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  • 特許-受信装置、および補正方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】受信装置、および補正方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 3/06 20060101AFI20240305BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20240305BHJP
   H04L 7/04 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H04J3/06 Z
H04J3/00 H
H04L7/04 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020049811
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021150848
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 智祐
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-237936(JP,A)
【文献】特開平11-074876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 3/06
H04J 3/00
H04L 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイムスロットの受信期間と、前記受信期間後の所定数の連続したタイムスロットの受信を休止する非受信期間とにより間欠受信を行うTDMA方式の受信装置であって、
前記非受信期間後の受信期間において、受信したタイムスロットに含まれる同期ワードの終了タイミングでシンボル同期を行うとともに、一つ前の受信期間後からのタイムスロット数とその間のシンボル数をカウントしたシンボルカウント値とに基づいて、シンボルクロック周波数を補正するシンボルクロック制御部と、
前記同期ワードの検出後、補正されたシンボルクロック周波数のシンボルクロックに基づいて、前記同期ワードを検出したタイムスロット期間の受信の終了タイミングを補正する受信期間制御部と、
を備える、受信装置。
【請求項2】
前記シンボルクロック制御部は、前記シンボルカウント値と、一つ前の受信期間後からのタイムスロット数における本来のシンボル数と、に基づいて、前記シンボルクロック周波数を補正する、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記受信期間制御部は、補正されたシンボルクロックに基づいて、前記同期ワードを検出したタイムスロットの受信終了タイミングを補正し、さらに前記同期ワードを検出したタイムスロットの次のタイミングの受信開始タイミングを補正する。
請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記受信装置のシンボルクロックの補正前の周波数は、受信する対象の信号のシンボルクロック周波数以上である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項5】
タイムスロットの受信期間と、前記受信期間後の所定数の連続したタイムスロットの受信を休止する非受信期間とにより間欠受信を行うTDMA方式の受信装置における補正方法であって、
前記非受信期間後の受信期間において、受信したタイムスロットに含まれる同期ワードの終了タイミングでシンボル同期を行うとともに、一つ前の受信期間後からのタイムスロット数とその間のシンボル数をカウントしたシンボルカウント値とに基づいて、シンボルクロック周波数を補正するステップと、
前記同期ワードの検出後、補正されたシンボルクロック周波数のシンボルクロックに基づいて、前記同期ワードを検出したタイムスロット期間の受信の終了タイミングを補正するステップと、
を含む、補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、および補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
間欠受信を行う無線通信端末(以下、移動局とも呼ぶ)において、移動局のシンボルクロックと、基地局のシンボルクロックとを同期させる技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、待ち受け時の消費電力を低く抑えつつ、受信性能を向上させた移動体通信端末の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平08-307304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、ユニークワードを検出するタイミングのずれにより次のスロットにおけるユニークワードの検出期間の長さが設定される。しかしながら、同期ずれの検出および補正を行うスロットでの受信期間の長さが適正でないため、同期ずれの検出を行うスロットのデータを復調することができない可能性がある。
【0006】
本発明は、間欠受信における受信期間を適正にすることのできる受信装置、および補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る受信装置は、タイムスロットの受信期間と、前記受信期間後の所定数の連続したタイムスロットの受信を休止する非受信期間とにより間欠受信を行うTDMA方式の受信装置であって、前記非受信期間後の受信期間において、受信したタイムスロットに含まれる同期ワードの終了タイミングでシンボル同期を行うとともに、一つ前の受信期間後からのタイムスロット数とその間のシンボル数をカウントしたシンボルカウント値とに基づいて、シンボルクロック周波数を補正するシンボルクロック制御部と、前記同期ワードの検出後、補正されたシンボルクロック周波数のシンボルクロックに基づいて、前記同期ワードを検出したタイムスロット期間の受信の終了タイミングを補正する受信期間制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る補正方法は、タイムスロットの受信期間と、前記受信期間後の所定数の連続したタイムスロットの受信を休止する非受信期間とにより間欠受信を行うTDMA方式の受信装置における補正方法であって、前記非受信期間後の受信期間において、受信したタイムスロットに含まれる同期ワードの終了タイミングでシンボル同期を行うとともに、一つ前の受信期間後からのタイムスロット数とその間のシンボル数をカウントしたシンボルカウント値とに基づいて、シンボルクロック周波数を補正するステップと、前記同期ワードの検出後、補正されたシンボルクロック周波数のシンボルクロックに基づいて、前記同期ワードを検出したタイムスロット期間の受信の終了タイミングを補正するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、間欠受信における受信期間を適正にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る無線通信端末の構成の一例を示すフローチャートである。
図2図2は、シンボルクロック周波数を補正する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[無線通信端末]
図1を用いて、実施形態に係る無線通信端末の構成について説明する。図1は、実施形態に係る無線通信端末の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、無線通信端末1は、アンテナ10と、アンテナ切替部20と、復調回路30と、A/Dコンバータ40と、D/Aコンバータ50と、変調回路60と、制御部70と、を備える。
【0014】
無線通信端末1は、間欠受信動作が可能な無線通信端末である。無線通信端末1は、信号の送信時には、アンテナ切替部20を制御してアンテナ10を変調回路60に接続し、変調回路60の電源を入れて信号の送信を行う。無線通信端末1は、信号の受信時には、アンテナ切替部20を制御してアンテナ10を復調回路30に接続し、復調回路30の電源を入れて信号の受信を行う。具体的には、無線通信端末1は、タイムスロットの受信期間と、受信期間後の所定数の連続したタイムスロットの受信を休止する非受信期間により間欠受信を行うTDMA(Time Division Multiple Access)方式の受信装置としての機能を有する。ただし、無線通信端末1は、間欠受信動作中の非受信区間は復調回路30の電源を切って、省電力動作を行う。
【0015】
アンテナ10は、基地局に対してRF(Radio Frequency)を送信する。アンテナ10は、基地局から送信されたRF信号を受信する。
【0016】
アンテナ切替部20は、制御部70によって制御される。アンテナ切替部20は、制御部70の制御に従って、アンテナ10を復調回路30と変調回路60とのいずれかに接続させる。
【0017】
復調回路30は、アンテナ切替部20で受信したRF信号を復調してアナログ信号を生成する。復調回路30は、生成したアナログ信号をA/Dコンバータ40に出力する。なお、復調回路30は、無線通信端末1が間欠受信動作中の非受信区間では、制御部70によって電源が切られ、省電力動作を行う。復調回路30は、省電力動作中はRF信号の復調は行わない。
【0018】
A/Dコンバータ40は、復調回路30から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ40は、変換したデジタル信号を制御部70の受信フィルタ71に出力する。
【0019】
D/Aコンバータ50は、制御部70の送信フィルタ79から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。D/Aコンバータ50は、変換したアナログ信号を変調回路60に出力する。
【0020】
変調回路60は、D/Aコンバータ50から入力されたアナログ信号を変調してRF信号を生成する。変調回路60は、生成したアナログ信号をアンテナ10に出力する。
【0021】
制御部70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶部に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。すなわち、制御部70は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、本実施形態の無線通信端末1の各機能を実現する。制御部70は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部70は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0022】
制御部70は、受信フィルタ71と、シンボル検出部72と、FEC(Forward Error Correction)デコード部73と、同期ワード検出部74と、シンボルクロック制御部75と、受信期間制御部76と、FECエンコード部77と、シンボル生成部78と、送信フィルタ79と、を備える。制御部70は、無線通信端末1の各部を制御する機能を有する。
【0023】
受信フィルタ71は、A/Dコンバータ40から入力されたデジタル信号に含まれる不要な帯域の信号成分を除去する。受信フィルタ71は、不要な帯域の信号成分が除去されたデジタル信号をシンボル検出部72および同期ワード検出部74に出力する。受信フィルタ71が除去する帯域は、任意に設定可能である。
【0024】
シンボル検出部72は、シンボルクロック制御部75の制御に従って、受信フィルタ71から入力されたデジタル信号のシンボル値を判定する。具体的には、シンボル検出部72は、シンボルクロック制御部75から入力されるシンボルクロックのタイミングでシンボル値を判定する。シンボル検出部72は、判定の結果得られたシンボル値に関するデータをFECデコード部73に出力する。
【0025】
FECデコード部73は、シンボル検出部72から入力されたシンボル値に関するデータに対してFECデコード処理を行う。
【0026】
同期ワード検出部74は、受信フィルタ71から入力されたデジタル信号から同期ワードを検出する。同期ワード検出部74は、同期ワードが検出された場合には、シンボルクロック制御部75に対し、同期ワードが検出されたタイミングに関するタイミング信号を出力する。
【0027】
シンボルクロック制御部75は、無線通信端末1がRF信号を受信するときは、シンボル検出部72に対しシンボルクロックを出力する。シンボルクロック制御部75は、無線通信端末1がRF信号を送信するときは、シンボル生成部78に対しシンボルクロックを出力する。シンボルクロック制御部75は、シンボルクロックごとにカウントを行うシンボルカウンタを内蔵している。シンボルクロック制御部75は、シンボルカウンタにより、シンボルクロックのカウントが前回リセットされてから現在までのシンボル数を計測し、シンボルカウント値を導出する。シンボルクロック制御部75は、無線通信端末1がRF信号を受信時に同期ワード検出部74からタイミング信号が入力された場合には、タイミング信号を基準にして、シンボルクロックの出力タイミングと、シンボルカウンタとのリセットを行う。
【0028】
シンボルクロック制御部75は、シンボルクロックの出力タイミングと、シンボルカウンタとのリセットを行う際に、この時点のシンボルカウント値を参照して、無線通信端末1と基地局との間のシンボルクロックの差分を算出する。シンボルクロック制御部75は、算出したシンボルクロックの差分と、最後に同期ワードが検出されたタイムスロットからのタイムスロット数と、に基づいて、無線通信端末1のシンボルクロック周波数fcを補正する。シンボルクロック周波数fcを補正する方法については後述する。シンボルクロック制御部75は、シンボルクロック周波数の補正結果に関する周波数補正データを、受信期間制御部76に出力する。
【0029】
受信期間制御部76は、同期ワード検出部74による同期ワードの検出後、シンボルクロック制御部75から入力された周波数補正データに基づいて、同期ワードを検出したタイムスロット期間の受信の終了タイミングを補正する。同期ワードを検出したタイムスロット期間の受信の終了タイミングを補正する方法については後述する。受信期間制御部76は、補正された終了タイミングに関するタイミング補正データをFECデコード部73に出力する。
【0030】
FECエンコード部77は、基地局に送信する送信データに対してFECエンコード処理を行う。FECエンコード部77は、FECエンコードされた送信データをシンボル生成部78に出力する。
【0031】
シンボル生成部78は、FECエンコード部77から入力されたFECエンコードされた送信データをシンボル値に変換する。シンボル生成部78は、シンボル値に関する信号を、シンボルクロック制御部75から入力されるシンボルクロックのタイミングで、送信フィルタ79に出力する。
【0032】
送信フィルタ79は、シンボル生成部78から入力されたシンボル値に関する信号に含まれる不要な帯域の信号成分を除去する。送信フィルタ79は、不要な帯域の信号成分が除去された信号をD/Aコンバータ50に出力する。送信フィルタ79が除去する帯域は、任意に設定可能である。
【0033】
[シンボルクロック周波数の補正処理]
図2を用いて、実施形態に係るシンボルクロック周波数fcを補正する処理について説明する。図2は、シンボルクロック周波数fcを補正する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【0034】
図2に示すタイミングチャートには、基地局の送信タイミングと、無線通信端末1の受信タイミングと、無線通信端末1の間欠受信周期と、基地局のシンボルクロックと、無線通信端末1のシンボルクロックが示されている。
【0035】
期間T1は、基地局圏内に存在する無線通信端末1の、間欠受信動作における非受信区間を示している。期間T1では、無線通信端末1は、復調回路30の電源を切って省電力動作をしている。期間T1では、基地局のシンボルクロックと、無線通信端末1のシンボルクロックとは、同期していない。
【0036】
時点t1は、無線通信端末1の間欠受信の非受信区間が終わり、受信区間が開始するタイミングを示している。時点t1のタイミングで、無線通信端末1は、復調回路30の電源を入れて、受信信号の復調が可能な状態にする。時点t1から受信区間が終了するタイミングまでの間、シンボル検出部72は、シンボルクロック制御部75から入力されるシンボルクロックごとに1シンボルのデータを出力する。FECデコード部73は、所定のシンボル数が入力されると入力されたデータに対してFECデコード処理を実行する。
【0037】
時点t2は、無線通信端末1が同期ワードの最後のシンボルを受信するタイミングを示している。時点t2では、基地局側のタイムスロットである送信スロット80と、無線通信端末1のタイムスロットである受信スロット90とのタイミングは一致している。そのため、時点t2では、無線通信端末1が同期ワード81の最終シンボルを受信するタイミングと、基地局が同期ワード81の最終シンボルを送信するタイミングとは一致している。ここでは、同期ワード検出部74は、同期ワードの検出のタイミングに関するタイミング信号をシンボルクロック制御部75に出力する。シンボルクロック制御部75は、同期ワード検出部74から入力されたタイミング信号従って、無線通信端末1のシンボルクロックの出力タイミングと、シンボルカウンタのリセットを行う。本実施形態では、シンボルクロックの出力タイミングと、シンボルカウンタのリセットを行う処理のことをシンボル同期と呼ぶこともある。この瞬間は、基地局と、無線通信端末1とのシンボルクロックが一致する。
【0038】
時点t3は、無線通信端末1の間欠受信の受信区間が終了し、非受信区間が開始するタイミングを示している。時点t3のタイミングで、無線通信端末1は、復調回路30の電源を切って、省電力動作を開始する。
【0039】
時点t4は、無線通信端末1の間欠受信の受信区間が終了し、再び受信区間を開始するタイミングを示している。時点t4のタイミングで、無線通信端末1は、復調回路30の電源を入れて、受信信号の復調が可能な状態にする。すなわち、図2に示す例では、受信スロット90が4個で1周期となる。時点t4から受信区間が終了するタイミングまでの間、シンボル検出部72は、シンボルクロック制御部75から入力されるシンボルクロックごとに1シンボルのデータを出力する。しかしながら、無線通信端末1は、シンボルクロック制御部75の内部の発振器に基づくシンボルクロックを基準に受信区間を開始した結果、受信スロットと、基地局の送信スロットとのタイミングがずれてしまう。そのため、シンボル検出部72は、所望の結果を出力することができなくなる。
【0040】
時点t5は、無線通信端末1が同期ワードの最終シンボルを受信するタイミングを示している。しかしながら、基地局の送信スロット80と、無線通信端末1の受信スロット90とのタイミングがずれているため、無線通信端末1が同期ワード81の最終シンボルを受信するタイミングと、送信局が同期ワード81の最終シンボルを送信するタイミングともずれている。そのため、時点t5においては、同期ワード検出部74は、同期ワードを検出するタイミングを示すタイミング信号を出力しない。
【0041】
時点t6は、基地局が同期ワードの最終シンボルを送信するタイミングを示している。時点t6のタイミングで、同期ワード検出部74は、同期ワードを検出し、タイミング信号をシンボルクロック制御部75に出力する。そして、シンボルクロック制御部75は、時点t2と同様に、無線通信端末1のシンボルクロックの出力タイミングと、シンボルカウンタのリセットを行う。
【0042】
時点t6では、シンボルクロック制御部75は、無線通信端末1のシンボルクロック周波数を補正する。具体的には、シンボルクロック制御部75は、時点t6におけるシンボル数のカウント値を参照することで、無線通信端末1と、基地局と間のシンボルクロック数の差分を算出し、算出した差分の結果と、最後に同期ワードが検出されたタイムスロットからのタイムスロット数と、に基づいて、シンボルクロック周波数を補正する。例えば、図2に示す通信のフォーマットでは1つのタイムスロットのシンボル数を10としている。図2に示す例のように、4スロット周期で同期ワードを検出する瞬間にシンボルクロック制御部75のシンボルカウンタは本来40となる。
【0043】
ここで、シンボル検出部72は、4スロット分のシンボル数を41と検出したとする。これは、無線通信端末1の1周期におけるシンボルクロックが、基地局のシンボルクロックよりも1シンボル分早い、つまりシンボルクロック周波数fcが高いことを意味する。シンボルクロック制御部75は、この差分の値を元に、シンボルクロック周波数を補正する。この場合、シンボルクロック制御部75は、1周期におけるシンボルクロック数を1シンボル分遅らせるようシンボルクロック周波数に設定する。つまり、シンボルクロック周波数fcを(補正前のシンボルクロック周波数×(1周期のシンボルクロック数-シンボルクロック数の差分)÷1周期のシンボルクロック数)とする。これにより、無線通信端末1のシンボルクロック周波数fcを基地局のシンボルクロック周波数と同期させることができる。なお、図2に示す例では、説明の簡単のため、1つのタイムスロットに含まれるシンボルの数は10であるものとして説明したが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。1つのタイムスロットに含まれるシンボルの数は、任意であってよい。
【0044】
時点t7では、無線通信端末1の間欠受信の受信区間が終了し、非受信区間が開始するタイミングを示している。時点t7のタイミングで、無線通信端末1は、復調回路30の電源を切って、省電力動作を開始する。また、同期ワードの終了タイミングから受信スロットの終了タイミングまでのシンボルクロック数は、既知である。時点t7のタイミングでは、無線通信端末1のシンボルクロック周波数fcは、基地局のシンボルクロック周波数と同期されている。これは、受信期間制御部76が、同期ワードの検出後、シンボルクロック制御部75によって補正されたシンボルクロックに基づいて、同期ワードを検出した受信スロット90の受信の終了タイミングを補正したためである。そのため、無線通信端末1が同期ワード81の最終シンボルを受信するタイミングと、送信局が同期ワード81の最終シンボルを送信するタイミングとも一致している。これにより、時点t7以降は、基地局のシンボルクロック周波数と、無線通信端末1との周波数は同期する。言い換えれば、受信期間制御部76は、同期ワードを検出した受信スロット90以降の受信開始タイミングおよび受信終了タイミングを補正する。
【0045】
時点t8は、無線通信端末1の間欠受信の受信区間が終了し、再び受信区間を開始するタイミングを示している。時点t8のタイミングで、無線通信端末1は、復調回路30の電源を入れて、受信信号の復調が可能な状態にする。時点t8のタイミングでは、無線通信端末1のシンボルクロック周波数は、基地局のシンボルクロック周波数と同期されている。そのため、無線通信端末1が同期ワード81の先頭シンボルを受信するタイミングと、送信局が同期ワード81の先頭シンボルを送信するタイミングとも一致している。つまり、無線通信端末1の間欠受信の非受信区間から受信区間への移行タイミングと、基地局が送信スロットの先頭シンボルを送信するタイミングとが一致する。
【0046】
また、本実施形態において、補正前の無線通信端末1のシンボルクロック周波数は、基地局のシンボルクロック周波数よりも高く設定されていることが好ましい。これは、例えば、時点t4のタイミングに示すように、無線通信端末1の受信スロットの先頭は、基地局の対応する送信スロットの先頭よりも前に位置している。これより、無線通信端末1は、同期ワード81の先頭のシンボルから受信することができるので、より適切にシンボルクロック周波数を補正することができる。
【0047】
上述のとおり、本実施形態は、基地局のシンボルクロック周波数と、無線通信端末1のシンボルクロック周波数を同期させる。これにより、本実施形態は、無線通信端末1の間欠受信の非受信区間から受信区間への移行タイミングと、基地局が送信スロットの先頭シンボルのタイミングが一致する。これにより、本実施形態は、間欠受信委おける受信期間を適正にすることができる。
【0048】
本実施形態では、基地局のシンボルクロック周波数と、無線通信端末1のシンボルクロック周波数を同期させるために、無線通信端末1を早めに電源を入れる必要がない。また、本実施形態では、非受信区間から受信区間に移行した瞬間に、基地局から送信された送信スロットの先頭シンボルの受信が開始される。これにより、本実施形態は、無線通信端末1を省電力で動作させる時間を長くすることができるので、電力消費を抑制することができる。
【0049】
[変形例]
次に、本実施形態に係る変形例について説明する。
【0050】
本実施形態では、シンボルクロック制御部75は、2点の間の1つの受信区間において、設定されたシンボル数と、測定されたシンボル数の差分を算出に基づいてシンボルクロック周波数を補正したが、本発明は、これに限定されない。シンボルクロック制御部75は、シンボルクロック周波数を(補正前のシンボルクロック周波数×シンボルカウント数÷1周期のシンボルクロック数)としてもよい。また、シンボルクロックの補正後等で、シンボル数の差分が極めて小さい場合、補正を行う受信区間を例えば現状の4タイムスロットから、2倍の8スロットといったように次に補正を行うまでの期間を延長して、シンボルクロック周波数を補正してもよい。
【0051】
無線通信端末1は、電源を投入するたびに上述のとおりのシンボルクロック周波数の補正を行ってもよいし、1度補正を行ったらその補正値を無線通信端末1の内部のメモリに保存し、2回目の補正を以降はそれを用いて補正を行ってもよい。具体的には、1度補正が行われた後に、無線通信端末1の電源が投入された際には、シンボルクロック制御部75は、メモリに記憶された補正値を読み出してシンボルクロック周波数を補正してもよい。つまり、無線通信端末1は、シンボルクロック周波数を補正した状態で、基地局からの信号の受信を開始してもよい。
【0052】
本実施形態では、基地局は1つであるものとして説明したが、本実施形態は、複数の基地局を有する無線通信システムにおいても適用することができる。例えば、複数の基地局を有する無線通信システムおいて、基地局間のシンボルクロック周波数が同期していない場合、無線通信端末1は、ある基地局から別の基地局へ移動した際は、実施形態に係る方法により、再度、シンボルクロック周波数を補正してよい。また、1度補正を行ったらその補正値を基地局ごとに無線通信端末1の内部のメモリに保存し、2回目の補正を以降はそれを用いて補正を行ってもよい。そして、1度補正が行われた後に、無線通信端末1の電源が投入された際には、シンボルクロック制御部75は、メモリに記憶された基地局ごとの補正値を読み出してシンボルクロック周波数を補正してもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 無線通信端末
10 アンテナ
20 アンテナ切替部
30 復調回路
40 A/Dコンバータ
50 D/Aコンバータ
60 変調回路
70 制御部
71 受信フィルタ
72 シンボル検出部
73 FECデコード部
74 同期ワード検出部
75 シンボルクロック制御部
76 受信期間制御部
77 FECエンコード部
78 シンボル生成部
79 送信フィルタ
図1
図2