(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/12 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
G03G21/12
(21)【出願番号】P 2020041904
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真樹
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107061(JP,A)
【文献】特開2020-034780(JP,A)
【文献】特開2018-092091(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0186063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートにトナー像を形成するプリント処理を実行し、粉状の廃現像剤を排出するプリント装置と、
長手方向の第1端に開口が形成された容器であり、前記長手方向が横向きの状態で配置され、既定回転方向へ回転駆動されることにより、前記プリント装置から前記開口へ搬送される前記廃現像剤を内部へ収容するとともに内部の前記廃現像剤を前記長手方向の第2端側へ搬送するボトルと、
並列に配置された第1検出電極および第1接地電極を有し、前記第1検出電極および前記第1接地電極が形成する静電容量の検出面が、前記ボトルの外周面における、前記ボトルが前記既定回転方向へ回転するときに下から上へ移動する領域のうち前記ボトルの回転中心線に対して斜め上に位置する部分に正対する状態で配置された第1静電容量センサーと、
並列に配置された第2検出電極および第2接地電極を有し、前記第2検出電極および前記第2接地電極が形成する静電容量の検出面が、前記ボトルの外周面における、前記ボトルが前記既定回転方向へ回転するときに上から下へ移動する領域のうち前記ボトルの回転中心線に対して斜め上に位置する部分に正対する状態で配置された第2静電容量センサーと、を備え、
前記第2静電容量センサーは、前記第1静電容量センサーに対し前記ボトルの前記第1端側に配置されている
、画像形成装置。
【請求項2】
シートにトナー像を形成するプリント処理を実行し、粉状の廃現像剤を排出するプリント装置と、
長手方向の第1端に開口が形成された容器であり、前記長手方向が横向きの状態で配置され、既定回転方向へ回転駆動されることにより、前記プリント装置から前記開口へ搬送される前記廃現像剤を内部へ収容するとともに内部の前記廃現像剤を前記長手方向の第2端側へ搬送するボトルと、
並列に配置された第1検出電極および第1接地電極を有し、前記第1検出電極および前記第1接地電極が形成する静電容量の検出面が、前記ボトルの外周面における、前記ボトルが前記既定回転方向へ回転するときに下から上へ移動する領域のうち前記ボトルの回転中心線に対して斜め上に位置する部分に正対する状態で配置された第1静電容量センサーと、
並列に配置された第2検出電極および第2接地電極を有し、前記第2検出電極および前記第2接地電極が形成する静電容量の検出面が、前記ボトルの外周面における、前記ボトルが前記既定回転方向へ回転するときに上から下へ移動する領域のうち前記ボトルの回転中心線に対して斜め上に位置する部分に正対する状態で配置された第2静電容量センサーと、
前記第1静電容量センサーの検出量が予め定められた基準静電容量を下回る場合に、前記第1静電容量センサーの検出量に基づいて前記ボトル内の前記廃現像剤の量を判定し、前記第1静電容量センサーの検出量が前記基準静電容量を上回る場合に、前記第2静電容量センサーの検出量に基づいて前記ボトル内の前記廃現像剤の量を判定する状態判定部
と、を備える、画像形成装置。
【請求項3】
前記第2静電容量センサーは、前記第1静電容量センサーに対し前記ボトルの前記第1端側に配置されている、請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃現像剤を収容する回転式のボトルを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置は、シートに画像を形成するプリント装置から回収される粉状の廃現像剤を収容する回転式のボトルを備える。前記ボトルは、長手方向の一端に開口が形成された容器である。なお、前記ボトルが、例えば廃トナーボトルなどと称される場合がある。
【0003】
前記ボトルは、内面において長手方向に沿って螺旋状に突出した螺旋凸部を有する。前記ボトルは、前記長手方向が横向きの状態で配置され、回転駆動される。回転する前記ボトルは、前記開口へ搬送される前記廃現像剤を内部へ収容するとともに前記ボトルの奥へ前記廃現像剤を搬送する。
【0004】
前記画像形成装置は、前記ボトル内の前記廃現像剤の量を検出する現像剤センサーをさらに備える。前記現像剤センサーが、前記ボトル内の前記廃現像剤が上限量に達したことを検出したときに、前記プリント装置によるプリント処理が禁止される。
【0005】
例えば、前記画像形成装置が、前記ボトル内の前記廃現像剤の量を検出するための静電容量センサーを備え、前記静電容量センサーが、前記ボトルを介して対向して配置された2つの電極を備えることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記静電容量センサーが、並列に配置された2つの電極を有する場合がある。以下、このような静電容量センサーのことを、並列型静電容量センサーと称する。なお、前記2つの電極は、検出電極および接地電極を含む。
【0008】
前記並列型静電容量センサーに接続されるケーブルは、前記ボトルの両側に跨って配線される必要がない。そのため、前記並列型静電容量センサーが採用される場合、配線が簡素化される。
【0009】
一方、前記ボトルが回転しているときに、前記ボトル内の前記廃現像剤は、前記ボトルの内周面の動きに従って移動した後に崩れ落ちる、という動きを繰り返す。これにより、前記ボトル内の前記廃現像剤の上面は、概ね前記廃現像剤の安息角度で傾斜した状態で維持される。
【0010】
従って、前記廃現像剤は、前記ボトル内における一方の側面寄りに偏って堆積する。具体的には、前記廃現像剤は、前記ボトルの両側面のうち、前記ボトルが回転するときに下から上へ移動する一方の側面寄りに偏って堆積する。
【0011】
前記並列型静電容量センサーが、前記ボトルにおける前記廃現像剤が偏る部分に対向して配置されると、前記ボトル内の空きスペースが十分に残っているにもかかわらず、前記並列型静電容量センサーにより検出される静電容量が計測上限に達してしまうおそれがある。
【0012】
即ち、前記ボトル内の空きスペースが大きいにも関わらず、前記並列型静電容量センサーが前記ボトル内の前記廃現像剤の量の変化を検出できなくなるおそれがある。
【0013】
本発明の目的は、並列型静電容量センサーが、ボトル内の空きスペースが大きいにも関わらず前記ボトル内の廃現像剤の量の変化を検出できなくなることを回避できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、プリント装置と、ボトルと、静電容量センサーと、を備える。前記プリント装置は、シートにトナー像を形成するプリント処理を実行し、粉状の廃現像剤を排出する。前記ボトルは、長手方向の第1端に開口が形成された容器であり、前記長手方向が横向きの状態で配置され、既定回転方向へ回転駆動されることにより、前記プリント装置から前記開口へ搬送される前記廃現像剤を内部へ収容するとともに内部の前記廃現像剤を前記長手方向の第2端側へ搬送する。前記静電容量センサーは、並列に配置された第1検出電極および第1接地電極を有し、前記第1検出電極および前記第1接地電極が形成する静電容量の検出面が、前記ボトルの外周面における、前記ボトルが前記既定回転方向へ回転するときに下から上へ移動する領域のうち前記ボトルの回転中心線に対して斜め上に位置する部分に正対する状態で配置されている。
【0015】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記プリント装置と、前記ボトルと、静電容量センサーと、を備える。前記静電容量センサーは、並列に配置された第1検出電極および第1接地電極を有し、前記第1検出電極および前記第1接地電極が形成する静電容量の検出面が、前記ボトルの外周面における、前記ボトルが前記既定回転方向へ回転するときに上から下へ移動する領域のうち前記ボトルの回転中心線に対して同じ高さまたは斜め上に位置する部分に正対する状態で配置されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、並列型静電容量センサーが、ボトル内の空きスペースが大きいにも関わらず前記ボトル内の廃現像剤の量の変化を検出できなくなることを回避できる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る画像形成装置におけるボトルおよびその周辺部の構成図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る画像形成装置における制御関連機器の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る画像形成装置における静電容量センサーの配置位置を表す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る画像形成装置におけるボトルおよびその周辺部の構成図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る画像形成装置における2つの静電容量センサーの配置位置を表す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る画像形成装置における静電容量センサーの配置位置を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
[第1実施形態:画像形成装置10の構成]
第1実施形態に係る画像形成装置10は、電子写真方式でシートに画像を形成する装置である。前記シートは、用紙または樹脂フィルムなどのシート状の画像形成媒体である。
【0020】
画像形成装置10は、本体1内に配置された給紙部30、シート搬送装置3、プリント装置4、1つ以上のトナーコンテナー400、ボトル5および廃現像剤回収装置6を備える。
【0021】
給紙部30は、複数枚のシートを収容し、収容した前記シートを1枚ずつシート搬送路300へ送り出す装置である。シート搬送装置3は、前記シートをシート搬送路300に沿って搬送する。
【0022】
プリント装置4は、給紙部30からシート搬送装置3を通じて供給される前記シートに電子写真方式でトナー像を形成するプリント処理を実行する。
【0023】
プリント装置4は、レーザースキャニングユニット40、1つ以上の作像装置4xと、転写装置44と、定着装置46とを備える。
【0024】
図1に示される例において、プリント装置4は、タンデム方式のカラー画像プリント装置である。そのため、プリント装置4は、4色のトナーに対応する4つのトナーコンテナー400および4つの作像装置4xを備える。作像装置4x各々は、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置45を備える。
【0025】
作像装置4x各々において、感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の外周面を帯電させる。さらに、作像装置4x各々において、現像装置43が、レーザースキャニングユニット40によって感光体41の外周面に形成される静電潜像をトナー像へ現像する。感光体41は、像担持体の一例である。
【0026】
さらに、転写装置44は、中間転写ベルト440、4つの一次転写装置441、二次転写装置442およびベルトクリーニング装置443を備える。
【0027】
中間転写ベルト440が4つの感光体41に接触しつつ回転し、4つの一次転写装置441が前記トナー像を4つの感光体41から中間転写ベルト440へ転写する。
【0028】
二次転写装置442は、中間転写ベルト440上の前記トナー像を、シート搬送路300を搬送中の前記シートに転写する。ベルトクリーニング装置443は、中間転写ベルト440から廃トナーを除去する。また、作像装置4x各々において、ドラムクリーニング装置45が、感光体41の外周面に残存する廃トナーを除去する。
【0029】
定着装置46は、前記シート上の前記トナー像を加熱しつつ加圧することによって前記シートへ定着させる。シート搬送装置3は、画像が形成された前記シートをシート搬送路300から排出する。
【0030】
トナーコンテナー400各々は、プリント装置4における対応する現像装置43へトナー9を供給する。
【0031】
プリント装置4において、現像装置43は長期間滞留した廃トナーを含む粒状の廃現像剤9xを排出する。また、ドラムクリーニング装置45およびベルトクリーニング装置443は、除去物である廃現像剤9xを排出する。廃現像剤回収装置6は、プリント装置4から排出される廃現像剤9xをボトル5内へ回収する。
【0032】
また、現像装置43がトナー9およびキャリアを含む二成分現像剤を用いて現像を行う場合、前記廃現像剤は、現像装置43内で長期間滞留した廃キャリアも含む。また、前記廃現像剤が、ドラムクリーニング装置45およびベルトクリーニング装置443による前記除去物が、前記廃キャリアを含む場合もある。
【0033】
図2に示されるように、ボトル5は、長手方向の第1端51に開口50が形成された容器である。例えば、ボトル5は合成樹脂製の容器である。ボトル5は、円筒状の外周面53を有する。
【0034】
ボトル5は、内面において長手方向に沿って螺旋状に突出した螺旋凸部54を有する。なお、螺旋凸部54は、ボトル5の外側から見れば、螺旋状の凹部である。
【0035】
ボトル5は、前記長手方向が横向きの状態で配置され、回転駆動される。これにより、ボトル5は、現像装置43およびベルトクリーニング装置443から開口50へ搬送される廃現像剤9xを内部へ収容するとともに内部の廃現像剤9xを前記長手方向の第2端52側へ搬送する。ボトル5の外周面53の中心線が、ボトル5の回転中心線L0である。
【0036】
さらに、画像形成装置10は、制御装置8、操作器801および表示装置802を備える。操作器801は、人の操作を受け付けるタッチパネルまたは操作ボタンなどである。表示装置802は、情報を表示する液晶パネルユニットなどである。
【0037】
図3に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および画像データ処理装置84などを含む。
【0038】
CPU81は、二次記憶装置83などに記憶されたプログラムを実行することにより、画像形成装置10における電気機器の制御および各種のデータ処理を実行するプロセッサーの一例である。
【0039】
なお、DSP(Digital Signal Processor)などの他のプロセッサーが、CPU81の代わりに各種の制御およびデータ処理を実行することも考えられる。
【0040】
RAM82は、CPU81が実行する前記プログラムおよびCPU81が前記プログラムを実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する記憶装置である。
【0041】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性のデータ記憶装置である。二次記憶装置83は、前記プログラムおよび各種のデータを記憶可能である。例えば、ハードディスクドライブおよびSSD(Solid State Drive)の一方または両方の組合せが、二次記憶装置83として採用される。
【0042】
画像データ処理装置84は、前記プリント処理に用いられる画像データについての加工処理または変換処理などの画像処理を実行する。例えば、画像データ処理装置84は、印刷ジョブデータを印刷用のラスタデータへ変換する処理などを実行する。
【0043】
例えば、画像データ処理装置84は、DSPなどのプロセッサーおよびASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路の一方または両方によって実現される。
【0044】
[廃現像剤回収装置6]
図1,2に示されるように、廃現像剤回収装置6は、廃現像剤搬送機構60と、ボトル装着部61と、搬入中継部62と、ボトル駆動機構63とを備える。
【0045】
ボトル装着部61は、廃現像剤9xを収容するボトル5を支持する。ボトル5は、前記長手方向が横向きの状態でボトル装着部61上に配置される。廃現像剤搬送機構60は、現像装置43およびベルトクリーニング装置443から排出される廃現像剤9xを、搬入中継部62へ搬送する。
【0046】
搬入中継部62は、案内ダクト62aを形成する部材である。搬入中継部62は、廃現像剤搬送機構60によって案内ダクト62a内へ搬送される廃現像剤9xを、ボトル装着部61に支持されたボトル5の開口50へ案内する。
【0047】
ボトル駆動機構63は、ボトル装着部61に支持されたボトル5の第1端51と連結され、ボトル5を回転駆動する。プリント装置4の感光体41を回転駆動するモーター4aは、廃現像剤搬送機構60およびボトル駆動機構63の駆動源を兼ねる(
図2参照)。
【0048】
モーター4aは、制御装置8によって制御される(
図2参照)。本実施形態において、モーター4aおよびボトル駆動機構63が、ボトル5を回転駆動する駆動装置の一例である。
【0049】
ボトル駆動機構63は、モーター4aの回転力をボトル5の第1端51へ伝達する。ボトル5は、ボトル駆動機構63から動力を受けて既定回転方向R1へ回転する。
【0050】
ボトル5が既定回転方向R1へ回転することにより、ボトル5内の廃現像剤9xが第2端52側へ搬送されつつ、ボトル5の長手方向に沿って均される。ボトル5が回転することにより、廃現像剤9xがボトル5内において開口50側に偏って滞留することが防止される。
【0051】
ボトル5は、ボトル装着部61およびボトル駆動機構63に対して取り外し可能な状態で装着される。ボトル5内の廃現像剤9xが上限量に達したときに、ボトル5が交換される。
【0052】
図1~3に示されるように、画像形成装置10は、ボトル5の外周面53に対向して配置された静電容量センサー7をさらに備える。静電容量センサー7は、その前方の領域の静電容量を検出する。
【0053】
静電容量センサー7により検出される静電容量は、ボトル5内の廃現像剤9xの量の増大に応じて増大する。従って、静電容量センサー7により検出される静電容量は、ボトル5内の廃現像剤9xの量を表す。
【0054】
ところで、静電容量センサー7が、並列に配置された2つの電極を有する場合がある。以下、このような静電容量センサーのことを、並列型静電容量センサーと称する。画像形成装置10の静電容量センサー7は前記並列型静電容量センサーである。静電容量センサー7の前記2つの電極は、検出電極71および接地電極72を含む。
【0055】
並列型の静電容量センサー7に接続されるケーブルは、ボトル5の両側に跨って配線される必要がない。そのため、並列型の静電容量センサー7が採用される場合、配線が簡素化される。
【0056】
一方、ボトル5が回転しているときに、ボトル5内の廃現像剤9xは、ボトル5の内周面の動きに従って移動した後に崩れ落ちる、という動きを繰り返す。これにより、ボトル5内の廃現像剤9xの上面は、概ね廃現像剤9xの安息角度で傾斜した状態で維持される(
図4参照)。
【0057】
従って、廃現像剤9xは、ボトル5内における一方の側面寄りに偏って堆積する。具体的には、廃現像剤9xは、ボトル5の両側面のうち、ボトル5が既定回転方向R1へ回転するときに下から上へ移動する一方の側面寄りに偏って堆積する(
図4参照)。
【0058】
静電容量センサー7が、ボトル5における廃現像剤9xが偏る部分に対向して配置されると、ボトル5内の空きスペースが十分に残っているにもかかわらず、静電容量センサー7により検出される静電容量が計測上限に達してしまうおそれがある。
【0059】
即ち、ボトル5内の空きスペースが大きいにも関わらず、静電容量センサー7がボトル5内の廃現像剤9xの量の変化を検出できなくなるおそれがある。
【0060】
一方、画像形成装置10は、静電容量センサー7が、ボトル5内の空きスペースが大きいにも関わらずボトル5内の廃現像剤9xの量の変化を検出できなくなることを回避できる構成を備える。以下、その構成について説明する。
【0061】
静電容量センサー7は、並列に配置された検出電極71および接地電極72が形成する静電容量の検出面70を有する。なお、静電容量センサー7は第1静電容量センサーの一例である。また、検出電極71および接地電極72は、それぞれ第1検出電極および第1接地電極の一例である。
【0062】
静電容量センサー7は、ボトル5の長手方向における第1端51よりも第2端52に近い位置に配置されている(
図2参照)。
【0063】
以下の説明において、ボトル5の外周面53における、ボトル5が既定回転方向R1へ回転するときに下から上へ移動する領域のことを第1外周領域53aと称する(
図4参照)。また、ボトル5の外周面53における、ボトル5が既定回転方向R1へ回転するときに上から下へ移動する領域のことを第2外周領域53bと称する(
図4参照)。
【0064】
図4に示されるように、静電容量センサー7は、その検出面70が、ボトル5の第1外周領域53aのうちボトル5の回転中心線L0に対して斜め上に位置する部分に正対する状態で配置されている。
【0065】
本実施形態において、静電容量センサー7は、検出電極71および接地電極72が上下に並び、検出面70が斜め下方を向く状態で配置されている。この場合、静電容量センサー7は、検出面70における検出電極71および接地電極72の間の中間部73がボトル5の第1外周領域53aのうちボトル5の回転中心線L0に対して斜め上部に対向する状態で配置される。
【0066】
一般に、廃現像剤9xの安息角度は30度程度である。このことから、静電容量センサー7が、回転中心線L0から検出面70における検出電極71および接地電極72の間の中間部73を見る仰角θ1が15度乃至30度となるように配置されることが好ましい。
【0067】
静電容量センサー7は、以上に示されるように配置されることにより、廃現像剤9xがボトル5内の第1外周領域53a側に偏って堆積する変化を、ボトル5内の空きスペースが小さくなるまで検出することができる。
【0068】
[CPU81の処理]
制御装置8のCPU81は、二次記憶装置83に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより実現される状態判定部8aおよび装置制御部8bを含む(
図3参照)。状態判定部8aは、画像形成装置10の状態を判定し、判定結果を通知する処理を実行する。
【0069】
装置制御部8bは、画像形成装置10におけるプリント装置4を含む各種の機器を制御する。例えば、装置制御部8bは、プリント装置4を制御することにより、間接的に廃現像剤搬送機構60およびボトル駆動機構63を制御する。
【0070】
装置制御部8bは、予め定められた作動条件が成立しているときに、プリント装置4のモーター4aを作動させることにより、廃現像剤搬送機構60およびボトル駆動機構63を作動させる。
【0071】
具体的には、前記作動条件は、前記プリント処理の開始から終了までの間に成立する条件である。即ち、本実施形態における廃現像剤搬送機構60およびボトル駆動機構63の前記作動条件は、プリント装置4が前記プリント処理を実行する条件である。
【0072】
例えば、前記作動条件は、前記プリント処理の実行要求であるプリントジョブが発生してから前記プリントジョブに対応する前記プリント処理が終了するまで成立する。
【0073】
但し、装置制御部8bは、状態判定部8aが後述する満杯状態を判定している場合に、プリント装置4による前記プリント処理の実行を禁止する。前記満杯状態は、ボトル5内の廃現像剤9xの量が予め定められた上限量に達している状態である。
【0074】
状態判定部8aは、静電容量センサー7の検出信号Sg1のレベルが予め定められた許容範囲から外れている場合に、前記満杯状態が発生していると判定する。また、状態判定部8aは、検出信号Sg1のレベルが前記許容範囲内であるときに、検出信号Sg1のレベルによりボトル5内の廃現像剤9xの量を判定する。
【0075】
さらに、状態判定部8aは、表示装置802を通じて判定結果を通知する。例えば、状態判定部8aは、前記満杯状態が発生していると判定する場合に、ボトル5の交換が必要である旨を通知する。また、状態判定部8aは、ボトル5内の廃現像剤9xの量の判定結果を表示装置802に表示させる。
【0076】
[第2実施形態]
次に、
図5,6を参照しつつ、第2実施形態に係る画像形成装置10Aについて説明する。画像形成装置10Aは、画像形成装置10にもう1つの静電容量センサー7xが追加された構成を備える。
【0077】
静電容量センサー7xは、静電容量センサー7と同様に、並列に配置された検出電極71xおよび接地電極72xを有する前記並列型静電容量センサーである。静電容量センサー7xは、並列に配置された検出電極71xおよび接地電極72xが形成する静電容量の検出面70xを有する(
図6参照)。
【0078】
なお、静電容量センサー7xは、第2静電容量センサーの一例である。また、検出電極71xおよび接地電極72xは、それぞれ第2検出電極および第2接地電極の一例である。
【0079】
静電容量センサー7xは、その検出面70xが、ボトル5の第2外周領域53bのうちボトル5の回転中心線L0に対して斜め上に位置する部分に正対する状態で配置されている(
図6参照)。
【0080】
静電容量センサー7xは、検出電極71xおよび接地電極72xが上下に並び、検出面70xが斜め下方を向く状態で配置されている。
【0081】
例えば、静電容量センサー7xが、回転中心線L0から検出面70xにおける検出電極71xおよび接地電極72xの間の中間部73xを見る仰角θ2が15度乃至30度となるように配置されることが考えられる。
【0082】
本実施形態において、静電容量センサー7は、ボトル5内の廃現像剤9xの量が比較的少ない状況下で廃現像剤9xの量の変化を高感度で検出することができる。一方、静電容量センサー7xは、ボトル5内の廃現像剤9xの量が比較的多い状況下で廃現像剤9xの量の変化を高感度で検出することができる。
【0083】
本実施形態において、状態判定部8aは、静電容量センサー7の検出量が予め定められた基準静電容量を下回る場合に、静電容量センサー7の検出量に基づいてボトル5内の廃現像剤9xの量を判定する。さらに、状態判定部8aは、静電容量センサー7の検出量が前記基準静電容量を上回る場合に、静電容量センサー7xの検出量に基づいてボトル5内の廃現像剤9xの量を判定する。
【0084】
具体的には、予め第1関係データおよび第2関係データが、二次記憶装置83に記憶されている。前記第1関係データは、予め定められた第1最小静電容量から第1最大静電容量までの範囲の静電容量センサー7の検出量と、予め定められた最小廃現像剤量から中間廃現像剤量までの範囲の廃現像剤9xの量との対応関係を表すデータである。なお、前記第1最大静電容量が前記基準静電容量に相当する。
【0085】
また、前記第2関係データは、予め定められた第2最小静電容量から第2最大静電容量までの範囲の静電容量センサー7xの検出量と、前記中間廃現像剤量から予め定められた最大廃現像剤量までの範囲の廃現像剤9xの量との対応関係を表すデータである。
【0086】
状態判定部8aは、静電容量センサー7の検出量が前記基準静電容量を下回る場合に、前記第1関係データに基づいて静電容量センサー7の検出量を廃現像剤9xの量に換算する。また、状態判定部8aは、静電容量センサー7の検出量が前記基準静電容量を上回る場合に、前記第2関係データに基づいて静電容量センサー7xの検出量を廃現像剤9xの量に換算する。
【0087】
画像形成装置10Aが採用されることにより、状態判定部8aは、ボトル5内の廃現像剤9xの量が少ない状況から多い状況に亘る広範囲の状況下で、廃現像剤9xの量の変化を高感度で検出することができる。
【0088】
本実施形態において、静電容量センサー7xは、静電容量センサー7に対しボトル5の第1端51側に配置されている(
図5参照)。
【0089】
ボトル5は、回転することによって廃現像剤9xを第2端52側へ搬送する。そのため、ボトル5における第1端51寄りの部分が、第2端52寄りの部分よりも後から満杯になる。そのため、静電容量センサー7xがボトル5の第1端51寄りの位置に配置されることにより、状態判定部8aは、ボトル5が満杯になるまで廃現像剤9xの量の変化を高感度で検出することができる。
【0090】
[第3実施形態]
次に、
図7を参照しつつ、第3実施形態に係る画像形成装置10Bについて説明する。画像形成装置10Bは、画像形成装置10の静電容量センサー7が静電容量センサー7yに置き換えられた構成を備える。
【0091】
静電容量センサー7yは、静電容量センサー7と同様に、並列に配置された検出電極71yおよび接地電極72yを有する前記並列型静電容量センサーである。静電容量センサー7yは、並列に配置された検出電極71yおよび接地電極72yが形成する静電容量の検出面70yを有する(
図7参照)。
【0092】
静電容量センサー7yは、検出電極71yおよび接地電極72yが上下に並び、検出面70yが水平方向または斜め下方を向く状態で配置されている。
【0093】
静電容量センサー7yは、その検出面70yが、ボトル5の外周面53における第2外周領域53bのうちボトル5の回転中心線L0に対して同じ高さまたは斜め上に位置する部分に正対する状態で配置されている。
【0094】
図7に示される例では、静電容量センサー7yは、その検出面70yが第2外周領域53bにおけるボトル5の回転中心線L0に対して斜め上に位置する部分に正対する状態で配置されている。
【0095】
例えば、静電容量センサー7yが、回転中心線L0から検出面70yにおける検出電極71yおよび接地電極72yの間の中間部73yを見る仰角θ2が15度乃至30度となるように配置されることが考えられる。
【0096】
画像形成装置10Bが採用されることにより、状態判定部8aは、ボトル5内の廃現像剤9xの量が比較的多い状況下で、廃現像剤9xの量の変化を高感度で検出することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 :本体
3 :シート搬送装置
4 :プリント装置
4a :モーター
4x :作像装置
5 :ボトル
6 :廃現像剤回収装置
7 :静電容量センサー
7x :静電容量センサー
7y :静電容量センサー
8 :制御装置
8a :状態判定部
8b :装置制御部
9 :トナー
9x :廃現像剤
10 :画像形成装置
10A :画像形成装置
10B :画像形成装置
30 :給紙部
40 :レーザースキャニングユニット
41 :感光体
42 :帯電装置
43 :現像装置
44 :転写装置
45 :ドラムクリーニング装置
46 :定着装置
50 :開口
51 :第1端
52 :第2端
53 :外周面
53a :第1外周領域
53b :第2外周領域
54 :螺旋凸部
60 :廃現像剤搬送機構
61 :ボトル装着部
62 :搬入中継部
62a :案内ダクト
63 :ボトル駆動機構
70,70x,70y:検出面
71,71x,71y:検出電極
72,72x,72y:接地電極
73,73x,73y:中間部
81 :CPU
82 :RAM
83 :二次記憶装置
84 :画像データ処理装置
300 :シート搬送路
400 :トナーコンテナー
440 :中間転写ベルト
441 :一次転写装置
442 :二次転写装置
443 :ベルトクリーニング装置
801 :操作器
802 :表示装置
L0 :回転中心線
R1 :既定回転方向