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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240305BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240305BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240305BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G03B21/14 E
G03B21/00 D
G03B17/56 A
H04N5/74 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020045031
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021148812
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】増澤 健太
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-212731(JP,A)
【文献】特開2012-189761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G03B 21/00
G03B 17/56
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から射出された光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置で変調された光を投射する投射光学系と、
前記投射光学系により投射された像に関する情報を取得するセンサーと、
前記光源、前記光変調装置、および前記センサーを収容する筐体と、
前記センサーを片持ち構造で保持するセンサー保持部と、を備え、
前記投射光学系は、
内部にレンズを収容し、前記光変調装置で変調された光が通過する鏡筒を備え、
前記鏡筒は、鏡筒保持部を介して前記筐体に保持され、
前記センサー保持部は、
前記筐体よりも線膨張係数が少ない金属からなる前記センサーを保持する第1センサー保持部材と、
前記筐体よりも線膨張係数が少ない金属からなり、前記第1センサー保持部材を保持する第2センサー保持部材と、を有し、
前記第2センサー保持部材は、前記鏡筒保持部に保持されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
光源と、
前記光源から射出された光を変調する赤色光用光変調装置と、緑光用光変調装置と、青色光用光変調装置と、
前記赤色光用光変調装置と、前記緑光用光変調装置と、前記青色光用光変調装置から変調された光を入射し、合成するクロスダイクロイックプリズムと、
前記赤色光用光変調装置と、前記緑光用光変調装置と、前記青色光用光変調装置で変調された光を前記クロスダイクロイックプリズムで合成した光を投射する投射光学系と、
前記投射光学系によりプロジェクターの外部へ投射された像に関する情報を取得するセンサーと、
前記光源、前記赤色光用光変調装置と、前記緑光用光変調装置と、前記青色光用光変調装置および前記センサーを収容する筐体と、
前記センサーを保持するセンサー保持部と、を備え、
前記投射光学系は、
内部にレンズを収容し、前記赤色光用光変調装置と、前記緑光用光変調装置と、前記青色光用光変調装置で変調された光が通過する鏡筒を備え、
前記鏡筒は、鏡筒保持部を介して前記筐体に保持され、
前記鏡筒保持部に、前記赤色光用光変調装置と、前記緑光用光変調装置と、前記青色光用光変調装置と前記クロスダイクロイックプリズムが保持され、
前記センサー保持部は、前記センサーを保持する第1センサー保持部材と、前記第1センサー保持部材を保持する第2センサー保持部材と、を有し、
前記第2センサー保持部材は、前記クロスダイクロイックプリズムより幅が広い部分で前記クロスダイクロイックプリズムの出射方向の端部の上側覆う形状を有し、前記鏡筒保持部に保持されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
前記センサー保持部は、前記鏡筒保持部と一体化されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記センサー保持部は、
前記鏡筒保持部に接続される第1部分と、
前記センサーが接続される第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを接続する接続部と、を備え、
前記接続部の幅よりも、前記第1部分の幅の方が大きいことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記センサー保持部は、前記センサーが接続されるセンサー取付部を備え、
前記センサー取付部および前記センサーは、前記筐体から離間していることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射光学系を備えたプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、センサーから得られた情報に基づいてスクリーンに投射する画像を調整するプロジェクターが用いられている。特許文献1には、この種のプロジェクターが開示される。特許文献1のプロジェクターは、装置前方に向けて映像を投射する投射光学系と、装置前面に配置されたモニタカメラを備えており、モニタカメラより入力された入力画像を処理して得られた情報に基づいて投射光学系のフォーカス調整、ズーミング調整、および俯仰角調整を行うとともに、投射する映像の台形歪調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-241874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、映像の投射に必要な情報を取得するためのセンサー(例えば、モニタカメラや測距センサー)を備えたプロジェクターでは、映像を投射する投射光学系とセンサーとの間に多くの部品が介在していた。例えば、投射光学系は、プロジェクターの筐体に対して、樹脂製の保持部材を介して取り付けられる一方、センサーは、投射光学系を保持する保持部材とは別個のセンサー用保持部材を介して筐体に取り付けられる。そのため、センサーと投射光学系との間で多くの部品の寸法公差が積み上がり、センサーと投射光学系の相対位置精度が低くなっていた。また、各部品の熱による変形や経年変化による変形が積み上がった場合には、センサーと投射光学系の相対位置精度がさらに低下するおそれがあった。センサーと投射光学系の相対位置精度が低いと、投射する映像の調整を精度良く行うことができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプロジェクターは、光源と、前記光源から射出された光を変調する光変調装置と、前記光変調装置で変調された光を投射する投射光学系と、前記投射光学系により投射された像に関する情報を取得するセンサーと、前記光源、前記光変調装置、および前記センサーを収容する筐体と、前記センサーを保持するセンサー保持部と、を備え、前記投射光学系は、内部にレンズを収容し、前記光変調装置で変調された光が通過する鏡筒を備え、前記鏡筒は、鏡筒保持部を介して前記筐体に保持され、前記センサー保持部は、前記鏡筒保持部に保持されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明を適用したプロジェクターの主要部を示す概略構成図である。
図2】イメージセンサーの保持構造を示す斜視図である。
図3】イメージセンサーの保持構造を示す側面図である。
図4】イメージセンサーの保持構造を示す平面図である。
図5】筐体の前面部およびイメージセンサーの配置を示す部分断面図である。
図6図2図4に示すイメージセンサーの保持構造を模式的に示す説明図である。
図7】イメージセンサーの保持構造の変形例1を模式的に示す説明図である。
図8】イメージセンサーの保持構造の変形例2を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。本明細書において、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、X軸方向の一方側を+X方向、他方側を-X方向とする。また、Y軸方向の一方側を+Y方向、他方側を-Y方向とし、Z軸方向の一方側を+Z方向、他方側を-Z方向とする。
【0008】
(全体構成)
図1は本発明を適用したプロジェクター1の主要部を模式的に示す概略構成図である。図1に示すように、プロジェクター1は、筐体2と、映像光生成装置3と、投射光学系4と、イメージセンサー5を備える。映像光生成装置3、投射光学系4の一部、およびイメージセンサー5は、筐体2に収容される。また、筐体2には、上記に加えて、図示しない制御部、電源装置、ファン等が収容される。プロジェクター1は、映像光生成装置3から出射する映像光を投射光学系4によってスクリーン(図示せず)に拡大投射する。また、投射光学系4により投射された像をイメージセンサー5で撮影し、撮影した画像から得られた情報に基づいて、投射する映像の台形歪を補正する処理を行う。
【0009】
以下、投射光学系4から出射される映像光の光軸方向をLとし、光軸方向Lの一方側と他方側のうち、投射光学系4から光が出射する側(出射側)をL1方向とし、投射光学系4へ光が入射する側(入射側)をL2方向とする。光軸方向LはY軸方向と平行である。+Y方向はL1方向と一致し、-Y方向はL2方向と一致する。また、Z軸方向は、プロジェクター1を通常の設置状態に設置したときに鉛直方向を向く方向である。+Z方向は上側であり、-Z方向は下側である。X軸方向はプロジェクター1の装置幅方向である。
【0010】
(映像光生成装置)
図1に示すように、映像光生成装置3は、光源30および光変調装置31を備える。本実施形態のプロジェクター1は、LCD方式のプロジェクターであり、光変調装置31は液晶パネルである。光変調装置31は、外部から入力される画像情報に基づき、光源30から射出された光を変調する。光源30として、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、あるいはLDやLEDなどの固体光源を用いることができる。
【0011】
本実施形態では、光変調装置31として、赤色光(以下「R光」という)を変調する光変調装置31Rと、緑色光(以下「G光」という))を変調する光変調装置31Gと、青色光(以下「B光」という)を変調する光変調装置31Bを備える。また、映像光生成装置3は、光源30から射出された光をR光、G光、B光の3色の色光に分離して光変調装置31R、31G、31Bに入射させる照明導光光学系32と、光変調装置31R、31G、31Bによって変調されたR光、G光、B光を合成するクロスダイクロイックプリズム39を備える。
【0012】
照明導光光学系32は、均一化光学系33、色分離光学系34、およびリレー光学系35を備える。均一化光学系33は、第1レンズアレイ331、第2レンズアレイ332、偏光変換素子333、および重畳レンズ334を備える。均一化光学系33は、光源30からの光束を光変調装置31である液晶パネル上に重畳させる。色分離光学系34は、2枚のダイクロイックミラー341、342および反射ミラー343を備えており、均一化光学系33から射出された光束をR光、G光、B光に分離する。リレー光学系35は、入射側レンズ351、リレーレンズ353、および反射ミラー352、354を備える。リレー光学系35は、色分離光学系34によって分離されたR光を光変調装置31Rまで導く。
【0013】
光変調装置31R、31G、31Bの入射側および出射側には、それぞれ、入射側偏光板36と射出側偏光板37が配置される。クロスダイクロイックプリズム39において、変調したG光が入射する光入射側端面はL2方向を向いており、変調したR光が入射する光入射側端面は-X方向を向いており、変調したB光が入射する光入射側端面は+X方向を向いている。クロスダイクロイックプリズム39は、光変調装置31R、31Bで変調されたR光およびB光を反射し、光変調装置31Gで変調されたG光を透過して、3色の色光を合成する。クロスダイクロイックプリズム39によって合成されたフルカラーの映像光は、クロスダイクロイックプリズム39からL1方向に出射して投射光学系4に入射する。
【0014】
映像光生成装置3を構成する各光学部品は、樹脂製の光学部品用筐体6に保持され、光学部品用筐体6を介してプロジェクター1の外装ケースである筐体2に保持される。図1に示すように、本実施形態では、光学部品用筐体6に対してL1方向に、光学部品用筐体6とは別体の樹脂部品である鏡筒保持部7が配置される。クロスダイクロイックプリズム39および光変調装置31R、31G、31Bは、鏡筒保持部7に保持され、鏡筒保持部7を介して光学部品用筐体6に保持される。
【0015】
なお、本実施形態の映像光生成装置3は、光変調装置31として透過型の液晶パネルを用いているが、他の方式の光変調装置を用いることもできる。例えば、反射型の液晶パネル、あるいは、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることもできる。また、光源30および照明導光光学系32は上記の構成に限定されるものではない。例えば、リレー光学系35は、R光でなくB光を光変調装置31Bまで導く構成であってもよい。また、光源30から射出された光をR光、G光、B光の3色の色光に分離するのではなく、光変調装置31R、31G、31Bのそれぞれに対応して、R光、G光、B光を出射する光源を配置する構成であってもよい。
【0016】
(投射光学系)
投射光学系4は、クロスダイクロイックプリズム39のL1側に配置され、クロスダイクロイックプリズム39から出射されるフルカラーの映像光を拡大投射する。投射光学系4は、最も拡大側(出射側)に配置される第1レンズ40を含む複数のレンズと、複数のレンズを収容する鏡筒41を備える。鏡筒41は、複数のレンズを光軸上に配置した状態で保持する。鏡筒41のL1方向の端部には、第1レンズ40の外周側を囲む大径筒部42が配置される。鏡筒41は、鏡筒保持部7を介してプロジェクター1の筐体2に保持される。上記のように、鏡筒保持部7は光学部品用筐体6に保持される。従って、鏡筒41は、鏡筒保持部7および光学部品用筐体6を介して筐体2に保持される。鏡筒41は、L2方向の端部に設けられたフランジ部43を介して鏡筒保持部7に固定される。
【0017】
(筐体)
図1に示すように、プロジェクター1の筐体2は、全体として略直方向体状である。筐体2の前面部21には、投射光学系4のL1方向の端部を筐体2の外部へ突出させる投射用開口部22が設けられている。また、筐体2の前面部21には、センサー用開口部23が設けられている。イメージセンサー5は、投射光学系4により投射された映像をセンサー用開口部23から撮像する。本実施形態では、投射光学系4のL1方向の端部が筐体2の外部へ突出しているが、これに限らず、投射光学系4が筐体2の外部へ突出せず、投射光学系4の全体が筐体2に収容されていてもよい。
【0018】
(イメージセンサーの保持構造)
図2は、イメージセンサー5の保持構造を示す斜視図である。図3は、イメージセンサー5の保持構造を示す側面図である。図4は、イメージセンサー5の保持構造を示す平面図である。プロジェクター1は、イメージセンサー5を保持するセンサー保持部8を備える。本実施形態では、センサー保持部8は、鏡筒保持部7に保持される。センサー保持部8は、図1において破線で示すように、鏡筒41のL2方向に配置される鏡筒保持部7に接続される。センサー保持部8は、鏡筒保持部7から、筐体2の前面部21に形成されたセンサー用開口部23のL2側まで延びている。
【0019】
センサー保持部8は、筐体2よりも線膨張係数が少ない。本実施形態では、筐体2は樹脂からなり、センサー保持部8は、アルミからなる。なお、センサー保持部8は、アルミ以外の金属から構成されていてもよい。アルミを用いる場合には、軽量であり、且つ、強度を確保することができる。従って、センサー保持部8の耐衝撃性を高めることができる。図2図4に示すように、本実施形態では、センサー保持部8は、イメージセンサー5を保持する第1センサー保持部材81と、第1センサー保持部材81を保持する第2センサー保持部材82の2部材によって構成される。第1センサー保持部材81および第2センサー保持部材82は、いずれもアルミからなり、筐体2よりも線膨張係数が少ない。なお、第2センサー保持部材82を構成する材料は、アルミに限定されず、鉄、ステンレス鋼などでもよい。
【0020】
センサー保持部8は、鏡筒保持部7に接続される第1部分8Aと、イメージセンサー5が接続される第2部分8Bと、第1部分8Aと第2部分8Bとを接続する接続部8Cを備える。図2図4に示すように、第1部分8Aは、鏡筒41および鏡筒保持部7の上方(+Z方向)に配置され、光軸方向Lに延びている。接続部8Cは、第1部分8Aから鏡筒41の+X方向へ延びている。接続部8Cは、+X方向へ延びる途中で+Z方向へ略直角に屈曲した後、+X方向へ略直角に屈曲している。
【0021】
第2部分8Bは、接続部8Cの+X方向の端部からL1方向へ延びている。図2図4に示すように、第2部分8Bの先端には、-Z方向に屈曲したセンサー取付部80が設けられている。図3に示すように、センサー取付部80は、-Z方向へ向かうに従ってL1方向へ向かう方向へ傾斜している。イメージセンサー5は、センサー取付部80に接続され、センサー用開口部23と対向する。
【0022】
第1センサー保持部材81は、複数個所で屈曲した板金部材である。第1センサー保持部材81は、鏡筒41および鏡筒保持部7の上方(+Z方向)において光軸方向Lに延びる第1板状部83と、第1板状部83のL1方向の端部から+X方向へ延びる第2板状部84と、第2板状部84の+X方向の端部からL1方向(+Y方向)へ延びる第3板状部85を備える。第1板状部83のL2方向の端部は、第2センサー保持部材82に+Z方向から重なっており、ねじ等の固定部材によって第2センサー保持部材82に固定される。第2センサー保持部材82は、平板状の板金部材である。第2センサー保持部材82は、鏡筒保持部7の+Z方向の端部に固定される。第2センサー保持部材82は、クロスダイクロイックプリズム39のL1方向の端部を+Z方向から覆っている。
【0023】
センサー保持部8の第1部分8Aは、第1センサー保持部材81の第1板状部83、および、第2センサー保持部材82によって構成される。また、接続部8Cは、第1センサー保持部材81の第2板状部84によって構成され、第2部分8Bは、第1センサー保持部材81の第3板状部85によって構成される。第2板状部84は、上記のように、+Z方向に略直角に屈曲した屈曲部と、+X方向に略直角に屈曲した屈曲部を備えている。第2板状部84には、エンボス加工により形成された凸部86が複数個所に配置され、凸部86のうちの一部は屈曲部に配置される。第3板状部85は、L1方向(+Y方向)の先端部が-Z方向に屈曲してセンサー取付部80を構成している。
【0024】
図5は、筐体2の前面部21およびイメージセンサー5の配置を示す部分断面図であり、図1のA-A位置の部分断面図である。前面部21に設けられたセンサー用開口部23には、カバーガラス24が配置される。図5に示すように、イメージセンサー5およびセンサー取付部80は筐体2から離間した位置に配置され、イメージセンサー5およびセンサー取付部80は筐体2の前面部21に接触していない。本実施形態では、筐体2の前面部21とイメージセンサー5との間にはセンサーカバー25が配置される。センサーカバー25は前面部21から離間しており、前面部21に接触していない。センサーカバー25は、イメージセンサー5と対向するカバー開口部26を備える。イメージセンサー5は、カバー開口部26およびセンサー用開口部23を介して投射光学系4により投射された像を撮像する。本実施形態では、センサー用開口部23のカバー部材にガラスを用いたカバーガラス24を用いているが、これに限らず透光性を有する樹脂製のカバーであってもよい。
【0025】
図4に示すように、センサー保持部8は、鏡筒保持部7に接続される第1部分8Aの幅W1が、接続部8Cの幅W2よりも大きい。第1部分8Aの幅W1は、第1センサー保持部材81における第1板状部83の幅であり、接続部8Cの幅は、第1センサー保持部材81における第2板状部84の幅である。図2図4に示すように、センサー保持部8は、第1部分8Aが鏡筒保持部7に接続され、第2部分8Bにイメージセンサー5が接続される。そして、上記のように、第2部分8Bに設けられたセンサー取付部80およびイメージセンサー5は筐体2に接触していない。従って、センサー保持部8は、片持ち構造でイメージセンサー5を支持している。
【0026】
(本実施形態の主な作用効果)
以上のように、本実施形態のプロジェクター1は、光源30と、光源30から射出された光を変調する光変調装置31と、光変調装置31で変調された光を投射する投射光学系4と、投射光学系4により投射された像に関する情報を取得するイメージセンサー5と、光源30、光変調装置31、およびイメージセンサー5を収容する筐体2と、イメージセンサー5を保持するセンサー保持部8と、を備える。投射光学系4は、内部にレンズを収容し、光変調装置31で変調された光が通過する鏡筒41を備える。鏡筒41は、鏡筒保持部7を介して筐体2に保持され、センサー保持部8は、鏡筒保持部7に保持される。
【0027】
このように、本実施形態では、イメージセンサー5を保持するセンサー保持部8と、投射光学系4の鏡筒41とが、いずれも鏡筒保持部7に保持される。鏡筒保持部7は、鏡筒41と筐体2との間に介在する部材である。従って、センサー保持部8と鏡筒41との接続構造に筐体2が介在しておらず、イメージセンサー5と投射光学系4の間に介在する部材数が少ない。これにより、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度の低下を抑制できるため、イメージセンサー5によって撮像した像から取得した情報に基づいて台形歪の補正を行う場合に、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度の低下に起因する補正の精度低下を抑制できる。従って、プロジェクター1における台形歪の補正を精度良く行うことができる。
【0028】
なお、上記形態では、鏡筒保持部7と光学部品用筐体6は別個の部品であるが、鏡筒保持部7は、光学部品用筐体6と一体化されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、センサー保持部8は、イメージセンサー5を保持する第1センサー保持部材81と、第1センサー保持部材81を保持する第2センサー保持部材82と、を有しており、第2センサー保持部材82は、鏡筒保持部7に保持される。このように、センサー保持部8を2つの部品に分けることにより、組立時に発生する異物の影響を抑制できる。例えば、予め、第2センサー保持部材82を鏡筒保持部7に取り付けてから、鏡筒保持部7を介して鏡筒41と光学部品用筐体6とを接続する。しかる後に、第2センサー保持部材82に第1センサー保持部材81を固定する。上記のように、第2センサー保持部材82は、クロスダイクロイックプリズム39のL1方向の端部の上側(+Z方向)を覆う形状である。従って、このような順序でセンサー保持部8と鏡筒保持部7とを接続することにより、部材のねじ止めなどの作業によって発生する異物がクロスダイクロイックプリズム39に落下するおそれを少なくすることができる。
【0030】
本実施形態では、第1センサー保持部材81は、筐体2よりも線膨張係数が少ない。また、第2センサー保持部材82は、筐体2よりも線膨張係数が少ない。このように、線膨張係数が少ない部材を用いることにより、センサー保持部8の熱による変形を小さくすることができる。従って、高温環境下で使用した際にイメージセンサー5が設計位置からずれることを抑制できるので、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度が低下することを抑制できる。
【0031】
本実施形態では、第1センサー保持部材81は、アルミ等の金属からなる。また、第2センサー保持部材82は、アルミ等の金属からなる。センサー保持部8として樹脂部品を用いた場合には、常温下においても荷重による経時的な変形の増大が発生するが、金属部品を用いた場合には、高温環境下でなければ荷重による経時的な変形は発生しにくい。従って、本実施形態では、常温下においてイメージセンサー5が設計位置からずれることを抑制できる。従って、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度が低下することを抑制できる。なお、本実施形態の第1センサー保持部材81および第2センサー保持部材82は、金属板を加工した板金部材であるが、鋳造品や鍛造品を用いてもよい。
【0032】
本実施形態では、センサー保持部8は、鏡筒保持部7に接続される第1部分8Aと、イメージセンサー5が接続される第2部分8Bと、第1部分8Aと第2部分8Bとを接続する接続部8Cと、を備えており、接続部8Cの幅W2よりも、第1部分8Aの幅W1の方が大きい。これにより、鏡筒保持部7に接続される第1部分8Aの強度を確保し、且つ、センサー保持部8の軽量化を図ることができる。従って、センサー保持部8の変形を抑制できるので、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度が低下することを抑制できる。上記のように、本実施形態では、センサー保持部8は、片持ち構造でイメージセンサー5を支持している。従って、鏡筒保持部7に接続される第1部分8Aの幅W1を接続部8Cの幅W2よりも大きくすることにより、最も大きな荷重が加わる部位の強度を確保し、且つ、センサー保持部8の軽量化を図ることができる。従って、センサー保持部8の変形を抑制することができ、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度が低下することを抑制できる。
【0033】
本実施形態では、センサー保持部8は、イメージセンサー5が接続されるセンサー取付部80を備え、センサー取付部80およびイメージセンサー5は、筐体2から離間している。従って、イメージセンサー5と鏡筒41との接続構造に筐体2が介在せず、イメージセンサー5と鏡筒41との相対位置精度が筐体2の影響を受けないようにすることができる。
【0034】
本実施形態では、センサー保持部8にイメージセンサー5が保持される。従って、イメージセンサー5によって撮像した像から取得した情報に基づいて各種の調整を行うことができる。例えば、本実施形態では、イメージセンサー5によって撮像した像から取得した情報に基づいて台形歪の補正を行う。上記のように、本実施形態では、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度の低下を抑制できる。従って、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度の低下に起因する補正の精度低下を抑制できる。
【0035】
(変形例1)
図6図8は、イメージセンサーの保持構造を模式的に示す説明図である。図6は、図2図4に示すイメージセンサー5の保持構造を模式的に示す説明図である。図6に示すように、上記形態では、センサー保持部8が第1センサー保持部材81と第2センサー保持部材82の2つの部材によって構成されており、イメージセンサー5と投射光学系4との接続構造において、両者の間に介在する部材数は、第1センサー保持部材81、第2センサー保持部材82、および鏡筒保持部7の3部材である。
【0036】
図7は、イメージセンサー5の保持構造の変形例1を模式的に示す説明図である。図7に示すように、変形例1のセンサー保持部108は、1部材によって構成される。センサー保持部108の一端は鏡筒保持部107に接続され、センサー保持部108の他端にイメージセンサー5が接続される。鏡筒保持部107には、投射光学系4の鏡筒41が接続される。
【0037】
例えば、変形例1のセンサー保持部108は、上記形態の第1センサー保持部材81と同一の部材であってもよいし、上記形態の第1センサー保持部材81と第2センサー保持部材82とを一体化させた部材であってもよい。センサー保持部108として第1センサー保持部材81を用いる場合には、上記形態の第2センサー保持部材82と鏡筒保持部7を一体化させた部材を鏡筒保持部107として用いてもよい。
【0038】
変形例1の構成は、上記形態と同様に、センサー保持部108と鏡筒41との接続構造において、両者の間に筐体2が介在せず、センサー保持部108および鏡筒41がいずれも鏡筒保持部107に保持されている。従って、イメージセンサー5と投射光学系4の間に介在する部材数がセンサー保持部108と鏡筒保持部107の2部材であって上記形態よりも少ないので、上記形態よりも、さらに、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度の低下を抑制できる。従って、台形歪の補正を精度良く行うことができる。
【0039】
(変形例2)
図8は、イメージセンサー5の保持構造の変形例2を模式的に示す説明図である。図8に示すように、変形例2では、センサー保持部208と鏡筒保持部207とが一体化された保持部材200によってイメージセンサー5が保持される。例えば、保持部材200は、上記形態の第1センサー保持部材81と鏡筒保持部7を一体化させた部材である。変形例2では、鏡筒41とイメージセンサー5がいずれも保持部材200に接続される。従って、イメージセンサー5と投射光学系4との接続構造において、両者の間に介在する部材数が1部材であって変形例1よりもさらに少ないので、上記形態および変形例1よりも、さらに、イメージセンサー5と投射光学系4との相対位置精度の低下を抑制できる。従って、台形歪の補正を精度良く行うことができる。
【0040】
(他の形態)
本発明は、センサー保持部8に保持されるセンサーがイメージセンサー以外のセンサーである態様に適用可能である。例えば、上記形態およびその変形例1、2において、センサー保持部8に保持されるセンサーは、赤外線やレーザー等の光あるいは超音波を用いる測距センサーであってもよい。測距センサーによって投射光学系4によって投射した像までの距離を検知し、検知した距離に基づいて、投射光学系4のフォーカス調整などの各種の調整を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1…プロジェクター、2…筐体、3…映像光生成装置、4…投射光学系、5…イメージセンサー、6…光学部品用筐体、7…鏡筒保持部、8…センサー保持部、8A…第1部分、8B…第2部分、8C…接続部、21…前面部、22…投射用開口部、23…センサー用開口部、24…カバーガラス、25…センサーカバー、26…カバー開口部、30…光源、31、31R、31G、31B…光変調装置、32…照明導光光学系、33…均一化光学系、34…色分離光学系、35…リレー光学系、36…入射側偏光板、37…射出側偏光板、39…クロスダイクロイックプリズム、40…第1レンズ、41…鏡筒、42…大径筒部、43…フランジ部、80…センサー取付部、81…第1センサー保持部材、82…第2センサー保持部材、83…第1板状部、84…第2板状部、85…第3板状部、86…凸部、107…鏡筒保持部、108…センサー保持部、200…保持部材、207…鏡筒保持部、208…センサー保持部、331…第1レンズアレイ、332…第2レンズアレイ、333…偏光変換素子、334…重畳レンズ、341、342…ダイクロイックミラー、343…反射ミラー、351…入射側レンズ、352、354…反射ミラー、353…リレーレンズ、L…光軸方向、W1…第1部分の幅、W2…接続部の幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8