(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20240305BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240305BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240305BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B41J2/17
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/175 113
B41J2/165 101
(21)【出願番号】P 2020048114
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】陶 智博
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-142954(JP,A)
【文献】特開2001-293852(JP,A)
【文献】特開2004-188651(JP,A)
【文献】特開2020-116802(JP,A)
【文献】特開平06-255208(JP,A)
【文献】特開2015-013401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/17
B41J 2/01
B41J 2/175
B41J 2/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が通過可能な無端の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの内側に設けられ、空気を吸引することでシートを前記搬送ベルトに吸着させる吸引部と、
前記搬送ベルトに吸着された前記シートにインクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドにインクを供給するインクコンテナと、
前記インクコンテナを加温するコンテナ加温部と、
前記コンテナ加温部により加温された空気を前記インクコンテナ以外の方向へ給気する第1給気部と、
前記記録ヘッドの周囲の温度を計測する第1計測部と、
前記第1計測部により計測された温度が第1の温度よりも低い場合に給気するように前記第1給気部を制御する制御部と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記コンテナ加温部は、温風を供給する温風供給部を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第1給気部は、前記インクコンテナ以外の方向へ送風する送風機を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、画像形成ジョブが入力されていない場合に給気するように前記第1給気部を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドのインクの吐出口を塞ぐキャップと、
前記キャップを前記記録ヘッドに着脱する着脱機構と、を備え、
前記制御部は、画像形成ジョブが入力されていない場合に、前記着脱機構により前記記録ヘッドに前記キャップを装着させてから給気するように前記第1給気部を制御することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、画像形成ジョブが入力されたときに前記第1計測部により計測された温度が前記第1の温度よりも低い場合に給気するように前記第1給気部を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1計測部により計測される温度が前記第1の温度に到達してから画像形成を開始させることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記制御部は、画像形成ジョブが入力された場合の給気量を画像形成ジョブが入力されていない場合よりも減少させるように前記第1給気部を制御することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記温風を前記インクコンテナの方向へ給気する第2給気部を備え、
前記制御部は、前記第1給気部から給気させる場合に、前記第2給気部からの給気量を減少させることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記インクコンテナの交換を検知するコンテナ検知部と、
前記インクコンテナの温度を計測する第2計測部と、を備え、
前記制御部は、前記コンテナ検知部により前記インクコンテナの交換が検知されたときに前記第2計測部により計測された温度が第2の温度よりも低い場合に、前記第2計測部で計測される温度が前記第2の温度に到達するまで前記第1給気部からの給気量を減少させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクの吐出により画像を形成するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置において良好な画質を実現するためには、インク滴を適正な大きさに制御する必要がある。インク滴の大きさに影響を与える因子の一つとして、インクの粘度がある。インクの粘度は、インクの温度によって変化する。そこで、従来、インクの温度を調整する技術が検討されている。例えば、特許文献1、2には、コンティニュアス型(インク循環型)のインクジェット記録装置におけるインクの温度調整に関する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-7189号公報
【文献】特開2016-47639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無端の搬送ベルトに配置された複数の貫通穴から空気を吸引することでシートを搬送ベルトに吸着させて搬送する搬送機構を備えたインクジェット記録装置が知られている。この装置において画像形成の実行前の装置内の温度が低い場合、空気の吸引により記録ヘッドの周囲を低温の空気が流れることで一時的にインクの温度が低下するため、画質の低下や画像形成の停止を招くおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、シートを搬送ベルトに吸着させるときに生じる低温の空気の流れによるインク温度の低下を抑制することのできるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、空気が通過可能な無端の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの内側に設けられ、空気を吸引することでシートを前記搬送ベルトに吸着させる吸引部と、前記搬送ベルトに吸着された前記シートにインクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドにインクを供給するインクコンテナと、前記インクコンテナを加温するコンテナ加温部と、前記コンテナ加温部により加温された空気を前記インクコンテナ以外の方向へ給気する第1給気部と、前記記録ヘッドの周囲の温度を計測する第1計測部と、前記第1計測部により計測された温度が第1の温度よりも低い場合に給気するように前記第1給気部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記コンテナ加温部は、温風を供給する温風供給部を備えていてもよい。
【0008】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記第1給気部は、前記インクコンテナ以外の方向へ送風する送風機を備えていてもよい。
【0009】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記制御部は、画像形成ジョブが入力されていない場合に給気するように前記第1給気部を制御するように構成されていてもよい。
【0010】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドのインクの吐出口を塞ぐキャップと、前記キャップを前記記録ヘッドに着脱する着脱機構と、を備え、前記制御部は、画像形成ジョブが入力されていない場合に、前記着脱機構により前記記録ヘッドに前記キャップを装着させてから給気するように前記第1給気部を制御するように構成されていてもよい。
【0011】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記制御部は、画像形成ジョブが入力されたときに前記第1計測部により計測された温度が前記第1の温度よりも低い場合に給気するように前記第1給気部を制御するように構成されていてもよい。
【0012】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記第1計測部により計測される温度が前記第1の温度に到達してから画像形成を開始させるように構成されていてもよい。
【0013】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記制御部は、画像形成ジョブが入力された場合の給気量を画像形成ジョブが入力されていない場合よりも減少させるように前記第1給気部を制御するように構成されていてもよい。
【0014】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記温風を前記インクコンテナの方向へ給気する第2給気部を備え、前記制御部は、前記第1給気部から給気させる場合に、前記第2給気部からの給気量を減少させるように構成されていてもよい。
【0015】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記インクコンテナの交換を検知するコンテナ検知部と、前記インクコンテナの温度を計測する第2計測部と、を備え、前記制御部は、前記コンテナ検知部により前記インクコンテナの交換が検知されたときに前記第2計測部により計測された温度が第2の温度よりも低い場合に、前記第2計測部で計測される温度が前記第2の温度に到達するまで前記第1給気部からの給気量を減少させるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シートを搬送ベルトに吸着させるときに生じる低温の空気の流れによるインク温度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構成を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係るコンテナ加温部の外観を示す斜視図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係るコンテナ加温部の内部構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るコンテナ加温部の動作を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る送風機を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る温度制御の手順を示す流れ図である。
【
図8】本発明の一実施形態の変形例に係る温度制御の手順を示す流れ図である。
【
図9】本発明の一実施形態の変形例に係る温度制御の手順を示す流れ図である。
【
図10】本発明の一実施形態の変形例に係る温度制御の手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るプリンター1(インクジェット記録装置の一例)について説明する。
【0019】
まず、プリンター1の全体の構成について説明する。
図1は、プリンター1の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、
図1における紙面手前側をプリンター1の正面側(前側)とし、左右の向きはプリンター1を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0020】
図1に示されるように、プリンター1は、シートS(普通紙、コート紙等)にインクを吐出することで画像を形成するインクジェット式の画像形成装置であり、シートSに対して片面印刷及び両面印刷が可能である。プリンター1は、各種機器が収容される箱形の本体ハウジング10を備える。本体ハウジング10内の下部にはシートSが収容される引き出し可能な給紙カセット15が設けられ、本体ハウジング10の右側面11にはシートSが手差しで積載される手差しトレイ25が設けられている。手差しトレイ25の上方には、画像形成済みのシートSが積載される排紙トレイ17が設けられ、本体ハウジング10の左側面12の上部には、プリンター1の左側に隣接する後処理装置(図示省略)にシートSを搬送するための排紙口19が配置されている。
【0021】
本体ハウジング10内の中央部には、シートSに画像を形成する記録ヘッド31Y、31Bk、31C、31M(記録ヘッド31と総称する。)が設けられ、記録ヘッド31の下方には、画像が形成されるシートSを搬送する搬送ユニット40が設けられ、搬送ユニット40の左方には、画像形成済みのシートSを搬送しながら乾燥させる乾燥ユニット48が設けられている。
【0022】
搬送ユニット40の右方には、給紙カセット15から搬送ユニット40に至る第1搬送路21と、手差しトレイ25から第1搬送路21に合流する手差し搬送路27が設けられている。乾燥ユニット48の左方には、乾燥ユニット48から排紙口19に至る第2搬送路22が設けられている。記録ヘッド31の上方には、第2搬送路22から分岐して排紙トレイ17に至る第3搬送路23と、第3搬送路23から分岐して第1搬送路21に合流する第4搬送路24と、が設けられている。第2搬送路22と第3搬送路23との分岐点、及び、第3搬送路23と第4搬送路24との分岐点には、制御部2からの指示に応じてシートSの搬送を案内する案内部材が設けられている(図示省略)。
【0023】
第1搬送路21には、搬送方向(Y1方向)上流側から順に、給紙ローラー16、レジストローラー対28が設けられている。給紙ローラー16は、給紙カセット15に収容されたシートSを1枚ずつ第1搬送路21に送り出す。レジストローラー対28は、シートSの斜行の補正と、画像形成のタイミングに同期したシートSの送り出しと、を行う。
【0024】
手差し搬送路27は、給紙ローラー16とレジストローラー対28との間で第1搬送路21に合流する。手差し搬送路27には、手差しトレイ25に積載されたシートSを1枚ずつ手差し搬送路27に送り出す手差し給紙ローラー26が設けられている。
【0025】
第2搬送路22の搬送方向下流側の端部には、排紙口19からシートSを排出する第1排紙ローラー20が設けられている。第3搬送路23の搬送方向下流側の端部には、排紙トレイ17にシートSを排出する第2排紙ローラー18が設けられている。第4搬送路24は、両面印刷の場合にシートSをY2方向からY3方向へスイッチバックさせることで表裏反転させ、第1搬送路21に送り込む。
【0026】
次に、プリンター1の各部について詳細に説明する。
図2及び3は、プリンター1の内部構成を模式的に示す斜視図である。
図4Aは、コンテナ加温部60の外観を示す斜視図である。
図4Bは、コンテナ加温部60の内部構成を示す斜視図である。
図5は、コンテナ加温部60の動作を示す斜視図である。
【0027】
プリンター1は、複数の貫通穴が配置されていることで、空気が通過可能になっている無端の搬送ベルト45と、搬送ベルト45の内側に設けられ、複数の貫通穴から空気を吸引することでシートSを搬送ベルト45に吸着させる吸引部47と、搬送ベルト45に吸着されたシートSにインクを吐出する記録ヘッド31と、記録ヘッド31にインクを供給するインクコンテナ51と、記録ヘッド31を加温するヘッド加温部33と、インクコンテナ51を加温するコンテナ加温部60と、を備える。
【0028】
[搬送ベルト、吸引部]
搬送ユニット40(
図1、2参照)は、駆動ローラー46aと、複数の従動ローラー46b、46c、46d、46eと、これらに巻き掛けられた搬送ベルト45と、吸引部47と、を備える。駆動ローラー46aがモーター等の駆動源(図示省略)で駆動されることで搬送ベルト45が駆動される。搬送ベルト45には多数の貫通穴(図示省略)が配置されている。吸引部47は、搬送ベルト45の内側の記録ヘッド31に対向する位置に配置され、空気を吸引することで搬送ベルト45の貫通穴に負圧を生じさせる。
【0029】
搬送ユニット40は、本体ハウジング10に昇降機構を介して支持されている(図示省略)。昇降機構は、例えば、搬送ユニット40に結合されたワイヤーをプーリーで駆動するもの、ラックアンドピニオン、ボールねじ、リニアモーター、カム機構等であり、本体ハウジング10に対して搬送ユニット40を昇降させる。
【0030】
乾燥ユニット48は、搬送ユニット40と同様にシートSを搬送ベルトに吸着させて搬送する機構を備え、シートSを空気で乾燥させる。
【0031】
[記録ヘッド]
記録ヘッド31は、搬送方向と交差するシートSの幅方向に並ぶ複数のノズルの吐出口(図示省略)が下面に配置されたラインヘッドである。搬送方向上流側から順に、記録ヘッド31Y、31Bk、31C、31Mが配置されており、それぞれイエロー、ブラック、シアン、マゼンタのインクを吐出する。記録ヘッド31Y、31Bk、31C、31Mは、インクの色毎に、複数(例えば3つ)を千鳥に配置したユニットを構成していてもよい。記録ヘッド31は、記録ヘッドハウジング32に支持されている。なお、記録ヘッド31Y、31Bk、31C、31Mは、図示された例と異なる並び順で配置されていてもよい。
【0032】
記録ヘッド31は、記録ヘッド31を加温するヘッド加温部33(
図1参照)を備える。ヘッド加温部33は、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーターであり、記録ヘッド31の温度を所定温度(例えば、30℃)に維持する。
【0033】
[インクコンテナ]
本体ハウジング10内の左下部には、直方体の箱状のコンテナ装着部50が設けられている。コンテナ装着部50には、インクコンテナ51Y、51Bk、51C、51M(インクコンテナ51と総称する。)が装着される。インクコンテナ51Y、51Bk、51C、51Mには、それぞれイエロー、ブラック、シアン、マゼンタのインクが充填されている。なお、インクコンテナ51Y、51Bk、51C、51Mは、図示された例と異なる並び順で配置されてもよい。
【0034】
コンテナ装着部50と記録ヘッド31との間には、インクの色毎にインク供給管(図示省略)が設けられている。インク供給管の各々には、インクを貯留するサブタンクが設けられており、サブタンクの上流側と下流側にポンプが設けられている(図示省略)。サブタンク及び記録ヘッド31に常に所定量のインクが貯留されるように、制御部2がポンプを駆動する。
【0035】
[コンテナ加温部]
コンテナ加温部60は、コンテナ装着部50の上方に設けられている。コンテナ加温部60(
図4A、4B参照)は、温風を供給する温風供給部66と、温風供給部66を収容するハウジング65と、温風をインクコンテナ51以外の方向へ給気する第1給気部61と、温風をインクコンテナ51の方向へ給気する第2給気部62と、を備え、温風を供給することで複数のインクコンテナ51を加温する。
【0036】
温風供給部66は、熱源63と、熱源63に向けて送風する送風機64と、を備える。熱源63は、例えば、PTCヒーターであり、前後方向を長手方向とする複数のフィンを備える。送風機64は、例えば、ターボファン、シロッコファン等であり、熱源63の後方に配置されている。送風機64は、羽根車64Fと、羽根車64Fを収容する円筒形のケーシング64Cと、を備える。ケーシング64Cの軸方向の側面の一方には吸気口64Iが配置されている。ケーシング64Cの外周面には、接線方向に開口した給気口64Eが配置されている。送風機64は、給気口64Eが前方に向いた姿勢で配置されている。
【0037】
第2給気部62は、ハウジング65の下面の前端部に配置された第2給気口62Eを備える。送風機64が前方に向かって送風し、熱源63が空気を所定温度(例えば、30℃)に加熱することで、第2給気口62Eから下方に温風が給気され、温風によりインクコンテナ51が加温される。なお、第2給気部62の詳細については、後述する。また、第1給気部61についても後述する。
【0038】
プリンター1の各部は、制御部2によって制御される。制御部2は、プロセッサーを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサーを用いる場合には、プロセッサーがメモリーに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサーとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。メモリーは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。メモリーには、プリンター1の各部の制御に用いられる制御プログラムが記憶される。
【0039】
次に、プリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1に画像形成指示が入力されると、シートSが、給紙カセット15又は手差しトレイ25から送り出され、第1搬送路21に沿ってY1方向に搬送される。すると、回転を停止したレジストローラー対28のニップ領域にシートSの先端部(搬送方向下流側の端部)が突き当てられることでシートSの斜行が矯正され、記録ヘッド31によるインクの吐出タイミングに同期させてレジストローラー対28から搬送ユニット40にシートSが搬送される。シートSは、搬送ベルト45に吸着され、Y1方向に搬送される。そして、記録ヘッド31からシートSに向けてインクが吐出されることでシートSの1面目に画像が形成される。
【0040】
1面目に画像が形成されたシートSは、乾燥ユニット48のベルトに吸着されて搬送され、第2搬送路22及び第3搬送路23に沿って搬送される。片面印刷時には、第2排紙ローラー18によって排紙トレイ17にシートSが排出される。一方、両面印刷時には、シートSが第4搬送路24に案内されてスイッチバックされ、表裏反転された状態でレジストローラー対28に搬送され、2面目に画像が形成される。2面目に画像が形成されたシートSは、第2搬送路22及び第3搬送路23を経て排紙トレイ17に排出される。
【0041】
[トリートメントユニット]
次に、トリートメントユニット70について説明する(
図1,2参照)。トリートメントユニット70は、記録ヘッド31のノズルの吐出口の目詰まりを防ぐキャップユニット75と、記録ヘッド31の下面を清掃するワイプユニット80と、キャップユニット75とワイプユニット80を支持するキャリッジ71と、を備える。
【0042】
[キャップユニット]
キャップユニット75は、支持板76と、支持板76の上面に設けられたキャップ77と、を備える。記録ヘッド31の各々に対して1つのキャップ77が設けられている。キャップ77は、例えばゴムで構成され、記録ヘッド31の下面に装着されることで、ノズルの吐出口を塞ぐ。
【0043】
[ワイプユニット]
ワイプユニット80は、支持板81と、支持板81の上方に設けられたワイプブレード82と、を備える。ワイプブレード82は、ワイプ機構(図示省略)を介して支持板81に支持されている。ワイプ機構は、例えば、ワイプブレード82に結合されたワイヤーをプーリーで駆動するものであり(図示省略)、記録ヘッド31の下面に接触させたワイプブレード82を前後方向にスライドさせることで記録ヘッド31の下面を清掃する。支持板81は、上面に凹部が配置されており、インクの受け皿を兼ねる。
【0044】
[キャリッジ]
キャップユニット75とワイプユニット80は、キャリッジ71に支持されている。ワイプユニット80は、キャップユニット75の下方に配置されている。キャリッジ71は、キャップユニット75とワイプユニット80を囲うように構成され、上方と右方と下方が開口している。キャリッジ71は、キャリッジスライド機構(図示省略)を介して本体ハウジング10に支持されている。キャリッジスライド機構は、例えば、キャリッジ71に結合されたワイヤーをプーリーで駆動するものであり(図示省略)、本体ハウジング10に対してキャリッジ71を左右方向にスライドさせる。
【0045】
キャップユニット75とワイプユニット80は、キャリッジ71に対して昇降可能である。また、ワイプユニット80は、ワイプユニットスライド機構(図示省略)を介してキャリッジ71に支持されている。ワイプユニットスライド機構は、例えば、ワイプユニット80に結合されたワイヤーをプーリーで駆動するものであり(図示省略)、キャリッジ71に対してワイプユニット80を左右方向にスライドさせる。
【0046】
次に、キャップユニット75の着脱について説明する。画像形成時には(
図2参照)、搬送ユニット40が画像形成位置に位置し、トリートメントユニット70が搬送ユニット40の左方の退避位置に退避させられている。画像形成位置においては、記録ヘッド31の下面と、搬送ベルト45の上面との距離が1mm程度に保たれる。
【0047】
非画像形成時には、以下の手順で記録ヘッド31にキャップユニット75が装着される。制御部2は、昇降機構により搬送ユニット40を下降させ、キャリッジスライド機構によりトリートメントユニット70を右方、すなわち記録ヘッド31の下方へスライドさせ、昇降機構により搬送ユニット40を上昇させることで、ワイプユニット80を介してキャップユニット75を押し上げさせる(
図3参照)。こうして、記録ヘッド31にキャップユニット75が装着される。
【0048】
画像形成ジョブが入力された場合には、制御部2は、昇降機構により搬送ユニット40を下降させることで、キャップユニット75を記録ヘッド31から離脱させ、キャリッジスライド機構によりトリートメントユニット70を退避位置に移動させ、昇降機構により搬送ユニット40を画像形成位置に上昇させる。トリートメントユニット70及び搬送ユニット40は、キャップ77を記録ヘッド31に着脱する着脱機構の一例である。
【0049】
次に、上記の構成における本体ハウジング10内の温度について説明する。非画像形成時には、搬送ベルト45、記録ヘッド31、ポンプ、搬送ローラー等の駆動が停止されるため、それらを駆動する駆動源からの発熱量が画像形成時と比べて減少し、その結果、本体ハウジング10内の温度が低下する。また、空調、天候、季節等の条件によっても、非画像形成時に本体ハウジング10内の温度が低下する場合がある。記録ヘッド31は、ヘッド加温部33によって加温されているが、非画像形成時に本体ハウジング10内の温度が低下した場合、画像形成を開始する際に吸引部47による空気の吸引により記録ヘッド31の周囲を低温の空気が流れることで、一時的に記録ヘッド31の温度が低下することが考えられる。すると、インクの粘度の増加により、インク滴を適正な大きさに制御することができなくなるため、画質の低下を招いたり、画質の低下した画像を形成しないために制御部2が画像形成を停止させたりすることが考えられる。
【0050】
そこで、本実施形態に係るプリンター1は、コンテナ加温部60により加温された空気をインクコンテナ51以外の方向へ給気する第1給気部61と、記録ヘッド31の周囲の温度を計測する第1計測部3と、を備え、制御部2は、第1計測部3により計測された温度が第1の温度よりも低い場合に給気するように第1給気部61を制御する。
【0051】
[第1給気部]
第1給気部61は、ハウジング65の前面に形成された第1給気口61Eと、第1給気口61Eに設けられた開閉可能な第1シャッター61Sと、を備える。第1シャッター61Sは、ソレノイドアクチュエーター、カム機構、ボールねじ等の駆動部を備え(図示省略)。制御部2は、駆動部により第1シャッター61Sを開閉させることで、第1給気口61Eを開放及び閉鎖させる。この例では、第1シャッター61Sを上下方向にスライドさせることで第1シャッター61Sを開閉させるように構成されているが、前後方向を軸方向とする揺動軸を中心に第1シャッター61Sを揺動させることで開閉させてもよく、ヒンジ構造により第1シャッター61Sを開閉させてもよい。
【0052】
第1給気部61と同様に、第2給気部62は、ハウジング65の下面の前端部に配置された第2給気口62Eと、第2給気口62Eに設けられた開閉可能な第2シャッター62Sと、を備える。第2シャッター62Sは、ソレノイドアクチュエーター、カム機構、ボールねじ等の駆動部を備え(図示省略)、制御部2は、駆動部により第2シャッター62Sを開閉させることで、第2給気口62Eを開放及び閉鎖させる。この例では、第2シャッター62Sを前後方向にスライドさせることで第2シャッター62Sを開閉させるように構成されているが、上下方向を軸方向とする揺動軸を中心に第2シャッター62Sを揺動させることで開閉させてもよく、ヒンジ構造により第2シャッター62Sを開閉させてもよい。
【0053】
[送風機]
さらに、第1給気部61は、インクコンテナ51以外の方向へ送風する送風機90を備える。
図6は、送風機90を示す斜視図である。送風機90は、例えば、ターボファン、シロッコファン等であり、第1給気口61Eの前方に配置されている。送風機90は、羽根車90Fと、羽根車90Fを収容する円筒形のケーシング90Cと、を備える。ケーシング90Cの軸方向の側面の一方には吸気口90Iが配置されている。ケーシング90Cの外周面には、接線方向に開口した給気口90Eが配置されている。送風機90は、吸気口90Iが第1給気口61Eと対向し、且つ、給気口90Eが右上方に向いた姿勢で配置されている。なお、吸気口90Iは、第1給気口61Eと連結されていてもよい。
【0054】
[第1計測部]
第1計測部3は、例えば、サーミスター等の温度センサーであり、本体ハウジング10内の上部に配置されている(
図1参照)。第1計測部3は、記録ヘッド31の周囲の気温を計測し、計測された温度を示すデータを制御部2に出力する。なお、第1計測部3は、記録ヘッド31の周囲の部材(例えば、記録ヘッドハウジング32)の温度を計測してもよい。
【0055】
[第2計測部]
第2計測部4は、例えば、サーミスター等の温度センサーであり、コンテナ装着部50に設けられている(
図1参照)。第2計測部4は、インクコンテナ51Y、51Bk、51C、51Mの温度を計測し、計測された温度を示すデータを制御部2に出力する。制御部2は、計測された温度を用いて、インクコンテナ51が所定温度以上となるように、コンテナ加温部60をフィートバック制御する。
【0056】
次に、本体ハウジング10内の温度制御について説明する。
図7は、温度制御の手順を示す流れ図である。プリンター1に電源が投入されると、制御部2は、同図に示される手順に従って温度制御を実行する。
【0057】
最初に、制御部2は、第1給気口61Eを閉鎖させ、第2給気口62Eを開放させ、温風供給部66を作動させる(ステップS01)。この動作により、第2給気口62Eから下方に温風が給気される。
【0058】
次に、制御部2は、プリンター1に画像形成ジョブが入力されたか否かを判定する(ステップS03)。画像形成ジョブが入力されていないと判定した場合には(ステップS03:NO)、制御部2は、第1計測部3で計測された温度が第1の温度(例えば、30℃)未満であるか否かを判定する(ステップS05)。計測された温度が第1の温度未満である場合には(ステップS05:YES)、制御部2は、第1給気口61Eを開放させ、送風機90を作動させる(ステップS07)。この動作により、第1給気口61Eから給気された温風が右上方に送風され、記録ヘッド31の周囲の温度が上昇する。そして、制御部2は、ステップS03の処理を繰り返す。一方、計測された温度が第1の温度以上である場合には(ステップS05:NO)、制御部2は、ステップS03の処理を繰り返す。
【0059】
ステップS03において画像形成ジョブが入力されたと判定した場合には、制御部2は、第1給気口61Eを閉鎖させ、送風機90を停止させ、キャップユニット75を記録ヘッド31から離脱させ、搬送ユニット40を画像形成位置に上昇させる(ステップS09)。
【0060】
次に、制御部2は、1ページ分の画像形成を実行させる(ステップS11)。このとき、吸引部47が空気を吸引することでシートSが搬送ベルト45に吸着される。吸引される空気の温度は、送風機90から送風された温風によって上昇している。
【0061】
次に、制御部2は、当該ページが画像形成ジョブに含まれる最後のページであるか否かを判定する(ステップS13)。当該ページが最後のページでない場合には(ステップS13:NO)、制御部2は、ステップS11の処理を繰り返す。一方、当該ページが最後のページである場合には(ステップS13:YES)、制御部2は、搬送ユニット40を下降させ、キャップユニット75を記録ヘッド31に装着させる(ステップS15)。
【0062】
以上説明した本実施形態に係るプリンター1によれば、コンテナ加温部60により加温された空気をインクコンテナ51以外の方向へ給気する第1給気部61と、記録ヘッド31の周囲の温度を計測する第1計測部3と、第1計測部3により計測された温度が第1の温度よりも低い場合に給気するように第1給気部61を制御する制御部2と、を備えるから、シートSを搬送ベルト45に吸着させるときに生じる低温の空気の流れによるインク温度の低下を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、コンテナ加温部60は、温風を発生する温風供給部66を備えるから、インクコンテナ51と記録ヘッド31の周囲の空気を効率的に加温することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、第1給気部61は、インクコンテナ51以外の方向へ送風する送風機90を備えるから、記録ヘッド31の周囲の空気を効率的に加温することができる。
【0065】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、制御部2は、画像形成ジョブが入力されていない場合に給気するように第1給気部61を制御するから、給気によるインクの吐出の乱れを防ぐことができる。
【0066】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、記録ヘッド31のインクの吐出口を塞ぐキャップ77と、キャップ77を記録ヘッド31に着脱する着脱機構(トリートメントユニット70及び搬送ユニット40)と、を備え、制御部2は、画像形成ジョブが入力されていない場合に、着脱機構により記録ヘッド31にキャップ77を装着させてから給気するように第1給気部61を制御するから、給気によるインクの乾燥を防ぐことができる。
【0067】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0068】
[第1変形例]
上記実施形態の構成に加えて、制御部2は、第1給気部61から給気させる場合に、第2給気部62からの給気量を減少させてもよい。例えば、制御部2は、第2シャッター62Sを全開と全閉の中間に位置にスライドさせることで給気量を減少させてもよい。あるいは、制御部2は、第1給気部61から給気させる場合に、第2給気部62からの給気を停止させてもよい。この構成によれば、記録ヘッド31の周囲の空気を速く加温することができる。
【0069】
[第2変形例]
上記実施形態の構成に加えて、以下の処理が行われてもよい。
図8は、本変形例に係る温度制御の手順を示す流れ図である。この例は、
図7に示される流れ図のステップS03とステップS09の間に以下の処理を追加したものである。
【0070】
ステップS21において、制御部2は、第1計測部3で計測された温度が第1の温度(例えば、30℃)未満であるか否かを判定する。計測された温度が第1の温度未満である場合には(ステップS21:YES)、制御部2は、第1給気口61Eを開放させ、送風機90を作動させる(ステップS23)。この動作により、第1給気口61Eから給気された温風が右上方に送風され、記録ヘッド31の周囲の温度が上昇する。そして、制御部2は、ステップS21の処理を繰り返す。一方、計測された温度が第1の温度以上である場合には(ステップS21:NO)、制御部2は、ステップS09の処理に移行する。
【0071】
要するに、制御部2は、画像形成ジョブが入力されたときに第1計測部3により計測された温度が第1の温度よりも低い場合に給気するように第1給気部61を制御する。そして、制御部2は、第1計測部3により計測される温度が第1の温度に到達してから画像形成を開始させる。この構成によれば、画像形成ジョブの入力前に第1の温度に到達しなかった場合に記録ヘッド31の周囲の空気を加温することができる。また、第1の温度に到達する前に画像形成が開始されることを防ぐことができる。
【0072】
[第3変形例]
上記実施形態の構成に加えて、以下の処理が行われてもよい。
図9は、本変形例に係る温度制御の手順を示す流れ図である。この例は、
図7に示される流れ図のステップS09を以下の処理に置き換えたものである。
【0073】
ステップS20において、制御部2は、キャップユニット75を記録ヘッド31から離脱させ、搬送ユニット40を画像形成位置に上昇させる。次に、制御部2は、第1計測部3で計測された温度が第1の温度(例えば、30℃)未満であるか否かを判定する。計測された温度が第1の温度未満である場合には(ステップS21:YES)、制御部2は、第1給気口61Eを開放させ、送風機90を作動させる(ステップS23)。この動作により、第1給気口61Eから給気された温風が右上方に送風され、記録ヘッド31の周囲の温度が上昇する。一方、計測された温度が第1の温度以上である場合には(ステップS21:NO)、制御部2は、第1給気口61Eを閉鎖させ、送風機90を停止させる(ステップS22)。
【0074】
次に、制御部2は、1ページ分の画像形成を実行させ(ステップS11)、当該ページが画像形成ジョブに含まれる最後のページであるか否かを判定する(ステップS13)。当該ページが最後のページでない場合には(ステップS13:NO)、制御部2は、ステップS21の処理を繰り返す。一方、当該ページが最後のページである場合には(ステップS13:YES)、制御部2は、搬送ユニット40を下降させ、キャップユニット75を記録ヘッド31に装着させる(ステップS15)。
【0075】
要するに、制御部2は、画像形成ジョブが入力されたときに第1計測部3により計測された温度が第1の温度よりも低い場合には、画像形成と並行して給気するように第1給気部61を制御する。この構成によれば、画像形成ジョブの入力前に第1の温度に到達しなかった場合に記録ヘッド31の周囲の空気を加温することができる。また、画像形成の遅延を防ぐことができる。
【0076】
なお、制御部2は、画像形成ジョブが入力された場合の給気量を画像形成ジョブが入力されていない場合よりも減少させるように第1給気部61を制御してもよい。例えば、制御部2は、第1シャッター61Sを全開と全閉の中間に位置にスライドさせることで給気量を減少させてもよい。あるいは、制御部2は、送風機90の風量を減少させることで給気量を減少させてもよい。この構成によれば、給気によるインクの吐出の乱れを抑制することができる。
【0077】
[第4変形例]
上記実施形態の構成に加えて、以下のコンテナ優先制御が行われてもよい。本変形例においては、コンテナ装着部50にコンテナ検知部5が設けられている。コンテナ検知部5は、例えば、電気回路を備える機械式のセンサーであり、コンテナ装着部50にインクコンテナ51が装着されていない場合に電気回路が閉じられて通電し、コンテナ装着部50にインクコンテナ51が装着された場合に電気回路が開かれて通電が停止する。制御部2は、コンテナ検知部5が通電から通電停止に切り替わった場合に、インクコンテナ51が交換されたと判定する。
【0078】
図10は、本変形例に係るコンテナ優先制御の手順を示す流れ図である。この処理は、
図7に示される流れ図のステップS07とステップS03との間に行われる。ステップS31において、制御部2は、コンテナ検知部5により、インクコンテナ51が交換されたか否かを判定する。インクコンテナ51が交換されていないと判定した場合には(ステップS31:NO)、制御部2は、コンテナ優先制御を終了し、
図7のステップS03の処理に移行する。
【0079】
一方、インクコンテナ51が交換されたと判定した場合には(ステップS31:YES)、制御部2は、交換されたインクコンテナ51の温度が第2の温度(例えば、30℃)未満であるか否かを判定する(ステップS33)。交換されたインクコンテナ51の温度が第2の温度以上である場合には(ステップS33:NO)、コンテナ優先制御を終了し、
図7のステップS03の処理に移行する。一方、交換されたインクコンテナ51の温度が第2の温度未満である場合には(ステップS33:YES)、第1給気口61Eを閉鎖させ、送風機90を停止させ(ステップS35)、ステップS33の処理を繰り返す。
【0080】
要するに、本変形例は、インクコンテナ51の交換を検知するコンテナ検知部5と、インクコンテナ51の温度を計測する第2計測部4と、を備え、制御部2は、コンテナ検知部5によりインクコンテナ51の交換が検知されたときに第2計測部4により計測された温度が第2の温度よりも低い場合に、第2計測部4で計測される温度が第2の温度に到達するまで第1給気部61からの給気量を減少させる。この構成によれば、第1給気部61からの給気量を減少させない場合と比べて、交換されたインクコンテナ51を速く加温することができる。
【0081】
[第5変形例]
上記実施形態では、コンテナ加温部60がインクコンテナ51へ温風を供給する例が示されたが、コンテナ加温部60は温風を供給しない構成でもよい。例えば、コンテナ装着部50の内部にPTCヒーターが設けられ、コンテナ装着部50の上部に給気口と開閉可能なシャッター(第1給気部61の一例)が設けられてもよい。この構成によれば、給気口を開放することで、コンテナ装着部50の内部で加温された空気が対流により上方に給気されるから、インク温度の低下を抑制することができる。
【0082】
[第6変形例]
上記実施形態の構成に加えて、送風機90の送風の向きを変えるように構成されてもよい。例えば、前後方向を軸方向とする揺動軸を中心として送風機90を揺動させる揺動機構が設けられ、制御部2が、第1計測部3により計測された温度が第1の温度以上である場合に送風機90の給気口90Eを下方へ向けさせ、第1計測部3により計測された温度が第1の温度よりも低い場合に給気口90Eを右上方へ向けさせるように、揺動機構を制御してもよい。この場合、第2給気部62は備えられていなくてもよい。
【0083】
[第7変形例]
上記実施形態では、第1給気部61が送風機90を備える例が示されたが、第1給気部61が送風機90を備えていなくてもよい。この構成によれば、第1給気口61Eを開放することで、コンテナ加温部60によって加温された空気が対流により上方に給気されるから、インク温度の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 プリンター(インクジェット記録装置)
2 制御部
3 第1計測部
4 第2計測部
5 コンテナ検知部
31、31Y、31Bk、31C、31M 記録ヘッド
33 ヘッド加温部
40 搬送ユニット(着脱機構)
45 搬送ベルト
47 吸引部
51、51Y、51Bk、51C、51M インクコンテナ
60 コンテナ加温部
61 第1給気部
62 第2給気部
66 温風供給部
70 トリートメントユニット(着脱機構)
77 キャップ
90 送風機