(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】車両用記録制御装置および車両用記録制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240305BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240305BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
H04N7/18 J
H04N7/18 U
(21)【出願番号】P 2019223735
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉重 規夫
(72)【発明者】
【氏名】会津 直哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 栄治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
(72)【発明者】
【氏名】尾川 英明
(72)【発明者】
【氏名】栗原 誠
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045396(JP,A)
【文献】特開2006-264400(JP,A)
【文献】特開2007-126090(JP,A)
【文献】特開2018-005884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G07C 5/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に加わる加速度情報を取得する加速度情報取得部と、
前記車両の内部または周囲を撮影した撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記撮影データ取得部が取得した撮影データから、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在するか否かを判断する人物判断部と、
前記撮影データ取得部が取得した撮影データから、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態を判断する周囲状況判断部と、
前記車両の走行状態を示す走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記走行情報取得部が、前記車両が停止していることを示す情報を取得しているときに、前記加速度情報取得部が所定値以上の加速度を検出し、前記人物判断部が前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在していると判断し、前記周囲状況判断部が前記車両の周囲における他車両または他人物が存在していると判断している場合は、前記加速度情報取得部が検出した加速度をイベントとして検出するイベント検出部と、
前記イベント検出部がイベントを検出した場合、検出したイベントに対応する期間の撮影データを保存する記録制御部と、
を備える、車両用記録制御装置。
【請求項2】
車両に加わる加速度情報を取得する加速度情報取得部と、
前記車両の内部または周囲を撮影した撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記撮影データ取得部が取得した撮影データから、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在するか否かを判断する人物判断部と、
前記撮影データ取得部が取得した撮影データから、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態を判断する周囲状況判断部と、
前記加速度情報取得部が取得した所定値以上の加速度と、前記車両の内部または周囲に存在する予め登録された人物の動作との関連性を判断する動作判断部と、
前記加速度情報取得部が所定値以上の加速度を検出し、前記人物判断部が前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在していると判断し、前記周囲状況判断部が前記車両の周囲における他車両または他人物が存在していると判断している場合であって、前記動作判断部が、前記加速度情報取得部が取得した所定値以上の加速度と、前記車両の内部または周囲に存在する予め登録された人物の動作とが関連していないと判断した場合、前記加速度情報取得部が検出した加速度をイベントとして検出するイベント検出部と、
前記イベント検出部がイベントを検出した場合、検出したイベントに対応する期間の撮影データを保存する記録制御部と、
を備える、車両用記録制御装置。
【請求項3】
前記イベント検出部は、前記加速度情報取得部が所定値以上の加速度を検出したとき、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在している場合、前記車両の周囲に他車両または他人物が近接していると判断している場合は、前記加速度情報取得部が検出した加速度をイベントとして検出する、
請求項1または2に記載の車両用記録制御装置。
【請求項4】
前記イベント検出部は、前記加速度情報取得部が所定値以上の加速度を検出したとき、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在している場合、前記車両の周囲に他車両または他人物の位置の変化があると判断している場合は、前記加速度情報取得部が検出した加速度をイベントとして検出する、
請求項1または2に記載の車両用記録制御装置。
【請求項5】
車両に加わる加速度情報を取得するステップと、
前記車両の内部または周囲を撮影した撮影データを取得するステップと、
取得した撮影データから、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在するか否かを判断するステップと、
取得した撮影データから、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態を判断するステップと、
前記車両の走行状態を示す走行情報を取得するステップと、
前記車両が停止していることを示す情報を取得しているときに、所定値以上の加速度を検出し、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在していると判断し、前記車両の周囲における他車両または他人物が存在していると判断している場合は、検出した加速度をイベントとして検出するステップと、
イベントを検出した場合、検出したイベントに対応する期間の撮影データを保存するステップと、
を含む
処理を車両用記録制御装置が実行する車両用記録制御方法。
【請求項6】
車両に加わる加速度情報を取得するステップと、
前記車両の内部または周囲を撮影した撮影データを取得するステップと、
取得した撮影データから、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在する
か否かを判断するステップと、
取得した撮影データから、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態を判断するステップと、
取得した所定値以上の加速度と、前記車両の内部または周囲に存在する予め登録された人物の動作との関連性を判断するステップと、
所定値以上の加速度を検出し、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在していると判断し前記車両の周囲における他車両または他人物が存在していると判断している場合であって、所定値以上の加速度と、前記車両の内部または周囲に存在する予め登録された人物の動作とが関連していないと判断した場合、検出した加速度をイベントとして検出するステップと、
イベントを検出した場合、検出したイベントに対応する期間の撮影データを保存するステップと、
を含む
処理を車両用記録制御装置が実行する車両用記録制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像処理装置、映像処理システム、および映像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に加わる加速度に関する加速度情報に基づいてイベントを検出し、カメラが撮影した撮影データを保存するドライブレコーダがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、人物を検出し、検出された人物が車両に関連付けられた人物ではない場合に警告を通知し、車両に関連付けられた人物である場合は警告通知を行わない監視システムに関する技術が記載されている。例えば、特許文献2には、車両の駐車中に検出した加速度に基づき画像データを記録するドライブレコーダに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-220151号公報
【文献】特開2018-5884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両に加わる加速度は、事故のように車両に他車両など他の物体や人物が加えることに限らず、車両の所有者が車両の整備などで与えることもある。しかし、車両内や車両近傍に車両の所有者が存在するときに検出した加速度であっても、車両の所有者の動作に起因する加速度とは限らず、第三者の行為による事故やトラブルである可能性もある。したがって、車両の所有者が存在している場合にイベントとして検出しない処理を行うと、必要なイベント記録データが保存されない場合がある。
【0006】
本開示は、イベントに関する撮影データを適切に保存することのできる車両用記録制御装置、車両用記録制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る映像処理装置は、車両に加わる加速度情報を取得する加速度情報取得部と、前記車両の内部または周囲を撮影した撮影データを取得する撮影データ取得部と、前記撮影データ取得部が取得した撮影データから、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在するか否かを判断する人物判断部と、前記撮影データ取得部が取得した撮影データから、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態を判断する周囲状況判断部と、前記加速度情報取得部が所定値以上の加速度を検出したとき、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在している場合、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態に基づき、前記加速度情報取得部が検出した加速度をイベントとして検出するイベント検出部と、前記イベント検出部がイベントを検出した場合、検出したイベントに対応する期間の撮影データを保存する記録制御部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る映像処理方法は、車両に加わる加速度情報を取得するステップと、前記車両の内部または周囲を撮影した撮影データを取得するステップと、取得した撮影データから、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在するか否かを判断するステップと、取得した撮影データから、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態を判断するステップと、所定値以上の加速度を検出したとき、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在している場合、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態に基づき、検出した加速度をイベントとして検出するステップと、イベントを検出した場合、検出したイベントに対応する期間の撮影データを保存するステップと、を含む。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、車両に加わる加速度情報を取得するステップと、前記車両の内部または周囲を撮影した撮影データを取得するステップと、取得した撮影データから、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在するか否かを判断するステップと、取得した撮影データから、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態を判断するステップと、所定値以上の加速度を検出したとき、前記車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在している場合、前記車両の周囲における他車両または他人物の状態に基づき、検出した加速度をイベントとして検出するステップと、イベントを検出した場合、検出したイベントに対応する期間の撮影データを保存するステップと、車両用記録制御装置として動作するコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、イベントに関する撮影データを適切に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る記録装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る記録制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第二実施形態に係る記録装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第二実施形態に係る記録制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第三実施形態に係る記録制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0013】
[第一実施形態]
図1を用いて、第一実施形態に係る車両用記録装置の構成について説明する。
図1は、第一実施形態に係る記録装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、車両用記録装置1は、第一撮像部10と、第二撮像部20と、記録部30と、操作部40と、表示部50と、加速度センサ60と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部70と、CAN(Controller Area Network)インターフェース部80と、制御部(車両記録制御装置)100と、を備える。車両用記録装置1は、車両に搭載される。車両用記録装置1は、車両の駐車中に車両の周辺で発生したイベントを検出し、イベント記録データとして保存する。
【0015】
第一撮像部10は、車両の車室内である車両内部を主に撮影する。第一撮像部10は、例えば、リヤビューミラー等に車室内の方向を向いて配置される。第一撮像部10は、可視光カメラまたは近赤外カメラなどで構成されている。第一撮像部10は、車室内を撮影した第一撮影データを制御部100の撮影データ取得部120に出力する。
【0016】
第二撮像部20は、車両の周囲を撮影する。第二撮像部20は、例えば、車室内に前方を向いて配置された前方カメラ、および後方を向いて配置された後方カメラで構成されてよい。第二撮像部20は、例えば、車室内に配置された全周囲カメラで構成されてよい。第二撮像部20は、車両の車室外の前後左右に配置された俯瞰映像用カメラで構成されてよい。第二撮像部20は、前方カメラ、後方カメラ、全周囲カメラ、俯瞰映像用カメラの組み合わせで構成されてよい。第二撮像部20は、車両の周囲を撮影した第二撮影データを制御部100の撮影データ取得部120に出力する。
【0017】
記録部30は、各種のデータを記録する。記録部30は、例えば、人物を判定するための辞書データを記憶している。記録部30は、例えば、ユーザが予め登録した人物の名前と、画像とを関連付けた辞書データを記録している。ユーザが予め記録部30に登録する人物は、例えば、ユーザ本人、家族、友人、およびユーザの家の近所に住む人物である。ユーザが記録部30に記録する人物は、これらの人物に限定されず、車両を利用する人物であればその他人物であってよい。記録部30に記録する人物は、ユーザの任意で設定してよい。記録部30は、イベントが検出されたときに記録されるイベント記録データなど種々のデータを保存する。記録部30は、例えば、イベントの検出に基づく所定期間の撮影データをイベント記録データとして保存する。記録部30は、例えば、イベント記録データを上書き禁止とする第一イベント記録データ、第一イベント記録データより上書き優先度が高いが上書きが抑制される第二イベント記録データとして保存する。記録部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、またはハードディスク、ソリッドステートドライブなどの記憶装置で実現することができる。記録部30は、複数の異なるメモリなどで構成されてもよい。
【0018】
操作部40は、車両用記録装置1に対する種々の操作を受け付ける。種々の操作には、イベント記録データの再生の開始、イベント記録データの保存の開始などの操作が含まれる。種々の操作には、記録部30に人物を登録するための操作が含まれる。操作部40は、受け付けた操作に応じた操作信号を操作制御部127に出力する。操作部40は、例えば、物理的なスイッチや、表示部50に設けられたタッチパネルで実現することができる。
【0019】
表示部50は、種々の映像を表示する。表示部50は、例えば、記録部30が記録しているイベント記録データを表示する。表示部50は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。
【0020】
加速度センサ60は、車両に加わった加速度を検出する。加速度センサ60は、例えば、駐車中に車両に加わった加速度を検出する。加速度センサ60は、例えば、3軸加速度センサで実現することができる。加速度センサ60は、検出した加速度に関する加速度情報を加速度情報取得部129に出力する。
【0021】
GNSS受信部70は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機などで構成される。GNSS受信部70は、受信したGNSS信号を位置情報取得部131に出力する。
【0022】
CANインターフェース部80は、CANを介して各種車両情報を取得するためのインターフェースである。車両情報は、例えば、車両の走行状況などに関する情報を含む。具体的には、車両情報は、例えば、車速情報やブレーキ状態などに関する情報を含む。CANインターフェース部80は、取得した車両情報を走行情報取得部132に出力する。
【0023】
制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶部に記憶されたプログラム(例えば、本発明に係るプログラム)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部100は、コントローラ(Controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0024】
制御部100は、撮影データ取得部120と、バッファメモリ121と、撮影データ処理部122と、記録制御部123と、再生制御部124と、人物判断部125と、周囲状況判断部126と、操作制御部127と、表示制御部128と、加速度情報取得部129と、イベント検出部130と、位置情報取得部131と、走行情報取得部132とを備える。
図1においては、制御部100で実現される各部は、理解を容易にするために、バス110を介して互いに接続されているように記載する。
【0025】
撮影データ取得部120は、外部から各種の撮影データを取得する。撮影データ取得部120は、例えば、第一撮像部10から車室内を中心に撮影した第一撮影データを取得する。撮影データ取得部120は、例えば、第二撮像部20から車両の周囲を撮影した第二撮影データを取得する。撮影データ取得部120は、取得した第一撮影データおよび第二撮影データを、バッファメモリ121および表示制御部128などに出力する。撮影データ取得部120は、第一撮影データおよび第二撮影データに加えて、第一撮像部10、第二撮像部20、または他の位置に配置された図示しないマイクロフォンが取得した音声データを含んだ撮影データを取得してもよい。
【0026】
バッファメモリ121は、撮影データ取得部120が取得した第一撮影データおよび第二撮影データを一時的に記憶する内部メモリである。具体的には、バッファメモリ121は、撮影データ取得部120が取得した一定時間分の第一撮影データおよび第二撮影データを、更新しながら一時的に記憶する。
【0027】
撮影データ処理部122は、バッファメモリ121が一時的に記憶している第一撮影データおよび第二撮影データに対して種々の処理を実行する。撮影データ取得部120は、バッファメモリ121が一時的に記憶している第一撮影データおよび第二撮影データを、例えば、MP4形式などの任意のファイル形式に変換する。撮影データ処理部122は、例えば、バッファメモリ121が一時的に記憶している第一撮影データおよび第二撮影データから、一定時間分のデータファイルとした撮影データを生成する。具体的には、撮影データ処理部122は、バッファメモリ121が一時的に記憶している第一撮影データおよび第二撮影データから、60秒間の撮影データをデータファイルとして生成する。撮影データ処理部122は、生成した撮影データを記録制御部123へ出力する。また、撮影データ処理部122は、生成した撮影データを表示制御部128へ出力する。データファイルとして生成される撮影データの期間は、一例として60秒としたが、これには限定されない。
【0028】
記録制御部123は、種々のデータを記録部30に保存する。記録制御部123は、例えば、撮影データ処理部122でファイル化された撮影データを、記録部30に記録させる制御を行う。記録制御部123は、例えば、イベント検出部130がイベントを検出した場合、そのイベントを含む映像に関する撮影データをイベント記録データとして記録部30に保存する。
【0029】
再生制御部124は、記録部30に記録されている種々のデータを再生する。再生制御部124は、例えば、記録部30にデータファイルとして記録されている第一撮影データおよび第二撮影データなどを再生する。再生制御部124は、例えば、記録部30に保存されているイベント記録データを再生する。再生制御部124は、操作制御部127から出力された操作部40の操作に応じた制御信号に従って、任意の撮影データを再生する。
【0030】
人物判断部125は、撮影データに含まれる人物を判定する、人物判断部125は、例えば、撮影データ取得部120が取得した第一撮影データまたは第二撮影データに予め記録部30に登録した人物が含まれている否かを判定する。人物判断部125は、例えば、第一撮影データまたは第二撮影データから人物を認識する辞書を用いて人物を検出し、検出した人物の顔を認識する。人物判断部125は、認識した人物の顔と、記録部30などに記録された予め登録された人物の顔の特徴とを比較する。これにより、人物判断部125は、第一撮影データまたは第二撮影データに予め登録されている人物が含まれているか否かを判定する。予め登録された人物を、以下、登録人物と称する。
【0031】
周囲状況判断部126は、車両の周囲の状況を判断する。周囲状況判断部126は、車両の周囲の人物および車両などの存在の有無を含む車両周囲の状況を判断する。周囲状況判断部126は、例えば、撮影データ取得部120が取得した第二撮影データに基づいて、車両の周囲のおける他人物および他車両などの状態を判断する。周囲状況判断部126は、撮影データ取得部120が取得した第二撮影データから、車両や人物を認識する辞書を用いて、車両や辞書を認識する。周囲状況判断部126は、例えば、認識した車両の周囲における他人物および他車両などの位置の変化を検出し、他人物または他車両などが自車両に近接しているか否かを判断する。周囲状況判断部126は、例えば、他人物および他車両などの位置の変化の有無を判断する。本実施形態では、周囲状況判断部126は、例えば、他人物および他車両は、位置の変化が所定未満である場合には、位置の変化が無いと判断してもよい。
【0032】
操作制御部127は、操作部40からユーザなどから受け付けた操作に関する操作信号を受け付ける。操作制御部127は、例えば、人物を登録するための操作に関する操作信号を受け付ける。操作制御部127は、例えば、撮影データの再生の開始、撮影データの記録の開始などの操作に関する操作信号を受け付ける。操作制御部127は、受け付けた操作信号に応じた制御信号を記録制御部123又は再生制御部124に出力する。この場合、記録制御部123及び再生制御部124は、制御信号に従って、動作を実行する。
【0033】
表示制御部128は、種々の映像を表示部50に表示する。表示制御部128は、例えば、再生制御部124によって再生された撮影データおよびイベント記録データを表示部50に表示する。具体的には、表示制御部128は、表示部50に映像信号を出力することで、表示部50に映像を表示する。表示制御部128は、例えば、記録部30に記録されている撮影データ及びイベント記録データに関する映像信号を表示部50に出力することで、表示部50に撮影データを表示する。
【0034】
加速度情報取得部129は、加速度センサ60が検出した加速度に関する加速度情報を取得する。加速度情報取得部129は、取得した加速度情報をイベント検出部130に出力する。
【0035】
イベント検出部130は、車両に発生したイベントを検出する。イベント検出部130は、加速度情報取得部129が取得した加速度情報に基づいて、車両に発生したイベントを検出する。具体的には、イベント検出部130は、加速度情報取得部129が所定値以上の加速度を検出したとき、車両の内部または周囲に予め登録された人物が存在している場合に、車両の周囲における他車両または他人物の状態に基づき、加速度情報取得部129が検出した加速度をイベントとして検出する。
【0036】
位置情報取得部131は、GNSS受信部70からGNSS信号を受け付ける。位置情報取得部131は、GNSS信号に基づいて、現在位置情報を算出する。位置情報取得部131およびGNSS受信部70は、GNSS信号に限らず、他の方式の測位衛星システムに対応していてもよい。
【0037】
走行情報取得部132は、車両に関する車両情報をCANインターフェース部80から取得する。具体的には、走行情報取得部132は、車両の車速情報やブレーキ状態などを示す走行状態に関する走行情報を取得する。本実施形態において、車両の停止とは、車両が完全に停止していることに限定されず、車両が所定速度以下で走行している状況を含んでよい。例えば、車両が徐行よりも遅い速度で走行している場合には、その車両は停止していることとしてもよい。イベント検出部130は、例えば、走行情報取得部132が、車両が停止していることを示す情報を取得しているときに加速度情報取得部129が検出した加速度をイベントとして検出する。
【0038】
[車両用記録制御装置の処理]
図2を用いて、第一実施形態に係る車両用記録制御装置の処理について説明する。
図2は、第一実施形態に係る車両用記録制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図2のフローチャートは、車両が停止または駐車したときに開始される。または、車両用記録装置1が駐車監視機能を動作させたときに開始される。
【0039】
制御部100は、所定以上の加速度を検出したか否かを判定する(ステップS10)。具体的には、イベント検出部130は、加速度情報取得部129が取得した加速度情報に基づいて、所定以上の加速度を検出したか否かを判定する。所定以上の加速度とは、車両に対して他車両や他人物が与える加速度である。そして、ステップS11に進む。所定以上の加速度が検出されたと判定された場合(ステップS10;Yes)、ステップS11に進む。一方、所定以上の加速度が検出されないと判定された場合(ステップS10;No)、ステップS16に進む。
【0040】
ステップS10でYesと判定された場合、制御部100は、車室内または車両の近傍に登録人物が存在しているか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、人物判断部125は、第一撮影データまたは第二撮影データに基づいて、車室内または車両の近傍に登録人物が存在しているか否かを判定する。車内または車両の近傍に登録人物が存在していると判定された場合(ステップS11;Yes)、ステップS12に進む。一方、車室内または車両の近傍に登録人物が存在していないと判定された場合(ステップS11;No)、ステップS14に進む。
【0041】
ステップS11でYesと判定された場合、制御部100は、他車両または他人物が存在しているか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、周囲状況判断部126は、第二撮影データに基づいて、車両の周囲に他車両または他人物が存在しているか否かを判定する。他車両または他人物が存在していると判定された場合(ステップS12;Yes)、ステップS13に進む。一方、他車両または他人物が存在していないと判定された場合(ステップS12;No)、ステップS16に進む。
【0042】
ステップS12でYesと判定された場合、制御部100は、他車両または他人物はイベント条件を満たすか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、イベント検出部130は、他車両または他人物の状況に基づいて、イベント条件を満たすか否かを判定する。イベント検出部130は、例えば、車両の周囲に他車両または他人物が存在している場合には、イベント条件を満たすと判定する。イベント検出部130は、例えば、車両に他車両または他人物が近接している場合には、イベント条件を満たすと判定する。イベント検出部130は、例えば、車両の周囲の他車両または他人物の位置が変化している場合には、イベント条件を満たすと判定する。イベント条件を満たすと判定された場合(ステップS13;Yes)、ステップS14に進む。一方、イベント状況を満たさないと判定された場合(ステップS13;No)、ステップS16に進む。
【0043】
ステップS13でYesと判定された場合、制御部100は、ステップS10で検出された所定以上の加速度に基づきイベントが発生したと判断する。言い換えると、ステップS10で検出された加速度をイベントとして検出する(ステップS14)。具体的には、イベント検出部130は、ステップS10でYes判定された場合、イベントとして検出するが、ステップS11がYes判定且つステップS12およびステップS13の処理でNo判定である場合は、イベントとして検出しない。そして、ステップS15に進む。
【0044】
制御部100は、イベント記録データを保存する(ステップS15)。具体的には、記録制御部123は、検出されたイベントに対応する期間の第二撮影データを記録部30に保存する。そして、ステップS16に進む。検出されたイベントに対応する期間とは、例えば、ステップS10で所定以上の加速度が検出された時点の前後60秒の期間などである。イベント記録データとして保存される。また、イベント記録データとして保存される撮影データは、検出されたイベントに対応する期間の第二撮影データおよび第一撮影データとしてもよい。
【0045】
制御部100は、イベント検出が終了したか否かを判定する(ステップS16)。具体的には、イベント検出部130は、操作制御部127がイベント検出を終了する旨の信号を操作部から受信した場合に、イベント検出が終了したと判定する。イベント検出の終了とは、例えば、駐車監視機能が終了することなどである。イベント検出が終了したと判定された場合(ステップS16;Yes)、
図2の処理を終了する。イベント検出が終了していないと判定された場合(ステップS16;No)、ステップS10に進む。
【0046】
上述のとおり、第一実施形態では、イベント条件を満たすか否かを判定し、イベント条件を満たしている場合にのみ、撮影データをイベント記録データとして保存する。これにより、第一実施形態は、イベントに関する撮影データを適切に保存することができる。
【0047】
第一実施形態では、車両の所有者が車両の整備などで加えた加速度はイベントとして検出されず、事故などによって加えられた加速度のみをイベントとして検出する。言い換えれば、第一実施形態は、車両に所定以上の加速度が加わった場合であっても、車両の所有者など車両を利用する人物が意図して発生させた加速度である場合の撮影データはイベント記録データとして保存せず、車両の所有者や車両の利用者が意図しないで発生した加速度、つまり他車両との事故や、他人物とのトラブルの可能性の高い撮影データをイベント記録データして記録する。これにより、事故の可能性の低い不要なイベント記録データで記録部の容量が圧迫されてしまうことを防止できる。
【0048】
第一実施形態では、車室内を撮影した第一撮影データと、車両の周囲を撮影した第二撮影データに基づいて、イベントを検出し、イベント記録データを保存する。これにより、第一実施形態は、他車両または他人物を含む第三者による事故やトラブルに起因するイベント記録データを適切に保存することができる。
【0049】
[第二実施形態]
図3を用いて、第二実施形態に係る車両用記憶装置について説明する。
図3は、第二実施形態に係る車両用記憶装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
図3に示すように、車両用記録装置1Aは、制御部(車両用記録制御装置)100Aが、動作判断部133を備える点で、
図1に示す車両用記録装置1とは異なっている。
【0051】
動作判断部133は、人物の動作を判定する。動作判断部133は、車両に加わった加速度と、人物との動作の関連性を判定する。動作判断部133は、例えば、加速度情報取得部129が取得した所定値以上の加速度と、車両の内部または周囲に存在する予め登録された人物の動作との関連性を判断する。具体的には、動作判断部133は、加速度情報取得部129が取得した加速度が、予め登録された人物の動作に起因するか否かを判定する。
【0052】
動作判断部133は、車両の内部または周囲に存在する予め登録された人物の動作のうち、登録人物の腕や脚の動作が車両の近傍で動いたときに、加速度情報取得部129が所定以上の加速度を検出した場合、加速度と登録人物の動作が関連する、言い換えると、登録人物の動作に起因して加速度が生じたと判断する。
【0053】
図4を用いて、第二実施形態に係る車両用記録制御装置の処理について説明する。
図4は、車両用記録制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0054】
図4に示すステップS20からステップS23の処理は、それぞれ、
図2に示すステップS10からステップS13の処理と同一なので、説明を省略する。
【0055】
ステップS23でYesと判定された場合、制御部100Aは、車両に加わった加速度は登録人物の動作に起因するか否かを判定する(ステップS24)。具体的には、動作判断部133は、第一撮影データに含まれる、登録人物の動作を解析し、車両に加わった加速度が登録人物の動作に起因するか否かを判定する。加速度が登録人物の動作に起因すると判定された場合(ステップS24;Yes)、ステップS27に進む。一方、加速度が登録人物の動作に起因しないと判定された場合(ステップS24;No)、ステップS25に進む。
【0056】
図4に示すステップS25からステップS27の処理は、それぞれ、
図2に示すステップS14からステップS16の処理と同一なので、説明を省略する。
【0057】
上述のとおり、第二実施形態では、他車両または他人物がイベント条件を満たした場合であっても、車両に加わった加速度が登録人物の動作に起因するか否かを判定し、加速度が登録人物の動作に起因しない加速度のみをイベントとして検出する。言い換えれば、第二実施形態では、車両用記録装置1Aに登録されていない他人物および他車両の起因する加速度のみをイベントとして検出する。これにより、イベントに起因する撮影データをより適切に保存することができる。
【0058】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態に係る車両用記録装置の構成は、
図1に示す車両用記録装置1と同一の構成なので、説明を省略する。
【0059】
第三実施形態では、記録制御部123は、撮影データを上書きの優先度に応じたイベント記録データとして記録部30に記録する。記録制御部123は、例えば、加速度情報取得部129が所定以上の加速度を取得していない場合は、撮影データを上書き可能な状態で記録部30に記録する。記録制御部123は、例えば、加速度情報取得部129が取得した所定以上の加速度を、イベント検出部130がイベントとして検出した場合には、イベントに対応する期間の撮影データを、上書き禁止など上書き優先度の低い第一イベント記録データとして記録部30に保存する。記録制御部123は、例えば、加速度情報取得部129が取得した所定以上の加速度を、イベント検出部130がイベントとして検出しないときは、加速度を取得した時点に対応する期間の撮影データを第一イベント記録データよりも上書き優先度の高い第二イベント記録データとして記録部30に記録する。言い換えると、第三実施形態では、記録制御部123は、加速度情報取得部129が所定以上の加速度を取得した場合、その加速度が他車両または他人物など、予め登録された人物以外の第三者に起因する加速度である場合には、イベントに対応する期間の撮影データを、第一イベント記録データとして、上書き禁止など上書き優先度の低い第一イベント記録データとして記録部30に保存する。また、その加速度が予め登録された人物に起因する加速度である場合には、加速度を取得した時点に対応する期間の撮影データを第一イベント記録データよりも上書き優先度の高い第二イベント記録データとして記録部30に記録する。
【0060】
記録制御部123によって設定される上書き優先度は、一例として、第一イベント記録データを上書き禁止のデータとして保存し、第二イベント記録データを、例えば2回目の上書きまでは上書きされないデータとして保存する。また、他の例として、第一イベント記録データを上書き禁止のデータとして保存し、第二イベント記録データを、例えば2日間などの期間は上書きされないデータとして保存する。
【0061】
記録制御部123は、上書きの優先度に応じて、イベント記録データのデータ容量を変更してもよい。記録制御部123は、第二イベント記録データのデータ容量を第一イベント記録データのデータ容量よりも小さくして記録部30に記録してもよい。記録制御部123は、例えば、第二イベント記録データを記録部30に記録する際には、第一イベント記録データに比べて画質を落として記録してもよいし、記録時間を短くしてもよい。記録制御部123は、例えば、画質を落として記録する場合には、第二イベント記録データのフレームレートを落として記録部30に記録してよい。
【0062】
[第三実施形態の処理]
図5を用いて、第三実施形態に係る記録制御装置の処理について説明する。
図5は、第三実施形態に係る記録制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0063】
図5に示すステップS30からステップS34、およびステップS37の処理は、それぞれ、
図2に示すステップS10からステップS34、およびステップS16の処理と同一なので説明を省略する。
【0064】
ステップS34の後、制御部100は、第一イベント記録データを保存する(ステップS35)。具体的には、記録制御部123は、検出されたイベントに対応する期間の第二撮影データを、上書き禁止などの上書き優先度の低い第一イベント記録データとして記録部30に保存する。そして、ステップS37に進む。
【0065】
ステップS32でNoおよびステップS33でNoと判定された場合、制御部100は、第二イベント記録データを保存する(ステップS36)。具体的には、記録制御部123は、加速度が検出された期間に対応する期間の第二撮影データを、第一イベント記録データよりも上書き優先度の高い第二イベント記録データとして記録部30に記録する。そして、ステップS37に進む。
【0066】
上述のとおり、第三実施形態では、イベントが検出された撮影データに加えて、所定以上の加速度が検出された場合にはイベントが検出されていない撮影データも保存する。これにより、第三実施形態は、イベントに関する撮影データをより適切に保存することができる。
【0067】
第三実施形態では、イベントが検出された撮影データをイベントが検出されていない撮影データよりも、上書きの優先度を低くして記録部30に記録する。言い換えれば、第三実施形態は、イベント検出部130がイベントを検出していない撮影データに対して優先的に上書きする。これにより、第三実施形態は、イベントに関する撮影データをより適切に保存することができる。
【0068】
第三実施形態では、イベントとして検出されなかった撮影データのデータ容量を小さくして保存する。これにより、重要度の低い撮影データで記録部30の記録容量を圧迫してしまうことを、より抑制することができる。
【0069】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
1,1A 車両用記録装置
10 第一撮像部
20 第二撮像部
30 記録部
40 操作部
50 表示部
60 加速度センサ
70 GNSS受信部
80 CANインターフェース部
100,100A 制御部(車両用記録制御装置)
110 バス
120 撮影データ取得部
121 バッファメモリ
122 撮影データ処理部
123 記録制御部
124 再生制御部
125 人物判断部
126 周囲状況判断部
127 操作制御部
128 表示制御部
129 加速度情報取得部
130 イベント検出部
131 位置情報取得部
132 走行情報取得部
133 動作判断部