(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】粉体容器および粉体処理装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
G03G15/08 343
(21)【出願番号】P 2020044578
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2019070276
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】田中 英明
(72)【発明者】
【氏名】上原 大洋
(72)【発明者】
【氏名】中井 大祐
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-247009(JP,A)
【文献】特開2011-203327(JP,A)
【文献】特開2017-072717(JP,A)
【文献】特開2011-257692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する円筒状の収容空間と粉体を排出する排出口を有する容器本体と、
前記容器本体の前記収容空間内に収容されている粉体を、当該収容空間内の長手方向に沿って存在する回転軸に設けられて当該収容空間の内壁に接近して通過するよう移動する搬送羽により前記排出口にむけて搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の前記回転軸を回転可能に支持するとともに外部からの回転動力を連結して受ける連結手段を有する支持手段と、
前記容器本体の前記収容空間の内壁から内側に突出する突起と、
を備え、
前記搬送手段は、
前記粉体の搬送時の回転方向に正回転した場合、前記搬送羽が前記突起に接触せずに通過し、前記粉体の搬送時の回転方向とは逆の方向に逆回転した場合、前記搬送羽が前記突起に接触して通過するとともに振動して前記収容空間の内壁に触れるよう構成されている粉体容器。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記搬送羽が前記回転軸の軸方向における少なくとも1箇所で当該軸方向に間隔をあけて不連続になる形状で構成されており、
前記搬送手段は、前記粉体の搬送時の回転方向に正回転したときに前記搬送羽の不連続になる部分が前記突起に接触せずに通過する状態になり、前記逆回転したときに前記搬送羽が前記突起に接触して通過するよう変位した状態になるよう構成されている請求項1に記載の粉体容器。
【請求項3】
粉体を収容する円筒状の収容空間と粉体を排出する排出口を有する容器本体と、
前記容器本体の前記収容空間内に収容されている粉体を、当該収容空間内の長手方向に沿って存在する回転軸に設けられて当該収容空間の内壁に接近して通過するよう移動する搬送羽により前記排出口にむけて搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の前記回転軸を回転可能に支持するとともに外部からの回転動力を連結して受ける連結手段を有する支持手段と、
前記容器本体の前記収容空間の内壁から内側に突出する突起と、
を備え、
前記搬送手段は、前記粉体の搬送時の回転方向とは逆の方向に逆回転した場合、前記搬送羽が前記突起に接触して通過するとともに振動して前記収容空間の内壁に触れるよう構成されており、
前記突起は、前記搬送手段が粉体の搬送時の回転方向に正回転したときに前記搬送羽を接触させて通過させた際に前記収容空間の内壁に触れない状態に保つ緩斜面部と、前記搬送手段が前記逆回転したときに前記搬送羽を接触させて通過させた際に前記収容空間の内壁に触れるよう振動させる振動誘発面部とを有する形状で構成されてい
る粉体容器。
【請求項4】
粉体を収容する円筒状の収容空間と粉体を排出する排出口を有する容器本体と、
前記容器本体の前記収容空間内に収容されている粉体を、当該収容空間内の長手方向に沿って存在する回転軸に設けられて当該収容空間の内壁に接近して通過するよう移動する搬送羽により前記排出口にむけて搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の前記回転軸を回転可能に支持するとともに外部からの回転動力を連結して受ける連結手段を有する支持手段と、
前記容器本体の前記収容空間の内壁から内側に突出する突起と、
を備え、
前記搬送手段は、前記粉体の搬送時の回転方向とは逆の方向に逆回転した場合、前記搬送羽が前記突起に接触して通過するとともに振動して前記収容空間の内壁に触れるよう構成されており、
前記搬送手段の前記搬送羽は、当該搬送手段が粉体の搬送時の回転方向に正回転したとき前記突起に接触して通過した際に前記収容空間の内壁に触れない状態に保たれる緩斜面部と、当該搬送手段が前記逆回転したときに前記突起に接触して通過した際に前記収容空間の内壁に触れるよう振動する振動誘発面部とを有する形状からなる部分を備えるよう構成されてい
る粉体容器。
【請求項5】
前記突起は、使用時に前記収容空間に収容される粉体の収容面よりも重力方向上側になる内壁の部分に設けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粉体容器。
【請求項6】
前記搬送手段は、前記回転軸の一端が前記支持手段により片持ちの状態で支持されており、
前記突起は、前記収容空間の長手方向で前記支持手段から離れた側になる領域内に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粉体容器。
【請求項7】
粉体を使用する使用装置と、
前記使用装置に補給する粉体を収容する円筒状の収容空間と粉体を排出する排出口を有する容器本体と、前記収容空間に収容されている粉体を前記排出口にむけて搬送する搬送手段とを有し、着脱可能に装着されて使用される粉体容器と、
前記粉体容器の前記搬送手段を粉体の搬送時の回転方向に正回転させることと、前記搬送時の回転方向とは逆の方向に逆回転させることを切り替えて行うことが可能な回転駆動手段と、
を備え、
前記粉体容器として請求項1乃至6のいずれか1項に記載の粉体容器が装着され、
前記回転駆動手段により前記装着した粉体容器の前記搬送手段を逆回転させる動作を行う時期を有する粉体処理装置。
【請求項8】
前記粉体容器に収容されている粉体の残量を予測する予測手段を備え、
前記予測手段が前記粉体の残量が50%以下になったと予測したときに、前記回転駆動手段が前記逆回転させる動作を実行する請求項7に記載の粉体処理装置。
【請求項9】
前記回転駆動手段は、前記逆回転させる動作を前記搬送手段が1回転以上かつ3回転以下の範囲内で実行する請求項7又は8に記載の粉体処理装置。
【請求項10】
前記回転駆動手段は、前記逆回転させる動作を前記使用装置の粉体を使用する動作中以外の時期に実行する請求項7乃至9のいずれか1項に記載の粉体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体容器および粉体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体の一例である補給用の現像剤(主にトナー)を収容するトナー収容器等の粉体容器に関する技術としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、トナー補給装置に使用されるトナー収容器において、その容器内部に収容されたトナーを攪拌するトナー攪拌手段と、そのトナー攪拌手段に当接するコイル状の揺動自在の部材と、そのコイル状の揺動自在の部材に当接して揺動する弾性部材からなる振動板を設けることにより、トナーの凝集を防止する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、粉体容器の内壁に付着する粉体を落下させて交換時における粉体の残量を減らすことができる粉体容器およびそれを用いた粉体処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(A1)の粉体容器は、請求項1に記載されている通り、
粉体を収容する円筒状の収容空間と粉体を排出する排出口を有する容器本体と、
前記容器本体の前記収容空間内に収容されている粉体を、当該収容空間内の長手方向に沿って存在する回転軸に設けられて当該収容空間の内壁に接近して通過するよう移動する搬送羽により前記排出口にむけて搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の前記回転軸を回転可能に支持するとともに外部からの回転動力を連結して受ける連結手段を有する支持手段と、
前記容器本体の前記収容空間の内壁から内側に突出する突起と、
を備え、
前記搬送手段は、前記粉体の搬送時の回転方向に正回転した場合、前記搬送羽が前記突起に接触せずに通過し、前記粉体の搬送時の回転方向とは逆の方向に逆回転した場合、前記搬送羽が前記突起に接触して通過するとともに振動して前記収容空間の内壁に触れるよう構成されているものである。
【0007】
この発明(A2)の粉体容器は、上記発明A1の粉体容器において、前記搬送手段は、前記搬送羽が前記回転軸の軸方向における少なくとも1箇所で当該軸方向に間隔をあけて不連続になる形状で構成されており、前記搬送手段は、前記粉体の搬送時の回転方向に正回転したときに前記搬送羽の不連続になる部分が前記突起に接触せずに通過する状態になり、前記逆回転したときに前記搬送羽が前記突起に接触して通過するよう変位した状態になるよう構成されているものである。
この発明(A3)の粉体容器は、
粉体を収容する円筒状の収容空間と粉体を排出する排出口を有する容器本体と、
前記容器本体の前記収容空間内に収容されている粉体を、当該収容空間内の長手方向に沿って存在する回転軸に設けられて当該収容空間の内壁に接近して通過するよう移動する搬送羽により前記排出口にむけて搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の前記回転軸を回転可能に支持するとともに外部からの回転動力を連結して受ける連結手段を有する支持手段と、
前記容器本体の前記収容空間の内壁から内側に突出する突起と、
を備え、
前記搬送手段は、前記粉体の搬送時の回転方向とは逆の方向に逆回転した場合、前記搬送羽が前記突起に接触して通過するとともに振動して前記収容空間の内壁に触れるよう構成されており、
前記突起は、前記搬送手段が粉体の搬送時の回転方向に正回転したときに前記搬送羽を接触させて通過させた際に前記収容空間の内壁に触れない状態に保つ緩斜面部と、前記搬送手段が前記逆回転したときに前記搬送羽を接触させて通過させた際に前記収容空間の内壁に触れるよう振動させる振動誘発面部とを有する形状で構成されているものである。
この発明(A4)の粉体容器は、
粉体を収容する円筒状の収容空間と粉体を排出する排出口を有する容器本体と、
前記容器本体の前記収容空間内に収容されている粉体を、当該収容空間内の長手方向に沿って存在する回転軸に設けられて当該収容空間の内壁に接近して通過するよう移動する搬送羽により前記排出口にむけて搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の前記回転軸を回転可能に支持するとともに外部からの回転動力を連結して受ける連結手段を有する支持手段と、
前記容器本体の前記収容空間の内壁から内側に突出する突起と、
を備え、
前記搬送手段は、前記粉体の搬送時の回転方向とは逆の方向に逆回転した場合、前記搬送羽が前記突起に接触して通過するとともに振動して前記収容空間の内壁に触れるよう構成されており、
前記搬送手段の前記搬送羽は、当該搬送手段が粉体の搬送時の回転方向に正回転したとき前記突起に接触して通過した際に前記収容空間の内壁に触れない状態に保たれる緩斜面部と、当該搬送手段が前記逆回転したときに前記突起に接触して通過した際に前記収容空間の内壁に触れるよう振動する振動誘発面部とを有する形状からなる部分を備えるよう構成されているものである。
【0008】
この発明(A5)の粉体容器は、上記発明A1からA4のいずれかの粉体容器において、前記突起は、使用時に前記収容空間に収容される粉体の収容面よりも重力方向上側になる内壁の部分に設けられているものである。
この発明(A6)の粉体容器は、上記発明A1からA5のいずれかの粉体容器において、前記搬送手段は、前記回転軸の一端が前記支持手段により片持ちの状態で支持されており、前記突起は、前記収容空間の長手方向で前記支持手段から離れた側になる領域内に設けられているものである。
【0009】
また、この発明(B1)の粉体処理装置は、
粉体を使用する使用装置と、
前記使用装置に補給する粉体を収容する円筒状の収容空間と粉体を排出する排出口を有する容器本体と、前記収容空間に収容されている粉体を前記排出口にむけて搬送する搬送手段とを有し、着脱可能に装着されて使用される粉体容器と、
前記粉体容器の前記搬送手段を粉体の搬送時の回転方向に正回転させることと、前記搬送時の回転方向とは逆の方向に逆回転させることを切り替えて行うことが可能な回転駆動手段と、
を備え、
前記粉体容器として上記発明A1からA6のいずれかの粉体容器が装着され、
前記回転駆動手段により前記装着した粉体容器の前記搬送手段を逆回転させる動作を行う時期を有するものである。
【0010】
この発明(B2)の粉体処理装置は、上記発明B1の粉体処理装置において、前記粉体容器に収容されている粉体の残量を予測する予測手段を備え、
前記予測手段が前記粉体の残量が50%以下になったと予測したときに、前記回転駆動手段が前記逆回転させる動作を実行するものである。
この発明(B3)の粉体処理装置は、上記発明B1又はB2の粉体処理装置において、前記回転駆動手段は、前記逆回転させる動作を前記搬送手段が1回転以上かつ3回転以下の範囲内で実行するものである。
この発明(B4)の粉体処理装置は、上記発明B1からB3のいずれかの粉体処理装置において、前記回転駆動手段は、前記逆回転させる動作を前記使用装置の粉体を使用する動作中以外の時期に実行するものである。
【発明の効果】
【0011】
上記発明A1の粉体容器によれば、粉体を搬送する動作時に搬送手段の搬送羽が突起に接触することで異音が発生することがなく、粉体容器の内壁に付着する粉体を落下させて交換時における粉体の残量を減らすことができる。
【0012】
上記発明A2によれば、粉体を搬送する動作時に搬送手段の搬送羽が突起に接触して通過することに起因した異音や粉体の凝集が発生することがなく、容器の内壁に付着する粉体を落下させて交換時における粉体の残量を減らすことができる。
上記発明A3およびA4によれば、搬送手段を不連続になる形状に構成することや搬送手段を逆回転時に変位するよう構成する必要がなく、容器の内壁に付着する粉体を落下させて交換時における粉体の残量を減らすことができる。
上記発明A5によれば、粉体の搬送不良の発生を回避しつつ、搬送手段の羽根材を逆回転時に効率よく振動させることができる。
上記発明A6によれば、搬送手段が片持ち支持されているときに突起が支持手段から離れた側になる領域内に配置されていない場合に比べて、搬送手段の羽根材を逆回転時により大きく振動させることができる。
【0013】
上記発明B1の粉体処理装置によれば、粉体容器の内壁に付着する粉体を落下させて交換時における粉体の残量を減らすことができ、使用装置で使用する粉体の量を増やすことができる。
【0014】
上記発明B2によれば、粉体の残量が50%以下になったときに逆回転の動作を行わない場合に比べて、粉体容器の内壁に付着する粉体を落下させることを適確に行うことがきる。
上記発明B3によれば、逆回転させる動作を搬送手段が1回転以上かつ3回転以下の範囲内で行わない場合に比べて、粉体の補給動作に支障をきたすことなく、粉体容器の内壁に付着する粉体を落下させることができる。
上記発明B4によれば、逆回転させる動作を使用装置の粉体使用の動作中に行う場合に比べて、使用装置の粉体使用の動作において逆回転の動作で粉体容器に発生する振動によって悪影響を与えることがなく、粉体容器の内壁に付着する粉体を落下させて交換時における粉体の残量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1等に係る画像形成装置の構成を示す概要図である。
【
図2】
図1の画像形成装置における現像剤容器と補給手段の構成を示す概略斜視図である。
【
図3】
図2の現像剤容器と補給手段が分離したときの状態を示す概略斜視図である。
【
図4】現像剤容器を分解したときの状態を示す概略斜視図である。
【
図5】搬送手段が正回転するときの現像剤容器と補給手段の状態を示す一部断面概要図である。
【
図6】搬送手段が逆回転するときの現像剤容器と補給手段の状態を示す一部断面概要図である。
【
図7】現像剤容器において搬送手段が逆回転して突起に接触して通過するときの状態を示す一部断面概要図である。
【
図8】(A)は画像形成装置の補給手段に関する制御の構成を示すブロック図、(B)は補給手段の動作の一例を示すフローチャート図である。
【
図9】実施の形態2に係る現像剤容器と補給手段の状態を示す一部断面概要図である。
【
図10】(A)は
図9の現像剤容器における構成を示す一部断面概要図、(B)は(A)の現像剤容器における突起の構成等を拡大して示す概要図である。
【
図11】実施の形態3に係る現像剤容器と補給手段の状態を示す一部断面概要図である。
【
図12】(A)は
図11の現像剤容器における構成を示す一部断面概要図、(B)は(A)の現像剤容器における搬送手段の搬送羽の構成等を拡大して示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
[実施の形態1]
図1には、実施の形態1に係る粉体容器の一例である現像剤容器を装着した粉体処理装置の一例である画像形成装置の構成が概念的に示されている。
【0018】
<画像形成装置>
画像形成装置1は、電子写真方式等の画像形成方式を利用して、粉体の一例である現像剤としてのトナーで構成される画像を記録媒体の一例である用紙9に形成する装置である。この画像形成装置1は、例えば、情報端末機、画像読取装置等の外部機器から入力される文字、図形、表、写真等の画像情報に対応した画像の形成を行うプリンタとして構成されている。
【0019】
この画像形成装置1は、
図1に示されるように、筐体10の内部空間に、電子写真方式等の画像形成方式によりトナー像を形成して用紙9に転写する像形成手段2と、像形成手段2に供給する用紙9を収容して送り出す給紙手段4と、像形成手段2で転写されたトナー像を用紙9に定着させる定着手段5、像形成手段2における現像装置24に現像剤を補給する補給手段6等が配置されている。
図1に示される一点鎖線は、筐体10の内部空間において用紙9が搬送される主な搬送経路である。また
図1における符号15は、画像形成装置1における各動作を制御する制御手段を示す。
【0020】
像形成手段2は、矢印で示す方向に回転する像保持体の一例である感光体の一例である感光ドラム21を有しており、その感光ドラム21の周囲に、感光ドラム21の周面の像形成領域を所要の電位に帯電させる帯電装置22、感光ドラム21の帯電された像形成領域に画像情報に基づいて露光を行って静電潜像を形成する露光装置23、感光ドラム21に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像にする現像装置24と、感光ドラム21に形成されたトナー像を用紙9に転写させる転写装置25と、感光ドラム21の像形成領域を清掃する清掃装置26等が配置されて構成されている。
【0021】
このうち現像装置24は、粉体の一例である現像剤を使用する使用装置の一例である。この現像装置24は、
図1に示されるように、現像剤を収容する収容室と現像を行う現像用開口を有する筐体240の内部に、現像剤を保持して感光ドラム21と対向する現像域を通過させるよう搬送する現像ロール241、収容室内の現像剤を撹拌しながら現像ロールを通過させるよう搬送する搬送手段242等を備えている。現像剤としては、例えばトナーおよびキャリアを含む二成分現像剤が使用される。
また、この現像装置24は、筐体240の収容室内における現像剤が現像により消費されて減るため、補給手段6から現像剤が補給されるようになっている。
【0022】
給紙手段4は、所望のサイズ、種類等からなる用紙9を積み重ねた状態で収容する図示しない収容体41や、その収容体41から用紙9を1枚ずつ像形成手段2における転写部にむけて送り出す送出装置42等を備えている。用紙9は、画像形成装置1内での搬送が可能でかつトナー像の転写および定着が可能な記録媒体であればよい。
【0023】
定着手段5は、用紙9の図示しない導入口および排出口が設けられた筐体(ハウジング)50の内部に、図示しない加熱手段で加熱されつつ回転するロール形態、ベルト-ニップ形態等からなる加熱回転体51と、加熱回転体51に所要の圧力で接して定着ニップを形成するロール形態、ベルト-ニップ形態等からなる加圧回転体52等を備えて構成されている。
【0024】
この画像形成装置1では、画像を形成する動作の要求の指令情報を受けると、まず像形成手段2において電子写真方式等の画像形成方式における公知の工程(帯電、露光、現像および転写の工程)が実行される。
すなわち、像形成手段2においては、帯電、露光および現像の工程を経て感光ドラム21上に画像情報に対応したトナー像が形成され、しかる後、転写の工程にて感光ドラム21上のトナー像が給紙手段4から供給される用紙9の片面に対して転写される。転写後の感光ドラム21は清掃装置26で清掃される。
続いて、像形成手段2で転写されたトナー像を保持する用紙9が定着手段5における定着ニップに導入され、その定着ニップを通過するときに定着処理(加熱および加圧)されることによりトナー像が用紙9に定着させられる。定着手段5での定着が終了した用紙9は、例えば筐体10の外部に設けられる排出収容部12に搬送されて収容される。
以上により、画像形成装置1による用紙9の片面に対する画像形成の動作が終了する。
【0025】
次に、補給手段6は、
図1や
図2に示されるように、補給する現像剤を収容する粉体容器の一例である現像剤容器7と、現像剤容器7にある現像剤を現像装置24に対して所要の時期にかつ所要の量で補給するよう送り出す補給駆動装置61と、補給駆動装置61から送り出される現像剤を現像装置24まで搬送する搬送管69とで構成されている。
【0026】
補給駆動装置61は、装置本体でもあるハウジング62と、ハウジング62の片側に一体になるよう配置されて現像剤容器7を保持する容器保持部67等で構成されている。
また補給駆動装置61は、
図2又は
図3に示されるように、現像剤容器7に装着されている記憶媒体706との電気的な接続を行うためのコネクタ部65が設けられている。コネクタ部65は、ケーブルハーネス651を介して制御手段15に接続されている。
【0027】
ハウジング62は、その内部に、現像剤容器7から排出される現像剤を一時的に収容するとともに必要な量を搬送管69にむけて送り出す図示しない収容搬送部621と、その収容搬送部621に収容された現像剤を搬送管69にむけて送り出すよう駆動する送出部材622、回転動力を発生して伝達する回転駆動装置63等が配置されている。
またハウジング62には、回転駆動装置63の動力源になる電動モータ631が取り付けられている。この電動モータ631の回転動力は、ギヤ列等の駆動伝達機構632を介して、ハウジング62内にある送出部材622や、容器保持部67に保持される現像剤容器7の搬送手段(73)に伝達される。
さらにハウジング62は、
図3又は
図5に示されるように、容器保持部67と向き合う側面部分に、現像剤容器7における連結手段(77)を通過させる開口孔625が設けられている。また、その開口孔625を通過した奥側の内部には、連結手段(77)と連結して回転動力を伝達するカップリング等の連結部材633が配置されている。
【0028】
容器保持部67は、
図2や
図3に示されるように、現像剤容器7の長手方向に沿って下部側の部分を保持する構造で形成されている。また、容器保持部67は、
図5に示されるように、ハウジング62と対向する端部に、現像剤容器7の排出口から排出される現像剤をハウジング62の収容搬送部に送る接続通路671が設けられている。さらに、容器保持部67の底部の奥側の位置には、
図3に示されるように、現像剤容器7の後述する排出口(702)から排出される現像剤を通過させて接続通路671に落下させて受け渡すための現像剤受け孔672が設けられている。
【0029】
搬送管69は、
図1に示されるように、補給駆動装置61と現像装置24との間を接続するよう配置されている。搬送管69は、補給駆動装置61から送り出される現像剤を自然落下させて搬送する方式の搬送管か、あるいは現像剤を駆動する搬送手段により搬送する方式の搬送管で構成されている。
【0030】
<現像剤容器>
現像剤容器7は、画像形成装置1の筐体10の図示しない装着部に着脱可能に装着されて使用される。ちなみに補給駆動装置61における容器保持部67は、現像剤容器7が装着される装着部の一部を構成するようになっている。
【0031】
現像剤容器7は、
図2から
図4等に示されるように、補給用の現像剤8が収容される容器本体70と、容器本体70の装着時の奥側になる端部に取り付けられる奥側の端部構造体71と、容器本体70の装着時の手前側になる端部に取り付けられる手前側の端部構造体72と、容器本体70内に収容されている現像剤8を一方向(排出口がある端部側)に搬送する搬送手段73と、奥側の端部構造体71の端面部において搬送手段73を回転可能に支持する支持手段の一例である支持部76とで主に構成されている。
補給用の現像剤8は、トナーのみか又はキャリアを少量含むトナーになる。また
図2等における符号E1で示す矢印は現像剤容器7を装着するときの移動方向である押し込む方向を示し、符号E2で示す矢印は現像剤容器7を取り外すときの移動方向である引き抜く方向を示している。
【0032】
容器本体70は、
図4、
図5等に示されるように、補給用の現像剤8が収容される円筒状の収容空間701と現像剤8を排出する排出口702を有する形状の容器になっている。実施の形態1における容器本体70は、その奥側の端部が、排出口702と、排出口702を現像剤容器7の着脱時において開閉する開閉シャッタ78aとを設けてなる排出構造部705として構成されている。排出口702は、現像剤容器7の使用時に下部になる部位に設けられている。
図4中の符号78bは、排出口702と開閉シャッタ78aの間から現像剤が漏れることを防止するシール部材を示し、排出口702に貼り付けて設けられている。
【0033】
奥側の端部構造体71は、容器本体70の奥側になる端部の開口を塞ぐとともに、その端面部において搬送手段73の回転軸を支持する支持部76を有する構造になっている。
図4等における符号703は、容器本体70の奥側になる端部の開口内に嵌め入れられてその端部の開口を封止するとともに容器本体70の奥側の端部と奥側の端部構造体71との取り付け時の接合部から現像剤が漏れることを防止する封止部材である。
手前側の端部構造体72は、容器本体70の手前側になる端部を保護するとともに、現像剤容器7の着脱作業時に手で持つための取っ手としての機能を有する構造になっている。
【0034】
搬送手段73は、
図4、
図5等に示されるように、収容空間701内の長手方向Cに沿
って存在するよう配置される回転軸74と、この回転軸74に設けられて収容空間701
の内壁701aに接近して通過するよう移動する搬送羽75とで構成されている。
この搬送手段73は、容器本体70の収容空間701内に収容されている現像剤8を、回転軸74を中心にして現像剤8の搬送時の回転方向に正回転(pR)する搬送羽75により排出口702のある奥側の端部にむけて搬送する。
【0035】
実施の形態1における搬送手段73の搬送羽75は、
図4、
図5、
図7等に示されるように、回転軸74の外周面から正反対の放射方向に延びて収容空間701の内壁701aに接近する位置まで直線状に延びる第1支柱部751および第2支柱部752と、その第1支柱部751および第2支柱部752の各先端部から円筒状の収容空間701における円形断面の約半周分になる領域を螺旋状に曲がって延びる第1搬送羽部753および第2搬送羽部754と、排出口702に接近して通過する第3搬送羽部755とで構成されている。
【0036】
第1支柱部751および第2支柱部752は、直線状に延びる細長い板状の形状からなる部位であり、軸方向Dに所定の間隔をあけて存在するように設けられている。
第1搬送羽部753および第2搬送羽部754は、例えば、螺旋状に曲がって延びる断面が長方形の平板の形状からなる搬送部となる部位である。この第1搬送羽部753および第2搬送羽部754は、第1支柱部751および第2支柱部752の各先端部からそれぞれ収容空間701の円筒状の内壁701aに沿う状態でかつ軸方向Dにおいて最初に存在する隣の第1支柱部751又は第2支柱部752を少し超える程度の位置に至るまで螺旋状に曲がって延びる状態で設けられている。つまり、第1搬送羽部753および第2搬送羽部754は、個々に不連続の状態になっているとともにお互いにも不連続の状態になっている。また、第1搬送羽部753と第2搬送羽部754は、
図5に示されるように、互いに隣り合うところでは(後述する完全な不連続の状態になる部分を除く)軸方向Dにおいて一部重複する状態にもなっている。
第3搬送羽部755は、回転軸74の排出口702を中心にして向き合う部分から収容空間701の内壁701aに接近する位置まで同じ方向に隣り合ってほぼ直線状に延びる2本の支柱部755a,755bと、その支柱部755a,755bの先端部を軸方向Dと平行するように直線状に延びる細長い板状の形状からなる搬送部755cとを有する形状で設けられている。
【0037】
このような搬送羽75が線材のような部材で構成される搬送手段73は、アジテータとも称される。また、この搬送手段73は、例えばポリアセタール等の合成樹脂等で製作されるものであり、その搬送羽75が外力を受けたときに回転軸74や搬送羽75が少し弾性変形して撓むような物性を有している。
【0038】
奥側の端部構造体71における支持部76は、
図5等に示されるように、端部構造体71における円形の端面部の中心部に支持孔762を設けた円板状の部材として構成されている。この支持部76は、搬送手段73の回転軸74の一端部74bを回転可能に片持ちの状態で支持している。このときの回転軸74の一端部74bは、排出口702に近い側の端部であり、後述する連結手段77との接続を行う部分である。また、回転軸74の一端部74bは、実施の形態1では、後述する連結手段77を介して支持部76の支持孔762に回転可能な状態で支持されている。さらに、回転軸74の一端部74bは、実施の形態1では、封止部材703の中心部に設けられた通し孔を通して位置決めされ、後述する連結手段77と接続されるように取り付けられている。
【0039】
また支持部76は、搬送手段73の回転軸74に伝達するための外部からの回転動力を連結して受ける連結手段77を有している。
連結手段77は、
図5等に示されるように、補給駆動装置61における連結部材633と着脱可能に連結されるカップリング等の連結部材で構成されている。この連結手段77は、連結部材633と連結される端部とは反対側の端部が、搬送手段73における回転軸74の一端部74bと軸方向Dに対してわずかな隙間(ガタ)を有した接合状態で接続されている。また連結手段77は、現像剤容器7の装着時に上記連結部材633との連結を実現させるため、奥側の端部構造体71において外部に露出させた状態で配置されている。
図4における符号771は、支持部76の支持孔762と連結手段77との間から現像剤が現像剤容器7の外側に漏れ出ることを防止するシール部材である。
【0040】
そして、この現像剤容器7は、
図5から
図7等に示されるように、容器本体70の収容空間701の内壁701aから内側に突出する突起79が設けられており、また、その搬送手段73は、現像剤8の搬送時の回転方向とは逆の方向に逆回転(rR)した場合、搬送羽75が突起79に接触して通過するとともに振動して収容空間701の内壁701aに触れるよう構成されている。
【0041】
このうち突起79は、搬送手段73の搬送羽75に振動を発生させる要因になる部位である。この突起79は、現像剤容器7の使用時に収容空間701に収容される現像剤8の剤面(収容されている状態のときの上面:収容面)よりも重力方向上側になる内壁701aの部分に設けられている。実施の形態1における突起79は、現像剤容器7を画像形成装置1の装着部に装着したときに内壁701aのほぼ最上位になる部分に設けられている。
【0042】
また、突起79は、搬送手段73が逆回転したときに搬送羽75の一部が接触して、その移動を一時的に停止させるような作用を及ぼすような形状や大きさで形成されている。つまり、突起79は、搬送手段73が逆回転したときに搬送羽75の一部が接触して通過した際に、少なくとも搬送羽75が振動して搬送羽75の一部が収容空間701の内壁701aに触れるようになる作用を及ぼすことができる形状や大きさで形成されていればよい。
【0043】
さらに、突起79は、
図5に示されるように、搬送手段73(の回転軸74)が支持部76により片持ちの状態で支持されているので、収容空間701の長手方向Cで支持部76から離れた側になる領域内に設けている。実施の形態1における突起79は、搬送羽75のうち排出口702から最も離れた位置にある第1搬送羽部753Aと、その隣り合う第2搬送羽部754の第2支柱部752との間になる部位に設けられている。
【0044】
一方、搬送手段73は、
図5に示されるように、搬送羽75が回転軸74の軸方向Dにおける少なくとも1箇所で軸方向Dに間隔Lをあけて不連続になる形状で構成されている。実施の形態1における搬送手段73は、搬送羽75のうち排出口702から最も離れた位置にある第1搬送羽部753Aの先端部753Aeと、その隣り合う第2搬送羽部754の第2支柱部752との間になる1箇所を、軸方向Dにおいても互いに重複しない完全な不連続の状態にしている。この完全な不連続にする部分の間隔Lは、搬送手段73が停止しているときおよび正回転(pR)するときに、搬送手段73における搬送羽75が接触しないで通過するために必要な寸法である。
【0045】
このときの搬送手段73は、正回転(pR)したときに搬送羽75の完全な不連続になる部分である第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79に接触せずに通過する状態になり(
図5)、また逆回転(rR)したときに搬送羽75の完全な不連続になる部分である第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79に接触して通過するよう変位した状態になるよう構成されている(
図6)。
【0046】
実施の形態1における搬送手段73は、その回転軸74の一端部74bが上述したように連結手段77との接合部分で軸方向Dに対してわずかな隙間(ガタ)を有した状態になっていることにより、外力を受けると連結手段77の側に変位(移動)し得るようになっている。
詳しくは、例えば、回転軸74の一端部74bは、連結手段77と接続する側の部分が中空構造であるとともに、その中空の内壁面に軸方向Dに沿う爪(突条)が設けられた構造になっている。一方、連結手段77は、その回転軸74と接続する側の部分が一端部74bの中空内に差し込まれる軸部として形成されているとともに、その軸部の周面に上記爪が嵌め入れられる軸方向Dに沿って所要の長さで延びる溝部が設けられた構造になっている。これにより、搬送手段73は、回転軸74の一端部74bにおける中空内に連結手段77の軸部が差し込まれて上記爪が上記溝部に嵌め入れられることで両者が周方向(回転方向)に対して固定された状態になる一方で、上記爪が上記溝部において軸方向Dに少し移動し得る状態になっている。この結果、搬送手段73は、回転軸74の一端部74bが連結手段77との接合部分において軸方向Dに少し変位し得るようになっている。
このため、この搬送手段73は、
図6に例示されるように、逆回転(rR)したときに、搬送羽75が現像剤8を正規の搬送方向Jとは逆の方向RJに搬送する際に発生する現像剤8からの反力F2を受けることで回転軸74と一体になって排出口702のある奥側にむけて変位するようになっている。この際、連結手段77は特に変位しない。
【0047】
<画像形成装置の現像剤容器に関する構成>
また、画像形成装置1は、
図5、
図6、
図8(A)等に示されるように、補給手段6における補給駆動装置61の回転駆動手段の一例である回転駆動装置63が現像剤容器7の搬送手段73を正回転(pR)させることと逆回転(rR)させることを切り替えて行うことが可能な構成になっており、また、その回転駆動装置63により現像剤容器7の搬送手段73を逆回転させる動作を行う時期を有するように構成されている。
【0048】
実施の形態1に係る画像形成装置1では、
図8(A)に示されるように、制御手段15により補給駆動装置61の動作を制御しており、具体的には制御手段15により補給駆動装置61における回転駆動装置63の動力源である電動モータ631の回転量や回転方向を制御している。制御手段15は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、記憶手段に格納した制御プログラムやデータ等に基づいて動作するようになっている。
【0049】
また、この画像形成装置1は、
図8(A)に示されるように、現像装置24内における現像剤のトナー濃度等の状態を測定して現像剤の補給量を予測する補給予測手段16と、現像剤容器7に収容されている現像剤8の残量を予測する残量予測手段17を備えている。
補給予測手段16は、現像装置24の筐体240の収容室内における現像剤のトナー濃度をトナー濃度センサ等の計測手段で測定し、その測定した情報から現像剤の補給量を予測して算出するものである。残量予測手段17は、例えば、現像剤容器7の初期の収容量の情報と補給予測手段16で補給した現像剤の積算量とから予測するものである。補給予測手段16と残量予測手段17は、制御手段15に接続されており、それぞれで予測した情報を制御手段15に送信するようになっている。
【0050】
さらに、この画像形成装置1は、補給予測手段16の予測した現像剤の補給量が予め定めた現像剤の補給量以上になったときに補給すべき時期に達したとみなして、制御手段15が補給駆動装置61を所要の時間だけ駆動させるよう制御するようになっている(
図8(B))。また、この画像形成装置1は、残量予測手段17が現像剤8の残量が予め定める閾値以下になったときに、制御手段15が補給駆動装置61の回転駆動装置63を逆回転させる動作を所要の量だけ実行するようになっている(
図8(B))。
現像剤8の残量の閾値については、現像剤8の残量が現像剤容器7の初期の収容量に対して50%以下の値に設定され、より好ましくは現像剤8の残量が30%以上かつ50%以下の範囲の値に設定される。
【0051】
<現像剤容器の装着および動作>
そして、このような補給手段6では、
図2に示されるように、現像剤容器7が装着されて容器保持部67に保持されると、現像剤容器7の連結手段77が補給駆動装置61における回転駆動装置63の連結部材633と結合した状態になる。
これにより、現像剤容器7における搬送手段73は、補給駆動装置61の回転駆動装置63からの回転動力を受けて駆動可能な状態になる。
【0052】
また、現像剤容器7が装着された画像形成装置1においては、補給手段6が以下のように作動する。
【0053】
まず補給手段6では、
図8(B)に示されるように、制御手段15が補給予測手段16から入力される情報から補給時期が到来したものと判断すると(ステップ10:S10)、補給動作が実行される(S11)。
【0054】
このときの補給動作は、補給駆動装置61における回転駆動装置63の電動モータ631が所要の時間だけ正回転(pR)し、その回転動力が駆動伝達機構632を介して送出部材622に伝達されることで、その送出部材622が駆動してハウジング62の収容搬送部621内にある現像剤8を搬送管69にむけて所要の量だけ送り出すことで行われる。これにより、現像剤容器7内にある現像剤8は、搬送管69を通して現像装置24の筐体240の収容室に送られて補充される。収容搬送部621内にある現像剤8は、現像剤容器7を初めて装着すると、初期動作として、現像剤容器7内の現像剤8を所要の量だけ収容搬送部621に排出する動作が行われることで充填されるようになっている。
【0055】
またこの際、補給手段6では、補給駆動装置61における電動モータ631が所要の時間だけ正回転(pR)すると、その回転動力が駆動伝達機構632、連結部材633および連結手段77を介して現像剤容器7の搬送手段73の回転軸74に伝達され、その搬送手段73が正回転(pR)する。
これにより、現像剤容器7では、
図5に示されるように、収容空間701内にある現像剤8が正回転(pR)する搬送手段73により排出口702にむけて矢印Jで示す方向に搬送され、その排出口702からハウジング62の収容搬送部621内に排出されて充填される。
【0056】
ちなみに、このとき搬送手段73は、
図5に示されるように、完全な不連続になった部分が突起79を通過して、その完全な不連続になる部分の方側に存在する第1搬送羽部753Aが突起79に接触することなく回転するので、現像剤8を排出口702にむけて搬送する動作時に搬送手段73の搬送羽75が突起79に接触して通過することに起因した異音や現像剤8の凝集が発生することがない。
また、このとき搬送手段73は、搬送される現像剤8から矢印F1で示す方向の反力を受けるが、実施の形態1では回転軸74の一端部74bにおける接続部分の中空内にある上記爪が連結手段77の軸部における上記溝部の先端側の端部に接触してそれ以上の移動が規制されるので矢印F1で示す方向に変位することもない。
【0057】
続いて、補給手段6では、
図8(B)に示されるように、制御手段15が上記の補給動作が終了したと判断すると(S12)、残量予測手段17で予測する現像剤容器7内の現像剤8の残量が閾値以下になったか否かが判断される(S13)。このときの閾値は、例えば40%に設定されている。
【0058】
このステップ13において、現像剤容器7内の現像剤8の残量が閾値以下になっていないと判断されると、現像剤容器7内の現像剤8が充分にあるとみなして補給手段6の動作は終了する。
一方、現像剤容器7内の現像剤8の残量が閾値以下になったと判断されると、画像形成動作が終了しているか否かが判断される(S14)。これにより、逆回転の動作を画像形成の動作中である時期に行わないようにしている。このときの画像形成動作は、現像装置24が粉体の一例である現像剤を使用する動作を含むものである。
【0059】
そしてステップ14において、画像形成動作が終了していると判断されると、逆回転の動作が実行される(S15)。
【0060】
このときの逆回転の動作は、補給駆動装置61における回転駆動装置63の電動モータ631が所要の時間だけ逆回転(rR)し、その回転動力が駆動伝達機構632、連結部材633および連結手段77を介して現像剤容器7の搬送手段73の回転軸74に伝達され、その搬送手段73が逆回転(rR)する。実施の形態1では、搬送手段73が収容空間701内で2,3回転するよう逆回転(rR)させるようにしている。
【0061】
これにより、現像剤容器7では、
図6に示されるように、収容空間701内にある現像剤8が逆回転(rR)する搬送手段73により排出口702から離れる矢印RJで示す方向に一時的に搬送されるようになる。しかも、その搬送手段73(の搬送羽75)は、その搬送される現像剤8から矢印F2で示す方向の反力を受けるので、搬送手段73における回転軸74の一端部74bの上記した変位可能な構造と相俟って、搬送手段73の回転軸74が反力F2の方向に変位させられる。
この結果、現像剤容器7では、
図6や
図7に示されるように、搬送手段73の排出口702から最も離れた位置にある第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79に接触して通過するようになる。
【0062】
またこの際、現像剤容器7では、搬送手段73の第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79に接触した際に移動が一時的に阻止された状態(引っ掛かるような状態)になる。このため、片持ちの状態で支持されている回転軸74の固定されていない側の端部74cを含む部分が、第1搬送羽部753Aの上記状態の影響を受けて一時的に撓むよう弾性変形する。しかも、その変形した回転軸74の部分は、第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79を乗り越えて通過したところで復元するように動く。
この結果、現像剤容器7では、
図7に例示されるように、その回転軸74をはじめてとして搬送羽75を含む搬送手段73が収容空間701内で例えば両矢印Vbで示すような方向に往復移動するよう振動する。また、このときの搬送手段73は、第1搬送羽部753Aをはじめとする搬送羽75の一部又は全部が収容空間701の内壁701aに衝突するように触れながら振動する。
【0063】
したがって、この現像剤容器7では、逆回転の動作が行われると、搬送手段73が容器本体70に振動を与えて容器本体70を振動させるので、搬送手段73で掻き落とすことができず収容空間701の内壁701aに付着している現像剤8xが内壁701aから剥落する。このため、現像剤容器7においては、逆回転の動作が行われることで容器の内壁701aに付着している現像剤8xが落下させられて減るので、現像剤容器7の交換時における現像剤8の残量も減るようになる。
【0064】
また、この画像形成装置1においては、逆回転の動作を現像剤容器7内の現像剤8の残量が40%以下になった時点で行うので、
図6や
図7に示されるように、現像剤8の残量が少なくなった状態のなかで搬送手段73を効率よく振動させて容器本体70も確実に振動させることが可能になり、その結果、現像剤容器7の内壁701aに付着している現像剤8xが適確に落下させられる。また、この画像形成装置1では、現像剤容器7の内壁701aに付着している現像剤8xを落下させて残量を減らせることにより、その現像剤容器7における残量を実施の形態1のように減らせない場合に比べると、その残量が減る分だけ画像を形成する枚数、頁数等の数量が増える。
【0065】
さらに、この画像形成装置1においては、逆回転の動作を搬送手段73が収容空間701内で2,3回転する程度で行っているので、逆回転の動作時に補給駆動装置61の回転駆動装置63から回転動力を受けて駆動している送出部材622等の他の部材が本来必要のない逆方向に必要以上に多く回転させられることで補給手段6による現像剤8の補給動作に支障をきたすおそれもない。
なお、この逆回転の動作は、搬送手段73が収容空間701内で1回転させるように設定した場合でも、搬送手段73が突起79に接触して通過した際に充分に振動して容器本体70をも充分に振動させることが可能であれば、現像剤容器7の内壁701aに付着している現像剤8xが落下するようになる。
【0066】
[実施の形態2]
図9および
図10は、実施の形態2に係る現像剤容器7Bの一部を示すものである。
実施の形態2に係る現像剤容器7Bは、突起79に代えて以下の異なる構成からなる突起79Bを適用し、また搬送手段73に代えて搬送羽75の一部(第2)を正回転(pR)のときにも突起79Bに接触させるよう構成した搬送手段73Bを適用して変更した以外は実施の形態1に係る現像剤容器7と同じ構成からなるものである。
【0067】
まず、現像剤容器7Bにおける搬送手段73Bは、
図9に示されるように、搬送羽75の第1搬送羽部753Aの先端部753Aeを突起79Bに接触させるように、螺旋状に曲げるときの角度や長さを変更しているが、それ以外については実施の形態1における搬送手段73と同じ構成になっている。この搬送手段73Bにおける搬送羽75は、第1搬送羽部753Aとその隣り合う第2搬送羽部754の間において完全な不連続の形状になっている。
【0068】
次に、現像剤容器7Bにおける突起79Bは、
図10(B)に拡大して示されるように、搬送手段73Bが正回転(pR)したときに搬送羽75における第1搬送羽部753Aの先端部753Aeを接触させて通過させた際にその搬送羽75を収容空間701の内壁701aに触れない状態に保つ緩斜面部791と、搬送手段73Bが逆回転(rR)したときに搬送羽75における第1搬送羽部753Aの先端部753Aeを接触させて通過させた際に収容空間701の内壁701aに触れるよう振動させる振動誘発面部793とを有する形状で構成されている。
【0069】
突起79Bにおける緩斜面部791は、その斜面が搬送手段73Bの正回転(pR)する方向の下流側に移動するにつれて少しずつ収容空間701の内側にずれるような面である。緩斜面部791の斜面は、正回転(pR)するときの搬送羽75の第1搬送羽部753Aが緩斜面部791に接触して通過した際に収容空間701の内壁701aに触れない状態に保たれるものであればよく、例えば、その収容空間701の内壁701aに対する傾斜角αが20°~45°の範囲内の値になるような斜面である。
【0070】
また、突起79Bにおける振動誘発面部793は、逆回転(rR)するときの搬送手段73Bにおける搬送羽75の第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが接触して通過する際にその第1搬送羽部753A等を大きく振動させることができるような面である。振動誘発面部793は、例えば、収容空間701の内壁701aに対してほぼ直角に垂下する鉛直面などで構成される。振動誘発面部793は、逆回転(rR)するときの搬送手段73Bにおける搬送羽75の第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが接触した際、その移動を一時的に阻止した状態にすることができる面であれば、他の形状の面で構成されていてもよい。
【0071】
実施の形態2における突起79Bは、
図10に示されるように、容器本体70の長手方向と直交する方向の面で切断したときの断面がほぼ直角三角形の形状からなる突起として構成されている。
また、現像剤容器7Bは、この突起79Bを設ける場合、搬送手段73Bを逆回転(rR)させるときに搬送手段73Bが変位するように構成する必要がない。また、実施の形態2では、例えば、搬送手段73Bについて搬送羽75の第1搬送羽部753Aの途中の部分を突起79Bに接触させるように構成した場合は、搬送手段73Bを完全な不連続になる形状にする必要性がなくなる。
【0072】
そして、この現像剤容器7Bは、
図9に示されるように、画像形成装置1の装着部に装着された後に補給手段6において搬送手段73Bが正回転(pR)されて補給動作が行われると、その搬送手段73Bにおける搬送羽75の第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79Bに接触して通過する。
この際、搬送手段73Bは、
図10(B)に示されるように、第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79Bの緩斜面部791に接触して通過するように移動するので、その移動が一時的に阻止される状態にされることが殆どなく、また、その通過後に回転軸74が大きく弾性変形させられることがなく、その結果として大きく振動することがない。
【0073】
このため、現像剤容器7Bでは、搬送手段73Bが正回転(pR)する場合、その搬送手段73Bにおける搬送羽75の第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79Bに接触して通過した際に、収容空間701の内壁701aに触れるように振動することがなく、その内壁701aに触れない状態に保たれて移動する。
【0074】
一方、この現像剤容器7Bは、補給手段6において搬送手段73Bが逆回転(rR)されて逆回転の動作が行われると、その搬送手段73Bにおける搬送羽75の第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが正回転(pR)のときとは逆の方向から突起79Bに接触して通過する。
この際、搬送手段73Bは、
図10(B)に示されるように、第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79Bの振動誘発面部793に接触して通過するように移動するので、その移動が一時的に阻止される状態にされ、また、その通過後に回転軸74の固定されていない端部74cを含む部分が第1搬送羽部753Aの一時的な移動阻止の影響を受けて弾性変形させられる。
【0075】
この結果、搬送手段73Bは、
図10(A)に示されるように、回転軸74の弾性変形した部分の復元等の動きと連動して収容空間701内で例えば両矢印Vbで示すような方向に往復移動するよう振動する。また、このときの搬送手段73Bは、第1搬送羽部753Aをはじめとする搬送羽75の一部又は全部が収容空間701の内壁701aに衝突するように触れながら振動する。
【0076】
したがって、この現像剤容器7Bにおいても、逆回転の動作が行われると、搬送手段73Bが容器本体70に振動を与えて容器本体70を振動させるので、実施の形態1に係る現像剤容器7の場合とほぼ同様に、搬送手段73Bで掻き落とすことができず収容空間701の内壁701aに付着している現像剤8xが内壁701aから剥落する。このため、現像剤容器7Bにおいても、逆回転の動作が行われることで容器の内壁701aに付着している現像剤8xが落下させられて減るので、現像剤容器7Bの交換時における現像剤8の残量も減るようになる。
【0077】
[実施の形態3]
図11は、実施の形態3に係る現像剤容器7Cの一部を示すものである。
実施の形態3に係る現像剤容器7Cは、突起79Bに代えて実施の形態1における突起79を適用し、また搬送手段73Bに代えて搬送羽75の一部を異なる構成にした搬送手段73Cを適用した以外は実施の形態2に係る現像剤容器7Bと同じ構成からなるものである。
【0078】
現像剤容器7Cにおける搬送手段73Cは、
図12(B)に示されるように、排出口702から最も離れた位置で突起79に接触させる第1搬送羽部753Bについて、搬送手段73Cが正回転(pR)したとき突起79に接触して通過した際に収容空間701の内壁701aに触れない状態に保たれる緩斜面部756と、搬送手段73Cが逆回転(rR)したときに突起79に接触して通過した際に収容空間701の内壁701aに触れるよう振動する振動誘発面部758とを有する形状からなる部分(先端部753Be)を備えるよう構成されている。つまり、この搬送手段73Cは、第1搬送羽部753Bの構成が上記のように一部異なっている以外は実施の形態2における搬送手段73Bと同じ構成になっている。
【0079】
搬送手段73Cにおける第1搬送羽部753Bの緩斜面部756は、第1搬送羽部753Bの先端部753Beにおいて、その斜面が搬送手段73Cの正回転(pR)する方向の上流側に移動するにつれて少しずつ収容空間701の内壁701aに近づくようになる面である。緩斜面部756の斜面は、正回転(pR)するときに突起79に接触して通過した際に収容空間701の内壁701aに触れない状態に保たれるものであればよく、例えば、その第1搬送羽部753Bの先端部753Beに近い外表面に対する傾斜βが30°~60°の範囲内の値になるような斜面である。
【0080】
また、搬送手段73Cにおける第1搬送羽部753Bの振動誘発面部758は、逆回転(rR)するときに突起79に接触して通過する際にその第1搬送羽部753B等を大きく振動させることができるような面である。振動誘発面部758は、例えば、第1搬送羽部753Bの先端部753Beに近い外表面に対してほぼ直角に交わる鉛直端面などで構成される。振動誘発面部758は、逆回転(rR)するときの搬送手段73Cにおける第1搬送羽部753Bの先端部753Beが突起79に接触した際、その移動を一時的に阻止した状態にすることができる面であれば、他の形状の面で構成されていてもよい。
【0081】
実施の形態3における搬送手段73Cの第1搬送羽部753Bの先端部753Beは、
図12(B)に示されるように、容器本体70の内壁701aに近い部分が斜面からなる先細りの形状からなる先端部として構成されている。
また、現像剤容器7Cは、この搬送手段73Cを適用する場合、搬送手段73Cを逆回転(rR)させるときに搬送手段73Cが変位するように構成する必要がない。また、実施の形態3でも、例えば、搬送手段73Cについて搬送羽75の第1搬送羽部753Bの途中の部分を緩斜面部756と振動誘発面部758を有する形状に構成した場合は、搬送手段73Cを完全な不連続になる形状にする必要性がなくなる。
【0082】
そして、この現像剤容器7Cは、
図11に示されるように、画像形成装置1の装着部に装着された後に補給手段6において搬送手段73Cが正回転(pR)されて補給動作が行われると、その搬送手段73Cにおける搬送羽75の第1搬送羽部753Bの先端部753Beが突起79に接触して通過する。
この際、搬送手段73Cは、
図12(B)に示されるように、第1搬送羽部753Bの先端部753Beにおける緩斜面部756が最終的に突起79に接触して通過するように移動するので、その第1搬送羽部753Bの移動が一時的に阻止される状態にされることが殆どなく、また、その通過後に回転軸74が大きく弾性変形させられることがなく、その結果として大きく振動することがない。
【0083】
このため、現像剤容器7Cでは、搬送手段73Cが正回転(pR)する場合、その搬送手段73Cにおける第1搬送羽部753Bの先端部753Beが突起79に接触して通過した際に、収容空間701の内壁701aに触れるように振動することがなく、その内壁701aに触れない状態に保たれて移動する。
【0084】
一方、この現像剤容器7Cは、補給手段6において搬送手段73Cが逆回転(rR)されて逆回転の動作が行われると、その搬送手段73Cにおける搬送羽75の第1搬送羽部753Bの先端部753Beが正回転(pR)のときとは逆の方向から突起79に接触して通過する。
この際、搬送手段73Cは、
図12(B)に示されるように、第1搬送羽部753Bの先端部753Beにおける振動誘発面部758が突起79に衝突するよう接触した後に通過するよう移動するので、その第1搬送羽部753Bの移動が一時的に阻止される状態にされ、また、その通過後に回転軸74の固定されていない端部74cを含む部分が第1搬送羽部753Bの一時的な移動阻止の影響を受けて弾性変形させられる。
【0085】
この結果、搬送手段73Cは、
図12(A)に示されるように、回転軸74の弾性変形した部分の復元等の動きと連動して収容空間701内で例えば両矢印Vbで示すような方向に往復移動するよう振動する。また、このときの搬送手段73Cは、第1搬送羽部753Bをはじめとする搬送羽75の一部又は全部が収容空間701の内壁701aに衝突するように触れながら振動する。
【0086】
したがって、この現像剤容器7Cにおいても、逆回転の動作が行われると、搬送手段73Cが容器本体70に振動を与えて容器本体70を振動させるので、実施の形態2に係る現像剤容器7Bの場合とほぼ同様に、搬送手段73Cで掻き落とすことができず収容空間701の内壁701aに付着している現像剤8xが内壁701aから剥落する。このため、現像剤容器7Cにおいても、逆回転の動作が行われることで容器の内壁701aに付着している現像剤8xが落下させられて減るので、現像剤容器7Cの交換時における現像剤8の残量も減るようになる。
【0087】
[変形例]
この発明は、実施の形態1~3で例示した内容に何ら限定されるものではなく、各請求項に記載した各発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することが可能である。このため、この発明は以下に例示するような変形例も含むものである。
【0088】
実施の形態1~3に係る現像剤容器7,7B,7Cでは、1つの突起79,79Bを設ける構成例を示したが、複数(好ましくは2~4)の突起79を設けるように構成してもよい。実施の形態1に係る現像剤容器7において複数の突起79を設ける場合は、搬送手段73の完全な不連続になる部分を突起79の数と同じだけ形成するとよい。
【0089】
実施の形態1~3に係る現像剤容器7,7B,7Cでは、搬送手段73,73B,73Cの回転軸74を片持ちの状態で支持する構成例を示したが、その回転軸74の両端部を支持する両持ちの状態で支持するように構成してもよい。この場合、突起79,79Bは、例えば容器本体70の長手方向Cの中央寄りの部位に設けるとよい。
【0090】
また、実施の形態1~3では、現像剤容器7,7B,7Cにおける搬送手段73,73B,73Cを逆回転させて搬送羽75を突起79,79Bにそれぞれ接触させて通過させた際に回転軸74が弾性変形することをきっかけにして搬送羽75を含む搬送手段73が振動して容器本体70を振動させている。
しかし、この実施の形態1~3では、いずれの現像剤容器7,7B,7Cでも回転軸74が片持ちの状態で支持されているとともに連結手段77を介して片側から回転動力を受けているので、逆回転の動作を行ったときに連結手段77や回転駆動装置63の駆動伝達機構632において負荷が上昇することで歯飛びが発生することもあり得る。
このため、このような歯飛びが発生し得る現像剤容器7,7B,7Cでは、その歯飛びが原因で搬送手段73,73B,73Cが振動させられ、ひいては容器本体70が振動させられることもある。
この場合も、容器本体70が振動することにより、現像剤容器7,7B,7Cの各内壁に付着する現像剤8xが落下してその各交換時における現像剤8の残量も減るようになる。
【0091】
また、実施の形態1では、搬送手段73が軸方向Dに少し変位し得る構造として、例えば、その回転軸74の一端部74bと連結手段77との間が軸方向Dへの変位がなくほぼ一体に接続された構造であるが、搬送手段73を逆回転させる動作のときに連結手段77が補給駆動装置61における連結部材633の側に変位し得る構造を採用してもよい。
この場合、例えば、連結部材633を連結手段77と噛み合うようにバネ等の弾性部材により連結手段77側に押し付ける構造にするとともに、逆回転のときには弾性部材の押圧力(バネ圧等)に打ち勝って連結手段77が連結部材633と噛み合った状態のままで現像剤8からの上記反力F2により軸方向Dに沿って連結部材633の側に変位する構造にすればよい。また、この場合、連結手段77は、正回転される動作のときに搬送手段73が現像剤8からの上記反力F1(
図5)を受けても、その支持されていない側の回転軸74の端部74c等が手前側の端部構造体72の端面部に接触させた状態に配置してその反力F1の方向(
図5)に変位しないように構成すればよい。
【0092】
また、実施の形態1では、補給駆動装置61における回転駆動装置63の駆動伝達機構632等の伝達ギヤとして、はすばギヤを組み入れて構成してもよい。この構成を採用した場合は、現像剤容器7の搬送手段73を逆回転させると、はすばギヤの伝達においてスラスト方向に加わる力の向きが正回転時のときと逆になる。このため、その逆向きの力を連結手段77を介して回転軸74が受けることにより、現像剤容器7の搬送手段73が変位して、第1搬送羽部753Aの先端部753Aeが突起79と接触して通過させることも可能になる。
【0093】
さらに、画像形成装置1においては、現像剤容器7,7B,7Cにおける各搬送手段73,73B,73Cを逆回転(rR)させることを、補給駆動装置61において駆動させる送出部材622等の他の部材とは独立して行うことができるように構成してもよい。このように構成した場合は、搬送手段73,73B,73Cを逆回転させる動作が、補給動作に何ら支障をきたすおそれがなくなるので、例えば、逆回転を4回転以上行うよう構成することも可能になる。
【0094】
この他、この発明の粉体容器の一例である現像剤容器7等を適用する粉体処理装置の一例である画像形成装置は、その現像剤容器7等を適用することが可能な画像形成装置であればよく、その形式、種類、画像形成方式等については特に限定されない。
【0095】
また、この発明の粉体処理装置は、例えば、上記実施の形態1~3における現像剤を塗装用粉体として利用する粉体塗装装置であってもよい。
その粉体塗装装置は、具体的には、例えば以下のように塗装用粉体を利用することで塗装を行うよう構成すればよい。まず、粉体塗装装置は、上記実施の形態1~3における現像装置24を静電粉体塗装法における粉体の使用装置の一例である粉体塗装ヘッドとして利用し、この粉体塗装ヘッドに近接させて導電性のシート状媒体を搬送させる。次に、その粉体塗装ヘッドと導電性のシート状媒体との間にバイアス電圧を供給し、これにより粉体塗布ヘッドから帯電した塗装用粉体(例えば、熱硬化性トナー)をシート状媒体上に塗布する。その後、シート状媒体を加熱することでシート状媒体の表面を塗装する。
そして、この粉体塗装装置では、上記実施の形態1~3における現像剤容器7を塗装用粉体が収容される粉体容器として構成する。また、この粉体塗装装置では、その粉体容器から粉体塗装ヘッドに塗装用粉体を供給するようにする構成や、上記実施の形態1~3のように搬送手段73を動作させる構成や、搬送手段73、突起79、搬送羽75等に関する構成などを同様に採用するようにする。
【0096】
また、この発明の粉体処理装置は、粉体を使用する製造装置等であってもよい。例えば、二次電池の電極体を製造する製造装置である。しかも、この発明の粉体容器は、その製造装置による製造に使用するカーボンブラックなどの粉体を収容する容器として適用してもよい。
さらに、この発明に適用される粉体は、炭素粉体、磁性粉体、金属粉体、薬品用粉体、食品用粉体などであってもよく、その種類については特に限定されない。また、この発明の粉体処理装置は、粉体を処理する装置であれば、製造装置、加工装置、検査装置等であってもよく、装置の形態については特に限定されない。
【符号の説明】
【0097】
1 …画像形成装置(粉体処理装置の一例)
7 …現像剤容器(粉体容器の一例)
8 …現像剤(粉体の一例)
21…感光ドラム(像保持体の一例)
24…現像装置(使用装置の一例)
63…回転駆動装置(回転駆動手段の一例)
70…容器本体
73…搬送手段
74…回転軸
75…搬送羽(搬送羽の一例)
76…端部構造体における支持部(支持手段の一例)
77…連結手段
79…突起
701…収容空間
701a…内壁
702…排出口
756…搬送羽における緩斜面部
758…搬送羽における振動誘発面部
791…突起における緩斜面部
793…突起における振動誘発面部
C …長手方向
D …軸方向
pR…正回転
rR…逆回転