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特許7447404粘着シート、バックライトユニット及び液晶表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】粘着シート、バックライトユニット及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240305BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20240305BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240305BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240305BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20240305BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240305BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240305BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/00
C09J11/08
C09J11/06
G02B5/02 B
F21S2/00 481
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019139592
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021021034
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】加嶋 睦之
(72)【発明者】
【氏名】高井 英行
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-053347(JP,A)
【文献】特開2015-140380(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0003866(US,A1)
【文献】特開2011-243518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 - 201/10
G02B 5/00 - 5/136
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル重合体と、架橋剤と、屈折率が1.50以上1.70未満の光拡散微粒子を有する粘着剤組成物から形成される粘着シートであって、
前記光拡散微粒子がポリスチレン樹脂を含み、
前記光拡散微粒子の含有量は、前記アクリル重合体100質量部に対して1~10質量部であり、
ヘーズ値が89%以上99%以下であり、全光線透過率が70%以上95%以下である粘着シート。
【請求項2】
前記光拡散微粒子の累積50%粒子径(D50)が、1.0μm以上10μm以下である請求項に記載の粘着シート。
【請求項3】
厚みが10μm以上300μm以下である請求項1又は2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記粘着シートを白色LED光源上に置き、透過光の測定角度を0°とした際の照度を100%とした場合に、測定角度を20°とした際の照度が20%以上であり、かつ、測定角度を30°とした際の照度が8%以上である請求項1~のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項5】
直下型LED光源貼合用である請求項1~のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の粘着シートと、直下型LED光源とを有するバックライトユニット。
【請求項7】
プリズムシートをさらに有する請求項に記載のバックライトユニット。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のバックライトユニットを備える液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シート、バックライトユニット及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置モジュールや、タッチパネル等の入力装置モジュールが広く用いられるようになってきている。これらの表示装置モジュールや入力装置モジュールの製造工程では、光学部材を貼り合せる用途に透明な両面粘着シートが使用されている。
【0003】
液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置モジュールのバックライト光源としては、冷陰極管(CCFL)や発光ダイオード(LED)等が使用されている。しかし、このような光源を用いた場合、透過光が均一に分散しないため、光源から出射される光を均一に拡散させる光拡散性シート(光拡散性粘着シート)が組み合わせて用いられている。例えば、特許文献1~3には、光拡散微粒子を含む粘着剤組成物や粘着剤層が開示されている。特許文献1~3では、光拡散微粒子を含むことで、比較的高ヘーズの粘着剤層を形成することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-209329号公報
【文献】特開2014-224964号公報
【文献】特開2017-043678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、液晶表示装置等においては、バックライトモジュールに直下型LEDを用いることが検討さている。バックライトモジュールに直下型LEDを使用した場合、導光板等の部材が不要となるため、バックライトモジュールの薄型化が可能となる。
しかしながら、光源として直下型LEDを用いた場合、粘着シートには、より高いレベルで光拡散性が求められる。一方で、光拡散性を高めようとした場合、粘着シートの光透過性が低下する場合があり、より高いレベルで光拡散性と光透過性を発揮できる粘着シートが求められていた。
このため、本発明は、例えば、光源として直下型LEDを用いた場合であっても、優れた光拡散性と光透過性を発揮し得る粘着シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、アクリル重合体と、架橋剤と、屈折率が1.50以上1.70未満の光拡散微粒子を有する粘着剤組成物から粘着シートを形成し、光拡散微粒子の含有量を所定範囲内とすることのより、より高いレベルで光拡散性と光透過性を発揮できる粘着シートが得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
【0007】
[1] アクリル重合体と、架橋剤と、屈折率が1.50以上1.70未満の光拡散微粒子を有する粘着剤組成物から形成される粘着シートであって、
光拡散微粒子の含有量は、アクリル重合体100質量部に対して1~25質量部であり、
ヘーズ値が80%以上99%以下であり、全光線透過率が70%以上95%以下である粘着シート。
[2] 粘着シートのヘーズ値は89%以上99%以下である[1]に記載の粘着シート。
[3] 光拡散微粒子がポリスチレン樹脂を含む[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4] 光拡散微粒子の累積50%粒子径(D50)が、1.0μm以上10μm以下である[1]~[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5] 厚みが10μm以上300μm以下である[1]~[4]のいずれかに記載の粘着シート。
[6] 粘着シートを白色LED光源上に置き、透過光の測定角度を0°とした際の照度を100%とした場合に、測定角度を20°とした際の照度が20%以上であり、かつ、測定角度を30°とした際の照度が8%以上である[1]~[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7] 直下型LED光源貼合用である[1]~[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の粘着シートと、直下型LED光源とを有するバックライトユニット。
[9] プリズムシートをさらに有する[8]に記載のバックライトユニット。
[10] [8]又は[9]に記載のバックライトユニットを備える液晶表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた光拡散性と光透過性を発揮し得る粘着シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、剥離シート付き粘着シートの構成の一例を表す断面図である。
図2図2は、粘着シートを備えるバックライトユニットの構成を説明する図である。
図3図3は、実施例1~6及び比較例1~3において光拡散性を評価した際のサンプルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
(粘着シート)
本発明は、アクリル重合体と、架橋剤と、屈折率が1.50以上1.70未満の光拡散微粒子を有する粘着剤組成物から形成される粘着シートに関する。ここで、光拡散微粒子の含有量は、アクリル重合体100質量部に対して1~25質量部である。また、本発明の粘着シートのヘーズ値は80%以上99%以下であり、全光線透過率が70%以上95%以下である。
【0012】
粘着シートのヘーズ値は80%以上であればよく、85%以上であることが好ましく、89%以上であることがより好ましい。粘着シートのヘーズ値は99%以下であればよい。また、粘着シートの全光線透過率は70%以上であればよく、75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。粘着シートの全光線透過率は95%以下であればよく、90%以下であることが好ましい。
【0013】
本発明の粘着シートは、上記構成を有するため、優れた光拡散性を発揮しつつも、良好な光透過率を有している。このように、本発明の粘着シートは、光拡散性と光透過性を兼ね備えた粘着シートである。さらに、本発明の粘着シートにおいては、ヘーズ値と全光線透過率を上記範囲内にコントロールすることにより、粘着シートを表示装置に用いた場合には、均一な輝度とコントラスト性が良好な表示装置を提供することが可能となる。
【0014】
本発明の粘着シートは、光拡散性と光透過性を兼ね備えたものであるため、点光源である発光ダイオード(LED)の直上に貼合した場合であっても、LED光源から照射される光を均一に拡散させ、かつ光の透過率を高めることができるため、LED光源の輝度を低下させることがない。このため、本発明の粘着シートは、LED光源貼合用として好ましく用いられ、特に直下型LED光源貼合用として好ましく用いられる。なお、本明細書において、直下型LED光源とは、LED光源が粘着シートの直下に配置されるものである。
【0015】
本発明の粘着シートを白色LED光源上に置き、透過光の測定角度を0°とした際の照度を100%とした場合、測定角度を20°とした際の照度は20%以上であることが好ましく、かつ、測定角度を30°とした際の照度は8%以上であることが好ましい。測定角度を20°とした際の照度は、23%以上であることがより好ましく、25%以上であることがさらに好ましく、30%以上であることが特に好ましい。また、測定角度を30°とした際の照度は8.5%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましく、12%以上であることが特に好ましい。ここで、透過光の測定角度は、白色LED光源の測定角度を0°とした際の照度とは、直上照度のことであり、粘着シートの垂直入射光の照度である。そして、測定角度を20°とした際の照度は測定角度0°に対する20°方向照度であり、測定角度を30°とした際の照度は測定角度0°に対する30°方向照度である。
なお、各方向照度を算出する際には、測定角度0°(光源の直上照度)の透過光の照度(lx(ルクス))を100%として、測定角度-60°~60°の間で10°毎に照度の測定を行う。そして、以下の式1又は2から測定角度20°及び30°の相対照度を算出する。
式1:相対照度(角度20°)=角度20°の照度(lx)/角度0°の照度(lx)×100(%)
式2:相対照度(角度30°)=角度30°の照度(lx)/角度0°の照度(lx)×100(%)
【0016】
また、本発明の粘着シートは、粘着力にも優れている。通常、粘着シートにおいては、光拡散性を高めるために微粒子等を配合した場合、その粘着力が低下する傾向が見られるが、本発明の粘着シートは上記構成を有するものであるため、優れた光拡散性と粘着力の両立が可能となる。ここで、粘着シートの対ガラス粘着力は、3.5N/25mm以上であることが好ましく、4.0N/25mm以上であることがより好ましい。なお、粘着シートの対ガラス粘着力の上限値は特に限定されるものではないが、50N/25mm以下であることが好ましい。なお、粘着シートの対ガラスの粘着力は、JIS Z 0237の「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて測定した値である。具体的には粘着シートを、23℃、相対湿度50%の環境下で、被着体であるソーダガラス板に貼合し、2kgロールを1往復させて圧着する。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で24時間静置し、その環境下で180°方向に300mm/minの速度で粘着シートをソーダガラス板から剥離することで測定する。
【0017】
本発明の粘着シートの厚みは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、本発明の粘着シートの厚みは、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましく、150μm以下であることが一層好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。粘着シートの厚みを上記範囲内とすることにより、耐久性を高めることができる。また、粘着シートの厚さを上記範囲内とすることにより、粘着シートの製造が容易となる。
【0018】
本発明の粘着シートは、両面粘着シートであることが好ましいが、粘着シートの片面に基材等を備えた片面粘着シートであってもよい。本発明の粘着シートは、さらに他の粘着剤層を備えるものであってもよく、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層したものであってもよい。この場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。但し、本発明の粘着シートは、支持体を有さない基材レスタイプが好ましく、粘着剤層からなる単層の両面粘着シートであることが好ましい。
【0019】
粘着シートの表面は剥離シートによって覆われていることが好ましい。すなわち、本発明は、剥離シート付き粘着シートに関するものであってもよい。図1は、剥離シート付き粘着シートの構成の一例を表す断面図である。図1に示された粘着シート11は剥離シート(12a、12b)を有している。なお、図1の粘着シート11は、基材レスタイプの単層の粘着シートであり、両面粘着シートである。
【0020】
剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
【0021】
剥離シート付き粘着シートは、粘着シートの両表面に剥離力が互いに異なる1対の剥離シートを備えることが好ましい。すなわち、粘着シートの一方の表面に第1の剥離シートを備え、粘着シートの他方の表面に第2の剥離シートを備え、第1の剥離シート及び第2の剥離シートの剥離力が互いに異なることが好ましい。図1の例では、剥離シートを剥離しやすくするために、剥離シート12aと剥離シート12bとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。つまり、一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シート12だけを先に剥離することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて剥離シート12aと剥離シート12bの剥離シート12の剥離性を調整すればよい。
【0022】
(粘着剤組成物)
粘着剤組成物は、少なくともアクリル重合体と、光拡散微粒子を含む。なお、粘着剤組成物は、後述するように、架橋剤や溶剤、さらに任意成分を含むものであってもよい。本発明の粘着シートは、このような粘着剤組成物を硬化することで得られたものである。
【0023】
(アクリル重合体)
粘着剤組成物は、アクリル重合体を含む。アクリル重合体としては、公知のアクリル重合体を用いることができる。なお、アクリル重合体は、表示装置の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。
【0024】
粘着剤組成物は、アクリル重合体を主成分として含む。粘着剤組成物中におけるアクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。なお、粘着剤組成物中におけるアクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、99.9質量%以下であることが好ましい。
【0025】
アクリル重合体は、架橋性アクリル重合体であることが好ましい。アクリル重合体が架橋性を有し、粘着剤層を形成する過程で架橋構造を形成することにより、粘着シートの耐久性と粘着力をより効果的に高めることができる。中でも、アクリル重合体は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)及び架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)を含有することが好ましい。この場合、非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)は、炭素数が1~13の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位であることが好ましい。アクリル重合体が炭素数1~13の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含有する場合、アクリル重合体を含む粘着剤組成物から比誘電率が十分に低い粘着シートを形成しやすくなる。なお、本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
【0026】
炭素数が1~13の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、炭素数が1~13の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸n-ブチルであることが好ましい。
【0027】
アクリル重合体における非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)の含有量は、アクリル重合体の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、単位(a1)の含有量は、アクリル重合体の全質量に対して、99.99質量%以下であることが好ましい。
【0028】
架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)は、カルボキシ基含有(メタ)単量体、ヒドロキシ基含有(メタ)単量体、アミノ基含有(メタ)単量体又はグリシジル基含有(メタ)単量体に由来する単位であることが好ましい。
【0029】
カルボキシ基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
アミノ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等が挙げられる。
グリシジル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0030】
アクリル重合体における架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)の含有量は、アクリル重合体の全質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。また、単位(a2)の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。単位(a2)の含有量が上記範囲の下限値以上であれば、架橋性を十分に有しており、上記範囲の上限値以下であれば、必要な粘着物性を維持しやすくなる。
【0031】
アクリル重合体の重量平均分子量は、10万以上200万以下が好ましく、30万以上150万以下がより好ましい。なお、アクリル重合体の重量平均分子量は架橋剤で架橋される前の値である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。アクリル重合体としては、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
【0032】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF806L、(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI-2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI-2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
較正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320~2,500,000迄の10サンプルによる較正曲線を使用した。
【0033】
アクリル重合体は、必要に応じて非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)及び架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)以外の他の単量体単位を有してもよい。他の単量体としては、非架橋性(メタ)アクリル酸エステルおよび架橋性官能基を有するアクリル単量体と共重合可能なものであればよい。
【0034】
なお、アクリル重合体における、芳香族環を有するモノマー単位の含有量は、1質量%以下であってもよく、0.1質量%以下であってもよい。すなわち、アクリル重合体は、芳香族環を有するモノマー単位を実質的に含有しなくてもよい。このようなアクリル重合体を光拡散微粒子と組み合わせて用いることで、得られる粘着シートの光拡散性と光透過性をより効果的に高めることもできる。
【0035】
アクリル重合体のガラス転移温度(Tg)は、-80℃以上-10℃以下であることが好ましく、-75℃以上-15℃以下であることがより好ましく、-70℃以上-18℃以下であることがさらに好ましい。アクリル重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着剤層としたときの凝集力をより高めることができる。これにより、耐久性に優れ、かつ粘着力に優れた粘着剤層が得られる。
【0036】
(光拡散微粒子)
粘着剤組成物は、光拡散微粒子を含む。光拡散微粒子は、粘着シートに入射した光を拡散させることができる。ここで、光拡散微粒子の屈折率は、1.50以上1.70未満である。光拡散微粒子の屈折率は1.50以上1.65以下であることが好ましく、1.50以上1.60以下であることがより好ましい。なお、光拡散微粒子の屈折率は文献値等に記載の値を採用してもよい。
【0037】
光拡散微粒子の屈折率を測定する場合には、例えば、JIS K7142:2014のB法(ベッケ線法)に準拠して測定してもよい。液浸法による光拡散微粒子の屈折率の測定方法は以下のとおりである。まず、光拡散微粒子を浸液に入れスライドガラスの上にのせ、カバーガラスをする。これを顕微鏡で観察すると光拡散微粒子の周囲に光る線が見える。これがベッケ線である。ベッケ線は鏡筒を上に移動させると高屈折率の方に移動し、鏡筒を下に移動させると低屈折率の方に移動する。このベッケ線の移動でいくつかの種類の浸液と試料の屈折率を比較することで、光拡散微粒子の屈折率を測定できる。屈折率の測定装置としては、例えば、顕微鏡(倍率200倍以上、対物レンズの主倍率20倍程度で、光源の中央にある絞りで、非常に狭い光束を得る集光装置を有し、かつ光源は単色光で、通常は589nmのナトリウム D線)を用いることができる。
【0038】
本発明において、アクリル重合体の屈折率をPとし、光拡散微粒子の屈折率をQとした場合、Q>Pとなることが好ましい。このような条件となるように、アクリル重合体と光拡散微粒子を組み合わせて用いることにより、得られる粘着シートの光拡散性と光透過性をより効果的に高めることができる。
【0039】
光拡散微粒子は、有機微粒子であることが好ましい。有機微粒子としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂やポリアクリレート系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらの樹脂に架橋構造を形成した架橋高分子、エチレン、プロピレン、スチレン、メタクリル酸メチル、ベンゾグアナミン、ホルムアルデヒド、メラミン、ブタジエン等から選ばれる2種又はそれ以上の単量体が共重合された共重合樹脂等からなる樹脂粒子を用いることができる。中でも、有機微粒子はポリスチレン樹脂を含む微粒子であることが好ましい。なお、ポリスチレン樹脂を含む微粒子は、他の樹脂を含む微粒子であってもよく、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂等を含む微粒子であってもよい。また、有機微粒子はポリスチレン樹脂からなる微粒子であってもよい。有機微粒子としては、市販品を用いることができ、このような市販品としては、例えば、綜研化学製のSX-350H(平均粒子径(D50)3.5μm、屈折率1.59)、SX-130H(平均粒子径(D50)1.3μm、屈折率1.59)、KSR-3A(平均粒子径(D50)3.0μm、屈折率1.59)、積水化成品工業製のSBX-4(平均粒子径(D50)4.0μm、屈折率1.595)、MSX-5Z(平均粒子径(D50)5.0μm、屈折率1.51)、SMX-5R(平均粒子径(D50)5.0μm、屈折率1.555)、日本触媒製のエポスターM05(平均粒子径(D50)5.0μm、屈折率1.66)等を挙げることができる。
【0040】
光拡散微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、光源からの光を均一に拡散できる形状であることが好ましく、球状であることが特に好ましい。光拡散微粒子の累積50%粒子径(D50)は、1.0μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましく、2.0μm以上であることがさらに好ましく、2.5μm以上であることが一層好ましい。また、光拡散微粒子の累積50%粒子径(D50)は、10μm以下であることが好ましく、7.0μm以下であることがより好ましい。ここで、光拡散微粒子の累積50%粒子径(D50)は、分散媒を蒸留水としてレーザー回折式粒度分布計を用いて測定される値である。レーザー回折式粒度分布計としては、例えば、Malvern instrument製のマスターサイザー2000やマスターサイザー3000、島津製作所製のSALD-2300、HORIBA製のLA-960などが挙げられる。微粒子の累積50%粒子径(D50)が上記上限値以下であれば、粘着シートを肉眼で視認したときに粒状感や異物感が感じにくい傾向があり、累積50%粒子径(D50)が上記下限値以上であれば、粘着シートのヘーズを所望の値に調整しやすい傾向がある。
【0041】
粘着剤組成物における光拡散微粒子の含有量は、アクリル重合体100質量部に対し1質量部以上であることが好ましく、1.5質量部以上であることがより好ましく、2.0質量部以上であることがさらに好ましい。また、粘着剤組成物における光拡散微粒子の含有量は、アクリル重合体100質量部に対し15質量部以下であることが好ましく、12質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。光拡散微粒子の含有量が上記範囲内であれば全光線透過率の低下を抑えやすい傾向があり、かつ所望のヘーズに調整しやすい傾向がある。
【0042】
なお、粘着シートにおける光拡散微粒子の含有量は、1.50g/m2以上であることが好ましく、2.00g/m2以上であることがより好ましい。また、粘着シートにおける光拡散微粒子の含有量は、15g/m2以下であることが好ましく、
10g/m2以下であることがより好ましい。粘着シートにおける光拡散微粒子の含有量を上記範囲内であれば全光線透過率の低下を抑えやすい傾向があり、かつ所望のヘーズに調整しやすい傾向がある。これにより、粘着シートの光各線性と光透過性の両立がされやすくなる。
【0043】
(架橋剤)
粘着剤組成物は、架橋剤をさらに含有することが好ましい。架橋剤は、熱によりアクリル重合体と反応する架橋剤であることが好ましく、熱硬化型架橋剤であることが好ましい。
【0044】
架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から、アクリル重合体が有する架橋性官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)を容易に架橋できるという観点からは、イソシアネート化合物、エポキシ化合物を用いることが好ましく、エポキシ化合物を用いることが特に好ましい。
【0045】
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ジイシアネートは2官能のまま用いてもよいし、アダクト、ヌレート、ビュレットなどの3官能誘導体にして用いても良い。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0046】
架橋剤としては1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は、所望とする接着物性等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、アクリル重合体100質量部に対し、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
【0047】
(溶剤)
粘着剤組成物は、溶剤を含んでいてもよい。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性の向上のために用いられる。溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
【0048】
粘着剤組成物中の溶剤の含有量は、特に限定されないが、アクリル重合体100質量部に対し、10~500質量部が好ましく、15~400質量部がより好ましい。
【0049】
(任意成分)
粘着剤組成物は、上述した成分以外の任意成分を含んでいてもよく、任意成分としては、例えば粘着剤用の添加剤として公知の成分、例えば酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤を挙げることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、ベンゾリアゾール系樹脂を挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
【0050】
また、粘着剤組成物は、任意成分として可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤としては、例えば、無官能性アクリル重合体を用いることができる。無官能性アクリル重合体とは、アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位のみからなる重合体、又はアクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位と官能基を有しない非アクリル単量体単位とからなる重合体を意味する。官能基を有しない非アクリル単量体単位としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
【0051】
(粘着シートの製造方法)
粘着シートの製造工程は、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱により硬化物とする工程を含むことが好ましい。
【0052】
上述した工程では、塗膜の加熱により、アクリル重合体及び架橋剤の反応が進行して硬化物(粘着シート)が形成されることが好ましい。粘着剤組成物を硬化状態とするためには、塗工後溶剤を除去した後に、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理を施してもよい。エージング処理は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
【0053】
粘着シートを形成する粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。また、塗膜の加熱は、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いて実施できる。
【0054】
(積層体)
本発明は、上述した粘着シートと、粘着シートの少なくとも一方の面側に被着体と、を備える積層体に関するものであってもよい。被着体は、光学部材や光学フィルムであることが好ましく、光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材を挙げることができる。中でも、被着体は、LED光源であることが好ましく、直下型LED光源であることが特に好ましい。
【0055】
本発明の積層体において、被着体がLED光源である場合、積層体は、バックライトユニットを構成するものであってもよい。すなわち、本発明は、上述した粘着シートと、LED光源とを有するバックライトユニットであることが好ましく、上述した粘着シートと、直下型LED光源とを有するバックライトユニットであることが特に好ましい。
【0056】
バックライトユニットにおいて、粘着シートはLED光源部材上に直接貼合されるものであってもよい。図2(a)は、直下型LED光源部材20と、直下型LED光源部材20上に直接貼合された粘着シート11を有するバックライトユニット100の構成を説明する図である。なお、図示していないが、直下型LED光源部材20と粘着シート11の間には、他の機能層が設けられていてもよい。機能層としては、例えば、樹脂シート、プリズムシート等が挙げられる。
【0057】
また、バックライトユニットは、さらにプリズムシートを有するものであってもよい。図2(b)は、直下型LED光源部材20と、プリズムシート30と、粘着シート11をこの順で積層してなるバックライトユニット100の構成を説明する図である。また、図示していないが、粘着シート11の両面にプリズムシート30が配置されてもよい。
【0058】
また本発明のバックライトユニットにおいて、直下型LED光源部材を構成する各LED光源の直径は、500μm以下であってもよく、300μm以下であってもよく、200μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。このように、直下型LED光源はミニLED光源であってもよく、さらにはマイクロLED光源であってもよい。本発明の粘着シートは、このような小型LED光源部材の貼合用に特に好ましく用いられる。
【0059】
本発明の粘着シートは、LED光源部材や他の光学フィルムと貼合する際に、粘着対象物の間に粘着シートを積層して加圧すれば粘着することができるため、バックライトユニット等の形成が容易にできる。このように、本発明の粘着シートはバックライトユニット形成用シートとして好適である。
【0060】
(液晶表示装置)
本発明は、上述したバックライトユニットを備える液晶表示装置に関するものであってもよい。液晶表示装置は、バックライトユニット上に、偏光フィルム等の光学フィルム、液晶層等を積層して構成される。なお、本発明のバックライトユニットは、直下型LED光源部材を有することが好ましく、このような場合、バックライトユニット及び液晶表示装置は、導光板を備えなくてもよい。
【0061】
(用途)
本発明の粘着シートは、光学部材貼合用の粘着シートとして好ましく用いられる。特に、液晶表示装置のバックライトユニットの部材を貼合する用途に好ましく用いられる。このような液晶表示装置は、例えば、スマートフォンやタブレット、デジタイザー、テレビ、ディスプレイ等に使用される。
【実施例
【0062】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下において、実施例1は、参考例1と読み替えるものとする。
【0063】
(実施例1)
アクリル重合体としてSK2094(綜研化学製)100質量部、架橋剤としてE-AX(綜研化学製)0.2質量部、光拡散微粒子としてSX-350H(綜研化学製、平均粒子径(D50)3.5μm、屈折率1.59)3.15質量部、トルエン21質量部を自転・公転ミキサー(シンキー製、あわとり錬太郎)で混合し粘着剤組成物とした。離型処理を行ったセパレーターフィルム(第1の剥離シート)上にアプリケーターを用いてこの粘着剤組成物を塗工し、100℃、2分で乾燥させて膜厚25μmの粘着シートを形成した後に、該粘着シート上にセパレーターフィルム(第2の剥離シート)を貼合した。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間エージングを行い実施例1の粘着シートを得た。
【0064】
(実施例2)
SK2094(綜研化学製)100質量部、E-AX(綜研化学製)0.2質量部、SX-350H(綜研化学製、平均粒子径(D50)3.5μm、屈折率1.59)3.55質量部、トルエン21質量部を自転・公転ミキサー(シンキー製、あわとり錬太郎)で混合し粘着剤組成物とした。離型処理を行ったセパレーターフィルム(第1の剥離シート)上にアプリケーターを用いてこの粘着剤組成物を塗工し、100℃、2分で乾燥させて膜厚25μmの粘着シートを形成した後に、該粘着シート上にセパレーターフィルム(第2の剥離シート)を貼合した。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間エージングを行い実施例2の粘着シートを得た。
【0065】
(実施例3)
SK2094(綜研化学製)100質量部、E-AX(綜研化学製)0.2質量部、SX-350H(綜研化学製、平均粒子径(D50)3.5μm、屈折率1.59)3.75質量部、トルエン 21質量部を自転・公転ミキサー(シンキー製、あわとり錬太郎)で混合し粘着剤組成物とした。離型処理を行ったセパレーターフィルム(第1の剥離シート)上にアプリケーターを用いてこの粘着剤組成物を塗工し、100℃、2分で乾燥させて膜厚25μmの粘着シートを形成した後に、該粘着シート上にセパレーターフィルム(第2の剥離シート)を貼合した。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間エージングを行い実施例3の粘着シートを得た。
【0066】
(実施例4)
SX-350H(綜研化学製、平均粒子径(D50)3.5μm、屈折率1.59)の量を3.86質量部とした以外は、実施例1と同様にして実施例4の粘着シートを得た。
【0067】
(実施例5)
SX-350H(綜研化学製、平均粒子径(D50)3.5μm、屈折率1.59)の量を1.77質量部とし、粘着シートの膜厚が50μmとなるよう粘着剤組成物を塗工した以外は、実施例1と同様にして実施例5の粘着シートを得た。
【0068】
(実施例6)
SX-350H(綜研化学製、平均粒子径(D50)3.5μm、屈折率1.59)の量を1.25質量部とし、粘着シートの膜厚が75μmとなるよう粘着剤組成物を塗工した以外は、実施例1と同様にして実施例6の粘着シートを得た。
【0069】
(比較例1)
SK2094(綜研化学製)100質量部、E-AX(綜研化学製)0.2質量部、Tospearl130 3.2質量部(シリコン粒子/モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、平均粒子径(D50)3μm、屈折率1.42)、トルエン21質量部を自転・公転ミキサー(シンキー製、あわとり錬太郎)で混合し粘着剤組成物とした。離型処理を行ったセパレーターフィルム(第1の剥離シート)上にアプリケーターを用いてこの粘着剤組成物を塗工し、100℃、2分で乾燥させて膜厚25μmの粘着シートを形成した後に、該粘着シート上にセパレーターフィルム(第2の剥離シート)を貼合した。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間エージングを行い比較例1の粘着シートを得た。
【0070】
(比較例2)
SK2094(綜研化学製)100質量部、E-AX(綜研化学製)0.2質量部、MX-500 3.75質量部(PMMA粒子/綜研化学製、平均粒子径(D50)3μm、屈折率1.49)、トルエン21質量部を自転・公転ミキサー(シンキー製、あわとり錬太郎)で混合し粘着剤組成物とした。離型処理を行ったセパレーターフィルム(第1の剥離シート)上にアプリケーターを用いてこの粘着剤組成物を塗工し、100℃、2分で乾燥させて膜厚25μmの粘着シートを形成した後に、該粘着シート上にセパレーターフィルム(第2の剥離シート)を貼合した。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間エージングを行い比較例2の粘着シートを得た。
【0071】
(比較例3)
SK2094(綜研化学製)100質量部、E-AX(綜研化学製)0.2質量部、SX-350H(綜研化学製、平均粒子径(D50)3.5μm屈折率1.59)2.76質量部、トルエン21質量部を自転・公転ミキサー(シンキー製、あわとり錬太郎)で混合し粘着剤組成物とした。離型処理を行ったセパレーターフィルム(第1の剥離シート)上にアプリケーターを用いてこの粘着剤組成物を塗工し、100℃、2分で乾燥させて膜厚25μmの粘着シートを形成した後に、該粘着シート上にセパレーターフィルム(第2の剥離シート)を貼合した。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間エージングを行い比較例3の粘着シートを得た。
【0072】
(製造例1)
SK2094(綜研化学製)100質量部、E-AX(綜研化学製)0.2質量部、トルエン21質量部を自転・公転ミキサー(シンキー製、あわとり錬太郎)で混合し粘着剤組成物とした。離型処理を行ったセパレーターフィルム(第1の剥離シート)上にアプリケーターを用いてこの粘着剤組成物を塗工し、さらにその上にセパレーターフィルム(第2の剥離シート)を貼合した後に、100℃、2分で乾燥させ膜厚50μmの粘着シートを得た。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間エージングを行い製造例1の粘着シートを得た。
【0073】
(製造例2)
SK2094(綜研化学製)100質量部、E-AX(綜研化学製)0.2質量部、トルエン21質量部を自転・公転ミキサー(シンキー製、あわとり錬太郎)で混合し粘着剤組成物とした。離型処理を行ったセパレーターフィルム(第1の剥離シート)上にアプリケーターを用いてこの粘着剤組成物を塗工し、さらにその上にセパレーターフィルム(第2の剥離シート)を貼合した後に、100℃、2分で乾燥させ膜厚25μmの粘着シートを得た。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間エージングを行い製造例2の粘着シートを得た。
【0074】
(実施例7)
製造例1で作製したシート及び実施例3で作製したシートを重ね2層のOCA(厚み75μm)を作製し、実施例7の粘着シートを得た。
【0075】
(実施例8)
製造例2で作製したシート、実施例5で作製したシート及び製造例1で作製したシートをこの順で重ね合わせ3層のOCA(厚み125μm)を作製し、実施例8の粘着シートを得た。
【0076】
(測定及び評価)
第1の剥離シート/粘着シート/第2の剥離シートがこの順で積層された剥離シート付き粘着シートの第1の剥離シートを剥離し、粘着面に、易接着層付ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製、A4300#100)を裏打ち基材として貼着した。第2の剥離シートを剥離し、粘着面をソーダガラスに2kgローラーを用いて2往復加圧貼付した。貼着後24時間後に、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力測定を行った。
【0077】
<ヘーズ及び全光線透過率>
実施例及び比較例で得られた粘着シートを65mm×45mmにカットし、片面にガラス板(S9112/松浪ガラス製)を、片面に厚みが100μmのPETフィルム(A4300/東洋紡製)を貼り合せ測定用サンプルを作製した。測定用サンプルのヘーズ及び全光線透過率をHM-150(村上色彩研究所製)で測定した。
【0078】
<光拡散微粒子の累積50%粒子径(D50)>
分散媒を蒸留水としてレーザー回折式粒度分布計 マスターサイザー2000(Malvern instrument製)を用いて測定した。
【0079】
(相対照度)
実施例及び比較例で得られた粘着シートを65mm×45mmにカットし、片面にガラス板(S9112/松浪ガラス製)を、片面に厚みが100μmのPETフィルム(A4300/東洋紡製)を貼り合せ測定用サンプルを作製した。
白色LEDを光源として用い、測定用サンプルを光源上に置き、配光測定装置IMS5000(朝日分光製)を用いて光拡散性の評価を行った。この装置を用いて、測定角度0°(光源の直上の照度)の透過光の照度(lx(ルクス))を100%として、測定角度-60°~60°の間で10°毎に照度の測定を行った。光拡散性が高いと測定角度を増やしても照度が落ちにくいため透過光の照度が大きいほど光拡散性が高い。測定角度20°及び30°の相対照度を下記式1及び式2に従って算出した。
式1
相対照度(角度20°)=角度20°の照度(lx)/角度0°の照度(lx)×100(%)
式2
相対照度(角度30°)=角度30°の照度(lx)/角度0°の照度(lx)×100(%)
【0080】
(光拡散性)
LED光源としてAE-LEDLAMP-7X6(秋月電子通商製:搭載チップNSSW157T 日亜化学製)を用いた。実施例及び比較例で得た粘着シートの一方の面をPETフィルム(A4300 厚み100μm:東洋紡製)に貼合し、他方の面をガラス板(S9112 1mm厚:松浪ガラス製)に貼合し評価用サンプルとした。上記、LED光源の直上30mmに評価用サンプルを設置しLED点灯時の光拡散性の評価を目視により行った。
◎:LED光源の全体の点灯位置が確認できず、かつLED光源の素子の形状も認識できない。
○:LED光源の全体の点灯位置は確認できるが、LED光源の素子の形状は認識できない。
△:LED光源の全体の点灯位置が確認でき、かつLED光源の素子の配置が認識される。
×:LED光源の全体の点灯位置が確認でき、かつLED光源の素子の配置と形状がはっきりと認識される。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
実施例で得られた粘着シートは所定の粘着力を保持しつつ、良好な光線透過率と大きな光拡散性を有しており直下型LED光源用の光拡散性シートとして好適であった。なお、実施例1~6及び比較例1~3において光拡散性を評価した際のサンプルの写真を図3に示した。
【符号の説明】
【0085】
1 剥離シート付き粘着シート
11 粘着シート(粘着剤層)
12a、12b 剥離シート
20 直下型LED光源部材
22 直下型LED光源
30 プリズムシート
100 バックライトユニット
図1
図2
図3