IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シアトル ジェネティックス, インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-親水性抗体-薬物コンジュゲート 図1
  • 特許-親水性抗体-薬物コンジュゲート 図2
  • 特許-親水性抗体-薬物コンジュゲート 図3
  • 特許-親水性抗体-薬物コンジュゲート 図4
  • 特許-親水性抗体-薬物コンジュゲート 図5
  • 特許-親水性抗体-薬物コンジュゲート 図6
  • 特許-親水性抗体-薬物コンジュゲート 図7
  • 特許-親水性抗体-薬物コンジュゲート 図8
  • 特許-親水性抗体-薬物コンジュゲート 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】親水性抗体-薬物コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/62 20170101AFI20240304BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240304BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240304BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20240304BHJP
【FI】
A61K47/62
A61K38/08
A61P35/00
C07K7/06
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022078761
(22)【出願日】2022-05-12
(62)【分割の表示】P 2020024690の分割
【原出願日】2015-02-17
(65)【公開番号】P2022103282
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】61/940,759
(32)【優先日】2014-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/947,368
(32)【優先日】2014-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505314468
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】スベトラナ ドロニナ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ライオン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター センター
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/117531(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/147153(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
A61K 39/00-39/44
A61K 38/00-38/58
A61P 35/00
C07K 16/00-16/46
C07K 7/00- 7/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化101】
を有する薬物-リンカー化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、
式中、
Rは、トレオニン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ホモセリン、ヒドロキシバリン、フリルアラニン、トレオニン(PO)、ピラゾリルアラニン、トリアゾリルアラニン、チアゾリルアラニンおよびフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸の側鎖であり、
AAは、グリシン、ならびにアスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型からなる群から選択される親水性アミノ酸であり
AAはグリシンまたはアスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型からなる群から選択される親水性アミノ酸であるか、または存在せず、
XはHであり、かつ添え字n=1であり、XはCOOHであり、かつ添え字n=1であり、またはXはCOOHであり、かつ添え字n=4であり、
Y=HまたはCHNHであり
前記薬物-リンカー化合物から形成されたリガンド-薬物コンジュゲートは2未満の親水性インデックスを有する、
薬物-リンカー化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
Rが、L-トレオニンの側鎖である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
AAが、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニンおよびセリンのL型からなる群から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
AAが、グルタメート、リシンおよびアラニンのL型からなる群から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
AAが、グルタメートである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
AAが、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニンおよびセリンのL型からなる群から選択されるかまたは存在しない、請求項1~5のいずれ一項に記載の化合物。
【請求項7】
AAが、グルタメートまたはアラニンのL型からなる群から選択されるかまたは存在しない、請求項1~5のいずれ一項に記載の化合物。
【請求項8】
AAが、グルタメートである、請求項1~5のいずれ一項に記載の化合物。
【請求項9】
AAが、存在しない、請求項1~5のいずれ一項に記載の化合物。
【請求項10】
Xが、COOHであり、かつ添え字n=1である、請求項1~9のいずれ一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項11】
Xが、COOHであり、かつ添え字n=4である、請求項1~9のいずれ一項に記載の化合物。
【請求項12】
Xが、Hであり、かつ添え字n=1である、請求項1~9のいずれ一項に記載の化合物。
【請求項13】
Yが、CHNHである、請求項1~12のいずれ一項に記載の化合物。
【請求項14】
Yが、Hである、請求項1~12のいずれ一項に記載の化合物。
【請求項15】
【化102】
から選択される式を有する、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年2月17日に出願された米国仮特許出願第61/940,759号および2014年3月3日に出願された米国仮特許出願第61/947,368号の利益を主張する。これら米国仮特許出願の各々は、その全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
がん細胞への細胞毒性剤の標的化した送達のためのモノクローナル抗体(mAb)の使用について多大な関心が寄せられてきた。典型的にはリンカーを介して抗体に細胞毒性剤を結合させることによる抗体薬物コンジュゲートの設計は、種々の要因を考慮することを伴う。これらの要因には、細胞毒性剤のコンジュゲーションのための化学基(複数可)の独自性および場所、細胞毒性剤の放出の機序、剤の放出を提供する構造的要素(複数可)(存在する場合)、ならびに放出された遊離剤の構造的修飾(存在する場合)が含まれる。さらに、細胞毒性剤が抗体の内部移行の後に放出される場合、剤放出のための構造的要素、および剤放出の機序は、コンジュゲートの細胞内輸送と一致しなければならない。
【0003】
いくつかの異なる薬物クラスが抗体を介した送達について評価されてきた一方、僅かな薬物クラスのみが、適切な毒性プロファイルを有する一方で、抗体-薬物コンジュゲートとして、臨床開発を認可するのに十分に活性であることが証明されてきた。一つのこのようなクラスは、天然物であるドラスタチン10と関連するアウリスタチンである。代表的なアウリスタチンは、MMAE(N-メチルバリン-バリン-ドライソロイイン(dolaisoleuine)-ドラプロイン(dolaproine)-ノルエフェドリン)およびMMAF(N-メチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-フェニルアラニン)を含む。
【0004】
MMAEは遊離薬物として活性である細胞毒性剤の一例であり、モノクローナル抗体(mAb)にコンジュゲートした後で高度に強力であり、細胞中への内部移行後に放出される。MMAEは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン(mc-vc-)および自壊的基p-アミノベンジル-カルバモイル(PABC)を含有するカテプシンBによって切断可能なペプチドをベースとするリンカーを介してMMAEのN末端アミノ酸においてmAbに首尾よくコンジュゲートされて、下記の構造、mAb-(mc-vc-PABC-MMAE)の抗体-薬物コンジュゲートが産生されてきた。(従前の式において、pは、mAbまたは抗体当たりの(mc-vc-PABC-MMAE)単位の数を指す。)vcペプチドおよび自壊的PABC基の間の結合の切断によって、PABC基は、PABC基自体をMMAEから放出し、遊離MMAEを遊離させる。
【0005】
別のアウリスタチンであるMMAFは、(MMAEと比較して)遊離薬物として低い活性であるが、抗体へのコンジュゲーション、細胞中への内部移行および放出の後、高度に強力である。MMAFは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン(mc-vc-)および自壊的基p-アミノベンジル-カルバモイル(PABC)を含有するカテプシンBによって切断可能なペプチドをベースとするリンカーを介してMMAFのN末端アミノ酸においてモノクローナル抗体(mAb)に首尾よくコンジュゲートされて、構造、mAb-(mc-vc-PABC-MMAF)(pは、mAbまたは抗体当たりの(mc-vc-PABC-MMAF)単位の数を指す)の抗体-薬物コンジュゲートが産生されてきた。ペプチドおよびPABCサブユニットの間の結合の切断によって、自壊的PABC基は、自壊的PABC基自体をMMAFから放出し、遊離MMAFを遊離させる。
【0006】
MMAFはまた、薬物-リンカーであるマレイミドカプロイルMMAF(mcMMAF)を含有する切断可能でないコンジュゲートとして活性である。このコンジュゲートであるmAb-(mcMMAF)が細胞中に内部移行されたとき、放出される活性種はcys-mcMMAFである。リンカーは切断可能でないので、マレイミドカプロイルおよび抗体のシステイン残基は、MMAFのN末端に結合したままである。MMAFはまた、そのC末端アミノ酸であるフェニルアラニンにおいてペプチド-マレイミドカプロイルリンカーに結合しているC末端コンジュゲートとして活性であることが報告された。このコンジュゲート(MMAF-ペプチド-mc)-mAbが細胞中に内部移行されたとき、MMAF(フェニルアラニン)-ペプチド結合の切断に続いて、活性種MMAFが放出される。
【0007】
動物モデルにおいて、これらのMMAEおよびMMAFコンジュゲートは一般に、薬物動態特性において薬物負荷依存的な減少を示した。特に、各抗体に結合している薬物-リンカー単位の数が増加すると、コンジュゲートの薬物動態(PK)は減少した。
【0008】
したがって、抗体-薬物コンジュゲートの設計における別の重要な要因は、標的化剤当たり送達することができる薬物の量である(すなわち、各標的化剤(例えば、抗体)へと結合している細胞毒性剤の数であり、薬物負荷(drug load)または薬物負荷量と称される)。歴史的に、より高い薬物負荷はより低い薬物負荷より優れている(例えば、8負荷対4負荷)という仮説があった。より高く負荷されたコンジュゲートは標的とした細胞により多くの薬物(細胞毒性剤)を送達するという理論的解釈があった。この理論的解釈は、より高い薬物負荷量を有するコンジュゲートがin vitroで細胞系に対してより活性であったという観察によって支持された。しかし、その後のある特定の研究により、この仮説が動物モデルにおいて確認されなかったことが明らかにされた。ある特定のアウリスタチンの4または8の薬物負荷を有するコンジュゲートは、マウスモデルにおいて同様の活性を有することが観察された。例えば、Hamblettら、Clinical Cancer Res.、10巻:7063~70頁(2004年)。Hamblettらは、より高く負荷されたADCが動物モデルにおいて循環からより急速にクリアランスされたことをさらに報告した。このより速いクリアランスは、より低く負荷された種と比較した、より高く負荷された種についてのPKの傾向を示唆した。例えば、Hamblettら。さらに、より高く負荷されたコンジュゲートは、マウスにおいてより低いMTDを有し、結果として、報告されたより狭い治療指数を有した。同上。対照的に、モノクローナル抗体の操作された部位に2の薬物負荷量を有するADCは、ある特定の4負荷されたADCと比較して同じまたはより良好なPK特性および治療指数を有することが報告された。例えば、Junutulaら、Clinical Cancer Res.、16巻:4769頁(2010年)を参照されたい。それゆえ、最近の傾向は、低い薬物負荷量を有するADCを開発することである。
【0009】
より高く負荷されたADCのPKの傾向を克服する代替アプローチは、ADCに可溶化基を添付することであった。例えば、ポリエチレングリコールポリマーまたは他の水溶性ポリマーは、PKの傾向を克服する試みにおいて、リンカー中(例えば、薬物および抗体の結合部位の間)に含まれてきた。別のアプローチは、抗体に薬物-ポリマーを添付することであったが、各ポリマーは、多数の薬物を含有する。しかし、これらの代替案は、所望の結果を必ずしも達成しなかった。さらに、可溶化基を添付することは、このようなコンジュゲートの製造の複雑度を増加させ得る。
したがって、より低く負荷されたコンジュゲートの他の望ましい特徴、例えば、好ましいPK特性を維持する一方で、より高い薬物負荷量を可能とする抗体薬物コンジュゲートのフォーマット(およびより一般には、他のコンジュゲートのためのフォーマット)が依然として必要とされている。驚いたことに、本発明は、これらの必要性に取り組む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Hamblettら、Clinical Cancer Res.、2004年、第10巻、pp.7063~70
【文献】Junutulaら、Clinical Cancer Res.、2010年、第16巻、p.4769
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の簡単な概要
本発明は、とりわけ、親水性リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートを提供する。コンジュゲートしていない標的化剤(例えば、リガンド、例えば、抗体)と同様の親水性を有するコンジュゲートを設計することによって、コンジュゲートは、in vivoでのコンジュゲートしていない標的化剤の薬物動態(PK)特性と同様の薬物動態(PK)特性を提供する能力を保持する。コンジュゲートはまた、このような望ましいPK特性を保持し、in vivoで同じまたはより良好な活性を有する一方で、より低く負荷されたコンジュゲートと比較して、より高い薬物負荷量(すなわち、標的化剤当たり、より多数の親水性薬物-リンカー)を有することができる。(例えば、4負荷または8負荷されたコンジュゲートは、それぞれ、それらの2負荷または4負荷されたカウンターパートと同じまたはより良好なPK特性を有することができる。このような4負荷または8負荷されたコンジュゲートは、それぞれ、それらの2負荷または4負荷されたカウンターパートと同じまたはより良好な活性を有することができる)。このように、特定の望ましい特性に基づいて選択された標的化剤は、標的化剤単独のPK特性のような望ましい特性を実質的に損なうことなしに、薬物リンカーとコンジュゲートすることができる。このようなコンジュゲートを作製および使用する方法もまた提供される。
【0012】
また、標的化剤(リガンド)へのコンジュゲーションのためのリンカー薬物化合物、ならびにこのような化合物を調製および使用する方法が提供される。薬物化合物を結合させることができるリガンド-リンカー化合物、ならびにこのような化合物を調製および使用する方法がさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本明細書に記載されているリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートのアセンブリーのための例示的な合成スキームを示す。
【0014】
図2図2は、コンジュゲートしていない抗体、二つの親水性ADCおよび三つの対照ADCの薬物動態学的安定性を比較したマウス研究の結果を示す。ADCは、上から下へと順番に示す。
【0015】
図3図3は、五つの親水性ADCおよび対照ADCの薬物動態学的安定性を比較したマウス研究の結果を示す。
【0016】
図4図4は、抗体薬物コンジュゲートのHICクロマトグラフィーの結果を示す。
【0017】
図5図5は、抗体薬物コンジュゲートのHICクロマトグラフィーの結果を示す。
【0018】
図6図6は、4負荷および8負荷されたADCの活性を比較するマウス異種移植片研究の結果を示す。
【0019】
図7図7は、4負荷および8負荷されたADCの活性を比較するマウス異種移植片研究の結果を示す。
【0020】
図8図8は、4負荷および8負荷されたADCの活性を比較するマウス異種移植片研究の結果を示す。
【0021】
図9図9は、4負荷および8負荷されたADCの活性を比較するマウス異種移植片研究の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
略語および定義
特に断りのない限り、下記の用語および語句は、本明細書において使用する場合、下記の意味を有することを意図する。商品名が本明細書において使用されるとき、商品名は、文脈によって他に示さない限り、製品配合物、ジェネリック薬物、および商品名のある製品の活性医薬成分(複数可)を含む。
【0023】
用語「親水性インデックス」とは、標的化剤単独(すなわち、リガンド、典型的には、抗体)の親水性に対する、コンジュゲートの親水性の尺度を指す。親水性インデックスは、本明細書にさらに記載されているように、あるコンジュゲートの保持時間として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)条件下での、対応するコンジュゲートしていない標的化剤(単独)の保持時間に対して測定される。例えば、コンジュゲートしていないリガンド(典型的には抗体)の保持時間に対するリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートの保持時間を決定することができる。選択した実施形態では、コンジュゲートの保持時間は、実施例において記載されているように決定すると、コンジュゲートしていないリガンドの保持時間から2分を超えて遅れることはない(2の親水性インデックスと称される)。ある特定の実施形態では、コンジュゲートの保持時間は、実施例において記載されているように決定すると、コンジュゲートしていないリガンドの保持時間から1分を超えて遅れることはない(1の親水性インデックスと称される)。ある特定の実施形態では、コンジュゲートの保持時間は、実施例において記載されているように決定すると、コンジュゲートしていないリガンドの保持時間から0.5分を超えて遅れることはない(0.5の親水性インデックスと称される)。異なる疎水的相互作用カラムおよび/または方法が使用される場合、これを、表2からのコンジュゲートを参照として使用して較正して、選択したカラムおよび/または方法上の参照コンジュゲートの移動度(溶出時間)を決定することができる。次いで、選択した疎水的相互作用カラムおよび/または方法上での決定された参照移動度を使用して、試験物質の親水性インデックスを計算することができる(実施例3に従って決定されるように)。例えば、アウリスタチンT-Glu-Dpr-MA、mc-MMAFおよびmc-vc-PABC-MMAE薬物リンカーを使用して、参照として使用するコンジュゲートを形成することができる。別の例では、アウリスタチンT-Glu-Dpr-MA-h1F6 ADC、h1F6-mc-MMAFおよびh1F6-mc-vc-PABC-MMAE ADCを、参照として使用することができる。
【0024】
用語「アルキル」は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、示した数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する(すなわち、C1~8は、1~8個の炭素を意味する)。アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが含まれる。用語「アルケニル」は、一つまたは複数の二重結合を有する不飽和アルキル基を指す。同様に、用語「アルキニル」は、一つまたは複数の三重結合を有する不飽和アルキル基を指す。このような不飽和アルキル基の例には、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、ならびにより高級の相同体および異性体が含まれる。用語「シクロアルキル」は、示した数の環原子を有し(例えば、C3~6シクロアルキル)、完全飽和であるか、または環の頂点間に一つ以下の二重結合を有する、炭化水素環を指す。「シクロアルキル」はまた、二環式および多環式炭化水素環、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどを指すことが意図されている。用語「ヘテロシクロアルカン」または「ヘテロシクロアルキル」は、N、O、およびSから選択される1~5個のヘテロ原子を含有するシクロアルキル基を指し、窒素および硫黄原子は、任意選択で酸化されており、窒素原子(複数可)は、任意選択で四級化されている。ヘテロシクロアルカンは、単環式環系であっても、二環式環系であっても、多環式環系(polycylic ring system)であってもよい。ヘテロシクロアルカン基の非限定的例には、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン(tetrhydrothiophene)、キヌクリジンなどが含まれる。ヘテロシクロアルカン基は、環炭素またはヘテロ原子を介して分子の残部に結合することができる。
【0025】
用語「アルキレン」は、それ自体で、または別の置換基の一部として、-CHCHCHCH-によって例示されるような、アルカンに由来する二価ラジカルを意味する。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有し、10個またはそれ未満の炭素原子を有する基が本発明において好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、4個またはそれ未満の炭素原子を一般に有するより短い鎖のアルキルまたはアルキレン基である。同様に、「アルケニレン」および「アルキニレン」は、それぞれ、二重結合または三重結合を有する「アルキレン」の不飽和形態を指す。
【0026】
本明細書において使用する場合、本明細書において示される任意の化学構造において単結合、二重結合または三重結合と交差する波線
【化1】
は、分子の残部への単結合、二重結合、または三重結合の結合点を表す。
【0027】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)はこれらの通常の意味で使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残部に結合しているアルキル基を指す。さらに、ジアルキルアミノ基について、アルキル部分は、同じであっても、異なっていてもよく、また合わさって、それぞれが結合している窒素原子と3~7員環を形成することができる。したがって、ジアルキルアミノまたは-NRとして表される基は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニルなどを含むことが意図されている。
【0028】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、それら自体でまたは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、用語、例えば、「ハロアルキル」は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことが意図されている。例えば、用語「C1~4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことが意図されている。
【0029】
用語「アリール」は、特に明記しない限り、多価不飽和の、典型的には芳香族炭化水素基を意味し、これは単一の環であっても、一つに縮合しているか、もしくは共有結合的に連結されている複数の環(3個の環まで)であってもよい。用語「ヘテロアリール」は、N、O、およびSから選択される1~5個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指し、窒素および硫黄原子は、任意選択で酸化されており、窒素原子(複数可)は任意選択で四級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合することができる。アリール基の非限定的例は、フェニル、ナフチルおよびビフェニルを含み、一方、ヘテロアリール基の非限定的例は、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル(pyrimindinyl)、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアゾリル(benzothiaxolyl)、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどを含む。先に留意したアリールおよびヘテロアリール環系のそれぞれについての置換基は、「置換されている」と記載されているとき、下記の許容される置換基の群から選択される。
【0030】
用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基に結合しているラジカル(例えば、ベンジル、フェネチルなど)を含むことが意図されている。同様に、用語「ヘテロアリール-アルキル」は、ヘテロアリール基がアルキル基に結合しているラジカル(例えば、ピリジルメチル、チアゾリルエチルなど)を含むことが意図されている。
【0031】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)は、いくつかの実施形態では、示したラジカルの置換および非置換形態の両方を含む。各タイプのラジカルについての好ましい置換基を、以下に提供する。
【0032】
文脈によって他に示さない限り、アルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルと称されることが多い基を含む)についての置換基は、0から(2m’+1)(式中、m’は、このようなラジカル中の炭素原子の総数である)までの範囲の数での、-ハロゲン、-OR’、-NR’R’’、-SR’、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NH-C(NH)=NH、-NR’C(NH)=NH、-NH-C(NH)=NR’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NR’S(O)R’’、-CNおよび-NOから選択される種々の基でよい。R’、R’’およびR’’’は、それぞれ独立に、水素、非置換C1~8アルキル、非置換アリール、1~3個のハロゲンで置換されているアリール、非置換C1~8アルキル、C1~8アルコキシまたはC1~8チオアルコキシ基、または非置換アリール-C1~4アルキル基を指す。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合しているとき、それらは窒素原子と合わさって、3員、4員、5員、6員、または7員環を形成することができる。例えば、-NR’R’’は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことが意図されている。
【0033】
同様に、アリールおよびヘテロアリール基のための置換基は様々であり、0から芳香環系上の開放原子価の総数までの範囲の数での、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R’’、-SR’、-R’、-CN、-NO、-COR’、-CONR’R’’、-C(O)R’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NH-C(NH)=NH、-NR’C(NH)=NH、-NH-C(NH)=NR’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NR’S(O)R’’、-N、ペルフルオロ(C~C)アルコキシ、およびペルフルオロ(C~C)アルキルから一般に選択され、R’、R’’およびR’’’は、水素、C1~8アルキル、C1~8ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、C2~8アルケニル、C2~8アルキニル、非置換アリールおよびヘテロアリール、(非置換アリール)-C1~4アルキル、および非置換アリールオキシ-C1~4アルキルから独立に選択される。他の適切な置換基は、1~4個の炭素原子のアルキレンのテザー(tether)により環原子に結合している上記アリール置換基のそれぞれを含む。
【0034】
用語「塩基」は、水を脱プロトン化して水酸化物イオンを生成する官能基を指す。例示的な塩基は、アミンおよび窒素含有複素環である。代表的な塩基は、-N(R)(R)を含み、RおよびRは、HまたはC1~6アルキル、好ましくはHまたはメチル、
【化2】
から独立に選択され、式中、R、R、RおよびRは、出現する毎に独立に、水素またはC1~6アルキル、好ましくはHまたはメチルから選択され、eは、0~4である。いくつかの態様では、塩基は、窒素塩基である。
【0035】
用語「抗体」は、本明細書において最も広範な意味で使用され、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物活性(すなわち、標的抗原への特異的結合)を示す抗体フラグメントを特にカバーする。インタクトな抗体は、主に二つの領域:可変領域および定常領域を有する。可変領域は、標的抗原に特異的に結合し、これと相互作用する。可変領域は、特定の抗原上の特異的結合部位を認識し、これに結合する、相補性決定領域(CDR)を含む。定常領域は、免疫系によって認識され、免疫系と相互作用し得る(例えば、Janewayら、2001年、Immuno. Biology、第5版、Garland
Publishing、New Yorkを参照されたい)。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。抗体は、任意の適切な種に由来し得る。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトまたはマウス起源のものである。モノクローナル抗体は、例えば、ヒト、ヒト化またはキメラであり得る。
【0036】
用語「モノクローナル抗体」とは、本明細書において使用する場合、実質的に均質な抗体の集団から得た抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位を指向している。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるものとしての抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈されない。
【0037】
「インタクトな抗体」とは、抗体クラスについて適切な場合の、抗原結合性可変領域、ならびに軽鎖定常ドメイン(C)ならびに重鎖定常ドメインCH、CH、CHおよびCHを含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであり得る。
【0038】
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部分を含み、該一部分は、その抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント、二特異性抗体、三特異性抗体、四特異性抗体、線状抗体、単鎖抗体分子、scFv、scFv-Fc、抗体フラグメント(複数可)から形成される多特異性抗体フラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されるフラグメント(複数可)、または標的抗原(例えば、がん細胞抗原、ウイルス抗原もしくは微生物抗原)に特異的に結合する上記のもののいずれかのエピトープ結合フラグメントが含まれる。
【0039】
「抗原」は、抗体が特異的に結合する実体である。抗原は、例えば、タンパク性のもの(例えば、タンパク質、ポリペプチドもしくはペプチド)、非タンパク性のもの(例えば、炭水化物)、または二つの組合せであり得る。
【0040】
用語「特異的結合」および「特異的に結合する」は、標的化剤またはリガンド、例えば、抗体または抗原結合フラグメントが、高度に選択的な様式でその対応する標的抗原と結合し、多数の他の抗原と結合しないことを意味する。抗体について、抗体または抗体フラグメントは典型的には、少なくとも約1×10-7M、好ましくは10-8M~10-9M、10-10M、10-11M、または10-12Mの親和性を伴って結合し、同じエピトープを有する所定の抗原および密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に関するその親和性より少なくとも2倍大きい親和性を伴って所定の抗原に結合する。
【0041】
用語「阻害する」または「の阻害」は、測定可能な量だけ低減させるか、または全体的に防止することを意味する。
【0042】
用語「治療有効量」は、哺乳動物における疾患または障害を処置するのに有効なコンジュゲート(例えば、抗体薬物コンジュゲート)の量を指す。がんの場合、コンジュゲートの治療有効量は、がん細胞の数を低減させ;腫瘍のサイズを低減させ;末梢器官中へのがん細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度緩徐化し、好ましくは停止させる);腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度緩徐化し、好ましくは停止させる);腫瘍成長を阻害し;かつ/またはがんと関連する症状の一つもしくは複数を軽減し得る。薬物が成長を阻害し、かつ/または存在するがん細胞を死滅させ得る程度まで、薬物は細胞増殖抑制性および/または細胞毒性であり得る。がん療法のために、有効性は、例えば、疾患の進行までの時間(TTP)をアセスメントし、かつ/または奏効率(RR)を決定することによって測定することができる。
【0043】
用語「実質的な」または「実質的に」は、集団の、混合物または試料の大部分、すなわち、>50%、好ましくは集団の50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、または99%超を指す。
【0044】
用語「細胞内で切断され」および「細胞内切断」とは、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲート(例えば、抗体薬物コンジュゲート(ADC)など)上の細胞内の代謝過程または反応を指し、それによってD部分およびリガンド単位(例えば、抗体(Ab))の間の共有結合(リンカー単位)が破壊され、D単位の放出がもたらされる。このように、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートの切断された部分は、細胞内代謝物である。
【0045】
用語「細胞毒性活性」とは、典型的には標的細胞上の放出された薬物単位を介した、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲート化合物の細胞死滅または細胞毒性効果を指す。細胞毒性活性は、細胞の半分がコンジュゲートへの曝露から生存する単位体積当たりの濃度(モルまたは質量)であるIC50値(最大半量阻害濃度とも称される)として表され得る。
【0046】
用語「細胞毒性剤」は、本明細書において使用する場合、細胞を死滅させるか、またはその他の方法で細胞の破壊をもたらす物質を指す。
【0047】
用語「がん」および「がんの」は、レギュレートされない細胞成長によって典型的には特性決定される、哺乳動物における生理学的状態もしくは障害を指すか、または説明する。「腫瘍」は、がん性細胞を含む。
【0048】
「自己免疫疾患」は、個体自身の組織またはタンパク質から生じ、かつこれらに対する疾患または障害である。
【0049】
「患者」の例には、これらに限定されないが、ヒト、ラット、マウス、モルモット、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、鳥および家禽が含まれる。例示的な実施形態では、患者は、ヒトである。
【0050】
用語「処置する」または「処置」は、文脈によって他に示さない限り、治療的処置、および再発を予防する予防的措置を指し、その目的は、望まれない生理学的変化または障害、例えば、がんの発生または拡散を阻害または緩徐化する(減らす)ことである。有益または所望の臨床結果には、これらに限定されないが、検出可能であろうと非検出可能であろうと、症状の軽減、疾患の程度の減弱、疾患の安定化した(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延または緩徐化、病態の回復または緩和、および寛解(部分的であろうと完全であろうと)が含まれる。「処置」はまた、処置を受けない場合の予想される生存と比較した生存の延長を意味することができる。処置を必要とするものは、状態または障害を既に有するものを含む。
【0051】
がんとの関連で、用語「処置する」は、腫瘍細胞、がん細胞、または腫瘍の成長を阻害すること、腫瘍細胞またはがん細胞の複製を阻害すること、全体的な腫瘍量を減らすこと、またはがん性細胞の数を減少させること、およびその疾患と関連する一つまたは複数の症状を回復させることのいずれかまたは全てを含む。
【0052】
自己免疫疾患との関連で、用語「処置する」は、これらに限定されないが、自己免疫性抗体を産生する細胞を含めた自己免疫疾患の状態と関連する細胞の複製を阻害すること、自己免疫性抗体量を減らすこと、および自己免疫疾患の一つまたは複数の症状を回復させることのいずれかまたは全てを含む。
【0053】
語句「薬学的に許容される塩」とは、本明細書において使用する場合、化合物(例えば、薬物、薬物-リンカー、またはリガンド-リンカー-薬物コンジュゲート)の薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。化合物は少なくとも1個のアミノ基を含有することができ、したがって、酸付加塩は、アミノ基と形成することができる。例示的な塩には、これらに限定されないが、硫酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クロリド、ブロミド、ヨージド、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシネート(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))が含まれる。薬学的に許容される塩は、別の分子、例えば、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンの含有を伴い得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造中に複数個の電荷を帯びた原子を有し得る。複数の電荷を帯びた原子が薬学的に許容される塩の部分である場合は、複数の対イオンを有することができる。このように、薬学的に許容される塩は、1個もしくは複数の電荷を帯びた原子および/または1個もしくは複数の対イオンを有することができる。
【0054】
詳細な説明
概要
本発明は、連結基および細胞毒性剤の特定の組合せを使用して、コンジュゲートしていないリガンド(すなわち、標的化剤、例えば、抗体または抗原結合フラグメント)の親水性と同様の親水性を有する、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲート、例えば、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を調製することができるという発見に部分的に基づいている。コンジュゲートしていないリガンドの親水性と同様のコンジュゲートの親水性を維持することによって、このように得られたコンジュゲートは、リガンド単独の特定の望ましい特徴、例えば、in vivoでのクリアランスの低減、in vivoでの増加した薬物動態プロファイル、標的細胞(複数可)へのコンジュゲートの曝露の増加などを維持する一方で、より高い薬物負荷量(例えば、リガンド当たり少なくとも4または8個の薬物リンカー)を有することができる。有利なことには、このような親水性コンジュゲートは、さらなる可溶化基、例えば、ポリエチレングリコールまたは他の水溶性ポリマーを含む必要性を伴わずに、リガンドの親水性と同様の親水性を有するように設計することができる。(リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートはまた、本明細書において、薬物-リガンドコンジュゲート、リガンド-薬物コンジュゲートまたはリガンド薬物コンジュゲートとも称される。)
【0055】
コンジュゲートの親水性連結基(リンカーまたはリンカー単位とも称される)は、親水性の増加のために設計される。連結基は、細胞毒性剤の場合、細胞毒性または細胞増殖抑制効果を誘発するのに十分な、標的細胞における細胞毒性剤(薬物単位または薬物とも称される)の効率的な放出を可能とする。典型的には、親水性リンカーは、コンジュゲートが標的細胞中に内部移行されてから即座の薬物単位の効率的な放出をするために設計される。切断による薬物単位の放出のための適切な認識部位は、親水性連結基からの単位の効率的な分離を可能とするものである。典型的には、認識部位は、ペプチド切断部位である(例えば、連結基への結合の部位においてアミノ酸またはペプチドの特徴を有する細胞毒性剤と組み合わせて形成される)。ペプチド切断部位の例は、細胞内プロテアーゼによって認識されるもの、例えば、リソソーム中に存在するものを含む。連結基がエフェクター部分(D)のアミノ酸に結合している実施形態では、AAは、D単位と切断可能なペプチド結合を形成する。切断可能なペプチド結合は、コンジュゲートがその標的とした部位に達したとき、プロテアーゼによる切断の影響を受けやすい。他の実施形態では、AAは、コンジュゲートがその標的とした部位に達したとき、切断(例えば、プロテアーゼによる)の影響を受けやすいエフェクター部分(D)の結合部位と共にアミド結合を形成する。
【0056】
いくつかの実施形態では、薬物単位は、親水性リンカー単位と組み合わせて増加した親水性を有するように設計されたアウリスタチンである。薬物単位は有利に、強力な細胞毒性活性を保持する一方で、親水性置換基を有するように設計され得る。アウリスタチン薬物単位は、本明細書により十分に記載されているように、これらのC末端においてリンカー単位に結合している。
【0057】
したがって、いくつかの実施形態では、Lは、1個、2個、3個または4個の親水性アミノ酸を含有する親水性リンカーであり、第1のアミノ酸は、これが結合している薬物単位の部分と共に切断部位を形成する。いくつかの実施形態では、Lは、1個または2個の親水性アミノ酸を含む親水性リンカーであり、第1のアミノ酸は、これが結合している薬物単位の部分と共に切断部位を形成する。いくつかの実施形態では、Lは、これが結合している薬物単位の部分と共に切断部位を形成するアミノ酸を含む親水性リンカーである。いくつかの実施形態では、第2、第3および/または第4の親水性アミノ酸は、任意選択で置換されているアルキレンまたはヘテロアルキレン基と置き換えられている。
【0058】
コンジュゲートの親水性は、コンジュゲートの親水性をコンジュゲートしていない標的化剤(すなわち、リガンドまたはリガンド単位)の親水性と比較することによって決定することができ、親水性インデックスと称される。ある特定の実施形態では、コンジュゲートの保持時間は、実施例において記載されているように決定すると、コンジュゲートしていないリガンドの保持時間から2分を超えて遅れることはない。ある特定の他の実施形態では、コンジュゲートの保持時間は、実施例において記載されているように決定すると、コンジュゲートしていないリガンドの保持時間から1分を超えて遅れることはない。ある特定の他の実施形態では、コンジュゲートの保持時間は、実施例において記載されているように決定すると、コンジュゲートしていないリガンドの保持時間から0.5分を超えて遅れることはない。実施例に言及すると、実施例3は、コンジュゲートの親水性インデックスを決定する好ましい方法を開示する。代わりに、異なる疎水的相互作用カラムおよび/または方法を、参照として表2からのコンジュゲートを使用して較正して、選択したカラムおよび/または方法上での参照の参照コンジュゲート移動度(溶出時間)を決定することができる。次いで、選択した疎水的相互作用カラムおよび/または方法上での決部分定された参照移動度を使用して、試験物質の親水性インデックスを計算することができる(実施例3に従って決定されるように)。例えば、アウリスタチンT-Glu-Dpr-MA、mc-MMAFおよびmc-vc-PABC-MMAE薬物リンカーを使用して、参照として使用するコンジュゲートを形成することができる。別の例では、アウリスタチンT-Glu-Dpr-MA-h1F6 ADC、h1F6-mc-MMAFおよびh1F6-mc-vc-PABC-MMAE ADCを、参照として使用することができる。
【0059】
上記を考慮して、実施形態の一つの群では、リガンド単位、およびリガンド単位に結合している複数のリンカー-薬物単位を含むリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートが提供される。リンカー単位は、例えば、チオエーテル連結を介してリガンド結合構成要素を含む親水性リンカー(L)アセンブリーを含む。薬物単位は、リンカー単位への接続のための結合構成要素を有する細胞毒性剤を含む。実施形態の別の群では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートが提供され、リンカー部分は、親水性リンカーアセンブリーを含み、薬物単位は、細胞毒性剤を含む。
【0060】
関連する実施形態では、疾患の処置のために、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートを患者に投与する方法が提供される。疾患は、例えば、がんまたは自己免疫疾患であり得る。リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、治療有効量で、かつ治療的に有効なスケジュールで投与される。いくつかの態様では、コンジュゲート用量は、匹敵する2負荷されたコンジュゲート(匹敵するスケジュールで投与される)の用量と同じであるか、またはそれ未満である。いくつかの態様では、コンジュゲート用量は、匹敵する4負荷されたコンジュゲート(匹敵するスケジュールで投与される)の用量と同じであるか、またはそれ未満である。いくつかの態様では、コンジュゲート用量は、匹敵する2負荷されたコンジュゲートの用量と同じであるか、またはそれ未満であり、一方、投与スケジュールは、同じであるか、またはより低い頻度である。いくつかの態様では、コンジュゲート用量は、匹敵する4負荷されたコンジュゲートの用量と同じであるか、またはそれ未満であり、一方、投与スケジュールは、同じであるか、またはより低い頻度である。いくつかのさらなる態様では、コンジュゲート用量はより少なく、投与スケジュールは、匹敵する2負荷されたコンジュゲートの投与スケジュールと同じであるか、またはそれより低い頻度である。いくつかのさらなる態様では、コンジュゲート用量はより少なく、投与スケジュールは、匹敵する4負荷されたコンジュゲートの投与スケジュールと同じであるか、またはそれより低い頻度である。比較のためのコンジュゲートは、例えば、2または4の薬物負荷量を有する同じリガンド-薬物-リンカーコンジュゲートであり得る。
【0061】
実施形態の別の群では、薬物-リンカー単位が提供され、リンカー部分は、リガンドと反応するのに適したリガンド結合構成要素(例えば、結合したマレイミド部分)を有する親水性リンカー(L)アセンブリーを含む。実施形態の別の群では、リガンド-リンカーコンジュゲートが提供され、リンカー部分は、薬物単位の結合および放出に適したフィーチャを有する親水性リンカー(L)アセンブリーを含む。
【0062】
実施形態の別の群では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートを作製する方法が提供される。いくつかの態様では、リンカー部分は、リガンドと反応するのに適した結合したマレイミド部分を有する親水性リンカー(L)アセンブリーを含む。さらなる態様では、リンカー部分は、薬物単位(結合しているとき)の放出に適したフィーチャを有する親水性リンカー(L)アセンブリーを含む。
リガンド-リンカー薬物コンジュゲート
【0063】
一態様では、下記の式
【化3】
を有するリガンド-リンカー-薬物コンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が提供され、
式中、
Lは、標的に特異的に結合するリガンドであり、
は、リガンド結合構成要素であり、Lは、任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、Lの各枝は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有し、
式中、
AAは、それが結合している薬物単位のC末端と共に切断可能なペプチド結合を形成する親水性アミノ酸であり、
L1は任意選択であり、そして、RL1が存在しかつRL2およびRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L2は任意選択であり、そして、RL2が存在しかつRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L3は任意選択であり、そして、RL3が存在するとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
添え字pは、4~約20の整数であり、
添え字p’は、1~4の整数であり、
Dは、式
【化4】
を有し、
式中、
およびRのそれぞれは、水素(H)および任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、ただし、RおよびR3’の両方がHでない場合を除いて、RおよびRの両方がHであることはなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
3’は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
およびR3’の少なくとも一つは、Hではなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択されるか、
またはRおよびRは、炭素環式環を一緒に形成し、式-(CR-(式中、RおよびRは、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、nは、2、3、4、5および6からなる群から選択される)を有し、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
各Rは、H、-OH、任意選択で置換されている-C~Cアルキル、および任意選択で置換されている-O-(C~Cアルキル)からなる群から独立に選択され、
12は、H、任意選択で置換されている-C~Cアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されている-Xアリール、任意選択で置換されている-C~C炭素環、任意選択で置換されている-X-(C~C炭素環)、任意選択で置換されている-C~Cアルキレン-NH、任意選択で置換されている-C~C複素環および任意選択で置換されている-X-(C~C複素環)から選択され、
各Xは、独立に、-C~C10アルキレンであり、
リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、2と等しいかまたは2未満である親水性インデックスを有し、
の左および右のラインは、それぞれ、薬物単位およびLへの共有結合を示し、各Dの波線は、Lへの共有結合を示す。
【0064】
関連する態様では、下記の式
【化5】
を有するリガンド-リンカー-薬物コンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が提供され、
式中、
Lは、標的に特異的に結合するリガンドであり、
は、リガンド結合構成要素であり、
は、任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、Lの各枝は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有し、
式中、
AAは、それが結合している薬物単位のC末端と共に切断可能なペプチド結合を形成する親水性アミノ酸であり、
L3およびRL3が存在しないとき、RL1は、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L2は任意選択であり、そして、RL2が存在しかつRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L3は任意選択であり、そして、RL3が存在するとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
添え字pは、4~約20の整数であり、
添え字p’は、1~4の整数であり、
Dは、式
【化6】
を有し、
式中、
およびRのそれぞれは、水素(H)および任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、ただし、RおよびR3’の両方がHでない場合を除いて、RおよびRの両方がHであることはなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
3’は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
およびR3’の少なくとも一つは、Hではなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択されるか、
またはRおよびRは、炭素環式環を一緒に形成し、式-(CR-(式中、RおよびRは、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、nは、2、3、4、5および6からなる群から選択される)を有し、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
各Rは、H、-OH、任意選択で置換されている-C~Cアルキル、および任意選択で置換されている-O-(C~Cアルキル)からなる群から独立に選択され、
12は、H、任意選択で置換されている-C~Cアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されている-Xアリール、任意選択で置換されている-C~C炭素環、任意選択で置換されている-X-(C~C炭素環)、任意選択で置換されている-C~Cアルキレン-NH、任意選択で置換されている-C~C複素環および任意選択で置換されている-X-(C~C複素環)から選択され、
各Xは、独立に、-C~C10アルキレンであり、
リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、2と等しいかまたは2未満である親水性インデックスを有し、
の左および右のラインは、それぞれ、薬物単位およびLへの共有結合を示し、各Dの波線は、Lへの共有結合を示す。
【0065】
式IおよびI’のリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートの様々な構成要素を、以下でより詳細に提供する。
【0066】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも4個のリンカー-薬物単位を含み、リガンド単位、および薬物単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位(複数可)によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、各リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
【0067】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも6個のリンカー-薬物単位を含み、リガンド単位、および薬物単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位(複数可)によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、各リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
【0068】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも8個のリンカー-薬物単位を含み、リガンド単位、および薬物単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位(複数可)によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、各リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
【0069】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも10個のリンカー-薬物単位を含み、リガンド単位、および薬物単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位(複数可)によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、各リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
【0070】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも16個のリンカー-薬物単位を含み、リガンド単位、および薬物単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位(複数可)によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、各リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
薬物単位
【0071】
式IおよびI’の薬物単位に言及すると、いくつかの実施形態では、R12は、H、任意選択で置換されている-C~Cアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されている-Xアリール、任意選択で置換されている-C~C炭素環、任意選択で置換されている-X-(C~C炭素環)、任意選択で置換されている-C~Cアルキレン-NH、任意選択で置換されている-C~C複素環および任意選択で置換されている-X-(C~C複素環)から選択される。
【0072】
いくつかの関連する実施形態では、R12は、フェニルアラニンの側鎖でもプロリンの側鎖でもない。いくつかのさらなる関連する実施形態では、R12は、フェニルアラニンの側鎖でもメチオニンの側鎖でもトリプトファンの側鎖でもプロリンの側鎖でもない。
【0073】
いくつかの実施形態では、R12は、プロリンおよびグリシン以外の天然L-アミノ酸の側鎖から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R12は、プロリン、グリシンおよびフェニルアラニン以外の天然L-アミノ酸の側鎖から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R12は、プロリン、グリシン、トリプトファン、メチオニンおよびフェニルアラニン以外の天然L-アミノ酸の側鎖から選択される。
【0074】
いくつかのさらなる実施形態では、R12は、トレオニン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ホモセリン、ヒドロキシバリン、フリルアラニン、トレオニン(PO)、ピラゾリルアラニン、トリアゾリルアラニンおよびチアゾリルアラニンからなる親水性アミノ酸の群の側鎖から選択される。
【0075】
いくつかの実施形態では、R12は、トレオニンの側鎖である。
【0076】
例示的な薬物単位は、下記の式を有するか、または薬学的に許容されるその塩であり、波線は、リンカー単位への結合の部位を示す。いくつかの例示的な単位において、薬物単位は、以下に示すようなジメチル-もしくはモノメチル-アウリスタチンF
【化7】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0077】
他の例示的な薬物単位は、アウリスタチンTのジメチルもしくはモノメチル形態
【化8】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
リンカー単位
【0078】
式IおよびI’のリンカー単位に言及すると、いくつかの実施形態では、Lは、リガンドの硫黄原子に共有結合的に連結されている。いくつかの態様では、硫黄原子は、抗体の鎖間ジスルフィド結合を形成することができるシステイン残基の硫黄原子である。別の態様では、硫黄原子は、リガンド単位中に導入された(例えば、部位特異的変異誘発または化学反応による)システイン残基の硫黄原子である。さらなる態様では、Lが結合している硫黄原子は、抗体の鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基、およびリガンド単位中に導入された(例えば、部位特異的変異誘発または化学反応による)システイン残基から選択される。
【0079】
AAは、薬物単位と共に切断可能な結合を形成する。AAが薬物単位のアミノ酸に結合している実施形態では、AAは、薬物単位と共に切断可能なペプチド結合を形成する。切断可能なペプチド結合は、コンジュゲートがその標的部位に達したとき、プロテアーゼによる切断の影響を受けやすい。いくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸、典型的にはグリシン、ならびにアスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型からなる群から選択されるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、AAは、グルタメートである。
【0080】
L1が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-CO-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RL1は、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0081】
L1が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL1は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0082】
L2が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RL2が存在するとき、それは、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0083】
L2が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL2は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0084】
L3が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0085】
いくつかのさらなる実施形態では、RL3が存在するとき、それは、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0086】
L3が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL1は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0087】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1、RL2およびRL3は存在しない。
【0088】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2およびRL3は存在しない。
【0089】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在しない。
【0090】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在する。
【0091】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0092】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0093】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0094】
上記のいくつかの実施形態では、AAおよびRL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0095】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1および任意選択でRL2は、上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0096】
上記のいくつかの実施形態では、Lは、グリシンジペプチド(Gly-Gly)も、トリペプチドも、テトラペプチドも含まない。いくつかの実施形態では、Lは、ペプチドAsn-(D)Lysを含まない。
【0097】
いくつかの実施形態では、Lは、2~4個のアミノ酸を有する修飾されたペプチドを含む。修飾されたペプチドは、1位において、薬物単位の放出(例えば、アミドペプチド結合を介したプロテアーゼ切断による)を最適化するように選択されるアミノ酸(AA)を有する。一つまたは両方の位置において、RL1およびRL2は、ペプチドの典型的なNからCへの連結の配向を逆転させ(アミド結合を形成する)、最後のアミノ酸(例えば、RL2またはRL3)の結合を促進するアミノ酸であり、これはリガンド単位の結合の前に、マレイミドとして保護されたα-アミノ基を含む。逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸は、その側鎖を介して次の基に結合している。いくつかの実施形態では、このアミノ酸は、アルファアミノ酸である。他の実施形態では、それは、ベータまたはガンマアミノ酸であり得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、側鎖は、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、および-CHCHCHCHNH-から選択される。
【0098】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2またはRL3に結合しており、RL2またはRL3は、親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンである。
【0099】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2に結合しており、RL2は、任意選択で置換されているアルキレンである。
【0100】
いくつかのさらなる実施形態では、Lは、親水性で切断可能なリンカーであり、各枝は、式
【化9】
を有し、式中、R21は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOHおよび-CHCHCHCHCOHから選択され、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、薬物単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0101】
さらなる実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化10】
を有し、式中、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。いくつかの実施形態では、R22は、-CHNHおよび-CHCHNHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、薬物単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0102】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化11】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、薬物単位およびLへの結合を示す。
【0103】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化12】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、薬物単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0104】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化13】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、薬物単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0105】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化14】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、薬物単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0106】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化15】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、薬物単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0107】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化16】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、薬物単位およびLへの結合を示す。
【0108】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化17】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、薬物単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0109】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化18】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、
式中、各R31は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHからなる群から独立に選択され、R31に隣接するバーのそれぞれは、D単位への結合を示し、垂直の破線は、リガンド単位への結合を示す。
【0110】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化19】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、
式中、バーのそれぞれは、薬物単位への結合を示し、垂直の破線は、リガンド単位への結合を示す。
【0111】
サブユニットを、以下でより詳細に記載する。
【0112】
式IおよびI’のリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートに再び言及すると、いくつかのさらなる実施形態では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、
【化20】
から選択される式を有し、
式中、Sは、リガンドの硫黄原子を指す。
【0113】
特定の実施形態は、下記
【化21】
(式中、Sは、リガンドの硫黄原子を指す)、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む。
【0114】
さらに別の態様では、下記の式
【化22】
を有するリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートが提供され、
式中、
Lは、標的に特異的に結合するリガンドであり、
は、リガンド結合構成要素であり、
は、任意選択の親水性リンカーであり、Lの各枝は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有し、
式中、
AAは、Dと切断可能な結合を形成する親水性アミノ酸であり、
L1は任意選択であり、そして、RL1が存在しかつRL2およびRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L2は任意選択であり、そして、RL2が存在しかつRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L3は任意選択であり、そして、RL3が存在するとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
は、リガンド結合構成要素であり、
添え字pは、4~約20の整数であり、
添え字p’は、1~4の整数であり、
リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、2と等しいかまたは2未満である親水性インデックスを有し、Lの左および右のラインは、それぞれ、D単位およびLへの共有結合を示し、
は、本明細書にさらに記載されているようなエフェクター部分である。
【0115】
式IIのリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートの様々な構成要素を、以下でより詳細に提供する。
【0116】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも4個のリンカー-D単位を含み、リガンド単位およびD単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
【0117】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも6個のリンカー-D単位を含み、リガンド単位およびD単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
【0118】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも8個のリンカー-D単位を含み、リガンド単位およびD単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
【0119】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも10個のリンカー-D単位を含み、リガンド単位およびD単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
【0120】
いくつかの態様では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位および少なくとも16個のリンカー-D単位を含み、リガンド単位およびD単位(複数可)のそれぞれは、親水性リンカー(L)アセンブリーを含むリンカー単位によって接合される。いくつかのさらなる態様では、リンカー単位は、チオエーテル結合を介してリガンド単位に結合している。いくつかの関連する態様では、リンカー単位は、チオエーテル連結を介してリガンド単位に直接コンジュゲートしている加水分解されたスクシンイミド環(またはコハク酸)をさらに含む。
【0121】
式IIのリンカー単位に言及すると、いくつかの実施形態では、Lは、リガンドの硫黄原子に共有結合的に連結されている。いくつかの態様では、硫黄原子は、抗体の鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基の硫黄原子である。別の態様では、硫黄原子は、リガンド単位中に導入された(例えば、部位特異的変異誘発または化学反応による)システイン残基の硫黄原子である。さらなる態様では、Lが結合している硫黄原子(複数可)は、抗体の鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基、およびリガンド単位中に導入された(例えば、部位特異的変異誘発または化学反応による)システイン残基から選択される。
【0122】
AAは、D単位と共に切断可能な結合を形成する。AAがD単位のアミノ酸に結合している実施形態では、AAは、D単位と共に切断可能なペプチド結合を形成する。切断可能なペプチド結合は、コンジュゲートがその標的部位に達したとき、プロテアーゼによる切断の影響を受けやすい。他の実施形態では、AAは、コンジュゲートがその標的とした部位に達するとき、切断(例えば、プロテアーゼによる)の影響を受けやすいエフェクター部分(D)の結合部位と共にアミド結合を形成する。式IIのいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸、典型的にはグリシン、ならびにアスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型からなる群から選択される天然アミノ酸である。いくつかの実施形態では、AAは、グルタメートである。
【0123】
L1が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RL1は、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0124】
L1が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL1は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0125】
L2が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0126】
いくつかのさらなる実施形態では、RL2が存在するとき、それは、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0127】
L2が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL2は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0128】
L3が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0129】
いくつかのさらなる実施形態では、RL3が存在するとき、それは、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、HCOHおよび-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0130】
L3が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL3は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0131】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1、RL2およびRL3は存在しない。
【0132】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2およびRL3は存在しない。
【0133】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在しない。
【0134】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在する。
【0135】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0136】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0137】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0138】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、AAおよびRL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0139】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1および任意選択でRL2は、上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0140】
上記のいくつかの実施形態では、Lは、グリシンジペプチド(Gly-Gly)も、トリペプチドも、テトラペプチドも含まない。いくつかの実施形態では、Lは、ペプチドAsn-(D)Lysを含まない。
【0141】
いくつかの実施形態では、Lは、2~4個のアミノを有する修飾されたペプチドを含む。修飾されたペプチドは、1位において、D単位の放出(例えば、アミドペプチド結合を介したプロテアーゼ切断による)を最適化するように選択されるアミノ酸(AA)を有する。一つまたは両方の位置において、RL1およびRL2は、ペプチドの典型的なNからCへの連結の配向を逆転させ、最後のアミノ酸(例えば、RL2またはRL3)の結合を促進するアミノ酸であり、これはリガンド単位の結合の前に、マレイミドとして保護されたα-アミノ基を含む。逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸は、その側鎖を介して次の基に結合している。いくつかの実施形態では、このアミノ酸は、アルファアミノ酸である。他の実施形態では、それは、ベータまたはガンマアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、側鎖は、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH-、および-CHCHCHCHNHから選択される。
【0142】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2またはRL3に結合しており、RL2またはRL3は、親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンである。
【0143】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2に結合しており、RL2は、任意選択で置換されているアルキレンである。
【0144】
いくつかのさらなる実施形態では、Lは、親水性で切断可能なリンカーであり、各枝は、式
【化23】
を有し、式中、R21は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0145】
さらなる実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化24】
を有し、式中、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、-CHNHおよび-CHCHNHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0146】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化25】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0147】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化26】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0148】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化27】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0149】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化28】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0150】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化29】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0151】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化30】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0152】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化31】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびL、またはLの枝への結合を示す。
【0153】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化32】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、
式中、各R31は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHからなる群から独立に選択され、R31に隣接するバーのそれぞれは、D単位への結合を示し、垂直の破線は、リガンド単位への結合を示す。
【0154】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化33】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、
式中、バーのそれぞれは、D単位への結合を示し、垂直の破線は、リガンド単位への結合を示す。
【0155】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、分枝鎖状親水性リンカーは、式
【化34】
を有する。
【0156】
式IIのリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートに再び言及すると、いくつかのさらなる実施形態では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、
【化35】
から選択される式を有し、
式中、Sは、リガンドの硫黄原子を指す。
-リガンド結合構成要素
【0157】
式I、I’およびII(上述)に再び言及すると、Lは、リガンド結合構成要素である。いくつかの実施形態では、Lは、マレイミドまたは加水分解されたマレイミドもしくはスクシンイミド基(以下でコハク酸部分として例示)であり得る。Lがリガンド単位に結合しているいくつかの実施形態では、それは、加水分解されたマレイミドまたはスクシンイミド基(コハク酸部分として例示)である。したがって、いくつかの実施形態では、Lは、式
【化36】
を有し、式中、波線は、Lへの結合点を示し、\\は、L、リガンド単位への結合点を示す。
【0158】
他の実施形態では、Lは、式
【化37】
を有し、式中、波線は、Lへの結合点を示し、\\は、L、リガンド単位への結合点を示す。
【0159】
本発明の状況において、いくつかの実施形態では(上に示すように)、Lは、リガンド部分の結合のために使用されるマレイミド基の形跡である。LおよびLの設計は、リガンド単位の容易な付加を可能とし、さらなるカルボン酸基を提供し、これによってリガンド-薬物コンジュゲートの親水性を増大させる。またさらに、マレイミド窒素は、アミノ酸3のα-アミンとなる(Lに関して)。
L-リガンド
【0160】
式I、I’およびIIに再び言及すると、リガンド単位(L-)は、標的部分に特異的に結合する標的化剤である。リガンドは、細胞構成要素または目的の他の標的分子に特異的に結合することができる。標的部分または標的は典型的には、細胞表面上にある。いくつかの態様では、リガンド単位は、リガンド単位が相互作用する特定の標的細胞集団に薬物単位を送達するように作用する。リガンドには、これらに限定されないが、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチド、ならびに非タンパク性の剤、例えば、炭水化物が含まれる。適切なリガンド単位には、例えば、抗体、例えば、完全長(インタクトな)抗体、およびその抗原結合フラグメントが含まれる。
【0161】
リガンド単位が非抗体標的化剤である実施形態では、それは、ペプチドまたはポリペプチド、または非タンパク性分子であり得る。このような標的化剤の例には、インターフェロン、リンフォカイン、ホルモン、成長因子およびコロニー刺激因子、ビタミン、栄養素-輸送分子(これに限定されないが、トランスフェリンなど)、または任意の他の細胞結合分子もしくは物質が含まれる。
【0162】
いくつかの実施形態では、Lは、リガンドの硫黄原子に共有結合的に連結されている。いくつかの態様では、硫黄原子は、抗体の鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基の硫黄原子である。別の態様では、硫黄原子は、リガンド単位中に導入された(例えば、部位特異的変異誘発または化学反応による)システイン残基の硫黄原子である。さらなる態様では、Lが結合している硫黄原子は、抗体の鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基、およびリガンド単位中に導入された(例えば、部位特異的変異誘発または化学反応による)システイン残基から選択される。いくつかの実施形態では、システイン残基は、Kabat(Kabat E. A.ら(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、NIH Publication、91巻、3242頁)におけるようにEUインデックス付番方式に従って239位においてFc領域中に導入される。
【0163】
いくつかの態様では、リガンド単位は、リガンドのスルフヒドリル基を介してL上に存在するマレイミドと結合を形成し、チオ置換スクシンイミドを形成する。スルフヒドリル基は、リガンドの天然状態のリガンド、例えば、天然に存在する抗体上に存在することができるか、またはリガンド中に化学修飾によって導入することができる。残りのスクシンイミドの加水分解は、L部分を生成する。
【0164】
一態様では、リガンド単位は、化学修飾して、1個または複数のスルフヒドリル基を導入することができる、1個または複数のリシン残基を有する。リシンを修飾するために使用することができる試薬には、これらに限定されないが、N-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)および2-イミノチオラン塩酸塩(トラウト試薬)が含まれる。
【0165】
別の実施形態では、リガンド単位は、化学修飾して、1個または複数のスルフヒドリル基を有することができる、1個または複数の炭水化物基を有することができる。
【0166】
別の実施形態では、スルフヒドリル基は、鎖間ジスルフィドの還元によって生じさせることができる。したがって、いくつかの実施形態では、リンカー単位は、還元された鎖間ジスルフィドのシステイン残基にコンジュゲートされる。
【0167】
別の実施形態では、スルフヒドリル基は、例えば、システイン残基の導入によって、抗体中に化学的に導入される。したがって、いくつかの実施形態では、リンカー単位は、導入されたシステイン残基にコンジュゲートされる。
【0168】
コンジュゲートが、抗体の代わりに非免疫反応性タンパク質リガンド、ポリペプチドリガンド、またはペプチドリガンドを含むとき、有用な非免疫反応性タンパク質リガンド、ポリペプチドリガンド、またはペプチドリガンドには、これらに限定されないが、トランスフェリン、上皮成長因子(「EGF」)、ボンベシン、ガストリン、ガストリン放出ペプチド、血小板由来増殖因子、IL-2、IL-6、トランスフォーミング増殖因子(「TGF」)、例えば、TGF-αおよびTGF-β、ワクチニア増殖因子(「VGF」)、インスリンおよびインスリン様成長因子IおよびII、ソマトスタチン、レクチン、ならびに低密度リポタンパク質からのアポタンパク質が含まれる。
【0169】
特に好ましいリガンドは、抗体である。実際は、本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおいて、リガンド単位は、抗体でよい。有用なポリクローナル抗体は、免疫された動物の血清に由来する抗体分子の不均質な集団である。有用なモノクローナル抗体は、特定の抗原決定基に対する(例えば、がん細胞抗原、ウイルス抗原、微生物抗原、タンパク質、ペプチド、炭水化物、化学物質、核酸、またはそのフラグメントに対する)抗体の均質な集団である。目的の抗原に対するモノクローナル抗体(mAb)は、培養において連続細胞系による抗体分子の産生を実現する当技術分野において公知の任意の技術を使用することによって調製することができる。
【0170】
有用なモノクローナル抗体には、これらに限定されないが、ヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、またはキメラのヒト-マウス(または他の種)モノクローナル抗体が含まれる。抗体は、完全長抗体およびその抗原結合フラグメントを含む。ヒトモノクローナル抗体は、多数の当技術分野で公知の技術のいずれかによって作製し得る(例えば、Tengら、1983年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、80巻:7308~7312頁;Kozborら、1983年、Immunology Today、4巻:72~79頁;およびOlssonら、1982年、Meth. Enzymol.、92巻:3~16頁)。
【0171】
抗体は、標的細胞(例えば、がん細胞抗原、ウイルス抗原、もしくは微生物抗原)に免疫特異的に結合する抗体の抗原結合フラグメント、誘導体もしくは類似体、または腫瘍細胞もしくはマトリックスに結合する他の抗体であり得る。これに関しては、「抗原結合」は、フラグメント、誘導体または類似体が、標的部分に特異的に結合することができることを意味する。具体的には、例示的な実施形態では、免疫グロブリン分子のイディオタイプの抗原性は、抗原を特異的に認識するCDR配列に対してC末端であるフレームワークおよびCDR配列の欠失によって増強させることができる。どのCDR配列が抗原に結合するかを決定するために、CDR配列を含有する合成ペプチドを、当技術分野において公知の任意の結合アッセイ方法(例えば、BIAコアアッセイ)によって、抗原を伴う結合アッセイにおいて使用することができる(例えば、Kabatら、1991年、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、National Institute of Health、Bethesda、Md;Kabat Eら、1980年、J. Immunology 125巻(3号):961~969頁を参照されたい)。
【0172】
他の有用な抗体は、これらに限定されないが、F(ab’)フラグメント、Fabフラグメント、Fvs、単鎖抗体、二特異性抗体、三特異性抗体、四特異性抗体、scFv、scFv-FV、または抗体に由来し、かつ抗体と同じ特異性を有する任意の他の分子などの抗体の抗原結合フラグメントを含む。
【0173】
さらに、標準的組換えDNA技術を使用して作製することができる、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含む組換え抗体、例えば、キメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、有用な抗体である。キメラ抗体は、異なる部分が、異なる動物種、例えば、マウスモノクローナルに由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するものに由来する分子である。(例えば、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている米国特許第4,816,567号;および米国特許第4,816,397号を参照されたい。)ヒト化抗体は、非ヒト種からの一つまたは複数の相補性決定領域(CDR)、およびヒト免疫グロブリン分子から誘導されたフレームワーク領域を有する非ヒト種からの抗体分子である。(例えば、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている米国特許第5,585,089号を参照されたい。)このようなキメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野で公知の組換えDNA技術によって、例えば、これらの各々が参照により本明細書中にその全体が組み込まれている、国際公開第WO87/02671号;欧州特許出願公開第0184187号;欧州特許出願公開第0171496号;欧州特許出願公開第0173494号;国際公開第WO86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願公開第012023号;Berterら、1988年、Science、240巻:1041~1043頁;Liuら、1987年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、84巻:3439~3443頁;Liuら、1987年、J. Immunol.、139巻:3521~3526頁;Sunら、1987年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、84巻:214~218頁;Nishimuraら、1987年、Cancer. Res.、47巻:999~1005頁;Woodら、1985年、Nature、314巻:446~449頁;およびShawら、1988年、J. Natl. Cancer Inst.、80巻:1553~1559頁;Morrison、1985年、Science、229巻:1202~1207頁;Oiら、1986年、BioTechniques、4巻:214頁;米国特許第5,225,539号;Jonesら、1986年、Nature、321巻:552~525頁;Verhoeyanら、1988年、Science、239巻:1534頁;およびBeidlerら、1988年、J. Immunol.、141巻:4053~4060頁に記載されている方法を使用して産生することができる。
【0174】
完全ヒト抗体が特に望ましく、内在性免疫グロブリン重鎖および軽鎖可変領域遺伝子を発現することができないが、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子を発現することができる、トランスジェニックマウスを使用して産生することができる。
【0175】
抗体は、Fc受容体と相互作用するアミノ酸残基において修飾(例えば、置換、欠失および/または付加)を有することができる。特に、抗体は、抗FcドメインおよびFcRn受容体の間の相互作用に関与していると同定されているアミノ酸残基において修飾を有することができる(例えば、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている国際公開第WO97/34631号を参照されたい)。抗体はまた、抗FcドメインおよびFcガンマ受容体IIIの間の相互作用に関与していると同定されている、アミノ酸残基中に修飾を有することができる。
【0176】
がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体は、商業的に得ることができ、または当業者には公知の任意の方法、例えば、化学合成もしくは組換え発現技術などによって産生することができる。がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列は、例えば、GenBankデータベースまたは同様のデータベース、文献資料から、または通例のクローニングおよび配列決定によって得ることができる。
【0177】
特定の実施形態では、がんの処置のための抗体を使用することができる。がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体は、商業的に得ることができ、または当業者には公知の任意の方法、例えば、組換え発現技術などによって産生することができる。がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列は、例えば、GenBankデータベースまたは同様のデータベース、文献資料から、または通例のクローニングおよび配列決定によって得ることができる。
【0178】
別の特定の実施形態では、自己免疫疾患の処置のための抗体は、本発明の組成物および方法に従って使用される。自己免疫性抗体の産生に関与している細胞の抗原に対して免疫特異的な抗体は、任意の機関(例えば、大学の科学者もしくは会社)から得ることができ、または当業者には公知の任意の方法、例えば、化学合成もしくは組換え発現技術などによって産生することができる。
【0179】
ある特定の実施形態では、有用な抗体は、受容体または受容体複合体に結合することができる。受容体または受容体複合体は、例えば、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーメンバー、TNF受容体スーパーファミリーメンバー、インテグリン、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、主要組織適合性タンパク質、レクチン、または補体制御タンパク質を含むことができる。
【0180】
いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化CD70抗体(例えば、US2009/0148942を参照されたい)、ヒト化CD19抗体(例えば、US2009/0136526を参照されたい)、キメラもしくはヒト化CD30抗体(例えば、US2010/0239571を参照されたい)、ヒト化CD33抗体(US2013/0309223)、ヒト化ベータ6抗体(例えば、WO2013/123152を参照されたい)、またはヒト化Liv-1抗体(例えば、US2013/0259860を参照されたい)である。
薬物負荷量-「p」
【0181】
式I、I’およびIIのリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートに再び全体的に言及すると、リガンド当たりの薬物-リンカー単位の数は、pによって表される。(この文脈において、薬物-リンカーの薬物は、細胞毒性剤でよい。)リンカーが分枝鎖状でない実施形態では、pは、リガンド(例えば、抗体)当たりの薬物-リンカー分子の数を表す。個々のコンジュゲートに言及するとき、pは、リガンド当たりの薬物-リンカー分子の数を表す整数である。複数のコンジュゲートを含有する組成物に言及するとき、pは、リガンド当たりの薬物-リンカーの平均数(またはリンカーが分枝鎖状でない実施形態では、リガンド(例えば、抗体)当たりの薬物-リンカー分子の平均数)を表す。変数pは、4~20、典型的には6~12、8~12または8~16、または20までの範囲である。
【0182】
コンジュゲーション反応からの調製におけるリガンド単位当たりの薬物-リンカー単位の平均数は、通常の手段、例えば、質量分析、ELISAアッセイ、HICおよびHPLCによって特性決定し得る。リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートのpに関する定量的分布もまた決定し得る。場合によって、均質なリガンド-薬物コンジュゲート(pは、他の薬物負荷量を有するリガンド-薬物コンジュゲートからの特定の値である)の分離、精製、および特性決定は、手段、例えば、逆相HPLCまたは電気泳動によって達成し得る。
活性アッセイ
【0183】
リガンド-薬物コンジュゲートが細胞系に対して細胞毒性効果を発揮するかどうかを決定するために使用することができるいくつかの異なるアッセイが存在する。リガンド-薬物コンジュゲートが細胞系に対して細胞毒性効果を発揮するかどうかを決定するための一例において、チミジン組込みアッセイを使用する。例えば、5,000個細胞/96ウェルプレートのウェルの密度の細胞を、72時間培養し、その72時間の最後の8時間の間に0.5μCiのH-チミジンに曝露させ、リガンド-薬物コンジュゲートの存在下および非存在下で、培養物の細胞中へのH-チミジンの組込みを測定する。リガンド-薬物コンジュゲートは、同じ条件下で培養されたが、リガンド-薬物コンジュゲートと接触していない同じ細胞と比較して、培養物の細胞がH-チミジン組込みを低減させた場合、細胞に対して細胞毒性効果を有する。(また、Klussmanら、Bioconjugate Chemistry、15巻:765~773頁(2004年);Doroninaら、Bioconjugate Chemistry、17巻:114~124頁(2006年)を参照されたい。)
【0184】
別の例において、リガンド-薬物コンジュゲートが細胞系に対して細胞毒性効果を発揮するかを決定するために、細胞生存率を、細胞中で色素、例えば、ニュートラルレッド、トリパンブルー、またはALAMAR(商標)ブルーの取込みを決定することによって測定する(例えば、Pageら、1993年、Intl. J. of Oncology、3巻:473~476頁を参照されたい)。このようなアッセイにおいて、色素を含有する培地中で細胞をインキュベートし、細胞を洗浄し、色素の細胞の取込みを反映する残存する色素を分光光度法で測定する。タンパク質結合色素スルホローダミンB(SRB)をまた使用して、細胞毒性を測定することができる(Skehanら、1990年、J.
Nat’l Cancer Inst.、82巻:1107~12頁)。好ましいリガンド-薬物コンジュゲートは、細胞系に対して1000ng/ml未満、好ましくは500ng/ml未満、より好ましくは100ng/ml未満、さらに最も好ましくは50未満またはそれどころか10ng/ml未満のIC50値(50%の細胞死滅を生じさせるmAB濃度として定義される)を有するものを含む。
薬物-リンカー化合物
【0185】
別の態様では、式
【化38】
を有する薬物-リンカー化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が提供され、
式中、
は、リガンド結合構成要素であり、
は、任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、各枝は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有し、式中、
AAは、これが結合しているD単位のC末端と切断可能な結合を形成する親水性アミノ酸であり、
L1は任意選択であり、そして、RL1が存在しかつRL2およびRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンであり、
L2は任意選択であり、そして、RL2が存在しかつRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L3は任意選択であり、そして、RL3が存在するとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
添え字p’は、1~4の整数であり、
は、エフェクター部分(本明細書に記載のような)であり、
薬物-リンカーと共に形成されるリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、2と等しいかまたは2未満である親水性インデックスを有し、
の左および右のラインは、それぞれ、D単位およびLへの共有結合を示す。
【0186】
関連する態様IV’において、下記の式
【化39】
を有する薬物-リンカー化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が提供され、
式中、
は、リガンド結合構成要素であり、
は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有する任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、
式中、
AAは、これが結合しているD単位のC末端と切断可能な結合を形成する親水性アミノ酸であり、
L3およびRL3が存在しないとき、RL1は、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンであり、
L2は任意選択であり、そして、RL2が存在しかつRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L3は任意選択であり、そして、RL3が存在するとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
は、リガンド結合構成要素であり、
添え字p’は、1~4の整数であり、
は、エフェクター部分(本明細書に記載のような)であり、
薬物-リンカーから形成されるリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、2と等しいかまたは2未満である親水性インデックスを有し、
の左および右のラインは、それぞれ、D単位およびLへの共有結合を示す。
【0187】
式IVおよびIV’のリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートの様々な構成要素を、以下でより詳細に提供する。
薬物単位、D
【0188】
式IVおよびIV’に言及すると、薬物単位、Dは、式
【化40】
を有するエフェクター部分であり、
式中、
およびRのそれぞれは、水素(H)および任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、ただし、RおよびR3’の両方がHでない場合を除いて、RおよびRの両方がHであることはなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
3’は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
およびR3’の少なくとも一つは、Hではなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択されるか、
またはRおよびRは、炭素環式環を一緒に形成し、式-(CR-(式中、RおよびRは、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、nは、2、3、4、5および6からなる群から選択される)を有し、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
各Rは、H、-OH、任意選択で置換されている-C~Cアルキル、および任意選択で置換されている-O-(C~Cアルキル)からなる群から独立に選択され、
12は、H、任意選択で置換されている-C~Cアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されている-Xアリール、任意選択で置換されている-C~C炭素環、任意選択で置換されている-X-(C~C炭素環)、任意選択で置換されている-C~Cアルキレン-NH、任意選択で置換されている-C~C複素環および任意選択で置換されている-X-(C~C複素環)から選択され、
各Xは、独立に、-C~C10アルキレンである。
【0189】
いくつかの関連する実施形態では、R12は、フェニルアラニンの側鎖でもプロリンの側鎖でもない。いくつかのさらなる関連する実施形態では、R12は、フェニルアラニンの側鎖でもメチオニンの側鎖でもトリプトファンの側鎖でもプロリンの側鎖でもない。
【0190】
いくつかの実施形態では、R12は、天然L-アミノ酸(プロリン以外)およびグリシンの側鎖から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R12は、プロリン、グリシンおよびフェニルアラニン以外の天然L-アミノ酸の側鎖から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R12は、プロリン、グリシン、トリプトファン、メチオニンおよびフェニルアラニン以外の天然L-アミノ酸の側鎖から選択される。
【0191】
いくつかのさらなる実施形態では、R12は、トレオニン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ホモセリン、ヒドロキシバリン、フリルアラニン、トレオニン(PO)、ピラゾリルアラニン、トリアゾリルアラニンおよびチアゾリルアラニンからなる親水性アミノ酸の群の側鎖から選択される。
【0192】
いくつかの実施形態では、R12は、トレオニンの側鎖である。
リンカー単位
【0193】
式IVおよびIV’のリンカー単位に言及すると、いくつかの実施形態では、Lは、リガンドの硫黄原子に共有結合的に連結されている。いくつかの態様では、硫黄原子は、抗体の鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基の硫黄原子である。別の態様では、硫黄原子は、リガンド単位中に導入された(例えば、部位特異的変異誘発または化学反応による)システイン残基の硫黄原子である。さらなる態様では、Lが結合している硫黄原子は、抗体の鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基、およびリガンド単位中に導入された(例えば、部位特異的変異誘発または化学反応による)システイン残基から選択される。
【0194】
AAは、エフェクター部分、D、例えば、薬物単位と共に切断可能な結合を形成する。AAがDのアミノ酸に結合している実施形態では、AAは、Dと共に切断可能なペプチド結合を形成する。切断可能なペプチド結合は、コンジュゲートがその標的部位に達したとき、プロテアーゼによる切断の影響を受けやすい。他の実施形態では、AAは、コンジュゲートがその標的とした部位に達したときに、切断(例えば、プロテアーゼによる)の影響を受けやすいエフェクター部分の結合部位と共にアミド結合を形成する。いくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸、典型的には、グリシン、ならびにアスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型からなる群から選択される天然アミノ酸である。いくつかの実施形態では、AAは、グルタメートである。
【0195】
L1が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RL1は、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0196】
L1が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL1は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0197】
L2が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0198】
いくつかのさらなる実施形態では、RL2が存在するとき、それは、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0199】
L2が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL2は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0200】
L3が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RL3が存在するとき、それは、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0201】
L3が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL3は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0202】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1、RL2およびRL3は存在しない。
【0203】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2およびRL3は存在しない。
【0204】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在しない。
【0205】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在する。
【0206】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0207】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0208】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0209】
上記のいくつかの実施形態では、AAおよびRL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0210】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1および任意選択でRL2は、上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0211】
上記のいくつかの実施形態では、Lは、グリシンジペプチド(Gly-Gly)も、トリペプチドも、テトラペプチドも含まない。いくつかの実施形態では、Lは、ペプチドAsn-(D)Lysを含まない。
【0212】
いくつかの実施形態では、Lは、2~4個のアミノ酸を有する修飾されたペプチドを含む。修飾されたペプチドは、1位において、D単位の放出(例えば、アミドペプチド結合を介したプロテアーゼ切断による)を最適化するように選択されるアミノ酸(AA)を有する。一つまたは両方の位置において、RL1およびRL2は、ペプチドの典型的なNからCへの連結の配向を逆転させ、最後のアミノ酸(例えば、RL2またはRL3)の結合を促進するアミノ酸であり、これはリガンド単位の結合の前に、マレイミドとして保護されたα-アミノ基を含む。逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸は、その側鎖を介して次の基に結合している。いくつかの実施形態では、このアミノ酸は、アルファアミノ酸である。他の実施形態では、それは、ベータまたはガンマアミノ酸であり得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、側鎖は、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、および-CHCHCHCHNH-から選択される。
【0213】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2またはRL3に結合しており、RL2またはRL3は、親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンである。
【0214】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2に結合しており、RL2は、任意選択で置換されているアルキレンである。
【0215】
いくつかのさらなる実施形態では、Lは、親水性で切断可能なリンカーであり、各枝は、式
【化41】
を有し、式中、R21は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0216】
さらなる実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化42】
を有し、式中、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。いくつかの実施形態では、R22は、-CHNHおよび-CHCHNHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0217】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化43】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0218】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化44】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0219】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化45】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0220】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化46】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0221】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化47】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0222】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化48】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0223】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化49】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0224】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化50】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、
式中、各R31は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHからなる群から独立に選択され、バーのそれぞれは、D単位に対する結合部位を示す。
【0225】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化51】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、式中、バーのそれぞれは、D単位への結合を示す。
【0226】
サブユニットを、上記でより詳細に記載する。
【0227】
式IVおよびIV’の薬物リンカーコンジュゲートに再び言及すると、いくつかのさらなる実施形態では、薬物-リンカーは、
【化52】
から選択される式を有する。
【0228】
特定の実施形態は、下記
【化53】
またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む。
リンカー
【0229】
別の態様では、式
(Lp’-L (VII)
を有する親水性リンカー、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が提供され、式中、
は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有する任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、
は、リガンド結合構成要素であり、
p’は、1~4の整数であり、
の左および右のラインは、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す。
【0230】
式VIIに言及すると、いくつかの実施形態では、Lは、リガンドの硫黄原子に共有結合的に連結されている。Lは、例えば、硫黄原子への結合に適したマレイミドまたはスクシンイミド(succimimide)であり得る。
【0231】
AAは、エフェクター部分D、例えば、薬物単位と共に切断可能な結合を形成することができる。AAがDのアミノ酸に結合している実施形態では、AAは、Dと共に切断可能なペプチド結合を形成する。切断可能なペプチド結合は、コンジュゲートがその標的部位に達したとき、プロテアーゼによる切断の影響を受けやすい。他の実施形態では、AAは、コンジュゲートがその標的部位に達したとき、切断(例えば、プロテアーゼによる)の影響を受けやすいエフェクター部分の結合部位と共にアミド結合を形成する。いくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸、典型的には、グリシン、ならびにアスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型からなる群から選択される天然アミノ酸である。いくつかの実施形態では、AAは、グルタメートである。
【0232】
L1が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RL1は、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0233】
L1が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL1は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0234】
L2が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RL2が存在するとき、それは、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0235】
L2が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL2は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0236】
L3が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0237】
いくつかのさらなる実施形態では、RL3が存在するとき、それは、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0238】
L3が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL3は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0239】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1、RL2およびRL3は存在しない。
【0240】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2およびRL3は存在しない。
【0241】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在しない。
【0242】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在する。
【0243】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0244】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0245】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0246】
上記のいくつかの実施形態では、AAおよびRL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0247】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1および任意選択でRL2は、上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0248】
上記のいくつかの実施形態では、Lは、グリシンジペプチド(Gly-Gly)も、トリペプチドも、テトラペプチドも含まない。いくつかの実施形態では、Lは、ペプチドAsn-(D)Lysを含まない。
【0249】
いくつかの実施形態では、Lは、2~4個のアミノ酸を有する修飾されたペプチドを含む。修飾されたペプチドは、1位において、D単位の放出(例えば、アミドペプチド結合を介したプロテアーゼ切断による)を最適化するように選択されるアミノ酸(AA)を有する。一つまたは両方の位置において、RL1およびRL2は、ペプチドの典型的なNからCへの連結の配向を逆転させ、最後のアミノ酸(例えば、RL2またはRL3)の結合を促進するアミノ酸であり、これはリガンド単位の結合の前に、マレイミドとして保護されたα-アミノ基を含む。逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸は、その側鎖を介して次の基に結合している。いくつかの実施形態では、このアミノ酸は、アルファアミノ酸である。他の実施形態では、それは、ベータまたはガンマアミノ酸であり得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、側鎖は、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、および-CHCHCHCHNH-から選択される。
【0250】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2またはRL3に結合しており、RL2またはRL3は、親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンである。
【0251】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2に結合しており、RL2は、任意選択で置換されているアルキレンである。
【0252】
いくつかのさらなる実施形態では、Lは、親水性の切断可能なリンカーであり、各枝は、式
【化54】
を有し、式中、R21は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す。
【0253】
さらなる実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化55】
を有し、式中、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。いくつかの実施形態では、R22は、-CHNHおよび-CHCHNHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す。
【0254】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化56】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0255】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化57】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す。
【0256】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化58】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す。
【0257】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化59】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す。
【0258】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化60】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す。
【0259】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化61】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す。
【0260】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化62】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す。
【0261】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化63】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、式中、各R31は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHからなる群から独立に選択され、バーのそれぞれは、D単位に対する結合部位を示す。
【0262】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化64】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、式中、バーのそれぞれは、D単位に対する結合部位を示し、垂直の破線は、リガンド単位に対する結合部位を示す。
【0263】
サブユニットを、本明細書においてより詳細に記載する。
【0264】
上に示す実施形態のそれぞれにおいて、アミン、ヒドロキシルおよびカルボン酸基のそれぞれは、任意選択で保護された形態である。適切な保護基は、例えば、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、J. Wiley & Sonsにおいて提供され、一般に、互いに独立に除去可能であるように選択される。
リンカー-リガンドコンジュゲート
【0265】
さらに別の態様では、
([Lp’-L-L (X)
から選択される式を有するリンカー-リガンドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が提供され、
式中、
Lは、標的に特異的に結合するリガンドであり、
は、任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、Lの各枝は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有し、
は、リガンド結合構成要素であり、
添え字pは、約4~20の整数であり、
添え字p’は、1~4の整数であり、
の左および右のラインは、それぞれ、D単位およびLへの結合部位を示す。
【0266】
AAは、エフェクター部分D、例えば、薬物単位と共に切断可能な結合を形成することができる。AAがDのアミノ酸に結合している実施形態では、AAは、Dと共に切断可能なペプチド結合を形成する。切断可能なペプチド結合は、コンジュゲートがその標的部位に達したとき、プロテアーゼによる切断の影響を受けやすい。他の実施形態では、AAは、コンジュゲートがその標的部位に達したとき、切断(例えば、プロテアーゼによる)の影響を受けやすいエフェクター部分の結合部位と共にアミド結合を形成する。いくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸、典型的には、グリシン、ならびにアスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型からなる群から選択される天然アミノ酸である。いくつかの実施形態では、AAは、グルタメートである。
【0267】
いくつかの実施形態では、Lは、リガンドの硫黄原子に共有結合的に連結されている。Lは、例えば、硫黄原子への結合に適したマレイミドまたはスクシンイミドであり得る。
【0268】
L1が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RL1は、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0269】
L1が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL1は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0270】
L2が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0271】
いくつかのさらなる実施形態では、RL2が存在するとき、それは、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0272】
L2が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは、-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL2は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0273】
L3が存在し、かつ親水性アミノ酸である実施形態では、それは、グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択することができ、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RL3が存在するとき、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのDアミノ酸;グリシン;-NH-CH(R)-C(O)-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-からなる群から選択され、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHC(O)-、-CHCHCHC(O)-、および-CHCHCHCHC(O)-から選択される。
【0274】
L3が存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンである実施形態では、それは-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)-、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレンでよい。いくつかの実施形態では、RL3は、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-または-C(O)-CH(CHNH)-である。
【0275】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1、RL2およびRL3は存在しない。
【0276】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2およびRL3は存在しない。
【0277】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在しない。
【0278】
上記のいくつかの実施形態では、AAは存在し、RL1は存在し、RL2は存在し、RL3は存在する。
【0279】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0280】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0281】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、グルタメートであり、RL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0282】
上記のいくつかの実施形態では、AAおよびRL1は、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つは存在し、かつ上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0283】
上記のいくつかの実施形態では、AAは、親水性アミノ酸であり、RL1および任意選択でRL2は、上に記載されているような任意選択で置換されているアルキレンである。
【0284】
上記のいくつかの実施形態では、Lは、グリシンジペプチド(Gly-Gly)も、トリペプチドも、テトラペプチドも含まない。いくつかの実施形態では、Lは、ペプチドAsn-(D)Lysを含まない。
【0285】
いくつかの実施形態では、Lは、2~4個のアミノ酸を有する修飾されたペプチドを含む。修飾されたペプチドは、1位において、D単位の放出(例えば、アミドペプチド結合を介したプロテアーゼ切断による)を最適化するように選択されるアミノ酸(AA)を有する。一つまたは両方の位置において、RL1およびRL2は、ペプチドの典型的なNからCへの連結の配向を逆転させ、最後のアミノ酸(例えば、RL2またはRL3)の結合を促進するアミノ酸であり、これはリガンド単位の結合の前に、マレイミドとして保護されたα-アミノ基を含む。逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸は、その側鎖を介して次の基に結合している。いくつかの実施形態では、このアミノ酸は、アルファアミノ酸である。他の実施形態では、それは、ベータまたはガンマアミノ酸であり得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、側鎖は、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、および-CHCHCHCHNH-から選択される。
【0286】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2またはRL3に結合しており、RL2またはRL3は、親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンである。
【0287】
のいくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによって、逆転されたNからCへの連結を有するアミノ酸(RL1)は、RL2に結合しており、RL2は、任意選択で置換されているアルキレンである。
【0288】
いくつかのさらなる実施形態では、Lは、親水性で切断可能なリンカーであり、各枝は、式
【化65】
を有し、式中、R21は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHから選択され、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0289】
さらなる実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化66】
を有し、式中、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択される。いくつかの実施形態では、R22は、-CHNHおよび-CHCHNHから選択される。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0290】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化67】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0291】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化68】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0292】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化69】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0293】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化70】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0294】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化71】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0295】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化72】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0296】
ある特定の実施形態では、Lまたはその枝は、式
【化73】
を有する。左および右の波線は、それぞれ、D単位およびLへの結合を示す。
【0297】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化74】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、
式中、各R31は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHからなる群から独立に選択され、バーのそれぞれは、D単位に対する結合部位を示し、垂直の破線は、リガンド単位に対する結合部位を示す。
【0298】
上記のいくつかのさらなる実施形態では、Lは、式
【化75】
を有する分枝鎖状親水性リンカーであり、
式中、バーのそれぞれは、D単位への結合を示し、垂直の破線は、リガンド単位に対する結合部位を示す。
【0299】
サブユニットを、上記でより詳細に記載する。
【0300】
上に示す実施形態のそれぞれにおいて、アミン、ヒドロキシルおよびカルボン酸基のそれぞれは、任意選択で、保護された形態である。適切な保護基は、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、J. Wiley & Sonsにおいて提供され、一般に、互いに独立に除去可能であるように選択される。
【化76】
式中、Pは、Hまたは保護基であり、R、R中に存在する残りの官能基、示されているカルボン酸のそれぞれは、任意選択で保護されており、Sは、リガンドの硫黄原子である。
疾患の処置
【0301】
本明細書に記載されている式のいずれかのリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートを使用した、疾患の処置の方法がさらに提供される。疾患は、例えば、がんまたは自己免疫疾患でよい。リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、治療有効量および治療的に有効なスケジュールで投与される。いくつかの態様では、コンジュゲート用量は、匹敵する2負荷されたコンジュゲートの用量と同じであるか、またはそれ未満である。いくつかの態様では、コンジュゲート用量は、匹敵する4負荷されたコンジュゲートの用量と同じであるか、またはそれ未満である。いくつかの態様では、コンジュゲート用量は、匹敵する2負荷されたコンジュゲートの用量と同じであるか、またはそれ未満であり、一方、投与スケジュールは、同じであるか、またはより低い頻度である。いくつかの態様では、コンジュゲート用量は、匹敵する4負荷されたコンジュゲートの用量と同じであるか、またはそれ未満であり、一方、投与スケジュールは、同じであるか、またはより低い頻度である。いくつかのさらなる態様では、コンジュゲート用量はより多く、投与スケジュールは、匹敵する2負荷されたコンジュゲートの投与スケジュールと同じであるか、またはより低い頻度である。いくつかのさらなる態様では、コンジュゲート用量はより少なく、投与スケジュールは、匹敵する4負荷されたコンジュゲートの投与スケジュールと同じであるか、またはより低い頻度である。比較のためのコンジュゲートは、例えば、2または4の薬物負荷量を有する同じリガンド-薬物-リンカーコンジュゲートであり得る。
がんの処置
【0302】
リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、腫瘍細胞もしくはがん細胞の増殖を阻害し、腫瘍もしくはがん細胞においてアポトーシスを引き起こすのに、または患者においてがんを処置するのに有用である。リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、がんの処置のための種々の設定においてそれに応じて使用することができる。リガンド-薬物コンジュゲートを使用して、薬物を腫瘍細胞または他のがん細胞に送達することができる。理論に束縛されるものではないが、一実施形態では、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートのリガンド単位は、標的(例えば、がん細胞上の抗原)に特異的に結合し、リガンド-薬物コンジュゲートは、受容体仲介エンドサイトーシスまたは他の内部移行機序によって腫瘍細胞またはがん細胞内に取り込まれ(内部移行し)てよい。抗原は、腫瘍細胞もしくはがん細胞に結合することができるか、または腫瘍細胞もしくはがん細胞と会合している細胞外マトリックスタンパク質であり得る。細胞内ですぐに、薬物(細胞毒性剤)は、細胞内部で放出される。代わりの実施形態では、薬物または薬物単位は、腫瘍細胞もしくはがん細胞の外側でリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートから切断され、薬物または薬物単位はそれに続いて細胞に浸透する。
【0303】
リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、コンジュゲーション特異的腫瘍またはがん薬物標的化を提供し、したがって薬物の一般的毒性(単独で投与された場合)を低減させることができる。
【0304】
一実施形態では、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に特異的に結合する。
【0305】
別の実施形態では、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞の表面上にある腫瘍細胞またはがん細胞抗原に特異的に結合する。
【0306】
別の実施形態では、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞と関連する細胞外マトリックスタンパク質である腫瘍細胞またはがん細胞抗原に特異的に結合する。
【0307】
特定の腫瘍細胞またはがん細胞に対するリガンド単位の特異性は、最も効果的に処置される腫瘍またはがんを決定するために重要であり得る。
【0308】
リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートで処置することができる特定のタイプのがんには、これらに限定されないが、固形腫瘍(例えば、腎細胞がん、肝臓がんおよび皮膚がん)ならびに血液由来のがん(例えば、急性骨髄芽球性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)および多発性骨髄腫)が含まれる。急性および慢性白血病ならびにリンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)を処置することができる。
【0309】
これらに限定されないが、腫瘍、転移、または制御されない細胞成長によって特徴付けられる他の疾患もしくは障害を含めたがんは、リガンド-リンカー薬物コンジュゲートの投与によって処置または阻害することができる。
【0310】
他の実施形態では、がんを処置する方法であって、それを必要とする患者に有効量のリガンド-薬物コンジュゲートおよび化学療法剤を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化学療法剤は、それによってがんの処置が難治性であると見出されてこなかったものである。別の実施形態では、化学療法剤は、それによってがんの処置が難治性であると見出されてきたものである。リガンド-薬物コンジュゲートは、がんのための処置として手術も受ける患者に投与することができる。
【0311】
いくつかの実施形態では、患者はまた、さらなる処置、例えば、放射線療法を受ける。特定の実施形態では、リガンド-薬物コンジュゲートは、化学療法剤とまたは放射線療法と併行的に投与される。別の特定の実施形態では、化学療法剤または放射線療法は、リガンド薬物コンジュゲートの投与の前または後に投与または施される。
【0312】
化学療法剤は、一連のセッションに亘って、または単回用量として投与することができる。化学療法剤の任意の一つまたは組合せ、例えば、標準治療の化学療法剤(複数可)を投与することができる。
【0313】
さらに、リガンド-薬物コンジュゲートによるがんの処置の方法は、化学療法または放射線療法が、処置される被験体にとってかなり有毒であること、例えば、許容されないまたは耐えられない副作用をもたらすことが証明されているかまたは証明され得る場合に、化学療法または放射線療法への代替として提供される。処置される患者は、どの処置が許容可能であるかまたは耐えられると見出されるかに応じて、別のがん処置、例えば、手術、放射線療法または化学療法で任意選択で処置され得る。
自己免疫疾患の処置
【0314】
リガンド-薬物コンジュゲートは、自己免疫疾患を生じさせるかもしくはそれに関与する細胞(複数可)を死滅させるか、もしくは該細胞(複数可)の複製を阻害するのに、または自己免疫疾患を処置するのに有用である。リガンド-薬物コンジュゲートは、患者において自己免疫疾患の処置のための種々の設定においてそれに応じて使用することができる。リガンド-薬物コンジュゲートを使用して、薬物を標的細胞に送達することができる。理論に束縛されるものではないが、一実施形態では、リガンド-薬物コンジュゲートは、標的細胞の表面上の抗原に特異的に結合し、次いで、リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、受容体仲介エンドサイトーシスまたは他の内部移行機序によって標的細胞内に取り込まれる。細胞内ですぐに、薬物単位は放出される。次いで、放出された薬物単位は、自由にサイトゾル内を移動し、細胞毒性活性または細胞増殖抑制活性を誘発する。代わりの実施形態では、薬物は、標的細胞の外側でリガンド-薬物コンジュゲートから切断され、薬物または薬物単位はそれに続いて細胞に浸透する。
【0315】
一実施形態では、リガンド単位は、自己免疫性抗原に結合する。一態様では、抗原は、自己免疫状態に関与している細胞の表面上に存在する。
【0316】
別の実施形態では、リガンド単位は、細胞の表面上にある自己免疫性抗原に結合する。
【0317】
一実施形態では、リガンド単位は、自己免疫疾患の状態と関連する活性化リンパ球に結合する。
【0318】
さらなる実施形態では、リガンド-薬物コンジュゲートは、特定の自己免疫疾患と関連する自己免疫性抗体を産生する細胞を死滅させるか、その増殖を阻害する。
【0319】
リガンド薬物コンジュゲートで処置することができる特定のタイプの自己免疫疾患には、これらに限定されないが、Th2リンパ球が関連する障害(例えば、アトピー性皮膚炎、アトピー性喘息、鼻結膜炎、アレルギー性鼻炎、オーメン症候群、全身性硬化症、および移植片対宿主病);Th1リンパ球が関連する障害(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、シェーグレン症候群(Sjorgren’s syndrome)、橋本甲状腺炎、グレーブス病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、および結核);活性化Bリンパ球が関連する障害(例えば、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、関節リウマチ、およびI型糖尿病)が含まれる。
【0320】
自己免疫疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に有効量のリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートおよび自己免疫疾患の処置について公知である別の治療剤を投与することを含む方法もまた開示する。
感染症の処置
【0321】
リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、感染症を生じさせる細胞を死滅させるか、もしくはその増殖を阻害するのに、または感染症を処置するのに有用である。リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、患者における感染症の処置のための種々の設定においてそれに応じて使用することができる。リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートを使用して、薬物(例えば、抗生物質)を標的細胞に送達することができる。一実施形態では、リガンド単位は、感染症細胞に結合する。
【0322】
一実施形態では、コンジュゲートは、特定の感染症を生じさせる細胞を死滅させるか、またはその増殖を阻害する。
【0323】
感染症を処置する方法であって、それを必要とする患者にリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートおよび抗感染症剤である別の治療剤を投与することを含む方法を開示する。組成物および投与の方法
【0324】
本発明は、本明細書に記載されているリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物をさらに提供する。リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートは、リガンド単位が特異的に結合する抗原の発現と関連する障害の処置のために、化合物が患者に投与されることを可能とする任意の形態でよい。例えば、コンジュゲートは、液体または固体の形態であり得る。好ましい投与経路は、非経口である。非経口投与は、皮下、静脈内、筋内、胸骨内の注射または注入技術を含む。一態様では、組成物は、非経口的に投与される。別の態様では、化合物は、静脈内に投与される。
【0325】
リガンド-リンカー-薬物コンジュゲートの医薬組成物は、患者へのコンジュゲートの投与に化合物が生物学的に利用可能であることを可能とするように製剤することができる。組成物は、1個または複数の投与量単位の形態を取ることができ、例えば、バイアルは、単回の投与量単位でよい。
【0326】
医薬組成物の調製において使用される材料は、使用される量で無毒性であり得る。医薬組成物中の活性成分(複数可)の最適な投与量は、種々の要因によって決まることは当業者には明らかである。関連要因には、これらに限定されないが、動物(例えば、ヒト)のタイプ、化合物の特定の形態、投与の様式、および用いる組成物が含まれる。
【0327】
医薬組成物は、例えば、液体の形態でよい。液体は、注射による送達に対して有用であり得る。注射による投与または静脈内投与のための組成物において、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定剤および/または等張剤の一つまたは複数もまた含むことができる。
【0328】
液体組成物はまた、それらが溶液剤であろうと懸濁剤であろうと他の同様の形態であろうと、下記の一つまたは複数を含むことができる。無菌の賦形剤、例えば、注射のための水、食塩溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば、アミノ酸、酢酸、クエン酸またはリン酸;洗剤、例えば、非イオン性界面活性剤、ポリオール;ならびに浸透圧の調節のための剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口の組成物は、ガラス、プラスチックまたは他の材料から作製されたアンプル、使い捨て注射器または単回用量もしくは複数回用量バイアル中に封入することができる。生理食塩水は、例示的なアジュバントである。注射用組成物は、好ましくは無菌である。
【0329】
特定の障害または状態の処置において有効であるコンジュゲートの量は、障害または状態の性質によって決まり、標準的な臨床技術によって決定することができる。さらに、in vitroまたはin vivoでのアッセイを任意選択で用いて、最適な投与量範囲を同定することを助けることができる。医薬組成物において用いられる正確な用量はまた、投与経路、ならびに疾患または障害の重症度によって決まり、医師の判断および各患者の状況によって決定すべきである。
【0330】
組成物は、適切な投与量が得られるようなある量の化合物を含む。典型的には、この量は、組成物の少なくとも約0.01重量%の化合物である。
【0331】
静脈内投与のために、組成物は、1kgの動物の体重当たり約0.01~約10mgのリガンド-リンカー-薬物コンジュゲートを含むことができる。一態様では、組成物は、1kgの動物の体重当たり約0.01~約10mgのリガンド-薬物コンジュゲートを含むことができる。別の態様では、投与される量は、約0.1~約7.5mg/kg体重の化合物の範囲である。
【0332】
一般に、患者に投与される化合物の投与量は典型的には、約0.01mg/kg~約10mg/kg被験体の体重である。いくつかの実施形態では、患者に投与される投与量は、約0.01mg/kg~約7.5mg/kg被験体の体重である。いくつかの実施形態では、患者に投与される投与量は、約0.1mg/kg~約5mg/kg被験体の体重である。いくつかの実施形態では、患者に投与される投与量は、約0.1mg/kg~約4mg/kg被験体の体重である。いくつかの実施形態では、投与される投与量は、約0.1mg/kg~約3mg/kgまたは約0.1mg/kg~約2mg/kg被験体の体重である。いくつかの実施形態では、投与される投与量は、約0.5mg/kg~約5mg/kg被験体の体重である。いくつかの実施形態では、投与される投与量は、約1mg/kg~約5mg/kg被験体の体重である。いくつかの実施形態では、投与される投与量は、処置サイクルに亘って、約0.1~4mg/kg、さらにより好ましくは0.1~3.2mg/kg、またはさらにより好ましくは0.1~2.7mg/kg被験体の体重である。
【0333】
リガンド-リンカー薬物コンジュゲートは、任意の便利な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮内層または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜)を通した吸収によって投与することができる。投与は、全身的または局所的であり得る。様々な送達系、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルへのカプセル化が公知であり、様々な送達系を、化合物を投与するために使用することができる。ある特定の実施形態では、一つより多くの化合物または組成物を、患者に投与する。
【0334】
用語「担体」は、化合物が一緒に投与される、賦形剤、アジュバントまたは添加剤を指す。このような医薬担体は、液体、例えば、水でよい。担体は、食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプン糊、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素であり得る。さらに、助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤および着色剤を使用することができる。一実施形態では、患者に投与するとき、化合物または組成物および薬学的に許容される担体は、無菌である。化合物が静脈内に投与されるとき、水が例示的な担体である。食塩溶液およびデキストロース水溶液およびグリセロール溶液はまた、特に、注射用溶液のために、液体担体として用いることができる。適切な医薬担体はまた、添加剤、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールを含む。本組成物はまた、所望される場合、微量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することができる。
【0335】
一実施形態では、コンジュゲートは、動物、特に、人間への静脈内投与に適合させた医薬組成物として通例の手順によって製剤される。典型的には、静脈内投与のための担体またはビヒクルは、無菌の等張性の緩衝水溶液である。必要である場合、組成物はまた、可溶化剤を含むことができる。静脈内投与のための組成物は、注射の部位における疼痛を和らげるための局所麻酔剤、例えば、リグノカインを任意選択で含むことができる。一般に、成分は、別々に、または単位剤形で一つに混合されて、例えば、密封された容器、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサッシェ中の凍結乾燥した粉末または水非含有の濃縮物として供給される。コンジュゲートが注入によって投与される場合、それは、例えば、無菌の医薬グレードの水または食塩水を含有する注入ボトルで分注することができる。コンジュゲートが注射によって投与される場合、成分を投与の前に混合することができるように、注射用滅菌水または食塩水のアンプルを提供することができる。
【0336】
医薬組成物は一般に、無菌の実質的に等張性のものとして、および米国食品医薬品局の全ての優良製造規範(GMP)の規制に完全にのっとり製剤される。
【0337】
本発明の医薬組成物は、本発明のリガンド薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物中に存在するリガンド薬物コンジュゲートの全て、または実質的に全て、または50%超は、加水分解されたチオ置換スクシンイミドを含む。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物中に存在するリガンド薬物コンジュゲートの55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、または99%超は、加水分解されたチオ置換スクシンイミドを含む。
リガンド-薬物コンジュゲートを調製する方法
【0338】
別の態様では、本発明は、リガンド-薬物コンジュゲート、リンカー、薬物-リンカーおよびリンカー-リガンドコンジュゲートを調製する方法を提供する。
【0339】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載のような薬物-リンカーまたはリンカー単位を提供するステップと、前記薬物-リンカーまたはリンカー単位をリガンド単位のスルフヒドリル基にコンジュゲートして、コンジュゲートを形成させるステップとを含む。いくつかのさらなる実施形態では、コンジュゲートのチオ置換マレイミドまたはスクシンイミド基(複数可)は、加水分解反応を受け得る。
【0340】
チオ置換スクシンイミド加水分解の割合は、リガンドへの薬物-リンカーのコンジュゲーションに続いて反応条件を調節することによって、例えば、pHまたは温度を調節することによって、操作することができる。本発明のいくつかの実施形態では、チオ置換スクシンイミドの全て、実質的に全て、または少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%もしくはそれどころか95%は、反応条件の操作を伴わずに加水分解され、すなわち、加水分解反応は、コンジュゲーション反応と同じ反応条件下で行われる。いくつかの実施形態では、チオ置換スクシンイミドの全て、実質的に全て、または少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%もしくはそれどころか95%は、コンジュゲーションに続いて20分から4時間で、好ましくはコンジュゲーションに続いて20分から2時間で加水分解される。例示的な実施形態では、コンジュゲーション条件は、約7.4のpHおよび約22℃の温度である。
【0341】
いくつかの実施形態では、リガンド-薬物コンジュゲートを調製する方法は、薬物-リンカーまたはリンカー単位を提供するステップと;前記薬物-リンカーまたはリンカー単位をリガンドのスルフヒドリル基にコンジュゲートし、加水分解されていないチオ置換スクシンイミドを含むリガンド-薬物コンジュゲートを形成させるステップと;加水分解されていないチオ置換スクシンイミドを加水分解反応に供するステップとを含み、スクシンイミドの全て、実質的に全て、または少なくとも50%、60%、70%、80%もしくはそれどころか85%は、コンジュゲーションに続いて10分から4時間で加水分解される。いくつかの実施形態では、スクシンイミドの全て、実質的に全て、または少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%もしくはそれどころか95%は、コンジュゲーションに続いて10分まで、20分まで、40分まで、60分まで、90分までまたは120分までに加水分解される。いくつかの実施形態では、加水分解反応は、コンジュゲーション反応と同じ反応条件下で起こる。例示的な実施形態では、コンジュゲーション条件は、約7.4のpHおよび約22℃の温度である。
リガンド-薬物コンジュゲートのアセンブリー
本発明のリガンド-薬物コンジュゲートは、図1において概説している一般スキームに従ってアセンブルすることができる。
【実施例
【0342】
概要
他に断らない限り、材料は、入手可能な最も高い純度グレードで商業的供給業者から得て、それ以上精製することなく使用した。無水DMFおよびCHClは、Aldrichから購入した。Fmoc-ドラプロイン(Dolaproine)-OHは、Albany Molecular Research,Inc.(Albany、NY)がカスタム合成した。ドラバリン(Dolavaline)-Val-Dil-OHは、他の場所で記載したように調製した。Fmoc-Dpr(ivDde)-OHおよび2-クロロトリチルクロリド樹脂(200~300メッシュ、1%DVB、置換1mmol/グラム)は、Novabiochemから購入した。固相合成は、fritware PE中グレード多孔質シート(Scienceware)から切り抜いたフィルターを装着させたプラスチックシリンジ(National Scientific Company)において行った。Burrell wrist action(登録商標)シェイカー(Burrell Scientific、Pittsburg、PA)は、撹拌のために使用した。特に明記しない限り、報告された全ての固相収率は、樹脂の最初の置換レベルに基づき、単離した純粋な材料の質量平衡を構成する。
【0343】
分取HPLC精製は、水-アセトニトリル勾配中の0.05%TFAで溶出するC12Phenomenex Synergy MAX-RP4μ逆相カラム、250×10mmを備えたVarian機器上で行った。
【0344】
質量スペクトルデータは、C12Phenomenex Synergi2.0×150mm、4μm、80Å逆相カラムを備えたWaters2795HPLCとインターフェースしたXEVO TOF MS上で得た。溶離液は、流量0.4mL/分での、10分に亘る0.1%ギ酸水溶液中の5%~95%の直線勾配のアセトニトリル、それに続く5分間均一濃度の95%アセトニトリルからなった。
【0345】
ヒト化h1F6抗体は、ヒトCD70抗原に特異的に結合する(Cancer Res、2006年、66巻(4号)、2328頁;米国特許第8,067,546号)。ヒト化hBU12抗体は、ヒトCD19抗原に特異的に結合する(Blood、2009年、113巻(18号)、4362頁;米国特許第7,968,687号)。ヒトCD70を発現しているヒト腎細胞癌細胞系786-OおよびCaki-1、ならびにヒトCD19を発現しているヒト形質転換濾胞性リンパ腫DOHH2細胞は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC;Manassas、Virginia)から購入した。全ての細胞系は供給業者の推奨によって成長させ、マイコプラズマ汚染について規定どおりにチェックした。
【0346】
略語:DPRは、ジアミノプロピオン酸を意味し;ivDdeは、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル-である。
(実施例1)
合成への一般手順
【0347】
マレイミド-Dpr(Boc)-OHの合成
β-Boc-L-2,3-ジアミノプロピオン酸(1mmol)および無水マレイン酸(98mg、1mmol)を、50mlの丸底フラスコ中で酢酸(1mL)に溶解させ、溶液を室温にて3時間撹拌した。次いで、溶液を油へと減圧下で濃縮した。マレイン酸中間体は約10mLのCHCl/ヘキサン(1/1、v/v)を加えることによって沈殿させ、沈殿物を真空濾過によって集めた。次いで、この材料をトルエン(9mL)に懸濁させ、それに続いてDMA(0.3mL)、およびトリエチルアミン(0.42mL、3mmol)を加えた。全ての材料が溶解するまで、混合物をN下で40~60℃にて撹拌した。次いで、フラスコに凝縮器を備え、溶液を120℃に加熱し、分子篩上で4時間還流させた。反応混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、減圧下でほぼ濃縮乾固させた。残渣を酢酸エチル(10mL)に溶解させ、分液漏斗に移し、水中の10%クエン酸(2×10mL)およびブライン(2×10mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、高真空下にて一晩乾燥させ、生成物を白色の粉末として72%収率で得た。H NMR (DMSO): δ 1.29 (s, 9H),
3.41 (m, 1H), 3.52 (m, 1H) 4.57 (dd, 1H). 6.97 (t, 1H), 7.07 (s, 2H).LCMS(ESI)(M+Na)についての計算値307.09;実測値、m/z307.17。
【0348】
アウリスタチン-AA-MDpr合成のための一般手順
【0349】
図1は、アウリスタチン-(AA)-AA-MDpr薬物-リンカーの例示的な合成を例示する。
【0350】
樹脂負荷量。20mLの固相反応槽(PETフリットを有するプラスチックシリンジ)に、1gの2-クロロトリチルクロリド樹脂(メーカーの表示に基づいて1mmol)、それに続いてFmoc-Dpr(ivDde)-OHまたはFmoc-Lys(ivDde)-OH(1.5mmol、1.5当量)およびDIEA(1mmol、1当量)の乾燥CHCl/DMF(1/1、v/v、10mL)溶液を加えた。槽を5分間振盪し、次いで、さらなるDIEA(1.5mmol、1.5当量)を加えた。混合物をRTにてさらに2時間振盪した。メタノール(2.5mL)を加えて、未反応部位をクエンチした。30分後、樹脂をDMF(5×10mL)、CHCl(5×10mL)、エチルエーテル(5×10mL)で洗浄し、真空中で乾燥させた。
【0351】
メスフラスコ(10または20mL)中で少量の樹脂(2~4mg)を20%ピペリジン/DMF(2mL)で2時間処理することによって負荷量を決定した。DMFで容量を調節した。301nmでの吸収を測定した。負荷量は下記の等式によって計算した。
負荷量(mmol/g)=(フラスコ容量×A301)/(7800×mg)×1000平均負荷量は、約0.6mmol/gであった。
【0352】
Fmoc除去ステップ。Fmoc保護されたペプチドを含有する樹脂を、DMF(樹脂1グラム当たり10mL)中の20%ピペリジンで室温にて2時間処理した。次いで、樹脂をDMF(5×樹脂1グラム当たり1mL)、CHCl(5×樹脂1グラム当たり1mL)、エチルエーテル(5×樹脂1グラム当たり1mL)で洗浄し、真空中で乾燥させた。
【0353】
カップリングステップ。脱保護されたN末端アミノ酸(AA)を含有する樹脂(1当量)に、Fmoc-AA-OH(2当量)、HATU(2当量)、およびDIEA(4当量)のDMF(樹脂1グラム当たり1mL)溶液を加えた。反応槽を3~4時間撹拌した。次いで、樹脂をDMF(5×樹脂1グラム当たり1mL)、CHCl(5×樹脂1グラム当たり1mL)、エチルエーテル(5×樹脂1グラム当たり1mL)で洗浄し、真空中で乾燥させた。反応の完了を、必要に応じてネガティブカイザー試験によって確認した。
【0354】
N末端ドラバリン-Val-Dil-OHのカップリングを、同様の方法で行った。
【0355】
ivDde脱保護およびMDpr(Boc)-OHのカップリング。ドラバリン-Val-Dil-OHトリペプチドのカップリングの後、樹脂を、2%ヒドラジン/DMF(樹脂1グラム当たり1mL)でRTにて2時間処理した。次いで、樹脂をDMF(5×樹脂1グラム当たり1mL)、CHCl(5×樹脂1グラム当たり1mL)、エチルエーテル(5×樹脂1グラム当たり1mL)で洗浄し、真空中で乾燥させた。Fmoc-MDpr(Boc)-OH(2当量)、HATU(2当量)、およびDIEA(4当量)のDMF(樹脂1グラム当たり1mL)溶液を樹脂に加え、混合物を室温(RT)にて3時間振盪した。反応の完了を、ネガティブカイザー試験によって確認した。樹脂をDMF(5×樹脂1グラム当たり1mL)、CHCl(5×樹脂1グラム当たり1mL)、エチルエーテル(5×樹脂1グラム当たり1mL)で洗浄し、真空中で乾燥させた。
【0356】
樹脂からの切断および脱保護。ペプチド含有樹脂を20%TFA/CHCl(樹脂1グラム当たり2mL)で室温にて10分間処理し、溶液を丸底フラスコ中に集めた。樹脂を20%TFA/CHCl(2×樹脂1グラム当たり0.5mL)で洗浄した。プールした溶液をRTにて3時間静置した。脱保護の後、完了をLC-MSによって確認した。Rotavap上で揮発性物質を減圧下で除去し、最終生成物を逆相分取HPLCによって精製した。全ての薬物-リンカーは、215nmでの逆相HPLCによって>95%純度で得た。
【0357】
MAマレイミドを有する薬物-リンカーを、MDpr(Boc)-OHの代わりにα-マレイミド酢酸-NHS(Molecular Biosciences、Boulder CO)を使用して上記と同様の方法で調製した。
【0358】
エチレンジアミン(EDA)ストレッチャーを有する薬物-リンカーを、従前に報告されている手順と同様の手順によって調製した(Bioconjugate Chem.2008年、19巻、1960~1963頁)。
(実施例2)
薬物リンカー
薬物リンカーを、上記のように合成した。一般式は、下記の通りであった。
【化77】
(この式において、AAおよびAAの指定が逆転していることに留意されたい。Rは、R12に対応する。)
【0359】
下記の表1は、様々な薬物リンカーの合成および特性決定を要約する。表において、第1の欄(左)は、化合物番号を指す。第2の欄(左)は、アウリスタチンのC末端におけるアミノ酸を指す。第3、第4および第5の欄は、リンカーの構成要素を指す。第3欄において、リンカーのアミノ酸構成要素を同定する。第4欄において、リンカーのさらなるアミノ酸および/または非アミノ酸構成要素を同定する。第5欄において、リンカーのマレイミド部分の組成を同定する。第6の欄は、薬物-リンカーの収率を指す。第7および第8の欄は、質量分析によって決定した、薬物-リンカーの計算した質量および観測された質量を指す。最後の欄(右)は、薬物リンカーを8負荷として含有するADCのHIC保持時間を指す(実施例3において記載されているように一般に決定)。
【表1-1】
【表1-2】
略語:
Alaは、L-アラニンを指し、Asnは、アスパラギンを指し、Aspは、L-アスパルテートを指し、Glnは、L-グルタミンを指し、Gluは、L-グルタメートを指し、Ileは、L-イソロイシンを指し、Leuは、L-ロイシンを指し、Lysは、L-リシンを指し、Pheは、L-フェニルアラニンを指し、ホスホThrは、L-ホスホトレオニンを指し、Thrは、L-トレオニンを指し、hSerは、L-ヒドロキシセリン:
【化78】
を指し、ValOHは、L-ヒドロキシバリン:
【化79】
を指し、ピラゾールは、
【化80】
を指し、トリアゾールは、
【化81】
を指し、Furは、
【化82】
を指し、MAは、マレイミドアセチルを指し、Dprは、ジアミノプロピオン酸を指し、MDprは、マレイミドジアミノプロピオン酸を指し、EDAは、エチレンジアミンを指し、mc-MMAFは、リンカーマレイミドカプロイルMMAFを指し、mc-vc-PABC-MMAFは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジル-カルバモイルMMAFを指し、mc-vc-PABC-MMAFは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジル-カルバモイルMMAEを指す。
(実施例3)
抗体薬物コンジュゲート
【0360】
抗体-薬物コンジュゲートの調製。h1F6 ADCについての例示。
【0361】
抗体当たり8薬物を有するh1F6抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を、抗体の完全な還元、それに続く所望の薬物-リンカーとの反応によって調製した。抗体(10mg/mL)を、1mMのジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を有するリン酸緩衝食塩水(PBS)pH7.4(Invitrogen、Carlsbad、CA)中の10モル当量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を加え、それに続いて37℃で約1時間インキュベーションを行うことによって完全に還元した。PBSでの10倍希釈および抗体の濃縮を、30KD MWCOスピンフィルター(EMD Millipore、Billerica、MA)を使用して2回繰り返すことによって過剰なTCEPを除去した。抗体の完全な還元を、逆相HPLC分析によって確認し、軽鎖および重鎖は非還元抗体から完全に分離されている。次いで、薬物-リンカー(10当量)を、DMSO(10mM)中で調製したストック溶液から加えた。反応物を室温にて概ね2時間静置し、コンジュゲーションおよびそれに続くチオスクシンイミド環加水分解(MDpr)を可能とした。PD-10脱塩カラム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用して、反応混合物を精製し、PBSへと緩衝液交換した。最終生成物の薬物/Ab比を、PLRP-MS分析によって推定し、それは7.8~8.0薬物/Abの範囲であった。さらに、各ADCをサイズ排除クロマトグラフィーによって分析し、HMW種は0.5~2.0%の範囲であった。
【0362】
疎水的相互作用クロマトグラフィー
【0363】
ADCの分析を、疎水的相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用して行った。HICは、0~100%移動相B(MPB)からの直線勾配を行うことによって行い、移動相A(MPA)は、1.5Mの硫酸アンモニウム、25mMのリン酸カリウム(pH7.0)からなり、MPBは、75%25mMのリン酸カリウム(pH7.0)、25%イソプロパノールからなる。25℃に加熱したTosoh t-ブチルカラム(TSK-Gelブチル-NPR、4.6×35mm、PN:14947)を使用して分離を達成した。試験物質は、総塩濃度が、100μLの総容量で1.0Mの硫酸アンモニウムと等しいかまたはそれより高いように、70μgのADCをMPAに希釈することによって調製した。試料を90μLで注入し、12分の勾配を使用して溶出した。λ=280nmでのモニタリング。より大きな疎水性、または1分子当たりより多数の薬物を有するADCは、より後の保持時間に溶出される。
【0364】
図4および図5は、親、コンジュゲートしていない抗体(h1F6)と比較した、様々な8負荷されたADCのHIC分析の結果を示す。ADCを上記のように調製した。結果は一般に、親水性リンカーと組み合わせてアウリスタチンの親水性を増大させることによって、コンジュゲートの明らかな疎水性を減少させることを示す。
【0365】
下記の表2は、表1の様々な薬物リンカーの組成、および抗体h1F6を有するこのように得られた8負荷された抗体薬物コンジュゲートの分析を要約する。HIC保持時間(HIC RT)を、上記のように決定した。薬物リンカーMC-vc-PABC-MMAE、MC-vc-PABC-MMAFおよびMC-MMAFを含有するh1F6 ADCを、対照として使用した。
【表2-1】
【表2-2】
(実施例4)
in vitroでの活性アッセイ
【0366】
in vitroでの細胞毒性アッセイを、従前に全体的に記載されているように行った(上述を参照されたい、活性アッセイ)。手短に言えば、細胞の対数期培養物を集め、細胞を500~10,000個細胞/ウェルの範囲の播種密度で所定の条件に従って蒔いた。表面タンパク質再構成を可能とするために24時間インキュベートした後、試験コンジュゲートの段階希釈物を加え、培養物をさらに4日間インキュベートした。細胞成長のアセスメント、およびIC50値を生じさせる色素還元を、アラマーブルー(Biosource International、Camarillo、CA)色素還元アッセイを使用して行った。手短に言えば、アラマーブルーの40%溶液(wt/vol)を、培養物を加える直前に完全培地中で新たに調製した。薬物曝露の92時間後、アラマーブルー溶液を細胞に加えて、10%培養物容量を構成した。細胞を4時間インキュベートし、色素還元をFusion HT蛍光プレートリーダー(Packard Instruments、Meriden、CT)で測定した。
【0367】
786-O腎およびCaki-1明細胞腎がん細胞系を使用した。これらの細胞系は、細胞毎にそれぞれ、概ね190,000個および135,000個のヒトCD70分子を発現した。h1F6抗体に結合している薬物リンカーを、表1および表2に記載する。下記の表3A~Cに言及すると、h1F6 ADCは、他に示さない限り、8の薬物/抗体の平均薬物負荷量を有する。試験した親水性h1F6 ADCは、これらの研究において対照、h1F6-mcMMAF(1269)に相当する、またはそれより良好である活性(IC50値)を示した。
【表3A】
【表3B】
【表3C】
(実施例5)
薬物動態研究
【0368】
抗体およびADC放射性標識
【0369】
放射性標識された抗体またはADCを使用して、薬物動態(PK)実験を行った。下記の手順を使用して、PK試験物質を放射性標識した。500mMのリン酸カリウム(pH8.0)および500mMの塩化ナトリウム中の抗体またはADCの溶液に、1mgの抗体またはADC当たり55μCiのN-スクシンイミジルプロピオネート、[プロピオネート-2,3-3H]-(Moravek Biochemicals、カタログ番号:MT919、80Ci/mmol、1mCi/mL、9:1のヘキサン:酢酸エチル溶液)を加えた。このように得られた混合物をボルテックスし、室温にて2時間静置した。混合物を4,000×gにて5分間遠心分離し、下層の水層を除去し、Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Units(Millipore、カタログ番号:UFC903024、30kDaのMWCO)中に分割した。コンジュゲートしていない放射能を、4ラウンドの希釈および4,000×gでの遠心分離によって除去した。このように得られた生成物を無菌の0.22μmのUltrafree-MC Centrifugal Filter Units(Millipore、カタログ番号:UFC30GV0S)を通して濾過し、最終抗体またはADC濃度を分光光度法で測定した。各生成物の比放射能(μCi/mg)を、液体シンチレーション計測によって決定した。
【0370】
薬物動態研究
【0371】
コンジュゲートしていない抗体およびその抗体の様々なADC(8の薬物負荷量)の薬物動態特性を、いくつかのげっ歯類モデルにおいて調査した。各実験において、動物の体重1kg当たり3mgの放射性標識された抗体またはADCを、尾静脈を通して注射した。各試験物質を3匹の同型動物において1回投与した。血液を、伏在静脈を介して、または様々な時点における末期出血のための心臓穿刺によってK2EDTAチューブ中に採取した。血漿を、10,000×gで10分間遠心分離することによって単離した。各時点からの血漿の試料10μLを、4mLのEcoscint-A液体シンチレーションカクテル(National Diagnostics)に加え、総放射能を液体シンチレーション計測によって測定した。このように得られた壊変毎分値をμCiに変換し、放射性標識された試験物質の比放射能を使用して、各時点での血漿中に残る抗体またはADCの濃度を計算した。
【0372】
図2に言及すると、h1F6およびその二つの親水性ADCの薬物動態特性を、三つの対照ADCの特性と比較した。親水性ADCは、h1F6-4(8負荷された(アウリスタチン-T)-Glu-Dpr-MA)-h1F6)およびh1F6-11((アウリスタチンF)-Ile-EDA-MDpr)-h1F6)であった。結果は、親水性ADCが、このマウス研究に亘って改善された薬物動態学的安定性を示したことを示す。アウリスタチン-Tを有する親水性アウリスタチンは、コンジュゲートしていない抗体の安定性と近い安定性を示した。ADC h1F6-11の親水性設計は、対照と比較して改善されたpK安定性を示したが、これらの二つは、同じアウリスタチンのモノメチル形態(アウリスタチンF対モノメチルアウリスタチンF)を含む。
【0373】
図3に言及すると、別のモノクローナル抗体の親水性コンジュゲートの薬物動態特性を、対照コンジュゲート、mAb-mcMMAFの特性と比較した。ADCの全ては、8の平均薬物負荷量を有した。親水性ADCのそれぞれは、対照ADCと比較して改善された薬物動態学的安定性を示した。
【0374】
その二つの親水性ADCを、三つの対照ADCの特性と比較した。親水性ADCは、h1F6-8(8負荷された(アウリスタチン-チアゾール)-Glu-Lys-MDpr)-h1F6)およびh1F6-11((アウリスタチンF)-Ile-EDA-MDpr)-h1F6)であった。結果は、親水性ADCが、このマウス研究に亘って改善された薬物動態学的安定性を示したことを示す。特に、h1F6-11の親水性設計は、対照と比較して改善された安定性を示したが、これらの二つは、同じアウリスタチンのモノメチル形態(アウリスタチンF対モノメチルアウリスタチンF)を含む。
(実施例6)
in vivoでの治療実験
【0375】
786-O細胞はアメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC、Manassas、VA)から得て、ATCCによって推奨された培養条件において繁殖させた。786-O腫瘍を確立するために、5×10個の細胞を、胸腺欠損nu/nu雌性ドナーマウス(Harlan、Indianapolis、IN)の右側腹部中に移植した。ドナー腫瘍が概ね500mmとなったとき、マウスを安楽死させ、腫瘍を無菌的に切除し、約0.5×0.5mmのフラグメントを、nu/nuマウス中への移植のための殺菌した13ゲージのトロカール中に充填した。腫瘍が約100mmに達したとき、マウスを処置群にランダムに割り当てた。
【0376】
DOHH2腫瘍を確立するために、5×10個の細胞を、C.B.-17SCIDマウス(Harlan、Indianapolis、IN)の右側腹部中に移植した。腫瘍が概ね約100mmとなったとき、マウスを処置群にランダムに割り当てた。
【0377】
実験群を、示した用量およびスケジュールで腹腔内注射によって化合物で処置するか、または代わりに未処置のままとした。腫瘍を定期的に測定し、式V=((L×W)/2)を使用して容量を計算した。腫瘍が1000mmの体積に達することか、または研究の終了のどちらかが最初に到来した時点で、動物を安楽死させた。
【0378】
腫瘍が4倍となる時間をエンドポイントまでの時間(TTE)として選択し、TTEは各実験動物からのそれぞれの個々の腫瘍成長データセットの指数関数的成長についての非線形回帰分析を使用して決定した。腫瘍が4倍となる時間の中央値は、処置の開始における腫瘍体積に基づいて計算した。エンドポイントに達しなかった動物には、研究の最後の日と等しいTTE値を割り当てた。
【0379】
Windows(登録商標)用のPrism(GraphPad)ソフトウェアを使用して統計解析を行った。TTEのログランク検定を使用して、2群の間の有意差を分析し、差異は0.01≦P≦0.05で有意であると見なし、P≦0.01で高度に有意であると見なした。
【0380】
図6に言及すると、4負荷および8負荷されたADC(それぞれ、4d/Abおよび8d/Ab)の活性を、単回用量マウス異種移植片研究において試験した。最初に、対照、h1F6-mc-vc-PABC-MMAFを参照すると、4負荷されたADCは、8負荷されたADCより良好な活性を与えた。対照的に、親水性h1F6-6(アウリスタチンT-Glu-Dpr-MDPr)およびh1F6-13(アウリスタチンチアゾール-Glu-EDA-MDPr)の8負荷されたADCの両方とも、4負荷されたカウンターパートより大きな活性を示した。
【0381】
図7に言及すると、異なる4負荷および8負荷されたADCの活性を、単回用量マウス異種移植片研究において試験した。再びこのモデルにおいて、hBU12-6(アウリスタチンT-Glu-Dpr-MDPr)の8負荷された親水性ADCは、その4負荷されたカウンターパートより大きな活性を示した。
【0382】
図8に言及すると、様々な4負荷および8負荷されたADCの活性を、単回用量マウス異種移植片研究において試験した。このモデルにおいて、h1F6-12(アウリスタチンT-Ile-EDA-MDPr)およびh1F6-5(アウリスタチンF-Glu-Dpr-MDPr)の8負荷されたADCの両方ともが、4負荷されたカウンターパートより大きな活性を示した。8負荷されたADC h1F6-11(アウリスタチンF-Ile-EDA-MDPr)は、反対の傾向を示した。
【0383】
図9に言及すると、様々な4負荷および8負荷されたADCの活性を、単回用量マウス異種移植片研究において試験した。このモデルにおいて、h1F6-17、h1F6-20、h1F6-24およびh1F6-29の8負荷されたADCは、4負荷されたカウンターパートより大きな活性を示した。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)

【化83】

を有する親水性薬物-リガンドコンジュゲート化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、
式中、
Lは、標的に特異的に結合するリガンドであり、
は、リガンド結合構成要素であり、
は、任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、Lの各枝は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有し、
式中、
AAは、それが結合しているDと切断可能な結合を形成する親水性アミノ酸であり、RL1は任意選択であり、そして、RL1が存在しかつRL2およびRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンであり、
L2は任意選択であり、そして、RL2が存在しかつRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L3は任意選択であり、そして、RL3が存在するとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
添え字pは、約4~約20の整数であり、
添え字p’は、1~4の整数であり、
各Dは、式
【化84】

を有するアウリスタチン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、
式中、
およびRのそれぞれは、水素(H)および任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、ただし、RおよびR3’の両方がHでない場合を除いて、RおよびRの両方がHであることはなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
3’は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
およびR3’の少なくとも一つは、Hではなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択されるか、
またはRおよびRは、炭素環式環を一緒に形成し、式-(CR-(式中、RおよびRは、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、nは、2、3、4、5および6からなる群から選択される)を有し、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
各Rは、H、-OH、任意選択で置換されている-C~Cアルキル、および任意選択で置換されている-O-(C~Cアルキル)からなる群から独立に選択され、
12は、トレオニン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ホモセリン、ヒドロキシバリン、フリルアラニン、トレオニン(PO)、ピラゾリルアラニン、トリアゾリルアラニンおよびチアゾリルアラニン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群の側鎖から選択され、
の左および右のラインは、それぞれ、D単位およびLへの共有結合を示し、
前記薬物-リガンドコンジュゲートは、2未満の親水性インデックスを有する、親水性薬物-リガンドコンジュゲート化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目2)

【化85】

を有する薬物-リンカー化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、
式中、
は、リガンド結合構成要素であり、
は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有する任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、
式中、
AAは、それが結合しているD単位と切断可能な結合を形成する親水性アミノ酸であり、
L1は任意選択であり、そして、RL3およびRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L2は任意選択であり、そして、RL2が存在しかつRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L3は任意選択であり、そして、RL3が存在するとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
は、リガンド結合構成要素であり、
添え字p’は、1~4の整数であり、
各Dは、式
【化86】

を有するアウリスタチン(Aur)、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、
式中、
およびRのそれぞれは、水素(H)および任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、ただし、RおよびR3’の両方がHでない場合を除いて、RおよびRの両方がHであることはなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
3’は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
およびR3’の少なくとも一つは、Hではなく、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択されるか、
またはRおよびRは、炭素環式環を一緒に形成し、式-(CR-(式中、RおよびRは、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から独立に選択され、nは、2、3、4、5および6からなる群から選択される)を有し、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
は、Hおよび任意選択で置換されている-C~Cアルキルからなる群から選択され、
各Rは、H、-OH、任意選択で置換されている-C~Cアルキル、および任意選択で置換されている-O-(C~Cアルキル)からなる群から独立に選択され、
12は、トレオニン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ホモセリン、ヒドロキシバリン、フリルアラニン、トレオニン(PO)、ピラゾリルアラニン、トリアゾリルアラニンおよびチアゾリルアラニン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群の側鎖から選択され、
の左および右のラインは、それぞれ、D単位およびLへの共有結合を示す、薬物-リンカー化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目3)
が、修飾されたペプチドを含み、少なくとも一つのRL1、RL2およびRL3が、その側鎖上の反応性基によって隣接する基に共有結合的に連結されているアミノ酸である、先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目4)
12が、L-トレオニンの側鎖である、先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目5)
前記薬物-リガンドコンジュゲートのpが、少なくとも8である、項目1および3から4のいずれかに記載の薬物-リガンドコンジュゲート化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目6)
前記薬物-リガンドコンジュゲートのpが、少なくとも10である、項目5に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目7)
前記薬物-リガンドコンジュゲートのpが、少なくとも16である、項目5に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目8)
が、スクシンイミドまたは加水分解されたスクシンイミドである、先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目9)

(a) (Lp’-L
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
(式中、
は、任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、Lの各枝は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有し、
は、リガンド結合構成要素であり、
p’は、1~4の整数であり、
の左および右のラインは、それぞれ、D単位およびLに対する結合部位を示す)、あるいは、式
(b) ([Lp’-L-L
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
(式中、
Lは、標的に特異的に結合するリガンドであり、
は、任意選択で分枝鎖状である親水性リンカーであり、Lの各枝は、式
-AA-RL1-RL2-RL3
を有し、
は、リガンド結合構成要素であり、
添え字pは、約4~20の整数であり、
添え字p’は、1~4の整数であり、
の左および右のラインは、それぞれ、D単位およびLへの結合部位を示す)であって、
ここで、(a)または(b)において、
AAは、それが結合しているとき、D単位と共に切断可能な結合を形成することができる親水性アミノ酸であり、
L2およびRL3が存在しないとき、RL1は、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸または任意選択で置換されているアルキレンであり、
L2は任意選択であり、そして、RL2が存在しかつRL3が存在しないとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択され、
L3は任意選択であり、そして、RL3が存在するとき、Lと原子を共有し得る親水性アミノ酸および任意選択で置換されているアルキレンから選択される、化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目10)
(a)AAが、グリシン、ならびにアスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型からなる群から選択される親水性アミノ酸であり、
(b)RL1が存在するとき、それは、
グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-CO-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-(式中、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、-CHCHCHCOHおよび-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHCO-、-CHCHCHCO-、-CHCHCHCO-および-CHCHCHCHCO-から選択される);ならびに
-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレン
からなる群から選択され、
(c)RL2が存在するとき、それは、
グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-CO-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-(式中、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、-CHCHCHCOHおよび-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHCO-、-CHCHCHCO-、-CHCHCHCO-および-CHCHCHCHCO-から選択される);ならびに
-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレン
からなる群から選択され、
(d)RL3が存在するとき、それは、
グリシン;アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、セリンおよびアラニンのL型またはD型;-NH-CH(R)-CO-;ならびに-NH-CH(COOH)-R-(式中、Rは、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CHCHCHCHNH、-CHCHOH、-CHCHCHCOH、-CHCHCHCOHおよび-CHCHCHCHCOHから選択され、Rは、-CHNH-、-CHCHNH-、-CHCHCHNH-、-CHCHCHCHNH-、-CHCHCO-、-CHCHCHCO-、-CHCHCHCO-および-CHCHCHCHCO-から選択される);ならびに
-NH-、-C(O)-、-COOH、-N(C~Cアルキル)、-NHまたは-NH(C~Cアルキル)から選択される1~4個の置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキレン
からなる群から選択される、
先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目11)
(a)AAが存在し、RL1、RL2およびRL3が存在しないか、
(b)AAが存在し、RL1が存在し、RL2およびRL3が存在しないか、
(c)AAが存在し、RL1が存在し、RL2が存在し、RL3が存在しないか、
(d)AAが存在し、RL1が存在し、RL2が存在し、RL3が存在するか、
(e)AAが存在し、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つが存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンであるか、
(f)AAが、グルタメートであり、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つが存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンであるか、
(g)AAが、グルタメートであり、RL1が、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つが存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンであるか、(h)AAおよびRL1が、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つが存在し、かつ任意選択で置換されているアルキレンであるか、
(i)AAが、親水性アミノ酸であり、RL1および任意選択でRL2が、任意選択で置換されているアルキレンであるか、
(j)AAが存在し、RL1、RL2およびRL3の少なくとも一つが存在し、かつエチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-および-CO-CH(CHNH)-からなる群から選択される任意選択で置換されているアルキレンであるか、(k)AAが、グルタメートであり、RL1が、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つが存在し、かつエチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-および-CO-CH(CHNH)-からなる群から選択される任意選択で置換されているアルキレンであるか、
(l)AAおよびRL1が、親水性アミノ酸であり、RL2およびRL3の少なくとも一つが存在し、かつエチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-および-CO-CH(CHNH)-からなる群から選択される任意選択で置換されているアルキレンであるか、または
(m)AAが、親水性アミノ酸であり、RL1および任意選択でRL2が、エチレンジアミン、-NH-CH(COOH)-CH-NH-および-CO-CH(CHNH)-からなる群から選択される任意選択で置換されているアルキレンである、
先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目12)
-L-が、式
【化87】
を有し、式中、
21は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHからなる群から選択され、
22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOHからなる群から選択され、
左および右の波線は、それぞれ、D、Hまたは保護基、およびLへの結合を示す、先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目13)
-L-が、式
【化88】

を有し、式中、R22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、および-CHCHOHから選択され、左および右の波線は、それぞれ、D、Hまたは保護基、およびLへの結合を示す、先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目14)
-L-が、
【化89-1】
【化89-2】

からなる群から選択される式を有し、
式中、左および右の波線は、それぞれ、D、Hまたは保護基、およびLへの結合を示す、先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目15)
(a)前記薬物-リンカー化合物のL-Lが、式
【化90】

を有し、
式中、各R31は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHからなる群から独立に選択され、前記バーのそれぞれは、D単位に対する結合部位を示すか、または
(b)(a)のL-Lであって、前記マレイミド基が、リガンド単位のチオール基に共有結合している、
先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目16)
前記薬物-リンカー化合物のL-Lが、式
【化91】

を有し、
前記バーのそれぞれが、D単位に対する結合部位を示し、前記マレイミド基が、リガンド単位のチオール基に任意選択で共有結合している、先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目17)
前記薬物-リガンドコンジュゲート化合物の-L-Lが、式
【化92】

を有し、式中、
21は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOH、-CHCHCOH、-CHCHCHCOH、および-CHCHCHCHCOHからなる群から選択され、
22は、-CHNH、-CHCHNH、-CHOHからなる群から選択され、
左および右の波線は、それぞれ、Dおよび前記リガンド単位(L)への結合を示し、前記硫黄原子は、前記リガンド単位由来のものである、先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目18)
前記薬物-リガンドコンジュゲートまたは前記リガンド-リンカー化合物の前記リガンド単位(L)が、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドである、先行する項目のいずれかに記載の化合物。
(項目19)
前記薬物-リガンドコンジュゲートまたは前記リガンド-リンカー化合物の前記リガンド単位(L)が、抗体である、先行する項目のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目20)
が、マレイミドまたはマレイミドジアミノプロピオン酸からなる群から選択される、先行する項目のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目21)
【化93】

から選択される式を有する項目1に記載の親水性薬物-リガンドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、
式中、Sは、前記リガンドの硫黄原子である、親水性薬物-リガンドコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(項目22)
それを必要とする患者を処置する方法であって、前記方法は、先行する項目のいずれかに記載の薬物-リガンドコンジュゲート化合物を前記患者に投与することを含み、前記患者が、がん、自己免疫疾患または感染症を有し、前記薬物-リガンドコンジュゲート化合物の前記リガンドが、前記がん、自己免疫疾患または感染症と関連する標的細胞に特異的に結合する、方法。
(項目23)
前記薬物-リガンドコンジュゲート化合物が、0.1~10mg/kgの用量で投与される、項目22に記載の方法。
(項目24)
(a)pが、少なくとも8であり、前記患者に投与される前記薬物-リガンドコンジュゲート化合物の用量が、同じ薬物リンカーを有する2負荷されたコンジュゲートの用量と同じであるか、またはそれ未満であり、
(b)pが、少なくとも8であり、前記患者に投与される前記薬物-リガンドコンジュゲート化合物の用量が、同じ薬物リンカーを有する4負荷されたコンジュゲートの用量と同じであるか、またはそれ未満であり、
前記薬物-リガンドコンジュゲート化合物および前記2負荷または4負荷されたコンジュゲートが、匹敵するスケジュールで投与される、項目22から23のいずれかに記載の方法。
(項目25)
前記患者が、ヒトである、項目22から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
有効量の項目1および2から21のいずれかに記載の薬物-リガンドコンジュゲート化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤、担体または添加剤を含む医薬組成物。
(項目27)
任意選択で、
(a)前記薬物-リガンドコンジュゲート化合物が、単位投与量の注射剤形態で製剤され、
(b)患者に投与される薬物-リガンドコンジュゲート化合物の量が、約0.1~約10mg/kg前記患者の体重の範囲であるか;または
(c)前記薬物-リガンドコンジュゲート化合物が、静脈内に投与される、
がん、自己免疫疾患または感染症の処置方法において使用するための、項目26に記載の医薬組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9