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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/30 20060101AFI20240304BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240304BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240304BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240304BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240304BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240304BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240304BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20240304BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240304BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240304BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20240304BHJP
   G01N 33/574 20060101ALN20240304BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C07K16/28
C07K16/46
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
C12N15/13
C12P21/08
C12N5/10
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
G01N33/574 A
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2022143428
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2020548645の分割
【原出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2022184914
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】18161293.8
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18175347.6
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ジェンマブ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】サテン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ エステル シー ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】デ ゴージ バート イー シー ジー
(72)【発明者】
【氏名】ケンパー クリステル
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルベルツ パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ブリンク エドワード エヌ
(72)【発明者】
【氏名】レイドメイカー リック
(72)【発明者】
【氏名】フェルゼイル デニス
(72)【発明者】
【氏名】ホルバッハ シェング
(72)【発明者】
【氏名】パレン ポール
【審査官】飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533929(JP,A)
【文献】特表2017-505121(JP,A)
【文献】特表2018-500025(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0236479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
C12P
A61K 39/395
A61P 35/00
A61P 35/02
A61K 47/68
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト5T4に結合しかつ重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含む、完全長抗体である、抗体であって、VH領域が、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、およびSEQ ID NO:50にそれぞれ示すCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、VL領域が、SEQ ID NO:52、配列DAS、およびSEQ ID NO:53にそれぞれ示すCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、抗体。
【請求項2】
SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むVH領域およびSEQ ID NO:51の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むVL領域を含む、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
SEQ ID NO:47に示すアミノ酸配列を含むVH領域およびSEQ ID NO:51に示すアミノ酸配列を含むVL領域を含む、請求項1記載の抗体。
【請求項4】
モノクローナル抗体である、請求項1~3のいずれか一項記載の抗体。
【請求項5】
2つの重鎖定常領域(CH)と2つの軽鎖定常領域(CL)とを含む、請求項1~4のいずれか一項記載の抗体。
【請求項6】
ヒトIgG1定常領域を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項7】
κ軽鎖定常領域またはλ軽鎖定常領域を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の抗体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項記載の抗体の抗原結合領域に対応する第1の抗原結合領域を含む、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに
第2の抗原結合領域を含む、第2の重鎖および第2の軽鎖
を含む、完全長抗体である、二重特異性抗体。
【請求項9】
第2の抗原結合領域が、ヒトCD3に結合する、請求項8記載の二重特異性抗体。
【請求項10】
第2の抗原結合領域が、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、およびSEQ ID NO:67にそれぞれ示すCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:58、配列GTN、およびSEQ ID NO:59にそれぞれ示すCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域を含む、請求項9記載の二重特異性抗体。
【請求項11】
第2の抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すアミノ酸配列を含むVH領域およびSEQ ID NO:60に示すアミノ酸配列を含むVL領域を含む、請求項10記載の二重特異性抗体。
【請求項12】
第1の抗原結合領域が、SEQ ID NO:47のアミノ酸配列を含むVH領域およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含むVL領域を含み、
第2の抗原結合領域が、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含むVH領域およびSEQ ID NO:60のアミノ酸配列を含むVL領域を含む、
請求項9記載の二重特異性抗体。
【請求項13】
2つの重鎖定常領域(CH)と2つの軽鎖定常領域(CL)とを含む、請求項9~12のいずれか一項記載の二重特異性抗体。
【請求項14】
ヒトIgG1定常領域を含む、請求項13記載の二重特異性抗体。
【請求項15】
ヒト5T4に結合する第1の抗原結合領域を含む、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに
ヒトCD3に結合する第2の抗原結合領域を含む、第2の重鎖および第2の軽鎖
を含む二重特異性抗体であって、
(a)第1の抗原結合領域が、SEQ ID NO:47に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域およびSEQ ID NO:51に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を含み、
(b)第2の抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すアミノ酸配列を含むVH領域およびSEQ ID NO:60に示すアミノ酸配列を含むVL領域を含み、
二重特異性抗体が、ヒトIgG1Fc領域を含み、第1の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびF405に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびLである定常領域を含み、第2の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびK409に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびRである定常領域を含み、かつ
第1の軽鎖および第2の軽鎖が、それぞれSEQ ID NO:95およびSEQ ID NO:96に示すアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、
二重特異性抗体。
【請求項16】
ヒト5T4に結合する第1の抗原結合領域を含む、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに
ヒトCD3に結合する第2の抗原結合領域を含む、第2の重鎖および第2の軽鎖
を含む二重特異性抗体であって、
(a)第1の抗原結合領域が、SEQ ID NO:47に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域およびSEQ ID NO:51に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を含み、
(b)第2の抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すアミノ酸配列を含むVH領域およびSEQ ID NO:60に示すアミノ酸配列を含むVL領域を含み、
二重特異性抗体が、ヒトIgG1Fc領域を含み、第1の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびK409に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびRである定常領域を含み、第2の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびF405に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびLである定常領域を含み、かつ
第1の軽鎖および第2の軽鎖が、それぞれSEQ ID NO:95およびSEQ ID NO:96に示すアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、
二重特異性抗体。
【請求項17】
二重特異性抗体が、ヒト5T4に結合する第1のモノクローナル抗体のFabアーム、およびヒトCD3に結合する第2のモノクローナル抗体のFabアームを含み、
第1のモノクローナル抗体のFabアームが、二重特異性抗体の第1の重鎖および第1の軽鎖を含み、第2のモノクローナル抗体のFabアームが、二重特異性抗体の第2の重鎖および第2の軽鎖を含む、
請求項15または16記載の二重特異性抗体。
【請求項18】
ヒト5T4に結合する第1の抗原結合領域を含む、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに
ヒトCD3に結合する第2の抗原結合領域を含む、第2の重鎖および第2の軽鎖
を含む、完全長抗体である、二重特異性抗体であって、
(a)第1の抗原結合領域が、SEQ ID NO:47に示すアミノ酸配列内の相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)を含む重鎖可変(VH)領域ならびにSEQ ID NO:51に示すアミノ酸配列内のCDRおよびFRを含む軽鎖可変(VL)領域を含み、
(b)第2の抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すアミノ酸配列内のCDRおよびFRを含むVH領域ならびにSEQ ID NO:60に示すアミノ酸配列内のCDRおよびFRを含むVL領域を含み、
VHおよびVL領域のそれぞれにおいて、CDRおよびFRが、アミノ末端からカルボキシ末端へ向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置されている、
二重特異性抗体。
【請求項19】
ヒト5T4に結合する第1の抗原結合領域を含む、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに
ヒトCD3に結合する第2の抗原結合領域を含む、第2の重鎖および第2の軽鎖
を含む、完全長抗体である、二重特異性抗体であって、
(a)第1の抗原結合領域が、SEQ ID NO:47に示すアミノ酸配列からなる重鎖可変(VH)領域ならびにSEQ ID NO:51に示すアミノ酸配列からなる軽鎖可変(VL)領域を含み、
(b)第2の抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すアミノ酸配列からなるVH領域ならびにSEQ ID NO:60に示すアミノ酸配列からなるVL領域を含む、
二重特異性抗体。
【請求項20】
ヒトIgG1 Fc領域を含む、請求項18または19記載の二重特異性抗体。
【請求項21】
Fc領域が、ヒトIgG1m(f)アロタイプである、請求項20記載の二重特異性抗体。
【請求項22】
κ軽鎖定常領域およびλ軽鎖定常領域を含む、請求項18~21のいずれか一項記載の二重特異性抗体。
【請求項23】
第1の重鎖および第2の重鎖の両方において、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235およびD265に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、EおよびAである、請求項18~22のいずれか一項記載の二重特異性抗体。
【請求項24】
二重特異性抗体が、ヒトIgG1Fc領域を含み、第1の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびF405に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびLである定常領域を含み、第2の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびK409に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびRである定常領域を含み、かつ
第1の軽鎖および第2の軽鎖が、それぞれSEQ ID NO:95およびSEQ ID NO:96に示すアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、
請求項18~23のいずれか一項記載の二重特異性抗体。
【請求項25】
第1の重鎖が、SEQ ID NO:92に示すアミノ酸配列からなる定常領域を含み、第2の重鎖が、SEQ ID NO:93に示すアミノ酸配列からなる定常領域を含む、請求項24記載の二重特異性抗体。
【請求項26】
二重特異性抗体が、ヒトIgG1Fc領域を含み、第1の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびK409に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびRである定常領域を含み、第2の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびF405に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびLである定常領域を含み、かつ
第1の軽鎖および第2の軽鎖が、それぞれSEQ ID NO:95およびSEQ ID NO:96に示すアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、
請求項18~23のいずれか一項記載の二重特異性抗体。
【請求項27】
第1の重鎖が、SEQ ID NO:93に示すアミノ酸配列からなる定常領域を含み、第2の重鎖が、SEQ ID NO:92に示すアミノ酸配列からなる定常領域を含む、請求項26に記載の二重特異性抗体。
【請求項28】
2つの重鎖定常領域(CH)と2つの軽鎖定常領域(CL)とを含む、請求項18~27のいずれか一項記載の二重特異性抗体。
【請求項29】
第1の重鎖および第1の軽鎖ならびに第2の重鎖および第2の軽鎖がすべてジスルフィド結合により相互に連結されている、請求項18~28のいずれか一項記載の二重特異性抗体。
【請求項30】
ヒト5T4に結合する第1の抗原結合領域を含む、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに
ヒトCD3に結合する第2の抗原結合領域を含む、第2の重鎖および第2の軽鎖
を含む二重特異性抗体であって、
(a)第1の抗原結合領域が、SEQ ID NO:47に示すアミノ酸配列内の相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)を含む重鎖可変(VH)領域ならびにSEQ ID NO:51に示すアミノ酸配列内のCDRおよびFRを含む軽鎖可変(VL)領域を含み、
(b)第2の抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すアミノ酸配列内のCDRおよびFRを含むVH領域ならびにSEQ ID NO:60に示すアミノ酸配列内のCDRおよびFRを含むVL領域を含み、
VHおよびVL領域のそれぞれにおいて、CDRおよびFRが、アミノ末端からカルボキシ末端へ向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置されており、
二重特異性抗体が、ヒトIgG1Fc領域を含み、第1の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびK409に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびRである定常領域を含み、第2の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびF405に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびLである定常領域を含み、かつ
第1の軽鎖および第2の軽鎖が、それぞれSEQ ID NO:95およびSEQ ID NO:96に示すアミノ酸配列からなる軽鎖定常領域を含む、
二重特異性抗体。
【請求項31】
ヒト5T4に結合する第1の抗原結合領域を含む、第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに
ヒトCD3に結合する第2の抗原結合領域を含む、第2の重鎖および第2の軽鎖
を含む二重特異性抗体であって、
(a)第1の抗原結合領域が、SEQ ID NO:47に示すアミノ酸配列からなる重鎖可変(VH)領域ならびにSEQ ID NO:51に示すアミノ酸配列からなる軽鎖可変(VL)領域を含み、
(b)第2の抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すアミノ酸配列からなるVH領域ならびにSEQ ID NO:60に示すアミノ酸配列からなるVL領域を含み、
二重特異性抗体が、ヒトIgG1Fc領域を含み、第1の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびK409に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびRである定常領域を含み、第2の重鎖が、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中のL234、L235、D265、およびF405に対応するアミノ酸残基がそれぞれF、E、A、およびLである定常領域を含み、かつ
第1の軽鎖および第2の軽鎖が、それぞれSEQ ID NO:95およびSEQ ID NO:96に示すアミノ酸配列からなる軽鎖定常領域を含む、
二重特異性抗体。
【請求項32】
請求項1~7のいずれか一項記載の抗体または請求項8~31のいずれか一項記載の二重特異性抗体と、担体とを含む、組成物。
【請求項33】
請求項1~7のいずれか一項記載の抗体または請求項8~31のいずれか一項記載の二重特異性抗体と、使用説明書とを含む、キット。
【請求項34】
請求項1~7のいずれか一項記載の抗体または請求項8~31のいずれか一項記載の二重特異性抗体と、細胞傷害性作用物質、化学治療薬、サイトカイン、免疫抑制薬、抗生物質、または放射性同位体とを含む、イムノコンジュゲートまたは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項35】
請求項1~7のいずれか一項記載の抗体、請求項8~31のいずれか一項記載の二重特異性抗体、または請求項32記載の組成物を含む、がんを処置するための薬学的組成物であって、がんが、腫瘍細胞の少なくとも一部における5T4の発現を特徴とする、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、5T4とCD3とに結合する二重特異性抗体を含む、5T4に結合する抗体に関する。本発明は、前記抗体を含む薬学的組成物、ならびに特にがん治療における、治療手順および診断手順のための前記抗体の使用をさらに提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
5T4(栄養膜糖タンパク質[TPBG]またはWnt活性化阻害因子(Wnt-activated inhibitory factor)1[WAIF1]としても公知である)は、8つのロイシンリッチリピート(LRR)と7つの潜在的N-グリコシル化部位とを含有する72kDaの1回膜貫通タンパク質である(Zhao et al.,2014 Structure 22,612-620(非特許文献1))。
【0003】
胎盤を除く正常成人組織では5T4発現は制限されている(Southall et al.,1990 Br J Cancer 61,89-95(非特許文献2))。5T4は、腎臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、肺がん、前立腺がんおよび大腸がんを含む多くのヒトがんで発現する(Stern and Harrop,2017 Cancer Immunol Immunother 66,415-426(非特許文献3)、Southall et al.,1990 Br J Cancer 61,89-95(非特許文献2))。腫瘍細胞における5T4発現は、1)上皮間葉移行の促進(Damelin et al.,2011 Cancer Res 71,4236-4246(非特許文献4)、Carsberg et al.,1996 Int J Cancer 68,84-92(非特許文献5))ならびに2)カノニカルWnt/ベータ-カテニンシグナリング経路の阻害および非カノニカルWnt経路の活性化(Kagermeier-Schenk et al.,2011 Dev Cell 21,1129-1143(非特許文献6))によって、腫瘍の発生を推し進める。
【0004】
5T4ターゲティング抗体および5T4ターゲティング治療は、5T4を発現することが公知であるいくつかのがん(結腸直腸がん、肺がんおよび腎がんを含む)において、臨床活性を有する。例えばナプツモマブ・エスタフェナトクスは、工学的に操作されたスーパー抗原変種SEA/E-120に遺伝子的に融合された5T4-Fab部分からなる組換え融合タンパク質である。これは現在、非小細胞肺がん(NSCLC)、腎細胞がん(RCC)および膵がんの免疫治療として臨床試験中である(例えばEisen,et al.,2014 Curr Oncol Rep 16,370(非特許文献7)参照)。また、TroVax(登録商標)は5T4構築物を発現する改変ワクシニア・アンカラ(vaccinia Ankara)株(MVA-5T4)であり、これは結腸直腸がん、前立腺がんおよび腎がんにおいて臨床的利益を示す(例えばStern and Harrop,2017 Cancer Immunol Immunother 66,415-426(非特許文献3)、Scurr et al.,2017 JAMA Oncol 12,10(非特許文献8)参照)。さらに、抗5T4抗体は、WO2007106744(特許文献1)、WO03038098(特許文献2)、WO2011048369(特許文献3)、WO2013041687(特許文献4)、WO2017072207(特許文献5)に記載されている。
【0005】
がんの根絶には著しい進歩があったものの、今なお、抗体ベースのがん治療のさらなる改良が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】Zhao et al.,2014 Structure 22,612-620
【文献】Southall et al.,1990 Br J Cancer 61,89-95
【文献】Stern and Harrop,2017 Cancer Immunol Immunother 66,415-426
【文献】Damelin et al.,2011 Cancer Res 71,4236-4246
【文献】Carsberg et al.,1996 Int J Cancer 68,84-92
【文献】Kagermeier-Schenk et al.,2011 Dev Cell 21,1129-1143
【文献】Eisen,et al.,2014 Curr Oncol Rep 16,370
【文献】Scurr et al.,2017 JAMA Oncol 12,10
【非特許文献】
【0007】
【文献】WO2007106744
【文献】WO03038098
【文献】WO2011048369
【文献】WO2013041687
【文献】WO2017072207
【発明の概要】
【0008】
5T4(栄養膜糖タンパク質)へと結合することができる少なくとも1つの抗原結合領域を含む抗体であって、SEQ ID NO:5に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:9に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[059]の5T4への結合を遮断することができる抗体を提供することが、本発明の目的である。
【0009】
本抗体は特に二重特異性抗体であってよく、CD3、例えばヒトCD3ε(イプシロン)、例えばSEQ ID NO:4に明示されるヒトCD3ε(イプシロン)に結合する抗体の抗原結合領域を、さらに含みうる。
【0010】
別の一局面において、本発明は、
a)本明細書において規定する5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)本明細書において規定する5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を含む核酸構築物に関する。
【0011】
別の一局面において、本発明は、
a)本明細書において規定する5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)本明細書において規定する5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を含む発現ベクターに関する。
【0012】
別の一局面において、本発明は、本明細書において規定する核酸構築物または発現ベクターを含む細胞に関する。
【0013】
別の一局面において、本発明は、本発明の抗体を含む組成物に関する。
【0014】
別の一局面において、本発明は、本明細書において規定する抗体と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物に関する。
【0015】
別の一局面において、本発明は、医薬としての使用のための、例えば疾患の処置における使用のための、本明細書において規定する抗体に関する。
【0016】
別の一局面において、本発明は、本明細書において規定する抗体、組成物または薬学的組成物を、その必要がある対象に投与する工程を含む、疾患または障害を処置する方法に関する。
【0017】
別の一局面において、本発明は、本明細書において規定する抗体を産生するための方法に関する。
【0018】
別の一局面において、本発明は、部分からなるキット(kit-of-parts)であって、本明細書において規定する抗体と該キットの使用説明書とを含む、部分からなるキットに関する。
【0019】
別の一局面において、本発明は、本明細書において規定する抗体の5T4へと結合することができる抗原結合領域に結合する、抗イディオタイプ抗体に関する。
[本発明1001]
5T4(栄養膜糖タンパク質)へと結合することができる少なくとも1つの抗原結合領域を含む抗体であって、
SEQ ID NO:5に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:9に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[059]の、5T4への結合を遮断することができる、抗体。
[本発明1002]
a)SEQ ID NO:40に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:44に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[207]、
b)SEQ ID NO:47に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:51に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[226]、および
c)SEQ ID NO:5に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:9に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[059]
からなる群より選択される抗体の、5T4への結合を遮断する、本発明1001の抗体。
[本発明1003]
a)SEQ ID NO:40に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:44に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[207]、および
b)SEQ ID NO:47に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:51に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[226]
からなる群より選択される抗体の、5T4への結合を遮断する、本発明1001または本発明1002の抗体。
[本発明1004]
5T4がヒト(Homo sapiens)5T4、例えばSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチド配列である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1005]
5T4がカニクイザル(Macaca fascicularis)5T4、例えばSEQ ID NO:2の成熟ポリペプチド配列である、本発明1001~1003のいずれかの抗体。
[本発明1006]
5T4がニワトリ(Gallus gallus)5T4、例えばSEQ ID NO:3の成熟ポリペプチド配列である、本発明1001~1003のいずれかの抗体。
[本発明1007]
5T4がヒト5T4、例えばSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチド、およびカニクイザル5T4、例えばSEQ ID NO:2の成熟ポリペプチドである、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1008]
5T4がヒト5T4、例えばSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチド配列、カニクイザル5T4、例えばSEQ ID NO:2の成熟ポリペプチド配列、およびニワトリ5T4、例えばSEQ ID NO:3の成熟ポリペプチド配列である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1009]
ヒト5T4、カニクイザルおよび/またはニワトリ5T4に、1E-7M以下、例えば5E-8M以下、1E-8M以下、5E-9M以下または例えば1E-9M以下のKD値に対応する結合親和性で結合することができる、例えば1E-7~5E-10Mの範囲内、例えば1E-7~1E-9Mの範囲内、例えば5E-8~5E-10M、5E-8~1E-9M、例えば1E-8~5E-10M、1E-8~1E-9Mまたは例えば1E-8~5E-9Mの範囲内にあるKD値に対応する結合親和性で結合することができる、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1010]
結合親和性が、バイオレイヤー干渉法によって、任意で本願明細書の実施例2に示すように決定される、本発明1009の抗体。
[本発明1011]
結合親和性が、
I)抗体を、1μg/mLの量で600秒間かけて、抗ヒトIgG Fc捕捉バイオセンサー上に固定化する工程、
II)100nM~1.56nMの範囲の2倍希釈系列を使って、5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)またはカニクイザル5T4(SEQ ID NO:2の成熟タンパク質)、または組換えカニクイザル5T4タンパク質(Cusabio、カタログ番号CSB-MP024093MOV)の会合を200秒の期間にわたって、解離を1000秒の期間にわたって決定する工程、
III)データを緩衝液対照(0nM)と関連づける工程
を含むバイオレイヤー干渉法を使って決定される、本発明1009および本発明1010のいずれかの抗体。
[本発明1012]
結合親和性が、単一特異性二価抗体である前記本発明のいずれかの抗体、例えば完全長IgG1である抗体を使って決定される、本発明1009~1011のいずれかの抗体。
[本発明1013]
a)SEQ ID NO:5に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:9に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[059]、
b)SEQ ID NO:12に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:16に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[076]、
c)SEQ ID NO:19に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:23に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[085]、
d)SEQ ID NO:26に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:30に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[106]、
e)SEQ ID NO:33に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:37に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[127]、
f)SEQ ID NO:40に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:44に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[207]、および
g)SEQ ID NO:47に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:51に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[226]
からなる群より選択される抗体のいずれか1つによって認識される、5T4上のエピトープまたは抗体結合領域または結合部位
を認識する、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1014]
a)SEQ ID NO:87に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:88に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[H8]、
b)SEQ ID NO:83に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:84に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[A1]、および
c)SEQ ID NO:85に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:86に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[A3]
からなる群より選択される抗体によって結合される抗体結合領域でも結合部位でもエピトープでもない、または
a)SEQ ID NO:87に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:88に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[H8]、
b)SEQ ID NO:83に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:84に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[A1]、および
c)SEQ ID NO:85に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:86に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[A3]
からなる群より選択される抗体によって結合される抗体結合領域とも結合部位ともエピトープとも異なる、5T4上の抗体結合領域、結合部位またはエピトープ
に結合する、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1015]
SEQ ID NO:85に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:86に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[A3]の5T4への結合によって、5T4への結合が遮断される、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1016]
SEQ ID NO:85に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:86に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む、5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)に結合している抗体[A3]
の置き換えを示す、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1017]
交差遮断が、または5T4への別の抗体の結合を遮断する前記本発明のいずれかの抗体の能力が、蛍光活性化細胞選別(FACS)アッセイによって、例えば実施例5に記載されるように行われるアッセイにおいて、決定される、本発明1014または本発明1015の抗体。
[本発明1018]
交差遮断が、または5T4への別の抗体の結合を遮断する前記本発明のいずれかの抗体の能力が、コンジュゲート抗体の結合を遮断する非コンジュゲート抗体の能力として決定され、任意で、
i)各試料が、ヒト卵巣腺癌SK-OV-3細胞と、5T4に結合する抗体であってフルオレセインイソチオシアネート(FITC)にコンジュゲートされている該抗体と、5T4を標的とする過剰量の非コンジュゲート抗体との混合物を含む、試料セットを用意する工程、
ii)該試料を4℃で30分間インキュベートした後、該試料を遠心分離に供する工程、
iii)各試料から上清を取り除き、細胞を緩衝液に再懸濁し、フローサイトメーターを使ってFITCの平均蛍光強度(MFI)を決定する工程、および
iv)結合のパーセンテージを、以下:
FITCコンジュゲート抗体および非コンジュゲート抗体の混合物と共にインキュベートされた細胞と、FITCコンジュゲート抗体も非コンジュゲート抗体もなしでインキュベートされた細胞との間のMFIの差を100倍し、次にFITCコンジュゲート抗体およびIgG-b12抗体の混合物と共にインキュベートした細胞と、FITCコンジュゲート抗体も非コンジュゲート抗体もなしでインキュベートした細胞との間のMFIの差で割る
の通りに算出する工程
を含む手順で決定される、本発明1014~1016のいずれかの抗体。
[本発明1019]
5T4への別の抗体の結合を遮断する抗体の能力または5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)に結合している別の抗体を置き換える抗体の能力が、バイオレイヤー干渉法を使って、例えば実施例3記載のアッセイにおいて決定される、本発明1014~1017のいずれかの抗体。
[本発明1020]
5T4への別の抗体の結合を遮断する抗体の能力、または5T4に結合している別の抗体を置き換える抗体の能力が、バイオレイヤー干渉法を使って、
i)前記本発明のいずれかの抗体を、10mM酢酸ナトリウム緩衝液中、20μg/mLの量で、活性化アミン反応性第2世代バイオセンサーに固定化する工程、
ii)固定化された抗体を持つバイオセンサーをエタノールアミンpH8.5中でクエンチする工程、
iii)3.6μg/mL(100nM)のヒト5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)を含む組成物中に、固定化された抗体を持つバイオセンサーを、500秒の期間、浸漬する工程、および次に、
iv)5T4を標的とする該別の抗体を10μg/mLで含む組成物中に、固定化された抗体および5T4ECDHisを持つバイオセンサーを、500秒の期間にわたって浸漬し、会合応答を決定する工程
を含み、工程i)~iv)が1000rpmで振とうしながら30℃の温度において行われる手順で、決定される、本発明1014~1018のいずれかの抗体。
[本発明1021]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、Y92およびR94を含む、ヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域
に結合する、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1022]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基S69、R73、Y92およびR94を含む、ヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域
に結合する、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1023]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、T74、Y92、R94およびN95を含む、ヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域
に結合する、本発明1001~1021のいずれかの抗体。
[本発明1024]
前記アミノ酸残基が、抗体の結合に直接的に関与する、本発明1021~1023のいずれかの抗体。
[本発明1025]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでL89、F111、L117、F138、L144、D148、N152の追加アミノ酸残基のうちの1つまたは複数が、抗体の結合に関与する、例えば、タンパク質のフォールディングに影響を及ぼすことおよび/または抗体の結合に直接的に関与する1つまたは複数のアミノ酸残基の位置決めに影響を及ぼすことなどによって、結合に間接的に関与する、本発明1021~1024のいずれかの抗体。
[本発明1026]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、Y92およびR94が、抗体の結合に直接的に関与し、かつアミノ酸残基F111、F138、L144およびD148のうちの1つまたは複数が、該結合に間接的に関与する、ヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域
に結合する、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1027]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基S69、R73、Y92およびR94が、抗体の結合に直接的に関与し、かつアミノ酸残基F111、F138およびD148のうちの1つまたは複数が、該結合に間接的に関与する、ヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域
に結合する、本発明1001~1025のいずれかの抗体。
[本発明1028]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、T74、Y92、R94およびN95が、抗体の結合に直接的に関与し、かつアミノ酸残基F138が、該結合に間接的に関与する、ヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域
に結合する、本発明1001~1025のいずれかの抗体。
[本発明1029]
前記エピトープまたは抗体結合領域に含まれるアミノ酸残基および任意で1つまたは複数の追加アミノ酸残基が、SEQ ID NO:1に示すアミノ酸配列またはSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチド配列を有するヒト5T4のアラニンスキャニングによって同定される、本発明1021~1028のいずれかの抗体。
[本発明1030]
アラニンスキャニングが、本願明細書の実施例16に示されるように、または本願明細書の実施例16に本質的に示されるように、行われる、本発明1029の抗体。
[本発明1031]
アラニンスキャニングが、
i)ヒト5T4の細胞外ドメイン(SEQ ID NO:1のアミノ酸残基32~355に対応する)中のシステインおよびアラニンを除く全アミノ酸残基がアラニンで個別に置換されている変異ヒト5T4ポリペプチド、ならびに野生型5T4ポリペプチド(SEQ ID NO:1のアミノ酸残基32~355)を、ヒト胎児腎臓細胞、例えばHEK293細胞中で、各変異5T4または野生型5T4について、70~90.000個の細胞、例えば80.000個の細胞を含む試料が得られるように、個別に発現させる工程、
ii)各試料中の細胞を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート抗体にコンジュゲートされた抗体20μL(3μg/mL;FACS緩衝液中)と共に、室温で40分間インキュベートした後、各試料を150~180μLのFACS緩衝液(リン酸緩衝食塩水+0.1%[w/v]BSA+0.02%[w/v]アジ化ナトリウム)で2回洗浄し、各試料中の細胞を30μLのFACS緩衝液に再懸濁する工程、
iii)各試料について、該試料中の生存単一細胞集団に関して、細胞1つあたりに結合している抗体の平均量を蛍光強度の幾何平均(gMFI)として決定し、各試験抗体に関するデータを、以下の式:
(式中、「aa位置」は、アラニンへと変異させた位置を指す)
を使って、非交差遮断性5T4特異的対照抗体の結合強度に対して標準化する工程
を含む手順によって行われ、
抗体の結合の喪失または獲得を表現するために、Z-スコアが、計算:
(式中、μおよびσはそれぞれ、すべての変異体から算出された標準化gMFIの平均および標準偏差である)
に従って算出され、
特定の5T4変異体に関する対照抗体のgMFIが、(全変異体からの)平均gMFI対照Abの平均gMFI対照Ab-2.5×SDより低い場合は、データは解析から除外され、かつ任意で、
ある残基が-1.5直下(例えば-1.5と-1.8の間、例えば-1.5と-1.7の間または例えば-1.5と-1.6の間)のZ-スコアで結合し、その残基が、埋没していると予測され、かつその残基が、
表面に露出していると予測される大半の残基であって、これらの残基に関して結合の喪失または結合の減少が決定される、該大半の残基
から空間的に離れていると予測される場合は、データは解析から除外される、
本発明1029~1030のいずれかの抗体。
[本発明1032]
工程iv)における非交差遮断性5T4特異的対照抗体が、
・SEQ ID NO:83に示すVH配列とSEQ ID NO:84に示すVL配列とを含む抗原結合領域[A1]、および
・SEQ ID NO:97に示すVH配列とSEQ ID NO:98に示すVL配列とを含む抗原結合領域[B12]
を含む二重特異性抗体である、本発明1031の抗体。
[本発明1033]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、Y92およびR94のうちの任意の1つまたは複数が、アラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合する、本発明1001~1020のいずれかの抗体。
[本発明1034]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基S69、R73、Y92およびR94のうちの任意の1つまたは複数が、アラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合する、本発明1001~1020および本発明1033のいずれかの抗体。
[本発明1035]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、T74、Y92、R94およびN95のうちの任意の1つまたは複数が、アラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合する、本発明1001~1020および本発明1033のいずれかの抗体。
[本発明1036]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基L89、F111、L117、F138、L144、D148、N152のうちの任意の1つまたは複数が、アラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合する、本発明1001~1020および本発明1033~1035のいずれかの抗体。
[本発明1037]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、Y92、R94、F111、F138、L144およびD148のうちの任意の1つまたは複数が、アラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合する、本発明1001~1020および本発明1033~1036のいずれかの抗体。
[本発明1038]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基S69、R73、Y92、R94、F111、F138およびD148のうちの任意の1つまたは複数が、アラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合する、本発明1001~1020および本発明1033~1036のいずれかの抗体。
[本発明1039]
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、T74、Y92、R94、N95およびF138のうちの任意の1つまたは複数が、アラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合する、本発明1001~1020および本発明1033~1036のいずれかの抗体。
[本発明1040]
アラニン置換の効果が、SEQ ID NO:1のアミノ酸残基32~355を含むポリペプチドのアラニンスキャニングによって決定される、本発明1033~1039のいずれかの抗体。
[本発明1041]
アラニン置換の効果が、本願明細書の実施例16に示される手順、または本願明細書の実施例16に本質的に示される手順によって決定される、本発明1033~1039のいずれかの抗体。
[本発明1042]
結合の喪失は、結合に関するZ-スコアが1.5未満であると定義され、該Z-スコアは、任意で、本願明細書の実施例16に示されるように、または本願明細書の実施例16に本質的に示されるように、算出される、本発明1033~1039のいずれかの抗体。
[本発明1043]
アラニン置換の効果が、
i)ヒト5T4の細胞外ドメイン(SEQ ID NO:1のアミノ酸残基32~355に対応する)中のシステインおよびアラニンを除く全アミノ酸残基がアラニンで個別に置換されている変異ヒト5T4ポリペプチド、ならびに野生型5T4ポリペプチドを、ヒト胎児腎臓細胞、例えばHEK293細胞中で、各変異5T4または野生型5T4について、70~90.000個の細胞、例えば80.000個の細胞を含む試料が得られるように、個別に発現させる工程、
ii)各試料中の細胞を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート抗体にコンジュゲートされた抗体20μL(3μg/mL;FACS緩衝液中)と共に、室温で40分間インキュベートした後、各試料を150~180μLのFACS緩衝液(リン酸緩衝食塩水+0.1%[w/v]BSA+0.02%[w/v]アジ化ナトリウム)で2回洗浄し、各試料中の細胞を30μLのFACS緩衝液に再懸濁する工程、
iii)各試料について、該試料中の生存単一細胞集団に関して、細胞1つあたりに結合している抗体の平均量を蛍光強度の幾何平均(gMFI)として決定し、各試験抗体に関するデータを、以下の式:
(式中、「aa位置」は、アラニンへと変異させた位置を指す)
を使って、非交差遮断性5T4特異的対照抗体の結合強度に対して標準化する工程
を含む手順によって決定され、
抗体の結合の喪失または獲得を表現するために、Z-スコアが、計算:
(式中、μおよびσはそれぞれ、すべての変異体から算出された標準化gMFIの平均および標準偏差である)
に従って算出され、
特定の5T4変異体に関する対照抗体のgMFIが、(全変異体からの)平均gMFI対照Abの平均gMFI対照Ab-2.5×SDより低い場合は、データは解析から除外され、かつ任意で、
ある残基が-1.5直下(例えば-1.5と-1.8の間、例えば-1.5と-1.7の間または例えば-1.5と-1.6の間)のZ-スコアで結合し、その残基が、埋没していると予測され、かつその残基が、
表面に露出していると予測される大半の残基であって、これらの残基に関して結合の喪失または結合の減少が決定される、該大半の残基
から空間的に離れていると予測される場合は、データは解析から除外される、
本発明1042の抗体。
[本発明1044]
工程iii)における非交差遮断性5T4特異的対照抗体が、
・SEQ ID NO:83に示すVH配列とSEQ ID NO:84に示すVL配列とを含む抗原結合領域[A1]、および
・SEQ ID NO:97に示すVH配列とSEQ ID NO:98に示すVL配列とを含む抗原結合領域[B12]
を含む二重特異性抗体である、本発明1043の抗体。
[本発明1045]
細胞傷害性部分にコンジュゲートされた場合に、SEQ ID NO:87に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:88に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[H8]と比較して、低減した細胞傷害によって示される、低減した内在化能を有する、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1046]
細胞傷害が、実施例7に示される手順を使って、例えば
i)前記本発明のいずれかの抗体の第1FabアームとHIVウイルスタンパク質gp120(HIV-1 gp120)へと結合することができる第2Fabアームとを含み、デュオスタチン(Duostatin)-3にコンジュゲートされている、一価抗体を用意する工程、
ii)乳がん細胞MDA-MB-468(ATCCクローンHTB-132)またはHCC1954(ATCCクローンCRL-1338)を該一価抗体と37℃で5日間接触させる工程、および
iii)細胞の生存率を決定する工程
を含む手順で決定される、本発明1045の抗体。
[本発明1047]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[059]、
b)SEQ ID NO:13、14および15のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[076]、
c)SEQ ID NO:20、21および22のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[085]、
d)SEQ ID NO:27、28および29のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[106]、
e)SEQ ID NO:34、35および36のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[127]、
f)SEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[207]、
g)SEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[226]、ならびに
h)a)~g)のいずれか1つに記載のCDR1、CDR2およびCDR3配列と比較した場合に全部で多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または多くとも10個のアミノ酸置換を含むCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1048]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[059]、
b)SEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[207]、
c)SEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[226]、ならびに
d)a)~c)のいずれか1つに記載のCDR1、CDR2およびCDR3配列と比較した場合に全部で多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または多くとも10個のアミノ酸置換を含むCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1049]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[059]を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1050]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[207]からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1051]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[226]からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1052]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)それぞれSEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:10、AASおよびSEQ ID NO:11のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[059]、
b)それぞれSEQ ID NO:13、14および15のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:17、DASおよびSEQ ID NO:18のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[076]、
c)それぞれSEQ ID NO:20、21および22のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:24、DASおよびSEQ ID NO:25のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[085]、
d)それぞれSEQ ID NO:27、28および29のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:31、DVSおよびSEQ ID NO:32のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[106]、
e)それぞれSEQ ID NO:34、35および36のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:38、DASおよびSEQ ID NO:39のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[127]、
f)それぞれSEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:45、DASおよびSEQ ID NO:46のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[207]、
g)それぞれSEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:52、DASおよびSEQ ID NO:53のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[226]、および
h)各領域が、a)~g)のいずれか1つに記載のCDR1、CDR2およびCDR3配列と比較した場合に全部で多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または多くとも10個のアミノ酸置換を含むCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1053]
5T4へと結合することができる抗原結合領域の6つの相補性決定領域(CDR)が、
iv)SEQ ID NO:6、7、8、10、AASおよびSEQ ID NO:11のCDR配列[059]、
v)SEQ ID NO:41、42、43、45、DASおよびSEQ ID NO:46のCDR配列[207]、または
vi)SEQ ID NO:48、49、50、52、DASおよびSEQ ID NO:53のCDR配列[226]
と比較した場合に全部で多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または多くとも10個のアミノ酸置換を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1054]
アミノ酸置換のうちの1個、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10個が保存的アミノ酸置換である、本発明1022~1029のいずれかの抗体。
[本発明1055]
SEQ ID NO:102(YYGMDV)に示す配列の6連続アミノ酸残基を相補性決定領域3(CDR3)に含む1つまたは2つの重鎖可変領域を含む[059、207、226]、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1056]
6連続アミノ酸残基がCDR3内の最もC末側のアミノ酸残基である、本発明1055の抗体。
[本発明1057]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:41(GGSFSGYY)のCDR1配列、SEQ ID NO:103(IDHSX1ST)のCDR2配列およびSEQ ID NO:104(AX2WFGELX3X4YYYGMDV)のCDR3配列を含む1つまたは2つの重鎖可変領域(VH)と、SEQ ID NO:105(QSVSSX5)のCDR1配列、CDR2配列DAS、およびSEQ ID NO:46(QQRSNWPLT)のCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、ここで、X1はGまたはEであり、X2はAまたはGであり、X3はWまたはYであり、X4はDまたはHであり、かつX5はYまたはFである[207、226]、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1058]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)とそれぞれSEQ ID NO:10、AASおよびSEQ ID NO:11のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む[059]、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1059]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)とそれぞれSEQ ID NO:45、DASおよびSEQ ID NO:46のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む[207]、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1060]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)とそれぞれSEQ ID NO:52、DASおよびSEQ ID NO:53のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む[226]、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1061]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:5の配列を含むかまたはSEQ ID NO:5の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[059]、
b)SEQ ID NO:12の配列を含むかまたはSEQ ID NO:12の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[076]、
c)SEQ ID NO:19の配列を含むかまたはSEQ ID NO:19の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[085]、
d)SEQ ID NO:26の配列を含むかまたはSEQ ID NO:26の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[106]、
e)SEQ ID NO:33の配列を含むかまたはSEQ ID NO:33の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[127]、
f)SEQ ID NO:40の配列を含むかまたはSEQ ID NO:40の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[207]、および
g)SEQ ID NO:47の配列を含むかまたはSEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[226]
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1062]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:5の配列を含むかまたはSEQ ID NO:5の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む[059]、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1063]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:40の配列を含むかまたはSEQ ID NO:40の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む[207]、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1064]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:47の配列を含むかまたはSEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む[226]、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1065]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:5の配列を含むかまたはSEQ ID NO:5の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:9の配列を含むかまたはSEQ ID NO:9の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[059]、
b)SEQ ID NO:12の配列を含むかまたはSEQ ID NO:12の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:16の配列を含むかまたはSEQ ID NO:16の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[076]、
c)SEQ ID NO:19の配列を含むかまたはSEQ ID NO:19の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:23の配列を含むかまたはSEQ ID NO:23の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[085]、
d)SEQ ID NO:26の配列を含むかまたはSEQ ID NO:26の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:30の配列を含むかまたはSEQ ID NO:30の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[106]、
e)SEQ ID NO:33の配列を含むかまたはSEQ ID NO:33の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:37の配列を含むかまたはSEQ ID NO:37の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[127]、
f)SEQ ID NO:40の配列を含むかまたはSEQ ID NO:40の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:44の配列を含むかまたはSEQ ID NO:44の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[207]、
g)SEQ ID NO:47の配列を含むかまたはSEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:51の配列を含むかまたはSEQ ID NO:51の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[226]
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1066]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:5の配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:9の配列を含む軽鎖可変領域(VL)[059]、
b)SEQ ID NO:12の配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:16の配列を含む軽鎖可変領域(VL)[076]、
c)SEQ ID NO:19の配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:23の配列を含む軽鎖可変領域(VL)[085]、
d)SEQ ID NO:26の配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:30の配列を含む軽鎖可変領域(VL)[106]、
e)SEQ ID NO:33の配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:37の配列を含む軽鎖可変領域(VL)[127]、
f)SEQ ID NO:40の配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:44の配列を含む軽鎖可変領域(VL)[207]、および
g)SEQ ID NO:47の配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:51の配列を含む軽鎖可変領域(VL)[226]
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1067]
完全長IgG1抗体などの完全長抗体である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1068]
一価抗体である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1069]
二価抗体である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1070]
単一特異性抗体である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1071]
二重特異性抗体である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1072]
CD3、例えばヒトCD3ε(イプシロン)、例えばSEQ ID NO:4に明示されるヒトCD3ε(イプシロン)に結合する抗体の抗原結合領域を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1073]
CD3に結合する抗原結合領域が、
それぞれSEQ ID NO:54、55および56のCDR1、CDR2およびCDR3配列[野生型抗CD3(SP34/ヒト化SP34、WO2015001085(Genmab))- VH CDR配列]を含む重鎖可変領域(VH)、
および任意で、
それぞれSEQ ID NO:58、GTNおよびSEQ ID NO:59のCDR1、CDR2およびCDR3配列[野生型抗CD3、VL CDR配列]を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、本発明1072の抗体。
[本発明1074]
CD3に結合する抗原結合領域が、
SEQ ID NO:57の配列を含むかまたはSEQ ID NO:57の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[野生型抗CD3 - VH完全長配列]、
および任意で、
SEQ ID NO:60の配列を含むかまたはSEQ ID NO:60の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型抗CD3 - VL完全長配列]
を含む、本発明1072または本発明1073の抗体。
[本発明1075]
SEQ ID NO:57に示すVH配列とSEQ ID NO:60に示すVL配列[野生型抗CD3(ヒト化SP34、WO2015001085(Genmab))VHおよびVL配列]を含む抗原結合領域を有する抗体よりも低いヒトCD3ε結合親和性を有し、好ましくは該親和性が、少なくとも5分の1、例えば少なくとも10分の1、例えば少なくとも20分の1、少なくとも30分の1、少なくとも40分の1、少なくとも45分の1または例えば少なくとも50分の1である、本発明1072~1074のいずれかの抗体。
[本発明1076]
抗原結合領域が、200~1000nMの範囲内、例えば300~1000nMの範囲内、400~1000nMの範囲内、500~1000nMの範囲内、300~900nMの範囲内、400~900nMの範囲内、400~700nMの範囲内、500~900nMの範囲内、500~800nMの範囲内、500~700nMの範囲内、600~1000nMの範囲内、600~900nMの範囲内、600~800nMの範囲内、または例えば600~700nMの範囲内の平衡解離定数KDでCD3に結合する、本発明1072~1074のいずれかの抗体。
[本発明1077]
抗原結合領域が、1~100nMの範囲内、例えば5~100nMの範囲内、10~100nMの範囲内、1~80nMの範囲内、1~60nMの範囲内、1~40nMの範囲内、1~20nMの範囲内、5~80nMの範囲内、5~60nMの範囲内、5~40nMの範囲内、5~20nMの範囲内、10~80nMの範囲内、10~60nMの範囲内、10~40nMの範囲内、または例えば10~20nMの範囲内の平衡解離定数KDでCD3に結合する、本発明1072または本発明1075の抗体。
[本発明1078]
CD3に結合する抗原結合領域が、CDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む重鎖可変(VH)領域を含み、
該重鎖可変(VH)領域は、SEQ ID NO:57に示す配列を含む重鎖可変(VH)領域と比較した場合に、CDR配列のうちの1つに、SEQ ID NO:57[VH_huCD3-H1L1]の配列に従ってナンバリングされた位置でT31、N57、H101、G105、S110およびY114からなる群より選択される位置にあるアミノ酸置換を有し、かつ
野生型軽鎖可変(VL)領域が、それぞれSEQ ID NO:58、GTNおよびSEQ ID NO:59に示すCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む、
本発明1072~1077のいずれかの抗体。
[本発明1079]
CD3に結合する抗原結合領域の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3が、SEQ ID NO:57に示す配列のCDR1、CDR2およびCDR3と比較した場合に、全部で多くとも1、2、3、4または5個のアミノ酸置換を含む、本発明1072の抗体。
[本発明1080]
CD3に結合する抗原結合領域の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列が、野生型重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、例えば少なくとも96%の配列同一性、少なくとも97%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性または少なくとも99%の配列同一性を有し、配列同一性は、CDに結合する抗原結合領域の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3の配列からなるアミノ酸配列と野生型重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3の配列を含むアミノ酸配列とのアラインメントに基づいて算出される、本発明1072または本発明1073の抗体。
[本発明1081]
CD3に結合する抗原結合領域が、T31M、T31P、N57E、H101G、H101N、G105P、S110A、S110G、Y114M、Y114R、Y114Vからなる群より選択される変異を含む、本発明1072~1074のいずれかの抗体。
[本発明1082]
Fc媒介性エフェクター機能を欠くかまたは低減したFc媒介性エフェクター機能を有し(「不活性」抗体)、かつCD3に結合する抗体の抗原結合領域を含む、二重特異性抗体である場合に、
a)精製されたPBMCまたはT細胞をエフェクター細胞として使用した場合に、例えば本願明細書の実施例14に記載されるようにアッセイした場合に、SK-OV-3細胞の濃度依存的細胞傷害を媒介することができ、
b)精製されたT細胞をエフェクター細胞として使用した場合に、例えば本願明細書の実施例13に記載されるようにアッセイした場合に、MDA-MB-231の細胞濃度依存的細胞傷害を媒介することができ、
c)MDA-MB-231腫瘍細胞の存在下で、例えば本願明細書の実施例13に記載されるようにアッセイした場合に、T細胞をインビトロで活性化することができ、
d)BxPC-3、PANC-1、Ca Skiおよび/またはSiHa腫瘍細胞の存在下で、例えば本願明細書の実施例17に記載されるようにアッセイした場合に、T細胞をインビトロで活性化することができ、
e)精製されたT細胞をエフェクター細胞として使用した場合に、例えば本願明細書の実施例17に記載されるようにアッセイした場合に、BxPC-3、PANC-1、Ca Skiおよび/またはSiHa腫瘍細胞の細胞傷害を誘導することができ、かつ/または
f)ヒトMDA-MB-231腫瘍細胞を接種されたNOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJなどのヒト化免疫造血幹細胞再構成マウス異種移植片モデルにおいて、例えば実施例15に記載されるように判定した場合に、腫瘍アウトグロースの遅延などの抗腫瘍活性を示す、
前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1083]
SK-OV-3細胞の濃度依存的細胞傷害を媒介する抗体の能力が、
i)健常ヒトドナーバフィーコートから末梢血単核球(PBMC)またはT細胞を単離する工程、
ii)各試料がPBMCとヒト卵巣腺癌SK-OV-3細胞とを含み、該試料におけるPBMC:SK-OV-3細胞の比が1:2、1:1、2:1、4:1、8:1および12:1である、第1試料セット、および
各試料がT細胞とヒト卵巣腺癌SK-OV-3細胞とを含み、該試料におけるT細胞:SK-OV-3細胞の比が1:2、1:1、2:1、4:1および8:1である、第2試料セット
を用意する工程、
iii)各試料セットに該抗体を、0.0128ng/mL~1000ng/mLの範囲の濃度で加え、該試料を37℃で72時間インキュベートする工程、そして次に、
iv)レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシド)を使ってSK-OV-3細胞の生存率を評価する工程
を含むインビトロ細胞傷害性アッセイにおいて決定される、本発明1082の抗体。
[本発明1084]
MDA-MB-231腫瘍細胞の存在下でT細胞をインビトロで活性化する能力が、
i)健常ヒトドナーバフィーコートからT細胞を単離する工程、
ii)各試料がT細胞とヒト乳腺癌MDA-MB-231細胞とを含み、該試料におけるT細胞:MDA-MB-231細胞の比が8:1である、試料セットを用意する工程、
iii)該試料セットに抗体を、0.0128ng/mL~1000ng/mLの範囲の濃度で加え、該試料を37℃で72時間インキュベートする工程、
iv)T細胞活性化マーカーに対する蛍光標識抗体、例えばCD69-APC、CD25-PE-Cy7およびCD279/PD1-BV604抗体と共に4℃で30分間インキュベートすることによって、T細胞を染色する工程、および
v)試料をフローサイトメトリーによって解析する工程
を含むアッセイにおいて決定される、本発明1082の抗体。
[本発明1085]
BxPC-3、PANC-1、Ca Skiおよび/またはSiHa腫瘍細胞の存在下での、T細胞のインビトロでの活性化が、
i)健常ヒトドナーバフィーコートからT細胞を単離する工程、
ii)各試料が該T細胞とBxPC-3、PANC-1、Ca SkiまたはSiHa腫瘍細胞とを含み、該試料におけるT細胞:腫瘍細胞の比が4:1である、試料セットを用意する工程、
iii)該試料セットに抗体を0.0128ng/mL~5000ng/mLの濃度(例えば5倍希釈法)で加え、該試料を37℃で72時間インキュベートする工程、
iv)各試料からT細胞を含有する上清110μLを収集し、T細胞マーカーに対する蛍光標識抗体、例えばCD3-eFluor450、CD4-APC-eFluor780、DC8-AF700、ならびにT細胞マーカーに対する抗体、例えば69-APC、CD25-PE-Cy7およびCD279/PD1-BV604抗体と共に4℃で30分間インキュベートすることによって、T細胞を染色する工程、および
v)試料をフローサイトメトリーによって解析する工程
を含む手順で決定される、本発明1082の抗体。
[本発明1086]
BxPC-3、PANC-1、Ca Skiおよび/またはSiHa腫瘍細胞の細胞傷害を誘導する能力が、
i)健常ヒトドナーバフィーコートから単離されたT細胞を用意する工程、
ii)各試料が、該T細胞と、96ウェル組織培養プレートの底に接着させたBxPC-3、PANC-1、Ca SkiまたはSiHa腫瘍細胞とを含み、該試料におけるT細胞:腫瘍細胞の比が4:1である、試験試料セットおよび対照試料を用意する工程、
iii)試験試料セットに抗体を0.0128ng/mL~5000ng/mLの範囲の濃度(例えば5倍希釈法)で加え、一方、対照試料は無処理のままにしておくか、5μMスタウロスポリンと共にインキュベートし、すべての試料を37℃で72時間インキュベートする工程、
iv)接着細胞を、10%(w/w)の鉄含有ドナーウシ血清およびペニシリン/ストレプトマイシンを補足したRPMI-1640培地中の10%(w/w)7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシド(レサズリン)において、37℃で4時間インキュベートする工程、
v)細胞の吸光度を測定し、スタウロスポリンと共にインキュベートした細胞の吸光度を生存率0%と設定し、かつ無処理の細胞を生存率100%と設定して、生存細胞のパーセンテージを
として算出する工程
を含む手順で決定される、本発明1082の抗体。
[本発明1087]
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、
a)それぞれSEQ ID NO:61、55および56に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[VH CDR1-T31P + 野生型VH CDR2、3]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
b)それぞれSEQ ID NO:63、55および56に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[VH CDR1-T31M + 野生型VH CDR2、3]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
c)それぞれSEQ ID NO:54、65および56に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[VH CDR-N57E + 野生型VH CDR1、3]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
d)それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]
e)それぞれSEQ ID NO:54、55および69に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101N]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、
f)それぞれSEQ ID NO:54、55および71に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-G105P]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、
g)それぞれSEQ ID NO:54、55および73に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-S110A]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
h)それぞれSEQ ID NO:54、55および75に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-S110G]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、
i)それぞれSEQ ID NO:54、55および77に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-Y114V]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
j)それぞれSEQ ID NO:54、55および79に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-Y114M]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
k)それぞれSEQ ID NO:54、55および81に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-Y114R]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]
を含む、本発明1072および本発明1078~1084のいずれかの抗体。
[本発明1088]
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]とを含む、本発明1072および本発明1078~1085のいずれかの抗体。
[本発明1089]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:10、AASおよびSEQ ID NO:11のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み[059]、
かつ
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]とを含む、
本発明1072および本発明1078~1085のいずれかの抗体。
[本発明1090]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:45、DASおよびSEQ ID NO:46のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み[207]、
かつ
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]とを含む、
本発明1072および本発明1078~1085のいずれかの抗体。
[本発明1091]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:52、DASおよびSEQ ID NO:53のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み[226]、
かつ
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]とを含む、
本発明1047および本発明1051~1059のいずれかの抗体。
[本発明1092]
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:62に示すVH配列[VH T31P完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列[野生型完全長配列]、
b)SEQ ID NO:64に示すVH配列[VH T31M完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
c)SEQ ID NO:66に示すVH配列[VH N57E完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
d)SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
e)SEQ ID NO:70に示すVH配列[VH H101N完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
f)SEQ ID NO:72に示すVH配列[VH G105P完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
g)SEQ ID NO:74に示すVH配列[VH S110A完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
h)SEQ ID NO:76に示すVH配列[VH S110G完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
i)SEQ ID NO:78に示すVH配列[VH Y114V完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
j)SEQ ID NO:80に示すVH配列[VH Y114M完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、ならびに
k)SEQ ID NO:82に示すVH配列[VH Y114R完全長配列]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列
からなる群より選択されるVH配列およびVL配列を含む、本発明1072および本発明1078~1091のいずれかの抗体。
[本発明1093]
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G完全長配列]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、本発明1072および本発明1078~1092のいずれかの抗体。
[本発明1094]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:5の配列を含むかまたはSEQ ID NO:5の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み[059 - VH完全長配列]、
かつ
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G完全長配列]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、
本発明1078~1093のいずれかの抗体。
[本発明1095]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:40の配列を含むかまたはSEQ ID NO:40の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み[207 - VH完全長配列]、
かつ
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G完全長配列]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、
本発明1072および本発明1078~1093のいずれかの抗体。
[本発明1096]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:47の配列を含むかまたはSEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み[226 - VH完全長配列]、
かつ
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G完全長配列]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、
本発明1047および本発明1051~1064のいずれかの抗体。
[本発明1097]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:5の配列を含むかまたはSEQ ID NO:5の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)と、SEQ ID NO:9の配列を含むかまたはSEQ ID NO:9に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖軽領域(heavy chain light region)(VL)を含み[059]、
かつ
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G完全長配列]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、
本発明1072および本発明1078~1094のいずれかの抗体。
[本発明1098]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:40の配列を含むかまたはSEQ ID NO:40の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)と、SEQ ID NO:44の配列を含むかまたはSEQ ID NO:44に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖軽領域(VL)[207 - VH + VL完全長配列]を含み、
かつ
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G完全長配列]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、
本発明1072、本発明1078~1093および本発明1095のいずれかの抗体。
[本発明1099]
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:47の配列を含むかまたはSEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)と、SEQ ID NO:51の配列を含むかまたはSEQ ID NO:51に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖軽領域(VL)[226 - VH + VL完全長配列]とを含み、
かつ
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G完全長配列]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、
本発明1072、本発明1078~1093および本発明1096のいずれかの抗体。
[本発明1100]
各抗原結合領域が重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、該可変領域がそれぞれ、3つのCDR配列、それぞれCDR1、CDR2およびCDR3と、4つのフレームワーク配列、それぞれFR1、FR2、FR3およびFR4とを含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1101]
2つの重鎖定常領域(CH)と2つの軽鎖定常領域(CL)とを含む、本発明1100の抗体。
[本発明1102]
第1重鎖および第2重鎖を含み、
該第1重鎖および該第2重鎖のそれぞれは、少なくともヒンジ領域、CH2およびCH3領域を含み、該第1重鎖では、ヒトIgG1重鎖中のT366、L368、K370、D399、F405、Y407およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置にあるアミノ酸のうちの少なくとも1つが置換されており、かつ該第2重鎖では、ヒトIgG1重鎖のT366、L368、K370、D399、F405、Y407およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置にあるアミノ酸のうちの少なくとも1つが置換されており、該第1重鎖と該第2重鎖の該置換は同じ位置にはなく、該アミノ酸位置はEUナンバリングに従ってナンバリングされている、
本発明1100または本発明1101の抗体。
[本発明1103]
前記第1重鎖ではヒトIgG1重鎖中のK409に対応する位置にあるアミノ酸がRであり、かつ前記第2重鎖ではヒトIgG1重鎖中のF405に対応する位置にあるアミノ酸がLである、またはその逆である、本発明1100~1102のいずれかの抗体。
[本発明1104]
第1重鎖および第2重鎖を含み、
該第1重鎖と該第2重鎖のどちらにおいても、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中の位置L234およびL235に対応する位置にあるアミノ酸残基が、それぞれFおよびEである、
前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1105]
第1重鎖および第2重鎖を含み、
該第1重鎖と該第2重鎖のどちらにおいても、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中の位置D265に対応する位置にあるアミノ酸残基がAである、
前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1106]
a)5T4へと結合することができる抗原結合領域がヒト化されており、かつ/または
b)CD3へと結合することができる抗原結合領域が、存在する場合、ヒト化されている、
前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1107]
a)5T4へと結合することができる抗原結合領域がヒトのものであり、かつ/または
b)CD3へと結合することができる抗原結合領域が、存在する場合、ヒトのものである、
前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1108]
a)5T4へと結合することができる抗原結合領域がキメラであり、かつ/または
b)CD3へと結合することができる抗原結合領域が、存在する場合、キメラである、
前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1109]
第1重鎖および任意で第2重鎖を含み、
抗体がFc媒介性エフェクター機能を同一の非改変抗体と比べて低い程度に誘導するように、該第1重鎖と、存在する場合、該第2重鎖とが改変されている、
前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1110]
カッパ(κ)軽鎖を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1111]
ラムダ(λ)軽鎖を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1112]
例えばCD3へと結合することができる結合領域を含む重鎖およびラムダ軽鎖と5T4へと結合することができる結合領域を含む重鎖およびカッパ軽鎖とを持つ抗体などの、ラムダ(λ)軽鎖およびカッパ(κ)軽鎖を含む、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1113]
前記本発明のいずれかの抗体と、治療部分、例えば細胞傷害性作用物質、化学治療薬、サイトカイン、免疫抑制薬、抗生物質、または放射性同位体とを含む、イムノコンジュゲートまたは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
[本発明1114]
a)本発明1001~1113のいずれかの5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)本発明1072~1113のいずれかの5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を含む、核酸構築物。
[本発明1115]
a)本発明1072~1113のいずれかのCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)本発明1072~1113のいずれかのCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
をさらに含む、本発明1114の核酸構築物。
[本発明1116]
a)本発明1001~1112のいずれかの5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)本発明1001~1112のいずれかの5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を含む、発現ベクター。
[本発明1117]
a)本発明1072~1112のいずれかのCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)本発明1072~1112のいずれかのCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
をさらに含む、本発明1116の発現ベクター。
[本発明1118]
例えば本発明1114~1115のいずれかの核酸構築物または本発明1116もしくは本発明1117の発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることによって得られた細胞、例えば組換え宿主細胞などの、本発明1114~1115のいずれかの核酸構築物または本発明1116もしくは本発明1117の発現ベクターを含む、細胞。
[本発明1119]
宿主細胞が、ヒト由来のもの、例えばヒト胎児腎臓(HEK)細胞、例えばHEK/Expi細胞であるか、または齧歯類由来のもの、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞、例えばCHO/N50細胞である、本発明1118の細胞。
[本発明1120]
本発明1001~1112のいずれかの抗体を含む、組成物。
[本発明1121]
本発明1001~1112のいずれかの抗体と薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
[本発明1122]
医薬としての使用のための、本発明1001~1112のいずれかの抗体。
[本発明1123]
疾患の処置における使用のための、本発明1001~1112のいずれかの抗体。
[本発明1124]
疾患が、がんである、本発明1122または本発明1123の使用のための抗体。
[本発明1125]
がんが、腫瘍細胞の少なくとも一部における5T4の発現を特徴とする、本発明1124の使用のための抗体。
[本発明1126]
がんが、腎臓がん/腎がん、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん/子宮内膜がん/子宮頸がん、肺がん、胃腸がん、胃がん、膵がん、甲状腺がん、頭頸部がん、リンパ腫、急性骨髄性白血病からなる群より選択される、本発明1122~1125のいずれかの使用のための抗体。
[本発明1127]
本発明1001~1112のいずれかの抗体、本発明1120の組成物、または本発明1121の薬学的組成物を、その必要がある対象に投与する工程を含む、疾患を処置する方法。
[本発明1128]
がんの処置のためである、本発明1127の方法。
[本発明1129]
がんが、腎臓がん/腎がん、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん/子宮内膜がん/子宮頸がん、肺がん、胃腸がん、胃がん、膵がん、甲状腺がん、頭頸部がん、リンパ腫、急性骨髄性白血病からなる群より選択される、本発明1128の方法。
[本発明1130]
a)本発明1114または本発明1117の発現ベクターを含む宿主細胞を、培養する工程、および
b)培養培地から抗体を精製する工程
を含む、本発明1001~1112のいずれかの抗体を産生するための方法。
[本発明1131]
a)本発明1116または本発明1117の発現ベクターを含む宿主細胞を、5T4へと結合することができる抗体の発現が可能な条件下で培養し、かつ5T4へと結合することができる抗体を培養培地から精製することによって、5T4へと結合することができる抗体を用意する工程、
b)I)本発明1072~1123のいずれかのCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および
II)本発明1072~1112のいずれかのCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を含む発現ベクターを含む宿主細胞を、CD3へと結合することができる抗体の発現が可能な条件下で培養し、かつCD3へと結合することができる抗体を培養培地から精製することによって、CD3へと結合することができる抗体を用意する工程、
c)5T4へと結合することができる抗体を、CD3へと結合することができる抗体と一緒に、ヒンジ領域中のシステインがジスルフィド結合の異性化を起こすことを可能にするのに十分な還元条件下でインキュベートする工程、ならびに
d)抗体を得る工程
を含む、本発明1001~1112のいずれかの抗体を産生するための方法。
[本発明1132]
例えばコンパニオン診断薬としての使用/患者の集団内で本発明1001~1112のいずれかの抗体または本発明1113のイムノコンジュゲートもしくは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)による処置に応答する性質を有する患者を同定するための使用のための、または患者の処置に使用された場合の該抗体またはイムノコンジュゲートもしくはADCの有効性を予測するための使用のためのキットなどの、部分からなるキット(kit-of-parts)であって、本発明1001~1112のいずれかの抗体と、該キットの使用説明書とを含む、キット。
[本発明1133]
本発明1001~1112のいずれかの5T4へと結合することができる抗原結合領域に結合する、抗イディオタイプ抗体。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1IgG1-5T4-A3-F405Lと組み合わせたIgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの抗体の置き換え。抗体の置き換えを、バイオレイヤー干渉法により、Octet HTX機器(ForteBio)で決定した。IgG1-5T4-A3-F405Lをバイオセンサー上に固定化し、ヒト5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)を負荷した。次に、負荷されたバイオセンサーを、IgG1-5T4-A3-F405L、IgG1-5T4-H8-FEAR、IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARまたはIgG1-5T4-226-FEARに曝露した。この図は第2抗体への曝露時の会合応答(500s)を示している。A~C.IgG1-5T4-A3-F405Lは固定化IgG1-5T4-A3-F405L-5T4ECDHis複合体への結合を示さなかった。これはIgG1-5T4-A3-F405Lとの交差遮断(cross-block)(自己遮断:self-block)を表す。IgG1-5T4-H8-FEAR抗体は質量の増加(これは固定化IgG1-5T4-A3-F405L-5T4ECDHis複合体への結合を表す)を示したので、IgG1-5T4-A3-F405Lとの交差遮断はないことがわかった。A.IgG1-5T4-059-FEAR、B.IgG1-5T4-207-FEARおよびC.IgG1-5T4-226-FEARはすべて、質量の初期増加(これは固定化IgG1-5T4-A3-F405L-5T4ECDHis複合体への抗体の結合を表す)と、それに続く、質量の迅速な減少とを示した。抗体のこの挙動は抗体の置き換えを示している(Abdiche YN,et al.(2017)「Antibodies Targeting Closely Adjacent or Minimally Overlapping Epitopes Can Displace One Another.」PLoS ONE 12(1):e0169535.doi:10.1371/journal.pone.0169535)。
図2フローサイトメトリーで測定した膜結合型5T4への5T4抗体の同時結合。5T4抗体IgG1-5T4-H8-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARをフルオレセインイソチオシアネート(FITC)にコンジュゲートし、10μg/mLの非コンジュゲートIgG1-5T4-H8-FEAR、IgG1-5T4-A1-F405L、IgG1-5T4-A3-F405L、IgG1-b12、IgG1-5T4-207-FEARまたはIgG1-5T4-226-FEARの存在下で、5T4を発現するSK-OV-3細胞に、2μg/mLの濃度で加えた。FITC標識抗体の結合パーセンテージを算出し、平均結合パーセンテージ±標準偏差(SD)として図示した。
図3完全長ヒト5T4および完全長ニワトリ5T4をトランスフェクトしたHEK-293細胞への5T4抗体の結合。完全長ヒト5T4(SEQ ID NO:1)(A)または完全長ニワトリ5T4(SEQ ID NO:3)(B)を一過性にトランスフェクトしたHEK-293細胞を、さまざまな濃度のIgG1-5T4-A3-F405L抗体、IgG1-5T4-059-FEAR抗体、IgG1-5T4-207-FEAR抗体またはIgG1-5T4-226-FEAR抗体と共にインキュベートした。R-フィコエリトリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2と共にインキュベートした後、平均蛍光強度(MFI)をフローサイトメトリーによって決定した。陰性対照として、IgG1-b12-K409R(10μg/mL)を含めた。
図4一価5T4抗体の内在化能。一方のFabアームで5T4を認識しつつ第2のFabアームでは無関係な抗原(腫瘍細胞には発現していないHIV-1 gp120)を認識する二重特異性毒素コンジュゲート抗体を、非コンジュゲート5T4抗体と、抗体1分子あたり1分子のデュオスタチン(Duostatin)-3とコンジュゲートされた(HIV-1 gp120特異的)IgG1-b12抗体との、制御されたFabアーム交換によって生成させた。MDA-MB-468細胞(A)およびHCC1954細胞(B)を、表示の通り、一連の濃度の抗体と共にインキュベートした。細胞生存率を5日後に測定した。データを3回の反復実験の生存細胞の平均パーセンテージとして表す。陰性対照として、デュオスタチン-3とコンジュゲートされた単一特異性二価IgG1-b12(IgG1-b12-vcDuo3)を含めた。
図5(I)】 HEK-293細胞にトランスフェクトされた完全長ヒト5T4および完全長カニクイザル5T4へのCD3×5T4二重特異性抗体の結合。完全長ヒト5T4(左側のパネル)または完全長カニクイザル5T4(右側のパネル)が一過性にトランスフェクトされたHEK-293細胞を使って、一価および二価の5T4抗体の結合を解析した。細胞を、表示の通り、一連の濃度の抗体と共にインキュベートした。FITCコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2による二次標識後に、フローサイトメトリーによって結合を解析した。陰性対照抗体、IgG1-b12-K409R(3μg/mL)を含めた。データを、2回の技術的反復実験の平均蛍光強度(MFI)値±SDとして表す。A.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEARの結合。B.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの結合。C.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの結合。D.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-H8-FEARおよびIgG1-5T4-H8-FEARの結合。
図5(II)-1】 HEK-293細胞にトランスフェクトされたカニクイザル5T4およびヒト5T4への二重特異性CD3×5T4抗体の結合。ヒト5T4(左側のパネル)またはカニクイザル5T4(右側のパネル)が一過性にトランスフェクトされたHEK-293細胞を使って、5T4抗体の一価結合および二価結合を解析した。細胞を、表示の通り、一連の濃度の抗体と共にインキュベートした。フィコエリトリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2による二次標識後に、フローサイトメトリーによって結合を解析した。A.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEARの結合。B.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの結合。C.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの結合。D.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEARおよびIgG1-5T4-106-FEARの結合。E.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-076-FEARおよびIgG1-5T4-076-FEARの結合。F.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-085-FEARおよびIgG1-5T4-085-FEARの結合。G.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-127-FEARおよびIgG1-5T4-127-FEARの結合。H.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A1-FEARの結合。I.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEARの結合。
図5(II)-2】図5(II)-1の説明を参照のこと。
図6(I)】 5T4陽性ヒト腫瘍細胞へのCD3×5T4二重特異性抗体および5T4単一特異性抗体の結合。HeLa細胞(左側のパネル)またはMDA-MB-231細胞(右側のパネル)への一価5T4抗体および二価5T4抗体の結合をフローサイトメトリーによって決定した。細胞を一連の濃度の抗体と共にインキュベートした。FITCコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2による二次標識後に、MFIをフローサイトメトリーによって決定した。A.HeLa細胞(左側のパネル)またはMDA-MB-231細胞(右側のパネル)へのbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR抗体およびIgG1-5T4-207-FEAR抗体の結合。B.HeLa細胞(左側のパネル)またはMDA-MB-231細胞(右側のパネル)へのbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR抗体およびIgG1-5T4-059-FEAR抗体の結合。C.HeLa細胞(左側のパネル)またはMDA-MB-231細胞(右側のパネル)へのbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR抗体およびIgG1-5T4-226-FEAR抗体の結合。IgG1-b12-K409R(3μg/mL)を陰性対照として含めた(白丸)。
図6(II)】 HeLa細胞へのCD3×5T4二重特異性抗体および5T4単一特異性抗体の結合。HeLa細胞への5T4抗体の一価結合および二価結合をフローサイトメトリーによって決定した。細胞を一連の濃度の抗体と共にインキュベートした。フィコエリトリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2による二次標識後に、平均蛍光強度(MFI)をフローサイトメトリーによって決定した。A.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEARの結合。B.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの結合。C.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの結合。D.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEARおよびIgG1-5T4-106-FEARの結合。E.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-085-FEARおよびIgG1-5T4-085-FEARの結合。F.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-127-FEARおよびIgG1-5T4-127-FEARの結合。G.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A1-FEARの結合。H.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEARの結合。
図6(III)】 MDA-MB-231細胞へのCD3×5T4二重特異性抗体および5T4単一特異性抗体の結合。MDA-MB-231細胞への5T4抗体の一価結合および二価結合をフローサイトメトリーによって決定した。細胞を一連の濃度の抗体と共にインキュベートした。PEコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2による二次標識後に、平均蛍光強度(MFI)をフローサイトメトリーによって決定した。A.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEARの結合。B.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの結合。C.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの結合。D.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEARおよびIgG1-5T4-106-FEARの結合。E.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-085-FEARおよびIgG1-5T4-085-FEARの結合。F.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-127-FEARおよびIgG1-5T4-127-FEARの結合。G.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A1-FEARの結合。H.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEARの結合。
図7(I)】 精製T細胞をエフェクター細胞として使用した、MDA-MB-231細胞における、CD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロでの細胞傷害の誘導。MDA-MB-231細胞を、一連の濃度のCD3×5T4二重特異性抗体または単一特異性二価5T4抗体およびエフェクター細胞としての単離T細胞と共に、8:1のエフェクター:標的細胞(E:T)比でインキュベートした。この実験には、2人の異なるドナー、ドナーA(左側のパネル)およびドナーB(右側のパネル)から得た精製T細胞を使用した。72時間のインキュベーション後に生存可能なMDA-MB-231細胞のパーセンテージを測定することによって細胞傷害を決定した(生存細胞の%=[試料の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の吸光度]/[無処理標的細胞の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の標的細胞]× 100)。A.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEARの存在下で誘導された細胞傷害。B.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの存在下で誘導された細胞傷害。C.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの存在下で誘導された細胞傷害。
図7(II)】 精製T細胞をエフェクター細胞として使用し、MDA-MB-231細胞において、CD3×5T4二重特異性抗体によってインビトロで誘導される細胞傷害のIC50値。MDA-MB-231細胞においてbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARまたはbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARによって誘導されるT細胞媒介性細胞傷害のIC50値を、GraphPad Prism V7.02ソフトウェアを使って解析した。データを2人の異なるドナーの平均IC50値±SDとして表す。
図8(I)】 インビトロでT細胞をエフェクター細胞として使用した、MDA-MB-231細胞における、CD3×5T4二重特異性抗体による細胞傷害の誘導。MDA-MB-231細胞を、一連の濃度のCD3×5T4二重特異性抗体または5T4ホモ二量体およびエフェクター細胞としての単離T細胞と共に、8:1のE:T比でインキュベートした。この実験には3人の異なるドナーを使用した。表示するデータは試験した3人のドナーの平均生存率(%)±平均の標準誤差(SEM)である。A.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEARの存在下で誘導されるT細胞媒介性細胞傷害(生存率の減少)。B.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの存在下で誘導されるT細胞媒介性細胞傷害。C.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの存在下で誘導されるT細胞媒介性細胞傷害。D.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEARおよびIgG1-5T4-106-FEARの存在下で誘導されるT細胞媒介性細胞傷害。E.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A1-FEARの存在下で誘導されるT細胞媒介性細胞傷害。F.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEARの存在下で誘導されるT細胞媒介性細胞傷害。
図8(II)】 インビトロでT細胞をエフェクター細胞として使用し、MDA-MB-231細胞において、CD3×5T4二重特異性抗体によって誘導される細胞傷害のIC50値。MDA-MB-231細胞においてCD3×5T4二重特異性抗体によって誘導されるT細胞媒介性細胞傷害のIC50値を、GraphPad Prism V7.02ソフトウェアを使って解析した。データを3人の異なるドナーの平均IC50値±SDとして表す。A.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEARによって誘導されるT細胞媒介性細胞傷害のIC50値。B.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARによって誘導されるT細胞媒介性細胞傷害のIC50値。
図9(I)-1】 MDA-MB-231細胞の存在下でのCD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロT細胞活性化。MDA-MB-231細胞を、表示の通り、一連の濃度のCD3×5T4二重特異性抗体および単一特異性二価5T4抗体、ならびにエフェクター細胞としての単離T細胞と共に、8:1のE:T比でインキュベートした。3つのT細胞活性化マーカー(PD1[上段のパネル]、CD25[中段のパネル]およびCD69[下段のパネル])の発現をフローサイトメトリーによって解析した。この実験には2人の異なるドナー、ドナーA(黒い記号)およびドナーB(白い記号)を使用した。A.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEARの存在下で誘導されるT細胞活性化。B.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの存在下で誘導されるT細胞活性化。C.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの存在下で誘導されるT細胞活性化。
図9(I)-2】図9(I)-1の説明を参照のこと。
図9(II)】 MDA-MB-231細胞の存在下でのCD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロT細胞活性化のEC50値。MDA-MB-231細胞の存在下でbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARまたはbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARによって誘導されるインビトロT細胞活性化マーカー(PD1、CD25およびCD69)のEC50値を、GraphPad Prism V7.02ソフトウェアを使って解析した。データを2人の異なるドナーの平均±SDとして表す。
図10(I)-1】 MDA-MB-231細胞の存在下でのCD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロT細胞活性化。MDA-MB-231細胞を、一連の濃度のCD3×5T4二重特異性抗体および5T4ホモ二量体ならびにエフェクター細胞としての単離T細胞と共に、8:1のE:T比でインキュベートした。T細胞活性化を、CD4+T細胞集団のうちの(左側のパネル)およびCD8+T細胞集団のうちの(右側のパネル)CD69+細胞の%の増加によって測定した。この実験には3人の異なるドナーを使用した。表示するデータは試験した3人のドナーの平均CD69アップレギュレーション%±SEMである。A.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEARの存在下で誘導されるT細胞活性化。B.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの存在下で誘導されるT細胞活性化。C.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの存在下で誘導されるT細胞活性化。D.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEARおよびIgG1-5T4-106-FEARの存在下で誘導されるT細胞活性化。E.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A1-FEARの存在下で誘導されるT細胞活性化。F.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEARの存在下で誘導されるT細胞活性化。
図10(I)-2】図10(I)-1の説明を参照のこと。
図10(II)】 MDA-MB-231細胞の存在下でのCD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロT細胞活性化のEC 50 。MDA-MB-231細胞の存在下でCD3×5T4二重特異性抗体によってインビトロで誘導されるT細胞活性化マーカー(CD4+T細胞集団のうちのおよびCD8+T細胞集団のうちのCD69+細胞[A~B]、CD25+細胞[C~D]およびPD1+細胞[E~F]、CD25およびCD69細胞の%の増加)のEC50値を、GraphPad Prism V7.02ソフトウェアを使って解析した。データを3人の異なるドナーの平均±SDとして表す。A.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEARによって誘導されるCD69アップレギュレーションのEC50値。B.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARによって誘導されるCD69アップレギュレーションのEC50値。C.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEARによって誘導されるCD25アップレギュレーションのEC50値。D.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARによって誘導されるCD25アップレギュレーションのEC50値。E.bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEARによって誘導されるPD1アップレギュレーションのEC50値。F.bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARによって誘導されるPD1アップレギュレーションのEC50値。
図115T4陽性腫瘍細胞の存在下でCD3×5T4二重特異性抗体によって誘導されるT細胞サイトカイン放出。MDA-MB-231細胞を、0.2μg/mLのCD3×5T4二重特異性抗体(bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARまたはbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR)および5T4単一特異性抗体(IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEARまたはIgG1-5T4-059-FEAR)ならびにエフェクター細胞としての単離T細胞と共に、8:1のE:T比でインキュベートした。サイトカインの放出をU-PLEXアッセイによって解析した。A.CD3×5T4二重特異性抗体または5T4単一特異性抗体と共に72時間インキュベートした後の、T細胞(ドナーA由来)-腫瘍細胞共培養物の上清におけるIL-10、IL-13およびTNFの濃度。B.CD3×5T4二重特異性抗体または5T4単一特異性抗体と共に72時間インキュベートした後の、T細胞(ドナーB由来)-腫瘍細胞共培養物の上清におけるIL-10、IL-13およびTNFの濃度。
図12PBMCをエフェクター細胞としてさまざまなE:T比で使用した、SK-OV-3細胞における、CD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロでの細胞傷害の誘導。SK-OV-3細胞を、一連の濃度のbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR(左側のパネル)またはbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR(右側のパネル)およびエフェクター細胞としてのPBMCと共に、1:2、1:1、2:1、4:1、8:1および12:1のE:T比でインキュベートした。72時間のインキュベーション後に生存可能なSK-OV-3細胞のパーセンテージを測定することによって細胞傷害を決定した(生存細胞の%=[試料の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の吸光度]/[無処理標的細胞の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の吸光度]× 100)。2人の異なるドナーからのPBMCを使用した:A.ドナーC、およびB.ドナーD。
図13エフェクター細胞としてのT細胞をさまざまなE:T比で使用した、CD3×5T4二重特異性抗体による、インビトロのSK-OV-3細胞における細胞傷害の誘導。SK-OV-3細胞を、一連の濃度のbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR(左側のパネル)またはbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR(右側のパネル)およびエフェクター細胞としての単離T細胞と共に、1:2、1:1、2:1、4:1および8:1のE:T比でインキュベートした。72時間のインキュベーション後に生存可能なSK-OV-3細胞のパーセンテージを測定することによって細胞傷害の効率を決定した(生存細胞の%=[試料の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の吸光度]/[無処理標的細胞の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の吸光度]× 100)。2人の異なるドナーからのT細胞を使用した:A.ドナーE、およびB.ドナーF。
図14NSG-HISマウスのMDA-MB-231異種移植片モデルにおけるCD3×5T4二重特異性抗体の抗腫瘍活性。A.PBS(媒体対照)、0.5mg/kg bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEARまたは0.5mg/kg bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARによる処置後のNSG-HISマウスのMDA-MB-231異種移植片モデルにおける平均腫瘍サイズ。腫瘍サイズはカリパス測定によって評価した。エラーバーはSEMを示す。B.PBS、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEARまたはbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARによる処置後に腫瘍サイズ<500mm3である、MDA-MB-231細胞を注射したNSG-HISマウスのパーセンテージ。
図15Aフローサイトメトリーによって決定した、ヒト5T4 ECDの32~355番目に単一アラニン変異を持つヒト5T4変種への、直接的にFITC標識された5T4特異的抗体の結合。結合を、標準化に使用した非交差遮断性5T4特異的対照抗体(bsIgG1-5T4-A1-F405L×b12-FEAR-FITC)と比較した結合の変化に関する尺度として、Z-スコア(変化倍率)で表した。x軸上の数字はヒト5T4(SEQ ID:1)中のアミノ酸位置を表す。結合に関するZ-スコアが-1.5(点線で示す)未満であった残基を、「結合喪失変異体(loss of binding mutant)」とみなした。結合に関するZ-スコアが正である残基は、非交差遮断性5T4特異的対照抗体(bsIgG1-5T4-A1-67F-F405L×b12-FEAR-FITC)にとっての結合喪失残基である。aa位置38、45、49、51、54、62、64、66、68、71、72、77、91、104、108、110、112、118、121、122、135、137、155、161、167、171、201、202、205、208、218、231、269、279、298、300、303、323、324、340および344の残基は評価しなかった。これらの位置は内因性アラニンまたは内因性システインのどちらかを含有していたからである。表示のデータは、(A)bsIgG1-b12-FEAL×5T4-059-FEAR-FITC、(B)bsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR-FITC、(C)bsIgG1-b12-FEAL×5T4-226-FEAR-FITC、および(D)bsIgG1-5T4-A3-F405L×b12-FEAR-FITCの結合に関するZ-スコアである。Z-スコアが-1.5直下の埋没残基であって、大半の表面露出結合喪失残基から空間的に離れていると予想されるものは除外した(bIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR-FITCについてはL281[Z-スコア:-1.57]およびP326[Z-スコア:-1.54]、ならびにbsIgG1-b12-FEAL×5T4-226-FEAR-FITCについてはL273[Z-スコア:-1.58]、L281[Z-スコア:-1.65]、N294[Z-スコア:-1.57]、L309[Z-スコア:-1.63]およびP326[Z-スコア:-1.67])。
図15B図15Aの説明を参照のこと。
図15C図15Aの説明を参照のこと。
図15D図15Aの説明を参照のこと。
図16(I)】 T細胞をエフェクター細胞として使用した、適応の異なる腫瘍細胞における、CD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロでの細胞傷害の誘導。腫瘍細胞を、一連の濃度のbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARまたは対照抗体(bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×b12-FEAR、bsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR)およびエフェクター細胞としての単離T細胞と共に、4:1のE:T比でインキュベートした。72時間のインキュベーション後に生存可能な腫瘍細胞のパーセンテージを測定することによって、細胞傷害(生存率の減少)を決定した。表示のデータは、試験した少なくとも3人のドナーのうちの代表的な1人のドナーからの2つ組のウェルの平均生存率(%)±SEMである。A.膵がん細胞株において誘導される細胞傷害(生存率の減少);B.子宮頸がん細胞株において誘導される細胞傷害(生存率の減少)。
図16(II)】 T細胞をエフェクター細胞として使用し、適応の異なる腫瘍細胞株において、CD3×5T4二重特異性抗体によってインビトロで誘導される細胞傷害のIC50値。表示した適応の腫瘍細胞においてbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARによって誘導されるT細胞媒介性細胞傷害のIC50値を、GraphPad Prism V7.02ソフトウェアを使って解析した。データを少なくとも3人の異なるドナー(表10参照)の平均IC50値±SDとして表す。
図17(I)】 適応の異なる腫瘍細胞の存在下でのCD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロT細胞活性化。腫瘍細胞を、一連の濃度のbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARまたは対照抗体(bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×b12-FEAR、bsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR)およびエフェクター細胞としての単離T細胞と共に、4:1のE:T比で72時間インキュベートした。T細胞活性化を、CD4+T細胞集団のうちの(左側のパネル)およびCD8+T細胞集団のうちの(右側のパネル)CD69のアップレギュレーション(CD69+細胞の%)によって測定した。表示のデータは、試験した少なくとも3人のドナーのうちの代表的な1人のドナーからの2つ組のウェルの平均CD69+細胞%±SDである。A.膵がん細胞株BxPc-3の存在下でCD3×5T4二重特異性抗体によって誘導されるT細胞活性化。B.膵がん細胞株PANC-1の存在下でCD3×5T4二重特異性抗体によって誘導されるT細胞活性化。C.子宮頸がん細胞株SiHaの存在下でCD3×5T4二重特異性抗体によって誘導されるT細胞活性化。D.子宮頸がん細胞株Ca Skiの存在下でCD3×5T4二重特異性抗体によって誘導されるT細胞活性化。
図17(II)】 適応の異なる腫瘍細胞株の存在下でのCD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロT細胞活性化のEC50値。適応の異なる腫瘍細胞株との共培養において、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARによって誘導されるT細胞活性化(CD4+T細胞集団のうちのおよびCD8+T細胞集団のうちのCD69+細胞の%)のEC50値を、GraphPad Prism V7.02ソフトウェアを使って解析した。データを少なくとも3人の異なるドナー(表10参照)の平均EC50値±SDとして表す。A.表示の腫瘍細胞株の存在下でbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARによって誘導されるCD4+T細胞活性化のEC50値。B.表示の腫瘍細胞株の存在下でbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARによって誘導されるCD8+T細胞活性化のEC50値。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
定義
本明細書において使用される「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子のフラグメント、またはそれらのどちらかの誘導体であって、典型的な生理的および/または腫瘍特異的条件下で、意味のある期間、例えば少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間以上、少なくとも約48時間以上、少なくとも約3、4、5、6もしくは7日またはそれ以上などの期間、または他の適切な機能的に定義される期間(例えば抗原への抗体結合に関連する生理学的応答を誘導、強化および/または調整するのに十分な時間、および/または抗体が内在化されるのに十分な時間)を半減期として、抗原に特異的に結合する能力を有するものを指すものとする。抗原と相互作用する結合領域(本明細書では結合ドメインという用語を使用する場合もあり、どちらも同じ意味を有する)は、免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の両方の可変領域を含む。抗体(Ab)の定常領域は、宿主組織または宿主因子、例えば免疫系のさまざまな細胞(例えばエフェクター細胞)および補体活性化の古典経路における第1構成要素であるC1qなどの補体系の構成要素などへの、免疫グロブリンの結合を媒介しうる。
【0022】
本発明との関連において、「抗体」という用語は、モノクローナル抗体(mAb)、抗体様ポリペプチド、例えばキメラ抗体およびヒト化抗体を包含すると共に、酵素的切断、ペプチド合成および組換え技法などといった任意の公知技法によって与えられる「抗体フラグメント」または「そのフラグメント」であって抗原に特異的に結合する能力を保ち(抗原結合性フラグメント)、毒素にコンジュゲートされる能力を保っているものを包含する。本発明に従って定義される抗体は、本明細書における開示が別段の限定を受ける場合を除き、任意のアイソタイプを有することができる。
【0023】
上に示したように、本明細書において使用される抗体という用語は、別段の言明があるか、または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、抗原と特異的に相互作用、例えば結合する能力を保っている抗体のフラグメントを包含する。抗体の抗原結合機能が完全長抗体のフラグメントによって履行されうることは示されている。「抗体」という用語に包含される結合性フラグメントの例としては、(i)Fab'フラグメントまたはFabフラグメント、すなわち軽鎖可変ドメイン(VL)、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖定常領域(CL)および重鎖定常領域のドメイン1(CH1)ドメインからなる一価フラグメント、またはWO2007/059782に記載の一価抗体、(ii)F(ab')2フラグメント、すなわちヒンジ領域のジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント、(iii)本質的にVHドメインおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iv)本質的に抗体の単一アームのVLドメインおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)dAbフラグメント、Ward et al.,Nature 341,544-546(1989)、これは本質的にVHドメインからなり、ドメイン抗体とも呼ばれる、Holt et al;Trends Biotechnol.2003 Nov;21(11):484-90、(vi)ラクダ抗体またはナノボディ、Revets et al;Expert Opin Biol Ther.2005 Jan;5(1):111-24、および(vii)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。また、Fvフラグメントの2つのドメインVLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされているが、それらが、VL領域とVH領域とがペアになって一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作られることを可能にする合成リンカーにより、組換え法を使って、それらを接合してもよい(一本鎖抗体または一本鎖Fv(scFv)として公知である。例えばRevets et al;Expert Opin Biol Ther.2005 Jan;5(1):111-24およびBird et al.,Science 242,423-426(1988)を参照されたい。そのような一本鎖抗体は、別段の注記があるか、または文脈からそうでないことが明らかである場合を除き、抗体という用語に包含される。そのようなフラグメントは一般に抗体の意味に包含されるが、それらは集合的に、またそれぞれ独立して、本発明のユニークな特徴であり、さまざまな生物学的性質および有用性を呈する。本発明との関連におけるこれらおよび他の有用な抗体フラグメントは、本明細書においてさらに考察される。
【0024】
抗体は、インビトロまたはエクスビボのさまざまな発現系または産生系において産生され、そこから、例えば組換え的に改変された宿主細胞から、ハイブリドーマから、または抗体をコードする核酸配列のインビトロでの転写および/もしくは翻訳をサポートする細胞抽出物を使用する系から、収集することができる。多数の異なる抗体であって、抗体が本発明との関連において定義されるものは、各抗体を上述の産生系で別々に産生した後、それらの抗体を混合することによって提供されうるもの、または同じ産生系でいくつかの抗体を産生することによって提供されうるものであることを理解すべきである。
【0025】
本明細書において使用される「免疫グロブリン重鎖」または「免疫グロブリンの重鎖」という用語は、免疫グロブリンの重鎖のうちの一つを指すものとする。重鎖は典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記する)と、免疫グロブリンのアイソタイプを規定する重鎖定常領域(本明細書ではCHと略記する)とで構成される。重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメインCH1、CH2、およびCH3で構成される。本明細書において使用される「免疫グロブリン」という用語は、2対のポリペプチド鎖、すなわち1対の軽い(L)低分子量鎖と1対の重い(H)鎖とからなる、構造的に関連する一群の糖タンパク質を指すものとし、それら4つはすべて潜在的にジスルフィド結合によって相互に連結される。免疫グロブリンの構造はよく特徴づけられている(例えばFundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))を参照されたい)。免疫グロブリンの構造内では、2つの重鎖が、いわゆる「ヒンジ領域」中のジスルフィド結合によって、相互に連結されている。重鎖と同様に各軽鎖も、典型的には、いくつかの領域、例えば軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記する)と軽鎖定常領域とで構成される。軽鎖定常領域は、典型的には、1つのドメインCLで構成される。また、VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存度の高い領域が点在する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変性の領域(すなわち、配列が超可変であり、かつ/または構造上明確なループを形成しうる、超可変領域)へとさらに細分しうる。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で配置された3つのCDRと4つのFRとで構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。CDR配列はIMGTに従って規定される(Lefranc MP.et al.,Nucleic Acids Research,27,209-212,1999]およびBrochet X.Nucl.Acids Res.36,W503-508(2008)参照)。
【0026】
本明細書において使用される場合、「半分子」、「Fabアーム」および「アーム」という用語は、1つの重鎖-軽鎖ペアを指す。ある二重特異性抗体が、第1抗体「由来の」半分子抗体と第2抗体「由来の」半分子抗体とを含むと記述されている場合、「由来の」という用語は、その二重特異性抗体が、第1抗体および第2抗体のそれぞれからの半分子を任意の公知技法で組み換えて、その結果、二重特異性抗体とすることによって生成したことを示す。この文脈において「組み換える」とは、いかなる特定組換え法にも限定されないものとし、したがって本明細書において後述する二重特異性抗体産生方法をすべて、例えば半分子交換によって組換えを行うこと、ならびに核酸レベルで組換えを行い、かつ/または同じ細胞における2種の半分子の同時発現によることを含めて、包含する。
【0027】
本明細書において使用される「抗原結合領域」または「結合領域」という用語は、抗原へと結合することができる抗体の領域を指す。抗原は、例えば細胞、細菌またはビリオン上に存在する、ポリペプチドなどの任意の分子であることができる。「抗原」という用語と「標的」という用語は、文脈上矛盾が生じる場合を除き、本発明との関連においては相互可換的に使用されうる。「抗原結合領域」という用語と「抗原結合部位」という用語は、文脈上矛盾が生じる場合を除き、本発明との関連においては相互可換的に使用されうる。
【0028】
「結合を遮断する」または「抗体の結合を遮断すること」または「結合を交差遮断すること」または「結合を交差遮断する」という用語は、特異的抗原に結合しているある抗体が同じ抗原への第2の抗体の結合を妨げる状況およびその逆の状況を指す。他方の抗体が存在しない場合、各抗体は、有意な結合応答によって決定される抗原結合能力を有するのに対し、他方の抗体が存在する場合には、抗体のうちの一方が結合応答を欠く。他方の抗体の結合を遮断する一方の抗体の能力は、例えば本願の実施例3に記載するように、またAbdicheらによって記載されているように(Abdiche YN,Malashock DS,Pinkerton A,Pons J.「Exploring blocking assays using Octet,ProteOn,and Biacore biosensors」Anal Biochem.2009;386(2):172-180)、古典的サンドイッチエピトープビニングアッセイフォーマットでのバイオレイヤー干渉法によって決定されうる。簡単に述べると、サンドイッチエピトープビニングアッセイでは、溶解した状態の抗体を、固定化された抗体によってまず捕捉されているその特異的抗原への結合に関して試験する。本発明との関連において、後述する「置き換え」の定義によれば、ある抗体が別の抗体を「置き換え」ることができるのであれば、その抗体は他方の抗体の結合を遮断しない。「結合を遮断する」および「抗体の結合を遮断すること」および「結合を交差遮断すること」および「結合を交差遮断する」という用語は、文脈上矛盾が生じる場合を除き、本発明との関連において、相互可換的に使用されうる。好ましくは、他方の抗体の結合を遮断する一方の抗体の能力は、完全長抗体を使って決定される。
【0029】
「置き換え」または「置き換える能力」または「置き換えること」とは、2つの抗体が、過渡的三分子複合体(これは、抗原へと一方の抗体を保持させて、他方の抗体を置き換えることによって、迅速に崩壊する)の形成を介して、それらの特異的抗原への互いの結合を速度論的に変化させることによって、抗原への互いの結合を撹乱する状況を指す。抗体の置き換えは、Abdiche et al.,2017(Abdiche YN,Yeung AY,Ni I,Stone D,Miles A,Morishige W,et al.(2017)「Antibodies Targeting Closely Adjacent or Minimally Overlapping Epitopes Can Displace One Another」PLoS ONE 12(1):e0169535.doi:10.1371/journal.pone.0169535)に定義されている。抗体の置き換えは、Abdiche et al.2017および本願の実施例4に記載されるように、古典的サンドイッチアッセイフォーマットでリアルタイム・ラベルフリー・バイオセンサーを使用するバイオレイヤー干渉法によって決定されうる。好ましくは、抗体の置き換えはIgGフォーマットの抗体を使って決定される。
【0030】
本明細書において使用される「結合」という用語は、予め決定された抗原または標的への、抗体をリガンドとして使用し、抗原を分析物として使用して、バイオレイヤー干渉法で決定した場合に、典型的には1E-6M以下、例えば5E-7M以下、1E-7M以下、例えば5E-8M以下、例えば1E-8M以下、例えば5E-9M以下、または例えば1E-9M以下のKDに対応する結合親和性での、抗体の結合を指し、予め決定された抗原に、予め決定された抗原ではなく密接に関連する抗原でもない非特異的抗原(例えばBSA、カゼイン)への結合に関するその親和性の少なくとも10分の1、例えば少なくとも100分の1、例えば少なくとも1,000分の1、例えば少なくとも10,000分の1、例えば少なくとも100,000分の1のKDに対応する親和性で結合する。
【0031】
本明細書において使用される「KD」(M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指し、kdをkaで割ることによって得られる。
【0032】
本明細書において使用される「kd」(sec-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。この値はkoff値またはオフ速度ともいう。
【0033】
本明細書において使用される「ka」(M-1×sec-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度定数を指す。この値はkon値またはオン速度ともいう。
【0034】
本明細書において使用される「5T4」という用語は、5T4と名付けられたタンパク質を指し、これは、栄養膜糖タンパク質、5T4腫瘍胎児性抗原、5T4がん胎児性栄養膜糖タンパク質、TPBG、WAIF1およびM6P1とも呼ばれる。これは、N結合型グリコシル化を大規模に受けたコアを持つ、72~80kDaの膜貫通タンパク質である。ヒト(Homo sapiens)では、5T4タンパク質はSEQ ID NO:1に示すアミノ酸配列(ヒト栄養膜糖タンパク質:Uniprotアクセッション番号Q13641)を有する。SEQ ID NO:1に示すアミノ酸配列において、アミノ酸残基1~31はシグナルペプチドであり、アミノ酸残基32~420は成熟ポリペプチドである。カニクイザル(Macaca fascicularis)では、5T4タンパク質はSEQ ID NO:2に示すアミノ酸配列(Uniprotアクセッション番号Q4R8Y9)を有する。SEQ ID NO:2に示すアミノ酸配列において、アミノ酸残基1~34はシグナルペプチドであり、アミノ酸残基35~420は成熟ポリペプチドである。ニワトリ(Gallus gallus)では、5T4タンパク質はSEQ ID NO:3に示すアミノ酸配列(Uniprotアクセッション番号R4GM46)を有する。SEQ ID NO:3に示す配列において、アミノ酸残基1~27はシグナルペプチドであり、アミノ酸残基28~379は成熟ポリペプチドである。
【0035】
本明細書において使用される「CD3」という用語は、T細胞補助受容体タンパク質複合体の一部であって、4つの相異なる鎖で構成される、ヒト表面抗原分類(Cluster of Differentiation)(CD)3タンパク質を指す。CD3は他の種にも見出されるので、「CD3」という用語は、文脈上矛盾する場合を除き、ヒトCD3に限定されない。哺乳動物の場合、この複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖(ヒトCD3γ鎖 UniProtKB/Swiss-Prot No P09693、またはカニクイザルCD3γ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI7)、CD3δ(デルタ)鎖(ヒトCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No P04234、またはカニクイザルCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI8)、2つのCD3ε(イプシロン)鎖(ヒトCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No P07766;アミノ酸残基1~22はシグナルペプチドであり、アミノ酸残基23~207は本明細書ではSEQ ID NO:4と同定される成熟CD3εポリペプチドである;カニクイザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI5;またはアカゲザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No G7NCB9)、およびCD3ζ-鎖(ゼータ)鎖(ヒトCD3ζ UniProtKB/Swiss-Prot No P20963、カニクイザルCD3ζ UniProtKB/Swiss-Prot No Q09TK0)を含有する。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)として公知である分子と会合し、Tリンパ球における活性化シグナルを生成する。TCR分子およびCD3分子は全体としてTCR複合体を構成する。
【0036】
「抗体結合領域」という用語は、抗原のうち、抗体が結合するエピトープを含む領域を指す。抗体結合領域は、バイオレイヤー干渉法を用いるエピトープビニング、アラニンスキャン、またはシャッフルアッセイ(抗原の領域が別の種のものと交換されている抗原構築物を使用し、抗体がその抗原に依然として結合するかどうかを決定すること)によって決定されうる。抗体との相互作用に関与する抗体結合領域内のアミノ酸は、水素/重水素交換質量分析、および抗原に結合した抗体の結晶構造解析によって決定されうる。
【0037】
「エピトープ」という用語は抗体によって特異的に結合される抗原決定基を意味する。エピトープは通常、アミノ酸、糖側鎖またはそれらの組み合わせなどといった分子の表面配置からなり、通常は特異的三次元構造特徴および特異的電荷特徴を有する。コンフォメーショナルエピトープと非コンフォメーショナルエピトープは、変性溶媒の存在下では前者への結合が失われるのに対して、後者への結合は失われない点で識別される。エピトープは、結合に直接的に関与するアミノ酸残基と、直接的には結合に関与しない他のアミノ酸残基、例えば抗体が抗原に結合した時に抗体によって効果的に遮断または被覆されるアミノ酸残基(言い換えると、アミノ酸残基は特異的抗体のフットプリント内にあるか、特異的抗体のフットプリントのごく近傍にある)とを含みうる。
【0038】
本明細書において使用される「モノクローナル抗体」、「モノクローナルAb」、「モノクローナル抗体組成物」、「mAb」などの用語は、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、ある特定エピトープに対して単一の結合特異性および親和性を呈する。したがって「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域と定常領域とを有する、単一の結合特異性を呈する抗体を指す。ヒトモノクローナル抗体は、ヒト重鎖トランスジーンとヒト軽鎖トランスジーンとを含むゲノムを有するトランスジェニックマウスなどのトランスジェニック非ヒト動物またはトランスクロモソーマル非ヒト動物から得られるB細胞であって不死化細胞に融合されたものを含むハイブリドーマによって産生されうる。モノクローナル抗体は、組換え的に改変された宿主細胞、または抗体をコードする核酸配列のインビトロでの転写および/もしくは翻訳をサポートする細胞抽出物を使用する系からも、産生されうる。
【0039】
本明細書において使用される「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる免疫グロブリンクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、もしくはIgM)、またはそれらの任意のアロタイプ、例えばIgG1m(za)およびIgG1m(f))を指す。さらに、各重鎖アイソタイプは、カッパ(κ)軽鎖またはラムダ(λ)軽鎖のどちらか一方と組み合わせることができる。
【0040】
「完全長抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、それぞれが当該アイソタイプの野生型抗体の重鎖-軽鎖ペア中に通常見出される重鎖および軽鎖の定常ドメインおよび可変ドメインをすべて含有する1対または2対の重鎖および軽鎖を含む抗体(例えば親抗体または変種抗体)を指す。完全長変種抗体において、重鎖および軽鎖の定常ドメインおよび可変ドメインは、完全長親抗体または完全長野生型抗体と比較して抗体の機能的性質を改良するアミノ酸置換を、特に含有しうる。本発明の完全長抗体は、(i)全重鎖配列と全軽鎖配列とを含む適切なベクター中にCDR配列をクローニングする工程と、(ii)全重鎖配列と全軽鎖配列とを適切な発現系で発現させる工程とを含む方法によって産生されうる。CDR配列または完全な可変領域配列のどちらかから出発した場合に完全長抗体を産生することは、当業者の知識の範囲内である。したがって本発明の完全長抗体を生成させる方法は当業者には公知である。
【0041】
本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域およびフレームワーク領域とヒト免疫グロブリン定常ドメインとを有する抗体を包含するものとする。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えばインビトロでのランダム変異導入もしくは部位特異的変異導入によって導入されるか、インビボでの体細胞変異によって導入される、変異、挿入または欠失)を含みうる。ただし、本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの他の非ヒト種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を包含しないものとする。
【0042】
本明細書において使用される「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体定常ドメインと、ヒト可変ドメインに対して高レベルの配列相同性を含むように改変された非ヒト可変ドメインとを含有する、遺伝子工学的に操作された非ヒト抗体を指す。これは、全体として抗原決定部位を形成する6つの非ヒト抗体相補性決定領域(CDR)を、相同なヒトアクセプターフレームワーク領域(FR)に移植することによって達成することができる(WO92/22653およびEP0629240参照)。親抗体の結合親和性と結合特異性とを完全に再構成するには、親抗体(すなわち非ヒト抗体)からのフレームワーク残基をヒトフレームワーク領域に置換すること(復帰変異)が必要かもしれない。構造的相同性モデリングは、抗体の結合特性にとって重要なフレームワーク領域中のアミノ酸残基を同定するのに役立ちうる。したがってヒト化抗体は、非ヒトCDR配列と、非ヒトアミノ酸配列への1つまたは複数アミノ酸復帰変異を含んでもよい主としてヒトのフレームワーク領域と、完全にヒトの定常領域とを含みうる。任意で、親和性および生化学的性質などの好ましい特徴を持つヒト化抗体を得るために、必ずしも復帰変異でない追加のアミノ酸改変を適用してもよい。
【0043】
本明細書において使用される「Fc領域」という用語は、抗体のN末端からC末端に向かって、少なくともヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域を含む領域を指す。抗体のFc領域は、免疫系のさまざまな細胞(例えばエフェクター細胞)および補体系の構成要素などといった、宿主組織または宿主因子への、免疫グロブリンの結合を媒介しうる。
【0044】
本明細書において使用される「ヒンジ領域」という用語は免疫グロブリン重鎖のヒンジ領域を指す。したがって、例えばヒトIgG1抗体のヒンジ領域は、Kabat Kabat,E.A.et al.,Sequences of proteins of immunological interest.5th Edition-US Department of Health and Human Services,NIH publication No.91-3242,pp 662、680、689(1991)に記載のEuナンバリングでは、アミノ酸216~230に対応する。ただし、ヒンジ領域は本明細書に記載する他のサブタイプのいずれであってもよい。
【0045】
本明細書において使用される「CH1領域」または「CH1ドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖のCH1領域を指す。したがって、例えばヒトIgG1抗体のCH1領域は、Kabat(前掲書)に示されているEuナンバリングではアミノ酸118~215に対応する。ただし、CH1領域は本明細書に記載する他のサブタイプのいずれであってもよい。
【0046】
本明細書において使用される「CH2領域」または「CH2ドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖のCH2領域を指す。したがって、例えばヒトIgG1抗体のCH2領域は、Kabat(前掲書)に示されているEuナンバリングではアミノ酸231~340に対応する。ただし、CH2領域は本明細書に記載する他のサブタイプのいずれであってもよい。
【0047】
本明細書において使用される「CH3領域」または「CH3ドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖のCH3領域を指す。したがって、例えばヒトIgG1抗体のCH3領域は、Kabat(前掲書)に示されているEuナンバリングではアミノ酸341~447に対応する。ただし、CH3領域は本明細書に記載する他のサブタイプのいずれであってもよい。
【0048】
本明細書において使用する「Fc媒介性エフェクター機能」という用語は、ポリペプチドまたは抗体が細胞膜上のその標的または抗原に結合した結果である機能を指すものとし、ここでFc媒介性エフェクター機能は、前記ポリペプチドまたは抗体のFc領域に起因する。Fc媒介性エフェクター機能の例としては、(i)C1q結合、(ii)補体活性化、(iii)補体依存性細胞傷害(CDC)、(iv)抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、(v)Fcガンマ受容体(FcgR)結合、(vi)抗体依存性FcγR媒介性抗原架橋、(vii)抗体依存性細胞食作用(ADCP)、(viii)補体依存性細胞性細胞傷害(CDCC)、(ix)補体増強細胞傷害(complement-enhanced cytotoxicity)、(x)抗体によって媒介されるオプソニン化抗体の補体受容体への結合、(xi)オプソニン化、および(xii)(i)~(xi)のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0049】
本明細書において使用される「不活性」、「不活性な」または「非活性化」という用語は、少なくとも、どのFcγRにも結合することができず、FcγRのFc媒介性架橋を誘導すること、または個々の抗体の2つのFc領域による標的抗原のFcγR媒介性架橋を誘導することができず、またはC1qに結合することができない、Fc領域を指す。抗体のFc領域の不活性は、単一特異性フォーマットまたは二重特異性フォーマットの抗体を使って試験しうる。
【0050】
抗体に関連して使用される場合、「完全長」という用語は、その抗体がフラグメントではなく、自然界でその特定アイソタイプに通常見出されるそのアイソタイプのドメインのすべてを、例えばIgG1抗体の場合であればVHドメイン、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ヒンジドメイン、VLドメインおよびCLドメインを、含有することを示す。
【0051】
本発明との関連において、「一価抗体」という用語は、1つの抗原結合ドメイン(例えば1つのFabアーム)だけで抗原上の特異的エピトープと相互作用することができる抗体分子を指す。二重特異性抗体との関連において「一価抗体結合」とは、1つの抗原結合ドメイン(例えば1つのFabアーム)だけによる、抗原上の1つの特異的エピトープへの二重特異性抗体の結合を指す。
【0052】
本発明との関連において、「単一特異性抗体」という用語は、1つのエピトープだけに対して結合特異性を有する抗体を指す。この抗体は、単一特異性一価抗体(すなわち抗原結合領域を1つだけ保持している)または単一特異性二価抗体(すなわち同一の抗原結合領域を2つ持つ抗体)でありうる。
【0053】
「二重特異性抗体」という用語は、2つの非同一抗原結合ドメインを有する抗体、例えば2つの非同一Fabアームまたは非同一CDR領域を持つ2つのFabアームを有する抗体を指す。本発明との関連において、二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する特異性を有する。そのようなエピトープは同じ抗原もしくは標的上または異なる抗原もしくは標的上に存在しうる。エピトープが異なる抗原上にある場合、そのような抗原は、同じまたは異なる細胞、細胞タイプまたは構造物上、例えば細胞外マトリックスまたは小胞および可溶性タンパク質上に存在しうる。したがって二重特異性抗体は、複数の抗原を、例えば2つの異なる細胞を、架橋することができ得る。
【0054】
「二価抗体」という用語は、1つまたは2つの標的または抗原上のエピトープに結合するか、または同じ抗原上の1つまたは2つのエピトープに結合する、2つの抗原結合領域を有する抗体を指す。したがって二価抗体は、単一特異性二価抗体または二重特異性二価抗体でありうる。
【0055】
「アミノ酸」および「アミノ酸残基」という用語は、本明細書では相互可換的に使用することができ、限定的に理解されるべきではない。アミノ酸は、アミン官能基(-NH2)およびカルボキシル官能基(-COOH)を各アミノ酸に特有の側鎖(R基)と共に含有する有機化合物である。本発明との関連において、アミノ酸は、構造および化学的特徴に基づいて分類しうる。したがってアミノ酸のクラスは以下の表の一方または両方に反映されうる。
【0056】
Rの構造と一般的な化学的特徴付けとに基づく主分類
【0057】
アミノ酸残基の代替的な物理的および機能的分類
【0058】
あるアミノ酸による別のアミノ酸の置換は、保存的置換または非保存的置換に分類されうる。本発明との関連において、「保存的置換」とは、あるアミノ酸を、類似する構造および/または化学的特徴を有する別のアミノ酸で置換すること、例えばあるアミノ酸残基で、上記2つの表のどちらかにおいて規定される同じクラスの別のアミノ酸残基を置換することをいい、例えばロイシンとイソロイシンはどちらも脂肪族分岐疎水性物質なので、ロイシンはイソロイシンで置換されうる。同様にアスパラギン酸とグルタミン酸はどちらも小さな負荷電残基なので、アスパラギン酸はグルタミン酸で置換されうる。
【0059】
本発明との関連において、抗体中の置換は次のように示される:
元のアミノ酸-位置-置換アミノ酸
【0060】
よく知られたアミノ酸の命名法では、任意のアミノ酸残基を示す記号「Xaa」または「X」を含めて、三文字コードまたは一文字コードが使用される。したがってXaaまたはXは20種の天然アミノ酸のいずれかを指しうる。本明細書において使用される「天然の」という用語は、以下のアミノ酸残基のうちのいずれか一つを指す:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、およびシステイン。したがって「K409R」または「Lys409Arg」という表記は、その抗体が409番目のアミノ酸にアルギニンによるリジンの置換を含むことを意味する。
【0061】
所与の位置におけるアミノ酸の他の任意のアミノ酸による置換は、次のように言及される:
元のアミノ酸-位置、または例えばアミノ酸「K409」
【0062】
元のアミノ酸および/または置換アミノ酸が2種以上であるがすべてではないアミノ酸を含みうる改変の場合は、それら2種以上のアミノ酸を「,」または「/」で区切ることができる。例えば409番目におけるアルギニン、アラニン、またはフェニルアラニンによるリジンの置換は、
「Lys409Arg,Ala,Phe」もしくは「Lys409Arg/Ala/Phe」または「K409R,A,F」もしくは「K409R/A/F」または「K409→R、AまたはF」
である。
【0063】
そのような指定は、本発明との関連においては相互可換的に使用される場合もあるが、それらは同じ意味および同じ目的を有しうる。
【0064】
さらにまた、「置換」という用語は、他の19種の天然アミノ酸のいずれか1つへの置換、または非天然アミノ酸など、他のアミノ酸への置換を包含する。例えば409番目のアミノ酸Kの置換は以下の置換のそれぞれを包含する:409A、409C、409D、409E、409F、409G、409H、409I、409L、409M、409N、409Q、409R、409S、409T、409V、409W、409P、および409Y。ちなみにこれは409Xという指定に等しく、ここでXは元のアミノ酸を除く任意のアミノ酸を指定している。これらの置換はK409A、K409Cなど、またはK409A,Cなど、またはK409A/C/などとも指定されうる。これは、本明細書において言及するどの位置についても同様に適用されて、そのような置換はいずれも本明細書に具体的に包含されることになる。
【0065】
本発明の抗体はアミノ酸残基の欠失も含みうる。そのような欠失は「del」と表すことができ、例えばK409delという記述を包含する。したがってそのような態様では409番目のリジンがアミノ酸配列から削除されている。
【0066】
本明細書において使用される「宿主細胞」という用語は、発現ベクターが導入されている細胞を指すものとする。このような用語は、その特定対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も指すものであると、理解すべきである。突然変異または環境の影響ゆえに、後続の世代では一定の修飾が起こりうるので、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一ではないかもしれないが、それでもなお、本明細書において使用される用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。組換え宿主細胞としては、例えばCHO細胞、HEK-293細胞、Expi293F細胞、PER.C6細胞、NS0細胞、およびリンパ球系細胞などのトランスフェクトーマ、および大腸菌(E.coli)などの原核細胞、ならびに植物細胞および真菌などの他の真核宿主が挙げられる。
【0067】
用語「トランスフェクトーマ」は、本明細書において使用される場合、抗体もしくは標的抗原を発現する組換え真核宿主細胞、例えばCHO細胞、PER.C6細胞、NS0細胞、HEK-293細胞、Expi293F細胞、植物細胞、または酵母細胞を含む真菌を包含する。
【0068】
本発明の目的には、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite、Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)、好ましくはバージョン5.0.0以降のNeedleプログラムに実装されているNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を使って決定される。使用されるパラメータは、ギャップ開始ペナルティ(gap open penalty)10、ギャップ伸長ペナルティ(gap extension penalty)0.5、およびEBLOSUM62(EMBOSS版のBLOSUM62)置換行列である。「最長同一性(longest identity)」とラベルされるNeedleの出力(-nobriefオプションを使って得られる)が同一性パーセントとして使用され、次のように算出される:
(同一残基数 × 100)/(アラインメントの長さ - アラインメント中のギャップの総数)
【0069】
類似残基の保持は、同様に、または代替的方法として、BLASTプログラム(例えばNCBI経由で利用することができるBLAST 2.2.8で、標準設定のBLOSUM62、Open Gap=11およびExtended Gap=1を使用)を利用して決定される類似性スコアによって測定することもできる。適切な変種は、親配列に対して、典型的には少なくとも約45%、例えば少なくとも約55%、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%またはそれ以上(例えば約99%)の類似性を呈する。
【0070】
本明細書において使用される「内在化された」または「内在化」という用語は、本発明の抗体などの分子が細胞によって貪食されて細胞の内部へと引き込まれる生物学的プロセスを指す。内在化は「エンドサイトーシス」ということもできる。
【0071】
抗体
第1の局面において、本発明は、5T4(栄養膜糖タンパク質)へと結合することができる少なくとも1つの抗原結合領域を含む抗体であって、
a)SEQ ID NO:5に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:9に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[059]、
b)SEQ ID NO:12に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:16に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[076]、
c)SEQ ID NO:19に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:23に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[085]、
d)SEQ ID NO:26に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:30に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[106]、
e)SEQ ID NO:33に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:37に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[127]、
f)SEQ ID NO:40に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:44に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[207]、および
g)SEQ ID NO:47に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:51に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[226]
からなる群より選択される抗体の、5T4への結合を、遮断することができる抗体を提供する。
【0072】
特に本発明は、5T4(栄養膜糖タンパク質)へと結合することができる少なくとも1つの抗原結合領域を含む抗体であって、SEQ ID NO:5に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:9に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[059]の5T4への結合を遮断することができる抗体を含む。
【0073】
抗体は、特に、
a)SEQ ID NO:40に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:44に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[207]、
b)SEQ ID NO:47に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:51に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[226]、および
SEQ ID NO:5に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:9に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[059]
からなる群より選択される抗体の、5T4への結合を、遮断することができる。
【0074】
本発明の特定態様において、抗体は、
a)SEQ ID NO:40に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:44に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[207]、および
b)SEQ ID NO:47に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:51に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[226]
からなる群より選択される抗体の、5T4への結合を、遮断することができる。
【0075】
本発明の抗体は、ヒト5T4に対する特異性を有すること、またはヒト5T4への結合能を有することを特徴とする。したがって本明細書にいう5T4は、特に、ヒト5T4、例えばSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチドでありうる。
【0076】
さらなる態様において、本発明の抗体は、カニクイザル5T4に対する特異性を有すること、またはカニクイザル5T4への結合能を有すること、例えばヒト5T4とカニクイザル5T4の両方に対する特異性または結合能を有することを特徴とする。カニクイザル5T4は特に、SEQ ID NO:2の成熟ポリペプチドでありうる。
【0077】
さらなる態様において、本発明の抗体は、ニワトリ5T4に対する特異性またはニワトリ5T4への結合能、例えばヒト5T4とニワトリ5T4の両方に対する特異性または結合能、または例えばヒト、カニクイザルおよびニワトリの5T4に対する特異性または結合能を有し、ここでニワトリ5T4は、特に、SEQ ID NO:3の成熟ポリペプチドのアミノ酸を有しうる。
【0078】
したがって本発明の抗体は、ヒト5T4、例えばSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチド、およびカニクイザル5T4、例えばSEQ ID NO:2の成熟ポリペプチドに対する特異性または結合能を有しうる。
【0079】
さらに本発明の抗体は、ヒト5T4、例えばSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチド、カニクイザル5T4、例えばSEQ ID NO:2の成熟ポリペプチド、およびニワトリ5T4、例えばSEQ ID NO:3の成熟ポリペプチドに対する特異性または結合能を有しうる。
【0080】
本発明の抗体は、ヒト5T4、カニクイザル5T4および/またはニワトリ5T4に、1E-7M以下のKD値、例えば約1E-7M以下、5E-8M以下、約5E-8M以下、1E-8M以下、約1E-8M以下、5E-9M以下、約5E-9M以下、例えば1E-9M以下、または例えば約1E-9M以下のKD値に対応する結合親和性で、例えば1E-7~5E-10Mの範囲内、例えば約1E-7~約5E-10Mの範囲内、例えば1E-7~1E-9M、例えば約1E-7~約1E-9M、例えば5E-8~5E-10M、例えば約5E-8~約5E-10M、例えば5E-8~1E-9M、例えば約5E-8~約1E-9M、例えば1E-8~5E-10M、例えば約1E-8~約5E-10M、例えば1E-8~1E-9M、例えば約1E-8~約1E-9M、例えば1E-8~5E-9M、または例えば約1E-8~約5E-9Mの範囲内のKD値に対応する結合親和性で、結合しうる。
【0081】
抗体がその標的に結合する際の親和性を決定することは当業者の能力の範囲内であるが、5T4に対する本発明の抗体の結合親和性は特に、バイオレイヤー干渉法により、任意で本明細書の実施例2に示されるように決定されうる。
【0082】
より具体的には、本発明の抗体の結合親和性は、以下の工程を含む手順、例えばバイオレイヤー干渉法の手順を使って決定されうる:
I)抗体を、1μg/mLの量で600秒間かけて、抗ヒトIgG Fc捕捉バイオセンサー上に固定化する工程、
II)100nM~1.56nMの範囲の2倍希釈系列を使って、5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)またはカニクイザル5T4(SEQ ID NO:2の成熟タンパク質)、または組換えカニクイザル5T4タンパク質(Cusabio、カタログ番号CSB-MP024093MOV)の会合を200秒の期間にわたって、解離を1000秒の期間にわたって決定する工程、
III)データを緩衝液対照(0nM)と関連づける工程。
【0083】
本発明の抗体の結合親和性は特に、単一特異性二価抗体である前記請求項のいずれか一項記載の抗体、例えば完全長IgG1である抗体を使って決定されうる。
【0084】
本発明のさらなる態様において、抗体は、5T4上のエピトープまたは抗体結合領域または結合部位を認識し、またはそれに結合し、該結合部位またはエピトープまたは抗体結合領域は、
a)SEQ ID NO:5に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:9に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[059]、
b)SEQ ID NO:12に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:16に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[076]、
c)SEQ ID NO:19に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:23に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[085]、
d)SEQ ID NO:26に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:30に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[106]、
e)SEQ ID NO:33に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:37に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[127]、
f)SEQ ID NO:40に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:44に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[207]、および
g)SEQ ID NO:47に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:51に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[226]
からなる群より選択される抗体のうちのいずれか1つによって認識される。
【0085】
さらなる態様において、本発明の抗体は、
a)SEQ ID NO:87に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:88に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[H8]、
b)SEQ ID NO:83に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:84に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[A1]、および
c)SEQ ID NO:85に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:86に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[A3]
からなる群より選択される抗体によって結合される抗体結合領域でも結合部位でもエピトープでもない、または
a)SEQ ID NO:87に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:88に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[H8]、
b)SEQ ID NO:83に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:84に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[A1]、および
c)SEQ ID NO:85に示す配列を含むVH領域とSEQ ID NO:86に示す配列を含むVL領域とを含む抗体[A3]
からなる群より選択される抗体によって結合される抗体結合領域とも結合部位ともエピトープとも異なる、5T4上の抗体結合領域、結合部位またはエピトープ
を認識し、またはそれに結合する。
【0086】
別の態様において、5T4への本発明の抗体の結合は、SEQ ID NO:85に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:86に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体[A3]の、5T4への結合によって、遮断される。それぞれSEQ ID NO:85およびSEQ ID NO:86に示すVH配列およびVL配列を含む抗体は、WO2007106744に開示されている3種のマウス5T4抗体のうちの1つ、抗体A3である。言換え:単一aa置換を持つ抗体A3。CDR配列では?
【0087】
さらなる別の態様において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:85に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:86に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む、5T4または5T4のHisタグ付き細胞外ドメイン(例えば5T4ECDHis/SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)に結合している抗体[A3]の、置き換えを示す。この置き換え挙動は、本発明の抗体が、抗体A3によって結合されるエピトープとは異なるが、A3によって結合されるエピトープに隣接しているか、A3によって結合されるエピトープとオーバーラップしていると思われるエピトープに結合することを示す。
【0088】
「置き換え(displacement)」または結合している抗体を置き換える能力は、バイオレイヤー干渉法アッセイにおいて、例えば本願の実施例4に記載するように行われるアッセイにおいて、決定されうる。
【0089】
「交差遮断(cross-blocking)」または5T4への別の抗体の結合を遮断する本発明に従って規定される抗体の能力は、蛍光活性化細胞選別(FACS)アッセイを使って、例えば実施例5に記載するように行われるアッセイにおいて決定されうる。
【0090】
特に、「交差遮断」、または5T4への別の抗体の結合を遮断する本発明の抗体の能力は、コンジュゲート抗体の結合を遮断する非コンジュゲート抗体の能力として決定され、任意で、
i)各試料が、ヒト卵巣腺癌SK-OV-3細胞と、5T4に結合する抗体であってフルオレセインイソチオシアネート(FITC)にコンジュゲートされている該抗体と、5T4を標的とする過剰量の非コンジュゲート抗体との混合物を含む、試料セットを用意する工程、
ii)前記試料を4℃で30分間インキュベートした後、前記試料を遠心分離に供する工程、
iii)各試料から上清を取り除き、細胞を緩衝液に再懸濁し、フローサイトメーターを使ってFITCの平均蛍光強度(MFI)を決定する工程、および
iv)結合のパーセンテージを、以下:
FITCコンジュゲート抗体および非コンジュゲート抗体の混合物と共にインキュベートされた細胞と、FITCコンジュゲート抗体も非コンジュゲート抗体もなしでインキュベートされた細胞との間のMFIの差を100倍し、次にFITCコンジュゲート抗体およびIgG-b12抗体の混合物と共にインキュベートした細胞と、FITCコンジュゲート抗体も非コンジュゲート抗体もなしでインキュベートした細胞との間のMFIの差で割る
の通りに算出する工程
を含む手順で決定される。
【0091】
当業者は、ある抗体の、別の抗体がその標的に結合するのを遮断する能力、またはある抗体の、その標的に結合している別の抗体を置き換える能力を決定するための適切な技術に通じているであろうが、本願は、結合の遮断および置き換えを決定するのに適した手順を開示する。したがって、いくつかの態様において、5T4への別の抗体の結合を遮断する本発明の抗体の能力または5T4に結合している別の抗体を置き換える本発明の抗体の能力は、バイオレイヤー干渉法、例えば実施例3に記載するように行われるバイオレイヤー干渉法を使って決定されうる。
【0092】
特に、5T4への別の抗体の結合を遮断する本発明の抗体の能力または5T4に結合している別の抗体を置き換える本発明の抗体の能力は、バイオレイヤー干渉法を使って、
i)本発明の抗体を、10mM酢酸ナトリウム緩衝液中、20μg/mLの量で、活性化アミン反応性第2世代バイオセンサー(activated Amine-Reactive 2nd Generation biosensor)に固定化する工程、
ii)固定化された抗体を持つバイオセンサーをエタノールアミンpH8.5中でクエンチする工程、
iii)3.6μg/mL(100nM)のヒト5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)を含む組成物中に、固定化された抗体を持つバイオセンサーを、500秒の期間、浸漬する工程、および次に、
iv)5T4を標的とする前記別の抗体を10μg/mLで含む組成物中に、固定化された抗体および5T4ECDHisを持つバイオセンサーを、500秒の期間にわたって浸漬し、会合応答を決定する工程
を含み、工程i)~iv)が1000rpmで振とうしながら30℃の温度において行われる手順で、決定されうる。
【0093】
本明細書において提供される抗体は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、Y92およびR94を含むヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域に結合しうる。
【0094】
また、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基S69、R73、Y92およびR94を含むヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域に結合する抗体も、本明細書において提供される。
【0095】
さらに、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、T74、Y92、R94およびN95を含むヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域に結合する抗体が、本明細書において提供される。
【0096】
理論に束縛されることを望むわけではないが、本明細書の実施例16において得られた結果に基づいて、これらのアミノ酸残基(すなわちS69、R73、T74、Y92、R94およびN95)のうちの任意の1つまたは複数は、抗体の結合に、例えば非共有結合的相互作用によって、例えば抗体のCDR配列内のアミノ酸残基との非共有結合的相互作用によって、直接的に関与するという仮説がもうけられる。この仮説は、Zhao,Y.,Malinauskas,T.,Harlos,K.,&Jones,E.Y.(2014)「Structural insights into the inhibition of Wnt signaling by cancer antigen 5T4/Wnt-activated inhibitory factor 1」Structure,22(4),612-620において公表されたように、これらの残基が5T4の構造(4cnm;RCSB PDB Protein Data Bankにおいて提供されている;DOI:10.2210/pdb4CNM/pdb)上で表面露出残基であると同定されたという事実によって裏付けられる。
【0097】
SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでL89、F111、L117、F138、L144、D148、N152の追加アミノ酸残基のうちの1つまたは複数は、例えばタンパク質のフォールディングに影響を及ぼすことおよび/または抗体の結合に直接的に関与する1つまたは複数のアミノ酸残基の位置決めに影響を及ぼすことなどによって、結合に間接的に関与しうるなど、抗体の結合に関与しうる。特に、L89、F111、L117、F138、L144は、Zhao et al.,Structure,22(4),612-620に記載されているように、5T4内の疎水性コアの一部と同定されている。
【0098】
さらに、本明細書において開示する抗体は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、Y92およびR94が抗体の結合に直接的に関与しかつアミノ酸残基F111、F138、L144およびD148のうちの1つまたは複数が該結合に間接的に関与するヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域に結合しうる。
【0099】
本明細書において提供される抗体は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基S69、R73、Y92およびR94が該抗体の結合に直接的に関与しかつアミノ酸残基F111、F138およびD148のうちの1つまたは複数が該結合に間接的に関与するヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域に結合しうる。
【0100】
また本開示は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、T74、Y92、R94およびN95が抗体の結合に直接的に関与しかつアミノ酸残基F138が該結合に間接的に関与するヒト5T4上のエピトープまたは抗体結合領域に結合する抗体も提供する。
【0101】
エピトープまたは抗体結合領域に含まれるアミノ酸残基、および任意で、結合に間接的に関与する1つまたは複数の追加アミノ酸残基は、SEQ ID NO:1に示すアミノ酸配列またはSEQ ID NO:1の成熟ポリペプチド配列を有するヒト5T4のアラニンスキャニングによって、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸残基32~355を含むポリペプチドのアラニンスキャニングによって同定されうる。
【0102】
アラニンスキャニングは、特に、本明細書の実施例16に示されるように、または本明細書の実施例16に本質的に示されるように、行われうる。
【0103】
さらにアラニンスキャニングは、
i)ヒト5T4の細胞外ドメイン(SEQ ID NO:1のアミノ酸残基32~355に対応する)中のシステインおよびアラニンを除く全アミノ酸残基がアラニンで個別に置換されている変異ヒト5T4ポリペプチド、ならびに野生型5T4ポリペプチド(SEQ ID NO:1のアミノ酸残基32~355)を、ヒト胎児腎臓細胞、例えばHEK293細胞中で、各変異5T4または野生型5T4について、70~90.000個の細胞、例えば80.000個の細胞を含む試料が得られるように、個別に発現させる工程、
ii)各試料中の細胞を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート抗体にコンジュゲートされた抗体20μL(3μg/mL;FACS緩衝液中)と共に、室温で40分間インキュベートした後、各試料を150~180μLのFACS緩衝液(リン酸緩衝食塩水[PBS;Lonza、カタログ番号BE17-517]+0.1%[w/v]BSA[Roche、カタログ番号10735086001]+0.02%[w/v]アジ化ナトリウム[NaN3;EMELCA Bioscience、カタログ番号41920044-3])で2回洗浄し、各試料中の細胞を30μLのFACS緩衝液に再懸濁する工程、
iii)各試料について、該試料中の生存単一細胞集団に関して、細胞1つあたりに結合している抗体の平均量を蛍光強度の幾何平均(gMFI)として決定し、各試験抗体に関するデータを、以下の式:
(式中、「aa位置」は、アラニンへと変異させた位置を指す)
を使って、非交差遮断性5T4特異的対照抗体の結合強度に対して標準化する工程
を含む手順によって行うことができ、
抗体の結合の喪失または獲得を表現するために、Z-スコアが、計算:
(式中、μおよびσはそれぞれ、すべての変異体から算出された標準化gMFIの平均および標準偏差である)
に従って算出され、
特定の5T4変異体に関する対照抗体のgMFIが、(全変異体からの)平均gMFI対照Abの平均gMFI対照Ab-2.5×SDより低い場合は、データは解析から除外され、かつ任意で、
ある残基が-1.5直下(例えば-1.5と-1.8の間、例えば-1.5と-1.7の間または例えば-1.5と-1.6の間)のZ-スコアで結合し、その残基が、埋没していると予測され、かつその残基が、
表面に露出していると予測される大半の残基であって、これらの残基に関して結合の喪失または結合の減少が決定される、該大半の残基
から空間的に離れていると予測される場合は、データは解析から除外される。
【0104】
工程iii)において使用されるべき適切な非交差遮断性5T4特異的対照抗体は、
・SEQ ID NO:83に示すVH配列とSEQ ID NO:84に示すVL配列とを含む抗原結合領域[A1]、および
・SEQ ID NO:97に示すVH配列とSEQ ID NO:98に示すVL配列とを含む抗原結合領域[B12]
を含む二重特異性抗体である。
【0105】
本発明は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、Y92およびR94のうちの任意の1つまたは複数がアラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合する抗体を提供する。
【0106】
特に、抗体は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基S69、R73、Y92およびR94のうちの任意の1つまたは複数がアラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合しうる。
【0107】
さらに、抗体は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、T74、Y92、R94およびN95のうちの任意の1つまたは複数がアラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合しうる。
【0108】
また、本明細書において開示する抗体は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基L89、F111、L117、F138、L144、D148、N152のうちの任意の1つまたは複数がアラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合しうる。
【0109】
さらに、抗体は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、Y92、R94、F111、F138、L144およびD148のうちの任意の1つまたは複数がアラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合しうる。
【0110】
抗体は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基S69、R73、Y92、R94、F111、F138およびD148のうちの任意の1つまたは複数がアラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合しうる。
【0111】
別の態様において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:1におけるそれぞれの位置を指す各アミノ酸残基のナンバリングでアミノ酸残基R73、T74、Y92、R94、N95およびF138のうちの任意の1つまたは複数がアラニンで置換されると、結合の喪失が起こるかまたは結合が減少するように、5T4に結合しうる。
【0112】
上述したアラニン置換の効果はいずれも、SEQ ID NO:1のアミノ酸残基32~355を含むポリペプチドのアラニンスキャニングによって決定されうる。
【0113】
特に、アラニン置換の効果は、本明細書の実施例16に示される手順、または本明細書の実施例16に本質的に示される手順によって決定されうる。
【0114】
結合の喪失は、結合に関するZ-スコアが1.5未満であると定義され、該Z-スコアは、任意で、本明細書の実施例16に示されるように、または本明細書の実施例16に本質的に示されるように、算出される。
【0115】
アラニン置換の効果はいずれも、
i)ヒト5T4の細胞外ドメイン(SEQ ID NO:1のアミノ酸残基32~355に対応する)中のシステインおよびアラニンを除く全アミノ酸残基がアラニンで個別に置換されている変異ヒト5T4ポリペプチド、ならびに野生型5T4ポリペプチドを、ヒト胎児腎臓細胞、例えばHEK293細胞中で、各変異5T4または野生型5T4について、70~90.000個の細胞、例えば80.000個の細胞を含む試料が得られるように、個別に発現させる工程、
ii)各試料中の細胞を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート抗体にコンジュゲートされた抗体20μL(3μg/mL;FACS緩衝液中)と共に、室温で40分間インキュベートした後、各試料を150~180μLのFACS緩衝液(リン酸緩衝食塩水[PBS;Lonza、カタログ番号BE17-517]+0.1%[w/v]BSA[Roche、カタログ番号10735086001]+0.02%[w/v]アジ化ナトリウム[NaN3;EMELCA Bioscience、カタログ番号41920044-3])で2回洗浄し、各試料中の細胞を30μLのFACS緩衝液に再懸濁する工程、
iii)各試料について、該試料中の生存単一細胞集団に関して、細胞1つあたりに結合している抗体の平均量を蛍光強度の幾何平均(gMFI)として決定し、各試験抗体に関するデータを、以下の式:
(式中、「aa位置」は、アラニンへと変異させた位置を指す)
を使って、非交差遮断性5T4特異的対照抗体の結合強度に対して標準化する工程
を含む手順によって決定することができ、
抗体の結合の喪失または獲得を表現するために、Z-スコアが、計算:
(式中、μおよびσはそれぞれ、すべての変異体から算出された標準化gMFIの平均および標準偏差である)
に従って算出され、
特定の5T4変異体に関する対照抗体のgMFIが、(全変異体からの)平均gMFI対照Abの平均gMFI対照Ab-2.5×SDより低い場合は、データは解析から除外され、かつ任意で、
ある残基が-1.5直下(例えば-1.5と-1.8の間、例えば-1.5と-1.7の間または例えば-1.5と-1.6の間)のZ-スコアで結合し、その残基が、埋没していると予測され、かつその残基が、
表面に露出していると予測される大半の残基であって、これらの残基に関して結合の喪失または結合の減少が決定される、該大半の残基
から空間的に離れていると予測される場合は、データは解析から除外される。
【0116】
上記手順の工程iii)における適切な非交差遮断性5T4特異的対照抗体は、
・SEQ ID NO:83に示すVH配列とSEQ ID NO:84に示すVL配列とを含む抗原結合領域[A1]、および
・SEQ ID NO:97に示すVH配列とSEQ ID NO:98に示すVL配列とを含む抗原結合領域[B12]
を含む二重特異性抗体である。
【0117】
本発明の抗体は、細胞傷害性部分にコンジュゲートされた場合に、SEQ ID NO:87に示す配列を含む可変重鎖(VH)領域とSEQ ID NO:88に示す配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む同様にコンジュゲートされた抗体[H8]と比較して、低減した細胞傷害によって示される低減した内在化能を有することを特徴としうる。それぞれSEQ ID NO:87およびSEQ ID NO:88に示すVH配列およびVL配列を含む抗体は、H8抗体とも呼ばれるマウス5T4抗体mAb5T4でありうる(Shaw et al.(2002),Biochem.J.363:137-45、WO98/55607)。抗体H8のさまざまなキメラ版またはヒト化版がWO06/031653に開示されている。
【0118】
5T4に一価結合する5T4抗体の細胞傷害または内在化は、本願の実施例7に示される手順を使って決定されうる。特に、細胞傷害は、
i)前記請求項のいずれか一項記載の抗体の第1FabアームとHIVウイルスタンパク質gp120(HIV-1 gp120)へと結合することができる第2Fabアームとを含み、HIV-1 gp120特異的Fabアームがデュオスタチン-3にコンジュゲートされている、5T4に一価結合する毒素コンジュゲート二重特異性抗体を用意する工程、
ii)5T4陽性乳がん細胞MDA-MB-468(ATCCクローンHTB-132)またはHCC1954(ATCCクローンCRL-1338)を、5T4に一価結合する該二重特異性抗体と共に、37℃で5日間インキュベートする工程、および
iii)細胞の生存率を決定する工程
を含むアッセイにおいて決定されうる。
【0119】
IgG-b12はHIV-1 gp120特異的抗体である(Barbas,CF.J Mol Biol.1993 Apr 5;230(3):812-23)。重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)の配列をそれぞれSEQ ID NO:97およびSEQ ID NO:98に示す。
【0120】
一定の態様において、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[059]、
b)SEQ ID NO:13、14および15のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[076]、
c)SEQ ID NO:20、21および22のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[085]、
d)SEQ ID NO:27、28および29のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[106]、
e)SEQ ID NO:34、35および36のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[127]、
f)SEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[207]、
g)SEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[226]、ならびに
h)a)~g)のいずれか1つに規定したCDR1、CDR2およびCDR3配列と比較した場合に全部で多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または多くとも10個のアミノ酸置換を含むCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含むものである。
【0121】
別の態様において、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[059]、
b)SEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[207];
c)SEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[226]、ならびに
d)a)~c)のいずれか1つに規定のCDR1、CDR2およびCDR3配列と比較した場合に全部で多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または多くとも10個のアミノ酸置換を含むCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含むものである。
【0122】
特に、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[059]を含むものでありうる。
【0123】
あるいは、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[207]からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含むものでありうる。
【0124】
また、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[226]からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含むものでありうる。
【0125】
別の態様において、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)それぞれSEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:10、AASおよびSEQ ID NO:11のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[059]、
b)それぞれSEQ ID NO:13、14および15のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:17、DASおよびSEQ ID NO:18のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[076]、
c)それぞれSEQ ID NO:20、21および22のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:24、DASおよびSEQ ID NO:25のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[085]、
d)それぞれSEQ ID NO:27、28および29のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:31、DVSおよびSEQ ID NO:32のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[106]、
e)それぞれSEQ ID NO:34、35および36のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:38、DASおよびSEQ ID NO:39のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[127]、
f)それぞれSEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:45、DASおよびSEQ ID NO:46のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[207]、
g)それぞれSEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)ならびにそれぞれSEQ ID NO:52、DASおよびSEQ ID NO:53のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[226]、ならびに
h)a)~g)のいずれか1つに規定したCDR1、CDR2およびCDR3配列と比較した場合に全部で多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または多くとも10個のアミノ酸置換を含むCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含むものである。
【0126】
本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域の6つの相補性決定領域(CDR)が、
i)SEQ ID NO:6、7、8、10、AASおよびSEQ ID NO:11のCDR配列[059]、
ii)SEQ ID NO:41、42、43、45、DASおよびSEQ ID NO:46のCDR配列[207]、または
iii)SEQ ID NO:48、49、50、52、DASおよびSEQ ID NO:53のCDR配列[226]
と比較した場合に全部で多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または多くとも10個のアミノ酸置換を含む抗体でありうる。
【0127】
アミノ酸置換のうちの好ましくは1個、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10個は、保存的アミノ酸置換である。
【0128】
抗体は、特に、SEQ ID NO:102(YYGMDV)に示す配列の6連続アミノ酸残基を相補性決定領域3(CDR3)に含む1つまたは2つの重鎖可変領域を含みうる[059、207、226]。これらの6連続アミノ酸残基はCDR3内の最もC末側のアミノ酸残基でありうる。
【0129】
本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:41(GGSFSGYY)のCDR1配列、SEQ ID NO:103(IDHSX1ST)のCDR2配列およびSEQ ID NO:104(AX2WFGELX3X4YYYGMDV)のCDR3配列を含む1つまたは2つの重鎖可変領域(VH)と、SEQ ID NO:105(QSVSSX5)のCDR1配列、CDR2配列DAS、およびSEQ ID NO:46(QQRSNWPLT)のCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、ここで、X1はGまたはEであり、X2はAまたはGであり、X3はWまたはYであり、X4はDまたはHであり、かつX5はYまたはFである抗体[207、226]でありうる。
【0130】
本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)とそれぞれSEQ ID NO:10、AASおよびSEQ ID NO:11のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含むもの[059]でありうる。
【0131】
あるいは、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)とそれぞれSEQ ID NO:45、DASおよびSEQ ID NO:46のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含むもの[207]でありうる。
【0132】
加えて、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)とそれぞれSEQ ID NO:52、DASおよびSEQ ID NO:53のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含むもの[226]でありうる。
【0133】
いくつかの態様において、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:5の配列を含むかまたはSEQ ID NO:5の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[059]、
b)SEQ ID NO:12の配列を含むかまたはSEQ ID NO:12の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[076]、
c)SEQ ID NO:19の配列を含むかまたはSEQ ID NO:19の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[085]、
d)SEQ ID NO:26の配列を含むかまたはSEQ ID NO:26の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[106]、
e)SEQ ID NO:33の配列を含むかまたはSEQ ID NO:33の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[127]、
f)SEQ ID NO:40の配列を含むかまたはSEQ ID NO:40の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[207]、および
g)SEQ ID NO:47の配列を含むかまたはSEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[226]
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)を含む抗体である。
【0134】
本発明の抗体は、特に、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:5の配列を含むかまたはSEQ ID NO:5の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[059]を含む抗体でありうる。
【0135】
また、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:40の配列を含むかまたはSEQ ID NO:40の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[207]を含むものでありうる。
【0136】
加えて、本発明の抗体は、特に、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:47の配列を含むかまたはSEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[226]を含む抗体でありうる。
【0137】
別の態様において、本発明の抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:5の配列を含むかまたはSEQ ID NO:5の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:9の配列を含むかまたはSEQ ID NO:9の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[059]、
b)SEQ ID NO:12の配列を含むかまたはSEQ ID NO:12の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:16の配列を含むかまたはSEQ ID NO:16の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[076]、
c)SEQ ID NO:19の配列を含むかまたはSEQ ID NO:19の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:23の配列を含むかまたはSEQ ID NO:23の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[085]、
d)SEQ ID NO:26の配列を含むかまたはSEQ ID NO:26の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:30の配列を含むかまたはSEQ ID NO:30の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[106]、
e)SEQ ID NO:33の配列を含むかまたはSEQ ID NO:33の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:37の配列を含むかまたはSEQ ID NO:37の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[127]、
f)SEQ ID NO:40の配列を含むかまたはSEQ ID NO:40の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:44の配列を含むかまたはSEQ ID NO:44の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[207]、
g)SEQ ID NO:47の配列を含むかまたはSEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:51の配列を含むかまたはSEQ ID NO:51の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[226]
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体である。
【0138】
一態様において、少なくとも1つの結合領域は、
a)SEQ ID NO:5の配列を含むまたはSEQ ID NO:5の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:9の配列を含むまたはSEQ ID NO:9の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[059]、
b)SEQ ID NO:12の配列を含むまたはSEQ ID NO:12の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:16の配列を含むまたはSEQ ID NO:16の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[076]、
c)SEQ ID NO:19の配列を含むまたはSEQ ID NO:19の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:23の配列を含むまたはSEQ ID NO:23の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[085]、
d)SEQ ID NO:26の配列を含むまたはSEQ ID NO:26の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:30の配列を含むまたはSEQ ID NO:30の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[106]、
e)SEQ ID NO:33の配列を含むまたはSEQ ID NO:33の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:37の配列を含むまたはSEQ ID NO:37の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[127]、
f)SEQ ID NO:40の配列を含むまたはSEQ ID NO:40の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:44の配列を含むまたはSEQ ID NO:44の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[207]、
g)SEQ ID NO:47の配列を含むまたはSEQ ID NO:47の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:51の配列を含むまたはSEQ ID NO:51の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[226]
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)領域の全域で多くとも10個の変異または置換、多くとも5個の変異または置換、例えば多くとも4個の変異または置換、例えば多くとも3個の変異または置換、例えば多くとも2個の変異または置換、例えば多くとも1個の変異または置換を有する可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含む。
【0139】
本開示のいくつかの態様では、前記多くとも10個の変異または置換、多くとも5個の変異または置換、例えば多くとも4個の変異または置換、例えば多くとも3個の変異または置換、例えば多くとも2個の変異または置換、例えば多くとも1個の変異または置換が、可変重鎖の全長および全可変軽鎖の全域で許される。別の態様において、前記多くとも10個の変異または置換、多くとも5個の変異または置換、例えば多くとも4個の変異または置換、例えば多くとも3個の変異または置換、例えば多くとも2個の変異または置換、例えば多くとも1個の変異または置換は、可変重鎖および可変軽鎖中の6個のCDR配列のいずれの中にも存在しない場合がある。
【0140】
前記10個までの変異または置換は、各結合領域の可変重鎖および可変軽鎖の全長にわたって分布しうる。変異または置換はその一部またはすべてが、あるアミノ酸残基が本明細書における上記「アミノ酸」の定義に示した同じクラスのアミノ酸残基で置換される保存的置換でありうる。例えばある酸性アミノ酸で別の酸性アミノ酸が置換され、ある芳香族残基で別の芳香族残基が置換されうる。変種中の置換の35%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、93%以上または94%以上が保存的アミノ酸残基置換であることが好ましいだろう。
【0141】
特に、変異または置換は、その一部またはすべてが、それぞれにそれらが置換するそれぞれのアミノ酸残基と同じ物理的特性または機能的特性を有するアミノ酸残基によるものでありうる。物理的特性および機能的特性を共有するアミノ酸残基は、上記「アミノ酸」の定義、例えば上記「アミノ酸」の定義に記載されている。例えば疎水性残基で別の疎水性アミノ酸残基を置換することができ、またはシクロアルケニル関連残基で別のシクロアルケニル関連残基を置換することができる。
【0142】
上に開示した置換または変異を含む抗体は、配列番号を挙げて上に定義したVL領域、VH領域または1つもしくは複数のCDRの機能的変種でありうる。本発明の抗体に関連して使用されるVL、VHまたはCDRの機能的変種は、抗体が親抗体の親和性および/または特異性/選択性の少なくともかなりの部分(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上)を保つことを、依然として可能にし、場合によっては、そのような5T4抗体が、親抗体よりも強い親和性、選択性および/または特異性で会合することさえありうる。
【0143】
本発明のさらなる態様において、抗体は、5T4へと結合することができる抗原結合領域が、
a)SEQ ID NO:5の配列を含むまたはSEQ ID NO:5の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:9の配列を含むまたはSEQ ID NO:9の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[059]、
b)SEQ ID NO:12の配列を含むまたはSEQ ID NO:12の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:16の配列を含むまたはSEQ ID NO:16の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[076]、
c)SEQ ID NO:19の配列を含むまたはSEQ ID NO:19の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:23の配列を含むまたはSEQ ID NO:23の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[085]、
d)SEQ ID NO:26の配列を含むまたはSEQ ID NO:26の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:30の配列を含むまたはSEQ ID NO:30の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[106]、
e)SEQ ID NO:33の配列を含むまたはSEQ ID NO:33の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:37の配列を含むまたはSEQ ID NO:37の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[127]、
f)SEQ ID NO:40の配列を含むまたはSEQ ID NO:40の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:44の配列を含むまたはSEQ ID NO:44の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[207]、および
g)SEQ ID NO:47の配列を含むまたはSEQ ID NO:47の配列からなる重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:51の配列を含むまたはSEQ ID NO:51の配列からなる軽鎖可変領域(VL)[226]
からなる群より選択される重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含むものである。
【0144】
本発明の抗体は完全長IgG1抗体などの完全長抗体でありうる。
【0145】
さらに、本発明の抗体は一価抗体でありうる。あるいは、本発明の抗体は二価抗体でありうる。
【0146】
別の態様において、本発明に従って提供される抗体は単一特異性抗体である。
【0147】
あるいは、本開示の抗体は二重特異性抗体でありうる。
【0148】
さらに、CD3、例えばヒトCD3ε(イプシロン)、例えばSEQ ID NO:4に明示されるヒトCD3ε(イプシロン)に結合する抗体の抗原結合領域を含む、上に規定した抗体を提供することも、本開示の範囲内である。
【0149】
特に、本開示は、上に開示した抗体の第1抗原結合領域と、上に規定したCD3、例えばヒトCD3に結合する第2結合領域とを含む二重特異性抗体を提供する。
【0150】
本発明において使用されうる二重特異性抗体分子の例として、(i)異なる抗原結合領域を含む2つのアームを有する単一の抗体、(ii)2つの異なるエピトープに対する特異性を有する一本鎖抗体、例えば余分なペプチドリンカーによってタンデムに連結された2つのscFvによるもの、(iii)各軽鎖および各重鎖が短いペプチド結合を介して2つの可変ドメインをタンデムに含有している、二重可変ドメイン抗体(DVD-Ig(商標))、Wu et al.「Generation and Characterization of a Dual Variable Domain Immunoglobulin(DVD-IgTM)Molecule」Antibody Engineering,Springer Berlin Heidelberg(2010)、(iv)化学的に連結された二重特異性(Fab')2フラグメント、(v)標的抗原のそれぞれに対して2つの結合部位を有する四価二重特異性抗体をもたらす2つの単一鎖ダイアボディの融合物である、Tandab(登録商標)、(vi)多価分子をもたらすscFvとダイアボディとの組み合わせである、フレキシボディ(flexibody)、(vii)Fabに応用すると異なるFabフラグメントに連結された2つの同一Fabフラグメントからなる三価二重特異性結合タンパク質を与えることができるプロテインキナーゼA中の「二量体化およびドッキングドメイン」に基づく、いわゆる「ドック・アンド・ロック(dock and lock)」分子(Dock-and-Lock(登録商標))、(viii)例えばヒトFabアームの両末端に融合された2つのscFvを含む、いわゆるスコーピオン(Scorpion)分子、および(ix)ダイアボディが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0151】
一態様において、本発明の二重特異性抗体は、ダイアボディ、クロスボディ(cross-body)、例えばCrossMab、または制御されたFabアーム交換によって得られる二重特異性抗体(例えばWO2011/131746に記載されているもの)である。
【0152】
二重特異性抗体のさまざまなクラスの例としては、(i)ヘテロ二量体化を強制するための相補的CH3ドメインを持つIgG様分子、(ii)分子の両側がそれぞれに少なくとも2つの異なる抗体のFabフラグメントまたはFabフラグメントの一部を含有する組換えIgG様デュアルターゲティング分子、(iii)完全長IgG抗体が余分なFabフラグメントまたはFabフラグメントの一部に融合されているIgG融合分子、(iv)単一鎖Fv分子または安定化ダイアボディが重鎖定常ドメイン、Fc領域またはその一部に融合されている、Fc融合分子、(v)異なるFabフラグメントが一つに融合されているか、または重鎖定常ドメイン、Fc領域もしくはその一部に融合されている、Fab融合分子、および(vi)異なる単一鎖Fv分子または異なるダイアボディまたは異なる重鎖抗体(例えばドメイン抗体、Nanobodies(登録商標))が互いに融合されているか、または重鎖定常ドメイン、Fc領域もしくはその一部に融合された別のタンパク質もしくは単体分子に融合されている、ScFvベース抗体およびダイアボディベース抗体ならびに重鎖抗体(例えばドメイン抗体、Nanobodies(登録商標))が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0153】
相補的CH3ドメイン分子によるIgG様分子としては、Triomab(登録商標)(Trion Pharma/Fresenius Biotech、WO/2002/020039)、ノブズ・イントゥ・ホールズ(Knobs-into-Holes)(Genentech、WO9850431)、CrossMAb(Roche、WO2011117329)および静電マッチ(electrostatically-matched)(Amgen、EP1870459およびWO2009089004;中外、US201000155133;Oncomed、WO2010129304)、LUZ-Y(Genentech)、DIGボディおよびPIGボディ(Pharmabcine)、鎖交換操作ドメインボディ(Strand Exchange Engineered Domain body)(SEEDbody)(EMD Serono、WO2007110205)、Biclonics(Merus)、FcΔAdp(Regeneron、WO2010/015792)、二重特異性IgG1および二重特異性IgG2(Pfizer/Rinat、WO11143545)、Azymetricスキャフォールド(Zymeworks/Merck、WO2012058768)、mAb-Fv(Xencor、WO2011028952)、二価二重特異性抗体(Roche、WO2009/080254)およびDuoBody(登録商標)分子(Genmab A/S、WO2011/131746)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0154】
組換えIgG様デュアルターゲティング分子の例としては、デュアルターゲティング(Dual Targeting)(DT)-Ig(GSK/Domantis)、ツー・イン・ワン(Two-in-one)抗体(Genentech)、架橋Mab(Karmanos Cancer Center)、mAb2(F-Star、WO2008003116)、Zybodies(商標)(Zyngenia)、共通軽鎖を使ったアプローチ(Crucell/Merus、US7,262,028)、κλボディ(κλBodies)(NovImmune)およびCovX-body(CovX/Pfizer)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0155】
IgG融合分子の例としては、デュアル可変ドメイン(DVD)-Ig(商標)(Abbott、US7,612,181)、デュアルドメイン二重ヘッド抗体(Dual domain double head antibodies)(Unilever、Sanofi Aventis、WO20100226923)、IgG様二重特異性(ImClone/Eli Lilly)、Ts2Ab(MedImmune/AZ)およびBsAb(Zymogenetics)、ハーキュリーズ(HERCULES)(Biogen Idec、US007951918)、scFv融合物(Novartis)、scFv融合物(Changzhou Adam Biotech Inc、CN 102250246)ならびにTvAb(Roche、WO2012025525、WO2012025530)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0156】
Fc融合分子の例としては、ScFv/Fc融合物(Academic Institution)、SCORPION(Emergent BioSolutions/Trubion、Zymogenetics/BMS)、デュアルアフィニティーリターゲティングテクノロジー(Dual Affinity Retargeting Technology)(Fc-DART(商標))(MacroGenics、WO2008157379、WO2010/080538)およびデュアル(ScFv)2-Fab(National Research Center for Antibody Medicine-China)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0157】
Fab融合二重特異性抗体の例としては、F(ab)2(Medarex/AMGEN)、デュアル作用(Dual-Action)FabまたはビスFab(Bis-Fab)(Genentech)、Dock-and-Lock(登録商標)(DNL)(ImmunoMedics)、二価二重特異性(Biotecnol)およびFab-Fv(UCB-Celltech)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0158】
scFvベース抗体、ダイアボディベース抗体およびドメイン抗体の例としては、二重特異性T細胞エンゲージャー(Bispecific T Cell Engager)(BiTE(登録商標))(Micromet、タンデムダイアボディ(Tandab(商標))(Affimed)、デュアルアフィニティーリターゲティングテクノロジー(DART)(MacroGenics)、単一鎖ダイアボディ(Academic)、TCR様抗体(AIT、ReceptorLogics)、ヒト血清アルブミンScFv融合物(Merrimack)およびCOMBODY(Epigen Biotech)、デュアルターゲティングnanobodies(登録商標)(Ablynx)、デュアルターゲティング重鎖単独ドメイン抗体(dual targeting heavy chain only domain antibodies)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0159】
本開示の抗体は、特に、CD3に結合する抗原結合領域が、
それぞれSEQ ID NO:54、55および56のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)[huCD3-H1L1](WO2015001085(Genmab A/S))、
および任意で、
それぞれSEQ ID NO:58、GTNおよびSEQ ID NO:59のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)[huCD3-H1L1]
を含む抗体でありうる。
【0160】
また、CD3に結合する抗原結合領域が、
SEQ ID NO:57の配列を含むかまたはSEQ ID NO:57の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)[huCD3-H1L1]、
および任意で、
SEQ ID NO:60の配列を含むかまたはSEQ ID NO:60の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)[huCD3-H1L1]
を含む抗体も開示される。
【0161】
本開示は、
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:10、AASおよびSEQ ID NO:11のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み[059]、
かつ
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および56に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む[huCD3-H1L1]、
抗体をさらに提供する。
【0162】
また、本開示は、
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:45、DASおよびSEQ ID NO:46のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み[207]、
かつ
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および56に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む[huCD3-H1L1]、
抗体を提供する。
【0163】
また、本開示は、
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:52、DASおよびSEQ ID NO:53のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み[226 - VH + VL CDR1、CDR2およびCDR3配列]、
かつ
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および56に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む[huCD3-H1L1]、
抗体を提供する。
【0164】
CD3に結合する抗原結合領域は、200~1000nMの範囲内、例えば300~1000nMの範囲内、400~1000nMの範囲内、500~1000nMの範囲内、300~900nMの範囲内、400~900nMの範囲内、400~700nMの範囲内、500~900nMの範囲内、500~800nMの範囲内、500~700nMの範囲内、600~1000nMの範囲内、600~900nMの範囲内、600~800nMの範囲内、または例えば600~700nMの範囲内の平衡解離定数KDで結合しうる。
【0165】
さらなる態様において、本明細書において開示する抗体は、SEQ ID NO:57に示すVH配列とSEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む抗原結合領域を有する抗体[huCD3-H1L1]よりも低いヒトCD3ε結合親和性を有し、好ましくは該親和性は、少なくとも2分の1、例えば少なくとも5分の1、例えば少なくとも10分の1、例えば少なくとも20分の1、少なくとも30分の1、少なくとも40分の1、少なくとも45分の1、少なくとも50分の1、少なくとも55分の1、または少なくとも60分の1である。
【0166】
特に、CD3に結合する抗原結合領域は、1~100nMの範囲内、例えば5~100nMの範囲内、10~100nMの範囲内、1~80nMの範囲内、1~60nMの範囲内、1~40nMの範囲内、1~20nMの範囲内、5~80nMの範囲内、5~60nMの範囲内、5~40nMの範囲内、5~20nMの範囲内、10~80nMの範囲内、10~60nMの範囲内、10~40nMの範囲内、または例えば10~20nMの範囲内の平衡解離定数KDで結合しうる。
【0167】
本発明の抗体がCD3に結合する時の親和性は、バイオレイヤー干渉法により、上述の手順の変法、または抗体がヒトIgG Fc捕捉バイオセンサー上に固定化され、固定化された抗体へのCD3E27-GSKa(SEQ ID NO:101の成熟タンパク質)の会合および解離が決定される、本明細書の実施例2に示される手順の変法を使って決定されうる。さらに、本発明の抗体がCD3に結合する時の親和性は、本明細書実施例9において提供されるバイオレイヤー干渉法によって決定されうる。
【0168】
CD3、特にヒトCD3に、低減した親和性で結合する抗体は、WO2017/009442において提供されており、これらの抗体はいずれも、5T4に結合する能力に加えてCD3に低減した親和性で結合する能力をも有する本発明の抗体を生成させるための基礎として役立ちうることを理解すべきである。したがって、さらなる態様において、本発明の抗体は、
CD3に結合する抗原結合領域が、CDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む重鎖可変(VH)領域を含み、
該重鎖可変(VH)領域は、SEQ ID NO:57に示す配列を含む重鎖可変(VH)領域と比較した場合に、CDR配列のうちの1つに、SEQ ID NO:57の配列に従ってナンバリングされた位置でT31、N57、H101、G105、S110およびY114からなる群より選択される位置にあるアミノ酸置換を有し、かつ
野生型軽鎖可変(VL)領域が、それぞれSEQ ID NO:58、GTNおよびSEQ ID NO:59に示すCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む、
抗体である。
【0169】
CD3に結合する抗原結合領域の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3配列は、SEQ ID NO:57に示す配列と比較した場合に、全部で多くとも1、2、3、4または5個のアミノ酸置換を含むことが好ましい。
【0170】
CD3に結合する抗原結合領域の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列は、野生型重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、例えば少なくとも96%の配列同一性、少なくとも97%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性または少なくとも99%の配列同一性を有しうる。ここで、配列同一性は、CD3に結合する抗原結合領域の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3の配列からなるアミノ酸配列と野生型重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3の配列を含むアミノ酸配列とのアラインメントに基づいて算出される。
【0171】
特に、CD3に結合する抗原結合領域は、SEQ ID NO:57のリファレンス配列に従ってナンバリングされた位置でT31M、T31P、N57E、H101G、H101N、G105P、S110A、S110G、Y114M、Y114R、Y114Vからなる群より選択される変異を含みうる。
【0172】
一定の態様において、本発明の抗体は、該抗体がFc媒介性エフェクター機能を欠くかまたは低減したFc媒介性エフェクター機能を有し(「不活性」抗体)、かつCD3に結合する抗体の抗原結合領域を含む、二重特異性抗体である場合に、
a)精製された末梢血単核球(PBMC)またはT細胞をエフェクター細胞として使用した場合に、例えば本願明細書の実施例14に記載されるようにアッセイした場合に、SK-OV-3細胞の濃度依存的細胞傷害を媒介することができ、
b)精製されたT細胞をエフェクター細胞として使用した場合に、例えば本願明細書の実施例13に記載されるようにアッセイした場合に、MDA-MB-231の細胞濃度依存的細胞傷害を媒介することができ、
c)MDA-MB-231腫瘍細胞の存在下で、例えば本願明細書の実施例13(II)に記載されるようにアッセイした場合に、T細胞をインビトロで活性化することができ、
d)BxPC-3、PANC-1、Ca Skiおよび/またはSiHa腫瘍細胞の存在下で、例えば本願明細書の実施例17に記載されるようにアッセイした場合に、T細胞をインビトロで活性化することができ、
e)精製されたT細胞をエフェクター細胞として使用した場合に、例えば本願明細書の実施例17に記載されるようにアッセイした場合に、BxPC-3、PANC-1、Ca Skiおよび/またはSiHa腫瘍細胞の細胞傷害を誘導することができ、かつ/または
f)ヒトMDA-MB-231腫瘍細胞を接種されたNOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJなどのヒト化免疫造血幹細胞再構成マウス異種移植片モデルにおいて、例えば実施例15に記載されるように判定した場合に、腫瘍成長の阻害または腫瘍アウトグロースの遅延などの抗腫瘍活性を示す、
抗体である。
【0173】
さらに、本発明の抗体は、フローサイトメトリーまたはELISAによって評価した場合に、白血球FcγRに結合せず、標的(5T4)特異的腫瘍細胞の非存在下ではC1qへの結合によるCD3抗体依存的FcγR媒介性CD3架橋を誘導しない抗体である。
【0174】
Fc媒介性エフェクター機能が低減しているかFc媒介性エフェクター機能を持たない抗体(「不活性」抗体)のさらに詳細な開示は、以下に見出すことができる。
【0175】
SK-OV-3細胞の濃度依存的細胞傷害を媒介する抗体の能力は、
i)健常ヒトドナーバフィーコートからPBMCまたはT細胞を単離する工程、
ii)各試料がPBMCとヒト卵巣腺癌SK-OV-3細胞とを含み、該試料におけるPBMC:SK-OV-3細胞の比が1:2、1:1、2:1、4:1、8:1および12:1である、第1試料セット、および
各試料がT細胞とヒト卵巣腺癌SK-OV-3細胞とを含み、該試料におけるT細胞:SK-OV-3細胞の比が1:2、1:1、2:1、4:1および8:1である、第2試料セット
を用意する工程、
iii)各試料セットに抗体を、0.0128ng/mL~1000ng/mLの範囲の濃度で加え、試料を37℃で72時間インキュベートする工程、そして次に、
iv)レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシド)を使ってSK-OV-3細胞の生存率を評価する工程
を含むインビトロ細胞傷害性アッセイにおいて決定される。
【0176】
MDA-MB-231腫瘍細胞の存在下でT細胞をインビトロで活性化する能力は、
i)健常ヒトドナーバフィーコートからT細胞を単離する工程、
ii)各試料がT細胞とヒト乳腺癌MDA-MB-231細胞とを含み、該試料におけるT細胞:MDA-MB-231細胞の比が8:1である、試料セットを用意する工程、
iii)前記試料セットに抗体を、0.0128ng/mL~1000ng/mLの範囲の濃度で加え、試料を37℃で72時間インキュベートする工程、
iv)T細胞活性化マーカーに対する蛍光標識抗体、例えばCD69-APC、CD25-PE-Cy7およびCD279/PD1-BV604抗体と共に4℃で30分間インキュベートすることによって、T細胞を染色する工程、および
v)T細胞をフローサイトメトリーによって解析する工程
を含むアッセイにおいて決定されうる。
【0177】
APC抗ヒトCD69(CD69-APC)抗体は、例えばBioLegend(カタログ番号310909および310910)などから市販されている。CD25モノクローナル抗体、PE-シアニン7(CD25-PE-Cy7)も、例えばThermoFisher Scientific(カタログ番号25-0259-42)やBD Biosciences(カタログ番号557741)などから市販されている。最後にCD279/PD1-BV604抗体はGenscript(カタログ番号A01828)から市販されている。
【0178】
BxPC-3、PANC-1、Ca Skiおよび/またはSiHa腫瘍細胞の存在下での、T細胞のインビトロでの活性化は、
i)健常ヒトドナーバフィーコートからT細胞を単離する工程、
ii)各試料が該T細胞とBxPC-3、PANC-1、Ca SkiまたはSiHa腫瘍細胞とを含み、該試料におけるT細胞:腫瘍細胞の比が4:1である、試料セットを用意する工程、
iii)前記試料セットに抗体を0.0128ng/mL~5000ng/mLの濃度(例えば5倍希釈法)で加え、試料を37℃で72時間インキュベートする工程、
iv)各試料からT細胞を含有する上清110μLを収集し、T細胞マーカーに対する蛍光標識抗体、例えばCD3-eFluor450、CD4-APC-eFluor780、DC8-AF700、ならびにT細胞マーカーに対する抗体、例えば69-APC、CD25-PE-Cy7およびCD279/PD1-BV604抗体と共に4℃で30分間インキュベートすることによって、T細胞を染色する工程、および
v)試料をフローサイトメトリーによって解析する工程
を含む手順で決定されうる。
【0179】
BxPC-3、PANC-1、Ca Skiおよび/またはSiHa腫瘍細胞の細胞傷害を誘導する能力は、
i)健常ヒトドナーバフィーコートから単離されたT細胞を用意する工程、
ii)各試料が、該T細胞と、96ウェル組織培養プレートの底に接着させたBxPC-3、PANC-1、Ca SkiまたはSiHa腫瘍細胞とを含み、該試料におけるT細胞:腫瘍細胞の比が4:1である、試験試料セットおよび対照試料を用意する工程、
iii)試験試料セットに抗体を0.0128ng/mL~5000ng/mLの範囲の濃度(例えば5倍希釈法)で加え、一方、対照試料は無処理のままにしておくか、5μMスタウロスポリンと共にインキュベートし、すべての試料を37℃で72時間インキュベートする工程、
iv)接着細胞を、10%(w/w)の鉄含有ドナーウシ血清およびペニシリン/ストレプトマイシンを補足したRPMI-1640培地中の10%(w/w)7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシド(レサズリン)において、37℃で4時間インキュベートする工程、
v)細胞の吸光度を測定し、スタウロスポリンと共にインキュベートした細胞の吸光度を生存率0%と設定し、かつ無処理の細胞を生存率100%と設定して、生存細胞のパーセンテージを
として算出する工程
を含む手順で決定されうる。
【0180】
本発明の抗体は、特に、CD3へと結合することができる抗原結合領域が、
a)それぞれSEQ ID NO:61、55および56に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[VH CDR1-T31P + 野生型VH CDR2、3]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
b)それぞれSEQ ID NO:63、55および56に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[VH CDR1-T31M + 野生型VH CDR2、3]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
c)それぞれSEQ ID NO:54、65および56に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[VH CDR-N57E + 野生型VH CDR1、3]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
d)それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]
e)それぞれSEQ ID NO:54、55および69に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101N]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、
f)それぞれSEQ ID NO:54、55および71に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-G105P]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、
g)それぞれSEQ ID NO:54、55および73に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-S110A]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
h)それぞれSEQ ID NO:54、55および75に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-S110G]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、
i)それぞれSEQ ID NO:54、55および77に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-Y114V]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
j)それぞれSEQ ID NO:54、55および79に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-Y114M]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]、または
k)それぞれSEQ ID NO:54、55および81に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-Y114R]ならびにそれぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]
を含む、抗体でありうる。
【0181】
一定の態様において、CD3へと結合することができる抗原結合領域は、それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]とを含む。
【0182】
さらに、本発明は、
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:6、7および8のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:10、AASおよびSEQ ID NO:11のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み[059]、
かつ
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]とを含む、
上に規定した抗体を提供する。
【0183】
また、本発明は、
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:41、42および43のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:45、DASおよびSEQ ID NO:46のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み[207]、
かつ
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]とを含む、
上に規定した抗体も提供する。
【0184】
さらに、本発明は、
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:48、49および50のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)と、それぞれSEQ ID NO:52、DASおよびSEQ ID NO:53のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み[226]、
かつ
CD3へと結合することができる抗原結合領域が、それぞれSEQ ID NO:54、55および67に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(VH)[野生型VH CDR1、2 + VH CDR3-H101G]と、それぞれSEQ ID NO:58に示す配列、配列GTNおよびSEQ ID NO:59に示す配列を有するCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)[野生型VL CDR1、2、3]とを含む、
上に規定した抗体を提供する。
【0185】
本発明の抗体において、ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域は、
a)SEQ ID NO:62に示すVH配列[VH T31P]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
b)SEQ ID NO:64に示すVH配列[VH T31M]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
c)SEQ ID NO:66に示すVH配列[VH N57E]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
d)SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
e)SEQ ID NO:70に示すVH配列[VH H101N]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
f)SEQ ID NO:72に示すVH配列[VH G105P]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
g)SEQ ID NO:74に示すVH配列[VH S110A]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
h)SEQ ID NO:76に示すVH配列[VH S110G]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
i)SEQ ID NO:78に示すVH配列[VH Y114V]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、
j)SEQ ID NO:80に示すVH配列[VH Y114M]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列、ならびに
k)SEQ ID NO:82に示すVH配列[VH Y114R]およびSEQ ID NO:60に示すVL配列
からなる群より選択されるVH配列とVL配列とを含みうる。
【0186】
特に本発明の抗体は、ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域がSEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G]とSEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む抗体でありうる。
【0187】
いくつかの態様において、本発明の抗体は、
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:5の配列を含むかまたはSEQ ID NO:5の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み[059]、
かつ
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、
ものである。
【0188】
別の態様において、本発明の抗体は、
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:40の配列を含むかまたはSEQ ID NO:40の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み[207]、
かつ
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、
ものである。
【0189】
さらなる別の態様において、本発明の抗体は、
5T4へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:47の配列を含むかまたはSEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%もしくは少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み[226]、
かつ
ヒトCD3へと結合することができる抗原結合領域が、SEQ ID NO:68に示すVH配列[VH H101G]と、SEQ ID NO:60に示すVL配列とを含む、
ものである。
【0190】
当業者には周知であろう通り、抗体の各抗原結合領域は一般に、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、可変領域のそれぞれが、3つのCDR配列、それぞれCDR1、CDR2およびCDR3と、4つのフレームワーク配列、それぞれFR1、FR2、FR3およびFR4とを含む。この構造は本発明の抗体にも見出されうる。さらに、本発明の抗体は2つの重鎖定常領域(CH)と2つの軽鎖定常領域(CL)とを含みうる。
【0191】
特定の態様において、本発明の抗体は、第1重鎖および第2重鎖、例えばそれぞれが少なくともヒンジ領域、CH2およびCH3領域を含む第1重鎖および第2重鎖を含む。安定なヘテロ二量体型抗体は、例えば、WO2008/119353およびWO2011/131746に掲載されているいわゆるFabアーム交換によって、またはCH3領域中にごくわずかな非対称変異を含有する2つのホモ二量体型出発タンパク質に基づいて、高い収率で得ることができる。したがって、本発明のいくつかの態様において、抗体は、ヒトIgG1重鎖中のT366、L368、K370、D399、F405、Y407およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置にあるアミノ酸のうちの少なくとも1つが置換されている第1重鎖と、ヒトIgG1重鎖のT366、L368、K370、D399、F405、Y407およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置にあるアミノ酸のうちの少なくとも1つが置換されている第2重鎖とを含み、第1重鎖と第2重鎖の置換は同じ位置にはなく、アミノ酸位置はEUナンバリングに従ってナンバリングされている。
【0192】
特定の態様において、本発明は、第1重鎖ではヒトIgG1重鎖中のK409に対応する位置にあるアミノ酸がRであり、かつ第2重鎖ではヒトIgG1重鎖中のF405に対応する位置にあるアミノ酸がLである、またはその逆である、抗体を提供する。
【0193】
いくつかの態様において、本発明の抗体は、抗原結合領域に加えて、2つの重鎖のFc配列からなるFc領域を含む。第1Fc配列と第2Fc配列はそれぞれ、任意のアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgD、IgMもしくはIgAアイソタイプまたは混合アイソタイプなどの任意のヒトアイソタイプでありうる。好ましくは、Fc領域はヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4アイソタイプまたは混合アイソタイプ、例えばヒトIgG1アイソタイプである。
【0194】
本発明の抗体は、抗体を不活性抗体または非活性化抗体にするために、Fc領域に改変を含みうる。したがって本明細書に開示する抗体において、一方または両方の重鎖は、抗体がFc媒介性エフェクター機能を誘導する程度が、改変されていない第1重鎖および第2重鎖を含む点以外は同一である抗体と比較して小さくなるように改変されていてもよい。Fc媒介性エフェクター機能は、Fcγ受容体への結合、C1qへの結合、またはFcγRのFc媒介性架橋の誘導による、T細胞上のFc媒介性CD69発現(すなわちCD3抗体媒介性Fcγ受容体依存的CD3架橋の結果としてのCD69発現)を決定することによって測定されうる。特に、重鎖定常配列は、Fc媒介性CD69発現が、野生型(無改変)抗体と比較した場合に、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%または100%低減するように改変されていてもよく、ここで、Fc媒介性CD69発現は、PBMCベースの機能アッセイにおいて、例えばWO2015001085の実施例3に記載されているように決定される。重鎖定常配列および軽鎖定常配列の改変は、該抗体へのC1qの結合の低減ももたらしうる。低減は、無改変の抗体と比較して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の低減でありうる。また、C1q結合は、ELISAによって決定されうる。さらに、Fc領域は、抗体が媒介するFc媒介性T細胞増殖が無改変の抗体と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%または100%低減するように改変されていてもよく、T細胞増殖はPBMCベースの機能アッセイにおいて測定される。
【0195】
改変されうるアミノ酸位置の例として、例えばIgG1アイソタイプ抗体では、位置L234および位置L235が挙げられる。したがって本発明の抗体は、第1重鎖と第2重鎖のどちらにおいても、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中の位置L234およびL235に対応する位置にあるアミノ酸残基がそれぞれFおよびEである、第1重鎖と第2重鎖とを含みうる。
【0196】
加えて、D265Aアミノ酸置換は、すべてのFcγ受容体への結合を減少させ、ADCCを妨げることができる(Shields et al.,2001,J.Biol.Chem.(276):6591-604)。それゆえに、本発明の抗体は、第1重鎖と第2重鎖のどちらにおいても、EUナンバリングでヒトIgG1重鎖中の位置D265に対応する位置にあるアミノ酸残基がAである、第1重鎖と第2重鎖とを含みうる。本発明のさらなる態様は、第1重鎖および第2重鎖の少なくとも一方、例えば両方において、ヒトIgG1重鎖中の位置L234、L235およびD265に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、EおよびAである抗体を提供する。本願において、3つのアミノ酸置換L234F、L235EおよびD265Aの組み合わせを有する抗体を有し、それに加えて、本明細書において上に開示したK409R変異またはF405L変異を有する抗体は、それぞれ接尾辞「FEAR」または「FEAL」をつけて名付ける。
【0197】
野生型IgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列は、本明細書ではSEQ ID NO:89として特定される。上に開示した態様と合致して、本発明の抗体は、F405L置換を保持しSEQ ID NO:90に示すアミノ酸配列を有するIgG1重鎖定常領域および/またはK409R置換を保持しSEQ ID NO:94に示すアミノ酸配列を有するIgG1重鎖定常領域を含みうる。
【0198】
L234F、L235EおよびD265A置換を保持するIgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列は本明細書ではSEQ ID NO:91として特定される。L234F、L235E、D265AおよびF405L置換を保持するIgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列は本明細書ではSEQ ID NO:92として特定される。L234F、L235E、D265AおよびK409R置換を保持するIgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列は本明細書ではSEQ ID NO:93として特定される。
【0199】
本発明は、
a)5T4へと結合することができる抗原結合領域がヒト化されており、かつ/または
b)CD3へと結合することができる抗原結合領域が、存在する場合、ヒト化されている、
抗体をさらに提供する。
【0200】
また、本発明は、
a)5T4へと結合することができる抗原結合領域がヒトのものであり、かつ/または
b)CD3へと結合することができる抗原結合領域が、存在する場合、ヒトのものである、
抗体を提供する。
【0201】
さらに本発明は、
a)5T4へと結合することができる抗原結合領域がキメラであり、かつ/または
b)CD3へと結合することができる抗原結合領域が、存在する場合、キメラである、
抗体を提供する。
【0202】
本発明のいくつかの態様において、抗体はカッパ(κ)軽鎖を含む。二重特異性抗体が関係する本発明の特定態様において、カッパ軽鎖は、上に開示した5T4抗体軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む。
【0203】
本発明のさらなる態様において、前記請求項のいずれか一項記載の抗体であって、該抗体はラムダ(λ)軽鎖を含む。二重特異性抗体が関係する本発明の特定態様において、ラムダ軽鎖は、上に開示したCD3抗体軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3配列、特に、上に開示した、CD3に対して低減した親和性を有するCD3抗体のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む。カッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列は本明細書にはSEQ ID NO:95として含まれ、ラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列は本明細書にはSEQ ID NO:96として含まれる。
【0204】
特定の態様において、抗体は、例えばCD3へと結合することができる結合領域を含む重鎖およびラムダ軽鎖と5T4へと結合することができる結合領域を含む重鎖およびカッパ軽鎖とを持つ抗体など、ラムダ(λ)軽鎖およびカッパ(κ)軽鎖を含む。
【0205】
イムノコンジュゲート
別の一局面において、本発明は、上に規定した抗体と、治療部分、例えば細胞傷害性作用物質、化学治療薬、サイトカイン、免疫抑制薬、抗生物質、または放射性同位体とを含む、イムノコンジュゲートまたは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。一般に、当業者は、数多くの細胞傷害性作用物質、化学治療薬、サイトカイン、免疫抑制薬、抗生物質および放射性同位体を自由に使用することができ、治療部分の最適な選択はイムノコンジュゲートの所望する応用に依存する。一定の応用については、好ましい細胞傷害性作用物質は、微小管破壊剤、例えばデュオスタチン-3などのデュオスタチンでありうる。
【0206】
核酸構築物
本発明のさらなる一局面は、
a)上に規定した5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)上に規定した5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を含む核酸構築物に関する。
【0207】
核酸構築物は、
a)上に規定したCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)上に規定したCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を、さらに含みうる。
【0208】
発現ベクター
本発明の別の一局面は、本発明の抗体の重鎖配列および/または軽鎖配列をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。特に発現ベクターは、
a)上に規定した5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)上に規定した5T4へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を含みうる。
【0209】
発現ベクターは、
a)上に規定したCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および/または
b)上に規定したCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を、さらに含みうる。
【0210】
さらなる一態様において、発現ベクターは、抗体の、例えばヒトIgG1,κモノクローナル抗体の、軽鎖、重鎖または軽鎖と重鎖の両方の定常領域をコードする核酸配列を、さらに含む。
【0211】
本発明との関連において発現ベクターは、染色体ベクター、非染色体ベクター、および合成核酸ベクター(適切な一組の発現制御要素を含む核酸配列)などといった、任意の適切なベクターでありうる。そのようなベクターの例として、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAとの組み合わせから誘導されるベクター、ウイルス核酸(RNAまたはDNA)ベクターが挙げられる。一態様において、抗5T4抗体コード核酸は、例えば線状発現要素を含む裸のDNAまたはRNAベクター(例えばSykes and Johnston,Nat Biotech 17,355-59(1997)に記載されているもの)、圧縮された(compacted)核酸ベクター(例えばUS6,077,835および/またはWO00/70087に記載されているもの)、プラスミドベクター、例えばpBR322、pUC19/18、またはpUC118/119、「midge」最小サイズ核酸ベクター(例えばSchakowski et al.,Mol Ther 3,793-800(2001)に記載されているもの)に含まれるか、または沈降核酸ベクター構築物、例えばCaP04沈降構築物(例えばWO00/46147、Benvenisty and Reshef,PNAS USA 83,9551-55(1986)、Wigler et al.,Cell 14,725(1978)、およびCoraro and Pearson,Somatic Cell Genetics 7,603(1981)に記載されているもの)として含まれる。そのような核酸ベクターおよびそれらの使用法は当技術分野では周知である(例えばUS5,589,466およびUS5,973,972を参照されたい)。
【0212】
一態様において、ベクターは、細菌細胞における抗5T4抗体の発現に適している。そのようなベクターの例として、例えばBlueScript(Stratagene)、pINベクター(Van Heeke&Schuster,J Biol Chem 264,5503-5509(1989))、pETベクター(Novagen、ウィスコンシン州マディソン)などの発現ベクターが挙げられる。
【0213】
発現ベクターは、上記に加えて、または上記に代えて、酵母系における発現に適したベクターであることができる。酵母系における発現に適した任意のベクターを使用することができる。適切なベクターとして、例えばアルファ因子、アルコールオキシダーゼおよびPGHなどの構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含むベクターが挙げられる(F.Ausubel et al.,ed.Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley InterScience New York(1987)およびGrant et al.,Methods in Enzymol 153,516 544(1987))。
【0214】
核酸構築物および/またはベクターは、新生ポリペプチド鎖などのポリペプチドを、細胞周辺腔に、または細胞培養培地中に、向かわせることができる、分泌/局在化配列をコードする核酸配列も含みうる。そのような配列は当技術分野において公知であり、分泌リーダーまたはシグナルペプチド、細胞小器官標的配列(例えば核局在化配列、ER保留シグナル、ミトコンドリア遷移配列、クロロプラスト遷移配列)、膜局在/固定配列(例えば膜透過停止配列、GPI固定配列)などが含まれる。
【0215】
本発明の発現ベクターにおいて、抗5T4抗体コード核酸は、任意の適切なプロモーター、エンハンサー、および他の発現促進要素を含むか、それらを伴いうる。そのような要素の例として、強い発現プロモーター(例えばヒトCMV IEプロモーター/エンハンサーならびにRSV、SV40、SL3-3、MMTV、およびHIV LTRプロモーター)、効果的なポリ(A)終結配列、大腸菌におけるプラスミド産生のための複製起点、選択可能マーカーとしての抗生物質耐性遺伝子、および/または便利なクローニング部位(例えばポリリンカー)が挙げられる。核酸は、CMV IEなどの構成的プロモーターではなく誘導性プロモーターも含みうる(このような用語が実際には、一定の条件下での遺伝子発現の程度の記述子であることは、当業者にはわかるであろう)。
【0216】
一態様において、抗5T4抗体をコードする発現ベクターは、ウイルスベクターによって宿主細胞または宿主動物に配置され、かつ/または送達される。
【0217】
細胞および宿主細胞
さらなる一局面において、本発明は、本明細書において上に規定した核酸構築物または本明細書において上に規定した発現ベクターを含む細胞を提供する。細胞は、宿主細胞に該核酸構築物または発現ベクターをトランスフェクトすることによって得られたもの、例えば組換え宿主細胞であってもよいことを理解すべきである。
【0218】
宿主細胞は、例えばヒト胎児腎臓(HEK)細胞、例えばHEK/Expi細胞など、ヒト由来でありうる。あるいは、宿主細胞は、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞、例えばCHO/N50細胞など、齧歯類由来であってもよい。さらに宿主細胞は細菌由来であってもよい。
【0219】
細胞は、細胞のゲノムに安定に組み込まれた、本発明の抗体またはその一部をコードする核酸配列を含みうる。あるいは、細胞は、組み込まれていない核酸、例えば本発明の抗5T4抗体またはその一部の発現をコードする配列を含むプラスミド、コスミド、ファージミドまたは直線状発現要素を含みうる。特に、宿主細胞は、組み込まれていない核酸、例えば抗5T4抗体またはその一部の発現をコードする配列を含むプラスミド、コスミド、ファージミドまたは直線状発現要素を含みうる。
【0220】
組成物
本発明のさらなる一局面は、抗体、例えば上に規定した二重特異性抗体またはイムノコンジュゲートを含む組成物を提供する。組成物は、抗体、二重特異性抗体またはイムノコンジュゲートと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物でありうる。
【0221】
薬学的組成物は、担体、賦形剤および/または希釈剤、ならびに薬学的組成物に適した他の任意の構成要素、例えば公知の佐剤を使って、従来の技術、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995に開示されているものに従って製剤化されうる。薬学的に許容される担体または希釈剤、ならびに任意の公知の佐剤および賦形剤は、本発明の抗体または抗体コンジュゲートおよび選ばれた投与様式に適しているべきである。担体および薬学的組成物の他の構成要素の適性は、選ばれた本発明の化合物または薬学的組成物の所望の生物学的特性に対して有意な負の影響がないこと(例えば抗原結合に対する影響が実質的でないこと[10%以下の相対的阻害、5%以下の相対的阻害など])に基づいて決定される。
【0222】
本発明の薬学的組成物は、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、洗浄剤(例えばTween-20またはTween-80などのノニオン洗浄剤)、安定剤(例えば糖類、またはタンパク質を含まないアミノ酸(protein-free amino acid))、保存剤、組織固定剤、可溶化剤、および/または薬学的組成物に含めるのに適した他の材料を含みうる。
【0223】
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者にとっての毒性を伴わずに、特定の患者、組成物および投与様式に関して所望の治療的応答を達成するのに有効な活性成分の量が得られるように、変動させうる。選択される投薬量レベルは、使用される本発明の特定組成物またはそのアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定化合物の排泄率、処置の継続期間、使用される特定化合物と併用される他の薬物、化合物および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態および既往歴など、医学分野において周知の因子を含む、さまざまな薬物動態因子に依存するだろう。
【0224】
薬学的に許容される担体には、本発明の化合物と生理学的に適合する、ありとあらゆる適切な溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤、酸化防止剤および吸収遅延剤などが含まれる。
【0225】
本発明の薬学的組成物に使用されうる適切な水性および非水性担体の例として、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、エタノール、デキストロース、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油、およびゴマ油、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、トラガントゴムおよび注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチル、および/または種々の緩衝液が挙げられる。他の担体は薬学分野では周知である。
【0226】
薬学的に許容される担体としては、滅菌水溶液または滅菌水性分散液、および滅菌注射溶液、または滅菌注射分散液をその場で調製するための滅菌粉末が挙げられる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒質および作用物質の使用は当技術分野において公知である。従来の媒質または作用物質は、それが活性化合物と不適合でない限り、いずれも、本発明の薬学的組成物におけるその使用が考えられる。
【0227】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される酸化防止剤、例えば(1)水溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど、(2)油溶性酸化防止剤、例えばアスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなど、および(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸なども含みうる。
【0228】
本発明の薬学的組成物は、糖類、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、グリセロール、または塩化ナトリウムなどの等張化剤も、組成物中に含みうる。
【0229】
本発明の薬学的組成物は、薬学的組成物の貯蔵寿命または効力を強化しうる、選ばれた投与経路にとって適当な1種または複数種の佐剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、保存剤、緩衝剤も含有しうる。本発明の化合物は、例えばインプラント、経皮パッチ、マイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤など、化合物を急速な放出から保護する担体を使って調製されうる。そのような担体は、ゼラチン、モノステアリン酸グリセリン、グリセリルジステアレート、生分解性生体適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を、単独で、またはワックスと共に含むか、または当技術分野において周知の他の材料を含みうる。そのような製剤の調製方法は当業者には一般に公知である。例えばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照されたい。
【0230】
一態様において、本発明の化合物は、インビボでの適正な分布が保証されるように製剤化されうる。非経口投与用の薬学的に許容される担体として、滅菌水溶液または滅菌水性分散液、および滅菌注射溶液または滅菌注射分散液をその場で調製するための滅菌粉末が挙げられる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒質および作用物質の使用は当技術分野において公知である。従来の媒質または作用物質は、それが活性化合物と不適合でない限り、いずれも、本発明の薬学的組成物におけるその使用が考えられる。組成物には他の活性化合物または治療化合物も組み入れてよい。
【0231】
注射用の薬学的組成物は、典型的には、滅菌状態にあり、製造および貯蔵条件下で安定である。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソームまたは他の高い薬物濃度に適した他の規則的構造として製剤化されうる。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルなどを含有する、水性または非水性の溶媒または分散媒でありうる。適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用、分散系の場合には必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用などによって維持されうる。多くの場合、組成物には等張化剤、例えば糖類、ポリアルコール、例えばグリセロール、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含めることが好ましいだろう。注射可能組成物の長期間にわたる吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含めることによって実現されうる。滅菌注射可能溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて例えば上に列挙したような成分のうちの1つまたはそれらの組み合わせと共に適当な溶媒に組み入れた後、精密濾過滅菌を行うことによって調製されうる。一般に、分散系は、基礎分散媒と他の必要な成分、例えば上に列挙したものから選ばれるものとを含有する滅菌媒体に、活性化合物を組み入れることによって調製されうる。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製方法の例は、活性成分と他の任意の望ましい成分との溶液を事前に滅菌濾過したものからそれらの粉末を与える、真空乾燥および冷凍乾燥(凍結乾燥)である。
【0232】
滅菌注射可能溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙した成分のうちの1つまたはそれらの組み合わせと共に適当な溶媒に組み入れた後、精密濾過滅菌を行うことによって調製されうる。一般に、分散系は、基礎分散媒と上に列挙したものから選ばれる他の必要な成分とを含有する滅菌媒体に、活性化合物を組み入れることによって調製されうる。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製方法の例は、活性成分と他の任意の望ましい成分との溶液を事前に滅菌濾過したものからそれらの粉末を与える、真空乾燥および冷凍乾燥(凍結乾燥)である。
【0233】
本発明の薬学的組成物は、本発明の1つの抗体、二重特異性抗体または抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を含有するか、本発明の抗体、二重特異性抗体またはADCと別の治療化合物との組み合わせを含有するか、または本発明の化合物の組み合わせを含有しうる。
【0234】
薬学的組成物は任意の適切な経路および様式で投与されうる。本発明の化合物をインビボおよびインビトロで投与する適切な経路は当技術分野では周知であり、それは当業者によって選択されうる。
【0235】
一態様において、本発明の薬学的組成物は非経口的に、すなわち経腸投与および外用以外の投与様式により、通常は注射によって投与され、これには表皮、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、被膜内(intracapsular)、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、腱内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外および胸骨内の注射および注入が含まれる。特に、本発明の薬学的組成物は、静脈内または皮下の注射または注入によって投与されうる。
【0236】
用途および治療的応用
本発明は、医薬としての使用のための本明細書において規定する二重特異性抗体などの抗体またはイムノコンジュゲートもしくは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を、さらに提供する。本発明の抗5T4抗体またはイムノコンジュゲートは、5T4を発現する細胞が関与する疾患または障害の処置または防止において使用することができる。特に本発明の二重特異性抗体、すなわち5T4とCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体は、5T4を発現する細胞の特異的ターゲティングおよびT細胞媒介性殺傷が望まれる治療的状況において役立ちうると共に、一定のそのような適応および状況では、通常の抗5T4抗体と比較してより効率的でありうる。
【0237】
一態様において、がんの処置における使用のための、本発明の二重特異性抗体などの抗体、またはイムノコンジュゲートもしくは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が、本明細書において開示される。二重特異性抗体などの抗体、またはイムノコンジュゲートもしくは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、特に、腫瘍細胞の少なくとも一部における5T4の発現を特徴とするがんの処置に使用されうる。
【0238】
がんは、特に、腎臓がん/腎がん、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん/子宮内膜がん/子宮頸がん、肺がん、胃腸がん、胃がん、膵がん、甲状腺がん、頭頸部がん、リンパ腫、急性骨髄性白血病からなる群より選択されうる。
【0239】
加えて、本発明は、がん、例えば腎臓がん/腎がん、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん/子宮内膜がん/子宮頸がん、肺がん、胃腸がん、胃がん、膵がん、甲状腺がん、頭頸部がん、リンパ腫、急性骨髄性白血病からなる群より選択されるがんを処置するための医薬を製造するための、本発明の抗体の使用に関する。
【0240】
さらなる一局面において、本発明は、本発明の抗体、イムノコンジュゲート、組成物、例えば薬学的組成物または抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を、その必要がある対象に投与する工程を含む、疾患を処置する方法を提供する。
【0241】
本発明の特定態様において、該方法はがんを処置するための方法である。本発明の方法は、特に、
a)5T4を発現する腫瘍細胞を含むがんおよび/または5T4を発現することが公知であるがんを患っている対象を選択する工程、および
b)本発明の二重特異性抗体などの抗体または薬学的組成物または抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を前記対象に投与する工程
を含みうる。
【0242】
がんは、特に、腎臓がん/腎がん、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん/子宮内膜がん/子宮頸がん、肺がん、胃腸がん、胃がん、膵がん、甲状腺がん、頭頸部がん、リンパ腫、急性骨髄性白血病からなる群より選択されうる。
【0243】
上記の処置方法および使用方法における投薬レジメンは、最適な所望の応答(例えば治療応答)が得られるように調節される。例えば単回ボーラスを投与するか、時間をかけて数回の分割投与を行うか、または用量を治療状況の要求に応じて相応に増減させうる。非経口組成物は、投与を容易にすると共に投薬量が均一になるように、投与単位剤形に製剤化されうる。
【0244】
抗体に関する効率的な投薬量および投薬レジメンは、処置されるべき疾患または状態に依存し、当業者によって決定されうる。本発明の化合物の治療有効量の例示的で非限定的な範囲は、約0.001~10mg/kg、例えば約0.001~5mg/kg、例えば約0.001~2mg/kg、例えば約0.001~1mg/kg、例えば約0.001、約0.01、約0.1、約1または約10mg/kgである。本発明の抗体の治療有効量に関する別の例示的で非限定的な範囲は、約0.1~100mg/kg、例えば約0.1~50mg/kg、例えば約0.1~20mg/kg、例えば約0.1~10mg/kg、例えば約0.5、例えば約0.3、約1、約3、約5または約8mg/kgである。
【0245】
当技術分野における通常の技量を有する医師は、必要な薬学的組成物の有効量を容易に決定し処方することができる。例えば医師または獣医師は、薬学的組成物中に使用される抗体の用量を、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルより低いレベルから出発して、所望の効果が達成されるまで投薬量を漸増させることができるだろう。一般に、本発明の抗体の適切な一日量は、治療効果を生むのに有効な最低の用量である化合物の量だろう。投与は、例えば非経口投与、例えば静脈内投与、筋肉内投与または皮下投与でありうる。一態様において、抗体は、mg/m2の単位で算出される週間投薬量で、注入によって投与されうる。そのような投薬量は、例えば次式に従い、上に与えられたmg/kg投薬量に基づきうる:用量(mg/kg)×70:1.8。そのような投与は例えば1~8回、例えば3~5回繰り返されうる。投与は、持続注入により、2~24時間、例えば2~12時間の期間にわたって行われうる。一態様において、抗体は、毒性副作用を低減するために、長期間、例えば24時間超にわたる緩徐持続注入によって投与されうる。
【0246】
一態様において、抗体は、固定用量として算出された週間投薬量で、8回まで、例えば週1回投与する場合には4~6回まで、投与されうる。そのようなレジメンは、例えば6ヶ月後または12ヶ月後に、必要に応じて1回または複数回、繰り返されうる。そのような投薬量は、例えば体重を70kgと見積って上に提示したmg/kg投薬量に基づきうる。投薬量は、投与後の血中の本発明の抗体の量を、例えば生物学的試料を採取し、本発明の抗体の5T4抗原結合領域を標的とする抗イディオタイプ抗体を使って測定することにより、決定または調節されうる。
【0247】
一態様において、抗体は、例えば6ヶ月またはそれ以上にわたって週に1回、維持治療として投与されうる。
【0248】
抗体は、がんの発生リスクを低減し、がん進行におけるイベント発生の開始を遅延させ、かつ/またはがんが寛解状態にある時に再発のリスクを低減するために、予防的にも投与されうる。
【0249】
本発明の抗体は、併用治療においても、すなわち処置される疾患または状態に関連する他の治療剤と組み合わせて、投与されうる。したがって一態様において、抗体含有医薬は、1種または複数種のさらなる治療剤、例えば細胞傷害性剤、化学療法剤または抗血管新生剤と併用するための医薬である。
【0250】
抗体産生
また、本発明の二重特異性抗体などの抗体を産生するための方法も、本明細書において提供される。特に、
a)本明細書において規定する発現ベクターを含む宿主細胞を培養する工程、および
b)培養培地から抗体を精製する工程
を含む、本発明の抗体を産生するための方法が提供される。
【0251】
抗体が5T4へと結合することができる結合領域とCD3へと結合することができる結合領域とを含む本発明の態様では、抗体は、
a)本明細書において規定する発現ベクターを含む宿主細胞を、5T4へと結合することができる抗体の発現が可能な条件下で培養し、かつ5T4へと結合することができる抗体を培養培地から精製することによって、5T4へと結合することができる抗体を用意する工程、
b)I)本明細書において上に規定したCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の重鎖配列をコードする核酸配列、および
II)本明細書において上に規定したCD3へと結合することができる抗原結合領域を含む抗体の軽鎖配列をコードする核酸配列
を含む発現ベクターを含む宿主細胞を、CD3へと結合することができる抗体の発現が可能な条件下で培養し、かつCD3へと結合することができる抗体を培養培地から精製することによって、CD3へと結合することができる抗体を用意する工程、
c)5T4へと結合することができる抗体を、CD3へと結合することができる抗体と一緒に、ヒンジ領域中のシステインがジスルフィド結合の異性化を起こすことを可能にするのに十分な還元条件下でインキュベートする工程、ならびに
d)抗体を得る工程
を含む方法を使って産生されうる。
【0252】
キット
本発明は、部分からなるキット、例えばコンパニオン診断薬としての使用/患者の集団内で本明細書において上に規定した抗体または本明細書において上に規定したイムノコンジュゲートもしくは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)による処置に応答する性質を有する患者を同定するための使用のための、または患者の処置に使用された場合の該抗体またはイムノコンジュゲートもしくはADCの有効性または抗腫瘍活性を予測するための使用のためのキットであって、上に規定した抗体と、該キットの使用説明書とを含むキットを、さらに提供する。
【0253】
抗イディオタイプ抗体
さらなる一局面において、本発明は、5T4へと結合することができる抗原結合領域を少なくとも1つは含む抗体、すなわち本明細書に記載する発明の抗体に結合する、抗イディオタイプ抗体に関する。特定の態様において、抗イディオタイプ抗体は5T4へと結合することができる抗原結合領域に結合する。
【0254】
抗イディオタイプ(Id)抗体は、抗体の抗原結合部位と一般に関連するユニークな決定基を認識する抗体である。抗Id抗体は、抗5T4モノクローナル抗体の供給源と同じ種および遺伝子型の動物を、抗Idを調製しようとしているモノクローナル抗体で免疫処置することによって調製されうる。免疫処置された動物は、典型的には、免疫処置抗体のイディオタイプ決定基を、これらのイディオタイプ決定基に対する抗体(抗Id抗体)を産生することによって、認識し、それに反応することができる。そのような抗体は例えばUS4,699,880に記載されている。そのような抗体は本発明のさらなる特徴である。
【0255】
抗Id抗体は、いわゆる抗抗Id抗体を産生するさらに別の動物における免疫応答を誘導するための「免疫原」としても使用されうる。抗抗Id抗体は、抗Id抗体を誘導した元のモノクローナル抗体とエピトープ的に同一でありうる。したがって、モノクローナル抗体のイディオタイプ決定基に対する抗体を使用することにより、特異性が同一である抗体を発現する他の細胞を同定することが可能である。抗Id抗体は、任意の適切な技法によって、例えば本発明の5T4特異的抗体に関して本明細書の他の項に記載する技法によって、変更を加えられ(それによって抗Id抗体変種をもたらし)、かつ/または誘導体化されうる。例えばモノクローナル抗Id抗体は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などの担体にカップリングして、BALB/cマウスを免疫処置するために使用しうる。これらのマウスからの血清は、通例、元の/親の抗5T4抗体と同一ではないまでも類似する結合特性を有する抗抗Id抗体を含有するであろう。
【0256】
配列
【0257】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに例示するが、これらの実施例をさらなる限定と解釈してはならない。
【実施例
【0258】
実施例1: 5T4抗体およびスクリーニング材料の生成
5T4のための発現構築物
さまざまな完全長5T4変種を発現させるための以下のコドン最適化構築物を生成させた:ヒト5T4(Uniprotアクセッション番号Q13641)、カニクイザル5T4(Uniprotアクセッション番号Q4R8Y9)およびニワトリ5T4(Uniprotアクセッション番号R4GM46)。加えて、さまざまな5T4細胞外ドメイン(ECD)変種用に、以下のコドン最適化構築物も生成させた:C末端Hisタグを持つヒト5T4のECD(Uniprotアクセッション番号Q13641のaa 1~355)(5T4ECDHis)(SEQ ID NO:99)ならびにウサギFcドメインおよびC末端Hisタグに融合されたヒト5T4のECD(aa 1~91)(5T4ECD91-FcRbHis)。SEQ ID NO:99においてアミノ酸残基1~31はシグナルペプチドであり、したがって成熟5T4ECDHisタンパク質はSEQ ID NO:99のアミノ酸残基32~363に対応する。同様にSEQ ID NO:100のアミノ酸残基1~31はシグナルペプチドであり、成熟5T4ECD91-FcRbHisタンパク質はSEQ ID NO:100のアミノ酸残基32~327に対応する。
【0259】
構築物は適切なクローニング用制限部位と最適なKozak(GCCGCCACC)配列(Kozak,M.,Gene 1999;234(2):187-208)とを含有した。完全長ヒト5T4およびカニクイザル5T4のコドン最適化構築物を哺乳類発現ベクターpcDNA3.3(Invitrogen)にクローニングした。完全長ニワトリ5T4コドン最適化構築物は、CMVプロモーターとHSV-TKポリAシグナルとからなる発現カセットに隣接するSleeping Beauty逆位末端反復配列を含有する哺乳類発現ベクターpSBにクローニングした。
【0260】
完全長のヒト、カニクイザルまたはニワトリ5T4を一過性に発現するHEK-293F細胞株の生成
Freestyle(商標)293-F(浮遊状態での成長および既知組成のFreestyle培地に適応したHEK-293サブクローン[HEK-293F])細胞をInvitrogenから入手し(カタログ番号R790-07)、293fectin(Invitrogen、カタログ番号12347-019)を使用し、製造者の説明書に従って、上述のコドン最適化構築物をトランスフェクトした。
【0261】
Hisタグ付き5T4の精製
5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)を上述のようにHEK-293F細胞において発現させた。5T4ECD91-FcRbHisは、Expi293F発現プラットフォーム(Thermo Fisher Scientific、米国マサチューセッツ州ウォルサム、カタログ番号A14527)を使って、本質的に製造者が記載している通りに発現させた。
【0262】
Hisタグは固定化金属アフィニティークロマトグラフィーによる精製を可能にする。このプロセスでは、クロマトグラフィー樹脂に固定されたキレーターにCo2+カチオンが装填される。Hisタグ付きタンパク質を含有する上清をこの樹脂とバッチモードで(すなわち溶液状態で)インキュベートした。Hisタグ付きタンパク質は樹脂ビーズに強く結合するが、培養上清中に存在する他のタンパク質は結合しないか、Hisタグ付きタンパク質と比べて弱く結合する。インキュベーション後に、ビーズを上清から回収し、カラムに充填した。弱く結合しているタンパク質を除去するために、カラムを洗浄した。次に、強く結合しているHisタグ付きタンパク質を、Co2+に対するHisの結合と競合するイミダゾールを含有する緩衝液で溶出させた。脱塩カラムでの緩衝液交換によって溶離液を除去した。
【0263】
免疫化
抗体IgG1-5T4-207およびIgG1-5T4-226を生成させるために、HCo17-BalbCトランスジェニックマウス(Bristol-Myers Squibb、米国ニューヨーク州ニューヨーク)を、Sigmaアジュバントシステム(Sigma-Aldrich、米国ミズーリ州セントルイス、カタログ番号S6322)中の5T4ECDHisタンパク質20μgで、腹腔内(IP)および皮下(SC)に、14日間隔で交互に免疫処置した。合計8回、すなわちIP4回およびSC4回の免疫処置を行った。
【0264】
抗体IgG1-5T4-076およびIgG1-5T4-059を生成させるために、HCo12-BalbC(IgG1-5T4-076)およびHCo20-BalbC(IgG1-5T4-059)トランスジェニックマウス(Bristol-Myers Squibb)を、Sigmaアジュバントシステム中の5T4ECDHisタンパク質20μgで、IPおよびSCに、14日間隔で交互に免疫処置した。合計8回、すなわちIP4回およびSC4回の免疫処置を行った。
【0265】
抗体IgG1-5T4-085を生成させるために、HCo17-BalbCトランスジェニックマウスを、Sigmaアジュバントシステム中の5T4ECDHisタンパク質20μgおよび5T4ECD91-FcRbHis成熟タンパク質20μgで、IPおよびSCに、14日間隔で免疫処置した。合計8回、すなわちIP4回およびSC4回の免疫処置を行った。
【0266】
抗体IgG1-5T4-106およびIgG1-5T4-127を生成させるために、HCo12-BalbC(IgG1-5T4-106)およびHCo17-BalbC(IgG1-5T4-127)トランスジェニックマウスを、Sigmaアジュバントシステム中の5T4ECD91-FcRbHis成熟タンパク質20μgで、IPおよびSCに、14日間隔で免疫処置した。合計8回、すなわちIP4回およびSC4回の免疫処置を行った。
【0267】
後述の抗原特異的スクリーニング蛍光微量アッセイ技術(Fluorometric Micro volume Assay Technology)(FMAT)で少なくとも2回続けて5T4特異的抗体価を持つマウスを、10μgの5T4ECDHisまたは10μgの5T4ECD91-FcRbHis(PBS中、静脈内注射)で追加免疫し、これらのマウスの脾細胞およびリンパ節細胞を3~4日後に融合した。
【0268】
均一抗原特異的スクリーニングアッセイ
免疫マウスの血清中またはHuMAb(ヒトモノクローナル抗体)ハイブリドーマもしくはトランスフェクトーマ培養物中の5T4抗体の存在を、FMATを使った均一抗原特異的スクリーニングアッセイ(Applied Biosystems、米国カリフォルニア州フォスターシティ)によって決定した、そのために、4つの細胞ベースアッセイの組み合わせを使用した。
【0269】
免疫マウスからの血清またはハイブリドーマもしくはトランスフェクトーマ培養物の上清試料を、ヒト5T4を一過性に発現するHEK-293F細胞、カニクイザル5T4を一過性に発現するHEK-293F細胞、5T4ECD91-FcRBHisで覆われたストレプトアビジン被覆ポリスチレン粒子(0.5%w/v、6.7μm、Spherotech、米国イリノイ州レイクフォレスト、カタログ番号SVP-60-5)およびHEK-293野生型細胞(陰性対照)へのヒト抗体の結合について解析した。
【0270】
試料を細胞に加えて、5T4に結合させた。次に、蛍光コンジュゲート(AffiniPureヤギ抗ヒトIgG Fcガンマ-Alexa Fluor(登録商標)647、Jackson ImmunoResearch、カタログ番号109-605-098)を使って、HuMAbの結合を検出した。IgG1-5T4-H8-F405Lを陽性対照として使用し、ChromPureヒトIgG全分子(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号009-000-003)を陰性対照として使用した。試料をImageXpress Velos(Molecular devices,LLC、米国カリフォルニア州サニーベール)を使ってスキャンし、総蛍光量をリードアウトとして使用した。カウントが50より大きく、カウント×蛍光が陰性対照の少なくとも3倍である場合に、試料を陽性とした。
【0271】
HuMAbハイブリドーマ生成
十分な抗原特異的力価が発生したHuMAbマウス(上記)を屠殺し、脾臓ならびに腹部大動脈および大静脈に隣接するリンパ節を収集した。マウス骨髄腫細胞株(SP2.0細胞)への脾細胞およびリンパ節細胞の融合は、CytoPulse CEEF 50 Electrofusion System(Cellectis、フランス・パリ)を使用し、本質的に製造者の説明書に従って行った。次に、抗原陽性一次ウェルをClonePixシステム(Genetix、英国ハンプシャー)を使ってサブクローニングした。そのために、特異的一次ウェルハイブリドーマを、40%CloneMedia(Genetix、英国ハンプシャー)および60%HyQ 2×完全培地(Hyclone、米国ウォルサム)でできた半流動培地に播種した。サブクローンを上述の抗原特異的結合アッセイに従って5T4結合について再試験し、IsoCyteシステム(Molecular Devices)を使ってスキャンした。さらなる拡大増殖のために一次ウェルあたり最良の産生クローンを得るために、IgGレベルをOctetシステム(Fortebio、米国メンローパーク)を使って測定した。得られたHuMAbハイブリドーマのさらなる拡大増殖および培養は、標準的プロトコール(例えばColigan J.E.,Bierer,B.E.,Margulies,D.H.,Shevach,E.M.and Strober,W.,eds.Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.,2006に記載されているもの)に基づいて行った。
【0272】
5T4抗体可変ドメインの配列解析および発現ベクターへのクローニング
2~5×106個のハイブリドーマ細胞から全RNAを調製し、100ngの全RNAから、SMART RACE cDNA増幅キット(Clontech)を使って製造者の説明書に従って、5'-RACE相補DNA(cDNA)を調製した。VHコード領域およびVLコード領域をPCRで増幅し、p33G1f発現ベクターおよびp33カッパ発現ベクター(それぞれコドン最適化されたヒトIgG1m(f)定常ドメインおよびカッパ定常ドメインを含むpcDNA3.3ベースのベクター)に、ライゲーション非依存的クローニング(ligation independent cloning)(Aslanidis,C.and P.J.de Jong,Nucleic Acids Res1990;18(20):6069-74)により、インフレームで直接クローニングした。これらの発現ベクターからの可変ドメインを配列決定し、IMGTの定義(Lefranc MP.et al.,Nucleic Acids Research,27,209-212,1999およびBrochet X.Nucl.Acids Res.36,W503-508(2008))に従ってCDRにアノテーションをつけた。正しいオープンリーディングフレーム(ORF)を持つクローンを発現させ、抗原への結合について試験した。リードパネルをコドン最適化配列として注文し(GeneArt、Thermo Fisher Scientific)、Expi293発現系で製造者の説明書(Thermo Fisher Scientific)に従って産生した。これらの上清中の抗体を精製し、機能的特徴付けに使用した。その結果得られたリードクローンの配列を上記の表に示す。
【0273】
5T4対照抗体
一部の実施例では、以前にWO2007/106744に記載された5T4に対する比較用抗体(IgG1-5T4-H8、IgG1-5T4-A3およびIgG1-5T4-A1)を使用した。コドン最適化抗体コード配列を合成し、pCDNA3.3発現ベクター(Thermo Fisher Scientific)にクローニングした。
【0274】
IgG1-b12抗体
実施例の一部では、HIV-1 gp120特異的抗体である抗体b12(Barbas,CF.J Mol Biol.1993 Apr 5;230(3):812-23)を陰性対照として使用した。この対照抗体のためのコドン最適化抗体コード配列を合成し、pCDNA3.3発現ベクター(Thermo Fisher Scientific)にクローニングした。可変重鎖(VH)領域の配列と可変軽鎖(VL)領域の配列を、それぞれSEQ ID NO:97およびSEQ ID NO:98として本明細書に含めた。
【0275】
実施例2: バイオレイヤー干渉法を使った5T4特異的抗体の結合親和性の決定
ラベルフリーバイオレイヤー干渉法を使用し、Octet HTX機器(ForteBio、英国ポーツマス)で、組換え5T4タンパク質に対する5T4抗体の親和性を決定した。5T4抗体(1μg/mL)を抗ヒトIgG Fc捕捉バイオセンサー(ForteBio)上に600秒間かけて固定化した。ベースライン測定(100秒)後に、3.58μg/mL(100nM)のヒト5T4ECDHisまたは3.99μg/mL(100nM)のカニクイザル5T4から始まる2倍希釈系列(100nM~1.56nMの範囲)を使って、30℃、1000rpmで振とうしながら、試料希釈液(ForteBio)中のヒト5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)または組換えカニクイザル5T4タンパク質(Cusabio、カタログ番号CSB-MP024093MOV)の会合(200秒)および解離(1000秒)を決定した。データはData Analysisソフトウェアv9.0.0.12(ForteBio)で解析した。会合工程および解離工程中の、試料希釈液しか含有しないリファレンスウェルの値を、各抗体について個別に、抗原を含有するウェルの値から差し引いた。Y軸をベースラインの最後の10秒にアラインメントし、解離への工程間補正アラインメント(Interstep Correction alignment)およびSavitzky-Golayフィルタリングを適用した。<0.05nmの応答は解析から除外した。200秒の会合時間および1000秒または50秒の解離時間を関心ウインドウ(Window of Interest)とし、1:1モデルおよびグローバルフルフィット(global full fit)を使って、データをフィッティングした。全解離時間(1000秒)を関心ウインドウとするフィットをデフォルトで使用した。フィットのR2値および目視検査に基づいて、IgG1-5T4-127-FEARには50秒の解離時間を関心ウインドウとして使用した。
【0276】
表1に、バイオレイヤー干渉法によって決定されたヒト5T4ECDHisに対する5T4抗体の会合速度定数ka(1/Ms)、解離速度定数kd(1/s)および平衡解離定数KD(M)を示す。ヒト5T4に対する抗体の親和性の範囲は、1.3×10-9~2.7×10-8Mと測定された。IgG1-5T4-085-FEARの応答は0.05nmより小さく、それがデータの適正なフィッティングを妨げた(これらのフィットについては低いR2値)。さらにまた、IgG1-5T4-076-FEARの応答も適正にはフィッティングできなかった。これらのデータはイタリック体で示す。
【0277】
表2に、バイオレイヤー干渉法によって決定されたカニクイザル5T4に関する会合速度定数ka(1/Ms)、解離速度定数kd(1/s)および平衡解離定数KD(M)を示す。カニクイザル5T4に対する抗体の親和性の範囲は、1.1×10-9~4.1×10-8Mと測定された。IgG1-5T4-085-FEAR、IgG1-5T4-106-FEARおよびIgG1-5T4-H8-FEARの応答は0.05nmより小さく、それがデータの適正なフィッティングを妨げた(これらのフィットについては低いR2値)。さらにまた、IgG1-5T4-076-FEARの応答も適正にはフィッティングできなかった。これらのデータはイタリック体で示す。
【0278】
(表1)ラベルフリーバイオレイヤー干渉法によって決定された、ヒト5T4細胞外ドメインに対する単一特異性二価5T4抗体の結合親和性
【0279】
(表2)ラベルフリーバイオレイヤー干渉法によって決定された、カニクイザル5T4細胞外ドメインに対する単一特異性二価5T4抗体の結合親和性
【0280】
実施例3: バイオレイヤー干渉法によって決定される5T4抗体の交差遮断
バイオレイヤー干渉法を使用し、Octet HTX機器(ForteBio)で、抗体交差遮断解析(エピトープビニング)を行った。5T4抗体(20μg/mL、10mM酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0(ForteBio)中)を、アミン反応性第2世代(AR2G)バイオセンサー(ForteBio)上に、製造者の説明書に従って固定化した。試料希釈液(ForteBio)におけるベースライン測定(100秒)後に、固定化抗体を含有するバイオセンサーに、ヒト5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)100nM(3.6μg/mL)を、500秒間負荷した。次に、第2の5T4抗体(10μg/mL)の会合応答を500秒間決定した。バイオセンサーを、10mMグリシンpH2.5とそれに続く試料希釈液への5秒間の曝露を3回行うことによって再生し、ベースライン工程から出発して、新しい第2の5T4抗体のセットで測定を繰り返した。各バイオセンサーを4回使用した。測定は1000rpmの振とう機速度を使って30℃で行った。データはData Analysisソフトウェアv9.0.0.12(ForteBio)を使って解析した。Y軸を会合工程にアラインメントし、Savitzky-Golayフィルタリングを適用した。固定化抗体からの5T4ECDHisの解離について補正するために、会合工程中の試料希釈液の応答を、第2抗体の会合応答から差し引いた。補正された会合応答をマトリックスフォーマットでプロットした。一般に、>0.1nmの応答を非遮断抗体ペア(白)とみなし、-0.1~0.1nmの応答を遮断抗体ペア(濃い灰色)であるとみなした。いくつかの抗体ペアでは、第2抗体が初期の陽性応答と、それに続くシグナルの減少を示した。これは、抗体の置き換え(明るい灰色)、すなわち第2抗体は第1抗体と抗原との間の相互作用を置き換えるとみなした(Abdiche YN,Yeung AY,Ni I,Stone D,Miles A,Morishige W,et al.(2017)「Antibodies Targeting Closely Adjacent or Minimally Overlapping Epitopes Can Displace One Another」PLoS ONE 12(1):e0169535.doi:10.1371/journal.pone.0169535)。抗体ペアに遮断特性、非遮断特性または置き換え特性を割り当てるには、専門家によるデータ曲線の目視検査が必要な場合もあった。
【0281】
交差遮断実験は、抗体IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-076-FEAR、IgG1-5T4-085-FEAR、IgG1-5T4-106-FEAR、IgG1-5T4-127-FEAR、IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEARならびに先行技術抗体IgG1-5T4-H8-FEAR、IgG1-5T4-A1-F405LおよびIgG1-5T4-A3-F405Lについて行った。結果を表3に要約する。
【0282】
抗体(IgG1-5T4-A1-F405Lそのものを除く)はいずれも5T4ECDHisへのIgG1-5T4-A1-F405Lの結合を遮断しなかった。抗体IgG1-5T4-076-FEAR、IgG1-5T4-085-FEAR、IgG1-5T4-127-FEAR、IgG1-5T4-106-FEAR、IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEAR(ならびにIgG1-5T4-H8-FEARそのもの)は、5T4ECDHisへのIgG1-5T4-H8-FEARの結合を遮断した。抗体IgG1-5T4-076-FEAR、IgG1-5T4-085-FEARおよびIgG1-5T4-127-FEAR(ならびにIgG1-5T4-A3-F405Lそのもの)も5T4ECDHisへのIgG1-5T4-A3-F405Lの結合を遮断したが、抗体IgG1-5T4-106-FEARおよびIgG1-5T4-H8-FEARは5T4ECDHisへのIgG1-5T4-A3-F405Lの結合を遮断しなかった。抗体IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARは、IgG1-5T4-A3-F405Lとの組み合わせで、抗体の置き換えを示した。これについては、実施例4に詳述する。
【0283】
(表3)バイオレイヤー干渉法によって決定された抗体交差遮断
1列(column)目は固定化抗体を示し、1行(row)目は溶解状態の抗体を示す。溶解状態の抗体の補正された会合応答を示す。抗体の交差遮断は濃い灰色で示され、置き換え抗体の組み合わせは明るい灰色とアスタリスクで示される。非遮断抗体の組み合わせは無印(透明な背景)である。
【0284】
実施例4: IgG1-5T4-A3-F405Lと組み合わされたIgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARの抗体の置き換え
抗体の置き換えを、バイオレイヤー干渉法を使って、Octet HTX機器(ForteBio)で実証した。IgG1-5T4-A3-F405L(20μg/mL、10mM酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0(ForteBio)中)を、アミン反応性第2世代(AR2G)バイオセンサー(ForteBio)上に、製造者の説明書に従って固定化した。試料希釈液(ForteBio)におけるベースライン測定(100秒)後に、固定化IgG1-5T4-A3-F405L抗体を含有するバイオセンサーに、ヒト5T4ECDHis(SEQ ID NO:99の成熟タンパク質)100nM(3.6μg/mL)を、500秒間負荷した。次に、第2の5T4抗体(IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARまたはIgG1-5T4-226-FEAR、10μg/mL)または試料希釈液(緩衝液対照)の会合応答を500秒間決定した。実験は1000rpmの振とう機速度を使って30℃で行った。データはData Analysisソフトウェアv9.0.0.12(ForteBio)を使って解析した。固定化IgG1-5T4-A3-F405Lからのヒト5T4ECDHisの解離について補正するために第2抗体の応答から緩衝液対照応答を差し引き、Y軸を会合工程にアラインメントし、Savitzky-Golayフィルタリングを適用した。
【0285】
図1に示すようにIgG1-5T4-A3-F405Lは結合を示さなかった。これはIgG1-5T4-A3-F405Lとの交差遮断(自己遮断)を表す。IgG1-5T4-H8-FEARは5T4ECDHisへの結合を示し、したがってIgG1-5T4-A3-F405Lとの交差遮断を示さなかった。IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARは最初は陽性の応答を示し(これはIgG1-5T4-A3-F405Lとの交差遮断ではなくIgG1-5T4-A3-F405L-5T4ECDHis複合体への結合を表す)、その後、IgG1-5T4-A3-F405Lの自己遮断応答未満に応答が減少した。これはIgG1-5T4-A3-F405L-5T4ECDHis複合体からの質量の喪失を実証しており、IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARが、複合体への結合後にIgG1-5T4-A3-F405Lからのヒト5T4ECDHisの解離を誘導することを表す。この現象は抗体の置き換えとして記載されており、エピトープが近接しているか、ごくわずかにオーバーラップしていることを表す(Abdiche YN,Yeung AY,Ni I,Stone D,Miles A,Morishige W,et al.(2017)「Antibodies Targeting Closely Adjacent or Minimally Overlapping Epitopes Can Displace One Another」PLoS ONE 12(1):e0169535.doi:10.1371/journal.pone.0169535))。これは、抗体IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARが、IgG1-5T4-A3-F405Lとの比較で、5T4上の異なるエピトープに結合することを表す。
【0286】
実施例5: フローサイトメトリーで測定した膜結合型5T4への5T4抗体の同時結合
IgG1-5T4-A1-F405LおよびIgG1-5T4-A3-F405Lの存在下での膜結合型5T4へのIgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEAR抗体の結合をフローサイトメトリーで評価した。IgG1-5T4-H8-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARをフルオレセインイソチオシアネート(FITC、Thermo Fisher Scientific)に、製造者の説明書に従ってコンジュゲートした。約20,000個の5T4分子/細胞を発現するSK-OV-3細胞(1条件あたり50,000細胞)を、10μg/mLの非コンジュゲート5T4抗体(IgG1-5T4-H8-FEAR、IgG1-5T4-A1-F405L、IgG1-5T4-A3-F405L、IgG1-b12、IgG1-5T4-207-FEARまたはIgG1-5T4-226-FEAR)と2μg/mLのFITCコンジュゲート5T4抗体(IgG1-5T4-H8-FEAR-FITC、IgG1-5T4-207-FEAR-FITCおよびIgG1-5T4-226-FEAR-FITC)との混合物と共にインキュベートした。試験した組み合わせの一覧を表4に示す。4℃で30分間のインキュベーション後に、細胞を1200RPMで5分間遠心分離し、上清を捨てた。細胞を、1:4000のTopro-3-ヨウ素(Molecular Probes)を補足した100μLのFACS緩衝液に再懸濁した。フローサイトメーター(FACS Fortessa、BD Biosciences)を使ってFITCシグナルの平均蛍光強度(MFI)を測定した。結合のパーセンテージは次式を使って算出した:
([Ab-FITCおよび非コンジュゲートAbを含む細胞のMFI - Ab-FITCも非コンジュゲートAbも含まない細胞のMFI]× 100)/(Ab-FITCおよびアイソタイプ対照を含む細胞のMFI - Ab-FITCも非コンジュゲートAbも含まない細胞のMFI)
【0287】
図2は、IgG1-5T4-H8-FEAR-FITC、IgG1-5T4-207-FEAR-FITCおよびIgG1-5T4-226-FEAR-FITCの結合が非コンジュゲート対応物の存在下で遮断されることを示している。しかし、膜結合型5T4へのIgG1-5T4-207-FEAR-FITCおよびIgG1-5T4-226-FEAR-FITCの結合は非コンジュゲートIgG1-5T4-A1-F405L、IgG1-5T4-A3-F405LまたはIgG1-b12の存在下でも依然として観察され、それは、非コンジュゲートIgG1-5T4-A1-F405L、IgG1-5T4-A3-F405LまたはIgG1-b12の存在下での膜結合型5T4へのIgG1-5T4-H8-FEAR-FITCの結合に匹敵した。これは、抗体IgG1-5T4-H8-FEAR、IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEARが、IgG1-5T4-A1-F405LおよびIgG1-5T4-A3-F405Lとの比較で、5T4上の異なるエピトープに結合することを実証している。
【0288】
(表4)フローサイトメトリー実験で使用した抗体の組み合わせの一覧
【0289】
実施例6: ヒトまたはニワトリの5T4がトランスフェクトされたHEK-293細胞への5T4抗体の結合
完全長ヒトまたはニワトリ5T4が一過性にトランスフェクトされたHEK-293細胞(実施例1に記載したように生成させたもの)への5T4抗体の結合をフローサイトメトリーによって解析した。細胞(5×104細胞/ウェル)を、ポリスチレン製96ウェル丸底プレート(Greiner bio-one、カタログ番号650180)において、50μLのPBS/0.1%BSA/0.02%アジド(染色緩衝液)中、4℃で30分間、5T4抗体の段階希釈液(3倍希釈ステップで0.01~10μg/mLの範囲)と共にインキュベートした。染色緩衝液中で2回洗浄した後、細胞を、50μLのR-フィコエリトリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(染色緩衝液に1:500、Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.、ペンシルバニア州ウェストグローブ、カタログ番号109-116-098)中、4℃で30分間、インキュベートした。細胞を染色緩衝液中で2回洗浄し、20μLの染色緩衝液に再懸濁し、iQueスクリーナー(Intellicyt Corporation、米国)で解析した。結合曲線はGraphPad Prism V7.02ソフトウェア(GraphPadソフトウェア、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を使用し、非線形回帰によって解析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。
【0290】
図3Aは、完全長ヒト5T4がトランスフェクトされたHEK-293細胞へのIgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEAR、IgG1-5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-A3-F405Lの用量依存的結合を示す。図3Bは、完全長ニワトリ5T4がトランスフェクトされたHEK-293細胞へのIgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの用量依存的結合は観察されたものの、IgG1-5T4-A3-F405Lは完全長ニワトリ5T4がトランスフェクトされたHEK-293細胞に対してごくわずかな結合しか示さなかったことを示す。陰性対照抗体IgG1-b12-K409Rは、10μg/mLの濃度で、完全長ヒトまたはニワトリ5T4がトランスフェクトされたHEK-293細胞への結合を示さなかった。
【0291】
実施例7: 腫瘍細胞における5T4抗体の内在化能
一価5T4抗体の内在化能を特徴づけるための実験を行った。細胞内ペイロード送達とその結果生じる細胞傷害を、標的結合後の5T4抗体の内在化に関するリードアウトとして使用した。一方のFabアームで5T4を認識しつつ第2のFabアームでは無関係な抗原(腫瘍細胞には発現していないHIV-1 gp120)を認識する二重特異性毒素コンジュゲート抗体を、非コンジュゲート5T4抗体と、微小管破壊剤デュオスタチン-3とコンジュゲートされた(HIV-1 gp120特異的)IgG1-b12抗体との、制御されたFabアーム交換によって生成させた。その結果生じる二重特異性デュオスタチン-3コンジュゲート抗体は1つの抗体につき1つの毒素分子を保持する(薬物-抗体比1)。5T4に一価結合するデュオスタチン-3コンジュゲート二重特異性抗体の段階希釈液(0.00152~10μg/mL、3倍)を、平底96ウェル組織培養プレート(5,000細胞/ウェル、Greiner-bio-one、オランダ、カタログ番号655180)に播種されたMDA-MB-468細胞(乳がん細胞株、ATCC、クローンHTB-132)またはHCC1954細胞(乳がん細胞株、ATCC、クローンCRL-2338)に加えた。細胞を37℃で5日間インキュベートした後、CellTiter-Glo Luminescent細胞生存率アッセイ(Promega、米国、カタログ番号G7570)を使用し、製造者の説明書に従って、細胞生存率を評価した。細胞傷害曲線はGraphPad Prism V7.02ソフトウェア(GraphPadソフトウェア、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を使用し、非線形回帰を使って解析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。
【0292】
図4は、MDA-MB-468細胞(A)またはHCC1954細胞(B)における5T4に一価結合するデュオスタチン-3コンジュゲート二重特異性抗体の細胞傷害能を示している。bsIgG1-5T4-H8-FEAR×b12-vcDuo3は細胞傷害を誘導する能力が高い。これは、抗体の効果的な内在化能を表している。対照的に、bsIgG1-5T4-076-FEAR×b12-vcDuo3、bsIgG1-5T4-085-FEAR×b12-vcDuo3およびbsIgG1-5T4-127-FEAR×b12-vcDuo3は、細胞傷害を一切誘導せず、用量応答曲線は非結合性IgG1-b12-vcDuo3対照抗体のそれと類似していた。これは、膜結合型5T4への結合後のこれらの抗体の内在化が不十分であることを表している。bsIgG1-5T4-059-FEAR×b12-vcDuo3、bsIgG1-5T4-106-FEAR×b12-vcDuo3、bsIgG1-5T4-207-FEAR×b12-vcDuo3およびbsIgG1-5T4-226-FEAR×b12-vcDuo3は、試験したどちらの細胞株でも中間の細胞傷害を誘導した。これは、これらの一価5T4抗体は内在化を誘導したものの、その程度は、bsIgG1-5T4-H8-FEAR×b12-vcDuo3ほどではなかったことを表している。
【0293】
実施例8: CD3×5T4二重特異性抗体を生成させるためのヒト化CD3抗体
ヒト化抗体IgG1-huCD3-H1L1の生成はWO2015/001085の実施例1に記載されている。IgG1-huCD3-H1L1を本明細書では「IgG1-huCD3」という。抗体IgG1-huCD3-H1L1-FEALは、上述のように、制御されたFabアーム交換による二重特異性抗体の生成を可能にする変異、すなわちL234F、L235E、D265AおよびF405Lに加えて、IgG Fc受容体(Fcガンマ受容体[FcγR])および補体との相互作用を妨害するFcドメイン中のアミノ酸置換を持つその変種である。これらの変異は、それらが導入された抗体の標的結合には何も影響しないことが、以前に実証されている(例えばUS2015/0337049参照)。
【0294】
ヒト化抗体IgG1-huCD3-H1L1-H101Gの生成はWO2017/009442の実施例2に記載されている。IgG1-huCD3-H1L1-H101Gを「IgG1-huCD3-H101G」と呼ぶことにする。抗体IgG1-huCD3-H101G-FEALは、本明細書において上で述べたように、アミノ酸置換L234F、L235E、D265AおよびF405Lを持つその変種である。
【0295】
実施例9: バイオレイヤー干渉法を使ったCD3結合親和性の決定
IgG1-huCD3およびIgG1-huCD3-H101Gを含む選択されたCD3抗体の結合親和性を、WO2017/009442の実施例7に記載されているように決定した。
【0296】
簡単に述べると、組換え可溶性CD3ε(CD3E27-GSKa)(SEQ ID NO:101の成熟タンパク質)に対する、lgG1-huCD3-FEALフォーマットの選択されたCD3抗体の結合親和性を、バイオレイヤー干渉法を使って、ForteBio Octet HTX(ForteBio)で決定した。抗ヒトFc捕捉バイオセンサー(ForteBio、カタログ番号18-5060)にhIgG(1mg/mL)を600秒間負荷した。ベースライン測定(200秒)後に、3倍希釈ステップで27.11μg/mL~0.04μg/mL(1000nM~1.4nM)のCD3E27-GSKa濃度範囲(試料希釈液、ForteBio、カタログ番号18-5028)を使って、CD3E27-GSKaの会合(1000秒)および解離(2000秒)を決定した。計算には、アミノ酸配列に基づくCD3E27-GSKaの理論分子質量、すなわち27.11kDaを使用した。実験は1000rpmで振とうしながら30℃で実行した。各抗体を少なくとも2回の独立した実験で試験した。データは、ForteBioデータ解析ソフトウェアv8.1により、1000秒の会合時間および100秒の解離時間で1:1モデルおよびグローバルフルフィットを使って解析した。リファレンス曲線(バイオセンサー上の抗体、試料希釈液のみでの測定)を差し引くことでデータトレースを補正し、Y軸をベースラインの最後の10秒にアラインメントし、工程間補正およびSavitzky-Golayフィルタリングを適用した。応答が<0.05nmであるデータトレースを解析から除外した。
【0297】
表5に、バイオレイヤー干渉法によって決定された組換えCD3εに関する会合速度定数ka(1/Ms)、解離速度定数kd(1/s)および平衡解離定数KD(M)を示す。IgG1-huCD3-FEALは、組換えCD3εに対し、IgG1-huCD3-H101G-FEAL(KD:638nM)と比べて比較的高い(KD:15nM)結合親和性を示した。
【0298】
(表5)ラベルフリーバイオレイヤー干渉法によって決定された、組換えCD3εへの単一特異性二価CD3抗体の結合親和性
【0299】
実施例10: 2-MEAが誘発するFabアーム交換による二重特異性抗体の生成
DuoBody(登録商標)プラットフォーム技術、すなわちWO2011147986、WO2011131746およびWO2013060867(Genmab)ならびにLabrijnら(Labrijn et al.,PNAS 2013,110:5145-50、Gramer et al.,MAbs 2013,5:962-973)に記載されている2-MEA誘発Fabアーム交換を使って、二重特異性抗体をインビトロで生成させた。この方法による二重特異性抗体の産生を可能にするために、CH3ドメイン中に単一変異を保持する、すなわち一方の親IgG1抗体ではF405L変異(すなわちCD3抗体)、他方の親IgG1抗体ではK409R変異(すなわち5T4抗体または対照HIV-1 gp120特異的抗体)を保持する、IgG1分子を生成させた。これらの変異に加えて、親IgG1抗体は、IgG Fc受容体(Fcガンマ受容体)および補体と相互作用することができないFcドメインをもたらす置換、すなわちL234F、L235E、D265A(FEA)を含んだ。
【0300】
二重特異性抗体を生成させるために、2種の親抗体をPBS緩衝液(リン酸緩衝食塩水;8.7mM HPO4 2-、1.8mM H2PO4 -、163.9mM Na+、140.3mM Cl-、pH7.4)中で等質量ずつ混合した。2-メルカプトエチルアミン-HCl(2-MEA)を最終濃度が75mMになるように加え、反応混合物を31℃で5時間インキュベートした。鎖間ジスルフィド結合の再酸化と無傷の二重特異性抗体の形成を可能にするために、カットオフ分子量10kDaのSlide-A-Lyzerキャリッジ(carriage)(Thermo Fisher Scientific)を製造者のプロトコールに従って使用することにより、PBS緩衝液への透析によって、2-MEAを除去した。
【0301】
実施例では以下の抗体を使用した。
【0302】
CD3抗体
IgG1-huCD3-FEAL(SEQ ID NO:57およびSEQ ID NO:60に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-huCD3-H101G-FEAL(SEQ ID NO:68およびSEQ ID NO:60に示すVH配列およびVL配列を有する)
【0303】
5T4抗体
IgG1-5T4-207-FEAR(SEQ ID NO:40およびSEQ ID NO:44に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-226-FEAR(SEQ ID NO:47およびSEQ ID NO:51に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-059-FEAR(SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:9に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-076-FEAR(SEQ ID NO:12およびSEQ ID NO:16に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-085-FEAR(SEQ ID NO:19およびSEQ ID NO:23に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-106-FEAR(SEQ ID NO:26およびSEQ ID NO:30に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-127-FEAR(SEQ ID NO:33およびSEQ ID NO:37に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-H8-FEAR(Wyeth(WO2007/106744およびUS2010/0173382)の5T4抗体H8に基づく;SEQ ID NO:87およびSEQ ID NO:88に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-A1-F405L(Wyeth(WO2007/106744およびUS8044178)の5T4抗体A1に基づく;SEQ ID NO:83およびSEQ ID NO:84に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-A1-FEAR(Wyeth(WO2007/106744およびUS8044178)の5T4抗体A1に基づく;SEQ ID NO:83およびSEQ ID NO:84に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-A3-F405L(Wyeth(WO2007/106744およびUS8759495)の5T4抗体A3に基づく;SEQ ID NO:85およびSEQ ID NO:86に示すVH配列およびVL配列を有する)
IgG1-5T4-A3-FEAR(Wyeth(WO2007/106744およびUS8759495)の5T4抗体A3に基づく;SEQ ID NO:85およびSEQ ID NO:86に示すVH配列およびVL配列を有する)
【0304】
二重特異性抗体
【0305】
フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識二重特異性抗体
【0306】
デュオスタチン-3コンジュゲート二重特異性抗体
【0307】
非結合性対照抗体
IgG-b12は、一部の実施例において二重特異性抗体の陰性非結合性対照第2アームとして使用されるHIV-1 gp120特異的抗体(Barbas,CF.J Mol Biol.1993 Apr 5;230(3):812-23)である。
IgG1-b12-F405Lは置換F405Lを持つその変種である。
IgG1-b12-FEALは、制御されたFabアーム交換による二重特異性抗体の生成を可能にする変異、すなわちL234F、L235E、D265AおよびF405Lに加えて、IgG Fc受容体(Fcガンマ受容体)および補体と相互作用することができないFcドメインをもたらす置換を持つその変種である。
IgG1-b12-K409Rは置換K409Rを持つその変種である。
IgG1-b12-FEARは、制御されたFabアーム交換による二重特異性抗体の生成を可能にする変異、すなわちL234F、L235E、D265AおよびK409Rに加えて、IgG Fc受容体(Fcガンマ受容体)および補体と相互作用することができないFcドメインをもたらす置換を持つその変種である。
【0308】
実施例11: HEK-293細胞で発現させたカニクイザル5T4およびヒト5T4へのCD3×5T4二重特異性抗体の結合
ヒト5T4またはカニクイザル5T4が一過性にトランスフェクトされたHEK-293細胞(実施例1に記載したように生成させたもの)の形質膜への二重特異性一価CD3×5T4抗体および単一特異性二価5T4抗体の結合を、フローサイトメトリーによって解析した。
【0309】
ポリスチレン製96ウェル丸底プレート(Greiner bio-one、カタログ番号650180)において、細胞(3×104細胞/ウェル)を100μLのPBS/0.1%BSA/0.02%アジド(染色緩衝液)中、段階希釈液(3倍希釈ステップで0.0137~10μg/mLの範囲)と共に、4℃で30分間インキュベートした。実験は技術的に2度繰り返して行った。染色緩衝液中で2回洗浄した後、細胞を50μLの二次抗体中、4℃で30分間インキュベートした。二次抗体としては、すべての実験で、染色緩衝液に1:200希釈したFITCコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Southern Biotech、米国、カタログ番号2043-02)を使用した。細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、30μLの染色緩衝液に再懸濁し、iQueスクリーナー(Intellicyt Corporation、米国)で解析した。結合曲線はGraphPad Prism V7.02ソフトウェア(GraphPadソフトウェア、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を使用し、非線形回帰を使って解析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。
【0310】
図5(I)(左側のパネル)は、5T4に一価結合する二重特異性抗体bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR(A)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR(B)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR(C)およびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-H8-FEAR(D)が、ヒト5T4がトランスフェクトされたHEK-293細胞への用量依存的結合を呈し、それがそれぞれ単一特異性二価5T4抗体IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEAR、IgG1-5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-H8-FEARの結合に匹敵することを示している。
【0311】
図5(I)(右側のパネル)は、5T4に一価結合する二重特異性抗体bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR(A)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR(B)およびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR(C)が、カニクイザル5T4がトランスフェクトされたHEK-293細胞への用量依存的結合を呈し、それがそれぞれ単一特異性二価5T4抗体IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARの結合に匹敵することを示している。bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-H8-FEARおよびIgG1-5T4-H8-FEARは、実施例2およびWO2007/106744に記載の実験と一致して、カニクイザル5T4には不十分な結合を示す。これらの実験には陰性対照としてIgG1-b12-K409R(3μg/mL)を含めた。この陰性対照はヒト5T4またはカニクイザル5T4のどちらかがトランスフェクトされたHEK-293細胞への結合を示さなかった。
【0312】
2回目の実験では、染色を上述のように、ただしわずかな調整を加えて行った。細胞を、5倍希釈ステップで0.000128~10μg/mLの範囲の、抗体の段階希釈液と共にインキュベートした。二次抗体として、染色緩衝液に1:200希釈したフィコエリトリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Jackson Immunoresearch、英国、カタログ番号109-116-098)を使用した。
【0313】
図5(II)は、抗体bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEAR(A)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEAR(B)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEAR(C)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEARおよびIgG1-5T4-106-FEAR(D)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-076-FEARおよびIgG1-5T4-076-FEAR(E)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-085-FEARおよびIgG1-5T4-085-FEAR(F)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-127-FEARおよびIgG1-5T4-127-FEAR(G)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A1-FEAR(H)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEAR(I)が、ヒト5T4がトランスフェクトされたHEK-293細胞(左側のパネル)およびカニクイザル5T4がトランスフェクトされたHEK-293細胞(右側のパネル)への用量依存的結合を呈することを示している。ここでも、二価単一特異性抗体および二重特異性一価抗体の結合曲線は、ヒト5T4とカニクイザル5T4との間で、類似する傾向を呈する。
【0314】
実施例12: 5T4陽性ヒト腫瘍細胞へのCD3×5T4二重特異性抗体の結合
5T4を発現するヒト腫瘍細胞株であるHeLa細胞株(子宮頸部腺癌、ATCC、カタログ番号CCL-2)およびMDA-MB-231細胞株(乳腺癌、ATCC、カタログ番号HTB-26)へのCD3×5T4二重特異性抗体の結合を、フローサイトメトリーによって解析した。HeLa細胞もMDA-MB-231細胞もCD3は発現しない。
【0315】
細胞(3×104細胞/ウェル)を、ポリスチレン製96ウェル丸底プレート(Greiner bio-one、カタログ番号650180)において、100μLのPBS/0.1%BSA/0.02%アジド(染色緩衝液)中、4℃で30分間、抗体の段階希釈液(3倍希釈ステップで0.000152~3μg/mLの範囲)と共にインキュベートした。染色緩衝液中で2回洗浄した後、細胞を、50μLの二次抗体中、4℃で30分間、インキュベートした。第1実験では、二次抗体として、染色緩衝液に1:400希釈したフルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Southern Biotech、米国、カタログ番号2043-02)を使用した。次に、細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、120μLの染色緩衝液に再懸濁し、BD LSRFortessa FACS(BD Biosciences、米国)で解析した。結合曲線はGraphPad Prism V7.02ソフトウェア(GraphPadソフトウェア、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を使用し、非線形回帰を使って解析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。
【0316】
図6(I)(左側のパネル)は、CD3×5T4二重特異性抗体bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR(A)およびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR(B)がHeLa細胞への用量依存的結合を呈し、最大結合は単一特異性二価5T4抗体IgG1-5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARよりも高いことを示している。bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR(C)の場合、HeLa細胞では、最大結合は単一特異性二価5T4抗体IgG1-5T4-226-FEARのそれと類似していた。
【0317】
図6(I)(右側のパネル)は、CD3×5T4二重特異性抗体bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR(A)、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR(B)およびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR(C)がMDA-MB-231細胞への用量依存的結合を呈し、最大結合は単一特異性二価5T4抗体IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARより高いことを示している。これらの実験に含めた陰性対照抗体IgG1-b12-K409R(3μg/mL)はHeLa細胞およびMDA-MB-231細胞への結合を示さなかった。
【0318】
2回目の実験では、染色を上述のように、ただしわずかな調整を加えて行った。細胞を、5倍希釈ステップで0.000128~10μg/mLの範囲の、抗体の段階希釈液と共にインキュベートした。二次抗体として、染色緩衝液に1:200希釈したフィコエリトリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Jackson Immunoresearch、英国、カタログ番号109-116-098)を使用した。
【0319】
図6(II)および図6(III)は、抗体bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびIgG1-5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEARおよびIgG1-5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-085-FEARおよびIgG1-5T4-085-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-127-FEARおよびIgG1-5T4-127-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A1-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEARが、HeLa腫瘍細胞およびMDA-MB-231腫瘍細胞への用量依存的結合を呈することを示している。一般に、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEAR、IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEAR、IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-106-FEAR、IgG1-5T4-085-FEARおよびIgG1-5T4-127-FEARは、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEAR、IgG1-5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEARと比較して低い抗体濃度での結合を呈する。
【0320】
実施例13: 精製T細胞をエフェクター細胞として使用する、CD3×5T4二重特異性抗体によるインビトロでのT細胞活性化、サイトカイン放出および細胞傷害の誘導
標的細胞として5T4陽性腫瘍細胞株を使用し、エフェクター細胞として精製T細胞を使用するインビトロ細胞傷害性アッセイで、CD3×5T4二重特異性抗体を試験した。T細胞は健常ヒトドナーバフィーコート(Sanquin、オランダ・アムステルダム)に由来し、RosetteSepヒトT細胞濃縮カクテル(Stemcell Technologies、フランス、カタログ番号15061)を使用して製造者の説明書に従って単離した。単離後の生存T細胞(総T細胞、CD4+T細胞またはCD8+T細胞)のパーセンテージを決定するために、単離T細胞の試料(1条件あたり2.5×105細胞)を、U-ウェル(U-well)96ウェルプレート(Cellstar、カタログ番号650180)中、以下の抗体を使って、4℃で30分間染色した:100μLのPBS/0.1%BSA/0.02%アジド(染色緩衝液)中のPacific Blue-抗CD3(eBiosciences、クローンOKT3)、APC-Cy-抗CD4(eBiosciences、クローンOKT4)、AF700-抗CD8(Biolegend、クローンRPA-T8)および生存マーカーFVS 510(BD Biosciences)。次に、細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、120μLの染色緩衝液に再懸濁し、BD LSRFortessa FACS(BD Biosciences、米国)で解析した。細胞傷害実験で使用したドナーのそれぞれについてCD3+、CD3+CD4+およびCD3+CD8+T細胞のパーセンテージを表6に記載する。
【0321】
(表6)ドナーごとのCD3+、CD4+およびCD8+T細胞の割合
【0322】
MDA-MB-231細胞(16,000細胞/ウェル)を平底96ウェルプレート(Greiner-bio-one、オランダ、カタログ番号655180)に播種し、37℃で4時間接着させておいた。T細胞を腫瘍細胞にE:T比=8:1で加えた。二重特異性CD3×5T4抗体または単一特異性二価5T4抗体の段階希釈液(1000~0.0128ng/mLの最終濃度範囲、5倍希釈液)を加え、プレートを37℃で72時間インキュベートした。次に、T細胞を含有する上清110μLをU底96ウェル培養プレート(CellStar、カタログ番号650180)に移した。プレートを4℃で3分間遠心分離(300×g)した後、75μLの上清をサイトカイン産生測定用に新しいプレートに移すと共に、T細胞はT細胞活性化マーカーを評価するために取っておいた(後述)。0.2μg/mLのCD3×5T4二重特異性抗体によって誘導されるサイトカイン産生は、マルチプレックスU-プレックスアッセイ(multiplex U-plex assay)(MeSo Scale Discovery、米国、カタログ番号K15049K)により、製造者の説明書に従って解析した。
【0323】
T細胞を、T細胞マーカーCD3(1:200、eBioscience、クローンOKT3、eFluor450にコンジュゲートされているもの)、CD4(1:50、eBioscience、クローンOKT4、APC-eFluor780にコンジュゲートされているもの)、CD8(1:100、Biolegend、クローンRPA-T8、AF700にコンジュゲートされているもの)、ならびにT細胞活性化マーカーCD69(1:50、BD Biosciences、クローンAB2439、APCにコンジュゲートされているもの)、CD25(1:50、eBioscience、クローンBC96、PE-Cy7にコンジュゲートされているもの)およびCD279/PD1(1:50、Biolegend、クローンEH12.2H7、BV605にコンジュゲートされているもの)について染色した。Ultracompビーズによる単一染色試料(5μL、Invitrogen、カタログ番号01-2222-42)をフローサイトメーターのコンペンセーション調整に使用した。4℃で30分間のインキュベーション後に、プレートをPBS/0.1%BSA/0.02%アジド(染色緩衝液)で3回洗浄した。細胞を120μLの染色緩衝液に再懸濁し、FACS Fortessa(BD Biosciences)を使って解析した。データはFlowJo(BD Biosciences)を使って処理した。
【0324】
並行して、レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシド)を使って腫瘍細胞の生存率を評価した。接着腫瘍細胞をPBSで2回洗浄し、10%の鉄含有ドナーウシ血清(Life Technologies、オランダ、カタログ番号10371-029)およびペニシリン/スレプトマイシン(Lonza、カタログ番号DE17-603E)を含有するRPMI-1640(Lonza、スイス、カタログ番号BE12-115F)培地中で、10%レサズリン(150μL、Life Technologies、オランダ、カタログ番号DAL1100)と共に、37℃で4時間インキュベートした。吸光度をEnvisionマルチラベルプレートリーダー(PerkinElmer、米国)で測定した。スタウロスポリン処理(Sigma-Aldrich、米国、カタログ番号S6942)腫瘍細胞試料の吸光度を生存率0%に設定し、無処理腫瘍細胞試料の吸光度を生存率100%に設定した。「生存細胞率」は次のように算出した:
生存細胞の%=([試料の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の吸光度]/[無処理標的細胞の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の吸光度])× 100
【0325】
用量応答曲線、EC50値およびIC50値は、GraphPad Prism V7.02ソフトウェア(GraphPadソフトウェア、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を使用し、非線形回帰を使って解析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。
【0326】
図7(I)は、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARが、5T4陽性腫瘍細胞株MDA-MB-231において、用量依存的な細胞傷害(生存細胞の%の減少として示されるもの)を誘導したことを示している。ドナー間変動が観察されたが、どちらのドナーのT細胞も、1μg/mLのCD3×5T4二重特異性抗体の存在下で最大の殺傷を誘導した。単一特異性二価抗体IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARは細胞傷害を誘導しなかった。グラフから算出されたIC50値を図7(II)に提示する。bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARのIC50値は、それぞれbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARと比較して低かった。対照的に、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEARのIC50値はbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARと同等だった。
【0327】
図8(I)は、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARがMDA-MB-231細胞株におけるT細胞媒介性細胞傷害(腫瘍細胞生存率の減少として示されるもの)を誘導したことを示している。二価単一特異性抗体IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEAR、IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-106-FEAR、IgG1-5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEARはT細胞媒介性細胞傷害を誘導しなかった。グラフから算出されたIC50値を図8(II)に提示する。bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEARによって誘導されるT細胞媒介性細胞傷害のIC50値は、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEARのIC50値より低い。また、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEARによって誘導されるT細胞媒介性細胞傷害のIC50値は、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARのIC50値より低い。
【0328】
T細胞活性化を、活性化マーカーPD1、CD25およびCD69に関する染色により、フローサイトメトリーで決定した(図9(I))。単一特異性二価抗体IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARは、これらのT細胞活性化マーカーのアップレギュレーションを誘導しなかったが、二重特異性抗体bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARは、PD1、CD25およびCD69の用量依存的アップレギュレーションを誘導した。グラフから算出されたEC50値を図9(II)に提示する。bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARによるPD1、CD25およびCD69のアップレギュレーションに関するEC50値は、それぞれbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARと比較して低かった。bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEARによるCD25およびCD69のアップレギュレーションに関するEC50値はbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARと比較して低かったが、PD1アップレギュレーションに関するEC50値は、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEARとbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEARとの間で同等だった。
【0329】
図10(I)は、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARが、MDA-MB-231細胞株と共にインキュベートした時に、T細胞活性化(図10(I)ではCD4+およびCD8+T細胞集団のうちのCD69+T細胞の%の増加によって例証される)を誘導し、一方、二価単一特異性抗体IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEAR、IgG1-5T4-059-FEAR、IgG1-5T4-106-FEAR、IgG1-5T4-A1-FEARおよびIgG1-5T4-A3-FEARはT細胞活性化を誘導しなかったことを示している。3種のT細胞活性化マーカーのEC50値を図10(II)に示す。一般に、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-106-FEARによって誘導されるT細胞活性化のEC50値(CD4+およびCD8+T細胞集団のうちのCD69+、CD25+およびPD1+細胞の%の増加)は、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-A3-FEARのEC50値より低い。また、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-106-FEARによって誘導されるT細胞活性化(CD4+およびCD8+T細胞集団のうちのCD69+、CD25+およびPD1+T細胞の%の増加)のEC50値は、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A1-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-A3-FEARのEC50値より低い。
【0330】
T細胞とMDA-MB-231細胞の共培養物を0.2μg/mLのCD3×5T4二重特異性抗体に曝露した後のサイトカインIL-10、IL-13およびTNFの産生を、培養上清において、マルチプレックスU-プレックスアッセイで測定した。図11に、二重特異性抗体と共にインキュベートした後のT細胞-腫瘍細胞共培養物の上清におけるサイトカインレベルを示す。実験は、2人の異なる健常ドナーからのT細胞を使って行った。図11AはドナーA由来のT細胞との共培養物からの結果を示す。図11BはドナーB由来のT細胞との共培養物からの結果を示す。二重特異性抗体bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-226-FEAR、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-059-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-059-FEARはすべてサイトカイン放出を誘導したが、IgG1-huCD3-H101G-FEAL由来のCD3特異的Fabアームを含有するCD3×5T4二重特異性抗体と共にインキュベートしたT細胞-腫瘍細胞共培養物におけるサイトカインレベルは、IgG1-huCD3-FEAL由来のCD3特異的Fabアームを含有する二重特異性抗体と共にインキュベートされた共培養物におけるサイトカインレベルより低かった。単一特異性抗体IgG1-5T4-207-FEAR、IgG1-5T4-226-FEARおよびIgG1-5T4-059-FEARはいかなるサイトカイン放出も誘導しなかった。
【0331】
実施例14: エフェクター細胞としてPBMCまたは精製T細胞をさまざまなエフェクター対標的比で使用した、CD3×5T4二重特異性抗体による、インビトロでの細胞傷害の誘導
二重特異性抗体bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARのT細胞媒介性殺傷の効率をさらに詳しく決定するために、細胞傷害性アッセイをさまざまなエフェクター対標的細胞(E:T)比で実施例13に記載したように行った。加えて、末梢血単核球(PBMC)または単離T細胞をエフェクター細胞として使用した。卵巣がん細胞株SK-OV-3(9,000細胞/ウェル、ATCC、カタログ番号HTB-77)を標的細胞株として使用した。PBMCは、ヒト血液(Sanquin)のバフィーコート40mLから、Ficoll勾配(Lonza、リンパ球分離媒体、カタログ番号17-829E)を使って、製造者の説明書に従って単離した。T細胞は実施例13で述べたように単離した。PBMCについては以下のE:T比を使用した。1:2、1:1、2:1、4:1、8:1および12:1。単離T細胞については以下のE:T比を使用した。1:2、1:1、2:1、4:1および8:1。2人の別個のドナーからのエフェクター細胞を各実験において使用した。表7に、各ドナーについて、PMBC単離物中またはT細胞単離物中のCD3+,CD3+CD4+およびCD3+CD8+T細胞のパーセンテージ(実施例13に記載したように決定したもの)の一覧を示す。
【0332】
(表7)ドナーごとのCD3+、CD4+およびCD8+T細胞の割合
【0333】
図12に示すように、2人の異なるドナーからのエフェクター細胞を使用したところ、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEARまたはbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARの存在下、4:1~12:1のE:T比で、SK-OV-3細胞の効率のよいPBMC媒介性殺傷がもたらされた。2:1以下のE:T比では、使用した最も高い抗体濃度(1000ng/mL)でも、SK-OV-3細胞の最大殺傷は達成されなかった。同様の結果が単離T細胞をエフェクター細胞として使用した場合にも観察された(図13)。2人の異なるドナーからのエフェクター細胞を使用したところ、使用した最も高い抗体濃度(1000ng/mL)のbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEARまたはbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARの存在下、4:1および8:1のE:T比で、SK-OV-3細胞の最大T細胞媒介性殺傷がもたらされ、一方、それより低いE:T比では最大殺傷を誘導するには十分でなかった。このように、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARによって誘導されるT細胞媒介性殺傷の有効性は、十分に高いE:T比に依存する。
【0334】
実施例15: ヒト化免疫系マウス異種移植片モデルにおけるCD3×5T4二重特異性抗体の抗腫瘍活性
CD3×5T4二重特異性抗体bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEARおよびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARのインビボ抗腫瘍有効性を、ヒトMDA-MB-231腫瘍細胞を皮下接種したヒト化(3~4週齢でCD34+造血幹細胞[HSC]を尾静脈注射)NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG-HIS)マウス(The Jackson Laboratoryから入手)において評価した。NSG-HISマウスの免疫系のヒト化は移植の16週後にフローサイトメトリーによって確認した。次に、NSG-HISマウスを、HSCドナー(#5239または#2328)および末梢血中のヒトCD45+集団のうちのヒトCD3+T細胞のパーセンテージ(平均hCD45+細胞%およびhCD3+細胞%はそれぞれ、PBS群の場合ではhCD45+ 42%およびhCD3+ 39%、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEARの場合ではhCD45+ 34%およびhCD3+ 25%、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARの場合ではhCD45+ 36%およびhCD3+ 29%)に基づいて、3つの群(各群8匹)にランダム化した。5×106個のMDA-MB-231細胞(100μL PBS中)をマウスの側腹部に皮下(SC)注射した。これをこの試験の0日目とした。14日目、18日目、21日目および25日目に、0.5mg/kgの抗体またはPBSを、マウスに静脈内(IV)注射した。処置群を表8に示す。カリパスを使って腫瘍成長を週に2回評価した(14日目に開始)。腫瘍体積(mm3)は、カリパス測定値から、0.52×(長さ)×(幅)2として算出した。
【0335】
結果を図14に示す。図14Aは、マン・ホイットニー統計解析に基づいて、対照群との比較で43日目に、bsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR(p<0.01)およびbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR(p<0.05)が、腫瘍成長を効率よく阻害したことを示している。さらにまた、Mantel Cox検定を使った無腫瘍生存曲線の統計解析(腫瘍サイズ<500mm3をカットオフとして使用するKaplan Meierプロット)により、無腫瘍生存率の増加は統計的に相違することが実証され、無処置動物との比較でbsIgG1-huCD3-FEAL×5T4-207-FEAR(p<0.001)またはbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEAR(p<0.001)で処置された動物における無腫瘍生存率の増加を示した(図14B)。
【0336】
(表8)処置群
【0337】
実施例16: アラニンスキャニングを用いる、抗体結合への5T4アミノ酸残基の寄与の決定
ライブラリー設計
ヒト5T4の細胞外ドメイン中のアミノ酸残基を、既にアラニンまたはシステインを含有する位置を除いてすべて、個別にアラニンに変異させた、ヒト5T4(Uniprot ID Q13641)単一残基アラニンライブラリーを合成した(GeneArt、Thermo Fisher Scientific)。抗原の構造破壊が起きる可能性を最小限に抑えるために、システインは変異させなかった。このライブラリーを、CMV/TK-ポリA発現カセット、アンピシリン耐性遺伝子およびpBR322複製起点を含有するpMAC発現ベクターにクローニングした。
【0338】
ライブラリーの作成とスクリーニング
FreeStyle HEK293細胞中で、製造者の説明書に従って(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号12347-019)、野生型5T4およびアラニン変異体を個別に発現させた。トランスフェクションの1日後に細胞を収穫した。およそ80,000細胞を、20μLのFITCコンジュゲート抗体(3μg/mL、FACS緩衝液(PBS[Lonza、カタログ番号BE17-517]+0.1%[w/v]BSA[Roche、カタログ番号10735086001]+0.02%[w/v]アジ化ナトリウム[NaN3、EMELCA Bioscience、カタログ番号41920044-3])中、表9)と共に、室温で40分インキュベートした。次に、150~180μLのFACS緩衝液を使用して、遠心分離により、細胞を2回洗浄した。細胞を30μLのFACS緩衝液に再懸濁し、iQueスクリーナー(Intellicyt Corporation)を使ったフローサイトメトリーによる解析まで、4℃で保存した。
【0339】
実験全体を2回行って、2つ組の測定値を得た。
【0340】
(表9)アラニンスキャニングを使った、抗体結合における5T4アミノ酸残基の寄与の決定に使用した抗体。実験を行う前に、5T4に一価結合する抗体をFITC(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号46425)で標識した。IgG1-5T4-A1-F405LおよびIgG1-5T4-A3-F405Lは、それぞれ、F405L変異を含有するヒトIgG1バックボーンにクローニングされた代用A1抗体および代用A3抗体である。したがって代用A1抗体は、WO2007106744に開示されているA1抗体の可変領域と同一の可変領域を有する。同様に、A3代用抗体は、WO2007106744に開示されているA3抗体の可変領域と同一の可変領域を有する。どちらの抗体でもFcドメインはF405L置換を保持する。
【0341】
データ解析
すべての試料について、細胞1つあたりに結合している抗体の平均量を、生存単一細胞集団について、蛍光強度の幾何平均(gMFI)として決定した。gMFIは5T4変異体に対する抗体の親和性および細胞1つあたりの5T4変異体の発現レベルに左右される。特定のアラニン変異は変異5T4の表面発現レベルに影響を及ぼしうるので、また一般に各5T4変異体についての発現量の相違を補正するためにも、各抗体に関するデータを、非交差遮断性5T4特異的対照抗体の結合強度に対して、以下の等式を使って標準化した:
【0342】
式中、「aa位置」は、アラニンへと変異させた位置を指す。また、抗体の結合の喪失または獲得を表現するために、以下の計算に従って、Z-スコアを算出した:
【0343】
式中、μおよびσは、すべての変異体から算出された標準化gMFIの平均および標準偏差である。
【0344】
ある特定の5T4変異体に関する対照抗体のgMFIが、(全変異体からの)平均gMFI対照Abの平均gMFI対照Ab-2.5×SDより低い場合は、データは解析から除外した(これらの5T4変異体の発現レベルは結論を引き出すには十分でないと仮定した)。296番目(SEQ ID NO:1)のアミノ酸Wがこれに該当した。
【0345】
結果
図15は、ECD中、すなわち位置32~355(SEQ ID NO:1に従う)中に、単一アラニン変異を持つヒト5T4変種への、試験した抗体の結合結果を示している。これらの結果は、ヒト5T4の73番目のアミノ酸R、74番目のT、92番目のY、94番目のR、95番目のNまたは138番目のFをアラニンに変異させた場合に、抗体bsIgG1-b12-FEAL×5T4-059-FEAR-FITCが結合の喪失を示すことを表している。これは、抗体IgG1-5T4-059-04-FEARの結合が、少なくとも、ヒト5T4(SEQ ID NO:1)のアミノ酸R73、T74、Y92、R94、N95、F138に依存することを示唆している。抗体bsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR-FITCは、ヒト5T4の69番目のアミノ酸S、73番目のR、92番目のY、94番目のR、111番目のF、138番目のF、148番目のDをアラニンに変異させた場合に、結合の喪失を示した。これは、抗体IgG1-5T4-207-FEARの結合が、少なくとも、ヒト5T4(SEQ ID NO:1)のアミノ酸S69、R73、Y92、R94、F111、F138およびD148に依存することを示唆している。抗体bsIgG1-b12-FEAL×5T4-226-FEAR-FITCは、ヒト5T4の73番目のアミノ酸R、92番目のY、94番目のR、111番目のF、138番目のF、144番目のLまたは148番目のDをアラニンに変異させた場合に、結合の喪失を示した。これは、抗体IgG1-5T4-226-FEARの結合が、少なくとも、ヒト5T4(SEQ ID NO:1)のアミノ酸R73、Y92、R94、F111、F138、L144およびD148に依存することを示唆している。抗体bsIgG1-5T4-A3-F405L×b12-FEAR-FITCは、ヒト5T4の60番目のアミノ酸D、61番目のQ、88番目のD、89番目のL、92番目のY、111番目のF、115番目のP、117番目のL、138番目のF、148番目のDまたは152番目のNをアラニンに変異させた場合に、結合の喪失を示した。これは、抗体IgG1-5T4-A3-FEARの結合が、少なくとも、ヒト5T4(SEQ ID NO:1)のアミノ酸D60、Q61、D88、L89、Y92、F111、P115、L117、F138、D148およびN152に依存することを示唆している。
【0346】
いくつかのアミノ酸は結合に間接的に関与しているかもしれない。例えば、疎水性残基をアラニンに変異させると、局所的フォールディングに強い影響が生じ、直接的に相互作用する残基の位置決めに影響するかもしれない(Zhao et al.,2014 Structure 22,612-620)。構造データ(ヒト5T4結晶構造4cnm、RCSBタンパク質データバンク)によれば、以下の残基は埋没しており、それゆえに以下:
・抗体bsIgG1-b12-FEAL×5T4-059-04-FEAR-FITC: F138、
・抗体bsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR-FITC: F111、F138、D148、
・抗体bsIgG1-b12-FEAL×5T4-226-FEAR-FITC: F111、F138、L144、D148、
・抗体bsIgG1-5T4-A3-F405L×b12-FEAR-FITC: L89、F111、L117、F138、D148、N152
への結合に間接的に寄与することが予想される。
【0347】
抗体と直接的に相互作用できるのは表面露出残基に限られるので、以下の残基は、以下:
・抗体bsIgG1-b12-FEAL×5T4-059-FEAR-FITC: R73、T74、Y92、R94およびN95、
・抗体bsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR-FITC: S69、R73、Y92およびR94、
・抗体bsIgG1-b12-FEAL×5T4-226-FEAR-FITC: R73、Y92およびR94、
・抗体bsIgG1-5T4-A3-F405L×b12-FEAR-FITC: D60、Q61、D88、Y92およびP115
と直接的に相互作用すると予想される。
【0348】
総合すると、これらの結果から、抗体IgG1-5T4-059、IgG1-5T4-207およびIgG1-5T4-226はすべて、アミノ酸残基R73、Y92およびR94との直接的相互作用によって結合すると考えられる。これらの結果は、抗体IgG1-5T4-059、IgG1-5T4-207およびIgG1-5T4-226が、それぞれ、IgG1-5T4-A3によって結合されるエピトープとは異なるが、それと部分的にオーバーラップしているエピトープに結合することも示している。これは、実施例3および実施例4に記載の置き換え挙動と一致する。
【0349】
実施例17: 適応の異なる細胞株におけるインビトロでのCD3×5T4二重特異性抗体によるT細胞活性化および細胞傷害の誘導
標的細胞として膵がんおよび子宮頸がんの腫瘍細胞株を使用し、エフェクター細胞として精製T細胞を使用するインビトロ細胞傷害性アッセイで、CD3×5T4二重特異性抗体を試験した。各適応(膵がんおよび子宮頸がん)について2つの代表的細胞株を選択した。インビトロ細胞傷害性アッセイで使用した腫瘍細胞株を表10に要約する。T細胞はヒトドナーバフィーコート(Sanquin、オランダ・アムステルダム)に由来し、RosetteSepヒトT細胞濃縮カクテル(Stemcell Technologies、フランス、カタログ番号15061)を使用して製造者の説明書に従って単離した。インビトロ細胞傷害性アッセイおよびT細胞活性化解析では、表10に要約するように、各細胞株について少なくとも3人の異なるドナーを試験した。
【0350】
(表10)インビトロ細胞傷害性アッセイに使用した腫瘍細胞株
【0351】
腫瘍細胞(16,000細胞/ウェル)を平底96ウェルプレート(Greiner Bio-one、オランダ、カタログ番号655180)に播種し、37℃で4時間接着させておいた。T細胞を腫瘍細胞にE:T比=4:1で加えた。bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARまたは対照抗体(bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×b12-FEAR、bsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR)の段階希釈液を加え(5000~0.0128ng/mLの範囲の最終濃度、5倍希釈)、プレートを37℃で72時間インキュベートした。次に、T細胞を含有する上清110μLを丸底96ウェル培養プレート(CellStar、カタログ番号650180)に移し、4℃で3分間、遠心分離した(300×g)。PBS/0.1%BSA/0.02%アジド(染色緩衝液)50μLに希釈したCD3-eFluor450(1:200、eBioscience、クローンOKT3)、CD4-APC-eFluor780(1:50、eBioscience、クローンOKT4)、CD8-AF700(1:100、Biolegend、クローンRPA-T8)ならびにT細胞活性化マーカーCD69-APC(1:50、BD Biosciences、クローンAB2439)、CD25-PE-Cy7(1:50、eBioscience、クローンBC96)およびCD279/PD1-BV605(1:50、Biolegend、クローンEH12.2H7)と共にインキュベートすることにより、T細胞を、T細胞マーカーについて染色した。Ultracompビーズによる単一染色試料(5μL、Invitrogen、カタログ番号01-2222-42)をフローサイトメーターのコンペンセーション調整に使用した。4℃で30分間のインキュベーション後に、プレートを染色緩衝液で3回洗浄した。細胞を120μLの染色緩衝液に再懸濁し、FACS Fortessa(BD Biosciences)を使って解析した。データはFlowJo(バージョン10、BD Biosciences)を使って処理した。
【0352】
並行して、レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシド)を使って腫瘍細胞の生存率を評価した。接着腫瘍細胞をPBSで2回洗浄し、10%の鉄含有ドナーウシ血清(Life Technologies、オランダ、カタログ番号10371-029)およびペニシリン/スレプトマイシン(Lonza、カタログ番号DE17-603E)を補足したRPMI-1640培地(Lonza、スイス、カタログ番号BE12-115F)中で、10%レサズリン(150μL、Life Technologies、オランダ、カタログ番号DAL1100)と共に、37℃で4時間インキュベートした。吸光度をEnvisionマルチラベルプレートリーダー(PerkinElmer、米国)で測定した。スタウロスポリン処理(Sigma-Aldrich、米国、カタログ番号S6942)細胞の吸光度を生存率0%に設定し、無処理細胞の吸光度を生存率100%に設定した。「生存細胞率」は次のように算出した:
生存細胞の%=([試料の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の吸光度]/[無処理標的細胞の吸光度 - スタウロスポリン処理標的細胞の吸光度])× 100
【0353】
細胞傷害曲線、T細胞活性化曲線、IC50値(細胞傷害)およびEC50値(T細胞活性化)は、GraphPad Prism V7.02ソフトウェア(GraphPadソフトウェア、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を使用し、非線形回帰を使って解析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。
【0354】
図16(I)は、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARが、適応が異なる一連の細胞株において細胞傷害を誘導したのに対し、腫瘍細胞またはT細胞だけを標的とする対照二重特異性抗体(bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×b12-FEAR、bsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR)は細胞傷害を何も示さなかったことを表している。図16(II)は、異なるドナーで試験した細胞株(少なくともn=3)のそれぞれに関する平均IC50値を表す。図17(I)は、適応の異なる一連の細胞株においてbsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARによって誘導されるT細胞活性化であって、CD4+およびCD8+T細胞上のCD69(CD4+集団のうちのまたはCD8+集団のうちのCD69+細胞の%)のアップレギュレーションによって測定されるものを表す。腫瘍細胞またはT細胞だけを標的とする対照二重特異性抗体(bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×b12-FEAR、bsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEAR)はT細胞活性化を一切誘導しなかった。図17(II)は、異なるドナーで試験した細胞株のそれぞれに関する平均EC50値を表す(少なくともn=3)。
【0355】
これらのデータは、bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×5T4-207-FEARが、膵がんおよび子宮頸がんにおいて、T細胞媒介性細胞傷害およびT細胞活性化を特異的に誘導することができ、一方、対照二重特異性抗体bsIgG1-huCD3-H101G-FEAL×b12-FEARおよびbsIgG1-b12-FEAL×5T4-207-FEARはT細胞活性化およびT細胞媒介性細胞傷害を誘導しないことを示している。
【0356】
参考文献
【0357】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> Genmab A/S
<120> Antibodies
<150> EP 18161293.8
<151> 2018-03-12
<150> EP 18175347.6
<151> 2018-05-31
<160> 105
<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 420
<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<400> 1
Met Pro Gly Gly Cys Ser Arg Gly Pro Ala Ala Gly Asp Gly Arg Leu
1 5 10 15
Arg Leu Ala Arg Leu Ala Leu Val Leu Leu Gly Trp Val Ser Ser Ser
20 25 30
Ser Pro Thr Ser Ser Ala Ser Ser Phe Ser Ser Ser Ala Pro Phe Leu
35 40 45
Ala Ser Ala Val Ser Ala Gln Pro Pro Leu Pro Asp Gln Cys Pro Ala
50 55 60
Leu Cys Glu Cys Ser Glu Ala Ala Arg Thr Val Lys Cys Val Asn Arg
65 70 75 80
Asn Leu Thr Glu Val Pro Thr Asp Leu Pro Ala Tyr Val Arg Asn Leu
85 90 95
Phe Leu Thr Gly Asn Gln Leu Ala Val Leu Pro Ala Gly Ala Phe Ala
100 105 110
Arg Arg Pro Pro Leu Ala Glu Leu Ala Ala Leu Asn Leu Ser Gly Ser
115 120 125
Arg Leu Asp Glu Val Arg Ala Gly Ala Phe Glu His Leu Pro Ser Leu
130 135 140
Arg Gln Leu Asp Leu Ser His Asn Pro Leu Ala Asp Leu Ser Pro Phe
145 150 155 160
Ala Phe Ser Gly Ser Asn Ala Ser Val Ser Ala Pro Ser Pro Leu Val
165 170 175
Glu Leu Ile Leu Asn His Ile Val Pro Pro Glu Asp Glu Arg Gln Asn
180 185 190
Arg Ser Phe Glu Gly Met Val Val Ala Ala Leu Leu Ala Gly Arg Ala
195 200 205
Leu Gln Gly Leu Arg Arg Leu Glu Leu Ala Ser Asn His Phe Leu Tyr
210 215 220
Leu Pro Arg Asp Val Leu Ala Gln Leu Pro Ser Leu Arg His Leu Asp
225 230 235 240
Leu Ser Asn Asn Ser Leu Val Ser Leu Thr Tyr Val Ser Phe Arg Asn
245 250 255
Leu Thr His Leu Glu Ser Leu His Leu Glu Asp Asn Ala Leu Lys Val
260 265 270
Leu His Asn Gly Thr Leu Ala Glu Leu Gln Gly Leu Pro His Ile Arg
275 280 285
Val Phe Leu Asp Asn Asn Pro Trp Val Cys Asp Cys His Met Ala Asp
290 295 300
Met Val Thr Trp Leu Lys Glu Thr Glu Val Val Gln Gly Lys Asp Arg
305 310 315 320
Leu Thr Cys Ala Tyr Pro Glu Lys Met Arg Asn Arg Val Leu Leu Glu
325 330 335
Leu Asn Ser Ala Asp Leu Asp Cys Asp Pro Ile Leu Pro Pro Ser Leu
340 345 350
Gln Thr Ser Tyr Val Phe Leu Gly Ile Val Leu Ala Leu Ile Gly Ala
355 360 365
Ile Phe Leu Leu Val Leu Tyr Leu Asn Arg Lys Gly Ile Lys Lys Trp
370 375 380
Met His Asn Ile Arg Asp Ala Cys Arg Asp His Met Glu Gly Tyr His
385 390 395 400
Tyr Arg Tyr Glu Ile Asn Ala Asp Pro Arg Leu Thr Asn Leu Ser Ser
405 410 415
Asn Ser Asp Val
420

<210> 2
<211> 420
<212> PRT
<213> Macaca Fascicularis
<400> 2
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1 5 10 15
Arg Leu Ala Arg Leu Ala Leu Val Leu Leu Gly Trp Val Ser Ser Ser
20 25 30
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355 360 365
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Tyr Arg Tyr Glu Ile Asn Ala Asp Pro Arg Leu Thr Asn Leu Ser Ser
405 410 415
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420

<210> 3
<211> 379
<212> PRT
<213> Gallus Gallus
<400> 3
Met Pro Gly Arg Glu Ala Glu Arg Arg Gly Ala Leu Cys Leu Gly Leu
1 5 10 15
Leu Leu His Ala Leu Leu Gly Cys Gly Ser Ala Gln Pro Pro Ala Ala
20 25 30
Cys Pro Ala Pro Cys Glu Cys Ser Glu Ala Ala Lys Thr Val Lys Cys
35 40 45
Val Asn Lys Asn Leu Thr Glu Val Pro Pro Asp Leu Pro Pro Tyr Val
50 55 60
Arg Asn Leu Phe Ile Thr Gly Asn Arg Leu Gly Arg Leu Pro Ala Gly
65 70 75 80
Ala Leu Ser Ala Pro Arg Leu Ala Glu Leu Gly Ser Leu Asn Leu Ser
85 90 95
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100 105 110
Ala Leu Arg Gln Leu Asp Leu Gly Gly Asn Pro Leu Ala Glu Leu Ser
115 120 125
Pro Leu Ala Phe Gly Arg Ala Ser Pro Leu Glu Glu Leu Ala Leu Arg
130 135 140
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145 150 155 160
Gln Ala Gly Ala Leu Arg Asn Leu Ser Arg Leu Glu Leu Ala Asp Asn
165 170 175
Gly Leu Leu Leu Leu Pro Thr Gly Met Leu Gly Ala Leu Pro Ala Leu
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Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly
210 215 220
Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu
225 230 235 240
Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
245 250 255
Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn
260 265 270
Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe
275 280 285
Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn
290 295 300
Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr
305 310 315 320
Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
325 330

<210> 92
<211> 330
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 92
Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys
1 5 10 15
Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
20 25 30
Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser
35 40 45
Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser
50 55 60
Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr
65 70 75 80
Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys
85 90 95
Arg Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys
100 105 110
Pro Ala Pro Glu Phe Glu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro
115 120 125
Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys
130 135 140
Val Val Val Ala Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp
145 150 155 160
Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu
165 170 175
Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu
180 185 190
His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn
195 200 205
Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly
210 215 220
Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu
225 230 235 240
Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
245 250 255
Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn
260 265 270
Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Leu
275 280 285
Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn
290 295 300
Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr
305 310 315 320
Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
325 330

<210> 93
<211> 330
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 93
Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys
1 5 10 15
Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
20 25 30
Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser
35 40 45
Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser
50 55 60
Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr
65 70 75 80
Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys
85 90 95
Arg Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys
100 105 110
Pro Ala Pro Glu Phe Glu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro
115 120 125
Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys
130 135 140
Val Val Val Ala Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp
145 150 155 160
Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu
165 170 175
Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu
180 185 190
His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn
195 200 205
Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly
210 215 220
Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu
225 230 235 240
Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
245 250 255
Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn
260 265 270
Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe
275 280 285
Leu Tyr Ser Arg Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn
290 295 300
Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr
305 310 315 320
Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
325 330

<210> 94
<211> 330
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 94
Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys
1 5 10 15
Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
20 25 30
Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser
35 40 45
Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser
50 55 60
Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr
65 70 75 80
Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys
85 90 95
Arg Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys
100 105 110
Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro
115 120 125
Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys
130 135 140
Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp
145 150 155 160
Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu
165 170 175
Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu
180 185 190
His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn
195 200 205
Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly
210 215 220
Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu
225 230 235 240
Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
245 250 255
Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn
260 265 270
Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe
275 280 285
Leu Tyr Ser Arg Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn
290 295 300
Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr
305 310 315 320
Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
325 330

<210> 95
<211> 107
<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<400> 95
Arg Thr Val Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu
1 5 10 15
Gln Leu Lys Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe
20 25 30
Tyr Pro Arg Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln
35 40 45
Ser Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser
50 55 60
Thr Tyr Ser Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu
65 70 75 80
Lys His Lys Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser
85 90 95
Pro Val Thr Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
100 105

<210> 96
<211> 106
<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<400> 96
Gly Gln Pro Lys Ala Ala Pro Ser Val Thr Leu Phe Pro Pro Ser Ser
1 5 10 15
Glu Glu Leu Gln Ala Asn Lys Ala Thr Leu Val Cys Leu Ile Ser Asp
20 25 30
Phe Tyr Pro Gly Ala Val Thr Val Ala Trp Lys Ala Asp Ser Ser Pro
35 40 45
Val Lys Ala Gly Val Glu Thr Thr Thr Pro Ser Lys Gln Ser Asn Asn
50 55 60
Lys Tyr Ala Ala Ser Ser Tyr Leu Ser Leu Thr Pro Glu Gln Trp Lys
65 70 75 80
Ser His Arg Ser Tyr Ser Cys Gln Val Thr His Glu Gly Ser Thr Val
85 90 95
Glu Lys Thr Val Ala Pro Thr Glu Cys Ser
100 105

<210> 97
<211> 127
<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<400> 97
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Gln Ala Ser Gly Tyr Arg Phe Ser Asn Phe
20 25 30
Val Ile His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Arg Phe Glu Trp Met
35 40 45
Gly Trp Ile Asn Pro Tyr Asn Gly Asn Lys Glu Phe Ser Ala Lys Phe
50 55 60
Gln Asp Arg Val Thr Phe Thr Ala Asp Thr Ser Ala Asn Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Arg Ser Leu Arg Ser Ala Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Val Gly Pro Tyr Ser Trp Asp Asp Ser Pro Gln Asp Asn Tyr
100 105 110
Tyr Met Asp Val Trp Gly Lys Gly Thr Thr Val Ile Val Ser Ser
115 120 125

<210> 98
<211> 108
<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<400> 98
Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly
1 5 10 15
Glu Arg Ala Thr Phe Ser Cys Arg Ser Ser His Ser Ile Arg Ser Arg
20 25 30
Arg Val Ala Trp Tyr Gln His Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Val
35 40 45
Ile His Gly Val Ser Asn Arg Ala Ser Gly Ile Ser Asp Arg Phe Ser
50 55 60
Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Thr Arg Val Glu
65 70 75 80
Pro Glu Asp Phe Ala Leu Tyr Tyr Cys Gln Val Tyr Gly Ala Ser Ser
85 90 95
Tyr Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Arg Lys
100 105

<210> 99
<211> 363
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 99
Met Pro Gly Gly Cys Ser Arg Gly Pro Ala Ala Gly Asp Gly Arg Leu
1 5 10 15
Arg Leu Ala Arg Leu Ala Leu Val Leu Leu Gly Trp Val Ser Ser Ser
20 25 30
Ser Pro Thr Ser Ser Ala Ser Ser Phe Ser Ser Ser Ala Pro Phe Leu
35 40 45
Ala Ser Ala Val Ser Ala Gln Pro Pro Leu Pro Asp Gln Cys Pro Ala
50 55 60
Leu Cys Glu Cys Ser Glu Ala Ala Arg Thr Val Lys Cys Val Asn Arg
65 70 75 80
Asn Leu Thr Glu Val Pro Thr Asp Leu Pro Ala Tyr Val Arg Asn Leu
85 90 95
Phe Leu Thr Gly Asn Gln Leu Ala Val Leu Pro Ala Gly Ala Phe Ala
100 105 110
Arg Arg Pro Pro Leu Ala Glu Leu Ala Ala Leu Asn Leu Ser Gly Ser
115 120 125
Arg Leu Asp Glu Val Arg Ala Gly Ala Phe Glu His Leu Pro Ser Leu
130 135 140
Arg Gln Leu Asp Leu Ser His Asn Pro Leu Ala Asp Leu Ser Pro Phe
145 150 155 160
Ala Phe Ser Gly Ser Asn Ala Ser Val Ser Ala Pro Ser Pro Leu Val
165 170 175
Glu Leu Ile Leu Asn His Ile Val Pro Pro Glu Asp Glu Arg Gln Asn
180 185 190
Arg Ser Phe Glu Gly Met Val Val Ala Ala Leu Leu Ala Gly Arg Ala
195 200 205
Leu Gln Gly Leu Arg Arg Leu Glu Leu Ala Ser Asn His Phe Leu Tyr
210 215 220
Leu Pro Arg Asp Val Leu Ala Gln Leu Pro Ser Leu Arg His Leu Asp
225 230 235 240
Leu Ser Asn Asn Ser Leu Val Ser Leu Thr Tyr Val Ser Phe Arg Asn
245 250 255
Leu Thr His Leu Glu Ser Leu His Leu Glu Asp Asn Ala Leu Lys Val
260 265 270
Leu His Asn Gly Thr Leu Ala Glu Leu Gln Gly Leu Pro His Ile Arg
275 280 285
Val Phe Leu Asp Asn Asn Pro Trp Val Cys Asp Cys His Met Ala Asp
290 295 300
Met Val Thr Trp Leu Lys Glu Thr Glu Val Val Gln Gly Lys Asp Arg
305 310 315 320
Leu Thr Cys Ala Tyr Pro Glu Lys Met Arg Asn Arg Val Leu Leu Glu
325 330 335
Leu Asn Ser Ala Asp Leu Asp Cys Asp Pro Ile Leu Pro Pro Ser Leu
340 345 350
Gln Thr Ser His His His His His His His His
355 360

<210> 100
<211> 327
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 100
Met Pro Gly Gly Cys Ser Arg Gly Pro Ala Ala Gly Asp Gly Arg Leu
1 5 10 15
Arg Leu Ala Arg Leu Ala Leu Val Leu Leu Gly Trp Val Ser Ser Ser
20 25 30
Ser Pro Thr Ser Ser Ala Ser Ser Phe Ser Ser Ser Ala Pro Phe Leu
35 40 45
Ala Ser Ala Val Ser Ala Gln Pro Pro Leu Pro Asp Gln Cys Pro Ala
50 55 60
Leu Cys Glu Cys Ser Glu Ala Ala Arg Thr Val Lys Cys Val Asn Arg
65 70 75 80
Asn Leu Thr Glu Val Pro Thr Asp Leu Pro Ala Ala Pro Ser Thr Cys
85 90 95
Ser Lys Pro Thr Cys Pro Pro Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val
100 105 110
Phe Ile Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr
115 120 125
Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser Gln Asp Asp Pro Glu
130 135 140
Val Gln Phe Thr Trp Tyr Ile Asn Asn Glu Gln Val Arg Thr Ala Arg
145 150 155 160
Pro Pro Leu Arg Glu Gln Gln Phe Asn Ser Thr Ile Arg Val Val Ser
165 170 175
Thr Leu Pro Ile Ala His Gln Asp Trp Leu Arg Gly Lys Glu Phe Lys
180 185 190
Cys Lys Val His Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile
195 200 205
Ser Lys Ala Arg Gly Gln Pro Leu Glu Pro Lys Val Tyr Thr Met Gly
210 215 220
Pro Pro Arg Glu Glu Leu Ser Ser Arg Ser Val Ser Leu Thr Cys Met
225 230 235 240
Ile Asn Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ser Val Glu Trp Glu Lys Asn
245 250 255
Gly Lys Ala Glu Asp Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Ala Val Leu Asp Ser
260 265 270
Asp Gly Ser Tyr Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Ser Val Pro Thr Ser Glu
275 280 285
Trp Gln Arg Gly Asp Val Phe Thr Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu
290 295 300
His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Ile Ser Arg Ser Pro Gly Lys His
305 310 315 320
His His His His His His His
325

<210> 101
<211> 276
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 101
Met Trp Trp Arg Leu Trp Trp Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu Trp
1 5 10 15
Pro Met Val Trp Ala Gln Asp Gly Asn Glu Glu Met Gly Gly Ile Thr
20 25 30
Gln Thr Pro Tyr Lys Val Ser Ile Ser Gly Thr Thr Val Ile Leu Thr
35 40 45
Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Glu
50 55 60
Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly Glu
65 70 75 80
Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser Val Ser Ser Tyr Leu
85 90 95
Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu Ile Tyr
100 105 110
Asp Ala Ser Asn Arg Ala Thr Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser
115 120 125
Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Glu Pro Glu
130 135 140
Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Gln Arg Ser Asn Trp Pro Ile Thr
145 150 155 160
Phe Gly Gln Gly Thr Arg Leu Glu Ile Lys Arg Thr Val Ala Ala Pro
165 170 175
Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys Ser Gly Thr
180 185 190
Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg Glu Ala Lys
195 200 205
Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln Glu
210 215 220
Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Leu Ser Ser
225 230 235 240
Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys Val Tyr Ala
245 250 255
Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr Lys Ser Phe
260 265 270
Asn Arg Gly Glu
275

<210> 102
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial sequence
<220>
<223> CDR consensus sequence
<400> 102
Tyr Tyr Gly Met Asp Val
1 5

<210> 103
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial sequence
<220>
<223> CDR consensus sequence
<220>
<221> Xaa
<222> (5)..(5)
<223> Xaa is G or E
<400> 103
Ile Asp His Ser Xaa Ser Thr
1 5

<210> 104
<211> 16
<212> PRT
<213> Artificial sequence
<220>
<223> CDR consensus sequence
<220>
<221> Xaa
<222> (2)..(2)
<223> Xaa is A or G
<220>
<221> Xaa
<222> (8)..(8)
<223> Xaa is W or Y
<220>
<221> Xaa
<222> (9)..(9)
<223> Xaa is D or H
<400> 104
Ala Xaa Trp Phe Gly Glu Leu Xaa Xaa Tyr Tyr Tyr Gly Met Asp Val
1 5 10 15

<210> 105
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial sequence
<220>
<223> CDR consensus sequence
<220>
<221> Xaa
<222> (6)..(6)
<223> Xaa is Y or F
<400> 105
Gln Ser Val Ser Ser Xaa
1 5
図1
図2
図3
図4
図5(I)】
図5(II)-1】
図5(II)-2】
図6(I)】
図6(II)】
図6(III)】
図7(I)】
図7(II)】
図8(I)】
図8(II)】
図9(I)-1】
図9(I)-2】
図9(II)】
図10(I)-1】
図10(I)-2】
図10(II)】
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16(I)】
図16(II)】
図17(I)】
図17(II)】
【配列表】
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