(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】巻回体の製造装置、及び、巻回体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 47/00 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
B21D47/00
(21)【出願番号】P 2023574722
(86)(22)【出願日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 JP2023030193
【審査請求日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2022139986
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】原田 親志
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-328261(JP,A)
【文献】特開平10-337481(JP,A)
【文献】特開平7-265978(JP,A)
【文献】特開2008-62160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 47/00
B01D 53/94
B21D 53/00
B65H 23/195
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の平板と前記平板に重ねて配置される波板とを前記平板及び前記波板の搬送方向に直交する軸の軸回りにロール状に巻回する巻回体の製造装置であって、
前記平板の搬送方向に離間し、搬送により前記平板が載置される、少なくとも一対の支持体と、
前記搬送方向に沿って、前記少なくとも一対の支持体の間の位置又はその上方に設けられ、前記少なくとも一対の支持体に載置された前記平板を支持するとともに、その軸回りに回転することにより前記平板及び前記波板を一緒にロール状に巻回する巻取軸と、
前記搬送方向に沿って前記巻取軸の上流側及び下流側で前記平板を前記少なくとも一対の支持体に向けて引っ張る引張部材と
を有する、製造装置。
【請求項2】
前記引張部材における前記平板の引張位置は、前記少なくとも一対の支持体のうち、上流側の支持体のさらに上流側にある、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記引張部材は、前記少なくとも一対の支持体に設けられる、請求項1に記載の製造装置。
【請求項4】
前記引張部材は、前記平板と前記波板とを前記少なくとも一対の支持体に向けて引っ張る磁石である、請求項1に記載の製造装置。
【請求項5】
磁性体として形成される帯状の平板と、前記平板に重ねて配置され、磁性体として形成される波板とをロール状に巻回する巻回体の製造装置であって、
前記平板の搬送方向に離間し、搬送により前記平板が載置される、少なくとも一対の支持体と、
前記搬送方向に沿って、前記少なくとも一対の支持体の間の位置又はその上方に設けられ、前記少なくとも一対の支持体に載置された前記平板を支持するとともに、その軸回りに回転することにより前記平板及び前記波板をロール状に巻回する巻取軸と、
前記搬送方向に沿って前記巻取軸の上流側及び下流側で前記平板を前記少なくとも一対の支持体に向けて付勢するとともに、前記搬送方向に沿って前記巻取軸の上流側で前記平板に対して前記波板を前記平板に向けて付勢する磁石と
を有する、製造装置。
【請求項6】
帯状の平板と前記平板に重ねて配置される波板とをロール状に巻回する巻回体の製造方法であって、
前記平板の搬送方向に離間する少なくとも一対の支持体上に、搬送により前記平板を載置することと、
前記搬送方向に沿って巻取軸の上流側及び下流側で前記平板を前記少なくとも一対の支持体に向けて引っ張ることと、
前記少なくとも一対の支持体上で、前記平板を巻取軸で支持するとともに、その軸回りに回転させることにより前記平板及び前記波板を一緒にロール状に巻回することと
を有する、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回体の製造装置、及び、巻回体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、平板と波板とを重ねつつ巻取軸の周りに渦巻き状に巻き取って形成されたハニカム体の巻回体を含む排気ガス浄化用触媒コンバータが知られている。例えば日本国特開平10-156458号公報には、クランプにより平板の先端部を把持し、巻取軸のスリットに平板の先端部を挿通し、巻取軸を回転させることにより平板と波板とを重ねつつ巻取軸の周りに渦巻き状に巻き取るハニカム体の巻回体の製造方法が開示されている。
【0003】
巻回体を形成する平板及び波板は、一般に素材に基づく個体差があり、素材によりクセが生じることがある。このため、製造装置に送られる平板及び波板は、所定位置に配置されない場合が生じる。巻回体を形成する場合、巻取軸のスリットに平板の先端部を挿通するなど、巻取軸で平板を支持する必要があるが、巻取軸に対して平板の位置がばらつくと、巻取軸での平板の支持に失敗する場合があり得る。この場合、巻取軸をその軸回りに回転させても、巻回体が上手く製造されないことになり得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、巻取軸で平板をより安定的に支持しやすく、より安定的に巻回体を製造可能な、巻回体の製造装置、及び、巻回体の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る帯状の平板と平板に重ねて配置される波板とを平板及び波板の搬送方向に直交する軸の軸回りにロール状に巻回する巻回体の製造装置は、平板の搬送方向に離間し、搬送により平板が載置される、少なくとも一対の支持体と、搬送方向に沿って、少なくとも一対の支持体の間の位置又はその上方に設けられ、少なくとも一対の支持体に載置された平板を支持するとともに、その軸回りに回転することにより平板及び波板を一緒にロール状に巻回する巻取軸と、搬送方向に沿って巻取軸の上流側及び下流側で平板を前記少なくとも一対の支持体に向けて引っ張る引張部材とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】平板と波板とを重ねつつ巻取軸の周りに渦巻き状に巻き取って形成されたハニカム体の巻回体と、巻回体の形状を保持する外筒とを含む排気ガス浄化用触媒コンバータの製造工程を示す概略図。
【
図2】第1実施形態に係る巻回体の製造装置、及び、第1の搬送装置を示す概略的な上面図。
【
図3】
図2に示す巻回体の製造装置の芯金(巻取軸)を示す概略的な斜視図。
【
図4】第1実施形態に係る巻回体の製造装置の概略的なブロック図。
【
図5】第1実施形態に係る巻回体の製造工程を示す概略図。
【
図10】
図9に続く巻回体の製造工程を示す概略図。
【
図11】第1実施形態に係る巻回体の製造工程を示す概略的なフローチャート。
【
図12A】変形例に係る巻回装置の移動機構の概略図。
【
図13】第2実施形態に係る巻回体の製造工程を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
本実施形態に係る、帯状の平板150と平板150に重ねて配置される波板140とを平板150及び波板140の搬送方向に直交する軸(芯金16)の軸回りにロール状に巻回する巻回体120の製造装置10について、
図1から
図11を用いて説明する。
【0008】
まず、巻回体120について説明する。
図1に示す本実施形態に係る巻回体120は、排ガス浄化用触媒コンバータ100の円筒状の外筒110内に収容される部品として用いられる。
図1には、排気ガス浄化用触媒コンバータ100の製造過程の概略を示す。
【0009】
排ガス浄化用触媒コンバータ100の巻回体120を製造する場合、まず、波板140を形成するための平板130を準備する。波板140を形成するための平板130は、圧延により金属箔状に形成されていることが好適である。そして、一対のローラ131,132間に金属製で帯状の平板130を送り、一対のローラ131,132の外周に付された凹凸を転写して、金属製で帯状の波板140を形成する。すなわち、金属製で帯状の平板130を波形に成形する波付けを行い、金属製で帯状の波板140を形成する。波板140は、搬送方向に沿って波付けられている。
【0010】
次に、波付けした波板140の例えば下側に金属製で帯状の平板150を重ねてアセンブリ体160とする。すなわち、平板150上には、波板140が設けられる。平板150は、圧延により金属箔状に形成されていることが好適である。
【0011】
そして、製造装置10の制御部200は、第1の搬送装置170を制御し、アセンブリ体160を、巻回体120の製造装置10に向けて搬送する。このとき、アセンブリ体160を上流側の第1の搬送装置170の例えばレール170a(
図2参照)に沿って移動する送りチャック171,172(
図1、
図5-
図7参照)が、アセンブリ体160の側面を保持することで、アセンブリ体160が巻回体120の製造装置10に向けて搬送される。そして、巻回体120の製造装置10は、アセンブリ体160の平板150と金属製の波板140とを重ねた状態で一緒に巻回し、巻回体120を形成する。このとき、本実施形態では、平板150を外側に、波板140を内側とする。
【0012】
そして、巻回体120の外周に円筒状の外筒110が配置され、巻回体120は外筒110により形が保持される。
【0013】
巻回体120は、例えば排ガスが軸方向に通過する多数の通孔を有するハニカム体として形成される。多数の通孔に接するハニカム体の表面には排ガスを浄化する触媒金属が担持されている。この排ガス浄化用触媒コンバータ100は、エンジンから排気されるガスに含まれる有害物質を分解、浄化して排出するため、マフラーの前や、マフラー内に配置される。
【0014】
本実施形態で用いられるアセンブリ体160について説明する。
アセンブリ体160の平板150及び波板140は、ともに、例えば磁性体の金属材として形成される。平板150及び波板140は、強磁性体の金属材として形成されてもよいが、ここでは、軟磁性体の金属材として形成される例について説明する。平板150及び波板140は、熱容量が低く、耐熱性、耐圧性等に優れている素材が用いられる。平板150及び波板140は、一例としてステンレス鋼材、耐熱鋼が用いられることが好適である。本実施形態では、軟磁性体のマルテンサイト系ステンレス、軟磁性体のフェライト系ステンレスが用いられることが好適である。なお、オーステナイト系ステンレスであっても、加工状態により、軟磁性体として平板150及び波板140に用いることができ得る。
【0015】
アセンブリ体160の波板140及び平板150の幅は同一か略同一に形成される。波板140及び平板150の幅は、一例として60mm程度である。波板140及び平板150の厚さは、例えば50μm程度である。アセンブリ体160の平板150の先端150aは、波板140の先端140aに対して、搬送方向に突出する。アセンブリ体160の波板140の先端140aに対する平板150の先端150aの突出量は、形成する巻回体120の外径(大きさ)等により異なり、適宜に設定可能である。アセンブリ体160の波板140の先端140aに対する平板150の先端150aの突出量は、巻取軸16a,16bと第2の磁石18c,18dとの間の距離よりも大きい。なお、アセンブリ体160の波板140の先端140aと、平板150の先端150aとの間の平板150の領域を先端部150bと称することとする。
なお、アセンブリ体160の波板140の先端140aに対する平板150の先端150aの突出量は、一例として、5cm程度以上であることが好適である。アセンブリ体160の波板140の基端(図示せず)は、平板150の基端(図示せず)よりも搬送方向に沿って下流側の位置にあってもよく、上流側の位置にあってもよい。巻回体120として形成されたときに、アセンブリ体160の波板140の基端と平板150の基端とが巻回体120の周方向に近接した位置にあることが好適である。
【0016】
また、波板140の幅方向の一方の端部に符号141aを付し、他方の端部に符号141bを付す。同様に、平板150の幅方向の一方の端部に符号151aを付し、他方の端部に符号151bを付す。
【0017】
例えば軽量化のため、平板150には、適宜の間隔ごとなどに貫通孔が形成されていてもよい。すなわち、平板150は、平面板として製造装置10に搬送されるのであれば、中実度、すなわち、密度が適宜の位置で異なっていてもよい。また、波板140にも、適宜の間隔ごとなどに貫通孔が形成されていてもよい。波板140に貫通孔が形成される場合、波板140のための平板130の時点で貫通孔が形成され、その後、波板140として形成されることが好適である。平板150及び波板140の貫通孔の大きさは、同じであっても異なっていてもよい。排ガス浄化用触媒コンバータ100を使用するとき、これら平板150及び波板140の貫通孔の存在により、排ガスを排ガス浄化用触媒コンバータ100内で流通させて触媒金属により多く接触させ、排ガスの浄化を促進することができる。
【0018】
第1の搬送装置170は、上述した送りチャック171,172でアセンブリ体160の側面を保持しながら、所定の搬送方向に沿って、アセンブリ体160を搬送する。第1の搬送装置170の搬送路は、真っ直ぐであることが好適である。
【0019】
次に、巻回体120の製造装置10について、
図2から
図11を用いて説明する。
図2には、巻回体120の製造装置10及び第1の搬送装置170の概略的な上面図を示す。
図3には、後述する芯金16(巻取軸16a,16b)の端部の二股部17の概略的な斜視図を示す。
図4は、巻回体120の製造装置10、第1の搬送装置170、及び、第2の搬送装置180の概略的なブロック図を示す。
図5から
図10では、製造装置10を用いた巻回体120の一連の製造工程を説明する。なお、
図5から
図10では、
図2中のα-α線に沿う方向を見た図として示す。
図11は、製造装置10を用いた巻回体120の一連の製造工程を説明するフローチャートである。
【0020】
本実施形態に係る巻回体120の製造装置10は、アセンブリ体160を巻回体120の製造装置10に向けて搬送する、上述した第1の搬送装置170(
図2参照)とともに用いられる。また、本実施形態に係る巻回体120の製造装置10は、作成した巻回体120を所定方向に搬送する、後述する下流側の第2の搬送装置180(
図9及び
図10参照)とともに用いられる。
【0021】
巻回体120の製造装置10は、ベース12と、ベース12に支持される支持体14(ローラ14a-14d)と、アセンブリ体160の平板150を把持し、その軸回りに回転する芯金16(巻取軸(ストレートシャフト)16a,16b)と、搬送方向に沿って巻取軸16a,16bの上流側及び下流側でアセンブリ体160を支持体14に向けて引っ張る引張部材18(磁石18a-18d)と、巻回体120の外径を調整する調整部材20とを有する。
【0022】
ベース12は、例えばブロック状に形成される。本実施形態では、ベース12は、略直方体状に形成される。ベース12は、
図4に示す第1の動作部210によりエアシリンダー214を制御することにより、上下に移動可能に形成される。具体的には、第1の作動部210は、第1のポンプ(圧縮空気供給源)212及びエアシリンダー214の第1の電磁弁214aを有する。第1のポンプ212はベース12に設けられるエアシリンダー214に圧縮空気を供給する。第1の電磁弁214aは、制御部200の制御により、エアシリンダー214のロッドの動作方向を切り替える。このため、制御部200により第1の動作部210の第1のポンプ212及び第1の電磁弁214aが制御されると、エアシリンダー214のロッドが駆動され、ベース12が上下に移動する。そして、制御部200が第1の電磁弁214aを制御することで、ベース12に設けられるエアシリンダー214のロッドの位置が調整され、ベース12の高さが調整される。
【0023】
ベース12は、上流側端部に、アセンブリ体160の案内部13を有する。案内部13は、アセンブリ体160が後述する第1のローラ(支持体)14a,14b上に載るように、アセンブリ体160をベース12の上面側に案内する。
【0024】
なお、ベース12には、アセンブリ体160の平板150の先端部150bがベース12上に載置されたことを検知するとともに、アセンブリ体160の後端(平板150の基端又は波板140の基端のうち、搬送方向に沿って上流側の端)を検知する、第1のセンサ220が設けられる。第1のセンサ220は、例えば、ベース12の第1の搬送装置170側に設けられる。第1のセンサ220は、例えば、フォトインタラプタ(遮光センサ)が用いられ得る。また、第1のセンサ220は、例えば、LED光やレーザ光の反射を検知するフォトリフレクタが用いられ得る。第1のセンサ220がフォトインタラプタの場合、例えばベース12の上方にLED光やレーザ光を発する光源を配置し、第1のセンサ220は、平板150及び波板140の少なくとも一方により光が遮光されるか否かを出力可能である。第1のセンサ220がフォトリフレクタの場合、第1のセンサ220は、LED光源やレーザ光源から発する光が平板150及び波板140の少なくとも一方により反射され、受光素子で受光されるか否かを出力可能である。
【0025】
ベース12には、支持体14が支持される。支持体14は、アセンブリ体160の搬送方向に沿って、上流側の一対の第1のローラ14a,14bと、下流側の一対の第2のローラ14c,14dとを有する。一対の第1のローラ14a,14b及び一対の第2のローラ14c,14dの回転軸は互いに平行で、第1の搬送装置170の搬送方向に直交する。一対の第1のローラ14a,14b及び一対の第2のローラ14c,14dのうち、回転軸よりも上側の一部は、ベース12の上面に対して突出する。ベース12には、一対の第1のローラ14a,14b及び一対の第2のローラ14c,14dを突出させるための開口が形成され、一対の第1のローラ14a,14b及び一対の第2のローラ14c,14dの一部はそれぞれ開口を通してベース12の上面に対して上側に突出する。
【0026】
なお、一対の第1のローラ14a,14bは、アセンブリ体160の搬送方向に好ましくは直交するなど、交差する方向に離間する。同様に、一対の第2のローラ14c,14dは、アセンブリ体160の搬送方向に好ましくは直交するなど、交差する方向に離間する。なお、一対の第1のローラ14a,14b間、一対の第2のローラ14c,14d間は、アセンブリ体160の平板150の幅よりも小さい。このため、第1の搬送装置170により搬送されるアセンブリ体160は、一対の第1のローラ14a,14bに載せられ、また、一対の第2のローラ14c,14dに載せられる。
【0027】
なお、第1のローラ14a,14b、及び、第2のローラ14c,14dは、芯金16との関係で、平板150の先端部150bの位置決めに用いられる。
【0028】
支持体14、すなわち、ローラ14a-14dは、本実施形態ではベース12に支持されるため、ベース12とともに上下に移動する。
【0029】
また、一対の第1のローラ14a,14b、及び、一対の第2のローラ14c,14dは、例えばモータ(図示せず)等により能動的に回転するように形成されていてもよく、アセンブリ体160の平板150の接触により受動的に回転するように形成されていてもよい。
【0030】
芯金16は、軸方向が一致する状態に対向する一対の巻取軸16a,16bを有する。巻取軸16a,16bの軸方向は、一対の第1のローラ14a,14b及び一対の第2のローラ14c,14dに平行である。すなわち、一対の巻取軸16a,16bの回転軸は第1の搬送装置170の搬送方向に直交する。
【0031】
一対の巻取軸16a,16bは、これらの固定端側がフランジ16a1,16b1にそれぞれ支持される。
図3Aから
図3Dに示すように、フランジ16a1には、第1の巻取軸16aの回転軸と同軸の回転軸を有するシャフト17aが設けられる。フランジ16b1には、第2の巻取軸16bの回転軸と同軸の回転軸を有するシャフト17bが設けられる。シャフト17aは、シャフト17aに設けられる軸受(図示せず)を介して製造装置10の筐体に支持され、同様に、シャフト17bは、シャフト17bに設けられる軸受(図示せず)を介して製造装置10の筐体に支持される。そして、これらシャフト17a,17bは、例えば
図4に示すモータ(例えばサーボモータ)230a,230b及びそのモータ230a,230bの回転軸に噛み合わせられるギヤ(図示せず)等の制御により、同一方向に同一速度で同一の回転角度に回転するように調整される。なお、シャフト17aが回転すると、フランジ16a1及び第1の巻取軸16aがシャフト17aと同一方向に同一速度で同一の回転角度に回転する。また、シャフト17bが回転すると、フランジ16b1及び第2の巻取軸16bがシャフト17bと同一方向に同一速度で同一の回転角度に回転する。
【0032】
モータ230a,230bの回転軸の回転角度、又は、ギヤを介した一対の巻取軸16a,16bの位置(回転角度)、速度、回転力は、エンコーダ232a,232bにより取得される。
【0033】
モータ230a,230bとしては、サーボモータに代えて、ステッピングモータを用いることもできる。モータ230a,230bとしてステッピングモータを用いる場合、エンコーダ232a,232bは不要となり得る。また、モータ230a,230bのうちの1つを用い、ギヤを介して2つの巻取軸16a,16bを同方向に同一速度で同一の回転角度に回転させるようにしてもよい。
【0034】
すなわち、モータ230a,230bは、制御部200と協働して、第1の巻取軸16aの回転軸及び第2の巻取軸16bの回転軸を同軸上に配置した状態で、第1の巻取軸16a及び第2の巻取軸16bを同期させて同一方向に回転させる回転機構(200,230a,230b)を構成する。
【0035】
一対の巻取軸16a,16bの自由端は、
図2中に実線で示すように、ベース12の上方から退避し、離間する離間位置に移動可能である。また、一対の巻取軸16a,16bの自由端は、
図2中に破線で示すように、ベース12の上方において互いに近接する近接位置に移動可能である。また、一対の巻取軸16a,16bの自由端は、ベース12の上方において互いに近接するだけでなく、互いに当接してもよい。
【0036】
一対の巻取軸16a,16bの軸方向の移動は、例えばエアシリンダー244等の制御により行われる。具体的には、第2の作動部(移動機構)240は、第2のポンプ(圧縮空気供給源)242及びエアシリンダー244の第2の電磁弁244aを有する。第2のポンプ242は一対の巻取軸16a,16bにそれぞれ設けられるエアシリンダー244に圧縮空気を供給する。第2の電磁弁244aは、制御部200の制御により、エアシリンダー244のロッドの動作方向を切り替える。このため、制御部200により第2の動作部240の第2のポンプ242及び第2の電磁弁244aが制御されると、エアシリンダー244のロッドが駆動され、一対の巻取軸16a,16bが相対的に近接又は離隔する。なお、一対の巻取軸16a,16bの自由端同士は互いに対する負荷がかからない程度に当接してもよい。したがって、ベース12に対する一対の巻取軸16a,16bのそれぞれのロッドの位置は調整される。
【0037】
すなわち、第2のポンプ242、及び、第2の電磁弁244aを有するエアシリンダー244は、制御部200と協働して、第1の巻取軸16aの回転軸及び第2の巻取軸16bの回転軸を同軸上に配置しながら第1の巻取軸16aの自由端と第2の巻取軸16bの自由端とを近接及び離隔させる方向に移動させる移動機構を構成する。
【0038】
図4に示す一対の巻取軸16a,16bを動作させる第2の動作部240の第2のポンプ(圧縮空気供給源)242及びエアシリンダー244の第2の電磁弁244aの制御により、エアシリンダー244がそれぞれ駆動されて、一対の巻取軸16a,16bの軸方向の移動は連動して行われることが好適である。なお、一対の巻取軸16a,16bは、
図2中の実線位置と破線位置との間を移動可能である。巻取軸16aには、円盤状のフランジ16a1が設けられる。また、巻取軸16bには、円盤状のフランジ16b1が設けられる。このため、フランジ16a1,16b1がベース12の側面に対して所定距離に近接又はベース12の側面に当接されることで、巻取軸16a,16bの最大近接位置が規定される。このとき、フランジ16a1,16b1間の距離は、平板150の幅と略一致し、又は、平板150の幅よりも僅かに大きく形成され、平板150の蛇行が抑制される。また、フランジ16a1,16b1の外径は、製造される排ガス浄化用触媒コンバータ100の巻回体120の外径よりも小さく形成される。このため、フランジ16a1,16b1の外周面が例えば調整部材20と干渉することが防止される。
なお、フランジ16a1,16b1は、一対の巻取軸16a,16bとともに回転するため、実際にはベース12の側面には当接しないことが好適である。
【0039】
図3に示すように、巻取軸16a,16bは、一対の巻取軸16a,16bは、同一長さで同一形状に形成されていることが好適である。一対の巻取軸16a,16bは、直径が例えば5mm程度の金属ロッドとして、適宜の高剛性かつ高靭性を有する鋼材を加工して形成されることが好適である。
【0040】
一対の巻取軸16a,16bの一方である第1の巻取軸16aは、フランジ16a1に片持ち支持される。一対の巻取軸16a,16bの他方である第2の巻取軸16bは、フランジ16b1に片持ち支持される。一対の巻取軸16a,16bは、対向する端部側に、それぞれ一対の二股部17を有する。巻取軸16a,16bの二股部17は、それぞれ、第1の延出片17aと、第1の延出片17aに対向する第2の延出片17bと、第1の延出片17a及び第2の延出片17bの間のスリット17cとを有する。スリット17cには、平板150の先端部150bが挿通される。巻取軸16a,16bの軸方向に沿うスリット17cの延出方向と、平板150の延出方向とは直交する。巻取軸16a,16bの軸方向に沿うスリット17cの長さは、例えば平板150の幅の半分程度に形成されることが好適である。
【0041】
対向する一対の巻取軸16a,16bの二股部17のスリット17cの方向は、一緒となるように調整されている。一対の巻取軸16a,16bの二股部17は、初期位置において、ともに一対の延出片17a,17bが上下に対向するように配置される。このとき、二股部17のスリット17cは、水平に位置する。二股部17の延出片17a,17b間の距離は、平板150の板厚よりも大きい。また、対向する一対の巻取軸16a,16bの回転速度及び回転角度が同じであるため、平板150に捻じれが生じることが抑制される。
【0042】
なお、製造装置10には、一対の巻取軸16a,16bのそれぞれの二股部17のスリット17cが水平に位置するか否か、また、一対の巻取軸16a,16bのそれぞれの二股部17のスリット17cに平板150の先端部150bが挿通されたか否かを検知するセンサ250a,250bを有することが好適である。センサ250aは、例えば、フランジ16a1に設けられ、センサ250bは、例えば、フランジ16b1に設けられる。これらのセンサ250a,250bは、例えば光学センサやイメージセンサ等が用いられる。センサ250a,250bが光学センサであれば、一方はレーザ発振器であり、他方はフォトディテクタである。センサ250a,250bがイメージセンサであれば、制御部200は、イメージセンサで取得する像を画像処理して、一対の巻取軸16a,16bのそれぞれの二股部17のスリット17cに平板150が挿通されたか否かを出力し得る。
【0043】
なお、芯金16、すなわち、一対の巻取軸16a,16b、フランジ16a1,16b1、シャフト17a,17b、軸受17a1,17b1は、ベース12及び支持体14とは分離しており、また、調整部材20とは分離しており、上下に移動しないことが好適である。
【0044】
ベース12には、搬送方向に沿って一対の巻取軸16a,16bの上流側及び下流側でアセンブリ体160を支持体14に向けて引っ張る引張部材18が設けられる。引張部材18は、本実施形態では、ネオジム磁石などの永久磁石18a,18b,18c,18dを用いる。ベース12のうち、一対の巻取軸16a,16bの上流側には、一対の第1の磁石18a,18bが設けられる。ベース12のうち、一対の巻取軸16a,16bの下流側には、一対の第2の磁石18c,18dが設けられる。本実施形態では、一対の第1の磁石18a,18bは、一対の第1のローラ14a,14bの上流側に隣接して設けられる。このため、引張部材18における平板150又はアセンブリ体160の引張位置は、支持体14のうち、上流側の支持体14(第1のローラ14a,14b)のさらに上流側にある。また、一対の第2の磁石18c,18dは、一対の第2のローラ14c,14dの下流側に隣接して設けられる。このため、引張部材18における平板150の引張位置は、支持体14のうち、下流側の支持体14(第2のローラ14c,14d)のさらに下流側にある。
【0045】
本実施形態では、引張部材18として、ベース12のうち、一対の巻取軸16a,16bに対して上流側の隅部に一対の第1の磁石18a,18bが設けられる例について説明するが、第1の搬送装置170の搬送方向に直交する水平方向に沿う幅方向の中央に1つの第1の磁石が設けられることも好適である。また、3つ以上の磁石がベース12のうち、一対の巻取軸16a,16bに対して上流側に設けられることも好適である。
【0046】
同様に、本実施形態では、引張部材18として、ベース12のうち、一対の巻取軸16a,16bに対して下流側の隅部に一対の第2の磁石18c,18dが設けられる例について説明するが、幅方向の中央に1つの第2の磁石が設けられることも好適である。また、3つ以上の磁石がベース12のうち、一対の巻取軸16a,16bに対して下流側に設けられることも好適である。
【0047】
巻回体120の外径を調整する調整部材20は、ベース12の上方で、巻取軸16a,16bの上方を上下に移動可能に設けられる。調整部材20は、ベース12に設けられる支持体14と協働して、巻回体120の外径を調整する。調整部材20は、巻取軸16a,16bに対してベース12と反対方向にそれぞれ同一速度で動くように調整されることが好適である。
第3の作動部260は、第3のポンプ(圧縮空気供給源)262及びエアシリンダー264の第3の電磁弁264aを有する。第3の電磁弁264aは、制御部200の制御により、調整部材20に設けられるエアシリンダー264のロッドの動作方向が切り替えられる。調整部材20は、
図4に示す第3の動作部260の第3のポンプ(圧縮空気供給源)262及びエアシリンダー264の第3の電磁弁264aの制御により、エアシリンダー264が駆動され、調整部材20が上下に移動する。制御部200が第3のポンプ262及び第3の電磁弁264aを制御することで、調整部材20に設けられるエアシリンダー264のロッドの位置が調整され、調整部材20の高さが調整される。
【0048】
なお、調整部材20には、圧力センサ266が設けられる。圧力センサ266は、巻回体120との接触圧力を検出可能である。制御部200は、圧力センサ266の検出データに基づいて調整部材20の高さ、すなわち、巻回体120の外径を調整可能である。
【0049】
下流側の第2の搬送装置180は、上側及び下側からそれぞれ巻回体120を挟んで保持し、例えば下流側に搬送するように形成される。
【0050】
図4に示すように、制御部200には、第1の動作部210、第1のセンサ220、モータ230a,230b、エンコーダ232a,232b、第2の動作部240、第2-1のセンサ250a、第2-2のセンサ250b、第3の動作部260、圧力センサ266がそれぞれ有線又は無線により接続され、制御部200により制御される。また、ここでは、制御部200は、第1の搬送装置170及び第2の搬送装置180と有線又は無線により接続され、第1の搬送装置170及び第2の搬送装置180を制御部200により制御可能であるとする。
【0051】
制御部200は、例えば、コンピュータ等から構成され、プロセッサ(処理回路)及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。記憶媒体には、メモリ等の主記憶装置に加え、非一時的な補助記憶装置が含まれ得る。記憶媒体としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、及び、半導体メモリ等の書き込み及び読み出しが随時に可能な不揮発性メモリが挙げられる。
【0052】
制御部200では、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。制御部200では、プロセッサは、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。また、制御部200のプロセッサによって実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークを介して制御部200に接続されたコンピュータ(サーバ)、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、プロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。
【0053】
巻回体120の製造装置10を用いた、巻回体120の製造工程について説明する。製造装置10は、制御部200の指令に基づいて動作する。巻回体120の製造装置10は、上述したエアシリンダー214,244,264、各種モータ等を含めて、制御部200により制御される。
【0054】
巻回体120の製造装置10の初期位置では、一対の巻取軸16a,16bが
図2中に実線で示すように、ベース12の上面から搬送方向に直交する側方にそれぞれ退避した位置にある。ここでは、一対の巻取軸16a,16bの自由端は、ベース12の上面から外れた位置に退避する。また、一対の巻取軸16a,16bのそれぞれの二股部17のスリット17cが水平方向に向けられている。また、一対の巻取軸16a,16bのそれぞれの二股部17のスリット17cの上下方向の中央位置と、支持体14(ローラ14a-14d)の上面の高さとが略一致している。
【0055】
この状態で、制御部200の制御に基づく第1の搬送装置170による搬送により、所定の搬送方向に沿ってアセンブリ体160がベース12上に載置される(
図5及び
図6参照)。アセンブリ体160の平板150および波板160は、送りチャック171、172から所定の長さが突き出た状態で、送りチャック171、172によって搬送される。送りチャック171、172が所定の位置で停止し、平板150の先端部150bがベース12上に載置されたことを第1のセンサ220で検知する(ステップS1)。アセンブリ体160の平板150の先端部150bがベース12上に載置されたことを第1のセンサ220で検知した場合(S1-Yes)、制御部200は、次の工程(S2)へ進む。なお、アセンブリ体160の平板150の先端部150bがベース12上に載置されたことを第1のセンサ220で検知できない場合(S1-No)、制御部200は平板150の先端部150bを第1のセンサ220で検知する作業を繰り返す。
【0056】
このとき、上述したように、アセンブリ体160の波板140の先端140aに対する平板150の先端150aの突出量は、巻取軸16a,16bと第2の磁石18c,18dとの間の距離よりも大きい。そして、平板150の先端150aが第1の磁石18a,18bの位置を超え、第2の磁石18c,18dの上にあるとき、波板140の先端140aは、一対の巻取軸16a,16bの位置まで未到達である。平板150の先端部150bの縁部が、一対の巻取軸16a,16bの二股部17のスリット17cにそれぞれ対向する。
【0057】
また、このとき、アセンブリ体160は、支持体14(ローラ14a-14d)により、ベース12に対して上側に離間する。また、アセンブリ体160は、アセンブリ体160の平板150の先端150aが例えば上側に癖付けられているとしても、引張部材18(磁石18a-18d)により、アセンブリ体160の平板150が支持体14に引っ張られる。平板150は、引張部材18により、ベース12に接触してもよく、接触しなくてもよい。このとき、平板150の先端部150bは、上流側の第1のローラ14a,14bと、下流側の第1のローラ14a,14bとの間に張った状態となる。
【0058】
そして、制御部200は第2の動作部240の第2のポンプ242及び第2の電磁弁244aを制御し、一対の巻取軸16a,16bを、
図2中の実線位置から破線位置に移動させる(ステップS2)。すなわち、一対の巻取軸16a,16bの自由端が近接又は当接する。
【0059】
ここで、一対の巻取軸16a,16bのそれぞれの二股部17のスリット17cが水平方向に向けられている。このため、一対の巻取軸16a,16bのそれぞれの二股部17の延出片17a,17b間のスリット17c内に、アセンブリ体160の平板150の先端部150bが挿通される。このため、平板150の先端部150bは、平板150の幅方向の端部から幅方向の中央(真ん中付近)まで、一対の巻取軸16a,16bにより上下方向の移動が規制される。
【0060】
そして、一対の巻取軸16a,16bのそれぞれの二股部17のスリット17c内に、平板150の先端部150bが挿通されたか否か、例えばそれぞれの延出片17a,17bに配置したセンサ250a,250bで検知する(ステップS3)。センサ250a,250bによる信号に基づいて制御部200がスリット17c内に、平板150の先端部150bが挿通されていないと判断された場合(S3-No)、制御部200は、第2の動作部240の第2のポンプ(圧縮空気供給源)242及び第2の電磁弁244aを制御し、一対の巻取軸16a,16bを
図2の破線位置から実線位置に退避させ、再び破線位置に移動させる。スリット17c内に、平板150の先端部150bが挿通されていないと、センサ250a,250bによる信号に基づいて制御部200が複数回判断した場合(S3-No)、エラーを出力し、処理を終了させ、初期位置に戻す。
【0061】
センサ250a,250bによる信号に基づいて、一対の巻取軸16a,16bのそれぞれの延出片17a,17b間のスリット17c内に、平板150の先端部150bが挿通されたと制御部200が判断した場合(S3-Yes)、制御部200は、第3の動作部260の第3のポンプ262及び第3の電磁弁264aを制御し、一対の巻取軸16a,16bの上方に配置された巻回体120の外径の調整部材20を、一対の巻取軸16a,16bの近傍まで降下させる(ステップS4)。
【0062】
そして、制御部200は、モータ230a,230bを制御し、例えばギヤを介して一対の巻取軸16a,16bを同時に同方向に同じ速度で回転させ、平板150の先端150aを含む先端部150bを、磁石18c,18dの磁力に抗して離す。このため、一対の巻取軸16a,16bの二股部17は、支持体14に載置された平板150を挟むように支持する。そして、平板150の先端部150bで波板140の先端140aを挟む。このときの一対の巻取軸16a,16bの回転方向は、
図6に示す位置から
図7に示す位置のように回転させる方向である。このため、一対の巻取軸16a,16bの回転方向は、平板150の先端150aを磁石18c,18dに対して離隔させる方向である。このとき、平板150及び波板140に対する上流側の磁石18a,18bの磁力は働いている。このため、一対の巻取軸16a,16bの上流側のベース12上において、上流側の磁石18a,18bの磁力により、アセンブリ体160を第1のローラ14a,14bに対して引っ張る(押圧する)力は働いている。この状態で、一対の巻取軸16a,16bをさらに回転させてアセンブリ体160を巻回し、巻回体120を作成する(ステップS5)。一対の巻取軸16a,16bの上流側のベース12上において、アセンブリ体160が巻回される際に、磁石18a,18bによる磁力により、アセンブリ体160は、ベース12に向かって引っ張られ続ける。
【0063】
なお、一対の巻取軸16a,16bを回転させて平板150の先端部150bで波板140の先端140aを挟む際、一対の巻取り軸16a,16bの回転速度と同期させて送りチャック171,172を所定の搬送方向に移動させ、平板150および波板140を一対の巻取軸16a,16bに押し込んでも良い。こうすることで、平板150の先端部150bで波板140の先端140aの初期の巻き込み不良を抑制できる。
【0064】
このとき、磁石18a,18bの磁力は、平板150の上の波板140にも作用する。このため、一対の巻取軸16a,16bの上流側で波板140を磁石18a,18bで引き寄せることにより、波板140の反りあがりを抑制する。
【0065】
このため、一対の巻取軸16a,16bの上流側のベース12上において、アセンブリ体160の平板150及び波板140がローラ14a,14bの近傍で例えば上下に振れることが抑制される。したがって、ベース12の上流側において、アセンブリ体160を巻回体120として巻き込む際のアセンブリ体160の挙動を安定化させることができる。
【0066】
また、一対の巻取軸16a,16bの自由端は、近接又は当接する。したがって、平板150の先端部150bは、幅方向の略全体にわたって保持される。そして、一対の巻取軸16a,16bは、平板150の幅方向の一対の端部151a,151bから真ん中付近までを連続的に保持する。このため、平板150及び平板150に載置した波板140を巻回したときに、平板150のヨレを抑制しながら巻回することができる。また、同一の大きさの一対の巻取軸16a,16bを用いることにより、1つの巻取軸を用いて巻回体120を巻回するときよりも、巻回体120の一端と他端との寸法安定性を確保することができる。すなわち、同一の大きさの一対の巻取軸16a,16bを用いることにより、巻回体120の一端の中心部の内径と他端の中心部の内径とを略一定に保つことができる。また、一対の巻取軸16a,16bの自由端は、平板150の先端部150bの幅方向の真ん中付近までを保持する。このため、一対の巻取軸16a,16bを用いることにより、巻回体120の一端と他端との中心部の内径に加えて、一端と他端との間の領域の中心部の内径を略一定に保つことができる。
【0067】
また、1つの巻取軸を用いて平板150を巻くのではなく、2つの巻取軸16a,16bの自由端を近接させた状態で用いて平板150を巻く。このため、2つの巻取軸16a,16bそれぞれの全長を1つの巻取軸を用いる場合に比べて短くすることができる。したがって、本実施形態に係る2つの巻取軸16a,16bを用いる場合、1つの巻取軸を用いて平板150を巻く場合に比べて、自由端のたわみ量を少なくすることができる。したがって、本実施形態に係る2つの巻取軸16a,16bを用いる場合、1つの巻取軸を用いる場合に比べて2つの巻取軸16a,16bの外径を小さくすることができる。このため、本実施形態に係る2つの巻取軸16a,16bを用いる場合、1つの巻取軸を用いる場合に比べて巻回体120の中心部の内径を極力小さく形成することができる。したがって、本実施形態に係る製造装置10により製造された巻回体120は、巻回体120に担持する金属触媒と排ガスとの接触面積を大きく製造でき、排ガスの浄化性能を良好にすることができる。
【0068】
このとき、モータ230a,230bのエンコーダ232a,232bで取得した情報に基づいて、制御部200が第1の動作部210の第1のポンプ212及び第1の電磁弁214aと、第2の動作部240の第2のポンプ242及び第2の電磁弁244aとを制御し、ベース12及び調整部材20を、一対の巻取軸16a,16bの回転角度に合わせて、一対の巻取軸16a,16bから離間するように退避させる。このとき、ベース12は一対の巻取軸16a,16bに対して下方に退避し、調整部材20は一対の巻取軸16a,16bに対して上方に退避する。このため、ベース12上に突出する支持体14(ローラ14a-14d)及び調整部材20は、巻回体120の外径を調整する。
【0069】
また、一対のフランジ16a1,16b1の互いに対向する面は、例えば平面として形成され、巻回体120を巻回する際に、巻回体120の幅よりも大きく離間させて配置する。一対のフランジ16a1,16b1の互いに対向する面は、平板150の端部と波板140の端部とを揃えることができるように、平行に配置される。巻回体120を巻回するとき、平板150の幅方向端部151aがフランジ16a1のうち、フランジ16b1に対向する面側に沿い、平板150の幅方向端部151bがフランジ16b1のうち、フランジ16a1に対向する面側に沿う。また、巻回体120を巻回するとき、波板140の幅方向端部141aがフランジ16a1のうち、フランジ16b1に対向する面側に沿い、波板140の幅方向端部141bがフランジ16b1のうち、フランジ16a1に対向する面側に沿う。波板140および平板150が巻回され始めると、巻回体120の幅よりも大きく離間させて配置された一対のフランジ16a1,16b1の離間距離を巻回体120の幅とほぼ同じ離間距離に制御される。ここでは幅方向端部151a,141aとフランジ16a1の対向面との離間距離は0.5mmに設定され、幅方向端部151b,141bと、フランジ16b1の対向面との離間距離は0.5mmに設定されている。このため、巻回体120は、波板140と平板150との巻き取り時に、波板140と平板150との重なり位置が矯正されながら巻回体120として形成される。そして、巻回体120の一方の端面は、平板150の端部151aと、波板140の端部141aとが揃った状態に形成され、巻回体120の他方の端面は、平板150の端部151bと、波板140の端部141bとが揃った状態に形成される。なお、幅方向端部151a,141aとフランジ16a1の対向面との離間距離、及び、幅方向端部151b,141bとフランジ16b1の対向面との離間距離は、波板140に形成される孔の有無、または平板150に形成される孔の有無、または箔材の厚さに応じて、0mm~1.0mm程度に調整される。特に箔材としての平板150または波板140が薄い、例えば、平板150または波板140の厚みが30μm~50μmである場合には、平板150または波板140がベース12上に搬送される際、平板150の先端150aと端部151a又は端部151bとの角や波板140の先端140aと端部141a又は端部141bとの角がフランジ16a1とフランジ16b1とに接触し、平板150が一対の巻取軸16a,16bのスリット17c内に挿通されない不具合や、平板150の先端部150bで波板140の先端140aを巻き込むことができない等の不具合が発生する可能性がある。このため、箔材が薄い場合は、一対の巻取軸16a,16bを回転させて平板150の先端部150bで波板140の先端140aを挟み込むまでは、平板150および波板140の幅方向端部151a,141aとフランジ16a1の対向面と、平板150および波板140の幅方向端部151b,141bとフランジ16b1の対向面とをそれぞれ離間させておくのが好ましい。平板150が一1対の巻取軸16a,16bのスリット17c内に挿通され、巻取軸16a、16bが180度回転した後、平板150および波板140の幅方向端部151a,141aとフランジ16a1の対向面と、平板150および波板140の幅方向端部151b,141bとフランジ16b1の対向面とを当接させて卷回することで、箔(平板150又は波板140)が折れることを防ぎつつ、平板150の端部151aと、波板140の端部141aとを揃った状態に形成し、平板150の端部151bと、波板140の端部141bとを揃った状態に形成することができる。
【0070】
制御部200は、巻回体120を巻回し終えたか否か、判断する(ステップS6)。制御部200が巻回体120が巻回をし終えていないと判断した場合(S6-No)、制御部200は、巻回体120を巻回させ続ける。
【0071】
例えばベース12に設けた第1のセンサ220により、アセンブリ体160の後端(平板150の基端又は波板140の基端のうち、搬送方向に沿って上流側の端)を検知したときに、制御部200は、巻回体120の巻回を終えたと判断する。又は、制御部200は、例えば、エンコーダ232a,232bにより取得される一対の巻取軸16a,16bのモータ230a,230bの回転量(回転角度)が所定量を超えたときに、巻回体120の巻回を終えたと判断する。
【0072】
そして、制御部200は、巻回体120が巻回をし終えたと判断した場合(S6-Yes)、モータ230a,230bを制御し、一対の巻取軸16a,16bの回転を停止する。このとき、制御部200は、第1の動作部210を制御してベース12の下降を停止させるとともに、第3の動作部260を制御して調整部材20の上昇を停止させる。このため、支持体14(ローラ14a-14d)及び調整部材20によって、上下で巻回体120の形状を保持し、巻回体120の弾性力に抗して、巻回体120の外径が維持される。
【0073】
なお、調整部材20により、巻回体120の外径が維持されるが、巻回体120の中心軸となっている一対の巻取軸16a,16bに対する負荷をできるだけ抑制するため、調整部材20の圧力センサ266は、巻回体120の弾性変形に基づく反力を検出する。圧力センサ266による検出値が所定の圧力範囲内であれば、制御部200は、一対の巻取軸16a,16bに対する負荷による影響を無視し得る。圧力センサ266による検出値が所定の圧力範囲から外れている場合、制御部200は、第3の作動部260を動作させて、調整部材20を例えば上方に移動させて、圧力センサ266で検出される検出値が所定範囲内となるように調整する。したがって、一対の巻取軸16a,16bに対して意図せず所定以上の負荷がかかることが抑制されている。
【0074】
そして、制御部200は、例えば製造装置10に対して搬送方向下流側に配置された第2の搬送装置180を制御して、巻回体120を第2の搬送装置180の把持部材181,182で挟持(把持)する(ステップS7)。なお、
図2に示すように、ベース12の上面には、基端から先端側に向かって、適宜の長さに、凹溝12aが形成されている。このため、
図9に示すように、把持部材182がベース12に干渉することを防止する。
【0075】
その後、制御部200は、モータ230a,230bを制御して、一対の巻取軸16a,16bの回転角度を少し戻し、一対の巻取軸16a,16bの外周面に対する平板150の先端部150bの巻き付き力を緩和する。このとき、巻回体120は、調整部材20で支持され、かつ、第2の搬送装置180の把持部材181,182で挟持されて外径が維持されている。このため、巻回体120の中心部の内径の表面積の変化量は無視できる程度である。この状態で、制御部200は、第2の動作部240を制御して、一対の巻取軸16a,16bを
図2に示す破線位置から実線位置に退避させる(ステップS8)。続いて、制御部200は、第3の動作部260を制御して、調整部材20を上方に退避させる(ステップS9)。このとき、必要に応じて制御部200は、第1の動作部210を制御して、ベース12及び支持体14を下方に退避させる。なお、一対の巻取軸16a,16bの回転を逆転させ、巻回体120の一対の巻取軸16a,16bへの巻き付け力を緩和させる動作は、例えば一対の巻取軸16a,16bの逆転後、再度正転させるなど、逆転および正転を何度か繰り返しても良い。
【0076】
そして、制御部200は、第2の搬送装置180の把持部材181,182で挟持した巻回体120を下流側に搬送する(ステップS10)とともに、ベース12及び支持体14を例えば
図5に示す位置関係となるように上昇させる。
本実施形態によれば、アセンブリ体160で巻回体120を製造装置10により製造するとき、引張部材18によりアセンブリ体160を所定位置に配置し、アセンブリ体160の平板150を安定的に巻回させることができる。
【0077】
平板150の先端150aをベース12の基端に向けて搬送するとき、平板150の先端150aは、例えば上流側の磁石18a,18bを通過した後、一対の第1のローラ14a,14b及び一対の第2のローラ14c,14d上を順に乗る。一対の第1のローラ14a,14b、一対の第2のローラ14c,14dはそれぞれベース12の上面に対して突出する。このため、平板150は、上向きに反りやすい。本実施形態では、上流側の磁石18a,18bがあるため、平板150をベース12及び一対の第1のローラ14a,14bに向けて引っ張り、すなわち、平板150を一対の第1のローラ14a,14bに向けて付勢する。言い換えると、平板150は、磁石18a,18bにより、一対の第1のローラ14a,14bを押圧するように力が負荷される。すなわち、平板150の先端150aが、ベース12の上面から極力離れずに、ベース12の上流側から下流側に向かって移動する。
そして、下流側の磁石18c,18dがあるため、搬送方向に搬送した平板150を一対の第2のローラ14c,14d及びベース12に向けて引っ張り、すなわち、平板150を一対の第2のローラ14c,14dに向けて付勢する。言い換えると、平板150は、磁石18c,18dにより、一対の第2のローラ14c,14dを押圧するように力が負荷される。
【0078】
このため、磁石18c,18dは、磁石18a,18bと協働して、平板150を一対の第1のローラ14a,14b及び一対の第2のローラ14c,14d上に向けて付勢する。平板150は、磁石18a-18dにより、一対の第1のローラ14a,14b及び一対の第2のローラ14c,14dを押圧するように力が負荷される。すなわち、平板150の先端150aを搬送方向に搬送するとき、平板150の先端150aが、ベース12の上面、第1のローラ14a,14b、及び、第2のローラ14c,14dから極力離れずに、ベース12の上流側から下流側に向かって移動する。このため、例えば一対の第1のローラ14a,14bと、一対の第2のローラ14c,14dとの間で平板150が浮くことを防止する。第1の磁石18a,18bと、第2の磁石18c,18dとにより、平板150を第1のローラ14a,14bと第2のローラ14c,14dとの間で張った状態とすることができる。
【0079】
また、平板150上の波板140にも、磁石18a,18bの力は作用する。このため、波板140が平板150上に追従して搬送方向に搬送され、波板140が平板150上から離れることが防止される。
【0080】
本実施形態では、一対の巻取軸16a,16bを
図2に実線で示す退避位置から、破線で示す把持位置に移動させるときに、平板150の位置を安定した位置に配置することができる。したがって、一対の巻取軸16a,16bで平板150をより確実に把持することができる。このため、一対の巻取軸16a,16bでの把持エラーによる巻回体120の製造の失敗を抑制することができる。
【0081】
また、一対の巻取軸16a,16bを回転させ、巻回体120を製造するとき、第1の磁石18a,18bで平板150及び波板140をベース12の上流側端部に向かって引っ張り続ける。このため、アセンブリ体160すなわち平板150及び波板140が、上下に振れる大きさを抑制でき、巻回体120の巻回を安定して行うことができる。
【0082】
したがって、本実施形態に係る、帯状の平板150と平板150に重ねて配置される波板140とを平板150及び波板140の搬送方向に直交する軸の軸回りにロール状に巻回する巻回体120の製造装置10は、平板150の搬送方向に離間し、搬送により平板150が載置される、少なくとも一対の支持体14と、搬送方向に沿って、少なくとも一対の支持体14の間の位置又はその上方に設けられ、少なくとも一対の支持体14に載置された平板150を(挟むように)支持するとともに、その軸回りに回転することにより平板150及び波板140を一緒にロール状に巻回する巻取軸16a,16bと、搬送方向に沿って巻取軸16a,16bの上流側及び下流側で平板150を少なくとも一対の支持体14に向けて引っ張る引張部材18とを有する。言い換えると、引張部材18は、搬送方向に沿って巻取軸16a,16bの上流側及び下流側で平板150を少なくとも一対の支持体14に向けて付勢するとともに、搬送方向に沿って巻取軸16a,16bの上流側で平板150に対して波板140を平板150に向けて付勢する磁石を有する。
本実施形態によれば、巻取軸16a,16bのスリット17cに平板150の先端部150bを挿通しやすく、すなわち、巻取軸16a,16bで平板150をより安定的に支持しやすく、より安定的に巻回体120を製造可能な、巻回体120の製造装置10、及び、巻回体120の製造方法を提供することができる。
【0083】
本実施形態では、引張部材18の第1の磁石18a,18bをベース12に設ける例について説明した。第1の磁石18a,18bは、ベース12よりも上流側に配置されていてもよい。
【0084】
本実施形態では、芯金16として、一対の巻取軸16a,16bを有する例について説明した。芯金16として、1つの巻取軸16aだけを用いてもよい。この場合、巻取軸16aの二股部17のスリット17cの軸方向長さは、平板150の幅と略同じか、それよりも長く形成されることが好適である。
【0085】
一方で、本実施形態では、製造装置10は、1つの巻取軸を用いるのではなく、2つの巻取軸16a,16bの回転軸を一致させながら、自由端を対向させて用いる例について説明した。本実施形態に係る製造装置10は、1つの巻取軸を用いる場合に比べて、各巻取軸16a,16bを短く形成して適宜の剛性を発揮させ、1つの巻取軸を用いる場合に比べて、各巻取軸16a,16bの外径を小さくすることができる。したがって、本実施形態によれば、巻回体120の中心部の内径をできるだけ小さくし得る排ガス浄化用メタル基材の製造装置10を提供することができる。このため、一対の巻取軸16a,16bを用いて巻回体120を製造するとき、巻回体120の中心部の内径をより小さく形成し易く、排ガスの浄化性能をより良好にし得る製造装置10が提供される。
本実施形態では、引張部材18をネオジム磁石などの永久磁石として説明した。引張部材18は、例えば真空吸引装置に接続された吸着パッドなど、内部を負圧とする吸着部を用いてもよい。この場合、吸着部により、平板150をベース12、第1のローラ14a,14b及び第2のローラ14c,14dに引っ張ることができる。このときの真空吸引装置は、制御部200により制御されてもよく、真空吸引装置に接続される電磁弁(図示せず)が制御部200により制御されてもよい。
吸引部の吸引力は平板150に及ぶが、通常は波板140には及ばない。しかしながら、平板150に吸引力を安定的に及ぼすことにより、平板150を安定的に巻回体120の製造装置10に向けて搬送でき、したがって、平板150上の波板140を平板150上で安定的に搬送することができる。したがって、引張部材18として吸引部を用いる場合であっても、安定的に巻回体120を製造することができる。この場合、アセンブリ体160の平板150及び波板140には、軟磁性体であるか否かに無関係に、マルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレスの他、オーステナイト系ステンレス等のステンレスなど、適宜の素材を用いることができる。
また、上述したように、平板150は、適宜に開口を有する。このため、場所によっては、平板150だけでなく、波板140にも、吸引力が作用し得る。
【0086】
本実施形態で説明した引張部材18のうち、巻取軸16a,16bの上流側に磁石18a,18bを配置し、巻取軸16a,16bの上流側に磁石ではなく、吸引部を配置してもよい。
【0087】
本実施形態では、支持体14として、4つのローラ14a-14dを用いる例について説明した。支持体14は、ローラ14a-14dの代わりに、例えば球状体を用いてもよい。
【0088】
本実施形態では、製造装置10は、ベース12を用いる例について説明したが、支持体14及び引張部材18が相対的に上述した位置を維持できれば、ベース12は必ずしも必要ではない。
【0089】
本実施形態では、波付けした金属製の波板140の下側に金属製の平板150を重ねたアセンブリ体160を、巻回体120の製造装置10に向けて搬送する例について説明した。波付けした金属製の波板140の上側に金属製の平板150を重ねたアセンブリ体160を、巻回体120の製造装置10に向けて搬送し、巻回体120を形成してもよい。この場合、一対の巻取軸16a,16bの回転方向は、上述した平板150の上側に波板140を重ねたアセンブリ体160とは反対方向である。引張部材18として磁石18a-18dを用いる場合、下側の波板140に加えて、上側の平板150にも引張部材18の力が作用する。
このため、下側に波板140を配置し上側に平板150を配置したアセンブリ体160を用いて、一対の巻取軸16a,16bを回転させ、巻回体120を製造するとき、第1の磁石18a,18bで下側の波板140及び上側の平板150をベース12の上流側端部に向かって引っ張り続ける。このため、アセンブリ体160すなわち平板150及び波板140が、上下に振れる大きさを抑制でき、巻回体120の巻回を安定して行うことができる。
【0090】
したがって、アセンブリ体160の波板140及び平板150の重ね方向は、上下どちらであっても、本実施形態に係る巻回体120の製造装置10を用いて巻回体120が形成される。
【0091】
本実施形態では、調整部材20に圧力センサ266を設け、圧力センサ266の出力値に基づいて第3の作動部260を動作させて、一対の巻取軸16a,16bへの負荷を抑制するようにした。例えば、一対の巻取軸16a,16b自体に歪ゲージを取り付けて歪をリアルタイム測定し、その測定値に基づいて第3の作動部260を動作させて、一対の巻取軸16a,16bへの負荷を抑制するようにしてもよい。すなわち、巻回体120の製造時に一対の巻取軸16a,16bへの負荷を抑制する手段は、種々が存在し得る。
【0092】
本実施形態では、平板150をスリット17cに挿通させる例について説明した。例えば、平板150に加えて波板140の先端部をスリット17cに挿通させるようにしてもよい。また、平板150に代えて、波板140の先端部をスリット17cに挿通させるようにしてもよい。すなわち、平板150の先端150aよりも搬送方向に波板140の先端部が突出していてもよい。このため、スリット17cには、少なくとも平板150及び/又は波板140が、スリット17cに挿通可能に配置される。なお、波板140の先端部は、平板150の先端部150bと同様に平面として形成されていてもよく、波型に成形された部分として形成されていてもよい。
【0093】
(変形例)
上述した第1実施形態では、移動機構として、第2のポンプ242及びエアシリンダー244を有する第2の作動部(移動機構)240を制御部200で制御することにより一対の巻取軸16a,16bを相対的に近接又は離隔させる例について説明した。
図12A及び
図12Bに示すように、製造装置10は、移動機構として、一対のラック272a,272bと、一対のラック272a,272b間に噛み合わせられるピニオンギヤ274と、モータ276とを有するものであってもよい。これら一対のラック272a,272b、ピニオンギヤ274、及び、モータ276は、例えばベース12の上下の移動、調整部材20の上下の移動に干渉しない位置に設けられる。これら一対のラック272a,272b、ピニオンギヤ274、及び、モータ276は、ベース12の下側に設けられることが好適である。モータ276は、ピニオンギヤ274をステッピングモータ等により所望の角度回転させる構造としてもよい。
【0094】
そして、一対のラック272a,272bのうちの一方のラック272aに設けた支持部材278aでフランジ16a1を第1の巻取軸16aの軸回りに回転可能に支持し、一対のラック272a,272bのうちの他方のラック272bに設けた支持部材278bでフランジ16b1を第2の巻取軸16bの軸回りに回転可能に支持してもよい。
【0095】
なお、一対のラック272a,272bの延出方向は、平板150及び波板140の幅方向に平行な方向である。
【0096】
例えば、制御部200でモータ276を回転させると、ピニオンギヤ274の回転に伴って一対のラック272a,272bが連動して移動し、支持部材278a,278b及びフランジ16a1,16b1が近接又は離隔する。すなわち、巻取軸16a,16bの自由端が近接又は離隔する。
移動機構は、このように形成されてもよい。
【0097】
(第2実施形態)
第1実施形態では、引張部材18として、永久磁石又は吸着部を用いる例について説明した。本実施形態では、
図13から
図15に示すように、引張部材18として電磁石19a,19bを用いる例について説明する。なお、本実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図4に示すように、制御部200には電磁石19a,19bが接続され、電磁石19a,19bに流す電流のON/OFFは、制御部200が制御し得る。
【0098】
本実施形態に係る引張部材18としての電磁石19a,19bは、第1実施形態で説明した位置に配置してもよく、例えば支持体14に設けてもよい。本実施形態では、電磁石19a,19bを支持体14に設ける例について説明する。なお、
図13から
図15中、ローラ14bに電磁石19aを設けているが、第1実施形態で説明したローラ14a(
図2参照)にも、電磁石19aを設けていることが好適である。同様に、ローラ14dに電磁石19bを設けているが、ローラ14c(
図2参照)にも、電磁石19bを設けていることが好適である。
【0099】
制御部200は、電磁石19a,19bの磁力の発生のON/OFFを切り替え可能である。本実施形態に係る引張部材18としての電磁石19a,19bに電流を流すと、電磁石19a,19bは磁力を発生して磁石として用いられ、電流を停止すると、電磁石19a,19bは磁石としての機能が失われる。
【0100】
なお、第1のローラ14a,14bに対して第1の電磁石19a,19bは、例えばゴム材等の絶縁材等を介して設けられることが好適であり、第2のローラ14c,14dに対して第2の電磁石19a,19bは、例えばゴム材等の絶縁材等を介して設けられることが好適である。例えば第1のローラ14a,14b、第2のローラ14c,14dが金属材で形成されている場合、第1のローラ14a,14b及び第2のローラ14c,14dを介してアセンブリ体160に電流が流れることが防止される。
【0101】
本実施形態に係る第1のローラ14a,14bに例えばそれぞれ設けられる第1の電磁石19aと、第2のローラ14c,14dに例えばそれぞれ設けられる第2の電磁石19bとは、それぞれ別々にON/OFFの切り替えが可能である。このため、引張部材18における平板150又はアセンブリ体160の引張位置は、支持体14のうち、上流側の支持体14(第1のローラ14a,14b)上にある。また、引張部材18における平板150の引張位置は、支持体14のうち、下流側の支持体14(第2のローラ14c,14d)上にある。
【0102】
例えば、
図13及び
図14に示すように、アセンブリ体160の平板150の先端部150bをベース12、第1のローラ14a,14b、第2のローラ14c,14d上に載置する場合、制御部200は、電磁石19a,19bに電流を流し、アセンブリ体160の平板150の先端部150bを第1のローラ14a,14b、第2のローラ14c,14d上に引っ張る。
【0103】
そして、
図14に示すように、一対の巻取軸16a,16bで平板150の先端部150bを把持するまで、制御部200は、電磁石19a,19bに電流を流した状態を維持する。
【0104】
そして、一対の巻取軸16a,16bでの平板150の先端部150bの把持を完了した後、制御部200は、第1の電磁石19aに電流を流した状態を維持しながら、第2の電磁石19bへの電流の流れを停止する。この状態で、制御部200は、モータ230を制御して一対の巻取軸16a,16bを回転させ、平板150の先端部150bが第2の電磁石19a,19b上から容易に退避し、
図15に示すように折り曲げられる。このときも、制御部200は、第1の電磁石19aに電流を流した状態を維持するため、平板150が第1のローラ14a,14b上に接した状態が維持される。
【0105】
この後、巻回体120が製造されるまで、制御部200は、第1の電磁石19aに電流を流し続け、巻回体120が製造された後、制御部200は、第1の電磁石19aへの電流の流れを停止させる。
【0106】
図14及び
図15に示すように、制御部200がモータ230を制御し、一対の巻取軸16a,16bで挟持したアセンブリ体160の平板150の先端部150bを折り返し、平板150の先端150aの向きを変える場合、制御部200は、平板150の先端側の電磁石19bへの電流を停止させる。このため、一対の巻取軸16a,16bは、制御部200が電磁石19bに電流を流した状態であるよりも比較的軽い力で、一対の巻取軸16a,16bで挟持したアセンブリ体160の平板150の先端部150bを折り返すことができる。
【0107】
また、制御部200が電磁石19a,19bに流す電流の大きさを調整することにより、アセンブリ体160への引張力を調整することができる。
【0108】
したがって、本実施形態に係る、帯状の平板150と平板150に重ねて配置される波板140とを平板150及び波板140の搬送方向に直交する軸の軸回りにロール状に巻回する巻回体120の製造装置10は、平板150の搬送方向に離間し、搬送により平板150が載置される、少なくとも一対の支持体14と、搬送方向に沿って、少なくとも一対の支持体14の間の位置又はその上方に設けられ、少なくとも一対の支持体14に載置された平板150を(挟むように)支持するとともに、その軸回りに回転することにより平板150及び波板140を一緒にロール状に巻回する巻取軸16a,16bと、搬送方向に沿って巻取軸16a,16bの上流側及び下流側で平板150を少なくとも一対の支持体14に向けて引っ張る引張部材18とを有する。言い換えると、引張部材18は、搬送方向に沿って巻取軸16a,16bの上流側及び下流側で平板150を少なくとも一対の支持体14に向けて付勢するとともに、搬送方向に沿って巻取軸16a,16bの上流側で平板150に対して波板140を平板150に向けて付勢する電磁石を有する。
本実施形態によれば、巻取軸16a,16bのスリット17cに平板150の先端部150bを挿通しやすく、すなわち、巻取軸16a,16bで平板150をより安定的に支持しやすく、より安定的に巻回体120を製造可能な、巻回体120の製造装置10、及び、巻回体120の製造方法を提供することができる。
【0109】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【要約】
帯状の平板と平板に重ねて配置される波板とを平板及び波板の搬送方向に直交する軸の軸回りにロール状に巻回する巻回体の製造装置は、平板の搬送方向に離間し、搬送により平板が載置される、少なくとも一対の支持体と、搬送方向に沿って、少なくとも一対の支持体の間の位置又はその上方に設けられ、少なくとも一対の支持体に載置された平板を支持するとともに、その軸回りに回転することにより平板及び波板を一緒にロール状に巻回する巻取軸と、搬送方向に沿って巻取軸の上流側及び下流側で平板を前記少なくとも一対の支持体に向けて引っ張る引張部材とを有する。