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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】マストランスファー装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240304BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L21/52 F
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022119546
(22)【出願日】2022-07-27
(65)【公開番号】P2023021943
(43)【公開日】2023-02-14
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】110128286
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520467017
【氏名又は名称】▲ナイ▼創▲顕▼示科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】李 允立
(72)【発明者】
【氏名】頼 育弘
(72)【発明者】
【氏名】林 子暘
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/188780(WO,A1)
【文献】特開2020-042116(JP,A)
【文献】特開2012-192427(JP,A)
【文献】特開2001-035816(JP,A)
【文献】特開2020-069530(JP,A)
【文献】特表2019-522891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マストランスファー装置であって、
・ベースステージと、
・前記ベースステージ上に配置されると共に、ターゲット基板を駆動して前記ベースステージに対して第1方向に沿って移動するよう適合された、第1基板ステージと、
・前記ベースステージ上に配置されると共に、少なくとも1個のマイクロデバイス基板を駆動して前記第1基板ステージに対して第2方向に沿って移動するよう適合された、第2基板ステージであって、前記第1方向が、前記第2方向と交差し、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板が、基板及び少なくとも1個のマイクロデバイスを有し、該少なくとも1個のマイクロデバイスが、前記ターゲット基板に面する前記基板の表面上に配置されている、前記第2基板ステージと、
・前記第2基板ステージにおける対応のターゲット位置に移動すると共に、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板に向けてレーザービームを放射するよう適合された、少なくとも1個のレーザーヘッドであって、前記レーザービームが、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板を照射するよう使用され、これにより前記少なくとも1個のマイクロデバイスが前記基板から分離されて前記ターゲット基板に接続される、前記少なくとも1個のレーザーヘッドと、
・前記第1基板ステージ、前記第2基板ステージ、並びに前記少なくとも1個のレーザーヘッドを駆動して移動させる、サーボモータモジュールと、
・少なくとも1つの遮光層と、
を備え
前記第2基板ステージが、少なくとも1つの開口を有し、
前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板が、前記少なくとも1つの開口に対応するよう配置され、
前記レーザービームが、前記少なくとも1つの開口を介して、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板を照射するよう適合され、
前記少なくとも1つの遮光層が、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板と重なるよう配置されると共に、前記少なくとも1個のマイクロデバイスと重なる少なくとも1つの光透過領域を有し、
前記レーザービームの少なくとも一部が、前記少なくとも1つの光透過領域を介して、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板を更に照射し、
前記少なくとも1つの遮光層が、前記第2基板ステージの前記少なくとも1つの開口に設けられ、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板と連動され、
前記少なくとも1つの光透過領域のそれぞれの領域面積が、前記第2基板ステージの前記少なくとも1つの開口のそれぞれの開口面積よりも小さいマストランスファー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマストランスファー装置であって、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板が、複数のマイクロデバイス基板であり、前記少なくとも1個のレーザーヘッドが、複数のレーザーヘッドであり、該複数のレーザーヘッドが、それぞれ、前記マイクロデバイス基板に対応するよう配置されているマストランスファー装置。
【請求項3】
請求項1に記載のマストランスファー装置であって、前記ターゲット基板が、複数の画素領域を有すると共に、回路バックプレーンと、前記画素領域の1つに配置された少なくとも1つの予備ボンディング層とを含み、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板の前記少なくとも1個のマイクロデバイスが、リペア用マイクロ発光デバイスであり、該リペア用マイクロ発光デバイスが、前記ターゲット基板上の位置座標に従って、前記少なくとも1個のマイクロデバイス基板における前記基板上の対応の配置位置に配置されているマストランスファー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス装置に関し、特に、マストランスファー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルの製造コストが高すぎるのみならず、その寿命が現在の主流ディスプレイの寿命に及ばない状況下において、マイクロLEDディスプレイが大手テクノロジー企業による投資の注目を徐々に集めている。マイクロLEDディスプレイは、低消費電力及び材料寿命の長さに加えて、高彩度、高応答速度、高コントラストなど、優れた光学性能を更に有する。
【0003】
一方、マイクロLEDディスプレイの製造技術においては、製造コストの低減及び製品設計マージンの拡大を図るために、ダイトランスファー方法、即ち製造されたマイクロLEDダイを駆動回路バックプレーンに移載(トランスファー)するマストランスファー技術が採用されている。具体的に、ダイ製造業者は、顧客が必要とするマイクロLEDダイを仮基板上に製造(又は配置)する必要があり、その後に顧客は、仮基板上のマイクロLEDダイを、異なるアプリケーション要件に従って異なる製品の駆動回路バックプレーンに移載することができる。
【0004】
しかしながら、ダイの製造及び移載のプロセスにおいては、一定数の異常ダイ及びボンディング不良が必然的に生じる。ディスプレイパネルの大型化に伴い、上述したマストランスファー技術のプロセス時間が大幅に増加するのみならず、ダイのリペアがより困難になると共に時間がかかるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、デバイスリペア又はデバイス移載の速度及び歩留まりを同時に向上させるよう適合されたマストランスファー装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベースステージと、第1基板ステージと、第2基板ステージと、少なくとも1個のレーザーヘッドと、サーボモータモジュールとを備えるマストランスファー装置を提供する。第1基板ステージは、ベースステージ上に配置されると共に、ターゲット基板を駆動してベースステージに対して第1方向に沿って移動するよう適合されている。第2基板ステージは、ベースステージ上に配置されると共に、少なくとも1個のマイクロデバイス基板を駆動して第1基板ステージに対して第2方向に沿って移動するよう適合されている。第1方向は、第2方向と交差している。少なくとも1個のマイクロデバイス基板は、基板及び少なくとも1個のマイクロデバイスを有する。少なくとも1個のマイクロデバイスは、ターゲット基板に面する基板の表面上に配置されている。少なくとも1個のレーザーヘッドは、第2基板ステージにおける対応のターゲット位置まで移動して少なくとも1個のマイクロデバイス基板に向けてレーザービームを放射するよう適合されている。レーザービームは、少なくとも1個のマイクロデバイス基板を照射するよう使用され、これにより少なくとも1個のマイクロデバイスが基板から分離されてターゲット基板に接続される。サーボモータモジュールは、第1基板ステージ、第2基板ステージ、並びに少なくとも1個のレーザーヘッドを駆動して移動させるのに使用される。
【0007】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置における第1基板ステージは、ターゲット基板を駆動してベースステージに対して第2方向に沿って移動するよう更に適合されている。第2基板ステージは、少なくとも1個のマイクロデバイス基板を駆動して第1基板ステージに対して第1方向及び第3方向に沿って移動するよう更に適合され、その第3方向は、第1方向及び第2方向と交差している。
【0008】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置における第2基板ステージは、第3方向に沿って移動するため、少なくとも1個のマイクロデバイス基板における少なくとも1個のマイクロデバイスがターゲット基板に接触する。
【0009】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置における第1基板ステージは、回転軸線に沿って回転するよう更に適合され、その回転軸線の軸線方向は、第1方向及び第2方向に対して垂直である。
【0010】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置における第2基板ステージは、少なくとも1つの開口を有し、少なくとも1個のマイクロデバイス基板は、少なくとも1つの開口に対応するよう配置されている。レーザービームは、少なくとも1つの開口を介して、少なくとも1個のマイクロデバイス基板を照射するよう適合されている。
【0011】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置は、少なくとも1個のマイクロデバイス基板と重なるよう配置された少なくとも1つの遮光層を更に備える。少なくとも1つの遮光層は、少なくとも1個のマイクロデバイスと重なる少なくとも1つの光透過領域を有する。レーザービームの少なくとも一部は、少なくとも1つの光透過領域を介して、少なくとも1個のマイクロデバイス基板を更に照射する。
【0012】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置における少なくとも1個のマイクロデバイス基板は、複数のマイクロデバイス基板である。少なくとも1個のレーザーヘッドは、複数のレーザーヘッドであり、これら複数のレーザーヘッドは、それぞれ、マイクロデバイス基板に対応するよう配置されている。
【0013】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置における複数のマイクロデバイス基板は、それぞれエピタキシャル基板を有する。少なくとも1個のマイクロデバイスは、各エピタキシャル基板上のそれぞれに形成された複数のマイクロ発光デバイスであり、マイクロデバイス基板の何れか1個における複数のマイクロ発光デバイスの発光色は、他のマイクロデバイス基板の何れか1個における複数のマイクロ発光デバイスの発光色とは異なる。
【0014】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置におけるターゲット基板は、複数の画素領域を有すると共に、回路バックプレーンと、少なくとも1つの予備ボンディング層とを含む。少なくとも1つの予備ボンディング層は、画素領域の1つに配置されている。少なくとも1個のマイクロデバイス基板の少なくとも1個のマイクロデバイスは、リペア用マイクロ発光デバイスであり、そのリペア用マイクロ発光デバイスは、ターゲット基板上の位置座標に従って、少なくとも1個のマイクロデバイス基板における基板上の対応の配置位置に配置されている。
【0015】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置におけるレーザーヘッドは、配置位置に従って、第2基板ステージにおける対応のターゲット位置に移動し、配置位置にて少なくとも1個のマイクロデバイス基板の一部に向けてレーザービームを照射し、これによりリペア用マイクロ発光デバイスが画素領域の1つにおいて少なくとも1つの予備ボンディング層に接続し、少なくとも1個のマイクロデバイス基板の基板から分離される。
【0016】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置における少なくとも1個のマイクロデバイス基板は、複数のマイクロデバイスと基板との間の剥離層を更に有し、剥離層の粘度は、レーザービームに照射された後に無効になる。
【0017】
本発明の一実施形態において、剥離層は、レーザー剥離層又はレーザー解離層である。
【0018】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置における少なくとも1個のマイクロデバイス基板は、少なくとも1個のマイクロデバイス及び基板を接続する動的剥離層を更に有する。レーザービームが少なくとも1個のマイクロデバイス基板を照射した後、動的剥離層が変形して少なくとも1個のマイクロデバイスが分離される。
【0019】
本発明の一実施形態において、マストランスファー装置におけるターゲット基板は、キャリア基板及び接着層の組み合わせであり、少なくとも1個のマイクロデバイスは、接着層を介して、キャリア基板に接着される。
【発明の効果】
【0020】
上述した説明に基づいて、本発明の実施形態のマストランスファー装置において、第1基板ステージ及び第2基板ステージは、それぞれ、ターゲット基板及びマイクロデバイス基板を異なる方向に移動するよう駆動し、これによりターゲット基板上の移載ターゲット領域及びマイクロデバイス基板上の移載すべきマイクロデバイスのアライメント速度を高めることができる。移載ターゲット領域の分布が比較的不規則な移載プロセス又はリペアプロセスにおいては、レーザーヘッドの移動性により、マイクロデバイス基板上の移載すべきマイクロデバイスの選択自由度が高まり、プロセス時間の短縮及びプロセス歩留まりの向上に役立つ。これに加えて、サーボモータモジュールの構成により、ターゲット基板、マイクロデバイス基板、並びにレーザーヘッド間のアライメント精度を更に向上させることができる。
【0021】
添付図面は、本発明の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれと共に、本明細書の一部を構成している。図面は、本発明の実施形態を示すと共に、記載内容と一緒に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係るマストランスファー装置を示す略図である。
図2図1におけるマストランスファー装置のブロック図である。
図3図3A図3Dは、図1におけるマストランスファー装置を使用することによってマイクロデバイスを移載するプロセスを示す略図である。
図4図4A図4Dは、図1におけるマストランスファー装置を使用することによってマイクロデバイスを移載するプロセスを示す断面図である。
図5図1における第2基板ステージ及びマイクロデバイス基板を異なる視野角で示す略図である。
図6図6A及び図6Bは、図5における幾つかの他の修正された実施形態に係る、第2基板ステージ及びマイクロデバイス基板を異なる視野角で示す略図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る、マストランスファー装置における第2基板ステージ、マイクロデバイス基板、並びに遮光層を異なる視野角で示す略図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る、マストランスファー装置における第2基板ステージ及びマイクロデバイス基板を異なる視野角で示す略図である。
図9図8におけるマイクロデバイス基板を示す拡大斜視図である。
図10図9におけるマイクロデバイス基板を移載用に使用するターゲット基板を示す概略平面図である。
図11図11A図11Cは、本発明の第3実施形態に係るマストランスファー装置によってマイクロデバイスを移載するプロセスを示す概略断面図である。
図12図11Bにおけるマイクロデバイス基板の他の修正された実施形態を示す概略断面図である。
図13】本発明の第4実施形態に係るマストランスファー装置を示す略図である。
図14図13におけるマストランスファー装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面においては、明瞭性を高めるために、層、フィルム、パネル、領域などの厚さが拡大表示されている。層、フィルム、領域、又は基板などの構成要素が、他の構成要素の「上に配置されている」又は他の構成要素に「接続されている」と言及される場合、構成要素は他の構成要素の上に直接的に存在するか或いは他の構成要素に直接的に接続されているか、又はその間に中間構成要素が存在していてもよいことを理解されたい。これに対して、構成要素が他の構成要素の「上に直接的に配置されている」か又は他の構成要素に「直接的に接続されている」と言及される場合、その間に中間構成要素は存在しない。本明細書で使用される「接続」は、物理的及び/又は電気的な接続を意味し得る。更に、2個の構成要素の「電気接続」は、その間に他の構成要素が存在する可能性があることを意味し得る。
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明し、その例を添付図面に示す。図面及び説明においては、同じ部分又は類似部分に言及する場合、可能な限り同じ参照符号が使用されている。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係るマストランスファー装置の略図を示す。図2は、図1におけるマストランスファー装置のブロック図を示す。図3A図3Dは、図1におけるマストランスファー装置を使用することによってマイクロデバイスを移載するプロセスの略図を示す。図4A図4Dは、図1におけるマストランスファー装置を使用することによってマイクロデバイスを移載するプロセスの断面図を示す。図5は、図1における第2基板ステージ及びマイクロデバイス基板の異なる視野角での略図を示す。図6A及び図6Bは、図5における幾つかの他の修正された実施形態に係る、第2基板ステージ及びマイクロデバイス基板の異なる視野角での略図を示す。明瞭性を高めるために、図1においては制御ユニットが省略され、図2においては他の構成要素と制御ユニット150との間の接続関係が省略されている。
【0026】
図1図2及び図4Bを参照すると、マストランスファー装置10は、ベースステージ100と、第1基板ステージ110と、第2基板ステージ120と、レーザーヘッド130とを備える。第1基板ステージ110は、ターゲット(目標)基板TSを搬送するのに使用される。第2基板ステージ120は、マイクロデバイス基板MDSを搬送するのに使用される。レーザーヘッド130から放射されるレーザービームLBは、対応するマイクロデバイス基板MDSを照射するために使用され、これにより移載すべき少なくとも1個のマイクロデバイスMDが基板SBから分離されてターゲット基板TSに接続される。より具体的には、マストランスファー装置10においては、マイクロデバイスMDの移載を実現するのにレーザーリフトオフ(LLO)技術が採用される。
【0027】
図示の実施形態において、ターゲット基板TSは、例えば、キャリア基板CS及び接着層ADを含むが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態において、ターゲット基板TSは、ディスプレイパネルの回路バックプレーンであってもよい。一方、マイクロデバイス基板MDSは、基板SB及びその基板SB上に配置された複数のマイクロデバイスMDを含む。図示の実施形態において、マイクロデバイス基板MDSの基板SBは、例えば、エピタキシャル基板であり、マイクロデバイスMDは、例えば、エピタキシャル基板上に製造されたマイクロ発光ダイオード(マイクロLED)であるが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態において、マイクロデバイス基板MDSの基板SBは、移載プロセスで使用される仮キャリア基板(ガラス基板又はフレキシブル基板など)であってもよく、マイクロデバイスMDは、所定の電子機能(ダイオード、トランジスタ、集積回路など)又は光機能(LED、レーザー)を実行するために使用される電子デバイスであってもよい。レーザー剥離効果を得るために、マイクロデバイスMDと基板SBとの間に剥離層RLが設けられている。剥離層RLの粘度は、レーザービームLBの照射後に無効になるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
図示の実施形態において、第1基板ステージ110は、ベースステージ100上に移動可能に配置されると共に、ターゲット基板TSを駆動してベースプラットフォーム100に対して少なくとも1つの方向に移動又は回転するよう適合されている。図示の実施形態において、第1基板ステージ110は、移動軸線X及び移動軸線Yに沿って二次元移動を行うことができ、例えば、方向X1(又は方向X2)及び方向Y1(又は方向Y2)に沿って移動することができる。移動軸線X(例えば方向X1又は方向X2)の軸線方向は、移動軸線Y(例えば方向Y1又は方向Y2)の軸線方向と交差している。
【0029】
製造プロセスの自由度を高めるために、図示の実施形態の第1基板ステージ110は更に、回転軸線RXに沿って回転するよう適合され、回転軸線RXの軸線方向は、移動軸線Xの軸線方向及び移動軸線Yの軸線方向に対して垂直であるが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態においては、第1基板ステージ110とベースステージ100との間に相対回転が生じることはない。
【0030】
一方、第2基板ステージ120は、ベースステージ100から離れた、第1基板ステージ110の一つの側に配置されると共に、マイクロデバイス基板MDSを駆動して第1基板ステージ110に対して少なくとも1つの方向に移動するよう適合されている。図示の実施形態において、第2基板ステージ120は、例えば、方向X1(又は方向X2)、方向Y1(又は方向Y2)、並びに方向Z1(又は方向Z2)に沿って移動するために、移動軸線X、移動軸線Y、並びに移動軸線Zに沿って三次元移動を行うことができる。移動軸線Zの軸線方向(例えば方向Z1又は方向Z2)、移動軸線Xの軸線方向、並びに移動軸線Yの軸線方向は、互いに選択的に垂直であり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
第1基板ステージ110及び第2基板ステージ120は、それぞれ、ターゲット基板TS及びマイクロデバイス基板MDSを異なる方向又は反対方向に移動するよう駆動可能であるため、ターゲット基板TS上の移載ターゲット領域とマイクロデバイスMDS上の移載すべきマイクロデバイスMDとのアライメント速度を増加させることができる。
【0032】
更に、レーザーヘッド130は、第1基板ステージ110から離れた、第2基板ステージ120の一つの側に配置されると共に、第2基板ステージ120における対応のターゲット位置(例えばターゲット位置Pt1又はターゲット位置Pt2)に移動するよう適合されている。図示の実施形態において、レーザーヘッド130は、例えば、方向X1(又は方向X2)及び方向Y1(又は方向Y2)に沿って移動するために、第2基板ステージ120に対して移動軸線X及び移動軸線Yに沿うようそれぞれ二次元移動を行うことができる。
【0033】
レーザーヘッド130から放射されたレーザービームLBが対応のマイクロデバイス基板MDSに確実に照射されると共に、移載すべきマイクロデバイスMDをターゲット基板TSに接続されるようにするために、第2基板ステージ120は、マイクロデバイス基板MDSに対応するよう配置された開口120hを有する。
【0034】
例えば、図示の実施形態において、第2基板ステージ120によって搬送可能なマイクロデバイス基板MDSの個数は3個であり、それぞれ、第1マイクロデバイス基板MDS1、第2マイクロデバイス基板MDS2、並びに第3マイクロデバイス基板MDS3である。また、マイクロデバイス基板MDSの何れか1個におけるマイクロ発光デバイス(即ちマイクロデバイスMD)の発光色は、他のマイクロデバイス基板MDSの何れか1個におけるマイクロ発光デバイス(即ちマイクロデバイスMD)の発光色とは異なる。例えば、第1マイクロデバイス基板MDS1、第2マイクロデバイス基板MDS2、並びに第3マイクロデバイス基板MDS3におけるマイクロ発光デバイスの発光色は、それぞれ、赤、緑、青であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
これに対応して、第2基板ステージ120における開口120hの数も3つであり、マイクロデバイス基板MDSは、開口120hに対応するようそれぞれ配置されている。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態において、第2基板ステージ120における開口120hの数及び搬送されるマイクロデバイス基板MDSの個数は、実際のプロセス要件に応じて調整することができる。例えば、第2基板ステージ120Aは、2個のマイクロデバイス基板MDS1、2個のマイクロデバイス基板MDS2、並びに2個の第3マイクロデバイス基板MDS3を搬送するのに使用することができる(図6A参照)。
【0036】
同時に図5を参照すると、図示の実施形態において、マイクロデバイス基板MDSは、ベースステージ100に面する第2基板ステージ120の表面120sに選択的に配置可能であり、表面120sに平行な方向におけるマイクロデバイス基板MDSの幅は、その方向における第2基板ステージ120の開口120hの幅よりも僅かに大きい。例えば、第2基板ステージ120の表面120sにおけるマイクロデバイス基板MDSの正投影プロファイルと開口120hとの間の最短距離は3 mmであり、マイクロデバイス基板MDSは、第2基板ステージ120に重なる端部によって第2基板ステージ120に吸着することができる。例えば、マイクロデバイス基板MDSとの真空吸着関係を実現するために、第2基板ステージ120の表面120sに配置されると共に、開口120h近傍に位置する複数の微小孔と、これら微小孔と連通する排気チャネルが採用されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
他の実施形態において、複数のマイクロデバイス基板MDSを、第2基板ステージ120Bの開口120h’内に配置することもできる。第2基板ステージ120Bには、開口120h’がベースステージ100に面する側にストップ構造122が設けられ、マイクロデバイス基板の端部がストップ構造122に対して寄りかかっている(図6B参照)。図示の実施形態において、配列方向に隣接する任意の2個のマイクロデバイス基板MDS間のピッチS又は大きさ(例えば円の直径)についても、実際の転写要件に応じて調整することができるが、これは本発明によって限定されるものではない。
【0038】
ターゲット基板TS、マイクロデバイス基板MDS、並びにレーザーヘッド130間のアライメント精度を高めるために、可動ステージ及びこれら構成要素を搬送するブラケットにサーボモータモジュール140が設けられている。即ち、サーボモータモジュール140は、第1基板ステージ110、第2基板ステージ120、並びにレーザーヘッド130を駆動してそれぞれが、移動軸線X、移動軸線Y、並びに移動軸線Zに沿って移動するのに使用することができる。
【0039】
例えば、図示の実施形態において、サーボモータモジュール140は、第1基板ステージ110とベースステージ100との間に配置されたサーボモータ141A及びサーボモータ141B、ベースステージ100と複数の支柱102との間に配置された複数のサーボモータ142A、複数の梁104と第2基板ステージ120との間に配置された複数のサーボモータ142B、複数の支柱102と複数の梁104との間に配置された複数のサーボモータ142C、複数の梁104とガントリ機構106との間に配置された複数のサーボモータ143B、ガントリ機構106と支持アーム108との間に配置されたサーボモータ143Bを含むが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
図示の実施形態において、4本の支柱102及び2本の梁104は、ガントリ型移動プラットフォームを形成し、第2基板ステージ120及びレーザーヘッド130は、そのガントリ型移動プラットフォーム上に移動可能に配置されている。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態において、第1基板ステージ110、第2基板ステージ120、並びにレーザーヘッド130間の相対移動関係は、当業者に周知されている任意の可動ブラケット構造設計を採用して実施してもよい。
【0041】
具体的には、サーボモータ141A及びサーボモータ141Bは、第1基板ステージ110を駆動してベースステージ100に対してそれぞれ移動軸線X及び移動軸線Yに沿って移動させることができる。複数のサーボモータ142A及び複数のサーボモータ142Bは、第2基板ステージ120を駆動してベースステージ100及び第1基板ステージ110に対してそれぞれ移動軸線X及び移動軸線Yに沿って移動させることができる。複数のサーボモータ142Cは、第2基板ステージ120及びレーザーヘッド130を駆動してベースステージ100に接近するか又は離れるよう移動軸線Zに沿って移動させることができる。サーボモータ143A及び複数のサーボモータ143Bは、レーザーヘッド130を駆動して第2基板ステージ120に対してそれぞれ移動軸線X及び移動軸線Yに沿って移動させることができる。
【0042】
マストランスファー装置10は、制御ユニット150を更に備えることができる。制御ユニット150は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)である。例えば、制御ユニット150は、ヒューマン・マシン・インターフェース(図示せず)から設定コマンドを受信するよう使用され、予め設定されたプロセスパラメータ又はプロセス中に瞬時にフィードバックされるパラメータ値に従って、第1基板ステージ110、第2基板ステージ110、レーザーヘッド130、並びにサーボモータモジュール140が、設定されたプロセスフローで作動するよう駆動する。即ち、制御ユニット150は、第1基板ステージ110、第2基板ステージ120、レーザーヘッド130、並びにサーボモータモジュール140の機能を統合することができる。
【0043】
以下、マストランスファー装置10に適したマイクロデバイスMDのトランスファー方法について例示的に説明する。図2及び図3Aを参照すると、ターゲット基板TS及びマイクロデバイス基板MDSがそれぞれ第1基板ステージ110上及び第2基板ステージ120上に配置された後、マイクロデバイスMDの移載プロセスが開始される。制御ユニット150は、予め設定されたプロセスパラメータに従って、第1基板ステージ110及び第2基板ステージ120をベースステージ100上の所定位置に移動させ、これにより第2基板ステージ120上の少なくとも1個のマイクロデバイス基板MDSが第1基板ステージ110上のターゲット基板TSと移動軸線Zの軸線方向に重なるよう制御する。このプロセスにおいて、第1基板ステージ110は例えば方向X2に移動し、第2基板ステージ120は例えば方向X1及び方向Y1に移動するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
特に、第1基板ステージ110及び第2基板ステージ120の移動プロセス中に、レーザーヘッド130が方向X1及び方向Y2に向けて同期的に移動して第2基板ステージ120における対応のターゲット位置Pt1(図4A参照)に到達し、これにより第1基板ステージ110、第2基板ステージ120、並びにレーザーヘッド130間のアライメントステップに要するプロセス時間を短縮することができる。なお、レーザーヘッド130及び第2基板ステージ120のアライメントステップの実行順序と、第1基板ステージ110及び第2基板ステージ120のアライメントステップの実行順序、更にはこれらアライメントステップが同期的に実行されるか否かは、異なるプロセス要件に応じて調整され得ることを理解されたいが、これは本発明によって限定されるものではない。
【0045】
図2図3B、並びに図4Aを参照すると、制御ユニット150がサーボモータモジュール140からフィードバック信号を受信してその正しさを確認した後、制御ユニット150は、第2基板ステージ120及びレーザーヘッド130を制御して第1基板ステージ110方向(例えば方向Z2)に向けて移動させ、これによりマイクロデバイス基板MDSにおける複数のマイクロデバイスMDが第1基板ステージ上のターゲット基板TSに接触する。図3C及び図4Bに示すように、マイクロデバイス基板MDSのマイクロデバイスMDがターゲット基板TSの接着層ADに接触した後、レーザーヘッド130がレーザービームLBを放射するよう制御される。レーザービームLBは、第2基板ステージ120の開口120hを介して、移載すべきマイクロデバイスMDと基板SBとの間の剥離層RLを照射し、これにより移載すべきマイクロデバイスMDと基板SBとの間の接着力を低下させる。例えば、図示の剥離層RLは、レーザー剥離層であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
図示の実施形態において、マストランスファー装置10は、複数のマイクロデバイスMDをターゲット基板TS上に不規則な配置で移載することができる。例えば、レーザーヘッド130がターゲット位置Pt1で剥離層RLの一部を照射した後、レーザーヘッド130は、次のターゲット位置Pt2に更に移動して照射をすることができ、又は図3D及び図4Cに示すように、マイクロデバイス基板MDS1(例えば、第2基板ステージ120の対応ターゲット位置Pt2)から他のマイクロデバイス基板MDS2(例えば、第2基板ステージ120の対応ターゲット位置Pt3)に移動して選択的に照射をすることができる。即ち、レーザーヘッド130の移動性は、マイクロデバイス基板MDS上の移載すべきデバイスの選択自由度を高め、これにより製造プロセスの利便性及び効率性が向上すると共に、プロセス時間の短縮及びプロセス歩留まりの向上に役立つ。
【0047】
レーザービームLBの照射プロセスの後、第2基板ステージ120は、ターゲット基板TSから離れる方向(例えば方向Z1)に移動するよう制御され、これにより移載すべき複数のマイクロデバイスMDが基板SBから分離する(図4D参照)。このようにして、不規則に配置された複数のマイクロデバイスMDの移載プロセスが完了する。なお、図示の実施形態において、各レーザービームLBの照射領域におけるマイクロデバイスMDの個数は例えば1個であるが、これは本発明が図面の内容によって限定されることを意味するものではない。他の実施形態において、各レーザービームLBの照射領域におけるマイクロデバイスMDの個数は複数であってもよく、これらマイクロデバイスMDは互いに隣接している。
【0048】
以下、本開示を詳細に説明するために他の実施形態が提供されるが、同じ構成要素には同じ参照符号を付し、同じ技術内容の説明は省略するものとする。省略した部分の説明については上述した実施形態を参照する場合があり、その詳細な説明は以下の実施形態においては繰り返さない。
【0049】
図7は、本発明の第2実施形態に係る、マストランスファー装置における第2基板ステージ、マイクロデバイス基板、並びに遮光層の異なる視野角での略図を示す。特に、図7の下部の断面図は、上部の平面図における断面線A‐A’に対応している。
【0050】
図7を参照すると、図示のマストランスファー装置10Aと図1におけるマストランスファー装置10との間の主な相違点は、マストランスファー装置10Aがマイクロデバイス基板MDSと重なるよう配置された遮光層160を更に備えることである。図示の実施形態における第2基板ステージ120Cの構成は、図6Bにおける第2基板ステージ120Bの構成に類似し、他の構成要素は、図1におけるマストランスファー装置10の構成要素に類似しているため、その詳細な説明については、(ここでは省略する)上述した実施形態における関連段落の説明を参照することによって推定することができる。
【0051】
具体的には、第2基板ステージ120Cの開口120h”に遮光層160が更に設けられ、その遮光層160は、マイクロデバイス基板MDSのレーザーヘッドに面する側に位置している。特に、遮光層160は、マイクロデバイス基板MDSと重なる少なくとも1つの開口160hを有し、レーザービームLBは、開口160hによって規定される光透過領域を介して、マイクロデバイス基板MDSを照射することができる。図示の実施形態において、各遮光層160は、複数の開口160hを有し、マイクロデバイス基板MDS上におけるこれら開口160hの正投影領域及び輪郭は異ならせることができる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態において、遮光層160の開口160hの大きさ及び輪郭は、実際の移載プロセス要件に応じて調整することができる。
【0052】
遮光層160を構成することにより、より小さなマイクロデバイスの選択自由度及びプロセス歩留まりを更に向上させることができる。例えば、マイクロデバイスの大きさがレーザービームLBの照射領域よりも大幅に小さい場合、単一のマイクロデバイス又は少量のマイクロデバイスを選択することは困難である。従って、遮光層160の開口160hにより、レーザービームLBの一部のみを通過させると共に、マイクロデバイス基板MDS上において選択すべき領域を照射することができる。これにより、ターゲット基板と高密度かつ小型のマイクロデバイスを有するマイクロデバイス基板との間の移載プロセスが実現される。
【0053】
図8は、本発明の第3実施形態に係る、マストランスファー装置における第2基板ステージ及びマイクロデバイス基板の異なる視野角での略図を示す。図9は、図8におけるマイクロデバイス基板の拡大斜視図を示す。図10は、図9におけるマイクロデバイス基板を移載用に使用するターゲット基板の概略平面図を示す。図11A図11Cは、本発明の第3実施形態に係るマストランスファー装置によってマイクロデバイスを移載するプロセスの概略断面図を示す。図12は、図11Bにおけるマイクロデバイス基板の他の修正された実施形態を示す概略断面図を示す。
【0054】
図8図9、並びに図10を参照すると、図示の実施形態のマストランスファー装置10Bと図1におけるマストランスファー装置10との間の相違点は、第2基板ステージにおける開口の輪郭が異なることである。具体的には、マストランスファー装置10Bにおける第2基板ステージ120Dの開口120h‐Aの輪郭が矩形である。これに対応して、第2基板ステージ120Dによって搬送されるマイクロデバイス基板MDS’の輪郭も矩形である。図示の実施形態のマストランスファー装置10Bは、図1におけるマストランスファー装置10に類似しているため、第2基板ステージ120D以外の構成要素の詳細な説明については、(ここでは省略する)上述した実施形態における関連段落の説明を参照することによって推定することができる。
【0055】
図示の実施形態において、ターゲット基板TS’は、例えば、マイクロ発光ダイオード・ディスプレイパネルである。例えば、ターゲット基板TS’は、複数の画素領域PAを有すると共に、回路バックプレーンBS、複数のマイクロ発光デバイスLED、複数のボンディング層BL、並びに複数の予備(リザーブ)ボンディング層BLrを含む。マイクロ発光デバイスLEDは、それぞれ画素領域PAに配置されると共に、ボンディング層BLを介して回路バックプレーンに電気接続されている。なお、各画素領域PAには、少なくとも1つの予備ボンディング層BLrが設けられ、これら予備ボンディング層BLrとマイクロ発光デバイスLEDとは間隔を空けて配置されている。
【0056】
ターゲット基板TS’上におけるマイクロ発光デバイスLEDの一部の発光不良(例えば異常なマイクロ発光デバイスLEDx)又は欠落していることが検出された場合、図示の実施形態のマストランスファー装置10Bは、リペアプロセスを実行するよう使用することができる。図示の実施形態において、ターゲット基板TS’は、複数のリペア領域RAに分割され、異常なマイクロ発光デバイスLEDx又は欠落したマイクロ発光デバイスLEDのそれぞれは、リペア領域RAに対する位置座標Pcを有する。例えば、ターゲット基板TS’は、リペア領域RAの位置座標Pc1においてマイクロ発光デバイスLEDを失い、リペア領域RAの位置座標Pc2において発光不良の異常なマイクロ発光デバイスLEDxを有する。
【0057】
図示の実施形態において、マイクロデバイス基板MDS’上のマイクロデバイスは、例えば、リペア用マイクロ発光デバイスLEDrである。異常な又は欠落したマイクロ発光デバイスは、回路バックプレーンBS上に不規則に配置されているため、リペア用マイクロ発光デバイスLEDrは、ターゲット基板TS’におけるリペア領域RA上のこれら異常な又は欠落したマイクロ発光デバイスの位置座標Pcに従って、マイクロデバイス基板MDS’における基板SB’上の対応する配置位置Paに配置されなければならない。例えば、マイクロデバイス基板MDS’には、ターゲット基板TS’の位置座標Pc1における欠落したマイクロ発光デバイスLED及び位置座標Pc2における異常な発光デバイスLEDxをそれぞれリペアするために、リペア用マイクロ発光デバイスLEDrが配置位置Pa1及び配置位置Pa2の両方に設けられている。
【0058】
なお、図示の実施形態におけるマイクロ素子基板MDS’上のリペア用マイクロ発光デバイスは、基板SB’上に不規則に配置されているため、図1におけるマストランスファー装置10は、エピタキシャル基板(即ち、図4Aにおける基板SB)上に製造されたマイクロ発光ダイオード(即ち、図4AにおけるマイクロデバイスMD)の一部を図示の実施形態における基板SB’に移載し、リペア用マイクロ発光基板MDS’を形成するのに使用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0059】
以下、マストランスファー装置10Bに適合されたリペア用マイクロ発光デバイスLEDrのトランスファー方法について説明する。図示の実施形態の第1基板ステージ110、第2基板ステージ120D、並びにレーザーヘッド130のアライメントステップは、図3A及び図3Bにおけるマストランスファー装置10Bのアライメントステップに類似しているため、その詳細な説明については、(ここでは省略する)上述した実施形態における関連段落の説明を参照することによって推定することができる。
【0060】
図11Aを参照すると、図示の実施形態において、ターゲット基板TS’上における異常なマイクロ発光デバイスLEDxをリペアするために、リペアすべき画素領域PAの予備ボンディング層BLrの位置に基づいて第1基板ステージ110及び第2基板ステージ120Dのアライメントステップが行われる。即ち、第1基板ステージ110及び第2基板ステージ120のアライメントが完了した後、マイクロデバイス基板MDS’上のリペア用マイクロ発光デバイスLEDrと、ターゲット基板TS’上におけるリペアすべき画素領域PAの予備ボンディング層BLrとが移動軸線Zの軸線方向(例えば方向Z2)において重ねられる。
【0061】
次いで、図11A及び図11Bに示すように、第2基板ステージ120Dは、第1基板ステージ110方向(例えば方向Z2)に向けて移動するよう制御されるため、マイクロデバイス基板MDS’における複数のリペア用マイクロ発光デバイスLEDrがターゲット基板TS’上における複数の予備ボンディング層BLrに接触する。特に、図示の実施形態において、マイクロデバイス基板MDS’における複数のリペア用マイクロ発光デバイスLEDrと基板SB’との間の接続関係は、レーザー解離層DSLによって実現され、これらレーザー解離層DSLは、レーザービームLBによって照射された後に気化されて解離し得る。
【0062】
マイクロデバイス基板MDS’のリペア用マイクロ発光デバイスLEDrがターゲット基板TS’の予備ボンディング層BLrに接触した後、レーザーヘッド130は、レーザービームLBを放射するよう制御される。レーザービームLBは、第2基板ステージ120Dの開口120hを介して、移載すべきリペア用マイクロ発光デバイスLEDrと基板SB’との間に接続されたレーザー解離層DSLを照射し、これにより移載すべきリペア用マイクロ発光デバイスLEDrと基板SB’との間の接続関係が解除される。レーザービームLBが照射された後、第2基板ステージ120Dは、ターゲット基板TS’から離れる方向(例えば方向Z1)に移動し、これにより移載すべき複数のリペア用マイクロ発光デバイスLEDrが基板SB’から分離し、対応する複数の予備ボンディング層BLrに接続される(図11C参照)。このようにして、不規則に配置された複数のリペア用マイクロ発光デバイスLEDrの移載プロセスが完了する。
【0063】
なお、他の実施形態において、マイクロコンポーネント基板MDS’のレーザー解離層DSLを動的剥離層DRLに置き換えて、図12に示すマイクロデバイス基板MDS”を形成することもできる。動的剥離層DRLがレーザービームLBで照射されると、動的剥離層DRLと基板SB”との接合部に蒸気が発生し、動的剥離層DRLが変形する。このような変形により、リペア用マイクロ発光デバイスLEDrと動的剥離層DRLとの間の接続面積が減少するため、リペア用マイクロ発光デバイスLEDrは、マイクロデバイス基板MDS”がターゲット基板TS’から離れる過程で接着力が不足することに起因し、基板SBから剥離し得る。
【0064】
図13は、本発明の第4実施形態に係るマストランスファー装置の略図を示す。図14は、図13におけるマストランスファー装置のブロック図を示す。明瞭性を高めるために、図13においては制御ユニット150が省略され、図14においては他の構成要素と制御ユニット150との間の接続関係が省略されている。
【0065】
図13及び図14を参照すると、図示の実施形態のマストランスファー装置10Cと図1におけるマストランスファー装置10との相違点は、レーザーヘッドの個数が異なることである。移載プロセスの自由度を更に高めるために、マストランスファー装置10Cにおけるレーザーヘッドの個数は3個に増やされており、それぞれ、レーザーヘッド131,レーザーヘッド132,並びにレーザーヘッド133として表されている。これに対応して、これらレーザーヘッドは、それぞれ3本の支持アーム108上に配置され、これら支持アーム108は、それぞれサーボモータ143A1,143A2,143A3を介して、ガントリ機構106の梁上に移動可能に取り付けられている。即ち、制御ユニット150は、サーボモータ143A1,143A2,143A3を介して、レーザーヘッド131,132,133の移動軸線X上における移動を個別に制御することができる。
【0066】
例えば、3個のレーザーヘッドは、3個のマイクロデバイス基板MDSに対応するようそれぞれ設定し、移載プロセス中に、これら3個のレーザーヘッドは、3個のマイクロデバイス基板MDSを同時に照射してプロセス時間を更に短縮することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態において、移載プロセスで使用されるレーザーヘッドの個数及び作動モードは、異なるプロセス要件に応じて調整することができる。例えば、2個のレーザーヘッドを使用して同じマイクロデバイス基板MDSを同時に照射することができる。換言すれば、複数のレーザーヘッドを配置することによってプロセスの自由度を更に高めることができる。
【0067】
マストランスファー装置10Cにおける第1基板ステージ110、第2基板ステージ120、レーザーヘッド、サーボモータモジュール140A、並びに制御ユニット150は、マストランスファー装置10における対応の構成要素に類似しているため、その詳細な説明については、(ここでは省略する)上述した実施形態における関連段落の説明を参照することによって推定することができる。
【0068】
要約すると、本発明の実施形態のマストランスファー装置において、第1基板ステージ及び第2基板ステージは、それぞれ、ターゲット基板及びマイクロデバイス基板を異なる方向に移動するよう駆動し、これによりターゲット基板上の移載ターゲット領域及びマイクロデバイス基板上の移載すべきマイクロデバイスのアライメント速度を高めることができる。移載ターゲット領域の分布が比較的不規則な移載プロセス又はリペアプロセスにおいては、レーザーヘッドの移動性により、マイクロデバイス基板上の移載すべきマイクロデバイスの選択自由度が高まり、プロセス時間の短縮及びプロセス歩留まりの向上に役立つ。これに加えて、サーボモータモジュールの構成により、ターゲット基板、マイクロデバイス基板、並びにレーザーヘッド間のアライメント精度を更に向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のマストランスファー装置は、マイクロ発光ダイオード・ディスプレイパネル又はマイクロデバイス基板の製造プロセスで使用することができる。
【符号の説明】
【0070】
10,10A,10B,10C マストランスファー装置
100 ベースステージ
102 支柱
104 梁
106 ガントリ機構
108 支持アーム
110 第1基板ステージ
120,120A,120B,120C,120D 第2基板ステージ
120h,120h’120h”,120h‐A 開口
120s 表面
122 ストップ構造
130,131,132,133 レーザーヘッド
140,140A サーボモータモジュール
141A,141B,142A,142B,142C,143A,143B,143A1,143A2,143A3 サーボモータ
150 制御ユニット
160 遮光層
160h 開口
AD 接着層
BL ボンディング層
BLr 予備ボンディング層
BS 回路バックプレーン
CS キャリア基板
DRL 動的剥離層
DSL レーザー解離層
LB レーザービーム
LEDr リペア用マイクロ発光デバイス
LEDx 異常なマイクロ発光デバイス
MD マイクロデバイス
MDS,MDS1,MDS2,MDS3,MDS’,MDS” マイクロデバイス基板
PA 画素領域
Pa,Pa1,Pa2 配置位置
Pc,Pc1,Pc2 位置座標
Pt1,Pt2,Pt3 ターゲット位置
RA リペア領域
RL 剥離層
RX 回転軸線
S ピッチ
SB,SB’,SB” 基板
TS,TS’ ターゲット基板
X,Y,Z 移動軸線
X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2 方向
A‐A’ 断面線
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14