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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020140007
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035575
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】堀部 洋平
(72)【発明者】
【氏名】浜岡 益生
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-69064(JP,A)
【文献】特開2020-69383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
E03D 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄ノズルに湯水を供給する湯水通路の途中に設けられ湯水通路から供給される湯水を貯留可能な湯水貯留部と、この湯水貯留部の湯水を洗浄ノズルに送給可能なポンプを備えた浴槽洗浄装置において、
前記湯水貯留部は、上流からの湯水が流入する給水口と、ポンプへ送給する湯水を吐出する吐出口と、内部に貯留する湯水の水位を検知する水位検知手段と、前記給水口から流入する湯水による水面の揺れを抑制する緩衝板とを備え、
前記緩衝板は、前記給水口と水位検知手段の間において鉛直に延びる縦板と、前記給水口の下方に位置する横板を有することを特徴とする浴槽洗浄装置。
【請求項2】
前記吐出口は、前記緩衝板の縦板よりも前記水位検知手段側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項3】
前記湯水貯留部に湯水が供給される湯水通路には電磁開閉弁が設けられ、前記電磁開閉弁と湯水貯留部の上方に跨がって、偏平なボックス状に形成された流路形成ケース体が設けられており、前記緩衝板は前記流路形成ケース体に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽洗浄装置に関し、洗浄用の湯水を貯留する湯水貯留部に供給される湯水による水面の揺れを抑制する緩衝板を設けた浴槽洗浄装置に関する。
【0002】
浴槽洗浄装置としては、上水源からの水道水を貯留タンクに貯留し、この貯留タンクの水をポンプで加圧して洗剤とともに浴槽側の噴射ノズルから浴槽の内面へ噴射することで浴槽の内面を洗浄する方式のものが公知である。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の浴槽洗浄装置においては、上水源からの水道水を大気開放タンクに貯留し、この大気開放タンクの水をポンプで加圧して洗剤とともに浴槽側の噴射パイプから浴槽の内面へ噴射することで浴槽の内面を洗浄する。
【0004】
特許文献2に記載の浴槽洗浄装置においては、上水源からの水道水を洗剤が供給される洗剤混合タンクに貯留し、この洗剤混合タンクの洗剤混合水をポンプで加圧して浴槽の底部の噴射ノズルから浴槽の内面へ噴射することで浴槽の内面を洗浄する。
【0005】
この浴槽洗浄装置の洗剤混合タンクの底部には底面が傾斜状の傾斜溝が形成され、この
洗剤混合タンクに供給する水を傾斜溝の傾斜底面に落下させることで水を減速し、水と洗剤との混合時に空気の混入を防止するように構成してある。
【0006】
しかし、最近では、水道水で直接洗浄するのではなく、給湯装置から供給される湯水と洗剤用いて洗浄する浴槽洗浄装置も採用されている。
例えば、特許文献3に記載の浴槽洗浄装置においては、給湯器から供給される湯水を湯水タンクに貯留し、その湯水を浴槽の底部に設けた洗浄ノズルへ供給する洗浄管とポンプを設け、浴槽の近くに洗剤タンクを設け、洗剤タンクの洗剤を洗浄管に供給可能にし、湯水タンク内の湯水をポンプと洗浄管とで浴槽へ供給する途中で、洗浄管に洗剤を供給し、洗剤を加えた湯水を洗浄ノズルへ圧送して浴槽の内面を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実公平4-406632号公報
【文献】特開2020-69383号公報
【文献】特開2019-58643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の装置は、水と洗剤との混合時に空気の混入を防止するものであるから、湯水のみを貯留する湯水貯留部に適用することはできない。
【0009】
特許文献3の浴槽洗浄装置のように洗剤を混合せずに、湯水のみを貯留する湯水貯留部を設け、給湯器からの湯水を電磁開閉弁を介して湯水貯留部に貯留する場合、湯水の流速が大きく、湯水貯留部内での水面の揺れが激しい場合には、水位検知手段による水位検知の検知精度が悪化するという問題がある。
【0010】
特に、上水源の水圧に応じて給湯器から出湯される湯水の水圧が変動する給湯器の場合、上水源の水圧が高いとき湯水貯留部に充填される湯水の流速が大きくなるため、水面の揺れが激しくなる。
【0011】
また、湯水貯留部の水位が低下した状態で水面の揺れが激しい場合には、湯水貯留部から洗浄ノズルへ湯水を送給するポンプがエアを吸引し、このエア噛みにより洗浄能力が低下する虞もある。
【0012】
本発明の目的は、洗浄用の湯水を貯留する湯水貯留部に供給される湯水による水面の揺れを抑制する緩衝板を設けた浴槽洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の浴槽洗浄装置は、洗浄ノズルに湯水を供給する湯水通路の途中に設けられ湯水通路から供給される湯水を貯留可能な湯水貯留部と、この湯水貯留部の湯水を洗浄ノズルに送給可能なポンプを備えた浴槽洗浄装置において、 前記湯水貯留部は、上流からの湯水が流入する給水口と、ポンプへ送給する湯水を吐出する吐出口と、内部に貯留する湯水の水位を検知する水位検知手段と、前記給水口から流入する湯水による水面の揺れを抑制する緩衝板とを備え、前記緩衝板は、前記給水口と水位検知手段の間において鉛直に延びる縦板と、前記給水口の下方に位置する横板を有することを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、前記湯水貯留部は、給水口と吐出口と水位検知手段と緩衝板とを備え、緩衝板により給水口から流入する湯水による水面の揺れを抑制するため、水位検知手段の検知精度が低下することがない。
【0015】
前記緩衝板は、前記給水口と水位検知手段の間において鉛直に延びる縦板を有するため、給水口から落下する湯水が水位検知手段の方へ飛散するのを効果的に抑制できる。
しかも、前記緩衝板は、給水口の下方に位置する横板を有するため、給水口から落下する湯水を横板で受け止めて緩衝し、給水口から流入する湯水による水面の揺れを効果的に抑制することができる。
【0016】
請求項2の浴槽洗浄装置は、請求項1の発明において、前記吐出口は、前記緩衝板の縦板よりも前記水位検知手段側に位置していることを特徴としている。
上記の構成によれば、給水口と吐出口の間には前記の縦板が存在するため、給水口から落下する湯水により吐出口の近傍の水面の揺れが抑制されるから、ポンプのエア噛みを防止できる。
【0017】
請求項3の浴槽洗浄装置は、請求項1又は2の発明において、前記湯水貯留部に湯水が供給される湯水通路には電磁開閉弁が設けられ、前記電磁開閉弁と湯水貯留部の上方に跨がって、偏平なボックス状に形成された流路形成ケース体が設けられており、前記緩衝板は前記流路形成ケース体に固定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、電磁開閉弁と湯水貯留部の上方に跨がっている流路形成ケース体に、前記緩衝板が固定されているため、緩衝板を固定する固定構造が簡単になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明は種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る給湯装置と浴槽と浴槽洗浄装置等の構成図である。
図2】洗浄ユニットの断面図である。
図3】流路形成ケース体の底面図である。
図4】流路形成ケース体の縦断面図(図3のIV-IV線断面図)である。
図5図3のV-V線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、浴槽1には、浴槽1の湯張りや追焚きのための給湯装置2が湯張り追焚き配管3を介して接続され、配管3は浴槽1の循環アダプタ1aに接続されている。また、浴槽1の底部には、湯水を自動排水するための排水栓4であって操作部4aで操作される排水栓4と、洗剤と湯水を散布して浴槽1を洗浄するための洗浄ノズル5が配設されている。浴槽1には蓋(図示略)が被せられている。
【0021】
浴槽1の近傍には、洗浄ノズル5に洗剤と湯水を供給する洗浄ユニット6と、洗剤をためておく洗剤タンク7が配設されている。浴槽洗浄装置10は、供給ユニット6と洗剤タンク7と洗浄ノズル5を有し、複数の配管類によってこれらを接続して構成されている。
【0022】
洗浄ユニット6には、洗剤タンク7から洗剤を供給するための洗剤配管7aと、給湯装置2から湯水を供給するための給湯配管2aが接続されている。洗剤タンク7にはレベルセンサ7bが設けられ、その検出信号は電源通信ユニット8へ供給される。また、例えば浴室の天井に配設された電源通信ユニット8と洗浄ユニット6は、洗浄ユニット6の内部の機器に信号線等により接続されている。
接続されている。
【0023】
給湯装置2は、上水Wを受けて、例えば燃料の燃焼熱を利用して加熱した湯水を給湯する燃焼式給湯装置であるが、ヒートポンプ式熱源機を有する給湯装置等であってもよい。給湯装置2には、湯張り運転や追焚き運転の開始操作、給湯設定温度の設定操作等を行うための浴室リモコン11や台所リモコン12が通信可能に接続されている。また、浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作等を行うための洗浄リモコン13が電源通信ユニット8の制御部21に接続されている。
【0024】
給湯装置2と電源通信ユニット8は、電力供給用の電源コードと通信用コードとを束ねたコード8bによって接続され、洗浄リモコン13は、給湯装置2と電源通信ユニット8を介して浴槽洗浄装置10と通信可能である。また、台所リモコン12及び浴室リモコン11も、浴槽洗浄装置10と通信可能である。台所リモコン12は、タッチ操作可能な表示部12aと音声出力部12bを有する。洗浄リモコン13は、2桁の数字の表示部13aと音声出力部13bを有する。
【0025】
台所リモコン12と洗浄リモコン13は、浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作を行うための操作端末である。尚、浴室リモコン11からも浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作を行うことができる。
【0026】
浴槽洗浄装置10の洗浄ユニット6は、湯水を貯める貯留タンク22(湯水貯留部)と、給湯配管2aに接続され且つ貯留タンク22に湯水を供給する湯水供給管23(湯水通路の一部に相当する)であって、2本の分岐通路23a,23bとこれら分岐通路23aが合流した合流通路23c(下流端が貯留タンク22に接続されている)を有する湯水供給管23と、この湯水供給管23に介装されたフィルタ24と、一方の分岐通路23aに上流側から順に介装された電磁開閉弁25a及び定流量弁26aと、他方の分岐通路23bに上流側から順に介装された電磁開閉弁25b及び定流量弁26bを有する。
【0027】
貯留タンク22には、低水位と高水位を検出可能なフロート式の水位検知計22aが設けられ、その検出信号は制御部21に供給される。また、貯留タンク22からのびるオーバーフロー管22b(図1参照)も設けられている。尚、水位検知計22aの代わりに電極式の水位検知計を採用する場合もある。
【0028】
更に、洗浄ユニット6は、貯留タンク22から洗浄ノブル5まで延びる吐出配管27(湯水通路の一部に相当する)と、この吐出配管27に上流側から順に介装されたポンプ28とサーミスタ29と2つの逆止弁30と流量センサ31と洗剤供給管7a が接続されたベンチュリ32等を有する。洗剤タンク7から延びる洗剤供給管7a には電磁開閉弁7cが介装されている。
【0029】
制御部21は、例えば演算部と記憶部と入出力部と時計回路を備えたマイクロコンピュータを備えており、記憶部に格納された制御プログラム等に基づいて洗浄運転に関連する機器や排水栓4を制御する。この制御部21は、洗浄運転では、排水栓4を開け、湯水供給管23や洗剤供給管7aの電磁開閉弁25a,25b,7c等の開閉やポンプ28の駆動等を制御すると共に、洗浄運転の開始時刻又は終了時刻、洗浄コース、洗浄運転の回数(自動洗浄回数)等を含む洗浄運転履歴を記憶する。
【0030】
洗浄運転について説明する。
台所リモコン12又は洗浄リモコン13等の操作端末の操作によって浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作が行われると、制御部21は排水栓4を開き、貯留タンク22に湯水を貯めながら、ポンプ28を駆動して洗浄ノズル5に供給する湯水に洗剤を混合し、洗浄ノズル5から洗剤と湯水を散布する。
【0031】
1回の洗浄処理は、初期の湯水のみでの濯ぎ洗浄(数10秒)と、その後洗剤入り湯水を用いた複数回の洗浄及び待機動作と、最後の湯水のみでの濯ぎ洗浄(数10秒)とを含む。洗浄及び待機動作は、数10秒間の洗剤入り湯水を用いた洗浄動作と、この洗浄動作に続く約10秒間の待機動作とを含むものである。
【0032】
前記定流量弁26a,26bの流量は、例えば夫々5L/min、ポンプ28の吐出量は例えば6.5L/minであり、貯留タンク22内の水位が低水位になると、電磁開閉弁25a,25bが両方とも開弁されて10L/minの流量で湯水が供給され、また、貯留タンク22内の水位が高水位になると、電磁開閉弁25a,25bの一方が閉弁されて5L/minの流量で湯水が供給される。
【0033】
次に、洗浄ユニット6の全体構造について説明する。
図2に示すように、洗浄ユニット6のケーシング33の内部の上部には、湯水供給管23の2つの分岐通路23a,23bに夫々介装された電磁開閉弁25a,25b及び定流量弁26a,26bが装着されている。ケーシング33の上部の右側には貯留タンク22が配設され、2つの電磁開閉弁25a,25bと貯留タンク22は横並び状態に配設され、偏平なボックス状の流路形成ケース体34はケーシング33の上面と貯留タンク22の上面に跨がった状態に配設されている。尚、ケーシング33の外側において湯水供給管23にはフィルタ24を装着するフィルタ装着部35が設けられている。
【0034】
図2図5に示すように、流路形成ケース体34の内部には、2つの分岐通路23a,23bが合流した合流通路23cであって大きな通路面積を有する偏平な合流通路23c が形成されており、その合流通路23cは貯留タンク22の上面まで延び、合流通路23cの下流端近傍にある給水口36から貯留タンク22へ湯水が供給される。貯留タンク 22には、水位検知計22aと緩衝板37とが設けられている。
緩衝板37は、給水口36から貯留タンク22へ落下する湯水により、貯留タンク22内の湯水が波うって水面が揺れるのを抑制する為のものである。
【0035】
貯留タンク22の底板の中央部には吐出口38が形成され、この吐出口38に接続された吐出配管27の上流部にはポンプ28が介装され、このポンプ28は貯留タンク22の下側に配置されており、このポンプ28は吐出口38から吸入した湯水を吐出配管27 を介して洗浄ノズル5に吐出する。
【0036】
ケーシング33の内部の下部には吐出配管27の大部分が横長の長円状に配設されており、この吐出配管27にはサーミスタ29と2つの逆止弁30と、流量センサ31と、オリフィス32が介装されている。オリフィス32は合成樹脂ブロック39に形成され、この合成樹脂ブロック39には洗剤供給管7aが接続される洗剤通路40が形成され、この洗剤通路40はオリフィス32に小径通路40aにより接続されている。また、合成樹脂ブロック39には洗剤通路40aを開閉可能な電磁開閉弁7cが装着されている。オリフィス32には洗浄ノズル5へ延びる吐出配管27(湯水通路の一部に相当する)が接続されている。
【0037】
次に、流路形成ケース体34について詳しく説明する。
図2図5に示すように、流路形成ケース体34は、電磁開閉弁25a,25bから貯留タンク22までの間に設けられており、この流路形成ケース体34は内部に湯水の通路23c(内部流路)が形成され且つ偏平なボックス状に形成されている。
【0038】
流路形成ケース体34の内部通路(合流通路23c、内部流路)には分岐通路23a,23bから湯水が供給され且つ下流側の1つの給水口36から貯留タンク22に湯水が供給される。この流路形成ケース体34は、電磁開閉弁25a,25bが接続される偏平な流路形成部41であって、湯水を減速する減速機能を有する流路形成部41と、貯留タンク22の上面を覆う蓋部を形成する蓋形成部42とを一体形成したものである。流路形成部41の内部の合流通路23cの上面は薄金属板製の天板41aで覆われ、天板41aは複数のビス41bで固定されている。この流路形成ケース体34は複数のビス34aによりケーシング33に固定されている。
【0039】
分岐通路23a,23bにおける電磁開閉弁25a,25bの下流側には定流量弁 26a,26bが設けられ、流路形成ケース体34の流路形成部41の下面側部位には2つの定流量弁26a,26bが夫々装着される2つの弁収納部43a,43bが設けられている。弁収納部43a,43bは環状の短筒部で構成され、その弁収納部43a,43bの上壁部には通路穴43c,43d(分岐通路の下流端)が形成されている。
【0040】
蓋形成部42には、合流通路23cを貯留タンク22に連通させる給水口36が形成されており、この給水口36は流路形成部41の底壁部を貫通して上下両側に突出する縦向きの短筒状に形成されている。そのため、給水口36から落下する湯水が柱状に整流されるから、その湯水が蓋形成部42の下面をつたって流れなくなり、水位検知計22aの検知精度が悪化することがない。
【0041】
流路形成部41の内部の合流通路23cは、2つの分岐通路23a,23bの断面積に比較して大きな断面積の偏平な通路であるため、電磁開閉弁25a,25bと定流量弁26a,26bを通って分岐通路23a,23bから合流通路23cへ流れる湯水は合流通路23c内で低い流速となるように減速される。そのため、貯留タンク22内の湯水の水面が波うちしにくく、水面が揺れにくくなる。そのため、水位検知計22aの検知精度が悪化することがない。
【0042】
蓋形成部42には、水位検知計22aを挿入して取り付ける取付け穴44が形成され、また、緩衝板37を固定する複数のビス穴45も形成されている。
蓋形成部42の外周部の下面部には、貯留タンク22の外周壁の上端部に上方から内嵌状に嵌合する嵌合部46が形成されている。
【0043】
緩衝板37は、給水口36から貯留タンク22内へ流入する湯水による水面の揺れを抑制するためのもので、薄いステンレス鋼板製のものである。この緩衝板37は、給水口36と水位検知計22aの間において鉛直に延びる縦板37aと、給水口36の下方に位置する水平な横板37bを有する。
【0044】
縦板37aは、吐出口38が縦板37aよりも水位検知計22a側に位置するような位置に配設されている。縦板37aは、貯留タンク22の前後幅の約3/5の幅を有し、縦板37aの中心が水位検知計22aの中心にほぼ対応している。縦板37aの上端のL形部が2本のビス37cにより蓋形成部42の下面に固定され、縦板37aは蓋形成部42の下面から下方へ鉛直に延びている。
【0045】
横板37bは、高水位とほぼ同レベルの位置に配設されている。
横板37bの右端部にL形部が形成され、横板37bは縦板37aに形成された水平スリットに挿入され、そのL形部が2本のビス37dで縦板37aに固定され、横板37b は縦板37aから左方へ水平に延びている。
【0046】
以上説明した浴槽洗浄装置10の作用、効果について説明する。
貯留タンク22に湯水が供給される湯水通路23には電磁開閉弁25a,25bが設けられており、電磁開閉弁25a,25bから貯留タンク22までの間に、内部に湯水の流路が形成され且つ偏平なボックス状に形成された流路形成ケース体34が設けられている。
【0047】
貯留タンク22に湯水を貯留する場合、電磁開閉弁25a,25bを通過した湯水が偏平なボックス状の流路形成ケース体34の内部の偏平な通路(流路)を流れて貯留タンク22へ供給される。流路形成ケース体34の内部の合流通路23cを流れる湯水は、合流通路23cにおいて減速された状態で貯留タンク22へ充填されるため、貯留タンク22 で水跳ねや水面の揺れが生じにくくなり、水位検知精度に悪影響がでることもない。
【0048】
分岐通路23a,23bにおける電磁開閉弁25a,25bの下流側には定流量弁26a,26bが設けられ、流路形成ケース体34には定流量弁26a,26bが装着される弁収納部43a,43bが設けられている。それ故、定流量弁26a,26bを装着する構造が簡単になり、簡単に装着可能になる。
【0049】
複数の電磁開閉弁25a,25bと貯留タンク22は横並びに配置され、流路形成ケース体34は、電磁開閉弁25a,25bが接続される偏平な流路形成部41であって湯水を減速する減速機能を有する流路形成部41と、貯留タンク22の上面を覆う蓋部を形成する蓋形成部42と一体形成したものである。
【0050】
このように、この流路形成ケース体34は、電磁開閉弁25a,25bを接続する機能と、内部流路を形成し且つ湯水を減速する機能と、貯留タンク22の蓋を形成する機能などを有する多機能部材となる。蓋形成部42の外周部の下面部には、貯留タンク22の外周壁の上端部に嵌合する嵌合部46が形成されているため、貯留タンク22の蓋の構造が簡単化する。
【0051】
貯留タンク22は、給水口36と吐出口38と水位検知計22aと緩衝板37とを備え、緩衝板37により給水口36から流入する湯水による水面の揺れを抑制するため、水位検知計22aの検知精度が低下することがない。
【0052】
緩衝板37は、給水口36と水位検知計22aの間において鉛直に延びる縦板37a を有するため、給水口36から落下する湯水が水位検知計22aの方へ飛散するのを効果的に抑制できる。それ故、飛散した水滴等により、水位検知計22aの検知精度が悪化する虞がない。
【0053】
しかも、緩衝板37は、給水口36の下方に位置する水平な横板37bを有するため、給水口36から落下する湯水を横板37bで受け止めて緩衝し、給水口36から流入する湯水による水面の揺れを効果的に抑制することができる。
【0054】
吐出口38は、緩衝板37の縦板37aよりも水位検知計22a側に位置しているため、給水口36から落下する湯水により吐出口38の近傍の水面の揺れが抑制されるから、ポンプ28のエア噛みを防止できる。
電磁開閉弁25a,25bと貯留タンク22の上方に跨がっている流路形成ケース体34に、緩衝板37が固定されているため、緩衝板37を固定する固定構造が簡単になる。
【0055】
次に、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
(1)前記実施例の浴槽洗浄装置10は、給湯装置2から供給される湯水を用いて洗浄を行う場合を例にして説明したが、上水源から供給される水を用いて洗浄を行う構成とすることもできる。その場合、マンションの高層階など水道の水圧が低い場合にも所期の流量を発揮可能な定流量弁が必要となる。仮に1つの定流量弁のみを組み込む場合、流量の多い定流量弁を採用することになるため必要最低水圧が0.15MPa程度と高くなる。
しかし、本発明では比較的小流量の2つの定流量弁26a,26bを採用しているため、0.15MPa程度よりも格段に低い最低水圧でも作動可能になる。
尚、上記のことは、前記実施形態における給湯装置2の給湯圧が上水源の水圧に比例するため、同様に言えることである。
【0056】
(2)その他、当業者ならば本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態をも包含するものである。
【符号の説明】
【0057】
1 浴槽
2 給湯装置
5 洗浄ノズル
6 洗浄ユニット
7 洗剤タンク
7c 電磁開閉弁
10 浴槽洗浄装置
11 浴室リモコン
13 洗浄リモコン
22 貯留タンク(湯水貯留部)
22a 水位検知計
23 湯水供給管(湯水通路)
23a,23b 分岐通路
23c 合流通路
25a,25b 電磁開閉弁
26a,26b,26c,26d 定流量弁
27 吐出配管(湯水通路)
28 ポンプ
34 流路形成ケース体
36 給水口
37 緩衝板
37a 縦板
37b 横板
41 流路形成部
42 蓋形成部
図1
図2
図3
図4
図5