(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】穀物乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 17/14 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
F26B17/14 D
(21)【出願番号】P 2020044207
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛起
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-300385(JP,A)
【文献】特開平04-151405(JP,A)
【文献】特開2001-165570(JP,A)
【文献】特開2001-165571(JP,A)
【文献】特開平10-281645(JP,A)
【文献】特開2014-025640(JP,A)
【文献】特開2008-298371(JP,A)
【文献】特開平03-221777(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0073789(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0159946(US,A1)
【文献】特開平03-025284(JP,A)
【文献】特開平03-113285(JP,A)
【文献】特開2001-133153(JP,A)
【文献】特開昭60-103286(JP,A)
【文献】特開2002-147957(JP,A)
【文献】特開2010-127552(JP,A)
【文献】特開2021-071276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の一側に開口する熱風室、前記熱風室の側方に通気性を有する隔壁を介して設けられる乾燥室、前記乾燥室の側方に通気性を有する隔壁を介して設けられ前記機体の外側に配設される排風ファンと連通する排風室、を有し、
前記機体の一側には、前記熱風室の開口に近接してバーナが配設され、
前記熱風室の内部には、前記熱風室が開口する側を始端部とする筒状の遠赤外線放射体を備えてなる穀物乾燥機において、
前記バーナは、前記始端部の開口から前記遠赤外線放射体の内部に熱風を供給する第1バーナと、前記熱風室の内部であって前記遠赤外線放射体の内部以外に熱風を供給する第2バーナを備え
、
前記遠赤外線放射体は、前記熱風室が開口する側を始端部として反対側に伸びる第1放射体、前記第1放射体の反対側端部から屈曲部を介して前記熱風室が開口する側に伸びる第2放射体、を有し、
前記第1バーナは、前記第1放射体の始端部に対峙して配設され、前記第1放射体の内部に熱風を供給する一方、
前記第2バーナは、前記第2放射体の終端部に対峙して配設され、前記熱風室の内部に熱風を供給することを特徴する穀物乾燥機。
【請求項2】
前記第1バーナは外気を加熱しながら案内する筒状の第1バーナ隔壁を有し、前記第1バーナ隔壁の先端部は前記第1放射体の始端部の開口内に配設される一方、
前記第2バーナは外気を加熱しながら案内する筒状の第2バーナ隔壁を有し、前記第2バーナ隔壁の先端部は前記第2放射体の終端部に対向する位置に配設される請求項1記載の穀物乾燥機。
【請求項3】
前記第2バーナは外気を加熱しながら案内する筒状の第2バーナ隔壁を有し、前記第2バーナ隔壁の先端部と前記第2放射体の終端部が対向する位置関係となるよう筒状の接続部材の内部に配設されており、
前記接続部材は、前記熱風室内に位置する側面に熱風用開口を有する請求項1又は2記載の穀物乾燥機。
【請求項4】
前記接続部材の内部には、前記第2バーナ隔壁の先端部が配設される側の領域と前記第2放射体の終端部が配設される側の領域を仕切る仕切り部材が設けられる請求項3記載の穀物乾燥機。
【請求項5】
前記接続部材は、前記側面の鉛直上方位置に前記熱風用開口を有する請求項3又は4記載の穀物乾燥機。
【請求項6】
前記接続部材は、前記側面の周方向における複数位置に前記熱風用開口を有する請求項3又は4記載の穀物乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米や麦等の穀物を熱風と遠赤外線の作用により乾燥させる穀物乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠赤外線放射体を備える穀物乾燥機は周知である(例えば、特許文献1~4参照。)。
【0003】
前記穀物乾燥機は、上部に貯留部、下部に乾燥部を有する機体と、前記機体の前側に立設される昇降機を備え、前記乾燥部の中央には前記機体の前側が開口する熱風室が設けられ、前記熱風室の両側には通気性を有する隔壁を介して乾燥室、前記乾燥室のさらに外側には通気性を有する隔壁を介して前記機体の後側が開口する排風室が設けられる。
【0004】
また、前記穀物乾燥機は、前記熱風室の内部に筒状の遠赤外線放射体が配設され、前記機体の前側には前記遠赤外線放射体に連通してバーナが設けられ、前記機体の後側には前記排風室に連通して吸引ファン及び排風ダクトが設けられる。
【0005】
前記穀物乾燥機において、前記機体に張込まれた穀物は、前記昇降機により揚穀され、前記穀物タンクに投入される。そして、前記穀物タンクに投入された穀物は、前記乾燥室を流下した後、再度、前記昇降機により揚穀され、前記穀物タンクに投入される。
【0006】
他方、前記穀物乾燥機において、前記バーナにより生成される熱風は、前記吸引ファンの駆動により、前記遠赤外線放射体の始端部から内部に供給され、前記遠赤外線放射体を加熱しながら流動して終端部から前記熱風室内へ放出される。そして、前記熱風室内へ放出された熱風は、前記隔壁を通過して前記乾燥室へ流入し、さらに前記隔壁を通過して前記排風室へと流出して前記排風ダクトから排風される。
【0007】
前記穀物乾燥機によれば、バーナにより加熱生成される熱風と前記遠赤外線放射体から放射される遠赤外線の作用により、穀物を効率よく乾燥させることができる。
【0008】
ところで、大型の穀物乾燥機の場合、最大燃焼量などの熱量を増加させるために大型のバーナが必要となるが、バーナを大型化するためには、バーナ自体の開発コストや遠赤外線放射体の耐熱性、耐久性向上のための新たな設計コスト等が嵩む問題がある。
【0009】
遠赤外線放射体の始端部に複数のバーナを設けることとすれば、大型のバーナを開発する必要はないが、比較的小径の遠赤外線放射体の始端部に複数のバーナを配置して熱風を供給することは困難な場合があり、また、遠赤外線放射体の始端部に複数のバーナを配置して熱風を供給できた場合でも、熱量の増加にともなう遠赤外線放射体の新たな設計コスト等の問題は避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2019-66176号公報
【文献】特開2014-25640号公報
【文献】特開平10-300347号公報
【文献】特開平9-61055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、大型の機種であっても、大型のバーナを使用することなく熱量を増加させることができるとともに、新たな遠赤外線放射体を開発することなく、既存の遠赤外線放射体をそのまま利用することができる穀物乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、
機体の一側に開口する熱風室、前記熱風室の側方に通気性を有する隔壁を介して設けられ穀物を乾燥させる乾燥室、前記乾燥室の側方に通気性を有する隔壁を介して設けられ前記機体の外側に配設される排風ファンと連通する排風室、を有し、
前記機体の一側には、前記熱風室の開口に近接してバーナが配設され、
前記熱風室の内部には、前記熱風室が開口する側を始端部とする筒状の遠赤外線放射体を備えてなる穀物乾燥機において、
前記バーナは、前記始端部の開口から前記遠赤外線放射体の内部に熱風を供給する第1バーナと、前記熱風室の内部であって前記遠赤外線放射体の内部以外に熱風を供給する第2バーナを備えることを特徴する。
【0013】
本発明は、
上部に貯留部、下部に乾燥部を有する機体を備え、前記貯留部から流下する穀物を前記乾燥部において乾燥する穀物乾燥機であって、
前記乾燥部が、前記機体の一側に開口する熱風室、前記熱風室の側方に通気性を有する隔壁を介して設けられ前記穀物が流下する乾燥室、前記乾燥室の側方に通気性を有する隔壁を介して設けられ前記機体の外側に配設される排風ファンと連通する排風室、を有することが好ましい。
【0014】
本発明は、
前記遠赤外線放射体が、前記熱風室が開口する側を始端部として反対側に伸びる第1放射体、前記第1放射体の反対側端部から屈曲部を介して前記熱風室が開口する側に伸びる第2放射体、を有し、
前記第1バーナは、前記第1放射体の始端部に対峙して配設され、前記第1放射体の内部に熱風を供給する一方、
前記第2バーナは、前記第2放射体の終端部に対峙して配設され、前記熱風室の内部に熱風を供給する。
【0015】
本発明は、
前記第1バーナは外気を加熱しながら案内する筒状の第1バーナ隔壁を有し、前記第1バーナ隔壁の先端部は前記第1放射体の始端部の開口内に配設される一方、
前記第2バーナは外気を加熱しながら案内する筒状の第2バーナ隔壁を有し、前記第2バーナ隔壁の先端部は前記第2放射体の終端部に対向する位置に配設されることが好ましい。
【0016】
本発明は、
前記第2バーナは外気を加熱しながら案内する筒状の第2バーナ隔壁を有し、前記第2バーナ隔壁の先端部と前記第2放射体の終端部が対向する位置関係となるよう筒状の接続部材の内部に配設されており、
前記接続部材は、前記熱風室内に位置する側面に熱風用開口を有することが好ましい。
【0017】
また、本発明は、
前記接続部材の内部には、前記第2バーナ隔壁の先端部が配設される側の領域と前記第2放射体の終端部が配設される側の領域との間に網目状部材が設けられることが好ましい。
【0018】
本発明は、
前記接続部材の内部には、前記第2バーナ隔壁の先端部が配設される側の領域と前記第2放射体の終端部が配設される側の領域とを仕切る仕切り部材が設けられることが好ましい。
【0019】
本発明は、
前記接続部材は、前記側面の鉛直上方位置に前記熱風用開口を有することが好ましい。
【0020】
本発明は、
前記接続部材は、前記側面の周方向における複数位置に前記熱風用開口を有することが好ましい。
【0021】
本発明は、
前記第2放射体が、前記第1放射体と比較して軸直方向の断面積が小さくなるように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の穀物乾燥機は、前記バーナが、前記始端部の開口から前記遠赤外線放射体の内部に熱風を供給する第1バーナと、前記熱風室の内部であって前記遠赤外線放射体の内部以外に熱風を供給する第2バーナを備えるので、大型のバーナを使用することなく全体としての熱量を増加させることができる。
また、本発明の穀物乾燥機は、前記第2バーナにより生成された熱風を前記熱風室の内部であって前記遠赤外線放射体の内部以外に供給するので、全体としての熱量を増加させた場合でも、既存の遠赤外線放射体を利用することができる。
したがって、本発明の穀物乾燥機によれば、大型の機種であっても、大型のバーナを使用することなく熱量を増加させることができるとともに、新たな遠赤外線放射体を開発することなく、既存の遠赤外線放射体をそのまま利用することができる。
【0023】
本発明の穀物乾燥機は、前記遠赤外線放射体が、前記熱風室が開口する側を始端部として反対側に伸びる第1放射体、前記第1放射体の反対側端部から屈曲部を介して前記熱風室が開口する側に伸びる第2放射体、を有し、前記第1バーナは、前記第1放射体の始端部に対峙して配設され、前記第1放射体の内部に熱風を供給する一方、前記第2バーナは、前記第2放射体の終端部に対峙して配設され、前記熱風室の内部に熱風を供給するので、前記第2バーナにより供給された熱風と、前記第1バーナにより前記第1放射体の内部に供給され前記第2放射体の終端部から放出された熱風が、混合されて温度が均一化されるので、穀物をムラなく乾燥させることができる。
【0024】
本発明の穀物乾燥機は、前記第1バーナが外気を加熱しながら案内する筒状の第1バーナ隔壁を有し、前記第1バーナ隔壁の先端部は前記第1放射体の始端部の開口内に配設される一方、前記第2バーナは外気を加熱しながら案内する筒状の第2バーナ隔壁を有し、前記第2バーナ隔壁の先端部は前記第2放射体の終端部に対向する位置に配設されることとすれば、前記第2バーナ隔壁の先端部から供給された熱風と、前記第1バーナ隔壁の先端部から前記第1放射体の内部に供給され前記第2放射体の終端部から放出された熱風とが、混合されて温度が均一化されるので、穀物をムラなく乾燥させることができる。
【0025】
本発明の穀物乾燥機は、前記第2バーナが外気を加熱しながら案内する筒状の第2バーナ隔壁を有し、前記第2バーナ隔壁の先端部と前記第2放射体の終端部が対向する位置関係となるよう筒状の接続部材の内部に配設されており、前記接続部材が、前記熱風室内に位置する側面に熱風用開口を有することとすれば、前記第2バーナ隔壁の先端部から供給された熱風と、前記第2放射体の終端部から放出された熱風とが、前記接続部材の内部で混合し温度が均一化された状態で前記熱風用開口から前記熱風室内に放出されるので、穀物をムラなく乾燥させることができる。
【0026】
また、本発明の穀物乾燥機は、前記接続部材の内部には、前記第2バーナ隔壁の先端部が配設される側の領域と前記第2放射体の終端部が配設される側の領域との間に網目状部材が設けられることとすれば、前記接続部材の内部において、前記第2バーナ隔壁の先端部から供給された熱風と前記第2放射体の終端部から放出された熱風との混合が促進される。
【0027】
本発明の穀物乾燥機は、前記接続部材の内部には、前記第2バーナ隔壁の先端部が配設される側の領域と前記第2放射体の終端部が配設される側の領域とを仕切る仕切り部材が設けられることとすれば、前記第2バーナ隔壁の先端部から供給された熱風と前記第2放射体の終端部から放出された熱風のそれぞれが、前記接続部材の内部において前記仕切り部材に衝突して撹拌され、温度が均一化される。
【0028】
本発明の穀物乾燥機は、前記接続部材が、前記側面の鉛直上方位置に前記熱風用開口を有することとすれば、前記熱風用開口から放出される熱風が、前記熱風室内において前記接続部材の側方に回り込みながら前記熱風室の側方に位置する前記乾燥室へ移動することとなり、高温の熱風が前記乾燥室内の穀物に直接当たることによる胴割れ等の被害粒の発生を防止することができる。
【0029】
本発明の穀物乾燥機は、前記接続部材が、前記側面の周方向における複数位置に前記熱風用開口を有することとすれば、前記熱風用開口から放出される熱風が、前記熱風室内において略均等に広がる状態で前記乾燥室へ移動するため、穀物を効率よく乾燥させることができる。
【0030】
本発明の穀物乾燥機は、前記第2放射体が、前記第1放射体と比較して軸直方向の断面積が小さくなるように構成されるものであれば、前記第2放射体の終端部からは噴流に近い状態で熱風が放出されることとなるが、前記第2バーナ隔壁の先端部が前記第2放射体の終端部に対向する位置に配設されるものであれば、前記第2放射体の終端部から放出された熱風が前記第2バーナ隔壁の先端部から供給された熱風に衝突して混合され温度が均一化される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は穀物乾燥機の正面断面図を示す。
本発明の実施の形態における穀物乾燥機1は、上部に穀物貯留部2、下部に通風乾燥部3を有する機体11と、該機体11の前側に立設される揚穀機12を備える。
【0033】
前記通風乾燥部3の中央には前記機体11の前側が開口する熱風室4が設けられ、前記熱風室4の両側には通気性を有する第1隔壁(多孔壁)31を介して一対の乾燥室5、前記乾燥室5のさらに外側には通気性を有する第2隔壁(多孔壁)32を介して前記機体11の後側が開口する一対の排風室6が設けられる。
【0034】
前記熱風室4の内部には筒状の遠赤外線放射体7が配設されており、前記機体11の前側には前記熱風室4に連通してバーナが設けられ、前記機体1の後側には前記排風室6に連通して吸引ファン及び排風ダクト等の排風装置が設けられる。
【0035】
前記通風乾燥部3の下部にはロータリーバルブ13が配設され、前記ロータリーバルブ13の下方には、前記揚穀機12の下部に接続される下スクリューコンベア14が配設される。また、前記穀物貯留部2の上方には、前記揚穀機12の上部に接続される上スクリューコンベア15が配設され、該上スクリューコンベア15の後端下方には回転盤16が配設される。
【0036】
前記穀物乾燥機1において、前記機体11内に張込まれる穀物は、前記揚穀機12により揚穀され、前記上スクリューコンベア15により搬送されて回転盤16の上面に落下し、前記穀物貯留部2内に均等に分散して投入される。
【0037】
前記穀物貯留部2に投入された穀物は、前記通風乾燥部3において各乾燥室5を流下し、前記ロータリーバルブ13から下方へ排出され、前記下スクリューコンベア14により機体11の前側に向けて搬送され、再び前記揚穀機12により揚穀され、前記穀物貯留部2に投入されて当該穀物乾燥機1を循環する。
【0038】
他方、前記穀物乾燥機1において、前記バーナにより加熱生成された熱風は、前記吸引ファンの駆動により、前記遠赤外線放射体7の始端部から前記遠赤外線放射体7の内部に供給され、前記遠赤外線放射体7を加熱しながら流動して終端部から前記熱風室4内へ放出される。そして、前記熱風室4内へ放出された熱風は、前記第1隔壁31を通過して前記乾燥室5へ流入し、さらに前記第2隔壁32を通過して前記排風室6へと流出して前記排風ダクトから機外へ排風される。
【0039】
図2は
図1の穀物乾燥機における通風乾燥部の側面断面図を示す。
図2に示す例において、前記遠赤外線放射体7は、前記熱風室4が開口する側を始端部として反対側に延びる主筒(第1放射体)7Aと、前記主筒7Aの反対側端部から屈曲部を介して前記熱風室4が開口する側に伸びる副筒(第2放射体)7Bを有する。前記遠赤外線放射体7は、熱風の滞留時間を長くして前記主筒7Aを効率よく加熱するため、前記副筒7Bが前記主筒7Aと比較して軸直方向の断面積が小さくなるように構成されている。
【0040】
前記バーナ8は、前記主筒7Aの始端部に対峙して配設される主バーナ(第1バーナ)8Aと、前記副筒7Bの終端部に対峙して配設される補助バーナ(第2バーナ)8Bを備える。
【0041】
前記主バーナ8Aは、外気を加熱しながら案内する筒状の主燃焼炉(第1バーナ隔壁)81Aを有し、前記主燃焼炉81Aの先端部が前記主筒7Aの始端部の開口内に配設される。
また、前記補助バーナ8Bは、外気を加熱しながら案内する筒状の補助燃焼炉(第2バーナ隔壁)81Bを有し、前記補助燃焼炉81Bの先端部が前記副筒7Bの終端部に対向する位置に配設される。
【0042】
前記穀物乾燥機1において、前記補助バーナ8Bは、前記補助燃焼炉81Bの先端部が前記遠赤外線放射体7における前記副筒7Bの終端部に対向する位置に配設されるので、前記補助バーナ8Bにより前記補助燃焼炉81Bの先端面から供給された熱風と前記副筒7Bの終端部から放出された熱風が、前記熱風室4の内部において混合されて温度が均一化され、前記乾燥室5において穀物をムラなく乾燥させることができる。
【0043】
本発明の実施の形態において、前記穀物乾燥機1は、前記補助バーナ8Bにより生成された熱風を前記熱風室4の内部に供給し、前記主バーナ8Aにより生成された熱風に対し補充することができるので、大型のバーナを使用することなく全体としての熱量を増加させることができる。
また、前記穀物乾燥機1は、前記補助バーナ8Bにより生成された熱風を前記熱風室4の内部であって前記遠赤外線放射体7の内部以外に供給するので、全体としての熱量を増加させた場合でも、既存の遠赤外線放射体7を利用することができる。
したがって、本発明の実施の形態における穀物乾燥機1によれば、大型の機種であっても、大型のバーナを使用することなく熱量を増加させることができるとともに、新たな遠赤外線放射体を開発することなく、既存の遠赤外線放射体をそのまま利用することができる。
【0044】
ここで、前記主燃焼炉81Aと前記補助燃焼炉81Bは、先端面に代えて前記先端部の側面に開口を設けることができる。
前記主燃焼炉81Aが側面に開口を有するものであれば、前記主筒7Aの内部において、前記主バーナ8Aにより加熱される外気とそれ以外の外気との混合を促進することができる。また、前記補助燃焼炉81Bが側面に開口を有するものであれば、前記熱風室4の内部において、前記補助バーナ8Bにより加熱される外気とそれ以外の外気との混合を促進することができる。
なお、前記補助燃焼炉81Bが側面に開口を有するものであれば、前記第2放射体の終端部から放出された熱風が前記補助燃焼炉81Bの先端面に衝突して略均等な状態で周囲に広がるので、前記乾燥室5において穀物を効率よく乾燥させることができる。
【0045】
図2に示す例では、前記補助バーナ8Bは、前記補助燃焼炉81Bの先端部が前記副筒7Bの終端部に対向する位置に配設されるものであったが、前記熱風室4の内部であって前記遠赤外線放射体7の内部以外の熱風を供給できるのであれば、前記補助燃焼炉81Bの先端部を他の位置に配設することもできる。
その場合でも、前記穀物乾燥機1は、大型のバーナを使用することなく熱量を増加させることができるとともに、新たな遠赤外線放射体を開発することなく、既存の遠赤外線放射体をそのまま利用することができる。
【0046】
図3は通風乾燥部の他の例の側面断面図を示す。
図3に示す例では、前記熱風室4が開口する側に両端が開口する筒状の接続部材9が設けられ、前記補助燃焼炉81Bの先端部と前記副筒7Bの終端部が前記接続部材9の内部で対向する位置関係となるよう配設される。
【0047】
前記接続部材9の側面には、前記熱風室4内における鉛直上方位置に熱風用開口91が設けられ、前記補助燃焼炉81Bの先端部から供給された熱風と前記副筒7Bの終端部から放出された熱風が、前記接続部材9の内部で衝突して混合し、温度が均一化された状態で前記熱風用開口91から前記熱風室4内へ放出されるので、前記乾燥室5において穀物をムラなく乾燥させることができる。
【0048】
また、前記接続部材9の側面には、前記熱風用開口91が前記熱風室4における鉛直上方位置に設けられるので、前記熱風用開口91から放出される熱風が、前記熱風室4内において前記接続部材9の側方に回り込みながら前記熱風室4の両側に設けられる前記乾燥室5へ移動することとなり、高温の熱風が前記乾燥室5を流下する穀物に直接当たることによる胴割れ等の被害粒の発生を防止することができる。
【0049】
前記接続部材9の内部には、前記補助燃焼炉81Bの先端部が配設される領域と前記副筒7Bの終端部が配設される領域との間であって前記熱風用開口91が設けられる位置に網目状部材を設けることができる。
前記接続部材9が前記網目状部材を有するものであれば、前記接続部材9の内部において前記補助燃焼炉81Bの先端部から供給された熱風と前記副筒7Bの終端部から放出された熱風との混合が促進される。
【0050】
前記接続部材9の側面には、前記熱風用開口91を放射状に周方向の複数の位置に設けることもできる。
前記接続部材9が、前記熱風用開口91を側面の周方向に複数有するものであれば、前記熱風用開口91から放出される熱風が、前記熱風室4内において略均等に広がる状態で前記乾燥室へ移動するため、前記乾燥室5において穀物を効率よく乾燥させることができる。
【0051】
前記接続部材9には、前記補助燃焼炉81Bの先端部が配設される領域と前記副筒7Bの終端部が配設される領域とを連通しない状態で仕切る仕切り部材を設けることもできる。
前記接続部材9が、前記仕切り部材を有するものであれば、前記補助燃焼炉81Bの先端部から供給された熱風と前記副筒7Bの終端部から放出された熱風は、それぞれ前記接続部材9内の各領域において前記仕切り部材に衝突して撹拌され、温度が均一化される。
なお、その場合、前記接続部材9の側面には、前記各領域に共通する熱風用開口を設けることができる。また、前記接続部材9の側面には、前記各領域に個別に熱風用開口を設けることもできる。前記接続部材9の側面に、前記各領域に共通する熱風用開口を設けることとすれば、前記各領域における熱風は混合されながら前記熱風用開口から放出される。
【0052】
図3に示す例の場合も、前記穀物乾燥機1は、大型のバーナを使用することなく熱量を増加させることができるとともに、新たな遠赤外線放射体を開発することなく、既存の遠赤外線放射体をそのまま利用することができる。
【0053】
上記本発明の実施の形態において、穀物乾燥機1は、上部に穀物貯留部2、下部に通風乾燥部3を有する機体11と、該機体11の前側に立設される揚穀機12を備えるものを例としたが、本発明は、例えば乾燥部のみを有する機体を備えるもの等、熱風室の内部に遠赤外線放射体を備える他の種類の穀物乾燥機にも適用することができる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の穀物乾燥機は、大型の機種であっても、大型のバーナを使用することなく熱量を増加させることができるとともに、新たな遠赤外線放射体を開発することなく、既存の遠赤外線放射体をそのまま利用することができるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 穀物乾燥機
11 機体
12 揚穀機
13 ロータリーバルブ
14 下スクリューコンベア
15 上スクリューコンベア
16 回転盤
2 穀物貯留部
3 通風乾燥部
31 第1隔壁(多孔壁)
32 第2隔壁(多孔壁)
4 熱風室
5 乾燥室
6 排風室
7 遠赤外線放射体
7A 主筒(第1放射体)
7B 副筒(第2放射体)
8 バーナ
8A 主バーナ(第1バーナ)
81A 主燃焼炉(第1バーナ隔壁)
8B 補助バーナ(第2バーナ)
81B 補助燃焼炉(第2バーナ隔壁)
9 接続部材
91 熱風用開口