(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】スラスト軸受の軸受アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16C 41/00 20060101AFI20240304BHJP
F02C 7/06 20060101ALI20240304BHJP
F01D 25/16 20060101ALI20240304BHJP
F16C 17/06 20060101ALI20240304BHJP
F16C 17/24 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
F16C41/00
F02C7/06 Z
F01D25/16 K
F01D25/16 A
F16C17/06
F16C17/24
(21)【出願番号】P 2021575081
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2020055580
(87)【国際公開番号】W WO2021001065
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(73)【特許権者】
【識別番号】591001282
【氏名又は名称】大同メタル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】中村 成寿
(72)【発明者】
【氏名】クルシュ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クスィン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】松本 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルム,デニス
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-116312(JP,A)
【文献】特開2014-163428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 41/00
F16C 17/00-17/26
F02C 7/06
F01D 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受と、軸受温度検出装置(60)の部品と、を備えるターボエンジン用の軸受アセンブリ(21、22)であって、
前記軸受が、
熱可塑性軸受層(28)が接着された第1の面(26)と、前記第1の面(26)
の反対側の第2の面(32)と、を有する本体(24)であって、前記熱可塑性軸受層(28)が軸受面(30)を形成する、本体(24)と、
少なくとも前記軸受温度検出装置(60)の部品を収容するために、前記本体(24)の内部、かつ前記熱可塑性軸受層(28)の内部に画定されている、空間(38)と、
を有し、
前記空間(38)が、第1の孔を備え、前記第1の孔が前記熱可塑性軸受層(28)の軸受面(30)に位置する第1の開口部(36)と、前記本体(24)の第2の面(32)に位置する第2の開口部(40)と、を有する貫通孔(42)であり、
前記部品が、
周面および第1の端面を有する第1の端部(48)を有する温度伝導要素(46)と、
前記温度伝導要素(46)と接触する温度センサ(64)と、
前記温度伝導要素を前記本体(24)に弾性的に取り付ける固定具(53)と、
を有し、
前記温度伝導要素(46)が、その第1の端面が前記熱可塑性軸受層(28)の軸受面(30)と同一平面上にあるか、または前記軸受面(30)のわずか下に位置するように前記貫通孔(42)内に組み立てられた、
軸受アセンブリ(21、22)において、
前記貫通孔(42)の第1の開口部(36)が、面取り部(43)を備え、
前記温度伝導要素(46)の前記第1の端部(48)が、前記面取り部(43)に形状適合する形態で前記面取り部(43)に対応して形成されるヘッドを備えること、
を特徴とする軸受アセンブリ(21、22)。
【請求項2】
前記空間(38)が、前記温度センサ(64)を収容する第2の孔(62)を備え、
前記第2の孔(62)が、
前記本体(24)の第3の面(34)における第1の開口部(66)と、
前記貫通孔(42)と接合する第2の開口部(68)と、
前記貫通孔(42)の中心軸
線(44)に横方向に向けられた
、前記第1の開口部(66)と前記第2の開口部(68)の間の中心軸
線(70)と、
を有し、
前記温度センサ(64)が、前記第2の孔(62)を通って延び、その周囲面で前記温度伝導要素(46)に接触するか、または前記温度伝導要素(46)内に延在する、
請求項1に記載の軸受アセンブリ(21,22)。
【請求項3】
前記空間(38)が、回り止めピン(72)を収容する第3の孔(74)を備え、
前記第3の孔(74)が、
前記本体(24)の第3の面(34)における第
3の開口部と、
前記貫通孔(42)と接合する第4の開口部と、
前記貫通孔(42)の中心軸
線(44)に横方向に向けられた
、前記第3の開口部と前記第4の開口部の間の中心軸
線(76)と、
を有し、
前記回り止めピン(72)が、前記第3の孔(74)にねじ込まれ、その周囲面で前記温度伝導要素(46)に強固に接触するか、または前記温度伝導要素(46)内に延在する、
請求項1または2に記載の軸受アセンブリ(21、22)。
【請求項4】
前記固定具(53)が、
ねじ(54)と、
ねじガイド板(56)と、
前記本体(24)に前記温度伝導要素(46)を弾性的に取り付けるための少なくとも1つのばね(58)と、
を有し、
前記温度伝導要素(46)が、その第1の端部(48)の反対側に第2の端部(50)を備え、前記ねじ(54)が、前記第2の端部(50)にねじ込まれ、少なくとも1つのばね(58)を、ねじガイド板(56)を介して前記本体(24)に押し付ける、請求項1、2または3のいずれか1項に記載の軸受アセンブリ(21、22)。
【請求項5】
前記ねじ(54)、前記ねじガイド板(56)および前記ばね(58)が、前記本体(24)の前記第2の面(32)の下方に沈み込んでいる、請求項4記載の軸受アセンブリ(21、22)。
【請求項6】
前記温度伝導要素(46)が、銅、若しくは、同様なまたはより良い熱伝導を有する物質で構成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の軸受アセンブリ(21、22)。
【請求項7】
前記温度センサ(64)が熱電対である、請求項1から6のいずれか1項に記載の軸受アセンブリ(21、22)。
【請求項8】
前記温度伝導要素(46)が、前記本体(24)から少なくとも実質的に熱的に絶縁されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の軸受アセンブリ(21,22)。
【請求項9】
前記面取り部(43)が、前記熱可塑性軸受層(28)を貫通して延在しているだけで、本体(24)内には延在していない、請求項1から8のいずれか1項に記載の軸受アセンブリ(21、22)。
【請求項10】
前記面取り部(43)が、前記熱可塑性軸受層(28)を貫通して前記本体(24)内に延在し、前記温度伝導要素(46)が前記熱可塑性軸受層(28)の範囲においてのみ前記面取り部(43)と接触している、請求項1から8のいずれか1項に記載の軸受アセンブリ(21、22)。
【請求項11】
前記軸受が、ティルティングパッドまたは固定プロファイル軸受を含むグループのいずれかである、請求項1から10のいずれか1項に記載の軸受アセンブリ(21、22)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の軸受アセンブリを少なくとも1つ備えるターボエンジン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の面を有し、その上に軸受面を有する熱可塑性軸受層が接着される本体と、第1の面に対向して位置する第2の面と、本体内および軸受温度検出装置を構成する部品を収容する熱可塑性軸受層内の空間とを備え、空間が、対向して位置する2つの開口部を有する貫通孔を備え、第1の開口部が熱可塑性軸受層の軸受面に位置し、第2の開口部が本体の第2の面に位置し、部品が、貫通孔内に組み立てられた温度伝導要素を備え、その第1の端部が、i)熱可塑性軸受層の軸受面と同一面に、または好ましくは、ii)軸受面のわずか下に位置する、ターボエンジンの軸受アセンブリに関する。温度センサは、温度伝導要素に接触し、温度伝導要素を本体に弾性的に取り付ける固定具である。
【背景技術】
【0002】
上記のような熱可塑性軸受層と温度検出装置を備えた軸受は、例えば特許文献1から公知である。この刊行物によれば、熱電対は、軸受パッドが作られたバッキング材料内に位置する温度伝導要素に挿入される。製造を容易にするために、バッキング材料は、温度伝導要素と熱電対の両方が軸受面の反対側から挿入される1つの貫通孔を備える。温度伝導要素の最外側の位置では、温度伝導要素のカラーが貫通孔の肩に接触し、温度伝導要素の外側の端部が軸受面のわずかに下方にあるのを容易にする。この設計は、各動作状態において、温度伝導要素の外端部が、軸受面の平面よりも下にあり、外端部が軸受面よりも上に突出しないことを目指している。そうしないと、温度伝導要素とシャフトが接触し、温度伝導要素、シャフト、またはその両方が損傷する可能性がある。
【0003】
ただし、熱電対に欠陥がある場合は、熱電対にアクセスするために軸受を分解する必要がある。これはむしろ時間がかかり、不必要にエンジンのダウンタイムを延長する。その他の欠陥、特に温度伝導要素の固定に対する機械的欠陥は、軸受オイルの漏れにつながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2010/0239204A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の物体は、既知の構成よりもサービスに優しくかつ/またはより正確かつ/または信頼性が高い軸受温度検出装置を備える新しい軸受を提供することである。
【0006】
本発明によれば、前述した他の物体が設けられ、本発明に係るターボエンジン用軸受アセンブリであって、軸受と、軸受温度検出装置の部品とを備え、軸受は、熱可塑性軸受層が接着される第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有する本体と、を備え、熱可塑性軸受層は、軸受面を形成し、熱可塑性軸受層は、本体の内部および熱可塑性軸受層の部品を少なくとも収容するために熱可塑性軸受層の内部に空間が画定され、空間は、第1の孔を備え、第1の孔は、熱可塑性軸受層の軸受面に位置する第1の開口と、本体の第2の面に位置する第2の開口と、を有する貫通孔であり、部品は、周面および第1の端面を有する温度伝導要素と、温度伝導要素に接触する温度センサと、温度伝導要素を本体に弾性的に取り付ける固定具と、を備え、温度伝導要素は、その第1の端部面が熱可塑性軸受層の軸受面と同一平面にあるか、または該軸受面よりわずかに下に位置するように貫通孔内に組み立てられ、貫通孔の第1の開口部は、面取り部または段差を含み、温度伝導要素の第1の端部は、面取り部または段差に対応して形作られたヘッドを含み、該面取り部または段差は、該面取り部または段差と嵌合する形で形成される。
【0007】
面取りまたは段差のおかげで、特に面取りまたは段差が無端に円周方向に延びる場合に、改善されたシール性能を保証することができる。貫通孔の第1の開口が面取りを備える場合、温度伝導要素の第1の端部は、対応して成形される。相互に整合する特徴は、空間内の温度伝導要素の適切な位置決めを支援する。面取り部と温度伝導要素の第1の端部とが、形状嵌めの方法で円周方向に延びるとき、それらの傾斜した円錐面は、その間に無端または環状のシール接触を有して互いに自己センタリングされる。そして、最良の密封効果を達成することができた。軸受の動作中、温度伝導要素の位置決めは、通常は圧力に曝される液体潤滑剤、通常は潤滑油からさらに支持される。加圧された潤滑剤は、温度伝導要素をその円錐状または段付き座部にしっかりと押し付けており、この座部は、貫通孔の面取りまたは段付き開口部によって設けられている。密封性にも貢献する。本体空間への潤滑剤の侵入や、それ以上の軸受空間への進入は確実に避けられる。これにより、上記の潤滑剤の漏れがなく、信頼性の高い軸受動作が得られる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、空間は、温度センサを収容するための第2の孔を備え、第2の孔は、本体の第3の面に第1の開口を有し、貫通孔を接合する第2の開口と、貫通孔の中心軸に対して横方向に向けられたその開口の間の中心軸とを有し、温度センサは、第2の孔を貫通して延在し、その周囲面で温度伝導要素に接触するか、または温度伝導要素内に延在する。この場合、温度センサは、後者自体の分解なしに、本体へのアセンブリおよび/または本体からの分解が可能であるため、従来の公知の解決策よりも容易かつ迅速にアクセス可能である。従来技術では、また、温度センサを交換しなければならない場合には、本体を分解しなければならない。発明者は、軸受の接近性は、第2の面からよりも、第3の面から、すなわち、横方向に、より良好であることを認識した。したがって、この好ましい実施形態は、その温度センサを交換しなければならない場合に、発明の軸受の利用可能性を増大させるサービス時間を短縮する。この特徴は、温度伝導要素からのアセンブリのタイプとは独立して、すなわち、温度伝導要素が軸受面から、または本体の第2の面から組み立てられる場合には独立して、また、そのヘッドの形状から独立して使用され得ることに留意されたい。
【0009】
追加された特徴によれば、空間は、回転防止ピンを収容する第3の孔を備え、第3の孔は、本体の第3の面に第1の開口を有し、貫通孔を接合する第2の開口と、貫通孔の中心軸に対して横方向に向けられたその開口の間の中心軸とを有し、回転防止ピンは、特に、第3の孔にねじ込まれ、その周囲面で温度伝導要素にしっかりと接触するか、または温度伝導要素に延びる。回り止めピンを設けることにより、温度伝導要素を本体に取り付けるための固定具を本体に取り付ける際に、片手で温度伝導要素を固定することができる。一方、温度センサが、温度伝導要素の周面の孔を通してその中心の温度伝導要素に接触すれば、温度センサは再び剪断力から保護される。
【0010】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、固定具は、ねじと、ねじガイド板と、温度伝導要素を本体において弾性的に取り付けるための少なくとも1つのバネとを備え、温度伝導要素は、その第1の端部に対向する第2の端部を備え、ねじは、少なくとも1つのバネを本体に対して、特にねじガイド板を介して、押し付ける第2の端部にねじ込まれる。この構成は、温度伝導要素を弾性的に空間に引き込む。次いで、温度伝導要素は、その第1の端部が軸受面上に突出しないように確実に位置決めされる。これにより、温度伝導要素および/またはシャフトの損傷を回避できる。
【0011】
好ましい実施形態として、ねじ、ねじガイド板およびディスクばねが、本体の第2の面のレベルよりも下に沈み込まれている場合に、構造的な省スペースの実施形態が達成される。
【0012】
さらに好ましくは、温度伝導要素は、銅または類似またはより良好な熱伝導を有する材料からなる。次いで、温度伝導要素は、熱可塑性軸受層の材料および本体の材料の両方と比較して、熱伝導特性が改善された材料からなる。このような配置により、より小さな遅延で潤滑剤温度を正確に決定することができる。つまり、潤滑剤の温度変化は、温度センサに大きな遅延なしに温度伝導要素によって伝達される。
【0013】
さらに好ましくは、温度センサは熱電対である。熱電対は、一般的に、製造が容易で、より安価な信頼性のあるセンサである。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、温度伝導要素は、本体から少なくとも実質的に熱的に絶縁されている。つまり、温度伝導要素と本体の間に少なくとも部分的に絶縁体が配置されているため、後者の熱的影響が軽減される。潤滑油温度の成熟度が低下すると、軸受温度検出装置によるより正確な温度判定につながる。
【0015】
さらに好ましくは、より良好なシール性を可能にするために、面取りは、熱可塑性軸受層を通してのみ延在するが、本体内には至らない。あるいは、面取り部が熱可塑性軸受層を貫通して本体内に延在することも可能である。そして、温度伝導要素は、本体自体から絶縁されるための熱可塑性軸受層の範囲のみ面取りに接触している。この場合も、軸受温度検出装置によって決定される潤滑剤温度の悪化を回避する。
【0016】
もちろん、ターボエンジンは、上述した少なくとも1つの軸受を備えることができる。この場合、しかし他の場合にも、上述の軸受は、ティルティングパッドとしても知られるスラスト軸受の軸受パッドとして、または曲線軸受シェルとしても知られるジャーナル軸受の固定プロファイル(fixed profile)として具現化することができる。
【0017】
本発明は、一般に軸受として図示し説明されているが、発明の精神から逸脱することなく、また、特許請求の範囲および範囲内で種々の修正および構造的変更をその中で行うことができるので、それにもかかわらず、示された詳細に限定されることは意図されない。
【0018】
しかしながら、本発明の構造および動作方法は、添付の図面に関連して読むと、付加的な目的およびその利点とともに、特定の実施例の以下の説明から最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、ロータと2つの軸受アセンブリを備えたガスタービンを概略的に示す。
【
図2】
図2は、熱可塑性軸受層を備える軸受アセンブリの例示的な実施形態を通じた断面図である。
【
図3】
図3は、固定具の第1の例示的な実施形態を通じた断面拡大図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態に従った軸受アセンブリの第2の面のセクション上の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の図では、同一の特徴は、同一の参照符号によって参照される。
【0021】
図1は、ターボエンジン10の一例として、ガスタービンを示す。ガスタービンは、圧縮機12と、燃焼室14と、タービン部16とを備える。ロータ18は圧縮機12およびタービン部16を貫通して延在し、発電機20に接続されている。ガスタービン10のロータ18は、基台23上の2つの軸受アセンブリ21、22によって支持される。軸受アセンブリ21、22は、
図1に概略的にのみ表示されている。圧縮機の隣に配置された軸受アセンブリ21は、通常、ジャーナル軸受とスラスト軸受の組み合わせとしてまたは個別に具現化され、一方、タービン部
16の隣に配置された軸受アセンブリ22はジャーナル軸受としてのみ具現化される。
【0022】
圧縮機12およびタービン部16はそれぞれ、公知の方法で互いに交互に配置されるロータブレードおよびステータベーン(図示せず)の列を備える。使用時には、空気が圧縮機に入り、圧縮されて燃焼室に流入し、そこで燃料Fと混合して燃焼される。得られた燃焼ガスはタービンに入り、膨張してロータ18を駆動する。同時にロータ18は、ロータ18の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電機20を駆動する。電気エネルギーは、グリッド24に供給される。
【0023】
図2は、軸受アセンブリ21の例示的な実施形態を通る断面図で示す。この例では、軸受アセンブリ21は、スラスト軸受のティルティングパッドとして設計される。軸受アセンブリ21は、通常金属から作られ、第1の面26を有し、その上に軸受面30を有する熱可塑性軸受層28が取り付けられまたは接着されている本体24を備える。通常、熱可塑性軸受層は、PEEKとしても知られているポリエーテルエーテルケトンで作られている。軸受面は、ガスタービンまたはターボエンジンのロータまたはシャフト(
図2には示されていない)に対して軸支するように設計されている。
【0024】
第1の面26に対向して、本体24は第2の面32を備える。第3の面34は、2つの対向する第1の面26および第2の面32の間に配置され、両方を接続する。この例および断面図によれば、第1および第3の面26,34と第2および第3の面32,34とが互いに直交して配置されている。しかしながら、面間の他の角度も可能である。軸受は従来の軸受キャリアで支持されているが、分かりやすくするため軸受キャリアは省略している。
【0025】
軸受面30には空間38の皿状の第1の開口部36が配置されている。空間38は、第1の開口部から第1、本体を貫通する貫通孔42の形態の第2の開口部40に延びている。貫通孔42は円形の断面を有する。面取り部43は、第1の開口部36に沿ってエンドレスで円周方向に延在するとともに、熱可塑性軸受層28内に設けられている。これは、第1の開口部36の皿形状を、外部から内部に見られるような収束断面の直線プロファイルで生成する。この例では、皿形の第1の開口部の輪郭は、本体内には延びていないが、他の実施形態では、皿形の輪郭は、本体内に延びていてもよい。第1の開口部36および第2の開口部40は、その中に組み立てられた装置の空間要件に応じて異なる直径を有する。仮想上の中心軸44は、第1の開口部36の中心から第2の開口部40の中心まで引き出すことができる。
【0026】
空間38内には、銅からなる温度伝導要素46が、軸受面からある方向に組み立てられる。このプラグ形状の温度伝導要素46は、皿形状の第1の開口部36を構成する円周方向に面取り部43に対応して成形された第1の端部48を備える。したがって、温度伝導要素46の第1の端部48は、第1の端部面を有する皿形状のヘッドとして具現化される。温度伝導要素は、一般に、皿頭リベットのような形状である。
【0027】
温度伝導要素46の第1の端部48に対向して、第2の端部50は、ねじ孔52を備え、ねじ54がねじ込まれる。この例では、ねじは、ねじ孔52への挿入を容易にするために内側六角形の凹部を有する。内側六角のねじ54は、1つまたは複数の円板ばね58(
図3、4)に対して、温度伝導要素を弾性的に空間38内に引き込む目的で、軸受面30から離れ、第1の開口部36から離れるように、ねじガイド板56を押し付ける。この固定具53は、温度伝導要素46の皿状ヘッドの傾斜面を、皿穴状の第1の開口部36の対応する面に、密に、途切れることなくシール接触させる。
【0028】
貫通孔42の第2の開口部40は、ねじ、ねじガイド板56および円板ばね58が本体24の第2の面32のレベルよりも下に沈み込むような寸法とされている。温度伝導要素
46の軸方向の長さに応じて、その第1の端部面は、熱可塑性軸受層28の軸受面30と同一平面上にあるか、または軸受面30のわずか下に位置する。
図2に示すように、第1の端部48は、軸受面30と同一平面上にある。
【0029】
また、空間38は、温度センサ64を収容する第2の孔62と、本体24の第3の面34に第1の開口66を有する第2の孔62と、貫通孔42を接合する第2の開口68と、その開口66,68の間の中心軸70とを有し、その中心軸70は、貫通孔42の中心軸44に直交する
図3において、横方向に向けられる。この例では、温度センサ64は、第2の孔62を貫通して延在し、温度伝導要素46の半径方向中心付近または半径方向中心で終わる目隠し孔の底部で、その周面を通して温度伝導要素
46にしっかりと接触する。したがって、軸受温度検出装置60は、少なくとも温度伝導要素46および温度センサ64、例えば熱電対を含み、いずれも互いに密着している。
【0030】
空間38は、さらに、回り止めピン72を収容する第3の孔74と、本体24の第3の面34に第1の開口を有する第3の孔74と、貫通孔42を接合する第2の開口と、貫通孔42の中心軸44に対して垂直に
図3において中心軸76が横方向に向けられた開口との間に中心軸76とを備える。回り止めピン72は、第3の孔74にねじ込むことにより固定され、その周面で温度伝導要素と強固に接触する。その空間
38における温度伝導要素
46のいかなる回転も防止するために有益には、回転防止ピンに接触するための温度伝導要素
46の接触領域は、平坦であるか、または回り止めピン72がその中に延びる(表示されるような)ブラインドホールを備える。
【0031】
絶縁層78が、温度伝導要素46と本体24との間に配置される。
【0032】
軸受アセンブリ21、22がスラスト軸受のティルティングパッドとして、またはジャーナル軸受の固定プロファイルとして具現化されている場合には、温度センサ64は本体24の第3の面34で容易にアクセス可能である。上述の従来技術では、温度センサ64は、軸受アセンブリ22が軸受キャリアに組み立てられるとき、第2の面に配置されており、そこでは、アクセスできないか、またはアクセスが悪化している。通常、第2の面は、軸受キャリアによって完全に覆われており、その理由は、第2の面と比較して、本体の第3の面における軸受の横方向のアクセスがより良好であるからである。
【0033】
要約すると、本発明は、軸受と、軸受温度検出装置60の部品とを備えるターボエンジン用の軸受アセンブリ21、22に関し、該軸受は、軸受面30を形成する熱可塑性軸受層28を有する本体24と、該本体24の内部および少なくとも軸受温度検出装置60の部品を収容するために熱可塑性軸受層28の内部に画定される空間38と、を備え、該空間38は、熱可塑性軸受層28の軸受面30に位置する第1の開口部36と、本体24の第2の面32に位置する第2の開口部40とを有する貫通孔42と、を備え、該部品は、周縁面を有する温度伝導要素46と、第1の端面を有する第1の端部48と、温度伝導要素46に接触する温度センサ64と、温度伝導要素を取り付ける固定具53とを備える。改良された密封性を有する軸受アセンブリを提供するために、貫通孔42の第1の開口部36は、面取り部43または段差を含み、温度伝導要素46の第1の端部48は、面取り部43または段差と嵌め合う形で面取り部43または段差に対応して形作られたヘッドを含む。温度センサ64欠陥の場合のダウンタイムの低減のために、温度センサの中心軸は、温度伝導要素の中心軸に対して横方向に延びる。