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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】光デバイスおよび光送受信機
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
G02F1/035
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020037571
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021140026
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0280578(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110441928(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0314083(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0039151(US,A1)
【文献】特開2018-025610(JP,A)
【文献】米国特許第05291565(US,A)
【文献】特開2003-233043(JP,A)
【文献】K. AOKI et al.,High-Speed, Low-Driving-Voltage and Small-Footprint X-Cut Thin LiNbO3 Sheet Optical Modulator with Folded Mach-Zehnder Waveguide,2006 European Conference on Optical Communications,IEEE,2009年09月24日,Conference proceedings,pp. 1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LN(LiNbO3)基板と、
前記LN基板の表面領域に形成される、マッハツェンダ干渉計を構成する光導波路と、
前記LN基板上に形成される信号電極と、
前記LN基板上に形成される接地電極と、を備え、
前記信号電極および前記接地電極は、前記光導波路を挟むように形成され、
前記LN基板は、前記信号電極と前記接地電極との間に電圧が与えられたときに、前記LN基板の表面に沿った方向に電界が発生するXカットLN基板であり
前記光導波路は、
入力光を第1の方向に伝搬する第1の導波路部と、
前記第1の導波路部に光学的に結合し、前記入力光を前記第1の方向と異なる方向に導く曲線導波路部と、
前記曲線導波路部に光学的に結合する第2の導波路部と、を備え、
前記信号電極は、
前記第1の導波路部の近傍に設けられる第1の電極と、
前記第2の導波路部の近傍に設けられる第2の電極と、を備え、
前記マッハツェンダ干渉計を駆動する差動電気信号の一方の信号が前記第1の電極に与えられ、前記差動電気信号の他方の信号が前記第2の電極に与えられる
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記差動電気信号を生成するドライバ回路と前記第1の電極との間の配線の長さより、前記ドライバ回路と前記第2の電極との間の配線の長さが長く、
前記第1の導波路部と前記第1の電極とが互いに平行に形成される領域の長さより、前記第2の導波路部と前記第2の電極とが互いに平行に形成される領域の長さが短い
ことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記差動電気信号を生成するドライバ回路と前記LN基板との間に1または複数の中継基板をさらに備え、
前記1または複数の中継基板のうちの少なくとも1つは積層基板である
ことを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記積層基板において、前記ドライバ回路と前記第1の電極との間の配線は、前記積層基板の表面のみに形成され、
前記積層基板において、前記ドライバ回路と前記第2の電極との間の配線の一部は、前記積層基板の内層に形成される
ことを特徴とする請求項3に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記積層基板に形成される前記ドライバ回路と前記第1の電極との間の配線の長さは、前記積層基板に形成される前記ドライバ回路と前記第2の電極との間の配線の長さより短い
ことを特徴とする請求項4に記載の光デバイス。
【請求項6】
光変調器および光受信器を含む光送受信機であって、
前記光変調器は、
LN(LiNbO3)基板と、
前記LN基板の表面領域に形成される、マッハツェンダ干渉計を構成する光導波路と、
前記LN基板上に形成される信号電極と、
前記LN基板上に形成される接地電極と、を備え、
前記信号電極および前記接地電極は、前記光導波路を挟むように形成され、
前記LN基板は、前記信号電極と前記接地電極との間に電圧が与えられたときに、前記LN基板の表面に沿った方向に電界が発生するXカットLN基板であり
前記光導波路は、
入力光を第1の方向に伝搬する第1の導波路部と、
前記第1の導波路部に光学的に結合し、前記入力光を前記第1の方向と異なる方向に導く曲線導波路部と、
前記曲線導波路部に光学的に結合する第2の導波路部と、を備え、
前記信号電極は、
前記第1の導波路部の近傍に設けられる第1の電極と、
前記第2の導波路部の近傍に設けられる第2の電極と、を備え、
前記マッハツェンダ干渉計を駆動する差動電気信号の一方の信号が前記第1の電極に与えられ、前記差動電気信号の他方の信号が前記第2の電極に与えられる
ことを特徴とする光送受信機。
【請求項7】
前記差動電気信号を生成するドライバ回路と前記第1の電極との間の配線の長さより、前記ドライバ回路と前記第2の電極との間の配線の長さが長く、
前記第1の導波路部と前記第1の電極とが互いに平行に形成される領域の長さより、前記第2の導波路部と前記第2の電極とが互いに平行に形成される領域の長さが短い
ことを特徴とする請求項6に記載の光送受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器を含む光デバイスおよび光送受信機に係わる。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の光変調器の一例を示す。この例では、光変調器は、偏波多重光信号を生成する。すなわち、光変調器は、1組の親マッハツェンダ干渉計を備える。そして、各親マッハツェンダ干渉計は、1組のマッハツェンダ干渉計を備える。
【0003】
光変調器は、LN基板(または、LNチップ)上に形成される。すなわち、LN基板上に光導波路を形成することで各マッハツェンダ干渉計が構成される。ここで、LN基板はZカットLN基板であるものとする。この場合、信号電極は、マッハツェンダ干渉計を構成する光導波路の上に形成される。
【0004】
上記構成の光変調器において、信号電極に電気信号が与られると、基板の表面に対して垂直方向(即ち、Z方向)に電界が発生する。そうすると、この電界により、信号電極の下に形成されている光導波路の屈折率が変化し、光の位相が変化する。したがって、電気信号を用いて各マッハツェンダ干渉計を伝搬する光の位相を適切に調整することで、所望の変調光信号が生成される。
【0005】
光変調器を駆動するための電気信号は、この例では、差動信号である。差動信号は、互いに極性が異なる正極信号および負極信号から構成される。ここで、光変調器がXI変調器、XQ変調器、YI変調器、YQ変調器を含むものとする。この場合、XI変調器には1組の電気信号XIp、XInが与えられ、XQ変調器には1組の電気信号XQp、XQnが与えられ、YI変調器には1組の電気信号YIp、YInが与えられ、YQ変調器には1組の電気信号YQp、YQnが与えられる。
【0006】
各電気信号は、対応する信号電極を介して伝搬され、RF終端器により終端される。ここで、信号電極に与えられる電気信号は、対応する光導波路を伝搬する光と同じ方向にほぼ同じ速度で伝搬する。このとき、電気信号に応じて各マッハツェンダ干渉計を伝搬する光の位相が変化し、変調光信号が生成される。
【0007】
他方、光変調器の消費電力を抑制するために、光変調器を駆動する電気信号の電圧(すなわち、駆動電圧)を小さくする構成が知られている。ただし、駆動電圧を小さくする場合、光と電気信号とが干渉する領域の長さ(即ち、相互作用長)を長くする必要がある。ところが、図1に示す構成において相互作用長を長くすると、光変調器を形成するLN基板が長くなる。図1に示す例では、横方向(または、図1に示すX方向)においてLN基板が長くなる。この結果、光変調器を収容するパッケージが大きくなってしまう。
【0008】
この問題は、例えば、図2に示すように、LN基板上で光導波路を折り返す形状とすることで解決または緩和され得る。すなわち、図2に示す光変調器においては、X方向に光が伝搬する光導波路および-X方向に光が伝搬する光導波路の双方で、光と電気信号との干渉が発生するので、相互作用長が実質的に長くなる。この結果、LN基板を長くすることなく駆動電圧を低くできる。
【0009】
なお、基板上で光導波路を折り返す構成を有する光デバイスは、例えば、特許文献1に記載されている。また、本件出願に関連する技術が特許文献2~4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】US2004/0184755
【文献】US2008/0226215
【文献】特開2009-186881号公報
【文献】特開2008-224740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ZカットLN基板上にマッハツェンダ干渉計を有する光変調器においては、図1または図2に示すように、各マッハツェンダを構成する1組の光導波路に対してそれぞれ差動電気信号が与えられる。例えば、図2に示すXI変調器は、1組の電気信号XIp、XInにより駆動される。この場合、1組の電気信号XIp、XInの位相および強度が精度よく調整されていることが要求される。しかしながら、送信データのレートが高くなると、マッハツェンダ干渉計に到達した1組の電気信号の位相および強度が適切に調整されているように回路を設計することが難しくなる。そして、1組の電気信号の位相および強度が適切に調整されていないときは、変調光信号にチャープが発生する。すなわち、送信信号の品質が悪くなる。
【0012】
本発明の1つの側面に係わる目的は、光変調器を含む光デバイスの小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの態様の光デバイスは、基板と、前記基板の表面領域に形成される、マッハツェンダ干渉計を構成する光導波路と、前記基板上に形成される信号電極と、前記基板上に形成される接地電極と、を備える。前記信号電極および前記接地電極は、前記光導波路を挟むように形成される。前記基板は、前記信号電極と前記接地電極との間に電圧が与えられたときに、前記基板の表面に沿った方向に電界が発生する特性を有する。前記光導波路は、入力光を第1の方向に伝搬する第1の導波路部と、前記第1の導波路部に光学的に結合し、前記入力光を前記第1の方向と異なる方向に導く曲線導波路部と、前記曲線導波路部に光学的に結合する第2の導波路部と、を備える。前記信号電極は、前記第1の導波路部の近傍に設けられる第1の電極と、前記第2の導波路部の近傍に設けられる第2の電極と、を備える。前記マッハツェンダ干渉計を駆動する差動電気信号の一方の信号が前記第1の電極に与えられる。前記差動電気信号の他方の信号が前記第2の電極に与えられる。
【発明の効果】
【0014】
上述の態様によれば、光変調器を含む光デバイスの小型化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来の光デバイスの一例を示す図である。
図2】従来の光デバイスの他の例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係わる光変調器を構成する光導波路の一例を示す図である。
図4】電気信号により発生する電界を説明する図である。
図5】XカットLN基板を使用して構成される光変調器の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係わる光デバイスの一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係わる光デバイスにおいて発生する電界を説明する図である。
図8図6に示す光デバイスのバリエーションを示す図である。
図9】本発明の実施形態に係わる光デバイスの他の例を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係わる光送受信機の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図3は、本発明の実施形態に係わる光変調器を構成する光導波路の一例を示す。この実施例では、光変調器は、ニオブ酸リチウム(LN:LiNbO3)基板1に実装される。ニオブ酸リチウムは、大きな電気光学定数を有する。また、ニオブ酸リチウムにTi等を拡散させることで、損失の少ない光導波路が形成される。よって、LN基板は、光変調器等の光デバイスを実現するために広く使用されている。
【0017】
光変調器は、図3に示すように、1組の親マッハツェンダ干渉計MZI_X、MZI_Yを備える。各親マッハツェンダ干渉計は、1組のマッハツェンダ干渉計を備える。すなわち、親マッハツェンダ干渉計MZI_Xは、1組のマッハツェンダ干渉計XI、XQを備える。親マッハツェンダ干渉計MZI_Yは、1組のマッハツェンダ干渉計YI、YQを備える。
【0018】
各マッハツェンダ干渉計は、互いに平行またはほぼ平行に形成されている。また、各マッハツェンダ干渉計は、それぞれ、第1の導波路部、曲線導波路部、および第2の導波路部を含む。第1の導波路部は、入力光を第1の方向(図3では、紙面の左側から右側に向う方向)に伝搬するように形成される。曲線導波路部は、第1の導波路部に光学的に結合され、第1の導波路部からの入力光を第1の方向と異なる方向(図3では、紙面の右側から左側に向う方向)に導く。第2の導波路部は、曲線導波路部に光学的に結合する。この実施例では、第1の導波路部および第2の導波路部は、互いに逆方向に光を伝搬するように形成される。すなわち、曲線導波路部は、第1の導波路部を介して受信する光が反対方向に進むように第2の導波路部に導く。よって、曲線導波路部を「折返し部」と呼ぶことがある。
【0019】
LN基板1において上述のように光導波路が形成されると、LN基板1の同じ辺に入力ポートおよび出力ポートが設けられる。図3においては、LN基板1の左側の辺に沿って入力ポートおよび出力ポートが設けられている。
【0020】
入力ファイバを介して入力される連続光は、親マッハツェンダ干渉計MZI_X、MZI_Yに導かれる。親マッハツェンダ干渉計MZI_Xにおいては、連続光は、マッハツェンダ干渉計XI、XQに導かれ、親マッハツェンダ干渉計MZI_Yにおいては、連続光は、マッハツェンダ干渉計YI、YQに導かれる。各マッハツェンダ干渉計を通過する連続光は、不図示の信号電極に印加される電気信号により変調される。これにより、親マッハツェンダ干渉計MZI_Xは変調光信号Xを生成し、親マッハツェンダ干渉計MZI_Yは変調光信号Yを生成する。そして、変調光信号Xおよび変調光信号Yは、偏波ビームコンバイナ(PBC)により合波され、出力ファイバに導かれる。
【0021】
光導波路は、LN基板1の表面領域に形成される。一例としては、図4に示すように、LN基板1の表面領域にTi等を拡散させることで光導波路が形成される。なお、図4に示す光導波路Gaおよび光導波路Gbは、マッハツェンダ干渉計を構成する1組の光導波路である。
【0022】
LN基板1は、この実施例では、XカットLN基板である。よって、信号電極は、マッハツェンダ干渉計を構成する1組の光導波路に挟まれる領域の上に形成される。図4に示す例では、信号電極は、光導波路Ga、Gbの間の領域の上に形成されている。また、LN基板1の表面の他の領域には、接地電極が形成される。したがって、信号電極および接地電極は、対応する光導波路を挟むように形成されことになる。なお、LN基板1の表面には、バッファ層が形成されていてもよい。また、バッファ層と電極との間には、絶縁層が形成されていてもよい。
【0023】
上記構成の光デバイスにおいて、信号電極と接地電極との間に電圧が印加されると、LN基板1の表面領域に電界が発生する。ここで、LN基板1はXカットLN基板なので、LN基板1の表面に沿った方向に電界が発生する。したがって、図4に示す例では、光導波路Ga内に+Z方向に向う電界が発生し、光導波路Ga内に-Z方向に向う電界が発生する。即ち、光導波路Ga、Gbにおいて、互いに逆方向の電界が発生する。そして、この電界により光導波路Ga、Gbの屈折率(または、光パス長)が変化し、各光導波路から出力される光の位相が変化する。
【0024】
図5は、XカットLN基板を使用して構成される光変調器の一例を示す。なお、LN基板1に形成される光導波路は、図3および図5において互いに実質的に同じである。光変調器が実装されたLN基板1は、パッケージに収容されている。
【0025】
中継基板2は、不図示のドライバ回路からLN基板1に電気信号を伝搬する。ドライバ回路からLN基板1に与えられる電気信号は、信号XI、信号XQ、信号YI、信号YQを含む。加えて、ドライバ回路から中継基板2を介してLN基板1に接地電圧GNDが与えられる。
【0026】
LN基板1の表面には、信号電極および接地電極が形成される。信号電極は、信号XIを伝搬する電極XI、信号XQを伝搬する電極XQ、信号YIを伝搬する電極YI、および信号YQを伝搬する電極YQを含む。ここで、電極XI、XQ、YI、YQは、それぞれマッハツェンダ干渉計XI、XQ、YI、YQに対して形成される。具体的には、電極XI、XQ、YI、YQは、図4を参照して説明したように、対応するマッハツェンダ干渉計を構成する1組の光導波路の間の領域の上に形成される。また、この実施例では、各信号電極は、図3に示す第1の導波路部において、対応するマッハツェンダ干渉計を構成する光導波路に沿って形成される。そして、各信号電極は、RF終端器によって終端される。
【0027】
接地電極GDNは、信号電極間に形成される。即ち、電極XI、XQ間、電極XQ、YI間、電極YI、YQ間にそれぞれ接地電極GNDが形成される。また、図面を見やすくするために省略しているが、LN基板1の表面の他の領域にも接地電極が形成される。
【0028】
上記構成の光変調器において、入力ファイバを介して連続光が入力される。また、不図示のドライバ回路から信号XI、XQ、YI、YQが与えられる。そうすると、マッハツェンダ干渉計MZI_Xにおいて信号XI、XQにより連続光が変調されて変調光信号Xが生成される。また、マッハツェンダ干渉計MZI_Yにおいて信号YI、YQにより連続光が変調されて変調光信号Yが生成される。そして、変調光信号Xおよび変調光信号Yは、偏波ビームコンバイナ(PBC)により合波され、出力ファイバに導かれる。
【0029】
このように、XカットLN基板を用いて構成される光変調器においては、各マッハツェンダ干渉計に対して1本の信号電極が形成され、1つの電気信号が与えられる。即ち、各マッハツェンダ干渉計を駆動するために差動信号を生成する必要はない。
【0030】
ただし、図5に示す構成では、各信号電極は、図3に示す第1の導波路部のみに形成されている。このため、光と電気信号とが干渉する領域の長さ(すなわち、相互作用長)が短く、駆動電圧を小さくできないことがある。
【0031】
なお、相互作用長を長くするためには、図2に示す光変調器と同様に、第1の導波路部に形成される信号電極を第2の導波路部まで伸ばす構成が考えられる。ところが、そのような構成では、各マッハツェンダ干渉計において、第1の導波路部で発生する電界による効果と第2の導波路部で発生する電界による効果とが相殺されてしまう。例えば、あるマッハツェンダ干渉計の第1の導波路部において、図4に示すように、光導波路Ga内で+Z方向に向かう電界が発生し、光導波路Gb内で-Z方向に向かう電界が発生するものとする。この場合、このマッハツェンダ干渉計の第2の導波路部においては、光導波路Ga内で-Z方向に向かう電界が発生し、光導波路Gb内で+Z方向に向かう電界が発生することになる。よって、第1の導波路部において現れる電気光学効果と第2の導波路部において現れる電気光学効果とは、互いに相殺されることになる。したがって、LN基板1がXカットLN基板である場合、各信号電極を第1の導波路部から第2の導波路部まで伸ばす構成は、好ましくない。
【0032】
<実施形態>
図6は、本発明の実施形態に係わる光デバイスの一例を示す。光デバイスは、この実施例では、偏波多重光信号を生成する光変調器である。LN基板1は、XカットLN基板であり、図5および図6において実質的に同じである。また、LN基板1の表面領域に形成される光導波路は、図5および図6において実質的に同じであるものとする。すなわち、LN基板1上には、図3に示すように、親マッハツェンダ干渉計MZI_Xおよび親マッハツェンダ干渉計MZI_Yが構成される。親マッハツェンダ干渉計MZI_Xは、1組のマッハツェンダ干渉計XI、XQを備え、親マッハツェンダ干渉計MZI_Yは、1組のマッハツェンダ干渉計YI、YQを備える。また、各マッハツェンダ干渉計は、第1の導波路部、曲線導波路部、および第2の導波路部を含む。
【0033】
図6に示す光変調器においては、各マッハツェンダ干渉計に対して2つの信号電極が設けられる。具体的には、マッハツェンダ干渉計XIに対して信号電極XIpおよび信号電極XInが設けられ、マッハツェンダ干渉計XQに対して信号電極XQpおよび信号電極XQnが設けられ、マッハツェンダ干渉計YIに対して信号電極YIpおよび信号電極YInが設けられ、マッハツェンダ干渉計YQに対して信号電極YQpおよび信号電極YQnが設けられる。そして、信号電極XIpは、マッハツェンダ干渉計XIの第1の導波路部に形成され、信号電極XInは、マッハツェンダ干渉計XIの第2の導波路部に形成される。同様に、信号電極XQpは、マッハツェンダ干渉計XQの第1の導波路部に形成され、信号電極XQnは、マッハツェンダ干渉計XQの第2の導波路部に形成される。信号電極YIpは、マッハツェンダ干渉計YIの第1の導波路部に形成され、信号電極YInは、マッハツェンダ干渉計YIの第2の導波路部に形成される。信号電極YQpは、マッハツェンダ干渉計YQの第1の導波路部に形成され、信号電極YQnは、マッハツェンダ干渉計YQの第2の導波路部に形成される。
【0034】
不図示のドライバ回路は、各マッハツェンダ干渉計を駆動するための電気信号を生成する。ここで、各マッハツェンダ干渉計を駆動するための電気信号は、差動信号である。具体的には、ドライバ回路は、マッハツェンダ干渉計XIを駆動する差動信号XIp/XIn、マッハツェンダ干渉計XQを駆動する差動信号XQp/XQn、マッハツェンダ干渉計YIを駆動する差動信号YIp/YIn、およびマッハツェンダ干渉計YQを駆動する差動信号YQp/YQnを生成する。そして、各正極電気信号XIp、XQp、YIp、YQpは、それぞれ、第1の導波路部に形成される電極XIp、XQp、YIp、YQpに与えられる。また、各負極電気信号XIn、XQn、YIn、YQnは、それぞれ、第2の導波路部に形成される電極XIn、XQn、YIn、YQnに与えられる。
【0035】
電極XIp、XQp、YIp、YQpを介して伝搬される電気信号は、それぞれRF終端器3により終端される。電極XIn、XQn、YIn、YQnを介して伝搬される電気信号は、それぞれRF終端器4により終端される。
【0036】
接地電極は、信号電極間に形成される。即ち、電極XIp、XQp間、電極XQp、YIp間、電極YIp、YQp間にそれぞれ接地電極が形成される。また、電極XIn、XQn間、電極XQn、YIn間、電極YIn、YQn間にもそれぞれ接地電極が形成される。さらに、親マッハツェンダ干渉計間にも接地電極が形成される。なお、図面を見やすくするために省略しているが、LN基板1の表面の他の領域にも接地電極が形成される。
【0037】
上記構成の光変調器において、入力ファイバを介して連続光が入力される。この連続光は、各マッハツェンダ干渉計XI、XQ、YI、YQに導かれる。また、不図示のドライバ回路から信号XIp、XQp、YIp、YQp、XIn、XQn、YIn、YQnが与えられる。そうすると、マッハツェンダ干渉計XI、XQ、YI、YQにおいてそれぞれ連続光が変調される。以下、マッハツェンダ干渉計XIにおける変調について説明する。
【0038】
マッハツェンダ干渉計XIには、信号XIpおよび信号XInが与えられる。具体的には、マッハツェンダ干渉計XIの第1の導波路部に形成されている電極XIpに信号XIpが与えられる。また、マッハツェンダ干渉計XIの第2の導波路部に形成されている電極XInに信号XInが与えられる。
【0039】
図7は、本発明の実施形態に係わる光デバイスにおいて発生する電界を説明する図である。なお、図7は、図6に示す視点Vから光変調器を見たときのLN基板1の断面を示している。図7(a)は、マッハツェンダ干渉計XIの第1の導波路部が形成されている領域の断面を示し、図7(b)は、マッハツェンダ干渉計XIの第2の導波路部が形成されている領域の断面を示す。なお、マッハツェンダ干渉計XIは、図7に示すように、1組の光導波路Ga、Gbで構成されているものとする。
【0040】
第1の導波路部においては、マッハツェンダ干渉計XIの上に形成される電極XIpに正極信号XIpが与えられる。この正極信号XIpにより、図7(a)に示す電界が発生するものとする。すなわち、光導波路Ga内で+Z方向に向かう電界が発生し、光導波路Gb内で-Z方向に向かう電界が発生するものとする。
【0041】
第2の導波路部においては、マッハツェンダ干渉計XIの上に形成される電極XInに負極信号XInが与えられる。ここで、負極信号XInは、正極信号XIpを反転させることで得られる。したがって、第2の導波路部においては、第1の導波路部において正極信号XIpに起因して発生する電界と逆向きの電界が発生する。すなわち、第1の導波路部において図7(a)に示す電界が発生するときは、第2の導波路部において図7(b)に示す電界が発生する。なお、図7(a)において光導波路Gaの左側に光導波路Gbが形成されているが、図7(b)においては、光導波路Gaの右側に光導波路Gbが形成されている。
【0042】
このように、第1の導波路部と同様に、第2の導波路部においても、光導波路Ga内で+Z方向に向かう電界が発生し、光導波路Gb内で-Z方向に向かう電界が発生する。よって、第2の導波路部において負極信号XInに起因して生じる電気光学効果は、第1の導波路部において正極信号XIpに起因して生じる電気光学効果を強めることになる。したがって、正極信号XIpが与えられる電極XIpを第1の導波路部に形成し、正極信号XIpを反転することで得られる負極信号XInが与えられる電極XInを第2の導波路部に形成することで、マッハツェンダ干渉計XIの相互作用長が実質的に長くなる。この構成は、マッハツェンダ干渉計XQ、YI、YQにおいても同様である。
【0043】
ここで、各マッハツェンダ干渉計の相互作用長が長くなると、光変調器を駆動する信号の駆動電圧を低くできるので消費電力を削減できる。また、各マッハツェンダ干渉計が、互いに平行に配置される2つの導波路部およびそれら2つの導波路部を結合する曲線導波路部から構成されるので、LN基板1の長さを短くできる。したがって、図6に示す構成によれば、消費電力が小さい光変調器の小型化が実現される。
【0044】
なお、図6に示す構成では、光変調器を駆動する電気信号が差動信号である。ここで、差動信号を構成する1組の電気信号は、互いに独立した電極に与えられ、互いに異なる領域で光導波路に作用する。具体的には、一方の電気信号(例えば、信号XIp)は、第1光導波路部の屈折率を変化させ、他方の電気信号(例えば、信号XIn)は、第2導波路部の屈折率を変化させる。このため、差動信号を構成する1組の電気信号の位相および強度を精度よく調整する必要はない。したがって、図6に示す光変調器においては、電気信号を各マッハツェンダ干渉計に与えるための設計が簡単になる。
【0045】
ただし、第1の導波路部での変調動作および第2の導波路部での変調動作は、互いに同期していることが要求される。ここで、入力光は、第1の導波路部を通過した後、曲線導波路部を介して第2の導波路部に導かれる。すなわち、第1の導波路部での変調動作の後に、第2の導波路部での変調動作が行われる。したがって、各信号電極は、ドライバ回路から第1の導波路部に電気信号を伝搬する電極の長さより、ドライバ回路から第2の導波路部に電極信号を伝搬する電極の長さが長くなるように構成される。例えば、マッハツェンダ干渉計XIにおいては、ドライバ回路から点P1まで信号XIpが伝搬する時間とドライバ回路から点P2まで信号XInが伝搬する時間との差分が、光導波路を介して光が点P1から点P2まで伝搬する時間とほぼ一致するように、電気信号を伝搬する導電パターンが設計される。なお、ドライバ回路から第2の導波路部へ電気信号を伝搬する導電パターンのうち、パッケージ端からLN基板1の端部までの間の配線は、例えば、不図示の中継基板上に形成される。
【0046】
このように、図6に示す構成では、第1の導波路部に電気信号を伝搬するための導電パターンより、第2の導波路部に電気信号を伝搬するための導電パターンが長くなる。ここで、光変調器により送信されるデータ信号のレートが高いときは、電極が長くなるほど伝記信号の損失が大きくなる。すなわち、図6に示す構成では、第1の導波路部に与えられる電気信号より、第2の導波路部に与えられる電気信号の品質が低下すると考えられる。
【0047】
そこで、図8に示す構成では、各マッハツェンダ干渉計において、第1の導波路部の相互作用長より第2の導波路部の相互作用長が短くなるように信号電極が形成される。図8では、相互作用長L1より相互作用長L2が短くなるように、電極XIp、XQp、YIp、YQp、および、電極XIn、XQn、YIn、YQnが形成される。この構成により、品質の高い電気信号による変調が支配的となり、光変調器により生成される変調光信号の品質が高くなる。
【0048】
図9は、本発明の実施形態に係わる光デバイスの他の例を示す。図9に示す光デバイスは、変調器チップ10、ドライバ回路20、中継基板31、中継基板33を備える。変調器チップ10、ドライバ回路20、中継基板31、中継基板33は、パッケージ内に収容される。このパッケージには、入力ファイバおよび出力ファイバが接続される。なお、中継基板31は、積層基板(または、多層基板)である。
【0049】
変調器チップ10は、XカットLN基板を利用して構成され、偏波多重光信号を生成する光変調器が実装される。LN基板の表面領域に形成される光導波路は、図6または図8に示す構成と同様に、親マッハツェンダ干渉計MZI_Xおよび親マッハツェンダ干渉計MZI_Yを構成する。親マッハツェンダ干渉計MZI_Xは、1組のマッハツェンダ干渉計XI、XQを備え、親マッハツェンダ干渉計MZI_Yは、1組のマッハツェンダ干渉計YI、YQを備える。なお、この例では、各親マッハツェンダ干渉計MZI_X、MZI_YにおいてそれぞれQPSK光信号が生成される。
【0050】
マッハツェンダ干渉計XI、XQ、YI、YQに対してそれぞれDCバイアス電極が設けられる。DCバイアス電極には、各マッハツェンダ干渉計XI、XQ、YI、YQの動作点を調整するためのDCバイアス電圧が印加される。DCバイアス電圧は、不図示の制御回路により生成される。
【0051】
親マッハツェンダ干渉計MZI_X、MZI_Yに対してそれぞれ位相調整バイアス電極が設けられる。位相調整バイアス電極には、親マッハツェンダ干渉計内の1組のマッハツェンダ干渉計間の位相差を調整するためのDCバイアス電圧が印加される。DCバイアス電圧は、不図示の制御回路により生成される。
【0052】
ドライバ回路20は、光変調器を駆動する電気信号を生成する。すなわち、ドライバ回路20は、マッハツェンダ干渉計XI、XQ、YI、YQをそれぞれ駆動する電気信号を生成する。各電気信号は、作動信号である。すなわち、マッハツェンダ干渉計XIに与えられる差動信号は、正極信号XIpおよび負極信号XInから構成される。マッハツェンダ干渉計XQに与えられる差動信号は、正極信号XQpおよび負極信号XQnから構成される。マッハツェンダ干渉計YIに与えられる差動信号は、正極信号YIpおよび負極信号YInから構成される。マッハツェンダ干渉計YQに与えられる差動信号は、正極信号YQpおよび負極信号YQnから構成される。
【0053】
ドライバ回路20により生成される電気信号のうち、第1の導波路部に与えられる正極信号(XIp、XQp、YIp、YQp)は、中継基板31の表面に形成される配線を介して変調器チップ10の近くに形成されているパッドまた伝搬される。なお、これらの配線上には、直流成分をカットするブロッキングキャパシタが設けられる。図9では、ブロッキングキャパシタは「C」で表されている。そして、これらの配線は、変調器チップ10上に形成される対応する電極にそれぞれ電気的に接続される。
【0054】
ドライバ回路20により生成される電気信号のうち、第2の導波路部に与えられる負極信号(XIn、XQn、YIn、YQn)は、中継基板31の内層に形成される配線を介して中継基板33の近くに形成されているパッドまた伝搬される。内層に形成される配線は、図9では、破線で表されている。また、表面に形成される配線および内層に形成される配線は、ビアを介して手外に電気的に接続される。図9においては、ビアは二重丸印で表されている。さらに、これらの配線上にもブロッキングキャパシタが設けられる。そして、これらの配線は、中継基板33上に形成される対応する配線パターンにそれぞれ電気的に接続される。
【0055】
中継基板33上には、第2の導波路部に与えられる負極信号を伝搬する配線パターンが形成される。そして、これらの配線パターンは、変調器チップ10上に形成される対応する電極にそれぞれ電気的に接続される。
【0056】
変調器チップ10において、正極信号XIp、XQp、YIp、YQpは、対応するマッハツェンダ干渉計XIp、XQp、YIp、YQpの第1の導波路部に与えられる。そして、これらの正極信号は、中継基板33に設けられるRF終端器34によって終端される。
【0057】
また、変調器チップ10において、負極信号XIn、XQn、YIn、YQnは、対応するマッハツェンダ干渉計XIn、XQn、YIn、YQnの第2の導波路部に与えられる。そして、これらの負極信号は、中継基板31に設けられるRF終端器32によって終端される。
【0058】
上記構成の光デバイスにおいて、各差動信号を構成する1組の正極信号および負極信号は、互いに近接した端子を介してドライバ回路20から出力される。他方、変調器チップ10に与えるときには、複数の正極信号(XIp、XQp、YIp、YQp)および複数の負極信号(XIn、XQn、YIn、YQn)をそれぞれ集約する必要がある。したがって、正極信号を伝搬する配線の経路と負極信号を伝搬する配線の経路とが互いに重なりあうことになる。
【0059】
そこで、この実施例では、中継基板31として積層基板を使用する。そして、負極信号を伝搬する配線の一部が積層基板の内層に形成される。すなわち、負極信号は、中継基板31において、表面に形成される配線および内層に形成される配線を介して伝搬される。
【0060】
また、上述したように、ドライバ回路20からマッハツェンダ干渉計までの配線が長くなるほど、電気信号の品質が悪くなる。よって、正極信号または負極信号の少なくとも一方が、ドライバ回路20からマッハツェンダ干渉計まで可能な限り短い経路で伝搬するように配線パターンが設計される。この実施例では、正極信号がドライバ回路20からマッハツェンダ干渉計まで可能な限り短い経路で伝搬するように配線パターンが設計される。よって、中継基板31において、負極信号が伝搬する配線は、正極信号が伝搬する配線より長くなる。
【0061】
積層基板に形成される配線の損失は、多くのケースにおいて、単層基板に形成される配線の損失より大きい。よって、ドライバ回路20とマッハツェンダ干渉計との間の配線の一部が積層基板(すなわち、中継基板31)に形成される場合、積層基板に形成される配線が可能な限り短いことが好ましい。したがって、この実施例では、中継基板33は単層基板である。そして、負極信号を伝搬する配線が積層基板(即ち、中継基板31)および単層基板(即ち、中継基板33)の双方に形成される場合、積層基板に形成される配線を短く形成し、単層基板に形成される配線を長く形成することが好ましい。
【0062】
さらに、図9に示す光変調器は、4つのマッハツェンダ干渉計XI、XQ、YI、YQを備えるが、これら4つのマッハツェンダ干渉計を駆動する電気信号のスキューが適切に調整されることが要求される。すなわち、ドライバ回路20から各マッハツェンダ干渉計まで電気信号が伝搬する時間が互いに一致または略一致することが要求される。ここで、LN基板上では、例えば、電気信号が伝搬する経路がそれぞれ最短になるように各信号電極が形成される。そうすると、LN基板上に形成される各信号電極の長さが互いに一致しないことがある。この場合、中継基板に形成される各配線の長さを適切に調整することにより、スキューが調整される。
【0063】
図10は、本発明の実施形態に係わる光送受信機の一例を示す。光送受信機100は、光源(LD)101、光変調器102、光受信器103、およびデジタル信号処理器(DSP)104を備える。
【0064】
光源101は、例えば、レーザ光源であり、所定の波長の連続光を生成する。光変調器102は、光源101により生成される連続光を、DSPから与えられる送信信号で変調して変調光信号を生成する。なお、光変調器102は、例えば、図6図8、または図9に示す光デバイスに相当する。光受信器103は、例えば、コヒーレント受信器であり、光源101により生成される連続光を利用して受信光信号を復調する。DSP104は、アプリケーションから与えられるデータから送信信号を生成する。この送信信号は、光変調器102に与えられる。また、DSP104は、光受信器103により復調された受信信号からデータを再生する。
【0065】
このように、光送受信機100は、光変調器として本発明の実施形態に係わる光デバイスが実装される。したがって、光送受信機の消費電力の削減および光送受信機の小型化の双方が実現される。
【符号の説明】
【0066】
1 LN基板
2 中継基板
3、4 RF終端器
10 変調器チップ
20 ドライバ回路
31、33 中継基板
32、34 RF終端器
100 光送受信機
101 光源(LD)
102 光変調器
103 光受信器
104 DSP
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10