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特許7447373クレーン監視装置および該方法ならびに天井クレーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】クレーン監視装置および該方法ならびに天井クレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/00 20060101AFI20240305BHJP
   B66C 15/06 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66C15/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020170172
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061911
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】岡本 陽
(72)【発明者】
【氏名】吉本 達也
(72)【発明者】
【氏名】高井 槙子
(72)【発明者】
【氏名】松永 博之
(72)【発明者】
【氏名】切抜 裕太
(72)【発明者】
【氏名】乗松 武
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-093890(JP,A)
【文献】特開2019-024150(JP,A)
【文献】特開2020-007134(JP,A)
【文献】特開2017-019647(JP,A)
【文献】特開2019-069836(JP,A)
【文献】特開平05-229782(JP,A)
【文献】特表2015-533747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びるガータを移動可能に構成され、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車を備える天井クレーンに関わる対象者を監視するクレーン監視装置であって、
吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する吊荷検出部と、
前記対象者および前記対象者の形状を検出する対象者検出部と、
前記吊荷検出部で検出した吊り荷と前記対象者検出部で検出した対象者との間の最小間隔を前記吊荷検出部で検出した吊り荷の形状および前記対象者検出部で検出した対象者の形状に基づいて求める間隔処理部と、
前記間隔処理部で求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合に、警告を外部に報知する警告処理部とを備え、
前記吊荷検出部は、前記フックを特定し、前記特定したフックを含む所定範囲の検出領域を設定し、前記設定した検出領域内で前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し、
前記吊荷検出部は、フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する第1点群データ生成部と、前記第1点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する第1検出処理部とを備え
前記対象者検出部は、前記フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する第2点群データ生成部と、前記第2点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する第2検出処理部とを備え
前記第1点群データ生成部と前記第2点群データ生成部は、別体、または、兼用されて一体であり
前記第1点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第1Aおよび第1B点群データ生成部を備え、前記第1検出処理部は、前記第1Aおよび第1B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し
前記第2点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第2Aおよび第2B点群データ生成部を備え、前記第2検出処理部は、前記第2Aおよび第2B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する、
クレーン監視装置。
【請求項2】
一方向に延びるガータを移動可能に構成され、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車を備える天井クレーンに関わる対象者を監視するクレーン監視装置であって
吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する吊荷検出部と
前記対象者および前記対象者の形状を検出する対象者検出部と
前記吊荷検出部で検出した吊り荷と前記対象者検出部で検出した対象者との間の最小間隔を前記吊荷検出部で検出した吊り荷の形状および前記対象者検出部で検出した対象者の形状に基づいて求める間隔処理部と
前記間隔処理部で求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合に、警告を外部に報知する警告処理部とを備え
前記吊荷検出部は、前記フックを特定し、前記特定したフックを含む所定範囲の検出領域を設定し、前記設定した検出領域内で前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し
前記吊荷検出部は、フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する点群データ生成部と、前記点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する第1検出処理部とを備え、
前記対象者検出部は、前記フック側に撮像方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記撮像方向の画像を生成する撮像部と、前記撮像部で生成した画像に基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する第2検出処理部とを備え、
前記点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B点群データ生成部を備え、前記第1検出処理部は、前記第Aおよび第B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し
前記撮像部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B撮像部を備え、前記第2検出処理部は、前記第Aおよび第B撮像部それぞれで生成した各画像に基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する、
クレーン監視装置。
【請求項3】
前記監視の開始および前記監視の終了を制御する開始終了制御部をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載のクレーン監視装置。
【請求項4】
前記間隔処理部で求めた最小間隔が所定の第2閾値以下または未満である場合に、前記天井クレーンの動作を停止する停止処理部をさらに備える、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のクレーン監視装置。
【請求項5】
一方向に延びるガータを移動可能に構成され、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車を備える天井クレーンに関わる対象者を監視するクレーン監視方法であって、
吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する吊荷検出工程と、
前記対象者および前記対象者の形状を検出する対象者検出工程と、
前記吊荷検出工程で検出した吊り荷と前記対象者検出工程で検出した対象者との間の最小間隔を前記吊荷検出工程で検出した吊り荷の形状および前記対象者検出工程で検出した対象者の形状に基づいて求める間隔処理工程と、
前記間隔処理工程で求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合に、警告を外部に報知する警告処理工程とを備え、
前記吊荷検出工程は、前記フックを特定し、前記特定したフックを含む所定範囲の検出領域を設定し、前記設定した検出領域内で前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出
前記吊荷検出工程は、フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する第1点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し
前記対象者検出工程は、前記フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する第2点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出し
前記第1点群データ生成部と前記第2点群データ生成部は、別体、または、兼用されて一体であり
前記第1点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第1Aおよび第1B点群データ生成部を備え、前記吊荷検出工程は、前記第1Aおよび第1B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し
前記第2点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第2Aおよび第2B点群データ生成部を備え、前記対象者検出工程は、前記第2Aおよび第2B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する、
クレーン監視方法。
【請求項6】
一方向に延びるガータを移動可能に構成され、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車を備える天井クレーンに関わる対象者を監視するクレーン監視方法であって
吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する吊荷検出工程と
前記対象者および前記対象者の形状を検出する対象者検出工程と
前記吊荷検出工程で検出した吊り荷と前記対象者検出工程で検出した対象者との間の最小間隔を前記吊荷検出工程で検出した吊り荷の形状および前記対象者検出工程で検出した対象者の形状に基づいて求める間隔処理工程と
前記間隔処理工程で求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合に、警告を外部に報知する警告処理工程とを備え
前記吊荷検出工程は、前記フックを特定し、前記特定したフックを含む所定範囲の検出領域を設定し、前記設定した検出領域内で前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し
前記吊荷検出工程は、フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し
前記対象者検出工程は、前記フック側に撮像方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記撮像方向の画像を生成する撮像部で生成した画像に基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出し
前記点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B点群データ生成部を備え、前記吊荷検出工程は、前記第Aおよび第B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し
前記撮像部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B撮像部を備え、前記対象者検出工程は、前記第Aおよび第B撮像部それぞれで生成した各画像に基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する
クレーン監視方法
【請求項7】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のクレーン監視装置を備えた天井クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井クレーンに関わる対象者を監視するクレーン監視装置および該方法ならびに前記クレーン監視装置を備えた天井クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工場や倉庫等では、重量物を移動するために、天井クレーンが利用されることが多い。このような天井クレーンでは、吊り荷が上げ下げされる際に、吊り荷が揺れて作業者に危険が及ぶ虞がある。特に、いわゆる地切りの際に吊り荷が大きく揺れて危険が大きい。このため、このような危険を回避するシステムが提案されており、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示されたクレーンの吊り荷監視システムは、クレーンにおける吊り荷を撮影可能な位置に装備されたカメラと、該カメラの画像データに基づき吊り荷周囲の危険領域に人が存在しているか否かを画像解析により判定する演算装置とを備え、吊り荷周囲の危険領域に人が存在していると判定された場合に警報信号及び非常停止信号の少なくとも何れか一方を出力するように前記演算装置が構成されている。そして、この特許文献1の[0024]段落には「更に、次のステップS3においては、背景から抽出された移動体が夫々に特有の形状パターン等から吊り荷8と人(地上作業員9)に判別され、次のステップS4にて前記吊り荷8の周囲に危険領域が設定されることになり、ここで設定された危険領域に人が存在するか否かが次のステップS5で判定されることになる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-7134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば作業者等の監視の対象者の安全性を的確に判断するためには、吊り荷と対象者との間の間隔を正確に測定する必要がある。吊り荷には、様々な形状や大きさが存在するので、前記間隔を正確に測定するために、吊り荷の形状や大きさを認識する必要がある。前記特許文献1に開示されたクレーンの吊り荷監視システムでは、上記の通り、背景から抽出された移動体が、夫々に特有の形状パターン等から吊り荷8と人(地上作業員9)に判別され、前記吊り荷8の周囲に危険領域が設定されており、前記特許文献1に開示されたクレーンの吊り荷監視システムは、吊り荷の形状や大きさを認識していない。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、吊り荷の形状を認識して吊り荷と対象者との間の間隔をより正確に測定できるクレーン監視装置およびクレーン監視方法ならびに前記クレーン監視装置を備えた天井クレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるクレーン監視装置は、ガータを移動可能に構成され、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車を備える天井クレーンに関わる対象者を監視する装置であって、吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する吊荷検出部と、前記対象者および前記対象者の形状を検出する対象者検出部と、前記吊荷検出部で検出した吊り荷と前記対象者検出部で検出した対象者との間の最小間隔を前記吊荷検出部で検出した吊り荷の形状および前記対象者検出部で検出した対象者の形状に基づいて求める間隔処理部と、前記間隔処理部で求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合に、警告を外部に報知する警告処理部とを備え、前記吊荷検出部は、前記フックを特定し、前記特定したフックを含む所定範囲の検出領域を設定し、前記設定した検出領域内で前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する。
【0008】
このようなクレーン監視装置は、フックを含む検出領域を設定して吊り荷を検出する。吊り荷は、フックに掛けられた荷物であるので、上記クレーン監視装置は、吊荷検出部の検出範囲内に吊り荷ではない荷物が在っても吊り荷をより正確に検出できる。上記クレーン監視装置は、より正確に検出できる吊り荷における形状も検出するので、吊り荷と対象者との間の最小間隔をより正確に求めることができる。よって、上記クレーン監視装置は、吊り荷の形状を認識して吊り荷と対象者との間の間隔をより正確に測定できる。
【0013】
そして、上述のクレーン監視装置において、前記吊荷検出部は、フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する第1点群データ生成部と、前記第1点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する第1検出処理部とを備え、前記対象者検出部は、前記フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する第2点群データ生成部と、前記第2点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する第2検出処理部とを備え、前記第1点群データ生成部と前記第2点群データ生成部は、別体、または、兼用されて一体である。さらに、上述のクレーン監視装置において、互いに死角をカバーする観点から、前記第1点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第1Aおよび第1B点群データ生成部を備え、前記第1検出処理部は、前記第1Aおよび第1B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し、前記第2点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第2Aおよび第2B点群データ生成部を備え、前記第2検出処理部は、前記第2Aおよび第2B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する。
【0014】
このようなクレーン監視装置は、吊荷検出部および対象者検出部それぞれが物体表面の形状を表す3次元点群データを生成するので、3次元点群データから吊り荷や対象者を容易に検出できる。フックは、昇降方向に直交する平面内を、走行レールに対するガータの移動およびガータに対する昇降台車の移動によって、移動する。このため、ガータの振動は、昇降台車の振動より小さいと推察される。上記クレーン監視装置は、吊荷検出部および対象者検出部それぞれをガータに配設するので、吊荷検出部および対象者検出部の各検出に与える振動の影響を昇降台車の場合より低減できる。また、作業者は、昇降台車よりガータの方がアクセス(アプローチ)し易いので、上記クレーン監視装置では、吊荷検出部および対象者検出部の保守管理がし易い。
【0015】
そして、上述のクレーン監視装置において、前記吊荷検出部は、フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する点群データ生成部と、前記点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する第1検出処理部とを備え、前記対象者検出部は、前記フック側に撮像方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記撮像方向の画像を生成する撮像部と、前記撮像部で生成した画像に基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する第2検出処理部とを備える。さらに、上述のクレーン監視装置において、互いに死角をカバーする観点から、前記点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B点群データ生成部を備え、前記第1検出処理部は、前記第Aおよび第B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し、前記撮像部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B撮像部を備え、前記第2検出処理部は、前記第Aおよび第B撮像部それぞれで生成した各画像に基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する。
【0016】
このようなクレーン監視装置は、形状を検出する吊荷検出部に点群データ生成部を優先的に用い、対象者検出部に撮像部を用いることで、分解能に偏りの有る点群データ生成部であっても、吊り荷およびその形状を点群データ生成部で的確に検出する一方、吊り荷の周囲に散らばる対象者を撮像部で検出できる。
【0017】
他の一態様では、これら上述のクレーン監視装置において、前記監視の開始および前記監視の終了を制御する開始終了制御部をさらに備える。
【0018】
このようなクレーン監視装置は、監視の開始および終了を自動化できる。
【0019】
他の一態様では、これら上述のクレーン監視装置において、前記間隔処理部で求めた最小間隔が所定の第2閾値以下または未満である場合に、前記天井クレーンの動作を停止する停止処理部をさらに備える。
【0020】
このようなクレーン監視装置は、停止処理部をさらに備えるので、天井クレーンの動作に起因する不具合を回避できる。
【0021】
本発明の一態様にかかるクレーン監視方法は、一方向に延びるガータを移動可能に構成され、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車を備える天井クレーンに関わる対象者を監視するクレーン監視方法であって、吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する吊荷検出工程と、前記対象者および前記対象者の形状を検出する対象者検出工程と、前記吊荷検出工程で検出した吊り荷と前記対象者検出工程で検出した対象者との間の最小間隔を前記吊荷検出工程で検出した吊り荷の形状および前記対象者検出工程で検出した対象者の形状に基づいて求める間隔処理工程と、前記間隔処理工程で求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合に、警告を外部に報知する警告処理工程とを備え、前記吊荷検出工程は、前記フックを特定し、前記特定したフックを含む所定範囲の検出領域を設定し、前記設定した検出領域内で前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し、前記吊荷検出工程は、フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する第1点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し、前記対象者検出工程は、前記フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する第2点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出し、前記第1点群データ生成部と前記第2点群データ生成部は、別体、または、兼用されて一体であり、前記第1点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第1Aおよび第1B点群データ生成部を備え、前記吊荷検出工程は、前記第1Aおよび第1B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し、前記第2点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第2Aおよび第2B点群データ生成部を備え、前記対象者検出工程は、前記第2Aおよび第2B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する。本発明の一態様にかかるクレーン監視方法は、一方向に延びるガータを移動可能に構成され、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車を備える天井クレーンに関わる対象者を監視するクレーン監視方法であって、吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する吊荷検出工程と、前記対象者および前記対象者の形状を検出する対象者検出工程と、前記吊荷検出工程で検出した吊り荷と前記対象者検出工程で検出した対象者との間の最小間隔を前記吊荷検出工程で検出した吊り荷の形状および前記対象者検出工程で検出した対象者の形状に基づいて求める間隔処理工程と、前記間隔処理工程で求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合に、警告を外部に報知する警告処理工程とを備え、前記吊荷検出工程は、前記フックを特定し、前記特定したフックを含む所定範囲の検出領域を設定し、前記設定した検出領域内で前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し、前記吊荷検出工程は、フック側に検出方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記検出方向の3次元点群データを生成する点群データ生成部で生成した3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し、前記対象者検出工程は、前記フック側に撮像方向を向くように前記ガータの端部に配設され、前記撮像方向の画像を生成する撮像部で生成した画像に基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出し、前記点群データ生成部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B点群データ生成部を備え、前記吊荷検出工程は、前記第Aおよび第B点群データ生成部それぞれで生成した各3次元点群データに基づいて前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出し、前記撮像部は、前記ガータの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B撮像部を備え、前記対象者検出工程は、前記第Aおよび第B撮像部それぞれで生成した各画像に基づいて前記対象者および前記対象者の形状を検出する
【0022】
このようなクレーン監視方法は、フックを含む検出領域を設定して吊り荷を検出する。吊り荷は、フックに掛けられた荷物であるので、上記クレーン監視方法は、吊り荷検出工程の検出範囲内に吊り荷ではない荷物が在っても吊り荷をより正確に検出できる。上記クレーン監視方法は、より正確に検出できる吊り荷の形状も検出するので、吊り荷と対象者との間の最小間隔をより正確に求めることができる。よって、上記クレーン監視方法は、吊り荷の形状を認識して吊り荷と対象者との間の間隔をより正確に測定できる。
【0023】
本発明の他の一態様にかかる天井クレーンは、これら上述のいずれかのクレーン監視装置を備える。
【0024】
これによれば、これら上述のいずれかのクレーン監視装置を備えた天井クレーンが提供できる。このような天井クレーンは、これら上述のいずれかのクレーン監視装置を備えるので、吊り荷の形状を認識して吊り荷と対象者との間の間隔をより正確に測定できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかるクレーン監視装置およびクレーン監視方法は、吊り荷の形状を認識して吊り荷と対象者との間の間隔をより正確に測定できる。本発明によれば、このようなクレーン監視装置を備えた天井クレーンが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態におけるクレーン監視装置の構成を示すブロック図である。
図2】前記第1実施形態のクレーン監視装置によって監視される天井クレーンの構成を示す模式図である。
図3】3次元点群データの一例、ならびに、吊り荷と対象者の検出方法および最小間隔の演算方法を説明するための図である。
図4】前記クレーン監視装置の動作を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態におけるクレーン監視装置の構成を示すブロック図である。
図6】前記第2実施形態のクレーン監視装置によって監視される天井クレーンの構成を示す模式図である。
図7】第2実施形態において、吊荷検出部の検出結果と対象者検出部の検出結果との合成処理を説明するための図である。
図8】第3実施形態におけるクレーン監視装置の構成を示すブロック図である。
図9】前記第3実施形態のクレーン監視装置によって監視される天井クレーンの構成を示す模式図である。
図10】第3実施形態において、フックの位置を検出する第1演算形態を説明するための図である。
図11】第3実施形態において、フックの位置を検出する第2演算形態を説明するための図である。
図12】第4実施形態におけるクレーン監視装置の構成を示すブロック図である。
図13】前記第4実施形態のクレーン監視装置によって監視される天井クレーンの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0028】
実施形態におけるクレーン監視装置は、ガータを移動可能に構成され、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車を備える天井クレーンに関わる対象者を監視する装置である。このクレーン監視装置は、吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する吊荷検出部と、前記対象者および前記対象者の形状を検出する対象者検出部と、前記吊荷検出部で検出した吊り荷と前記対象者検出部で検出した対象者との間の最小間隔を前記吊荷検出部で検出した吊り荷の形状および前記対象者検出部で検出した対象者の形状に基づいて求める間隔処理部と、前記間隔処理部で求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合に、警告を外部に報知する警告処理部とを備える。そして、本実施形態では、前記吊荷検出部は、前記フックを特定し、前記特定したフックを含む所定範囲の検出領域を設定し、前記設定した検出領域内で前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する。以下、このクレーン監視装置を備えた天井クレーンを例に、第1ないし第4実施形態を用いて、より具体的に説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるクレーン監視装置の構成を示すブロック図である。図2は、前記第1実施形態のクレーン監視装置によって監視される天井クレーンの構成を示す模式図である。図2Aは、上面図であり、図2Bは、側面図である。図3は、3次元点群データの一例、ならびに、吊り荷と対象者の検出方法および最小間隔の演算方法を説明するための図である。図3Aは、3次元点群データの一例、および、吊り荷と対象者の検出方法を説明するための図であり、図3Bは、最小間隔の演算方法を説明するための図である。
【0030】
第1実施形態におけるクレーン監視装置は、ガータを移動可能に構成され、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車を備える天井クレーンに関わる対象者を監視する装置である。前記対象者には、例えば、前記天井クレーンに吊られる吊り荷を扱う作業者や、前記天井クレーンを操作する作業者等が含まれる。前記天井クレーンCRaは、例えば、図2に示すように、1対の第1および第2走行レールRL-1、RL-2と、ガータGTと、昇降台車LTと備える。
【0031】
第1および第2走行レールRL-1、RL-2は、例えば工場や倉庫等の建屋の両側壁それぞれに一方向(第1方向、Y方向)に延びるように配設され、ガータGTにおける後述の第1および第2車輪を案内する棒状の部材である。
【0032】
ガータGTは、昇降台車LTを案内し、支持する部材であり、例えば、前記一方向(第1方向)に直交する方向(第2方向、X方向)に延びるように前記一方向に間隔を開けて配置された棒状の部材である1対の第1および第2主けた、前記第1および第2主けたの各両端それぞれでこれらを連結する第1および第2連結部材、前記第1および第2連結部材それぞれに回転自在に取り付けられ、第1および第2走行レールRL-1、RL-2に案内される第1および第2車輪、前記第1および第2車輪を同期して駆動する例えばモータ等の第1駆動部、ならびに、前記第1および第2主けた上に前記第2方向に延びるように配設され、昇降台車LTにおける後述の第3および第4車輪を案内する棒状の第3および第4走行レールを備える。
【0033】
昇降台車LTは、フックHKを前記一方向(第1方向)および前記第2方向に直交する方向(第3方向、Z方向)に沿って昇降自在に懸吊し、ガータGTの前記第3および第4走行レールに案内される装置である。昇降台車LTには、回転自在に取り付けられ、前記第3および第4走行レールに案内される第3および第4車輪、前記第3および第4車輪を同期して駆動する例えばモータ等の第2駆動部、フックHKに取り付けられるワイヤロープ、前記ワイヤロープを巻き取るワイヤ巻取機、ならびに、前記ワイヤ巻取機を駆動する例えばモータ等の第3駆動部を備える。
【0034】
天井クレーンCRには、天井クレーンCRを操作するための操作ペンダントHPが、ケーブルCVを介して、昇降台車LTに取り付けられている。操作ペンダントHPは、ガータGT(フックHK)を前記第1方向の一方(北方向)に移動させる北方ボタン、ガータGT(フックHK)を前記第1方向の他方(南方向)に移動させる南方ボタン、昇降台車LT(フックHK)を前記第2方向の一方(東方向)に移動させる東方ボタン、昇降台車LT(フックHK)を前記第2方向の他方(西方向)に移動させる西方ボタン、フックHKを前記第3方向の一方(上方向)に移動させる上昇ボタン、および、フックHKを前記第3方向の他方(下方向)に移動させる降下ボタンを備える。オペレータ(ユーザ)が北方ボタンを操作することで(例えば押すことで)、前記第1駆動部によって前記第1および第2車輪が正転し、これによってガータGTが北方向に移動し、これに伴いフックHKが北方向に移動する。オペレータ(ユーザ)が北方ボタンの操作を停止することで(例えば前記押すことを止めることで)、この北方向の移動が停止される。オペレータ(ユーザ)が南方ボタンを操作することで(例えば押すことで)、前記第1駆動部によって前記第1および第2車輪が逆転し、これによってガータGTが南方向に移動し、これに伴いフックHKが南方向に移動する。オペレータ(ユーザ)が南方ボタンの操作を停止することで(例えば前記押すことを止めることで)、この南方向の移動が停止される。オペレータ(ユーザ)が東方ボタンを操作することで(例えば押すことで)、前記第2駆動部によって前記第3および第4車輪が正転し、これによって昇降台車LTが東方向に移動し、これに伴いフックHKが東方向に移動する。オペレータ(ユーザ)が東方ボタンの操作を停止することで(例えば前記押すことを止めることで)、この東方向の移動が停止される。オペレータ(ユーザ)が西方ボタンを操作することで(例えば押すことで)、前記第2駆動部によって前記第3および第4車輪が逆転し、これによって昇降台車LTが西方向に移動し、これに伴いフックHKが西方向に移動する。オペレータ(ユーザ)が西方ボタンの操作を停止することで(例えば前記押すことを止めることで)、この西方向の移動が停止される。オペレータ(ユーザ)が上昇ボタンを操作することで(例えば押すことで)、前記第3駆動部によって前記ワイヤ巻取機が正転し、これによってフックHKが上昇する。オペレータ(ユーザ)が上昇ボタンの操作を停止することで(例えば前記押すことを止めることで)、この上昇が停止される。オペレータ(ユーザ)が降下ボタンを操作することで(例えば押すことで)、前記第3駆動部によって前記ワイヤ巻取機が逆転し、これによってフックHKが降下する。オペレータ(ユーザ)が降下ボタンの操作を停止することで(例えば前記押すことを止めることで)、この降下が停止される。
【0035】
クレーン監視装置Dは、例えば、図1に示すように、第1および第2撮像部1-1、1-2と、制御処理部2と、入力部3と、出力部4と、インターフェース部(IF部)5と、記憶部6とを備える。
【0036】
第1実施形態におけるクレーン監視装置Daは、例えば、図1に示すように、吊荷検出部1aと、対象者検出部2aと、制御処理部3aと、入力部4と、出力部5と、インターフェース部(IF部)6と、記憶部7とを備える。
【0037】
吊荷検出部1aは、制御処理部3aに有線または無線によって接続され、制御処理部3aの制御に従って、吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する装置である。より具体的には、本実施形態では、吊荷検出部1aは、検出方向の3次元点群データを生成する第1点群データ生成部11aと、第1点群データ生成部11aで生成した3次元点群データに基づいて吊り荷および吊り荷の形状を検出する第1検出処理部12aとを備える。第1点群データ生成部11aは、フックHKに掛けられる吊り荷PKを検出できるように、図2Bに示すように、フック側に検出方向を向くように昇降台車LTに配設される。本実施形態では、第1点群データ生成部11aは、その検出方向が平行に前記第3方向(Z方向)に沿うように、昇降台車LTの下部に配設される。なお、第1点群データ生成部11aは、検出方向が斜めに(前記第3方向と交差するように)昇降台車LTの下部に配設されてもよい。前記3次元点群データは、検出方向に存在する物体の表面における各点の3次元座標であり、通常、XYZ直交座標系の座標値(x、y、z)で表される。このため、3次元点群データによって、物体の有無や物体の形状が認識できる。このような3次元点群データを生成する装置として、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)、ステレオカメラおよびTOF(Time of Flight)カメラ(TOFセンサ)等がある。LiDARには、例えば、検出範囲の中央領域の分解能が相対的に高くその周辺領域の分解能が相対的に低い等の、分解能に偏りが有るものや、検出範囲で分解能に偏りの無い比較的均一なものがある。前者のLiDARとして、例えば、Velodyne Lidar inc.社製 VLP-32MR等が挙げられる。このVLP-32MRは、32個のTOFレーザセンサにより、水平方向360°で垂直方向40°(+15°~-25°)の検出範囲を持ち、その中央領域の分解能が相対的に高くその周辺領域の分解能が相対的に低い。後者のLiDARとして、例えば、北陽電機株式会社製YVT-35LX-FO等が挙げられる。このYVT-35LX-FOは、パルスレーザ光を走査することにより、水平方向210°で垂直方向40°(+35°~-5°)の検出範囲を持ち、約2590点の解像度点数で分解能に略偏りが無く分解能が略均一である。第1点群データ生成部11aは、例えば、LiDAR、ステレオカメラおよびTOFカメラのうちのいずれかを備えて構成されてよく、本実施形態では、LiDARを備えて構成された。第1点群データ生成部11aによって、例えば、図3Aに示す点群データRSaが生成され、各点の座標値が記憶部7に記憶される。第1検出処理部12a(32a)は、本実施形態では、制御処理部3aに機能的に構成され、第1検出処理部12a(32a)については、後述する。
【0038】
対象者検出部2aは、制御処理部3aに有線または無線によって接続され、制御処理部3aの制御に従って、対象者および前記対象者の形状を検出する装置である。より具体的には、本実施形態では、対象者検出部2aは、検出方向の3次元点群データを生成する第2点群データ生成部21aと、第2点群データ生成部21aで生成した3次元点群データに基づいて対象者および対象者の形状を検出する第2検出処理部22aとを備える。第2点群データ生成部21aは、第1点群データ生成部11aと同様に、フックHKに掛けられる吊り荷PKを検出できるように、図2Bに示すように、フックHK側に検出方向を向くように昇降台車LTに配設される。第2検出処理部22a(33a)は、本実施形態では、制御処理部3aに機能的に構成され、第2検出処理部22a(33a)については、後述する。
【0039】
このような吊荷検出部1aの第1点群データ生成部11aと対象者検出部2aの第2点群データ生成部21aとは、別体であってよいが、本実施形態では、兼用されて一体である。すなわち、吊荷検出部1aの第1点群データ生成部11aと対象者検出部2aの第2点群データ生成部21aとは、例えば、1個のLiDARを備えて構成される。
【0040】
入力部4は、制御処理部3aに接続され、例えば、監視開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、警告の要否を判別する所定の閾値(第1閾値)等のクレーン監視装置Daを動作させる上で必要な各種データをクレーン監視装置Daに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。出力部5は、制御処理部3aに接続され、制御処理部3aの制御に従って、入力部4から入力されたコマンドやデータおよび警告等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示を行う表示装置や、例えばスピーカやブザー等の音を出力する音出力装置等である。
【0041】
IF部6は、制御処理部3aに接続され、制御処理部3aの制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部6は、外部機器との間で通信を行う回路であり、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等であってもよい。
【0042】
記憶部7は、制御処理部3aに接続され、制御処理部3aの制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、クレーン監視装置Daの各部1a、2a、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、監視の開始および前記監視の終了を制御する制御プログラムや、第1点群データ生成部11aで生成した3次元点群データに基づいて吊り荷および吊り荷の形状を検出する第1検出処理プログラムや、第2点群データ生成部21aで生成した3次元点群データに基づいて対象者および対象者の形状を検出する第2検出処理プログラムや、前記第1検出処理プログラムで検出した吊り荷と前記第2検出処理プログラムで検出した対象者との間の最小間隔を前記第1検出処理プログラムで検出した吊り荷の形状および前記第2検出処理プログラムで検出した対象者の形状に基づいて求める間隔処理部プログラムや、前記間隔処理プログラムで求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合に、警告を外部に報知する警告処理プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば前記閾値や検出領域(形状およびサイズ)等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部7は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部7は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部3aのワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0043】
制御処理部3aは、クレーン監視装置Daの各部1a、2a、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、天井クレーンCRaに関わる対象者を監視するための回路である。制御処理部3aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部3aには、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部31、第1検出処理部32a(12a)、第2検出処理部33a(22a)、間隔処理部34aおよび警告処理部35が機能的に構成される。
【0044】
制御部31は、クレーン監視装置Daの各部1a、2a、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、クレーン監視装置Da全体の制御を司るものである。
【0045】
制御部31は、本実施形態では、監視の開始および前記監視の終了を制御する。通常、天井クレーンの作業では、安全性の確保のため、作業者(対象者)は、操作ペンダントHPの電源をオフにした状態で、吊り荷玉掛作業等の作業を行い、その後、操作ペンダントHPの電源をオンにした状態で、前記操作ペンダントの上昇ボタンや北方ボタン等の天井クレーンを駆動するためのボタンを操作する。そして、天井クレーンの駆動後(所定の位置に移動後)、降下ボタンで吊り荷を下ろし、作業者は、吊り荷をフックから外すために、操作中のボタンの操作を停止する。このため、制御部31は、例えば、操作ペンダントHPをモニタし、操作ペンダントHPの電源がオンされた場合に監視を開始し、操作ペンダントHPの電源がオフされた場合に前記監視を終了する。あるいは、例えば、吊り荷の有無でフックにかかる荷重が変化するので、フックHKの荷重を測定する荷重センサがフックHKに設けられ、制御部31は、前記荷重センサで測定したフックHKの荷重が予め設定された開始判定閾値を超えた場合に、監視を開始し、前記荷重センサで測定したフックHKの荷重が予め設定された終了判定閾値を下回った場合に、前記監視を終了する。前記開始判定閾値と前記終了判定閾値とは、同値であってよく、異値であってよい。前記異値の場合、安全性の観点から、前記開始判定閾値は、前記終了判定閾値より小さいことが好ましい。
【0046】
第1検出処理部32a(12a)は、第1点群データ生成部11aで生成した3次元点群データに基づいて吊り荷および吊り荷の形状を検出するものである。本実施形態では、第1検出処理部32aは、前記フックを特定し、前記特定したフックを含む所定範囲の検出領域を設定し、前記設定した検出領域内で前記吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する。より具体的には、第1点群データ生成部11aは、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車LTにフック側に検出方向を向くように配設されるので、第1点群データ生成部11aで生成した3次元点群データにおけるフックHKの位置X0は、予め既知である。このため、3次元点群データにおけるフックHKの位置X0が前記各種データの1つとして予め記憶部7に記憶される。第1検出処理部32aは、例えば、図3Aに示すように、第1点群データ生成部11aで生成した3次元点群データRSaにおいて、記憶部7に記憶されたフックHKの位置X0でフックHKを特定し、前記特定したフックHKを含む所定範囲の検出領域SAを設定する。例えば、前記フックHKの位置X0に、検出領域SAの対角線の交点が一致するように、破線で示す矩形状(角柱状)の検出領域SAが設定される。そして、第1検出処理部32aは、この検出領域SA内で、予め設定された吊り荷判定閾値以上の高さ(Z座標値)を持つ点群を吊り荷PKとして検出し、例えば図3Bに示すように、この検出した点群から輪郭PPを吊り荷PKの形状PPとして求める。前記検出領域SAの形状およびサイズ、ならびに、前記吊り荷判定閾値は、それぞれ、例えば天井クレーンCRaの使用用途等を考慮することによって、予め適宜に設定される。なお、検出領域SAの形状は、矩形状(角柱状)に限らず、任意であってよく、例えば、円形状(円柱状)であってよい。
【0047】
第2検出処理部33a(22a)は、第2点群データ生成部21a(本実施形態では兼用されているので第1点群データ生成部11a)で生成した3次元点群データに基づいて対象者および対象者の形状を検出するものである。3次元点群データから人物を検出する人物検出技術は、種々、開発されており、例えば、深層学習モデルを用いた、公知のPointPillarsや、VoxelNetや、Vote3Deep等が利用できる。第2検出処理部33a(22a)は、これらのいずれかの人物検出技術、例えばPointPillarsを用いて、第1点群データ生成部11aで生成した3次元点群データから対象者Obを検出し、この検出した対象者Obの点群からその輪郭を対象者Obの形状として求める。図3Aに示す例では、吊り荷PKの周りに、3人の第1ないし第3対象者Oba、Obb、Obcが検出され、図3Bに示すように、これら第1ないし第3対象者Oba、Obb、Obcの各形状POa、POb、POcが求められる。
【0048】
間隔処理部34aは、第1検出処理部32a(12a)で検出した吊り荷と第2検出処理部33a(22a)で検出した対象者との間の最小間隔を第1検出処理部32a(12a)で検出した吊り荷の形状および第2検出処理部33a(22a)で検出した対象者の形状に基づいて求めるものである。より具体的には、間隔処理部34aは、第2検出処理部33aで抽出した対象者Obそれぞれについて、第1検出処理部32aで検出した吊り荷PKから見て、吊り荷PKの輪郭形状PPと対象者Obの輪郭形状POとの間の間隔を求め、この求めた間隔のうちの最も小さい(短い)間隔を最小間隔として求める。例えば、図3Bに示すように、間隔処理部34aは、第2検出処理部33aで抽出した第1ないし第3対象者Oba、Obb、Obcそれぞれについて、第1検出処理部32aで検出した吊り荷PKから見て、吊り荷PKの輪郭形状PPと対象者Obの輪郭形状POとの間の間隔SDを求め、この求めた各間隔SDa、SDb、SDcのうちの最も小さい(短い)間隔SDcを最小間隔として求める(SDc<SDb<SDa)。なお、第2検出処理部33aで1人の対象者Obしか抽出されなかった場合、この1人の対象者Obと吊り荷PKとの間の間隔が最小間隔となる。
【0049】
警告処理部35は、間隔処理部34aで求めた最小間隔が所定の閾値(第1閾値)以下または未満である場合に、出力部5によって警告を外部に報知するものである。前記閾値は、例えば1mや2m等で安全性等を考慮して適宜に設定される。例えば、出力部5は、音出力装置であって、警告処理部35は、サイレン音やブザー音等の警告音を前記音出力装置から出力することで、警告を外部に報知する。あるいは、例えば、出力部5は、表示装置であって、警告処理部35は、「危険です。吊り荷から離れて下さい」等の警告する旨の警告メッセージを前記表示装置に表示することで、警告を外部に報知する。なお、出力部5が、例えばパトライト回転灯等の発光装置であって、警告処理部35は、前記発光装置を発光させることで、警告を外部に報知してもよい。また、これらが組み合わされてもよい。
【0050】
本実施形態では、前記閾値は、オペレータ(ユーザ)によって入力部4から入力可能に構成されるが、設計者によって予め設定され、記憶部7に記憶されてもよい。
【0051】
これら制御処理部3a、入力部4、出力部5、IF部6および記憶部7は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。また、制御処理部3a、入力部4、出力部5、IF部6および記憶部7は、例えば、ボード型やワンチップ型等のコンピュータによって構成され、昇降台車LTに搭載されてもよい。
【0052】
次に、本実施形態の動作について説明する。図4は、前記クレーン監視装置の動作を示すフローチャートである。
【0053】
このような構成のクレーン監視装置Daは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部3aには、その制御処理プログラムの実行によって、制御部31、第1検出処理部32a(12a)、第2検出処理部33a(22a)、間隔処理部34aおよび警告処理部35が機能的に構成される。ここで、前記閾値は、オペレータ(ユーザ)によって入力部4から入力され、記憶部7に記憶されているものとする。
【0054】
図4において、クレーン監視装置Daは、制御処理部3aの制御部31によって、監視の開始か否かを判定する(S1)。この判定は、上述したように、操作ペンダントHPの操作状況やフックHKの荷重に基づいて実施される。この判定の結果、監視の開始ではない場合(No)には、制御部31は、処理を処理S1に戻す。一方、前記判定の結果、監視の開始である場合(Yes)には、制御処理部3aは、次に、処理S2を実行する。したがって、制御処理部3aは、監視の開始と判定されるまで、処理S1を繰り返し実行する。
【0055】
この処理S2では、クレーン監視装置Daは、制御処理部3aによって、第1および第2点群データ生成部11a、21aで生成した各3次元点群データを取得する。本実施形態では、上述のように兼用されているので、制御処理部3aは、第1点群データ生成部11aで生成した3次元点群データを取得する。
【0056】
次に、クレーン監視装置Daは、制御処理部3aの第1検出処理部32a(12a)によって、第1点群データ生成部11aで生成した3次元点群データに基づいて吊り荷PKおよびその形状PPを検出し、制御処理部3aの第2検出処理部33a(22a)によって、第2点群データ生成部21aで生成した3次元点群データ(本実施形態では第1点群データ生成部11aで生成した3次元点群データ)に基づいて対象者Obおよびその形状POを検出する。
【0057】
次に、クレーン監視装置Daは、制御処理部3aの間隔処理部34aによって、第1検出処理部32aで検出した吊り荷と第2検出処理部33aで検出した対象者との間の最小間隔を第1検出処理部32aで検出した吊り荷の形状および第2検出処理部33aで検出した対象者の形状に基づいて求める(S4)。
【0058】
次に、クレーン監視装置Daは、制御処理部3aの警告処理部35によって、警告の要否を判定する(S5)。本実施形態では、警告処理部35は、間隔処理部34aで求めた最小間隔が所定の閾値以下または未満であるか否かを判定することで、警告の要否を判定する。この判定の結果、前期最小間隔が所定の閾値以下または未満である場合には、警告処理部35は、警告の必要と判定し(Yes)、出力部5によって警告を外部に報知し(S6)、次に、処理S7を実行する。一方、前記判定の結果、前期最小間隔が所定の閾値以下または未満ではない場合には、警告処理部35は、警告の不要と判定し(No)、次に、処理S7を実行する。
【0059】
この処理S7では、クレーン監視装置Daは、制御処理部3aの制御部31によって、監視の終了か否かを判定する。この判定は、上述したように、操作ペンダントHPの操作状況やフックHKの荷重に基づいて実施される。この判定の結果、監視の終了ではない場合(No)には、制御部31は、処理を処理S2に戻す。したがって、監視中は、処理S2ないし処理S7の各処理が繰り返し実行される。一方、前記判定の結果、監視の終了である場合(Yes)には、制御処理部3aは、本処理を終了する。
【0060】
以上説明したように、第1実施形態におけるクレーン監視装置Daおよびこれに実装されたクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaは、フックを含む検出領域SAを設定して吊り荷PKを検出する。吊り荷PKは、フックに掛けられた荷物であるので、上記クレーン監視装置Daおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaは,吊荷検出部1aの検出範囲内に吊り荷PKではない荷物が在っても吊り荷PKをより正確に検出できる。上記クレーン監視装置Daおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaは、より正確に検出できる吊り荷PKにおける形状も検出するので、吊り荷PKと対象者Obとの間の最小間隔をより正確に求めることができる。よって、上記クレーン監視装置Daおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaは、吊り荷の形状を認識して吊り荷PKと対象者Obとの間の間隔をより正確に測定できる。
【0061】
上記クレーン監視装置Daおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaは、吊荷検出部1aおよび対象者検出部2aそれぞれが物体表面の形状を表す3次元点群データを生成するので、3次元点群データから吊り荷PKや対象者Obを容易に検出できる。上記クレーン監視装置Daおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaは、吊荷検出部1aおよび対象者検出部2aそれぞれを、フックHKを昇降自在に懸吊する昇降台車LTに配設するので、フックHKを特定し易く、検出領域SAを設定し易い。吊荷検出部1aおよび対象者検出部2aは、それぞれ、吊り荷PKおよび対象者Obを略真上から検出することになるので、陰となる部分が低減するから、上記クレーン監視装置Daおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaは、最小間隔をより正確に求めることができる。
【0062】
上記クレーン監視装置Daおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaは、監視の開始および終了を自動化できる。
【0063】
次に、別の実施形態について説明する。
(第2実施形態)
第1実施形態における天井クレーンCRaならびにクレーン監視装置Daにおける吊荷検出部1aおよび対象者検出部2aは、検出範囲内の物体の3次元点群データを生成するLiDARを備えて構成されたが、上述のように、LiDARには、分解能に偏りのある装置と偏りの無い装置とがある。例えば、図3Aに示す例では、検出範囲の中央領域の分解能が相対的に高くその周辺領域の分解能が相対的に低い。このため、吊り荷PKは、中央領域に存在するため、大抵、検出可能である。一方、図3Aに示す例では、作業者等の対象者Ob(Oba、Obb、Obc)も比較的中央領域付近に存在するため、検出可能であるが、対象者Obが周辺領域に存在すると、検出し難い。このため、第2実施形態における天井クレーンCRbおよびクレーン監視装置Dbでは、吊荷検出部1bは、第1実施形態と同様に、3次元点群データを生成する点群データ生成部を備えて構成される一方、対象者検出部2bは、検出範囲全体に亘ってより確実に対象者Obを検出するために、検出範囲における被写体の画像を生成する撮像部を備えて構成される。
【0064】
図5は、第2実施形態におけるクレーン監視装置の構成を示すブロック図である。図6は、前記第2実施形態のクレーン監視装置によって監視される天井クレーンの構成を示す模式図である。図6Aは、上面図であり、図6Bは、側面図である。図7は、第2実施形態において、吊荷検出部の検出結果と対象者検出部の検出結果との合成処理を説明するための図である。図7Aは、対象者検出部の検出結果を示し、図7Bは、吊荷検出部の検出結果を示し、図7Cは、これらの合成結果を示す。
【0065】
第2実施形態におけるクレーン監視装置Dbを備える天井クレーンCRbは、図6に示すように、第1実施形態におけるクレーン監視装置Daに代え、第2実施形態におけるクレーン監視装置Dbを備える点を除き、第1実施形態における天井クレーンCRaと同様である。すなわち、天井クレーンCRbは、例えば、図6に示すように、1対の第1および第2走行レールRL-1、RL-2と、ガータGTと、昇降台車LTと備える。これらは、天井クレーンCRaの場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
第2実施形態におけるクレーン監視装置Dbは、例えば、図5に示すように、吊荷検出部1bと、対象者検出部2bと、制御処理部3bと、入力部4と、出力部5と、インターフェース部(IF部)6と、記憶部7とを備える。これら第2実施形態のクレーン監視装置Dbにおける入力部4、出力部5、IF部6および記憶部7は、それぞれ、第1実施形態のクレーン監視装置Daにおける入力部4、出力部5、IF部6および記憶部7と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
吊荷検出部1bは、制御処理部3bに有線または無線によって接続され、制御処理部3bの制御に従って、吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する装置である。より具体的には、吊荷検出部1bは、検出方向の3次元点群データを生成する点群データ生成部11bと、点群データ生成部11bで生成した3次元点群データに基づいて吊り荷および吊り荷の形状を検出する第1検出処理部12bとを備える。これら吊荷検出部1bにおける点群データ生成部11bおよび第1検出処理部12bは、それぞれ、第1実施形態の吊荷検出部1aにおける第1点群データ生成部11aおよび第1検出処理部12aと同様であるので、その説明を省略する。
【0068】
対象者検出部2bは、制御処理部3bに有線または無線によって接続され、制御処理部3bの制御に従って、対象者および前記対象者の形状を検出する装置である。より具体的には、第2実施形態では、対象者検出部2bは、撮像方向の画像を生成する撮像部21bと、撮像部21bで生成した画像に基づいて対象者および対象者の形状を検出する第2検出処理部22bとを備える。撮像部21bは、例えば、被写体の光学像を所定の結像面上に結像する結像光学系、前記結像面に受光面を一致させて配置され、前記被写体の光学像を電気的な信号に変換するイメージセンサ、および、イメージセンサの出力を画像処理することで前記被写体の画像を表すデータである画像データを生成する画像処理部等を備えるデジタルカメラである。撮像部21bは、天井クレーンCRbに関わる対象者Obを監視できるように、図6Bに示すように、フック側に撮像方向を向くように昇降台車LTに配設される。本実施形態では、撮像部21bは、その撮像方向が平行に前記第3方向(Z方向)に沿うように、昇降台車LTの下部に配設される。よって、撮像部21bは、点群データ生成部11b(第1点群データ生成部11a)に並置するように配設される。なお、撮像部21bは、撮像方向が斜めに(前記第3方向と交差するように)昇降台車LTの下部に配設されてもよい。第2検出処理部22b(33b)は、本実施形態では、制御処理部3bに機能的に構成され、第2検出処理部22b(33b)については、後述する。
【0069】
制御処理部3bは、クレーン監視装置Dbの各部1b、2b、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、天井クレーンCRbに関わる対象者を監視するための回路である。制御処理部3bは、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部3bには、その制御処理プログラムが実行されることによって、制御部31、第1検出処理部32b(12b)、第2検出処理部33b(22b)、間隔処理部34bおよび警告処理部35が機能的に構成される。これら第2実施形態の制御処理部3bにおける制御部31、第1検出処理部32b(12b)および警告処理部35は、それぞれ、第1実施形態の制御処理部3aにおける制御部31、第1検出処理部32a(12a)および警告処理部35と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
第2検出処理部33b(22b)は、撮像部21bで生成した画像に基づいて対象者および前記対象者の形状を検出するものである。3次元点群データから人物を検出する人物検出技術は、種々、開発されており、R-CNN、YOLOおよびSSD等が利用できる。本実施形態では、第2検出処理部33b(22b)は、これらのいずれかの人物検出技術、例えばR-CNNの1つであるMask R-CNNを用いて、撮像部21bで生成した画像から対象者Obを検出し、この検出した対象者Obの画素群(対象者Obと判定された画素の集合)からその輪郭を対象者Obの形状として求める。
【0071】
間隔処理部34bは、第1検出処理部32b(12b)で検出した吊り荷と第2検出処理部33b(22b)で検出した対象者との間の最小間隔を第1検出処理部32b(12b)で検出した吊り荷の形状および第2検出処理部33b(22b)で検出した対象者の形状に基づいて求めるものである。より具体的には、第2実施形態では、間隔処理部34bは、例えば、図7Aに示す第2検出処理部33b(22b)で検出した対象者およびその形状RO(ROa、ROb、ROc)と、図7Bに示す第1検出処理部32b(12b)で検出した吊り荷およびその形状RPとを、図7Cに示すように、合成し、この合成した検出結果CDにおいて、第2検出処理部33bで抽出した対象者それぞれについて、第1検出処理部32bで検出した吊り荷から見て、吊り荷の輪郭形状RPと対象者の輪郭形状ROとの間の間隔を求め、この求めた間隔のうちの最も小さい(短い)間隔を最小間隔として求める。画像がZ方向(第3方向)の情報を有しないので、前記合成は、XY平面上で実行され、前記間隔は、XY平面で求められる。この図7Cに示す例では、間隔処理部34bは、第2検出処理部33bで抽出した第1ないし第3対象者それぞれについて、第1検出処理部32bで検出した吊り荷から見て、吊り荷の輪郭形状RPと対象者の輪郭形状ROとの間の間隔SDを求め、この求めた各間隔SDa、SDb、SDcのうちの最も小さい(短い)間隔SDaを最小間隔として求める(SDa<SDb<SDc)。なお、R-CNNは、図7Aに破線で示すように、物体検出を矩形領域で判定するので、この場合では、この矩形領域が対象者の形状とされ、この矩形領域と吊り荷との間の間隔が求められる。
【0072】
このような第2実施形態におけるクレーン監視装置Dbは、第1実施形態におけるクレーン監視装置Daと同様な図4に示す処理S1ないし処理S7の各処理が実行される。
【0073】
第2実施形態におけるクレーン監視装置Dbおよびこれに実装されたクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRbは、第1実施形態におけるクレーン監視装置Daおよびこれに実装されたクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaと同様に、吊り荷の形状を認識して吊り荷と対象者との間の間隔をより正確に測定できる。
【0074】
上記クレーン監視装置Dbおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRbは、形状を検出する吊荷検出部1bに点群データ生成部11bを優先的に用い、対象者検出部2bに撮像部21bを用いることで、分解能に偏りの有る点群データ生成部11bであっても、検出範囲における高い分解能の領域によって吊り荷およびその形状を点群データ生成部11bで的確に検出する一方、吊り荷の周囲に散らばる対象者Obを撮像部21bで検出できる。
【0075】
上記クレーン監視装置Dbおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRbは、監視の開始および終了を自動化できる。
【0076】
次に、別の実施形態について説明する。
(第3実施形態)
第1および第2実施形態における天井クレーンCRa、CRbおよびクレーン監視装置Da、Dbは、吊荷検出部1a、1bおよび対象者検出部2a、2bを昇降台車LTに配設したが、第3実施形態における天井クレーンCRcおよびクレーン監視装置Dcは、吊荷検出部1cおよび対象者検出部2cをガータGTに配設するものである。
【0077】
図8は、第3実施形態におけるクレーン監視装置の構成を示すブロック図である。図9は、前記第3実施形態のクレーン監視装置によって監視される天井クレーンの構成を示す模式図である。図9Aは、上面図であり、図9Bは、側面図である。図10は、第3実施形態において、フックの位置を検出する第1演算形態を説明するための図である。図11は、第3実施形態において、フックの位置を検出する第2演算形態を説明するための図である。
【0078】
第3実施形態におけるクレーン監視装置Dcを備える天井クレーンCRcは、図9に示すように、第1実施形態におけるクレーン監視装置Daに代え、第3実施形態におけるクレーン監視装置Dcを備える点を除き、第1実施形態における天井クレーンCRaと同様である。すなわち、天井クレーンCRcは、例えば、図9に示すように、1対の第1および第2走行レールRL-1、RL-2と、ガータGTと、昇降台車LTと備える。これらは、天井クレーンCRaの場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
第3実施形態におけるクレーン監視装置Dcは、例えば、図8に示すように、吊荷検出部1cと、対象者検出部2cと、制御処理部3cと、入力部4と、出力部5と、インターフェース部(IF部)6と、記憶部7と、フック検出部8caとを備える。これら第3実施形態のクレーン監視装置Dcにおける入力部4、出力部5、IF部6および記憶部7は、それぞれ、第1実施形態のクレーン監視装置Daにおける入力部4、出力部5、IF部6および記憶部7と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
吊荷検出部1cは、制御処理部3cに有線または無線によって接続され、制御処理部3cの制御に従って、吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する装置である。より具体的には、吊荷検出部1cは、検出方向の3次元点群データを生成する第1点群データ生成部11c(11c-A、11c-B)と、第1点群データ生成部11cで生成した3次元点群データに基づいて吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する第1検出処理部12c(32c)とを備える。第1点群データ生成部11cは、第3実施形態では、フック側に検出方向を向くようにガータGTの端部に配設される。より詳しくは、互いに死角をカバーする観点から、第1点群データ生成部11cは、図9Bに示すように、ガータGTの両端部それぞれに配設された2個の1組の第1Aおよび第1B点群データ生成部11c-A、11c-Bを備え、第1検出処理部12c(32c)は、これら第1Aおよび第1B点群データ生成部11c-A、11c-Bそれぞれで生成した各3次元点群データに基づいて吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する。第1A点群データ生成部11c-Aは、フック側に検出方向を向くようにガータGTの一方の端部に配設され、第1B点群データ生成部11c-Bは、フック側に検出方向を向くようにガータGTの他方の端部に配設される。すなわち、第1Aおよび第1B点群データ生成部11c-A、11c-Bは、各検出方向が、上方から斜め下方に向き、そして、互いに交差するように、ガータGTの各端部に配設される。このため、第1A点群データ生成部11c-A(または第1B点群データ生成部11c-B)は、ワイヤロープ、フックHKおよび荷物等の奥側がこれらによって遮蔽されて死角となるが、この死角は、第1B点群データ生成部11c-B(または第1A点群データ生成部11c-A)によってカバーされる。第1検出処理部12c(32c)は、本実施形態では、制御処理部3cに機能的に構成され、第1検出処理部12c(32c)については、後述する。
【0081】
対象者検出部2cは、制御処理部3cに有線または無線によって接続され、制御処理部3cの制御に従って、対象者および前記対象者の形状を検出する装置である。より具体的には、対象者検出部2cは、検出方向の3次元点群データを生成する第2点群データ生成部21c(21c-A、21c-B)と、第2点群データ生成部21cで生成した3次元点群データに基づいて対象者および前記対象者の形状を検出する第2検出処理部22c(33c)とを備える。第2点群データ生成部21cは、第3実施形態では、フック側に検出方向を向くようにガータGTの端部に配設される。より詳しくは、互いに死角をカバーする観点から、第2点群データ生成部21cは、図9Bに示すように、ガータGTの両端部それぞれに配設された2個の1組の第2Aおよび第2B点群データ生成部21c-A、21c-Bを備え、第2検出処理部22c(33c)は、これら第2Aおよび第2B点群データ生成部21c-A、21c-Bそれぞれで生成した各3次元点群データに基づいて対象者および前記対象者の形状を検出する。第2A点群データ生成部21c-Aは、フック側に検出方向を向くようにガータGTの一方の端部に配設され、第2B点群データ生成部21c-Bは、フック側に検出方向を向くようにガータGTの他方の端部に配設される。すなわち、第2Aおよび第2B点群データ生成部21c-A、21c-Bは、各検出方向が、上方から斜め下方に向き、そして、互いに交差するように、ガータGTの各端部に配設される。このため、第2A点群データ生成部21c-A(または第2B点群データ生成部21c-B)は、ワイヤロープ、フックHKおよび荷物等の奥側がこれらによって遮蔽されて死角となるが、この死角は、第2B点群データ生成部21c-B(または第2A点群データ生成部21c-A)によってカバーされる。第2検出処理部22c(33c)は、本実施形態では、制御処理部3cに機能的に構成され、第2検出処理部22c(33c)については、後述する。
【0082】
このような吊荷検出部1cの第1点群データ生成部11cと対象者検出部2cの第2点群データ生成部21cとは、別体であってよいが、本実施形態では、兼用されて一体である。すなわち、吊荷検出部1aの第1A点群データ生成部11a-Aと対象者検出部2aの第2A点群データ生成部21a-Aとは、例えば、1個のLiDARを備えて構成され、吊荷検出部1aの第1B点群データ生成部11a-Bと対象者検出部2aの第2B点群データ生成部21a-Bとは、例えば、他の1個のLiDARを備えて構成される。
【0083】
フック検出部8caは、制御処理部3cに有線または無線によって接続され、制御処理部3cの制御に従って、フックHKの位置を検出する装置である。より具体的には、フック検出部8caは、例えば、図10Aに示すように、床面から、対象者の身長を超えるような所定の高さ(例えば2m等)以上であってガータGTの下側である範囲(フック検出範囲、Xサイズがx0[mm]で、Yサイズがy0[mm]で、Zサイズがz0[mm]である所定サイズの3次元領域)DAにおける3次元点群データを、前記第1方向(Y方向)に沿った検出方向で(側方から)生成する第3点群データ生成部81caと、第3点群データ生成部81caで生成した3次元点群データに基づいてフックHKの位置を検出する第3検出処理部82ca(37ca)とを備える。第3検出処理部82ca(37ca)は、本実施形態では、制御処理部3cに機能的に構成され、第3検出処理部82ca(37ca)については、後述する。
【0084】
制御処理部3cは、クレーン監視装置Dcの各部1c、2c、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、天井クレーンCRcに関わる対象者を監視するための回路である。制御処理部3cは、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部3cには、その制御処理プログラムが実行されることによって、制御部31、第1検出処理部32c(12c)、第2検出処理部33c(22c)、間隔処理部34c、警告処理部35および第3検出処理部37ca(82ca)が機能的に構成される。これら第3実施形態の制御処理部3cにおける制御部31および警告処理部35は、それぞれ、第1実施形態の制御処理部3aにおける制御部31および警告処理部35と同様であるので、その説明を省略する。
【0085】
第3検出処理部37ca(82ca)は、第3点群データ生成部81caで生成した3次元点群データに基づいてフックHKの位置を検出するものである。フックHKは、上述したように、ワイヤロープに取り付けられている。前記フック検出範囲DAでは、例えば、図10Aに示すように、このワイヤロープの3次元点群データが優位に生成される。このため、第3検出処理部37ca(82ca)は、例えば、図10Bに示すように、前記フック検出範囲DAにおいて、第3点群データ生成部81caで生成した3次元点群データをX方向(前記第2方向)に沿って度数分布図(ヒストグラム)を求め、最も度数の大きいピークの位置をフックHKの位置として求める。
【0086】
なお、フックHKの位置は、図11に示すように、フックを昇降自在に懸吊する昇降台車LTの位置を測定することによって求められてもよい。この場合では、クレーン監視装置Dcは、図8に示すように、フック検出部8caに代え、フック検出部8cbを備える。このフック検出部8cbは、制御処理部3cに有線または無線によって接続され、制御処理部3cの制御に従って、フックHKの位置を検出する装置であり、昇降台車LTまでの距離を測定する距離測定部81cbと、距離測定部81cbで測定した昇降台車LTまでの距離に基づいてフックHKの位置を求める第3検出処理部37cb(82cb)とを備える。距離測定部81cbは、予め設定された距離測定の基準位置(例えばガータGTの一方端の位置等)に配置され、X方向(前記第2方向)に沿って前記基準位置から昇降台車LTまでの距離を測定する。距離測定部81cbは、例えばレーザ距離計等を備えて構成される。X方向(前記第2方向)に沿った、前記基準位置から昇降台車LTまでの距離とフックHKの位置との対応関係が予め求められて前記各種データの1つとして記憶部7に予め記憶され、第3検出処理部37cb(82cb)は、距離測定部81cbで測定した昇降台車LTまでの距離と前記対応関係とから、フックHKの位置を求める。
【0087】
図8に戻って、第1検出処理部32c(12c)は、第1点群データ生成部11c(11c-A、11c-B)で生成した3次元点群データに基づいて吊り荷および吊り荷の形状を検出するものである。より具体的には、第3実施形態では、1組の第1Aおよび第1B点群データ生成部11c-A、11c-Bを備えるので、第1検出処理部32c(12c)は、第1A点群データ生成部11c-Aで生成した3次元点群データと、第1B点群データ生成部11c-Bで生成した3次元点群データと足し合わせ、これら足し合わせた3次元点群データから、第1実施形態と同様に、吊り荷およびその形状を求める。
【0088】
第2検出処理部33c(22c)は、第2点群データ生成部21c(21c-A、21c-B)(本実施形態では兼用されているので第1Aおよび第1B点群データ生成部11c-A、11c-B)で生成した3次元点群データに基づいて対象者および対象者の形状を検出するものである。より具体的には、第3実施形態では、第2検出処理部33c(22c)は、第2A点群データ生成部21c-A(第1A点群データ生成部11c-A)で生成した3次元点群データと、第2B点群データ生成部21c-B(第1B点群データ生成部11c-B)で生成した3次元点群データとを足し合わせ、これら足し合わせた3次元点群データから、第1実施形態と同様に、対象者およびその形状を求める。
【0089】
間隔処理部34cは、第1検出処理部32c(12c)で検出した吊り荷と第2検出処理部33c(22c)で検出した対象者との間の最小間隔を第1検出処理部32c(12c)で検出した吊り荷の形状および第2検出処理部33c(22c)で検出した対象者の形状に基づいて求めるものである。より具体的には、第3実施形態では、間隔処理部34cは、まず、第1A点群データ生成部11c-Aで生成した3次元点群データのうち、フックHKの位置より当該第1A点群データ生成部11c-Aの配設側の3次元点群データから第1検出処理部32cで求められた吊り荷およびその形状と、第2A点群データ生成部21c-A(第1A点群データ生成部11c-A)で生成した3次元点群データのうち、フックHKの位置より当該第2A点群データ生成部11c-Aの配設側の3次元点群データから第2検出処理部33cで求められた対象者およびその形状とにおいて、第1実施形態の間隔処理部34aと同様に処理することによって前記吊り荷と前記対象者との間の最小間隔(第A側最小間隔)を検出する。次に、間隔処理部34cは、第1B点群データ生成部11c-Bで生成した3次元点群データのうち、フックHKの位置より当該第1B点群データ生成部11c-Bの配設側の3次元点群データから第1検出処理部32cで求められた吊り荷およびその形状と、第2B点群データ生成部21c-B(第1B点群データ生成部11c-B)で生成した3次元点群データのうち、フックHKの位置より当該第2B点群データ生成部11c-Bの配設側の3次元点群データから第2検出処理部33cで求められた対象者およびその形状とにおいて、第1実施形態の間隔処理部34aと同様に処理することによって前記吊り荷と前記対象者との間の最小間隔(第B側最小間隔)を検出する。そして、間隔処理部34cは、これら第A側最小間隔と第B側最小間隔とのうち、小さい方を最終的な最小間隔として求める。
【0090】
なお、同一の対象者について、フックHKの位置より第1A点群データ生成部11c-Aの配設側の3次元点群データに基づく吊り荷と対象者との間の間隔と、フックHKの位置より第1B点群データ生成部11c-Bの配設側の3次元点群データに基づく吊り荷と対象者との間の間隔とが、異なる値で求められる場合が生じ得る。しかしながら、最終的に、最小間隔が求められるので、このような場合でも結果は、同じになるから、差し支えない。
【0091】
このような第3実施形態におけるクレーン監視装置Dcは、第1実施形態におけるクレーン監視装置Daと同様な図4に示す処理S1ないし処理S7の各処理が実行される。
【0092】
第3実施形態におけるクレーン監視装置Dcおよびこれに実装されたクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRcは、第1実施形態におけるクレーン監視装置Daおよびこれに実装されたクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaと同様に、吊り荷の形状を認識して吊り荷と対象者との間の間隔をより正確に測定できる。
【0093】
上記クレーン監視装置Dcおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRcは、吊荷検出部1cおよび対象者検出部2cそれぞれが物体表面の形状を表す3次元点群データを生成するので、3次元点群データから吊り荷や対象者を容易に検出できる。
【0094】
フックHKは、昇降方向に直交する平面内を、走行レールRL-1、RL-2に対するガータGTの移動およびガータGTに対する昇降台車LTの移動によって、移動する。このため、ガータGTの振動は、昇降台車LTの振動より小さいと推察される。上記クレーン監視装置Dcおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRcは、吊荷検出部1cおよび対象者検出部2cそれぞれをガータGTに配設するので、吊荷検出部1cおよび対象者検出部2cの各検出に与える振動の影響を昇降台車LTの場合より低減できる。また、作業者は、昇降台車LTよりガータGTの方がアクセス(アプローチ)し易いので、上記クレーン監視装置Dcおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRcは、吊荷検出部1cおよび対象者検出部2cの保守管理がし易い。
【0095】
上記クレーン監視装置Dcおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRcは、監視の開始および終了を自動化できる。
【0096】
次に、別の実施形態について説明する。
(第4実施形態)
第1実施形態の構成に対し、第2実施形態が構成されたように、第4実施形態は、第3実施形態の構成に対して構成されたものである。すなわち、第4実施形態における天井クレーンCRdおよびクレーン監視装置Ddでは、吊荷検出部1dは、第3実施形態と同様に、3次元点群データを生成する点群データ生成部を備えて構成される一方、対象者検出部2dは、検出範囲全体に亘ってより確実に対象者Obを検出するために、検出範囲における被写体の画像を生成する撮像部を備えて構成される。
【0097】
図12は、第4実施形態におけるクレーン監視装置の構成を示すブロック図である。図13は、前記第4実施形態のクレーン監視装置によって監視される天井クレーンの構成を示す模式図である。図13Aは、上面図であり、図13Bは、側面図である。
【0098】
第4実施形態におけるクレーン監視装置Ddを備える天井クレーンCRdは、図13に示すように、第1実施形態におけるクレーン監視装置Daに代え、第4実施形態におけるクレーン監視装置Ddを備える点を除き、第1実施形態における天井クレーンCRaと同様である。すなわち、天井クレーンCRdは、例えば、図13に示すように、1対の第1および第2走行レールRL-1、RL-2と、ガータGTと、昇降台車LTと備える。これらは、天井クレーンCRaの場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0099】
第4実施形態におけるクレーン監視装置Ddは、例えば、図12に示すように、吊荷検出部1dと、対象者検出部2dと、制御処理部3dと、入力部4と、出力部5と、インターフェース部(IF部)6と、記憶部7と、フック検出部8daとを備える。これら第4実施形態のクレーン監視装置Ddにおける入力部4、出力部5、IF部6および記憶部7は、それぞれ、第1実施形態のクレーン監視装置Daにおける入力部4、出力部5、IF部6および記憶部7と同様であるので、その説明を省略する。第4実施形態のクレーン監視装置Ddにおけるフック検出部8daは、第3実施形態のクレーン監視装置Dcにおけるフック検出部8caと同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
吊荷検出部1dは、制御処理部3dに有線または無線によって接続され、制御処理部3dの制御に従って、吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する装置である。より具体的には、吊荷検出部1dは、検出方向の3次元点群データを生成する点群データ生成部11d(11d-A、11d-B)と、点群データ生成部11dで生成した3次元点群データに基づいて吊り荷および吊り荷の形状を検出する第1検出処理部12dとを備える。これら吊荷検出部1dにおける点群データ生成部11dおよび第1検出処理部12dは、それぞれ、第3実施形態の吊荷検出部1cにおける第1点群データ生成部11cおよび第1検出処理部12cと同様である。すなわち、点群データ生成部11dは、図12および図13Bに示すように、ガータGTの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B点群データ生成部11d-A、11d-Bを備え、第1検出処理部12c(32c)は、これら第Aおよび第B点群データ生成部11d-A、11d-Bそれぞれで生成した各3次元点群データに基づいて吊り荷および前記吊り荷の形状を検出する。
【0101】
対象者検出部2dは、制御処理部3dに有線または無線によって接続され、制御処理部3dの制御に従って、対象者および前記対象者の形状を検出する装置である。より具体的には、対象者検出部2dは、撮像方向の画像を生成する撮像部21d(21d-A、21d-B)と、撮像部21dで生成した画像に基づいて対象者および対象者の形状を検出する第2検出処理部22dとを備える。撮像部21dは、第4実施形態では、フック側に検出方向を向くようにガータGTの端部に配設される。より詳しくは、互いに死角をカバーする観点から、撮像部21dは、図13Bに示すように、ガータGTの両端部それぞれに配設された2個の1組の第Aおよび第B撮像部21d-A、21d-Bを備え、第2検出処理部22dc(33d)は、これら第Aおよび撮像部21d-A、21d-Bそれぞれで生成した各画像に基づいて対象者および前記対象者の形状を検出する。第A撮像部21d-Aは、フック側に撮像方向を向くようにガータGTの一方の端部に配設され、第B撮像部21d-Bは、フック側に撮像方向を向くようにガータGTの他方の端部に配設される。すなわち、第Aおよび第B撮像部21d-A、21d-Bは、各撮像方向が、上方から斜め下方に向き、そして、互いに交差するように、ガータGTの各端部に配設される。よって、対象者検出部2dにおける第Aおよび第B撮像部21d-A、21d-Bは、それぞれ、吊荷検出部1dにおける第Aおよび第B点群データ生成部11d-A、11d-B)に並置するように配設される。このため、第A撮像部21d-A(または第B撮像部21d-B)は、ワイヤロープ、フックHKおよび荷物等の奥側がこれらによって遮蔽されて死角となるが、この死角は、第B撮像部21d-B(または第A撮像部21d-A)によってカバーされる。
【0102】
制御処理部3dは、クレーン監視装置Ddの各部1d、2d、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、天井クレーンCRdに関わる対象者を監視するための回路である。制御処理部3dは、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部3dには、その制御処理プログラムが実行されることによって、制御部31、第1検出処理部32d(12d)、第2検出処理部33d(22d)、間隔処理部34d、警告処理部35および第3検出処理部37da(82da)が機能的に構成される。これら第4実施形態の制御処理部3dにおける制御部31および警告処理部35は、それぞれ、第1実施形態の制御処理部3aにおける制御部31および警告処理部35と同様であるので、その説明を省略する。これら第4実施形態の制御処理部3dにおける第1検出処理部32d(12d)および第3検出処理部37da(82da)は、それぞれ、第3実施形態の制御処理部3cにおける第1検出処理部32c(12c)および第3検出処理部37ca(82ca)と同様であるので、その説明を省略する。
【0103】
第2検出処理部33d(22d)は、撮像部21d(21d-A、21d-B)で生成した画像に基づいて対象者および前記対象者の形状を検出するものである。より具体的には、第4実施形態では、第2検出処理部33d(22d)は、第A撮像部21d-Aで生成した画像のうち、フックHKの位置より当該第A撮像部21d-Aの配設側(フックHKの位置より手前側)の画像において、第2実施形態の第2検出処理部33bと同様に処理することによって対象者を検出し、その形状を求め、第B撮像部21d-Bで生成した画像のうち、フックHKの位置より当該第B撮像部21d-Bの配設側(フックHKの位置より手前側)の画像において、第2実施形態の第2検出処理部33bと同様に処理することによって対象者を検出し、その形状を求める。より詳しくは、第2検出処理部33dは、フックHKの位置より第A撮像部21d-Aの配設側の画像から対象者を検出し、この検出した対象者の画素群(対象者と判定された画素の集合)からその輪郭を対象者の形状として求め、フックHKの位置より第B撮像部21d-Bの配設側の画像から対象者を検出し、この検出した対象者の画素群(対象者と判定された画素の集合)からその輪郭を対象者の形状として求める。
【0104】
間隔処理部34dは、第1検出処理部32d(12d)で検出した吊り荷と第2検出処理部33d(22d)で検出した対象者との間の最小間隔を第1検出処理部32d(12d)で検出した吊り荷の形状および第2検出処理部33d(22d)で検出した対象者の形状に基づいて求めるものである。より具体的には、第4実施形態では、間隔処理部34dは、まず、第A点群データ生成部11d-Aで生成した3次元点群データのうち、フックHKの位置より当該第A点群データ生成部11d-Aの配設側の3次元点群データから第1検出処理部32dで求められた吊り荷およびその形状と、第A撮像部21d-Aで生成した画像のうち、フックHKの位置より当該第A撮像部21d-Aの配設側の画像から第2検出処理部33dで求められた対象者およびその形状とにおいて、第2実施形態の間隔処理部34bと同様に処理することによって前記吊り荷と前記対象者との間の最小間隔(第A側最小間隔)を検出する。次に、間隔処理部34dは、第B点群データ生成部11d-Bで生成した3次元点群データのうち、フックHKの位置より当該第B点群データ生成部11d-Bの配設側の3次元点群データから第1検出処理部32dで求められた吊り荷およびその形状と、第B撮像部21d-Bで生成した画像のうち、フックHKの位置より当該第B撮像部21d-Bの配設側の画像から第2検出処理部33dで求められた対象者およびその形状とにおいて、第2実施形態の間隔処理部34bと同様に処理することによって前記吊り荷と前記対象者との間の最小間隔(第B側最小間隔)を検出する。そして、間隔処理部34cは、これら第A側最小間隔と第B側最小間隔とのうち、小さい方を最終的な最小間隔として求める。
【0105】
このような第4実施形態におけるクレーン監視装置Ddは、第1実施形態におけるクレーン監視装置Ddと同様な図4に示す処理S1ないし処理S7の各処理が実行される。
【0106】
第4実施形態におけるクレーン監視装置Ddおよびこれに実装されたクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRdは、第1実施形態におけるクレーン監視装置Daおよびこれに実装されたクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRaと同様に、吊り荷の形状を認識して吊り荷と対象者との間の間隔をより正確に測定できる。
【0107】
上記クレーン監視装置Ddおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRdは、形状を検出する吊荷検出部1dに点群データ生成部11d(11d-A、11d-B)を優先的に用い、対象者検出部2dに撮像部21d(21d-A、21d-B)を用いることで、分解能に偏りの有る点群データ生成部11dであっても、検出範囲における高い分解能の領域によって吊り荷およびその形状を点群データ生成部11dで的確に検出する一方、吊り荷の周囲に散らばる対象者を撮像部21dで検出できる。
【0108】
上記クレーン監視装置Ddおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRdは、吊荷検出部1dおよび対象者検出部2dそれぞれをガータGTに配設するので、吊荷検出部1dおよび対象者検出部2dの各検出に与える振動の影響を昇降台車LTの場合より低減できる。また、作業者は、昇降台車LTよりガータGTの方がアクセス(アプローチ)し易いので、上記クレーン監視装置Ddおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRdは、吊荷検出部1dおよび対象者検出部2dの保守管理がし易い。
【0109】
上記クレーン監視装置Ddおよびクレーン監視方法ならびに天井クレーンCRdは、監視の開始および終了を自動化できる。
【0110】
なお、上述の実施形態では、操作ペンダントHPの操作状況やフックHKの荷重に基づいて監視の開始を判定したが、画像を生成する撮像部が設けられ、制御部31は、前記撮像部で生成された画像から、作業者(対象者)がフックHKの近傍に立ち止まっており、腕を動かしていることを検出した場合に、前記監視を開始してもよい。例えば、深層学習モデルを用いた、公知のopen pose技術を用いて画像から作業者の骨格が検出され、この検出された骨格の脚部に基づいて立ち止まっているか否かが判定され、立ち止まっている場合に、前記検出された骨格の腕部に基づいて腕を動かしているか否かが判定される。
【0111】
また、第1ないし第4実施形態におけるクレーン監視装置Da~Ddは、間隔処理部34で求めた最小距離が所定の第2閾値以下または未満である場合に、天井クレーンCRa~CRdの動作を停止する停止処理部をさらに備えてもよい。このような停止処理部36は、例えば、図1図5図8および図12に破線で示すように、制御処理部3a~3dに機能的に構成される。前記第2閾値は、例えば1mや2m等で安全性等を考慮して適宜に予め設定される。前記第2閾値は、前記閾値と同値であってよく、異値であってよい。このようなクレーン監視装置Da~Ddは、停止処理部36をさらに備えるので、天井クレーンの動作に起因する不具合を回避できる。
【0112】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0113】
Da~Dd クレーン監視装置
CRa~CRd 天井クレーン
1a~1d 吊荷検出部
2a~2d 対象者検出部
3a~3d 制御処理部
4 出力部
6 記憶部
8ca(8cb) フック検出部
11a 第1点群データ生成部
11b 点群データ生成部
11c-A 第1A点群データ生成部
11c-B 第1B点群データ生成部
11d-A 第A点群データ生成部
11d-B 第B点群データ生成部
21a 第2点群データ生成部
21b 撮像部
21c-A 第2A点群データ生成部
21c-B 第2B点群データ生成部
21d-A 第A撮像部
21d-B 第B撮像部
31 制御部
32a~32d(12a~12d) 第1検出処理部
33a~33d(22a~22d) 第2検出処理部
34a~34d 間隔処理部
35 警告処理部
36 停止処理部
37ca(82ca)、37cb(82cb)、37da(82da)、37db(82db) 第3検出処理部
81ca、81cb 第3点群データ生成部
図1
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