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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/015 20060101AFI20240304BHJP
   A47C 20/08 20060101ALI20240304BHJP
   A61G 7/018 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A61G7/015
A47C20/08 Z
A61G7/018
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022003091
(22)【出願日】2022-01-12
(65)【公開番号】P2023102540
(43)【公開日】2023-07-25
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000010032
【氏名又は名称】フランスベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】飯島 裕平
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-087652(JP,A)
【文献】特開2003-290296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0131726(US,A1)
【文献】特許第2953581(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/00-16
A47C 20/00-18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に長尺なベッドフレームと、
前記長さ方向における頭側の第1側部、前記長さ方向における足側の第2側部、前記長さ方向と交差する幅方向における第3側部、および、前記幅方向における第4側部を有する中央背板と、
記中央背板を、水平状態と、前記第1側部が前記第2側部よりも上方に位置する背上げ状態との間で変形可能に支持する背上げ機構と、
備え、
前記背上げ機構は、
前記第2側部に設けられた第1軸部材と、
前記ベッドフレームに設けられ、前記第1軸部材が通されたガイド溝を有する第1ガイド部材と、
を備え、
前記ガイド溝は、前記足側の第1端部と、前記頭側の第2端部と、を有し、
前記水平状態から前記背上げ状態への前記中央背板の変形時に、前記第1軸部材が前記第1端部から前記第2端部に向けて移動することにより、前記第2側部が前記頭側に移動し、
前記ガイド溝は、下方に向けて湾曲した湾曲部を有し、
前記湾曲部の頂点は、前記長さ方向における前記ガイド溝の中心と、前記第1端部との間に位置している、
ベッド装置。
【請求項2】
前記第3側部に対して回動可能に連結された第1側背板と、
前記第4側部に対して回動可能に連結された第2側背板と、
前記第1側背板および前記第2側背板を前記中央背板に対して傾斜可能に支持するサイドアップ機構と、
をさらに備え、
前記サイドアップ機構は、前記水平状態において前記第1側背板および前記第2側背板を前記中央背板と水平になるように支持し、前記水平状態から前記背上げ状態への変形時に前記第2側部が前記頭側に移動している間に、前記中央背板に対して前記第1側背板および前記第2側背板を傾斜させる、
請求項1に記載のベッド装置。
【請求項3】
前記ガイド溝は、前記第2端部と前記湾曲部の間に位置し前記長さ方向に沿って延びる直線部を有している、
請求項1または2に記載のベッド装置。
【請求項4】
前記背上げ機構は、
前記幅方向と平行に延びる第2軸部材および前記第2軸部材に接続されたアームを含み、前記中央背板を前記アームの延出方向に沿って移動可能となるように支持する背上げフレームと、
前記ベッドフレームに設けられ、前記第2軸部材を前記長さ方向に沿って移動可能となるようにガイドする第2ガイド部材と、
前記水平状態から前記背上げ状態への変形時に、前記アームの先端が上昇するように前記第2軸部材を回転させるとともに、前記第2軸部材を前記頭側に移動させる駆動源と、
を備える、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のベッド装置。
【請求項5】
前記中央背板は、
前記第1側部、前記第3側部および前記第4側部を含み、前記幅方向において前記第1側背板と前記第2側背板の間に位置する第1部分と、
前記第2側部を含み、前記水平状態において前記第1側背板および前記第2側背板と前記長さ方向に並ぶ第2部分と、
を有する、
請求項に記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マットレスが置かれる床板が利用者の背部を受ける背床板を含む複数の部分に分割され、背床板の足側の端部に設けられた軸を中心に背床板を回動させることが可能なベッド装置が知られている。このような背上げ機能を有したベッド装置を用いれば、自力で起き上がることが困難な利用者の体位を容易に変換することが可能となる。
【0003】
背床板を水平な状態から上昇させる際に、背床板の回転軸と、マットレスの上に寝た利用者の上半身の回転軸とは互いにずれている。これに起因した力がマットレスを介して利用者に伝わると、利用者の腹部が背床板の上昇に伴い圧迫される。また、背床板の上昇に伴って利用者の上半身は不安定となり、左右にバランスを崩しやすくなる。
【0004】
このような問題に関連し、種々の提案がなされている(例えば特許文献1乃至4)。しかしながら、背上げ時の使用感を高める一層の工夫が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2927419号公報
【文献】特許第2953581号公報
【文献】特許第3910873号公報
【文献】特許第4371750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、背上げ機能を有したベッド装置の使用感を改善することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るベッド装置は、長さ方向に長尺なベッドフレームと、前記長さ方向における頭側の第1側部、前記長さ方向における足側の第2側部、前記長さ方向と交差する幅方向における第3側部、および、前記幅方向における第4側部を有する中央背板と、前記第3側部に対して回動可能に連結された第1側背板と、前記第4側部に対して回動可能に連結された第2側背板と、前記中央背板を、水平状態と、前記第1側部が前記第2側部よりも上方に位置する背上げ状態との間で変形可能に支持する背上げ機構と、前記第1側背板および前記第2側背板を前記中央背板に対して傾斜可能に支持するサイドアップ機構と、を備えている。前記背上げ機構は、前記水平状態から前記背上げ状態への変形時に前記第2側部を前記頭側に移動させる。前記サイドアップ機構は、前記水平状態において前記第1側背板および前記第2側背板を前記中央背板と水平になるように支持し、前記水平状態から前記背上げ状態への変形時に前記第2側部が前記頭側に移動している間に、前記中央背板に対して前記第1側背板および前記第2側背板を傾斜させる。
【0008】
例えば、前記背上げ機構は、前記第2側部に設けられた第1軸部材と、前記ベッドフレームに設けられ、前記第1軸部材が通されたガイド溝を有する第1ガイド部材と、を備えている。前記ガイド溝は、前記足側の第1端部と、前記頭側の第2端部と、を有している。前記水平状態から前記背上げ状態への前記中央背板の変形時に、前記第1軸部材は、前記第1端部から前記第2端部に向けて移動する。前記ガイド溝は、下方に向けて湾曲した湾曲部を有している。前記湾曲部の頂点は、前記長さ方向における前記ガイド溝の中心と、前記第1端部との間に位置している。
【0009】
前記ガイド溝は、前記第2端部と前記湾曲部の間に位置し前記長さ方向に沿って延びる直線部を有してもよい。
【0010】
前記背上げ機構は、前記幅方向と平行に延びる第2軸部材および前記第2軸部材に接続されたアームを含み、前記中央背板を前記アームの延出方向に沿って移動可能となるように支持する背上げフレームと、前記ベッドフレームに設けられ、前記第2軸部材を前記長さ方向に沿って移動可能となるようにガイドする第2ガイド部材と、前記水平状態から前記背上げ状態への変形時に、前記アームの先端が上昇するように前記第2軸部材を回転させるとともに、前記第2軸部材を前記頭側に移動させる駆動源と、を備えてもよい。
【0011】
前記中央背板は、前記第1側部、前記第3側部および前記第4側部を含み、前記幅方向において前記第1側背板と前記第2側背板の間に位置する第1部分と、前記第2側部を含み、前記水平状態において前記第1側背板および前記第2側背板と前記長さ方向に並ぶ第2部分と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、背上げ機能を有したベッド装置の使用感を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るベッド装置の概略的な平面図である。
図2図2は、床板を取り外した状態のベッド装置の概略的な平面図である。
図3図3は、床板の変形の一例を示す概略的な側面図である。
図4図4は、水平状態における上フレームおよび背上げ機構の概略的な平面図である。
図5図5は、背上げ状態における中央背板、第1側背板、第2側背板および背上げ機構の概略的な斜視図である。
図6図6は、第1ガイド部材の概略的な斜視図である。
図7図7は、第1ガイド部材の概略的な側面図である。
図8図8は、水平状態における背上げ機構およびサイドアップ機構の概略的な側面図である。
図9図9は、背上げ状態における背上げ機構およびサイドアップ機構の概略的な側面図である。
図10図10は、背上げ状態における背上げ機構およびサイドアップ機構の他の概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一実施形態につき図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るベッド装置Bの概略的な平面図である。ベッド装置Bは、ベッドフレーム1と、ベッドフレーム1の上に配置された床板2とを備えている。床板2は、ボトムやベッドプラットフォームと呼ばれることもある。床板2の上にはマットレスが置かれる。
【0015】
本実施形態においては、互いに直交する長さ方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zを定義する。長さ方向Xは、ベッドフレーム1が長尺に延びる方向あるいはベッド装置Bの上に仰臥する利用者の体軸に沿う方向に相当する。幅方向Yは、ベッド装置Bの上に仰臥する利用者の左右方向に相当する。鉛直方向Zは、重力方向に相当する。
【0016】
さらに、図1に示すように、長さ方向Xにおける頭側HSおよび足側FSと、幅方向Yにおける左側LSおよび右側RSとを定義する。頭側HSは、ベッド装置Bの上に仰臥する利用者の頭が向く側に相当する。足側FSは、当該利用者の足が向く側に相当する。
【0017】
床板2は、利用者の腰部を支持する腰板20と、利用者の膝より上方の脚部(大腿部)を支持する第1脚板21と、利用者の膝より下方の脚部を支持する第2脚板22とを含む。腰板20、第1脚板21および第2脚板22は、頭側HSから足側FSに向けて順に並んでいる。腰板20と第1脚板21は、幅方向Yと平行な軸を中心として回動可能に連結されている。第1脚板21と第2脚板22は、幅方向Yと平行な軸を中心として回動可能に連結されている。
【0018】
さらに、床板2は、腰板20の頭側HSに位置する中央背板3と、中央背板3の左側LSに位置する第1側背板4Lと、中央背板3の右側RSに位置する第2側背板4Rとを含む。中央背板3は、頭側HDの第1側部S1と、足側FSの第2側部S2と、左側LSの第3側部S3と、右側RSの第4側部S4とを有している。
【0019】
第1側背板4Lおよび第2側背板4Rは、中央背板3に対して回動可能である。図1の例においては、第1側背板4Lが第3側部S3に対して一対のヒンジ40Lにより連結されている。また、第2側背板4Rが第4側部S4に対して一対のヒンジ40Rにより連結されている。
【0020】
第2側部S2には、幅方向Yと平行に延びる一対の第1軸部材80L,80Rが設けられている。第1軸部材80L,80Rは、ベッドフレーム1に設けられた一対の第1ガイド部材81L,81Rに連結されている。中央背板3は、第1軸部材80L,80Rを中心に回動可能である。第1軸部材80L,80Rおよび第1ガイド部材81L,81Rは、後述する背上げ機構6の一部である。
【0021】
具体的には、中央背板3は、第2側部S2から頭側HSに窪んだ一対のスリット30L,30Rを有している。第1軸部材80Lは、スリット30Lを横切っている。第1軸部材80Rは、スリット30Rを横切っている。図1の例においては、第1ガイド部材81Lがスリット30Lに収容され、第1ガイド部材81Rがスリット30Rに収容されている。
【0022】
図1の例において、中央背板3は、幅方向Yにおいて第1側背板4Lと第2側背板4Rの間に位置する第1部分P1と、第1側背板4Lおよび第2側背板4Rと長さ方向Xに並ぶ第2部分P2とを有している。第1部分P1は、第1側部S1、第3側部S3および第4側部S4を含む。第2部分P2は、第2側部S2およびスリット30L,30Rを含む。
【0023】
幅方向Yにおける第1部分P1の幅は、幅方向Yにおける第2部分P2の幅よりも小さい。第2部分P2の幅は、第1部分P1、第1側背板4Lおよび第2側背板4Rを合わせた幅と実質的に同じである。
【0024】
図2は、床板2を取り外した状態のベッド装置Bの概略的な平面図である。ベッドフレーム1は、下フレーム10と、下フレーム10によって支持された上フレーム11とを含む。ベッド装置Bは、上フレーム11を下フレーム10に対して昇降させる昇降機構5を備えている。昇降機構5は、下フレーム10と上フレーム11を連結する複数のリンクや駆動源50を含む。
【0025】
ベッド装置Bは、上フレーム11に設けられた背上げ機構6および脚上げ機構7をさらに備えている。背上げ機構6は、駆動源60と、中央背板3を支持する背上げフレーム61とを含む。脚上げ機構7は、駆動源70と、第1脚板21を押し上げるためのローラ71とを含む。背上げ機構6および脚上げ機構7により、床板2は種々の形状に変形可能である。
【0026】
図3は、床板2の変形の一例を示す概略的な側面図である。図1に示した床板2は、図3において実線で示すように全体的に長さ方向Xと平行な状態にある。以下、このような床板2の形状を水平状態と呼ぶ。
【0027】
背上げ機構6は、破線で示すように、第1側部S1が第2側部S2よりも上方に位置するように中央背板3を変形可能である。以下、このように中央背板3が長さ方向Xに対して傾斜した状態を背上げ状態と呼ぶ。
【0028】
脚上げ機構7は、破線で示すように、第1脚板21および第2脚板22の連結部分が上昇するようにこれら脚板21,22を変形可能である。以下、このように第1脚板21および第2脚板22が変形した状態を脚上げ状態と呼ぶ。
【0029】
なお、腰板20は上フレーム11に対して固定されている。したがって、水平状態から背上げ状態や脚上げ状態への移行時に腰板20は変形しない。
【0030】
図4は、水平状態における上フレーム11および背上げ機構6の概略的な平面図である。図5は、背上げ状態における中央背板3、第1側背板4L、第2側背板4Rおよび背上げ機構6などの概略的な斜視図である。
【0031】
図4に示すように、上フレーム11は、矩形枠状の外フレーム12と、外フレーム12の内側に配置された矩形枠状の内フレーム13とを備えている。内フレーム13は、長さ方向Xと平行に延びるとともに幅方向Yに並ぶ一対のフレーム部材14L,14Rと、これらフレーム部材14L,14Rを連結する連結部材15,16とを有している。連結部材16は、連結部材15よりも頭側HSに位置している。上述の第1ガイド部材81L,81Rは、それぞれフレーム部材14L,14Rの上に取り付けられている。
【0032】
図4および図5に示すように、背上げフレーム61は、幅方向Yと平行に延びる第2軸部材62と、この第2軸部材62に一端が連結された一対のアーム63L,63Rとを備えている。アーム63L,63Rは、幅方向Yに並ぶとともに、水平状態においては長さ方向Xと平行に延びている。
【0033】
背上げ機構6は、一対の第2ガイド部材64L,64Rをさらに備えている。これら第2ガイド部材64L,64Rは、フレーム部材14L,14Rにそれぞれ取り付けられている。第2ガイド部材64L,64Rは、例えば幅方向Yにおける一側が開口した中空のレールである。
【0034】
第2軸部材62の左側LSの端部にはローラ620Lが設けられ、第2軸部材62の右側RSの端部にはローラ620Rが設けられている。ローラ620Lは第2ガイド部材64Lに収容され、ローラ620Rは第2ガイド部材64Rに収容されている。
【0035】
背上げ機構6は、一対のリンク65L,65Rをさらに備えている。リンク65L,65Rは、回動可能に連結された2本のリンクアーム650,651により構成されている。各リンクアーム650は、連結部材16に連結されている。各リンクアーム651は、幅方向Yと平行に延びる第3軸部材652によってそれぞれアーム63L,63Rに回動可能に連結されている。
【0036】
アーム63L,63Rの中腹部は、幅方向Yと平行に延びる連結部材66によって連結されている。さらに、アーム63L,63Rの先端部は、サポート部材67によって連結されている。
【0037】
サポート部材67の端部670L,670Rは、幅方向Yにおいてアーム63L,63Rよりも突出している。図5に示すように、端部670L,670Rは、第1側背板4Lおよび第2側背板4Rに向けて屈曲している。第1側背板4Lおよび第2側背板4Rが中央背板3と水平な状態においては、端部670L,670Rが第1側背板4Lおよび第2側背板4Rの裏面にそれぞれ接触する。
【0038】
図4に示すように、アーム63Lには、一対のローラ680Lがアーム63Lの延出方向に間隔を空けて設けられている。アーム63Rには、一対のローラ680Rがアーム63Rの延出方向に間隔を空けて設けられている。さらに、サポート部材67には、ローラ681L,681Rが幅方向Yに間隔を空けて設けられている。ローラ680L,680Rは、幅方向Yと平行な軸を中心に回動可能である。ローラ681L,681Rは、幅方向Yと直交する軸を中心に回動可能である。
【0039】
図5に示すように、中央背板3の裏面には一対の第3ガイド部材69L,69Rが幅方向Yに間隔を空けて取り付けられている。これら第3ガイド部材69L,69Rは、例えば幅方向Yにおける一側が開口した中空のレールである。
【0040】
各ローラ680Lは、第3ガイド部材69Lに収容されている。図5には表れていないが、図4に示す各ローラ680Rは第3ガイド部材69Rに収容されている。ローラ681Lは第3ガイド部材69Lの側面に接触し、ローラ681Rは第3ガイド部材69Rの側面に接触している。
【0041】
このように第3ガイド部材69L,69Rとローラ680L,680R,681L,681Rとを含む構造においては、中央背板3が背上げフレーム61によってアーム63L,63Rの延出方向に移動可能となるように支持される。
【0042】
図4に示すように、駆動源60は、モータ601と、モータ601から延出するシリンダ602と、シリンダ602に収容されたロッド603とを備えている。モータ601は、連結部材15に設けられたブラケット604に対し回動可能に連結されている。ロッド603の先端部は、第2軸部材62に設けられたブラケット605に対し回動可能に連結されている。
【0043】
水平状態においてモータ601が駆動されると、ロッド603がシリンダ602から延出する。このとき、ブラケット605を介して第2軸部材62が頭側HSに押される。第2軸部材62は、第2ガイド部材64L,64Rにガイドされ、長さ方向Xに沿って頭側HSに回転しながら移動する。第2軸部材62の回転に伴いアーム63L,63Rも回転し、図5に示すような背上げ状態に移行する。
【0044】
図5に示すように、ベッド装置Bは、第1側背板4Lおよび第2側背板4Rを中央背板3に対して傾斜可能に支持するサイドアップ機構9をさらに備えている。本実施形態において、サイドアップ機構9は、第1側背板4Lおよび第2側背板4Rの裏面にそれぞれ設けられた突条部材90L,90Rと、アーム63L,63Rにそれぞれ設けられたローラ91L,91Rとを備えている。
【0045】
図4に示すように、ローラ91Lは、アーム63Lから左側LSに突出しており、幅方向Yと平行な軸を中心に回動可能である。ローラ91Rは、アーム63Rから右側RSに突出しており、幅方向Yと平行な軸を中心に回動可能である。
【0046】
詳しくは図8乃至図10を用いて後述するが、突条部材90L,90Rは傾斜面92を有している。水平状態から背上げ状態に変形する際に、ローラ91Lが突条部材90Lの傾斜面92の上を転がり、ローラ91Lによって第1側背板4Lが押し上げられ、第1側背板4Lが中央背板3に対して傾斜する。同様に、ローラ91Rが突条部材90Rの傾斜面92の上を転がり、ローラ91Rによって第2側背板4Rが押し上げられ、第2側背板4Rが中央背板3に対して傾斜する。
【0047】
図6は、第1ガイド部材81Lの概略的な斜視図である。図7は、第1ガイド部材81Lの概略的な側面図である。第1ガイド部材81Rは、これらの図に示す第1ガイド部材81Lと同様の構造を有している。
【0048】
第1ガイド部材81Lは、鉛直方向Zに重ねられた上部分82および下部分83を有している。上部分82と下部分83の間には、幅方向Yに貫通する長尺なガイド溝84が設けられている。
【0049】
図6に示すように、長さ方向Xにおける第1ガイド部材81Lの両端部には取付孔85が設けられている。各取付孔85は、上部分82および下部分83を鉛直方向Zに貫通している。第1ガイド部材81Lは、例えば各取付孔85に挿入されるボルトによってフレーム部材14Lに対し取り付けられている。
【0050】
図7に示すように、ガイド溝84は、足側FSの第1端部E1と、頭側HSの第2端部E2とを有している。ガイド溝84は、全体的に一定の幅を有している。上述の第1軸部材80Lは、ガイド溝84に通され、第1端部E1から第2端部E2まで移動可能である。
【0051】
本実施形態においては、ガイド溝84の軸AXが非直線状である。具体的には、ガイド溝84は、軸AXが下方に向けて湾曲した湾曲部CPと、軸AXが長さ方向Xと実質的に平行な直線部LPとを有している。直線部LPにおいて、軸AXは必ずしも長さ方向Xと平行である必要はなく、湾曲部CPよりも小さい曲率を有していてもよい。
【0052】
図7の例においては、湾曲部CPの頂点V(谷底)がガイド溝84の長さ方向Xにおける中心Cと第1端部E1の間に位置している。直線部LPは、湾曲部CPと第2端部E2の間、より具体的には中心Cと第2端部E2の間に位置している。湾曲部CPは、中心Cと重なっている。すなわち、直線部LPの長さ方向Xにおける幅は、湾曲部CPの長さ方向Xにおける幅よりも小さい。一例として、直線部LPの幅は、湾曲部CPの幅の1/2以下である。
【0053】
図8乃至図10は、背上げ機構6およびサイドアップ機構9の概略的な側面図である。図8においては中央背板3が水平状態にあり、図9および図10においては中央背板3が背上げ状態にある。なお、これらの図においてはベッド装置Bが備える左右一対の要素(例えば側背板4Lと第2側背板4R)のうち左側LSの要素を示す。図8乃至図10のそれぞれにおいて、右側RSの要素も左側LSの要素と同一の形状および姿勢を有している。
【0054】
図8に示すように、突条部材90Lの傾斜面92は、水平状態において突条部材90Lの頭側HSの半分に位置するように設けられている。傾斜面92が設けられている領域においては、突条部材90Lの厚さ(第1側背板4Lの裏面からの高さ)が足側FSに向けて徐々に大きくなる。
【0055】
水平状態においては、第1軸部材80Lがガイド溝84の第1端部E1近傍に位置し、第2軸部材62のローラ620Lが第2ガイド部材64Lの足側FSの端部近傍に位置している。また、ローラ91Lが突条部材90Lの傾斜面92の先端近傍に位置している。このとき、第1側背板4Lは中央背板3と水平となるように支持されている。同様に、第2側背板4Rは中央背板3と水平となるように支持されている。
【0056】
図9においては、モータ601が駆動されることにより図8に比べてロッド603がシリンダ602から延出している。図10においては、図9よりもさらにロッド603が延出している。このようなロッド603の延出により、アーム63Lの先端が上昇するように第2軸部材62が回転する。さらに、ローラ620Lが第2ガイド部材64Lの内側で転がり、第2軸部材62が頭側HSに移動する。
【0057】
アーム63Lの上昇に伴い、中央背板3は第1側部S1が第2側部S2よりも上方に位置するように傾斜する。このとき、第3ガイド部材69Lがアーム63Lに対して相対的に移動(スライド)するとともに、第1軸部材80Lがガイド溝84において第1端部E1から第2端部E2に向けて移動する。すなわち、中央背板3の第2側部S2は、長さ方向Xに対する中央背板3の傾斜角度が大きくなるほど頭側HSに移動する。
【0058】
アーム63Lに対する第3ガイド部材69Lの相対的な移動により、ローラ91Lが傾斜面92の上を転がる。このとき、突条部材90Lがローラ91Lに押され、第1側背板4Lが中央背板3に対して傾斜する。第2側背板4Rも同様に傾斜するため、中央背板3および側背板4L,4Rは、中央背板3を底とした谷状を成す。
【0059】
仮に第1軸部材80L,80Rおよび第2軸部材62の位置が固定されていると、水平状態から背上げ状態への変形時に、中央背板3の上昇に伴ってベッド装置Bに置かれたマットレス上の利用者の腹部が圧迫され得る。これに対し、本実施形態においては背上げ状態への変形時に第1軸部材80L,80Rおよび第2軸部材62が頭側HSに移動する。このとき、中央背板3の第2側部S2も頭側HSに移動し、利用者の腹部の圧迫感を軽減することができる。
【0060】
また、本実施形態においては、第2側部S2が頭側HSに移動している間に、中央背板3に対して第1側背板4Lおよび第2側背板4Rが傾斜する。これにより、背上げ状態への変形時に利用者は側方へ姿勢を崩しにくくなる。
【0061】
発明者は、水平状態から背上げ状態への変形時における第2側部S2の移動量を中央背板3の角度に応じて変化させることで、利用者の腹部の圧迫感をより低減できることを見出した。具体的には、中央背板3が上昇し始めるときの第2側部S2の移動量を小さくすることが好ましい。
【0062】
この点に関し、本実施形態においては、図7に示したようにガイド溝84が第1端部E1寄りに湾曲部CPを有している。これにより、水平状態から背上げ状態への変形の前半においては第1軸部材80L,80Rが湾曲部CPに沿って移動するため、長さ方向Xにおける第2側部S2の移動量を低減できる。当該変形の後半においては、第1軸部材80L,80Rが直線部LPを含む範囲を移動するため、長さ方向Xにおける第2側部S2の移動量が増加する。
【0063】
例えば、中央背板3が長さ方向Xに対して少なくとも30°傾くまでの間、第1軸部材80L,80Rが湾曲部CPに位置していることが好ましい。一例では、中央背板3が長さ方向Xに対して55°~65°傾いたときに第1軸部材80L,80Rが直線部LPに到達する。
【0064】
また、本実施形態のように湾曲部CPが下方に向けて湾曲した形状であれば、中央背板3や側背板4L,4Rの重さにより、背上げ状態への変形の当初において第1軸部材80L,80Rが円滑に移動する。
【0065】
以上の実施形態は、本発明の範囲を当該実施形態にて開示した構成に限定するものではない。本発明は、当該実施形態にて開示した構成を種々の態様に変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…ベッドフレーム、2…床板、3…中央背板、4L…第1側背板、4R…第2側背板、6…背上げ機構、9…サイドアップ機構、80L,80R…第1軸部材、81L,81R…第1ガイド部材、84…ガイド溝、B…ベッド装置、S1~S4…中央背板の第1~第4側部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10