(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】表示装置及び表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04886 20220101AFI20240305BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240305BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240305BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240305BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240305BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240305BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G06F3/04886
G06F3/0481
G09F9/00 350Z
G09F9/00 366A
G09F9/30 308A
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G09G5/00 510H
G09G5/00 530M
G09G5/37 320
G09G5/38
(21)【出願番号】P 2020001618
(22)【出願日】2020-01-08
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】仙頭 知寿子
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0198036(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110119295(CN,A)
【文献】特開2017-211925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04886
G06F 3/0481
G09F 9/00
G09F 9/30
G09G 5/00
G09G 5/37
G09G 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部が平板状となる平板状態、及び、表示面が突出する方向に
前記表示部が湾曲し、両側方から前記表示面を視認可能な状態であるテント状態を取ることが可能な表示装置であって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記平板状態から前記テント状態に遷移した場合、前記平板状態において表示されていた画面を、前記表示面のうち一側方側を向く第1側方領域、及び、前記表示面のうち他側方側を向く第2側方領域にそれぞれ表示させ、
前記テント状態において、
前記第1側方領
域及び
前記第2側方領域の上側に位置し、前記表示面の頂上に跨る頂上領域を、操作者からの指示を受け付ける指示入力部として機能させる、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記テント状態における前記頂上領域の表示内容は、前記第1側方領域及び前記第2側方領域の表示内容とは不連続である、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記表示装置に指示を入力するための操作用アイコンを前記頂上領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記頂上領域に入力可能な指示内容は、前記第1側方領域に入力可能な指示内容及び前記第2側方領域に入力可能な指示内容の少なくとも一方とは異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
表示面が突出する方向に表示部が湾曲し、両側方から前記表示面を視認可能な状態であるテント状態を取ることが可能な表示装置であって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記テント状態において、前記表示面のうち一側方側を向く第1側方領域、及び、前記表示面のうち他側方側を向く第2側方領域の上側に位置し、前記表示面の頂上に跨る頂上領域を、操作者からの指示を受け付ける指示入力部として機能させ、
前記テント状態において前記頂上領域に指示を入力した前記操作者が、前記表示装置の一側方側にいる第1操作者であるか、前記表示装置の他側方側にいる第2操作者であるかを識別し、
識別した前記操作者に応じて、前記頂上領域に入力された指示内容を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記頂上領域は、前記操作者から第1側方領域及び第2側方領域の少なくとも一方の表示内容に影響を与える指示を受け付け、
前記プロセッサは、前記頂上領域に入力された指示により表示内容に影響を受ける対象領域を第1側方領域及び第2側方領域の中から決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記頂上領域に対する前記操作者の操作内容によって前記対象領域を決定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示装置は、前記表示部が平板状となる平板状態と前記テント状態との間で状態遷移が可能であり、
前記プロセッサは、前記平板状態において前記表示面に表示されていた画面に応じた前記操作用アイコンを前記テント状態に遷移した後の前記頂上領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記テント状態において、前記第1側方領域に対する操作者の操作を入力指示として受け付け、前記第2側方領域に対する操作者の操作を入力指示として受け付けない、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
コンピュータを、
表示部が平板状となる平板状態、及び、表示面が突出する方向に
前記表示部が湾曲し、両側方から前記表示面を視認可能な状態であるテント状態を取ることが可能な表示装置として機能させ、
前記平板状態から前記テント状態に遷移した場合、前記平板状態において表示されていた画面を、前記表示面のうち一側方側を向く第1側方領域、及び、前記表示面のうち他側方側を向く第2側方領域にそれぞれ表示させ、
前記テント状態において、
前記第1側方領
域及び
前記第2側方領域の上側に位置し、前記表示面の頂上に跨る頂上領域を、操作者からの指示を受け付ける指示入力部として機能させる、
ことを特徴とする表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柔軟性のある表示面を備えた表示装置であって、表示面が突出するように湾曲されて湾曲部が上側となるように載置された状態であるテント状態で使用される表示装置が知られている。テント状態においては、表示装置の両側方に表示面が向くことになり、表示装置の両側方から表示面を視認可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、柔軟性のあるタッチパネルを備えるフレキシブル・ディスプレイであって、テント状態におけるタッチパネルが、発表者側に対向した面である第1画像表示領域と、発表者側とは反対側の閲覧者側に対向した面である第2画像表示領域とを有し、第1画像表示領域に発表者向けの画像が表示され、第2画像表示領域に閲覧者向けの画像が表示されるフレキシブル・ディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テント状態を取ることが可能な表示装置では、表示面がタッチパネルで構成されるならば、操作者は、テント状態の表示装置のタッチパネルをタッチすることで表示装置に対して指示を入力することとなる。ここで、テント状態の表示装置のタッチパネルに対する操作性を向上させることが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、テント状態の表示装置において、表示面の頂上に跨る頂上領域を操作者からの指示を受け付ける指示入力部として機能させない場合に比して、当該表示装置に対して指示を入力する操作の操作性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、表示部が平板状となる平板状態、及び、表示面が突出する方向に前記表示部が湾曲し、両側方から前記表示面を視認可能な状態であるテント状態を取ることが可能な表示装置であって、プロセッサを備え、前記プロセッサは、前記平板状態から前記テント状態に遷移した場合、前記平板状態において表示されていた画面を、前記表示面のうち一側方側を向く第1側方領域、及び、前記表示面のうち他側方側を向く第2側方領域にそれぞれ表示させ、前記テント状態において、前記第1側方領域及び前記第2側方領域の上側に位置し、前記表示面の頂上に跨る頂上領域を、操作者からの指示を受け付ける指示入力部として機能させる、ことを特徴とする表示装置である。
請求項2に係る発明は、前記テント状態における前記頂上領域の表示内容は、前記第1側方領域及び前記第2側方領域の表示内容とは不連続である、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置である。
請求項3に係る発明は、前記プロセッサは、前記表示装置に指示を入力するための操作用アイコンを前記頂上領域に表示させる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置である。
請求項4に係る発明は、前記頂上領域に入力可能な指示内容は、前記第1側方領域に入力可能な指示内容及び前記第2側方領域に入力可能な指示内容の少なくとも一方とは異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置である。
請求項5に係る発明は、表示面が突出する方向に表示部が湾曲し、両側方から前記表示面を視認可能な状態であるテント状態を取ることが可能な表示装置であって、プロセッサを備え、前記プロセッサは、前記テント状態において、前記表示面のうち一側方側を向く第1側方領域、及び、前記表示面のうち他側方側を向く第2側方領域の上側に位置し、前記表示面の頂上に跨る頂上領域を、操作者からの指示を受け付ける指示入力部として機能させ、前記テント状態において前記頂上領域に指示を入力した前記操作者が、前記表示装置の一側方側にいる第1操作者であるか、前記表示装置の他側方側にいる第2操作者であるかを識別し、識別した前記操作者に応じて、前記頂上領域に入力された指示内容を判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置である。
請求項6に係る発明は、前記頂上領域は、前記操作者から第1側方領域及び第2側方領域の少なくとも一方の表示内容に影響を与える指示を受け付け、前記プロセッサは、前記頂上領域に入力された指示により表示内容に影響を受ける対象領域を第1側方領域及び第2側方領域の中から決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置である。
請求項7に係る発明は、前記プロセッサは、前記頂上領域に対する前記操作者の操作内容によって前記対象領域を決定する、ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置である。
請求項8に係る発明は、前記表示装置は、前記表示部が平板状となる平板状態と前記テント状態との間で状態遷移が可能であり、前記プロセッサは、前記平板状態において前記表示面に表示されていた画面に応じた前記操作用アイコンを前記テント状態に遷移した後の前記頂上領域に表示させる、ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置である。
請求項9に係る発明は、前記プロセッサは、前記テント状態において、前記第1側方領域に対する操作者の操作を入力指示として受け付け、前記第2側方領域に対する操作者の操作を入力指示として受け付けない、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置である。
請求項10に係る発明は、コンピュータを、表示部が平板状となる平板状態、及び、表示面が突出する方向に前記表示部が湾曲し、両側方から前記表示面を視認可能な状態であるテント状態を取ることが可能な表示装置として機能させ、前記平板状態から前記テント状態に遷移した場合、前記平板状態において表示されていた画面を、前記表示面のうち一側方側を向く第1側方領域、及び、前記表示面のうち他側方側を向く第2側方領域にそれぞれ表示させ、前記テント状態において、前記第1側方領域及び前記第2側方領域の上側に位置し、前記表示面の頂上に跨る頂上領域を、操作者からの指示を受け付ける指示入力部として機能させる、ことを特徴とする表示制御プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1又は10に係る発明によれば、テント状態の表示装置において、表示面の頂上に跨る頂上領域を操作者からの指示を受け付ける指示入力部として機能させない場合に比して、当該表示装置に対して指示を入力する操作の操作性を向上させることができる。
請求項2に係る発明によれば、操作者は頂上領域の範囲を把握することができる。
請求項3に係る発明によれば、当該操作用アイコンを第1側方領域及び第2側方領域にそれぞれ表示させる必要がなくなる。
請求項4に係る発明によれば、操作者は、第1側方領域及び第2側方領域の少なくとも一方とは異なる指示内容を頂上領域から入力することができる。
請求項5に係る発明によれば、操作者に応じた異なる指示内容を頂上領域から入力することができる。
請求項6に係る発明によれば、頂上領域から入力された指示により表示内容に影響を受ける領域を決定することができる。
請求項7に係る発明によれば、操作者は、頂上領域に対する操作内容によって表示制御の対象領域を指示することができる。
請求項8に係る発明によれば、平板状態において表示されていた画面に応じた操作用アイコンをテント状態に遷移後の頂上領域に表示することができる。
請求項9に係る発明によれば、表示面の一側方側にいる操作者が第1側方領域を操作することで指示を入力可能であると共に、表示面の他側方側にいる操作者が誤って第2側方領域12bを操作して意図しない指示が入力されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】平板状態の本実施形態に係る表示装置の斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る表示装置の機能ブロック図である。
【
図5】タッチパネルに画面が表示された状態を示す図である。
【
図6】第1側方領域に表示された画面の例を示す図である。
【
図7】第2側方領域に表示された画面の例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る表示装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び
図2は、本実施形態に係る表示装置10の斜視図である。表示装置10は、表示部としてのタッチパネル12と、樹脂などから形成される枠体14を含んで構成されるコンピュータである。本実施形態における表示装置10は平面視で略長方形の形状を有しているが、後述のテント状態を好適に取ることができる限りにおいて、表示装置10の形状はこれには限られない。
【0011】
タッチパネル12は、例えば有機EL(Electro-Luminescence)などで形成されており柔軟性(あるいは可撓性と言ってもよい)を有している。これにより、表示装置10は、
図1に示すようにタッチパネル12が平板状となる平板状態、及び、
図2に示すような湾曲した状態をとることができる。特に、表示装置10は、
図2に示すような、表示面が突出する方向にタッチパネル12が湾曲し、湾曲部分が上側となるように載置された状態を取ることができる。本明細書においてはこのような状態をテント状態と呼ぶ。
【0012】
本実施形態では、表示装置10は、長手方向の中央部分が湾曲される(換言すれば湾曲位置が長手方向の中央部分である)ことでテント状態となるが、短手方向の中央部分において湾曲されてテント状態となるようにしてもよい。
【0013】
なお、上述のように枠体14は樹脂などから形成されるが、湾曲位置である長手方向の中央部分14aは、柔軟性を有する部材で形成される。これにより、表示装置10のテント状態が実現される。なお、枠体14の中央部分14a以外の部分は、表示装置10の強度を保つために柔軟性を有していなくてもよい。
【0014】
図3は、
図2の矢印Aの方向から見た図である。テント状態においては、タッチパネル12の互いに異なる部分が表示装置10の両側方を向くことから、操作者(ユーザ)は、表示装置10の両側方からタッチパネル12の一部分を視認可能となる。具体的には、
図3に示すように、表示装置10の一側方側にいる第1操作者としてのユーザUa、及び、表示装置10の他側方側にいる第2操作者としてのユーザUbがタッチパネル12の一部分を視認可能となる。このように、本明細書においては、表示装置10の両側方(すなわち一方向側及び他側方側)とは、テント状態にしたときにタッチパネル12の一部分が向く両側を意味する。また、
図3には、表示装置10の一側方側には1人のユーザUaが示され、表示装置10の他側方側には1人のユーザUbが示されているが、表示装置10の両側方にはそれぞれ複数のユーザがいてもよい。本明細書においては、その単複に関わらず、表示装置10の一側方側にいるユーザをユーザUaと、表示装置10の他側方側にいるユーザをユーザUbと記載する。なお、本明細書において、ユーザUaとユーザUbとを特に区別しない場合、単にユーザと記載する。
【0015】
テント状態では、タッチパネル12は湾曲しているため、タッチパネル12は、一側方側(ユーザUa側)を向いた部分と、他側方側(ユーザUb側)を向いた部分と、当該両部分の上側に位置し、一部が真上方向を向く湾曲部分を有する。なお、
図3における符号12a、12b、及び12cについては後述する。
【0016】
図4は、本実施形態に係る表示装置10の機能ブロック図である。
図4に示す通り、表示装置10は、タッチパネル12、メモリ20、及びプロセッサ22を含んで構成される。
【0017】
タッチパネル12については上述の通りであるので、ここでは説明を省略する。また、
図4に示されている第1側方領域12a、第2側方領域12b、及び頂上領域12cについては後述する。
【0018】
メモリ20は、例えばROM、RAM、あるいはeMMC(embedded Multi Media Card)などを含んで構成されている。メモリ20は、後述のプロセッサ22とは別に設けられてもよいし、少なくとも一部がプロセッサ22の内部に設けられていてもよい。メモリ20には、表示装置104の各部を動作させるための表示制御プログラムが記憶される。
【0019】
プロセッサ22は、広義的な処理装置を指し、汎用的な処理装置(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ22としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。
図4に示す通り、プロセッサ22は、メモリ20に記憶された表示制御プログラムにより、状態識別部24、領域定義部26、表示制御部28、及び、入力指示判定部30としての機能を発揮する。
【0020】
状態識別部24は、表示装置10の状態を識別する。具体的には、表示装置10の状態が平板状態であるのかテント状態であるのかを識別する。本実施形態では、表示装置10は、表示装置10の折り曲げ角度θ(
図3参照)を検出可能なセンサ(不図示)を備えている。状態識別部24は、当該センサが検出した折り曲げ角度θが所定角度以上の場合は、表示装置10が平板状態であると識別し、当該センサが検出した折り曲げ角度θが所定角度未満の場合は、表示装置10がテント状態であると識別する。なお、状態識別部24による表示装置10の状態の識別方法は上記以外の方法であってもよい。
【0021】
領域定義部26は、表示装置10の状態がテント状態であると状態識別部24が識別した場合に、タッチパネル12の表示面を観念上分割して、タッチパネル12上において複数の領域を定義する。具体的には、
図3を参照して、領域定義部26は、タッチパネル12上において、表示装置10の一側方側を向く第1側方領域12a(
図3の一点鎖線Laよりも下側の領域)、表示装置10の他側方側を向く第2側方領域12b(
図3の一点鎖線Lbよりも下側の領域)、及び、第1側方領域12a及び第2側方領域12bの上側に位置し、表示面の頂上に跨る頂上領域12c(一点鎖線Laから一点鎖線Lbまでの領域)を定義する。
図3に示される通り、第1側方領域12aは表示装置10の一側方側にいるユーザUaからその全体が視認可能であり、第2側方領域12bは表示装置10の他側方側にいるユーザUbからその全体が視認可能であり、頂上領域12cは、ユーザUa及びユーザUbの両方から、その半分以上が視認可能となっている。一方、第1側方領域12aは他側方側からは視認できず、ユーザUbが第1側方領域12aを見るならば、表示装置10の一方向側にまで回り込む必要がある。すなわち、ユーザUbが第1側方領域12aを視認するのはかなり困難である。同様に、ユーザUaが第2側方領域12bを視認するのはかなり困難である。
【0022】
タッチパネル12の長手方向における頂上領域12cの長さを確定する、第1側方領域12aと頂上領域12cとの境界位置、及び、第2側方領域12bと頂上領域12cとの境界位置は、本実施形態では予め表示制御プログラムによって定められている。また、タッチパネル12の長手方向における頂上領域12cの長さはユーザによって設定可能であってもよい。
【0023】
なお、領域定義部26は、表示装置10の状態が平板状態である場合には、タッチパネル12上において上述のような領域を定義しない。
【0024】
表示制御部28は、タッチパネル12に種々の画面を表示させる制御を行う。例えば、表示制御部28は、背景画像、対象ファイル(電子文書、写真、動画など)を表示する各種アプリケーションのウィンドウ、あるいは、ユーザが操作する操作用アイコンなどをタッチパネル12に表示させる。表示制御部28は、表示装置10の状態がテント状態である場合、領域定義部26が定義したそれぞれの領域に対して個別に画面を表示させる。これにより、頂上領域12cの表示内容は、第1側方領域12a及び第2側方領域12bの表示内容とは不連続となっている。ここで、第1側方領域12aと第2側方領域12bの表示内容が不連続である、とは、1つの画面が第1側方領域12aと第2側方領域12bとに跨って表示されるのではなく、第1側方領域12aと第2側方領域12bにそれぞれ個別の画面が表示された状態を意味する。より詳しくは、表示制御部28が、第1側方領域12a用の画面と、第2側方領域12b用の画面とを個別に生成して、それらの画面を第1側方領域12a及び第2側方領域12bにそれぞれ表示させることを意味する。
【0025】
図5は、表示装置10の状態がテント状態である場合に、タッチパネル12に画面が表示された様子を示す図であり、
図6は第1側方領域12aに表示された画面の例であり、
図7は第2側方領域12bに表示された画面の例である。
図5~
図7の例は、第1側方領域12a側にいる発表者であるユーザUaが、第2側方領域12b側にいる閲覧者であるユーザUbに対してプレゼンテーションを行う場合の画面の例である。
【0026】
本実施形態では、ユーザUa側を向いた第1側方領域12aにはユーザUa向けの画面が、ユーザUb側を向いた第2側方領域12bにはユーザUb向けの画面が表示される。
図6に示すように、第1側方領域12aには、プレゼンテーションの資料である電子文書40を含む文書アプリケーションウィンドウ42、及び、閲覧者に口頭で説明すべき内容などが記載されたメモ44が表示されている。
図7に示すように、第2側方領域12bには、プレゼンテーションの資料である電子文書40を含む文書アプリケーションウィンドウ42のみが表示され、メモ44は表示されてない。このように、本実施形態では第1側方領域12aと第2側方領域12bには異なる画面が表示されているが、第1側方領域12aと第2側方領域12bに同一の画面が表示されてもよい。
【0027】
頂上領域12cには、第1側方領域12a及び第2側方領域12bとは異なる画面が表示される。
図5に示すように、頂上領域12cの背景画像(
図5の例では背景色)は、第1側方領域12a及び第2側方領域12bとは異なっており、頂上領域12cには、操作用アイコン、これは、例えば、側方領域12aや12bの表示を制御する操作をするために用いるアイコンであり、より具体的には文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示ページを送る(又は戻す)ための操作バーが表示されている。なお、本実施形態では、表示制御部28は頂上領域12cに操作用アイコンを表示させているが、表示制御部28は頂上領域12cに背景画像のみを表示させ、操作用アイコンを表示させなくてもよい。あるいは、表示制御部28は頂上領域12cには何も表示させなくてもよい。
【0028】
後述のように、頂上領域12cは、ユーザからの指示を受け付ける指示入力部として機能する。すなわち、頂上領域12cは、ユーザが操作する領域である。頂上領域12cの表示内容が第1側方領域12a及び第2側方領域12bの表示内容と異なることにより、ユーザは、操作する領域である頂上領域12cの範囲を容易に把握することができる。
【0029】
上述の通り、表示装置10は、平板状態(
図1参照)とテント状態(
図2など参照)との間で状態遷移が可能である。ここで、表示制御部28は、テント状態に遷移したときに第1側方領域12a、第2側方領域12b、及び頂上領域12cのそれぞれに対して、テント状態に遷移する前の平板状態のときにタッチパネル12に表示されていた画面に応じた画面を表示させるのが好適である。
【0030】
例えば、平板状態において、タッチパネル12に電子文書40のあるページを含む文書アプリケーションウィンドウ42が表示されている状態からテント状態に遷移した場合、表示制御部28は、第1側方領域12a及び第2側方領域12bに当該電子文書40の当該ページを含む文書アプリケーションウィンドウ42を表示させる。もちろん、このとき、文書アプリケーションウィンドウ42が第1側方領域12a及び第2側方領域12bに好適表示されるように、文書アプリケーションウィンドウ42の表示サイズが適宜変更されてよい。また、表示制御部28は、頂上領域12cに、当該文書アプリケーションウィンドウ42に関する操作用アイコンを表示させる。例えば、上述のような、文書アプリケーションウィンドウ42内に表示される電子文書40の表示ページを切り替えるための操作バーなどを頂上領域12cに表示させる。あるいは、例えば、平板状態においてタッチパネル12に動画像が表示されており、その状態からテント状態に遷移した場合、表示制御部28は、第1側方領域12a及び第2側方領域12bに当該動画像を表示させ、頂上領域12cに、当該動画像に関する操作用アイコン(例えば、再生ボタン、停止ボタン、早送りボタン、早戻しボタンなど)を表示させる。
【0031】
入力指示判定部30は、タッチパネル12がユーザによって操作されたか否かを判定する。また、入力指示判定部30は、ユーザがタッチパネル12に対して行った操作の種別(例えば、タップ操作、ダブルタップ操作、ロングタップ操作、スライド操作、ピンチイン操作、ピンチアウト操作など)を判定する。ユーザがタッチパネル12を操作することで、種々の指示が表示装置10に入力される。したがって、入力指示判定部30は、ユーザからの入力指示の有無及びその内容を判定すると言える。プロセッサ22は、入力指示判定部30が判定したユーザからの入力指示に応じて種々の処理を実行する。
【0032】
入力指示判定部30は、第1側方領域12a及び第2側方領域12bに対するユーザの操作のみならず、頂上領域12cに対する操作もユーザからの入力指示として判定する。つまり、表示装置10では、テント状態において、第1側方領域12a及び第2側方領域12bのみならず、頂上領域12cもユーザからの指示を受け付ける指示入力部として機能する。第1側方領域12aはユーザUbからは視認困難であるため専らユーザUaが操作し、第2側方領域12bはユーザUaからは視認困難であるため専らユーザUbが操作することになる。一方、頂上領域12cは、テント状態の頂上部に位置し、上述のように表示装置10の両側方にいるユーザUa及びユーザUbのいずれもから視認可能であるため、頂上領域12cは、ユーザUaとユーザUbとの両方が操作可能な領域、換言すれば、ユーザUaとユーザUbの共用の操作領域である。
【0033】
例えば、
図5~
図7に示されるように、第1側方領域12a及び第2側方領域12bにプレゼンテーション用の電子文書40を含む文書アプリケーションウィンドウ42が表示されている場合、ユーザが頂上領域12cに対して矢印Bの方向(以下「横方向」と記載する)にスライド操作を行うと、入力指示判定部30は当該操作を判定し、プロセッサ22は、第1側方領域12a及び第2側方領域12bに表示されている文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示ページを次ページ又は前ページに切り替える。また、ユーザが頂上領域12cに対して矢印Cの方向(以下「上下方向」と記載する)にスライド操作を行うと、入力指示判定部30は当該操作を判定し、プロセッサ22は、第1側方領域12a及び第2側方領域12bに表示されている文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の拡大表示率を変更する。言うまでもなく、頂上領域12cに対する操作内容は上述の操作内容に限られず、また、各操作内容に関連付けられた指示内容も上記指示内容に限られない。例えば、表示制御部28が頂上領域12cに種々の操作用アイコンを表示させ、ユーザが操作した操作用アイコンに応じた指示内容が入力されてもよい。
【0034】
表示装置10がテント状態である場合、表示装置10は机に載置されるのが一般的であるから、表示装置10の両側方にいるユーザUa及びユーザUbは、表示装置10を見下ろす状態で見ている場合が多いと言える。したがって、ユーザは、指(又はスタイラス(以下単に「指」と記載する))でタッチパネル12を操作する場合、第1側方領域12a又は第2側方領域12bに比して、それらの上側に位置する頂上領域12cの方が操作し易い場合が多い。すなわち、頂上領域12cを指示入力部として機能させることで、テント状態である表示装置10に対するユーザの操作性が向上される。
【0035】
また、テント状態においては、複数の操作者が表示装置の両側方にいることが想定されるため、当該複数の操作者の操作性を向上させることも望まれるところ、本実施形態によれば、上述の通り、頂上領域12cは、表示装置10の両側方にいるユーザUa及びユーザUbのいずれもが視認可能な領域となっている。したがって、ユーザUa及びユーザUbのいずれもが、容易に頂上領域12cを操作可能となる。このように、表示装置10の両側方にいるユーザUa及びユーザUbの、テント状態である表示装置10に対するユーザの操作性が向上される。
【0036】
また、頂上領域12cに操作用アイコンを表示させるならば、当該操作用アイコンはユーザUa及びユーザUbの共用とすることができる。仮に、操作用アイコンを第1側方領域12a及び第2側方領域12bに表示させるならば、ユーザUaは第2側方領域12bに対して操作困難であり、ユーザUbは第1側方領域12aに対して操作困難であるため、当該操作用アイコンを第1側方領域12a及び第2側方領域12bにそれぞれ表示させなければならない。このように、頂上領域12cにユーザUa及びユーザUbの共用の操作用アイコンを表示させることで、第1側方領域12a及び第2側方領域12bの表示領域を有効活用することができるという効果も奏する。
【0037】
上述の通り、入力指示判定部30は、第1側方領域12a又は第2側方領域12bに対するユーザの操作も入力指示として判定する。例えば、ユーザが電子文書40内の文章をタップすると、入力指示判定部30は当該操作を判定し、プロセッサ22は、当該文章を編集する編集モードに移行する。また、ユーザが第1側方領域12aに対して横方向へのスライド操作を行うと、入力指示判定部30は当該操作を判定し、プロセッサ22は、第1側方領域12aに表示されている文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示ページを次ページ又は前ページに切り替える。また、ユーザが第2側方領域12bに対してピンチイン又はピンチアウト操作を行うと、入力指示判定部30は当該操作を判定し、プロセッサ22は、第2側方領域12bに表示されている文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の拡大表示率を変更する。
【0038】
頂上領域12cにユーザが入力可能な指示内容は、第1側方領域12aに入力可能な指示内容及び第2側方領域12bに入力可能な指示内容の少なくとも一方とは異なるようにしてもよい。例えば、上述のプレゼンテーションの場面の例では、閲覧者であるユーザUbが誤って電子文書40の内容を編集してしまわないように、第2側方領域12bが操作された場合であっても、入力指示判定部30は、それを入力指示とはみなさない(無視する)ようにしてもよい。この場合であっても、入力指示判定部30は、第1側方領域12aに対するユーザの操作、及び、頂上領域12cに対するユーザの操作は、入力指示として判定する。これにより、発表者であるユーザUaが第1側方領域12aを操作することで指示(例えば電子文書40の編集指示)を入力可能であると共に、閲覧者であるユーザUbが誤って第2側方領域12bを操作した場合にユーザUbが意図しない指示(例えば電子文書40の編集指示)が入力されることを抑制することができる。また、ユーザUbは、頂上領域12cに対して操作を行うことで、文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示ページの切り替えや拡大表示率の変更を行うことができる。
【0039】
また、第1側方領域12aに対して入力可能な指示内容と、頂上領域12cに対して入力可能な指示内容とが異なっていてもよい。例えば、入力指示判定部30は、第1側方領域12aに入力された横方向へのスライド操作や、ピンチイン又はピンチアウト操作を、文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示ページの切り替え指示や、文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の拡大表示率の変更指示とはみなさず無視するようにしてもよい。
【0040】
入力指示判定部30は、表示装置10の状態がテント状態である場合、頂上領域12cを操作した(換言すれば指示を入力した)操作者が、表示装置10の一側方側にいるユーザUaであるか、表示装置10の他側方側にいるユーザUbであるかを識別するのが好適である。その上で、入力指示判定部30は、識別した操作者と操作内容に応じて、入力された指示内容を判定するのが好適である。
【0041】
操作者の判定は、種々の方法で行うことができる。
図8を参照して、表示装置10の一側方側にいるユーザUaが頂上領域12cを操作する場合、ユーザUaの指と頂上領域12cとの接触領域は、表示装置10の頂上を横方向に伸びる頂上線Ltよりも表示装置10の一方向側、すなわち第1側方領域12a側に寄るのが一般的である。同様に、表示装置10の他側方側にいるユーザUbが頂上領域12cを操作する場合、ユーザUbの指と頂上領域12cとの接触領域は、頂上線Ltよりも表示装置10の他方向側、すなわち第2側方領域12b側に寄るのが一般的である。したがって、入力指示判定部30は、ユーザの指と頂上領域12cとの接触領域のうち、頂上線Ltよりも第1側方領域12a側にある部分の面積と、頂上線Ltよりも第2側方領域12b側にある部分の面積とを比較し、頂上線Ltよりも第1側方領域12a側にある部分の面積の方が大きいのであれば、当該操作はユーザUaによるものであると判定し、頂上線Ltよりも第2側方領域12b側にある部分の面積の方が大きいのであれば、当該操作はユーザUbによるものであると判定することができる。
【0042】
また、表示装置10に、テント状態において一側方側を撮影するカメラと他側方側を撮影するカメラとを備え、当該複数のカメラの撮影映像に基づいて頂上領域12cを操作したユーザを識別するようにしてもよい。
【0043】
なお、上述のユーザ識別方法はあくまで一例であり、その他の方法によって頂上領域12cを操作したユーザを識別するようにしてもよい。
【0044】
入力指示判定部30は、上述のように識別した、頂上領域12cに対して操作を行ったユーザと、その操作内容に応じて、指示内容を判定する。例えば、
図5を参照して、ユーザが頂上領域12cに表示された操作バーに沿って横方向にスライド操作することを考える。上述の通り、これは文書アプリケーションウィンドウ42における電子文書40の表示ページを切り替えるものであるが、具体的には、画面に向かって左から右にスライド操作した場合に表示ページが現在のページの次のページとなり、画面に向かって右から左にスライド操作した場合に表示ページが現在のページの前のページとなるようになっている。
【0045】
したがって、入力指示判定部30は、ユーザが頂上領域12cを
図5の手前側から奥側へ向かって横方向へスライド操作した場合、操作をしたユーザがユーザUaであると識別したならば、ユーザUaは第1側方領域12aに向かって右から左へスライド操作したことになるので、入力指示判定部30は、当該操作を、第1側方領域12aに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示ページを前のページに切り替える指示であると判定する。一方、操作をしたユーザがユーザUbであると識別したならば、ユーザUbは第2側方領域12bに向かって左から右へスライド操作したことになるので、入力指示判定部30は、当該操作を、第2側方領域12bに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示ページを次のページに切り替える指示であると判定する。その後、プロセッサ22は、入力指示判定部30が判定した通りの処理を実行する。
【0046】
頂上領域12cは、これに限られるものではないが、第1側方領域12a及び第2側方領域12bの少なくとも一方の表示内容に影響を与える指示をユーザから受け付けることができる。上述したような、第1側方領域12a又は第2側方領域12bに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示ページの切り替え指示や、文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の拡大表示率の変更指示などがその代表的な例である。ここで、入力指示判定部30は、頂上領域12cに入力された指示により表示内容に影響を受ける領域(本明細書では「対象領域」と呼ぶ)を第1側方領域12a及び第2側方領域12bの中から決定するのが好適である。例えば、入力指示判定部30は、対象領域として、第1側方領域12aのみ、第2側方領域12bのみ、又は、第1側方領域12aと第2側方領域12bの両方を選択することができる。
【0047】
対象領域の選択方法は、種々の方法であってよい。例えば、表示制御部28が頂上領域12cに対象領域を選択するための操作用アイコンを表示し、ユーザが当該操作用アイコンを操作して対象領域の指示を入力し、入力指示判定部30が当該指示に基づいて、その後に入力される指示の対象領域を選択するようにしてもよい。具体的な例としては、
図5~7に示したプレゼンテーションの場面において、ユーザUaが当該操作用アイコンを操作して対象領域として第2側方領域12bのみを選択した後、頂上領域12cに対して上下方向へのスライド操作を行うと、入力指示判定部30は、当該スライド操作を第2側方領域12bに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示拡大率の変更指示として判定する。そして、プロセッサ22は、ユーザUaの当該操作に応じて、第2側方領域12bに表示された電子文書40の表示拡大率を変更する。このとき、プロセッサ22は、第1側方領域12aに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示拡大率は変更しない。
【0048】
また、入力指示判定部30は、頂上領域12cに対するユーザの操作内容によって対象領域を決定するようにしてもよい。言うまでもなく、この場合、ユーザは、事前に対象領域の指示の入力をする必要はない。例えば、
図5~7に示したプレゼンテーションの場面において、発表者であるユーザUaと閲覧者であるユーザUbは電子文書40の同じページを閲覧するのが好ましいから、第1側方領域12a及び第2側方領域12bにおいては、電子文書40の同じページが表示されているのが好ましい。一方、ユーザUa及びユーザUbは、それぞれ、電子文書40を見やすい表示拡大率があるだろうから、第1側方領域12a及び第2側方領域12bにおいては、文書アプリケーションウィンドウ42における電子文書40の表示拡大率は必ずしも同一である必要はない。
【0049】
したがって、ユーザUa又はユーザUbが頂上領域12cに対して横方向へのスライド操作をした場合には、入力指示判定部30は、当該操作の対象領域は第1側方領域12a及び第2側方領域12bの両方であると判定し、当該スライド操作を第1側方領域12a及び第2側方領域12bに表示された電子文書40の表示ページの切り替え指示として判定してもよい。この場合、プロセッサ22は、第1側方領域12a及び第2側方領域12bに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示ページを切り替える。
【0050】
一方、ユーザUaが頂上領域12cに対して上下方向へのスライド操作をした場合には、入力指示判定部30は、当該操作をしたユーザがユーザUaであることを識別し、識別したユーザUa側の第1側方領域12aが当該操作の対象領域であると判定し、当該スライド操作を第1側方領域12aに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示拡大率の変更指示として判定してもよい。この場合、プロセッサ22は、第1側方領域12aに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示拡大率を変更する。また、ユーザUbが頂上領域12cに対して上下方向へのスライド操作をした場合には、入力指示判定部30は、当該操作をしたユーザがユーザUbであることを識別し、識別したユーザUb側の第2側方領域12bが当該操作の対象領域であると判定し、当該スライド操作を第2側方領域12bに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示拡大率の変更指示として判定してもよい。この場合、プロセッサ22は、第2側方領域12bに表示された文書アプリケーションウィンドウ42内の電子文書40の表示拡大率を変更する。
【0051】
表示装置10の構成概要については以上の通りである。以下、
図9に示すフローチャートに従って、表示装置10の処理の流れを説明する。
図9のフローチャートの開始時点において、表示装置10の状態は平板状態であるとし、タッチパネル12には電子文書40を含む文書アプリケーションウィンドウ42が表示されているとする。
【0052】
ステップS10において、状態識別部24は、表示装置10の状態がテント状態に遷移したか否かを識別する。テント状態に遷移しなければ、プロセッサ22は表示装置10が平板状態であるとして処理を継続する。テント状態に遷移したと識別された場合にはステップS12に進む。
【0053】
ステップS12において、領域定義部26が湾曲したタッチパネル12上において第1側方領域12a、第2側方領域12b、及び頂上領域12cを定義する。そして、表示制御部28は、平板状態において表示されていた文書アプリケーションウィンドウ42をその表示サイズを変更しつつ第1側方領域12a及び第2側方領域12bに、表示させる。また、表示制御部28は、文書アプリケーションウィンドウ42に関する操作用アイコンを頂上領域12cに表示させる。
【0054】
ステップS14において、入力指示判定部30は、ユーザから頂上領域12cへの操作が有ったか否かを判定する。頂上領域12cへの操作が有った場合はステップS16に進む。なお、頂上領域12cへの操作が無い場合でも第1側方領域12a又は第2側方領域12bに対してユーザからの操作が有った場合には、プロセッサ22は、当該操作に応じた処理を適宜実行する。
【0055】
ステップS16において、入力指示判定部30は、頂上領域12cに対して操作を行ったユーザがユーザUaとユーザUbのいずれであるかを識別する。頂上領域12cに対して操作を行ったユーザがユーザUaであると識別した場合はステップS20に進み、ユーザUbであると識別した場合はステップS22に進む。
【0056】
ステップS20において、入力指示判定部30は、ステップS14にて頂上領域12cに入力された操作をユーザUaによる操作として、当該操作内容に応じて入力指示を判定する。一方、ステップS22において、入力指示判定部30は、ステップS14にて頂上領域12cに入力された操作をユーザUbによる操作として、当該操作内容に応じて入力指示を判定する。
【0057】
ステップS24において、プロセッサ22は、ステップS20又はS22にて判定された入力指示に応じた処理を実行する。
【0058】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0059】
例えば、本実施形態においては、表示装置10の状態がテント状態である場合、頂上領域12cは、
図2の矢印Aの方向から見たときに弓なりに湾曲した形状を有していたが(
図3参照)、テント状態における頂上領域12cとしては必ずしもその形状である必要はなく、例えば、上側を向いた平面であってもよい。
【0060】
また、テント状態の表示装置10は、上述のようなプレゼンテーションの他、様々な目的で利用することができる。例えば、対戦型のゲームをユーザUa及びユーザUbで行うときにテント状態の表示装置10が用いられてもよい。この場合、第1側方領域12aにはユーザUa向けのゲーム画面が表示され、第2側方領域12bにはユーザUb向けのゲーム画面が表示される。また、第1側方領域12a及び第2側方領域12bにカレンダを表示させることで、両側方から視認可能な電子カレンダとして利用することができる。さらに、第1側方領域12a及び第2側方領域12bに電子写真を表示させることで、両側方から視認可能なフォトフレームとして利用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
10 表示装置、12 タッチパネル、12a 第1側方領域、12b 第2側方領域、12c 頂上領域、14 枠体、 14a 中央部分、20 メモリ、22 プロセッサ、24 状態識別部、26 領域定義部、28 表示制御部、30 入力指示判定部。