(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】光パターンを制御するための方法および自動車照明デバイス
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/12 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
B60Q1/12 100
(21)【出願番号】P 2022554426
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2021055873
(87)【国際公開番号】W WO2021180692
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-08
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】アリ、カンジ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンタン、プラット
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/214648(WO,A1)
【文献】特開2019-059265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(100)の自動車照明デバイス(10)によって提供される原型光パターン(1)を制御するための方法であって、前記原型光パターン(1)は、光ピクセルのマトリクス配列を含み、全光束を有し、各光ピクセルは、光度値によって特徴付けられ、前記方法は、
- 前記自動車両(100)から光コマンドを受信するステップと、
- 前記光コマンドに応答して前記原型光パターンの前記光ピクセルのうちのいくつかの光度を修正し、これにより、修正された光パターンを獲得するステップと、
- 前記修正された光パターンの前記光ピクセルのうちのいくつかの光度を補償し、これにより、補償された光パターンの光束が前記修正された光パターンの光束と比較して前記原型光パターンの光束により近くなるように、前記補償された光パターンを獲得するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記光ピクセルのうちのいくつかの光度を修正するステップは、
- 前記光パターン(1)を少なくとも第1の部分(11)および第2の部分(12)に分割するサブステップであって、各部分(11、12、13)が、隣接する部分の境界列と接触状態にある少なくとも境界列(3、4)を含む、サブステップと、
- 前記境界列(3、4)の位置をシフトさせ、前記第1および第2の部分(11、12)に属するピクセルの光度値を補間することによって、前記第1の部分(11)の幅および前記第2の部分(12)の幅を修正するサブステップであって、シフト前に隣接していた前記境界列(3、4)が、シフト後も隣接したままである、サブステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光コマンドは、ベンディングライトコマンドであり、シフトするためのいくつかの位置およびシフト方向を含み、このとき前記境界列の位置をシフトするステップは、前記シフト方向にシフトするためにこのいくつかの位置を使用して実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光度を補償するステップは、前記修正された光パターンの前記光ピクセルのうちの少なくともいくつかの光度を補償係数で割ることを含む、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記補償係数は、前記修正された光パターンのピクセルのすべてに適用されるグローバル補償係数であり、前記グローバル補償係数は、
式:g=1+(f1-f0)/f0
に従って、前記原型光パターンの全光束および前記修正された光パターンの全光束から計算され、
式中、gは、グローバル補償係数であり、f1は、前記修正された光パターンの全光束であり、f0は、前記原型光パターンの全光束である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記修正された光パターンは、少なくとも第1の区域(14)および第2の区域(15)へと分割され、前記光度を前記補償係数で割るステップは、前記第2の区域(15)の光ピクセルにのみ適用される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記原型光パターンは、キンク区域を含む低ビームパターンであり、前記第1の区域(
14)は、前記キンク区域を含有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記原型光パターンは、最大光度ピクセルを含む高ビームパターンであり、前記第1の区域(
14)は、前記最大光度ピクセルを含有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記光度を補償するステップは、前記修正された光パターンの前記第2の区域
(15)を行または列へ分割すること、および各行または列の光ピクセルの光度を対応する補償係数で割ることを含む、請求項6から8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記各列の補償係数は、基準補償係数と1との間の値を含む多項式またはガウスプロファイルに従って選択され、前記基準補償係数は、
式:r=1+(f12-fp)/fp
に従っ
て計算され、
式中、rは、前記
基準補償係数であり、f12は、前記修正された光パターンの前記第2の区域の全光束であり、fpは、前記原型光パターンの全光束と前記修正された光パターンの前記第1の区域の
全光束との差である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記各列の補償係数は、特定の補償係数と1との間の値を含む多項式またはガウスプロファイルに従って選択され、前記特定の補償係数は、
式:r=1+(f12-fp)/fp
に従っ
て計算される基準補償係数よりも低く、
式中、rは、前記基準補償係数であり、f12は、前記修正された光パターンの前記第2の区域の全光束であり、fpは、前記原型光パターンの全光束と前記修正された光パターンの前記第1の区域の
全光束との差であり、
その結果として、すべての列の補償係数の平均値は、前記基準補償係数に等しい、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
自動車照明デバイス(10)であって、
- 光パターン(1)を提供することを目的とする、ソリッドステート光源(2)のマトリクス配列と、
- 請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の方法のステップを実施するように構成される制御ユニット(9)と
を含む、自動車照明デバイス(10)。
【請求項13】
前記マトリクス配列は、少なくとも2000個のソリッドステート光源(2)を含む、請求項12に記載の自動車照明デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車照明デバイスの分野、およびより詳細には、動的ベンディングライト(DBL:Dynamic Bending Light)機能性を使用するときに光パターンが管理される方式に関する。
【背景技術】
【0002】
動的ベンディングライトは、現代の自動車照明デバイスにおける存在が増えつつあり、標準ヘッドライトへのアップグレードになり始めており、夜間の運転をより容易およびより安全にするように設計される。
【0003】
そのような照明機能性を実装するため、車両がカーブに入っているときに光パターンを車両の動きの方向に提供することを目的とした多くのソリューションが存在している。
【0004】
機械ベースのソリューションは、ハンドルが回転するときに、照明源における回転を誘発するためにハンドルの回転を直接的に使用する角運動変換器を用いて、照明源を回転させる。光は、ハンドルが回転する方向が何であってもその方向に回転し、この動きの範囲は、急カーブを曲がるとき、または素早く旋回するときにさえ、光が道路を照明することを可能にする。
【0005】
これらのソリューションのうちのいくつかは、光源のマトリクス配列により提供される光パターンの修正に関与し、これは、測光値に影響を及ぼし得、また照明規制との非整合を引き起こし得る。
【0006】
この問題のための代替的なソリューションが求められる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、自動車両の自動車照明デバイスによって提供される原型光パターンを制御するための方法によってこの問題のための代替的なソリューションを提供し、原型光パターンは、光ピクセルのマトリクス配列を含み、全光束を有し、各光ピクセルは、光度値によって特徴付けられ、本方法は、
- 自動車両から光コマンドを受信するステップと、
- 光コマンドに応答して原型光パターンの光ピクセルのうちのいくつかの光度を修正し、これにより、修正された光パターンを獲得するステップと、
- 修正された光パターンの光ピクセルのうちのいくつかの光度を補償し、これにより、補償された光パターンの光束が修正された光パターンの光束と比較して原型光パターンの光束により近くなるように、補償された光パターンを獲得するステップと
を含む。
【0008】
本方法は、修正機能が原型光パターンに適用されるときに束変動を低減するために、光束の補償を可能にする。実際、場合によっては、束は、原型光パターンに対して一定のままである。故に、照明デバイスに供給するためのエネルギーは、修正機能が適用されるにもかかわらず、これらの状況において変化しない。
【0009】
いくつかの特定の実施形態において、光ピクセルのうちのいくつかの光度を修正するステップは、
- 光パターンを少なくとも第1の部分および第2の部分に分割するサブステップであって、各部分が、隣接する部分の境界列と接触状態にある少なくとも境界列を含む、サブステップと、
- 境界列の位置をシフトさせ、第1および第2の部分に属するピクセルの光度値を補間することによって、第1の部分の幅および第2の部分の幅を修正するサブステップであって、シフト前に隣接していた境界列が、シフト後も隣接したままである、サブステップと
を含む。
【0010】
これらの実施形態は、修正機能のいくつかの特定の場合において特に有利である。
【0011】
いくつかの特定の実施形態において、光コマンドは、ベンディングライトコマンドであり、シフトするためのいくつかの位置およびシフト方向を含み、このとき境界列の位置をシフトするステップは、該シフト方向にシフトするためにこのいくつかの位置を使用して実行される。
【0012】
DBL機能性は、光ピクセルの大半の光度が変化の対象となるため、この方法のための非常に強力な機能性である。故に、光束の補償は、照明デバイスに供給するために必要とされる電力における突然の変化を回避するのに非常に有利である。
【0013】
いくつかの特定の実施形態において、光度を補償するステップは、修正された光パターンの光ピクセルのうちの少なくともいくつかの光度を補償係数で割ることを含む。
【0014】
この補償係数は、このステップが適用されるすべてのピクセルについて同じであってもよく、または、ピクセルのいくつかのグループについて、あるいは各々個々の光ピクセルについて、異なる補償係数の使用を伴い得る。
【0015】
いくつかの特定の実施形態において、補償係数は、修正された光パターンのピクセルのすべてに適用されるグローバル補償係数であり、グローバル補償係数は、
式:
g=1+(f1-f0)/f0
に従って、原型光パターンの全光束および修正された光パターンの全光束から計算され、
式中、gは、グローバル補償係数であり、f1は、修正された光パターンの全光束であり、f0は、原型光パターンの全光束である。
【0016】
これは、補償係数の計算のみが必要とされることから、光束を補償する容易な方式である。
【0017】
いくつかの特定の実施形態において、修正された光パターンは、少なくとも第1の区域および第2の区域へと分割され、光度を補償係数で割るステップは、第2の区域の光ピクセルにのみ適用される。
【0018】
故に、特に関連性のある区域は、光度変動から守られ得る。これらの実施形態においてさえ、補償係数は、第2の区域のすべてのピクセルについて同じであってもよく、または、ピクセルのいくつかのグループについて、あるいは各々個々の光ピクセルについて、異なる補償係数の使用を伴い得る。
【0019】
いくつかの特定の実施形態において、原型光パターンは、キンク区域を含む低ビームパターンであり、第1の区域は、キンク区域を含有する。他の特定の実施形態において、原型光パターンは、最大光度ピクセルを含む高ビームパターンであり、第1の区域は、最大光度ピクセルを含有する。
【0020】
これらは、特に関連性のある区域のいくつかの例である。これらの実施形態において、これらの区域は、規制問題を回避するために守られなければならない。
【0021】
いくつかの特定の実施形態において、光度を補償するステップは、修正された光パターンの第2の区域を行または列へ分割すること、および各行または列の光ピクセルの光度を補償係数で割ることを含む。
【0022】
これらの実施形態により、列間の勾配が、修正された光パターンの各列に異なる補償係数を適用することによって調節され得るため、より漸進的かつ円滑な補償された光パターンが獲得される。
【0023】
いくつかの特定の実施形態において、各列の補償係数は、基準補償係数と1との間の値を含む多項式またはガウスプロファイルに従って選択され、基準補償係数は、
式:
r=1+(f12-fp)/fp
に従って、原型光パターンの全光束、修正された光パターンの全光束、および第2の光束から計算され、
式中、rは、基準補償係数であり、f12は、修正された光パターンの第2の区域の全光束であり、fpは、原型光パターンの全光束と修正された光パターンの第1の区域の光束との差である。
【0024】
本方法は、光プロファイルにおける連続性の目的で追従される。ガウスプロファイルは、各列の補償係数の円滑な適用を確実にするが、補償された光パターンの最終光束は、原型光パターンの光束と全く同じというわけではない。
【0025】
いくつかの特定の実施形態において、各列の補償係数は、特定の補償係数と1との間の値を含む多項式またはガウスプロファイルに従って選択され、特定の補償係数は、
式:
r=1+(f12-fp)/fp
に従って、基準補償係数よりも低く、
式中、rは、基準補償係数であり、f12は、修正された光パターンの第2の区域の全光束であり、fpは、原型光パターンの全光束と修正された光パターンの第1の区域の光束との差であり、
その結果として、すべての列の補償係数の平均値は、基準補償係数に等しい。
【0026】
これらの場合において、より低い補償値は、原型光パターンの束により近づこうとするために選択される。
【0027】
更なる発明の態様において、本発明は、自動車照明デバイスであって、
- 光パターンを提供することを目的とする、ソリッドステート光源のマトリクス配列と、
- 第1の発明の態様に従う方法のステップを実施するように構成される制御ユニットと
を含む、自動車照明デバイスを提供する。
【0028】
この自動車照明デバイスは、例えば、光度が光ピクセルにおいて変化するにもかかわらず光束が一定であるため、定電力で電気供給され得る動的ベンディングライト機能性など、いくつかの特別な機能性を提供するように構成される。
【0029】
「ソリッドステート(solid-state)」という用語は、電気を光に変換するために半導体を使用するソリッドステートエレクトロルミネセンスによって放出される光を指す。蛍光灯照明と比較して、ソリッドステート照明は、発熱が低減されエネルギー散逸の少ない可視光を作り出す。ソリッドステート電子照明デバイスの典型的に小さい質量は、壊れやすいガラス管/球および長くて薄いフィラメントワイヤと比較して、衝撃および振動に対してより大きい耐性を提供する。それらはまた、フィラメント蒸発を排除し、照明デバイスの寿命を潜在的に増加させる。これらのタイプの照明のいくつかの例は、電気フィラメント、プラズマ、またはガスよりも、照明源として半導体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、または高分子発光ダイオード(PLED)を含む。
【0030】
いくつかの特定の実施形態において、マトリクス配列は、少なくとも2000個のソリッドステート光源を含む。
【0031】
本発明は、数千の光源を伴う最も単純なものから、数10万の光源を伴うより高度なものまで、多くのタイプの照明マトリクス/アレイベースの技術に有用であり得る。
【0032】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は、当該技術分野における慣例通りに解釈されるものとする。一般使用における用語はまた、関連技術分野における慣例通りに解釈されるべきであり、理想化した、または過剰に形式化した意味では、本明細書にそのように明示的に定義されない限り、解釈されるべきではないということをさらに理解されたい。
【0033】
この文章において、用語「含む」およびその派生形(「含むこと」など)は、除外の意味で理解されるべきではなく、すなわち、これらの用語は、説明および規定されるものが更なる要素、ステップなどを含み得る可能性を除外すると解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
説明を完全にするため、および本発明のより良好な理解を提供するため、図面のセットが提供される。上記図面は、本説明の不可欠な部分を形成し、本発明の実施形態を例証し、本発明の実施形態は、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではなく、単に本発明がどのように実行され得るかの例として解釈されるべきである。
【0035】
【
図1】本発明による自動車照明デバイスを含む自動車両の概略透視図である。
【
図2】本照明デバイスによって投射される光パターンの例を示す図であり、このパターンは、低ビーム機能性に対応する。
【
図3】そのようなパターンの光度値の非代表例を示す図である。
【
図4a】本発明による方法の特定の実施形態による、左へ2列のベンディングライトコマンドの効果を示す図である。
【
図4b】本発明による方法の特定の実施形態による、左へ2列のベンディングライトコマンド効果を示す図である。
【
図5】本発明による方法の特定の実施形態のいくつかのステップを経た後の補償された光パターンを示す図である。
【
図6】本発明による方法の代替的な実施形態のいくつかのステップを示す図である。
【
図7】前の図に示されるステップを経た後の補償された光パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0036】
実施形態例の要素は、相応しい場合、図面および詳細な説明の全体を通して同じ参照番号によって一貫して示される。
【0037】
1 光パターン
2 LED
3 第1の部分の境界列
4 第2の部分の境界列
5 第1の部分の終止列
6 第2の部分の終止列
7 中央部分の第1の境界列
8 中央部分の第2の境界列
9 制御ユニット
10 自動車照明デバイス
11 第1の部分
12 第2の部分
13 中央部分
14 保護区域
15 第2の区域
16 操舵システム
100 自動車両
【発明を実施するための形態】
【0038】
実施形態例は、当業者が本明細書に説明されるシステムおよびプロセスを具現化および実施することを可能にするために十分に詳細に説明される。実施形態は、多くの代替形態で提供され得、本明細書に明記される例に限定されるものと解釈されるべきではないということを理解することが重要である。
【0039】
したがって、実施形態は、様々な方式で修正され得、様々な代替形態をとり得るが、それらの特定の実施形態が、図面において示され、例として以下に詳細に説明される。開示される特定の形態に限定することは意図しない。対照的に、添付の特許請求項の範囲内に入るすべての修正形態、等価物、および代替形態が含まれるべきである。実施形態例の要素は、相応しい場合、図面および詳細な説明の全体を通して同じ参照番号によって一貫して示される。
【0040】
図1は、本発明による自動車照明デバイス10を含む自動車両100の概略透視図を示す。
【0041】
この自動車両100は、操舵システム16および照明デバイス10を含む。照明デバイス10は、LED2のマトリクス配列、およびLEDのこれらのグループの動作を制御するように構成される制御センタ9を含む。
【0042】
制御センタ9は、車両のハンドルが起動されるときにLED2の構成を修正するように構成される。
【0043】
マトリクス構成は、2000ピクセルよりも大きい分解能を有する高分解能モジュールである。しかしながら、投射モジュールを生成するために使用される技術に制限は設けられない。
【0044】
このマトリクス構成の第1の例は、モノリシック源(光源)を含む。このモノリシック源は、数列×数行で配列されるモノリシックエレクトロルミネセンス素子のマトリクスを含む。モノリシックマトリクスにおいて、エレクトロルミネセンス素子は、共通基板から成長され得、個々に、またはエレクトロルミネセンス素子のサブセットごとのいずれかで、選択的に起動可能であるように電気的に接続される。基板は、主に半導体材料から作製され得る。基板は、1つまたは複数の他の材料、例えば、非半導体(金属および絶縁体)を含み得る。故に、各エレクトロルミネセンス素子/グループは、光ピクセルを形成することができ、したがって、その/それらの材料が通電されるときに光を放出することができる。そのようなモノリシックマトリクスの構成は、印刷回路基板にはんだ付けされることが意図される従来の発光ダイオードと比較して、互いに密接した選択的に起動可能なピクセルの配列を可能にする。モノリシックマトリクスは、共通基板に垂直に測定される高さの主要寸法が1マイクロメートルに実質的に等しいエレクトロルミネセンス素子を含み得る。
【0045】
モノリシックマトリクスは、マトリクス配列6によるピクセル化光ビームの生成および/または投射を制御するように、制御センタに結合される。制御センタは、故に、マトリクス配列の各ピクセルの光放出を個々に制御することができる。
【0046】
上に提示されているものと代替的に、マトリクス配列6は、ミラーのマトリクスに結合される主光源を含み得る。故に、ピクセル化光源は、少なくとも1つの発光ダイオードで形成される少なくとも1つの主光源、および、主光源からの光線を反射により投射光学素子へ向ける、オプトエレクトロニクス素子のアレイ、例えば、「Digital Micro-mirror Device(デジタルマイクロミラーデバイス)」の頭字語DMDにより知られているマイクロミラーのマトリクスの組み立てによって形成される。相応しい場合、補助光学素子が、少なくとも1つの光源の線を収集して、それらを集束させてマイクロミラーアレイの表面に向けることができる。
【0047】
各マイクロミラーは、光線が投射光学素子へ向けて反射される第1の位置、および光線が投射光学素子から異なる方向に反射される第2の位置という2つの固定位置の間で旋回することができる。2つの固定位置は、すべてのマイクロミラーについて同じ様式で配向され、マイクロミラーのマトリクスを支持する基準面に対して、マイクロミラーの仕様において規定されるマイクロミラーのマトリクスの特性角度を形成する。そのような角度は、一般的には、20°未満であり、通常、約12°であり得る。故に、マイクロミラーのマトリクスに入射する光ビームの一部を反射する各マイクロミラーは、ピクセル化光源の基本エミッタを形成する。基本光ビームを放出するまたはしないようにこの基本エミッタを選択的に起動するためのミラーの位置の変更の作動および制御は、制御センタによって制御される。
【0048】
異なる実施形態において、マトリクス配列は、レーザ光源が、レーザビームにより波長変換器の表面を探索するように構成される走査素子へ向けてレーザビームを放出する走査レーザシステムを含み得る。この表面の画像が、投射光学素子によって捕捉される。
【0049】
走査素子の探索は、人間の目が投射画像内のいかなる変位も知覚しないように十分に高い速度で実施され得る。
【0050】
レーザ源の点火およびビームの走査運動の同期制御は、波長変換器素子の表面において選択的に起動され得る基本エミッタのマトリクスを生成することを可能にする。走査手段は、レーザビームの反射によって波長変換器素子の表面を走査するためのモバイルマイクロミラーであってもよい。走査手段として述べられるマイクロミラーは、例えば、「Micro-Electro-Mechanical System(微小電気機械システム)」のためのMEMSタイプである。しかしながら、本発明は、そのような走査手段に限定されず、回転素子上に配置される一連のミラーであって、素子の回転がレーザビームによる伝達表面の走査を引き起こす、一連のミラーなど、他の種類の走査手段を使用することができる。
【0051】
別の変異形において、光源は、複雑であり得、発光ダイオードなどの光素子の少なくとも1つのセグメント、およびモノリシック光源の表面部分の両方を含み得る。
【0052】
図2は、本照明デバイスによって投射される光パターンの例を示す。このパターンは、低ビーム機能性に対応する。
【0053】
図3は、そのようなパターンの光度値の非代表例を示す。原型パターンは何千ものピクセルを有するため、それらのすべてを表現することは有用ではなく、少しの代表のみが明確性の目的のために選択されている。
【0054】
さらに、標準使用は、標準グレースケールによると、0~255の光度値であるが、この例では、例をできる限り簡単にするために、0~9の数字のみが使用される。
【0055】
この光パターンは、第1の部分11、第2の部分12、および中央部分13の3つの部分に分割される。第1の部分は、中央部分13の第1の境界列7に隣接する境界列3、およびそれの反対にある終止列5を有する。そして第2の部分12は、中央部分13の第2の境界列8に隣接する境界列4、およびそれの反対にある終止列6を有する。中央部分13は、第1の境界列7および第2の境界列8を有する。
【0056】
図4aおよび
図4bは、本発明による方法の特定の実施形態による、左へ2列のベンディングライトコマンドの効果を示す。
【0057】
図4aは、第1のサブステップを示し、境界列が左にシフトされる。第1および第2の部分において、境界列および終止列がそれらの値を守る一方で、中央部分は、同じままであるが、シフトされる。
【0058】
図4bは、第1および第2の部分の値の残りの補間を示す。これは、行ごとになされ、バイリニア補間に続いて強度パターンを「拡張」または「圧縮」することによって、元の値に値を適合させる。
【0059】
バイリニア法は、第1の幅および最終幅を有する第1の値のセットを、この値のセットがどこに変換されるべきか検討する。第1の幅は、ピクセルの第1の数(N1)によって規定され、最終幅は、ピクセルの第1の数よりも高いまたは低い場合があるピクセルの最終数(N2)によって規定される。仮想横座標セグメント[0,1]は、ピクセルの第1の数に従って、N1-1間隔へと分割される。横座標値のための縦座標値は、第1の値のセットの値である。それらは離散値であるため、頂点間の直線補間が提供される。次いで、同じ仮想間隔が、N2-1間隔へと分割され、こうして、異なる横座標値を提供するが、それらのすべてもまた、0と1の間に含まれる。第1の値のセットが連続関数を規定した(頂点間の直線補間に起因する)ため、最終横座標値は、連続関数において相当値を見出す。これらの値は、最終データセットの値である。例えば、第1の値のセットが(1 3 4 8 10)であると、5つの値が存在するため、第1の幅は5である。最終幅は9である。仮想セグメント[0,1]は、値0、0.25、0.5、0.75、1を伴ってN1-1=4間隔へと分割される。関数は、以下の横座標-縦座標ペア:(0,1)、(0.25,3)、(0.5,4)、(0.75,8)、(1,10)によって規定される頂点によって規定される。直線補間は、頂点間で確立される。ここで、最終の値のセットでは、間隔は、値0、0.125、0.25、0.375、0.5、0.625、0.75、0.875、1を伴ってN2-1=8間隔へと分割される。(1 1.5 3 3.5 4 6 8 9 10)であるこれらの横座標値のための関数値が位置するため、これらが最終データセットの値である。
【0060】
代替的な方法は、第1の幅および最終幅を検討する最近傍であり、それは、第1の幅と最終幅との比を見出す。次いで、値の正規化セットが、最終幅の数を計算した比で割ることによって獲得される。最後に、値の正規化セットの各々の正規化値について、最小の整数より大きいか等しい値(例えば、天井関数)が計算され、こうして指標値のセットを獲得する。これらは、補間に至る第1のベクトルにおける指標値である。例えば、第1のベクトルが[10 2 9]であり、幅6のベクトルへ補間されるべきである場合。比は、6/3=2である。値の正規化セットは、(1/2,2/2,3/2,4/2,5/2,6/2=0.5,1,1.5,2,2.5,3)となる。天井関数を実施すると、値ceil[(0.5,1,1.5,2,2.5,3)]=1,1,2,2,3,3のインデックスセットを獲得する。次いで、補間ベクトルが、[10 10 2 2 9 9]である[first_vector(1) first_vector(1) first_vector(2) first_vector(2) first_vector(3) first_vector(3)]によって表される。
【0061】
例えば、原型パターンにおいて中央行を選択すると、この行は、値0-0-1-2-4-6-7-7-7-7-8-8-8-8-8-8-8-8-8-8-6-4-2-1-0-0-0-0-0を有していた。この行は、分割に従うと、第1の部分0-0-1-2-4-6-7-7-7-7-8-8、第2の部分8-6-4-2-1-0-0-0-0-0、および中央部分8-8-8-8-8-8-8を有することになる。
【0062】
ベンディングコマンドが、左へ2列を含むため、
図4aに示されるように、第1の部分は、以下のパターン:0-x-x-x-x-x-x-x-x-8を有することになり、第2の部分は、8-x-x-x-x-x-x-x-x-x-x-0となり、中央部分は、8-8-8-8-8-8-8となるが、左へ2つの位置だけシフトされる。
【0063】
第1の部分の値xは、元の第1の部分によって提供されるデータに対して計算され、8%では値は0であり、17%では値は1であり、25%では値は2であり、33%では値は4であり、42%では値は6であり、50%では値は7であり、58%では値は7であり、67%では値は7であり、75%では値は7であり、83%では値は8であり、100%では値は8である。
【0064】
これは、曲線をもたらし、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および100%での値は、この圧縮された第1の部分が、元の第1の部分の12ピクセルに対して、10ピクセルのみを含有するため、第1の部分の新規幅について計算されることになる。故に、この間隔の新規値は、0-0.4-1.5-3.3-5.6-6.9-7-7-7.6-8となる。
【0065】
同じことが第2の部分で実施され、元の第2の部分において、10%では値は8であり、20%では6であり、30%では4であり、40%では2であり、50%では1であり、60%~100%では値は0である。新規の第2の部分について、値は、8%、17%、25%、33%、42%、50%、58%、67%、75%、83%、および100%で計算されることになる。故に、この間隔の新規値は、8-6.5-4.8-3.2-1.8-0.9-0.1-0-0-0-0-0となる。
【0066】
一旦この修正された光パターンが獲得されると、原型光パターンの全光束および修正された光パターンの全光束が計算される。
【0067】
この例によると、原型光パターンの全光束は、571lmに相当するが、原型パターンの全光束は、552.4lmに相当する。
【0068】
第1の選択肢は、グローバル補償係数を計算することであり、これは、
式:
g=1+(f1-f0)/f0
によって計算され、
式中、gは、グローバル補償係数であり、f1は、修正された光パターンの全光束であり、f0は、原型光パターンの全光束である。
【0069】
この例によると、グローバル補償係数は、0.9674である。
【0070】
次いで、修正された光パターンの全光度値は、原型光パターンの全光束に等しい全光束を有する補償された光パターンを獲得するために、グローバル補償係数へと分割されるべきである。
【0071】
図5は、このプロセスを経た後の補償された光パターンを示す。
【0072】
原型光パターン内の最大光度値が8であり、修正された光パターン内の最大光度値が8.3となっていたため、光パターンの最大値が変更されているということである。
【0073】
これは小さな差に見えるかもしれないが、実際には、これが、法的規制による不整合を引き起こし得るため、この方法は、常に最良の選択肢というわけではない。明らかに、実際には、グローバル補償係数はそれほど低くはなく、この方法は、修正を実施する影響がそれほど高くないプロファイルに適用され得る。
【0074】
本発明の範囲内の代替的な方法は、異なる補償係数の選択的適用を含む。
【0075】
【0076】
ここでは、最大光度を有するピクセルを含有する保護部分14が規定される。この保護は、補償パターンの最大光度値におけるいかなる増加も回避するために、保護部分がいかなる補償ステップも経ないことを意味する。
【0077】
実際には、この保護部分は、高ビームパターンの最大光度ピクセルに対して、またはカットオフラインを含有し、また法的規制に非常に実用的である低ビームパターンのキンク部分に対して、影響を及ぼし得る。
【0078】
この場合、保護部分が光度値を増加させることがないということに起因して、補償は、光パターン15の残りに対してのみ影響を及ぼし、そのためこの残り部分の光度値における増加は、
図5の場合よりも高くなる。
【0079】
残り部分は、合計して259lmに相当する全光束になる。保護部分は、合計して293.4lmに相当する光束になる。保護部分の293.4lmを修正することなく原型光パターンの571lmに相当する全光束を獲得するため、残り部分は、合計して277.6lmに相当する束にならなければならない。
【0080】
この修正されたパターンの束を補償するための第1の選択肢は、補償された光パターンの全光束が原型光パターンの光束と一致するように、残り部分の光ピクセル全体にのみ適用されることになる基準補償係数(
図5のグローバル補償係数とは異なる)を規定することである。
【0081】
これは、有効な選択肢であるが、場合によっては、保護部分と補償部分との間の境界光ピクセルにおいていくつかの問題をもたらし得る。
【0082】
この場合、この基準補償係数は、残り部分に適用される式によると、0.933である。
【0083】
【0084】
この方法に対する代替案は、列内の残り部分を分割しているこの補償を達成する異なる方式である。各列は、異なる補償係数を有し、これは、特定の補償係数と1との間の値を含む多項式またはガウスプロファイルに従って規定される。
【0085】
この特定の補償係数のための1つの選択肢は、
図7のステップにおいて計算される基準補償係数を選択することである。疑似ガウスプロファイル
を各列について補償係数を計算するために使用
することができる。次いで、遷移は計算するのが円滑および容易であるが、全光束は、原型と全く同じではない。
【0086】
代替的な選択肢は、基準補償係数よりもわずかに低い特定の補償係数を選択し、大半の列がこの特定の補償係数よりも高い補償係数を適用するということを補償することを試み、各列のすべての対応する補償係数の平均値が基準補償係数に等しいことを達成することを試み、こうして、できる限り原型に類似した全光束を達成することである。
【0087】
本例では、この代替的な選択肢は、列の各々についていくつかの補償係数f1、f2、f3...を規定することを伴う。すべてのこれらの補償係数f1...fnの平均値は、基準補償係数に等しくなければならず、多項式または疑似ガウスプロファイルが、各々の特定の値を計算するために適用される。この例では、より正確な結果が、前の図の結果と比較して、獲得される。
【0088】
他の実施形態に関する変異形は100分の1のオーダーであるため、差は、図の例においては表現することができないが、当業者は、本方法のこの特定の実施形態を把握するために本開示において十分な情報を有する。
【0089】
更なる代替的な選択肢は、各列の対応する補償係数が対応する列の束損失に個々に依存するということである。