して、磁石ホルダ54Cの曲面部57Cの右端面に沿って接する外方空間に介在し、IC56Cと磁石58Cとが対向する間隙の右方側を覆い隠している。更に、カバー部470は、その先端から基端(磁石ホルダ54Cの曲面部57Cの近傍部)に向かうに連れて下方へ傾斜している。
【0066】
また、第1実施形態のカバー部70は、図35に表されたように、カバー部570に代えられてもよい。そのような場合、カバー部570は、側面視で扇状の磁石ホルダ54の平面部55の上端辺及び後端辺に加えて、側面視で扇状の磁石ホルダ54の平面部55の前端辺から、ICホルダ52の右面へ向けて張り出している。これによって、カバー部570は、IC56と磁石58とが対向する間隙に対して、側面視で扇状の磁石ホルダ54の平面部55の上端辺、後端辺、及び前端辺に沿って接する外方空間に介在し、IC56と磁石58とが対向する間隙を覆い隠している。
【0067】
図31乃至図35に表された各変更例では、各カバー部170,270,370,470,570によっても、第1実施形態のカバー部70と同様にして、角度センサ50の検出空間に対する異物侵入の防止が図られている。
【0068】
また、図35に表された変更例では、カバー部570によって、IC56と磁石58とが対向する間隙の上方側及び後方側に加えて、車両の前方側からIC56と磁石58が対向する間隙の前方側を覆い隠しており、これによって、角度センサ50の検出空間に対する異物侵入の防止を向上させている。
【0069】
また、図31に表された変更例において、カバー部170では、IC56と磁石58とが対向する間隙の外方空間に対向する上面が、その先端から基端(磁石ホルダ54の平面部55の近傍部)に向かうに従って下方に傾斜することによって、異物の滞留を防止している。この点は、図34に表された変更例のカバー部470においても、同様である。
【0070】
また、図36に表されたように、所謂リンク式のペダル機構を有する車両用操作ペダル装置100において、本発明が実施されてもよい。車両用操作ペダル装置100は、第1操作ペダル111、第2操作ペダル112、及び一対のサポート部材114等を備えており、車両に搭載される。
【0071】
一対のサポート部材114は、左右方向で所定間隔を置いた状態で対向しており、ダッシュパネルPに固定されている。尚、図36及び後述の図37では、一対のサポート部材114のうち、左側のサポート部材(以下、「左側サポート部材」という。)120が2点鎖線で表されており、右側のものは表されていない。
【0072】
第1操作ペダル111の上端側には、第1軸部125が配設されている。第1軸部125は、第1実施形態における操作ペダル12の回動支持構造と同様にして、回動ボルト126、一対のサポート部材114に設けられた回動穴、第1操作ペダル111に設けられた筒形状のボス、カラー、ブッシュ、ナット等で構成されている。これにより、第1操作ペダル111は、第1軸部125によって、一対のサポート部材114の間で回動可能に支持されている。第1操作ペダル111の下端側には、踏面116が設けられている。従って、踏面116は、一対のサポート部材114に対して回動可能である。
【0073】
第2操作ペダル112の下端側には、第2軸部138が配設されている。第2軸部138は、第1実施形態における操作ペダル12の回動支持構造と同様にして、回動ボルト139、一対のサポート部材114に設けられた回動穴、第2操作ペダル112に設けられた筒形状のボス、カラー、ブッシュ、及びナット等で構成されている。これにより、第2操作ペダル112は、第2軸部138によって、一対のサポート部材114の間で回動可能に支持されている。符号113で示す点は、第2操作ペダル112が回動するときの中心となる回動中心線を、その長さ方向(左右方向)側から示したものである。第2操作ペダル112の中間側は、第1操作ペダル111の上端側と下端側の間において、第1操作ペダル111とリンク部材140で連結されている。
【0074】
リンク部材140は、第1リンクピン142及び第2リンクピン144を有している。第1リンクピン142は、リンク部材140の後方部分に配設され、リンク部材140と第1操作ペダル111を連結している。そのため、リンク部材140は、第1リンクピン142によって、第1操作ペダル111に対して回動可能に支持されている。これに対して、第2リンクピン144は、リンク部材140の前方部分に配設され、リンク部材140と第2操作ペダル112を連結している。そのため、リンク部材140は、第2リンクピン144によって、第2操作ペダル112に対して回動可能に支持されている。
【0075】
従って、車両用操作ペダル装置100においては、第1操作ペダル111の下端側にある踏面116が前方へ踏み込まれると、第1操作ペダル111が第1軸部125を中心として回動する。そのような第1操作ペダル111の回動は、リンク部材140を介して、第2操作ペダル112に伝達される。これにより、第2操作ペダル112は、第2軸部138を中心として回動する。
【0076】
車両用操作ペダル装置100には、角度センサ150が設けられている。角度センサ150は、回動中心線113を中心にして回動する第2操作ペダル112の回転角を検出するものである。図37に表されたように、角度センサ150は、ICホルダ152及び磁石158等を備えている。ICホルダ152には、磁石158の磁界を検出するためのIC156が露呈した状態で固定されている。
【0077】
ICホルダ152は、略直方体である。ICホルダ152の左面には、突起状のスナップフィット部160等が設けられている。ICホルダ152の後面には、コネクタ164が設けられている。ICホルダ152の右面は、その下方側が直方体状のブロック153が突出して形成されており、その右方側面に、IC156が配設されている。
【0078】
ICホルダ152は、その左面が左側サポート部材120の内面(右面)に接した状態で、左側サポート部材120に取り付けられる。そのために、左側サポート部材120に設けられた取付穴に対して、その右方側から、スナップフィット部160が係入される。このようにして、ICホルダ152が左側サポート部材120の内面(右面)に取り付けられることによって、ICホルダ152のIC156が、一対のサポート部材114の間(つまり、内側)に配設される。
【0079】
第2操作ペダル112の下端側の左面には、磁石158が、第2軸部138(つまり、第2操作ペダル112のボス)よりも上方側において、露呈した状態で固定されている。磁石158は、回動中心線113からIC156までの距離と同程度の半径で円弧状に配設されている。更に、磁石158の円弧の中心は、回動中心線113に位置する。これにより、第2操作ペダル112の下端側の左面のうち第2軸部138よりも上方側の領域において、磁石158が、ICホルダ152のIC156と左右方向で対向する。つまり、IC156及び磁石158は、第2操作ペダル112の下端面よりも第2軸部138の回動ボルト139側で対向する。
【0080】
以上より、車両用操作ペダル装置100では、角度センサ150のIC156が、一対のサポート部材114の間(つまり、内側)に設けられ、角度センサ150の磁石158が、IC156と対向する状態で第2操作ペダル112の下端側に設けられている。このような構成によって、車両用操作ペダル装置100は、第2操作ペダル112の回転角を検出する角度センサ150の搭載スペースをコンパクトにすることが可能である。
【0081】
また、車両用操作ペダル装置100では、IC156及び磁石158が、第2操作ペダル112の下端面よりも第2軸部138の回動ボルト139側で対向している。これによって、車両用操作ペダル装置100は、角度センサ150の搭載スペースを一層にコンパクトにすることが可能である。
【0082】
ちなみに、このような変更例において、第2操作ペダル112は、「操作ペダル」の一例である。第2操作ペダル112の下端面は、「操作ペダルの一端側の側面」の一例である。サポート部材114に設けられた回動穴は、「サポート部材に設けられた穴」の一例である。第2軸部138の回動ボルト139は、「回動軸部材」の一例である。IC156は、「ホール素子」の一例である。
【0083】
また、以下では、第7実施形態について、図38乃至図42を参照して説明する。図38乃至図42において、符号に添付される英字の「G」は、第7実施形態を示す。各図における方向は、各図に記載された通りである。但し、図40の側面図では、紙面から奥側へ向かう方向が右方向であり、紙面から手前側へ向かう方向が左方向である。つまり、図40の紙面に対して直交する方向が、左右方向である。また、図41の正面図では、紙面から奥側へ向かう方向が前方向であり、紙面から手前側へ向かう方向が後方向である。つまり、図41の紙面に対して直交する方向が、前後方向である。これらの点は、図42の断面図においても、同様である。
【0084】
図38乃至図42に表されたように、第7実施形態の車両用操作ペダル装置10Gには、角度センサ50Gが設けられている。角度センサ50Gは、ICホルダ52G及び磁石ホルダ54等を備えている。
【0085】
ICホルダ52Gは、略直方体であって、その後面にコネクタ64が設けられている。スナップフィット部60Gは、ICホルダ52Gの右面において、コネクタ64寄りに設けられている。ねじ穴62Gは、ICホルダ52Gの前面及び上面が交わる隅部ではみ出すように出っ張った箇所において、左右方向に沿って貫き設けられている。そのため、左側サポート部材20では、ねじ穴62Gから突き出した取付ボルト66がねじ込まれる第2取付穴32Gが、スナップフィット部60Gが係入される第1取付穴31よりも、前方と上方との中間にあたる側に設けられている。
【0086】
従って、ICホルダ52Gのねじ穴62Gと、左側サポート部材20の第2取付穴32Gとには、雌ねじが形成されている。但し、ICホルダ52Gのねじ穴62Gは、雌ねじが形成されていなくてもよい。
【0087】
ICホルダ52Gの右面には、スナップフィット部60Gとねじ穴62Gとの間において、直方体状の凸部72が設けられている。凸部72は、ICホルダ52Gの右面から右方へ突き出ている。凸部72の内部には、IC56Gが固定されている。IC56Gの一部は、凸部72の右方側面に設けられた窓部74において露呈している。
【0088】
ICホルダ52Gは、その右面(但し、凸部72を除く。)が左側サポート部材20の外面(左面)に接した状態で、左側サポート部材20に取り付けられる。そのために、左側サポート部材20には、第1取付穴31及び第2取付穴32Gの間において、貫入穴37が設けられている。貫入穴37には、その左方側から、ICホルダ52Gの凸部72が差し入れられる。これにより、貫入穴37では、その右方側から、ICホルダ52Gの凸部72が右方へ突き出す。第1取付穴31には、その左方側から、ICホルダ52Gのスナップフィット部60Gが係入される。また、ICホルダ52Gのねじ穴62Gには、その左方側から、取付ボルト66がねじ込まれる。これにより、ICホルダ52Gのねじ穴62Gでは、その右方側から、取付ボルト66が右方へ突き出す。その取付ボルト66の突き出し部分は、左側サポート部材20の第2取付穴32Gに、その左方側から、ねじ込まれる。
【0089】
尚、磁石ホルダ54は、カバー部70Gを除いて、第1実施形態と同様である。カバー部70Gは、第1実施形態とは異なり、IC56Gと磁石58とが対向する間隙を覆い隠していない。
【0090】
このようにして、ICホルダ52Gが左側サポート部材20の外面(左面)に取り付けられると、左側サポート部材20の貫入穴37よりも右方側において、ICホルダ52GのIC56Gの一部(つまり、右側半分)が、左側サポート部材20及び右側サポート部材22の間(つまり、内側)に配設される。これに対して、左側サポート部材20の貫入穴37内には、ICホルダ52GのIC56Gの残部(つまり、左側半分)が配設される。これにより、操作ペダル12の左面のうちボス18よりも上方側の領域において、ICホルダ52GのIC56Gが、磁石ホルダ54の磁石58と左右方向で対向する。
【0091】
尚、ICホルダ52Gの凸部72が左側サポート部材20の貫入穴37に差し入れられた状態において、ICホルダ52GのIC56Gの全部が、左側サポート部材20及び右側サポート部材22の間(つまり、内側)に配設されるようにしてもよい。
【0092】
以上より、第7実施形態の車両用操作ペダル装置10Gでは、角度センサ50GのIC56Gが、左側サポート部材20及び右側サポート部材22の間(つまり、内側)に設けられ、角度センサ50Gの磁石58が、IC56Gと対向する状態で操作ペダル12の上端側に設けられている。このような構成によって、第7実施形態の車両用操作ペダル装置10Gは、操作ペダル12の回転角を検出する角度センサ50Gの搭載スペースをコンパクトにすることが可能である。
【0093】
また、第7実施形態の車両用操作ペダル装置10Gでは、IC56G及び磁石58が、操作ペダル12の上端面よりもボス18側(つまり、回動ボルト26及びカラー29側)で対向している。これによって、第7実施形態の車両用操作ペダル装置10Gは、角度センサ50Gの搭載スペースを一層にコンパクトにすることが可能である。
【0094】
尚、第7実施形態の車両用操作ペダル装置10Gの磁石58は、第1実施形態と同様にして、操作ペダル12の上端面よりもボス18側(つまり、回動ボルト26及びカラー29側)において、操作ペダル12の回動中心線13から等距離の円弧状に設けられている。よって、第7実施形態の車両用操作ペダル装置10Gにおいても、IC56Gによる検出精度を向上させている。
【0095】
ちなみに、第7実施形態において、操作ペダル12の上端面は、「操作ペダルの一端側の側面」の一例である。左側回動穴21及び右側回動穴23は、「サポート部材に設けられた穴」の一例である。回動ボルト26及びカラー29は、「回動軸部材」の一例である。左側サポート部材20及び右側サポート部材22は、「一対のサポート部材」の一例である。ICホルダ52Gは、「素子ホルダ」の一例である。IC56Gは、「ホール素子」の一例である。
【符号の説明】
【0096】
10 車両用操作ペダル装置
12 操作ペダル
13 回動中心線
18 ボス
20 左側サポート部材
21 左側回動穴
22 右側サポート部材
23 右側回動穴
26 回動ボルト
29 カラー
37 貫入穴
50 角度センサ
52 ICホルダ
54 磁石ホルダ
56 IC
58 磁石
70 カバー部
72 凸部
100 車両用操作ペダル装置
112 第2操作ペダル
113 回動中心線
114 一対のサポート部材
139 回動ボルト
150 角度センサ
152 ICホルダ
156 IC
158 磁石
P ダッシュパネル
図1
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