(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】電気モータ構成要素のための冷却システム
(51)【国際特許分類】
H02K 5/20 20060101AFI20240304BHJP
H02K 1/20 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H02K5/20
H02K1/20 A
(21)【出願番号】P 2022551645
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(86)【国際出願番号】 US2021019326
(87)【国際公開番号】W WO2021173610
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-26
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】タイラー エルファース
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-224945(JP,A)
【文献】特開2008-048494(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159477(WO,A1)
【文献】特開2017-061239(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016211010(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/20
H02K 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータのための冷却配置であって、前記配置が、
クーラントのための入口を画定するハウジングであって、前記ハウジングが、一次流路(F)を部分的に画定する、ハウジングと、
前記ハウジングに隣接して位置決めされたステータキャリアであって、前記ステータキャリアが、前記一次流路(F)を部分的に画定する、ステータキャリアと、
前記ステータキャリアから半径方向内方に位置決めされたバスバーキャリアであって、前記バスバーキャリアが、前記一次流路(F)を部分的に画定する、バスバーキャリアと、
前記ステータキャリアの内側に配置されたステータと、
複数のコイルと、を備え、前記複数のコイルが、前記ステータの第1の軸方向端部で前記バスバーキャリアに隣接して配置されたコイルの第1のセット、および前記バスバーキャリアから遠隔にある、前記ステータの第2の軸方向端部に配置されたコイルの第2のセット、を含み、
前記バスバーキャリアは半径方向内方に延出する部分を有し、前記半径方向内方に延出する部分が前記コイルの第1のセットから軸方向に延びる母線を支持し、
前記一次流路(F)が、前記ハウジング、前記ステータキャリア、および前記バスバーキャリアによって画定されたチャンバを通って、(i)前記コイルの第1のセットに対して半径方向内方に向けられた第1の流路(F1)、および(ii)前記コイルの第2のセットに対して軸方向外方に向けられた第2の流路(F2)へと向けられている、配置。
【請求項2】
前記配置の構成要素間に適用されたシーラントをさらに備える、請求項1に記載の配置。
【請求項3】
前記シーラントが、(i)前記ハウジングと前記バスバーキャリアとの間に画定された第1の場所、(ii)前記バスバーキャリアの半径方向外方表面上に画定された第2の場所、または(iii)前記バスバーキャリアと前記ステータとの間に画定された第3の場所のうちの少なくとも1つに適用されている、請求項2に記載の配置。
【請求項4】
前記ステータが、ラミネーションパックとして形成されている、請求項1に記載の配置。
【請求項5】
前記第2の流路(F2)が、前記ステータの半径方向外側表面上に形成された少なくとも1つの軸方向に延びるチャネルによって部分的に画定されている、請求項1に記載の配置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのチャネルが、前記ステータの軸方向範囲全体に延びる、請求項5に記載の配置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのチャネルが、前記ステータ上の半
円状のくぼみとして形成されている、請求項5に記載の配置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのチャネルが、互いに円周方向に離間されている複数のチャネルを含む、請求項5に記載の配置。
【請求項9】
前記ステータキャリアの半径方向内側表面が、前記少なくとも1つのチャネルの境界を部分的に画定する、請求項5に記載の配置。
【請求項10】
前記ハウジング上に、かつ前記一次流路(F)を取り囲んで装着されたOリングをさらに備える、請求項1に記載の配置。
【請求項11】
前記バスバーキャリアの半径方向外側表面が、半径方向外方に延び、前記一次流路(F)を制限する突起を含む、請求項1に記載の配置。
【請求項12】
前記第1の流路(F1)および前記第2の流路(F2)が各々、それぞれのコイルのセットに対して円周方向に分散している、請求項1に記載の配置。
【請求項13】
前記コイルの第1のセットおよび前記コイルの第2のセットが各々、それぞれのボビン内に装着されており、各ボビンが、前記ステータに直接隣接して位置決めされている、請求項1に記載の配置。
【請求項14】
前記ハウジング内への流体の流量を規制する前記ハウジング内にバルブをさらに備える、請求項1に記載の配置。
【請求項15】
電気モータのための冷却システムであって、前記冷却システムが、
前記電気モータのハウジングの内側から始まる一次流路(F)を備え、前記一次流路(F)が、前記ハウジングから、前記ハウジングに取り付けられたOリングを通って向けられており、前記一次流路(F)が、前記ハウジング、バスバーキャリア、およびステータキャリアによって部分的に画定されたチャンバ内に向けられており、
前記チャンバが、前記一次流路(F)を、第1の流路(F1)と第2の流路(F2)とに分割し、
前記第1の流路(F1)が、前記チャンバから半径方向内方に延び、かつ前記バスバーキャリアに隣接するコイルの第1のセットに向かって延び、
前記第2の流路(F2)が、ステータの半径方向外側表面上に画定された軸方向に延びるチャネル内で前記チャンバから離れて軸方向に延び、かつ前記第2の流路(F2)が、前記コイルの第1のセットから遠隔にあるコイルの第2のセットに向かって向けられて
おり、前記バスバーキャリアは半径方向内方に延出する部分を有し、前記半径方向内方に延出する部分が前記コイルの第1のセットから軸方向に延びる母線を支持する、冷却システム。
【請求項16】
前記一次流路(F)が、(i)前記ハウジングと前記バスバーキャリアとの間に画定された第1の場所、(ii)前記バスバーキャリアの半径方向外側表面上に画定された第2の場所、または(iii)前記バスバーキャリアと前記ステータとの間に画定された第3の場所のうちの少なくとも1つに適用されたシーラントを介して、制限されている、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項17】
前記コイルの第1のセットおよび前記コイルの第2のセットが各々、それぞれのボビン内に装着されており、各ボビンが、前記ステータに直接隣接して位置決めされている、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項18】
前記第1の流路(F1)および前記第2の流路(F2)が各々、それぞれのコイルのセットに対して円周方向に分散している、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項19】
前記チャネルが、前記ステータの軸方向範囲全体に延び、かつ前記チャネルが、前記ステータ上の半
円状のくぼみとして形成されている、請求項15に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による援用
本出願は、2020年2月28日に出願された米国仮特許出願第62/983,100号、および2021年2月23日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される米国非仮特許出願第17/182,587号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、冷却システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電気モータ構成要素を使用する冷却システムを提供する需要が存在する。しかしながら、これらの冷却システムには、変速機ハウジングを通して二次冷却流をルーティングするという問題がある。既存の構成の電気モータと変速機ハウジングとの間に、特に半径方向において不十分な空間が存在する。
【0004】
性能要件を満たすためには、クーラント(すなわち、冷却流体、オイルなど)が、電気モータコイルの両側に接触して、十分かつ均一な熱伝達を提供することができる必要がある。図面を参照しながら、電気モータの遠隔または右手側にクーラント流を提供することは困難である。
【0005】
電気モータのステータコイルの遠隔部分にオイルまたはクーラント流を提供するための信頼性が高く効率的な方式を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
改善されたクーラント流配置を提供して、ステータおよびステータのコイルの遠隔端部を冷却する、冷却システムが本明細書に開示される。
【0007】
電気モータのためのクーラント流路構成もまた本明細書に開示される。クーラント流路構成は、ステータラミネーションパックの半径方向外側表面上に画定されたクーラント流路チャネルを含む。クーラント流路チャネルは、コイルの第1のセットから半径方向外方に画定された第1の軸方向端部と、コイルの第1のセットから遠隔にあるコイルの第2のセットから半径方向外方に画定された第2の軸方向端部と、を含む。
【0008】
一実施形態では、電気モータのための冷却配置が開示される。本配置は、クーラントのための入口を画定するハウジングを含み、ハウジングは、一次流路(F)を部分的に画定する。ステータキャリアが、ハウジングに隣接して位置決めされており、ステータキャリアは、一次流路(F)を部分的に画定する。バスバーキャリアが、ステータキャリアから半径方向内方に位置決めされ、バスバーキャリアは、一次流路(F)を部分的に画定する。ステータが、ステータキャリアの内側に配置されている。バスバーキャリアに隣接し、かつステータの第1の軸方向端部に配置された近位コイルの第1のセット、およびステータの第2の軸方向端部に配置された遠隔コイルの第2のセットを含む、複数のコイルもまた提供される。一次流路(F)は、ハウジング、ステータキャリア、およびバスバーキャリアによって画定されたチャンバを通って向けられており、(i)近位コイルの第1のセットに対して半径方向内方に向けられた第1の流路(F1)と、(ii)遠隔コイルの第2のセットに対して軸方向外方に向けられた第2の流路(F2)とに分割されている。
【0009】
本配置は、本配置の構成要素間に適用されたシーラントをさらに含む。一実施形態では、シーラントは、少なくとも(i)ハウジングとバスバーキャリアとの間に画定された第1の場所、(ii)バスバーキャリアの半径方向外側表面上に画定された第2の場所、および(iii)バスバーキャリアとステータとの間に画定された第3の場所に適用されている。
【0010】
一実施形態では、ステータは、ラミネーションパックとして形成されている。
【0011】
第2の流路(F2)は、ステータの半径方向外側表面上に形成された少なくとも1つの軸方向に延びるチャネルによって部分的に画定されている。少なくとも1つのチャネルは、ステータの軸方向範囲全体に延びる。少なくとも1つのチャネルは、ステータ上の半球状のくぼみとして形成されている。少なくとも1つのチャネルは、互いに円周方向に離間されている複数のチャネルを含み得る。ステータキャリアの半径方向内側表面が、少なくとも1つのチャネルを部分的に画定する。
【0012】
一実施形態では、本配置は、ハウジング上に、かつ一次流路(F)を取り囲んで装着されたOリングをさらに含む。
【0013】
バスバーキャリアの半径方向外側表面は、半径方向外方に延び、一次流路(F)を制限する突起を含む。
【0014】
第1の流路(F1)の終端端部および第2の流路(F2)の終端端部は各々、それぞれのコイルのセットに対して円周方向に分散している。
【0015】
近位コイルの第1のセットおよび遠隔コイルの第2のセットは各々、それぞれのボビン内に装着されており、各ボビンは、ステータに直接隣接して位置決めされている。
【0016】
本配置は、ハウジング内への流体の流れを規制するハウジング内にバルブをさらに含み得る。
【0017】
別の実施形態では、電気モータのための冷却システムが提供される。冷却システムは、電気モータのハウジングの内側から始まる一次流路(F)を含む。一次流路(F)は、ハウジングから、ハウジングに取り付けられたOリングを通って向けられており、かつ一次流路(F)は、ハウジング、バスバーキャリア、およびステータキャリアによって部分的に画定されたチャンバ内に向けられている。チャンバは、一次流路(F)を、第1の流路(F1)と第2の流路(F2)とに分割する。第1の流路(F1)は、チャンバから半径方向内方に延び、かつバスバーキャリアに隣接するコイルの第1のセットに向かって延びる。第2の流路(F2)は、ステータの半径方向外側表面上に画定された軸方向に延びるチャネル内でチャンバから離れて軸方向に延び、かつ第2の流路(F2)は、コイルの第2のセットに向かって向けられている。コイルの第2のセットは、コイルの第1のセットから遠隔にある。
【0018】
追加の実施形態が本明細書に開示される。
【0019】
前述の発明の概要および以下の詳細な説明は、本開示の好ましい実施形態を例解する添付の図面と併せて読むときに、より良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示による冷却システムを含む電気モータの側面断面図である。
【
図3A】クーラント流路を示すための注釈を含む、
図1の電気モータおよび冷却システムの断面図である。
【
図3B】
図3Aのステータと、バスバーキャリアと、ボビンとの間の接合面の斜視図である。
【
図3C】バスバーキャリアの特定の部分を示す、
図3Aの斜視図である。
【
図3D】クーラントのための開口部または通路を含む別の領域内にあるバスバーキャリアの斜視図を示す、
図3Aの拡大部分である。
【
図4】バスバーキャリアおよびステータキャリアの領域内にあるクーラント流路を例解する、電気モータの別の断面図である。
【
図5A】バスバーキャリアおよびステータキャリアから、ボビンおよび近位/左コイルへと下に向かうクーラント流路を例解する別の断面図である。
【
図5B】近位/左コイルへのクーラント流路の正面平面図である。
【
図5C】バスバーキャリアから近位/左コイルへと下に向かうクーラント流路を示す拡大断面図である。
【
図6A】バスバーキャリアから遠隔/右コイルへと軸方向に向かうクーラント流路を例解する別の断面図である。
【
図6B】遠隔/右コイルへのクーラント流路を例解する正面平面図である。
【
図6C】近位/左コイルと遠隔/右端コイルとの間のステータを通って軸方向に延びるチャネルの拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、特定の用語が便宜的にのみ使用されており、限定的なものではない。「軸方向に」とは、アセンブリの軸(X)に沿った方向を指す。「半径方向に」とは、アセンブリの軸(X)から内方および外方の方向を指す。「円周方向に」とは、アセンブリの軸(X)に対して、それぞれの要素の曲線または円周に沿って延びる方向を指す。
【0022】
「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」と引用されている項目のリストへの言及(a、b、およびcがリスト化されている項目を表す)は、項目a、b、またはcのうちのいずれか1つ、もしくはそれらの組み合わせを意味する。用語には、上記で具体的に述べた語、その派生語、および類似の意味の語が含まれる。
【0023】
図1から開始すると、以下の構成要素を含む電気モータ10が概して例解されている:ハウジング15、Oリング20、シーラント25、バスバーキャリア30、ステータキャリア35、ステータ40、近位/左コイル45、遠隔/右コイル50、およびボビン55、60。これらの主要な構成要素の各々のより詳細な特徴が、本明細書に記載されている。クーラントは、流路(F、F1、F2)によって電気モータ10の特徴、および本明細書により詳細に記載される電気モータ10の修正に提供される。本明細書で使用される場合、クーラントという用語は、自動変速機流体(ATF)などの、電気モータ10を通って向けられている任意の液体または流体を指す。
【0024】
左および右という用語は、本明細書では図のセットを参照して使用される。当業者は、これらの用語が参照枠に基づいて相対的であることを理解されよう。したがって、遠隔という用語は、右コイルと関連付けられ、近位という用語は、左コイルと関連付けられる。遠隔という用語は、本明細書では電気モータの構成要素の相対的な位置に対して使用され、かつ構成要素間の、または特定の参照枠に対する相対的な空間を指すために使用される。
【0025】
バスバーキャリア30という用語は、概して、本明細書では電気接合部ハウジングまたはキャリアを指すために使用される。
【0026】
ステータ40という用語は、概して、本開示内の任意のタイプのステータを指すために使用される。一実施形態では、ステータ40は、積層されたスタックとして形成されている。当業者は、ステータ40が様々な方法に従って形成され得ることを理解されよう。ステータおよびステータラミネーションパックという用語は、概して、本明細書では互換的に使用される。
【0027】
図2に示されるように、ハウジング15は、第1のハウジング構成要素15aおよび第2のハウジング構成要素15bを含む。ハウジング15という用語は、一般的に、本明細書では第1のハウジング構成要素15aもしくは第2のハウジング構成要素15bのいずれか、または単一部品もしくは単体のハウジング15が提供されている一実施形態を指すために使用される。当業者は、ハウジング15の正確な形状または配置が変化し得ることを理解されよう。
【0028】
第1のハウジング構成要素15aは、クーラントのための入口として機能するバルブ16を含む。バルブ16は、閉鎖本体、シール、および第1のハウジング構成要素15aへのクーラントの制御可能な流路を提供することができる任意の他の既知のバルブ構成要素を含み得る。
図2に示されるように、本明細書において主要または一次流路と称される場合がある流路(F)は、バルブ16から第1のハウジング構成要素15aの端面に向かって向けられており、かつ電気モータ10の他の構成要素に向かって反対方向に再度向けられている。当業者は、本開示に基づいて、流路(F)がバルブ16から電気モータ10の他の構成要素に向かって、妨害されずに流れ得ることを理解されよう。
図2は、どのように流路(F)がハウジング15に、かつ次いで、電気モータ10の残りの部分、すなわち、コイルなどに向かってハウジング15の外へと概ね向けられているか例解する。
【0029】
図3A~
図3Dは、概して、第1のハウジング構成要素15aから、Oリング20を通って、第2のハウジング構成要素15b、ならびにハウジング15、バスバーキャリア30、およびステータキャリア35によって部分的に画定された3部品型チャンバ26に向かう主要流路(F)を例解している。流路(F)を所望の方向に向ける干渉特徴または遮断特徴を提供するために、突起32がバスバーキャリア30上に形成されている。少なくとも
図3A~
図3Cに示される場所にシーラント25が提供され、シーラント25と突起32との組み合わせにより、流路(F)が概して、左/近位コイル45に向かって半径方向下方、および右/遠隔コイル50に向かって軸方向に向けられていることを確実にする。シーラント25は、(i)ハウジング15とバスバーキャリア30との間に画定された第1の場所、(ii)バスバーキャリア30の半径方向外側表面上に画定された第2の場所、または(iii)バスバーキャリア30とステータ40との間に画定された第3の場所のうちの少なくとも1つに適用されている。当業者は、流路(F)の所望の配向を提供するために、シーラント25を様々な他の接合面および場所に適用することができることを理解されよう。一実施形態では、シーラント25は、シリコーンベースのシーラントなどの、ガスケットグレードのシーラントである。シーラント25は、ATFと互換性がある。当業者は、本開示に基づいて、流路(F)が、ハウジング15から、バスバーキャリア30内に画定された開口部もしくは通路31を通って、バスバーキャリア30へと半径方向下方に向けられ、かつ左/近位コイル45およびボビン55に向かって半径方向下方に向けられていることを確実にするために、シーラント25および/または機械的な突起もしくは干渉要素32の任意の組み合わせを提供することができることを理解されよう。シーラント25および/または機械的な突起もしくは干渉要素32の組み合わせは、図面に示される方向に沿って流路(F)を維持しながら、円周方向におけるクーラントのいかなる流れも制限する。
【0030】
図4は、3部品型チャンバから以下の2つの方向に進む一次流路(F)を例解している:(第1の流路(F1)によって示される)左/近位コイル45に向かって半径方向内方方向、および(第2の流路(F2)によって示される)右/遠隔コイル50に向かって軸方向外方方向。
【0031】
第1の流路(F1)は、ボビン55および左/近位コイル45に向かって向けられており、これは、
図5A~
図5Cにより詳細に示されている。第2の流路(F2)は、右/遠隔コイル50に向かって軸方向外方に向けられており、これは、
図6A~
図6Cにより詳細に示されている。
【0032】
図5Aに示されるように、第1の流路(F1)は、バスバーキャリア30を介して、左/近位コイル45およびボビン55に向かって半径方向内方に向けられている。
図5Cは、この接合部の拡大図を例解し、どのように第1の流路(F1)が、左/近位コイル45に向かって、バスバーキャリア30とボビン55との間に向けられているかを示している。
図5Bにより詳細に示されるように、第1の流路(F1)がこの接合部に到達すると、次いで、第1の流路(F1)は、左/近位コイル45の間に円周方向に分配される。
【0033】
図6A~
図6Cは、ステータ40上に画定されたチャネル42に沿って向けられている第2の流路(F2)を示す。チャネル42の外形は、チャネル42を半球状の形状を有するものとして例解している
図6Cに最良に示されている。当業者は、チャネル42のサイズ、形状、幾何学形状が、特定の用途の性能要件に順応するように変化し得ることを理解されよう。一実施形態では、チャネル42は、ステータラミネーションスタック40にスタンプ加工されている。しかしながら、他の形成技術を使用することができる。
【0034】
一態様では、シーラント25および/または機械的な突起もしくは干渉要素32などの、流れを制限するいかなる修正も、遠隔/右コイル50の領域内には必要ない。言い換えれば、流路(F2)は、いかなる二次もしくは追加のシーラントまたは干渉要素によって制限されず、チャネル42を通って、かつ次いで、半径方向内方および円周方向に自由に流れて、遠隔/右コイル50に到達する。
【0035】
チャネル42は、ステータ40の半径方向外方面から半径方向内方に延びるものとして示されているが、当業者は、チャネル42の場所が修正され得ることを理解されよう。複数のチャネル42、42’が提供され得る。例解目的で、第2のチャネル42’が、
図4において破線で示されているが、この第2のチャネル42’は、
図4に示される特定の断面を通して見ることができないことになる。チャネル42は、ステータ40の軸方向範囲全体にわたって延びており、そのため、バスバーキャリア30と、遠隔/右コイル50を保持するボビン60とステータキャリア35の軸方向最端面との間に画定された接合部との間に、妨げられていない経路が画定されている。
図6Bは、第2の流路(F2)が、遠隔/右コイル50に円周方向に向けられており、遠隔/右コイル50の間にクーラントがスプレーされているという点において、
図5Bと同様の特徴を例解している。
【0036】
本明細書に開示される配置は、概して、左/近位コイル45および遠隔/右コイル50の両方にクーラントを提供するように改善された構成を提供する。近位/左コイル45にクーラントを提供することは、概して、該コイルがハウジング15内のクーラントの供給源に近接しているため、より多くの選択肢および柔軟性を提供するが、遠隔/右コイル50にクーラントを提供することは、より複雑である。本明細書に開示される構成は、電気モータ10が必要とする全体的なフットプリントもしくは空間を拡大すること、または別様に修正することはなく、これは、重要な設計上の考慮事項である。ステータ40内にチャネル42を提供することによって、本構成はまた、電気モータ10の他の構造的特徴のいずれも邪魔しない。流路(F1、F2)は、ステータキャリア35およびバスバーキャリア30の形状、シーラント25の使用、ならびにチャネル42の修正の組み合わせによって提供される。
【0037】
電気モータ10にクーラントを提供する方法もまた、本明細書に開示される。本方法は、概して、バルブ16などを介して、ハウジング15にクーラントを供給することを含む。本方法は、クーラントを、ハウジング15およびOリング20を通って、ハウジング15、バスバーキャリア30、およびステータキャリア35によって画定された多部品型チャンバ内に向けることを含む。そこから、本方法は、一次流路(F)を2つの方向に向けることを含む。バスバーキャリア30上のシーラント25および突起32が、一次流路(F)を制限するために使用される。本方法は、一次流路(F1)を、コイルの第1のセット、すなわち、近位/左コイル45に向かって半径方向内方に向けられた第1の流路(F1)に向けることを含む。本方法はまた、第2の流路(F2)を、ステータの遠隔部分に対してハウジング15から離れて軸方向に向けることを含む。第2の流路(F2)は、ステータ40上に画定されたチャネル42を介して画定されている。そこから、第2の流路(F2)は、遠隔/右コイル50に向かって半径方向内方に向けられている。
【0038】
本明細書に開示される実施形態は、エンドユーザが、本明細書に開示される様々なサブ構成要素間の接合面を考慮する必要性を排除する、スタンドアロン型の構成またはシステムを提供する。
【0039】
このように本開示を詳細に説明してきたが、多くの物理的な変更は、これらの変更のうちのいくつかのみが本発明の詳細な説明に例示されており、本開示に具現化される本発明の概念および原理を変更することなく行われ得ることが理解されるべきであり、かつ当業者には明らかであろう。
【0040】
また、好ましい実施形態の一部のみを組み込んだ多数の実施形態が可能であり、これらの部分に関しては、実施形態内で具現化された本発明の概念および原理を変更しないことを理解されたい。
【0041】
したがって、本実施形態および任意選択的な構成は、すべての点において例示的および/または例解的なものであり、制限的なものではないとみなされ、実施形態の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されるものであり、したがって、当該特許請求の範囲の目的およびその等価物の範囲内に入るすべての代替の実施形態および本実施形態への変更は、当該特許請求の範囲に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0042】
10 電気モータ
15 ハウジング
16 バルブ
20 Oリング
25 シーラント
26 チャンバ
30 バスバーキャリア
31 通路
32 突起
35 ステータキャリア
40 ステータまたはステータラミネーションパック
42 チャネル
45 近位/左コイル
50 遠隔/右コイル
55、60 ボビン