(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電ホルダ
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20240305BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
B60R7/04 Z
(21)【出願番号】P 2020031991
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕貴
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10486615(US,B1)
【文献】独国特許出願公開第102018211954(DE,A1)
【文献】特開2013-93973(JP,A)
【文献】特表2013-543814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/00
B60R 7/04
B60R 11/02
H02J 50/00-90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の幅方向を規定する側面に対向して設けられる第1横壁部と、前記電子機器の厚み方向を規定する前面及び背面に対向して設けられる第2横壁部と、前記第1横壁部と前記第2横壁部で形成される空間部の一端を閉じる底部と、前記底部と反対側の開口部とにより収容空間が形成され、前記収容空間内に電子機器が挿入されて収容されるホルダケースと、
前記第1横壁部のそれぞれの横壁部からそれぞれ前記電子機器の方向に向かって幅方向に対称に進退可能に移動可能な第1サポート部材及び第2サポート部材を有し、前記第1サポート部材及び前記第2サポート部材は、前記電子機器の前記側面にそれぞれ付勢力を付与するサポート機構と、
前記第2横壁部の一方の横壁部に装着され、前記収容空間に保持された電子機器に非接触で給電する給電器と、を有し、
前記第1サポート部材及び前記第2サポート部材は、それぞれ前記電子機器に向かって対称であって、前記電子機器の前記挿入される方向における前記ホルダケースの中心軸に対して所定の角度を有する傾斜した線に沿って移動する、
ワイヤレス給電ホルダ。
【請求項2】
前記傾斜の方向は、前記第1サポート部材又は前記第2サポート部材が前記電子機器に押されて後退する方向と、前記電子機器が前記挿入される方向とは、鋭角を成す、請求項1に記載のワイヤレス給電ホルダ。
【請求項3】
前記第1サポート部材及び第2サポート部材は、前記電子機器の前記各側面に対してそれぞれ2か所で接触する、請求項1又は2に記載のワイヤレス給電ホルダ。
【請求項4】
前記ホルダケースには、前記収容空間内に着脱可能に収容され、前記電子機器を前記電子機器の厚み方向に保持可能なインナ部材を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のワイヤレス給電ホルダ。
【請求項5】
前記サポート機構は、前記第2横壁部の前記給電器が装着されない他方の横壁部に備えられ、
前記第1横壁部はそれぞれの横壁部に第1開口部を有し、前記第1サポート部材及び第2サポート部材は、それぞれの前記第1開口部を介して前記電子機器の前記側面に付勢力を付与する、請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤレス給電ホルダ。
【請求項6】
前記サポート機構は、前記第2横壁部の前記給電器が装着されない他方の横壁部に備えられ、
前記他方の横壁部は第2開口部を有し、前記第1サポート部材及び第2サポート部材は、前記第2開口部を介して前記電子機器の前記側面に付勢力を付与する、請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤレス給電ホルダ。
【請求項7】
前記第1サポート部材は第1ラックギヤ部、前記第2サポート部材は第2ラックギヤ部を有し、
前記第1サポート部材及び前記第2サポート部材は、ぞれぞれ、前記他方の横壁部に回転可能に支持されるピニオンギヤに対して互いに対向するように噛み合い、前記幅方向に対称に同期して移動可能とされている、請求項5又は6に記載のワイヤレス給電ホルダ。
【請求項8】
前記ピニオンギヤと噛み合う噛合ギヤを有するダンパ部材を有し、
前記ダンパ部材は、前記ピニオンギヤと前記噛合ギヤが噛み合う状態で前記他方の横壁部に装着されている、請求項
7に記載のワイヤレス給電ホルダ。
【請求項9】
電子機器は、前記底部の側に接触した状態で前記収容空間において保持される、請求項1から
8のいずれか1項に記載のワイヤレス給電ホルダ。
【請求項10】
前記第1サポート部材と前記第2サポート部材の間に前記付勢力を付与する弾性部材が接続されている、請求項1から9のいずれか1項に記載のワイヤレス給電ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス給電ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の内部にスマートフォンを取付ける構造を提供するものとして、種々の構造が提案されている。車両のセンタークラスタに、取付構造が設置され、この取付構造は、センタークラスタに開口と所定の空間を有する箱体と、開口を閉塞するドアからなっている。ドアを開け、開口から箱体の内部へスマートフォンを置き、ドアを閉めるとスマートフォンが内装部材へと取付けられている、というものである。ドアにはスプリングからの付勢力がかかっており、スマートフォンを幅方向に保持する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の取付構造は、スマートフォン等の電子機器の幅方向から左右それぞれ1カ所で保持するので保持した電子機器の姿勢の安定性が悪いという問題があった。また、電子機器の幅方向の左右それぞれ2カ所で保持する上下保持の構造とすると、電子機器の挿入時に摩擦等が増加して挿入性が悪くなるという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、電子機器の挿入性、保持の安定性に優れたワイヤレス給電ホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、電子機器の幅方向を規定する側面に対向して設けられる第1横壁部と、前記電子機器の厚み方向を規定する前面及び背面に対向して設けられる第2横壁部と、前記第1横壁部と前記第2横壁部で形成される空間部の一端を閉じる底部と、前記底部と反対側の開口部とにより収容空間が形成され、前記収容空間内に電子機器が挿入されて収容されるホルダケースと、前記第1横壁部のそれぞれの横壁部からそれぞれ前記電子機器の方向に向かって前記幅方向に対称に進退可能に移動可能な第1サポート部材及び第2サポート部材を有し、前記第1サポート部材及び前記第2サポート部材は、前記電子機器の前記側面にそれぞれ付勢力を付与するサポート機構と、前記第2横壁部の一方の横壁部に装着され、前記収容空間に保持された電子機器に非接触で給電する給電器と、を有し、前記第1サポート部材及び前記第2サポート部材は、それぞれ前記電子機器に向かって対称な傾斜を有して移動する、ワイヤレス給電ホルダを提供する。
[2]前記傾斜の方向は、前記第1サポート部材又は前記第2サポート部材が前記電子機器に押されて後退する方向と、前記電子機器が前記挿入される方向とは、鋭角を成す、ワイヤレス給電ホルダであってもよい。
[3]また、前記第1サポート部材及び第2サポート部材は、前記電子機器の前記各側面に対してそれぞれ2か所で接触する、ワイヤレス給電ホルダであってもよい。
[4]また、前記ホルダケースには、前記収容空間内に着脱可能に収容され、前記電子機器を前記電子機器の厚み方向に保持可能なインナ部材を有する、ワイヤレス給電ホルダであってもよい。
[5]また、前記サポート機構は、前記第2横壁部の前記給電器が装着されない他方の横壁部に備えられ、前記第1横壁部はそれぞれの横壁部に第1開口部を有し、前記第1サポート部材及び第2サポート部材は、それぞれの前記第1開口部を介して前記電子機器の前記側面に付勢力を付与する、ワイヤレス給電ホルダであってもよい。
[6]また、前記サポート機構は、前記第2横壁部の前記給電器が装着されない他方の横壁部に備えられ、前記他方の横壁部は第2開口部を有し、前記第1サポート部材及び第2サポート部材は、前記第2開口部を介して前記電子機器の前記側面に付勢力を付与する、ワイヤレス給電ホルダであってもよい。
[7]また、前記第1サポート部材は第1ラックギヤ部、前記第2サポート部材は第2ラックギヤ部を有し、前記第1サポート部材及び前記第2サポート部材は、ぞれぞれ、前記他方の横壁部に回転可能に支持されるピニオンギヤに対して互いに対向するように噛み合い、前記幅方向に対称に同期して移動可能とされている、ワイヤレス給電ホルダであってもよい。
[8]また、電子機器は、前記底部の側に接触した状態で前記収容空間において保持される、ワイヤレス給電ホルダであってもよい。
[9]また、前記ピニオンギヤと噛み合う噛合ギヤを有するダンパ部材を有し、前記ダンパ部材は、前記ピニオンギヤと前記噛合ギヤが噛み合う状態で前記他方の横壁部に装着されている、ワイヤレス給電ホルダであってもよい。
[10]また、前記第1サポート部材と前記第2サポート部材の間に前記付勢力を付与する弾性部材が接続されている、ワイヤレス給電ホルダであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子機器の挿入性、保持の安定性に優れたワイヤレス給電ホルダとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダの全体構成を表す立体斜視図である。
【
図2】
図2は、ワイヤレス給電ホルダが車両に装着される一例を示し、センターコンソールに装着された場合を示した車両内部の立体斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダの各構成部品を説明するための分解斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、ワイヤレス給電ホルダを上から見た上平面図であり、
図4(b)は、
図4(a)をB方向から見た正面図である。
【
図5】
図5(a)は、インナ部材の形状を示す立体斜視図であり、
図5(b)は、インナ部材に厚み方向に薄い電子機器が保持された断面図であり、
図5(c)は、インナ部材に厚み方向に厚い電子機器が保持された断面図であり、
図5(d)は、突出部の付近の幅寸法を小さく設定した変形例を示すインナ部材の形状を示す立体斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、
図4(b)におけるC-C断面図であり、
図6(b)は、
図6(a)においてサポート機構を図示省略してインナ部材の形状がよくわかるようにした断面図である。
【
図7】
図7(a)は、厚み方向に薄い電子機器がサポート部材により保持された場合を示す
図4(a)相当図であり、
図7(b)は、厚み方向に厚い電子機器がサポート部材により保持された場合を示す
図4(a)相当図である。
【
図8】
図8は、電子機器がサポート部材により保持された
図4(a)のD-D断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダの全体構成を表す立体斜視図である。
【
図10】
図10(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダの正面図であり、
図10(b)は、
図10(a)で示すE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1の実施の形態〕
本発明の実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダ1は、
図1に示すように、電子機器200の幅方向を規定する側面210、220に対向して設けられる第1横壁部11、12と、電子機器200の厚み方向を規定する前面230及び背面240に対向して設けられる第2横壁部13、14と、第1横壁部11、12と第2横壁部13、14で形成される空間部の一端を閉じる底部15と、底部15と反対側の開口部16とにより収容空間17が形成され、収容空間17内に電子機器200が挿入されて収容されるホルダケース10と、それぞれの横壁部11、12からそれぞれ電子機器200の方向に向かって幅方向Wに対称に進退可能に移動可能な第1サポート部材31及び第2サポート部材41を有し、第1サポート部材31及び第2サポート部材41は、電子機器200の側面210、220にそれぞれ付勢力を付与するサポート機構30と、第2横壁部の一方の横壁部14に装着され、収容空間17に保持された電子機器200に非接触で給電する給電器50と、を有し、第1サポート部材31及び第2サポート部材41は、それぞれ電子機器200に向かって対称な傾斜を有して移動するように構成されている。なお、給電には充電も含まれる。
【0010】
本発明の実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダ1は、非接触で給電される携帯電話やスマートフォン等の電子機器200を、
図1に示すように、A方向に挿入して、電子機器200の上部201がワイヤレス給電ホルダ1から突出した状態で収容される。ホルダケース10内に収容された電子機器200は、給電器50により非接触で給電、充電される。
【0011】
ワイヤレス給電ホルダ1は、例えば、
図2に示すように、本体部としての車両100のセンターコンソール110等に装着されて使用される。
【0012】
電子機器200は、ホルダケース10内でインナ部材20とサポート機構30により保持されて給電器50に対する位置が決まり、給電器50により非接触で給電、充電される。インナ部材20は、軟質材料で形成されているので、電子機器の操作面、表示面である前面230に傷が付きにくい保持構造が可能となる。また、サポート機構30は、硬質材料で形成された第1サポート部材31及び第2サポート部材41により電子機器200の側面210、220を両側から挟み込むように付勢するので、電子機器200の側面210、220をそれぞれ2か所で上下保持可能となる。
【0013】
インナ部材による電子機器の保持をソフトタイプのサポート(ソフトタイプの保持)という。また、サポート部材による電子機器の保持をハードタイプのサポート(ハードタイプの保持)という。ソフトタイプのサポートとは、電子機器に当接する部分を含む全体が軟質部材で形成されて電子機器を保持することをいう。また、ハードタイプのサポートとは、電子機器に当接する部分、サポート機構を構成する部材はそれぞれ硬質部材で形成され、電子機器の保持力は、サポート機構に備えられるバネ等の弾性部材によるものをいう。すなわち、本実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダ1は、スマートフォン、携帯機器等の電子機器200の厚み方向の保持をソフトタイプのサポートとし、電子機器200の幅方向(縦型形状とした場合の横幅方向)の保持をハードタイプのハイブリッドサポート構造として構成するものである。
【0014】
(ホルダケース10)
ホルダケース10は、
図3に示すように、第1横壁部11、12、第2横壁部13、底部15で構成される第1ホルダケース10aと、第2横壁部14で主に構成される第2ホルダケース10bとが一体化された有底の箱形状とされている。第2ホルダケース10bは、第2横壁部14の表面14aが電子機器200に対向する面とされ、裏面14bは給電器50が装着される面とされている。
【0015】
第1ホルダケース10aの第1横壁部11、12には、それぞれ、第1サポート部材31、第2サポート部材41が電子機器の横方向に進退可能に配置される第1開口部11a、12aが形成されている。
【0016】
第1ホルダケース10aの第2横壁部13には、第1サポート部材31を電子機器200に向かって傾斜を有して移動可能(スライド可能)に支持する支持部131が形成されている。支持部131は、第1サポート部材31をスライド可能に支持する2つの指示片131aを有して構成されている。
図3に示すように、この支持部131は、
図1に示す電子機器200が挿入されるA方向に対応するホルダケース10の中心軸CLに対して、傾斜角θを有して配置されている。この傾斜角θは、例えば、60°であり、90°以下の鋭角に設定されている。
【0017】
同様に、第1ホルダケース10aの第2横壁部13には、第2サポート部材41をホルダケース10の中心軸CLに対称な傾斜を有して移動可能(スライド可能)に支持する支持部132が形成されている。支持部132は、第2サポート部材41をスライド可能に支持する2つの指示片132aを有して構成されている。この支持部132は、
図3に示すように、第1サポート部材31と同じ傾斜角θを、ホルダケース10の中心軸CLに対称に有して配置されている。この傾斜角θは、例えば、60°であり、90°以下の鋭角に設定されている。
【0018】
図3に示すように、第2サポート部材41は、ホルダケース10の中心軸CLに対して第1サポート部材31と対称に移動可能(スライド可能)とされる。したがって、上記示した支持部132の傾斜角θは、
図3に示すように、ホルダケース10の中心軸CLに対して支持部131の傾斜角θと左右対称に設定されている。
【0019】
第1ホルダケース10aの第2横壁部13には、第1サポート部材31及び前記第2サポート部材41のラックギヤ部35、45と噛み合うピニオンギヤ60を回転可能に支持する回転軸133を備えている。
【0020】
第1ホルダケース10aの第2横壁部13には、ピニオンギヤ60と噛み合う噛合ギヤ81を有するダンパ部材80を固定するダンパ固定部134を備えている。ダンパ部材80は、取付部82がダンパ固定部134に固定されることにより、第1ホルダケース10aに取り付けられる。
【0021】
また、第1ホルダケース10aの第2横壁部13の上部には、インナ部材20を係止するための係止部135が例えば2か所形成されている。それぞれの係止部135は、インナ部材20の係止突起部が挿入可能な穴部135aと、穴部135aから連通して形成された長穴部135bとで構成されている。
【0022】
第2ホルダケース10bは、係合部14cが例えば4カ所に形成され、図示省略する第1ホルダケース10aの係止部に組み付けられて、一体化する。これにより、有底の箱形状であるホルダケース10が構成される。
【0023】
第2ホルダケース10bの第2横壁部14の上部には、インナ部材20を係止するための係止部136が例えば2か所形成されている。それぞれの係止部136は、インナ部材20の係止突起部が挿入可能な穴部136aと、穴部136aから連通して形成された長穴部136bとで構成されている。
【0024】
図1、3に示すように、ホルダケース10の開口部16側には、上パネル160が装着されている。上パネル160には、電子機器200が挿入される開口部16が形成されている。上パネル160はホルダケース10に装着されることにより、上パネル160の開口部16が、ホルダケース10の開口部として機能する。
【0025】
(インナ部材20)
インナ部材20は、ホルダケース10の収容空間17内に着脱可能に収容され、電子機器200を
図1に示す電子機器200の厚み方向Tに保持可能とするものである。インナ部材による保持可能とは、電子機器200を電子機器200の厚み方向に少なくとも支える部材を有して、厚み方向Tに容易には移動しない状態に保つことをいう。なお、本実施の形態においては、厚みの薄い電子機器200の場合は、サポート機構30により厚み方向に保持することができる。したがって、インナ部材20による電子機器200の厚み方向Tへの保持は可能であればよく、所定の厚み以下の電子機器200の場合にはサポート機構30により厚み方向Tに保持され、所定の厚み以上の電子機器200の場合にはインナ部材20により厚み方向に保持される。また、インナ部材20は、ホルダケース10の収容空間内17に交換可能に装着されるインナである。
【0026】
インナ部材20は、軟質樹脂等の弾性を有する軟質材料で形成されている。軟質樹脂は、例えば、断熱性に優れた樹脂が好ましく、例えば、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等である。また、その他に、断熱性に優れたゴム等も使用でき、例えば、発泡エラストマ、シリコンスポンジ等も使用できる。
【0027】
インナ部材20は、
図5(a)に示すように、有底のコ字状に形成されている。インナ部材20は、電子機器200の前面230に対向する前面部21と、電子機器200の背面240に対向する背面部22と、有底とする底部23から概略構成されている。
【0028】
また、前面部21と背面部22の上部には、それぞれフランジ部21a、22aが形成されており、ホルダケース10の収容空間17内に装着した状態で、
図1に示すように、上パネル160から突出するように構成されている。これにより、フランジ部21a、22aを指等で摘んで上方向に引っ張ることで、ホルダケース10から着脱が容易にできるようにされている。
【0029】
図5(a)、(b)に示すように、前面部21の上部には、係止突起部24が2か所形成されている。係止突起部24は、それぞれ、第1ホルダケース10aの係止部135の穴部135aに挿入される頭部24aと、頭部24aの根元において頭部よりも幅狭に形成された嵌合部24bで構成されている。
図4(b)に示すように、頭部24aが穴部135aに挿入され、嵌合部24bが長穴部135bに嵌合した状態で下方向に移動して、インナ部材20が第1ホルダケース10aに固定される。上記と逆の動作により、係止突起部24と第1ホルダケース10aの係止状態を解除できるので、インナ部材20をホルダケース10から容易に着脱できる。
【0030】
同様に、
図5(b)、(c)に示すように、背面部22の上部には、係止突起部25が2か所形成されている。係止突起部25は、それぞれ、第2ホルダケース10bの係止部136の穴部136aに挿入される頭部25aと、頭部25aの根元において頭部よりも幅狭に形成された嵌合部25bで構成されている。頭部25aが穴部136aに挿入され、嵌合部25bが長穴部136bに嵌合した状態で下方向に移動して、インナ部材20が第2ホルダケース10bに固定される。上記と逆の動作により、係止突起部25と第2ホルダケース10bの係止状態を解除できるので、インナ部材20をホルダケース10から容易に着脱できる。
【0031】
上記したように、本実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダ1は、インナ部材20が、ホルダケース10の収容空間17内に着脱可能とされているので、ホルダケース10内に物を落とした場合でもインナ部材20を取り外して落とした物を取り出すことが容易にできる。
【0032】
インナ部材20は、
図5(a)、(b)、(c)に示すように、前面部21において、給電器50側(背面部22側)へ突出し、電子機器200に接触して電子機器200を給電器50側へ押圧する突出部26を有している。突出部26は、例えば、山型形状で、電子機器200に接触可能な形状で、給電器50側(背面部22側)へ突出している。この突出部26は、給電器50側への突出高さHは、後述する第1サポート部材31及び第2サポート部材41の傾斜部以下である。これについての詳細は、後述するサポート機構30にて説明する。
【0033】
図5(b)に示すように、電子機器200が厚み方向に薄い場合は、電子機器200は、後述する第1サポート部材31及び第2サポート部材41の傾斜部により、給電器50側への押圧力が付与される。すなわち、電子機器200は、
図5(b)において図示省略するサポート機構30により、電子機器200の厚み方向に、給電器50側へ押された状態で保持される。したがって、インナ部材20の突出部26は、ほとんど変形しない。
【0034】
一方、
図5(c)に示すように、電子機器200が厚み方向に厚い場合は、電子機器200は、インナ部材20の突出部26により、給電器50側への押圧力が付与される。すなわち、電子機器200は、
図5(c)に示すように、突出部26が電子機器200に接触し、突出部26の変形による弾性力により、電子機器200の厚み方向に、給電器50側へ押された状態で保持される。
【0035】
インナ部材20の底部23は、給電器50側に向かって傾斜して形成されている。この傾斜した底部23は、電子機器200を給電器50側へ移動させる作用を発揮する。これにより、給電器50による電子機器200への給電、充電をより確実にすることができる。
【0036】
なお、
図6(a)、(b)に示すように、ホルダケース10の底部15とインナ部材20の傾斜した底部23との間には、間隙部18が設けられている。これにより、突出部26が変形してインナ部材20の底部23が下方向に移動して、インナ部材20の変形による余長が生じても、間隙部18がこの余長吸収を容易にする。
【0037】
(変形例)
また、
図5(d)に示すように、インナ部材20の前面部21において、突出部26の付近の幅寸法w2を、前面部21の幅寸法w1よりも小さくすることができる。これにより、突出部26をより軟らかくすることができる。また、これにより、後述する第1サポート部材31及び第2サポート部材41が進退移動するときに干渉することを回避することができる。さらに、空気の流れをよくして、電子機器200の温度上昇を軽減することができる。
【0038】
(サポート機構30)
第1の実施の形態では、サポート機構30は、第2横壁部のうち給電器50が装着されない他方の横壁部13に備えられ、第1横壁部はそれぞれの横壁部11、12にそれぞれ第1開口部11a、12aを有し、第1サポート部材31及び第2サポート部材41は、それぞれの第1開口部11a、12aを介して電子機器200の側面210、220に付勢力を付与する。これにより、電子機器200を
図1で示す幅方向Wにおいて、ホルダケース10の中心軸CLにほぼ一致させた所定の位置に保持するように、付勢力を付与することができる。
【0039】
図3、
図4(b)に示すように、第1サポート部材31は、電子機器200に対して進退移動して電子機器200の側面210に接触、当接する第1サポート部32と、第1サポート部32と結合されホルダケース10に対してスライド可能に支持される第1アーム部33を有して構成されている。
【0040】
図3、
図8に示すように、第1サポート部32は、電子機器200に対向する側に、2か所の当接部32a、32bが形成されている。当接部32a、32bは、電子機器200に対向する側に向かって突形状に形成され、電子機器200を保持する際には、略同時に電子機器200と接触、当接する。なお、当接部32a、32bは、アール面等の曲面として形成されていることが好ましい。
【0041】
図4(a)に示すように、第1サポート部32は、傾斜部32c、平坦部32dを有しており、当接部32a、32bはこの傾斜部32c、平坦部32d上に形成されている。傾斜部32cは給電器50に近い側、平坦部32dは給電器50に遠い側に、互いの端部が連続するように形成されている。
【0042】
図5(b)に示すように、電子機器200が厚み方向に薄い場合、電子機器200の側面210は傾斜部32cに接触、当接する。これにより、電子機器200は、第1サポート部32の付勢力の電子機器200の方向への分力を受けることにより、給電器50側への押圧力が付与される。
【0043】
ここで、
図5(b)に示す、インナ部材20の突出部26の給電器50側への突出高さHは、第1サポート部材31の傾斜部32c以下である。この突出高さHは、インナ部材20の突出部26の先端部26aと、傾斜部32cと平坦部32dの境界部32eとの位置関係で決まる。すなわち、突出部26の突出高さHが傾斜部32c以下であるとは、突出部26の先端部26aが境界部32eに到達するか境界部32eにまで至らない、ことをいう。これにより、
図7(a)に示すように、電子機器200が厚み方向に薄い場合には、電子機器200はインナ部材20の突出部26により給電器50側への押圧力が付与されることなく、第1サポート部材31の傾斜部32cにより給電器50側への押圧力が付与される。
【0044】
一方、
図5(c)に示すように、電子機器200が厚み方向に厚い場合は、電子機器200の側面210は平坦部32dに接触、当接する。したがって、
図5(c)、
図7(b)に示すように、電子機器200はインナ部材20の突出部26により給電器50側への押圧力が付与される。
【0045】
図4(b)に示すように、第1アーム部33は、第1ホルダケース10aの支持部131により移動可能(スライド可能)支持される長穴部34を有する。支持部131と長穴部34との移動可能距離により、第1サポート部材31の移動範囲が規定される。なお、
図4(b)に示すように、第1サポート部32の端面32fが第1ホルダケース10aの第1横壁部11に当接した状態を電子機器200が挿入されない初期位置とすることができる。これにより、第1横壁部11の開口部11aが塞がれてゴミ等の侵入を抑制することができる。
【0046】
第1アーム部33の長穴部34の形成方向は、第1サポート部材31を第1ホルダケース10aに組み付けたときに、第1サポート部材31(第1アーム部33)の移動方向(スライド方向)が、
図3で示した傾斜角θとなるようにされている。
【0047】
第1アーム部33には、ラックギヤ部35が形成されている。この、ラックギヤ部35は、長穴部34と平行に形成され、ピニオンギヤ60と噛み合う。
【0048】
図3、
図4(b)に示すように、第2サポート部材41は、ホルダケース10の中心軸CLに対して、対称に形成されている。第2サポート部材41は、第1サポート部材31と同様に、第2サポート部42、第2アーム部43を有して構成されている。
【0049】
第2サポート部42は、第1サポート部材31と同様に、2か所の当接部42a、42b、傾斜部42c、平坦部42dを有して形成されている。また、第2アーム部43には、長穴部44、ラックギヤ部45が形成されている。
【0050】
第1サポート部材31と第2サポート部材41は、
図4(b)に示すように、ホルダケース10の中心軸CLに対して、対称に配置される。ラックギヤ部35とラックギヤ部45が共にピニオンギヤ60と噛み合う。これにより、第1サポート部材31と第2サポート部材41は、ホルダケース10の中心軸CLに対して、同期して、対称に移動可能となる。
【0051】
第1サポート部材31のバネ係止部36と第2サポート部材41のバネ係止部46との間には、付勢力を発生させる弾性部材としてのコイルバネ70の両端が係止されている。
図4(b)に示す、電子機器200が挿入されない初期状態において、コイルバネ70は伸張した状態とされている。これにより、電子機器200が挿入される途中状態、また、保持される状態において、電子機器200に対して常に付勢力を付与することができる。
【0052】
この付勢力は、
図4(b)に示す、ホルダケース10の中心軸CLに対してそれぞれ左右対称に設定された傾斜角θの方向に作用する。すなわち、
図8に示すように、電子機器200をA方向に挿入すると、電子機器200が第1サポート部材31と第2サポート部材41をそれぞれR1方向、L1方向に押すことにより、その反力として、電子機器200は、それぞれR1方向、L1方向と反対方向に付勢力を受ける。これにより、電子機器200は、ホルダケース10の中で
図4(b)の左右方向(
図1で示す幅方向W)に保持される。
【0053】
図1、
図4(b)に示すように、ダンパ部材80の噛合ギヤ81がピニオンギヤ60と噛み合うように、ダンパ部材80をホルダケース10に取り付けることができる。これにより、ピニオンギヤ60、ラックギヤ部35、45を介して第1サポート部材31と第2サポート部材41に制動力を付与することができる。すなわち、第1サポート部材31、第2サポート部材41の進退移動時の動きを滑らかにして、挿入時の操作性を良くすることができる。
【0054】
サポート機構30(第1サポート部材31、第2サポート部材41)は、前述したようにハードタイプのサポートを行なうことから、第1サポート部材31、第2サポート部材41は、硬質樹脂、金属等であって、保持状態で弾性変形しない程度の剛性を有する硬質部材で形成されている。本実施の形態では、第1サポート部材31、第2サポート部材41は、硬質樹脂で形成されているものとする。
【0055】
(給電器50)
図3に示すように、給電器50は、第2ホルダケース10bの第2横壁部14の裏面14bに接触又は近接して配置される給電コイル52と、本体ケース51内に実装された給電回路等(図示省略)から概略構成され、本体ケース51が第2ホルダケース10bに取り付け固定される。
【0056】
図4(a)に示すように、給電コイル52は、ホルダケース10に収容された電子機器200の内部に実装された受電コイル(図示省略)と電磁的に結合された状態で給電、充電を行なう。給電器50は、給電コイル52に通電することにより、電磁誘導により、電子機器200の受電コイルを介して電子機器200への非接触による給電、充電が可能となる。なお、給電器50は、例えば、車両が運転モード、ACCモードの時に給電、充電可能な状態としておくことにより、電子機器200をワイヤレス給電ホルダ1に挿入して載置するだけで給電、充電が可能となる。
【0057】
(ワイヤレス給電ホルダ1の動作、電子機器200の挿入、保持)
図1に示すように、電子機器200を上方向からホルダケース10の開口部16から収容空間17に挿入する。
【0058】
図8に示すように、電子機器200の側面210、220は、それぞれ、第1サポート部32の当接部32a、32b、第2サポート部42の当接部42a、42bと接触、当接する。すなわち、電子機器200の側面210、220は、それぞれ、上下2点で保持される。また、電子機器200は、下端部202がインナ部材20の底部23に当たるまで挿入することができる。これにより、電子機器200は、底部23の側に接触した状態で収容空間17において安定して保持される。
【0059】
図8に示すように、電子機器200の挿入動作において、電子機器200はホルダケース10の中心軸CLに対してそれぞれ左右対称に設定された傾斜角θの方向に第1サポート部材31、第2サポート部材41を押しながら挿入される。傾斜角θは90°未満の鋭角に設定されているので、電子機器200は、第1サポート部材31、第2サポート部材41を斜め下方向に押しながら挿入されるので、左右真横に押し広げながら挿入するよりもスムーズに挿入できる。
【0060】
第1サポート部材31、第2サポート部材41は、ホルダケース10の中心軸CLに対してそれぞれ左右対称に配置されているので、電子機器200は、ホルダケース10の中心軸CLに合わせてホルダケース10の左右方向の中央部で保持される。
【0061】
図5(b)、
図7(a)に示すように、電子機器200が厚み方向に薄い場合、電子機器200の側面210は第1サポート部32の傾斜部32cに接触、当接する。これにより、電子機器200は、第1サポート部32の付勢力の電子機器200の方向への分力を受けることにより、給電器50側への押圧力が付与される。第2サポート部42の傾斜部42cと電子機器200の側面220も同様に接触、当接する。これにより、電子機器200は、
図5(b)、
図7(a)に示すように、インナ部材20、ホルダケース10の収容空間17内で、給電器50側に寄せられた状態で保持される。
【0062】
図5(c)、
図7(b)に示すように、電子機器200が厚み方向に厚い場合は、電子機器200の側面210は第1サポート部32の平坦部32dに接触、当接する。第2サポート部42の平坦部42dと電子機器200の側面220も同様に接触、当接する。したがって、
図5(c)、
図7(b)に示すように、電子機器200はインナ部材20の突出部26により給電器50側への押圧力が付与される。これにより、電子機器200は、
図5(c)、
図7(b)に示すように、インナ部材20、ホルダケース10の収容空間17内で、給電器50側に寄せられた状態で保持される。
【0063】
(電子機器200への給電、充電動作)
電子機器200は、ホルダケース10の収容空間17内に収容され、ホルダケース10の左右中央部、及び、給電器50側に寄せられた状態で保持される。この保持状態で、給電器50の給電コイル52に通電して電磁誘導により、電子機器200の受電コイルを介して電子機器200への非接触による給電、充電を行なう。
【0064】
ワイヤレス給電ホルダ1が、例えば、
図2に示すように、車両100に搭載されている場合は、例えば、車両が運転モード、ACCモードの時に給電、充電可能な状態としておくことにより、電子機器200をワイヤレス給電ホルダ1に挿入して載置するだけで給電、充電が可能となる。
【0065】
(第1の実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダ1の効果)
上記本実施の形態のワイヤレス給電ホルダ1によれば、以下のような効果を有する。
(1)本発明の実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダ1は、ホルダケース10の中心軸CLに対して、同期して、対称に移動可能な第1サポート部材31、第2サポート部材41を有するサポート機構30を有している。また、電子機器200は、第1サポート部材31、第2サポート部材41を斜め下方向に押しながら挿入される。これにより、電子機器200の挿入性が向上する。また、挿入後は、第1サポート部材31、第2サポート部材41が上部に移動し、電子機器200の重心を押えて保持が安定する。
(2)第1サポート部材31、第2サポート部材41は、ホルダケース10の中心軸CLに対して、同期して、対称に移動可能であるので、電子機器200の左右方向(横方向)の片寄りを防ぎ、給電器50の給電コイル52に対して位置合わせが確実になる。
(3)電子機器200の側面210、220は、それぞれ、第1サポート部32の当接部32a、32b、第2サポート部42の当接部42a、42bと接触、当接し、それぞれの側面が、上下2点で保持される。電子機器200は、下端部202がインナ部材20の底部23に当たる。したがって、保持された電子機器200の姿勢が安定する。
(4)第1サポート部材31、第2サポート部材41の無い部分に、ピニオンギヤ60と噛み合う1つのダンパ部材80を装着することで、第1サポート部材31、第2サポート部材41の進退移動時の動きを滑らかにして、挿入時の操作性を良くすることができる。
【0066】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態に係るサポート機構300は、
図9、
図10(a)、(b)に示すように、ホルダケース310の給電器50が装着されない横壁部314に備えられ、横壁部314は第2開口部350を有し、第1サポート部材331及び第2サポート部材341は、第2開口部350を介して電子機器200の側面210、220に付勢力を付与するように構成されている。これにより、電子機器200を
図1で示す幅方向Wにおいて、ホルダケース10の中心軸CLにほぼ一致させた所定の位置に保持するように、付勢力を付与することができる。
【0067】
第1サポート部332は、
図10(b)に示すように、第1アーム部333と連結部材337で連結されている。この連結部材337は、第2開口部350を貫通する。これにより、第2の実施の形態に係るホルダケース310は、上部の開口部を除いては、
図10(a)に示す4カ所の第2開口部350のみでよく、外部からのごみ等の侵入を抑制することができる。
【0068】
図10(a)に示すように、第1アーム部333は、ホルダケース310の2か所の支持部331により移動可能(スライド可能)支持される長穴部334を有する。第1アーム部333には、ラックギヤ部335が形成されている。この、ラックギヤ部335は、長穴部334と平行に形成され、ピニオンギヤ360と噛み合う。
【0069】
第2の実施の形態では、第1サポート部332と第2サポート部342は、ホルダケース310の中心軸CLに対して、左右対称に形成されている。第2サポート部342は、第1サポート部332と左右対称に形成され、第2アーム部343、長穴部344、ラックギヤ部345が同様に形成されている。
【0070】
第1サポート部材331と第2サポート部材341は、
図10(a)に示すように、ホルダケース310の中心軸CLに対して、左右対称に配置される。ラックギヤ部335がピニオンギヤ360と噛み合う。また、ラックギヤ部345は、中間ギヤ365を介してピニオンギヤ360と噛み合う。これにより、第1サポート部材331と第2サポート部材341は、ホルダケース310の中心軸CLに対して、同期して、左右対称に移動可能となる。
【0071】
第1サポート部材331のバネ係止部336と第2サポート部材341のバネ係止部346との間には、付勢力を発生させる弾性部材としてのコイルバネ370の両端が係止されている。
図10(a)に示す、電子機器200が挿入されない初期状態において、コイルバネ370は伸張した状態とされている。これにより、電子機器200が挿入される途中状態、また、保持される状態において、電子機器200に対して常に付勢力を付与することができる。
【0072】
この付勢力は、
図10(a)に示す、ホルダケース310の中心軸CLに対してそれぞれ左右対称に設定された傾斜角φの方向に作用する。すなわち、電子機器200を下方向に挿入すると、電子機器200が第1サポート部材331と第2サポート部材341をそれぞれR2方向、L2方向に押すことにより、その反力として、電子機器200は、それぞれR2方向、L2方向と反対方向に付勢力を受ける。これにより、電子機器200は、ホルダケース310の中で、
図1で示す幅方向Wに保持される。
【0073】
上記の傾斜角φは、第1の実施の形態と同様に、例えば、60°であり、90°以下の鋭角に設定されている。これにより、電子機器200は、第1サポート部材431、第2サポート部材441を斜め下方向に押しながら挿入されるので、左右真横に押し広げながら挿入するよりもスムーズに挿入できる。
【0074】
(第2の実施の形態に係るワイヤレス給電ホルダ1の効果)
第2の実施の形態のワイヤレス給電ホルダ1によれば、第1の実施の形態による効果に加えて次のような効果を有する。
(1)第1サポート部332と第2サポート部342は、ホルダケース310の中心軸CLに対して、左右対称に形成されて左右対称に配置される。これにより、第1の実施の形態に比べて左右のバランスがよいサポート機構300となる。
(2)第1サポート部332、第2サポート部342は、第2開口部350を介して、それぞれ第1アーム部333、第2アーム部343と連結されている。したがって、第1の実施の形態のように、横壁部311、312に大きな開口部を設ける必要がない。これにより、ホルダケース310内へのゴミ等の侵入を抑制することができる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0076】
1…ワイヤレス給電ホルダ
10…ホルダケース、10a…第1ホルダケース、10b…第2ホルダケース、11、12…第1横壁部、11a、12a…第1開口部、13、14…第2横壁部、14a…表面、14b…裏面、14c…係合部、15…底部、16…開口部、17…収容空間、18…間隙部
20…インナ部材、21…前面部、21a、22a…フランジ部、22…背面部、23…底部、24…係止突起部、24a…頭部、24b…嵌合部、25…係止突起部、25a…頭部、25b…嵌合部、26…突出部、26a…先端部
30…サポート機構、31…第1サポート部材、32…第1サポート部、32a、32b…当接部、32c…傾斜部、32d…平坦部、32e…境界部、32f…端面、33…第1アーム部、34…長穴部、35…ラックギヤ部、36…バネ係止部
41…第2サポート部材、42…第2サポート部、42a、42b…当接部、42c…傾斜部、42d…平坦部、43…第2アーム部、44…長穴部、45…ラックギヤ部、46…バネ係止部
50…給電器、51…本体ケース、52…給電コイル
60…ピニオンギヤ
70…コイルバネ
80…ダンパ部材、81…噛合ギヤ、82…取付部
100…車両、110…センターコンソール
131…支持部、131a…指示片、132…支持部、132a…指示片、133…回転軸、134…ダンパ固定部、135…係止部、135a…穴部、135b…長穴部、136…係止部、136a…穴部、136b…長穴部
160…上パネル
200…電子機器、201…上部、202…下端部、210…側面、230…前面、240…背面
300…サポート機構、331…第1サポート部材、341…第2サポート部材
410…ホルダケース
CL…中心軸
T…厚み方向
W…幅方向
w1…幅寸法
w2…幅寸法
θ、φ…傾斜角