(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】プレストレス導入ユニット
(51)【国際特許分類】
E01D 1/00 20060101AFI20240304BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20240304BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20240304BHJP
E01D 19/12 20060101ALI20240304BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20240304BHJP
E04C 5/12 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
E01D1/00 D
E01D21/00 Z
E01D22/00 Z
E01D19/12
E04G21/12 104B
E04C5/12
(21)【出願番号】P 2022178376
(22)【出願日】2022-11-07
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】三浦 裕太
(72)【発明者】
【氏名】岩田 康則
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一成
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-325518(JP,A)
【文献】特開2020-147913(JP,A)
【文献】特開2016-047995(JP,A)
【文献】特開2002-161587(JP,A)
【文献】特開2020-169546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00
E01D 19/12
E01D 21/00-22/00
E04G 21/12
E04B 1/22
E04C 5/00- 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC鋼材と、該PC鋼材の各端近傍に取り付けられた一対の定着部材と、前記PC鋼材に引張力を導入するための反力が前記各定着部材又は前記PC鋼材の各端近傍に伝達されるようにかつ前記PC鋼材が挿通される形で該PC鋼材と同軸に配置された一対の筒状反力部材と、該一対の筒状反力部材に生じている反力を、それらの対向端部を接近させることで解放することができるようになっている反力解放機構とを備えるとともに、該反力解放機構を、前記PC鋼材を貫通させるための貫通開口がそれぞれ形成されるとともに該PC鋼材の材軸に直交する面に対して傾きを有する傾斜面がそれぞれ設けられていて該各傾斜面が互いに当接される形で配置された一対の楔状部材と、前記材軸の直交方向に沿った前記一対の楔状部材の相対移動量を調整自在な相対移動量調整手段とで構成してなり、
前記一対の楔状部材は、前記各傾斜面の反対側に位置する面を圧力載荷面として該圧力載荷面を介して前記各対向端部からそれぞれ圧縮力が伝達されるようになっているとともに、前記各傾斜面の一方が他方を摺動する形で相対移動する際にそれらの相対移動が拘束されることがないように前記各貫通開口を切り欠き状又は長孔状に形成してあり、前記材軸回りの相対回転が拘束されるように該一対の楔状部材の一方に凸部を、該凸部に係止される凹部又は凸部を他方にそれぞれ形成したことを特徴とするプレストレス導入ユニット。
【請求項2】
前記一対の楔状部材の対向側に段状端部をそれぞれ設けてそれらの突出部分の端面に形成された突出側傾斜面と非突出部分の端面に形成された非突出側傾斜面とで前記各傾斜面をそれぞれ構成するとともに、前記各突出部分をそれぞれ前記凸部とした請求項1記載のプレストレス導入ユニット。
【請求項3】
前記相対移動量調整手段を、前記一対の楔状部材を前記材軸の側方から挟み込む一対の挟み込み部材と該一対の挟み込み部材を相互に連結する連結機構とで構成した請求項1又は請求項2記載のプレストレス導入ユニット。
【請求項4】
PC鋼材と、該PC鋼材の各端近傍に取り付けられた一対の定着部材と、前記PC鋼材に引張力を導入するための反力が前記各定着部材又は前記PC鋼材の各端近傍に伝達されるようにかつ前記PC鋼材が挿通される形で該PC鋼材と同軸に配置された一対の筒状反力部材と、該一対の筒状反力部材に生じている反力を、それらの対向端部を接近させることで解放することができるようになっている反力解放機構とを備えるとともに、該反力解放機構を、前記PC鋼材を貫通させるための貫通開口がそれぞれ形成されるとともに該PC鋼材の材軸に直交する面に対して傾きを有する傾斜面がそれぞれ設けられていて該各傾斜面が互いに当接される形で配置された一対の楔状部材と、前記材軸の直交方向に沿った前記一対の楔状部材の相対移動量を調整自在な相対移動量調整手段とで構成してなり、
前記一対の楔状部材は、前記各傾斜面の反対側に位置する面を圧力載荷面として該圧力載荷面を介して前記各対向端部からそれぞれ圧縮力が伝達されるようになっているとともに、前記各傾斜面の一方が他方を摺動する形で相対移動する際にそれらの相対移動が拘束されることがないように前記各貫通開口を切り欠き状又は長孔状に形成してあり、
前記相対移動量調整手段は、前記一対の楔状部材を前記材軸の側方から挟み込む一対の挟み込み部材と該一対の挟み込み部材を相互に連結する連結機構とで構成してあり、
前記一対の楔状部材及び前記一対の挟み込み部材は、該一対の楔状部材の横断面を非円形とするとともに、それらの周面に当接するように前記一対の挟み込み部材に嵌合凹部を対向形成することで、前記一対の挟み込み部材に対する前記各楔状部材の前記材軸回りの回転が拘束されるように構成してあることを特徴としたプレストレス導入ユニット。
【請求項5】
前記PC鋼材を貫通させるための台座側貫通開口がそれぞれ形成された中間台座を前記各対向端部と前記一対の楔状部材との間にそれぞれ配置するとともに、前記一対の楔状部材の相対移動が拘束されることがないように前記各台座側貫通開口を切り欠き状又は長孔状に形成した
請求項1、請求項2又は請求項4記載のプレストレス導入ユニット。
【請求項6】
前記PC鋼材を貫通させるための台座側貫通開口がそれぞれ形成された中間台座を前記各対向端部と前記一対の楔状部材との間にそれぞれ配置するとともに、前記一対の楔状部材の相対移動が拘束されることがないように前記各台座側貫通開口を切り欠き状又は長孔状に形成した
請求項3記載のプレストレス導入ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレストレストコンクリートを構築する際に用いられるプレストレス導入ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
プレストレストコンクリート(PC)は、プレストレスの導入時期によって、プレテンション方式とポストテンション方式とに大別されるが、プレテンション方式は、緊張材が取り付けられた反力台から反力をとる形で該緊張材に引張力を導入し、この状態でコンクリートを打設した後、コンクリートの強度発現を待って緊張材を反力台から取り外すといった手順になるため、基本的には、工場でプレキャストコンクリート(PCa)部材を製作する際に採用される。
【0003】
一方、ポストテンション方式は、緊張材をコンクリート内に自由に配置することができるので、さまざまな形状の場所打ちコンクリートに対して容易にかつ大きなプレストレスを導入することが可能であり、橋梁工事等の現場で数多く採用されているが、鉄筋工事と錯綜しながらのシースの配置に時間を要する、油圧ジャッキを据え付けるためのスペースや足場が必要になるといった点が、工期やコストの面で不利になる場合がある。
【0004】
かかる状況下、予め緊張材に引張力が導入されてなるユニットを、その引張力が保持されたまま現場に搬入設置し、コンクリート打設後、該コンクリートの強度発現を待って引張力を解放することにより、コンクリートにプレストレスを導入する工法が開発されており、該工法によれば、橋梁工事等の現場でプレテンション方式を採用することが可能となる。
【0005】
上記プレストレス導入ユニットには、中空材からなる緊張材の内部に挿通された反力材を利用して緊張材に引張力を導入し、打設コンクリートが硬化した後、緊張材周面での付着を介してコンクリートにプレストレスを導入する形式のほか、中空材からなる反力体を利用してその内部に挿通された緊張材に引張力を導入し、打設コンクリートが硬化した後、緊張材の端部に取り付けられた定着具での支圧を介してコンクリートにプレストレスを導入する形式のものも知られており、後者の例としては、中空材からなる2つの反力体をそれらの材軸が共通の軸線上に沿うように並置し、それらが向かい合う位置で離間方向に押し拡げることで緊張材に引張力を導入するとともに、逆方向に緩めることで該引張力を解放してコンクリートにプレストレスを導入するように構成されたものが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-325518号公報
【文献】特開2020-147913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載のプレストレス導入ユニット1においては、PC鋼棒2が緊張材に、反力鞘管5,6が2つの反力体にそれぞれ相当するが、同ユニットの場合、反力台10,10から反力をとりつつ、PC鋼棒2に引張力を発生させる一方、反力鞘管6に螺合した特殊ナット7を回してその先端に形成された押圧フランジ部7bを反力鞘管5の端面に当接させることで、反力台10,10で支持していた反力を圧縮力として反力鞘管5,6で受け替えるという手順になる。
【0008】
しかしながら、PC鋼棒2に導入された引張力を解放すべく、特殊ナット7を回す際、押圧フランジ部7bと反力鞘管5の端面との間に大きな摩擦力が生じているために、現場での解放操作が困難になる場合があるという問題を生じていた。
【0009】
ちなみに、特許文献2には、特許文献1の課題を解決する発明が開示されているが、引張力を解放するための技術思想は、本願発明とは本質的に異なる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、反力体に生じている反力をスムーズに解放することが可能なプレストレス導入ユニットを提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るプレストレス導入ユニットは請求項1に記載したように、PC鋼材と、該PC鋼材の各端近傍に取り付けられた一対の定着部材と、前記PC鋼材に引張力を導入するための反力が前記各定着部材又は前記PC鋼材の各端近傍に伝達されるようにかつ前記PC鋼材が挿通される形で該PC鋼材と同軸に配置された一対の筒状反力部材と、該一対の筒状反力部材に生じている反力を、それらの対向端部を接近させることで解放することができるようになっている反力解放機構とを備えるとともに、該反力解放機構を、前記PC鋼材を貫通させるための貫通開口がそれぞれ形成されるとともに該PC鋼材の材軸に直交する面に対して傾きを有する傾斜面がそれぞれ設けられていて該各傾斜面が当接される形で配置された一対の楔状部材と、前記材軸の直交方向に沿った前記一対の楔状部材の相対移動量を調整自在な相対移動量調整手段とで構成してなり、
前記一対の楔状部材は、前記各傾斜面の反対側に位置する面を圧力載荷面として該圧力載荷面を介して前記各対向端部からそれぞれ圧縮力が伝達されるようになっているとともに、前記各傾斜面の一方が他方を摺動する形で相対移動する際にそれらの相対移動が拘束されることがないように前記各貫通開口を切り欠き状又は長孔状に形成してあり、前記材軸回りの相対回転が拘束されるように前記各傾斜面の一方に凸部を該凸部に係止される凹部又は凸部を他方に形成したものである。
【0012】
また、本発明に係るプレストレス導入ユニットは、前記一対の楔状部材の対向側に段状端部をそれぞれ設けてそれらの突出部分の端面に形成された突出側傾斜面と非突出部分の端面に形成された非突出側傾斜面とで前記各傾斜面をそれぞれ構成するとともに、前記各突出部分をそれぞれ前記凸部としたものである。
【0013】
また、本発明に係るプレストレス導入ユニットは、前記相対移動量調整手段を、前記一対の楔状部材を前記材軸の側方から挟み込む一対の挟み込み部材と該一対の挟み込み部材を相互に連結する連結機構とで構成したものである。
【0014】
また、本発明に係るプレストレス導入ユニットは請求項4に記載したように、PC鋼材と、該PC鋼材の各端近傍に取り付けられた一対の定着部材と、前記PC鋼材に引張力を導入するための反力が前記各定着部材又は前記PC鋼材の各端近傍に伝達されるようにかつ前記PC鋼材が挿通される形で該PC鋼材と同軸に配置された一対の筒状反力部材と、該一対の筒状反力部材に生じている反力を、それらの対向端部を接近させることで解放することができるようになっている反力解放機構とを備えるとともに、該反力解放機構を、前記PC鋼材を貫通させるための貫通開口がそれぞれ形成されるとともに該PC鋼材の材軸に直交する面に対して傾きを有する傾斜面がそれぞれ設けられていて該各傾斜面が互いに当接される形で配置された一対の楔状部材と、前記材軸の直交方向に沿った前記一対の楔状部材の相対移動量を調整自在な相対移動量調整手段とで構成してなり、
前記一対の楔状部材は、前記各傾斜面の反対側に位置する面を圧力載荷面として該圧力載荷面を介して前記各対向端部からそれぞれ圧縮力が伝達されるようになっているとともに、前記各傾斜面の一方が他方を摺動する形で相対移動する際にそれらの相対移動が拘束されることがないように前記各貫通開口を切り欠き状又は長孔状に形成してあり、
前記相対移動量調整手段は、前記一対の楔状部材を前記材軸の側方から挟み込む一対の挟み込み部材と該一対の挟み込み部材を相互に連結する連結機構とで構成してあり、
前記一対の楔状部材及び前記一対の挟み込み部材は、該一対の楔状部材の横断面を非円形とするとともに、それらの周面に当接するように前記一対の挟み込み部材に嵌合凹部を対向形成することで、前記一対の楔状部材の前記材軸回りの相対回転が拘束されるように構成したものである。
【0015】
また、本発明に係るプレストレス導入ユニットは請求項5に記載したように、前記PC鋼材を貫通させるための台座側貫通開口がそれぞれ形成された中間台座を前記各対向端部と前記一対の楔状部材との間にそれぞれ配置するとともに、前記一対の楔状部材の相対移動が拘束されることがないように前記各台座側貫通開口を切り欠き状又は長孔状に形成したものである。
また、本発明に係るプレストレス導入ユニットは請求項6に記載したように、前記PC鋼材を貫通させるための台座側貫通開口がそれぞれ形成された中間台座を前記各対向端部と前記一対の楔状部材との間にそれぞれ配置するとともに、前記一対の楔状部材の相対移動が拘束されることがないように前記各台座側貫通開口を切り欠き状又は長孔状に形成したものである。
【0016】
[本発明の作用]
本発明に係るプレストレス導入ユニットにおいては、従来技術と同様、一対からなる筒状反力部材の対向端部を接近させることにより、PC鋼材に導入されるべき引張力の反力として該一対の筒状反力部材に生じていた圧縮力を解放するようになっているが、本発明の反力解放機構は、PC鋼材を貫通させるための貫通開口がそれぞれ形成された一対の楔状部材と、PC鋼材の材軸の直交方向に沿った一対の楔状部材の相対移動量を調整自在な相対移動量調整手段とで構成してある。
【0017】
かかる構成においてコンクリートにプレストレスを導入する際には、PC鋼材に引張力が導入された上述のプレストレス導入ユニットをコンクリート打設領域に配置し、次いで、反力解放機構の周囲にコンクリートが充填されないよう留意しつつ、該コンクリート打設領域にコンクリートを打設して強度発現を待ち、しかる後、相対移動量調整手段を用いて一対の楔状部材の上記材軸に沿った全体寸法が短くなるように該一対の楔状部材を相対移動させる。
【0018】
このようにすると、楔状部材の全体寸法が短くなった分、一対の筒状反力部材の対向端部が接近し、該各筒状反力部材に生じていた圧縮力が消失するとともに、反力としての圧縮力が消失したことに伴い、PC鋼材に導入されていた引張力は、一対の定着部材を介して周囲のコンクリートに圧縮力として伝達され、該コンクリートは、プレストレストコンクリートとして機能する。
【0019】
ここで、従来においては、一対の筒状反力部材に生じている圧縮力を、それらが作用し合うナットなどの機械部品の当接面で解放操作していたので、圧縮力によって機械部品の当接面に生じる摩擦力が過大になって解放操作が困難になる場合があったが、本発明においては、圧縮力のかなりの部分を楔状部材の傾斜面で互いに支持させながら、その傾斜角度に応じた分力を相対移動量調整手段で支持しつつ、該相対移動量調整手段で一対の楔状部材の相対移動量を調整することにより圧縮力の解放を行う。
【0020】
すなわち、本発明に係るプレストレス導入ユニットにおいて、一対の筒状反力部材に生じている圧縮力を解放する動作は、その圧縮力が直接作用し合う部位ではなく、一対の楔状部材の傾斜面によって生じる分力が作用する部位で行われるものであって、かかる構成によれば、従来のように、機械部品の当接面に生じる摩擦力が過大になって解放操作が困難になるという懸念がなくなる。
【0021】
[本発明の作用(請求項1~請求項3)]
特に、請求項1乃至請求項3に係る各発明においては、一対の楔状部材の材軸回りの相対回転が拘束されるように、該一対の楔状部材の一方に凸部を、該凸部に係止される凹部又は凸部を他方にそれぞれ形成したので、一対の楔状部材がPC鋼材の材軸回りに相対回転する懸念がなくなり、上述の解放操作をより確実に行うことが可能となる。
【0022】
一対の楔状部材のうち、一方に凸部を設けるとともに、他方に凹部又は凸部を設ける構成としては、以下の組み合わせ、すなわち、
(a)一方の楔状部材に凸部を設け、他方の楔状部材に凹部を設ける
(b)一方の楔状部材に凸部を設け、他方の楔状部材に凸部を設ける
が可能であり、一対の楔状部材の対向側に段状端部をそれぞれ設けてそれらの突出部分の端面に形成された突出側傾斜面と非突出部分の端面に形成された非突出側傾斜面とで前記各傾斜面をそれぞれ構成するとともに、前記各突出部分をそれぞれ前記凸部とした構成が一つの具体例となる。
【0023】
請求項1又は請求項2の各発明における相対移動量調整手段は、一対からなる楔状部材の上記材軸に沿った全体寸法が短くなるように該一対の楔状部材を相対移動させることにより、一対の筒状反力部材の対向端部を接近させることができるのであれば、その具体的構成は任意であるが、一対の楔状部材を上記材軸の側方から挟み込む一対の挟み込み部材と該一対の挟み込み部材を相互に連結する連結機構とで構成する場合が典型例となる。
【0024】
かかる構成においては、連結機構を例えばボルト及びナットで構成した場合だと、一対の挟み込み部材が互いに離れるようにナットを緩めることにより、一対の楔状部材の上記材軸に沿った全体寸法が短くなるように該一対の楔状部材を相対移動させることができる。
【0025】
[本発明の作用(請求項4)]
また、請求項4に係る発明においては、一対の楔状部材及び一対の挟み込み部材が、該一対の楔状部材の横断面を非円形とするとともに、それらの周面に当接するように前記一対の挟み込み部材に嵌合凹部を対向形成することで、一対の挟み込み部材に対する各楔状部材の上記材軸回りの回転が拘束されるように構成してあるので、一対の楔状部材のそれぞれが一対の挟み込み部材に対して回転することが防止されるとともに、その結果として、請求項1乃至請求項3に係る各発明と同様、一対の楔状部材がPC鋼材の材軸回りに相対回転する懸念もなくなるため、上述した解放操作の確実性がさらに高まる。
【0026】
楔状部材の横断面を非円形とする構成は、矩形断面や楕円状断面がその具体例となる。
【0027】
[本発明の作用(請求項5)]
請求項1乃至請求項4に係る各発明における筒状反力部材の対向端部は、一対からなる楔状部材の各圧力載荷面にそれぞれ直接当接させるようにしてもかまわないが、対向端部が当接することで楔状部材の相対移動が妨げられる懸念があるのであれば、PC鋼材を貫通させるための台座側貫通開口がそれぞれ形成された中間台座を各対向端部と各楔状部材との間にそれぞれ配置するとともに、一対の楔状部材の相対移動が拘束されることがないように各台座側貫通開口を切り欠き状又は長孔状に形成した構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本実施形態に係るプレストレス導入ユニット1をPC鋼棒2に引張力が導入された状態で示した側面図。
【
図3】プレストレス導入ユニット1を構成する楔状部材11a,11bを示した図であり、(a)は分解斜視図、(b)は楔状部材11aの側面図、(c)はA-A線方向から見た楔状部材11aの正面図、(d)は楔状部材11bの側面図、(e)はB-B線方向から見た楔状部材11bの正面図。
【
図4】楔状部材11a,11bをそれらの摺動領域及び係止領域とともに示した分解斜視図であり、(a)は、摺動領域をハッチングで示した分解斜視図、(b)及び(c)は、係止領域をハッチングで示した分解斜視図であって、(b)はPC鋼棒2の引張力の反力となる圧縮力が筒状反力部材4a,4bに生じている状態の図、(c)は上記圧縮力が解放される際の図。
【
図5】プレストレス導入ユニット1の作用を示した図であり、(a)は、PC鋼棒2の引張力の反力となる圧縮力が筒状反力部材4a,4bに生じている状態の詳細側面図、(b)は同じく詳細斜視図、(c)は上記圧縮力が解放される際の詳細側面図、(d)は同じく詳細斜視図。
【
図6】プレストレス導入ユニット1をPC鋼棒2に引張力が導入される前の状態で示した側面図。
【
図7】PC鋼棒2に引張力を導入する様子を示した全体斜視図。
【
図8】プレストレス導入ユニット1を用いて、コンクリートにプレストレスを導入する様子を示した側面図。
【
図9】プレストレス導入ユニット1を用いてプレキャストコンクリート部材を相互に連結する場合において、その適用対象となる橋梁の床版を示した図であり、(a)は平面図、(b)はC-C線方向から見た矢視図。
【
図10】プレストレス導入ユニット1を用いて橋梁の床版を架け替える様子を示した図。
【
図11】引き続き橋梁の床版を架け替える様子を示した図であって、(a)は後打ちコンクリート打設を行う前、(b)は打設後の様子を示した平面図。
【
図12】引き続き橋梁の床版を架け替える様子を示した図であって、筒状反力部材4a,4bの圧縮力(PC鋼棒2の引張力による反力)が解放されたことによってプレキャストコンクリート部材103a,103bが互いに連結される様子を示した平面図。
【
図13】プレストレス導入ユニット1の作用を示した説明図。
【
図14】変形例に係る一対の楔状部材311a,311bを示した図であり、(a)は楔状部材311aの側面図、(b)はD-D線方向から見た楔状部材311aの正面図、(c)は楔状部材311bの側面図、(b)はE-E線方向から見た楔状部材311bの正面図。
【
図15】別の変形例に係る一対の楔状部材511a,511bを示した図であり、(a)は楔状部材511aの側面図、(b)はF-F線方向から見た楔状部材511aの正面図、(c)は楔状部材511bの側面図、(b)はG-G線方向から見た楔状部材511bの正面図。
【
図16】第2実施形態に係る楔状部材711a,711b及び挟み込み部材712,713を示した図であり、(a)は分解斜視図、(b)は分解正面図。
【
図17】第2実施形態に係るプレストレス導入ユニットの作用を示した図であり、(a)は、PC鋼棒2の引張力の反力となる圧縮力が筒状反力部材4a,4bに生じている状態の詳細側面図、(b)は同じく詳細斜視図、(c)は上記圧縮力が解放される際の詳細側面図、(d)は同じく詳細斜視図。
【
図18】変形例に係る楔状部材811a,811b及び挟み込み部材812,813を示した図であり、(a)は分解斜視図、(b)は分解正面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るプレストレス導入ユニットの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0030】
[第1実施形態]
図1乃至
図5は、本実施形態に係るプレストレス導入ユニットを示した図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係るプレストレス導入ユニット1は、PC鋼材としてのPC鋼棒2と、該PC鋼棒の各端近傍に取り付けられた一対の定着部材としての定着板3a,3bと、一対の筒状反力部材4a,4bと、反力解放機構5とを備える。
【0031】
ここで、PC鋼棒2に引張力が導入されその反力として筒状反力部材4a,4bにそれぞれ圧縮力が発生している状態においては、
図1に示すように、PC鋼棒2は、全長がL
pとなり、筒状反力部材4a,4bはそれぞれ全長がL
rとなる。
【0032】
定着板3a,3bはそれぞれ円形状をなし、PC鋼棒2に予め導入された引張力を、定着板3a,3bの対向面を介して支圧力としてコンクリートに伝達することにより、該コンクリートにプレストレスを導入できるようになっている。
【0033】
ここで、定着板3bは、溶着、係着、螺着等によってPC鋼棒2の一端に固定してあるが、定着板3aについては、該定着板に設けられた挿通孔31にPC鋼棒2を挿通できるようになっており、PC鋼棒2の他端に設けられた雄ネジ32に定着ナット33を螺合することにより、PC鋼棒2への取付け位置を調整できるようになっている。
【0034】
図2でよくわかるように、筒状反力部材4a,4bはそれぞれ中空円筒部材で構成してあり、PC鋼棒2に引張力を導入するための反力である圧縮力が、互いに反対側となる端部7a,7bを介して定着板3a,3bの対向面にそれぞれ伝達されるように、かつPC鋼棒2が挿通される形で該PC鋼棒と同軸に配置してある。
【0035】
反力解放機構5は、筒状反力部材4a,4bの対向端部を構成する角形状の台座8a,8bを接近させることにより、該筒状反力部材に生じていた圧縮力を解放できるようになっており、一対の楔状部材11a,11bと、該楔状部材をPC鋼棒2の材軸10の側方から挟み込む一対の挟み込み部材12,13と、該挟み込み部材を相互に連結する連結機構としての2組のボルト14及びナット15と、中間台座16a,16bとで構成してある。
【0036】
楔状部材11a,11bは
図3(a)に示すように、周面24a,24bが概ね円柱状周面となるように形成してあるとともにPC鋼棒2を貫通させるための切り欠き状の貫通開口17a,17bがそれぞれ形成してあり、対向側には段状端部201a,201bがそれぞれ設けてあるとともに、それらの反対側を圧力載荷面19a,19bとして該圧力載荷面に中間台座16a,16bを介して台座8a,8bからそれぞれ圧縮力が伝達されるようになっている。
【0037】
段状端部201aは
図3(b),(c)でよくわかるように、楔状部材11bとの対向側からみたとき、貫通開口17aを取り囲むように逆J字状に突出部分211aが設けてあって、その端面には、PC鋼棒2の材軸10に直交する面に対して傾きを有する突出側傾斜面212aが形成してあるとともに、段差213aを介して該突出部分に隣り合う非突出部分214aの端面には、上記傾きと同じ傾きを有する非突出側傾斜面215aを設けてある。
【0038】
同様に、段状端部201bは
図3(d),(e)でよくわかるように、楔状部材11aとの対向側からみたとき、貫通開口17bを取り囲むようにJ字状に突出部分211bが設けてあって、その端面には、PC鋼棒2の材軸10に直交する面に対して傾きを有する突出側傾斜面212bが形成してあるとともに、段差213bを介して該突出部分に隣り合う非突出部分214bの端面には、上記傾きと同じ傾きを有する非突出側傾斜面215bを設けてある。
【0039】
ここで、突出側傾斜面212a及び非突出側傾斜面215bは
図4(a)に示すように、それらの一方が他方を摺動する形で相対移動するようになっているとともに、突出側傾斜面212b及び非突出側傾斜面215aは、それらの一方が他方を摺動する形で相対移動するようになっていて、突出側傾斜面212b及び非突出側傾斜面215bと突出側傾斜面212a及び非突出側傾斜面215aはそれぞれ本発明の傾斜面として機能するとともに、既に述べた切り欠き状の貫通開口17a,17bは、それらの相対移動が拘束されることがないようになっている。
【0040】
なお、
図4(a)においては、突出側傾斜面212aと非突出側傾斜面215bとの摺動領域及び突出側傾斜面212bと非突出側傾斜面215aとの摺動領域をハッチングでそれぞれ示してある。
【0041】
一方、
図4(b),(c)に示すように、突出部分211aは、その段差213aを介して突出部分211bの内周面221b(貫通開口17bの内周面の一部)に係止されるとともに、突出部分211bは、その段差213bを介して突出部分211aの内周面221a(貫通開口17aの内周面の一部)に係止されるようになっていて、楔状部材11a,11bの材軸10回りの相対回転が拘束されるようになっており、突出部分211a及び突出部分211bはそれぞれ本発明の凸部として機能する。
【0042】
なお、
図4(b)及び(c)においては、突出部分211aと突出部分211bの内周面221bとの係止領域、及び突出部分211bと突出部分211aの内周面221aとの係止領域を、同図矢印方向に沿った楔状部材11a,11bの相対移動の大きさに応じてそれぞれハッチングで示してある。
【0043】
楔状部材11aの突出側傾斜面212a及び非突出側傾斜面215aと楔状部材11bの突出側傾斜面212b及び非突出側傾斜面215bは、できるだけ摩擦が生じないように、耐荷重に優れた潤滑剤を塗布する、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を被覆するなどの措置を講じておくのが望ましい。
【0044】
中間台座16a,16bは、PC鋼棒2を貫通させるための台座側貫通開口25a,25bをそれぞれ形成してあるとともに、楔状部材11a,11bの相対移動が拘束されることがないよう、貫通開口17a,17bと同様、各台座側貫通開口25a,25bを切り欠き状に形成してある。
【0045】
中間台座16a,16bは、台座8a,8bを介した筒状反力部材4a,4bからの圧縮力を、より広い作用面積をもって楔状部材11a,11bに確実に伝達する役目を果たすとともに、楔状部材11aや楔状部材11bが材軸10の直交方向に沿って相対移動する際、楔状部材11a,11bの側と台座8a,8bの側の二面で摺動可能とすることにより、楔状部材11a,11bの相対移動がより確実に行われるようになっている。
【0046】
中間台座16a,16bの両面には、楔状部材11aの突出側傾斜面212a及び非突出側傾斜面215aと楔状部材11bの突出側傾斜面212b及び非突出側傾斜面215bと同様、耐荷重に優れた潤滑剤を塗布する、PTFEを被覆するなどして摩擦低減を図るのが望ましい。
【0047】
挟み込み部材12,13はそれぞれ直方体状をなすとともに、それらの対向内面に湾曲凹部20,22をそれぞれ形成してあり、該湾曲凹部に楔状部材11b,11aの周面24b,24aがそれぞれ当接する形で該各楔状部材の一部がそれぞれ嵌合されるようになっているとともに、挟み込み部材12には湾曲凹部20を挟む位置にボルト孔21,21が、挟み込み部材13には湾曲凹部22を挟む位置にボルト孔23,23がそれぞれ設けてあり、2組のボルト孔21,23にボルト14をそれぞれ挿通して該各ボルトの先端にナット15を螺合するようになっている。
【0048】
なお、挟み込み部材12には、湾曲凹部20と反対側の面に座ぐり26を設けてあり、該座ぐりにボルト14の頭部が嵌め込まれるようになっている。
【0049】
挟み込み部材12,13の湾曲凹部20,22や楔状部材11b,11aの周面24b,24aには、楔状部材11a,11bや中間台座16a,16bの場合と同様、耐荷重に優れた潤滑剤を塗布する、PTFEを被覆するなどして摩擦低減を図るのが望ましい。
【0050】
連結機構であるボルト14、ナット15及び挟み込み部材12,13は
図5でよくわかるように、材軸10に沿った楔状部材11a,11bの全体寸法がL
wの状態(
図5(a),(b)の状態)から、各ナット15を緩み方向に回すことにより、全体寸法がL
w´の状態(
図5(c),(d)の状態)へと短くなるように、該楔状部材を相対移動させるようになっており、かかるボルト14及びナット15並びに挟み込み部材12,13は、PC鋼棒2の材軸10の直交方向に沿った楔状部材11a,11bの相対移動量を調整する相対移動量調整手段として機能する。
【0051】
本実施形態に係るプレストレス導入ユニット1においてPC鋼棒2に引張力を導入するには、まず、楔状部材11a,11bを、それらの貫通開口17a,17bが同軸となるように突出側傾斜面212a及び非突出側傾斜面215bを互いに当接させるとともに突出側傾斜面212b及び非突出側傾斜面215aを互いに当接させ、その状態でそれらを挟み込み部材12,13で挟み込んでボルト14とナット15で連結することにより、反力解放機構5を先行して組み立てる。中間台座16a,16bについては、後述する引張力導入工程に先だって、楔状部材11aと台座8aとの間及び楔状部材11bと台座8bとの間に適宜挿入配置すればよい。
【0052】
なお、PC鋼棒2は、引張力導入後は、
図1で説明したように全長がL
pに伸長するが、引張力導入前においては
図6に示すように、L
p´(<L
p)であり、筒状反力部材4a,4bは、引張力導入後は全長がL
rに収縮するが、圧縮力発生前においてはそれぞれL
r´(>L
r)である。
【0053】
次に、
図7に示すように、一端に定着板3bが取り付けられたPC鋼棒2を、筒状反力部材4b、反力解放機構5、筒状反力部材4aに順次挿通するとともに、該PC鋼棒の先端に設けられた雄ネジ32を定着板3aの挿通孔31に挿通し、該雄ネジにナット33を仮配置する。
【0054】
次に、同図黒矢印に示すように定着板3aから反力をとることにより、同図白矢印に示すようにPC鋼棒2に引張力を載荷する。
【0055】
引張力載荷にあたっては、チェアと呼ばれる反力架台を介在させつつ、雄ネジ32に引張力導入用ロッドをカプラーで連結し(いずれも図示せず)、その引張力導入用ロッドに引張力を載荷することで、定着板3aに均等な反力が作用するようにするのが望ましい。
【0056】
所定の引張力がPC鋼棒2に載荷されたならば、ナット33を締め込むことで、定着板3aを筒状反力部材4aの端部7aに押し付ける形で該筒状反力部材に固定し、しかる後、反力架台、引張力導入用ロッド及びカプラーを撤去する。
【0057】
このようにすると、PC鋼棒2の引張力は、筒状反力部材4a,4b及び反力解放機構5に発生した反力としての圧縮力と釣り合い、かくしてPC鋼棒2に引張力が導入される。
【0058】
一方、コンクリートにプレストレスを導入する際には、PC鋼棒2に引張力が導入された上述のプレストレス導入ユニット1をコンクリート打設領域に配置し、次いで、
図8に示すように、反力解放機構5の周囲にコンクリートが充填されないよう留意しつつ、コンクリート打設領域にコンクリート51を打設して強度発現を待ち、しかる後、ナット15を緩めて挟み込み部材12,13の連結距離を拡げることにより、材軸10に沿った楔状部材11a,11bの全体寸法が短くなるように該楔状部材を相対移動させる。
【0059】
このようにすると、楔状部材11a,11bの全体寸法が短くなった分、筒状反力部材4a,4bの対向端部である台座8a,8bが接近し、該各筒状反力部材に生じていた圧縮力が消失するとともに、反力としての圧縮力が消失したことに伴い、PC鋼棒2に導入されていた引張力は同図に示すように、定着板3a,3bを介して周囲のコンクリートに圧縮力として伝達され、該コンクリートは、プレストレストコンクリートとして機能する。
【0060】
次に、プレストレス導入ユニット1を用いてプレキャストコンクリート部材を相互に連結する方法を、橋梁の床版架替えに適用する場合について説明する。
【0061】
図9は、対象となる橋梁の床版101を示した平面図及びC-C線方向から見た矢視図である。
【0062】
同図に示すように、床版101は、矩形状のプレキャストコンクリート部材103a´,103b´を橋軸直交方向に互いに並置する形で橋梁の主桁102に架け渡してあるとともに、これらを橋軸方向に沿って列状に敷設して構成してある。
【0063】
プレキャストコンクリート部材103a´,103b´を架け替えるには、既に説明したように、まず、プレストレス導入ユニット1を構成するPC鋼棒2への引張力導入を工場等で行う。
【0064】
次に、架け替えられるべきあらたなプレキャストコンクリート部材103aを、該プレキャストコンクリート部材にPC鋼棒2への引張力が導入されたプレストレス導入ユニット1の定着板3aが埋設され定着板3bが突出するように製作する。
【0065】
一方、架け替えられるべきあらたなプレキャストコンクリート部材103bを、プレストレス導入ユニット1への引張力導入とは別工程で、後述する切り欠きが形成されるように製作する。
【0066】
次に、プレストレス導入ユニット1が先付けされたプレキャストコンクリート部材103aと、切り欠きが形成されたプレキャストコンクリート部材103bとを、施工現場である橋梁の床版架替え現場に搬入する。
【0067】
橋梁の床版架替えは、例えば片側二車線の場合、そのうちの一車線のみ通行止めとし、残りの一車線の通行を許可するようにすれば、全面通行止めを回避して道路渋滞を避けることができるので、これを例とすると、まず、
図10(a)に示すように、架替え対象となる既存のプレキャストコンクリート部材103a´,103b´のうち、まずはプレキャストコンクリート部材103b´だけを撤去し、次いで、同図(b)に示すように、その撤去箇所に切り欠き114が形成されたプレキャストコンクリート部材103bを設置する。
【0068】
次に、同図(c)に示すように既存のプレキャストコンクリート部材103a´を撤去した後、同図(d)に示すように、その撤去箇所にプレストレス導入ユニット1が先付けされたプレキャストコンクリート部材103aを設置する。
【0069】
プレキャストコンクリート部材103a,103bを設置するにあたっては、
図11(a)に示す通り、プレキャストコンクリート部材103bの切り欠き114内に定着板3bが位置決めされるよう、プレキャストコンクリート部材103a,103bを並置する。
【0070】
次に、同図(b)に示すように、切り欠き114内にコンクリートを打設するとともに、反力解放機構5を操作するための作業領域131を除いて、プレキャストコンクリート部材103a,103bの対向面115a,115bに拡がる空間にコンクリートを打設する。
【0071】
このようにすると、切り欠き114には、プレキャストコンクリート部材103bと連続一体化する形で引張力伝達部113が設けられるとともに、該引張力伝達部には、定着板3bが埋設される。
【0072】
また、プレキャストコンクリート部材103a,103bの対向面115a,115bに拡がる空間には、プレキャストコンクリート部材103a,103bと連続一体化する形で接合部116が設けられる。
【0073】
なお、プレキャストコンクリート部材103bに配筋された鉄筋(図示せず)を該プレキャストコンクリート部材から切り欠き114に適宜突出させることにより、プレキャストコンクリート部材103bと引張力伝達部113との連続一体化を高めるようにしておくとともに、プレキャストコンクリート部材103a,103bに配筋された鉄筋(図示せず)を該各プレキャストコンクリート部材から対向面115a,115bに拡がる空間に適宜突出させることにより、プレキャストコンクリート部材103a,103bと接合部116との連続一体化を高めるようにしておくのが望ましい。
【0074】
次に、引張力伝達部113や接合部116のコンクリート強度が発現した後、既に説明したように、プレストレス導入ユニット1を構成する筒状反力部材4a,4bの圧縮力を解放する。
【0075】
このようにすると、筒状反力部材4a,4bに生じていた圧縮力の解放に伴い、それを反力としていたPC鋼棒2の引張力は、
図12に示すように、定着板3b,3aにおける支圧を介して周辺コンクリートにおける圧縮力とバランスするとともに、該コンクリートの圧縮力は、プレキャストコンクリート部材103a,103bの対向面115a,115bから受ける圧縮反力でそれぞれバランスし、かくして、2つのプレキャストコンクリート部材103a,103bは、接合部116を介してそれらの対向面115a,115bに互いに作用する圧縮力を反力としたPC鋼棒2の引張力によって互いに引き寄せられ連結される。
【0076】
箱抜きされた作業領域131については、引張力解放後、コンクリートやモルタルを適宜充填すればよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係るプレストレス導入ユニット1によれば、コンクリートに埋設された状態で楔状部材11a,11bの全体寸法が短くなるように楔状部材11a,11bを相対移動させることで筒状反力部材4a,4bの台座8a,8bを接近させるようにしたので、機械部品の当接面における摩擦力が過大になることに起因して圧縮力の発生操作やその解放操作が困難になるという事態を回避しつつ、コンクリートにプレストレスを導入することが可能となり、特に、橋梁工事等の施工現場においてプレテンション方式のプレストレス導入を効率的に行うことが可能となる。
【0078】
すなわち、従来においては、圧縮力が作用し合うナットなどの機械部品の当接面でその発生操作や解放操作を行っていたので、その圧縮力によって機械部品の当接面に生じる摩擦力が過大になって各操作が困難になる場合があった。
【0079】
それに対し、本実施形態に係るプレストレス導入ユニット1において筒状反力部材4a,4bに生じていた圧縮力を解放すべく、楔状部材11a,11bの全体寸法が短くなるようにそれらを相対移動させる際には、
図13に示すように、筒状反力部材4aからの圧縮力Pのうち、楔状部材11aの突出側傾斜面212a及び非突出側傾斜面215aと楔状部材11bの突出側傾斜面212b及び非突出側傾斜面215bに垂直な分力P1が、楔状部材11bから楔状部材11aの突出側傾斜面212a及び非突出側傾斜面215aに作用する法線方向荷重Nで支持されることを踏まえると、相対移動量調整手段は、突出側傾斜面212a,212b及び非突出側傾斜面215a,215b(以下、単に傾斜面)に平行な分力P2だけを支持すればよい。
【0080】
具体的には、相対移動量調整手段が負担すべき反力Rは、
R=P・sinθ-μN (1)
θ;PC鋼棒2の材軸10に直交する面に対する傾斜面の傾き
μ;傾斜面の界面における摩擦係数
となるので、分力R1は、
R1=(P・sinθ-μN )cosθ (2)
となる。
【0081】
ここで、摩擦係数μを実質的に無視し得るとすると、
R1=P・sinθcosθ (2´)
となるから、tanθ=3/10の場合には、
R1=0.275P (3)
となり、挟み込み部材13を介して二組のボルト14及びナット15が負担すべき荷重R1は、筒状反力部材4aからの圧縮力Pの27.5%で足りることがわかる。
【0082】
このように、プレストレス導入ユニット1によれば、筒状反力部材4a,4bに生じている圧縮力の解放操作を、従来よりも格段に小さい作用荷重下で行うことが可能となり、施工現場での解放(コンクリートへのプレストレス導入)を効率よくかつ確実に行うことが可能となる。
【0083】
また、本実施形態に係るプレストレス導入ユニット1によれば、突出部分211aが、その段差213aを介して突出部分211bの内周面221bに係止されるとともに、突出部分211bが、その段差213bを介して突出部分211aの内周面221aに係止されるので、突出部分211a及び突出部分211bがそれぞれ本発明の凸部として機能し、かくして楔状部材11a,11bの材軸10回りの相対回転が拘束され、上述の解放操作をより確実に行うことが可能となる。
【0084】
本実施形態では、反力解放機構5に中間台座16a,16bを備えるようにしたが、筒状反力部材4a,4bから楔状部材11a,11bに圧縮力が伝達される際や、楔状部材11a,11bが相対移動する際に何ら問題がないのであれば、中間台座16a,16bを省略してもかまわない。
【0085】
また、本実施形態では、貫通開口17a,17bや台座側貫通開口25a,25bを切り欠き状としたが、楔状部材11a,11bの相対移動に問題がないのであれば、これらを長孔状としてもかまわない。
【0086】
また、本実施形態では、PC鋼棒2に引張力を導入するにあたって、
図7で説明したように、定着板3aから反力をとりつつ、PC鋼棒2に引張力を載荷し、しかる後、ナット33を締め込んで定着板3aを筒状反力部材4aの端部7aに押し付ける形で該筒状反力部材に固定するようにしたが、これに代えて、反力解放機構5を用いてPC鋼棒2に引張力を導入するようにしてもよい。
【0087】
すなわち、反力解放機構5を構成するボルト14及びナット15並びに挟み込み部材12,13を用いて、筒状反力部材4a,4bから伝達される圧縮力に抗しつつ、PC鋼棒2の材軸10に沿った楔状部材11a,11bの全体寸法がLw´からLwへと長くなるように該楔状部材を相対移動させる。
【0088】
このようにすると、楔状部材11a,11bの全体寸法が長くなった分、筒状反力部材4a,4bの対向端部である台座8a,8bが押し拡げられて圧縮力が発生するとともに、それに伴ってPC鋼棒2に引張力が導入される。
【0089】
また、本実施形態では、楔状部材11aの段状端部201aに設けられた突出部分211aの突出側傾斜面212aと楔状部材11bの段状端部201bに設けられた非突出部分214bの非突出側傾斜面215bとを、それらの一方が他方を摺動する形で相対移動するように、なおかつ楔状部材11bの段状端部201bに設けられた突出部分211bの突出側傾斜面212bと楔状部材11aの段状端部201aに設けられた非突出部分214aの非突出側傾斜面215aとを、それらの一方が他方を摺動する形で相対移動させることで、突出側傾斜面212a及び非突出側傾斜面215aと、突出側傾斜面212b及び非突出側傾斜面215bとをそれぞれ本発明の傾斜面として機能させるとともに、突出部分211aをその段差213aを介して突出部分211bの内周面221bに、なおかつ突出部分211bをその段差213bを介して突出部分211aの内周面221aにそれぞれ係止させることで、突出部分211a及び突出部分211bを本発明の凸部として機能させるように構成したが、本発明は、楔状部材11a,11bの材軸10回りの相対回転が拘束されるように該一対の楔状部材の一方に凸部を、該凸部に係止される凹部又は凸部を他方にそれぞれ形成すれば足りるものであって、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0090】
例えば、
図14に示すように、凸部である突出部分411a,411aが設けられてなる楔状部材311aと該突出部分が係止される凹部としての非突出部分411b,411bが設けられてなる楔状部材311bとで本発明の楔状部材を構成することが可能である。
【0091】
なお、かかる構成においては、非突出部分411b,411bに挟まれた楔状部材311bの突出部分を本発明の凸部、突出部分411a,411aに挟まれた楔状部材311aの非突出部分を本発明の凹部とみることもできるし、楔状部材311aの突出部分411a,411aと非突出部分411b,411bに挟まれた楔状部材311bの突出部分とをそれぞれ本発明の凸部とみることもできる。
【0092】
また、
図15に示すように、凹部としての溝611a,611aが形成されてなる楔状部材511aと該溝にそれぞれ嵌り込んで係止される凸部としての突条611b,611bが形成されてなる楔状部材511bとで本発明の楔状部材を構成するようにしてもかまわない。
【0093】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と実質的に同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0094】
本実施形態に係るプレストレス導入ユニットは第1実施形態と同様、PC鋼棒2と、該PC鋼棒の各端近傍に取り付けられた一対の定着板3a,3bと、一対の筒状反力部材4a,4bと、反力解放機構とを備えるが、本実施形態に係る反力解放機構は
図16に示すように、一対の楔状部材711a,711bと、該楔状部材をPC鋼棒2の材軸10の側方から挟み込む一対の挟み込み部材712,713と、該挟み込み部材を相互に連結する連結機構としての2組のボルト14及びナット15と、中間台座16a,16b(
図16には図示せず)とで構成してある。
【0095】
楔状部材711a,711bは、直方体を斜めに切断してなる各切断片に類似した形状をなし、PC鋼棒2を貫通させるための貫通開口717a,717bをそれぞれ形成してあるとともに、PC鋼棒2の材軸10に直交する面に対して傾きを有する傾斜面718a,718bがそれぞれ設けられていて該各傾斜面が当接される形で配置してある。
【0096】
楔状部材711a,711bは、各傾斜面718a,718bの反対側に位置する面を圧力載荷面719a,719bとして該圧力載荷面に中間台座16a,16bを介して台座8a,8bからそれぞれ圧縮力が伝達されるようになっているとともに、各傾斜面718a,718bの一方が他方を摺動する形で相対移動する際にそれらの相対移動が拘束されることがないよう、各貫通開口717a,717bを切り欠き状に形成してある。
【0097】
楔状部材711a,711bの傾斜面718a,718bは、できるだけ摩擦が生じないように、耐荷重に優れた潤滑剤を塗布する、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を被覆するなどの措置を講じておくのが望ましい。
【0098】
挟み込み部材712,713はそれぞれ直方体状をなすとともに、それらの対向内面には矩形断面をなす嵌合凹部としての嵌合溝720,722をそれぞれ形成してあり、該各嵌合溝に楔状部材711b,711aの周面724b,724aがそれぞれ当接する形で該各楔状部材の一部がそれぞれ嵌合されるようになっているとともに、挟み込み部材712には嵌合溝720を挟む位置にボルト孔21,21が、挟み込み部材713には嵌合溝722を挟む位置にボルト孔23,23がそれぞれ設けてあり、2組のボルト孔21,23にボルト14をそれぞれ挿通して該各ボルトの先端にナット15を螺合するようになっている。
【0099】
なお、挟み込み部材712には、嵌合溝720と反対側の面に座ぐり26を設けてあり、該座ぐりにボルト14の頭部が嵌め込まれるようになっている。
【0100】
挟み込み部材712,713の嵌合溝720,722や楔状部材711b,711aの周面724b,724aには、楔状部材711a,711bの傾斜面718a,718bや中間台座16a,16bの両面と同様、耐荷重に優れた潤滑剤を塗布する、PTFEを被覆するなどして摩擦低減を図るのが望ましい。
【0101】
連結機構であるボルト14、ナット15及び挟み込み部材712,713は
図17でよくわかるように、材軸10に沿った楔状部材711a,711bの全体寸法がL
wの状態(
図17(a),(b)の状態)から、各ナット15を緩み方向に回すことにより、全体寸法がL
w´の状態(
図17(c),(d)の状態)へと短くなるように、該楔状部材を相対移動させるようになっており、かかるボルト14及びナット15並びに挟み込み部材712,713は、PC鋼棒2の材軸10の直交方向に沿った楔状部材711a,711bの相対移動量を調整する相対移動量調整手段として機能する。
【0102】
また、楔状部材711a,711b及び挟み込み部材712,713は、挟み込み部材712,713に形成された嵌合溝720,722に楔状部材711b,711aの一部がそれぞれ嵌合されることにより、挟み込み部材712,713に対する楔状部材711a,711bの材軸10回りの回転が拘束されるようになっている。
【0103】
本実施形態に係るプレストレス導入ユニットにおいてPC鋼棒2に引張力を導入する手順やコンクリートにプレストレスを導入する手順、さらには上記プレストレス導入ユニットを用いてプレキャストコンクリート部材を相互に連結する方法については、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0104】
以上説明したように、本実施形態に係るプレストレス導入ユニットによれば、第1実施形態と同様、コンクリートに埋設された状態で楔状部材711a,711bの全体寸法が短くなるように楔状部材711a,711bを相対移動させることで筒状反力部材4a,4bの台座8a,8bを接近させるようにしたので、機械部品の当接面における摩擦力が過大になることに起因して圧縮力の発生操作やその解放操作が困難になるという事態を回避しつつ、コンクリートにプレストレスを導入することが可能となり、特に、橋梁工事等の施工現場においてプレテンション方式のプレストレス導入を効率的に行うことが可能となる。
【0105】
また、本実施形態に係るプレストレス導入ユニットによれば、挟み込み部材712,713に形成された嵌合溝720,722に楔状部材711b,711aの一部がそれぞれ嵌合されることにより、挟み込み部材712,713に対する楔状部材711a,711bの材軸10回りの回転がそれぞれ拘束されるとともに、その結果として楔状部材711a,711bの材軸10回りの相対回転が拘束されるようになっているので、上述した解放操作をより確実に行うことが可能となる。
【0106】
本実施形態では、挟み込み部材712,713に嵌合溝720,722を形成して該各嵌合溝に楔状部材711b,711aの一部がそれぞれ嵌合されることにより、挟み込み部材712,713に対する楔状部材711a,711bの材軸10回りの回転を防止するようにしたが、本発明においては、一対の楔状部材の横断面を非円形とするとともに、それらの周面に当接するように一対の挟み込み部材に嵌合凹部を対向形成することで、一対の挟み込み部材に対する各楔状部材の上記材軸回りの回転が拘束されるように構成すれば足りる。
【0107】
したがって、本発明に係る一対の楔状部材及び一対の挟み込み部材は、例えば
図18に示す楔状部材811a,811bと挟み込み部材812,813とを用いて構成することが可能である。
【0108】
ここで、楔状部材811a,811bは、材軸10に直交する横断面が楕円状をなし、PC鋼棒2を貫通させるための切り欠き状の貫通開口817a,817bをそれぞれ形成してあるとともに、PC鋼棒2の材軸10に直交する面に対して傾きを有する傾斜面818a,818bがそれぞれ設けられていて該各傾斜面が当接される形で配置してあるとともに、挟み込み部材812,813は、それらの対向内面に湾曲断面をなす嵌合凹部としての嵌合溝820,822をそれぞれ形成してあり、該各嵌合溝に楔状部材811b,811aの周面824b,824aがそれぞれ当接する形で該各楔状部材の一部がそれぞれ嵌合されるようになっている。
【0109】
かかる変形例においても、上述した相対回転防止作用が発揮されるが、楔状部材の横断面が楕円状であることや挟み込み部材の嵌合凹部がそれに対応した形状になっていることを除き、上述した実施形態とほぼ同様の構成であるので、他の構成や作用効果については、ここでは詳細な説明を省略する。
【0110】
また、本実施形態やその変形例では特に言及しなかったが、楔状部材711b,711aや楔状部材811b,811aの一方に凸部を、該凸部に係止される凹部又は凸部を他方にそれぞれ形成することが可能であって、凸部や凹部は、第1実施形態で説明したと同様の構成とすることができる。
【0111】
かかる構成によれば、楔状部材711a,711bや楔状部材811b,811aの材軸10回りの回転をさらに確実に防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0112】
1 プレストレス導入ユニット
2 PC鋼棒(PC鋼材)
3a,3b 定着板(定着部材)
4a,4b 筒状反力部材
5 反力解放機構
8a,8b 台座(対向端部)
11a,11b 一対の楔状部材
12,13 一対の挟み込み部材(相対移動量調整手段)
14 ボルト(連結機構、相対移動量調整手段)
15 ナット(連結機構、相対移動量調整手段)
16a,16b 中間台座
18a,18b 傾斜面
19a,19b 圧力載荷面
17a,17b 貫通開口
25a,25b 台座側貫通開口
201a,201b 段状端部
211a,211b 突出部分(凸部)
212a,215a 突出側傾斜面、非突出側傾斜面(傾斜面)
212b,215b 突出側傾斜面、非突出側傾斜面(傾斜面)
311a,311b 楔状部材
411a,411a 突出部分(凸部)
411b,411b 非突出部分(凹部)
511a,511b 楔状部材
611a,611a 溝(凹部)
611b,611b 突条(凸部)
711a,711b 楔状部材
811a,811b 楔状部材
【要約】
【課題】反力体における反力解放をスムーズに行うことが可能なプレストレス導入ユニットを提供する。
【解決手段】本発明に係るプレストレス導入ユニット1は、PC鋼棒2と定着板3a,3bと筒状反力部材4a,4bと反力解放機構5とを備える。反力解放機構5は、楔状部材11a,11bと該楔状部材を側方から挟み込む挟み込み部材12,13と該挟み込み部材を相互に連結する2組のボルト14及びナット15とを備える。ボルト14、ナット15及び挟み込み部材12,13は、各ナット15を緩み方向に回すことで、材軸10に沿った楔状部材11a,11bの全体寸法が短くなるように該楔状部材を相対移動させるようになっている。
【選択図】
図5