(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 129
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2020037458
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向山 卓志
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-291601(JP,A)
【文献】特開2002-310789(JP,A)
【文献】特開2001-045233(JP,A)
【文献】特開2005-125752(JP,A)
【文献】特開2008-087211(JP,A)
【文献】特開2016-124244(JP,A)
【文献】特開2014-098930(JP,A)
【文献】特開2019-219190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体に光を照射する光照射装置と、
前記光照射装置から照射される照射光を通過させる遮光部材および前記遮光部材で減光された前記照射光の光強度を検出する光検出器を有する光検出部と、
前記画像形成部および前記光照射装置の駆動を制御する制御部とを備え、
前記遮光部材は、少なくとも1つの絞り孔を有し、
前記光検出器は、前記光照射装置から照射され前記絞り孔を通過した前記照射光の光強度を検知
し、
前記絞り孔は、前記照射光を回折させる径を有して形成され、
前記光検出器は、前記絞り孔の形成位置における遮光部材の法線上から外れた位置に配置されている
画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、前記記録媒体にインクを供給するインク供給装置を備え、
前記光照射装置として、前記記録媒体に供給されたインクを硬化させるための光を前記記録媒体に照射する硬化光照射装置を有する
請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光照射装置として、前記記録媒体に形成された画像を読み取るための画像読取装置に設けられた白色光の光照射装置を有する
請求項1
または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記絞り孔に対して前記光照射装置を所定の位置に配置した状態で、前記光照射装置からの照射光の光強度を前記光検出器で検知する
請求項1~
3のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記光照射装置として、異なる波長の照射光を照射する複数の光照射装置を備え、
前記制御部は、前記絞り孔に対して前記複数の光照射装置をそれぞれ所定の位置に配置した状態で、前記各光照射装置からの照射光の光強度を前記光検出器で個別に検知する
請求項1~
4のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記光検出器は、検出角度が異なる位置に移動自在に構成され、
前記制御部は、前記各光照射装置に合わせて前記光検出部の位置を制御する
請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記光検出器は、検出角度が異なる位置に複数配置され、
前記制御部は、前記各光照射装置からの照射光を、前記検出角度が異なる位置に配置された前記各光検出器で個別に検知する
請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数の光検出器は、受光特性が異なる受光素子を有する
請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記光検出器で受光した照射光の強度に基づいて、前記光照射装置の駆動を制御する
請求項1~
8のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部からの指示に基づいた報知を実施する報知部を備え、
前記制御部は、前記光検出器で受光した照射光の強度が閾値よりも低下した場合に、前記報知部に対して前記光照射装置の交換を促す報知を実施させる
請求項1~
9のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記光照射装置は、温度検出器を備え、
前記制御部は、前記温度検出器で検出した前記光照射装置の温度によって前記閾値を変更する
請求項
10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成部と前記光照射装置とに前記記録媒体を搬送する媒体搬送部を備え、
前記光検出器は、前記媒体搬送部による前記記録媒体の搬送方向に対して垂直な搬送幅方向にわたって、前記光照射装置に対向するように配置された
請求項1~
11のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記遮光部材は、前記搬送幅方向にわたって配列された複数の前記絞り孔を有し、
前記光検出器は、前記各絞り孔に対応して配置された複数の受光素子を備え、
前記各受光素子は、前記各絞り孔を通過した前記各照射光を個別に受光して光強度を検出する
請求項
12項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像形成部と前記光照射装置とに前記記録媒体を搬送する媒体搬送部を備え、
前記媒体搬送部は、前記記録媒体の搬送面に凹部を有し、
前記光検出部は、前記凹部内に収容されている
請求項1~
13のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体に光を照射する光照射装置と、前記光照射装置から照射される照射光を通過させる遮光部材および前記遮光部材で減光された前記照射光の光強度を検出する光検出器を有する光検出部と、前記画像形成部および前記光照射装置の駆動を制御する制御部とを備え、前記遮光部材は、
前記照射光を回折させる径を有して形成された少なくとも1つの絞り孔を有し、前記光検出器は、
前記絞り孔の形成位置における遮光部材の法線上から外れた位置に配置され、前記光照射装置から照射され前記絞り孔を通過した前記照射光の光強度を検知する画像形成装置の制御方法であって、
前記制御部により、前記絞り孔に対して前記光照射装置を所定の位置に配置した状態で、前記光照射装置からの照射光の光強度を前記光検出器で検知する
画像形成装置の制御方法。
【請求項16】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体に光を照射する光照射装置と、前記光照射装置から照射される照射光を通過させる遮光部材および前記遮光部材で減光された前記照射光の光強度を検出する光検出器を有する光検出部と、前記画像形成部および前記光照射装置の駆動を制御する制御部とを備え、前記遮光部材は、
前記照射光を回折させる径を有して形成された少なくとも1つの絞り孔を有し、前記光検出器は、
前記絞り孔の形成位置における遮光部材の法線上から外れた位置に配置され、前記光照射装置から照射され前記絞り孔を通過した前記照射光の光強度を検知する画像形成装置の制御
プログラムであって、
前記制御部に対して、前記絞り孔に対して前記光照射装置を所定の位置に配置した状態
とさせ、前記光照射装置からの照射光の光強度を前記光検出器で検知させる
ための
画像形成装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、形成した画像を検査するための画像読取装置用の光照射器、さらにインクジェット記録装置であればインク硬化用の紫外光を照射するための光照射器を備えている。このような画像形成装置については、精度の高い画像を形成するために、光照射器から安定した強度で光照射を実施するための様々な技術が開示されている。
【0003】
このような技術のうちの一つは、次のような技術である。すなわち光照射器が照射する照射光を遮る遮光位置に設けられ、所定の波長域の光が所定の透過率で透過可能なフィルターに前記照射光を照射する照射工程と、前記フィルターを透過する透過光の強度に基づく指示に応じて、照射光の強度を補正する判定工程とを備える。これにより、光照射器が照射する照射光の照射強度を、所定の波長域において、所定の強度に減光された透過光を用いて補正することができる、というものである(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような技術によれば、光照射器からの照射光をフィルターによって減光することにより、照射光の強度が強すぎる場合であっても、光検出器を飽和させることなく照射光の光強度を検出することができる。しかしながら、このような技術では、フィルターが汚れた場合には、フィルター自身の汚れによって、光照射器から照射される照射光を初期の通りに減光することが困難となる。このため、光照射器から照射される照射光の強度を、正確に検出し続けることが困難である。
【0006】
そこで本発明は、光照射器から照射される照射光の光強度を、光検出器において飽和させることなく検出し続けることが可能で、これにより安定した精度での画像形成が可能な画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体に光を照射する光照射装置と、前記光照射装置から照射される照射光を通過させる遮光部材および前記遮光部材で減光された前記照射光の光強度を検出する光検出器を有する光検出部と、前記画像形成部および前記光照射装置の駆動を制御する制御部とを備え、前記遮光部材は、少なくとも1つの絞り孔を有し、前記光検出器は、前記光照射装置から照射され前記絞り孔を通過した前記照射光の光強度を検知する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光照射器から照射される照射光の光強度を、光検出器において飽和させることなく高精度に検出し続けることが可能で、これにより安定した精度での画像形成が可能な画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る画像形成装置の要部を拡大した構成図である。
【
図3】第1実施形態に係る画像形成装置の光検出部を説明する平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る画像形成装置の光検出部を説明する断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る画像形成装置の光検出部を説明する要部の構成図である。
【
図6】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】第1実施形態に係る画像形成装置の制御方法を示すフローチャートである。
【
図8】第1実施形態に係る画像形成装置の制御方法を説明する図(その1)である。
【
図9】第1実施形態に係る画像形成装置の制御方法を説明する図(その2)である。
【
図10】光検出器を構成する受光素子の受光感度特性を説明するグラフである。
【
図11】第1実施形態の変形例を説明する構成図(その1)である。
【
図12】第1実施形態の変形例を説明する構成図(その2)である。
【
図13】第2実施形態に係る画像形成装置を説明する構成図(その1)である。
【
図14】第2実施形態に係る画像形成装置を説明する構成図(その2)である。
【
図15】第3実施形態に係る画像形成装置を説明する構成図(その1)である。
【
図16】第3実施形態に係る画像形成装置を説明する構成図(その2)である。
【
図17】第3実施形態に係る画像形成装置が有する光検出器の受光感度特性を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムの実施の形態を説明する。なお、以降に説明する各実施の形態においては、画像形成装置としてインクジェット方式の画像形成装置を例示して説明を行うが、本発明はこれに限定されることなく電子写真方式の画像形成装置に対しても適用可能である。また、各実施の形態においては、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置1の構成図である。また
図2は、第1実施形態に係る画像形成装置1の要部を拡大した構成図である。これらの図に示す画像形成装置1は、インクジェット方式のものであって、媒体供給部10、画像形成部20、媒体排出部30、および制御装置40を備え、記録媒体Pへの画像の形成を実行する。記録媒体Pは、シート状のものであって、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛またはシート状の樹脂等、シート状の主面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。以下、このような画像形成装置1の各部の構成を説明する。
【0012】
<媒体供給部10>
媒体供給部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレー11と、給紙トレー11から画像形成部20へ記録媒体Pを搬送する供給部12とを有する。なお、給紙トレー11から画像形成部20に搬送された記録媒体Pは、さらに画像形成部20から媒体排出部30に搬送さる。このためここでは、媒体供給部10、画像形成部20、および媒体排出部30の並び方向を、記録媒体Pの搬送方向xとして以下の説明を行う。
【0013】
<画像形成部20>
画像形成部20は、搬送ドラム21と、受け渡しユニット22と、加熱部23と、ヘッドユニット24と、硬化光照射装置25と、画像読取装置26と、デリバリー部27と、さらに本第1実施形態で特徴的な光検出部100とを備える。これらの構成は次の通りである。
【0014】
[搬送ドラム21]
搬送ドラム21は、円柱形をなしており、その側周面が、記録媒体Pを吸着保持する搬送面21aとなっている。搬送ドラム21は、その搬送面21aに記録媒体Pを保持した状態で、円柱形の中心軸を回転軸として一方の回転方向x1(図面上においては反時計回り方向)に回転する。これにより搬送ドラム21は、搬送面21aに吸着保持した記録媒体Pを、搬送面21aに沿った経路で回転方向x1に搬送する媒体搬送部として機能する。
【0015】
このような搬送ドラム21は、回転軸方向に延設された複数のブロックによって構成されており、ブロック毎に記録媒体Pが保持される構成となっている。また搬送ドラム21は、各ブロックの繋ぎ目に溝状の凹部21bが形成されている。図示した一例において、搬送ドラム21は、3つのブロックによって構成され、これらの繋ぎ目に対応して3つの凹部21bを有する。
【0016】
これらの凹部21bは、搬送面21aにおいて回転軸に沿って延設され、搬送ドラム21の回転軸方向にわたって配置されている。そして、これらの凹部21bのうちの1つに、以降に説明する各実施形態の光検出部100が収容された構成となっている。
【0017】
[受け渡しユニット22]
受け渡しユニット22は、媒体供給部10と搬送ドラム21との間の位置に設けられている。この受け渡しユニット22は、媒体供給部10の供給部12から搬送された記録媒体Pの一端を保持して取り上げ、搬送ドラム21の搬送面21aに記録媒体Pを引き渡す。
【0018】
[加熱部23]
加熱部23は、記録媒体Pの搬送方向xおよび搬送ドラム21の回転方向x1において、受け渡しユニット22の下流側に設けられ、搬送ドラム21によって搬送される記録媒体Pが所定の範囲内の温度となるように記録媒体Pを加熱する。このような加熱部23は、例えば、赤外線ヒーター等を用いて構成され、制御装置40からの指示に基づいて赤外線ヒーターに通電して加熱が行われる。
【0019】
[ヘッドユニット24]
ヘッドユニット24は、記録媒体Pの搬送方向xおよび搬送ドラム21の回転方向x1において、加熱部23の下流側に設けられたインク供給装置である。このヘッドユニットは、搬送ドラム21の回転に応じた適切なタイミングで、搬送ドラム21に保持された記録媒体Pに対してインクを射出する。本実施の形態における画像形成装置1では、一例としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット24が、記録媒体Pの搬送方向xの上流側から順に、所定の間隔で並ぶように配列されている。
【0020】
各ヘッドユニット24は、複数のインクヘッドのノズル開口が配列されたインク吐出面を有し、このインク吐出面が搬送ドラム21の搬送面21aに対向するように配置されている。このような各ヘッドユニット24は、例えばインク吐出面が、搬送ドラム21によって搬送される記録媒体Pの軸方向の全域にわたって配置されたシングルパス方式の装置である。
【0021】
[硬化光照射装置25]
硬化光照射装置25は、光照射装置の一つであって、記録媒体Pの搬送方向xにおいて、ヘッドユニット24の下流側に設けられている。硬化光照射装置25は、搬送ドラム21の搬送面21aに保持された記録媒体Pに対して紫外線等のエネルギー線を照射し、記録媒体P上に射出されたインクを硬化させて定着させる。このような硬化光照射装置25は、搬送ドラム21の回転軸方向にわたって配列された複数の発光素子を有する。
【0022】
各発光素子は、例えばLEDであって、インクの硬化に適する波長の光として例えば紫外光を照射する。このような発光素子は、搬送ドラム21の回転軸方向にわたって二次元マトリックス状に配列されることで、搬送ドラム21の回転軸方向にわたる発光面を構成する。
【0023】
またこの硬化光照射装置25は、装置の内部温度を検知するための温度検知器を備える。
【0024】
[画像読取装置26]
画像読取装置26は、記録媒体Pの搬送方向xにおいて、硬化光照射装置25の下流側に設けられており、記録媒体Pの表面に形成された画像を読み取る。このような画像読取装置26は、搬送ドラム21の軸方向にわたって配列された光照射装置26aと、CCDやCMOSセンサーなどの撮像装置26b(
図2のみに図示)と、これらの駆動を個別に制御する駆動回路(図示省略)とを有する。なお搬送ドラム21の軸方向は、搬送方向xに対して垂直な方向であって、搬送幅方向である。
【0025】
このうち光照射装置26aは、搬送ドラム21の回転軸方向にわたって配列された複数の発光素子を有する。各発光素子は、例えばLEDであって、撮像用の白色光を照射する。このような発光素子は、搬送ドラム21の回転軸方向にわたって二次元マトリックス状に配列されることで、搬送ドラム21の回転軸方向にわたる発光面を構成する。また、撮像装置26bは記録媒体Pの表面に形成された画像を読み取るための光センサーを配列したものである。
【0026】
またこの光照射装置26aは、装置の内部温度を検知するための温度検知器を備える。
【0027】
[デリバリー部27]
デリバリー部27は、搬送ドラム21と媒体排出部30との間の位置であって、記録媒体Pの搬送方向xにおいて、画像読取装置26の下流側に設けられている。デリバリー部27は、搬送ドラム21の搬送面21aにおいて搬送されている記録媒体Pの一端を保持して取り上げ、記録媒体Pを媒体排出部30の排紙トレー31上に送出する。
【0028】
[光検出部100]
光検出部100は、硬化光照射装置25と画像読取装置26の光照射装置26aとから照射される照射光の光強度を検出するためのものである。このような光検出部100は、搬送ドラム21の搬送面21aに沿って配置された凹部21b内に収容され、搬送ドラム21の回転によって、硬化光照射装置25と画像読取装置26の光照射装置26aとに対向する位置に配置される。このような光検出部100は、遮光部材101と、光検出器102とを有する。
【0029】
図3は、第1実施形態に係る画像形成装置の光検出部100を説明する平面図であり、
図2の硬化光照射装置25および画像読取装置26側から光検出部100を見た平面図である。また
図4は、第1実施形態に係る画像形成装置の光検出部100を説明する断面図であり、
図2に示した搬送ドラム21の凹部21bに沿った方向の光検出部100の断面図である。以下、
図2を参照しつつ、
図3、
図4に基づいて、第1実施形態の画像形成装置1における光検出部100の各部の構成を説明する。
【0030】
-遮光部材101-
遮光部材101は、板状の部材に少なくとの1つの絞り孔101aを設けたものである。図示した例では、複数の絞り孔101aを設けた構成を示した。これらの絞り孔101aは、硬化光照射装置25から照射された照射光、および画像読取装置26の光照射装置26aから照射された照射光を通過させるためのものである。これらの絞り孔101aは、搬送ドラム21の回転軸に沿った方向に、均等に配列されていることが好ましい。
【0031】
各絞り孔101aは、硬化光照射装置25から照射された照射光、および画像読取装置26の光照射装置26aから照射された照射光を回折させる程度の開口径[φ]を有していることが好ましい。
【0032】
-光検出器102-
光検出器102は、板状の部材の遮光部材101側に複数の受光素子102aを設けた構成のものである。これらの受光素子102aは、遮光部材101の絞り孔101aに対して1:1で対応して配置され、絞り孔101aを通過した光を1:1で受光する。このような受光素子102aは、受光した光の光強度を電気信号に変換する素子であって、例えばフォトダイオードである。このような受光素子102aは、光強度の検出を目的としたものであって、受光光を波長毎に分離する必要はない。
【0033】
また受光素子102aは、遮光部材101に対する法線方向から光検出部100を見た場合に、絞り孔101aに対して重なることなく、絞り孔101aに対してずれた位置に配置されていること好ましい。
【0034】
図5は、第1実施形態に係る画像形成装置1の光検出部100を説明する要部の構成図であって、
図3のA-A断面および
図4のA-A断面に相当する図である。
図5に示すように、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aからの照射光Hは、遮光部材101の絞り孔101aを通過することで回折し、絞り孔101aの裏側に回り込む。そこで、光検出器102の受光素子102aは、絞り孔101aを通過することで回折した照射光Hを受光できる範囲で、絞り孔101aに対してずらした位置に配置されていることとする。
【0035】
絞り孔101aに対する受光素子102aのずらし方向が限定されることはないが、図示した例では、搬送ドラム21の回転方向x1としている。
【0036】
このような位置に受光素子102aを配置することにより、受光素子102aに達する照射光Hを減光する効果と共に、インクのミストや記録媒体Pの屑が、絞り孔101aを介して受光素子102aに付着することを防止できる。
【0037】
また受光素子102aは、対応する絞り孔101aに近接して配置された他の絞り孔101aを通過することで回折した照射光Hを受光することのない程度に、遮光部材101に近接する位置に配置されていることが好ましい。これにより、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aからの照射光Hを、確実に分離して受光素子102aで受光することができる。
【0038】
<媒体排出部30>
図1に戻り、媒体排出部30は、画像形成部20から排出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレー31を有し、画像形成後の記録媒体Pを格納する。
【0039】
<制御装置40>
制御装置40は、媒体供給部10、画像形成部20、および媒体排出部30を構成する各部材の駆動を制御する。
図6は、第1実施形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図であって、制御装置40の構成を説明するための図である。
図1および
図6に示すように、制御装置40は、操作部41と、表示部42と、制御部43とを備え、媒体供給部10、画像形成部20、および媒体排出部30の各部に接続されている。
【0040】
[操作部41]
このうち操作部41は、この画像形成装置1を用いて実施される画像形成に関する各種の設定を入力する部分である。このような操作部41は、表示部42と一体に設けたタッチパネルであってもよく、表示部42とは別に設けた操作ボタンを有していてもよい。さらにこのような操作部41は、以降に説明する制御部43との間でデータの受け渡しのための通信が可能なパーソナルコンピューターや、プリンターコントローラーなどの外部装置であってもよい。
【0041】
[表示部42]
表示部42は、操作部41での操作の内容、操作部41での操作にしたがって設定された内容、さらには次の制御部43の指示に従うその他の表示を行う。この表示部42は、制御部43での指示にしたがった報知を、実施する報知部である。
【0042】
[制御部43]
制御部43は、操作部41での操作に基づいて、外部装置から入力された画像データの処理や、画像形成装置1の各駆動部分の動作を制御する。このような制御部43は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピュータとして用いられるハードウェアである。計算機は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリを備える。さらに、計算機は、不揮発性の記憶部およびネットワークインタフェースを備える。
【0043】
この制御部43は、媒体供給部10、画像形成部20、および媒体排出部30を構成する各部の駆動を制御することにより、記録媒体Pに画像を形成する。また、この制御部43において実施する制御のうちの一つは、以降に説明する特徴的な制御である。このような特徴的な制御の手順は、画像形成装置1の各部の動作を制御するための制御プログラムとして、予めROMに保存されたプログラムであるか、または外部装置からRAMまたは不揮発性ストレージにロードされた保存されたプログラムである。この制御プログラムは、以降の画像形成装置の制御方法において説明するステップを、計算機に実行させる。
【0044】
このような制御部43は、機能的要素として、光強度判定部43a、補正処理部43b、および駆動制御部43cを備える。次に、これらの構成要素の機能を説明する。
【0045】
-光強度判定部43a-
光強度判定部43aは、画像形成部20に設けた各受光素子102aからの信号に基づいて、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aからの照射光の光強度が、予め設定された閾値以上であるか否かの判定を行う。また光強度判定部43aは、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aからの照射光の光強度が、閾値よりも低い場合に、光強度の低下が補正可能な許容範囲内であるか否かの判断を実施する。
【0046】
光強度判定部43aは、以上のような判断を実施する際に基準となる閾値、および許容範囲としての閾値を保持する。これらの閾値は、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aのそれぞれに対応した値として、光強度判定部43aに保持されていることとする。またこれらの値は、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aの内部温度に対応する値として、光強度判定部43aに保持されていることとする。硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aの内部温度は、それぞれに設けられた温度検知器によって検知された温度であってよい。
【0047】
以上のような光強度判定部43aによる判定の手順は、以降の各実施形態中における画像形成装置の制御方法において詳細に説明する。
【0048】
-補正処理部43b-
補正処理部43bは、光強度判定部43aにおいて、光強度の低下が許容範囲内であると判断された場合に、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aから光を照射するための駆動電圧を補正する。
【0049】
-駆動制御部43c-
駆動制御部43cは、操作部41からの操作、他の外部装置からの入力情報、および補正処理部43bでの補正情報に基づいて、媒体供給部10、画像形成部20、媒体排出部30、および制御装置40における表示部42の駆動を制御する。この駆動制御部43cによる制御の手順は、以降の各実施形態中における画像形成装置の制御方法において詳細に説明する。
【0050】
<画像形成装置の制御方法>
図7は、第1実施形態に係る画像形成装置の制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す画像形成装置の制御方法は、
図1~
図6を用いて説明した画像形成装置1の制御装置40の制御部43において実施される制御方法であって、制御部43に保持された制御プログラムに基づいて実行される手順である。以下、
図7のフローチャートに沿って、先の
図1~
図6および必要に応じた他の図を参照しつつ、画像形成装置1の制御方法を説明する。
【0051】
[ステップS100]
ステップS100において、駆動制御部43cは、硬化光照射装置25または画像読取装置26の光照射装置26aの光強度の測定処理を開始するタイミングであるか否かの判断を実施する。駆動制御部43cは、測定処理を開始するタイミングに達した場合に、測定処理を開始するタイミングである(YES)と判断して次のステップS101に進む。
【0052】
なお、測定処理を開始するタイミングは、例えば操作部41からの操作、または他の外部装置からの入力によって、予め設定されていることとする。このタイミングは、典型的にはジョブの開始前のタイミングに設定されるか、あるいは硬化光照射装置25または画像読取装置26の光照射装置26aが、光検出部100に対向する位置に達する毎のタイミングに設定されていてもよい。
【0053】
[ステップS101]
ステップS101において、駆動制御部43cは、発光素子からの照射光の光強度測定処理を実施する。ここで、
図8は、第1実施形態に係る画像形成装置1の制御方法を説明する図(その1)である。この場合、駆動制御部43cは、搬送ドラム21を回転させることにより、搬送ドラム21の凹部21b内に収容した光検出部100を、光照射装置のうちの一つであって、ここでは一例として硬化光照射装置25に対向する位置に移動させる。
【0054】
なお、測定処理開始のタイミングが、硬化光照射装置25または画像読取装置26の光照射装置26aが、光検出部100に対向する位置に達する毎のタイミングに設定されている場合、この光検出部100を移動させる動作を実施する必要はない。
【0055】
この状態、すなわち光検出部100が硬化光照射装置25に対向した状態で、駆動制御部43cは、硬化光照射装置25を所定の駆動電圧で駆動し、硬化光照射装置25から照射光を照射させる。そして、光検出部100の遮光部材101に設けた各絞り孔101aを通過した照射光を、光検出器102で受光し、その光強度を検知する。
【0056】
[ステップS102]
ステップS102において、光強度判定部43aは、各受光素子102aで測定された照射光の光強度が、硬化光照射装置25に対して予め設定された閾値以上であるか否かの判断を実施する。この際、光強度判定部43aは、硬化光照射装置25に設けられた温度検出器で得た硬化光照射装置25の温度に対応する閾値を選択する。これにより、硬化光照射装置25の温度変動に起因する照射光の波長変動が、光強度に与える影響を抑える。そして、各受光素子102aで測定された照射光の光強度を、選択した閾値と比較してこの判断を実施する。
【0057】
そして、光強度判定部43aは、すべての受光素子102aで検知された照射光の光強度が閾値以上である場合に、光強度は閾値以上である(YES)と判断してステップS106に進む。一方、複数の受光素子102aのうちの1つでも、測定された照射光の光強度が閾値以上ではない場合には、光強度は閾値以上ではない(NO)と判断してステップS103に進む。
【0058】
[ステップS103]
ステップS103において、光強度判定部43aは、閾値以上ではないと判断された光強度の測定値が、硬化光照射装置25に対して予め設定された光強度の低下の許容範囲内であるか否かの判断を実施する。この際、光強度判定部43aは、硬化光照射装置25に設けられた温度検出器で得た硬化光照射装置25の温度に対応する許容範囲の値を選択する。これにより、硬化光照射装置25の温度変動に起因する照射光の波長変動が、光強度に与える影響を抑える。そして、各受光素子102aで測定された照射光の光強度を、選択した許容範囲の値と比較してこの判断を実施する。
【0059】
そして、光強度判定部43aは、閾値以上ではないと判断されたすべての受光素子102aで測定された照射光の光強度が、許容範囲内である場合に、光強度の低下は許容範囲内である(YES)と判断してステップS104に進む。一方、閾値以上ではないと判断された受光素子102aのうちの1つでも、光強度の低下が許容範囲内ではない場合には、光強度の低下は許容範囲内ではない(NO)と判断してステップS105に進む。
【0060】
[ステップS104]
ステップS104において、補正処理部43bは、硬化光照射装置25の駆動電圧を、ステップS101での光強度測定処理を実施した場合の駆動電圧よりも高い値に補正する。この場合、補正処理部43bは、光強度の測定値毎に対応して予め保持された駆動電圧を、補正値として選択すればよい。また、各受光素子102aに対応する部分ごとに、硬化光照射装置25の駆動の制御が可能な場合であれば、光強度が閾値以上ではないと判断された受光素子102aに対応する部分の硬化光照射装置25の駆動電圧を、補正すればよい。その後はステップS106に進む。
【0061】
[ステップS105]
ステップS105においては、駆動制御部43cは、表示部42に対して、光照射装置の一つである硬化光照射装置25の交換を促す報知を実施させるか、または光照射装置の一つである硬化光照射装置25の交換時期の報知を実施させる。その後は、ステップS106に進む。
【0062】
[ステップS106]
ステップS106においては、すべての測定が終了したか否かの判断を実施し、終了した(YES)と判断した場合には、処理を終了させる。一方、終了していない(NO)と判断した場合には、ステップS101に戻る。
【0063】
以降は、硬化光照射装置25の他の光照射装置であって、ここでは一例として画像読取装置26の光照射装置26aについて、同様の測定処理を実施する。
【0064】
図9は、第1実施形態に係る画像形成装置の制御方法を説明する図(その2)である。この図に示すように、次のステップS101において、駆動制御部43cは、搬送ドラム21を回転させることにより、搬送ドラム21の凹部21b内に収容した光検出部100を、画像読取装置26に対向させる。以降は、画像読取装置26の光照射装置26aに対して、先に説明した手順を同様に実施する。
【0065】
<第1実施形態の効果>
以上説明した第1実施形態によれば、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aからの照射光が、遮光部材101に設けた絞り孔101aで減光されて光検出器102の受光素子102aに入射される。このため、受光素子102aでの受光量が飽和することなく、精度良く照射光の光強度を検知することができる。しかも、受光素子102aがフィルターで覆われることもないため、フィルターに付着した汚れに起因して、受光素子102aでの受光量がさらに減光されることがない。したがって、光照射装置から照射される照射光の光強度を、高精度に検出し続けることができるため、安定した精度での画像形成が可能となる。
【0066】
≪第1実施形態の変形例≫
次に第1実施形態の変形例を説明する。この変形例の説明に先立ち、光検出器102に設けた受光素子102aの特性を説明する。
図10は、光検出器102に設けた受光素子102aの受光感度特性を説明するグラフであって、横軸を波長[λ]とし、縦軸を受光感度[S]としたグラフである。このグラフに示すように受光素子102aは、短波長領域において受光感度[S]が低く、長波長領域において受光感度[S]が高い特性を有する。
【0067】
したがって、
図2に示した硬化光照射装置25から照射される照射光が紫外光である場合、この照射光は受光素子102aにおいて検知されにくい。一方、画像読取装置26の光照射装置26aは、白色光であって長波長領域の光を含むため、受光素子102aにおいて検知され易い。
【0068】
そこで、この変形例においては、光強度測定時においての光検出部100に対する硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aの配置状態を、受光素子102aの受光感度特性に合わせて変更する。これにより、光検出器102の受光素子102aに達する照射光の量を、硬化光照射装置25と画像読取装置26の光照射装置26aとで調整する。
【0069】
図11および
図12は、第1実施形態の変形例を説明する構成図(その1)および(その2)である。これらの図は、光強度測定時においての、光検出部100に対する硬化光照射装置25、および画像読取装置26の光照射装置26aの配置状態を示している。
【0070】
すなわち、
図11に示すように、硬化光照射装置25の光強度を測定する場合には、絞り孔101aに対する法線方向に硬化光照射装置25を配置した状態とする。これにより、硬化光照射装置25から照射された紫外光のような短波長の照射光H1が、より多く絞り孔101aを通過して光検出器102の受光素子102aに達するようにする。
【0071】
また
図12に示すように、画像読取装置26の光照射装置26aの光強度を測定する場合には、絞り孔101aに対する法線方向に対して斜め方向に光照射装置26aを配置した状態とする。これにより、光照射装置26aから照射された白色光のような長波長側の照射光H2が、絞り孔101aを通過して光検出器102の受光素子102aに達する量を少なくする。
【0072】
<変形例の効果>
このような変形例によれば、光強度を測定する際においての硬化光照射装置25、および画像読取装置26の光照射装置26aの配置状態によって、受光素子102aに達する照射光の量を調整することができる。このため、異なる波長の照射光が照射される複数の光照射装置を有する場合であっても、受光素子102aの受光特性に合わせた適切な範囲の受光量で各波長の照射光を受光し、照射光の光強度を高精度に測定することが可能になる。
【0073】
≪第2実施形態≫
図13および
図14は、第2実施形態に係る画像形成装置2を説明する構成図(その1)および(その2)である。これらの図に示す第2実施形態の画像形成装置2が、第1実施形態の画像形成装置1と異なるところは、光検出部200が、光検出器102を移動させるための移動機構201を備えたところにある。他の構成は第1実施形態と同様である。このため、以下においては、光検出器102を移動させるための移動機構201の構成を説明する。
【0074】
すなわち、移動機構201は、光検出器102に取り付けられ、光検出器102を異なる検出角度となる第1の検出位置[θ1]と第2の検出位置[θ2]との間で自在に移動させる。ここで検出角度とは、絞り孔101aを中心として光検出器102の配置角度である。ただし、検出角度が異なる第1の検出位置[θ1]と第2の検出位置[θ2]とにおいて、光検出器102は、受光素子102aの受光面を絞り孔101aに向けて配置されることとする。
【0075】
光検出器102が配置される第1の検出位置[θ1]および第2の検出位置[θ2]は、いずれも遮光部材101に対する法線方向から光検出部100を見た場合に、絞り孔101aとは重なることなく、絞り孔101aに対してずれた位置であって、例えば搬送ドラム21の回転方向x1にずれた位置である。またこれらの第1の検出位置[θ1]および第2の検出位置[θ2]は、対応する絞り孔101aに近接して配置された他の絞り孔101aを通過することで回折した照射光H1,H2を、光検出器102が受光することのない程度に、遮光部材101に近接する位置であることとする。
【0076】
そして、第2の検出位置[θ2]は、第1の検出位置[θ1]よりも、絞り孔101aに対する法線から離れた位置であることとする。これにより、第1の検出位置[θ1]に配置した光検出器102と比較して、第2の検出位置[θ2]に配置した光検出器102には、遮光部材101の絞り孔101aを通過した光が届きにくい構成となっている。
【0077】
この場合、
図13に示すように、より短波長の光を照射する硬化光照射装置25からの照射光H1の光強度を測定する場合であれば、光検出器102を第1の検出位置[θ1]に配置して光強度の測定を実施する。また
図14に示すように、長波長側の光を含む白色光を照射する画像読取装置26用の光照射装置26aからの照射光H2の光強度を測定する場合であれば、光検出器102を第2の検出位置[θ2]に配置して光強度の測定を実施する。
【0078】
<第2実施形態の効果>
以上説明した第2実施形態の構成によれば、光検出器102の配置状態を変更することができるため、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aの光強度を測定する際には、受光素子102aに達する照射光H1,H2の量を調整することができる。このため、変形例の場合と同様に、異なる波長の照射光H1,H2が照射される複数の光照射装置を有する場合であっても、受光素子102aの受光特性に合わせた適切な範囲の受光量で各波長の照射光を受光し、照射光H1,H2の光強度を高精度に測定することが可能になる。
【0079】
≪第3実施形態≫
図15および
図16は、第3実施形態に係る画像形成装置3を説明する構成図(その1)および(その2)である。これらの図に示す第3実施形態の画像形成装置3が、第1実施形態の画像形成装置1と異なるところは、光検出部300が、2つの光検出器102,103を備えたところにある。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0080】
これらの光検出器102,103は、第1の検出位置[θ1]と第2の検出位置[θ2]に配置されている。第1の検出位置[θ1]および第2の検出位置[θ2]は、第2実施形態で説明した第1の検出位置[θ1]および第2の検出位置[θ2]と同様の位置である。
【0081】
これらの光検出器102,103は、第1実施形態で説明した光検出器102と同様の構成のものであって、それぞれが受光素子102a,103aを有する。これらの受光素子102a,103aは、受光感度特性が同一のものであってもよいが、異なるものであってもよい。
【0082】
図17は、第3実施形態に係る画像形成装置3が有する光検出器102,103の受光感度特性を説明するグラフである。この図に示すように、第1の検出位置[θ1]に配置される光検出器103の受光素子103aは、第2の検出位置[θ2]に配置される光検出器102の受光素子102aと比較して、より短波長領域において受光感度[S]が高い特性を有することとする。
【0083】
いずれの場合であっても、
図15に示すように、より短波長の光を照射する硬化光照射装置25からの照射光H1の光強度を測定する場合であれば、第1の検出位置[θ1]に配置された光検出器103の受光素子103aによって、光強度の測定を実施する。また
図16に示すように、長波長側の光を含む白色光を照射する画像読取装置26の光照射装置26aからの照射光H2の光強度を測定する場合であれば、第2の検出位置[θ2]に配置された光検出器102の受光素子102aによって、光強度の測定を実施する。
【0084】
<第3実施形態の効果>
以上説明した第3実施形態の構成によれば、異なる位置に受光素子102a,103aを配置したことにより、硬化光照射装置25および画像読取装置26の光照射装置26aの光強度を測定する際に、各受光素子102a,103aに達する照射光の量を調整することができる。このため、異なる波長の照射光H1,H2が照射される複数の光照射装置を有する場合であっても、適する範囲の受光量で照射光H1,H2を受光できる位置の受光素子102a,103aを選択することにより、照射光H1,H2の光強度を高精度に測定することが可能になる。
【符号の説明】
【0085】
1,2,3…画像形成装置
20…画像形成部
21…搬送ドラム(媒体搬送部)
21a…搬送面
21b…凹部
24…ヘッドユニット(インク供給装置)
25…硬化光照射装置(光照射装置)
26…画像読取装置
26a…光照射装置
43…制御部
101…遮光部材
102…光検出器
100…光検出部
101a…絞り孔
102a…受光素子
42…表示部(報知部)
P…記録媒体
H,H1,H2…照射光
x…搬送方向
x1…回転方向(搬送方向)