(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/189 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B62D1/189
(21)【出願番号】P 2020059354
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶之
(72)【発明者】
【氏名】生田 智紘
(72)【発明者】
【氏名】杉下 傑
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏高
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-15120(JP,A)
【文献】特開2014-15119(JP,A)
【文献】特開2012-41034(JP,A)
【文献】特開2012-180039(JP,A)
【文献】特開2004-255989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに連結されるステアリングシャフトを支持するステアリングコラムと、
車体に固定され、且つ前記ステアリングコラムを支持するアッパブラケットと、
前記ステアリングコラムの両側で前記車体に別々に固定され、且つ前記ステアリングコラムを上下方向に揺動できるように支持する2つのロアブラケットと、
を備え、
前記ロアブラケットは、前記車体に面する板状の部材であり且つ車幅方向で前記ステアリングコラムよりも外側に配置される固定部と、前記ステアリングコラムに面する板状の部材であり且つ前記ステアリングコラム及び前記ロアブラケットを連結するピン部材が挿入される取付孔を備えるピボット部と、湾曲した板状の湾曲部によって前記固定部及び前記ピボット部と接続される板状の部材である
一対のリブ部と、を備え、
前記ステアリングコラムは、前記ピボット部の下側の端面に隙間を空けて面するコラム回動規制部を備え
、
前記ピボット部は、前記固定部に対して直交しており、
一対の前記リブ部は、前記固定部及び前記ピボット部に対して直交し、
前記車幅方向から視て、一対の前記リブ部は、前記コラム回動規制部との衝突の際、衝突荷重が入力される前記ピボット部の下側の端面に対し、直交している
ステアリング装置。
【請求項2】
前記コラム回動規制部の車幅方向の外側端部は、前記ピボット部の車幅方向の外側表面よりも、車幅方向の内側に配置される
請求項1に記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、操作者(運転者)のステアリングホイールに対する操作を車輪に伝えるための装置としてステアリング装置が設けられている。ステアリングホイールの上下の位置を調整できるように、ステアリングコラムがピン部材を中心に揺動できるようにステアリング装置が知られている。特許文献1には、ステアリング装置の一例が記載されている。特許文献1のステアリング装置は、ロアブラケットに対するステアリングコラムの回動を規制するコラム回動規制部を備えることによって、ステアリングコラムを車体に取り付ける際の利便性を高め、ステアリングコラムが離脱した時の自由な動きを規制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロアブラケットを車体へ容易に取り付けられるようにするために、2つのロアブラケットがステアリングコラムの両側に配置されることがある。また、ロアブラケット、及びステアリングコラムの回動を規制するコラム回動規制部には、高い強度が求められる。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ロアブラケットの車体への取付作業を容易にでき、ロアブラケット及びコラム回動規制部の強度を向上できるステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示のステアリング装置は、ステアリングホイールに連結されるステアリングシャフトを支持するステアリングコラムと、車体に固定され、且つ前記ステアリングコラムを支持するアッパブラケットと、前記ステアリングコラムの両側で前記車体に別々に固定され、且つ前記ステアリングコラムを上下方向に揺動できるように支持する2つのロアブラケットと、を備え、前記ロアブラケットは、前記車体に面する板状の部材であり且つ車幅方向で前記ステアリングコラムよりも外側に配置される固定部と、前記ステアリングコラムに面する板状の部材であり且つ前記ステアリングコラム及び前記ロアブラケットを連結するピン部材が挿入される取付孔を備えるピボット部と、湾曲した板状の湾曲部によって前記固定部及び前記ピボット部と接続される板状の部材であるリブ部と、を備え、前記ステアリングコラムは、前記ピボット部の下側の端面に隙間を空けて面するコラム回動規制部を備える。
【0007】
コラム回動規制部は、ステアリングコラムがアッパブラケットによって支持されなくなった時、又はステアリング装置を車体に取り付ける時等において、ステアリングコラムがロアブラケットに対して大きく回動することを抑制する。また、2つのロアブラケットがステアリングコラムの両側に配置され、且つ固定部が車幅方向でステアリングコラムよりも外側に配置されることによって、固定部にボルトを取り付けやすくなるので、ステアリング装置を車体に取り付ける作業が容易になる。また、2つのロアブラケットが互いに分離しているが、ステアリングコラムに対するそれぞれのロアブラケットの揺動範囲がコラム回動規制部によって制限される。このため、ロアブラケットの位置が安定するので、ステアリング装置を車体に取り付けやすい。ロアブラケットは、湾曲部を介して固定部及びピボット部と接続されるリブ部を備えることによって、高い強度を備える。さらに、コラム回動規制部がピボット部の下側に配置されることによって、コラム回動規制部の強度が向上する。すなわち、仮にコラム回動規制部がロアブラケットの前方又は後方にリブ部に面するように配置される場合、コラム回動規制部の高さは、湾曲部の高さよりも大きい必要がある。この場合、コラム回動規制部に生じる応力が大きくなり、コラム回動規制部に変形等が生じる可能性がある。また、取付作業を容易にするために固定部がステアリングコラムよりも車幅方向で外側に配置されるので、コラム回動規制部を固定部に面するように配置することは困難である。これに対して、コラム回動規制部がピボット部の下側に配置されることで、ステアリングコラムの回動を規制することが可能であると共に、コラム回動規制部の高さを小さくできるのでコラム回動規制部に変形等が生じにくい。したがって、本開示のステアリング装置は、ロアブラケットの車体への取付作業を容易にでき、ロアブラケット及びコラム回動規制部の強度を向上できる。
【0008】
上記のステアリング装置の望ましい態様として、前記ピボット部は、前記固定部に対して直交しており、前記リブ部は、前記固定部及び前記ピボット部に対して直交している。
【0009】
これにより、本開示のステアリング装置は、車体に対するロアブラケットの位置決め及びロアブラケットに対するステアリングコラムの位置決めを容易にすることができる。また、本開示のステアリング装置は、ロアブラケットの小型化と強度の向上を両立できる。
【0010】
上記のステアリング装置の望ましい態様として、前記コラム回動規制部の車幅方向の外側端部は、前記ピボット部の車幅方向の外側表面よりも、車幅方向の内側に配置される。
【0011】
これにより、ステアリングコラムの回動を規制することが可能であると共に、コラム回動規制部に変形等がより生じにくくなる。したがって、本開示のステアリング装置は、コラム回動規制部の強度をより向上できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示のステアリング装置によれば、ロアブラケットの車体への取付作業を容易にでき、ロアブラケット及びコラム回動規制部の強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態のステアリング装置の模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態のステアリング装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態のステアリング装置の側面図である。
【
図4】
図4は、ハウジング及びロアブラケットの斜視図である。
【
図6】
図6は、ハウジング及びロアブラケットの正面図である。
【
図7】
図7は、ハウジング及びロアブラケットの背面図である。
【
図8】
図8は、ハウジング及びロアブラケットの右側面図である。
【
図9】
図9は、ハウジング及びロアブラケットの左側面図である。
【
図10】
図10は、ハウジング及びロアブラケットの平面図である。
【
図11】
図11は、ハウジング及びロアブラケットの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0015】
(実施形態)
図1は、実施形態のステアリング装置の模式図である。
図1に示すように、ステアリング装置80は、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、第1ユニバーサルジョイント84と、中間シャフト85と、第2ユニバーサルジョイント86と、を備える。
【0016】
図1に示すように、ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを備える。入力軸82aの一端は、ステアリングホイール81に接続される。入力軸82aの他端は、出力軸82bに接続される。出力軸82bの一端は、入力軸82aに接続される。出力軸82bの他端は、第1ユニバーサルジョイント84に接続される。
【0017】
図1に示すように、中間シャフト85の一端は、第1ユニバーサルジョイント84に接続される。中間シャフト85の他端は、第2ユニバーサルジョイント86に接続される。ピニオンシャフト87の一端は、第2ユニバーサルジョイント86に接続される。ピニオンシャフト87の他端は、ステアリングギヤ88に接続される。第1ユニバーサルジョイント84及び第2ユニバーサルジョイント86は、例えばカルダンジョイントである。ステアリングシャフト82の回転は、中間シャフト85を介してピニオンシャフト87に伝わる。第2ユニバーサルジョイント86は、ピニオンシャフト87に接続される。
【0018】
図1に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを備える。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に接続される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に接続される。ラック88bが移動することで車輪の角度が変化する。
【0019】
図1に示すように、操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、電動モータ93と、を備える。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。電動モータ93で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイールによって、電動モータ93で生じたトルクを増加させる。減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。すなわち、ステアリング装置80は、コラムアシスト方式である。
【0020】
図1に示すように、ステアリング装置80は、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94と、車速センサ95と、を備える。電動モータ93、トルクセンサ94及び車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU90に出力する。車速センサ95は、ステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信によりECU90に出力する。
【0021】
ECU90は、電動モータ93の動作を制御する。ECU90は、トルクセンサ94及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、操舵トルク及び車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU90は、補助操舵指令値に基づいて電動モータ93へ供給する電力値を調節する。ECU90は、電動モータ93から誘起電圧の情報又は電動モータ93に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。ECU90が電動モータ93を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
【0022】
図2は、実施形態のステアリング装置の斜視図である。
図3は、実施形態のステアリング装置の側面図である。
図4は、ハウジング及びロアブラケットの斜視図である。
図5は、ハウジングの斜視図である。
図6は、ハウジング及びロアブラケットの正面図である。
図7は、ハウジング及びロアブラケットの背面図である。
図8は、ハウジング及びロアブラケットの右側面図である。
図9は、ハウジング及びロアブラケットの左側面図である。
図10は、ハウジング及びロアブラケットの平面図である。
図11は、ハウジング及びロアブラケットの底面図である。
図12は、
図9のA-A断面図である。
図13は、
図12の一部の拡大図である。
【0023】
以下の説明においては、XYZ直交座標軸が用いられる。X軸は、車両における幅方向(左右方向)と平行である。Z軸は、ステアリングシャフト82の回転軸Rと平行である。Y軸は、X軸及びZ軸の両方に対して直交する。Y軸と平行なY方向のうち車両における上方を+Y方向とする。Z軸と平行なZ方向のうち車両における前方を+Z方向とする。+Y方向を上として+Z方向を向いた場合の右方向を+X方向とする。
【0024】
図2に示すように、ステアリング装置80は、ステアリングコラム50と、アッパブラケット40と、締付機構60と、ロアブラケット20と、を備える。ステアリングコラム50は、アッパコラム51と、ロアコラム52と、ハウジング54と、コラム回動規制部56と、を備える。
【0025】
アッパコラム51及びロアコラム52は、筒状の部材である。アッパコラム51及びロアコラム52は、鋼材等で形成される。例えば、アッパコラム51及びロアコラム52は、機械構造用炭素鋼鋼管(いわゆるSTKM材)で形成される。アッパコラム51は、ロアコラム52に対して-Z方向に配置される。アッパコラム51の少なくとも一部は、ロアコラム52に挿入される。アッパコラム51の外周面は、ロアコラム52の内周面に接する。アッパコラム51及びロアコラム52は、ステアリングシャフト82を、回転軸Rを中心に回転できるように支持する。アッパコラム51は、軸受を介して入力軸82aを支持する。ロアコラム52は、軸受を介して出力軸82bを支持する。アッパコラム51は、Z方向に延びる長穴を備える。
【0026】
ハウジング54は、ロアコラム52の+Z方向に配置される。ハウジング54は、例えばボルト等によってロアコラム52と接合される。ハウジング54の内側には、減速装置92等が配置される。
図5に示すように、ハウジング54は、X方向に開口した穴である取付孔541を備える。コラム回動規制部56は、ハウジング54からX方向に突出する突起である。コラム回動規制部56は、ハウジング54のX方向の両側に配置される。コラム回動規制部56は、ハウジング54の+X方向側の端部と-X方向側の端部に配置される。
図8及び
図9に示すように、コラム回動規制部56は、X方向から見て長円形状である。コラム回動規制部56は、X方向から見て四隅を面取りした矩形状であるともいえる。コラム回動規制部56は、Z方向に延びている。コラム回動規制部56の長手方向は、Z方向に沿っている。コラム回動規制部56のZ方向の長さは、ロアブラケット20のZ方向の長さよりも小さい。Y方向から見た場合、コラム回動規制部56のZ方向の中心位置が、
図4に示すピン部材29の中心位置と重なる。
【0027】
アッパブラケット40は、車体に固定される。アッパブラケット40は、ステアリングコラム50を支持する。アッパブラケット40は、取付板41と、離脱カプセル49と、2つの支持板43と、を備える。
【0028】
図2に示すように、取付板41は、ステアリングコラム50の+Y方向に配置される。取付板41は、離脱カプセル49を介して車体に固定される。取付板41及び離脱カプセル49は、例えば樹脂インジェクションで形成された樹脂部材によって連結されている。離脱カプセル49は、例えばダイカスト用アルミニウム合金(ADC材(Aluminium alloy Die Casting))等の軽量合金で形成される。離脱カプセル49は、例えばボルト等によって車体に固定されている。2次衝突時においてステアリングコラム50に前方向きの力が作用することにより、離脱カプセル49に対して取付板41が前方に移動することで樹脂部材が切断される。これにより、離脱カプセル49による支持が解除され、アッパコラム51及びアッパブラケット40が車体から離脱する。その後、アッパコラム51及びロアコラム52との間の摩擦力により衝撃が吸収される。
【0029】
図2に示すように、支持板43は、取付板41から-Y方向に延びている。支持板43は、アッパコラム51の側面に面するように配置される。2つの支持板43は、アッパコラム51をX方向の両側から挟むように配置される。2つの支持板43は、Y方向に延びる長穴を備える。
【0030】
締付機構60は、2つの支持板43をアッパコラム51に押し付ける装置である。
図2に示すように、締付機構60は、ロッド61と、レバー64とを備える。
【0031】
ロッド61は、支持板43の長穴と、アッパコラム51の長穴とを貫通する。ロッド61には回転カムが取り付けられる。支持板43の長穴には固定カムが取り付けられる。レバー64は、ロッド61及び回転カムと接続される。レバー64は、車室内まで延びる。レバー64が回転すると、ロッド61及び回転カムが回転する一方で、固定カムは回転しない。例えば、固定カムの回転カムに面する表面には、傾斜面が設けられている。回転カムが固定カムの傾斜面に乗り上げることで、回転カムと固定カムとの間の距離が変化する。
【0032】
回転カムから固定カムまで距離が大きくなるようにレバー64が回転させられると、固定カムが支持板43に押し付けられる。固定カムと支持板43との間の摩擦が大きくなるので、ステアリングコラム50のチルト方向の位置が固定される。ステアリングコラム50は、
図4に示すピン部材29を中心に揺動する。チルト方向とは、ピン部材29を中心とした円周に沿う方向である。また、アッパコラム51が2つの支持板43によって締め付けられる。これにより、ロアコラム52に対するアッパコラム51のテレスコ方向(Z方向)の位置が固定される。よって、ステアリングホイール81の位置が固定される。
【0033】
回転カムから固定カムまで距離が小さくなるようにレバー64が回転させられると、固定カムと支持板43との間に隙間が生じやすくなる。これにより、固定カムと支持板43との間の摩擦が小さくなる又はなくなる。これにより、ステアリングコラム50のチルト方向の位置調整が可能となる。また、アッパコラム51が支持板43よって締め付けられなくなるので、アッパコラム51とロアコラム52との間の摩擦が小さくなる又はなくなる。これにより、ロアコラム52に対するアッパコラム51のテレスコ方向の位置調整が可能となる。よって、ステアリングホイール81の位置調整が可能となる。
【0034】
図3及び
図4に示すように、ロアブラケット20は、車体に固定される。ロアブラケット20は、アッパブラケット40に対して+Z方向に配置される。2つのロアブラケット20は、互いに分離した別部材である。2つのロアブラケット20は、ステアリングコラム50のX方向の両側に配置される。2つのロアブラケット20は、例えばボルト等によって、それぞれ別々に車体に固定される。ロアブラケット20は、ステアリングコラム50のハウジング54と連結される。ロアブラケット20及びハウジング54は、
図4に示すピン部材29によって連結される。ロアブラケット20は、X軸に沿う回転軸を中心として回転できるようにステアリングコラム50を支持する。ステアリングコラム50は、ピン部材29を支点としてチルト方向に回動できる。
【0035】
図4に示すように、ロアブラケット20は、固定部21と、ピボット部22と、リブ部23と、第1湾曲部25と、第2湾曲部26と、第3湾曲部27と、を備える。
【0036】
固定部21は、車体に面する板状の部材である。固定部21は、X方向でステアリングコラム50よりも外側に配置される。固定部21の厚さ方向は、Y方向と平行である。固定部21は、Y方向に貫通する第1取付孔211を備える。第1取付孔211を貫通したボルトが、車体に締結される。
【0037】
ピボット部22は、ハウジング54に面する板状の部材である。ピボット部22の厚さ方向は、X方向と平行である。ピボット部22の厚さ方向は、固定部21の厚さ方向に対して直交している。ピボット部22は、X方向に貫通する第2取付孔221(
図12参照)を備える。第2取付孔221にはピン部材29が挿入される。
【0038】
リブ部23は、厚さ方向がZ方向と平行な板状の部材である。リブ部23の厚さ方向は、固定部21の厚さ方向及びピボット部22の厚さ方向に対して直交している。2つのリブ部23が、ピボット部22のZ方向の両側に配置される。Z方向から見て、リブ部23は、L字状である。
【0039】
第1湾曲部25、第2湾曲部26、及び第3湾曲部27は、湾曲した板状の部材である。第1湾曲部25は、固定部21とピボット部22とを接続する。第2湾曲部26は、ピボット部22とリブ部23とを接続する。第3湾曲部27は、固定部21とリブ部23とを接続する。
【0040】
ロアブラケット20は、一枚の金属板から製造される。ロアブラケット20は、一枚の金属板を変形させることによって成形される。例えば、ロアブラケット20は、深絞り加工によって成形される。第1湾曲部25、第2湾曲部26、及び第3湾曲部27は、一枚の金属板を曲げた時に角に形成される部分である。一枚の金属板を変形させることで固定部21、ピボット部22、リブ部23、第1湾曲部25、第2湾曲部26、及び第3湾曲部27が形成されているので、ロアブラケット20は、高い強度を備える。
【0041】
図13に示すように、ステアリングコラム50のコラム回動規制部56は、ピボット部22の下側(-Y方向)の端面225に対して隙間Gを空けて面するように配置される。端面225は、Z方向に延びている。端面225の長手方向は、Z方向に沿っている。隙間Gは、ステアリングコラム50のチルト方向の揺動範囲において、ピボット部22がコラム回動規制部56に当たらないような大きさに調整される。ステアリングホイール81の位置を調整するためのステアリングコラム50の可動範囲内においては、ピボット部22はコラム回動規制部56に接しない。ステアリングコラム50がチルト方向の揺動範囲の中間位置にある時、コラム回動規制部56の端面225に面する表面は、端面225と平行である。アッパブラケット40が車体から離脱した時にステアリングコラム50が自重で落下しようとするが、ピボット部22がコラム回動規制部56に接する。また、アッパブラケット40が車体から離脱した時に、ステアリングコラム50が仮に上方に向かって回転した場合でも、ピボット部22がコラム回動規制部56に接する。すなわち、アッパブラケット40が車体から離脱した時に、ステアリングコラム50がチルト方向のうちの一方向に回転した場合でも他方向に回転した場合でも、ピボット部22がコラム回動規制部56に接する。
図13に示すように、コラム回動規制部56の車幅方向の外側端部567は、ピボット部22のX方向の外側表面227よりも、X方向の内側に配置される。
【0042】
以上で説明したように、ステアリング装置80は、ステアリングコラム50と、アッパブラケット40と、2つのロアブラケット20と、を備える。ステアリングコラム50は、ステアリングホイール81に連結されるステアリングシャフト82を支持する。アッパブラケット40は、車体に固定され、且つステアリングコラム50を支持する。2つのロアブラケット20は、ステアリングコラム50の両側で車体に別々に固定され、且つステアリングコラム50を上下方向に揺動できるように支持する。ロアブラケット20は、車体に面する板状の部材であり且つ車幅方向(X方向)でステアリングコラム50よりも外側に配置される固定部21と、ステアリングコラム50に面する板状の部材であり且つステアリングコラム50及びロアブラケット20を連結するピン部材29が挿入される第2取付孔221を備えるピボット部22と、湾曲した板状の湾曲部(第2湾曲部26及び第3湾曲部27)によって固定部21及びピボット部22と接続される板状の部材であるリブ部23と、を備える。ステアリングコラム50は、ピボット部22の下側の端面225に隙間Gを空けて面するコラム回動規制部56を備える。
【0043】
コラム回動規制部56は、ステアリングコラム50がアッパブラケット40によって支持されなくなった時、又はステアリング装置80を車体に取り付ける時等において、ステアリングコラム50がロアブラケット20に対して大きく回動することを抑制する。また、2つのロアブラケット20がステアリングコラム50の両側に配置され、且つ固定部21が車幅方向でステアリングコラム50よりも外側に配置されることによって、固定部21にボルトを取り付けやすくなるので、ステアリング装置80を車体に取り付ける作業が容易になる。また、2つのロアブラケット20が互いに分離しているが、ステアリングコラム50に対するそれぞれのロアブラケット20の揺動範囲がコラム回動規制部56によって制限される。このため、ロアブラケット20の位置が安定するので、ステアリング装置80を車体に取り付けやすい。ロアブラケット20は、湾曲部を介して固定部21及びピボット部22と接続されるリブ部23を備えることによって、高い強度を備える。さらに、コラム回動規制部56がピボット部22の下側に配置されることによって、コラム回動規制部56の強度が向上する。すなわち、仮にコラム回動規制部56がロアブラケット20の前方又は後方にリブ部23に面するように配置される場合、コラム回動規制部56の高さ(X方向の長さ)は、湾曲部の高さよりも大きい必要がある。この場合、コラム回動規制部56に生じる応力が大きくなり、コラム回動規制部56に変形等が生じる可能性がある。また、取付作業を容易にするために固定部21がステアリングコラム50よりも車幅方向で外側に配置されるので、コラム回動規制部56を固定部21に面するように配置することは困難である。これに対して、コラム回動規制部56がピボット部22の下側に配置されることで、ステアリングコラム50の回動を規制することが可能であると共に、コラム回動規制部56の高さを小さくできるのでコラム回動規制部56に変形等が生じにくい。したがって、本実施形態のステアリング装置80は、ロアブラケット20の車体への取付作業を容易にでき、ロアブラケット20及びコラム回動規制部56の強度を向上できる。
【0044】
ステアリング装置80において、ピボット部22は、固定部21に対して直交している。リブ部23は、固定部21及びピボット部22に対して直交している。
【0045】
これにより、本実施形態のステアリング装置80は、車体に対するロアブラケット20の位置決め及びロアブラケット20に対するステアリングコラム50の位置決めを容易にすることができる。また、本実施形態のステアリング装置80は、ロアブラケット20の小型化と強度の向上を両立できる。
【0046】
ステアリング装置80において、コラム回動規制部56の車幅方向(X方向)の外側端部567は、ピボット部22の車幅方向の外側表面227よりも、車幅方向の内側に配置される。
【0047】
これにより、ステアリングコラム50の回動を規制することが可能であると共に、コラム回動規制部56に変形等がより生じにくくなる。したがって、本実施形態のステアリング装置80は、コラム回動規制部56の強度をより向上できる。
【符号の説明】
【0048】
20 ロアブラケット
21 固定部
22 ピボット部
23 リブ部
25 第1湾曲部
26 第2湾曲部
27 第3湾曲部
29 ピン部材
40 アッパブラケット
41 取付板
43 支持板
49 離脱カプセル
50 ステアリングコラム
51 アッパコラム
52 ロアコラム
54 ハウジング
56 コラム回動規制部
60 締付機構
61 ロッド
64 レバー
80 ステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
82a 入力軸
82b 出力軸
83 操舵力アシスト機構
84 第1ユニバーサルジョイント
86 第2ユニバーサルジョイント
85 中間シャフト
87 ピニオンシャフト
88 ステアリングギヤ
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
90 ECU
92 減速装置
93 電動モータ
94 トルクセンサ
95 車速センサ
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
211 第1取付孔
221 第2取付孔
225 端面
227 外側表面
541 取付孔
567 外側端部
G 隙間
R 回転軸