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特許7447450売買システム、売買システムの売買管理方法及び売買プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】売買システム、売買システムの売買管理方法及び売買プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240305BHJP
【FI】
G06Q30/0601 308
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019221185
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021092827
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 卓行
【審査官】平井 嗣人
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2019/065831(JP,A1)
【文献】特開2018-156612(JP,A)
【文献】特開2014-059728(JP,A)
【文献】特開2003-303247(JP,A)
【文献】特開2003-006720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引対象物の特定に用いる取引対象商品情報と購入者の特定に用いられる購入者情報を受信する販売処理部と、
前記取引対象商品情報と取引対象商品の所有者とを紐付けた所有者情報を格納する所有権データベースと、
前記所有者情報を更新するデータベース更新処理部と、
取引対象商品の特定に用いられる取引対象商品情報と出品者の特定に用いられる出品者情報を受信する出品処理部と、
前記取引対象商品を最初に販売した出品者を前記取引対象商品の創作者として前記取引対象商品と紐付けた創作者情報を格納する創作者データベースと、を有し、
前記販売処理部は、
前記購入者情報を個人特定システムに問い合せ、
前記取引対象商品情報を取引対象物特定システムに送信し、
前記個人特定システムにおいて前記購入者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物があると判断された場合、前記購入者を前記取引対象商品に紐付けて記録される前記所有者として前記所有者情報に追記するように前記所有者情報を更新することを前記データベース更新処理部に指示し、
前記出品処理部は、
前記出品者情報を前記個人特定システムに問い合せ、
前記取引対象商品情報を前記取引対象物特定システムに送信し、
前記個人特定システムにおいて前記出品者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物がないものと判断された場合、前記出品者を所有者として前記取引対象商品に紐付けて前記所有者情報を更新することを前記データベース更新処理部に指示するとともに前記取引対象商品の出品を許可する売買システム。
【請求項2】
前記購入者情報は、公的機関が発行した公的証明書と前記購入者の生体情報と、を少なくとも含む請求項1に記載の売買システム。
【請求項3】
前記出品者情報は、公的機関が発行した公的証明書と前記出品者の生体情報と、を少なくとも含む請求項に記載の売買システム。
【請求項4】
前記出品処理部は、前記個人特定システムにおいて前記出品者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物があると判断された場合は、前記所有者情報に記録された最新の前記所有者と前記出品者が一致していることに基づき前記取引対象商品の出品を許可する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の売買システム。
【請求項5】
前記購入者が前記取引対象商品を購入する現購入額が、前所有者が前記取引対象商品を購入した際の前購入額よりも上昇していた場合、現購入額と前購入額との差額の少なくも一部を、前記創作者に支払うための決済処理を行う創作者決済部と、をさらに有する請求項乃至のいずれか1項に記載の売買システム。
【請求項6】
前記個人特定システム及び前記取引対象物特定システムの少なくとも一方は、自システムとは異なるシステムであって、自システムと連携可能に設けられる請求項1乃至のいずれか1項に記載の売買システム。
【請求項7】
他の端末から取引対象物の特定に用いる取引対象商品情報と購入者の特定に用いられる購入者情報及び取引対象商品の特定に用いられる取引対象商品情報と出品者の特定に用いられる出品者情報を受信し、前記取引対象商品情報と取引対象商品の所有者とを紐付けた所有者情報を格納する所有権データベースと、前記取引対象商品を最初に販売した出品者を前記取引対象商品の創作者として前記取引対象商品と紐付けた創作者情報を格納する創作者データベースと、を利用して前記取引対象商品の取引履歴を管理する売買システムの売買管理方法であって、
前記購入者情報を個人特定システムに問い合せ、
前記取引対象商品情報を取引対象物特定システムに送信し、
前記個人特定システムにおいて前記購入者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物があると判断された場合、前記購入者を前記取引対象商品に紐付けて記録される前記所有者として前記所有者情報に追記するように前記所有者情報を更新し、
前記出品者情報を前記個人特定システムに問い合せ、
前記取引対象商品情報を前記取引対象物特定システムに送信し、
前記個人特定システムにおいて前記出品者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物がないものと判断された場合、前記出品者を所有者として前記取引対象商品に紐付けて前記所有者情報を更新するとともに前記取引対象商品の出品を許可する
各処理をコンピュータに実施させる売買システムの売買管理方法。
【請求項8】
コンピュータに、他の端末から取引対象物の特定に用いる取引対象商品情報と購入者の特定に用いられる購入者情報及び取引対象商品の特定に用いられる取引対象商品情報と出品者の特定に用いられる出品者情報を受信し、前記取引対象商品情報と取引対象商品の所有者とを紐付けた所有者情報を格納する所有権データベースと、前記取引対象商品を最初に販売した出品者を前記取引対象商品の創作者として前記取引対象商品と紐付けた創作者情報を格納する創作者データベースと、を利用して前記取引対象商品の取引履歴を管理させる売買プログラムであって、
前記購入者情報を個人特定システムに問い合せる個人認証処理と、
前記取引対象商品情報を取引対象物特定システムに送信する商品特定処理と、
前記個人特定システムにおいて前記購入者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物があると判断された場合、前記購入者を前記取引対象商品に紐付けて記録される前記所有者として前記所有者情報に追記するように前記所有者情報を更新するデータベース更新処理と、
前記出品者情報を前記個人特定システムに問い合せる個人特定依頼処理と、
前記取引対象商品情報を前記取引対象物特定システムに送信する商品照合処理と、
前記個人特定システムにおいて前記出品者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物がないものと判断された場合、前記出品者を所有者として前記取引対象商品に紐付けて前記所有者情報を更新することを前記データベース更新処理に対して指示するとともに前記取引対象商品の出品を許可する出品許可処理と、
を前記コンピュータに行わせる売買プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は売買システム、売買システムの売買管理方法及び売買プログラムに関し、特に、物品の売買及び転売を仲介する売買システム、売買システムの売買管理方法及び売買プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品オークションサイトやチケット売買サイトに代表されるように、オンライン上で、取引対象商品の価格を個人間で定めて個人間で物品の売買を行う取引形態が盛んになってきている。このような取引形態では、一部の者が大量に買い占めた物品を、購入額よりも高額な価格で転売して利益を得るという実態が存在する。また、チケットのような物品では、一個人による買い占めを防止と、転売防止を目的とした本人認証が行われることがある。そこで、オンラインチケット販売における本人認証に関する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている認証システムは、顧客端末と認証装置と情報処理装置とを含む認証システムであって、前記顧客端末は、顧客の個人情報の入力を受け付ける表示受付部と、顧客の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記個人情報および前記生体情報を記憶する記憶部と、前記個人情報および前記生体情報を前記情報処理装置に送信する制御部とを備え、前記情報処理装置は、前記顧客端末から受信した前記個人情報および前記生体情報を記憶する記憶部と、前記顧客端末からチケット購入要求とともに前記生体情報と興行情報とを受信し、前記記憶部に記憶した前記生体情報と前記チケット購入要求とともに受信した前記生体情報とを比較し生体認証を許可した場合、前記チケット購入要求に対応するチケット購入許可通知を前記顧客端末に送信し、前記認証装置から第1の認証要求または第2の認証要求を受信し、前記記憶部に記憶した前記生体情報と前記第1の認証要求または前記第2の認証要求に含まれる前記生体情報とを比較し生体認証を許可した場合、認証許可通知を前記認証装置に送信する制御部とを備え、前記認証装置は、前記情報処理装置に前記第1の認証要求または前記第2 の認証要求を送信し、前記認証許可通知を前記情報処理装置から受信した場合、入場許可の旨を表示部に表示する制御を行う制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-57004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、チケットに紐付けられる個人情報及び当該個人情報に対応する生体情報をチケットごとに入力しなければならならず、これらの情報が転売等により変化した場合に対応することができないため、転売を実質的に行うことができず、利用者の利便性が低下する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる売買システムの一態様は、取引対象物の特定に用いる取引対象商品情報と購入者の特定に用いられる購入者情報を受信する販売処理部と、前記取引対象商品情報と取引対象商品の所有者とを紐付けた所有者情報を格納する所有権データベースと、前記所有者情報を更新するデータベース更新処理部と、を有し、前記販売処理部は、前記購入者情報を個人特定システムに問い合せ、前記取引対象商品情報を取引対象物特定システムに送信し、前記個人特定システムにおいて前記購入者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物があると判断された場合、前記購入者を前記取引対象商品に紐付けて記録される前記所有者として前記所有者情報に追記するように前記所有者情報を更新することを前記データベース更新処理部に指示する。
【0007】
本発明にかかる売買システムの売買管理方法の一態様は、コンピュータを用いて、他の端末から取引対象物の特定に用いる取引対象商品情報と購入者の特定に用いられる購入者情報を受信し、前記取引対象商品情報と取引対象商品の所有者とを紐付けた所有者情報を格納する所有権データベースを利用して前記取引対象商品の取引履歴を管理する売買システムの売買管理方法であって、前記購入者情報を個人特定システムに問い合せ、前記取引対象商品情報を取引対象物特定システムに送信し、前記個人特定システムにおいて前記購入者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物があると判断された場合、前記購入者を前記取引対象商品に紐付けて記録される前記所有者として前記所有者情報に追記するように前記所有者情報を更新する。
【0008】
本発明にかかる売買プログラムの一態様は、コンピュータに、他の端末から取引対象物の特定に用いる取引対象商品情報と購入者の特定に用いられる購入者情報を受信し、前記取引対象商品情報と取引対象商品の所有者とを紐付けた所有者情報を格納する所有権データベースを利用して前記取引対象商品の取引履歴を管理させる売買プログラムであって、前記購入者情報を個人特定システムに問い合せる個人認証処理と、前記取引対象商品情報を取引対象物特定システムに送信する商品特定処理と、前記個人特定システムにおいて前記購入者が正当なものであると確認され、かつ、前記取引対象商品が前記取引対象物特定システムにおいて同一物があると判断された場合、前記購入者を前記取引対象商品に紐付けて記録される前記所有者として前記所有者情報に追記するように前記所有者情報を更新するデータベース更新処理と、を前記コンピュータに行わせる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる売買システム、売買システムの売買管理方法及び売買プログラムによれば、物品の乱売を防止しながら、物品の転売の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる売買システムのブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる売買システムで用いられる所有権データベースの一例を説明する図である。
図3】実施の形態1にかかる売買システムの出品処理の流れを説明するフローチャートである。
図4】実施の形態1にかかる売買システムの販売処理の流れを説明するフローチャートである。
図5】実施の形態2にかかる売買システムのブロック図である。
図6】実施の形態2にかかる売買システムの出品処理の流れを説明するフローチャートである。
図7】実施の形態2にかかる売買システムの販売処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に実施の形態1にかかる売買システム10のブロック図を示す。なお、図1では、売買システム10が利用する個人特定システム20及び取引対象物特定システム30を含む売買認証システム1を示した。売買システム10、個人特定システム20及び取引対象物特定システム30は、1つの装置として設けられていてもよく、別々の装置として異なる場所に設けられて互いにネットワークを介して通信可能なように設けられていても良い。また、実施の形態1にかかる売買システム10を利用する出品者、購入者は、それぞれ個別の端末を用いて売買システム10にアクセスを行う。この個別の端末は、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の個人が所有する端末である。
【0014】
図1に示すように、売買システム10は、出品処理部11、データベース更新処理部12、販売処理部13、所有権データベース14を有する。出品処理部11は、取引対象商品の特定に用いられる取引対象商品情報と出品者の特定に用いられる出品者情報を受信する。そして、出品処理部11は、出品者情報を個人特定システム20に問い合せて、出品者の正当性の確認結果を個人特定システム20から受信する個人認証処理を行う。ここで、出品者情報とは、出品者を識別する情報(例えば、個人情報)と、出品者の生体情報とを含む。出品者を識別する情報としては、公的な機関が発行する公的証明書が好ましい。公的証明書としては、運転免許証、マイナンバーカード等が考えられる。
【0015】
ここで、個人特定システム20を用いた本人認証において、公的証明書を用いることで、2つの効果が得られる。第1の効果は、元々の証明能力に疑義がある証明書による不正な利用を防止することができる。具体的には、非公的な第三者機関により発行される証明の場合、たとえそれが耐改竄性を考慮したICカードであっても元々の証明能力に疑義がありながら、正当なものであるとみなされ、発行時点から悪用される可能性ある。しかし、公的証明書であれば、このような危険性は少ない。第2の効果は、非公的な第三者機関は永続性に疑義があるところ、公的な機関であれば永続性が担保されやすいというものである。具体的には、非公的な第三者機関の場合は、常時運営されているという保証はないところ、公的機関は、ユーザの住所変更等の状況が常に反映されるものであるため、転売が繰り返されたとしても、長い期間にわたって、元の使用者まで適切に追跡可能となる。
【0016】
また、個人特定システム20を用いた個人認証処理では、出品者(或いは購入者)の生体情報を用いる。生体情報とは、例えば、出品者の顔情報、指紋情報、虹彩情報等が考えられる。また、この生体情報は、例えば、出品される取引対象商品と紐付けて登録することで、取引対象商品が使用される際に(例えば、物品がチケットであるときは、会場への入場時)使用者の生体情報と照合する情報として利用することができる。
【0017】
また、個人特定システム20としては、例えば、近年利用が拡大しているeKYC(electronic Know Your Customer)と呼ばれるシステムを利用することができる。
【0018】
また、出品処理部11は、取引対象商品情報を取引対象物特定システム30に送信して、出品される取引対象商品が売買システム10上で既に取引されている取引対象商品と同一であるか否かの確認を行う。ここで、取引対象物特定システム30は、売買システム10上で取引されている取引対象商品を特定するための識別子を含む取引対象商品情報を格納する取引対象物データベース31を有する。そして、取引対象物特定システム30は、出品処理部11から受信した取引対象商品情報と同一の識別子を有する商品が取引対象物データベース31上に登録されているかを判断する。そして取引対象物特定システム30は、当該判断結果に基づき出品処理部11から受信した取引対象商品情報と同一の物が売買システム10上で取引されているか否かの判定結果を出品処理部11に返信する。
【0019】
販売処理部13は、取引対象物の特定に用いる取引対象商品情報と購入者の特定に用いられる購入者情報を受信する。そして、販売処理部13は、受信した取引対象商品情報に対応する商品と同一の商品を取引対象物特定システム30に問い合せ、売買システム10上に受信した取引対象商品情報に対応する商品と同一の取引対象商品があるか否かの判断結果を取引対象物特定システム30から受信する。この取引対象物特定システム30における判断処理は、出品処理部11が取引対象物特定システム30に取引対象商品情報を用いた問い合せを行った際の処理と同じである。
【0020】
また、販売処理部13は、購入者情報を個人特定システム20に送信して、購入者の正当性の確認結果を個人特定システム20から受信する個人認証処理を行う。ここで、購入者情報とは、購入者を識別する情報(例えば、個人情報)と、購入者の生体情報とを含む。購入者を識別する情報としては、公的な機関が発行する公的証明書が好ましい。公的証明書としては、運転免許証、マイナンバーカード等が考えられる。
【0021】
なお、個人特定システム20における個人認証処理は、出品処理部11からの要求に基づき行われる個人認証処理と実質的に同じ処理である。また、個人特定システム20で認証された購入者情報のうち生体情報は、例えば、購入される取引対象商品と紐付けて登録することで、取引対象商品が使用される際に(例えば、物品がチケットであるときは、会場への入場時)使用者の生体情報と照合する情報として利用することができる。
【0022】
データベース更新処理部12は、出品処理部11及び販売処理部13からの指示に基づき所有権データベース14に格納される取引対象商品の所有者の情報を更新する。具体的には、データベース更新処理部12は、以下のような処理を行う。
【0023】
出品処理部11及び個人特定システム20により出品者が正当なものであると確認され、かつ、出品処理部11及び取引対象物特定システム30により売買システム10上で取引される商品内に同一物がないものと判断された場合、データベース更新処理部12は、所有権データベース14に出品者を最初の所有者として取引対象商品に紐付けた所有者情報を追加する更新を行う。
【0024】
また、出品処理部11及び個人特定システム20により出品者が正当なものであると確認され、かつ、出品処理部11及び取引対象物特定システム30により売買システム10上で取引される商品内に同一物があると判断された場合、データベース更新処理部12は、所有権データベース14の所有者情報を参照して、最新の所有者の情報を出品処理部11に返信する。そして、出品処理部11は、出品者が最新の所有者と出品者が一致している場合に取引対象商品の出品を許可する。
【0025】
また、販売処理部13及び個人特定システム20により購入者が正当なものであると確認され、かつ、販売処理部13及び取引対象物特定システム30により売買システム10上に購入者から受信した取引対象商品と同一物があると判断された場合、データベース更新処理部12は、購入者を取引対象商品に紐付けて記録される所有者として所有者情報に追記する。このように、売買システム10では、購入者による購入処理により所有者が移転するごとに、所有者情報に最新の所有者を追記していくことで所有者のトレーサビリティを確保する。
【0026】
ここで、図2に実施の形態1にかかる売買システム10で利用される所有権データベース14の一例を説明する図を示す。図2に示すように、所有権データベース14では、商品ごとに所有者の遷移が記録される。具体的には、商品ごとに最も後ろに記録される所有者が最新の所有者となる。また、第1所有者は、対応する商品の創作者、或いは、チケットにより入場可能な興行事業の主催者等であると理解することができる。
【0027】
続いて、実施の形態1にかかる売買システム10の動作について、フローチャートを用いて説明する。実施の形態1にかかる売買システム10では、出品処理と販売処理との2つの処理がある。そこで、以下の説明では、出品処理と販売処理とに分けて売買システム10の処理を説明する。
【0028】
図3に実施の形態1にかかる売買システム10の出品処理の流れを説明するフローチャートを示す。図3に示すように、実施の形態1にかかる売買システム10では、出品処理部11が出品者から取引対象商品情報及び出品者情報を受信する(ステップS1)。そして、出品処理部11は、個人特定システム20に出品者の個人特定依頼を行う(ステップS2)。このステップS2の個人特定依頼に基づき個人特定システム20は、個人認証処理を行い、個人認証処理の結果を出品処理部11に返信する。そして、出品処理部11は、個人特定認証において、出品者の正当性が確認出来なかった場合(ステップS3のNOの枝)、出品者にエラーを通知して処理を終了させる。一方、出品処理部11は、個人特定認証において、出品者の正当性が確認出来た場合(ステップS3のYESの枝)、取引対象物特定システム30に取引対象商品が取引対象物データベース31上にあるか否かを問い合せる(ステップS4)。
【0029】
そして、出品処理部11は、取引対象物特定システム30において取引対象物データベース31に取引対象商品と同一物があると判断された場合(ステップS5のNOの枝)、所有権データベース14上の取引対象商品の現所有者と出品者とが一致するか否かを判断する(ステップS7)。そして、出品処理部11は、ステップS7において現所有者と出品者とが不一致であった場合、出品者にエラーを通知して処理を終了する(ステップS7のNOの枝)。また、出品処理部11は、ステップS7において現所有者と出品者とが一致していた場合、出品者が出品した取引対象商品の出品を許可する(ステップS8)。
【0030】
一方、出品処理部11は、取引対象物特定システム30において取引対象物データベース31に取引対象商品と同一物がないと判断された場合(ステップS5のYESの枝)、データベース更新処理部12が所有権データベース14に出品者を第1出品者として取引対象商品と紐付けて登録する(ステップS6)。その後、出品処理部11は、出品者が出品した取引対象商品の出品を許可する(ステップS8)。
【0031】
続いて、図4に実施の形態1にかかる売買システム10の販売処理の流れを説明するフローチャートを示す。図4に示すように、実施の形態1にかかる売買システム10では、販売処理部13が購入者から取引対象商品情報及び購入者情報を受信する(ステップS11)。そして、販売処理部13は、個人特定システム20に出品者の個人特定依頼を行う(ステップS12)。このステップS12の個人特定依頼に基づき個人特定システム20は、個人認証処理を行い、個人認証処理の結果を販売処理部13に返信する。そして、販売処理部13、個人特定認証において、購入者の正当性が確認出来なかった場合(ステップS13のNOの枝)、購入者にエラーを通知して処理を終了させる。一方、販売処理部13は、個人特定認証において、購入者の正当性が確認出来た場合(ステップS13のYESの枝)、取引対象物特定システム30に取引対象商品が取引対象物データベース31上にあるか否かを問い合せる(ステップS14)。
【0032】
そして、販売処理部13は、取引対象物特定システム30において取引対象物データベース31に取引対象商品と同一物がないと判断された場合(ステップS15のNOの枝)、出品者にエラーを通知して処理を終了する。一方、取引対象物特定システム30において取引対象物データベース31に取引対象商品と同一物があると判断された場合(ステップS15のYESの枝)、データベース更新処理部12が所有権データベース14に購入者を最新の所有者として取引対象商品と紐付けて追記する(ステップS16)。
【0033】
上記説明より、実施の形態1にかかる売買システム10では、最初に取引対象商品が販売されてから、その後に転売された履歴が所有権データベース14に保持される。これにより、実施の形態1にかかる売買システム10では、不正な転売がどのタイミングで行われたのか、誰が不正な転売を行ったのかを特定できるため、不正転売を効果的に防止することができる。また、実施の形態1にかかる売買認証システム1では、転売による所有権の移転をスムーズに行うことが出来るため、利用者の転売行為に関する利便性を向上させることができる。
【0034】
また、実施の形態1にかかる売買システム10では、個人特定システム20を用いて個人認証を行うことで、不正な利用者を排除することができる。また、実施の形態1にかかる売買システム10では、個人特定システム20を用いることで、商品がチケット等であった場合の利用時の個人認証を容易に行うことができる。さらに、個人特定システム20を用いることで、転売が発生するたびに利用者が所有者の書き換えを別の処理として行う手間を削減することができる。
【0035】
また、実施の形態1にかかる売買システム10では、取引対象物特定システム30を用いて取引対象商品の認証を行うことで、不正な商品が出品されることを防止することができる。
【0036】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる売買システム10の別の変形例となる売買システム40について説明する。なお、実施の形態2の説明では、実施の形態1と同じ構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0037】
そこで、図5に実施の形態2にかかる売買システム40を含む売買認証システム2のブロック図を示す。なお、図5では、出品者のうち図2の第1出品者として登録されるべき出品者を創作者として示した。図5に示すように、売買システム40は、販売処理部13に代えて販売処理部41を有する。また、売買システム40は、売買システム10に対して創作者決済部42及び創作者データベース43が追加される。
【0038】
販売処理部41は、販売処理部13に購入者が取引対象商品を購入した際に前所有者(例えば、出品者)が取引対象商品を購入した際の購入額よりも販売価格に値上がりが生じていた場合に、創作者決済部42に当該値上がり額を通知する機能を追加したものである。
【0039】
創作者決済部42は、購入者が取引対象商品を購入する現購入額が、前所有者が取引対象商品を購入した際の前購入額よりも上昇していた場合、現購入額と前購入額との差額の少なくも一部を、創作者に支払うための決済処理を行う。創作者データベース43は、取引対象商品を最初に販売した出品者を取引対象商品の創作者として取引対象商品と紐付けた創作者情報を格納する。この創作者情報には、創作者に対する決済に関する情報(例えば、口座情報等)も含まれる。
【0040】
続いて、実施の形態2にかかる売買システム40の動作について説明する。そこで、図6に実施の形態2にかかる売買システム40の出品処理の流れを説明するフローチャートを示す。図6に示すように、実施の形態2にかかる売買システム40の出品処理では、図3のステップS6に代えてステップS21の処理を追加で行う。ステップS21は、出品処理部11がデータベース更新処理部12に創作者データベース43に出品者を創作者として取引対象商品と紐付けて登録する指示を行い、データベース更新処理部12が当該指示に基づいた登録処理を行うものである。これにより、売買システム40では、創作者データベース43が構築される。
【0041】
また、図7に実施の形態2にかかる売買システム40の販売処理の流れを説明するフローチャートを示す。図7に示すように、実施の形態2にかかる売買システム40では、図4に示した実施の形態1にかかる売買システム10の売買処理に対してステップS31、S32の処理を追加した物である。ステップS31は、ステップS16の処理の後に行われる処理である。ステップS31では、販売処理部41が販売価格の上昇があるか否かを判断する。そして、ステップS32では、販売処理部41から得られる情報に基づき創作者決済部42が創作者に上昇した価格の一部を譲渡する決済処理を行う。
【0042】
上記説明より、実施の形態2にかかる売買システム40では、販売処理部41、創作者決済部42、及び、創作者データベース43を用いることで、転売により取引対象商品の取引価格に上昇が生じた場合に取引対象商品の創作者に転売により上昇した価格の一部を譲渡することができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 売買認証システム
2 売買認証システム
10 売買システム
11 出品処理部
12 データベース更新処理部
13 販売処理部
14 所有権データベース
20 個人特定システム
30 取引対象物特定システム
31 取引対象物データベース
40 売買システム
41 販売処理部
42 創作者決済部
43 創作者データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7