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特許7447139顕微鏡において試料を保持するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】顕微鏡において試料を保持するための装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/34 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
G02B21/34
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021559661
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2020060034
(87)【国際公開番号】W WO2020208081
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】102019109207.8
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ペルツァー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シューマン
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0175757(US,A1)
【文献】特表昭60-500426(JP,A)
【文献】米国特許第04682891(US,A)
【文献】特開平09-281106(JP,A)
【文献】特開2008-267842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0287307(US,A1)
【文献】特開2008-267950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
G01N 21/03 - 21/15
G01N 33/48 - 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡において試料を保持するための装置であって、
前記装置は、マイクロタイタープレート(100a~100g)を備えており、前記マイクロタイタープレート(100a~100g)は、
試料用のキャビティ(106)と、前記キャビティ(106)を下方から閉鎖する、光学的に透明な底板(122)と、を備えた内側部分(104a~104g)と、
記内側部分(104a~104g)を少なくとも第1の位置に保持するように形成されたフレーム(102a~102g)と、
を有しており、
前記フレーム(102a~102g)は、その下側に開口(110)を有しており、
前記フレーム(102a~102g)は、前記開口(110)を包囲する壁(108a~108g)および前記壁(108a~108g)の下面に配置された環状の台(112)を有しており、
前記台(112)の上面は、前記マイクロタイタープレート(100a~100g)の支持面を規定し、
前記底板(122)は、前記内側部分(104a~104g)の前記第1の位置において、前記支持面の上側に配置されており、
前記フレーム(102a~102g)は、前記内側部分(104a~104g)を第2の位置に保持するように形成された深さストッパ(120)を有しており、前記内側部分(104a~104g)は、前記第2の位置において前記開口(110)を通って突出しており、これにより、前記底板(122)は、前記支持面の下側に配置されており、
前記内側部分(104a~104g)は、前記フレーム(102a~102g)に対して相対的に、前記支持面に対して垂直な方向(A)に沿って可動である、
装置。
【請求項2】
前記マイクロタイタープレート(100a,100c~100g)は、前記内側部分(104a,104c~104g)と前記フレーム(102a,102c~102g)とを解離可能に互いに結合するように形成されたロック装置(124a~124c)を有している、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ロック装置(124a~124c)は、係止部材(126a,126b)を有しており、前記係止部材(126a,126b)は、ヒンジ(128)を介して前記フレーム(102c~102e)に結合されておりかつ前記内側部分(104c~104e)の受容部(130)に突入して係止し、これにより前記内側部分(104c~104e)と前記フレーム(102c~102e)とを解離可能に互いに結合するように形成されている、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、ピン(132a,132b)を備えたロック解除装置を有しており、前記ピン(132a,132b)は、前記内側部分(104d,104e)の前記受容部(130)を貫通してガイドされるように形成されており、これにより、前記ロック装置(124b,124c)の前記係止部材(126b)を前記受容部(130)から押し出して、前記内側部分(104d,104e)と前記フレーム(102d,102e)との間の結合を解離させることができる、
請求項3記載の装置。
【請求項5】
記内側部分(104a~104g)は、前記底板(122)が前記フレーム(102a~102g)の前記開口(110)を通過することができるように可動である、
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記内側部分(104f,104g)を第2の位置に保持するように形成された顕微鏡ステージインサート(138a,138b)を有しており、前記内側部分(104f,104g)は、前記第2の位置において前記フレーム(102f,102g)の前記開口(110)を通って突出しており、これにより、前記内側部分(104f,104g)の前記底板(122)は前記支持面の下側に配置されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、前記内側部分(104g)を第3の位置に保持するように形成された顕微鏡ステージインサート(138b)を有しており、前記内側部分(104g)は、前記第3の位置において顕微鏡ステージの開口を通って突出しており、これにより、前記内側部分(104g)の前記底板(122)は前記顕微鏡ステージの下側に配置されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記フレーム(102a~102g)は、前記内側部分を前記支持面に対して垂直にガイドするように形成された少なくとも1つのガイド部材(114)を有している、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記キャビティ(106)と前記フレーム(102a~102g)とは、プラスチック射出成形部材として形成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡において試料を保持するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡検査法の分野では、1つの顕微鏡を用いて短時間のうちに複数の試料を検査することが望ましい。このためには従来技術から、いわゆるマイクロタイタープレートが知られている。マイクロタイタープレートは、ウェルまたは窪みとも呼ばれ、フレーム内に格子状に配置された複数のキャビティから成る。反転型の顕微鏡または透光顕微鏡による試料の検査用に、キャビティは、下方から光学的に透明な底部により閉鎖されている。マイクロタイタープレートの寸法は、Society for Laboratory Automation and Screeningにより規格化されている。この規格はhttp://www.slas.org/resources/information/industry-standards/で閲覧可能である。
【0003】
特に、大きなオプティカルフロー、すなわち大きな開口角もしくは大きな開口数と適度な作業間隔とを有する、対物レンズを備えた顕微鏡において、マイクロタイタープレートのフレームは、機械的な障害物を成している。特に、対物レンズの試料に面した部分が、マイクロタイタープレートのフレームに衝突する場合がある。このことは、外側の、すなわち縁部付近に配置されたキャビティが試料検査に使用され得る、ということを妨げる。他方では、フレームはマイクロタイタープレート用の支持面を形成するため、簡単にはフレームを省くことができない。マイクロタイタープレートを光学的に透明な底部に載置すると、底部が引っかかり、キャビティ内に配置された試料の観察を困難にすることがある。さらに、マイクロタイタープレートの保持に用いられる装置も提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、顕微鏡による、マイクロタイタープレートのキャビティ内に配置された試料の検査を可能にし、その際に、装置と顕微鏡の対物レンズとの間に衝突が生じることがない、顕微鏡において試料を保持するための装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1記載の特徴を備えた装置により解決される。有利な改良は、従属請求項に記載されている。
【0006】
請求項1記載の装置は、フレームとフレーム内に挿入可能な内側部分とを備えたマイクロタイタープレートを有している。内側部分は、下方から光学的に透明な底板により閉鎖された複数のキャビティを有している。下方とは、本願では重力方向を意味する。これは特に、内側部分が第1の位置に配置されているときには、底板は各キャビティの、支持面の方を向いた端部に配置されていることを意味する。内側部分が第1の位置に保持されている、すなわち内側部分がフレーム内に挿入されている状態では、底板は、フレームの支持面の上側に配置されている。これにより、底板の引っかかりが防止される。顕微鏡による検査を実施するために、内側部分はフレームから取り出されてよい。取り出された内側部分は、顕微鏡に導入され得、これにより、顕微鏡による、キャビティ内に配置された試料の検査が可能になり、その際に、装置と顕微鏡の対物レンズとの間に衝突が生じることはない。
【0007】
1つの好適な実施形態では、マイクロタイタープレートは、内側部分とフレームとを解離可能に互いに結合するように形成されたロック装置を有している。内側部分とフレームとが互いに結合されていると、マイクロタイタープレートは、マイクロタイタープレートの使用を想定したあらゆる実験装置において使用され得る。このことは、装置のフレキシビリティを高める。好適には、マイクロタイタープレートは、上述した形式の少なくとも3つのロック装置を有している。これにより内側部分は、3つの支持点において第1の位置に保持される。これら3つの支持点により、対物レンズの焦点面に対して好適には平行な平面が規定される。これにより、光学的に透明な底板が、対物レンズの焦点面に対して平行である、ということが達成される。このことは、焦点面に対する底板の傾きにより誘発される画像エラーを防ぐ。
【0008】
1つの別の好適な実施形態では、ロック装置は係止部材を有しており、係止部材は、ヒンジ、特に固体ヒンジを介してフレームに結合されておりかつ内側部分の受容部に突入して係止し、これにより内側部分とフレームとを解離可能に互いに結合するように形成されている。これにより、機械的に特に簡単なロック装置が形成されている。特に、係止部材は固体ヒンジに設けられた球面状の突起により形成されていてよい。これにより、滑り式のロックおよび/またはロック解除が可能になる。
【0009】
1つの別の好適な実施形態では、装置は、ピンを備えたロック解除装置を有しており、ピンは、内側部分の受容部を貫通してガイドされるように形成されており、これにより、ロック装置の係止部材を受容部から押し出して、内側部分とフレームとの間の結合を解離させることができる。これにより、内側部分とフレームとの間の結合を誤って解離させることが防がれる。さらに、ピンにより、フレームからの内側部分の解離が簡単に自動化され得る。特にこのロック解除装置は、ピンを作動させるためにモータを備えた駆動装置を有している。
【0010】
1つの有利な実施形態では、装置は、上方から内側部分に圧力が加えられると、内側部分とフレームとの間の結合が解離するように形成されたロック解除装置を有している。このことは、オペレータによるロック解除装置の簡単な操作を可能にし、これにより、装置はより有効に利用され得る。ロック解除装置には、特にレバー機構が含まれてよい。
【0011】
1つの有利な実施形態では、装置は、マイクロタイタープレートをガイドするガイド部材を備えた顕微鏡ステージインサートを有しており、この場合、ガイド部材は、マイクロタイタープレートをガイドする際に、ロック装置の係止部材を受容部から押し出すように形成されており、これにより、内側部分とフレームとの間の結合が解離されることになる。つまり内側部分は、マイクロタイタープレートが顕微鏡に挿入されるとフレームから外され、支持面に対して垂直な方向に沿って可動である。このことは、装置の特に有効な利用を可能にする。
【0012】
1つの別の有利な実施形態では、フレームはその下側に開口を有しており、内側部分は、底板がフレームの開口を通過することができるように可動である。これにより内側部分は、底板が、フレームにより規定された支持面の下側に配置されているように位置決めされ得る。この場合、好適には、内側部分が顕微鏡の顕微鏡ステージに設けられた開口を通って突出している一方で、支持面は顕微鏡ステージに支持されている。このようにして、対物レンズとマイクロタイタープレートのフレームとが衝突する恐れ無しに、試料を検査する対物レンズを底板の近くに位置決めすることができる。特にこの実施形態では、内側部分を顕微鏡内に配置するために別の部材は一切不要である。
【0013】
フレームが、内側部分を第2の位置に保持するように形成された深さストッパを有していると有利であり、この場合、内側部分は第2の位置においてフレームの開口を通って突出しており、これにより、内側部分の底板は支持面の下側に配置されている。深さストッパは、内側部分の、フレームに対して相対的な動きを阻止する。これにより、特に対物レンズの焦点面に対して相対的な底板の動きも阻止される。好適には、フレームは少なくとも3つの深さストッパを有しており、深さストッパにそれぞれ対応して配置された-内側部分が各深さストッパに支持されている点を意味する-支持点は、対物レンズの焦点面に対して平行な面を規定する。このことは、焦点面に対する底板の傾きにより誘発される画像エラーを防ぐ。
【0014】
装置が、内側部分を第2の位置に保持するように形成された顕微鏡ステージインサートを有していると特に有利であり、この場合、内側部分は第2の位置においてフレームの開口を通って突出しており、これにより、内側部分の底板は支持面の下側に配置されている。このために顕微鏡ステージインサートは、例えば深さストッパを有しており、深さストッパは、底板が対物レンズの焦点面に対して平行になるように、内側部分を位置決めする。好適には、顕微鏡ステージインサートは3つの深さストッパを有しており、深さストッパにそれぞれ対応して配置された支持点は、対物レンズの焦点面に対して平行な面を規定する。
【0015】
1つの好適な実施形態では、装置は、内側部分を第3の位置に保持するように形成された顕微鏡ステージインサートを有しており、この場合、内側部分は第3の位置において顕微鏡ステージの開口を通って突出しており、これにより、内側部分の底板は顕微鏡ステージの下側に配置されている。特に、内側部分は深さストッパにより保持される。このようにして、対物レンズとマイクロタイタープレートのフレームとが衝突すること無しに、試料を検査するマイクロタイタープレートを対物レンズに対して相対的に動かすことができる。
【0016】
1つの別の好適な実施形態では、フレームは、内側部分を支持面に対して垂直にガイドするように形成された少なくとも1つのガイド部材を有している。これにより、内側部分が支持面と対物レンズの焦点面とに対して平行に移動しても底板は留まる、ということが保証される。
【0017】
1つの別の好適な実施形態では、装置は2つのマニピュレータを有しており、この場合、フレームは複数の把持開口を有しており、2つのマニピュレータは、把持開口を通って把持しかつ内側部分を保持するように形成されている。マニピュレータを用いて、内側部分を特に精密に位置決めすることができ、これにより、焦点面に対する底板の傾きにより誘発される画像エラーを防ぐことができる。
【0018】
好適には、キャビティとフレームとは、プラスチック射出成形部材として形成されている。これにより、装置のマイクロタイタープレートは特に廉価に製造され得る。
【0019】
別の特徴および利点は、複数の実施形態を添付の図面と共により詳しく説明する以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】1つの実施形態による、顕微鏡において試料を保持するための装置のマイクロタイタープレートを示す平面図である。
図1b図1aに示した実施形態による、顕微鏡において試料を保持するための装置のマイクロタイタープレートのフレームを示す斜視図である。
図1c図1aに示した実施形態による、顕微鏡において試料を保持するための装置のマイクロタイタープレートの内側部分を示す斜視図である。
図2】1つの実施形態によるマイクロタイタープレートを組立状態で示す断面図である。
図3a】1つの実施形態によるマイクロタイタープレートのロック装置において、内側部分が第1の位置に保持されるところを示す断面図である。
図3b図3aに示した実施形態によるマイクロタイタープレートのロック装置において、内側部分が第2の位置に保持されるところを示す断面図である。
図4】1つの択一的な実施形態によるマイクロタイタープレートのロック装置を示す断面図である。
図5】1つの別の択一的な実施形態によるマイクロタイタープレートのロック装置を示す断面図である。
図6】顕微鏡ステージインサートを備えた1つの実施形態による、顕微鏡において試料を保持するための装置を示す断面図である。
図7】顕微鏡ステージインサートを備えた1つの択一的な実施形態による、顕微鏡において試料を保持するための装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
同じまたは同じ作用を有する部材は、以下の図において同じ符号で表す。
【0022】
図1aには、1つの実施形態による、顕微鏡において試料を保持するための装置のマイクロタイタープレート100aの平面図が示されている。
【0023】
マイクロタイタープレート100aは、フレーム102aと内側部分104aとを有しており、これらは図1bもしくは図1cに個別に図示されている。内側部分104aは、試料保持用の多数のキャビティ106を有している。キャビティ106は格子状に配置されており、それぞれ上から下にA~Hの文字と、左から右に1~12の数字と、で表されている。これにより、各キャビティ106を文字と数との組み合わせによって明確に表すことができる。図1aに示すマイクロタイタープレート100aは、例えば96個の、格子状に配置されたキャビティ106を有している。択一的に、キャビティ106の別の配置、特に、Society for Laboratory Automation and Screeningにより発布された規格に記載されているような配置も考えられる。
【0024】
図1bには、図1aに示した実施形態による、顕微鏡において試料を保持するための装置のマイクロタイタープレート100aのフレーム102aの斜視図が示されている。
【0025】
フレーム102aは、鉛直方向にフレーム102aを貫通している開口110を包囲する壁108aを有している。開口110は、マイクロタイタープレート100aの内側部分104aを受容するように形成されている。壁108aの下面には環状の台112が配置されており、台112は、フレーム102aの支持面ひいてはマイクロタイタープレート100aの支持面を規定する。フレーム102aの上面には4つの突起114が配置されており、突起114は、図1cに示す内側部分104aの孔116に係合し、これにより、フレーム102aに対して相対的な、内側部分104aの鉛直方向の脱落を防ぐように形成されている。突起114は、各実施形態および図3a~図5に基づき引き続き以下で説明し、そこで符号124a~124cで表すロック装置の部分である。
【0026】
図1cには、図1aに示した実施形態による、顕微鏡において試料を保持するための装置のマイクロタイタープレート100aの内側部分104aの斜視図が示されている。
【0027】
内側部分104aは構造部材118aを有しており、構造部材118aは、格子状に配置されたキャビティ106を有している。構造部材118aの上面には、フレーム102aの突起114用の孔116が形成されている。
【0028】
図2には、1つの実施形態によるマイクロタイタープレート100bの組立状態が断面図で示されている。断面は、フレーム102bの壁108bおよび内側部分104bの壁118bの長手方向に対して垂直に延びている。
【0029】
図2には、内側部分104bの複数のキャビティ106のうちの1つだけが例示されている。キャビティ106は、図示の実施形態では内側部分104bの構造部材118bの円筒形の窪みにより形成され、この窪みは、支持面に対して垂直な方向Aに延在しておりかつ下端部を光学的に透明な底板122により閉鎖されている。択一的に、キャビティ106は構造部材118bの矩形の窪みにより、特に丸み付けられた縁部を備えて形成されてもよい。
【0030】
フレーム102bは、突起114の開始点に支持面120を形成しており、支持面120上に内側部分104bが支持され得る。これにより内側部分104bは、台112により形成された支持面の上に底板122が配置された第1の位置に保持され得る。内側部分104bは、突起114に沿って支持面に対して垂直な方向Aに動かすことができるようになっており、これにより、内側部分104bをフレーム102bから分離することができる。つまり突起114は、内側部分104bをガイドするガイド部材を形成している。
【0031】
図3aには、1つの実施形態によるマイクロタイタープレート100cのロック装置124aの断面図が示されている。図3aでは、内側部分104cは第1の位置に保持される。
【0032】
ロック装置124aは、球面状に形成された係止部材126aを有しており、係止部材126aは、固体ヒンジ128を介してフレーム102cに結合されている。係止部材126aは、内側部分104cの構造部材118cの受容部130に突入して係止し、これにより内側部分104cとフレーム102cとを解離可能に互いに結合するように形成されている。係止部材126aの球面形状により、内側部分104cの構造部材118cの受容部130に対する係止部材126aの滑り式の突入係止および係止解除が可能になる。図3aでは、係止部材126aは受容部130に突入して係止しており、これにより、内側部分104cを第1の位置に確実に保持している。
【0033】
図3bには、図3aに示した実施形態によるマイクロタイタープレート100cのロック装置124aの断面図が示されている。図3bでは、内側部分104cは、底板122が支持面の下側に配置された第2の位置に保持されるため、フレーム102cは、顕微鏡の対物レンズに対する機械的な障害物にはならない。
【0034】
図3bでは、係止部材126aは受容部130に突入して係止してはいない。さらに、内側部分104cは図3aの図面に比べ、支持面に対して垂直な方向Aに沿って下方に移動させられている。内側部分104cは、図3bではフレーム102cの壁108cにより形成された支持面120上に支持されており、これにより第2の位置に保持される。
【0035】
図4には、1つの択一的な実施形態によるマイクロタイタープレート100dのロック装置124bの断面図が示されている。図4に示すロック装置124bは、図3aおよび図3bに示したロック装置124aと、係止部材126bが球面状には形成されていない、という点において異なっている。これにより、内側部分104dとフレーム102dとの間の結合を解除するために内側部分104dの構造部材118dの受容部130から係止部材126bが滑り式に係止解除することはできなくなっている。内側部分104dとフレーム102dとの間の結合を解除するためには、ピン132aが必要とされている。ピン132aは、ロック装置124bの係止部材126bを受容部130から押し出すために、内側部分104dの受容部130を貫通してガイドされるように形成されている。つまりピン132aにより、ロック解除装置が形成されている。
【0036】
図5には、1つの別の択一的な実施形態によるマイクロタイタープレート100eのロック装置124cの断面図が示されている。図5に示すロック装置124cは、図4に示したロック装置124bと、内側部分104eの受容部130の上側に、追加的にさらに、ピン132bを支持面に対して垂直な方向Aに沿ってガイドするガイドレール134が配置されている、という点において異なっている。これにより、内側部分104eの、フレーム102eに対して相対的な、鉛直方向の脱落が防がれる。つまりこの択一的な実施形態では、突起114が省かれてもよい。さらにピン132bは、ピン132bが支持面に対して垂直な方向Aに沿ってガイドされる間にピン132bがガイドレール134から外れることを防ぐガイド部材136を有している。ガイド部材136の形状はさらに、内側部分104eの構造部材118eの受容部130内への係止部材126bの突入係止を防ぐ。
【0037】
図6には、顕微鏡ステージインサート138aを備えた1つの実施形態によるマイクロタイタープレート100fの断面図が示されている。
【0038】
顕微鏡ステージインサート138aは、深さストッパ140aを有しており、深さストッパ140aには、内側部分104fの構造部材118fに形成された突起142が支持され得る。突起142が深さストッパ140aに支持されると、内側部分104fは第2の位置に保持される。図6に示す実施形態では、フレーム102cの壁108cにより形成された支持面120が省かれてもよい。特に図6に示す実施形態は、図3a、図3b、図4および図5に示したロック装置124a~124cの各部材により有利に改良され得る。
【0039】
図7には、マイクロタイタープレート100gと顕微鏡ステージインサート138bとを備えた1つの択一的な実施形態による、顕微鏡において試料を保持するための装置の断面図が示されている。
【0040】
顕微鏡ステージインサート138bは、深さストッパ140bを有しており、深さストッパ140bには、底板122の突起123が支持され得る。突起123が深さストッパ140bに支持されると、内側部分104gは第3の位置に保持される。内側部分104gは、第3の位置では顕微鏡ステージの開口に突入しており、これにより、内側部分104gの底板122は、顕微鏡ステージの下側に配置されている。これにより、顕微鏡ステージもフレーム102gも、顕微鏡の対物レンズに対する機械的な障害物にはならない。図7に示す実施形態でも、フレーム102gの壁108gにより形成された支持面120が省かれてもよい。
【0041】
図1a~図7に基づき示した、顕微鏡において試料を保持するための装置の様々な実施例は、顕微鏡による、キャビティ内に配置された試料の検査を可能にし、その際に、マイクロタイタープレートのフレームと顕微鏡の対物レンズとの間に衝突が生じることはない。
【0042】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0043】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0045】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0046】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0047】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0048】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0049】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0050】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0051】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0052】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【符号の説明】
【0054】
100a~100g マイクロタイタープレート
102a~102g フレーム
104a~104g 内側部分
106 キャビティ
108a~108g 壁
110 開口
112 台
114 突起
116 孔
118a~118g 構造部材
120 支持面
122 底板
123 突起
124a~124c ロック装置
126a,126b 係止部材
128 固体ヒンジ
130 受容部
132a,132b ピン
134 ガイドレール
136 ガイド部材
138a,138b 顕微鏡ステージインサート
140a,140b 深さストッパ
142 突起
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7