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  • 特許-水素ステーション 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】水素ステーション
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020021429
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021127781
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智志
(72)【発明者】
【氏名】藤森 弘幸
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-223589(JP,A)
【文献】特開平10-285831(JP,A)
【文献】特開2016-161071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素が貯留された水素供給源と、
燃料電池と、
電力が供給されているときに充填対象に水素を供給する水素供給装置と、
前記水素供給源に貯留された水素を前記水素供給装置に供給するための配管である供給用水素ガス配管と、
前記水素供給源に貯留された水素を前記燃料電池に供給するための配管である電池用水素ガス配管と、
前記供給用水素ガス配管に設けられ、電力が供給されているときに前記供給用水素ガス配管を開状態とし、電力が供給されていないときに前記供給用水素ガス配管を閉状態とするバルブである供給用電磁バルブと、
前記電池用水素ガス配管に設けられ、電力が供給されているときに前記電池用水素ガス配管を開状態とし、電力が供給されていないときに前記電池用水素ガス配管を閉状態とするバルブである電池用電磁バルブと、を備える水素ステーションであって、
前記供給用水素ガス配管に接続されるとともに前記供給用水素ガス配管の水素の供給方向において、前記供給用電磁バルブの上流と下流とを接続する配管である供給用バイパス配管と、
前記電池用水素ガス配管に接続されるとともに前記電池用水素ガス配管の水素の供給方向において、前記電池用電磁バルブの上流と下流とを接続する配管である電池用バイパス配管と、
前記供給用バイパス配管に設けられ、前記供給用バイパス配管を手動で開閉する供給用手動バルブと、
前記電池用バイパス配管に設けられ、前記電池用バイパス配管を手動で開閉する電池用手動バルブと、
前記燃料電池と前記水素供給装置とを電気的に接続可能に構成された臨時供給装置と、を備え、
前記燃料電池は、前記燃料電池を発電可能にさせる稼働源に接続されており、商用電源の喪失時に前記稼働源から電力が供給されることにより再稼働されるとともに、前記電池用手動バルブが開状態にされることにより前記水素供給源から水素を供給され、
前記臨時供給装置は、商用電源の喪失時に前記燃料電池で発電された電力を少なくとも前記水素供給装置に供給し、
前記水素供給装置は、商用電源の喪失時に前記臨時供給装置から電力が供給されることにより再稼働されるとともに、前記供給用手動バルブが開状態にされて前記水素供給源から水素が供給されることにより充填対象への水素の供給が可能とされることを特徴とする水素ステーション。
【請求項2】
前記水素供給源の水素を圧縮した状態で送出する圧縮機と、
前記圧縮機から送出された水素を貯留する蓄圧機と、を備え、
前記供給用水素ガス配管は、
前記水素供給源に貯留された水素を前記圧縮機に供給するための第1配管と、
前記圧縮機から送出される水素を前記蓄圧機に供給するための第2配管と、
前記蓄圧機に貯留された水素を前記水素供給装置に供給するための第3配管と、を有し、
前記供給用電磁バルブは、前記第1配管、前記第2配管、及び前記第3配管それぞれに設けられ、
前記供給用バイパス配管は、前記第1配管、前記第2配管、及び前記第3配管それぞれに接続されるとともに前記第1配管、前記第2配管、及び前記第3配管の水素の供給方向において、前記第1配管、前記第2配管、及び前記第3配管それぞれに設けられた前記供給用電磁バルブの上流と下流とを接続していることを特徴とする請求項1に記載の水素ステーション。
【請求項3】
前記稼働源は、前記燃料電池に搭載される蓄電装置であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の水素ステーションが知られている。
上記水素ステーションは、水素が貯留された水素供給源としての水素ガスタンクと、燃料電池と、充填対象に水素を供給する水素供給装置としての水素ガス補給手段と、を備えている。水素ステーションは、水素ガスタンクと燃料電池とを接続する供給用水素ガス配管としての第1水素ガス供給管を備えている。第1水素ガス供給管は、水素ガスタンクに貯留された水素を燃料電池に供給するための配管である。水素ステーションは、水素ガスタンクと水素ガス補給手段とを接続する電池用水素ガス配管としての第2水素ガス供給管を備えている。第2水素ガス供給管は、水素ガスタンクに貯留された水素を水素ガス補給手段に供給するための配管である。水素ステーションは、第1水素ガス供給管に設けられるバルブを備えている。当該バルブは、電力が供給されているときに第1水素ガス供給管を開状態とし、電力が供給されていないときに第1水素ガス供給管を閉状態とする電磁バルブである。水素ステーションは、第2水素ガス供給管に設けられるバルブを備えている。当該バルブは、電力が供給されているときに第2水素ガス供給管を開状態とし、電力が供給されていないときに第2水素ガス供給管を閉状態とする電磁バルブである。なお、電磁バルブ及び水素ガス補給手段には、商用電源の電力が供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-196929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、停電等により商用電源が喪失したとき、電磁バルブが閉状態となり、水素ガス補給手段に水素が供給されなくなることに加え、水素ガス供給手段が停止する。また商用電源が喪失したときは、水素ガス補給手段も機能が停止する。そのため、商用電源の喪失時には、充填対象に水素が供給できなくなり、水素ガスタンクに蓄えられている水素を有効活用できない。
【0005】
本発明の目的は、商用電源の喪失時に充填対象に水素を供給できる水素ステーションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する水素ステーションは、水素が貯留された水素供給源と、燃料電池と、充填対象に水素を供給する水素供給装置と、前記水素供給源に貯留された水素を前記水素供給装置に供給するための配管である供給用水素ガス配管と、前記水素供給源に貯留された水素を前記燃料電池に供給するための配管である電池用水素ガス配管と、前記供給用水素ガス配管に設けられ、電力が供給されているときに前記供給用水素ガス配管を開状態とし、電力が供給されていないときに前記供給用水素ガス配管を閉状態とするバルブである供給用電磁バルブと、前記電池用水素ガス配管に設けられ、電力が供給されているときに前記電池用水素ガス配管を開状態とし、電力が供給されていないときに前記電池用水素ガス配管を閉状態とするバルブである電池用電磁バルブと、を備える水素ステーションであって、前記供給用水素ガス配管に接続されるとともに前記供給用水素ガス配管の水素の供給方向において、前記供給用電磁バルブの上流と下流とを接続する配管である供給用バイパス配管と、前記電池用水素ガス配管に接続されるとともに前記電池用水素ガス配管の水素の供給方向において、前記電池用電磁バルブの上流と下流とを接続する配管である電池用バイパス配管と、前記供給用バイパス配管に設けられ、前記供給用バイパス配管を手動で開閉する供給用手動バルブと、前記電池用バイパス配管に設けられ、前記電池用バイパス配管を手動で開閉する電池用手動バルブと、商用電源の喪失時に前記燃料電池を発電可能にさせる稼働源と、前記燃料電池と前記水素供給装置とを電気的に接続可能に構成され、商用電源の喪失時に前記燃料電池で発電された電力を少なくとも前記水素供給装置に供給する臨時供給装置と、を備える。
【0007】
これによれば、商用電源の喪失時に供給用水素ガス配管及び電池用水素ガス配管が閉状態になったとしても供給用手動バルブ及び電池用手動バルブを手動で操作して、供給用バイパス配管及び電池用バイパス配管を開状態にすることにより水素供給装置及び燃料電池に水素を供給できる。また、商用電源の喪失時には稼働源により燃料電池を稼働させることができ、燃料電池で発電された電力を臨時供給装置から水素供給装置に供給し、水素供給装置を稼働させることができる。したがって、商用電源の喪失時に充填対象に水素を供給できる。
【0008】
上記の水素ステーションにおいて、前記水素供給源の水素を圧縮した状態で送出する圧縮機と、前記圧縮機から送出された水素を貯留する蓄圧機と、を備え、前記供給用水素ガス配管は、前記水素供給源に貯留された水素を前記圧縮機に供給するための第1配管と、前記圧縮機から送出される水素を前記蓄圧機に供給するための第2配管と、前記蓄圧機に貯留された水素を前記水素供給装置に供給するための第3配管と、を有し、前記供給用電磁バルブは、前記第1配管、前記第2配管、及び前記第3配管それぞれに設けられ、前記供給用バイパス配管は、前記第1配管、前記第2配管、及び前記第3配管それぞれに接続されるとともに前記第1配管、前記第2配管、及び前記第3配管の水素の供給方向において、前記第1配管、前記第2配管、及び前記第3配管それぞれに設けられた前記供給用電磁バルブの上流と下流とを接続しているとよい。
【0009】
これによれば、商用電源の喪失時に第3配管に接続される供給用バイパス配管を供給用手動バルブにより開状態にすることにより蓄圧機から水素供給装置に水素を供給することができる。よって、商用電源の喪失時に圧縮機が停止して、水素供給源から圧縮機を介して蓄圧機に水素が供給されなくても蓄圧機に充填されていた高圧の水素を水素供給装置に供給することができる。
【0010】
上記の水素ステーションにおいて、前記稼働源は、前記燃料電池に搭載される蓄電装置であるとよい。
これによれば、蓄電装置には燃料電池で発電された電力をあらかじめ充電させることができる。そのため、停電等による商用電源の喪失時に蓄電装置の電力を使用して迅速に燃料電池を稼働することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、商用電源の喪失時に充填対象に水素を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】水素ステーションの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、水素ステーションを具体化した一実施形態を図1にしたがって説明する。
図1に示すように、水素ステーション1は、充填対象Tとしての燃料電池式のフォークリフト等の産業車両や、燃料電池車両に水素を補給するための補給所である。水素ステーション1は、水素が貯留された水素供給源10と、燃料電池としての定置型燃料電池20と、充填対象Tに水素を供給する水素供給装置としてのディスペンサ30とを備えている。水素供給源10は、例えば複数の水素ガスボンベを集合させることにより形成されるカードルである。水素供給源10に貯留された水素の圧力は、20MPa程度である。
【0014】
定置型燃料電池20は、複数の燃料電池セルをスタック化したスタック体21と、蓄電装置22とを搭載している。定置型燃料電池20は、スタック体21と、蓄電装置22とを有する燃料電池ユニットである。燃料電池セルとは、例えば、固体高分子型燃料電池である。スタック体21は、燃料ガスとしての水素と、酸化剤ガスとしての空気中の酸素との電気化学反応により発電を行う。スタック体21で発電される電力は、直流電力である。
【0015】
蓄電装置22は、スタック体21で発電された電力の一部を蓄える。蓄電装置22は、例えばリチウムイオン二次電池である。本実施形態では、定置型燃料電池20で発電された電力は、水素ステーション1の敷地の外に位置するコンビニや工場等の施設252の電源として使用されている。施設252は、定置型燃料電池20で発電された電力を交流電力に変換させるためのパワーコンディショナーを有している。なお、定置型燃料電池20は、スタック体21と、スタック体21に空気を供給するコンプレッサや、蓄電装置22に蓄えられた電力を用いてスタック体21を稼働させるための稼働部等の構成が含まれている。また、定置型燃料電池20で発電された電力は、後述する商用電源251のバックアップ電源としても使用可能であり、電気自動車の充電用電源としても使用可能である。
【0016】
水素ステーション1は、水素供給源10とディスペンサ30とを接続する供給用水素ガス配管40と、水素供給源10と定置型燃料電池20のスタック体21とを接続する電池用水素ガス配管50と、を備えている。水素ステーション1は、供給用水素ガス配管40に設けられる3つの供給用電磁バルブ61と、電池用水素ガス配管50に設けられる1つの電池用電磁バルブ62と、を備えている。水素ステーション1は、供給用水素ガス配管40に設けられる圧縮機101と、供給用水素ガス配管40に設けられる蓄圧機102とを備えている。なお、3つの供給用電磁バルブ61それぞれを第1電磁バルブ61a、第2電磁バルブ61b、及び第3電磁バルブ61cとする。
【0017】
供給用水素ガス配管40は、第1配管41と、第2配管42と、第3配管43とを有している。第1配管41は、水素供給源10と圧縮機101とを接続している。第1配管41は、水素供給源10に貯留された水素を圧縮機101に供給するための配管である。圧縮機101は、水素供給源10の水素を圧縮した状態で送出するコンプレッサである。第1配管41は、第1上流配管41aと、第1下流配管41bとを有している。第1上流配管41aの一方の端部は、水素供給源10に接続され、第1上流配管41aの他方の端部は、第1電磁バルブ61aに接続されている。第1下流配管41bの一方の端部は、第1電磁バルブ61aに接続され、第1下流配管41bの他方の端部は、圧縮機101に接続されている。第1電磁バルブ61aは、第1配管41に設けられている。
【0018】
第2配管42は、圧縮機101と蓄圧機102とを接続している。第2配管42は、圧縮機101から送出される水素を蓄圧機102に供給するための配管である。蓄圧機102は、圧縮機101から送出された水素を貯留している。蓄圧機102は、圧縮機101から送出される圧縮された水素を、その圧力を保持した状態で貯留している。蓄圧機102に貯留された水素の圧力は、水素供給源10の圧力よりも高い圧力である。第2配管42は、第2上流配管42aと、第2下流配管42bとを有している。第2上流配管42aの一方の端部は、圧縮機101に接続され、第2上流配管42aの他方の端部は、第2電磁バルブ61bに接続されている。第2下流配管42bの一方の端部は、第2電磁バルブ61bに接続され、第2下流配管42bの他方の端部は、蓄圧機102に接続されている。第2電磁バルブ61bは、第2配管42に設けられている。
【0019】
第3配管43は、蓄圧機102とディスペンサ30とを接続している。第3配管43は、蓄圧機102に貯留された水素をディスペンサ30に供給するための配管である。第3配管43は、第3上流配管43aと、第3下流配管43bとを有している。第3上流配管43aの一方の端部は、蓄圧機102に接続され、第3上流配管43aの他方の端部は、第3電磁バルブ61cに接続されている。第3下流配管43bの一方の端部は、第3電磁バルブ61cに接続され、第3下流配管43bの他方の端部は、ディスペンサ30に接続されている。第3電磁バルブ61cは、第3配管43に設けられている。
【0020】
3つの供給用電磁バルブ61、圧縮機101、及びディスペンサ30は、図1の矢印Aで示すように商用電源251から電力が供給されることにより稼働する。商用電源251は、例えば水素ステーション1に電力を供給する契約電力であり、交流電源である。第1電磁バルブ61a、第2電磁バルブ61b、及び第3電磁バルブ61cそれぞれは、電力が供給されているときに第1配管41、第2配管42、及び第3配管43それぞれを開状態とし、電力が供給されていないときに第1配管41、第2配管42、及び第3配管43それぞれを閉状態とするバルブである。ここで、第1配管41の開状態とは、第1上流配管41aと第1下流配管41bとを連通させた状態を示し、第1配管41の閉状態とは、第1上流配管41aと第1下流配管41bとを遮断した状態を示している。第2配管42の開状態とは、第2上流配管42aと第2下流配管42bとを連通させた状態を示し、第2配管42の閉状態とは、第2上流配管42aと第2下流配管42bとを遮断した状態を示している。第3配管43の開状態とは、第3上流配管43aと第3下流配管43bとを連通させた状態を示し、第3配管43の閉状態とは、第3上流配管43aと第3下流配管43bとを遮断した状態を示している。すなわち、3つの供給用電磁バルブ61は、電力が供給されているときに供給用水素ガス配管40を開状態とし、電力が供給されていないときに供給用水素ガス配管40を閉状態とするバルブである。供給用水素ガス配管40の開状態とは、水素供給源10とディスペンサ30と連通している状態を示し、供給用水素ガス配管40の閉状態とは、水素供給源10とディスペンサ30とが連通せず、水素供給源10からディスペンサ30に水素が供給されない状態を示している。
【0021】
3つの供給用電磁バルブ61に電力が供給されているとき、供給用水素ガス配管40は、開状態となるため、水素供給源10に貯留された水素は、圧縮機101に吸引され、圧縮機101により圧縮された状態で蓄圧機102に供給される。蓄圧機102に供給された水素は、その圧力が保持された状態で貯留されるとともにディスペンサ30に供給される。
【0022】
ディスペンサ30は、水素の流量を調整する調整機構を有している。ディスペンサ30は、蓄圧機102から供給された水素の流量を調整機構により調整した上で充填対象Tに水素を充填する。よって、供給用水素ガス配管40は、水素供給源10とディスペンサ30とを接続し、水素供給源10に貯留された水素をディスペンサ30に供給するための配管である。
【0023】
電池用水素ガス配管50は、第1接続配管51と、第2接続配管52とを有している。第1接続配管51の一方の端部は、第1上流配管41aに接続され、第1接続配管51の他方の端部は、電池用電磁バルブ62に接続されている。第2接続配管52の一方の端部は、電池用電磁バルブ62に接続され、第2接続配管52の他方の端部は、定置型燃料電池20のスタック体21に接続されている。電池用電磁バルブ62は、電池用水素ガス配管50に設けられている。なお、第1接続配管51の一方の端部は、水素供給源10に接続されてもよい。
【0024】
電池用電磁バルブ62には、図1の矢印Aで示すように商用電源251から電力が供給されている。電池用電磁バルブ62は、電力が供給されているときに電池用水素ガス配管50を開状態とし、電力が供給されていないときに電池用水素ガス配管50を閉状態とするバルブである。電池用水素ガス配管50の開状態とは、第1接続配管51と第2接続配管52とが連通している状態を示し、電池用水素ガス配管50の閉状態とは、第1接続配管51と第2接続配管52とを遮断した状態を示している。
【0025】
電池用電磁バルブ62に電力が供給されているとき、電池用水素ガス配管50は、開状態となるため、水素供給源10に貯留された水素は、第1接続配管51、電池用電磁バルブ62、及び第2接続配管52を通じて定置型燃料電池20に供給される。よって、電池用水素ガス配管50は、水素供給源10に貯留された水素を定置型燃料電池20に供給するための配管である。なお、定置型燃料電池20は、3つの供給用電磁バルブ61、圧縮機101、及びディスペンサ30に電力が供給され、常に充填対象Tに水素を充填できる状況において、同時に稼働しており、発電された電力は施設252に供給される。
【0026】
水素ステーション1は、3つの供給用バイパス配管70と、1つの電池用バイパス配管80と、3つの供給用手動バルブ91と、1つの電池用手動バルブ92とを備えている。3つの供給用バイパス配管70それぞれは、第1配管41、第2配管42、及び第3配管43それぞれに接続されている。3つの供給用バイパス配管70それぞれを第1バイパス配管71、第2バイパス配管72、及び第3バイパス配管73とする。第1バイパス配管71は、第1上流バイパス配管71aと、第1下流バイパス配管71bとを有している。第2バイパス配管72は、第2上流バイパス配管72aと、第2下流バイパス配管72bとを有している。第3バイパス配管73は、第3上流バイパス配管73aと、第3下流バイパス配管73bとを有している。また、3つの供給用手動バルブ91それぞれを第1手動バルブ91a、第2手動バルブ91b、及び第3手動バルブ91cとする。
【0027】
以下、第1配管41に接続される第1バイパス配管71について説明する。
第1上流バイパス配管71aの一方の端部は、第1上流配管41aに接続され、第1上流バイパス配管71aの他方の端部は、第1手動バルブ91aに接続されている。第1上流バイパス配管71aの一方の端部は、第1上流配管41aにおいて第1接続配管51が接続されている部分よりも圧縮機101寄りの部分に接続されている。第1下流バイパス配管71bの一方の端部は、第1手動バルブ91aに接続され、第1下流バイパス配管71bの他方の端部は、第1下流配管41bに接続されている。第1バイパス配管71は、第1電磁バルブ61aを跨ぐように第1配管41に接続されている。第1バイパス配管71は、第1配管41の水素の供給方向において、第1電磁バルブ61aの上流と下流とを接続する配管である。
【0028】
第1手動バルブ91aは、第1バイパス配管71に設けられている。第1手動バルブ91aは、第1バイパス配管71を手動で開閉する機能を有している。第1バイパス配管71の開状態とは、第1上流バイパス配管71aと第1下流バイパス配管71bとを連通させた状態を示し、第1バイパス配管71の閉状態とは、第1上流バイパス配管71aと第1下流バイパス配管71bとを遮断した状態を示している。
【0029】
次に、第2配管42に接続される第2バイパス配管72について説明する。
第2上流バイパス配管72aの一方の端部は、第2上流配管42aに接続され、第2上流バイパス配管72aの他方の端部は、第2手動バルブ91bに接続されている。第2下流バイパス配管72bの一方の端部は、第2手動バルブ91bに接続され、第2下流バイパス配管72bの他方の端部は、第2下流配管42bに接続されている。第2バイパス配管72は、第2電磁バルブ61bを跨ぐように第2配管42に接続されている。第2バイパス配管72は、第2配管42の水素の供給方向において、第2電磁バルブ61bの上流と下流とを接続する配管である。
【0030】
第2手動バルブ91bは、第2バイパス配管72に設けられている。第2手動バルブ91bは、第2バイパス配管72を手動で開閉する機能を有している。第2バイパス配管72の開状態とは、第2上流バイパス配管72aと第2下流バイパス配管72bとを連通させた状態を示し、第2バイパス配管72の閉状態とは、第2上流バイパス配管72aと第2下流バイパス配管72bとを遮断した状態を示している。
【0031】
次に、第3配管43に接続される第3バイパス配管73について説明する。
第3上流バイパス配管73aの一方の端部は、第3上流配管43aに接続され、第3上流バイパス配管73aの他方の端部は、第3手動バルブ91cが接続されている。第3下流バイパス配管73bの一方の端部は、第3手動バルブ91cに接続され、第3下流バイパス配管73bの他方の端部は、第3下流配管43bに接続されている。第3バイパス配管73は、第3電磁バルブ61cを跨ぐように第3配管43に接続されている。第3バイパス配管73は、第3配管43の水素の供給方向において、第3電磁バルブ61cの上流と下流とを接続する配管である。
【0032】
第3手動バルブ91cは、第3バイパス配管73に設けられている。第3手動バルブ91cは、第3バイパス配管73を手動で開閉する機能を有している。第3バイパス配管73の開状態とは、第3上流バイパス配管73aと第3下流バイパス配管73bとを連通させた状態を示し、第3バイパス配管73の閉状態とは、第3上流バイパス配管73aと第3下流バイパス配管73bとを遮断した状態を示している。
【0033】
3つの供給用手動バルブ91それぞれは、3つの供給用バイパス配管70それぞれに設けられている。なお、3つの供給用手動バルブ91は、商用電源251が交流電力を供給し続けている場合、常に供給用バイパス配管70を閉状態としている。
【0034】
電池用バイパス配管80は、上流バイパス配管81と、下流バイパス配管82とを有している。上流バイパス配管81の一方の端部は、第1接続配管51に接続され、上流バイパス配管81の他方の端部は、電池用手動バルブ92に接続されている。下流バイパス配管82の一方の端部は、電池用手動バルブ92に接続され、下流バイパス配管82の他方の端部は、第2接続配管52に接続されている。電池用バイパス配管80は、電池用電磁バルブ62を跨ぐように電池用水素ガス配管50に接続されている。電池用バイパス配管80は、電池用水素ガス配管50の水素の供給方向において、電池用電磁バルブ62の上流と下流とを接続する配管である。電池用手動バルブ92は、電池用バイパス配管80に設けられている。電池用手動バルブ92は、電池用バイパス配管80を手動で開閉するバルブである。電池用バイパス配管80の開状態とは、上流バイパス配管81と下流バイパス配管82とを連通させた状態を示し、電池用バイパス配管80の閉状態とは、上流バイパス配管81と下流バイパス配管82とを遮断した状態を示している。なお、電池用手動バルブ92は、商用電源251が交流電力を供給し続けている場合、常に電池用バイパス配管80を閉状態としている。
【0035】
水素ステーション1は、臨時供給装置200を備えている。臨時供給装置200は、切換装置204と、電力供給装置205とを有している。定置型燃料電池20と切換装置204とは、第1配線201により電気的に接続されている。切換装置204と電力供給装置205とは、第2配線202により電気的に接続されている。電力供給装置205とディスペンサ30とは、第3配線203により電気的に接続されている。第1配線201、第2配線202、及び第3配線203により定置型燃料電池20とディスペンサ30とを電気的に接続する配線をなしている。すなわち、定置型燃料電池20とディスペンサ30とは、第1配線201、第2配線202、第3配線203、及び臨時供給装置200により電気的に接続されている。臨時供給装置200は、定置型燃料電池20とディスペンサ30とを電気的に接続可能に構成されている。
【0036】
切換装置204には、定置型燃料電池20で発電された電力が供給される。切換装置204には、商用電源251から供給される交流電力が供給される。切換装置204は、定置型燃料電池20で発電された電力を第2配線202に流す第1電路と、商用電源251から供給される交流電力を図示しない電力変換装置により直流電力に変換して第2配線202に流す第2電路とを切り換える。切換装置204は、例えば、手動レバーである。切換装置204を操作することにより第1電路及び第2電路のいずれかが第2配線202に電気的に接続される。なお、商用電源251から交流電力が供給され続けている場合、切換装置204の切換機構の手動レバーは、第2電路が第2配線202と電気的に接続された状態に維持されている。
【0037】
電力供給装置205は、水素ステーション1の敷地内における設備に電力を供給する制御盤である。電力供給装置205は、無停電電源装置205a(以後、「UPS205a」と呼称)と、制御器205bとを有している。UPS205aは、第2配線202と電気的に接続されている。UPS205aは、第2配線202を介して供給される電力が蓄えられる二次電池205cと、停電等による商用電源251の喪失時に二次電池205cに蓄えられた電力を交流電力に変換して第3配線203に流す電力供給部205dとを有している。UPS205aは、第2配線202から電力が供給されなくなると、商用電源251の喪失時に、二次電池205cに蓄えられた電力を電力供給部205dにより交流電力に変換して第3配線203に流す。
【0038】
制御器205bは、マイクロコンピュータであり、プログラムが記憶されたメモリと、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUとを有している。プログラムには、ディスペンサ30に供給される水素の圧力をチェックする圧力保持試験を実施するためのプログラムが含まれている。圧力保持試験は、商用電源251の喪失時に作業者により電力供給装置205が操作され、実施される試験である。制御器205bは、圧力保持試験においてディスペンサ30に供給される水素の圧力が所望の値であったとき、電力供給装置205が有するディスプレイにディスペンサ30の充填作業を許可する充填許可信号を表示させる。
【0039】
本実施形態の作用を説明する。
水素ステーション1が商用電源251から電力を供給されるとき、第1電磁バルブ61a、第2電磁バルブ61b、及び第3電磁バルブ61cに商用電源251から交流電力が供給されるため、供給用水素ガス配管40が開状態となる。また、圧縮機101及びディスペンサ30にも商用電源251から交流電力が供給されるため、水素供給源10に貯留された水素は、供給用水素ガス配管40と、圧縮機101と、蓄圧機102とを介してディスペンサ30に供給される。そして、ディスペンサ30が操作されることにより充填対象Tに水素を充填することができる。これにより、水素ステーション1が稼働する。
【0040】
また、水素ステーション1が稼働しているとき、電池用電磁バルブ62に商用電源251から交流電力が供給されるため、電池用水素ガス配管50が開状態となる。水素供給源10に貯留された水素は、電池用水素ガス配管50を介して定置型燃料電池20に供給される。そして、定置型燃料電池20が稼働することにより施設252に電力が供給され、施設252が稼働する。
【0041】
また、ディスペンサ30及び定置型燃料電池20が稼働しているとき、電力供給装置205のUPS205aには、切換装置204により商用電源251の交流電力から直流電力に変換された電力が供給されている。UPS205aの二次電池205cには、切換装置204から第2配線202に供給される電力が蓄えられる。
【0042】
ところで、災害時のように商用電源251が喪失する停電が発生したとき、第1電磁バルブ61a、第2電磁バルブ61b、第3電磁バルブ61c、圧縮機101、及びディスペンサ30に供給される交流電力が喪失する。圧縮機101及びディスペンサ30は停止し、第1電磁バルブ61a、第2電磁バルブ61b、及び第3電磁バルブ61cにより供給用水素ガス配管40が閉状態となるため、ディスペンサ30に水素が供給されない状態となる。また、電池用電磁バルブ62に供給される交流電力が喪失する。電池用電磁バルブ62により電池用水素ガス配管50が閉状態となるため、定置型燃料電池20に水素供給源10から水素が供給されなくなり、定置型燃料電池20が停止してしまう。
【0043】
商用電源251の喪失時に作業者は、十分に安全を確認した上で3つの供給用手動バルブ91を手動操作して3つの供給用バイパス配管70を開状態とし、水素供給源10からディスペンサ30までの水素が流れる経路を確保する。特に、第3配管43に接続された供給用バイパス配管70に設けられた供給用手動バルブ91を手動操作して供給用バイパス配管70を開状態にすると、蓄圧機102に貯留された圧縮された水素がディスペンサ30に供給される。そのため、商用電源251の喪失時にディスペンサ30は、充填対象Tに水素を充填可能な状態となる。
【0044】
商用電源251の喪失時に作業者は、電池用手動バルブ92を手動操作して電池用バイパス配管80を開状態とし、水素供給源10から定置型燃料電池20までの水素が流れる経路を確保する。また、作業者は、定置型燃料電池20を蓄電装置22の電力を使用して再稼働させる。このとき、定置型燃料電池20に搭載される蓄電装置22が商用電源251の喪失時に定置型燃料電池20を発電可能にさせる稼働源となる。商用電源251の喪失時に定置型燃料電池20で発電された電力は、施設252に供給されるとともに第1配線201を介して切換装置204に供給される。
【0045】
商用電源251の喪失時に作業者は、切換装置204の第1電路が第2配線202に電気的に接続されるように切換装置204を手動操作する。そのため、商用電源251の喪失時に定置型燃料電池20で発電された電力が第2配線202を介してUPS205aに供給される。商用電源251の喪失時に定置型燃料電池20から供給される電力は、UPS205aの二次電池205cに蓄えられつつ、二次電池205cに蓄えられた電力は電力供給部205dにより交流電力に変換され、第3配線203を介してディスペンサ30に供給される。すなわち、ディスペンサ30には、停電発生時にUPS205aの二次電池に蓄えられた電力だけでなく、商用電源251の喪失時に定置型燃料電池20で発電された電力もUPS205aを介して供給される。
【0046】
商用電源251の喪失時に作業者は、圧力保持試験を実施する。作業者は、臨時供給装置200の電力供給装置205を操作して、制御器205bを稼働させる。制御器205bによりディスペンサ30に供給されている水素の圧力が所望の値であれば、電力供給装置205のディスプレイに充電許可信号が表示される。作業者は、充電許可信号を確認した後、ディスペンサ30を手動操作して充填対象Tに水素を供給する。
【0047】
本実施形態の効果を説明する。
(1)商用電源251の喪失時に供給用水素ガス配管40及び電池用水素ガス配管50が閉状態になったとしても供給用手動バルブ91及び電池用手動バルブ92を手動で操作して、供給用バイパス配管70及び電池用バイパス配管80を開状態にすることによりディスペンサ30及び定置型燃料電池20に水素を供給できる。また、商用電源251の喪失時には蓄電装置22により定置型燃料電池20を稼働させることができ、定置型燃料電池20で発電された電力を臨時供給装置200からディスペンサ30に供給し、ディスペンサ30を稼働させることができる。したがって、商用電源251の喪失時に充填対象Tに水素を供給できる。
【0048】
(2)商用電源251の喪失時に第3配管43に接続される供給用バイパス配管70を供給用手動バルブ91により開状態にすることにより蓄圧機102からディスペンサ30に水素を供給することができる。よって、商用電源251の喪失時に圧縮機101が停止して、水素供給源10から圧縮機101を介して蓄圧機102に水素が供給されなくても蓄圧機102に充填されていた高圧の水素をディスペンサ30に供給することができる。
【0049】
(3)稼働源としてポータブル発電機を使用する場合、商用電源251の喪失後に該発電機の始動準備をする必要がある。そのため、時間が掛かるほか利便性が悪い。
その点、本実施形態では、蓄電装置22には商用電源251から交流電力が供給されるときに定置型燃料電池20で発電された電力をあらかじめ充電させることができる。そのため、停電等による商用電源251の喪失時に蓄電装置22の電力を使用して迅速に定置型燃料電池を稼働することができる。
【0050】
(4)本実施形態では、特に、災害時にもディスペンサ30から充填対象Tに水素を充填することができる。そのため、例えば、充填対象Tとしてのフォークリフトや燃料電池車両に水素を充填し、フォークリフトや燃料電池車両を災害避難用テント等の電気が必要な場所まで自走させることができ、電気が必要な離れた場所においても容易に電力を供給可能となる。
【0051】
(5)災害時に定置型燃料電池20を稼働することができるため、施設252の稼働を継続することができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0052】
○ 定置型燃料電池20の稼働源は、蓄電装置22でなくてもよい。例えば、定置型燃料電池20の外部に配置されるポータブル発電機等であってもよい。また、稼働源は、定置型燃料電池20を稼働させるだけの電力を定置型燃料電池20に供給できる構成であれば、どのように変更してもよい。
【0053】
○ 臨時供給装置200は、UPS205aと圧縮機101とを電気的に接続してもよい。すなわち、商用電源251の喪失時に定置型燃料電池20で発電された電力をUPS205aの電力供給部205dにより交流電力に変換して圧縮機101に供給してもよい。商用電源251の喪失時に水素供給源10から蓄圧機102を介してディスペンサ30に水素を供給することができる。よって、商用電源251の喪失時であってもディスペンサ30には、蓄圧機102に貯留された水素だけでなく、水素供給源10に貯留された水素も供給することができるため、充填対象Tへの水素の供給を継続し易くなる。
【0054】
○ 蓄圧機102を割愛してもよい。この場合、供給用水素ガス配管40は、第1配管41と第2配管42とにより構成され、第2配管42の第2下流配管42bの他方の端部は、ディスペンサ30に接続される。このように変更しても、上記変更例のように、商用電源251の喪失時に圧縮機101に定置型燃料電池20で発電された電力をUPS205a介して供給することができれば、ディスペンサ30に水素供給源10から水素を供給できる。
【0055】
○ 圧縮機101を割愛してもよい。この場合、供給用水素ガス配管40は、第1配管41により構成され、第1配管41の第1下流配管41bの他方の端部は、ディスペンサ30に接続される。このように変更する場合、蓄圧機102はバッファタンクとしての役割を担うことになり、水素供給源10の交換が必要な時に、水素供給源10と蓄圧機102との間の弁を遮断することで、水素供給源10の交換とディスペンサ30による水素充填が可能となる。なお、ディスペンサ30に供給される水素の圧力は、水素供給源10に貯留された水素の圧力となるため、充填対象Tをフォークリフト等の産業車両や、燃料電池車両とするのであれば、水素供給源10に貯留された水素の圧力を、本実施形態の蓄圧機102に貯留された水素の圧力と同程度となるように変更するとよい。また、水素供給源10に貯留された水素の圧力を変化させないのであれば、充填対象Tを水素供給源10に貯留された水素の圧力で十分に充填できるユニットとするとよい。
【0056】
○ 切換装置204の第2電路は、商用電源251の交流電力を電力に変換して第2配線202に流す電路であったが、これに限らない。例えば、第2電路は、商用電源251の交流電力をUPS205aに流す電路であってもよい。このように変更する場合、UPS205aの内部に交流電力を電力に変換し、変化した電力を二次電池に蓄える電力変換器を設けるとよい。
【0057】
○ 臨時供給装置200は、DCACインバータに変更してもよい。第1配線201は、定置型燃料電池20とDCACインバータとを電気的に接続するように変更する。第3配線203は、DCACインバータとディスペンサ30とを電気的に接続するように変更する。DCACインバータは、直流電力を交流電力に変換する電力変換器である。このように変更しても、定置型燃料電池20で発電された電力によりディスペンサ30を稼働させることができる。なお、本変更例において、第1配線201を第2配線202に変更してもよいし、第3配線203を第2配線202に変更してもよい。
【0058】
○ 臨時供給装置200において、上記変更例のDCACインバータを定置型燃料電池20に搭載し、定置型燃料電池20で発電された電力をDCACインバータにより交流電力に変換してもよい。この場合、DCACインバータとディスペンサ30とが電気的に接続されるように変更する。
【0059】
このように変更しても、定置型燃料電池20で発電された電力をディスペンサ30に供給することができる。なお、本変更例において、DCACインバータは、ディスペンサ30の内部に配置してもよい。すなわち、定置型燃料電池20で発電された電力を交流電力に変換するDCACインバータは、商用電源251の喪失時にディスペンサ30に交流電力が供給されるのであれば、どの位置に配置してもよい。臨時供給装置200は、商用電源251の喪失時に定置型燃料電池20で発電された電力をディスペンサ30に供給できる構成であればよい。
【0060】
○ 充填対象Tは、フォークリフト等の産業車両や、燃料電池車両に限らず、水素の充填が必要な装置、ユニットであればよい。
○水素供給源10は、カードルであったが、水素が貯留された水素タンクであってもよいし、水素ボンベが搭載されたトレーラーであってもよい。また、水素供給源10は、ディスペンサ30に水素を供給するための水素が貯留された第1水素供給源と、定置型燃料電池20に水素を供給するための水素が貯留された第2水素供給源とを有していてもよい。この場合、第2水素供給源には、定置型燃料電池20で使用した水素のうち排気されてしまう水素を再回収したボイルオフ水素を貯留するものであってもよいし、水素吸蔵合金を利用したものであってもよい。
【0061】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下追記する。
(1)前記燃料電池と前記圧縮機とが電気的に接続され、前記臨時供給装置は、商用電源の喪失時に前記燃料電池で発電された電力を前記水素供給装置及び前記圧縮機に供給することを特徴とする請求項2に記載の水素ステーション。
【0062】
これによれば、商用電源の喪失時に第1配管、第2配管、及び前記第3配管それぞれに接続される供給用バイパス配管を供給用手動バルブにより開状態にする。そして、圧縮機が燃料電池で発電される電力により稼働するため、水素供給源から蓄圧機を介して水素供給装置に水素を供給することができる。よって、商用電源の喪失時であっても水素供給装置には、蓄圧機に貯留された水素だけでなく、水素供給源に貯留された水素も供給できるため、充填対象への水素の供給を継続し易くなる。
【符号の説明】
【0063】
1…水素ステーション、10…水素供給源、20…定置型燃料電池、22…蓄電装置、30…ディスペンサ、40…供給用水素ガス配管、41…第1配管、42…第2配管、43…第3配管、50…電池用水素ガス配管、61…供給用電磁バルブ、62…電池用電磁バルブ、70…供給用バイパス配管、80…電池用バイパス配管、91…供給用手動バルブ、92…電池用手動バルブ、101…圧縮機、102…蓄圧機、200…臨時供給装置、201…第1配線、202…第2配線、203…第3配線、251…商用電源、T…充填対象。
図1