(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】真空引出し装置の多層の蓋
(51)【国際特許分類】
A47B 88/919 20170101AFI20240304BHJP
A47B 88/90 20170101ALI20240304BHJP
A47B 77/16 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
A47B88/919
A47B88/90
A47B77/16
(21)【出願番号】P 2022534823
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2020084945
(87)【国際公開番号】W WO2021116044
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-01
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ベアチー
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/141574(WO,A1)
【文献】特表2009-537792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
A47B 77/16
A47B 71/00
F25D 11/00
F25D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空引出し装置(0)の引出し(3)上に載置するためのサンドイッチ構造形式で構成された多層の蓋(2)であって、該蓋(2)が、前記引出し(3)に対して密閉された後に引出し内室(R)の排気および除湿を可能にし、前記蓋(2)が、少なくとも1つの気密な外側カバー層(22’,22’’)とコア層(21’)とを有しており、前記コア層(21’)に、かつ部分的に前記少なくとも1つの気密な外側カバー層(22’,22’’)のうちの1つに、切欠き(A)が加工されており、該切欠き(A)内に、排気通路、除湿通路、ポンプ、送風機および少なくとも1つの湿度センサが配置されており、
前記少なくとも1つの気密な外側カバー層(22’,22’’)のうちの1つに、前記コア層(21’)に面してプリント基板(20’)が配置されている、または
前記少なくとも1つの気密な外側カバー層(22’,22’’)が、プリント基板(20’)として構成されており、該プリント基板(20’)上に、前記コア層(21’)が位置しており、前記蓋(2)内に統合された、前記排気通路、前記除湿通路、前記ポンプ、前記送風機および少なくとも1つの前記湿度センサが、前記プリント基板(20’)上に機械的に保持され、かつ電気的に接続されている、
蓋(2)。
【請求項2】
前記切欠き(A)内に、
前記送風機および少なくとも1つの前記湿度センサ(82’)が挿入されており、前記プリント基板(20’)に機械的に取り付けられており、かつ電気的に互いに、かつ制御装置に接続されている、請求項1記載の蓋(2)。
【請求項3】
前記引出し(3)の底面に対して垂直な昇降方向(H)において前記蓋(2)を昇降させるための昇降手段および/またはモータの一部が、前記切欠き(A)内に挿入されており、前記プリント基板(20’)上に機械的に取り付けられており、かつ電気的に互いに、かつ前記制御装置に接続されている、請求項
2記載の蓋(2)。
【請求項4】
前記プリント基板(20’)上に、前記引出し内室(R)に向かって放射するように、光源(36’)が、機械的かつ電気的に接続されており、該光源(36’)が、前記制御装置により制御されて、460nm(+/-10nm)の波長を有する光を放射する、請求項2
または3記載の蓋(2)。
【請求項5】
前記プリント基板(20’)に、または前記外側カバー層(22’’)に、引出し内室側でシール成形部材(31’)の層が、着脱可能に結合されて配置されている、請求項1から
4までのいずれか1項記載の蓋(2)。
【請求項6】
前記シール成形部材(31’)の層内に、シールホルダ(32’)と、空気フィルタフリース(38’)から成る層とが導入されている、請求項
5記載の蓋(2)。
【請求項7】
前記蓋(2)の個別の層(20’,21’,22’,22’’)が、該層を取り囲む蓋フレーム(23’)により保持されている、請求項1から
6までのいずれか1項記載の蓋(2)。
【請求項8】
請求項1から
7までのいずれか1項記載の引出しの蓋(2)の一部分としてのプリント基板(20’)の使用。
【請求項9】
請求項1から
7までのいずれか1項記載の蓋(2)を備えた真空引出し装置(0)。
【請求項10】
請求項
9記載の真空引出し装置(0)であって、
前記真空引出し装置(0)は、少なくとも1つの前記引出し内室(R)を備えた、押込み運動方向(S)に線形に移動可能な前記引出し(3)を含んでおり、該引出し内室(R)が、前記蓋(2)によって、前記押込み運動方向(S)に対して垂直な昇降方向(H)での昇降運動において電気的な昇降手段(7)によって制御されて閉鎖可能であり、前記蓋(2)が、蓋内部に通じる少なくとも1つの空気通
路を有しており、前記空気通
路が、電気的な排気手段に作用接続されており、前記蓋(2)の載置時に空気
が少なくとも1つの
前記引出し内室(R)から前記少なくとも1つの空気通
路を通じて送出可能になっており、
前記蓋(2)の、前記引出し内室(R)に向けられた側に、少なくとも1つの光源(36’)が、440nm~470nmの波長範囲の青色光を送出するために配置されている、
真空引出し装置(0)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光源(36’)が、460nmの波長の青色光を送出するために配置されている、請求項
10記載の真空引出し装置(0)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空引出し装置の引出し上に載置するためのサンドイッチ構造形式で構成された多層の蓋であって、蓋が、引出しに対して密閉された後に引出し内室の排気を可能にし、蓋が、少なくとも1つの気密な外側カバー層とコア層とを有しており、コア層に、かつ部分的に少なくとも1つの外側カバー層のうちの1つに、切欠きが加工されており、切欠き内に、排気通路、ポンプおよび少なくとも1つのセンサが配置されている、多層の蓋を記載している。
【0002】
先行技術
食材を貯蔵するための冷蔵庫は、庫内を継続的に強力に冷やすために常に多くの電気的なエネルギを必要とするので、幾つかの欠点を有している。冷蔵庫の庫内気候について、これまであまり注目されていなかった。「Hygiene Report 2010」という国際調査を実施したHygiene Councilの調査によれば、冷蔵庫は、1平方センチメートルあたり約100個の病原体で汚染されているトイレよりも多い、1平方センチメートルあたり約11400000個の病原体で汚染されている。この2010年の報告書は、メディアの大きな反響を呼んだが、冷蔵庫をより頻繁にクリーニングすることが推奨されたことの他には、今のところ実感できる改善は行われていない。
【0003】
独国特許出願公開第202017006169号明細書において初めて、引出しおよび蓋を備えた真空引出し装置が一般に開示され、この装置では、ポンプによって引出し内室内に負圧を形成することができる。真空引出し装置は、複数の壁と引出し内室とを備えた引出しを含んでおり、引出しは、蓋に作用接続可能であり、引出し本体内で線形に移動可能に支承されている。しかし、引出し、蓋、場合によっては昇降手段および排気手段に関するより正確な詳細は、独国特許出願公開第202017006169号明細書において十分に開示されていない。
【0004】
最も近い先行技術は、本出願人の国際公開第2019/141574号である。必ずしも冷やしたくない食品を真空引出し装置内において常温で貯蔵することができ、この場合、冷却のための高められたエネルギ消費は不要にされる。引出し内室は軽い負圧にまで排気され、この負圧は制御されて形成されかつ維持される。したがって食品をより簡単により長く食べられるように、または賞味可能に保持することができる。真空引出し装置を備えた引出し本体における貯蔵は、冷蔵庫よりも少ないエネルギを必要とする。なぜならば、内室内の酸素脱気は数分後に終了し、その後はほとんど電気を必要としないからである。真空引出し装置は、冷媒または断熱材のような有害な材料なしに実現される。真空機器による公知の真空化におけるプラスチック袋の消費量を著しく減じることができ、食品を長期にわたって問題なく貯蔵することができる。真空引出し装置によって、食品をより簡単、かつより環境に優しく、より省エネルギに貯蔵することができる。このことは、食品の品質および消費者の健康に良い影響を与える。さらに、より少ない食品が破棄され、しばしば批判される「食品ロス」、つまり食品の無駄を抑えることができる。なぜならば、食品の品質をより長く保つことができるからである。
【0005】
引出し本体は、蓋および引出しが移動可能に保護されて支承されている外側ケースを形成する。制御装置を介して電気的に作動可能な昇降手段および排気手段は、蓋または引出し内に配置されているので、排気は、蓋が引出し上に載置されている場合に、制御されて可能にされている。空気通路を通して、空気が引出し内室から送出可能である。センサの配置時に、排気は自動化して行われてよく、かつ引出しを開ける前の給気も検知し、制御装置により自動的に開始することができる。
【0006】
国際公開第2019/141574号では、できるだけコンパクトな蓋が、多層に構成されて設けられており、この蓋は、既存の引出しにも簡単に組付け可能である。蓋の構造高さを小さく維持するために、昇降手段および排気手段はできるだけ蓋に統合されている。しかし実際には、蓋は比較的重く嵩張るように構成されており、蓋の絶え間ない操作時、つまりそれぞれ逆向きの昇降運動時に、このことは作動時の故障をもたらしてしまう。
【0007】
発明の開示
本発明は、真空引出し装置の蓋と、引出し、昇降手段、排気手段およびこのような蓋を含む真空引出し装置とを提供することを課題としており、蓋は、最小限の構造高さでコンパクトに、かつ故障しにくく構成されている。メンテナンスなしの永続的に故障しない作動が、引出しを自動的に閉じるための蓋により達成されることが望ましい。
【0008】
この課題は、請求項1に記載の蓋と、請求項9に記載の、このような蓋を備えた真空引出し装置とによって解決される。
【0009】
サンドイッチ構造形式のこのような蓋は、永続的に故障せず危険のない操作をもたらすので、蓋もしくは真空引出し装置の全体的な堅牢性が著しく高められている。
【0010】
本発明の対象の好適な実施例を以下に添付した図面に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】引出しを開いた状態で、引出し本体内にある真空引出し装置を示す斜視図である。
【
図2】引出しもしくは真空引出し装置を閉じた状態で、引出し本体内にある
図1に示した真空引出し装置を概略的に示す部分断面図である。
【
図3】引出し上に配置された状態で蓋を上から見た平面図である。
【
図4】蓋の一部としてのプリント基板、もしくは導体路および示唆された電気的な構成部材を備えたプリント基板上面を示す概略図である。
【
図5】シール手段が被着されている、プリント基板の、反対に位置する側、つまりプリント基板下面から蓋を見た図である。
【
図6】完全にされたシール手段および照明手段を備えた蓋下面もしくはプリント基板下面を示す図である。
【0012】
説明
真空引出し装置0は、ここでは全体を符号0で示され、引出し内室Rを備えた引出し3と、昇降手段7により昇降方向Hで相対運動可能な蓋2とを含んでいる。引出し3は、蓋2に作用接続可能であり、引出し本体9内で線形に押込み運動方向(Schubbewegungsrichtung)Sに移動可能に支承されている。引出し本体9は、外側ケースを形成し、この外側ケース内に、蓋2および引出し3が移動可能に保護されて支承されている。引出し3は、壁30と引出し内室Rとを含んでおり、押込み運動方向Sで開閉運動可能に支承されており、排気可能に構成されている。引出し3は、引出しレール(詳細に説明せず)内で線形に移動可能に支承されており、これにより、引出し3を、開位置および閉位置にもたらすことができる。
図1には、引出し3の開位置が示されている。
【0013】
排気可能な引出し内室Rは、複数のコンテナ14から形成されており、これらのコンテナ14は、引出し3内に位置決めされて配置されており、それぞれ同一の高さを有しているが、種々異なる大きさである。好適には、コンテナ14はガストロノームコンテナとして形成されており、それらの内室が、蓋2によって閉鎖可能かつ排気可能である引出し内室R全体を形成することができる。コンテナ14は、引出し3内に支承され、引出し3と一緒に移動可能であるが、取り出すこともできる。
【0014】
引出し内室Rを排気するために、移動可能に引出し本体9内に配置された蓋2が役立つ。蓋2は気密に構成されており、押込み運動方向Sに対して垂直な昇降方向Hで引出し3上に降下可能に支承されている。蓋2は、本実施形態では、組付けブラケット19により引出し本体9に取り付けられており、これにより引出し3に対する蓋2の相対運動が可能にされている。引出し本体9内で蓋2に、または蓋2内に昇降手段7が配置されており、この昇降手段7は、蓋2を引出し本体9内において昇降方向Hで移動可能に保持する。昇降手段7は種々異なる形式で構成可能であり、ここではこれ以上言及しない。
【0015】
引出し3に面した蓋の側で、蓋2をコンテナ14の縁部上に載せることができ、これにより、少なくとも1つの引出し内室Rが閉鎖可能である。蓋2は、引出し本体9および引出し3に対して相対的に移動可能に支承されている。閉鎖は、引出し3が閉位置にある場合にのみ行われ、
図1に示した引出し3の開位置では、蓋2は引出し3を完全に開放している。取っ手12で引出し3を掴んで押込み運動方向Sに移動させることができる。蓋2に設けられた操作ボタン104’により、真空引出し装置0を作動させ、停止させることができる。少なくとも1つの閉位置センサ29’が蓋2に配置されていてよく、この閉位置センサ29’は、蓋2が閉鎖されているという信号を蓋2の制御装置に送信する。
【0016】
昇降手段7によって、蓋2は引出し3もしくはコンテナ14から逆方向に制御されて上昇可能、かつ引出し3もしくはコンテナ14上に降下可能に配置されている。これにより、引出し3の押込み運動方向Sに対して垂直な昇降方向Hでの蓋2の昇降運動が生じる。真空引出し装置0の引出し3内のコンテナ14は、ユーザが手で引出し3を閉じ、蓋2が引出し3の閉位置でコンテナ14上に降下し、このコンテナ14を上方から気密に閉じることによって、慣用の引出しに対して全体として上に向かって閉じることができる。
【0017】
図2では、気密に構成された多層の蓋2が、引出し3もしくはシール金具15に載っているように図示されている。周囲を取り囲む引出し本体9は、簡略化のため省略されており、フロントパネル17および取っ手12を備えた引出し3が断面で示されている。コンテナ内室Rまたはコンテナ14上に蓋2が気密に閉鎖するように載置されている。
【0018】
蓋2のコンパクトな構造形式を達成するために、できるだけ多くの電子的な構成部材が多層の蓋2内に統合されている。たとえば、少なくとも1つの排気通路、複数のセンサ82’、少なくとも1つの弁、少なくとも1つのモータ、少なくとも1つの送風機81’および空気通路が、蓋2の内部で切欠きA内に配置されていてよい。少なくとも1つの排気通路を通じて、自動化された排気をポンプにより行うことができ、少なくとも1つの空気通路を通じて、送風機81’による引出し内室Rもしくはコンテナ14の内室の自動化された空気交換を行うことができる。排気時および空気交換時の空気の互いに異なる経路が破線で示されている。
【0019】
電流ケーブル27’が、接続コネクタ25’へと延びるように配置されており、この電流ケーブル27’によって、昇降手段、排気手段、空気交換手段およびセンサを制御する制御装置が作動される。制御装置は、ここでは同様に蓋2に設けられた切欠きA内に配置されているが、引出し本体9内に蓋2とは別個に配置されていてもよい。
【0020】
蓋2は、サンドイッチ構造形式で製造されており、種々異なる層の種々異なる材料が組み立てられて蓋2を形成している。蓋2は、2つの気密な外側カバー層22’,22’’と、コア層21’とを有している。本実施形態では、付加的なプリント基板20’が配置されているが、このプリント基板20’は、気密な外側カバー層22’,22’’のうちの1つの代わりに使用可能でもある。
【0021】
層20’,21’,22’,22’’は、互いに静的に作用するように接着されて1つの多層の蓋2を形成しており、この蓋2は、対応して捩れ剛性に構成されている。上側のカバー層22’は、気密に構成されており、MDF、CFKまたはガラスから成っていてよい。しかし、上側のカバー層22’の気密性を達成するためには、空気不透過性のプラスチックコーティングが空気透過性の材料上に上側のカバー層22’として配置されていてもよい。
【0022】
コア層21’には、切欠きAが設けられており、この切欠きA内に、排気手段、特にポンプ、空気交換手段、特に少なくとも1つの送風機81’およびセンサ、特に少なくとも1つの湿度センサ82’のような電気機器が配置されている。昇降手段のモータまたは別の構成部材も、部分的に切欠きA内に組み込まれていてよい。
【0023】
図示されていないが、送風機81’の排気のために必要である少なくとも1つの空気通路と、ポンプと協働し、引出し内室R内の負圧もしくは真空の形成に必要である少なくとも1つの排気通路とがある。全ての電気機器は、プリント基板20’により機械的に取り付けられており、電気的に互いに接続され、かつ制御装置に接続されている。
【0024】
できるだけコンパクトな蓋2を達成するために、できるだけ全ての構成部材が蓋2内に支承されていることが望ましく、これによってこのような蓋2も簡単に既存の引出し3に組み合わせ可能であり、これにより、真空引出し装置0は、既存の引出し本体9、引出し3および蓋2から製造可能である。
【0025】
コア層21’は、プラスチック硬質発泡体やハニカム状のプラスチック構造体またはソリッドプラスチック層から製造されていてよく、この場合、必要となる切欠きAが配置されている必要がある。排気通路および/または空気通路は、コア層21’の材料から除去されていてよい。
【0026】
プリント基板20’には少なくとも片面で導体路が配置されており、これらの導体路に、電気的な消費器が接続されている。プリント基板20’における電気的な構成部材もしくは制御装置により制御すべき構成部材および制御装置の接触接続は、簡単であり複雑ではない。プリント基板20’は、サンドイッチ状の蓋2の一部であり、好適には、導体路が引出し内室Rの方向を向いているように配向されて組み込まれている。蓋2内には、蓋2の外側で引出し本体9内に続く邪魔な配線は生じない。蓋2の製造は、簡略化されており、蓋2の昇降運動時の故障しやすさは最小限にされている。
【0027】
蓋2の安定特性をさらに高めるために、上側のカバー層22’と同一の特性を有する下側のカバー層22’’をサンドイッチ構造の一部として使用することができる。この下側のカバー層22’’は、引出し内室側でプリント基板20’に取り付けられている。空気がサンドイッチ状の蓋2を通って流れることができるようにするために、プリント基板20’および任意のカバー層22’’には孔が配置されていなければならず、これにより引出し内室Rもしくはコンテナ14の内室から空気が送出可能である。
【0028】
蓋2の排気特性を高めるために、シール成形部材31’の層が引出し内室側に配置されており、これにより、コンテナ14の縁部もしくはシール金具15に対する密閉性が改善される。衛生上の理由から、シール成形部材31’は着脱可能に取り付けられており、したがってクリーニング目的のために取外し可能に構成されている。
【0029】
下側のカバー層22’および/またはシール成形部材31’を有するか、または有しない別の1つの実施形態では、シールホルダ32’および空気フィルタフリース38’から成る層が、蓋2の引出し側の面に取り付けられてもよい。
【0030】
上側のカバー層22’が取り除かれた状態で蓋2を上から見た平面図では、蓋フレーム23’が確認可能である。この蓋フレーム23’内には、サンドイッチ構造の個別の層が保持されている。ここでは、切欠きAを有するコア層21’が確認可能である。コア層21’に、またはコア層21’内に、排気通路83’、引出し内室Rへの孔84’、湿度センサ82’、少なくとも1つの圧力センサ17’、送風機81’、排気通路83’およびモータの形態の昇降手段7の一部が配置されている。これらの構成部材は、少なくとも部分的に切欠きA内に突入している。
【0031】
コア層21’の、のちに設けられるフロントパネル17もしくは操作ボタン104’とは反対の側に、少なくとも1つの弁4ならびにポンプ11’、ポンプ11’への空気ホース12’、逆止弁13’および排気通路83’へのポンプ11’の接続部14’が示唆されているように配置されている。フロントパネル17とは反対側に位置する、蓋2の後方の領域において、空気流出開口85’、制御ボード101’、加速度センサ103’およびブルートゥース(登録商標)モジュール106’、つまりブルートゥース規格による無線伝達ユニットが配置されている。真空引出し装置0の制御装置もしくは制御ボード101’をプログラミングするために、別の無線伝達プロトコルも可能だろう。
【0032】
排気の他に引出し内室の除湿を達成するために、送風機81’および湿度センサ82’がプリント基板20’に取り付けられている。空気流入開口86’を通じて空気が外部から吸い込まれ、引出し内室Rもしくはコンテナ14内に導入され、のちに除湿通路87’を介して空気流出開口85’を通って再び送出される。通路87’および開口85’,86’ならびに送風機81’とセンサ82’の位置が、コア層21’から除去されている。好適には、側壁が除湿通路87’および開口85’、86’に沿って配置されている。
【0033】
図4は、プリント基板20’だけを上から見た半概略図を示している。被着された種々異なる導体路が確認可能であり、導体路に接続された電気的な消費器が示唆されている。プリント基板20’は、サンドイッチ構造の一部を形成している。送風機81’および湿度センサ82’、別のセンサがプリント基板20’に取り付けられ、導電式に接触接続されている。プリント基板20’、ひいてはサンドイッチ状の蓋2における構成部材の簡単な接続が可能である。
【0034】
図5には、引出し内室側で、プリント基板20’、つまりここではプリント基板20’の下面が図示されている。導体路は、プリント基板20’の上面に配置されているので、確認することができない。接続コネクタ25’は、配向を示唆しており、プリント基板20’への給電を概略的に示している。この面上には、脱気開口33’、(除湿が実施されることが望ましいので)給気開口34’および湿度センサ82’のための開口35’が分配されている。これらの構成部材は、種々異なるコンテナ14上に位置するようになる、プリント基板20’の種々異なる区分に示されている。
【0035】
プリント基板20’もしくは外側カバー層22’’の下面では、シール成形部材31’の層内に、シールホルダ32’および空気フィルタフリース38’の層が導入されている。シール成形部材31’は、シールホルダ32’の層が確認可能である個別の区分を取り囲んでおり、シールホルダ32’は、空気フィルタフリース38’を覆い、コンテナ14は、のちにこれらの区分の下に位置するようになる。これらの領域のそれぞれには、送風機81’(図示せず)の高さに脱気開口33’が配置されている。湿度センサ82’のための開口35’も同様に各領域に配置されている。同様のことは、各シール成形部材31’もしくは引出し内室Rを、制御装置を介して換気することができる給気開口34’にもその都度適用される。
【0036】
シール成形部材31’、シールホルダ32’、空気フィルタフリース38’の層から成るシール手段は、交換可能に蓋2に配置可能であるように構成されている。シール手段は、たとえばクリーニングのために、蓋2から完全に取り外すことができる。
【0037】
コンテナ14もしくは引出し内室Rにそのまま貯蔵された食品の品質保存性を高めるために、引出し内室Rに、450nm~470nmの波長範囲の青色光、好適には460nmの青色光を照射することが望ましい。このためには、プリント基板20’に、制御装置に接続された少なくとも1つの対応する光源36’が、コンテナ区分毎に配置されている。光源36’は、その光をシール手段に設けられた開口を通じて、できるだけ最大限の光円錐でできるだけ平面状に放射する。光円錐は、
図6では破線で示唆されている。