IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特許7447601画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム
<>
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図1
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図2
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図3
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図4
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図5
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図6
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図7
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図8
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図9
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図10
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図11
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図12
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図13
  • 特許-画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240305BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 386
G03G21/00 376
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020053272
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152606
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】志村 洋
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-197788(JP,A)
【文献】特開2019-025688(JP,A)
【文献】特開2019-107774(JP,A)
【文献】特開2019-111758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/01
G03G 13/054
G03G 13/20
G03G 13/22
G03G 13/24
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/01
G03G 15/054
G03G 15/20
G03G 15/22
G03G 15/24 -15/32
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/16 -21/18
B41J 29/00 -29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に画像を印刷する画像形成部と、
両面印刷のために前記印刷媒体の表裏を反転させる用紙反転経路と、
前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させて、テストチャートを前記印刷媒体の両面に印刷して画像位置を調整する制御部と、を有し、
前記制御部は、画像が印刷されている前記印刷媒体へ印刷を行う追い刷りモードの設定時に、前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させずに、前記印刷媒体の片面で画像位置の調整を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記追い刷りモードの設定時、片面にのみ印刷を行う片面モードを設定して、前記テストチャートを片面にのみ印刷させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
操作画面を表示するとともに、ユーザーからの入力を受け付ける操作表示部を有し、
前記制御部は、用紙種類を選択するための画面に前記追い刷りモードへの切り替えの入力を受け付ける機能を持たせて、当該用紙種類を選択するための画面を前記操作表示部へ表示させ、当該用紙種類を選択するための画面から、前記追い刷りモードへの切り替えの入力があった場合に、前記追い刷りモードへ切り替える、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
あらかじめ前記印刷媒体の印刷条件が登録された印刷媒体プロファイルを記憶した記憶部と、
前記印刷媒体がセットされる給紙トレイと、を有し、
前記制御部は、箔押しの印刷条件が登録された前記印刷媒体プロファイルが、前記給紙トレイに適用された場合に、前記追い刷りモードへ切り替える、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記追い刷りモードが設定されている場合と、前記追い刷りモードが設定されていない場合で、異なるテストチャートを用いて画像位置の調整を実行する、請求項1~4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記追い刷りモードが設定されている場合のテストチャートとして、前記印刷媒体の四隅に十字形のトンボを印刷させ、
前記追い刷りモードが設定されていない場合のテストチャートとして、前記印刷媒体の四辺のそれぞれに沿った直線を印刷させる、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記追い刷りモードが設定されている場合、前記印刷媒体の四隅に印刷された前記トンボを使って、画像の位置および倍率を補正する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
印刷媒体または箔押しされた印刷媒体に画像を印刷する画像形成部と、
両面印刷のために前記印刷媒体の表裏を反転させる用紙反転経路と、
前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させて、テストチャートを前記印刷媒体の両面に印刷して画像位置を調整する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記箔押しされた印刷媒体へ印刷を行う時に、前記用紙反転経路へ前記箔押しされた印刷媒体を通過させずに、前記箔押しされた印刷媒体の片面で画像位置の調整を実行する、画像形成装置。
【請求項9】
印刷媒体に画像を印刷する画像形成部と、
両面印刷のために前記印刷媒体の表裏を反転させる用紙反転経路と、を有し、
前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させて、テストチャートを前記印刷媒体の両面に印刷して画像位置を調整する画像形成装置の制御プログラムであって、
画像が印刷されている前記印刷媒体へ印刷を行う追い刷りモードを設定する段階と、
追い刷りモードを設定されることで、前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させずに、前記印刷媒体の片面で画像位置の調整を実行する段階と、をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【請求項10】
前記追い刷りモードを設定する段階の後、片面にのみ印刷を行う片面モードを設定して、前記テストチャートを片面にのみ印刷させる段階を前記コンピューターに実行させるための、請求項に記載の制御プログラム。
【請求項11】
前記画像形成装置は、操作画面を表示するとともに、ユーザーからの入力を受け付ける操作表示部を有し、
用紙種類を選択するための画面に前記追い刷りモードへの切り替えの入力を受け付ける機能を持たせて、当該用紙種類を選択するための画面を前記操作表示部へ表示させる段階と、
前記用紙種類を選択するための画面から、前記追い刷りモードへの切り替えの入力を受け付け、前記追い刷りモードへ切り替える段階を前記コンピューターに実行させるための、請求項または10に記載の制御プログラム。
【請求項12】
前記画像形成装置は、あらかじめ前記印刷媒体の印刷条件が登録された印刷媒体プロファイルを記憶した記憶部と、
前記印刷媒体がセットされる給紙トレイと、を有し、
箔押しの印刷条件が登録された前記印刷媒体プロファイルが、前記給紙トレイに適用された場合に、前記追い刷りモードへ切り替える段階を前記コンピューターに実行させるための、請求項または10に記載の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
箔押し印刷の技術は、トナー画像が形成された用紙を、箔と重ねて加熱および加圧して、トナー画像に箔を転写する。箔押しは、商材を豪華に装飾するための付加価値印刷であるため、高級なものに適用される。さらに、箔押し印刷後、箔の上から画像を印刷する技術もある。すでに画像が印刷された用紙に、さらに画像を印刷する技術は、追い刷り印刷と称される。
【0003】
箔押し後に追い刷り印刷を行う場合は、箔画像と追い刷り画像との位置ずれに注意が必要である。箔押し後の追い刷り印刷では、箔画像と追い刷り画像との間で、わずかなずれがあっても、かなり目立ってしまい、商材として成立しない。このため、追い刷り印刷では、先に印刷された先刷り画像と後から印刷される追い刷り画像との位置調整が重要である。
【0004】
従来、先刷り画像と追い刷り画像との位置ずれを補正するために、特許文献1の印刷装置は、先刷り印刷時と追い刷り印刷時に、互いに基準線の異なるテストチャートを印刷して、今後印刷される画像の位置を調整している。これにより、特許文献1では、先刷り印刷時のテストチャートと追い刷り印刷時のテストチャートが重なってしまうことを防止し、位置補正用のテストチャートを確実に読み取れるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-115996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、商用印刷機および箔押し後の用紙への追い刷り印刷について考慮されていない。
【0007】
商用印刷機では、位置補正は必ず両面にて行われる。これは、商用印刷物は、ほとんど両面印刷されるためである。このため、商用印刷機では、位置補正用のテストチャートも両面に印刷される。したがって、特許文献1の技術を商用印刷機に適用する場合では、先刷り時も追い刷り時も、用紙の両面に位置補正用のテストチャートが印刷される。
【0008】
一方、箔押し後の用紙は、両面印刷のための用紙反転経路を通過すると、箔が剥がれて、トラブルの原因になる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、箔押しされた用紙から箔が剥がれないように、箔押し後の用紙に対する画像位置の調整を行うことができる画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記の目的は、下記の手段によって達成される。
【0011】
(1)印刷媒体に画像を印刷する画像形成部と、
両面印刷のために前記印刷媒体の表裏を反転させる用紙反転経路と、
前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させて、テストチャートを前記印刷媒体の両面に印刷して画像位置を調整する制御部と、を有し、
前記制御部は、画像が印刷されている前記印刷媒体へ印刷を行う追い刷りモードの設定時に、前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させずに、前記印刷媒体の片面で画像位置の調整を実行する、画像形成装置。
【0012】
(2)前記制御部は、前記追い刷りモードの設定時、片面にのみ印刷を行う片面モードを設定して、前記テストチャートを片面にのみ印刷させる、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0013】
(3)操作画面を表示するとともに、ユーザーからの入力を受け付ける操作表示部を有し、
前記制御部は、用紙種類を選択するための画面に前記追い刷りモードへの切り替えの入力を受け付ける機能を持たせて、当該用紙種類を選択するための画面を前記操作表示部へ表示させ、当該用紙種類を選択するための画面から、前記追い刷りモードへの切り替えの入力があった場合に、前記追い刷りモードへ切り替える、上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0014】
(4)あらかじめ前記印刷媒体の印刷条件が登録された印刷媒体プロファイルを記憶した記憶部と、
前記印刷媒体がセットされる給紙トレイと、を有し、
前記制御部は、箔押しの印刷条件が登録された前記印刷媒体プロファイルが、前記給紙トレイに適用された場合に、前記追い刷りモードへ切り替える、上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0015】
(5)前記制御部は、
前記追い刷りモードが設定されている場合と、前記追い刷りモードが設定されていない場合で、異なるテストチャートを用いて画像位置の調整を実行する、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【0016】
(6)前記制御部は、
前記追い刷りモードが設定されている場合のテストチャートとして、前記印刷媒体の四隅に十字形のトンボを印刷させ、
前記追い刷りモードが設定されていない場合のテストチャートとして、前記印刷媒体の四辺のそれぞれに沿った直線を印刷させる、上記(5)に記載の画像形成装置。
【0017】
(7)前記制御部は、
前記追い刷りモードが設定されている場合、前記印刷媒体の四隅に印刷された前記トンボを使って、画像の位置および倍率を補正する、上記(6)に記載の画像形成装置。
(8)印刷媒体または箔押しされた印刷媒体に画像を印刷する画像形成部と、
両面印刷のために前記印刷媒体の表裏を反転させる用紙反転経路と、
前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させて、テストチャートを前記印刷媒体の両面に印刷して画像位置を調整する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記箔押しされた印刷媒体へ印刷を行う時に、前記用紙反転経路へ前記箔押しされた印刷媒体を通過させずに、前記箔押しされた印刷媒体の片面で画像位置の調整を実行する、画像形成装置。
【0018】
)印刷媒体に画像を印刷する画像形成部と、
両面印刷のために前記印刷媒体の表裏を反転させる用紙反転経路と、を有し、
前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させて、テストチャートを前記印刷媒体の両面に印刷して画像位置を調整する画像形成装置の制御プログラムであって、
画像が印刷されている前記印刷媒体へ印刷を行う追い刷りモードを設定する段階と、
追い刷りモードを設定されることで、前記用紙反転経路へ前記印刷媒体を通過させずに、前記印刷媒体の片面で画像位置の調整を実行する段階と、をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【0019】
10)前記追い刷りモードを設定する段階の後、片面にのみ印刷を行う片面モードを設定して、前記テストチャートを片面にのみ印刷させる段階を前記コンピューターに実行させるための、上記()に記載の制御プログラム。
るための制御プログラム。
【0020】
11)前記画像形成装置は、操作画面を表示するとともに、ユーザーからの入力を受け付ける操作表示部を有し、
用紙種類を選択するための画面に前記追い刷りモードへの切り替えの入力を受け付ける機能を持たせて、当該用紙種類を選択するための画面を前記操作表示部へ表示させる段階と、
前記用紙種類を選択するための画面から、前記追い刷りモードへの切り替えの入力を受け付け、前記追い刷りモードへ切り替える段階と、を前記コンピューターに実行させるための、上記()または(10)に記載の制御プログラム。
【0021】
12)前記画像形成装置は、あらかじめ前記印刷媒体の印刷条件が登録された印刷媒体プロファイルを記憶した記憶部と、
前記印刷媒体がセットされる給紙トレイと、を有し、
箔押しの印刷条件が登録された前記印刷媒体プロファイルが、前記給紙トレイに適用された場合に、前記追い刷りモードへ切り替える段階を前記コンピューターに実行させるための、上記()または(10)に記載の制御プログラム。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、画像が印刷されている用紙へ印刷を行う追い刷りモードの設定時に、用紙反転経路に用紙を通過させずに、用紙の片面で画像位置の調整を実行することとした。このため、箔押し後の用紙は、用紙反転経路を通過しないので、画像位置の調整の際に箔押しされた用紙から箔が剥がれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示す概略図である。
図2】画像形成装置の内部の構成を示す概略図である。
図3】制御系の構成を示すブロック図である。
図4】箔押し印刷の処理手順を示すフローチャートである。
図5】初期画面を説明するための説明図である。
図6】表裏調整画面を説明するための説明図である。
図7】両面モード時のテストチャートを説明するための説明図である。
図8】追い刷り印刷の処理手順を示すフローチャートである。
図9】用紙設定画面を説明するための説明図である。
図10】用紙プロファイル画面を説明する説明図である。
図11】追い刷り印刷時に表示させる表裏調整画面を説明するための説明図である。
図12】個別設定変更画面を説明する説明図である。
図13】追い刷りモード時のテストチャートを説明するための説明図である。
図14】箔押し後の用紙へ両面モード時のテストチャートを印刷した場合を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法の比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
(画像形成システム)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示す概略図である。
【0026】
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置10、および箔押し装置20を備える。
【0027】
画像形成装置10は、箔押し用の画像を印刷する。この印刷を箔押し印刷と称する。箔押し印刷では、トナー画像が印刷媒体である用紙P1に印刷され、画像が形成された印刷物P2が出力される。印刷物P2の各用紙に形成された画像は、箔の転写対象となる。
【0028】
印刷物P2は、ユーザーによって手作業で運搬され、箔押し装置20にセットされる。
【0029】
箔押し装置20は、印刷物P2を、たとえばロール状に巻かれた箔と重ねて加熱および加圧する。加熱および加圧により溶融したトナーは、接着剤となって画像に箔が転写される。箔押し装置20は、箔が転写された印刷物P3を出力する。
【0030】
画像形成装置10は、印刷物P3に、さらに画像を追い刷り印刷する。このために、印刷物P3は、ユーザーによって手作業で運搬され、画像形成装置10にセットされる。画像形成装置10は、印刷物P3に画像を追い刷り印刷する。画像形成装置10は、箔画像の上にさらに画像が印刷された印刷物P4を出力する。
【0031】
なお、本実施形態では、追い刷り印刷を行う画像形成装置10は、箔押しのための画像(箔押し画像という)を印刷した画像形成装置10と同じものを使用する。しかし、追い刷り印刷を行う画像形成装置10として、箔押し画像を印刷した画像形成装置10と異なるものが使用されてもよい。
【0032】
(画像形成装置)
図2は、画像形成装置10の内部の構成を示す概略図である。図3は、制御系の構成を示すブロック図である。
【0033】
画像形成装置10は、給紙部11、画像形成部12、コピアスキャナー部13、操作表示部14、フィニッシャー(FNS(Finisher))スキャナー部16、インサーター17、および後処理部18を有する。後処理部18の下流には、排紙トレイ19が取り付けられている。
【0034】
給紙部11は、複数の給紙トレイを有し、用紙を収納する。本実施形態の給紙部11は、用紙としてカット紙を収納する。給紙部11は、用紙を搬送する搬送経路101へ供給する。搬送経路101は、複数のローラーを有し、給紙部11から、画像形成部12、FNSスキャナー部16を経て排紙トレイ19まで続いている。
【0035】
画像形成部12は、周知の電子写真方式により用紙に画像を形成(印刷)する。画像形成部12は、トナー画像を用紙に転写する画像形成エンジン1202と、トナー画像を定着させる定着部1203を有する。
【0036】
画像形成エンジン1202は、周知のタンデム型である。画像形成エンジン1202は、感光体ドラムおよびトナーユニットを色ごとに有する。
【0037】
画像形成部12内には、両面印刷のために、用紙の表裏を反転させる用紙反転経路102を有する。用紙反転経路102は、搬送経路101よりも曲率半径の小さな屈曲部がある。このため、画像形成装置10では、箔押し後の用紙が用紙反転経路102を通過すると、箔が剥がれるおそれがある。
【0038】
操作表示部14は、液晶表示装置(図示LCD(Liquid Crystal Display)141)を有する。LCD141は、たとえば、タッチセンサー付きが好ましい。タッチセンサーに代えて、その他のキー入力装置が設けられていてもよい。
【0039】
FNSスキャナー部16は、印刷後の用紙を読み取る。FNSスキャナー部16は、画像形成部12の下流側に位置する。FNSスキャナー部16は、搬送経路101において、用紙の上面を読み取る第1イメージセンサー1601と、用紙の下面を読み取る第2イメージセンサー1602を有する。第1イメージセンサー1601および第2イメージセンサー1602は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーである(図示CCD1601、1602)
インサーター17は、画像形成部の下流において、他の用紙を挿入する。後処理部18は、パンチ、ステープル、紙折などの後処理を実行する。なお、インサーター17および後処理部18はなくてもよい。
【0040】
画像形成装置10の制御系は、図3に示すように、画像処理部15(プリント&スキャナーコントローラー)、および制御ブロック部110を有する。画像処理部15および制御ブロック部110は、画像形成部12の筐体内に収納されている。制御ブロック部110は、画像形成部12とは別に設けられたプリンターコントローラー(不図示)であってもよい。
【0041】
給紙部11は、給紙制御部1101を有する。給紙制御部1101は、画像制御CPU111(後述)とシリアル通信により接続されており、画像制御CPU111による制御を受ける。給紙制御部1101は、画像制御CPU111からの指令により画像形成部12へ用紙を供給する。
【0042】
画像形成部12は、電子写真方式により用紙に画像を形成(印刷)する。画像形成部12は、プリンター制御部1201、画像形成エンジン1202(図3では「エンジン」)、および定着部1203を有する。プリンター制御部1201は、画像制御CPU111とシリアル通信により接続されており、画像制御CPU111による制御を受ける。プリンター制御部1201は、書き込み処理部(後述)からの信号により画像形成エンジン1202を駆動し、用紙上に未定着トナー画像を形成させる。プリンター制御部1201は、定着部1203を駆動して、用紙に形成された未定着トナー画像を加熱加圧して定着させる。
【0043】
コピアスキャナー部13は、イメージセンサー131、およびコピアスキャナー制御部132を有する。イメージセンサー131は、たとえばCCDイメージセンサーである(図示CCD131)。
【0044】
コピアスキャナー制御部132は、画像制御CPU111とシリアル通信により接続されており、画像制御CPU111による制御を受ける。コピアスキャナー制御部132は、イメージセンサー131で読み取らせた画像データを、読み取り処理部(後述)へ送信する。
【0045】
操作表示部14は、LCD141および操作部制御部142を有する。操作部制御部142は、画像制御CPU111とシリアル通信により接続されており、画像制御CPU111による制御を受ける。操作部制御部142は、LCD141のタッチセンサーから、画像形成に係る設定や動作指令などの入力を受け付ける。また、操作部制御部142は、箔押し印刷および箔押し後の追い刷り印刷における画像位置の調整に必要な入力を受け付ける。入力された内容は、操作部制御部142から画像制御CPU111へ送られて、不揮発性メモリー113などに記憶される。
【0046】
画像処理部15は、外部機器(PC)200との間で入出力される画像データを処理する。外部端末は、たとえば、コンピューターである。コンピューターは、パーソナルコンピューター(PC(Personal Computer))、タブレット型コンピューター、スマートフォンなどである。
【0047】
画像処理部15は、コントローラー制御CPU(Central Processing Unit)151、DRAM(Dynamic Random Access Memory)制御IC(Integrated Circuit)152、画像メモリー153、およびLANIF(Local Area Network Interface)部154を有する。画像処理部15では、コントローラー制御CPU151に、DRAM制御IC152およびLANIF部154が接続されている。
【0048】
DRAM制御IC152には画像メモリー153が接続されている。画像メモリー153はDRAMである。LANIF部154には、有線または無線により外部機器200が接続される。有線または無線の接続は、イーサネット(登録商標)、インターネットなどを介して行われる。
【0049】
画像処理部15では、LANIF部154を介して外部機器200から受信した画像データをDRAM制御IC152に転送する。DRAM制御IC152は、コントローラー制御CPU151の制御を受けて、画像メモリー153に受信した画像を一旦記憶する。本実施形態では、たとえば、箔押し印刷のための画像、追い刷り印刷のための画像、およびテストチャートの画像などが、外部機器200から受信されて、記憶される。
【0050】
FNSスキャナー部16は、2つのイメージセンサー(図示CCD1601、1602)、およびFNSスキャナー制御部162を有する。FNSスキャナー制御部162は、画像制御CPU111とシリアル通信により接続されており、画像制御CPU111による制御を受ける。FNSスキャナー制御部162は、画像形成部12によって印刷されて、搬送されている用紙から、第1イメージセンサー1601および第2イメージセンサー1602に画像を読み取らせる。FNSスキャナー制御部162は、第1イメージセンサー1601および第2イメージセンサー1602で読み取らせた画像を画像制御CPU111へ送信する。
【0051】
FNSスキャナー部16は、カラー印刷におけるカラーパッチの読み取りなど、画像形成部12により印刷された画像の読み取りに利用される。また、FNSスキャナー部16は、テストチャートの読み取りにも利用される。
【0052】
制御ブロック部110は、画像制御CPU111、DRAM制御IC112、不揮発性メモリー113、読み込み処理部114、書き込み処理部115、圧縮IC116、伸長IC117、および画像メモリー120を有する。制御ブロック部110は、コンピューターである。
【0053】
画像制御CPU111は、給紙制御部1101、プリンター制御部1201、コピアスキャナー制御部132、操作部制御部142、およびFNSスキャナー制御部162とシリアル通信により接続されている。
【0054】
画像制御CPU111には、DRAM制御IC112が接続されている。画像制御CPU111には、不揮発性メモリー113が接続されている。不揮発性メモリー113は、記憶部である。不揮発性メモリー113は、画像形成のためのプログラム、設定データ、画像形成のためのパラメーター等が記憶される。本実施形態では、後述する処理手順に制御プログラムも不揮発性メモリー113に記憶されている。また、操作表示部14を通して入力された設定なども不揮発性メモリー113に記憶される。
【0055】
画像制御CPU111は、通常の画像形成(印刷)に係る動作の制御と含む、画像処理全般について制御する。また、画像制御CPU111は、本実施形態における、箔押し印刷および箔押し後の追い刷り印刷における位置調整の処理も実行する。
【0056】
DRAM制御IC112は、画像メモリー120に接続されている。画像メモリー120はDRAMである。画像メモリー120は、画像データの記憶領域であり、印刷するジョブの画像データを格納する。画像メモリー120は、圧縮メモリー121とページメモリー122の領域が確保されている。画像メモリー120には、コピアスキャナー部13で取得した画像データやLANIF部を通して取得した画像データが記憶される。また、DRAM制御IC112は、複数のジョブの画像データを画像メモリー120に記憶させる。DRAM制御IC112は、画像メモリー120には予約された複数のジョブの画像データを記憶させる。
【0057】
DRAM制御IC112には、画像データを圧縮する圧縮IC116を介して読み取り処理部が接続され、画像データを伸長する伸長IC117を介して、書き込み処理部115が接続されている。
【0058】
DRAM制御IC112は、画像処理部15内のDRAM制御IC152とPCIバスなどにより接続されている。
【0059】
画像形成(印刷)動作は、以下のように行われる。
【0060】
コピアスキャナー部13で読み取られた画像の場合は、読み取り処理部によってデジタルの画像データに変換され、さらに圧縮IC116によって圧縮されてDRAM制御IC112に渡される。DRAM制御IC112は、圧縮された画像データを画像メモリー120の圧縮メモリー121へ記憶させる。
【0061】
DRAM制御IC112は、圧縮メモリー121に記憶されている画像データを読み出し、伸長IC117によって伸長させて、書き込み処理部115へ渡す。書き込み処理部115は、伸長された画像データに基づいてLDを駆動する。このとき、給紙制御部1101およびプリンター制御部1201は、所定のタイミングで用紙を供給、搬送し、用紙に、未定着トナー画像を形成させ、定着部1203によって加熱、加圧されることで、画像が形成される。
【0062】
また、外部機器200から受信した画像データの場合は、画像処理部15内のDRAM制御IC152が、画像メモリー153から、一時記憶されている画像データを読み出して、DRAM制御IC112へ渡す。DRAM制御IC112は、DRAM制御IC152から画像データを受け取って圧縮メモリー121またはページメモリー122へ記憶させる。
【0063】
DRAM制御IC112は、画像メモリー120から画像データを読み出して、伸長IC117を介して、書き込み処理部115へ渡し、上記コピアスキャナー部13で読み取った画像の場合と同様に画像が形成される。
【0064】
(処理)
箔押し印刷および箔押し後の追い刷り印刷における画像位置の調整の処理について説明する。箔押し印刷および箔押し後の追い刷り印刷における画像位置の調整の処理は、以下に説明する処理手順に基づいて作成された画像形成装置の制御プログラムが画像制御CPU111により実行されることで行われる。
【0065】
まず、箔押し印刷の処理手順を説明する。箔押し印刷は、箔を付けるための接着剤となるトナー画像の印刷である。図4は、箔押し印刷の処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
まず、ユーザーにより用紙がセットされる(S101)。セットされる用紙は、たとえば、白紙または色紙などの画像が形成されていない無地用紙である。また、セットされる用紙は、無地用紙に限定されず、トナー画像以外の画像が形成されていてもよい。
【0067】
画像制御CPU111は、操作表示部14に操作画面を表示して、ユーザーからの入力を受け付ける(S102)。
【0068】
続いて、画像制御CPU111は、ユーザーからの入力に応じて位置調整用画面を表示させる(S103)。
【0069】
ここで、操作表示部に表示させる操作画面の例を説明する。
【0070】
図5は、初期画面を説明するための説明図である。図6は、表裏調整画面を説明するための説明図ある。
【0071】
図5に示すように、初期画面300では、用紙設定ボタン301、表裏調整ボタン302などが表示される。表裏調整が行われる際は、用紙セット(S102)の後、初期画面300から、ユーザーによって表裏調整ボタン302が押される。
【0072】
表裏調整ボタン302が押されることで、操作表示部14には、表裏調整画面が表示される。図6に示すように、表裏調整画面310では、給紙部11にある給紙トレイとしてトレイ1~4および手差しトレイを選択するためのボタンが表示される。表裏調整画面310から、トレイ1ボタン311が押されることで、トレイ1にセットされた用紙に対する表裏調整の内容を示す項目313が表示される。以下、他の画面においても、トレイ1が選択されるものとする。
【0073】
トレイ1にセットされた用紙は、箔押し前の用紙である。したがって、この段階では、表裏調整の内容を示す項目313に、オモテ314およびウラ315の各項目にはそれぞれ補正のための数値が表示される。
【0074】
表裏調整画面310の閉じるボタン312が押されると、画像制御CPU111は、元の初期画面300(図5参照)を表示して、両面モードを設定する(S104)。
【0075】
両面モードは、商用印刷機においては、通常(デフォルト)のモードである。したがって、画像形成装置10は、後述する追い刷りモードよって片面モードに切り替わらない限り、両面モードで使用される。
【0076】
画像制御CPU111は、1枚の用紙の両面にテストチャートを印刷させる(S105)。
【0077】
図7は、両面モード時のテストチャートを説明するための説明図である。図7に示すように、両面モード時のテストチャートは、用紙500の四辺のそれぞれに沿って直線501が印刷される。このような井桁形状のテストチャートは、画像の曲がり、回転、台形歪み、倍率などの補正に用いられる。
【0078】
画像制御CPU111は、両面での画像位置の調整を実行する(S106)。画像制御CPU111は、テストチャートの印刷された用紙の両面をFNSスキャナー部16に読み取らせて、読み取ったテストチャートの画像から、位置調整のための補正値を算出する。補正値は、表裏調整の内容を示す項目313においてオモテ314およびウラ315の各項目に対応する値として算出され、不揮発性メモリー113に記憶される。
【0079】
位置調整実行後、画像制御CPU111は、箔押し印刷を実行する(S107)。このとき、画像制御CPU111は、位置調整の結果を反映させて印刷する。箔押し印刷の画像データは、たとえば、外部機器200から送信された箔押し印刷ジョブのデータである。
【0080】
続いて、画像制御CPU111は、箔押し印刷が全て終了したか否かを判断する(S108)。画像制御CPU111は、全ての印刷が終了していなければ(S108:NO)、S107へ戻り印刷を継続する。画像制御CPU111は、全ての印刷が終了したなら(S108:YES)、箔押し印刷の処理を終了する。
【0081】
箔押し印刷終了後の印刷物は、箔押し装置20へ運搬されて、箔押しされる。箔押し後の印刷物は、さらに画像形成装置10へ運搬されて、追い刷り印刷される。
【0082】
次に、箔押し後の用紙への追い刷り印刷の処理手順を説明する。図8は、追い刷り印刷の処理手順を示すフローチャートである。
【0083】
まず、ユーザーにより用紙がセットされる(S201)。セットされる用紙は、箔押し後の用紙である。
【0084】
画像制御CPU111は、操作表示部14に操作画面を表示して、ユーザーからの入力を受け付ける(S202)。
【0085】
続いて、画像制御CPU111は、追い刷りモードの設定(S203)、位置調整画面の表示(S204)、および片面モードの設定(S205)を実行する。
【0086】
追い刷りモードは、2通りの方法で設定される。1つは、あらかじめ記憶されている用紙プロファイル(印刷媒体プロファイル)を適用することで、自動的に設定される。他の1つは用紙プロファイルがなく、手動により設定される。
【0087】
追い刷りモードの自動設定について説明する。図9は、用紙設定画面を説明するための説明図ある。
【0088】
追い刷りモードの自動設定の場合、初期画面300(図5参照)から、ユーザーによって用紙設定ボタン301が押されると、画像制御CPU111は、図9に示した用紙設定画面320を表示させる。用紙設定画面320には、トレイ1ボタン311、設定呼出しボタン321などが表示される。用紙設定画面320から、設定呼出しボタン321が押されると、画像制御CPU111は、用紙プロファイル画面を表示させる。
【0089】
図10は、用紙プロファイル画面を説明する説明図である。図10に示すように、用紙プロファイル画面330には、あらかじめ登録されている用紙プロファイルの一覧が表示される。用紙プロファイルは、不揮発性メモリー113に記憶される。用紙プロファイルは、用紙に実行される(またはすでに実行された)印刷条件が登録される。
【0090】
ユーザーは、一覧の中から用紙プロファイルを選択する。図10に示した例では、用紙プロファイルとして「箔押し」331が登録されている。用紙種類「箔押し」とは、印刷条件として用紙に箔押しされること(または箔押しされたこと)を示している。
【0091】
用紙プロファイル画面330から、「箔押し」331が選択されることで、トレイ1にセットされている用紙に対して箔押しの用紙プロファイルが設定される。その後、閉じるボタン312が押されると、画像制御CPU111は、元の用紙設定画面320(図9参照)を表示させる。続いて、用紙設定画面320から閉じるボタン312(図9参照)が押されると、画像制御CPU111は、初期画面300(図5参照)を表示させる。さらに続いて、初期画面300から表裏調整ボタン302(図5参照)が押されると、画像制御CPU111は、追い刷りモードを設定し(S203)、表裏調整画面310を表示させる(S204)。
【0092】
すなわち、トレイ1の用紙に対して「箔押し」の用紙プロファイルが選択されたことで、トレイ1にセットされた用紙に対して、追い刷りモードが設定される。
【0093】
図11は、追い刷り印刷時に表示させる表裏調整画面を説明するための説明図である。図11に示すように、表裏調整画面310では、ウラ315の各項目には補正のための数値が表示されない。これは、箔押し後の用紙に対しては、ウラ面での画像位置の調整が実行されないので、ウラ315の各項目の補正値がないためである。
【0094】
その後、表裏調整画面310の閉じるボタン312が押されると、画像制御CPU111は、元の初期画面300(図5参照)を表示して、片面モードを設定する(S205)。
【0095】
一方、手動による追い刷りモードの設定、すなわち、用紙プロファイルを適用しない場合は、ユーザーから追い刷り印刷および箔押し後の用紙の使用が入力される。
【0096】
手動による追い刷りモードの設定の場合、初期画面300(図5参照)から、ユーザーによって用紙設定ボタン301が押されると、画像制御CPU111は、用紙設定画面320(図9参照)を表示させる。用紙設定画面320から、設定変更ボタン322が押されると、画像制御CPU111は、個別設定変更画面を表示させる。
【0097】
図12は、個別設定変更画面を説明する説明図である。図12に示すように、個別設定変更画面340には、追い刷り紙のチェックボックス341および箔押しありのチェックボックス342が表示される。個別設定変更画面は、用紙種類を選択するための画面である。追い刷り紙のチェックボックス341および箔押しありのチェックボックス342は、これらの設定を受け付けるための機能である。
【0098】
追い刷り紙のチェックボックス341および箔押しありのチェックボックス342の両方がチェックされ、OKボタン343が押されると、画像制御CPU111は、追い刷りモードを設定する(S203)。また、画像制御CPU111は、元の用紙設定画面320(図9参照)を表示させる。
【0099】
用紙設定画面320から閉じるボタン312(図9参照)が押されると、画像制御CPU111は、初期画面300(図5参照)を表示させる。初期画面300から表裏調整ボタン302(図5参照)が押されると、画像制御CPU111は、表裏調整画面310(図11参照)を表示させる(S204)。ここでも、表裏調整画面310のウラ315の各項目の数値は、表示されない。
【0100】
その後、表裏調整画面310の閉じるボタン312が押されると、画像制御CPU111は、元の初期画面300(図5参照)を表示して、片面モードを設定する(S205)。
【0101】
続いて、画像制御CPU111は、1枚の用紙の片面にテストチャートを印刷させる(S206)。ここでの片面とは、箔押しされた表面である。印刷させるテストチャートは、追い刷り印刷用である。
【0102】
図13は、追い刷りモード時のテストチャートを説明するための説明図である。図13に示すように、追い刷りモード時のテストチャートは、用紙500の四隅に十字形のトンボ502が印刷される。トンボ502のテストチャートは、用紙に印刷されている画像510と重なることが少ない。したがって、トンボ502のテストチャートは、箔押し後の用紙への印刷されるテストチャートとして好ましい。
【0103】
図14は、箔押し後の用紙へ両面モード時のテストチャートを印刷した場合を説明するための説明図である。図14に示すように、箔押し後の用紙へ両面モード時のテストチャートを印刷した場合、テストチャートの直線501は、用紙500に印刷されている画像510と重なることがある。
【0104】
したがって、図13に示したように、トンボ502のテストチャートは、箔押し後の用紙へ印刷されるテストチャートとして好ましいことがわかる。
【0105】
なお、追い刷りモード時のテストチャートは、トンボ502に限定されない。追い刷りモード時のテストチャートは、たとえば、用紙に印刷された画像と重なることがなければ、井桁形状のテストチャートを使用してもよい。さらに、追い刷りモード時のテストチャートは、画像位置の調整に用いられる複数の直線や曲線などからなる様々なパターンを有してもよい。
【0106】
続いて、画像制御CPU111は、片面での画像位置の調整を実行する(S207)。画像制御CPU111は、テストチャートの印刷された用紙の片面をFNSスキャナー部16に読み取らせて、読み取ったテストチャートの画像から、位置調整のための補正値を算出する。補正値は、表裏調整の内容を示す項目313においてオモテ314の各項目に対応する値として算出され、不揮発性メモリー113に記憶される。
【0107】
位置調整実行後、画像制御CPU111は、追い刷り印刷を実行する(S208)。このとき、画像制御CPU111は、位置調整の結果を反映させて印刷する。追い刷り印刷の画像データは、たとえば、外部機器200から送信された追い刷り印刷ジョブのデータである。
【0108】
続いて、画像制御CPU111は、追い刷り印刷が全て終了したか否かを判断する(S209)。画像制御CPU111は、全ての印刷が終了していなければ(S209:NO)、S208へ戻り印刷を継続する。画像制御CPU111は、全ての印刷が終了したなら(S209:YES)、追い刷り印刷の処理を終了する。
【0109】
(効果)
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0110】
本実施形態では、画像が印刷されている用紙へ印刷を行う追い刷りモードの設定時に、用紙反転経路に用紙を通過させずに、用紙の片面で画像位置の調整を実行する。このため、追い刷り印刷を行う箔押し後の用紙は、用紙反転経路102を通過しない。これにより、本実施形態では、追い刷り印刷のための画像位置の調整の際に、箔押し後の用紙から箔が剥がれるトラブルを防止できる。
【0111】
また、本実施形態では、用紙プロファイルから箔押しされた用紙のプロファイルを選択することで、片面モードへ切り替える。これにより、本実施形態では、ユーザーが特別な操作を行うことなく、自動的に片面モードへ切り替わって、箔押し後の用紙から箔が剥がれるトラブルを防止できる。
【0112】
また、本実施形態では、追い刷りモードの設定を、用紙種類を選択するための画面から行える。これにより本実施形態では、用紙をセットしたトレイに関連付けて、簡便かつ直感的に追い刷りモードへの切り替えが可能となる。このため、本実施形態では、ユーザーによる簡単な画面操作で片面モードへ切り替わって、箔押し後の用紙から箔が剥がれるトラブルを防止できる。
【0113】
また、本実施形態では、追い刷り印刷用の位置調整用パターンとして、用紙の四隅に印刷されるトンボのテストチャートを使用する。これにより、本実施形態では、箔押し後の画像にテストチャートが重なって位置調整に失敗することを防止できる。
【0114】
以上、本発明の実施形態を説明したが、様々な変形が可能である。また、実施形態の説明の中で使用した条件や数値などはあくまでも説明のためのものであり、本発明がこれら条件や数値に限定されるものではない。また、実施形態では、用紙への印刷を例に説明したが、印刷媒体は用紙に限定されない。印刷媒体は、たとえば、樹脂製シートなど箔押し可能なものであれば使用可能である。
【0115】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0116】
1 画像形成システム、
10 画像形成装置、
11 給紙部、
12 画像形成部、
13 コピアスキャナー部、
14 操作表示部、
15 画像処理部、
16 FNSスキャナー部、
20 箔押し装置、
101 搬送経路、
102 用紙反転経路、
110 制御ブロック部、
111 画像制御CPU。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14