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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】樹脂組成物及び積層体
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/08 20060101AFI20240305BHJP
   C08F 299/06 20060101ALI20240305BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20240305BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20240305BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C08F290/08
C08F299/06
C08F293/00
B32B27/30 A
B32B27/40
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019235500
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021102741
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 真人
(72)【発明者】
【氏名】方田 大遥
(72)【発明者】
【氏名】大宅 徹
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-104554(JP,A)
【文献】特開2018-080311(JP,A)
【文献】特開2017-002222(JP,A)
【文献】特開2018-080312(JP,A)
【文献】特表2018-510234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0099449(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107151306(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
B32B27
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、及び光重合性化合物(D)を含有する樹脂組成物であって、
前記(メタ)アクリロイルユニット(B)が、反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)を含むエチレン性不飽和単量体の重合物と、前記反応性基と反応し得る基を有するエチレン性不飽和化合物(b2)との反応により生成する、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を含む重合体であり、
前記光重合性化合物(D)が、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマー、アクリル(メタ)アクリレート系オリゴマーおよび多官能性(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種である、樹脂組成物。
【請求項2】
前記ウレタンユニット(A)と前記(メタ)アクリロイルユニット(B)とが、アミノ基を有する連鎖移動剤の残基により連結されてなる、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリロイルユニット(B)100質量部中、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位の含有量が20~85質量部である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記ウレタン・アクリル複合樹脂(C)100質量部中、前記ウレタンユニット(A)の含有量が45~90質量部である、請求項1~3いずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量が、8,000~50,000である、請求項1~4いずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
基材上に、請求項1~5いずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物である樹脂層を備える積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療材料や光学材料の分野において、フィルム基材、粘接着剤、コーティング剤、エラストマー等に利用可能な、樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用途で好適に用いられる樹脂としては、原料の選択肢の広さから用途に適した幅広い設計が可能なアクリル樹脂や、耐摩耗性や柔軟性を付与できるウレタン樹脂が挙げられる。また、これら樹脂に架橋性官能基を導入することで、硬化物の架橋密度が上がり、強度の向上を図ることができる。そのため、アクリル樹脂やウレタン樹脂は、フィルム基材、粘接着剤、コーティング剤、エラストマー等の幅広い分野で検討されている。
【0003】
しかしながら、一般にアクリル樹脂単体では、比較的高い強度の塗膜あるいは成型物が得られるが、伸長性や応力緩和性が不足することが問題となっており、一方でウレタン樹脂単体では、伸長性に優れるが、強度を付与する設計にするとその伸長性が失われることが問題となっており、強度と伸長性との両立は困難であった。
【0004】
上記課題に対し、例えば特許文献1では、ウレタン樹脂の存在下でアクリル樹脂を重合し、ウレタン樹脂とアクリル樹脂からなる複合フィルムを形成することで、破断強度に優れ、かつ高い伸長性を有する粘着シートが提案されている。しかしながら、一般的にアクリル樹脂とウレタン樹脂の相溶性は悪く適応範囲が限定されるため、より強度が求められる用途に対しての塗膜強度と伸長性との両立は十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-1726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、優れた塗膜強度と高い伸長性及び柔軟性を有する樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を用いてなる積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の実施形態は、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、及び重合性化合物(D)を含有する樹脂組成物であって、
前記(メタ)アクリロイルユニット(B)が、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を含む、樹脂組成物に関する。
【0009】
本発明の他の実施形態は、前記ウレタンユニット(A)と前記(メタ)アクリロイルユニット(B)とが、アミノ基を有する連鎖移動剤の残基により連結されてなる、上記樹脂組成物に関する。
【0010】
本発明の他の実施形態は、前記(メタ)アクリロイルユニット(B)100質量部中、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位の含有量が20~85質量部である、上記樹脂組成物に関する。
【0011】
本発明の他の実施形態は、前記ウレタン・アクリル複合樹脂(C)100質量部中、前記ウレタンユニット(A)の含有量が45~90質量部である、上記樹脂組成物に関する。
【0012】
本発明の他の実施形態は、前記ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量が、8,000~50,000である、上記樹脂組成物に関する。
【0013】
本発明の他の実施形態は、基材上に、上記樹脂組成物より形成される樹脂層を備える積層体に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、優れた塗膜強度と高い伸長性及び柔軟性を有する樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を用いてなる積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の樹脂組成物は、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、及び重合性化合物(D)を含有し、前記(メタ)アクリロイルユニット(B)が、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を含むことを特徴とする。本発明の樹脂組成物は、フィルム基材、粘接着剤、コーティング剤、エラストマー、医療材料、光学材料等の分野において有用である。
以下に本発明について詳細に説明する。
【0016】
<ウレタン・アクリル複合樹脂(C)>
本発明のウレタン・アクリル複合樹脂(C)は、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結した構造を有し、且つ、前記(メタ)アクリロイルユニット(B)が、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を含んでいればよく、その製造方法は制限されないが、好ましくは、例えば下記の方法で製造することができる。
【0017】
まず、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる、両末端にイソシアネート基を有するウレタンユニット(A)を形成する(以下、工程1)。
次いで、連鎖移動剤を添加し、ウレタンユニット(A)の両末端に連鎖移動剤残基を有するウレタンプレポリマーを合成する(以下、工程2)。
その後、得られたウレタンプレポリマーが有する連鎖移動剤残基を用いて、反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)を含むエチレン性不飽和単量体を、重合開始剤存在下に連鎖移動重合して、側鎖に反応性基を有する(メタ)アクリロイルユニットを形成する(以下、工程3)。
次いで、上記側鎖の反応性基に、分子内に上記反応性基と反応し得る基を有するエチレン性不飽和化合物(b2)を反応させて、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を含む、(メタ)アクリロイルユニット(B)を形成する(以下、工程4)。
【0018】
このようにして、ウレタンユニット(A)と、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を含む(メタ)アクリロイルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)を得ることができる。これらの反応はすべて溶媒を用いて行ってもよいし、溶媒を使用せずに行ってもよい。また、溶媒を使用した場合、反応の途中段階又は反応終了後に減圧下若しくは常圧下で溶媒を除去してもよい。
【0019】
<ウレタンユニット(A)>
本発明におけるウレタン・アクリル複合樹脂(C)は、ウレタンユニット(A)と、(メタ)アクリロイルユニット(B)と、が連鎖移動剤残基により連結した構造を有しており、前記ウレタンユニット(A)は、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて形成することができる。
【0020】
<ポリオール>
ウレタンユニットを構成するポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、植物油系ポリオール、その他ポリオールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、テトラヒドロフラン等の重合体又は共重合体として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコール;ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオールあるいはこれらの混合物の縮合物類;2個以上の活性水素基を有する化合物に、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、テトラヒドロフラン、若しくはポリオキシテトラメチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られるポリオール;等が挙げられる。
【0022】
前記2個以上の活性水素基を有する化合物としては、低分子ポリオール、脂肪族アミン化合物類、芳香族アミン化合物類、アルカノールアミン類又はビスフェノール類等が挙げられる。
【0023】
前記低分子ポリオールとしては、2官能の低分子ポリオール又は3官能以上の低分子ポリオール等が挙げられる。
【0024】
2官能の低分子ポリオールとしては、特に制限されず、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、ポリオキシエチレングリコール(付加モル数10以下)、ポリオキシプロピレングリコール(付加モル数10以下)、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールA、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールペンタン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
【0025】
3官能以上の低分子ポリオールとしては、特に制限されず、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールブタン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ブタントリオール、トリメチロールブテン、トリメチロールペンテン、トリメチロールヘキセン、トリメチロールヘプテン、トリメチロールオクテン、トリメチロールノネン、トリメチロールデセン、トリメチロールウンデセン、トリメチロールドデセン、トリメチロールトリデセン、トリメチロールペンタデセン、トリメチロールヘキサデセン、トリメトロールヘプタデセン、トリメチロールオクタデセン、1,1,1-トリメチロール-2-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-2-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-エチル-ヘキサン、トリメチロールヘキセン、1,2,3-オクタントリオール、1,3,7-オクタントリオール、3,7-ジメチル-1,2,3-オクタントリオール、1,1,1-、1,1,1-トリメチロールデカン、1,2,10-デカントリオール、1,1,1-トリメチロールイソヘプタデカン、1,1,1-トリメチロール-sec-ブタン、1,1,1-トリメチロール-tert-ペンタン、1,1,1-トリメチロール-tert-ノナン、1,1,1-トリメチロール-tert-トリデカン、1,1,1-トリメチロール-tert-ヘプタデカン、1,1,1-トリメチロール-2-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-2-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロールイソヘプタデカン、1,2,3,4-ブタンテトラオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ベンゼン-1,3,5-トリオール、ベンゼン-1,2,3-トリオール、スチルベン-3,4’、5-トリオール、シュークロース、イノシトール、ソルビタン、ソルビトール、マンニトール、サッカロース、セルロース、キシリトールが挙げられる。
【0026】
脂肪族アミン化合物類としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパンが挙げられる。芳香族アミン化合物類としては、例えば、トルエンジアミン、ジフェニルメタンー4,4-ジアミンが挙げられる。アルカノールアミン類としては、例えば、エタノールアミン及びジエタノールアミンが挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールFが挙げられる。
【0027】
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上述の低分子ポリオールと二塩基酸成分とが縮合反応したポリエステルポリオールが挙げられる。
二塩基酸成分としては、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族又は芳香族の二塩基酸、及びそれらの無水物が挙げられる。
【0028】
また、ポリエステルポリオールとして、ε-カプロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類の環状エステル化合物の開環重合により得られるポリエステルポリオールを用いてもよい。
【0029】
(ポリカーボネートポリオール)
ポリカーボネートポリオールとしては、上述の低分子ポリオールと、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等のカーボネート化合物と、の反応により得られるものが挙げられる。
ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート又はジエチルカーボネート等を、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート等を、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート等を、用いることができる。
【0030】
(ポリオレフィンポリオール)
ポリオレフィンポリオールとしては、水酸基含有ポリブタジエン、水添した水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水添した水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
【0031】
(植物油系ポリオール)
植物油系ポリオールとしては、例えば、植物由来のひまし油、ダイマー酸、若しくは大豆油を原料としたポリオールが挙げられる。
【0032】
ポリオールとして好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール又はポリカーボネートポリオールであり、より好ましくはポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオールである。
【0033】
ポリオールの数平均分子量は、好ましくは500以上5,000未満であり、より好ましくは700以上3,500未満である。
【0034】
ポリオールは、上記以外のその他ポリオールを含有してもよく、ウレタン結合濃度の調節や各種官能基導入を目的として、上述の低分子ポリオールを併用することができる。
【0035】
<ポリイソシアネート>
ウレタンユニット(A)を構成するポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族又は脂環式のジイソシアネートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアナネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアナート、p-テトラメチルキシレンジイソシアナート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
【0037】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートテトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0038】
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートが挙げられる。
【0039】
ポリオールとポリイソシアネートとの反応は、好ましくは無溶媒下で公知のウレタン化反応を用いて行うことができ、ポリイソシアネートを過剰にすることで、両末端にイソシアネート基を有するウレタンユニットを得ることができる。反応時のイソシアネート基と水酸基とのモル比(NCOモル数/OHモル数)は、好ましくは1.05~2.00、より好ましくは1.10~1.50である。
ウレタン化反応では、反応性を調整する目的で触媒を用いてもよい。
【0040】
(触媒)
触媒としては、公知の金属系触媒、アミン系触媒等が使用できる。金属系触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキソエート)、2-エチルヘキソエート鉛、チタン酸2-エチルヘキシル、チタンエチルアセテート、2-エチルヘキソエート鉄、2-エチルヘキソエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ-n-ブチル錫等が挙げられる。アミン系触媒としては、テトラメチルブタンジアミン等の3級アミン等が挙げられる。触媒の使用量は、好ましくはポリオールに対して0.05~1モル%の範囲である。
【0041】
(ウレタンユニット(A)の含有量)
ウレタンユニット(A)の含有量は、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)100質量部中、好ましくは25~90質量部であり、より好ましくは45~90質量部であり、さらに好ましくは60~85質量部である。ウレタンユニット(A)を25~90質量部含むと、樹脂組成物により形成される樹脂層の伸張性、耐擦傷性、接着強度、柔軟性に優れるため好ましい。
【0042】
<連鎖移動剤>
上述で得られたウレタンユニット(A)及び連鎖移動剤を反応させることで、両末端に連鎖移動剤残基を有するウレタンプレポリマーを得ることができる。
連鎖移動剤は、特に制限されないが、イソシアネート基と反応しうる官能基とスルファニル基とを有するものが好ましい。当該連鎖移動剤を用いると、ウレタンユニット(A)における末端イソシアネート基と、連鎖移動剤におけるイソシアネート基と反応しうる官能基とが反応し、両末端にスルファニル基を有するウレタンプレポリマーが形成される。
連鎖移動剤は、公知の連鎖移動剤から単独又は2種以上を併用して用いることができる。
【0043】
上記イソシアネート基と反応しうる官能基としては、水酸基又はアミノ基が挙げられるが、反応性の観点から好ましくはアミノ基である。アミノ基はスルファニル基よりも反応性が高いため、ウレタンユニットの末端イソシアネート基と優先的に反応してウレア結合を形成し、ウレタンプレポリマーの末端に効率的にスルファニル基を導入することができるため好ましい。
【0044】
分子内に1つのアミノ基と1つのスルファニル基を有する化合物としては、例えば、2-アミノエタンチオール、3-アミノプロピル-1-チオール、1-アミノプロピル-2-チオール、4-アミノ-1-ブタンチオール等のアミノアルカンチオール類;2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノール等のアミノベンゼンチオール類;が挙げられる。中でも、好ましくはアミノアルカンチオール類であり、より好ましくは2-アミノエタンチオールである。
【0045】
<(メタ)アクリロイルユニット(B)>
(メタ)アクリロイルユニット(B)は、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を含むものであり、具体的には、工程2で得られた両末端に連鎖移動剤残基を有するウレタンプレポリマーと、反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)を含むエチレン性不飽和単量体と、を重合開始剤の存在下に重合させて、側鎖に反応性基を有する(メタ)アクリロイルユニットを形成した後、当該反応性基に、分子内に上記反応性基と反応し得る基を有するエチレン性不飽和化合物(b2)を反応させることで、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)と、が連鎖移動剤残基により連結した構造を有し、且つ、前記(メタ)アクリロイルユニット(B)が、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位を含むウレタン・アクリル複合樹脂(C)を得ることができる。
【0046】
<反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)>
反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)の反応性基としては、好ましくは、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である。前記カルボキシル基は酸無環を形成していてもよい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
水酸基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート又はこれらモノマーのカプロラクトン付加物(付加モル数は1~5)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(メチロール)アクリルアミド、N-メチロール-N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0048】
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチルメタクリレート、4-イソシアネートブチル(メタ)アクリレート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、イソシアン酸3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジル、(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートが挙げられる。
また、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル単量体として、上述の水酸基を有する(メタ)アクリル単量体中の水酸基にポリイソシアネートを反応させて得られる生成物を用いてもよい。当該ポリイソシアネートとしては、前述のウレタンユニット(A)の項で述べたポリイソシアネートを用いることができる。
【0049】
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸の他、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸等の水酸基を有する(メタ)アクリル単量体に酸無水物を反応させて得られる化合物が挙げられる。前記酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
また、カルボキシル基が無水環を形成しているものとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸が挙げられる。
【0050】
エポキシ基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸-4,5-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6,7-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシルが挙げられる。
【0051】
(エチレン性不飽和単量体)
工程3で用いられるエチレン性不飽和単量体としては、反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)と共重合可能なものであれば特に制限されず、公知の単量体から適宜選択することができる。
反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)以外のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキルエチレン性不飽和単量体類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキルエチレン性不飽和単量体類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有するエチレン性不飽和単量体類;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキルエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体類;3-(アクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン及び3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン等のオキセタニル基を有するエチレン性不飽和単量体類;スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル基を有するエチレン性不飽和単量体類;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体類;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N-ジメチルアミノスチレン、N,N-ジエチルアミノスチレン、メチルα-アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N-ビニルチオピロリドン、N-ビニルピロールこれらの塩等のアミノ基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート、ニトロスチレン等のシアノ基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N-メチルN-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、桂皮酸アミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートクロライド、メチルジエチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートブロマイド、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミドメトサルフェート、ベンジルジエチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミドカーボネート、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチルアリルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウムカチオンを含有するエチレン性不飽和単量体;アクロレイン、N-ビニルホルムアミド、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ブタンジオール-1,4-アクリレート-アセチルアセテート、アクリルアミドメチルアニスアルデヒド等のアルデヒド基を含有するエチレン性不飽和単量体;ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアセトアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N-(シアノアセトキシエチル)アクリルアミド、N-(プロピオニルアセトキシブチル)アクリルアミド、N-(4-アセトアセトキシメチルベンジル)アクリルアミド、N-(2-アセトアセチルアミノエチル)アクリルアミド等のケトン基を有するエチレン性不飽和単量体;アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、2-アセトアセトキシ-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシマロニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のβ-ジケトン構造を有するエチレン性不飽和単量体;が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
<分子内に反応性基と反応し得る基を有するエチレン性不飽和化合物(b2)>
エチレン性不飽和化合物(b2)における、反応性基と反応し得る基としては、好ましくは、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、(メタ)アクリル単量体(b1)で挙げたものを援用することができる。
また、エチレン性不飽和化合物(b2)として、分子内に1つの水酸基と二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いてもよい。分子内に1つの水酸基と二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)における反応性基と、エチレン性不飽和化合物(b2)における反応性基と反応し得る基との組み合わせとしては、好ましくは、(i)水酸基とイソシアネート基、(ii)カルボキシル基とエポキシ基、又は、(iii)カルボン酸無水物と水酸基であり、より好ましくは、(i)水酸基とイソシアネート基、又は(ii)カルボキシル基とエポキシ基の組み合わせである。
(i)としては、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量を重合して得られた(メタ)アクリロイルユニットの側鎖の水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させてもよいし、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量体を共重合して得られた(メタ)アクリロイルユニットの側鎖のイソシアネート基に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の水酸基を反応させてもよい。
(ii)としては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量を重合して得られた(メタ)アクリロイルユニットの側鎖のカルボキシル基に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体のエポキシ基を反応させてもよいし、エポキシ基を有する(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量を重合して得られた(メタ)アクリロイルユニットの側鎖のエポキシ基に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体のカルボキシル基を反応させてもよい。
【0054】
エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位の含有量は、(メタ)アクリロイルユニット(B)100質量部中、好ましくは5~100質量部、より好ましくは15~90質量部、さらに好ましくは20~85質量部である。含有量が5~100質量部であると、本発明の樹脂組成物から形成される樹脂層の伸張性、耐擦傷性、接着強度、柔軟性に優れるため好ましい。
エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位の含有量は、反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)及び分子内に上記反応性基と反応し得る基を有するエチレン性不飽和化合物(b2)の和を(メタ)アクリロイルユニットの総計で除すことで算出することができる。
【0055】
<重合開始剤>
重合開始剤としては、公知のアゾ系化合物や有機過酸化物を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アゾ系化合物としては、特に制限されず、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカーボキシレート)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]が挙げられる。
有機過酸化物としては、特に制限されず、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサエート、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドが挙げられる。
【0056】
重合開始剤の使用量は、全エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、好ましくは0.001~15質量部である。0.001~15質量部の範囲であると、効果的に連鎖移動重合が進行するため好ましい。
【0057】
(ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量)
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量は、好ましくは7,000~100,000であり、より好ましくは8,000~60,000であり、さらに好ましくは、8,000~50,000である。7,000~100,000であると、樹脂組成物から形成される樹脂層の伸張性、耐擦傷性、接着強度、柔軟性に優れるため好ましい。
【0058】
(ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の二重結合当量)
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の二重結合当量は、好ましくは200~5,000であり、より好ましくは300~3,000であり、さらに好ましくは350~2,000である。二重結合当量は、(二重結合を有する樹脂の質量(g))/(二重結合を有する樹脂中に含まれる二重結合の数(mol))で表され、下記の式により算出される。
二重結合当量=(ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の全質量(g))/(エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位に由来するエチレン性不飽和二重結合の量(mol))
【0059】
<溶媒>
ポリオールとポリイソシアネートとの反応、ウレタンユニットと連鎖移動剤との反応、連鎖移動剤残基を用いて(メタ)アクリル単量体を重合する反応といった、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)を製造する際の反応は、溶媒を用いて行ってもよい。用いてもよい溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、プロピレンオキシド、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;の他、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、アセトニトリル、メトキシプロピルアセテート、ジエトキシジエチレングリコールが挙げられる。溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
<重合性化合物(D)>
本発明の樹脂組成物は、さらに重合性化合物(D)を含む。
重合性化合物(D)には、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により硬化する性質を有する光重合性モノマー若しくは光重合性オリゴマー等を用いることができ、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
光重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、上述のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを用いてもよい。
【0063】
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、上述のポリイソシアネート、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物、及び上述のポリオールと上述のポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタン群からなる群から選ばれる1つ以上の化合物、並びに、上述の水酸基を有する(メタ)アクリル単量体、及び分子内に1つの水酸基と二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物、を反応させて得ることができる。また、上述のポリオールと上述のポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタン、上述のポリオール、及び上述の水酸基を有する(メタ)アクリル単量体群からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物、並びに、上述のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル単量体を反応させて得ることができる。
【0064】
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を、上述のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体でエステル化することにより得ることができる。また、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を、上述のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体でエステル化することにより得ることができる。また、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合によって得られる両末端にカルボキシル基を有するポリエステルオリゴマーのカルボキシル基を、上述の水酸基を有する(メタ)アクリル単量体及び分子内に1つの水酸基と二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の化合物でエステル化することにより得ることができる。
【0065】
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールの水酸基を、上述のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体でエステル化することにより得ることができる。
【0066】
この他に、光重合性オリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、又はノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等を用いることができる。
【0067】
光重合性モノマーとしては、(メタ)アクリロイルユニット(B)の項で挙げた反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)、(b1)以外のエチレン性不飽和単量体、分子内に上記反応性基と反応し得る基を有するエチレン性不飽和化合物(b2)、多官能性(メタ)アクリレートを用いることができ、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能性(メタ)アクリレートは、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであれば特に制限されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。
【0068】
重合性化合物(D)は、樹脂組成物から形成される樹脂層の伸張性、耐擦傷性、接着強度及び柔軟性の観点から、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーである。これらの重合性化合物(D)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
<樹脂組成物の製造>
本発明の樹脂組成物は、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)及び重合性化合物(D)を混合することで得られることができる。混合方法は特に限定されず、混合する際に減圧下若しくは常圧下で溶媒を除去してもよい。本発明の樹脂組成物は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により、樹脂組成物中の重合性成分を架橋させることができる。紫外線で架橋する場合、光重合開始剤を用いることが好ましく、さらに重合促進剤や増感剤を併用してもよい。
【0070】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4-ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等のカルボニル化合物類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物類;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物類;ベンゾイルパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド等のパーオキシド化合物類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物類;が挙げられる。また、光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン等の水素引き抜き型のラジカル開始剤を用いてもよく、その場合、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルジエタノールアミン、p-ジメチルアミノフェニルアルキルエステル等の3級アミンを併用してもよい。
中でも、カルボニル化合物、ホスフィンオキサイド化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の使用量は、樹脂組成物の固形分の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~50質量部、より好ましくは0.5~25質量部である。
【0071】
(増感剤)
増感剤としては、例えば、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等の不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等の1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体、ビイミダゾール誘導体が挙げられ、具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられる。これらの他に、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を用いてもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、好ましくは0.1~150質量部、より好ましくは1~100質量部である。
【0072】
重合性化合物(D)の含有量は、樹脂組成物の固形分の合計100質量部中、好ましくは10~90質量部、より好ましくは20~80質量部である。10~90質量部であると、樹脂組成物から形成される樹脂層の伸張性、耐擦傷性に優れるため好ましい。
【0073】
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)と重合性化合物(D)との質量比(ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の質量:重合性化合物(D)の質量)は、好ましくは1:6~6:1、より好ましくは1:4~5:1である。上述の範囲内であると、樹脂組成物から形成される樹脂層の伸張性、耐擦傷性、接着強度、柔軟性に優れるため好ましい。
【0074】
<接着剤>
本発明の樹脂組成物は、接着剤として用いることができる。接着剤として用いる場合、さらに、有機又は無機のフィラー、反応促進剤、シランカップリング剤、リン酸又はリン酸誘導体、レベリング剤又は消泡剤、充填剤、噴射剤、可塑剤、超可塑剤、湿潤剤、難燃剤、粘度調整剤、保存剤、安定剤及び着色剤等の公知の添加剤、溶媒等を配合してもよい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
有機又は無機のフィラーとしては、ポリマー、セラミックス、金属、金属酸化物、金属塩、染顔料等を用いることができる。有機又は無機のフィラーの形状は特に制限されず、粒子状又は繊維状であってもよい。なお、当該ポリマーの配合にあたり、柔軟性付与剤、可塑剤、難燃化剤、保存安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、チクソトロピー付与剤、分散安定剤、流動性付与剤、消泡剤等、充填剤としてではなくポリマーブレンド、ポリマーアロイとして、樹脂組成物中に溶解、半溶解又はミクロ分散させることも可能である。
【0076】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するトリアルコキシシラン;3―メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するトリアルコキシシラン;が挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の固形分100質量部に対し、好ましくは0.05~10質量部である。
【0077】
リン酸又はリン酸誘導体の内、リン酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類;メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類;が挙げられる。また、リン酸の誘導体としては、上述のリン酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたもの等が挙げられる。これらのアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール、フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコールが挙げられる。
リン酸又はその誘導体の含有量は、樹脂組成物中のウレタン・アクリル複合樹脂(C)の固形分100質量部に対し、好ましくは0.005~5質量部である。
【0078】
レベリング剤又は消泡剤の内、レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチンが挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物等の公知のものが挙げられる。
【0079】
<コート剤>
本発明の樹脂組成物は、コート剤として用いることができる。コート剤として用いる場合、さらに有機又は無機のフィラー、溶媒、その他添加剤等を併用してもよい。
【0080】
コート剤は、有機又は無機のフィラーを含むことで艶調整や磨耗性を付与することができる。有機フィラーとしては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂を溶媒に不溶になるまで高分子化し微粒子化したものが挙げられる
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、タルク、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、沈降性硫酸バリウム、沈降性炭酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、リンドープ酸化錫(PTO)、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、スメクタイトが挙げられる。耐擦傷性、光学特性、意匠性の付与の観点から、好ましくは無機フィラーであり、より好ましくはアルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、リンドープ酸化錫、酸化亜鉛、フッ化マグネシウムであり、さらに好ましくは、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウムである。
【0081】
無機フィラーは、表面に反応性官能基を有していてもよいし、未処理のものでもよい。反応性官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基のエチレン性不飽和結合や、エポキシ基、シラノール基が挙げられる。無機フィラーの形状としては、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、これらの形状が均一で整粒であることが好ましい。また無機フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.005~100μm、より好ましくは0.01~50μm、さらに好ましくは0.01~25μmの範囲である。
【0082】
その他添加剤としては、例えば、樹脂、染料、顔料分散剤、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト等の酸素除去剤や還元剤、カブリ防止剤、退色防止剤、ハレーション防止剤、蛍光増白剤、界面活性剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、色素前駆体、紫外線吸収剤、発砲剤、防カビ剤、帯電防止剤、磁性体、シランカップリング剤や4級アンモニウムクロライド等の貯蔵安定剤、表面張力調整剤、スリッピング剤、アンチブロッキング剤、光安定化剤、レベリング剤、消泡剤、赤外吸収剤、チキソトロピー剤、抗菌剤の他、種々の特性を付与するものが挙げられる。
【0083】
<積層体>
本発明の樹脂組成物の硬化物である樹脂層を基材上に備えることで積層体とすることができる。前記樹脂層の形成方法は特に限定されず、例えば、樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて加熱して溶媒を除去し、次いで活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化させることで形成することができる。また、樹脂組成物を第1の基材上に塗布し、必要に応じて加熱して溶媒を除去した後に、第2の基材と貼り合わせ、次いで活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化させることで、基材間に樹脂層を有する積層体としてもよい。
溶媒を除去する際の温度は、好ましくは50℃~200℃の範囲である。樹脂層の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.1μm~300mmである。
【0084】
活性エネルギー線とは、紫外線、可視光線、赤外線、電子線及び放射線を含む、化学反応を生じさせるための活性化に必要なエネルギーを提供可能な広義のエネルギー線を意味する。活性エネルギー線付与の光源としては、100nmから550nmの波長領域に発光の主波長を有する光源又は電子線が好ましい。100nmから550nmの波長領域に発光の主波長を有する光源としては、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、パルス発光キセノンランプ、重水素ランプ、蛍光灯、ND-YAG3倍波レーザー、HE-CDレーザー、窒素レーザー、XE-Clエキシマレーザー、XE-Fエキシマレーザー、半導体励起固体レーザー、365nm、375nm、385nmに発行波長を有するLEDランプ光源が挙げられる。なお本明細書において、紫外線や可視光、近赤外線等の定義は、久保亮五ら編「岩波理化学辞典第4版」(1987年、岩波)による。
【0085】
基材としては、例えば、アルミニウム等の金属、ポリエチレン、ポリロピレン、ポリウレタン、ポリアクリレート及びポリカーボネート及びそれらのコポリマー等の熱可塑性ポリマー、加硫ゴム等の熱硬化性ポリマー、尿素-ホルムアルデヒドフォーム、メラミン樹脂、木材、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック及びその他の繊維強化プラスチックが挙げられ、樹脂層を介して接着される基材は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0086】
本発明の樹脂組成物は、優れた耐擦傷性、伸長性、接着強度、柔軟性を有しており、フィルム基材、粘接着剤、コーティング剤、エラストマー、医療材料、光学材料等の分野において有用である。
【実施例
【0087】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら限定するものではない。なお、特に断りのない限り実施例における「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
【0088】
[数平均分子量(Mn)]
数平均分子量は、カラムとしてShodexGPCLF-604(Shodex社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(Shodex社製、GPC-104)で展開溶媒にTHFを用いた時のポリスチレン換算分子量を用いた。
【0089】
<ウレタン・アクリル複合樹脂等の製造>
[製造例1]ウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)
(工程1)窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、ポリオールとしてP-1000(製品名、一般名:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製)100部、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート28.3部、触媒としてチタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部仕込み均一に撹拌した後、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させて、両末端にイソシアネート基を有するウレタンユニットを得た。
(工程2)得られた生成物を80℃まで冷却し、溶媒としてメチルエチルケトンを68.4部、連鎖移動剤として2-アミノエタンチオール4.3部を加え、75℃で2時間反応させて、両末端にスルファニル基を有するウレタンプレポリマーを得た。反応の終点は、FT-IRによりイソシアネート基由来のピーク(2270cm-1付近)の消失により確認した。
(工程3)得られた組成物に、反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)としてグリシジルメタクリレート4.9部、その他のエチレン性不飽和単量体としてn-ブチルメタクリレート19.6部を加え、均一に撹拌した後、窒素雰囲気下で75℃に昇温した。次いで、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部を30分毎に13回分割して加え、重合開始剤の添加後にさらに2時間反応させた。
(工程4)その後、室温まで冷却した後に、反応容器内を酸素雰囲気下に切り替え、分子内に上記反応性基と反応し得る基を有するエチレン性不飽和化合物(b2)としてアクリル酸を2.5部、p-メトキシフェノール0.2部、N,N’-ジメチルベンジルアミン0.5部添加し、さらに105℃で10時間反応させることで、固形分濃度70%のウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)を得た。
【0090】
[製造例2]ウレタン・アクリル複合樹脂(C-2)
(工程1)窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、まずポリオールとしてP-1000(製品名、一般名:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製)100部、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート28.3部、触媒としてチタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部仕込み均一に撹拌した後、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させ両末端にイソシアネート基を有するウレタンユニットを得た。
(工程2)得られた生成物を80℃まで冷却し、溶媒としてメチルエチルケトンを68.7部、連鎖移動剤として2-アミノエタンチオール4.3部を加え、75℃で2時間反応させて、両末端にスルファニル基を有するウレタンプレポリマーを得た。反応の終点は、FT-IRによりイソシアネート基由来のピークの消失により確認した。
(工程3)得られた組成物に、反応性基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)として2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.5部、その他のエチレン性不飽和単量体としてn-ブチルメタクリレート18.1部を加え均一に撹拌した後、窒素雰囲気下で75℃に昇温した。次いで、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部を30分毎に13回分割して加え、重合開始剤の添加後にさらに2時間反応させた。
(工程4)その後、室温まで冷却した後に、反応容器内を酸素雰囲気下に切り替え、分子内に上記反応性基と反応し得る基を有するエチレン性不飽和化合物(b2)として2-イソシアナトエチルアクリレートを4.9部、チタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部、p-メトキシフェノールを0.2部添加し、さらに60℃で8時間反応させて、固形分濃度70%のウレタン・アクリル複合樹脂(C-2)を得た。反応の終点は、FT-IRによりイソシアネート基由来のピークの消失により確認した。
【0091】
[製造例3~27]ウレタン・アクリル複合樹脂(C-3~C-27)
表1に示す配合組成に変更した以外は、製造例2と同様の操作を行い、ウレタン・アクリル複合樹脂(C-3~C-27)を得た。
【0092】
[比較製造例1]ウレタン・アクリル複合樹脂(C-28)
(工程1)窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、まずポリオールとしてP-1000(製品名、一般名:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製)100部、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート28.3部、触媒としてチタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部仕込み均一に撹拌した後、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させて、両末端にイソシアネート基を有するウレタンユニットを得た。
(工程2)得られた生成物を80℃まで冷却し、メチルエチルケトンを68.9部、連鎖移動剤として2-アミノエタンチオール4.3部を加え、75℃で2時間反応させて、両末端にスルファニル基を有するウレタンプレポリマーを得た。反応の終点は、FT-IRによりイソシアネート基由来のピークの消失により確認した。
(工程3)得られた組成物に、その他のエチレン性不飽和単量体としてn-ブチルメタクリレート28.2部を加え均一に撹拌した後、窒素雰囲気下で75℃に昇温した。次いで、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部を30分毎に13回分割して加え、重合開始剤の添加後にさらに2時間反応させて、固形分濃度70%のウレタン・アクリル複合樹脂(C-28)を得た。
【0093】
[比較製造例2]ウレタン樹脂(C-29)
窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、ポリオールとしてアデカポリエーテルP-1000(製品名、一般名:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製)100部、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート16.8部、反応促進剤としてチタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部仕込み均一に撹拌した後、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させて、ウレタン樹脂を得た。次いで、メチルエチルケトン50.0部を添加し十分に攪拌混合して、固形分濃度70%のウレタン樹脂(C-29)を得た。
【0094】
[比較製造例3]アクリル樹脂(C-30)
窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、メチルエチルケトン5.2部、n-ブチルメタクリレート8.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート2.0部を加え均一に撹拌した後、窒素雰囲気下で75℃に昇温した。次いで、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部を30分毎に13回分割して加え、重合開始剤の添加後にさらに2時間反応させた。その後、室温まで冷却した後に、反応容器内を酸素雰囲気下に切り替え、分子内に上記反応性基と反応し得る基を有するエチレン性不飽和化合物(b2)として2-イソシアナトエチルアクリレートを2.2部、チタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部、p-メトキシフェノールを0.2部添加し、さらに60℃で8時間反応させて、固形分濃度70%のアクリル樹脂(C-30)を得た。反応の終点は、FT-IRによりイソシアネート基由来のピークの消失により確認した。
【0095】
得られた樹脂中のウレタンユニット(A)の含有量、(メタ)アクリロイルユニット中のエチレン性不飽和二重結合を有する構成単位の含有量、ウレタン・アクリル複合樹脂の数平均分子量は表1の通りである。
【0096】
【表1】
【0097】
表1に記載の略称を以下に示す。
・P-1000:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製
・P-2000:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価56、ADEKA社製
・PTG-1000SN:2官能ポリテトラメチレングリコール、水酸基価110、保土谷化学工業社製
・GI-1000:2官能ポリブタジエンポリオール水素化物、水酸基価67.2、日本曹達社製
・C-1090:2官能ポリカーボネートポリオール、水酸基価114.8、クラレ社製
・P-1010:2官能ポリエステルポリオール、水酸基価111.7、クラレ社製
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
・MEK:メチルエチルケトン
・GMA:グリシジルメタクリレート
・HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
・HEAA:N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド
・MOI:2-イソシアナトエチルメタクリレート
・BMA:n-ブチルメタクリレート
・AAEM:2-アセトアセトキシエチルメタクリレート
・NIPAM:イソプロピルアクリルアミド
・HO-MS(N):2-メタクリロイロキシエチルコハク酸
・AA:アクリル酸
・AOI:2-イソシアナトエチルアクリレート
・HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
・PET3A:ペンタエリスリトールトリアクリレート
・DPPA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
【0098】
<樹脂組成物(1)の調製>
[実施例1]樹脂組成物(1)-1
ウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)を固形分で50部、重合性化合物(D)としてペンタエリスリトールトリアクリレートを固形分で50部、光重合開始剤としてESACURE ONE(IGM Resins社製)2.5部、メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=1/1(質量比)の混合溶媒をディスパーで混合して、固形分濃度25%の樹脂組成物(1)-1を得た。
【0099】
[実施例2~33、比較例1~5]樹脂組成物(1)-2~38
表2及び表3に示す配合組成(固形分)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、樹脂組成物(1)-2~38を得た。
【0100】
[比較例6]樹脂組成物(1)-39
重合性化合物(D)としてペンタエリスリトールトリアクリレートを固形分で100部、光重合開始剤としてESACUREONE(IGM Resins社製)2.5部、メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=1/1(質量比)の混合溶媒をディスパーで混合して、固形分濃度を25%の樹脂組成物(1)-39を得た。
【0101】
<樹脂組成物(1)の評価>
得られた樹脂組成物(1)について以下の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
【0102】
[耐擦傷性試験]
樹脂組成物(1)を、PET基材(厚み100μm:東洋紡績社製「コスモシャインA4100」)上にバーコーターを用いて塗工した後、熱風乾燥機を用いて80℃、1分間乾燥することにより厚み5μmの膜を得た。得られた膜に活性エネルギー線を照射して硬化させ試験片を得た。得られた試験片に対し、#0000スチールウールを使用し、300g/cmの荷重をかけて10往復擦傷した後の傷の有無を目視で観察し、以下の基準で評価した。活性エネルギー線としては、紫外線(UV)又は電子線(EB)を用いた。照射条件は以下の通りである。
紫外線照射の場合:高圧水銀灯120W/cm-400mJ/cm
電子線照射の場合:125kV-30kGy(判定基準)
S:傷の数が2本以下である(非常に良好)
A:傷の数が3~4本である(良好)
B:傷の数が5~6本である(使用可能)
C:傷の数が7本以上である(使用不可)
【0103】
[伸張性試験]
樹脂組成物(1)を、ポリカーボネート基材(厚み1mm:三菱ガス化学社製「ユーピロン・シートNF-2000」)上にバーコーターを用いて塗工した後、熱風乾燥機を用いて80℃、1分間乾燥することにより厚み5μmの膜を得た。得られた膜に活性エネルギー線を照射して硬化させ試験片を得た。得られた試験片を、JIS K6251-1号規格に準拠したダンベル形状に裁断して伸張性試験片を得た。チャック間距離は4cmであり幅は1cmである。得られた伸張性試験片を用いて、島津製作所製「EZ-SX」を使用して、室温下、引っ張り速度100mm/分で引っ張り試験を行った。チャック間距離の4cmを基準とし、元の長さの100%に相当する4.0cmにそれぞれ引っ張った際の硬化膜の傷の有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。
活性エネルギー線としては、紫外線(UV)又は電子線(EB)を用いた。照射条件は以下の通りである。
紫外線照射の場合:高圧水銀灯120W/cm-400mJ/cm
電子線照射の場合:125kV-30kGy
(判定基準)
S:傷の数が3本以下である(非常に良好)
A:傷の数が4~7本である(良好)
B:傷の数が8~10本である(使用可能)
C:傷の数が11本以上である(使用不可)
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
表2及び表3中の略称を以下に示す。
・PET3A:ペンタエリスリトールトリアクリレート
・UV7650B:三菱ケミカル社製「紫光UV7650B」、ウレタンアクリレートオリゴマー
・ESACURE ONE:IGM Resins社製「ESACURE ONE」
【0107】
<樹脂組成物(2)の調製>
[実施例34]樹脂組成物(2)-1
ウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)を固形分で50部、重合性化合物(D)として紫光UV3000B(製品名、一般名:ウレタンアクリレート、三菱ケミカル社製)を固形分で50部、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、「イルガキュア184」)2.5部を加えて撹拌し、溶媒を減圧下で除去することで、樹脂組成物(2)-1を得た。
【0108】
[実施例35~66及び比較例7~11]樹脂組成物(2)-2~38
表4及び表5に示す配合組成に変更した以外は実施例33と同様の操作を行い、樹脂組成物(2)-2~38を得た。
【0109】
[比較例12]樹脂組成物(2)-39
重合性化合物(D)として紫光UV3000B(製品名、一般名:ウレタンアクリレート、三菱ケミカル社製)を固形分で100部、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、「イルガキュア184」)2.5部を加えて撹拌し、溶媒を減圧下で除去することで、樹脂組成物(2)-39を得た。
【0110】
<樹脂組成物(2)の評価>
得られた樹脂組成物(2)について以下の評価を行った。結果を表4及び表5に示す。
【0111】
[接着強度]
基材としてポリアクリル系の透明フィルムであるプリズムシート(日本特殊光学樹脂社製プリズムシート:商品名「LPV90-1.0」、材質:ポリ(メチルメタクリレート))を2枚用意した。第1のプリズムシートの背面(プリズムを有しない面)に、300W・分/m2の放電量でコロナ処理を行った後、樹脂組成物(2)を、厚みが1μmとなるように塗工した。次いで、第2のプリズムシートの正面(プリズム面)を、第1のプリズムシートの光学軸と第2のプリズムシートの光学軸とが直交するように積層し積層体を得た。次いで、得られた積層体の第2のプリズムシートの背面側から活性エネルギー線を照射して樹脂組成物(2)を硬化し、第1のプリズムシート/樹脂層/第2のプリズムシートの構成である積層体を得た。活性エネルギー線としては、紫外線(UV)又は電子線(EB)を用いた。照射条件は以下の通りである。
紫外線照射の場合:高圧水銀灯300W/cm-300mJ/cm
電子線照射の場合:125kV-30kGy
【0112】
接着強度は、JIS K6854-4 接着剤-剥離接着強さ試験方法-第4部:浮動ローラー法に準拠して測定した。具体的には、得られた積層体を、25mm×150mmのサイズに裁断し、裁断した積層体を、両面粘着テープを用いて、金属板上に貼り付けて、測定用の積層体を得た。この測定用の積層体について、23℃、相対湿度50%、300mm/分の速度で2枚のプリズムシートを引き剥がした時の剥離強度を測定し、以下の基準で評価した。
(判定基準)
S:剥離強度が3.0N/25mm以上(非常に良好)
A:剥離強度が1.0N/25mm以上、3.0N/25mm未満(良好)
B:剥離強度が0.5N/25mm以上、1.0N/25mm未満(使用可能)
C:剥離強度が0.5N/25mm未満(使用不可)
【0113】
[柔軟性]
厚み500μmのシート状型枠に樹脂組成物(2)を充填し、表面を整えて、60℃1日間のエージング後、活性エネルギー線を照射して硬化させた。得られた硬化物をダンベル型枠で打ち抜き、ダンベル型試験片を得た。このダンベル型試験片を用いて、引張速度50mm/分で引張試験を行い、破断時の伸び率(%)を測定し、以下の基準で判定した。
活性エネルギー線としては、紫外線(UV)又は電子線(EB)を用いた。照射条件は以下の通りである。
紫外線照射の場合:高圧水銀灯300W/cm-500mJ/cm
電子線照射の場合:125kV-50kGy
(判定基準)
S:破断時の伸び率が150%以上(非常に良好)
A:破断時の伸び率が125%以上150%未満(良好)
B:破断時の伸び率が100%以上125%未満(使用可能)
C:破断時の伸び率が100%未満(使用不可)
【0114】
【表4】
【0115】
【表5】
【0116】
表4及び表5中の略称を以下に示す。
・UV-3000B:三菱ケミカル化学社製「紫光UV-3000B」ウレタンアクリレートオリゴマー
・DCPA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
・イルガキュア184:BASF社製 光重合開始剤、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0117】
表2~表5の結果から、本発明の樹脂組成物は、接着性、耐擦傷性(塗膜強度)、伸長性及び柔軟性に優れていた。