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特許7447604発光装置、光学装置、計測装置及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】発光装置、光学装置、計測装置及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20240305BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20240305BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01L33/00 J
H01S5/042 630
G01S7/481 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020055032
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021158160
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 崇
(72)【発明者】
【氏名】稲田 智志
(72)【発明者】
【氏名】早川 純一朗
(72)【発明者】
【氏名】皆見 健史
(72)【発明者】
【氏名】樋口 貴史
【審査官】八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-012384(JP,A)
【文献】特開2015-014700(JP,A)
【文献】特開2018-144477(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0001575(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/46
H01S 5/00- 5/50
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 8/00
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G02F 1/13357
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、複数の当該発光素子に対応して設けられ、オン状態になることで当該発光素子が点灯するように駆動する複数の駆動素子と、複数の当該駆動素子に対応して設けられ、オン状態が転送される複数の転送素子と、を有する光源と、
複数の前記発光素子を順次に点灯させる順次点灯動作と、複数の当該発光素子を同時に並行して点灯させる同時点灯動作とに切り替えて制御する制御部と、を備え、
前記光源は、
電位の基準である基準電位又は当該基準電位と異なる電源電位に設定される電源線と、
前記電源線に前記転送素子と前記駆動素子とを接続する駆動信号線と、
複数の前記発光素子に点灯のための点灯信号を供給する点灯信号線と、を有し、
前記制御部は、
前記順次点灯動作においては、前記電源線を電源電位に設定し複数の前記転送素子においてオン状態を順次転送し、オン状態の当該転送素子に前記駆動信号線で接続された前記駆動素子に供給される駆動信号と前記点灯信号とにより前記駆動素子をオン状態にして、当該駆動素子に対応する発光素子を順次点灯させ、
前記同時点灯動作においては、前記電源線を基準電位に設定して複数の前記駆動素子に供給される駆動信号と、前記点灯信号とにより複数の当該駆動素子をオン状態にして、複数の当該駆動素子に対応する複数の発光素子を同時に並行して点灯させることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記駆動素子は、駆動サイリスタであって、
前記駆動信号は、前記駆動サイリスタのゲートに供給され、当該駆動サイリスタをオン状態に移行可能にする信号であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子と前記駆動素子とは、当該発光素子と当該駆動素子とが一体化された発光サイリスタであって、
前記駆動信号は、前記発光サイリスタのゲートに供給され、当該発光サイリスタをオン状態に移行可能にする信号であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光源の備える複数の前記発光素子は、二次元状に配列され、当該発光素子に対応して設けられる前記駆動素子は、2個であり、
前記制御部は、前記同時点灯動作において、2個の前記駆動素子をオン状態にすることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
複数の発光素子と、複数の当該発光素子に対応して設けられ、オン状態になることで当該発光素子を点灯させる複数の駆動素子と、同時に並行して点灯させる発光素子に対応する駆動素子に接続された同時点灯ダイオードと、を有する光源と、
複数の前記発光素子を順次に点灯させる順次点灯動作と、同時に並行して発光素子を点灯させる同時点灯動作とに切り替えて制御する制御部と、を備え、
前記光源は、
基準電位又は電源電位に設定される電源線と、
一方が前記電源線に接続され、前記駆動素子に駆動信号を供給するとともに、他方が前記同時点灯ダイオードに接続される駆動信号線と、
複数の前記発光素子に点灯のための点灯信号を供給する点灯信号線と、を有し、
前記制御部は、
前記順次点灯動作においては、前記電源線を電源電位に設定し、前記駆動信号と前記点灯信号とにより、対応する発光素子を順次点灯させ、
前記同時点灯動作においては、前記電源線を基準電位に設定するとともに、前記同時点灯ダイオードを介して前記駆動素子をオン状態にして、前記点灯信号により前記発光素子を同時に並行して点灯させることを特徴とする発光装置。
【請求項6】
前記同時点灯ダイオードは、前記順次点灯動作においては逆バイアスとなり、前記同時点灯動作においては順バイアスになるように接続されていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記光源から出射された光を拡散させて出射する拡散部材を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記光源から出射された光を回折させて出射する回折部材を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置が備える光源から出射され、被計測物で反射された反射光を受光する受光部と、
を備える光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光学装置と、
前記光学装置が備える光源から出射されてから受光部で受光されるまでの時間に基づいて、被計測物までの距離を特定する距離特定部と、
を備える計測装置。
【請求項11】
請求項10に記載の計測装置と、
前記計測装置が備える距離特定部での特定結果に基づき、自装置の使用に関する認証処理を行う認証処理部と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、光学装置、計測装置及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、しきい電圧もしくはしきい電流が外部から光によって制御可能な発光素子多数個を、一次元、二次元、もしくは三次元的に配列し、各発光素子から発生する光の少なくとも一部が、各発光素子近傍の他の発光素子に入射するように構成し、各発光素子に、外部から電圧もしくは電流を印加させるクロックラインを接続した発光素子アレイが記載されている。
【0003】
特許文献2には、pnpnpn6層半導体構造の発光素子を構成し、両端のp型第1層とn型第6層、および中央のp型第3層およびn型第4層に電極を設け、pn層に発光ダイオード機能を担わせ、pnpn4層にサイリスタ機能を担わせた自己走査型発光装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、基板と基板上にアレイ状に配設された面発光型半導体レーザと基板上に配列され前記面発光型半導体レーザの発光を選択的にオン・オフさせるスイッチ素子としてのサイリスタとを備える自己走査型の光源ヘッドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平01-238962号公報
【文献】特開2001-308385号公報
【文献】特開2009-286048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光の飛行時間による、いわゆるToF(Time of Flight)法に基づいて、被計測物の三次元形状の計測を行う場合、被計測物に光を照射する光源として複数の発光素子を備え、複数の発光素子を順次発光させる発光装置がある。このような発光装置において、複数の発光素子の全部又は一部を同時に並行して発光させることが求められることがある。
本発明は、複数の発光素子を順次発光させる動作とともに、複数の発光素子の一部又は全部を並行に発光させる動作が可能な発光装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、複数の発光素子と、複数の当該発光素子に対応して設けられ、オン状態になることで当該発光素子が点灯するように駆動する複数の駆動素子と、複数の当該駆動素子に対応して設けられ、オン状態が転送される複数の転送素子と、を有する光源と、複数の前記発光素子を順次に点灯させる順次点灯動作と、複数の当該発光素子を同時に並行して点灯させる同時点灯動作とに切り替えて制御する制御部と、を備え、前記光源は、電位の基準である基準電位又は当該基準電位と異なる電源電位に設定される電源線と、前記電源線に前記転送素子と前記駆動素子とを接続する駆動信号線と、複数の前記発光素子に点灯のための点灯信号を供給する点灯信号線と、を有し、前記制御部は、前記順次点灯動作においては、前記電源線を電源電位に設定し複数の前記転送素子においてオン状態を順次転送し、オン状態の当該転送素子に前記駆動信号線で接続された前記駆動素子に供給される駆動信号と前記点灯信号とにより前記駆動素子をオン状態にして、当該駆動素子に対応する発光素子を順次点灯させ、前記同時点灯動作においては、前記電源線を基準電位に設定して複数の前記駆動素子に供給される駆動信号と、前記点灯信号とにより複数の当該駆動素子をオン状態にして、複数の当該駆動素子に対応する複数の発光素子を同時に並行して点灯させることを特徴とする発光装置である。
請求項2に記載の発明は、前記駆動素子は、駆動サイリスタであって、前記駆動信号は、前記駆動サイリスタのゲートに供給され、当該駆動サイリスタをオン状態に移行可能にする信号であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項3に記載の発明は、前記発光素子と前記駆動素子とは、当該発光素子と当該駆動素子とが一体化された発光サイリスタであって、前記駆動信号は、前記発光サイリスタのゲートに供給され、当該発光サイリスタをオン状態に移行可能にする信号であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項4に記載の発明は、前記光源の備える複数の前記発光素子は、二次元状に配列され、当該発光素子に対応して設けられる前記駆動素子は、2個であり、前記制御部は、前記同時点灯動作において、2個の前記駆動素子をオン状態にすることを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項5に記載の発明は、複数の発光素子と、複数の当該発光素子に対応して設けられ、オン状態になることで当該発光素子を点灯させる複数の駆動素子と、同時に並行して点灯させる発光素子に対応する駆動素子に接続された同時点灯ダイオードと、を有する光源と、複数の前記発光素子を順次に点灯させる順次点灯動作と、同時に並行して発光素子を点灯させる同時点灯動作とに切り替えて制御する制御部と、を備え、前記光源は、基準電位又は電源電位に設定される電源線と、一方が前記電源線に接続され、前記駆動素子に駆動信号を供給するとともに、他方が前記同時点灯ダイオードに接続される駆動信号線と、複数の前記発光素子に点灯のための点灯信号を供給する点灯信号線と、を有し、前記制御部は、前記順次点灯動作においては、前記電源線を電源電位に設定し、前記駆動信号と前記点灯信号とにより、対応する発光素子を順次点灯させ、前記同時点灯動作においては、前記電源線を基準電位に設定するとともに、前記同時点灯ダイオードを介して前記駆動素子をオン状態にして、前記点灯信号により前記発光素子を同時に並行して点灯させることを特徴とする発光装置である。
請求項6に記載の発明は、前記同時点灯ダイオードは、前記順次点灯動作においては逆バイアスとなり、前記同時点灯動作においては順バイアスになるように接続されていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置である。
請求項7に記載の発明は、前記光源から出射された光を拡散させて出射する拡散部材を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項8に記載の発明は、前記光源から出射された光を回折させて出射する回折部材を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の発光装置と、前記発光装置が備える光源から出射され、被計測物で反射された反射光を受光する受光部と、を備える光学装置である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の光学装置と、前記光学装置が備える光源から出射されてから受光部で受光されるまでの時間に基づいて、被計測物までの距離を特定する距離特定部と、を備える計測装置である。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の計測装置と、前記計測装置が備える距離特定部での特定結果に基づき、自装置の使用に関する認証処理を行う認証処理部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、複数の発光素子を順次発光させる動作とともに、複数の発光素子の全部を並行に発光させる動作が可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、駆動素子が駆動サイリスタでない場合に比較し、制御が容易になる。
請求項3に記載の発明によれば、発光サイリスタでない場合に比較し、素子の数が少なくできる。
請求項4に記載の発明によれば、一次元状に配列された場合に比べ、光源が高密度に配列される。
請求項5に記載の発明によれば、複数の発光素子を順次発光させる動作とともに、複数の発光素子の一部を並行に発光させる動作が可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、同時点灯ダイオードを用いない場合に比較し、制御が容易になる。
請求項7に記載の発明によれば、拡散部材を備えない場合と比較し、広い照射領域が得られる。
請求項8に記載の発明によれば、回折部材を備えない場合と比較し、広い照射領域が得られる。
請求項9に記載の発明によれば、距離に対応した信号が取得できる光学装置が提供される。
請求項10に記載の発明によれば、被計測物までの距離の計測が行える計測装置が提供される。
請求項11に記載の発明によれば、特定された距離に基づく認証処理を搭載した情報処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理装置の一例を示す図である。
図2】情報処理装置の構成を説明するブロック図である。
図3図2のIII-III線での発光装置の断面図である。
図4】光拡散部材の一例を説明する図である。(a)は、平面図、(b)は、(a)のVIB-VIB線での断面図である。
図5】第1の実施の形態が適用される光源の等価回路である。
図6】第1の実施の形態が適用される光源の発光ダイオードを順次発光させる動作を説明するタイミングチャートである。
図7】第2の実施の形態が適用される光源の等価回路である。
図8】第2の実施の形態が適用される光源の発光サイリスタを順次点灯させる動作を説明するタイミングチャートである。
図9】第3の実施の形態が適用される光源の等価回路である。
図10】第3の実施の形態が適用される、4×4のレーザダイオードを備える光源において、レーザダイオードの点灯/非点灯を制御する例を示す図である。
図11】第3の実施の形態が適用される光源が備える4×4のレーザダイオードを順次点灯させる動作を説明するタイミングチャートである。
図12】第4の実施の形態が適用される光源の等価回路である。
図13】第4の実施の形態が適用される、4×4のレーザダイオードを備える光源において、レーザダイオードの点灯/非点灯を設定する一例を示す図である。
図14】第4の実施の形態が適用される光源が備える4×4のレーザダイオードを順次点灯させる動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
被計測物の三次元形状を計測する計測装置には、光の飛行時間による、いわゆるToF(Time of Flight)法に基づいて、三次元形状を計測する装置がある。ToF法では、計測装置が備える発光装置から光が出射されたタイミングから、照射された光が被計測物で反射して計測装置が備える三次元センサ(以下では、3Dセンサと表記する。)で受光されるタイミングまでの時間を計測し、計測された三次元形状から被計測物の三次元形状を特定する。なお、三次元形状を計測する対象を被計測物と表記する。三次元形状を三次元像と表記することがある。また、三次元形状を計測することを、三次元計測、3D計測又は3Dセンシングと表記することがある。
【0011】
このような計測装置は、携帯型情報処理装置などに搭載され、アクセスしようとするユーザの顔認証などに利用されている。従来、携帯型情報処理装置などでは、パスワード、指紋、虹彩などにより、ユーザを認証する方法が用いられてきた。近年、セキュリティ性がより高い認証方法が求められるようになってきた。そこで、携帯型情報処理装置に三次元形状を計測する計測装置を搭載するようになってきた。つまり、アクセスしたユーザの顔の三次元形状を取得し、アクセスすることが許可されているか否かを識別し、アクセスが許可されているユーザであると認証された場合にのみ、自装置(携帯型情報処理装置)の使用を許可することが行われている。
【0012】
ここでは、情報処理装置は、一例として携帯型情報処理端末であるとして説明し、三次元形状として捉えられた顔の形状を認識することで、ユーザを認証するとして説明する。なお、情報処理装置は、携帯型情報処理端末以外のパーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置に適用しうる。
【0013】
本実施の形態で説明する構成、機能、方法等は、顔以外を被計測物とし、計測された三次元形状から被計測物を認識することにも適用しうる。また、このような計測装置は、拡張現実(AR:Augmented Reality)など、継続的に被計測物の三次元形状を計測する場合にも適用される。また、被計測物までの距離は問わない。顔認証では、光源から近距離に位置する顔に光を照射すればよいが、拡張現実などでは、顔に比べて遠距離に位置する被計測物に光を照射することが求められる。よって、光源は、光量が大きいことが求められる。
【0014】
以下で説明する本実施の形態で説明する構成、機能、方法等は、顔認証や拡張現実以外の被計測物の三次元形状の計測に適用しうる。
【0015】
[第1の実施の形態]
(情報処理装置1)
図1は、情報処理装置1の一例を示す図である。前述したように、情報処理装置1は、一例として携帯型情報処理端末である。
情報処理装置1は、ユーザインターフェイス部(以下では、UI部と表記する。)2と三次元形状を計測する光学装置3とを備える。UI部2は、例えばユーザに対して情報を表示する表示デバイスとユーザの操作により情報処理に対する指示が入力される入力デバイスとが一体化されて構成されている。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、入力デバイスは、例えばタッチパネルである。
【0016】
光学装置3は、発光装置4と、3Dセンサ5とを備える。発光装置4は、被計測物、ここでの例では顔に向けて光を照射する。3Dセンサ5は、発光装置4から出射され、顔で反射されて戻ってきた光を取得する。ここでは、光の飛行時間による、いわゆるToF法に基づいて、三次元形状を計測する。そして、三次元形状から、顔の三次元形状を特定する。そして、特定された顔の三次元形状からアクセスすることが許可されているか否かを識別し、アクセスが許可されているユーザであると認証した場合に、情報処理装置1の使用を許可する。上述したように、顔以外を被計測物として、三次元形状を計測してもよい。3Dセンサ5は、受光部の一例である。
【0017】
情報処理装置1は、CPU、ROM、RAMなどを含むコンピュータとして構成されている。なお、ROMには、不揮発性の書き換え可能なメモリ、例えばフラッシュメモリを含む。そして、ROMに蓄積されたプログラムや定数が、RAMに展開され、CPUがプログラムを実行することによって、情報処理装置1が動作し、各種の情報処理が実行される。
【0018】
図2は、情報処理装置1の構成を説明するブロック図である。
情報処理装置1は、上記した光学装置3と、計測制御部8と、システム制御部9とを備える。前述したように、光学装置3は、発光装置4と、3Dセンサ5とを備える。計測制御部8は、光学装置3を制御する。そして、計測制御部8は、三次元形状特定部81を含む。システム制御部9は、情報処理装置1全体をシステムとして制御する。そして、システム制御部9は、認証処理部91を含む。そして、システム制御部9には、UI部2、スピーカ92、二次元カメラ(図2では、2Dカメラと表記する。)93などが接続されている。
【0019】
光学装置3が備える発光装置4は、回路基板10と、光源20と、光拡散部材30と、制御部110と、保持部40とを備える。光源20、制御部110及び保持部40は、回路基板10の表面上に設けられている。そして、光拡散部材30は、保持部40上に設けられている。制御部110は、光源20に接続され、光源20を制御する。なお、図2では、3Dセンサ5は、回路基板10の表面上に設けられていないが、回路基板10の表面上に設けられていてもよい。また、制御部110は、回路基板10の表面上に設けられなくてもよい。ここで、表面とは、図2の紙面の表側を言う。より具体的には、回路基板10においては、光源20が設けられている方を表面、表側、又は表面側と言う。他の部材についても同様とする。以下において、表面側から、部材を見た図面を平面図と言う。
【0020】
制御部110は、電子回路で構成されている。例えば、制御部110は、集積回路(IC)として構成されている。
【0021】
3Dセンサ5は、複数の受光セルを備え、光源20から光が出射されたタイミングから3Dセンサ5で受光されるタイミングまでの時間に相当する信号を出力する。例えば、3Dセンサ5の各受光セルは、光源20からの出射光パルスに対する被計測物からのパルス状の反射光(以下では、受光パルスと表記する。)を受光し、受光するまでの時間に対応する電荷を受光セル毎に蓄積する。3Dセンサ5は、各受光セルが2つのゲートとそれらに対応した電荷蓄積部とを備えたCMOS構造のデバイスとして構成されている。そして、2つのゲートに交互にパルスを加えることによって、発生した光電子を2つの電荷蓄積部の何れかに高速に転送する。2つの電荷蓄積部には、出射光パルスと受光パルスとの位相差に応じた電荷が蓄積される。そして、3Dセンサ5は、ADコンバータを介して、受光セル毎に出射光パルスと受光パルスとの位相差に応じたデジタル値を信号として出力する。すなわち、3Dセンサ5は、光源20から光が出射されたタイミングから3Dセンサ5で受光されるタイミングまでの時間に相当する信号を出力する。つまり、3Dセンサ5から、被計測物の三次元形状に対応した信号が取得される。このため、出射光パルスの立ち上がり時間が短く、受光パルスの立ち上がり時間が短いことが求められる。つまり、光源20を駆動するために供給される電流パルスの立ち上がり時間が短いことが求められる。なお、ADコンバータは、3Dセンサ5が備えてもよく、3Dセンサ5の外部に設けられてもよい。3Dセンサ5は、受光部の一例である。
【0022】
計測制御部8の三次元形状特定部81は、3Dセンサ5が例えば前述のCMOS構造のデバイスである場合、受光セル毎に得られるデジタル値を取得し、受光セル毎に被計測物までの距離を算出する。そして算出された距離により、被計測物の三次元形状を特定し、特定結果を出力する。ここで、三次元形状特定部81は、被計測物までの距離を特定する距離特定部としての機能を有する。
【0023】
システム制御部9が備える認証処理部91は、三次元形状特定部81によって特定された三次元形状から、アクセスすることが許可されているか否かを識別し、アクセスが許可されているユーザを認証する。
図2において、計測装置6は、光学装置3と計測制御部8とを備える。図2では、光学装置3と計測制御部8とを分けて示したが、一体に構成されていてもよい。
【0024】
図3は、図2のIII-III線での発光装置4の断面図である。
図3に示すように、光拡散部材30は、光源20を覆うように設けられている。光拡散部材30は、回路基板10の表面上に設けられた保持部40により、回路基板10上に設けられた光源20から予め定められた距離を離して設けられている。つまり、光拡散部材30は、光源20の光の出射経路上に設けられている。
【0025】
図4は、光拡散部材30の一例を説明する図である。図4(a)は、平面図、図4(b)は、図4(a)のVIB-VIB線での断面図である。図4(a)において、紙面の右方向をx方向、紙面の上方向をy方向、紙面の表方向をz方向とする。そして、光拡散部材30において、+z方向側を表面又は表面側、-z方向側を裏面又は裏面側と言う。よって、図4(b)では、紙面の右方向がx方向、紙面の裏方向がy方向、紙面の上方向がz方向となる。
【0026】
図4(b)に示すように、光拡散部材30は、例えば、両面が平行で平坦なガラス基材31の裏面(-z方向)側に光を拡散させるための凹凸が形成された樹脂層32を備える。光拡散部材30は、光源20から入射する光の拡がり角を拡げて出射する。つまり、光拡散部材30の樹脂層32に形成された凹凸は、光を屈折させたり、散乱させたりして、入射する光をより広い拡がり角の光として出射する。つまり、図4(b)に示すように、光拡散部材30は、裏面(-z方向側)から入射する、光源20から出射された拡がり角θの光を、拡がり角θより大きい拡がり角φの光として表面(+z方向側)から出射する(θ<φ)。このため、光拡散部材30を用いると、光拡散部材30を用いない場合に比べ、光源20の出射する光によって照射される照射面の面積が拡大される。拡がり角θ、φは、半値全幅(FWHM)である。
【0027】
ここでは、光拡散部材30の平面形状は、矩形である。そして、光拡散部材30の厚さ(z方向の厚み)tは、0.1mm~1mmである。なお、光拡散部材30の平面形状は、多角形や円形など、他の形状であってもよい。
【0028】
以上説明したように、光拡散部材30は、光源20が出射した光が入射され、入射された光を拡散して出射する。よって、光源20が出射する光は、光拡散部材30により拡散されて被計測物に照射される。つまり、光源20が出射した光は、光拡散部材30を備えない場合に比べ、光拡散部材30により拡散されてより広い範囲に照射される。
【0029】
(光源20)
図5は、第1の実施の形態が適用される光源20の等価回路である。なお、図5には、制御部110を合わせて示している。
光源20は、発光ダイオードLED1、LED2、LED3、…(区別しない場合は、発光ダイオードLEDと表記する。)と、駆動サイリスタB1、B2、B3、…(区別しない場合は、駆動サイリスタBと表記する。)とを備える。同じ番号の発光ダイオードLEDと駆動サイリスタBとが直列接続されている。発光ダイオードLEDは、発光素子の一例である。駆動サイリスタBは、駆動素子の一例である。なお、発光ダイオードLEDの代わりに、例えば垂直共振器面発光レーザ素子(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)などのレーザ素子であってもよい。
【0030】
また、光源20は、発光ダイオードLED、駆動サイリスタBと同様に列状に配列された転送サイリスタT1、T2、T3、…(区別しない場合は、転送サイリスタTと表記する。)を備える。なお、ここでは転送素子の一例として転送サイリスタTを用いて説明するが、順にオン状態になる素子であれば他の回路素子であってもよく、例えば、シフトレジスタや複数のトランジスタを組み合わせた回路素子を用いてもよい。
【0031】
そして、光源20は、転送サイリスタTをそれぞれ番号順に2つをペアにした間に結合ダイオードD1、D2、D3、…(区別しない場合は、結合ダイオードDと表記する。)を備える。さらに、光源20は、電源線抵抗Rg1、Rg2、Rg3、…(区別しない場合は、電源線抵抗Rgと表記する。)を備える。
【0032】
さらに、光源20は、1個のスタートダイオードSDを備える。そして、後述する転送信号φ1が供給される転送信号線72と転送信号φ2が供給される転送信号線73とに過剰な電流が流れるのを防止するために設けられた電流制限抵抗R1、R2を備える。
【0033】
さらにまた、光源20は、複数の発光ダイオードLEDにおけるいくつかの発光ダイオードLEDを同時に並行して点灯させるための同時点灯ダイオードDg1、Dg2、Dg3、…(区別しない場合は、同時点灯ダイオードDgと表記する。)を備える。同時点灯ダイオードDgについては、後に詳述する。
【0034】
発光ダイオードLED、駆動サイリスタB、転送サイリスタTは、図5中において、左側から番号順に配列されている。さらに、結合ダイオードD、電源線抵抗Rgも、図中左側から番号順に配列されている。
【0035】
第1の実施の形態では、発光ダイオードLED、駆動サイリスタB、転送サイリスタT、電源線抵抗Rgの数は、予め定められた個数とすればよい。なお、結合ダイオードDの数は、転送サイリスタTの数より1少なくてよい。そして、転送サイリスタTの数は、発光ダイオードLEDの数より多くてもよい。
【0036】
上記の発光ダイオードLEDは、アノード端子(アノード)及びカソード端子(カソード)を備える2端子の半導体素子、サイリスタ(駆動サイリスタB、転送サイリスタT)は、アノード端子(アノード)、ゲート端子(ゲート)及びカソード端子(カソード)の3端子を有する半導体素子、結合ダイオードD1及びスタートダイオードSDは、アノード端子(アノード)及びカソード端子(カソード)を備える2端子の半導体素子である。以下では、端子を略して( )内で表記する。
【0037】
発光ダイオードLED、駆動サイリスタB、転送サイリスタT、結合ダイオードD、電源線抵抗Rg、スタートダイオードSD、同時点灯ダイオードDgは、共通の半導体基板(以下では、基板80と表記する。)にエピタキシャル成長された半導体積層体により、集積回路として構成されている。ここでは、半導体積層体は、一例としてGaAs、GaAlAs、AlAsなどのIII-V族化合物半導体により構成されている。
【0038】
では次に、光源20における各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタT、駆動サイリスタBのそれぞれのアノードは、基板80に接続される(アノードコモン)。
そして、これらのアノードは、基板80の裏面に設けられたVsub端子である裏面電極を介して基準電位Vsubが供給される。なお、この接続はp型の基板80を用いた際の構成であり、n型の基板を用いる場合は極性が逆となり、不純物を添加していないイントリンシック(i)型の基板を用いる場合には、基板の発光ダイオードLEDなどが設けられる側に、基準電位Vsubを供給する端子が設けられる。
【0039】
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、…のカソードは、転送信号線72に接続されている。そして、転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。このφ1端子には、制御部110の転送信号発生部120から転送信号φ1が供給される。
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、…のカソードは、転送信号線73に接続されている。そして、転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。このφ2端子には、制御部110の転送信号発生部120から転送信号φ2が供給される。
【0040】
発光ダイオードLEDのカソードは、点灯信号線74に接続されている。点灯信号線74は、φI端子に接続されている。このφI端子には、制御部110の点灯信号発生部140から点灯信号φIが供給される。点灯信号φIは、発光ダイオードLEDに点灯のための電流を供給する。
【0041】
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれのゲートGt1、Gt2、Gt3、…(区別しない場合は、ゲートGtと表記する。)は、同じ番号の駆動サイリスタB1、B2、B3、…のゲートGb1、Gb2、Gb3、…(区別しない場合は、ゲートGbと表記する。)に、1対1で接続されている。よって、ゲートGtとゲートGbとは、同じ番号のものが電気的に同電位になっている。よって、例えばゲートGt1/Gb1と表記して、電位が同じであることを示す。そして、電源電位線71から電源線抵抗Rg1及びゲートGt1を経由してゲートGb1に至る配線をゲート信号線55とする。電源電位線71から電源線抵抗Rg2及びゲートGt2を経由してゲートGb2に至る配線をゲート信号線56とする。電源電位線71から電源線抵抗Rg3及びゲートGt3を経由してゲートGb3に至る配線をゲート信号線57とする。電源電位線71から電源線抵抗Rg4及びゲートGt4を経由してゲートGb4に至る配線をゲート信号線58とする。電源電位線71は、電源線の一例であり、ゲート信号線55~58が、駆動信号線の一例であり、ゲート信号線55~58に設定される電位が駆動信号の一例である。なお、ゲート信号線55~8をそれぞれ区別しない場合は、ゲート信号線と表記する。
【0042】
転送サイリスタTのそれぞれのゲートGtを番号順に2個ずつペアとしたゲートGt間に、結合ダイオードDがそれぞれ接続されている。例えば、ゲートGt1とゲートGt2との間に、結合ダイオードD1が設けられている。そして、結合ダイオードD1の向きは、ゲートGt1からゲートGt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードDも同様である。
【0043】
転送サイリスタTのゲートGt/Gbは、転送サイリスタTのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgを介して、電源電位線71に接続されている。電源電位線71はVgk端子に接続されている。Vgk端子には、制御部110の電源電位供給部170から電源電位Vgkが供給される。
【0044】
そして、転送サイリスタT1のゲートGt1は、スタートダイオードSDのカソードに接続されている。一方、スタートダイオードSDのアノードは、転送信号線73に接続されている。
【0045】
さらに、同時点灯ダイオードDg1、Dg2のカソードは、駆動サイリスタB1、B2のゲートGb1、Gb2にそれぞれ接続されている。同時点灯ダイオードDg1、2のアノードは、φg1端子に接続されている。φg1端子には、制御部110の
同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φg1が供給される。同時点灯ダイオードDg3、Dg4のカソードは、駆動サイリスタB3、B4のゲートGb3、Gb4にそれぞれ接続されている。同時点灯ダイオードDg3、4のアノードは、φg2端子に接続されている。φg2端子には、制御部110の同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φg2が供給される。同時点灯信号φg1、φg2を区別しない場合は、同時点灯信号φgと表記する。
【0046】
同時点灯ダイオードDgは、同時に並行して発光させる発光ダイオードLEDに設けられ、同時に並行して発光させる発光ダイオードLEDの駆動サイリスタBを組にして共通に同時点灯信号φgが供給されるように、同時点灯ダイオードDgのアノードが互いに接続されている。図5では、発光ダイオードLED1、LED2を組にして同時に発光させ、発光ダイオードLED3、LED4を組にして同時に発光させるように構成されている。なお、発光ダイオードLED1、LED2、LED3を同時に発光させる場合には、同時点灯ダイオードDg1、Dg2、Dg3のアノードを互いに接続し、同じ同時点灯信号φgが供給されるようにすればよい。また、発光ダイオードLED1、LED3のように、発光ダイオードLEDの配列において、隣接しない発光ダイオードLEDについても、駆動サイリスタBに接続された同時点灯ダイオードDgのアノードを互いに接続して、共通に同時点灯信号φgを供給すればよい。そして、同時に並行して発光させない発光ダイオードLEDに対しては、同時点灯ダイオードDgを設けることを要しない。なお、他の実施の形態においても、同様である。
同時点灯ダイオードDgの動作については、後に詳述する。
【0047】
(制御部110)
制御部110は、転送信号発生部120と、点灯信号発生部140と、基準電位供給部160と、電源電位供給部170と、同時点灯信号発生部190とを備える。転送信号発生部120は、転送サイリスタTを順にオン状態を転送する転送信号φ1、φ2を発生する。点灯信号発生部140は、発光ダイオードLEDを点灯(発光)させる電流を供給する点灯信号φIを発生する。同時点灯信号発生部190は、発光ダイオードLEDを同時に並行して発光させる同時点灯信号φgを発生する。基準電位供給部160は、基準電位Vsubを供給する。電源電位供給部170は、電源電位Vgkを供給する。
【0048】
(サイリスタ)
サイリスタ(転送サイリスタT、駆動サイリスタB)の基本的な動作を説明する。サイリスタは、前述したように、アノード、カソード、ゲートの3端子を有する半導体素子であって、pnpn構造を成している。例えば、GaAs、GaAlAs、AlAsなどのp型の半導体層とn型の半導体層とを基板80上に積層して構成されている。ここでは、p型の半導体層とn型の半導体層とで構成されるpn接合の順方向電位(拡散電位)Vdを一例として1.5Vとして説明する。
【0049】
以下では、一例として、Vsub端子(裏面電極)に供給される基準電位Vsubをハイレベルの電位(以下では「H」と表記する。)として0V、Vgk端子に供給される電源電位Vgkをローレベルの電位(以下では「L」と表記する。)として-3.3Vとして説明する。なお、電位を加えて、「H」(0V)、「L」(-3.3V)と表記することがある。
【0050】
サイリスタのアノードは、基準電位Vsub(「H」(0V))である。オフ状態のサイリスタは、しきい電圧より低い電位(絶対値が大きい負の電位)がカソードに印加されるとオン状態に移行(ターンオン)する。なお、オフ状態は、オン状態に比べて、アノードとカソードとの間に流れる電流が小さい状態を言う。ここで、サイリスタのしきい電圧は、ゲートの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値である。
オン状態になると、サイリスタのゲートは、アノードの電位に近い電位になる。ここでは、アノードを基準電位Vsub(「H」(0V))に設定しているので、ゲートは、0V(「H」)になるとする。また、オン状態のサイリスタのカソードは、アノードの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた電位に近い電位となる。ここでは、アノードを基準電位Vsub(「H」(0V))に設定しているので、オン状態のサイリスタのカソードは、-1.5Vに近い電位(絶対値が1.5Vより大きい負の電位)となる。なお、カソードの電位は、オン状態のサイリスタに電流を供給する電源との関係で設定される。
【0051】
オン状態のサイリスタは、カソードが、オン状態を維持するために必要な電位(上記の-1.5Vに近い電位)より高い電位(絶対値が小さい負の電位、0V又は正の電位)になると、オフ状態に移行(ターンオフ)する。一方、オン状態のサイリスタのカソードに、オン状態を維持するために必要な電位より低い電位(絶対値が大きい負の電位)が継続的に印加され、オン状態を維持しうる電流(維持電流)が供給されると、サイリスタはオン状態を維持する。
【0052】
(駆動サイリスタBと発光ダイオードLEDとの積層構造)
駆動サイリスタBと発光ダイオードLEDとは、基板80上に設けられた駆動サイリスタB上に発光ダイオードLEDを積層して構成されてもよい。この場合、図5から分かるように、駆動サイリスタBと発光ダイオードLEDとを直接積層すると、駆動サイリスタBのカソードと発光ダイオードLEDのアノードとが逆バイアスになってしまう。そこで、駆動サイリスタBと発光ダイオードLEDとは、トンネル接合(ダイオード)層を介して積層される。トンネル接合層は、n型の不純物を高濃度に添加したn++層と、p型の不純物を高濃度に添加したp++層との接合である。このため、トンネル接合層は、逆バイアス状態においても、電子のトンネルにより、電流が流れやすい。よって、駆動サイリスタBがオン状態になると、逆バイアスのトンネル接合層を介して、駆動サイリスタBと発光ダイオードLEDとの間で電流が流れる。これにより、発光ダイオードLEDが発光(点灯)する。
【0053】
なお、トンネル接合層の代わりに、金属的な導電性を有し、III-V族の化合物半導体層にエピタキシャル成長するIII-V族化合物層を用いてもよい。金属的導電性III-V族化合物層の材料の一例として説明するInNAsは、例えばInNの組成比xが約0.1~約0.8の範囲において、バンドギャップエネルギが負になる。また、InNSbは、例えばInNの組成比xが約0.2~約0.75の範囲において、バンドギャップエネルギが負になる。バンドギャップエネルギが負になることは、バンドギャップを持たないことを意味する。よって、金属と同様な導電特性(伝導特性)を示すことになる。すなわち、金属的な導電特性(導電性)とは、金属と同様に電位に勾配があれば電流が流れることを言う。
【0054】
駆動サイリスタBと発光ダイオードLEDとは、積層されて直列接続されている。よって、駆動サイリスタBのカソードに印加される電圧は、点灯信号φIの電位が駆動サイリスタBと発光ダイオードLEDとで分圧された電圧となる。ここでは、発光ダイオードLEDの立ち上がり電圧を1.5Vであるとし、駆動サイリスタBには、-3.3Vが印加されるとして説明する。よって、発光ダイオードLEDを点灯させる際に印加される点灯信号φI(後述する「Lo」)は、-5Vであるとする。
なお、発光波長や光量によって発光ダイオードLEDに印加する電圧を変えることとなるが、その際は点灯信号φIの電圧(「Lo」)を調整すればよい。
【0055】
(発光装置4における順次点灯動作)
次に、第1の実施の形態が適用される発光装置4における光源20の発光ダイオードLEDを順次発光させる動作について説明する。
図6は、第1の実施の形態が適用される光源20の発光ダイオードLEDを順次発光させる動作を説明するタイミングチャートである。図6は、発光ダイオードLED1~LED4の4個の発光ダイオードLEDの点灯(発光)/非点灯(非発光)を制御(点灯制御と表記する。)する部分のタイミングチャートである。なお、図6では、発光ダイオードLED1、LED2、LED3を発光させ、発光ダイオードLED4を非発光としている。
【0056】
本明細書では、「~」は、番号によってそれぞれが区別された複数の構成要素を示すもので、「~」の前後に記載されたもの及びその間の番号のものを含むことを意味する。例えば、発光ダイオードLED1~LED4は、発光ダイオードLED1から番号順に発光ダイオードLED4までを含む。
【0057】
図6において、時刻aから時刻kへとアルファベット順に時刻が経過するとする。発光ダイオードLED1は、期間T(1)において、発光ダイオードLED2は、期間T(2)において、発光ダイオードLED3は、期間T(3)において、発光ダイオードLED4は、期間T(4)において発光又は非発光の制御(発光制御)がされる。
【0058】
φ1端子(図5参照)に供給される転送信号φ1及びφ2端子(図5図6参照)に供給される転送信号φ2は、「H」(0V)と「L」(-3.3V)との2つの電位を有する信号である。そして、転送信号φ1及び転送信号φ2は、連続する2つの期間T(例えば、期間T(1)と期間T(2))を単位として波形が繰り返される。
以下では、「H」(0V)及び「L」(-3.3V)を、「H」及び「L」と省略する場合がある。
【0059】
転送信号φ1は、期間T(1)の開始時刻bで「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行し、時刻fで「L」から「H」に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻iにおいて、「H」から「L」に移行する。
転送信号φ2は、期間T(1)の開始時刻bにおいて「H」(0V)であって、時刻eで「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻iにおいて「L」から「H」に移行する。
転送信号φ1と転送信号φ2とを比較すると、転送信号φ2は、転送信号φ1を時間軸上で期間T後ろにずらしたものに当たる。一方、転送信号φ2は、期間T(1)において、破線で示す波形及び期間T(2)での波形が、期間T(3)以降において繰り返す。転送信号φ2の期間T(1)の波形が期間T(3)以降と異なるのは、期間T(1)は発光装置4が動作を開始する期間であるためである。
【0060】
転送信号φ1と転送信号φ2とは、後述するように、転送サイリスタTのオン状態を番号順に転送させることにより、オン状態の転送サイリスタTと同じ番号の発光ダイオードLEDを、点灯又は非点灯の制御(点灯制御)の対象として指定する。
【0061】
次に、φI端子(図5参照)に供給される点灯信号φIについて説明する。点灯信号φIは、「H」(0V)と「Lo」(-5V)との2つの電位を有する信号である。
ここでは、発光ダイオードLED1に対する点灯制御の期間T(1)において、点灯信号φIを説明する。点灯信号φIは、期間T(1)の開始時刻bにおいて「H」(0V)であって、時刻cで「H」(0V)から「Lo」(-5V)に移行する。そして、時刻dで「Lo」から「H」に移行し、時刻eにおいて「H」を維持する。
【0062】
φg1、φg2端子(図5参照)に供給される同時点灯信号φg1、φg2は、「L」(-3.3V)に維持される。
【0063】
図5を参照しつつ、図6に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置4の動作を説明する。なお、以下では、発光ダイオードLED1、LED2を点灯制御する期間T(1)、T(2)について説明する。
(1)時刻a
時刻aにおいて、発光装置4の制御部110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する。電源電位供給部170は、電源電位Vgkを「L」(-3.3V)に設定する。制御部110の転送信号発生部120は転送信号φ1、転送信号φ2をそれぞれ「H」(0V)に設定する。これにより、光源20のφ1端子及びφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている転送信号線72の電位も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ1端子に接続されている転送信号線73も「H」になる(図5参照)。
【0064】
そして、制御部110の点灯信号発生部140は、点灯信号φIを「H」(0V)に設定する。これにより、光源20のφI端子が、電流制限抵抗RIを介して「H」になり、φI端子に接続された点灯信号線74も「H」(0V)になる(図5参照)。
さらに、制御部110の同時点灯信号発生部190は、同時点灯信号φg1、φg2を「L」(-3.3V)に設定する。
【0065】
転送サイリスタT、駆動サイリスタBのアノードはVsub端子に接続されているので、「H」に設定される。奇数番号の転送サイリスタT1、T3、…のそれぞれのカソードは、転送信号線72に接続され、「H」(0V)に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、…のそれぞれのカソードは、転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTは、アノード及びカソードがともに「H」であるためオフ状態にある。
【0066】
発光ダイオードLEDのカソードは、「H」(0V)の点灯信号線74に接続されている。すなわち、発光ダイオードLEDと駆動サイリスタBとは、トンネル接合層を介して、直列接続されている。発光ダイオードLEDのカソードは「H」、駆動サイリスタBのアノードは「H」であるので、発光ダイオードLED及び駆動サイリスタBは、オフ状態にある。
【0067】
ゲートGt1は、前述したように、スタートダイオードSDのカソードに接続されている。ゲートGt1は、電源線抵抗Rg1を介して、電源電位Vgk(「L」(-3.3V))の電源電位線71に接続されている。そして、スタートダイオードSDのアノードは転送信号線73に接続され、電流制限抵抗R2を介して、「H」(0V)のφ2端子に接続されている。よって、スタートダイオードSDは順バイアスであり、スタートダイオードSDのカソード(ゲートGt1)は、スタートダイオードSDのアノードの電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(-1.5V)になる。また、ゲートGt1が-1.5Vになると、結合ダイオードD1は、アノード(ゲートGt1)が-1.5Vで、カソードが電源線抵抗Rg2を介して電源電位線71(「L」(-3.3V))に接続されているので、順バイアスになる。よって、ゲートGt2の電位は、ゲートGt1の電位(-1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた-3Vになる。しかし、3以上の番号のゲートGtには、スタートダイオードSDのアノードが「H」(0V)であることの影響は及ばず、これらのゲートGtの電位は、電源電位線71の電位である「L」(-3.3V)になっている。
【0068】
ゲートGtはゲートGbであるので、ゲートGbの電位は、ゲートGtの電位と同じである。同時点灯信号φg1、φg2は「L」(-3.3V)であるので、例えゲートGbが「L」(-3.3V)よりも高い電位(絶対値が3.3Vより小さい負の電位)であっても、同時点灯ダイオードDgは電流の流れにくい方向に電位が加えられた状態(逆バイアス)である。よって、同時点灯信号φg1、φg2が「L」(-3.3V)であることは、ゲートGbに影響を与えない。以下では、同時点灯信号φg1、φg2についての説明を省略する。
【0069】
よって、転送サイリスタT、駆動サイリスタBのしきい電圧は、ゲートGt、Gbの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となる。すなわち、転送サイリスタT1、駆動サイリスタB1のしきい電圧は-3V、転送サイリスタT2、駆動サイリスタB2のしきい電圧は-4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、駆動サイリスタBのしきい電圧は-4.8Vとなっている。
【0070】
(2)時刻b
図6に示す時刻bにおいて、転送信号φ1が、「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行する。これにより発光装置4は、動作を開始する。
転送信号φ1が「H」から「L」に移行すると、φ1端子及び電流制限抵抗R1を介して、転送信号線72の電位が、「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が-3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。しかし、転送信号線72にカソードが接続された、番号が3以上の奇数番号の転送サイリスタTは、しきい電圧が-4.8Vであるのでターンオンできない。一方、偶数番号の転送サイリスタTは、転送信号φ2が「H」(0V)であって、転送信号線73が「H」(0V)であるのでターンオンできない。
転送サイリスタT1がターンオンすることで、転送信号線72の電位は、アノードの電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた-1.5Vになる。
【0071】
転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲートGt1/Gb1の電位は、転送サイリスタT1のアノードの電位である「H」(0V)になる。そして、ゲートGt2/Gb2の電位が-1.5V、ゲートGt3/Gb3の電位が-3V、番号が4以上のゲートGt/Gbの電位が「L」になる。
これにより、駆動サイリスタB1のしきい電圧が-1.5V、転送サイリスタT2、駆動サイリスタB2のしきい電圧が-3V、転送サイリスタT3、駆動サイリスタB3のしきい電圧が-4.5V、番号が4以上の転送サイリスタT、駆動サイリスタBのしきい電圧が-4.8Vになる。
しかし、転送信号線72は、オン状態の転送サイリスタT1により-1.5Vになっているので、オフ状態の奇数番号の転送サイリスタTはターンオンしない。転送信号線73は、「H」(0V)であるので、偶数番号の転送サイリスタTはターンオンしない。点灯信号線74は「H」(0V)であるので、いずれの発光ダイオードLEDも点灯しない。
【0072】
時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後に定常状態になったときを言う。)において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT、駆動サイリスタB、発光ダイオードLEDはオフ状態にある。
【0073】
(3)時刻c
時刻cにおいて、点灯信号φIが「H」(0V)から「Lo」(-5V)に移行する。
点灯信号φIが「H」から「Lo」に移行すると、電流制限抵抗RI及びφI端子を介して、点灯信号線74が「H」(0V)から「Lo」(-5V)に移行する。すると、発光ダイオードLEDに印加される電圧1.7Vを足した-3.3Vが駆動サイリスタB1に印加され、しきい電圧が-1.5Vである駆動サイリスタB1がターンオンして、発光ダイオードLED1が点灯(発光)する。これにより、点灯信号線74の電位が-3.2Vに近い電位(絶対値が3.2Vより大きい負の電位)になる。なお、駆動サイリスタB2はしきい電圧が-3Vであるが、駆動サイリスタB2に印加される電圧は、発光ダイオードLEDに印加される電圧1.7Vと-3.2Vとを足した-1.5Vになるので、駆動サイリスタB2はターンオンしない。
時刻cの直後において、転送サイリスタT1、駆動サイリスタB1がオン状態にあって、発光ダイオードLED1が点灯(発光)している。
【0074】
(4)時刻d
時刻dにおいて、点灯信号φIが「Lo」(-5V)から「H」(0V)に移行する。
点灯信号φIが「Lo」から「H」に移行すると、電流制限抵抗RI及びφI端子を介して、点灯信号線74の電位が-3.2Vから「H」に移行する。すると、発光ダイオードLED1のカソード及び駆動サイリスタB1のアノードとがともに「H」になるので駆動サイリスタB1がターンオフするとともに、発光ダイオードLED1が消灯する(非点灯になる)。発光ダイオードLED1の点灯期間は、点灯信号φIが「H」から「Lo」に移行した時刻cから、点灯信号φIが「Lo」から「H」に移行する時刻dまでの、点灯信号φIが「Lo」(-5V)である期間となる。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
【0075】
(5)時刻e
時刻eにおいて、転送信号φ2が「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行する。ここで、発光ダイオードLED1を点灯制御する期間T(1)が終了し、発光ダイオードLED2を点灯制御する期間T(2)が開始する。
転送信号φ2が「H」から「L」に移行すると、φ2端子を介して転送信号線73の電位が「H」から「L」に移行する。前述したように、転送サイリスタT2は、しきい電圧が-3Vになっているので、ターンオンする。これにより、ゲートGt2/Gb2の電位が「H」(0V)、ゲートGt3/Gb3の電位が-1.5V、ゲートGt4/Gb4の電位が-3Vになる。そして、番号が5以上のゲートGt/Gbの電位が-3.3Vになる。
時刻eの直後において、転送サイリスタT1、T2がオン状態にある。
【0076】
(6)時刻f
時刻fにおいて、転送信号φ1が「L」(-3.3V)から「H」(0V)に移行する。
転送信号φ1が「L」から「H」に移行すると、φ1端子を介して転送信号線72の電位が「L」から「H」に移行する。すると、オン状態の転送サイリスタT1は、アノードとカソードとがともに「H」になって、ターンオフする。すると、ゲートGt1/Gb1の電位は、電源線抵抗Rg1を介して、電源電位線71の電源電位Vgk(「L」(-3.3V))に向かって変化する。これにより、結合ダイオードD1が逆バイアスになる。よって、ゲートGt2/Gb2が「H」(0V)である影響は、ゲートGt1/Gb1には及ばなくなる。すなわち、逆バイアスの結合ダイオードDで接続されたゲートGtを有する転送サイリスタTは、しきい電圧が-4.8Vになって、「L」(-3.3V)の転送信号φ1又は転送信号φ2ではターンオンしなくなる。
時刻fの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
【0077】
(7)その他
時刻gにおいて、点灯信号φIが「H」(0V)から「Lo」(-5V)に移行すると、時刻cでの駆動サイリスタB1及び発光ダイオードLED1と同様に、駆動サイリスタB1がターンオンして、発光ダイオードLED2が点灯(発光)する。
そして、時刻hにおいて、点灯信号φIが「Lo」(-5V)から「H」(0V)に移行すると、時刻dでの駆動サイリスタB1及び発光ダイオードLED1と同様に、駆動サイリスタB2がターンオフして、発光ダイオードLED2が消灯する。
さらに、時刻iにおいて、転送信号φ1が「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行すると、時刻bでの転送サイリスタT1又は時刻eでの転送サイリスタT2と同様に、しきい電圧が-3Vの転送サイリスタT3がターンオンする。時刻iで、発光ダイオードLED2を点灯制御する期間T(2)が終了し、発光ダイオードLED3を点灯制御する期間T(3)が開始する。
以降は、これまで説明したことの繰り返しとなる。
【0078】
なお、発光ダイオードLEDを点灯(発光)させないで、消灯(非点灯)のままとするときは、図6の発光ダイオードLED4を点灯制御する期間T(4)における時刻jから時刻kに示す点灯信号φI1のように、点灯信号φIを「H」(0V)のままとすればよい。このようにすることで、駆動サイリスタB4のしきい電圧が-1.5Vであっても、駆動サイリスタB4はターンオンせず、発光ダイオードLED4は消灯(非点灯)のままとなる。
【0079】
以上説明したように、転送サイリスタTのゲートGtは結合ダイオードDによって相互に接続されている。よって、ゲートGtの電位が変化すると、電位が変化したゲートGtに、順バイアスの結合ダイオードDを介して接続されたゲートGtの電位が変化する。そして、電位が変化したゲートを有する転送サイリスタTのしきい電圧が変化する。転送サイリスタTは、しきい電圧が「L」(-3.3V)より高い(絶対値が小さい負の値)と、転送信号φ1又は転送信号φ2が「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行するタイミングにおいてターンオンする。
そして、オン状態の転送サイリスタTのゲートGtにゲートGbが接続された駆動サイリスタBは、しきい電圧が-1.5Vであるので、点灯信号φIが「H」(0V)から「Lo」(-5V)に移行するとターンオンし、駆動サイリスタBに直列接続された発光ダイオードLEDが点灯(発光)する。
つまり、駆動サイリスタBのゲートGbの電位(ゲート信号線55などのゲート信号線)がVになると、駆動サイリスタBがオン状態に移行可能な状態になる。そして、点灯信号φIが「H」(0V)から「Lo」(-5V)に移行すると、駆動サイリスタBはオン状態になり、発光ダイオードLEDが点灯(発光)する。すなわち、駆動サイリスタBは、オン状態になることで発光ダイオードLEDが点灯するように駆動する。
【0080】
すなわち、転送サイリスタTはオン状態になることで、点灯制御の対象である発光ダイオードLEDを指定し、「Lo」(-5V)の点灯信号φIは、点灯制御の対象である発光ダイオードLEDに直列接続された駆動サイリスタBをターンオンするとともに、発光ダイオードLEDを点灯させる。つまり、転送サイリスタTのオン状態が転送されることで、発光ダイオードLEDは順次点灯する。光源20は、自己走査型発光素子アレイ(SLED:Self-Scanning Light Emitting Device)である。
なお、「H」(0V)の点灯信号φIは、駆動サイリスタBをオフ状態に維持するとともに、発光ダイオードLEDを非点灯に維持する。すなわち、点灯信号φIは、発光ダイオードLEDの点灯/非点灯を設定する。
【0081】
(発光装置4における光源20の全同時点灯動作)
光源20において、複数の発光ダイオードLEDの全てを同時に並行して点灯させることを求められることがある。同時とは、信号の一つのタイミングにおいて、全ての発光ダイオードLEDに対して、点灯動作が行われることを言う。そして、全ての発光ダイオードLEDを同時に並行して点灯させることを、全同時点灯動作と表記する。例えば、光源20の製造後に行われる、発光ダイオードLEDの点灯不良の有無の検査や発光ダイオードLEDのバーンインにおいては、光源20の発光ダイオードLEDを全点灯させられれば、効率が向上する。バーンインとは、温度と電圧の負荷をかけることにより、初期不良を事前に低減させる方法である。特に、発光ダイオードLEDの代わりに、垂直共振器面発光レーザ素子(VCSEL)などのレーザ素子を用いる場合には、製造後にバーンインを行うことが求められている。また、光源20から出射される光のパタン(ニアフィールドパタンやファーフィールドパタン)を計測する場合において、全ての発光ダイオードLEDを点灯させて行いたいことがある。なお、全同時点灯動作を同時点灯動作と表記することがある。
【0082】
光源20の全同時点灯動作を説明する。
前述したように、発光ダイオードLEDを点灯させるためには、駆動サイリスタBが点灯信号φIでターンオンすればよい。よって、全同時点灯動作では、全ての発光ダイオードLEDに接続された駆動サイリスタBが点灯信号φIでターンオンするようにする。
【0083】
発光装置4の順次点灯動作では、制御部110の電源電位供給部170は、供給する電源電位Vgkを「L」(-3.3V)に設定した。全同時点灯動作では、制御部110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に設定し、電源電位供給部170は、電源電位Vgkを「H」(0V)に設定する。そして、点灯信号発生部140は、点灯信号φIを「Lo」(-5V)に設定する。
【0084】
すると、駆動サイリスタBのゲートGbが「H」(0V)になり、駆動サイリスタBのしきい電圧が-1.5Vになる。つまり、駆動サイリスタBのゲートGbの電位(ゲート信号線55などのゲート信号線)がVになると、駆動サイリスタBがオン状態に移行可能な状態になる。よって、点灯信号φIが「Lo」(-5V)であると、図6の時刻cと同様に、駆動サイリスタBがターンオンして、発光ダイオードLEDが点灯(発光)する。つまり、全ての発光ダイオードLEDが同時に並行に点灯する。この状態は、他の信号(転送信号φ1、φ2、同時点灯信号φg1、φg2)に影響されない。よって、他の端子(φ1端子、φ2端子、φg1端子、φg2端子)の電位を設定することを要しない。つまり、他の端子(φ1端子、φ2端子、φg1端子、φg2端子)は、オープンでよい。
【0085】
(発光装置4における光源20の部分同時点灯動作)
光源20において、複数の発光ダイオードLEDの一部分を組にして点灯させることを求められることがある。これを部分同時点灯動作と表記する。この場合には、同時点灯ダイオードDgを用いる。
【0086】
光源20の部分同時点灯動作を説明する。
前述したように、発光ダイオードLEDを点灯させるためには、駆動サイリスタBが点灯信号φIでターンオンすればよい。よって、部分同時点灯動作では、組にした発光ダイオードLEDに接続された駆動サイリスタBが点灯信号φIでターンオンするようにする。
【0087】
例えば、発光ダイオードLED1、LED2を組にして同時に並行して点灯させる場合には、制御部110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に設定し、同時点灯信号発生部190の同時点灯信号φg1(同時点灯ダイオードDg1、Dg2のアノードに供給される同時点灯信号φg1)を「H」(0V)に設定する。そして、点灯信号発生部140は、点灯信号φIを「Lo」(-5V)に設定する。すると、駆動サイリスタB1、B2のゲートGb1、Gb2が-1.5Vになり、駆動サイリスタB1、B2のしきい電圧が-3.0Vになる。つまり、駆動サイリスタB1、B2のゲートGb1、Gb2の電位(ゲート信号線55、55)が-1.5Vになると、駆動サイリスタB1、B2がオン状態に移行可能な状態になる。駆動サイリスタB1、B2には、前述したように、オフ状態において-3.3Vが印加されるので、駆動サイリスタB1、B2がターンオンする。これにより、発光ダイオードLED1、LED2が点灯する。
【0088】
以上は、発光ダイオードLED1、LED2を組にして、同時に並行して点灯させる場合であるが、発光ダイオードLED3、LED4を組にして、同時に並行して点灯させる場合には、同時点灯信号φg1の代わりに同時点灯信号φg2を「H」(0V)に設定すればよい。他の場合も、組にした発光ダイオードLEDに対応して設けられた同時点灯ダイオードDgのアノードを共通にして、アノードに設定される同時点灯信号φgを「H」(0V)とすればよい。また、全ての発光ダイオードLEDを同時に並行して点灯させる場合には、全ての発光ダイオードLEDに対応して同時点灯ダイオードDgを設け、全ての同時点灯ダイオードDgのアノードを「H」(0V)になるように同時点灯信号φgを設定すればよい。
【0089】
なお、図5においては、同時点灯ダイオードDg1、Dg2のアノードを配線で接続し、同時点灯ダイオードDg3、Dg4のアノードを配線で接続して、制御部110の同時点灯信号発生部190に接続した。しかし、それぞれの同時点灯ダイオードDgのアノードを同時点灯信号発生部190に接続し、同時点灯信号発生部190において、組にする発光ダイオードLEDを選択するようにしてもよい。
【0090】
また、部分同時点灯動作を行わず、順次点灯動作と全同時点灯動作とを行う場合には、同時点灯ダイオードDgを設けなくてもよい。そして、制御部110において、同時点灯信号発生部190を備えなくてもよい。
【0091】
以上説明したように、同時点灯ダイオードDgを用い、同時点灯信号φgの電位を制御することで、順次点灯動作においては、同時点灯ダイオードDgを逆バイアス状態にし、部分同時点灯制御においては、同時点灯ダイオードDgを順バイアス状態にしている。このようにすることで、順次点灯動作と部分同時点灯制御との切り替えの制御を容易にしている。
【0092】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態が適用される発光装置4では、順次点灯動作において、発光素子(第1の実施の形態では、発光ダイオードLED)が順に点灯し、同時にいくつかの発光素子が並行に点灯することがなかった。第2の実施の形態が適用される発光装置4Aでは、順次点灯動作において、同時にいくつかの発光素子が並行に点灯するとともに、発光素子の光量に階調を設けられるようにしている。
第2の実施の形態が適用される発光装置4Aは、第1の実施の形態が適用される発光装置4と、光源21及び制御部111が異なる。よって、同様の部分の説明を省略し、異なる部分を説明する。なお、同じ機能を有する部分には、同じ符号を付す。
【0093】
図7は、第2の実施の形態が適用される光源21の等価回路である。なお、図7には、制御部111を合わせて示している。
光源21は、発光サイリスタL1、L2、L3、…(区別しない場合は、発光サイリスタLと表記する。)と、転送サイリスタT1、T2、T3、…と、結合ダイオードD1、D2、D3、…と、スタートダイオードSDと、設定サイリスタS1、S2、S3、…と、接続ダイオードDs1、Ds2、Ds3、…(区別しない場合は、接続ダイオードDsと表記する。)と、電源線抵抗Rg1、Rg2、Rg3、…を備える。発光サイリスタL1、L2、L3、…の各ゲートをゲートGl1、Gl2、Gl3、…(区別しない場合は、ゲートGlと表記する。)とする。さらに、設定サイリスタSのゲートGsと発光サイリスタLのゲートGlとを接続する抵抗Rpを備える。
【0094】
第2の実施の形態においては、第1の実施の形態における発光ダイオードLEDと駆動サイリスタBとの代わりに、発光サイリスタLを用いている。発光サイリスタLは、発光素子と駆動素子とを一体に兼ね備えている。つまり、発光サイリスタLは、発光素子と駆動素子との一例である。サイリスタは、pnpn構造を構成する半導体積層体におけるpゲート層、nゲート層との境界において、発光が発生する。よって、サイリスタを発光素子として用いてもよい。
【0095】
接続ダイオードDsは、アノード及びカソードを備える2端子素子である。
【0096】
以下では、光源21における、各素子の接続関係を説明する。なお、第1の実施の形態が適用される光源20と同様な部分の説明を省略する。
転送サイリスタTのゲートGtは、接続ダイオードDsのアノードに接続される。接続ダイオードDsのカソードは、設定サイリスタSのゲートGsに接続されている。設定サイリスタSのゲートGsは発光サイリスタLのゲートGlに、抵抗Rpを介して接続されている。そして、設定サイリスタSのカソードは、設定信号線75に接続されている。そして、設定信号線75は、φs端子に接続されている。φs端子には、制御部111における設定信号発生部180から設定信号φsが供給される。
【0097】
つまり、ゲート信号線55により、電源電位線71から電源線抵抗Rg1、接続ダイオードDs1、抵抗Rpを介して、設定サイリスタS1のゲートGs1と発光サイリスタL1のゲートGl1とが接続されている。ゲート信号線56により、電源電位線71から電源線抵抗Rg2、接続ダイオードDs2、抵抗Rpを介して、設定サイリスタS2のゲートGs2と発光サイリスタL2のゲートGl2とが接続されている。ゲート信号線57により、電源電位線71から電源線抵抗Rg3、接続ダイオードDs3、抵抗Rpを介して、設定サイリスタS3のゲートGs3と発光サイリスタL3のゲートGl3とが接続されている。ゲート信号線58により、電源電位線71から電源線抵抗Rg4、接続ダイオードDs4、抵抗Rpを介して、設定サイリスタS4のゲートGs4と発光サイリスタL4のゲートGl4とが接続されている。
【0098】
同時点灯ダイオードDgのカソードは、発光サイリスタLのゲートGlに接続されている。つまり、同時点灯ダイオードDg1のカソードは、ゲート信号線55に接続され、同時点灯ダイオードDg2のカソードは、ゲート信号線56に接続されている。同時点灯ダイオードDg1、Dg2のアノードは、φg1端子に接続されている。φg1端子には、制御部111における同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φg1が供給される。
また、同時点灯ダイオードDg3のカソードは、ゲート信号線57に接続され、同時点灯ダイオードDg4のカソードは、ゲート信号線58に接続されている。同時点灯ダイオードDg3、Dg4のアノードは、φg2端子に接続されている。φg2端子には、制御部111における同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φg2が供給される。
【0099】
制御部111は、第1の実施の形態が適用される発光装置4の制御部110において、発光サイリスタLを点灯(発光)/非点灯(非発光)に設定する設定信号φsを発生する設定信号発生部180をさらに備える。
【0100】
(発光装置4Aにおける順次点灯動作)
次に、発光装置4Aにおける光源21の発光サイリスタLを順次発光させる動作について説明する。
【0101】
まず、光源21における基本的な順次点灯動作を説明する。
第1の実施の形態が適用される発光装置4の光源20と同様に、転送サイリスタTは、オン状態が転送される。なお、点灯信号φIは、「L」(-3.3V)であり、設定信号φsは、「H」(0V)である。ここで、転送サイリスタT1がオン状態になったとする。すると、ゲートGt1が0Vになる。よって、接続ダイオードDs1で接続されたゲートGs1が-1.5Vになる。発光サイリスタL1のゲートGl1は、-1.5Vになった設定サイリスタS1のゲートGs1に抵抗Rpを介して接続されている。ここでは、抵抗Rpによる電位降下δを0.8Vとする。よって、発光サイリスタL1のゲートGl1は、ゲートGs1の電位(-1.5V)から抵抗Rpによる電位降下δ(0.8V)を引いた-2.3Vになる。これにより、発光サイリスタL1のしきい電圧は、-3.8Vになる。よって、点灯信号φIが「L」(-3.3V)であっても、発光サイリスタL1は、点灯しない。
【0102】
設定サイリスタS1は、ゲートGs1が-1.5Vであるので、しきい電圧が-3.0Vである。そこで、設定信号φsが「L」(-3.3V)になると、設定サイリスタS1がターンオンする。すると、ゲートGs1が0Vになる。よって、発光サイリスタL1は、ゲートGl1が-0.8Vになり、しきい電圧が-2.3Vになる。すると、点灯信号φIが「L」(-3.3V)であるので、発光サイリスタL1がターンオンして点灯(発光)する。
つまり、発光サイリスタLのゲートGlの電位(ゲート信号線55などのゲート信号線)が-2.3Vになると、発光サイリスタLがオン状態に移行可能な状態になる。
【0103】
このとき、設定信号φsが「H」(0V)になると、設定サイリスタS1は、ターンオフする。しかし、点灯信号φIは、「L」(-3.3V)を維持すれば、発光サイリスタL1は、点灯を継続する。なお、同時点灯信号φg1、φg2は、「L」(-3.3V)に維持されている。
【0104】
このように、光源21では、転送サイリスタTがオン状態である期間に、設定サイリスタSがターンオンすると、設定サイリスタSに抵抗Rpを介して接続された発光サイリスタLが点灯する。そして、発光サイリスタLは、点灯信号φIが「L」(-3.3V)である期間において、点灯を継続する。
【0105】
以上説明したように、第2の実施の形態が適用される光源21における順次点灯動作では、転送サイリスタTのオン状態を順に転送させて、点灯制御する対象として発光サイリスタLを順に指定する。このとき、設定サイリスタSがターンオンする(オン状態になる)と発光サイリスタLが点灯する。つまり、光源21は、自己走査型発光素子アレイである。
【0106】
図8は、第2の実施の形態が適用される光源21の発光サイリスタLを順次点灯させる動作を説明するタイミングチャートである。図8は、発光サイリスタL1~L4の4個の発光サイリスタLの点灯(発光)/非点灯(非発光)を制御(点灯制御と表記する。)する部分のタイミングチャートである。アルファベット順(時刻a、b、c、…の順)に時間が経過するとする。なお、図8の時刻a、b、c、…は、図6に示した時刻a、b、c、…と異なる。
【0107】
ここでは、発光サイリスタLに対して、256階調を実現するとする。つまり、256階調を実現するため、点灯を継続する点灯継続期間Ucを255に分割して、階調を設定する階調設定期間Ug1、Ug2、Ug3、…、Ug255(区別しない場合は、階調設定期間Ugと表記する。)を設けている。そして、各階調設定期間Ugにおいて、それぞれの発光サイリスタL1~L4を点灯/非点灯のいずれかに設定する期間U(L1)~U(L4)(区別しない場合は、期間Uと表記する。)を設けている。
【0108】
階調設定期間Ug1は時刻cから時刻hまで、階調設定期間Ug2は時刻hから時刻iまで、階調設定期間Ug3は時刻iから時刻jまで、階調設定期間Ug4は、時刻jから時刻kまで、階調設定期間Ug255は、時刻lから時刻mまでである。他の階調設定期間Ug5~Ug254は、階調設定期間Ug4と階調設定期間Ug255との間に設けられている。点灯継続期間Ucは、時刻cから時刻mまでである。
【0109】
そして、階調設定期間Ug1において、発光サイリスタL1を点灯/非点灯のいずれかに設定する期間U(L1)は、時刻cから時刻d、発光サイリスタL2を点灯/非点灯のいずれかに設定する期間U(L2)は、時刻dから時刻e、発光サイリスタL3を点灯/非点灯のいずれかに設定する期間U(L3)は、時刻eから時刻f、発光サイリスタL4を点灯/非点灯のいずれかに設定する期間U(L4)は、時刻fから時刻hである。なお、他の階調設定期間Ug2~Ug255においても、同様に発光サイリスタL1~L4を点灯/非点灯のいずれかに設定する期間Uが設けられている。
【0110】
ここでは、一例として、発光サイリスタL1は、非点灯状態(階調0)に維持する。発光サイリスタL2は、255個の階調設定期間Ugの内、255期間点灯状態とする(階調255)。発光サイリスタL3は、255個の階調設定期間Ugの内、1期間点灯状態とする(階調1)。発光サイリスタL4は、255個の階調設定期間Ugの内、252期間点灯状態とする(階調252)。つまり、発光サイリスタL1~L4のそれぞれを、255個の階調設定期間Ugのいずれかにおいて、点灯/非点灯のいずれかの状態に設定することにより、256階調が得られる。このように、転送サイリスタT1~T4のオン状態を順に転送する転送制御を階調数(例えば256階調)に対応した回数繰り返すとともに、この転送制御が出力したい階調に対応した回数繰り返された時点で、点灯対象の発光サイリスタLが発光を開始するようすることで階調が制御される。
【0111】
なお、発光サイリスタLを点灯/非点灯のいずれかの状態に設定する期間Uを10nsとすると、階調設定期間Ugは、40nsとなる。すると、256階調を実現するための点灯継続期間Ucは、40nsの階調設定期間Ugの255倍の10.2μsとなる。
【0112】
階調設定期間Ug1の期間U(L1)(時刻cから時刻d)において、設定信号φsは、「H」(0V)に維持されているため、発光サイリスタL1は非点灯状態に維持される。次に、階調設定期間Ug1の期間U(L2)(時刻dから時刻e)において、設定信号φsは、「L」(-3.3V)に設定されるために、発光サイリスタL2はターンオンして点灯する。そして、この点灯状態が、点灯継続期間Ucの間維持される。
【0113】
階調設定期間Ug1の期間U(L3)(時刻eから時刻f)において、設定信号φsは、「H」(0V)に維持されているため、発光サイリスタL3は非点灯状態に維持される。
【0114】
階調設定期間Ug1の期間U(L4)(時刻fから時刻h)において、設定信号φsは、「H」(0V)に維持されているため、発光サイリスタL4は非点灯状態に維持される。ただし、階調設定期間Ug1の期間U(L4)の時刻gにおいて、転送信号φ2が「L」(-3.3V)から「H」(0V)に移行する。すると、オン状態の転送サイリスタT4がオフ状態に移行する。よって、時刻hでは、すべての転送サイリスタT1~T4(図7参照)がオフ状態になる。これは、時刻cの直前の状態(転送サイリスタTについては、時刻aの初期状態)と同じである。これにより、転送サイリスタTによるオン状態の転送が転送サイリスタT4から転送サイリスタT1に戻る。
【0115】
これ以降の階調設定期間Ug2~Ug255は、階調設定期間Ug1の繰り返しになる。
そして、発光サイリスタL4は、階調設定期間Ug4においてオフ状態(非点灯状態)からオン状態(点灯状態)に移行し、発光サイリスタL3は、階調設定期間Ug255においてオフ状態(非点灯状態)からオン状態(点灯状態)に移行する。
そして、階調設定期間Ug255が終了する時刻mにおいて、点灯信号φIが「L」(-3.3V)から「H」(0V)に移行することにより、点灯状態であった発光サイリスタL2、L3、L4がターンオフして非点灯状態に移行する。
【0116】
以上説明したように、発光サイリスタL2は、階調設定期間Ug1~Ug255において点灯状態を維持するので、階調255となる。発光サイリスタL3は、階調設定期間Ug4~Ug255において点灯状態を維持するので、階調252となる。発光サイリスタL4は、階調設定期間Ug255において点灯状態を維持するので、階調1となる。これに対して、発光サイリスタL1は、階調設定期間Ug1~Ug255において非点灯状態を維持するので、階調0になる。すなわち、256階調が実現される。
ここで説明しない光源21の動作は、第1の実施の形態で説明した光源20の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0117】
(発光装置4Aにおける光源21の全同時点灯動作)
光源21において、全ての発光サイリスタLを同時に並行して点灯させる全同時点灯動作を説明する。
発光サイリスタLを点灯させるためには、発光サイリスタLが点灯信号φIでターンオンすればよい。よって、全同時点灯動作では、全ての発光サイリスタLが点灯信号φIでターンオンするようにする。
【0118】
発光装置4Aの順次点灯動作では、制御部111の電源電位供給部170が供給する電源電位Vgkを「L」(-3.3V)に設定した。全同時点灯動作では、制御部111の基準電位供給部160が供給する基準電位Vsubと、電源電位供給部170が供給する電源電位Vgkとを、「H」(0V)に設定する。そして、点灯信号発生部140が発生する点灯信号φIを「L」(-3.3V)に設定する。
【0119】
電源電位Vgkを「H」(0V)に設定すると、電流制限抵抗R、接続ダイオードDs、抵抗Rpを介して、「H」(0V)の電源電位線71に接続された発光サイリスタLのゲートGlが「H」(0V)になる。すると、発光サイリスタLのしきい電圧が-1.5Vになる。よって、点灯信号φIが「L」(-3.3V)になると、発光サイリスタLが点灯(発光)する。つまり、全ての発光サイリスタLが同時に並行に点灯する。この状態は、他の信号(転送信号φ1、φ2、設定信号φs、同時点灯信号φg1、φg2)に影響されない。よって、他の端子(φ1端子、φ2端子、φs端子、φg1端子、φg2端子)の電位を設定することを要しない。つまり、他の端子(φ1端子、φ2端子、φs端子、φg1端子、φg2端子)は、オープンでよい。
【0120】
(発光装置4Aにおける光源21の部分同時点灯動作)
光源21において、複数の発光ダイオードLEDにおいて、一部分の発光サイリスタLを組にして点灯させる部分同時点灯動作を説明する。
発光サイリスタLを点灯させるためには、発光サイリスタLが点灯信号φIでターンオンすればよい。よって、部分同時点灯動作においては、組にした発光サイリスタLが点灯信号φIでターンオンするようにする。
【0121】
例えば、発光サイリスタL1、L2を組にして同時に並行して点灯させる場合には、制御部111の基準電位供給部160が基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する。そして、同時点灯信号発生部190の同時点灯信号φg1(同時点灯ダイオードDg1、Dg2のアノードに供給される同時点灯信号φg1)を「H」(0V)に設定し、点灯信号発生部140の点灯信号φIを「L」(-3.3V)に設定する。同時点灯信号φg1を「H」(0V)に設定すると、発光サイリスタL1、L2のしきい電圧が-Vとなる。発光サイリスタL1、L2には、「L」(-3.3V)が印加されるので、発光サイリスタL1、L2が点灯する。
【0122】
以上は、発光サイリスタL1、L2を組にして、同時に並行して点灯させる場合であるが、発光サイリスタL3、L4を組にして、同時に並行して点灯させる場合には、同時点灯信号φg1の代わりに同時点灯信号φg2を「H」(0V)に設定すればよい。他の場合も、組にした発光サイリスタLに対応して設けられた同時点灯ダイオードDgのアノードを共通にして、アノードに設定される同時点灯信号φgを「H」(0V)とすればよい。また、全ての発光ダイオードLEDを同時に並行して点灯させる場合には、全ての発光サイリスタLに対応させて同時点灯ダイオードDgを設け、全ての同時点灯ダイオードDgのアノードを「H」(0V)になるように同時点灯信号φgを設定すればよい。
【0123】
なお、図7においては、同時点灯ダイオードDg1、Dg2のアノードを配線で接続し、同時点灯ダイオードDg3、Dg4のアノードを配線で接続して、制御部111の同時点灯信号発生部190に接続した。しかし、それぞれの同時点灯ダイオードDgのアノードを同時点灯信号発生部190に接続し、同時点灯信号発生部190において、組にする発光サイリスタLを選択するようにしてもよい。
【0124】
また、部分同時点灯動作を行わず、順次点灯動作と全同時点灯動作とを行う場合には、同時点灯ダイオードDgを設けなくてもよい。そして、制御部111において、同時点灯信号発生部190を備えなくてもよい。
【0125】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態が適用される発光装置4の光源20及び第2の実施の形態が適用される発光装置4Aの光源21では、発光素子は、一次元状に配列されていた。第3の実施の形態が適用される発光装置4Bの光源22では、発光素子は二次元状に配列されている。
第3の実施の形態が適用される発光装置4Bは、第1の実施の形態が適用される発光装置4と光源22及び制御部112が異なる。よって、同様の部分の説明を省略し、異なる部分を説明する。なお、同じ機能を有する部分には、同じ符号を付す。
【0126】
図9は、第3の実施の形態が適用される光源22の等価回路である。なお、図9には、制御部112を合わせて示している。ここで、図9の紙面において、右から左へ向かう方向をx方向、下から上に向かう方向をy方向とする。x方向とy方向とは直交する。
光源22は、4×4のマトリクス(二次元状)に配列された16個のレーザダイオードLDを備える。なお、二次元状とは、次元の数が二つあることをいい、例えばx方向とy方向とに広がっていることを言う。つまり、x方向にレーザダイオードLD11、LD21、LD31、LD41が配列された発光素子部101、レーザダイオードLD12、LD22、LD32、LD42がx方向に配列された発光素子部102、レーザダイオードLD13、LD23、LD33、LD43がx方向に配列された発光素子部103、レーザダイオードLD14、LD24、LD34、LD44がx方向に配列された発光素子部104を備える。
【0127】
また、発光素子部101~104に含まれる各1個のレーザダイオードLDが、y方向に配列されている。つまり、レーザダイオードLD11、LD12、LD13、LD14がy方向に配列され、レーザダイオードLD21、LD22、LD23、LD24がy方向に配列され、レーザダイオードLD31、LD32、LD33、LD34がy方向に配列され、レーザダイオードLD41、LD42、LD43、LD44がy方向に配列されている。このように、レーザダイオードLDをそれぞれ区別する場合は、「LD11」のように二桁の数字を付す。なお、x方向の数字の代わりに「i」を、y方向の数字の代わりに「j」を付して、「LDij」と表記する場合もある。また、他の場合も同様であるが、x方向のみに数字を付す場合、個々の数字を付す代わりに「i」を、y方向のみに数字を付す場合、個々の数字を付す代わりに「j」を付す場合がある。ここでは、i、jは1~4の整数である。
【0128】
第3の実施の形態が適用される光源22では、発光素子は、レーザダイオードLDとした。レーザダイオードLDは、例えば垂直共振器面発光レーザ素子(VCSEL)である。レーザダイオードLDは、発光ダイオードLEDであってもよい。
【0129】
光源22は、16個の駆動サイリスタDTを備える。各駆動サイリスタDTは、各レーザダイオードLDと接続されている。ここでは、各駆動サイリスタDTは、各レーザダイオードLDと直列接続されている。つまり、駆動サイリスタDTとレーザダイオードLDとが組を構成する。よって、駆動サイリスタDTには、接続されたレーザダイオードLDと同じ数字を付して、それぞれを区別する。なお、駆動サイリスタDTとレーザダイオードLDとは、第1の実施の形態の発光ダイオードLEDと駆動サイリスタBと同様に、トンネル接合層を介して積層されることで、直列接続されていてもよい。
【0130】
そして、光源22は、4個の転送サイリスタT、4個の設定サイリスタS、4個の結合ダイオードD、それぞれ4個の接続ダイオードDa、Db、4個の電源線抵抗Rgを備える。さらに、スタートダイオードSD、電流制限抵抗R1、R2を備える。さらに、光源22は、4個の同時点灯ダイオードDgを備える。
【0131】
転送サイリスタTは、転送サイリスタT1、T2、T3、T4の順にx方向に配列されている。そして、結合ダイオードDは、結合ダイオードD1、D2、D3、D4がx方向に配列されている。なお、結合ダイオードD1、D2、D3は、転送サイリスタT1、T2、T3、T4の各間に設けられ、結合ダイオードD4は、転送サイリスタT4の結合ダイオードD3が設けられた側と反対側に設けられている。
設定サイリスタSは、設定サイリスタS1、S2、S3、S4の順にx方向に配列されている。
接続ダイオードDa、Db、電源線抵抗Rgも、同様にx方向に配列されている。
転送サイリスタT、設定サイリスタS、結合ダイオードD、接続ダイオードDa、Db、電源線抵抗Rgは、x方向に配列されているので、一桁の数字が付される。なお、個々の数字を付す代わりに「i」を付す場合がある。
【0132】
接続ダイオードDa、Dbは、アノードとカソードとを備える2端子素子である。
【0133】
以下では、光源22における、各素子の接続関係を説明する。なお、第1の実施の形態が適用される光源20と同様な部分の説明を省略する。
【0134】
レーザダイオードLDijと駆動サイリスタDTijとは直列接続されている。つまり、レーザダイオードLDijは、アノードが基準電位Vsubに接続され、カソードが駆動サイリスタDTijのアノードに接続されている。
基準電位Vsubは、基板80の裏面に設けられた裏面電極を介して供給される。
【0135】
そして、発光素子部101に含まれる駆動サイリスタDTi1のカソードは、点灯信号線74-1に接続されている。点灯信号線74-1は、φI1端子に接続されている。φI1端子には、制御部112の点灯信号発生部140から点灯信号φI1が供給される。
発光素子部102に含まれる駆動サイリスタDTi2のカソードは、点灯信号線74-2に接続されている。点灯信号線74-2は、φI2端子に接続されている。φI2端子には、制御部112から点灯信号φI2が供給される。
また、発光素子部103に含まれる駆動サイリスタDTi3のカソードは、点灯信号線74-3に接続されている。点灯信号線74-3は、φI3端子に接続されている。φI3端子には、制御部112から点灯信号φI3が供給される。
同様に、発光素子部104に含まれる駆動サイリスタDTi4のカソードは、点灯信号線74-4に接続されている。点灯信号線74-4は、φI4端子に接続されている。φI4端子には、制御部112から点灯信号φI4が供給される。
つまり、駆動サイリスタDTijのカソードは、点灯信号線74-jに接続され、点灯信号線74-jは、φIj端子に接続されている。そして、φIj端子には、制御部112から点灯信号φIjが供給される。
【0136】
設定サイリスタSiは、アノードが基準電位Vsubに接続され、カソードが設定信号線75に接続されている。設定信号線75は、φs端子に接続され、制御部112から設定信号φsが供給される。
【0137】
転送サイリスタTiのゲートGtiは、電源線抵抗Rgを介して、電源電位線71に接続されている。電源電位線71は、Vgk端子に接続され、制御部112から電源電位Vgk(一例として、-3.3V)が供給される。
転送サイリスタTiのゲートGtiは、接続ダイオードDaiを介して、設定サイリスタSiのゲートに接続されている。そして、設定サイリスタSiのゲートGsiは、接続ダイオードDbiを介して、駆動サイリスタDTijのゲートGdijに接続されている。
つまり、それぞれの設定サイリスタSには、駆動サイリスタDTとレーザダイオードLDとの組が複数(ここでは、4組)接続されている。
【0138】
ゲート信号線55により、電源電位線71から電源線抵抗Rg1、接続ダイオードDa1、Db1を介して、設定サイリスタS1のゲートGs1と駆動サイリスタDT1jのゲートGd1jとが接続されている。ゲート信号線56により、電源電位線71から電源線抵抗Rg1、接続ダイオードDa2、Db2を介して、設定サイリスタS2のゲートGs2と駆動サイリスタDT2jのゲートGd2jとが接続されている。ゲート信号線57により、電源電位線71から電源線抵抗Rg3、接続ダイオードDa3、Db3を介して、設定サイリスタS3のゲートGs3と駆動サイリスタDT3jのゲートGd3jとが接続されている。ゲート信号線58により、電源電位線71から電源線抵抗Rg4、接続ダイオードDa4、Db4を介して、設定サイリスタS4のゲートGs4と駆動サイリスタDT4jのゲートGd4jとが接続されている。
【0139】
同時点灯ダイオードDgiのカソードは、駆動サイリスタDTijのゲートGdijに接続されている。つまり、同時点灯ダイオードDg1のカソードは、ゲート信号線55に接続され、同時点灯ダイオードDg2のカソードは、ゲート信号線56に接続され、同時点灯ダイオードDg3のカソードは、ゲート信号線57に接続され、同時点灯ダイオードDg4のカソードは、ゲート信号線58に接続されている。そして、一例として、同時点灯ダイオードDg1、Dg2のアノードは、φg1端子に接続されている。φg1端子には、制御部112における同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φg1が供給される。同時点灯ダイオードDg3、Dg4のアノードは、φg2端子に接続されている。φg2端子には、制御部112における同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φg2が供給される。
【0140】
制御部112の構成を説明する。
制御部112は、第2の実施の形態の制御部111と同様に、転送信号発生部120、設定信号発生部180、点灯信号発生部140、基準電位供給部160、電源電位供給部170及び同時点灯信号発生部190を備える。なお、点灯信号発生部140は、点灯信号φIjを生成し、光源20のφIj端子に供給する。
【0141】
以上においては、レーザダイオードLDは、4×4の二次元状に配置されているとしたが、4×4に限定されない。i×jにおけるi及びjは、4以外の複数の数値であってもよい。そして、転送サイリスタT、設定サイリスタSの数は、iであればよい。なお、転送サイリスタT、設定サイリスタSの数は、iを超える数であってもよい。
【0142】
(発光装置4Bにおける順次点灯動作)
次に、発光装置4Bにおける光源22のレーザダイオードLDを順次発光させる動作について説明する。
【0143】
まず、光源22における基本的な順次点灯動作を説明する。ここでは、レーザダイオードLD11を点灯させる場合を説明する。電源電位Vgkが「L」(-3.3V)、基準電位Vsubが「H」(0V)である。そして、同時点灯信号φg1、φg2が「L」(-3.3V)に設定されている。
レーザダイオードLD11を点灯させる場合には、点灯信号φI1が「L」(-3.3V)、設定信号φsが「H」(0V)に設定される。第1の実施の形態が適用される発光装置4の光源20と同様に、転送サイリスタTは、オン状態が転送される。転送サイリスタT1がオン状態になると、ゲートGt1が0Vになる。すると、ゲートGt1に接続された接続ダイオードDa1を介して、設定サイリスタS1のゲートGs1が-1.5Vになる。すると、設定サイリスタS1のしきい電圧が-3.0Vになる。ここで、設定信号φsが「L」(-3.3V)に設定されると、設定サイリスタS1がターンオンして、ゲートGs1が0Vになる。すると、ゲートGs1に接続された接続ダイオードDb1を介して駆動サイリスタDT11のゲートGd11が-1.5Vになる。すると、駆動サイリスタDT11のしきい電圧が-3.0Vになる。これにより、レーザダイオードLD11が点灯する。
つまり、駆動サイリスタDTのゲートGdの電位(ゲート信号線55などのゲート信号線)が-1.5Vになると、駆動サイリスタDTがオン状態に移行可能な状態になる。そして、点灯信号φIが「L」(-3.3V)であると、駆動サイリスタDTがオン状態になり、レーザダイオードLDが点灯(発光)する。すなわち、駆動サイリスタDTは、オン状態になることでレーザダイオードLDが点灯するように駆動する。
【0144】
図10は、第3の実施の形態が適用される、4×4のレーザダイオードLDを備える光源22において、レーザダイオードLDの点灯/非点灯を制御する例を示す図である。ここでは、点灯(発光)させるレーザダイオードLDを「〇」、非点灯(非発光)のレーザダイオードLDを「×」で示している。つまり、レーザダイオードLD11、LD12、LD14、LD21、LD23、LD31、LD32、LD41、LD43、LD44を点灯(発光)させ、レーザダイオードLD13、LD22、LD24、LD33、LD34、LD42を非点灯(非発光)とする。つまり、4×4の二次元状に配列されたレーザダイオードLDにおいて、予め定められたレーザダイオードLDを並列に点灯させている。ただし、レーザダイオードLDは、転送サイリスタTのオン状態が順に転送される際に、順次点灯が開始するように駆動される。
【0145】
図11は、第3の実施の形態が適用される光源22が備える4×4のレーザダイオードLDを順次点灯させる動作を説明するタイミングチャートである。アルファベット順(a、b、c、…)に時間が経過するとする。なお、図11の時刻a、b、c、…は、図6図8に示した時刻a、b、c、…と異なる。
【0146】
ここでは、図10に示したようにレーザダイオードLDを点灯(発光)/非点灯(非発光)させる。このため、レーザダイオードLDを点灯に設定するか、非点灯に設定するかを決める設定期間V(1)~V(4)(区別しない場合は、設定期間Vと表記する。)と、点灯に設定されたレーザダイオードLDの点灯状態を並列に維持する点灯維持期間Vcとが設けられている。
【0147】
時刻aから時刻fまでは、レーザダイオードLD11、LD21、LD31、L41に対する設定期間V(1)、時刻fから時刻kまでは、レーザダイオードLD12、LD22、LD32、L42に対する設定期間V(2)、時刻kから時刻pまでは、レーザダイオードLD13、LD23、LD33、L43対する設定期間V(3)、時刻pから時刻uまでは、レーザダイオードLD14、LD24、LD34、L44対する設定期間V(4)である。そして、時刻uから時刻vまでは、点灯に設定されたレーザダイオードLDを並列に点灯状態に維持する点灯維持期間Vcである。図10では、設定期間Vが、点灯維持期間Vcより、長く記載されているが、点灯維持期間Vcが設定期間Vより、長く設定されるのがよい。設定期間Vが点灯維持期間Vcより長い場合に比べ、複数のレーザダイオードLD間において発光順に依存する発光量の差が低減する。
【0148】
設定期間V(1)~V(4)は、基本的に同じであるので、設定期間V(1)を中心に説明する。
点灯信号φI1、φI2、φI3、φI4は、「H」(0V)、「L1」(-3.1V)、「L2」(-2.5V)、「L3」(-3.5V)の4つの電位を有する信号である。点灯信号φI1は、設定期間V(1)の時刻aにおいて、「H」(0V)であって、時刻aと時刻bとの間において、「L1」(-3.1V)に移行する。そして、設定期間V(1)が終了し、設定期間V(2)が開始する時刻fにおいて、「L2」(-2.5V)に移行する。そして、設定期間V(4)が終了し、点灯維持期間Vcが開始する時刻uにおいて、「L3」(-3.5V)に移行する。そして、点灯維持期間Vcが終了する時刻vにおいて、「H」(0V)に戻る。他の点灯信号φI2、φI3、φI4も同様である。
【0149】
点灯信号φI1が「L1」(-3.1V)であり、転送サイリスタT1がオン状態にある時刻bにおいて、設定信号φsが「H」から「L」に移行すると、設定サイリスタS1がターンオンしてオン状態になる。すると、前述したように、駆動サイリスタDT11のしきい電圧が-3.0Vになる。よって、駆動サイリスタDT11がターンオンする。オン状態の駆動サイリスタDT11のアノード-カソード間の電圧は0.8Vになるので、レーザダイオードLD11には、2.3Vが印加される。レーザダイオードLD11の立ち上がり電圧は1.5Vであるので、レーザダイオードLD11も点灯(発光)する。
【0150】
同様に、点灯信号φI1が「L1」(-3.1V)であり、転送サイリスタT2がオン状態にある時刻cにおいて、設定信号φsが「H」から「L」に移行すると、設定サイリスタS1がターンオンしてオン状態になる。すると、駆動サイリスタDT21のしきい電圧が-3.0Vになる。よって、駆動サイリスタDT21がターンオンして、レーザダイオードLD21が点灯(発光)する。他の、レーザダイオードLD31、LD41も同様である。つまり、時刻fでは、レーザダイオードLD11~LD41が点灯している。このとき、点灯信号φI1が「L1」(-3.1V)から「L2」(-2.5V)に移行する。しかし、駆動サイリスタDT11のカソードは、-2.3Vであれば、オン状態が維持される。よって、時刻uまで、レーザダイオードLD11~LD41の点灯が維持される。そして、時刻uにおいて、点灯信号φI1が「L2」(-2.5V)から「L3」(-3.5V)に移行すると、点灯しているレーザダイオードLD11~LD41の発光が明るくなる(光量が向上する)。
【0151】
そして、時刻vで、点灯信号φI1が「L3」(-3.5V)から「H」(0V)に戻ると、点灯していたレーザダイオードLD11~LD41が消灯して非点灯(非発光)になる。
【0152】
他のレーザダイオードLDijについても同様である。つまり、設定期間V(1)、V(2)、V(3)、V(4)において、レーザダイオードLDを点灯させ、点灯を維持させる。そして、点灯維持期間Vcにおいて、点灯しているレーザダイオードLDの発光を明るくする(光量が向上する)。このように、レーザダイオードLDの点灯を順に開始させている。光源22は、自己走査型発光素子アレイとして構成されている。
ここで説明しない光源21の動作は、第1の実施の形態で説明した光源20の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0153】
(発光装置4Bにおける光源22の全同時点灯動作)
光源22において、全てのレーザダイオードLDを同時に並行して点灯させる全同時点灯動作を説明する。
レーザダイオードLDを点灯させるためには、駆動サイリスタDTが点灯信号φIでターンオンすればよい。よって、全同時点灯動作では、レーザダイオードLDに接続された駆動サイリスタDTが点灯信号φIでターンオンするようにする。
【0154】
発光装置4Bの順次点灯動作では、制御部112の電源電位供給部170が供給する電源電位Vgkを「L」(-3.3V)に設定した。全同時点灯動作では、制御部112の基準電位供給部160が供給する基準電位Vsubと、電源電位供給部170が供給する電源電位Vgkとを「H」(0V)に設定する。そして、点灯信号発生部140が発生する点灯信号φI1~φI4を「L1」(-3.2V)又は「L3」(-3.5V)に設定する。
【0155】
電源電位Vgkを「H」(0V)に設定すると、電源線抵抗Rg、接続ダイオードDa、Dbを介して、「H」(0V)の電源電位線71に接続された駆動サイリスタDTのゲートGdが「H」(0V)になり、駆動サイリスタDTのしきい電圧が-1.5Vになる。よって、点灯信号φI1~φI4が「L1」(-3.2V)又は「L3」(-3.5V)になると、駆動サイリスタDTがターンオンして、レーザダイオードLDが点灯する。つまり、全てのレーザダイオードLDが同時に並行に点灯する。この状態は、他の信号(転送信号φ1、φ2、設定信号φs、同時点灯信号φg1、φg2)の電位に影響されない。よって、他の端子(φ1端子、φ2端子、φs端子、φg1端子、φg2端子)の電位を設定することを要しない。つまり、他の端子(φ1端子、φ2端子、φs端子、φg1端子、φg2端子)は、オープンでよい。
【0156】
(発光装置4Bにおける光源21の部分同時点灯動作)
光源22において、複数のレーザダイオードLDにおいて、一部分のレーザダイオードLDを組にして点灯させる部分同時点灯動作を説明する。
レーザダイオードLDを点灯させるためには、駆動サイリスタDTが点灯信号φIでターンオンすればよい。よって、部分同時点灯動作では、組にしたレーザダイオードLDに接続された駆動サイリスタDTが点灯信号φIでターンオンするようにする。
【0157】
例えば、レーザダイオードLD11、LD21を組にして同時に並行して点灯させる場合には、制御部112の基準電位供給部160が基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する。そして、同時点灯信号発生部190の同時点灯信号φg1(同時点灯ダイオードDg1、Dg2のアノードに供給される同時点灯信号φg1)を「H」(0V)に設定し、点灯信号発生部140の点灯信号φI1を「L1」(-3.2V)又は「L3」(-3.5V)に設定する。つまり、同時点灯信号φg1を「H」(0V)に設定すると、駆動サイリスタDT11、DT21のしきい電圧が-3.0Vとなる。点灯信号φI1は「L1」(-3.2V)又は「L3」(-3.5V)であるので、駆動サイリスタDT11、DT2がターンオンして、レーザダイオードLD11、21が点灯する。なお、点灯信号φI2、φI3、φI4を「L1」(-3.2V)又は「L3」(-3.5V)に設定すれば、レーザダイオードLD12、LD22、LD13、LD23、LD14、LD24も点灯する。このように、点灯信号φIと同時点灯信号φgとを組み合わせることで、点灯するレーザダイオードLDの組が変更される。
【0158】
なお、図9においては、同時点灯ダイオードDg1、Dg2のアノードを配線で接続し、同時点灯ダイオードDg3、Dg4のアノードを配線で接続して、制御部112の同時点灯信号発生部190に接続した。しかし、それぞれの同時点灯ダイオードDgのアノードを同時点灯信号発生部190に接続し、同時点灯信号発生部190において、同時点灯ダイオードDgの組み合わせにより組にするレーザダイオードLDを選択するようにしてもよい。
【0159】
また、部分同時点灯動作を行わず、順次点灯動作と全同時点灯動作とを行う場合には、同時点灯ダイオードDgを設けなくてもよい。そして、制御部112において、同時点灯信号発生部190を備えなくてもよい。
【0160】
[第4の実施の形態]
第3の実施の形態が適用される発光装置4Bでは、二次元状に配列された発光素子の一辺に沿って転送サイリスタを設けて、オン状態を自己走査させた。第4の実施の形態が適用される発光装置4Cでは、二次元状に配列された発光素子の二辺に沿って転送サイリスタを設けて、二辺に沿ってオン状態を転送させる。
【0161】
図12は、第4の実施の形態が適用される光源23の等価回路である。なお、図12には、制御部113を合わせて示している。ここで、図12の紙面において、右から左へ向かう方向を水平方向(以下では、h方向と表記する。)とし、上から下に向かう方向を垂直方向(以下では、v方向と表記する。)とする。二次元状とは、次元の数が二つあることをいい、水平方向と垂直方向とに広がっていることを言う。ここでは、h方向とv方向とは、直交するとするが、直交しなくてもよい。
【0162】
光源23は、h方向転送部105とv方向転送部106と複数のレーザダイオードLDとを備える。レーザダイオードLDは、発光素子の一例であって、例えば垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である。
光源23は、h方向にレーザダイオードLD11、LD12、LD13、LD14が配列された行、レーザダイオードLD21、LD22、LD23、LD24が配列された行、レーザダイオードLD31、LD32、LD33、LD34が配列された行、レーザダイオードLD41、LD42、LD43、LD44が配列された行を備える。これらの行が、この順でv方向に配列されている。つまり、v方向にレーザダイオードLD11、LD21、LD31、LD41が配列された列、レーザダイオードLD12、LD22、LD32、L42が配列された列、レーザダイオードLD13、LD23、LD33、LD43が配列された列、レーザダイオードLD14、LD24、LD34、LD44が配列された列を備えている。
【0163】
上記のように、レーザダイオードLDをそれぞれ区別する場合は、「LD11」のように二桁の数字を付す。なお、h方向の数字の代わりに「i」を、v方向の数字の代わりに「j」を付して、「LDji」と表記する場合もある。また、他の場合も同様であるが、h方向のみに数字を付す場合、個々の数字を付す代わりに「i」を、v方向のみに数字を付す場合、個々の数字を付す代わりに「j」を付す場合がある。ここでは、i、jは1~4の整数である。
【0164】
そして、光源23は、16個の駆動サイリスタBと16個の駆動サイリスタUとをさらに備える。各駆動サイリスタB、Uは、各レーザダイオードLDと接続されている。ここでは、レーザダイオードLD、駆動サイリスタB、駆動サイリスタUの順となるように、各レーザダイオードLDと各駆動サイリスタB、Uとが直列接続されている。つまり、レーザダイオードLD、駆動サイリスタB及び駆動サイリスタUが組を構成している。よって、駆動サイリスタB、Uには、接続されるレーザダイオードLDと同じ数字を付して、それぞれを区別する。なお、レーザダイオードLDと各駆動サイリスタB、Uとは、第1の実施の形態の発光ダイオードLEDと駆動サイリスタBと同様に、それぞれの間にトンネル接合層を介して積層されることで、直列接続されていてもよい。
【0165】
h方向転送部105は、4個の転送サイリスタThと、4個の結合ダイオードDhと、4個の接続ダイオードDaと、4個の抵抗Rhとを備える。さらに、h方向転送部105は、スタートダイオードDhsを備える。
【0166】
転送サイリスタThは、h方向に転送サイリスタTh1、Th2、Th3、Th4の順で配列されている。そして、結合ダイオードDhは、h方向に結合ダイオードDh1、Dh2、Dh3、Dh4の順で配列されている。なお、結合ダイオードDh1、Dh2、Dh3は、転送サイリスタTh1、Th2、Th3、Th4の各間に設けられ、結合ダイオードDh4は、転送サイリスタTh4の結合ダイオードDh3が設けられた側と反対側に設けられている。接続ダイオードDa及び抵抗Rhも、同様にh方向に配列されている。
転送サイリスタTh、結合ダイオードDh、接続ダイオードDa、抵抗Rhは、h方向に配列されているので、一桁の数字が付される。なお、個々の数字を付す代わりに「i」を付す場合がある。
【0167】
v方向転送部106は、4個の転送サイリスタTvと、4個の結合ダイオードDvと、4個の設定サイリスタSと、4個の接続ダイオードDbと、4個の接続抵抗Rcと、4個の抵抗Rvとを備える。さらに、v方向転送部106は、スタートダイオードDvsを備える。
【0168】
転送サイリスタTvは、v方向に転送サイリスタTv1、Tv2、Tv3、Tv4の順で配列されている。そして、結合ダイオードDvは、v方向に結合ダイオードDv1、Dv2、Dv3、Dv4の順で配列されている。なお、結合ダイオードDv1、Dv2、Dv3は、転送サイリスタTv1、Tv2、Tv3、Tv4の各間に設けられ、結合ダイオードDv4は、転送サイリスタTv4の結合ダイオードDv3が設けられた側と反対側に設けられている。
設定サイリスタSは、v方向に設定サイリスタS1、S2、S3、S4の順で配列されている。
接続ダイオードDb、接続抵抗Rc及び抵抗Rvも、同様にv方向に配列されている。
転送サイリスタTv、結合ダイオードDv、設定サイリスタS、接続ダイオードDb、接続抵抗Rc及び抵抗Rvは、v方向に配列されているので、一桁の数字が付される。なお、個々の数字を付す代わりに「j」を付す場合がある。
【0169】
さらに、光源23は、4個の同時点灯ダイオードDghと、4個の同時点灯ダイオードDgvを備える。同時点灯ダイオードDghは、h方向に配列されているので、一桁の数字が付される。なお、個々の数字を付す代わりに「i」を付す場合がある。同時点灯ダイオードDgvは、v方向に配列されているので、一桁の数字が付される。なお、個々の数字を付す代わりに「j」を付す場合がある。
【0170】
レーザダイオードLD、結合ダイオードDh、Dv、接続ダイオードDa、Db及び同時点灯ダイオードDgh、Dgvは、アノードとカソードとを備える2端子素子である。
転送サイリスタTh、Tv、設定サイリスタS及び駆動サイリスタU、Bは、アノード、カソード、ゲートを備える3端子素子である。
【0171】
レーザダイオードLDjiと駆動サイリスタBjiと駆動サイリスタUjiとは直列接続された組を構成する。すなわち、レーザダイオードLDjiのアノードは、基準電位Vsubに接続され、レーザダイオードLDjiのカソードは、駆動サイリスタBjiのアノードに接続されている。駆動サイリスタBjiのカソードは、駆動サイリスタUjiのアノードに接続されている。駆動サイリスタUjiのカソードは、レーザダイオードLDjiに発光のための電流を供給する点灯信号Vonが供給される点灯信号線54に接続されている。
【0172】
つまり、直列接続されたレーザダイオードLDji、駆動サイリスタBji及び駆動サイリスタUjiの組の全ては、レーザダイオードLDjiのアノードが基準電位Vsubに、駆動サイリスタUjiのカソードが点灯信号線54に、並列接続されている。
【0173】
h方向転送部105において、転送サイリスタThiは、アノードが基準電位Vsubに接続されている。奇数番号の転送サイリスタTh1、Th3は、カソードが転送信号線52に接続されている。転送信号線52には、制御部113から転送信号φh1が供給される。偶数番号の転送サイリスタTh2、Th4は、カソードが転送信号線53に接続されている。転送信号線53には、制御部113から転送信号φh2が供給される。
【0174】
結合ダイオードDhiは、直列接続されている。つまり、一つの結合ダイオードDhのカソードが+h方向に隣接する結合ダイオードDhのアノードに接続されている。そして、結合ダイオードDhiのアノードは、転送サイリスタThiのゲートに接続されている。また、転送サイリスタThiのゲートは、抵抗Rhiを介して、h方向転送部105にh方向電源電位Vgk1が供給される電源電位線51に接続されている。
スタートダイオードDhsは、アノードが転送信号φh2の供給される転送信号線53に接続され、カソードが結合ダイオードDh1のアノードに接続されている。
【0175】
そして、接続ダイオードDaiは、アノードが転送サイリスタThiのゲートに接続され、カソードが駆動サイリスタUjiのゲートに並列接続されている。つまり、接続ダイオードDa1のカソードは、hゲート信号線55を介して、駆動サイリスタUj1のゲートに並列接続されている。接続ダイオードDa2のカソードは、hゲート信号線56を介して、駆動サイリスタUj2のゲートに並列接続されている。接続ダイオードDa3のカソードは、hゲート信号線57を介して、駆動サイリスタUj3のゲートに並列接続されている。接続ダイオードDa4のカソードは、hゲート信号線58を介して、駆動サイリスタUj4のゲートに並列接続されている。なお、hゲート信号線55~58をそれぞれ区別しない場合は、hゲート信号線と表記する。
【0176】
v方向転送部106において、転送サイリスタTvjは、アノードが基準電位Vsubに接続されている。奇数番号の転送サイリスタTv1、Tv3は、カソードが転送信号線62に接続されている。転送信号線62には、制御部113から転送信号φv1が供給される。偶数番号の転送サイリスタTv2、Tv4は、カソードが転送信号線63に接続されている。転送信号線63には、制御部113から転送信号φv2が供給される。
【0177】
結合ダイオードDvjは、直列接続されている。つまり、一つの結合ダイオードDvのカソードが+v方向に隣接する結合ダイオードDvのアノードに接続されている。そして、結合ダイオードDvjのアノードは、転送サイリスタTvjのゲートに接続されている。また、転送サイリスタTvjのゲートは、抵抗Rvjを介して、v方向転送部106にv方向電源電位Vgk2が供給される電源電位線61に接続されている。
スタートダイオードDvsは、アノードが転送信号φv2の供給される転送信号線63に接続され、カソードが結合ダイオードDv1のアノードに接続されている。
【0178】
設定サイリスタSjは、アノードが基準電位Vsubに接続され、カソードが制御部113から設定信号φsが供給される設定信号線64に接続されている。そして、接続ダイオードDbjは、アノードが転送サイリスタTvjのゲートに接続され、カソードが設定サイリスタSjのゲートに接続されている。さらに、接続抵抗Rcjは、一方が設定サイリスタSjのゲートに接続され、他方が駆動サイリスタBjiのゲートに並列接続されている。つまり、接続ダイオードDb1は、接続抵抗Rc1及びvゲート信号線65を介して、駆動サイリスタB1iに接続されている。接続ダイオードDb2は、接続抵抗Rc2及びvゲート信号線66を介して、駆動サイリスタB2iに接続されている。接続ダイオードDb3は、接続抵抗Rc3及びvゲート信号線67を介して、駆動サイリスタB3iに接続されている。接続ダイオードDb4は、接続抵抗Rc4及びvゲート信号線68を介して、駆動サイリスタB4iに接続されている。なお、vゲート信号線65~56をそれぞれ区別しない場合は、vゲート信号線と表記する。
【0179】
同時点灯ダイオードDgh1は、カソードがhゲート信号線55に接続されている。同時点灯ダイオードDgh2のカソードは、hゲート信号線56に接続されている。同時点灯ダイオードDgh1、Dgh2のアノードは、φgh1端子に接続されている。φgh1端子には、制御部113の同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φgh1が供給される。同時点灯ダイオードDgh3は、カソードがhゲート信号線57に接続されている。同時点灯ダイオードDgh4のカソードは、hゲート信号線58に接続されている。同時点灯ダイオードDgh3、Dgh4のアノードは、φgh2端子に接続されている。φgh2端子には、制御部113の同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φgh2が供給される。
【0180】
hゲート信号線55~58、vゲート信号線65~68が、駆動信号線の一例であり、hゲート信号線55~58、vゲート信号線65~68に設定される電位が駆動信号の一例である。
【0181】
同時点灯ダイオードDgv1は、カソードがvゲート信号線65に接続されている。同時点灯ダイオードDgv2のカソードは、vゲート信号線66に接続されている。同時点灯ダイオードDgv1、Dgv2のアノードは、φgv1端子に接続されている。φgv1端子には、制御部113の同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φgv1が供給される。同時点灯ダイオードDgv3は、カソードがvゲート信号線67に接続されている。同時点灯ダイオードDgv4のカソードは、vゲート信号線68に接続されている。同時点灯ダイオードDgv3、Dgv4のアノードは、φgv2端子に接続されている。φgv2端子には、制御部113の同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φgv2が供給される。
【0182】
以上においては、レーザダイオードLDは、4×4の二次元状に配置されているとしたが、4×4に限定されない。j×iにおけるi及びjは、4以外の複数の数値であってもよい。そして、転送サイリスタThの数は、iであればよく、転送サイリスタTv、設定サイリスタSの数は、jであればよい。なお、転送サイリスタThの数は、iを超える数であってもよい。転送サイリスタTv、設定サイリスタSの数は、jを超える数であってもよい。
【0183】
(発光装置4Cにおける順次点灯動作)
次に、発光装置4Cにおける光源23のレーザダイオードLDを順次発光させる動作について説明する。
【0184】
まず、光源23における基本的な順次点灯動作を説明する。ここでは、レーザダイオードLD11を点灯させる場合を説明する。電源電位Vgk1、Vgk2が「L」(-3.3V)、基準電位Vsubが「H」(0V)である。この時、点灯信号Vonを「L」(-3.3V)に設定されているとする。そして、同時点灯信号φgh1、φgh2、φgv1、φgv2が「L」(-3.3V)に設定されている。
レーザダイオードLD11を点灯させるには、レーザダイオードLD11を点灯対象とするために、レーザダイオードLD11に対応する転送サイリスタTh1及び転送サイリスタTv1をオン状態にする。転送サイリスタTh1をオン状態にすると、転送サイリスタTh1のゲートが0Vになり、接続ダイオードDa1を介してhゲート信号線55が-1.5Vになる。すると、駆動サイリスタU11のしきい電圧が-3.0Vになる。一方、転送サイリスタTv1をオン状態にすると、転送サイリスタTv1のゲートが0Vになり、接続ダイオードDb1を介して設定サイリスタS1のゲートが-1.5Vになる。すると、設定サイリスタS1のしきい電圧が-3.0Vになる。
【0185】
次に、設定信号φsを「H」(0V)から「L′」(-3.0V)に移行させると、設定サイリスタS1がターンオンして、設定サイリスタS1のゲートが0Vになる。すると、設定サイリスタS1のゲートに接続抵抗Rc1を介して接続されたvゲート信号線65が0Vになる。つまり、駆動サイリスタB11は、ゲートが0Vになる。これにより、駆動サイリスタB11のカソード(駆動サイリスタU11のアノード)は、-1.5Vになる。すると、駆動サイリスタU11のカソード-アノード間に印加される電位は-1.8Vになって、駆動サイリスタU11は、ターンオンする。
【0186】
駆動サイリスタU11がオン状態になって、駆動サイリスタU11に電流が流れ始めると、駆動サイリスタB11のゲート-カソード間にも電流が流れる。すると、駆動サイリスタB11のゲートは、接続抵抗Rc1の電位降下により、-0.8Vに近づく。これにより、駆動サイリスタB11のカソード(駆動サイリスタU11のアノード)が、-2.3Vに近づく。このとき、駆動サイリスタB11のアノードは、レーザダイオードLD11のカソードに接続されているので-1.5Vになる。つまり、駆動サイリスタB11のアノード-カソード間には、0.8Vが印加される。これにより、駆動サイリスタB11は、ターンオンする。すると、レーザダイオードLD11、駆動サイリスタB11及び駆動サイリスタU11に電流が流れて、レーザダイオードLD11が点灯する。
つまり、駆動サイリスタUのゲートに接続されたhゲート信号線(hゲート信号線55などのhゲート信号線)の電位を-1.5Vに設定し、駆動サイリスタBのゲートに接続されたvゲート信号線(vゲート信号線65などのvゲート信号線)の電位を0Vにすると、駆動サイリスタU、Bがオン状態に移行可能な状態になる。そして、点灯信号Vonが「L」(-3.3V)であると、駆動サイリスタU、Bがオン状態になり、レーザダイオードLDが点灯(発光)する。すなわち、駆動サイリスタU、Bは、オン状態になることでレーザダイオードLDが点灯するように駆動する。
【0187】
以上説明したように、転送サイリスタThiを順にオン状態にするとともに、転送サイリスタTvjを順にオン状態にする。そして、オン状態の転送サイリスタThiとオン状態の転送サイリスタTvjとで指定されたレーザダイオードLDjiを点灯させるようにしている。光源23は、自己走査型発光素子アレイとして構成されている。
【0188】
図13は、第4の実施の形態が適用される、4×4のレーザダイオードLDを備える光源23において、レーザダイオードLDの点灯/非点灯を設定する一例を示す図である。ここでは、点灯(発光)させるレーザダイオードLDを「〇」、非点灯(非発光)のレーザダイオードLDを「×」で示している。つまり、レーザダイオードLD11、LD12、LD14、LD21、LD23、LD32、LD34、LD41、LD42、LD44を点灯(発光)させ、レーザダイオードLD13、LD22、LD24、LD31、LD33、LD43を非点灯(非発光)とする。つまり、4×4の二次元状に配列されたレーザダイオードLDにおいて、予め定められたレーザダイオードLDを並行して点灯させている。
【0189】
図14は、第4の実施の形態が適用される光源23が備える4×4のレーザダイオードLDを順次点灯させる動作を説明するタイミングチャートである。アルファベット順(a、b、c、…)に時間が経過するとする。なお、図14の時刻a、b、c、…は、図6図8図11に示した時刻a、b、c、…と異なる。
【0190】
ここでは、図13に示したようにレーザダイオードLDの点灯(発光)/非点灯(非発光)を設定するとする。レーザダイオードLDを点灯又は非点灯に設定する設定期間P(1)~P(4)(区別しない場合は、設定期間Pと表記する。)と、点灯に設定された点灯対象のレーザダイオードLDを並行して点灯状態に維持する点灯維持期間Pcとが設けられている。
【0191】
時刻aから時刻fまでは、レーザダイオードLD11、LD21、LD31、L41に対する設定期間P(1)、時刻fから時刻kまでは、レーザダイオードLD12、LD22、LD32、L42に対する設定期間P(2)、時刻kから時刻pまでは、レーザダイオードLD13、LD23、LD33、LD43に対する設定期間P(3)、時刻pから時刻uまでは、レーザダイオードLD14、LD24、LD34、L44に対する設定期間P(4)である。そして、時刻uから時刻vまでは、点灯に設定された点灯対象のレーザダイオードLDを並列に点灯状態に維持する点灯維持期間Pcである。つまり、設定期間P(1)~P(4)において、点灯対象のレーザダイオードLDの点灯が完了した時点において、点灯対象のレーザダイオードLDを並列に点灯状態に維持する点灯維持期間Pcが開始する。
【0192】
図14では、設定期間Pが、点灯維持期間Pcより、長く表記されているが、点灯維持期間Pcが設定期間Pより、長く設定されるのがよい。第1の期間の一例である設定期間Pが点灯維持期間Pcより長い場合に比べ、複数のレーザダイオードLD間において発光順に依存する発光量の差が低減する。
【0193】
設定期間P(1)~P(4)は、基本的に同じであるので、設定期間P(1)を中心に説明する。
ここで、基準電位Vsubは「H」(0V)、h方向電源電位Vgk1、v方向電源電位Vgk2は「L」(-3.3V)である。点灯信号Vonは、「H」(0V)と「L」(-3.3V)との間で移行する。設定信号φsは、「H」(0V)と「L′」(-3.0V)との間で移行する。転送信号φh1、φh2、転送信号φv1、φv2は、第1の実施の形態における転送信号φ1、φ2と同様である。
【0194】
時刻aにおいて、点灯信号Vonが「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行する。
時刻aと時刻bの間の時刻a1において、転送サイリスタTh1がオフ状態からオン状態に移行する。そして、時刻a1と時刻bとの間の時刻a2において、転送サイリスタTv1がオフ状態からオン状態に移行する。
時刻bにおいて、設定信号φsが「H」(0V)から「L′」(-3.0V)に移行する。これにより、設定サイリスタS1がオフ状態からオン状態に移行する。すると、前述したように、レーザダイオードLD11が点灯する。
【0195】
時刻bと時刻cとの間の時刻b1において、設定信号φsが「L′」(-3.0V)から「H」(0V)に移行する。すると、設定サイリスタS1は、オン状態からオフ状態に移行するが、点灯信号Vonは「L」(-3.3V)であるので、レーザダイオードLD11は、オン状態を維持する。
【0196】
このようにして、時刻aから時刻uまでの設定期間Pにおいて、レーザダイオードLDを図13に従って、点灯/非発光の状態に設定する。そして、時刻uから時刻vまでの点灯維持期間Pcにおいて、点灯したレーザダイオードLDの点灯状態を維持する。つまり、点灯維持期間Pcにおいては、点灯状態に設定されたレーザダイオードLDが並行して点灯する。
【0197】
ここで説明しない光源2の動作は、第1の実施の形態で説明した光源20の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0198】
(発光装置4Cにおける光源23の全同時点灯動作)
光源23において、全てのレーザダイオードLDを同時に並行して点灯させる全同時点灯動作を説明する。
レーザダイオードLDを点灯させるためには、駆動サイリスタUのゲートを-1.5Vに設定した状態で、駆動サイリスタBのカソード(駆動サイリスタUのアノード)を-1.5Vになるように設定し、点灯信号Vonを「L」(-3.3V)に設定すればよい。
よって、制御部113の基準電位供給部160により基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する。そして、制御部113の電源電位供給部170、180により電源電位Vgk1、Vgk2を「H」(0V)に設定する。その後、制御部113の設定信号発生部180により、設定信号φsを「L」(-3.3V)にする。このようにすることで、設定サイリスタSがオン状態になり、接続抵抗Rcを介して駆動サイリスタBのゲートが0Vになる。これにより、駆動サイリスタBのカソード(駆動サイリスタUのアノード)が、-1.5Vになる。その後、点灯信号Vonを「H」(0V)から「L」(-3.3V)に設定すると、駆動サイリスタUがターンオンしてオン状態になる。すると、レーザダイオードLD、駆動サイリスタB及び駆動サイリスタUに電流が流れて、レーザダイオードLDが点灯する。つまり、全てのレーザダイオードLDが同時に並行に点灯する。この状態は、他の信号(転送信号φh1、φh2、φv1、φv2、同時点灯信号φg1、φg2)の電位に影響されない。よって、他の端子(φh1端子、φh2端子、φv1端子、φv2端子、φg1端子、φg2端子)に電位を設定することを要しない。つまり、他の端子(φh1端子、φh2端子、φv1端子、φv2端子、φg1端子、φg2端子)は、オープンでよい。
【0199】
(発光装置4Cにおける光源23の部分同時点灯動作)
光源23において、複数のレーザダイオードLDにおいて、一部分のレーザダイオードLDを組にして点灯させる部分同時点灯動作を説明する。
レーザダイオードLDを点灯させるためには、駆動サイリスタUのゲートを-1.5Vに設定した状態で、駆動サイリスタBのカソード(駆動サイリスタUのアノード)を-1.5Vになるように設定し、点灯信号Vonを「L」(-3.3V)に設定すればよい。
【0200】
例えば、レーザダイオードLD11、LD21、LD12、LD22を同時に並行して点灯させる場合には、制御部113の基準電位供給部160により基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する。そして、同時点灯信号発生部190の同時点灯信号φgh1(同時点灯ダイオードDgh1、Dgh2のアノードに供給される同時点灯信号φgh1)を-1.5Vに設定し、同時点灯信号発生部190の同時点灯信号φgv1(同時点灯ダイオードDgv1、Dgv2のアノードに供給される同時点灯信号φgv1)を0Vに設定する。その後、制御部113の点灯信号発生部140により点灯信号Vonを「L」(-3.3V)に設定する。
【0201】
同時点灯信号φgh1を-1.5Vに設定すると、同時点灯ダイオードDgh1のカソードに接続されたhゲート信号線55が-1.5Vになる。つまり、駆動サイリスタU11、U21のゲートが-1.5Vになる。同様に、同時点灯ダイオードDgh2のカソードに接続されたhゲート信号線56が-1.5Vになる。つまり、駆動サイリスタU12、U22のゲートが-1.5Vになる。
同時点灯信号φgv1を0Vに設定すると、同時点灯ダイオードDgv1のカソードに接続されたvゲート信号線65が0Vになる。つまり、駆動サイリスタB11、B21のゲートが0Vになる。同様に、同時点灯ダイオードDgv2のカソードに接続されたvゲート信号線66が0Vになる。つまり、駆動サイリスタB12、B22のゲートが-1.5Vになる。この後、点灯信号Vonを「L」(-3.3V)に設定すると、上述したように、レーザダイオードLD11、LD21、LD12、LD22が同時に並行して点灯する。このように、同時点灯信号φgh、同時点灯信号φgvを組み合わせることで、点灯させるレーザダイオードLDの組を変更して点灯させられる。
【0202】
なお、図12においては、同時点灯ダイオードDgh1、Dgh2のアノードを配線で接続し、制御部113の同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φgh1に接続した。同様に、同時点灯ダイオードDgh3、Dgh4のアノードを配線で接続して、同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φgh2に接続した。また、同時点灯ダイオードDgv1、Dgv2のアノードを配線で接続し、同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φgv1に接続した。同様に、同時点灯ダイオードDgv3、Dgv4のアノードを配線で接続して、同時点灯信号発生部190から同時点灯信号φgv2に接続した。この組み合わせは、同時に点灯させるレーザダイオードLDに応じて変更すればよい。
また、それぞれの同時点灯ダイオードDgh、Dgvのアノードを制御部113の同時点灯信号発生部190に接続し、同時点灯信号発生部190において、同時点灯ダイオードDgh、Dgvの組み合わせを設定して、組にするレーザダイオードLDを選択するようにしてもよい。
【0203】
また、部分同時点灯動作を行わず、順次点灯動作と全同時点灯動作とを行う場合には、同時点灯ダイオードDgh、Dgvを設けなくてもよい。そして、制御部113において、同時点灯信号発生部190を備えなくてもよい。
【0204】
第1の実施の形態から第4の実施の形態で説明した電位は、一例であって、素子の構成や特性によって変更してもよい。
【0205】
また、第1の実施の形態が適用される発光装置4、第2の実施の形態が適用される発光装置4A、第3の実施の形態が適用される発光装置4B及び第4の実施の形態が適用される発光装置4Cでは、拡散により入射する光の拡がり角を広げるように変化させて出射する光拡散部材30を用いた。光拡散部材30の代わりに、入射する光の方向と異なる方向に変化させて出射する回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)のような回折部材であってもよい。
【符号の説明】
【0206】
1…情報処理装置、2…ユーザインターフェイス部(UI部)、3…光学装置、4、4A、4B、4C…発光装置、5…3Dセンサ、6…計測装置、8…計測制御部、9…システム制御部、10…回路基板、20、21、22、23…光源、30…光拡散部材、40…保持部、51、61、71…電源電位線、52、53、62、63、72、73…転送信号線、54…点灯信号線、55、56、57、58…ゲート信号線、hゲート信号線、64、75…設定信号線、65、66、67、68…vゲート信号線、74…点灯信号線、80…基板、81…三次元形状特定部、91…認証処理部、101、102、103、104…発光素子部、105…h方向転送部、106…v方向転送部、120…転送信号発生部、140…点灯信号発生部、160…基準電位供給部、170…電源電位供給部、180…設定信号発生部、190…同時点灯信号発生部、φ1、φ2、φh1、φh2、φv1、φv2…転送信号、φI、Von…点灯信号、φg、φgh、φgv…同時点灯信号、B、DT、U…駆動サイリスタ、D、Dh、Dv…結合ダイオード、Dg、Dgh、Dgv…同時点灯ダイオード、Dhs、Dvs、SD…スタートダイオード、L…発光サイリスタ、LD…レーザダイオード、LED…発光ダイオード、S…設定サイリスタ、T、Th、Tv…転送サイリスタ
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