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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240305BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/16 305
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019214343
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021084304
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祐子
(72)【発明者】
【氏名】瀧上 雄太
(72)【発明者】
【氏名】西村 秀彰
(72)【発明者】
【氏名】大谷 勝彦
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-073003(JP,A)
【文献】特開2019-140611(JP,A)
【文献】特開2007-261154(JP,A)
【文献】特開2015-018173(JP,A)
【文献】特開2018-099780(JP,A)
【文献】特開2006-347059(JP,A)
【文献】特開2004-345248(JP,A)
【文献】特開2015-168185(JP,A)
【文献】特開2018-099865(JP,A)
【文献】実開平03-122447(JP,U)
【文献】特開2005-111979(JP,A)
【文献】特開平08-139834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動することで媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドを有する液体吐出装置であって、
前記媒体に液体を吐出させるために駆動する第1部品、及び第2部品と、
前記吐出ヘッドの駆動を制御する第1制御回路、及び第2制御回路と、
前記第1制御回路が設けられた第1制御回路基板と、
前記第2制御回路が設けられた第2制御回路基板と、
を備え、
前記第1部品は、前記第1制御回路と電気的に接続され、
前記第2部品は、前記第2制御回路と電気的に接続され、
前記第1制御回路基板と前記第1部品との最短距離は、前記第1制御回路基板と前記第2部品との最短距離よりも短く、
前記第2制御回路基板と前記第2部品との最短距離は、前記第2制御回路基板と前記第1部品との最短距離よりも短く、
前記第1部品、前記第2部品、前記第1制御回路基板、及び前記第2制御回路基板を収容する筐体と、
前記吐出ヘッドから液体が吐出される前記媒体を搬送する搬送部と、
を備え、
前記筐体は、第1面と第2面とを含み、
前記第1面と前記第2面とは、前記搬送部によって前記媒体が搬送される搬送方向と交差する前記媒体の幅方向において、少なくとも一部が重なって位置し、
前記第1制御回路基板と前記第1面との最短距離は、前記第1制御回路基板と前記第2面との最短距離よりも短く、
前記第2制御回路基板と前記第2面との最短距離は、前記第2制御回路基板と前記第1面との最短距離よりも短く、
前記第1制御回路基板と前記第1面との最短距離は、前記搬送部と前記第1面との最短距離よりも短く、
前記第2制御回路基板と前記第2面との最短距離は、前記搬送部と前記第2面との最短距離よりも短く、
前記吐出ヘッドを駆動する駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
前記駆動信号出力回路が設けられた駆動回路基板と、
を備え、
前記第2部品は、前記駆動回路基板を含み、
第1制御回路は、入力される画像信号に画像処理を実行し、前記画像処理を施した情報を画像処理信号として出力し、
第2制御回路は、前記が画像処理信号に基づいて、前記駆動信号の基となる基駆動信号を出力し、
前記駆動信号出力回路は、前記基駆動信号に基づく前記駆動信号を出力する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第2部品は、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する電動機を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記吐出ヘッドは、入力端子から入力される前記画像信号に基づいて駆動が制御され、
前記第1部品は、前記入力端子を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記吐出ヘッドからの液体の吐出が可能な第1モードと、
前記第1モードよりも消費電力が小さく、前記吐出ヘッドから液体が吐出されない第2モードと、
を有し、
前記第2モードにおいて、前記第2制御回路は、動作を停止する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置の一例であるインクジェットプリンターには、インクジェットプリンター本体に設けられた制御回路等で生成された制御信号を、インクが吐出されるノズルを有するプリントヘッド(吐出ヘッド)に伝搬し、当該制御信号に基づいてインクの吐出タイミングを制御することで、媒体に画像や文書等を印刷する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、制御回路としての制御信号生成部が、外部のホストコンピューターから供給された画像データに応じた制御信号を生成し、当該制御信号に基づいて紙などの媒体の搬送やインクを吐出するヘッド等の液体吐出装置に含まれる各部の駆動を制御することで、供給される画像データに応じた文字、図形等を含む画像を媒体に形成する液体吐出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-158487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出装置では、制御回路から出力される制御信号によって駆動する液体吐出装置の各部が、液体吐出装置の内部に分散して配置されているが故に、制御信号が伝搬する配線が長くなり、その結果、配線インピーダンス等の影響により当該制御信号の伝搬精度が低下し、媒体に形成される画像の品質が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
駆動することで媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドを有する液体吐出装置であって、
前記媒体に液体を吐出させるために駆動する第1部品、及び第2部品と、
前記吐出ヘッドの駆動を制御する第1制御回路、及び第2制御回路と、
前記第1制御回路が設けられた第1制御回路基板と、
前記第2制御回路が設けられた第2制御回路基板と、
を備え、
前記第1部品は、前記第1制御回路と電気的に接続され、
前記第2部品は、前記第2制御回路と電気的に接続され、
前記第1制御回路基板と前記第1部品との最短距離は、前記第1制御回路基板と前記第2部品との最短距離よりも短く、
前記第2制御回路基板と前記第2部品との最短距離は、前記第2制御回路基板と前記第1部品との最短距離よりも短い。
【0007】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1部品、前記第2部品、前記第1制御回路基板、及び前記第2制御回路基板を収容する筐体と、
前記吐出ヘッドから液体が吐出される前記媒体を搬送する搬送部と、
を備え、
前記筐体は、第1面と第2面とを含み、
前記第1面と前記第2面とは、前記搬送部によって前記媒体が搬送される搬送方向と交差する前記媒体の幅方向において、少なくとも一部が重なって位置し、
前記第1制御回路基板と前記第1面との最短距離は、前記第1制御回路基板と前記第2面との最短距離よりも短く、
前記第2制御回路基板と前記第2面との最短距離は、前記第2制御回路基板と前記第1面との最短距離よりも短くてもよい。
【0008】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1制御回路基板と前記第1面との最短距離は、前記搬送部と前記第1面との最短距離よりも短く、
前記第2制御回路基板と前記第2面との最短距離は、前記搬送部と前記第2面との最短距離よりも短くてもよい。
【0009】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記吐出ヘッドを駆動する駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
前記駆動信号出力回路が設けられた駆動回路基板と、
を備え、
前記第2部品は、前記駆動回路基板を含んでもよい。
【0010】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第2部品は、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する電動機を含んでもよい。
【0011】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記吐出ヘッドは、入力端子から入力される画像信号に基づいて駆動が制御され、
前記第1部品は、前記入力端子を含んでもよい。
【0012】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記吐出ヘッドからの液体の吐出が可能な第1モードと、
前記第1モードよりも消費電力が小さく、前記吐出ヘッドから液体が吐出されない第2モードと、
を有し、
前記第2モードにおいて、前記第2制御回路は、動作を停止してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】液体吐出装置の外観構成を示す全面斜視図である。
図2】液体吐出装置の内部構成の一部を模式的に示す断面図である。
図3】液体吐出装置の内部構成の一部を模式的に示す全面図である。
図4】液体吐出装置の電気構成を示す図である。
図5】駆動信号COMA,COMBの波形の一例を示す図である。
図6】駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
図7】駆動信号選択回路の構成を示す図である。
図8】デコーダーにおけるデコード内容を示す図である。
図9】選択回路の構成を示す図である。
図10】駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。
図11】吐出部の構成を示す図である。
図12】液体吐出装置を+Z側から見た場合の各回路基板の配置を説明するための図である。
図13】液体吐出装置を+Y側から見た場合の各回路基板の配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0015】
ここで、本実施形態では、液体吐出装置の一例として、短辺幅がA3(297mm)以上の大判の媒体に印刷を行うことが可能なインクジェットプリンターであって、所謂ラージフォーマットプリンターを用いて説明を行う。また、本実施形態における液体吐出装置がインクを吐出する媒体は、芯部材に巻き回されることによりロール体として形成されたロール紙を例に挙げて説明を行う。なお、液体吐出装置がインクを吐出する媒体の種類はこれに限るものではなく、例えば、所定のサイズに裁断された用紙であってもよく、布帛等であってもよい。
【0016】
1.液体吐出装置の構成
図1図3を用いて、本実施形態における液体吐出装置1の外観構成について説明する。図1は、液体吐出装置1の外観構成を示す全面斜視図である。図2は、液体吐出装置1の内部構成の一部を模式的に示す断面図である。図3は、液体吐出装置1の内部構成の一部を模式的に示す全面図である。
【0017】
図1に示すように、液体吐出装置1は、本体2と複数の脚部3とを備えている。本体2は、略直方体形状の筐体10を有している。筐体10は、前壁11、後壁12、第1側壁13、第2側壁14、及び上壁15を有している。また、筐体10は、脚部3によって支持されるベースフレーム20に連結されている。
【0018】
ここで、液体吐出装置1において、ベースフレーム20と上壁15とが向かい合う方向を液体吐出装置1の高さ方向と称し、高さ方向に直交する面に沿う方向であって第1側壁13と第2側壁14とが向かい合う方向を幅方向と称し、高さ方向に直交する面において幅方向に直交する方向であって前壁11と後壁12とが向かい合う方向を前後方向と称する。また、液体吐出装置1において、幅方向と前後方向とが水平面上に配置される場合に、高さ方向が重力方向と平行な方向となる。なお、以下の説明では、幅方向を方向Xとして図示し、前後方向を方向Yとして図示し、高さ方向を方向Zとして図示している。さらに、図示した方向Xの矢印の先端側を+X側、矢印の起点側を-X側と称し、方向Yの矢印の先端側を+Y側、矢印の起点側を-Y側と称し、方向Zの矢印の先端側を+Z側、矢印の起点側を-Z側と称する場合がある。
【0019】
図1及び図2に示すように、本体2は、収容部21を有する。収容部21は、本体2が画像を形成する媒体22が芯部材23に巻き回された円筒状のロール体24を収容する。具体的には、収容部21は、液体吐出装置1の方向Zに並んだ状態で一対のロール体24を収容可能に構成されている。このような収容部21は、筐体10の前壁11におけるベースフレーム20側に開口25を有し、前壁11から後壁12に向かって形成されている。
【0020】
図1図3に示すように、収容部21に収容された一対のロール体24の各々には、本体2に回転可能に装着され、ロール体24の一端を保持する第1保持部31と、ロール体24の他端を保持する第2保持部32と、が開口25を通じて本体2から取り外し可能な状態で取り付けられている。この第1保持部31及び第2保持部32は、本体2に取り付
けられた状態において、第1保持部31と第2保持部32は、収容部21の内部に方向Xに沿って並んで設けられている。そして、ロール体24の一端に第1保持部31を、ロール体24の他端に第2保持部32を取り付けた状態で、ロール体24を収容部21に載置することにより、第1保持部31と第2保持部32とが、方向Xに並んだ状態で、一対のロール体24の載置姿勢が安定する。
【0021】
第1保持部31は、図3に示す第1サイドフレーム61に対して幅方向である方向Xに沿った方向を回転軸として回転可能に装着される。第2保持部32は、図3に示す第2サイドフレーム62に対して幅方向である方向Xに沿った方向を回転軸として回転可能に装着される。すなわち、第1保持部31及び第2保持部32は、ロール体24を芯部材23の中心軸回りに回転可能な状態で保持する。
【0022】
第1保持部31及び第2保持部32によって保持されたロール体24は、図3に示す駆動部33によって回転駆動される。駆動部33は、第1保持部31よりも第1側壁13側に位置する。また、駆動部33は、不図示の駆動モーターを含む。そして、当該駆動モーターが正転駆動することにより、駆動部33は、ロール体24に巻き回された媒体22が、筐体10の内部の後壁12側へと送出されるように第1保持部31及び第2保持部32を回転させる。
【0023】
図1図3に示すように、筐体10の内部には、記録部35が設けられている。記録部35は、支持台36、ガイド軸37、キャリッジ38、及びヘッド39を含む。
【0024】
支持台36は、収容部21よりも上壁15側に位置している。この支持台36は、筐体10の内部で方向Xに延びる板状の部材である。ロール体24にから解かれた媒体22は、筐体10の内部を支持台36まで搬送されたのち、支持台36上を後壁12側から前壁11側に向かって搬送される。
【0025】
ガイド軸37は、支持台36よりも上壁15側に位置している。ガイド軸37は、方向Xに沿った方向に延在する棒状の部材である。ガイド軸37は、キャリッジ38を支持する。換言すれば、キャリッジ38は、ガイド軸37に沿って移動可能に支持されている。キャリッジ38は、不図示の駆動モーターを含むキャリッジモーター40により駆動される。これにより、キャリッジ38は、ガイド軸37に沿った方向に往復移動する。また、キャリッジ38の支持台36側には、ヘッド39が搭載されている。そして、ヘッド39は、支持台36に支持されている媒体22に対して所定のタイミングでインクを吐出する。これにより、媒体22に画像が形成される。
【0026】
図2に示すように、本体2は、搬送部45を備える。搬送部45は、筐体10の内部において第1保持部31、第2保持部32及び駆動部33と協働して、ロール体24から解かれた媒体22を搬送する。このような搬送部45は、搬送経路形成部46、中間ローラー47、及び搬送ローラー48を有する。
【0027】
搬送経路形成部46は、一対のロール体24の各々に対応して設けられている。搬送経路形成部46は、収容部21に収容された一対のロール体24の各々よりも後壁12側に位置し、第1保持部31、第2保持部32の回転駆動によってロール体24から送出された媒体22を筐体10の後壁12側へと案内する搬送経路49を形成している。
【0028】
中間ローラー47及び搬送ローラー48は、搬送経路49を通過した媒体22を搬送する。中間ローラー47及び搬送ローラー48のそれぞれは、方向Xに沿った方向を回転軸として回転可能に支持された一対のローラーである駆動ローラーと従動ローラーとを含む。中間ローラー47及び搬送ローラー48のそれぞれは、駆動ローラーと従動ローラーと
で媒体22を表裏両面から挟むことで支持する。
【0029】
このような搬送部45は、不図示の駆動モーターを含む。当該駆動モーターが正転駆動することにより、中間ローラー47及び搬送ローラー48が回転駆動する。これにより、媒体22は、搬送経路49を介して支持台36に搬送されるとともに支持台36上を後壁12側から前壁11側に向かい搬送される。なお、図2では、一対のロール体24の双方から媒体22が送出されている状態を図示しているが、画像形成時には、一対のロール体24の一方のみから媒体22が送出されてもよい。
【0030】
また、図2に示されるように、筐体10の内部には、排紙口部材50と切断部51とが設けられている。排紙口部材50は、支持台36の前壁11側に位置し、支持台36を通過した媒体22を支持するとともに、前壁11に形成された排紙口53へと媒体22を搬送する。切断部51は、媒体22を所定のサイズに切断する。そして、切断部51によって切断された媒体22は排紙口53から排出される。
【0031】
図3に示すように、本体2は、ヘッド39に供給されるインクが収容されたカートリッジが装着される装着部57を有する。装着部57は、第1保持部31及び第2保持部32よりも第2側壁14側であって、第1保持部31及び第2保持部32よりも上壁15側に位置する。そして、カートリッジは、不図示のチューブ等を介してヘッド39と接続されている。カートリッジは、インクの吐出に伴ってヘッド39の内部の圧力が低下した場合に、当該チューブを介してヘッド39にインクを供給する。
【0032】
さらに、本体2は、ヘッド39のメンテナンスを行うメンテナンスユニット58を有する。メンテナンスユニット58は、第1保持部31及び第2保持部32よりも第2側壁14側、且つ上壁15側であって、ヘッド39よりもベースフレーム20側に位置している。
【0033】
また、図1及び図3に示すように、本体2は、操作部59を有する。操作部59は、筐体10の上壁15に設けられている。この操作部59は、例えばタッチパネルなどによって構成されてもよく、各種情報の入力をユーザーが行う際に使用される。
【0034】
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1では、駆動部33が有する駆動モーターが駆動することで、第1保持部31、及び第2保持部32が駆動し、搬送部45が有する駆動モーターが駆動することにより、中間ローラー47、及び搬送ローラー48が駆動する。これにより、円筒状のロール体24に含まれる媒体22が搬送経路形成部46を介して支持台36に搬送される。
【0035】
ここで、ヘッド39から吐出されるインクが着弾する媒体22を送出し搬送する駆動部33、及び搬送部45の少なくとも一方が、搬送部の一例である。そして、駆動部33、及び搬送部45の少なくとも一方によって媒体22が搬送される方向であって、方向Yに沿った方向が搬送方向の一例であり、方向Yと交差する方向Xに沿った方向が媒体22の幅方向の一例である。また、液体吐出装置1に含まれる筐体10が筐体の一例である。そして、筐体10に含まれる前壁11、後壁12、第1側壁13、第2側壁14、及び上壁15の内、方向Xに沿った方向において、第1側壁13、第2側壁14とは、少なくとも一部が重なって位置する。この第2側壁14が筐体10の第1面の一例であり、第1側壁13が筐体10の第2面の一例である。
【0036】
2.液体吐出装置の電気構成
次に液体吐出装置1の電気構成について、図4を用いて説明する。図4は、液体吐出装置1の電気構成を示す図である。図4に示されるように、液体吐出装置1は、電源回路基
板100、第1制御回路基板110、第2制御回路基板120、駆動回路基板130、吐出制御回路基板140、及び複数のヘッド39を備える。
【0037】
電源回路基板100には、電源電圧出力回路101が実装されている。電源電圧出力回路101には、液体吐出装置1の外部に設けられた商用交流電源から電圧VACが入力される。そして、電源電圧出力回路101は、入力された電圧VACを、42Vの直流電圧である電圧VHV、及び3.3Vの直流電圧である電圧VDDを含む複数の直流電圧に変換する。すなわち、電源電圧出力回路101は、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータであって、例えばフライバック回路等を含んで構成される。なお、電源電圧出力回路101は、電圧VHVを生成した後、電圧VHVを降圧することで、電圧VDDを生成してもよい。また、電源電圧出力回路101は、電圧VHV,VDDを昇圧又は降圧することで、複数の直流電圧を生成してもよい。そして、電源回路基板100から出力された電圧VHV,VDDは、ケーブル151を介して第1制御回路基板110に入力される。
【0038】
第1制御回路基板110には、制御回路111が実装されている。この制御回路111は、電圧VHV,VDDに基づく直流電圧を電源として動作する。制御回路111には、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューターから画像信号IMGが入力される。そして、制御回路111は、画像信号IMGに基づく画像処理を実行した後、当該画像処理を施した情報を、画像処理信号IPとしてケーブル152を介して第2制御回路基板120に出力する。ここで、制御回路111が実行する画像処理としては、例えば、入力される画像信号IMGを、赤、緑、青の色情報RGBに変換した後、カートリッジに収容されたインクの色彩に対応する色情報ICMYに変換する色変換処理や、色情報ICMYにハーフトーン処理を施すハーフトーン処理信号等が挙げられる。
【0039】
また、制御回路111は、上述した操作部59と電気的に接続されている。制御回路111には、操作部59の操作によってユーザーによって入力された情報を含む操作情報信号CSがケーブル153を介して入力される。そして、制御回路111は、操作情報信号CSに応じた制御を実行させるための信号を生成し、画像処理信号IPと共に、又は画像処理信号IPとは異なる信号として第2制御回路基板120に出力する。
【0040】
ここで、制御回路111は、画像処理信号IPを一対の差動信号に変換した後、第2制御回路基板120に出力してもよく、また、光信号等に変換した後、第2制御回路基板120に出力してもよい。さらに、制御回路111が行う画像処理は、上述した色変換処理やハーフトーン処理に限るものではなく、制御回路111は、様々な画像処理を施した信号を、画像処理信号IPとして出力してもよい。
【0041】
第2制御回路基板120には、制御回路121、差動信号変換回路122、及びシリアル信号変換回路123が実装されている。この制御回路121、差動信号変換回路122、及びシリアル信号変換回路123は、電圧VHV,VDDに基づく直流電圧を電源電圧として動作する。
【0042】
制御回路121は、第1制御回路基板110から入力される画像処理信号IPに基づいて、液体吐出装置1の各部を制御するための制御信号を出力する。具体的には、制御回路121は、画像処理信号IPに基づいて、ヘッド39からのインクの吐出を制御する制御信号として、原クロック信号oSCK、及び原印刷データ信号oSI1~oSInを生成し差動信号変換回路122に出力する。
【0043】
差動信号変換回路122は、入力される原クロック信号oSCKを一対の差動信号dSCK+,dSCK-に変換し、ケーブル154を介して駆動回路基板130に出力する。
また、差動信号変換回路122は、入力される原印刷データ信号oSI1~oSInのそれぞれを一対の差動信号dSI1+~dSIn+,dSI1-~dSIn-に変換し、ケーブル154を介して駆動回路基板130に出力する。ここで、差動信号変換回路122により変換される差動信号dSCK+,dSCK-、及び差動信号dSI1+~dSIn+,dSI1-~dSIn-は、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)転送方式の差動信号であってもよく、LVDS以外のLVPECL(Low Voltage Positive Emitter Coupled Logic)やCML(Current Mode Logic)等の各種の高速転送方式の差動信号であってもよい。
【0044】
また、制御回路121は、第1制御回路基板110から入力される画像処理信号IPに基づいて、ヘッド39からのインクの吐出タイミングを制御する制御信号として、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを生成し、ケーブル154を介して駆動回路基板130に出力する。
【0045】
また、制御回路121は、第1制御回路基板110から入力される画像処理信号IPに基づいて、ヘッド39を駆動させる駆動信号COMA,COMBの基となる基駆動信号DA1~DAn,DB1~DBnを生成しシリアル信号変換回路123に出力する。
【0046】
シリアル信号変換回路123は、パラレル形式の信号で入力される基駆動信号DA1~DAn,DB1~DBnを、シリアル形式の信号に変換し、さらに、変換されたシリアル形式の信号を、一対の差動信号sDAB+,sDAB-に変換して、ケーブル154を介して駆動回路基板130に出力する。また、シリアル信号変換回路123は、基駆動信号DA1~DAn,DB1~DBnをシリアルに含む一対の差動信号sDAB+,sDAB-を、パラレル形式の信号に復元する場合の復元タイミングを規定するクロックを含む一対の差動信号sDCK+,sDCK-を生成し、ケーブル154を介して駆動回路基板130に出力する。
【0047】
さらに、制御回路121は、キャリッジ38の移動を制御するキャリッジモーター40の駆動を制御するためのキャリッジ制御信号CMCを生成し、ケーブル155を介してキャリッジモーター40に出力する。これにより、キャリッジモーター40に含まれる不図示の駆動モーターが駆動する。また、制御回路121は、媒体22の搬送を制御する駆動部33に含まれる駆動モーターを制御するための駆動制御信号DC1を生成し、ケーブル156を介して駆動部33に出力するとともに、媒体22の搬送を制御する搬送部45に含まれる駆動モーターを制御するための駆動制御信号DC2を生成し、ケーブル157を介して搬送部45に出力する。すなわち、制御回路121は、キャリッジ38の移動、及び媒体22の搬送を制御するための制御信号を生成し、対応する構成に出力する。
【0048】
駆動回路基板130には、パラレル信号復元回路131と、n個の駆動回路132-1~132-nとが実装されている。パラレル信号復元回路131には、第2制御回路基板120のシリアル信号変換回路123から出力された一対の差動信号sDAB+,sDAB-、及び一対の差動信号sDAB+,sDAB-が入力される。パラレル信号復元回路131は、入力される一対の差動信号sDCK+,sDCK-により規定されたタイミングで、一対の差動信号sDAB+,sDAB-を復元することで、パラレル形式の基駆動信号DA1~DAn,DB1~DBnを生成する。そして、パラレル信号復元回路131は、生成した基駆動信号DA1~DAn,DB1~DBnを駆動回路132-1~132-nのそれぞれに出力する。
【0049】
駆動回路132-1には、基駆動信号DA1,DB1が入力される。駆動回路132-1は、入力される基駆動信号DA1をアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号をD級増幅することで、駆動信号COMA1を生成し、ケーブル158を介して吐出制
御回路基板140に出力する。また、駆動回路132-1は、入力される基駆動信号DB1をアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号をD級増幅することで、駆動信号COMB1を生成し、ケーブル158を介して吐出制御回路基板140に出力する。また、駆動回路132-1は、後述するヘッド39がインクを吐出する場合における基準となる基準電圧信号VBS1を生成し、ケーブル158を介して吐出制御回路基板140に出力する。
【0050】
同様に、駆動回路132-nには、基駆動信号DAn,DBnが入力される。駆動回路132-nは、入力される基駆動信号DAnをアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号をD級増幅することで、駆動信号COMAnを生成し、吐出制御回路基板140に出力する。また、駆動回路132-nは、入力される基駆動信号DBnをアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号をD級増幅することで、駆動信号COMBnを生成し、吐出制御回路基板140に出力する。また、駆動回路132-nは、後述するヘッド39がインクを吐出する場合における基準となる基準電圧信号VBSnを生成し、吐出制御回路基板140に出力する。
【0051】
また、駆動回路基板130は、第2制御回路基板120から入力される差動信号dSCK+,dSCK-、差動信号dSI1+~dSIn+,dSI1-~dSIn、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び電圧VHV,VDDが伝搬する。そして、駆動回路基板130で伝搬した差動信号dSCK+,dSCK-、差動信号dSI1+~dSIn+,dSI1-~dSIn、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び電圧VHV,VDDは、吐出制御回路基板140に出力される。すなわち、駆動回路基板130は、第2制御回路基板120から出力された信号を中継する中継基板としても機能する。
【0052】
ここで、駆動回路基板130に入力される差動信号dSCK+,dSCK-、差動信号dSI1+~dSIn+,dSI1-~dSIn、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び電圧VHV,VDDの内、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び電圧VHV,VDDは、上述する駆動回路132-1~132-nのそれぞれに入力されてもよい。そして、駆動回路132-1~132-nのそれぞれは、電圧VDDを電源電圧として駆動し、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定されるタイミングで、基駆動信号DA1~DAn,DB1~DBnを電圧VHVに基づく電圧に増幅することで、駆動信号COMA1~COMAn,COMB1~COMBnを生成してもよい。この場合において、駆動回路132-1~132-nのそれぞれは、電圧VDDを昇圧することで、基準電圧信号VBSnを生成してもよい。
【0053】
吐出制御回路基板140には、差動信号復元回路141、駆動信号選択回路200-1~200-n、及び温度異常検出回路142が実装されている。
【0054】
差動信号復元回路141には、一対の差動信号dSI1+~dSIn+,dSI1-~dSIn、及び一対の差動信号dSCK+,dSCK-が入力される。差動信号復元回路141は、差動信号dSI1+~dSIn+,dSI1-~dSInをシングルエンドの信号に復元することで、印刷データ信号SI1~SInを生成し、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれに出力する。また、差動信号復元回路141は、差動信号dSCK+,dSCK-をシングルエンドの信号に復元することで、クロック信号SCKを生成し、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれに出力する。
【0055】
駆動信号選択回路200-1には、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動信号COMA1,COMB1が入力される。そして、駆動信号選択回路200-1は、印刷データ信号SI1に基づいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHで規定されるタイミングで、駆動信号COMA1,COMB1
を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUT1を生成し、ヘッド39-1に出力する。同様に、駆動信号選択回路200-nには、印刷データ信号SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動信号COMAn,COMBnが入力される。そして、駆動信号選択回路200-nは、印刷データ信号SInに基づいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHで規定されるタイミングで、駆動信号COMAn,COMBnを選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTnを生成し、ヘッド39-nに出力する。なお、駆動信号選択回路200-1~200-nの構成、及び動作の詳細については後述する。
【0056】
温度異常検出回路142は、吐出制御回路基板140、及び吐出制御回路基板140に実装される駆動信号選択回路200-1~200-nの温度を検出する。そして、吐出制御回路基板140、及び駆動信号選択回路200-1~200-nの温度異常の有無を示す温度異常検出信号XHOTを生成し、駆動回路基板130を介して第2制御回路基板120に実装された制御回路121に出力する。また、温度異常検出回路142は、検出した温度を示す温度情報信号THを生成し、制御回路121に出力する。
【0057】
ヘッド39-1は、駆動信号選択回路200-1から出力される駆動信号VOUT1と、基準電圧信号VBS1とが入力される。そして、ヘッド39-1は、駆動信号VOUT1と、基準電圧信号VBS1との電位差に応じて駆動し、当該駆動に応じた量のインクをノズルから吐出する。同様に、ヘッド39-nは、駆動信号選択回路200-nから出力される駆動信号VOUTnと、基準電圧信号VBSnとが入力される。そして、ヘッド39-nは、駆動信号VOUTnと、基準電圧信号VBSnとの電位差に応じて駆動し、当該駆動に応じた量のインクをノズルから吐出する。なお、ヘッド39の構成、及び動作の詳細については後述する。
【0058】
ここで、駆動信号COMに基づいて駆動することで液体との一例としてのインクを吐出するヘッド39が吐出ヘッドの一例である。そして、液体吐出装置1は、ヘッド39の駆動を制御する制御回路111,121を備える。この制御回路111が第1制御回路の一例であり、制御回路121が第2制御回路の一例である。また、制御回路111が設けられた第1制御回路基板110が第1制御回路基板の一例であり、制御回路121が設けられた第2制御回路基板120が第2制御回路基板の一例である。また、駆動信号COMA,COMBが駆動信号の一例であり、駆動信号COMA,COMBを出力する駆動回路132-1~132-nの少なくともいずれかが駆動信号出力回路の一例である。そして、駆動回路132-1~132-nが設けられた駆動回路基板130が駆動回路基板の一例である。
【0059】
また、電源回路基板100、第1制御回路基板110、第2制御回路基板120、駆動回路基板130、吐出制御回路基板140、複数のヘッド39、キャリッジモーター40、駆動部33、搬送部45、及び操作部59のそれぞれを電気的に接続するケーブル151~158のそれぞれは、複数のケーブルを含んでもよい。また、接続するケーブル151~158のそれぞれは、伝搬する信号の形態に応じて、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)、同軸ケーブル、光通信ケーブル等が用いられてもよい。
【0060】
3.駆動信号選択回路の構成、及び動作
次に駆動信号選択回路200-1~200-nの構成、及び動作について説明する。ここで、駆動信号選択回路200-1~200-nはいずれも同様の構成である。そのため、駆動信号選択回路200-1~200-nを区別することなく単に駆動信号選択回路200と称して説明する。また、駆動信号選択回路200には、印刷データ信号SI1~Sinとしての印刷データ信号SI、駆動信号COMA1~COMAnとしての駆動信号C
OMA、及び駆動信号COMB1~COMBnとしての駆動信号COMBが入力されるとして説明を行う。さらに、駆動信号選択回路200は、駆動信号COMA,COMBを選択、又は非選択とすることで、ヘッド39に対して駆動信号VOUTを出力し、駆動信号VOUTが供給されるヘッド39には、基準電圧信号VBS1~VBSnとしての基準電圧信号VBSが入力されているとして説明を行う。
【0061】
駆動信号選択回路200の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COMA,COMBの波形の一例、及び駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTの波形の一例について説明する。
【0062】
図5は、駆動信号COMA,COMBの波形の一例を示す図である。図5に示すように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHが立ち上がってからラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形である。そして、台形波形Adp1が、ヘッド39に供給された場合、対応するノズルから小程度の量のインクが吐出され、台形波形Adp2が、ヘッド39に供給された場合、対応するノズルから小程度の量よりも多い中程度の量のインクが吐出される。
【0063】
また、図5に示すように、駆動信号COMBは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形である。そして、台形波形Bdp1が、ヘッド39に供給された場合、対応するノズルからインクは吐出されない。この台形波形Bdp1は、ノズルの開孔部付近のインクを微振動させて、インク粘度の増大を防止するための波形である。また、台形波形Bdp2が、ヘッド39に供給された場合、台形波形Adp1が供給された場合と同様に、対応するノズルから小程度の量のインクが吐出される。
【0064】
ここで、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれの開始タイミング、及び終了タイミングでの電圧は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形である。また、期間T1と期間T2とからなる周期Taが、媒体22にドットを形成する印刷周期に相当する。
【0065】
なお、図5では、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが同じ波形であるとして図示しているが、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが異なる波形であってもよい。また、台形波形Adp1がヘッド39に供給された場合と、台形波形Bdp1がヘッド39に供給された場合とで、共に対応するノズルから小程度の量のインクが吐出されるとして説明を行うが、これに限るものではない。すなわち、駆動信号COMA,COMBの波形は、図3に示す波形に限られるものではなく、ヘッド39が取り付けられるキャリッジ38の移動速度、吐出されるインクの性質、及び媒体22の材質等に応じて、様々な波形の組み合わせの信号が用いられてもよい。さらに、ヘッド39-1~39-nのそれぞれに対応する駆動信号COMA1~COMAn,COMB1~COMBnの波形は、互いに異なる波形であってもよい。
【0066】
図6は、媒体22に形成されるドットの大きさが「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のそれぞれの場合における駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
【0067】
図6に示すように、媒体22に「大ドット」が形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台
形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッド39に供給された場合、周期Taにおいて、対応するノズルから、小程度の量のインクと中程度の量のインクとが吐出される。したがって、媒体22には、それぞれのインクが着弾し合体することで大ドットが形成される。
【0068】
媒体22に「中ドット」が形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッド39に供給された場合、周期Taにおいて、対応するノズルから、小程度の量のインクが2回吐出される。したがって、媒体22には、それぞれのインクが着弾し合体することで中ドットが形成される。
【0069】
媒体22に「小ドット」が形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッド39に供給された場合、周期Taにおいて、対応するノズルから、小程度の量のインクが吐出される。したがって、媒体22には、このインクが着弾して小ドットが形成される。
【0070】
媒体22にドットを形成しない「非記録」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッド39に供給された場合、周期Taにおいて、対応するノズルの開孔部付近のインクが微振動するのみで、インクは吐出されない。したがって、媒体22には、インクが着弾せずドットが形成されない。
【0071】
ここで、電圧Vcで一定の波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合において、直前の電圧Vcが保持された電圧からなる波形である。したがって、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合、電圧Vcが駆動信号VOUTとしてヘッド39に供給されるといえる。
【0072】
駆動信号選択回路200は、駆動信号COMA,COMBの波形を選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUTを生成し、ヘッド39に出力する。図7は、駆動信号選択回路200の構成を示す図である。図7に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路220と、複数の選択回路230とを含む。また、駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTが供給されるヘッド39は、m個の吐出部600を含む。
【0073】
選択制御回路220には、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH及びクロック信号SCKが入力される。選択制御回路220には、シフトレジスター(S/R)222とラッチ回路224とデコーダー226との組が、ヘッド39が有するm個の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、ヘッド39が有するm個の吐出部600と同数のシフトレジスター222とラッチ回路224とデコーダー226との組を含む。
【0074】
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であって、m個の吐出部600の各々に対して、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を含む、合計2mビットの信号である。入力される印刷データ信号SIは、m個の吐出部600に対応して、印刷データ信号SIに含まれる2ビット分の印刷データ[SIH,SIL]毎に、シフトレジスター432に保持される。具体的には、選択制御回路220は、m個の吐出部600に対応したm段のシフトレジスター222が互いに縦続接続されると共に、シリアルで入力
された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される。なお、図5では、シフトレジスター222を区別するために、印刷データ信号SIが入力される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
【0075】
m個のラッチ回路224の各々は、m個のシフトレジスター222の各々で保持された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。
【0076】
図8は、デコーダー226におけるデコード内容を示す図である。デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]に従い選択信号S1,S2を出力する。例えば、デコーダー226は、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1の論理レベルを、期間T1,T2においてH,Lレベルとして出力し、選択信号S2の論理レベルを、期間T1,T2においてL,Hレベルとして選択回路230に出力する。
【0077】
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200が有する選択回路230の数は、対応する吐出部600の総数mと同じである。図9は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。図9に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232a,232bとトランスファーゲート234a,234bとを有する。
【0078】
選択信号S1は、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COMAが供給される。選択信号S2は、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COMBが供給される。そして、トランスファーゲート234a,234bの出力端が共通に接続され、駆動信号VOUTとして出力される。
【0079】
具体的には、トランスファーゲート234aは、選択信号S1がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S1がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。また、トランスファーゲート234bは、選択信号S2がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S2がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。以上のように選択回路230は、選択信号S1,S2に基づいて駆動信号COMA,COMBの波形を選択し、駆動信号VOUTを出力する。
【0080】
ここで、図10を用いて、駆動信号選択回路200の動作について説明する。図10は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期してシリアルで入力されて、吐出部600に対応するシフトレジスター222において順次転送される。そして、クロック信号SCKの入力が停止すると、各シフトレジスター222には、吐出部600の各々に対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、シフトレジスター222のm段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
【0081】
そして、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路224のそれぞれは、シフトレジスター222に保持されている2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、図10において、LT1、LT2、…、LTmは、1段、2段、…、m段
のシフトレジスター222に対応するラッチ回路224によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を示している。
【0082】
デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2のそれぞれにおいて、選択信号S1,S2の論理レベルを図8に示す内容で出力する。
【0083】
具体的には、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Hレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択する。その結果、図6に示した「大ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0084】
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Bdp2を選択する。その結果、図6に示した「中ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0085】
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、図6に示した「小ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0086】
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてL,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてH,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Bdp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、図6に示した「非記録」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0087】
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKに基づいて、駆動信号COMA,COMBの波形を選択し、駆動信号VOUTとして出力する。すなわち、駆動信号COMA,COMBの波形を選択することで生成される駆動信号VOUTも広義の上では、駆動回路132-1~132-nから出力される。すなわち、本実施形態において駆動信号VOUTもまたヘッド39を駆動する駆動信号の一例である。
【0088】
4.吐出ヘッドの構成
次に、ヘッド39に含まれるm個の吐出部600の内の1つの構成を説明する。図11は、吐出部600の構成を示す図である。図11に示すように、吐出部600は、圧電素子60、振動板621、キャビティー631及びノズル651を含む。振動板621は、図9において上面に設けられた圧電素子60の駆動に伴い変位する。振動板621は、キャビティー631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。キャビティー631の内部には、インクが充填されている。そして、キャビティー631は、圧電素子60の駆動による振動板621の変位により、内部容積が変化する圧力室として機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に形成されると共に、キャビティー631に連通する開孔部である。キャビティー631の内部容積が変化することで、キャビティー631の内部に貯留されたインクが、ノズル651から吐出される。また、キャビティー631には、インク供給口661から供給されるインクがリザーバー641を介して供
給される。
【0089】
圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,612で挟んだ構造である。この構造の圧電体601は、電極611と電極612との電位差に応じて、電極611,612及び振動板621の中央部分が、両端部分に対して図11における上下方向に撓む。具体的には、圧電素子60の一端である電極611には、駆動信号VOUTが供給され、他端である電極612には、基準電圧信号VBSが供給される。そして、駆動信号VOUTの電圧が低くなると、圧電素子60は、中央部分が上方向に撓むように駆動し、駆動信号VOUTの電圧が高くなると、圧電素子60は、中央部分が下方向に撓むように駆動する。圧電素子60が上方向に撓むことで振動板621が上方向に変位し、キャビティー631の内部容積が拡大する。したがって、インクがリザーバー641から引き込まれる。また、圧電素子60が下方向に撓むことで振動板621が下方向に変位し、キャビティー631の内部容積が縮小する。したがって、キャビティー631の内部容積の縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。
【0090】
以上のように、吐出部600は、圧電素子60を含み、圧電素子60の駆動により媒体22に対してインクを吐出する。なお、圧電素子60は、図示した構造に限られず、圧電素子60の変位に伴いインクを吐出させることができる型であればよい。また、圧電素子60は、屈曲振動に限られず、縦振動を用いる構成でもよい。
【0091】
5.液体吐出装置が有する各回路基板の配置
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1は、電源回路基板100と、第1制御回路基板110と、第2制御回路基板120と、駆動回路基板130と、吐出制御回路基板140と、複数のヘッド39とを備える。電源回路基板100と第1制御回路基板110とはケーブル151で電気的に接続され、第1制御回路基板110と第2制御回路基板120とはケーブル152で電気的に接続され、第2制御回路基板120と、駆動回路基板130とはケーブル154で電気的に接続され、駆動回路基板130と吐出制御回路基板140とはケーブル158で電気的に接続されている。そして、吐出制御回路基板140から出力される駆動信号VOUTが対応するヘッド39に出力されることで、ヘッド39からインクが吐出され、当該インクが媒体22に着弾することで、媒体22に所望の画像が形成される。
【0092】
次に液体吐出装置1が有する筐体10の内部における電源回路基板100、第1制御回路基板110、第2制御回路基板120、駆動回路基板130、及び吐出制御回路基板140の配置の具体例について、図12図13を用いて説明する。図12は、液体吐出装置1を+Z側から見た場合の各回路基板の配置を説明するための図である。図13は、液体吐出装置1を+Y側から見た場合の各回路基板の配置を説明するための図である。
【0093】
ここで、媒体22は、図12において、第1サイドフレーム61と第2サイドフレーム62とに囲まれた領域であって、図13において、第1サイドフレーム61と、第2サイドフレーム62と、第1サイドフレーム61及び第2サイドフレーム62の双方と接続され、第1サイドフレーム61及び第2サイドフレーム62の+Z側に位置するトップフレーム63とで囲まれた領域で搬送される。すなわち、媒体22を搬送する搬送部45が有する、搬送経路形成部46、中間ローラー47、及び搬送ローラー48は、第1サイドフレーム61、第2サイドフレーム62、及びトップフレーム63で囲まれた領域に設けられる。この第1サイドフレーム61、第2サイドフレーム62、及びトップフレーム63で囲まれた領域を媒体搬送領域41と称する場合がある。
【0094】
図12及び図13に示すように、電源回路基板100は、媒体搬送領域41の-X側に位置し、後壁12に取り付けられている。電源回路基板100は、ケーブル150を介し
て端子161と電気的に接続され、ケーブル151を介して第1制御回路基板110と電気的に接続されている。
【0095】
端子161は、電源回路基板100の-X側に位置し、第2側壁14に取り付けられている。端子161は、ケーブル150を介して電源回路基板100と電気的に接続されている。また、端子161には、液体吐出装置1の外部の商用交流電源から電圧VACが入力される。このような端子161としては、例えば、電圧VACを伝搬するケーブルと接続可能なインレット等が用いられる。なお、液体吐出装置1では、電圧VACを伝搬するケーブルと端子161とが一体に構成されたコンセントプラグであってもよい。
【0096】
第1制御回路基板110は、媒体搬送領域41の-X側であって、電源回路基板100の+Z側に位置し、後壁12に取り付けられている。第1制御回路基板110は、ケーブル151を介して電源回路基板100と電気的に接続され、ケーブル152を介して第2制御回路基板120と電気的に接続され、ケーブル153を介して操作部59と電気的に接続され、ケーブル159を介して端子162と電気的に接続されている。
【0097】
操作部59は、媒体搬送領域41の-X側であって、第1制御回路基板110+Z側に位置し、上壁15に取り付けられている。そして、操作部59は、ケーブル153を介して第1制御回路基板110と電気的に接続されている。
【0098】
端子162は、第1制御回路基板110の-X側であって、端子161の+Z側に位置し、第2側壁14に取り付けられている。そして、端子162は、ケーブル159を介して第1制御回路基板110と電気的に接続されている。また、端子162には、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューターから画像信号IMGが入力される。このような端子161としては、例えば、ホストコンピューターとUSBケーブルにより通信可能に接続されるUSB端子などが用いられる。なお、端子161は、ホストコンピューターと通信可能なケーブルを通信可能に接続できればよく、例えば、プリンターポートなどであってもよい。さらに、液体吐出装置1とホストコンピューターとが無線通信により通信可能に接続されていてもよく、この場合、当該無線通信に基づく信号を受信する受信アンテナが端子162に相当する。
【0099】
第2制御回路基板120は、媒体搬送領域41の+X側に位置し、後壁12に取り付けられている。第2制御回路基板120は、ケーブル152を介して第1制御回路基板110と電気的に接続され、ケーブル154を介して駆動回路基板130と電気的に接続され、ケーブル155を介してキャリッジモーター40と電気的に接続され、ケーブル157を介して駆動部33と電気的に接続されている。
【0100】
駆動部33は、媒体搬送領域41の+X側であって、第2制御回路基板120の-Z側に位置し、第1サイドフレーム61に取り付けられている。駆動部33は、ケーブル157を介して第2制御回路基板120と電気的に接続されている。
【0101】
キャリッジモーター40は、媒体搬送領域41の+X側であって、第2制御回路基板120の+Z側に位置し、ガイド軸37に取り付けられている。キャリッジモーター40は、ケーブル155を介して第2制御回路基板120と電気的に接続されている。
【0102】
駆動回路基板130は、媒体搬送領域41の+Z側に位置し、後壁12に取り付けられている。換言すれば、駆動回路基板130と媒体搬送領域41とは、方向Zに沿ってみた場合に、一部が重なって設けられている。駆動回路基板130は、ケーブル154を介して第2制御回路基板120と電気的に接続され、ケーブル158を介してキャリッジ38に搭載された吐出制御回路基板140と電気的に接続されている。
【0103】
以上のように本実施形態に第1制御回路基板110と第2制御回路基板120とは、ケーブル152で電気的に接続されている。そして、第1制御回路基板110は、媒体搬送領域41の-X側であって、筐体10の第2側壁14側に位置している。また、媒体搬送領域41の-X側には、液体吐出装置1において、媒体22にインクを吐出させるためにユーザーが情報を入力するための操作部59と、液体吐出装置1において、媒体22に形成される画像データである画像信号IMGが入力される端子162と、が位置している。
【0104】
操作部59は、ケーブル153を介して操作情報信号CSを第1制御回路基板110に実装された制御回路111に入力し、端子162は、ケーブル159を介して画像信号IMGを第1制御回路基板110に実装された制御回路111に入力する。すなわち、液体吐出装置1において、媒体22にインクを吐出させるに駆動する操作部59は、第1制御回路基板110に実装された制御回路111と電気的に接続され、媒体22にインクを吐出させるに駆動する端子162は、第1制御回路基板110に実装された制御回路111と電気的に接続されている。この操作部59、端子162、及び第1制御回路基板110は、媒体搬送領域41の-X側に位置している。
【0105】
第2制御回路基板120は、媒体搬送領域41の+X側であって、筐体10の第1側壁13側に位置している。また、媒体搬送領域41の+X側には、液体吐出装置1において、複数のヘッド39が搭載されたキャリッジ38の移動を制御するためのキャリッジモーター40と、媒体22の搬送を制御する第1保持部31及び第2保持部32を回転させための駆動部33と、が位置している。そして、キャリッジモーター40には、ケーブル155を介してキャリッジ制御信号CMCが入力され、駆動部33には、ケーブル156を介して駆動制御信号DC1が入力される。すなわち、媒体22にインクを吐出させるに駆動するキャリッジモーター40は、第2制御回路基板120に実装された制御回路121と電気的に接続され、媒体22にインクを吐出させるに駆動する駆動部33は、第2制御回路基板120に実装された制御回路121と電気的に接続されている。このキャリッジモーター40、駆動部33、及び第2制御回路基板120は、媒体搬送領域41の+X側に位置している。
【0106】
以上のように、液体吐出装置1は、第1制御回路基板110、及び第2制御回路基板120と、操作部59、端子162、キャリッジモーター40、及び駆動部33とを収容する筐体10を備える。そして、筐体10の内部において、第1制御回路基板110、及び第2制御回路基板120は、第1制御回路基板110と第2側壁14との最短距離が、第1制御回路基板110と第1側壁13との最短距離よりも短く、第2制御回路基板120と第1側壁13との最短距離が、第2制御回路基板120と第2側壁14との最短距離よりも短くなるように位置している。
【0107】
さらに、液体吐出装置1において、第1制御回路基板110と電気的に接続される操作部59、及び端子162は、第2制御回路基板120よりも第1制御回路基板110の近傍に設けられ、第2制御回路基板120と電気的に接続されるキャリッジモーター40、及び駆動部33は、第1制御回路基板110よりも第2制御回路基板120の近傍に設けられている。換言すれば、操作部59、端子162、キャリッジモーター40、及び駆動部33は、第1制御回路基板110と操作部59、及び端子162との最短距離が、第1制御回路基板110とキャリッジモーター40、及び駆動部33との最短距離よりも短く、第2制御回路基板120とキャリッジモーター40、及び駆動部33との最短距離が、第2制御回路基板120と操作部59、及び端子162との最短距離よりも短くなるように位置している。
【0108】
これにより、第1制御回路基板110と、媒体22にインクを吐出させるに駆動する操
作部59、及び端子162とを電気的に接続するケーブル153,159の配線長を短くすることが可能となり、さらに、第2制御回路基板120と、媒体22にインクを吐出させるに駆動するキャリッジモーター40、及び駆動部33とを電気的に接続するケーブル155,156の配線長を短くすることが可能となる。したがって、ケーブル153,159,155,156のそれぞれで伝搬する信号にノイズが重畳するおそれが低減される。
【0109】
また、本実施形態における液体吐出装置1において、複数のヘッド39を駆動する駆動信号COMA1~COMAn,COMB1~COMBnと基準電圧信号VBS1~VBSnとを出力する駆動回路132-1~132-nが設けられた駆動回路基板130は、媒体搬送領域41の+Z側であって、第1制御回路基板110よりも第2制御回路基板120の近傍に設けられている。そして、駆動回路基板130は、ケーブル154を介して第2制御回路基板120と電気的に接続されている。この場合において、駆動回路基板130は、第1制御回路基板110と操作部59、及び端子162との最短距離が、第1制御回路基板110と駆動回路基板130との最短距離よりも短く、第2制御回路基板120と駆動回路基板130との最短距離が、第2制御回路基板120と操作部59、及び端子162との最短距離よりも短くなるように位置している。
【0110】
これにより、第2制御回路基板120と、媒体22にインクを吐出させるに駆動する駆動回路基板130に実装された駆動回路132-1~132-nのそれぞれとを電気的に接続するケーブル154の配線長を短くすることが可能となる。したがって、ケーブル154で伝搬する信号にノイズが重畳するおそれが低減される。
【0111】
ここで、媒体22にインクを吐出させるために駆動する操作部59、端子162、キャリッジモーター40、駆動部33、及び駆動回路基板130の内、操作部59、及び端子162の少なくともいずれかが第1部品の一例であり、キャリッジモーター40、駆動部33、及び駆動回路基板130の少なくともいずれかが第2部品の一例である。すなわち、第1部品は、ヘッド39を駆動させる画像信号IMGが入力される入力端子である端子162を含み、第2部品は、ヘッド39を駆動する駆動信号COMA,COMBを出力する駆動回路132-1~132-nの少なくともいずれかが設けられた駆動回路基板130、及び電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する電動機である駆動モーターを備えたキャリッジモーター40の少なくとも一方を含む。
【0112】
ここで、媒体22にインクを吐出させるために駆動するとは、ヘッド39から媒体22に対してインクを吐出させるために直接的に駆動する動作に限られるものではなく、ヘッド39から媒体22に対してインクを吐出させるための信号が入力される入力駆動、ヘッド39からインクが吐出される媒体22を搬送する搬送駆動、インクが吐出されるヘッド39を移動させるヘッド移動駆動等、液体吐出装置1における付随的な動作が含まれる。換言すれば、媒体22にインクを吐出させるために駆動とは、ヘッド39から媒体22に対してインクを吐出させるために間接的に駆動する動作が含まれる。
【0113】
また、本実施形態における液体吐出装置1では、第1制御回路基板110は、液体吐出装置1が媒体22に対してインクを吐出するために入力される各種制御信号を処理することで、液体吐出装置1を駆動する。一方、第2制御回路基板120は、液体吐出装置1が媒体22に対してインクを吐出させるためにヘッド39が設けられたキャリッジ38を移動させるための信号や、媒体22を搬送するための信号、さらに、ヘッド39からインクを吐出させるための駆動信号COMA,COMBを生成するための信号を出力する。すなわち、第1制御回路基板110は、外部から入力される制御信号を媒体22にインクを吐出させるための信号に変換する信号変換処理を行い、第2制御回路基板120は、第1制御回路基板110から入力される信号に基づいて、媒体22にインクを吐出させるために
各種構成を動作させる処理を行う。
【0114】
このような異なる処理を実行する第1制御回路基板110と第2制御回路基板120とでは、処理する信号の電圧レベルや周波数が異なる。そのため、第1制御回路基板110で生成される信号と、第2制御回路基板120で生成される信号とが、互に干渉しないように、第1制御回路基板110と第2制御回路基板120とが離間して位置することが好ましい。
【0115】
そこで、本実施形態では、第1制御回路基板110と第2制御回路基板120とが離間するために、第1制御回路基板110と第2制御回路基板120との間に、媒体22が搬送される搬送部45を含む媒体搬送領域41を設ける。具体的には、第1制御回路基板110は、媒体22が搬送される媒体搬送領域41の-X側に位置し、第2制御回路基板120は、媒体22が搬送される媒体搬送領域41の+X側に位置する。換言すれば、第1制御回路基板110と第2制御回路基板120とは、第1制御回路基板110と第2側壁14との最短距離が、搬送部45を含む媒体搬送領域41と第2側壁14との最短距離よりも短く、第2制御回路基板120と第1側壁13との最短距離が、搬送部45を含む媒体搬送領域41と第1側壁13との最短距離よりも短くなるように設けられる。
【0116】
これにより、液体吐出装置1が有する筐体10の内部において、2つの異なる処理を行う第1制御回路基板110と第2制御回路基板120とを、離間して配置することが可能となり、その結果、第1制御回路基板110で生成される信号と、第2制御回路基板120で生成される信号とが、互に干渉するおそれが低減する。
【0117】
ここで、液体吐出装置1は、ヘッド39から媒体22に対してインクを吐出することで、媒体22に所望の画像を形成する印刷状態の他に、液体吐出装置1に画像信号IMGが入力されておらず、ヘッド39から媒体22に対してインクが吐出されていない印刷状態よりも消費電力の小さな待機状態、及び液体吐出装置1に画像信号IMGが入力されておらず、ヘッド39から媒体22に対してインクが吐出されていない待機状態よりも消費電力の小さなスリープ状態を有する。換言すれば、液体吐出装置1は、ヘッド39からのインクの吐出が可能な印刷状態と、印刷状態よりも消費電力が小さく、ヘッド39からインクが吐出されない待機状態、及びスリープ状態と、を有する。
【0118】
本実施形態における液体吐出装置1では、前述のとおり、第1制御回路基板110は、外部から入力される制御信号を媒体22にインクを吐出させるための信号に変換する処理を行い、第2制御回路基板120は、第1制御回路基板110から出力される信号に基づいて、媒体22にインクを吐出させるために液体吐出装置1が備える各種構成を動作する処理を実行させる。すなわち、第2制御回路基板120に設けられた制御回路121は、待機状態、及びスリープ状態において信号を生成しない。そのため、待機状態、及びスリープ状態の少なくとも一方において第2制御回路基板120は動作を停止することが可能となる。これにより、第1制御回路基板110と第2制御回路基板120とを有する本実施形態における液体吐出装置1では、第1制御回路基板110と第2制御回路基板120とが、液体吐出装置1において異なる処理を実行するが故に、ヘッド39からインクが吐出されない待機状態、及びスリープ状態における消費電力をさらに低減することが可能となる。
【0119】
ここで、印刷状態が第1モードの一例であり、待機状態、及びスリープ状態の少なくとも一方が第2モードの一例である。
【0120】
6.作用効果
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1は、制御回路111が設けられた第
1制御回路基板110と、制御回路121が設けられた第2制御回路基板120とを備える。そして、制御回路111と電気的に接続される操作部59、及び端子162は、第2制御回路基板120よりも第1制御回路基板110の近くに設けられ、制御回路121と電気的に接続されるキャリッジモーター40、及び駆動部33は、第1制御回路基板110よりも第2制御回路基板120の近くに設けられている。すなわち、第1制御回路基板110と操作部59、及び端子162との最短距離は、第1制御回路基板110とキャリッジモーター40、及び駆動部33との最短距離よりも短く、第2制御回路基板120とキャリッジモーター40、及び駆動部33との最短距離は、第2制御回路基板120と操作部59、及び端子162との最短距離よりも短い。
【0121】
これにより、液体吐出装置1の内部において分散されて配置されている操作部59、端子162、キャリッジモーター40、及び駆動部33のそれぞれに信号を伝搬するための配線の長さを短くすることが可能となる。したがって、操作部59、端子162、キャリッジモーター40、及び駆動部33のそれぞれと第1制御回路基板110及び第2制御回路基板120との間における配線インピーダンスの影響が低減し、信号の伝搬精度が向上する。よって、ヘッド39から吐出されるインクの吐出精度が向上し、その結果、媒体22に形成される画像の品質が低下するおそれが低減される。
【0122】
以上、実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0123】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0124】
1…液体吐出装置、2…本体、3…脚部、10…筐体、11…前壁、12…後壁、13…第1側壁、14…第2側壁、15…上壁、20…ベースフレーム、21…収容部、22…媒体、23…芯部材、24…ロール体、25…開口、31…第1保持部、32…第2保持部、33…駆動部、35…記録部、36…支持台、37…ガイド軸、38…キャリッジ、39…ヘッド、40…キャリッジモーター、41…媒体搬送領域、45…搬送部、46…搬送経路形成部、47…中間ローラー、48…搬送ローラー、49…搬送経路、50…排紙口部材、51…切断部、53…排紙口、57…装着部、58…メンテナンスユニット、59…操作部、60…圧電素子、61…第1サイドフレーム、62…第2サイドフレーム、63…トップフレーム、100…電源回路基板、101…電源電圧出力回路、110…第1制御回路基板、111…制御回路、120…第2制御回路基板、121…制御回路、122…差動信号変換回路、123…シリアル信号変換回路、130…駆動回路基板、131…パラレル信号復元回路、132-1~132-n…駆動回路、140…吐出制御回路基板、141…差動信号復元回路、142…温度異常検出回路、150~159…ケーブル、161,162…端子、200…駆動信号選択回路、220…選択制御回路、222…シフトレジスター、224…ラッチ回路、226…デコーダー、230…選択回路、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、432…シフトレジスター、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、661…インク供給口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13