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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】液体収容容器
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B41J2/175 163
B41J2/175 169
B41J2/175 119
B41J2/175 153
B41J2/175 173
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020011442
(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公開番号】P2021115794
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深澤 教幸
(72)【発明者】
【氏名】石澤 卓
(72)【発明者】
【氏名】水谷 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】太田代 眞央
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165805(JP,A)
【文献】特開2017-057016(JP,A)
【文献】特開2009-262932(JP,A)
【文献】特開平05-016377(JP,A)
【文献】特開平11-245986(JP,A)
【文献】特開2003-267438(JP,A)
【文献】特開2000-033715(JP,A)
【文献】米国特許第06257702(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0093340(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容容器であって、
筐体であって、ケース開口を有するケースと、前記ケース開口を塞ぐフタ部と、を有する筐体と、
前記フタ部の外面であるフタ外面と前記ケースの外面であるケース外面とに跨がり、かつ、前記筐体の外周を取り巻くように配置されたシートであって、前記フタ部と前記ケースとを保持するシートと、を備え、
前記フタ外面と前記ケース外面との少なくとも一方は、前記シートが前記筐体から外れることを抑制するための凹部と凸部の少なくとも一方を有し、
前記凹部または前記凸部は、前記筐体の外周を一周し、
前記シートは、前記シート同士が重なって溶着された溶着部を有し、
前記フタ外面と前記ケース外面との少なくとも一方は、前記溶着部を形成可能な溶着用凹部を有し、
前記シートは、前記溶着用凹部を覆う、液体収容容器
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容容器であって、
前記フタ外面と前記ケース外面との少なくとも一方は、前記シートを切断可能な切断用凹部を有し、
前記シートは、前記切断用凹部を覆う、液体収容容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の液体収容容器であって、
さらに、液体を収容する液体収容部であって、液体供給口を有する液体収容部と、を備え、
前記筐体は、
前記液体供給口を配置する配置孔が形成された第1面と、
前記第1面と対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面とを繋ぐ側面であって、前記ケースと前記フタ部とによって形成された側面と、を備え、
前記シートは、前記側面の外周に取り巻くように配置されている、液体収容容器。
【請求項4】
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の液体収容容器であって、
さらに、液体を収容する液体収容部であって、液体供給口を有する液体収容部と、を備え、
前記筐体は、
前記液体供給口を配置する配置孔が形成された第1面と、
前記第1面と対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面とを繋ぎ、前記ケースと前記フタ部とによって形成された側面と、を備え、
前記シートは、前記第1面と、前記第2面と、前記側面の一部とに跨がる、液体収容容器。
【請求項5】
液体収容容器であって、
筐体であって、ケース開口を有するケースと、前記ケース開口を塞ぐフタ部と、を有する筐体と、
前記フタ部の外面であるフタ外面と前記ケースの外面であるケース外面とに跨がり、かつ、前記筐体の外周を取り巻くように配置されたシートであって、前記フタ部と前記ケースとを保持するシートと、を備え、
前記シートは、前記シート同士が重なって溶着された溶着部を有し、
前記フタ外面と前記ケース外面との少なくとも一方は、前記溶着部を形成可能な溶着用凹部を有し、
前記シートは、前記溶着用凹部を覆う、液体収容容器。
【請求項6】
請求項5に記載の液体収容容器であって、
前記フタ外面と前記ケース外面との少なくとも一方は、前記シートが前記筐体から外れることを抑制するための凹部と凸部の少なくとも一方を有する、液体収容容器。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の液体収容容器であって、
前記フタ外面と前記ケース外面との少なくとも一方は、前記シートを切断可能な切断用凹部を有し、
前記シートは、前記切断用凹部を覆う、液体収容容器。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の液体収容容器であって、
さらに、液体を収容する液体収容部であって、液体供給口を有する液体収容部と、を備え、
前記筐体は、
前記液体供給口を配置する配置孔が形成された第1面と、
前記第1面と対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面とを繋ぐ側面であって、前記ケースと前記フタ部とによって形成された側面と、を備え、
前記シートは、前記側面の外周に取り巻くように配置されている、液体収容容器。
【請求項9】
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の液体収容容器であって、
さらに、液体を収容する液体収容部であって、液体供給口を有する液体収容部と、を備え、
前記筐体は、
前記液体供給口を配置する配置孔が形成された第1面と、
前記第1面と対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面とを繋ぎ、前記ケースと前記フタ部とによって形成された側面と、を備え、
前記シートは、前記第1面と、前記第2面と、前記側面の一部とに跨がる、液体収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体収容容器の一態様として、インクを収容したインク袋を内部に収容するインクカートリッジが知られている。インクカートリッジには、インク袋を収容するためのケースと、ケースの開口を塞ぐためのフタと、を備えたものがある。特許文献1には、ケースとフタとをスナップフィットによって互いに取り外し可能に固定し、さらにケースとフタとに跨って貼られた接着ラベルによって、ケースとフタとを分離できないようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-16377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接着ラベルをケースとフタに跨って貼った場合、以下の不具合が生じ得る。例えば、ケースとフタを分解する際に工具を用いて接着ラベルをケースやフタからはがす必要があり、ケースとフタが傷つく場合があった。この場合、ケースとフタのリサイクル率が低下するおそれがあった。また、例えばインクカートリッジが高温にさらされると、接着ラベルがケースとフタに強固に接着することで剥がれにくくなることがあった。これにより、インクカートリッジを分解する作業性が低下する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、液体収容容器が提供される。この液体収容容器は、筐体であって、ケース開口を有するケースと、前記ケース開口を塞ぐフタ部と、を有する筐体と、前記フタ部の外面であるフタ外面と前記ケースの外面であるケース外面とに跨がり、かつ、前記筐体の外周を取り巻くように配置されたシートであって、前記フタ部と前記ケースとを保持するシートと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】液体収容容器の第1斜視図。
図2】液体収容容器の第2斜視図。
図3】筐体をZ軸の正方向側から見た図。
図4図3のIV-IV断面図。
図5】液体収容容器の概略斜視図。
図6】液体収容容器をY軸の負方向側から見た図。
図7】液体収容容器をZ軸の正方向側から見た図。
図8】液体収容容器の外観斜視図。
図9】第2実施形態の液体収容容器の第1斜視図。
図10】第2実施形態の液体収容容器の第2斜視図。
図11】第2実施形態の液体収容容器の第1概略斜視図。
図12】第2実施形態の液体収容容器の第2概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態の構成
図1は、第1実施形態の液体収容容器20の第1斜視図である。図2は、液体収容容器20の第2斜視図である。図1および図2には、後述するシート80が取り付けられる前の液体収容容器20を図示している。液体収容容器20は、液体消費装置に着脱可能に装着される。本実施形態において、液体消費装置はプリンターである。なお、プリンターについては図示を省略している。図1には、互いに直交する三方向を示すX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の矢印が図示されている。X軸方向は、液体収容容器20の幅方向に相当し、Y軸方向は液体収容容器20の長手方向に相当し、Z軸方向は液体収容容器20の高さ方向に相当する。Y軸方向は、液体収容容器20がプリンターに挿入されるときの装着方向に相当する。他の図に描かれたX、Y、Z軸は、図1のX、Y、Z軸に対応している。
【0008】
図1図2に示すように、液体収容容器20は、外形が略直方体である。液体収容容器20は、筐体30と、液体収容部40と、を備える。筐体30は、液体収容部40を収容する。図1において、液体収容部40は破線で示されている。筐体30は、分離可能な第1ケース50と、第2ケース60と、フタ部70とを有し、それらを組み合わせることで形成される。筐体30の長手方向は、液体収容容器20の長手方向と平行である。
【0009】
以下の説明において、2つの壁が「交わる」とは、2つの壁が相互に繋がって交わる状態と、一方の壁を延長した場合に他方の壁に交わる状態と、それぞれの壁を延長した場合に交わる状態と、のいずれかの状態であることを意味する。また、2つの壁が「対向する」とは、2つの壁の間に他の物が存在しない場合と存在する場合の両方を含む意味である。
【0010】
第1ケース50は、第1壁51と、第1側壁52と、第2側壁53と、後壁54と、を備えている。第1壁51と、第1側壁52、第2側壁53、及び後壁54の板厚は略均一である。なお、本明細書において「壁」は平面状に構成されていなくてもよく、段差、溝、屈曲部、傾斜面、穴、スリットなどを有していてもよい。
【0011】
第1側壁52と第2側壁53は、Y軸及びZ軸に平行な壁部である。第1側壁52と第2側壁53は、液体収容容器20の幅方向について第1壁51の端においてそれぞれ接続し、X軸方向において対向する。第1側壁52は第2側壁53に対し、X軸の正方向側に位置する。第1側壁52と第2側壁53は、第1壁51及び後壁54と交わる位置関係にある。
【0012】
後壁54は、X軸及びZ軸に平行な壁部である。後壁54は、第1壁51と、第1側壁52と、第2側壁53と交わる位置関係にある。第1側壁52、第2側壁53、及び後壁54の高さは、略同一に揃えられている。第1ケース50のうち、第1壁51に対向する側と、後壁54に対向する側とはそれぞれ開口している。
【0013】
第1ケース50の外面には、凹部である第1凹部55a、55bが設けられている。第1凹部55a、55bは、後述するシート80が筐体30から外れることを抑制する2つの第1凹部55a、55bを区別することなく用いる場合には、第1凹部55と呼ぶ。第1凹部55は、図1に示す第1壁51の表面と図2に示す後壁54の表面と、に設けられている。各表面に形成された第1凹部55は、直線状に延びる。図1に示すように、第1凹部55は、第1壁51の、液体収容容器20の長手方向における一端から他端に亘って連続して形成されている。また、図2に示すように第1凹部55は、後壁54のうち第1壁51側の一端から第1壁51と対向する他端に亘って連続して形成されている。第1凹部55aと第1凹部55bは互いに平行であり、第1凹部55aは第1凹部55bよりもX軸の正方向側に位置する。
【0014】
図1および図2に示すように、第2ケース60は、第2壁61と、第1側壁62と、第2側壁63と、後壁64と、を備えている。第2ケース60は第1ケース50と同一の形状を有している。第2壁61ないし後壁64が、それぞれ第1ケース50の第1壁51ないし後壁54に対応している。第2ケース60には、第1ケース50の第1凹部55a、55bに対応する2つの第2凹部65a、65bが設けられている。第2凹部65a、65bを区別することなく用いる場合には、第2凹部65と呼ぶ。
【0015】
第2凹部65は、第1凹部55と同じ機能を有する。つまり、第2凹部65は、後述するシート80が筐体30から外れることを抑制するために用いられる。図2に示すように、第2凹部65は、第2壁61と後壁64の表面に設けられている。各表面に設けられた第2凹部65は、直線状に延びる。第2凹部65は、第2壁61のうち液体収容容器20の長手方向における一端から他端に亘って連続して形成されている。また、図2に示すように第2凹部65は、後壁64のうち第2壁61側の一端から第2壁61と対向する他端に亘って連続して形成されている。第2凹部65aと第2凹部65bは互いに平行であり、第2凹部65aは第2凹部65bよりもX軸の負方向側に位置する。
【0016】
上記のように、第1ケース50の第1壁51、第1側壁52、第2側壁53、後壁54と、第2ケース60の第2壁61、第1側壁62、第2側壁63、後壁64とは、第1ケース50と第2ケース60とによって構成されたケース100の外面であるケース外面を構成する。
【0017】
図1に示すように、フタ部70は、ケース開口101を塞ぐ。ケース開口101は、第1ケース50の第1壁51と第2ケース60の第2壁61とが向かい合うように重ねられることで形成された開口である。フタ部70は、前壁71と、フタ第1壁72と、フタ第2壁73と、フタ第1側壁74と、フタ第2側壁75と、を備える。前壁71とフタ第1壁72とフタ第2壁73とフタ第1側壁74とフタ第2側壁75とは、フタ部70の外面であるフタ外面を形成する。前壁71ないしフタ第2側壁75の板厚は略均一である。フタ部70を構成する各壁部の板厚と、第1ケース50と第2ケース60の各壁部の板厚は略均一である。前壁71の外面には、液体収容部40の液体供給口41を配置する配置孔76が形成されている。
【0018】
フタ第1壁72とフタ第2壁73は、X軸及びY軸に平行な壁部である。フタ第1壁72とフタ第2壁73は、Z軸方向において対向する。フタ第1壁72は、フタ第2壁73に対し、Z軸の正方向側に位置する。フタ第1壁72とフタ第2壁73は、前壁71、フタ第1側壁74及びフタ第2側壁75と交わる位置関係にある。
【0019】
フタ第1側壁74とフタ第2側壁75は、Y軸及びZ軸に平行な壁部である。フタ第1側壁74とフタ第2側壁75は、X軸方向において対向する。フタ第1側壁74は、フタ第2側壁75に対し、X軸の正方向側に位置する。フタ第1側壁74とフタ第2側壁75は、前壁71、フタ第1壁72、及びフタ第2壁73と交わる位置関係にある。図1に示すように、フタ部70には、前壁71に対向する壁部が形成されていないことにより、フタ開口77が形成されている。
【0020】
フタ部70の外面には、後述するシート80が筐体30から外れることを抑制するための2つのフタ凹部78a、78bが設けられている。2つのフタ凹部78a、78bを区別して用いない場合には、フタ凹部78と呼ぶ。フタ凹部78は、直線状に延びる。フタ凹部78は、フタ第1壁72の、長手方向における一端から他端に亘って連続して形成されている。また、図1に示すようにフタ凹部78は、前壁71のちフタ第1壁72側の一端からフタ第2壁73の一端に亘って連続して形成されている。さらに、図2に示すように、フタ凹部78は、フタ第2壁73の、前壁71と接続する端から、反対側の端に亘って連続して形成されている。フタ凹部78aとフタ凹部78bは互いに平行であり、フタ凹部78aがフタ凹部78bよりもX軸の正方向側に設けられている。フタ凹部78の幅方向の寸法は、第1凹部55と第2凹部65の幅方向における寸法と略均一である。
【0021】
図3は、筐体30をZ軸の正方向側から見た図である。図4は、図3のIV-IV断面図である。図1図3に示すように、フタ第1壁72の、中央よりもY軸の負方向側には、液体収容容器20の幅方向にわたって直線状の溶着用凹部79が設けられている。溶着用凹部79の両端は、フタ凹部78a、78bと接続している。図4に示すように、溶着用凹部79のZ軸の方向における寸法である深さは、フタ第1壁72の板厚の寸法よりも小さい。溶着用凹部79の機能については、後述する。
【0022】
図1に示す液体収容部40は、プリンターに供給するための液体を内部に収容する。液体収容部40は、液体の消費に伴って収縮する可撓性の袋体であり、例えば4枚のフィルムを貼り合わせ、フィルムの外周部を熱溶着によって接合することによって形成されている。フィルムの接合面の1辺には、液体収容部40の内部の液体を外部に導出する液体供給口41が、熱溶着によって接合されている。
【0023】
上述したように、筐体30は、第1ケース50、第2ケース60及びフタ部70を組み合わせることで形成される。液体収容部40を収容した筐体30を製造する場合には、まず第1ケース50の第1壁51と第2ケース60の第2壁61とが、液体収容部40を収容する内部空間を挟んで向かいあうように重ねられる。こうすることで形成されたケース開口101から第1ケース50と第2ケース60とによって形成された内部空間に液体収容部40が収容される。その後、ケース開口101を塞ぐようにフタ部70を第1ケース50と第2ケース60とに重ね合わせることで、液体収容部40を収容した液体収容容器20が製造される。
【0024】
図1に示すように、筐体30において、フタ部70の前壁71が形成する面は、筐体30の第1面33が形成される。上述したように、前壁71の外面である第1面33には配置孔76が形成されており、配置孔76に液体供給口41が配置される。図2に示すように、筐体30において、第1ケース50の後壁54と、第2ケース60の後壁64とによって形成され、第1面33とY軸において対向する面を、第2面34と呼ぶ。液体収容容器20をプリンターに装着する際の装着方向側の面は、第1面33である。
【0025】
図1に示すように、フタ部70のフタ第1側壁74、第1ケース50の第1側壁52及び、第2ケース60の第2側壁63が形成する面を、第1側面35と呼ぶ。図2に示すように、フタ部70のフタ第2側壁75、第1ケース50の第2側壁53及び、第2ケース60の第1側壁62によって形成され、第1側面35とX軸において対向する面を、第2側面36と呼ぶ。図1に示すように、フタ部70のフタ第1壁72と、第1ケース50の第1壁51とによって形成された面を、第3側面37と呼ぶ。図2に示すように、フタ部70のフタ第2壁73と、第2ケース60の第2壁61とによって形成された、第3側面37とZ軸において対向する面を、第4側面38と呼ぶ。第1側面35ないし第4側面38は、第1面33と第2面34を繋いでいる。
【0026】
以上のように形成された筐体30においては、図1図2に示すように、それぞれの凹部が連続する。具体的には、第1ケース50の第1凹部55aの両端が、フタ部70のフタ凹部78aと第2ケース60の第2凹部65bと接続される。さらに、フタ凹部78aのうち、第1凹部55aと接続する端とは反対の端が、第2凹部65bの第1凹部55aと接続しない端と接続する。なお、ここでいう接続とは、凹部の端同士が物理的に接触している状態をいう。
【0027】
このようにして、筐体30の外面に、筐体30の外周を一周する凹部である筐体凹部32aが形成される。同じように、第1凹部55bと第2凹部65aとフタ凹部78bが接続し、筐体凹部32bが形成される。筐体凹部32aと筐体凹部32bを区別しない場合には、筐体凹部32と呼ぶ。筐体凹部32は、シート80が筐体30から外れることを抑制するため凹部である。
【0028】
図5は、液体収容容器20の概略斜視図である。なお、理解の便を図って、シート80を透かして筐体30の外面を表している。図7図11及び図12においても同様である。図6は、液体収容容器20をY軸の負方向側から見た図である。図7は、液体収容容器20をZ軸の正方向側から見た図である。図8は、液体収容容器20の外観斜視図である。
【0029】
図5ないし図8に示すように、液体収容容器20は、筐体30の外面に、筐体30の外周を取り巻くようにシート80が配置されている。具体的には、シート80は、液体収容容器20の幅方向であるX軸方向を中心として筐体30の外周を取り巻くように配置されている。より具体的には、シート80は、フタ外面を構成する前壁71と、フタ第1壁72と、フタ第2壁73と、ケース外面を構成する第1壁51と、後壁54と、第2壁61と後壁64とに跨がり、フタ部70とケース100とが分解されないように保持する。
【0030】
シート80は略矩形であり、シート80の長手方向の寸法が、筐体30の長手方向における外周を一周できる長さを有する。シート80の幅方向の寸法は、筐体30の幅方向の寸法よりも小さい。具体的には、シート80の幅方向の寸法は、筐体凹部32aと筐体凹部32bの間の寸法と略均一である。シート80は、例えばポリエチレンなどの合成樹脂によって形成されている。シート80には、配置孔76と略同径のシート穴81が形成されている。
【0031】
以下において、筐体30へのシート80の配置方法について説明する。シート80は、シート穴81が配置孔76と一致するように、筐体30の外周に巻かれる。より具体的には、シート80は、筐体30の第1面33、第3側面37、第2面34、第4側面38に跨り、かつシート80の両端が重なった状態で溶着用凹部79を覆うように、筐体30の上に配置される。
【0032】
次に、図示しない2つの溶着用工具のうち、一方の溶着用工具が、図5に示す溶着用凹部79とシート80の両端の間に差し込まれ、他方の溶着器具が逆側からシート80の両端を挟みこんで熱溶着することで、シート80の両端を接合する。溶着用凹部79において接合されたシート80の部分を、溶着部82とする。
【0033】
上述したように、筐体30は、第1ケース50と第2ケース60、及びフタ部70を嵌め合わせることなく、重ねて組合わせることさせることによって形成している。そのため筐体30のみの状態では容易に分解するが、シート80が筐体30を取り巻いた状態で、シート80の両端同士が溶着されることにより、シート80によって筐体30はその形状を保持することができる。
【0034】
また、シート80の両端同士を接合しているため、シート80を筐体30に接着することなく、筐体30を保持することができる。このため、シート80を筐体30に接着した場合に生じる不具合の発生を低減できる。例えば、リサイクル時において筐体30を容易にシート80と分離することができるため、筐体30が傷つくことを防止することができる。これにより、筐体30のリサイクル率を上げることが可能となる。また、第1ケース50と第2ケース60、及びフタ部70のそれぞれのリサイクル率を上げることができる。また、例えば、液体収容容器20が高温にさらされた場合であっても、シート80が直接に筐体30に貼り付けられていないため、シート80を筐体30から容易に分離することができる。これにより、液体収容容器20を分解する作業性を上げることができる。
【0035】
さらに、溶着用凹部79に溶着用工具を差し込むことにより、シート80を熱溶着することができる。このため、シート80を容易に筐体30上に配置することができる。
【0036】
上述したように、筐体30の外面には、長手方向に沿った筐体凹部32が形成されている。そのため、シート80が筐体30の幅方向にスライドした場合であっても、筐体凹部32aにシート80の端が滑り落ちることで、それ以上のシート80のスライドが生じない。よって、シート80が筐体30から外れることを抑制することができるため、意図せず液体収容容器20が分解することを防止することができる。
【0037】
ここで、液体収容容器20の、プリンターへの装着について説明する。液体収容容器20は、Y軸方向の負方向に向かって、筐体30の第1面33がプリンターに向いた状態で装着される。装着された液体収容容器20は第2面34を除く外面がプリンターの内部に収容された状態で使用される。本実施形態の液体収容容器20は、第2面34にシート80が配置されているため、図8に示すように、第2面34に配されるシート80の部分に、液体収容容器20に関する情報を記載することができる。そのため、液体収容容器20の使用時において、ユーザーが液体収容容器20に関する情報を容易に確認することができる。液体収容容器20に関する情報としては、例えば、収容する液体の色情報が挙げられる。
【0038】
また、溶着用凹部79は、シート80を切断可能な切断用凹部としても機能する。液体収容容器20のリサイクル時に、溶着用凹部79に沿ってカッターナイフなどの工具を用いてシート80を切断することにより、シート80を液体収容容器20から容易に分離することができる。そのため、ケース100とフタ部70のリサイクル率をさらに上げることが可能となる。
【0039】
B.第2実施形態の構成
図9は、第2実施形態の液体収容容器20Bの第1斜視図である。図10は、液体収容容器20Bの第2斜視図である。図9および図10には、後述するシート80が取り付けられる前の液体収容容器20Bを図示している。第2実施形態では、筐体30の外周をシート80が取り巻くという基本的構造は第1実施形態と同一である。第2実施形態では、第1実施形態と、筐体凹部32B、溶着用凹部79Bの形成位置と、シート80の筐体30への巻き付け方向が、第1実施形態と異なる。上記実施形態と同一の部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、第2実施形態のシート80には、第1実施形態のシート80が有する穴が形成されていない。
【0040】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、第1ケース50と第2ケース60、及びフタ部70が組み合わされることによって筐体30が形成される。
【0041】
筐体凹部32Ba、32Bbは、シート80が筐体30から外れることを抑制するための凹部である。筐体凹部32Baは、フタ部70の外面に設けられている。筐体凹部32Baは、液体収容容器20の長手方向であるY軸方向を中心としてフタ部70の外周を一周するように形成されている。筐体凹部32Bbは、ケース100の外面に設けられている。筐体凹部32Bbは、液体収容容器20の長手方向であるY軸方向を中心としてケース100の外周を一周するように形成されている。筐体凹部32Ba、32Bbを区別することなく用いる場合には、符号32Bを用いる。
【0042】
溶着用凹部79Ba、79Bbは、筐体30の長手方向であるY軸方向に沿って直線状に延びる。図9に示すように、溶着用凹部79Baは第3側面37に形成されている。図10に示すように、溶着用凹部79Bbは、第4側面38に形成されている。なお、溶着用凹部79Ba、79Bbの一方は省略してもよい。溶着用凹部79Ba、79Bbを区別することなく用いる場合には符号79Bを用いる。溶着用凹部79Bは、筐体30の長手方向に間隔を開けて形成された2つの筐体凹部32Ba、32Bbに亘って形成されている。つまり、溶着用凹部79Bの一端は溶着用凹部79Baに接続され、溶着用凹部79Bの他端は溶着用凹部79Bbに接続される。溶着用凹部79Ba、79Bbは、シート80を切断可能な切断用凹部としても機能する。
【0043】
図11は、第2実施形態の液体収容容器20Bの第1概略斜視図である。図12は、第2実施形態の液体収容容器20Bの第2概略斜視図である。液体収容部40を収容した筐体30の製造方法は、第1実施形態と同様であるので省略する。シート80は、フタ外面を構成するフタ第1壁72と、フタ第2壁73と、フタ第1側壁74と、フタ第2側壁75と、の一部と、ケース外面を構成する第1ケース50の第1壁51、第1側壁52、第2側壁53と、第2ケースの第2壁61、第1側壁62、第2側壁63と、の一部に跨がることで、フタ部70とケース100とが分解されないように保持する。つまり、シート80は、液体収容容器20Bの長手方向であるY軸方向を中心として筐体30の外周を取り巻くように配置されている。また、シート80は、第1実施形態と同様に、筐体30に直接に貼り付けられておらず、シート80の端部同士が溶着されている。また、シート80は、フタ部70のフタ外面とケース100のケース外面に跨がる。
【0044】
シート80は、シート80の両端が重なった状態で、溶着用凹部79Baを覆うように、筐体30の上に配置される。次に、シート80の両端同士が熱溶着され、溶着部82を形成する。これにより、シート80が筐体30の上に固定される。シート80の熱溶着の方法は、第1実施形態と同様である。なお、シート80の両端は、溶着用凹部79Bbを覆うように筐体30に配置されてもよい。
【0045】
これにより、シート80を筐体30に貼り付けることなく、筐体30の側面を取り巻くように配置することができる。そのため、第1実施形態と同様に、シート80によって筐体30を保持することができるため、第1ケース50と第2ケース60、及びフタ部70のリサイクル率を上げることができる。また、液体収容容器20Bが高温にさらされた場合であっても、シート80が直接に筐体30に貼り付けられていないため、シート80を筐体30から容易に分離することができる。これにより、液体収容容器20Bを分解する作業性を上げることができる。
【0046】
また、溶着用凹部79Bはシート80を切断可能な切断用凹部としても機能する。液体収容容器20Bのリサイクル時に、溶着用凹部79Bに沿ってカッターナイフなどの工具を用いてシート80を切断することにより、シート80を液体収容容器20から容易に分離することができる。そのため、ケース100とフタ部70のリサイクル率をさらに上げることが可能となる。
【0047】
C.他の実施形態
(C1)上記実施形態では、第1ケース50と第2ケース60は別々の部材とした。しかし、第1ケースと第2ケースは一体で成形されてもよい。
【0048】
(C2)上記実施形態では、第1ケース50と第2ケース60、及びフタ部70の外面に、シート80が筐体30から外れることを抑制するための筐体凹部32、32Bが形成されている。しかし、例えば凹部はフタ部のみに形成されていてもよく、さらにはフタ部の上壁、第1横壁、第2横壁にのみ連続した形状であってもよい。凹部の形状は直線状に限らず、波型や丸型であってもよく、幅も均一でなくてもよい。また、凹部でなく、凸部が形成されていてもよいし、凹部と凸部の両方が形成されていてもよい。
【0049】
(C3)上記実施形態では、シート80を切断可能な切断用凹部と、溶着部82を形成可能な溶着用凹部は同じ要素であり同じ部分に形成されていたが、溶着用凹部と切断用凹部は、別の位置に設けられてもよい。また、切断用凹部はフタ部に設けられ、溶着用凹部はケース側に設けられてもよく、それぞれの凹部は幅が均一でなくてもよい。溶着用凹部においてシートの両端を接合することができ、切断用凹部においてシートを切断することでシートと筐体を分離することができることが好ましい。
【0050】
(C4)上記実施形態では、シート80の素材はポリエチレンであるが、例えばシートはポリプロピレンであってもよく、紙などの素材により形成されていてもよい。また、シートは透けていてもよい。その接合の方法も熱溶着に限られず、例えば筐体にシートを巻き付けた後に熱収縮によってシートを収縮させることにより筐体に接着させてもよい。また、接着剤や両面テープなど、他の接合方法を用いることができる。
【0051】
(C5)上記実施形態では、2つの溶着用工具によってシート80の両端同士が接合されているが、例えばはさみ状の溶着用工具によってシートの両端同士を挟みこんで接合してもよい。
【0052】
(C6)上記実施形態では、液体消費装置はプリンターとしたが、例えばファクシミリ装置、液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置など、プリンター以外の装置にも適用可能である。
【0053】
(C7)上記実施形態では、装着された液体収容容器20は第2面34を除く外面がプリンターの内部に収容された状態で使用される。しかし、例えば液体収容容器は、第2面と、第1側面、第2側面、第3側面及び第4側面の一部を除く外面がプリンターの内部に収容された状態で使用されてもよい。
【0054】
D.他の形態
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0055】
(1)本開示の一形態によれば、液体収容容器が提供される。この液体収容容器は、筐体であって、ケース開口を有するケースと、前記ケース開口を塞ぐフタ部と、を有する筐体と、前記フタ部の外面であるフタ外面と前記ケースの外面であるケース外面とに跨がり、かつ、前記筐体の外周を取り巻くように配置されたシートであって、前記フタ部と前記ケースとを保持するシートと、を備える。このような態様においては、シートをケースとフタ部に接着することなく、ケースとフタ部を保持することができる。このため、シートをケースとフタ部に接着した場合に生じる不具合の発生を低減できる。例えば、リサイクル時においてケースとフタ部を容易にシートと分離することができ、ケースとフタが傷つくことを防止することができる。これにより、ケースとフタ部のリサイクル率を上げることが可能となる。また、例えば、液体収容容器が高温にさらされた場合であっても、シートをケースとフタ部から容易に分離することができるため、液体収容体容器を分解する作業性を上げることができる。
【0056】
(2)上記形態の液体収容容器において、前記フタ外面と前記ケース外面との少なくとも一方は、前記シートが前記筐体から外れることを抑制するための凹部と凸部の少なくとも一方を有していてもよい。このような態様においては、シートが筐体から外れることを抑制することができる。そのため、意図せず液体収容容器が分解することを防止することができる。
【0057】
(3)上記形態の液体収容容器において、前記フタ外面と前記ケース外面との少なくとも一方は、前記シートを切断可能な切断用凹部を有し、前記シートは、前記切断用凹部を覆っていてもよい。このような態様においては、液体収容容器のリサイクル時に、切断用凹部を覆うシートの部分を切断することにより、シートを液体収容容器と容易に分離することができる。そのため、ケースとフタ部のリサイクル率をさらに上げることが可能となる。
【0058】
(4)上記形態の液体収容容器において、前記シートは、前記シート同士が重なって溶着された溶着部を有し、前記フタ外面と前記ケース外面との少なくとも一方は、前記溶着部を形成可能な溶着用凹部を有し、前記シートは、前記溶着用凹部を覆っていてもよい。このような態様においては、溶着用凹部に溶着用の工具を差し込むことにより、溶着用の工具と、他の溶着用工具の間で、シートを溶着することができる。このため、シートを容易に筐体上に配置することができる。
【0059】
(5)上記形態の液体収容容器において、さらに、液体を収容する液体収容部であって、液体供給口を有する液体収容部と、を備え、前記筐体は、前記液体供給口を配置する配置孔が形成された第1面と、前記第1面と対向する第2面と、前記第1面と前記第2面とを繋ぐ側面であって、前記ケースと前記フタ部とによって形成された側面と、を備え、前記シートは、前記側面の外周に取り巻くように配置されていてもよい。このような態様においては、シートを、筐体の側面を取り巻くように配置することができる。
【0060】
(6)上記形態の液体収容容器において、さらに、液体を収容する液体収容部であって、液体供給口を有する液体収容部と、を備え、前記筐体は、前記液体供給口を配置する配置孔が形成された第1面と、前記第1面と対向する第2面と、前記第1面と前記第2面とを繋ぎ、前記ケースと前記フタ部とによって形成された側面と、を備え、前記シートは、前記第1面と、前記第2面と、前記側面の一部とに跨がっていてもよい。このような態様においては、配置孔が形成された第1面と対向する第2面に配されるシートの部分に、液体収容容器の情報を記載することができ、液体収容容器の使用時において、ユーザーが液体収容容器の情報を容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0061】
20、20B…液体収容容器、30…筐体、32、32a、32b、32B、32Ba、32Bb…筐体凹部、33…第1面、34…第2面、35…第1側面、36…第2側面、37…第3側面、38…第4側面、40…液体収容部、41…液体供給口、50…第1ケース、51…第1壁、52、62…第1側壁、53、63…第2側壁、54、64…後壁、55、55a、55b…第1凹部、60…第2ケース、61…第2壁、65、65a、65b…第2凹部、70…フタ部、71…前壁、72…フタ第1壁、73…フタ第2壁、74…フタ第1側壁、75…フタ第2側壁、76…配置孔、77…フタ開口、78、78a、78b…フタ凹部、79、79B、79Ba、79Bb…溶着用凹部、80…シート、81…シート穴、82…溶着部、100…ケース、101…ケース開口
図1
図2
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図12