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特許7447562ビルシステムの管理装置およびビルシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ビルシステムの管理装置およびビルシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20240305BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240305BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B3/00 M
G08G1/00 X
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020040178
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021138535
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】南部 敏郎
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-030894(JP,A)
【文献】国際公開第2017/221316(WO,A1)
【文献】特開2017-001848(JP,A)
【文献】特開2016-041628(JP,A)
【文献】特開2018-008758(JP,A)
【文献】特開2013-112515(JP,A)
【文献】特開2007-076878(JP,A)
【文献】特開2015-002553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0214830(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109384112(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-31/02
G08G 1/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カメラが撮影する第1画像に映っている人物を識別し、前記第1カメラと異なる場所に配置される第2カメラが撮影する第2画像に映っている人物を識別する識別部と、
前記識別部が前記第1画像に映っているとして識別した人物および前記識別部が前記第2画像に映っているとして識別した人物が同一である場合に、前記第1カメラが撮影する場所および前記第1画像が撮影された第1時刻ならびに前記第2カメラが撮影する場所および前記第2画像が撮影された第2時刻を含む当該人物の通行情報を生成する通行情報生成部と、
前記識別部が識別した人物について前記通行情報生成部が生成した通行情報に基づいて当該人物の移動経路を推定し、推定した移動経路に基づいてエレベーターの乗場への当該人物の到着時刻を推定する推定部と、
前記推定部が推定した到着時刻に基づいて呼びの登録を前記エレベーターに要求する呼び要求部と、
を備えるビルシステムの管理装置。
【請求項2】
前記識別部は、顔認識によって人物を識別する
請求項1に記載のビルシステムの管理装置。
【請求項3】
前記識別部は、前記第1画像または前記第2画像に映っている車両に付された当該車両を識別する表示に基づいて、当該車両を利用する人物を識別する
請求項1または請求項2に記載のビルシステムの管理装置。
【請求項4】
前記識別部は、識別した人物の向きを特定し、
前記通行情報生成部は、前記第1画像における当該人物の向きおよび前記第2画像における当該人物の向きを含めて当該人物の通行情報を生成する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のビルシステムの管理装置。
【請求項5】
前記推定部は、移動経路の推定の確からしさを評価し、
前記呼び要求部は、前記推定部が評価した確からしさが予め設定された閾値を超えるときに呼びの登録を前記エレベーターに要求する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のビルシステムの管理装置。
【請求項6】
前記エレベーターが設けられる建物の利用者の情報が登録される利用者情報記憶部
を備え、
前記推定部は、前記識別部が識別する人物が前記利用者情報記憶部に登録されている場合に、当該人物の行先階を推定し、
前記呼び要求部は、前記推定部が推定した到着時刻および行先階に基づいて呼びの登録を前記エレベーターに要求する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のビルシステムの管理装置。
【請求項7】
前記呼び要求部は、前記識別部が識別する人物が前記利用者情報記憶部に登録されていない場合に、当該人物の通行情報に基づく呼びの登録を前記エレベーターに要求しない
請求項6に記載のビルシステムの管理装置。
【請求項8】
前記識別部が識別した人物に対応して前記呼び要求部が登録を要求した呼びにつき前記エレベーターから出力される利用実績に基づいて、当該人物の移動パターンを学習する学習部
を備え、
前記推定部は、前記学習部の学習の結果に基づいて推定を行う
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のビルシステムの管理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の管理装置と、
前記呼び要求部から受け付けた要求に基づいて呼びの登録を行うエレベーターと、
を備えるビルシステム。
【請求項10】
前記エレベーターは、かごの内側を撮影するかご内カメラを有し、前記かご内カメラが撮影する画像に基づいて判定した利用実績を前記管理装置に出力する
請求項9に記載のビルシステム。
【請求項11】
第1画像を撮影する第1カメラと、
前記第1カメラと異なる場所に配置され、第2画像を撮影する第2カメラと、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の管理装置と、
を備えるビルシステム。
【請求項12】
前記第1カメラおよび前記第2カメラの少なくとも一方は、前記エレベーターが設けられる建物の出入口を撮影する
請求項11に記載のビルシステム。
【請求項13】
前記第1カメラおよび前記第2カメラの少なくとも一方は、前記エレベーターが設けられる建物の外側を撮影する
請求項11または請求項12に記載のビルシステム。
【請求項14】
前記第1カメラおよび前記第2カメラの少なくとも一方は、前記エレベーターが設けられる建物の他の建物に設けられる
請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のビルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ビルシステムの管理装置およびビルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターに呼びを登録するシステムの例を開示する。当該システムにおいて、顔認識によって人物が認証されるときに、エレベーターの呼びが登録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-186300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムにおいて、エレベーターの利用者は、エレベーターの呼びの登録のために、建物の玄関に設けられる認証装置に顔などの認証情報を読み取らせる操作を必要とする。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、エレベーターの呼びの登録のための操作の手間を必要としない管理装置およびビルシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るビルシステムの管理装置は、第1カメラが撮影する第1画像に映っている人物を識別し、第1カメラと異なる場所に配置される第2カメラが撮影する第2画像に映っている人物を識別する識別部と、識別部が第1画像に映っているとして識別した人物および識別部が第2画像に映っているとして識別した人物が同一である場合に、第1カメラが撮影する場所および第1画像が撮影された第1時刻ならびに第2カメラが撮影する場所および第2画像が撮影された第2時刻を含む当該人物の通行情報を生成する通行情報生成部と、識別部が識別した人物について通行情報生成部が生成した通行情報に基づいて当該人物の移動経路を推定し、推定した移動経路に基づいてエレベーターの乗場への当該人物の到着時刻を推定する推定部と、推定部が推定した到着時刻に基づいて呼びの登録をエレベーターに要求する呼び要求部と、を備える。
【0007】
本開示に係るビルシステムは、上記の管理装置と、呼び要求部から受け付けた要求に基づいて呼びの登録を行うエレベーターと、を備える。
【0008】
本開示に係るビルシステムは、第1画像を撮影する第1カメラと、第1カメラと異なる場所に配置され、第2画像を撮影する第2カメラと、上記の管理装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る管理装置またはビルシステムであれば、エレベーターの利用者は、呼びの登録のための操作の手間を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係るビルシステムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る推定部による移動経路の推定の例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る推定部による移動経路の推定の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る推定部による移動経路の推定の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る推定部による移動経路の推定の例を示す図である。
図6】実施の形態1に係るビルシステムの動作の例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に係るビルシステムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るビルシステムの構成図である。
【0013】
ビルシステム1において、1つまたは複数の建物2が含まれる。この例において、ビルシステム1は、複数の建物2を含む。
【0014】
各々の建物2は、複数の階床を有する。各々の建物2において、1つまたは複数のエレベーター3が設けられる。各々の建物2において、複数の階床にわたる昇降路4が設けられる。昇降路4は、鉛直方向に長い空間である。複数の階床の各々において、乗場5が設けられる。乗場5において、複数の乗場ドア6が設けられる。各々の乗場ドア6は、乗場5および昇降路4を区画するドアである。
【0015】
各々のエレベーター3は、複数のかご7と、複数の巻上機8と、複数の制御盤9と、群管理装置10と、を備える。
【0016】
各々のかご7は、昇降路4に設けられる。各々のかご7は、昇降路4を鉛直方向に走行することでエレベーター3の利用者などを複数の階床の間で輸送する装置である。かご7は、かごドア11と、かご内カメラ12と、を備える。かごドア11は、いずれかの階床にかご7が停止しているときに、利用者がかご7に乗降しうるように当該階床の乗場5のいずれかの乗場ドア6を連動させて開閉する機器である。かご内カメラ12は、かご7の内側を撮影する機器である。かご内カメラ12が撮影する画像は、動画または静止画である。
【0017】
各々の巻上機8は、例えば昇降路4の上部または下部などに設けられる。あるいは、建物2において機械室が設けられる場合に、各々の巻上機8は、機械室に設けられてもよい。各々の巻上機8は、いずれかのかご7に対応する。各々の巻上機8は、対応するかご7を走行させる駆動力を発生させる装置である。
【0018】
各々の制御盤9は、例えば昇降路4の上部または下部などに設けられる。あるいは、建物2において機械室が設けられる場合に、各々の制御盤9は、機械室に設けられてもよい。各々の制御盤9は、いずれかのかご7に対応する。各々の制御盤9は、対応するかご7の動作などを制御する装置である。かご7の動作は、例えばかご7の走行およびかごドア11の開閉などを含む。制御盤9は、例えばかご内カメラ12が撮影する画像などのかご7の状況の情報を取得する機能を搭載する。
【0019】
群管理装置10は、呼びの割当てなどによって複数のかご7の運行を管理する装置である。群管理装置10は、各々のかご7の状況の情報を取得する機能を搭載する。
【0020】
ビルシステム1は、複数のカメラ13を備える。この例において、各々のカメラ13による撮影は、常時行われている。各々のカメラ13は、例えば監視カメラである。複数のカメラ13の一部または全部は、いずれかの建物2に設けられる。複数のカメラ13の一部または全部は、ビルシステム1における複数の建物2の外部に設けられてもよい。例えば、複数のカメラ13の一部または全部は、ビルシステム1におけるいずれかの建物2の外壁に設けられてもよい。例えば、複数のカメラ13の一部または全部は、ビルシステム1におけるいずれかの建物2に隣接して立つ支柱などに設けられてもよい。この例において、複数のカメラ13の一部または全部は、少なくともいずれかの建物2に対応する。いずれかの建物2に対応するカメラ13は、例えば当該建物2の出入口を撮影するカメラ13である。いずれかの建物2に対応するカメラ13は、例えば当該建物2の内側を撮影するカメラ13である。いずれかの建物2に対応するカメラ13は、例えば当該建物2の外側を撮影するカメラ13である。いずれかの建物2に対応するカメラ13は、他の建物2に設けられていてもよい。複数のカメラ13の一部または全部は、複数の建物2に対応していてもよい。各々のカメラ13が撮影する画像は、動画または静止画である。
【0021】
ビルシステム1は、管理装置14を備える。管理装置14は、カメラ情報記憶部15と、利用者情報記憶部16と、移動パターン記憶部17と、学習部18と、識別部19と、通行情報生成部20と、推定部21と、呼び要求部22と、を備える。
【0022】
カメラ情報記憶部15は、各々のカメラ13の情報を記憶する部分である。各々のカメラ13についてカメラ情報記憶部15が記憶する情報は、例えば当該カメラ13の識別情報、および当該カメラ13の配置または当該カメラ13が撮影する画像の場所などの情報を含む。
【0023】
利用者情報記憶部16は、各々の建物2についての利用者の情報を記憶する部分である。各々の建物2について利用者情報記憶部16に登録される情報は、例えば当該建物2を利用する利用者の識別情報、利用者の顔認識に用いられる照合情報、および当該建物2における利用者の利用階などの情報を含む。例えば建物2が集合住宅である場合に、利用者の居住階が利用階として登録される。例えば建物2が宿泊施設である場合に、利用者の宿泊階が利用階として登録される。例えば建物2がオフィスビルである場合に、利用者の執務階が利用階として登録される。
【0024】
移動パターン記憶部17は、移動パターンを記憶する部分である。移動パターンは、ビルシステム1において通行する人物による移動のパターンである。移動パターンは、人物を特定しない情報であってもよい。あるいは、移動パターンは、利用者情報記憶部16に情報が登録されている人物ごとに異なる情報であってもよい。この例において、移動パターンは、例えば1つまたは複数の場所の系列を人物が通行するときに、当該人物の目的地としての確実度をビルシステム1における場所に対応づける。ここで、場所の系列などを含む情報の系列は、同種の情報を直列に順次並べた構造を持つ情報である。確実度は、例えば場所の系列を条件とする条件付き確率などであってもよい。ここで、移動パターンにおける目的地は、例えばビルシステム1におけるいずれかのエレベーター3の乗場5などである。
【0025】
例えば、場所の系列がいずれかの建物2の外側の場所、および当該建物2の内側の場所をこの順で含む場合に、移動パターンは、当該系列について当該系列を通行した人物の目的地としての確実度をビルシステム1における場所に対応づける。当該系列は、当該建物2の外側から内側への通行を表している可能性が高い系列である。このため、移動パターンにおいて、当該系列について当該建物2のエレベーター3の乗場5が目的地となる確実度は、他の建物2のエレベーター3の乗場5が目的地となる確実度より高い値に対応する。
【0026】
この例において、移動パターンにおける場所の系列は、各々の場所における人物の向きの情報を含む。例えば、いずれかの建物2の出入口の場所および当該建物2の内側への向きの情報が含まれる系列について、移動パターンは、当該系列を通行した人物の目的地としての確実度をビルシステム1における場所に対応づける。当該系列は、当該建物2の出入口から内側への通行を表している可能性が高い系列である。このため、移動パターンにおいて、当該系列について当該建物2のエレベーター3の乗場5が目的地となる確実度は、他の建物2のエレベーター3の乗場5が目的地となる確実度より高い値に対応する。
【0027】
学習部18は、移動パターンを学習する部分である。学習部18による学習は、各々のエレベーター3から入力される利用実績に基づいて行われる。学習部18は、学習の結果によって移動パターン記憶部17が記憶している移動パターンを更新する機能を搭載する。
【0028】
識別部19は、入力される画像に映っている人物を画像処理によって識別する部分である。識別部19は、撮影された画像の入力を受け付けうるように、各々のカメラ13に接続される。識別部19は、カメラ13が撮影する画像が入力されるときに、当該画像に映っている人物を例えば顔認識によって識別する。識別部19は、入力された画像において人物を識別した顔画像と利用者情報記憶部16が記憶している照合情報との照合によって、当該人物を特定する。この例において、識別部19は、例えば識別した人物の顔または体の向きなどによって、当該人物の向きを特定する。
【0029】
通行情報生成部20は、識別部19が識別した人物の通行情報を生成する部分である。通行情報は、例えば1つ以上の通過点情報の系列である。各々の通過点情報は、識別部19が識別した人物が通行した場所、および当該場所を当該人物が通行した時刻の情報を含む。この例において、通過点情報は、通過点の場所を通行した人物の向きの情報を含む。通行情報生成部20は、例えば次のように通行情報を生成する。
【0030】
通行情報生成部20は、いずれかのカメラ13が撮影した画像において識別部19が人物を識別するときに、当該人物の通行情報を生成する。生成された通行情報は、当該カメラ13が撮影した画像に基づく通過点情報を含む。画像に基づく通過点情報は、当該画像の場所および当該画像が撮影された時刻の情報を含む。ここで、画像の場所の情報は、例えばカメラ情報記憶部15から取得される。画像が撮影された時刻の情報は、例えば当該画像を撮影したカメラ13から取得される。この例において、画像に基づく通過点情報は、当該画像において識別された人物について識別情報が特定した向きの情報を含む。
【0031】
その後、識別部19によって、他のいずれかのカメラ13が撮影した画像において人物が識別される。通行情報生成部20は、当該人物と通行情報を生成するときに識別された人物とを識別部19の識別に基づいて同一であると判定する場合に、当該人物の通行情報に通過点情報を追加する。ここで追加される通過点情報は、当該通過点情報を追加するときに人物が識別された画像に基づく。
【0032】
同様に、識別部19によってその後に他のカメラ13が撮影した画像において人物が識別されるときに、通行情報生成部20は、当該カメラ13に基づく通過点情報を当該人物の通行情報である系列に順次追加する。なお、通行情報は、3つ以上の通過点情報を含んでもよい。
【0033】
ここで、通行情報のいずれかの通過点情報の基になった画像が、第1画像の例である。第1画像は、例えば通行情報を生成するときに人物が識別された画像である。また、他の通過点情報の基になった画像が、第2画像の例である。第2画像は、例えば第1画像の後に撮影された画像である。第1画像および第2画像は、互いに異なる場所の画像である。第1カメラは、第1画像を撮影したカメラ13である。第2カメラは、第2画像を撮影したカメラ13である。第1カメラおよび第2カメラは、互いに異なる場所に配置される。第1時刻は、第1画像が撮影された時刻である。第2時刻は、第2画像が撮影された時刻である。第1時刻および第2時刻は、互いに異なる時刻である。第1カメラおよび第2カメラは、例えば同じ建物2に対応する2つのカメラ13である。あるいは、第1カメラおよび第2カメラは、互いに異なる建物2に対応する2つのカメラ13であってもよい。
【0034】
この例において、通行情報生成部20は、識別部19に識別された人物が例えば利用者情報記憶部16に登録されている人物として特定されない場合に、当該人物の通行情報を生成しない。
【0035】
推定部21は、識別部19に識別された人物の通行情報に基づいて、当該人物の移動経路などを推定する部分である。人物の移動経路は、例えば通行情報である系列の最後の通過点情報の場所から目的地の場所までに当該人物が通行する経路である。推定部21は、例えば次のように移動経路を推定する。
【0036】
推定部21は、複数の通過点情報を含む通行情報が生成された人物について、移動経路の推定を行う。推定部21は、通行情報に含まれる各々の通過点情報の場所の系列について、移動パターン記憶部17が記憶している移動パターンを参照する。当該人物についての移動パターンを移動パターン記憶部17が記憶している場合に、推定部21は、当該移動パターンを参照する。当該人物についての移動パターンを移動パターン記憶部17が記憶していない場合に、推定部21は、人物を特定しない移動パターンを参照してもよい。推定部21は、参照した移動パターンに基づいて、確実度が最も高い場所を目的地として推定する。このとき、推定部21は、例えば目的地として推定した場所に対応づけられている確実度を、移動経路の推定の確からしさとして評価する。
【0037】
推定部21は、通行情報に含まれる時刻の情報に基づいて、通行する人物の移動速度を推定する。推定部21は、推定した移動速度と、推定した移動経路における目的地までの距離とに基づいて、目的地への当該人物の到着時刻を推定する。推定部21は、当該人物が移動経路の上の複数の場所の各々を通行する時刻を推定してもよい。
【0038】
この例において、推定部21は、識別部19に識別された人物が例えば利用者情報記憶部16に登録されている人物として特定される場合に、当該人物について登録されている利用階を行先階として推定する。
【0039】
推定部21は、例えば同一の人物の通行情報に通過点情報が追加されるときに、移動経路および到着時刻などの推定を再び行う。通過点情報の追加の前に推定した移動経路と当該通過点情報とが、例えば場所、時間および向きなどにおいて整合しているときに、推定部21は、再び推定した移動経路の推定の確からしさに予め設定された値を加算してもよい。
【0040】
推定部21は、推定した移動経路、目的地、到着時刻、および推定の確からしさなどの情報を、呼び要求部22に出力する。
【0041】
呼び要求部22は、推定部21から入力された情報に基づいて、呼びの登録をビルシステム1のいずれかのエレベーター3に要求する部分である。呼び要求部22は、例えば推定部21から入力される推定の確からしさが予め設定された閾値を超えるときに、呼びの登録の要求を出力する。ここで、出力先のエレベーター3は、推定された目的地に基づいて選択される。推定された目的地がいずれかのエレベーター3の乗場5である場合に、呼び要求部22は、当該エレベーター3に呼びの登録を要求する。呼びの登録の要求は、到着時刻の情報を含む。この例において、呼びの登録の要求は、推定された行先階の情報を含む。
【0042】
呼び要求部22から呼びの登録の要求が入力されたエレベーター3の群管理装置10は、当該要求が表す呼びをいずれかのかご7に割り当てる。このとき、群管理装置10は、例えばエレベーター3の全体における運行効率の評価値などに基づいて割り当てるかご7を選択する。エレベーター3は、呼びが割り当てられたかご7を識別する情報を、例えば乗場5に設けられるサイネージなどの表示装置に表示してもよい。通行する人物の通行情報に基づく呼びが割り当てられたかご7は、入力される到着時刻および行先階の情報に基づいて、例えば当該人物の乗場5における待ち時間を短縮しうるように走行する。
【0043】
通行情報に基づく呼びが割り当てられたかご7は、例えば推定された到着時刻において、基準階で停止する。基準階は、例えば建物2の玄関階である。かご7は、基準階においてかごドア11および乗場ドア6を開く。当該通行情報に対応する人物は、推定された到着時刻の前後に、基準階の乗場5に到着する。当該人物は、当該呼びが割り当てられたかご7に乗車して行先階まで移動する。
【0044】
エレベーター3は、当該呼びについて当該人物の利用実績を評価する。この例において、群管理装置10が利用実績の評価を行う。利用実績は、例えば当該呼びの利用の有無である。群管理装置10は、例えばかご内カメラ12が撮影するかご7の内側の画像に基づいて、当該人物が実際にかご7に乗車したか否かを判定する。群管理装置10は、判定結果を利用実績として学習部18に出力する。
【0045】
学習部18は、入力された利用実績に基づいて例えば次のように学習を行う。利用実績において呼びが実際に利用したと判定されていた場合に、学習部18は、移動パターンにおいて、推定した目的地に対応づけられている確実度の値をより高い値に更新する。利用実績において呼びが実際に利用されていなかったと判定されていた場合に、学習部18は、移動パターンにおいて、推定した目的地に対応づけられている確実度の値をより低い値に更新する。学習部18は、更新した値を移動パターン記憶部17に反映させる。
【0046】
続いて、図2から図5を用いて、推定部21による移動経路の推定の例を説明する。
図2から図5は、実施の形態1に係る推定部による移動経路の推定の例を示す図である。
図2から図5において、ビルシステム1に含まれる建物2A、建物2B、および建物2Cの平面図が示される。図2から図5において、ビルシステム1に含まれるカメラ13a、カメラ13b、カメラ13c、カメラ13d、カメラ13e、カメラ13f、カメラ13g、およびカメラ13hの配置が示される。
【0047】
図2に示されるように、建物2Aおよび建物2Bは、道路を挟んで隣接している。建物2Bおよび建物2Cは、道路を挟んで隣接している。建物2Bは、例えば集合住宅である。建物2Bにおいて、南側に正面入口が設けられる。正面入口は、建物2Bの内側のエントランスに通じる。建物2Bにおいて、郵便受け室が設けられる。建物2Bに入ってエレベーター3を利用する人物は、例えば正面入口、エントランス、および乗場5の順に通行する。あるいは、建物2Bに入ってエレベーター3を利用する人物は、例えば正面入口、エントランス、郵便受け室、および乗場5の順に通行する。建物2Bにおいて、南東側に店舗が設けられる。店舗において、南側に店舗入口が設けられる。建物2Bにおいて、北側に駐車場入口が設けられる。
【0048】
カメラ13aは、建物2Aの外壁に設けられる。カメラ13aは、建物2Bの外部の北西側を撮影する。カメラ13b、およびカメラ13cは、建物2Bの外壁に設けられる。カメラ13bは、建物2Bの駐車場入口を撮影する。カメラ13cは、建物2Bの外部の北東側を撮影する。カメラ13d、カメラ13e、およびカメラ13fは、建物2Bの内側に設けられる。カメラ13dは、エントランスおよび正面入口を撮影する。カメラ13eは、エレベーター3の乗場5を撮影する。カメラ13fは、店舗の内部を撮影する。カメラ13gは、建物2Cの外壁に設けられる。カメラ13gは、建物2Bの南東側を撮影する。カメラ13hは、建物2Aに南側の道路を挟んで隣接する位置に配置される。カメラ13hは、建物2Bの南西側を撮影する。
【0049】
まず、南向きに歩いて通行する人物Pがカメラ13aに撮影される。識別部19は、カメラ13aが撮影した画像に基づいて、人物Pを識別する。識別部19は、当該画像に基づいて、人物Pの向きを特定する。識別部19は、利用者情報記憶部16を参照することで、人物Pが登録されているか否かを判定する。人物Pが登録されているときに、通行情報生成部20は、人物Pの通行情報を生成する。このとき、生成された通行情報の通過点情報は、建物2Bの北西側の場所、当該場所を人物Pが通過した時刻、および当該時刻における人物Pの向きの情報を含む。
【0050】
次に、図3に示されるように、建物2Bの南西側を東向きに通行する人物Pがカメラ13hに撮影される。識別部19は、カメラ13hが撮影した画像に基づいて、人物Pを識別する。識別部19は、当該画像に基づいて、人物Pの向きを特定する。識別部19は、利用者情報記憶部16を参照することで、いずれかの建物2について人物Pが登録されているか否かを判定する。人物Pが登録されているときに、通行情報生成部20は、人物Pの通行情報が生成されているかを判定する。人物Pの通行情報が既に生成されているときに、通行情報生成部20は、通行情報に通過点情報を追加する。このとき、追加された通行情報の通過点情報は、建物2Bの南西側の正面入口の場所、当該場所を人物Pが通過した時刻、および当該時刻における人物Pの向きの情報を含む。
【0051】
推定部21は、人物Pの通行情報に基づいて、人物Pの移動経路を推定する。ここで、移動パターンにおいて、現時点における通行情報から生成される系列について、複数の目的地の候補に確実度が対応づけられている。この例において、目的地の候補は、例えば建物2Bのエレベーター3の乗場5、建物2Cのエレベーター3の乗場5、およびビルシステム1の外部の東側の場所などを含む。例えば建物2Bのエレベーター3の乗場5に対応づけられている確実度が最も大きい場合に、推定部21は、建物2Bのエレベーター3の乗場5を目的地として推定する。推定部21は、移動パターンにおいて目的地に対応づけられている確実度に基づいて、推定の確からしさを評価する。推定部21は、建物2Bの北西側から建物2Bの南西側までの距離と人物Pの移動時間とに基づいて、人物Pの移動速度を推定する。推定部21は、推定した移動速度に基づいて、建物2Bのエレベーター3の乗場5への人物Pの到着時刻を推定する。推定部21は、人物Pの行先階を推定する。推定部21は、推定した情報、および推定の確からしさの情報を呼び要求部22に出力する。
【0052】
呼び要求部22は、推定部21からの情報の入力を受け付ける。呼び要求部22は、入力された推定の確からしさが予め設定された閾値を超えているかを判定する。この例において、推定の確からしさは、当該閾値を超えていない。このとき、呼び要求部22は、呼びの登録を建物2Bのエレベーター3に要求しない。
【0053】
なお、推定部21は、例えば建物2Bの南西側において人物Pの向きが西向きである場合に、移動パターンに基づいて、人物Pの目的地を建物2Aのエレベーター3の乗場5として推定してもよい。ここで、推定した目的地を含む建物2Aについて人物Pが利用者情報記憶部16に登録されていないときに、推定部21は、推定の確からしさから予め設定された値を減じてもよい。また、例えば推定した目的地を含む建物2Aについて人物Pが利用者情報記憶部16に登録されていないときに、呼び要求部22は、推定の確からしさに関わらず呼びの登録の要求を出力しなくてもよい。
【0054】
また、推定部21は、例えば建物2Bの南西側において人物Pの向きが西向きである場合に、移動パターンに基づいて、人物Pの目的地をビルシステム1の外部の西側の場所として推定してもよい。人物Pの目的地がビルシステム1の外部の場所として推定されるときに、呼び要求部22は、当該目的地に対して、呼びの登録の要求を出力しない。
【0055】
次に、図4に示されるように、建物2Bの正面入口を通過する人物Pがカメラ13dに撮影される。識別部19は、カメラ13dが撮影した画像に基づいて、人物Pを識別する。識別部19は、当該画像に基づいて、人物Pの向きを特定する。識別部19は、利用者情報記憶部16を参照することで、人物Pが登録されているか否かを判定する。人物Pが登録されているときに、通行情報生成部20は、人物Pの通行情報が生成されているかを判定する。人物Pの通行情報が既に生成されているときに、通行情報生成部20は、通行情報に通過点情報を追加する。このとき、追加された通行情報の通過点情報は、建物2Bの正面入口の場所、当該場所を人物Pが通過した時刻、および当該時刻における人物Pの向きの情報を含む。
【0056】
推定部21は、人物Pの通行情報に基づいて、人物Pの移動経路を推定する。この例において、推定部21は、建物2Bのエレベーター3の乗場5を目的地として推定する。推定部21は、移動パターンにおいて目的地に対応づけられている確実度に基づいて、推定の確からしさを評価する。ここで、一つ前の推定における移動経路が建物2Bの正面玄関を通行するものであった場合に、推定部21は、推定の確からしさに予め設定された値を加算してもよい。推定部21は、通行情報から推定した人物Pの移動速度に基づいて、建物2Bのエレベーター3の乗場5への人物Pの到着時刻を推定する。推定部21は、人物Pの行先階を推定する。推定部21は、推定した情報、および推定の確からしさの情報を呼び要求部22に出力する。
【0057】
呼び要求部22は、推定部21からの情報の入力を受け付ける。呼び要求部22は、入力された推定の確からしさが予め設定された閾値を超えているかを判定する。この例において、推定の確からしさは、当該閾値を超える。このとき、呼び要求部22は、呼びの登録を建物2Bのエレベーター3に要求する。
【0058】
呼びの登録が要求されたエレベーター3の群管理装置10は、当該呼びをいずれかのかご7に割り当てる。当該かご7のかご内カメラ12は、かご7に乗車する人物Pを撮影する。群管理装置10は、呼びを割り当てたかご7に人物Pが乗車したと判定する。当該かご7のかご内カメラ12は、行先階においてかご7から降車する人物Pを撮影する。群管理装置10は、割り当てた呼びの行先階において人物Pがかご7から降車したと判定する。このとき、群管理装置10は、割り当てた呼びを人物Pが実際に利用したと判定する。群管理装置10は、判定結果を利用実績として学習部18に出力する。
【0059】
学習部18は、入力された利用実績に基づいて、移動パターンの学習を行う。学習部18による学習の結果は、移動パターン記憶部17に反映される。推定部21が移動パターン記憶部17の情報を参照することによって、学習部18による学習の結果は、推定部21の推定に随時反映される。
【0060】
なお、例えば人物Pは、図5に示されるように、エレベーター3の乗場5に進入する前に郵便受け室に立ち寄る習慣を持っている場合がある。このような場合に、建物2Bの正面入口までの移動速度に基づいて推定された乗場5への到着時刻と、実際の到着時刻との間に誤差が生じうる。このとき、人物Pの通行情報または利用実績などに基づいて、学習部18は、到着時刻の補正値を移動パターンの情報として移動パターン記憶部17に記憶させてもよい。当該補正値は、例えば乗場5を撮影するカメラ13eの画像に人物Pが映った時刻を実際の到着時刻として、学習部18などによって算出されてもよい。あるいは、通行情報に基づく呼びについて人物Pが実際に利用していない利用実績が入力される場合に、学習部18は、当該呼びを割り当てたかご7に人物Pが乗り遅れたものとして、到着時刻の補正値を設定してもよい。
【0061】
また、例えば人物Pは、建物2Bの店舗に立ち寄った後に、正面入口から建物2Bに入る習慣を持っている場合がある。このような場合に、学習部18は、例えば店舗を撮影するカメラ13fの画像に基づく通過点情報を含んだ通行情報などによって、人物Pの移動パターンを学習してもよい。
【0062】
また、例えば車両を利用する人物Pが、建物2Bおよび建物2Cの間の道路を経由して駐車場入口から建物2Bに進入する場合がある。このような場合に、識別部19は、車両に乗車している人物Pを識別してもよい。このとき、推定部21は、例えばカメラ13g、カメラ13c、およびカメラ13bが撮影する画像の各々に基づいた通過点情報を含む通行情報によって、人物Pの移動経路を推定する。推定部21は、車両から降りた後の人物Pについて建物2Bの駐車場からの移動経路を推定してもよい。また、識別部19は、車両に付された当該車両を識別する表示を画像処理によって認識することで、利用者情報記憶部16において当該車両の利用者として紐づけられている人物Pを識別してもよい。車両を識別する表示は、例えばナンバープレートである。
【0063】
続いて、図6を用いて、ビルシステム1の動作の例を説明する。
図6は、実施の形態1に係るビルシステムの動作の例を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS01において、識別部19は、各々のカメラ13が撮影した画像を取得する。その後、ビルシステム1の動作は、ステップS02に進む。
【0065】
ステップS02において、識別部19は、取得した画像に映っている人物を識別する。その後、ビルシステム1の動作は、ステップS03に進む。
【0066】
ステップS03において、識別部19は、識別した人物の情報がいずれかの建物2について利用者情報記憶部16に登録されているかを判定する。判定結果がYesの場合に、ビルシステム1の動作は、ステップS04に進む。判定結果がNoの場合に、ビルシステム1の動作は、呼びの登録の要求がされることなく、終了する。
【0067】
ステップS04において、通行情報生成部20は、識別された人物の通行情報を生成しているかを判定する。判定結果がNoの場合に、ビルシステム1の動作は、ステップS05に進む。判定結果がYesの場合に、ビルシステム1の動作は、ステップS06に進む。
【0068】
ステップS05において、通行情報生成部20は、識別された人物の通行情報を生成する。このとき、通行情報生成部20は、当該人物を識別した画像に基づく通過点情報を通行情報に含める。その後、ビルシステム1の動作は、ステップS01に進む。
【0069】
ステップS06において、通行情報生成部20は、識別された人物の通行情報に、当該人物を識別した画像に基づく通過点情報を追加する。その後、ビルシステム1の動作は、ステップS07に進む。
【0070】
ステップS07において、推定部21は、識別された人物の通行情報に基づいて、当該人物の移動経路および到着時間などを推定する。推定部21は、推定の確からしさを評価する。その後、ビルシステム1の動作は、ステップS08に進む。
【0071】
ステップS08において、呼び要求部22は、推定部21による推定の確からしさが閾値を超えるかを判定する。判定結果がNoの場合に、ビルシステム1の動作は、ステップS01に進む。判定結果がYesの場合に、ビルシステム1の動作は、ステップS09に進む。
【0072】
ステップS09において、呼び要求部22は、推定部21による推定に基づく呼びの登録を、推定された目的地を含む建物2に設けられるエレベーター3に要求する。建物2において複数のエレベーター3が設けられる場合に、呼び要求部22は、例えば目的地に近いエレベーター3に呼びの登録を要求する。その後、ビルシステム1の動作は、ステップS10に進む。
【0073】
ステップS10において、呼び要求部22から要求が入力されたエレベーター3は、当該呼びの登録を行う。当該エレベーター3は、登録された呼びに基づいて運行する。その後、エレベーター3は、登録された呼びについての利用実績の判定を行う。利用実績の判定結果が得られるときに、エレベーター3は、判定された利用実績を管理装置14に出力する。なお、利用実績の判定に失敗した場合などに、エレベーター3は、当該失敗を表す情報を管理装置14に出力してもよい。その後、ビルシステム1の動作は、ステップS11に進む。
【0074】
ステップS11において、学習部18は、エレベーター3から利用実績を受信したかを判定する。判定結果がYesの場合に、ビルシステム1の動作は、ステップS12に進む。判定結果がNoの場合に、ビルシステム1の動作は、終了する。
【0075】
ステップS12において、学習部18は、受信した利用実績に基づいて移動パターンの学習を行う。その後、ビルシステム1の動作は、終了する。
【0076】
以上に説明したように、実施の形態1に係るビルシステム1は、第1カメラと、第2カメラと、管理装置14と、エレベーター3と、を備える。第1カメラは、第1画像を撮影する。第2カメラは、第2画像を撮影する。第2カメラは、第1カメラと異なる場所に配置される。管理装置14は、識別部19と、通行情報生成部20と、推定部21と、呼び要求部22と、を備える。識別部19は、第1画像に映っている人物を識別する。識別部19は、第2画像に映っている人物を識別する。通行情報生成部20は、識別部19が第1画像に映っているとして識別した人物および識別部19が第2画像に映っているとして識別した人物が同一である場合に、当該人物の通行情報を生成する。通行情報は、第1カメラが撮影する場所および第1画像が撮影された第1時刻の情報を含む。通行情報は、第2カメラが撮影する場所および第2画像が撮影された第2時刻の情報を含む。推定部21は、識別部19が識別した人物について、通行情報生成部20が生成した通行情報に基づいて当該人物の移動経路を推定する。推定部21は、推定した移動経路に基づいてエレベーター3の乗場5への当該人物の到着時刻を推定する。呼び要求部22は、推定部21が推定した到着時刻に基づいて呼びの登録を当該エレベーター3に要求する。エレベーター3は、呼び要求部22から受け付けた要求に基づいて呼びの登録を行う。
【0077】
ビルシステム1において、第1カメラおよび第2カメラを含む複数のカメラ13が撮影した画像に基づいて、通行する人物の通行情報が生成される。当該人物がエレベーター3の乗場5に到着する時刻は、生成された通行情報に基づいて推定される。推定された到着時刻に基づいて、エレベーター3に呼びの登録が要求される。すなわち、呼びを登録するための情報は、識別部19に識別された人物が通行することでエレベーター3に出力される。このため、エレベーター3を利用する人物は、呼びの登録のための操作の手間を必要としない。また、管理装置14は、エレベーター3を利用する人物が当該エレベーター3の乗場5に到着する前に、呼びを登録するための情報を当該エレベーター3に出力できる。このとき、当該人物の乗場5における待ち時間が短くなる。このため、エレベーター3を利用する人物の利便性が高くなる。また、エレベーター3を利用する人物の乗場5への到着時刻が到着前に推定されうるので、エレベーター3は、運行効率を高めやすくなる。特に、複数のカメラ13の少なくともいずれかが既設の監視カメラである場合に、既存の機器を活用することで管理装置14の導入がしやすくなる。また、複数のカメラ13が例えば監視カメラなどのように広域に多数配置される場合に、多数のカメラ13が撮影する多数の画像によって、通行する人物の移動経路の推定がより正確になる。
【0078】
また、識別部19は、顔認識によって人物を識別する。
【0079】
これにより、通行する人物は、例えば識別のための情報をビルシステム1と通信する携帯端末などを所持していない場合においても、通行情報に基づいて呼びが登録されるエレベーター3を利用できる。
【0080】
また、識別部19は、第1画像または第2画像に映っている車両に付された当該車両を識別する表示に基づいて、当該車両を利用する人物を識別する。
【0081】
これにより、カメラ13が撮影する画像に映っている人物の顔が不鮮明である場合においても、識別部19は、当該人物が利用する車両の情報に基づいて当該人物を識別できる。識別部19は、例えば顔認識による識別を補助する追加情報として車両の情報を用いてもよい。
【0082】
また、識別部19は、識別した人物の向きを特定する。通行情報生成部20は、第1画像における当該人物の向きおよび第2画像における当該人物の向きを含めて当該人物の通行情報を生成する。
【0083】
これにより、識別された人物の移動経路の推定がより正確になる。
【0084】
また、推定部21は、移動経路の推定の確からしさを評価する。呼び要求部22は、推定部21が評価した確からしさが予め設定された閾値を超えるときに呼びの登録をエレベーター3に要求する。
【0085】
これにより、不確かな推定に基づく呼びの登録がされにくくなるので、エレベーター3の無駄な運行が抑制される。なお、呼び要求部22は、推定の確からしさの水準に関わらず、評価した確からしさの情報を含めて呼びの登録の要求をエレベーター3に出力してもよい。このとき、エレベーター3は、確からしさの情報に基づいて呼びの登録を行ってもよい。例えば、エレベーター3は、確からしさが予め設定された閾値を超えない呼びの登録の要求について、呼びを登録しなくてもよい。一方、エレベーター3は、確からしさが予め設定された閾値を超える呼びの登録の要求について、呼びを登録してもよい。
【0086】
また、管理装置14は、利用者情報記憶部16を備える。利用者情報記憶部16において、エレベーター3が設けられる建物2の利用者の情報が登録される。推定部21は、識別部19が識別する人物が利用者情報記憶部16に登録されている場合に、当該人物の行先階を推定する。呼び要求部22は、推定部21が推定した到着時刻および行先階に基づいて呼びの登録をエレベーター3に要求する。
【0087】
これにより、エレベーター3を利用する人物は、行先階を指定するための操作の手間を必要としない。このため、エレベーター3を利用する人物の利便性が高くなる。また、行先階を指定する操作の間違いが生じにくくなる。
【0088】
また、呼び要求部22は、識別部19が識別する人物が利用者情報記憶部16に登録されていない場合に、当該人物の通行情報に基づく呼びの登録をエレベーター3に要求しない。
【0089】
ビルシステム1の建物2の周辺において、当該建物2を利用しない人物が偶然通りかかることがある。当該建物2についての当該人物の情報は、利用者情報記憶部16に登録されていない。呼び要求部22は、利用者情報記憶部16に登録されているか否かに基づいて呼びの登録の要求を行うので、偶然通りかかった建物2を利用しない人物についての誤った呼びが登録されにくくなる。また、利用者情報記憶部16に情報が登録されていない人物について呼びが登録されないので、建物2のセキュリティ性が高くなる。なお、例えば不特定多数の人物が利用する建物2においては、利用者情報記憶部16への情報の登録の有無に関わらず通行する人物の呼びが登録されてもよい。このとき、識別部19は、識別した人物を特定できない場合に、当該人物をトラッキングするための一時的な識別情報を生成してもよい。
【0090】
また、管理装置14は、学習部18を備える。学習部18は、識別部19が識別した人物に対応して呼び要求部22が登録を要求した呼びにつきエレベーター3から出力される利用実績に基づいて、当該人物の移動パターンを学習する。推定部21は、学習部18の学習の結果に基づいて推定を行う。
【0091】
これにより、呼びが登録された人物によるエレベーター3の利用の実態に応じて、推定部21による移動経路の推定がより正確になる。
【0092】
また、エレベーター3は、かご7の内側を撮影するかご内カメラ12を有する。エレベーター3は、かご内カメラ12が撮影する画像に基づいて判定した利用実績を管理装置14に出力する。
【0093】
かご内カメラ12によって人物がかご7に実際に乗車したかが確認される。これにより、利用実績の判定がより正確になる。また、エレベーター3を利用した人物は、管理装置14に利用実績をフィードバックする手間を必要としない。なお、学習部18に出力される利用実績は、かご内カメラ12が撮影するかご7の内側の画像自体であってもよい。このとき、学習部18は、入力された画像に基づいてかご7の利用の有無などを判定してもよい。
【0094】
また、第1カメラおよび第2カメラの少なくとも一方は、エレベーター3が設けられる建物2の出入口を撮影する。
【0095】
これにより、通行する人物の建物2への出入りの判定が可能になる。これにより、当該人物の目的地の推定がより正確になる。
【0096】
また、第1カメラおよび第2カメラの少なくとも一方は、エレベーター3が設けられる建物2の外側を撮影する。
また、第1カメラおよび第2カメラの少なくとも一方は、エレベーター3が設けられる建物2の他の建物2に設けられる。
【0097】
これにより、通行情報生成部20は、通行する人物の通行情報の生成をエレベーター3が設けられる建物2に入る前からできるようになる。これにより、管理装置14は、より早い時点で呼びを登録するための情報を当該エレベーター3に出力できる。
【0098】
なお、呼び要求部22において、確からしさの閾値は時間帯ごとに異なる値であってもよい。例えば深夜時間帯などのエレベーター3の利用頻度が低い時間帯においては、推定部21による推定の誤差が運行効率に与える影響は小さい。このため、例えば利用頻度がより低い時間帯において、より低い確からしさの閾値が用いられてもよい。
【0099】
また、ビルシステム1は、複数の管理装置14を備えていてもよい。このとき、各々の管理装置14は、例えばいずれかの建物2に対応する。管理装置14は、対応する建物2に設けられる。このとき、各々の管理装置14は、互いに通信しうるように接続される。各々の管理装置14は、対応する建物2の他の建物に設けられるエレベーター3に呼びの登録の要求を出力してもよい。
【0100】
また、管理装置14は、例えばビルシステム1におけるいずれか1つまたは複数の建物2に設けられる。管理装置14は、ビルシステム1に含まれない外部の建物2に設けられていてもよい。管理装置14は、例えばサーバコンピュータであってもよい。管理装置14の一部または全部は、複数のハードウェアに分散されて搭載されていてもよい。管理装置14は、例えばクラウドサービス上の仮想的なサーバであってもよい。
【0101】
また、通行する人物が通過する場所に応じて第1カメラとして機能するカメラは、複数のカメラ13のうちのいずれであってもよい。通行する人物が通過する場所に応じて第2カメラとして機能するカメラは、複数のカメラ13のうちのいずれであってもよい。第1カメラとして機能するカメラ13、および第2カメラとして機能するカメラ13は、複数のカメラ13のうちのから静的に選択された2つのカメラ13でなくてもよい。各々のカメラ13は、通行する人物が通過する場所に応じて、動的に第1カメラまたは第2カメラとして機能してもよい。
【0102】
また、少なくともいずれかのエレベーター3は、かご7を1つのみ備えていてもよい。このとき、当該エレベーター3は、群管理装置10を備えていなくてもよい。以上の説明においてエレベーター3の動作として群管理装置10が行う動作の一部または全部は、制御盤9またはエレベーター3におけるその他のハードウェアが行ってもよい。
【0103】
続いて、図7を用いて、ビルシステム1のハードウェア構成の例について説明する。
図7は、実施の形態1に係るビルシステムの主要部のハードウェア構成図である。
【0104】
ビルシステム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路により実現し得るビルシステム1の各機能は、例えば管理装置14の各機能、またはエレベーター3の各機能を含む。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ200aと少なくとも1つのメモリ200bとを備える。処理回路は、プロセッサ200aおよびメモリ200bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア100を備えてもよい。
【0105】
処理回路がプロセッサ200aとメモリ200bとを備える場合、ビルシステム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ200bに格納される。プロセッサ200aは、メモリ200bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、ビルシステム1の各機能を実現する。
【0106】
プロセッサ200aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ200bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0107】
処理回路が専用のハードウェア100を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0108】
ビルシステム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、ビルシステム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。ビルシステム1の各機能について、一部を専用のハードウェア100で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア100、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでビルシステム1の各機能を実現する。
【符号の説明】
【0109】
1 ビルシステム、 2、2A、2B、2C 建物、 3 エレベーター、 4 昇降路、 5 乗場、 6 乗場ドア、 7 かご、 8 巻上機、 9 制御盤、 10 群管理装置、 11 かごドア、 12 かご内カメラ、 13、13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h カメラ、 14 管理装置、 15 カメラ情報記憶部、 16 利用者情報記憶部、 17 移動パターン記憶部、 18 学習部、 19 識別部、 20 通行情報生成部、 21 推定部、 22 呼び要求部、 P 人物、 100 専用のハードウェア、 200a プロセッサ、 200b メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7