IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-テープ印刷装置 図1
  • 特許-テープ印刷装置 図2
  • 特許-テープ印刷装置 図3
  • 特許-テープ印刷装置 図4
  • 特許-テープ印刷装置 図5
  • 特許-テープ印刷装置 図6
  • 特許-テープ印刷装置 図7
  • 特許-テープ印刷装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】テープ印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/38 20060101AFI20240305BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B41J2/38
B41J2/32 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020059833
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021154690
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年9月23日 https://labelworks.epson.com/press-release/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年9月23日 https://labelworks.epson.com/epson-lw-z5000px/
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 尚彦
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-000933(JP,A)
【文献】特開2013-203046(JP,A)
【文献】特開2013-008730(JP,A)
【文献】特開平06-166217(JP,A)
【文献】特開平05-077473(JP,A)
【文献】国際公開第2019/224903(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/38
B41J 2/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープに印刷を行うサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドを回動可能に支持するヘッド支軸と、
前記ヘッド支軸が取り付けられたベースフレームと、
第1発熱部である、プロセッサー、第1電源回路、および第2電源回路が実装され、前記ベースフレームと接続された第1基板と、を備えたテープ印刷装置であって、
前記第1基板における前記ベースフレームとの接続部位には、前記ベースフレームとネジ止めするための貫通穴が設けられ、
前記プロセッサーは、1個または複数個のCPUにより構成され、
前記テープ印刷装置の各部に電源を供給する前記第1電源回路、および前記第2電源回路は、複数の電子部品により構成され、
前記第1基板において、前記プロセッサーにおいて発熱時に最も高温となる箇所と、前記貫通穴の中心との間の第1距離は、前記第1電源回路において発熱時に最も高温となる箇所と、前記第2電源回路において発熱時に最も高温となる箇所との間の第2距離よりも短いことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
テープに印刷を行うサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドを回動可能に支持するヘッド支軸と、
前記ヘッド支軸が取り付けられたベースフレームと、
第1発熱部である、プロセッサー、第1電源回路、および第2電源回路が実装され、前記ベースフレームと接続された第1基板と、を備えたテープ印刷装置であって、
前記プロセッサーは、1個または複数個のCPUにより構成され、
前記テープ印刷装置の各部に電源を供給する前記第1電源回路、および前記第2電源回路は、複数の電子部品により構成され、
前記第1基板における前記ベースフレームとの接続部位には、前記ベースフレームとネジ止めするための貫通穴が設けられ、
前記第1基板の、短辺の長さをLとしたとき、前記第1基板の実装面において、前記第1発熱部は、前記貫通穴を中心とする半径L/2の円内に配置されることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項3】
インクリボンが巻回された繰出しコアと、前記テープおよび前記繰出しコアから繰り出された前記インクリボンを前記サーマルヘッドとの間で挟持するプラテンローラーと、を備えたリボンカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、
前記ベースフレームに取り付けられ、前記リボンカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されるときに、前記繰出しコアに挿入される繰出し軸と、
前記ベースフレームに取り付けられ、前記リボンカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されるときに、前記プラテンローラーに挿入されるプラテン軸と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記ベースフレームにおいて、前記接続部位と、前記ヘッド支軸、前記繰出し軸および前記プラテン軸の3つの軸のうち前記接続部位から最も離れた軸と、の間の第3距離は、前記3つの軸のうち相互の間隔が最も大きい2つの軸の間の第4距離よりも短いことを特徴とする請求項3に記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
前記カートリッジ装着部に向けて、当該テープ印刷装置外に設けられたテープロールから繰り出された前記テープが送られるテープ導入経路と、
プロセッサーまたは電源回路である第2発熱部が実装された第2基板と、を備え、
前記第2基板は、前記テープ導入経路の側方に設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のテープ印刷装置。
【請求項6】
前記ベースフレームは、前記カートリッジ装着部の装着底面と前記第1基板との間に設けられ、
前記装着底面には、通気口が設けられていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一項に記載のテープ印刷装置。
【請求項7】
前記カートリッジ装着部の装着底面には、前記ヘッド支軸が貫通したヘッド開口と、前記繰出し軸が貫通した繰出し開口と、前記プラテン軸が貫通したプラテン開口と、が設けられ、
前記ヘッド開口、前記繰出し開口および前記プラテン開口は、前記通気口として機能することを特徴とする請求項6に記載のテープ印刷装置。
【請求項8】
前記ベースフレームは、フレーム本体と、前記フレーム本体から折り曲げられた折曲部と、を有し、
前記ベースフレームは、前記折曲部において、前記第1基板とネジ止めされ、
前記ベースフレームと前記第1基板とは、前記折曲部において接続していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のテープ印刷装置。
【請求項9】
前記第1基板の前記接続部位には、GNDパターンが設けられ、
前記第1基板は、前記GNDパターンを介して前記折曲部と接続されていることを特徴とする請求項8に記載のテープ印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドを備えたテープ印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1が開示するように、サーマルヘッドのプレヒートすなわちサーマルヘッドに対する印刷前の加熱を、サーマルヘッドに通電することにより行うプリンターが知られている。サーマルヘッドのプレヒートが行われることで、印刷時におけるプリンターの消費電力が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-071531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプリンターでは、サーマルヘッドのプレヒートがサーマルヘッドに通電することにより行われるため、サーマルヘッドのプレヒートのために電力が消費されることになる。そのため、印刷時におけるプリンターの消費電力と、プレヒート時におけるプリンターの消費電力とを併せ考えると、サーマルヘッドのプレヒートが行われない場合に比べ、プリンターの消費電力が増加してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のテープ印刷装置は、テープに印刷を行うサーマルヘッドと、サーマルヘッドを回動可能に支持するヘッド支軸と、ヘッド支軸が取り付けられたベースフレームと、プロセッサーまたは電源回路である複数の第1発熱部が実装され、ベースフレームと接続された第1基板と、を備え、第1基板において、ベースフレームと第1基板との接続部位と、複数の第1発熱部のうち接続部位から最も離れた第1発熱部と、の間の第1距離は、複数の第1発熱部のうち相互の間隔が最も大きい2つの第1発熱部の間の第2距離よりも短い。
【0006】
本発明のテープ印刷装置は、テープに印刷を行うサーマルヘッドと、サーマルヘッドを回動可能に支持するヘッド支軸と、ヘッド支軸が取り付けられたベースフレームと、プロセッサーまたは電源回路である複数の第1発熱部が実装され、ベースフレームと接続された第1基板と、を備え、ベースフレームと第1基板との接続部位には、ベースフレームとネジ止めするための貫通穴が設けられ、第1基板の、短辺の長さをLとしたとき、第1基板の実装面において、複数の第1発熱部は、貫通穴を中心とする半径L/2の円内に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】リボンカートリッジが装着されていない状態でテープ印刷装置を+Z方向から見た図である。
図2】リボンカートリッジが装着された状態でテープ印刷装置を+Z方向から見た図である。
図3】リボンカートリッジの斜視図である。
図4】テープ印刷装置の模式的な断面図である。
図5】ベースフレームおよび第1基板の分解斜視図である。
図6】第1基板を-Z方向から見た図である。
図7】リボンカートリッジが装着されていない状態でテープ印刷装置を+Z方向から見た図である。
図8】リボンカートリッジが装着されていない状態で変形例に係るテープ印刷装置を+Z方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しつつ、テープ印刷装置の一実施形態であるテープ印刷装置1について説明する。なお、以下では、各図に示したXYZ直交座標系による方向を用いて説明するが、これらの方向は説明の便宜上のものにすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではない。
【0009】
[テープ印刷装置およびリボンカートリッジの概要]
図1および図2に示すように、テープ印刷装置1は、装置ケース3と、装着部カバー5とを備えている。装置ケース3の材質は、特に限定されないが、例えば樹脂製である。装置ケース3は、略直方体状に形成されている。装置ケース3の+Z方向側には、カートリッジ装着部11が設けられている。カートリッジ装着部11は、+Z方向が開放された凹状に形成されており、リボンカートリッジ101が着脱可能に装着される。
【0010】
装置ケース3の+X方向の面には、装置側テープ導入口7が設けられ、装置ケース3の-X方向の面には、装置側テープ排出口9が設けられている。また、装置側テープ導入口7とカートリッジ装着部11との間には、テープ導入経路8が設けられ、カートリッジ装着部11と装置側テープ排出口9との間には、テープ排出経路10が設けられている。装置ケース3には、テープ印刷装置1外に設けられたテープロール(図示省略)から繰り出されたテープ201が導入される。すなわち、テープロールから繰り出されたテープ201は、装置側テープ導入口7からテープ導入経路8を通ってカートリッジ装着部11に導入され、さらにテープ排出経路10を通って装置側テープ排出口9から装置ケース3外へ排出される。
【0011】
装着部カバー5は、装置ケース3の+Y方向の端部に回動可能に取り付けられており、カートリッジ装着部11を開閉する。カートリッジ装着部11の底面である装着底面13には、ヘッド部14が設けられている。ヘッド部14は、サーマルヘッド15と、ヘッドカバー16と、ヘッド支軸18とを備えている。サーマルヘッド15は、発熱素子20(図5参照)を備えている。サーマルヘッド15は、ヘッド支軸18に回動可能に支持されている。ヘッド支軸18は、カートリッジ装着部11の-Z方向に設けられたベースフレーム31に片持ちで取り付けられている(図4参照)。すなわち、ヘッド支軸18は、ベースフレーム31から+Z方向に突出し、装着底面13に設けられたヘッド開口23を貫通している。なお、ヘッド支軸18は、金属製である。
【0012】
また、装着底面13には、プラテン軸17と、繰出し軸19と、巻取り軸21とが設けられている。プラテン軸17、繰出し軸19および巻取り軸21は、いずれもベースフレーム31に片持ちで取り付けられている(図4参照)。すなわち、プラテン軸17は、ベースフレーム31から+Z方向に突出し、装着底面13に設けられたプラテン開口25を貫通している。繰出し軸19は、ベースフレーム31から+Z方向に突出し、装着底面13に設けられた繰出し開口27を貫通している。巻取り軸21は、ベースフレーム31から+Z方向に突出し、装着底面13に設けられた巻取り開口29を貫通している。なお、プラテン軸17、繰出し軸19および巻取り軸21は、いずれも金属製である。
【0013】
図2および図3に示すように、リボンカートリッジ101は、プラテンローラー103と、繰出しコア105と、巻取りコア107と、これらを収容したカートリッジケース109とを備えている。繰出しコア105には、インクリボン111が巻回されている。繰出しコア105から繰り出されたインクリボン111は、巻取りコア107に巻き取られる。なお、テープ印刷装置1は、繰出しコア105にインクリボン111が巻き戻されるように、繰出しコア105を回転させることも可能である。カートリッジケース109には、ヘッド挿通孔113が、Z方向に貫通して設けられている。リボンカートリッジ101がカートリッジ装着部11に装着されると、ヘッド部14、プラテン軸17、繰出し軸19および巻取り軸21が、それぞれ、ヘッド挿通孔113、プラテンローラー103、繰出しコア105および巻取りコア107に挿入される。これにより、送りモーター(図示省略)の回転が、プラテンローラー103、繰出しコア105および巻取りコア107に伝達可能となる。
【0014】
カートリッジケース109には、+Z方向が開放された溝状のテープ経路115が設けられている。テープ経路115は、X方向に対して斜めに延在している。テープ経路115の+X方向の端部を、カートリッジ側テープ導入口123といい、テープ経路115の-X方向の端部を、カートリッジ側テープ排出口125という。装置側テープ導入口7からテープ導入経路8に導入されたテープ201は、カートリッジ装着部11に装着されたリボンカートリッジ101のカートリッジ側テープ導入口123からテープ経路115に導入される。テープ経路115に導入されたテープ201は、カートリッジ側テープ排出口125からテープ排出経路10に向けて排出される。テープ経路115は、ヘッド挿通孔113とプラテンローラー103との間を通っている。
【0015】
テープ経路115には、リボンカートリッジ101がカートリッジ装着部11に装着される前に、ユーザーにより、テープ201が、テープ201の-Z方向の縁部から-Z方向へ挿入される。リボンカートリッジ101は、テープ経路115にテープ201が挿入された状態で、カートリッジ装着部11に装着される。
【0016】
リボンカートリッジ101がカートリッジ装着部11に装着された後、装着部カバー5が閉められると、ヘッド移動機構(図示省略)により、サーマルヘッド15がプラテン軸17に向けて移動する。これにより、サーマルヘッド15とプラテンローラー103との間に、テープ201およびインクリボン111が挟持される。この状態で、テープ印刷装置1は、テープ印刷装置1への文字等の入力操作により生成された印刷データ、或いはテープ印刷装置1がパソコンなどの外部装置から受信した印刷データ、に基づいて、印刷処理を行う。すなわち、テープ印刷装置1は、プラテンローラー103によりテープ201およびインクリボン111を送りながら、サーマルヘッド15が発熱することで、印刷データに基づく印刷画像をテープ201に印刷する。
【0017】
[ベースフレームおよび第1基板]
図4に示すように、テープ印刷装置1は、ベースフレーム31と、第1基板33とを備えている。ベースフレーム31および第1基板33は、装置ケース3に内蔵されている。ベースフレーム31は、カートリッジ装着部11の装着底面13と略平行となる姿勢で、装着底面13に対して-Z方向に設けられている。第1基板33は、ベースフレーム31と略平行となる姿勢で、ベースフレーム31に対して-Z方向に設けられている。すなわち、ベースフレーム31は、装着底面13と第1基板33との間に設けられている。第1基板33は、複数の電子部品が実装されたA面69(図6参照)が-Z方向を向き、A面69とは反対のB面77が+Z方向を向くように設けられている。
【0018】
図5に示すように、ベースフレーム31と第1基板33とは、第2固定ネジ51および第3固定ネジ63によりネジ止めされている。
【0019】
ベースフレーム31は、第1フレーム35と、第2フレーム37と、第3フレーム39とを備えている。第1フレーム35、第2フレーム37および第3フレーム39は、いずれも、金属製であって、より具体的には、板金に折曲げや穴開けなどの加工を施したものである。第2フレーム37は、第1フレーム35に対して、-Y方向に設けられ、第3フレーム39は、第1フレーム35に対して、+Y方向に設けられている。
【0020】
第1フレーム35は、板状に形成されており、装着底面13と略平行に設けられている。第1フレーム35には、ヘッド支軸18と、プラテン軸17とが取り付けられている。図5では図示省略したが、第1フレーム35には、繰出し軸19および巻取り軸21も取り付けられている。なお、第1フレーム35には、後述する4つの第2固定穴47に対応して、第2フレーム37と第1フレーム35とをネジ止めするための4つの第2ネジ止め穴(図示省略)が設けられている。また、第1フレーム35には、後述する2つの第3固定穴59に対応して、第3フレーム39と第1フレーム35とをネジ止めするための2つの第3ネジ止め穴(図示省略)が設けられている。
【0021】
第2フレーム37は、第2フレーム本体41と、第2折曲部43と、第2延設部45とを備えている。第2フレーム本体41は、略長方形の板状に形成されており、第1フレーム35に対して-Y方向に一部がはみ出すようにして、第1フレーム35の-Z方向の面と接している。第2フレーム本体41には、第2フレーム37と第1フレーム35とをネジ止めするための4つの第2固定穴47が設けられている。第2折曲部43は、第2フレーム本体41の+X方向且つ+Y方向の隅部近傍の部位が、略「L」字状に切り起こされるようにして折り曲げられたものである。第2折曲部43の略中心には、第2フレーム貫通穴49が設けられている。第2フレーム貫通穴49には、-Z方向から第2固定ネジ51が貫通している。第2延設部45は、第2フレーム本体41の-Y方向の端部から+Z方向に延設されている。
【0022】
第3フレーム39は、第3フレーム本体53と、第3折曲部55と、第3延設部57とを備えている。第3フレーム本体53は、略長方形の板状に形成されており、第1フレーム35の-Z方向の面と接している。第3フレーム本体53には、第3フレーム39と第1フレーム35とをネジ止めするための2つの第3固定穴59が設けられている。第3折曲部55は、第3フレーム本体53の+X方向の縁部から+X方向に突出した部位が、略「L」字状に折り曲げられたものである。第3折曲部55の略中心には、第3フレーム貫通穴61が設けられている。第3フレーム貫通穴61には、-Z方向から第3固定ネジ63が貫通している。第3延設部57は、第3フレーム本体53の+Y方向の端部から+Z方向に延設されている。
【0023】
第1基板33は、略長方形の板状に形成されている。なお、第1基板33としては、例えば、4層、6層などの多層基板を用いることができる。第1基板33には、第2基板貫通穴65と、第3基板貫通穴67とが設けられている。第2基板貫通穴65には、-Z方向から第2固定ネジ51が貫通し、第3基板貫通穴67には、-Z方向から第3固定ネジ63が貫通している。すなわち、第1基板33は、第2基板貫通穴65を貫通した第2固定ネジ51により、第2フレーム37の第2折曲部43においてネジ止めされ、第3基板貫通穴67を貫通した第3固定ネジ63により、第3フレーム39の第3折曲部55においてネジ止めされている。このため、第1基板33とベースフレーム31とは、第2折曲部43および第3折曲部55において接続している。
【0024】
図6に示すように、第1基板33のA面69には、第1プロセッサー71と、第1電源回路73と、第2電源回路75とが設けられている。すなわち、A面69は、第1プロセッサー71と、第1電源回路73および第2電源回路75を構成する電子部品とが実装された、実装面である。
【0025】
第1プロセッサー71は、メモリー(図示省略)に記憶されたプログラムを実行することで、サーマルヘッド15、送りモーターなどを制御する。なお、第1プロセッサー71は、例えば、1個或いは複数個のCPU(Central Processing Unit)により構成される。第1プロセッサー71は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア回路により構成されてもよく、1以上のCPUとASICなどのハードウェア回路とにより構成されてもよい。
【0026】
第1電源回路73は、テープ印刷装置1の各部に電源を供給する。第1電源回路73は、例えば、コンデンサー、ダイオード、抵抗、スイッチング素子などの電子部品により構成されている。第2電源回路75についても同様である。
【0027】
テープ印刷装置1の電源がONとなった状態では、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75は、通電されることにより発熱する。すなわち、テープ印刷装置1の電源がONとなった状態では、テープ印刷装置1が印刷動作を行っていないときでも、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75は、発熱する。
【0028】
また、第1基板33のB面77には、GNDパターン79が設けられている。第1基板33のうち、GNDパターン79が設けられた領域には、第2基板貫通穴65が設けられている。すなわち、第1基板33は、GNDパターン79において、第2フレーム37の第2折曲部43と接続されている。
【0029】
第1基板33のY方向における長さをLとすると、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75は、第2基板貫通穴65を中心とする、半径L/2の円内に配置されている。第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75で発生した熱は、第1基板33とベースフレーム31との接続部位81、すなわちGNDパターン79および第2折曲部43を介して、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19へ伝導される。すなわち第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75で発生した熱は、GNDパターン79と接続された第2折曲部43から第2フレーム37へ伝導される。第2フレーム37へ伝導された熱は、第2フレーム37と接した第1フレーム35へ伝導される。第1フレーム35へ伝導された熱は、第1フレーム35に取り付けられたヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19へ伝導される。なお、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75で発生した熱は、巻取り軸21へも伝導されるが、以下では、サーマルヘッド15、テープ201およびインクリボン111のプレヒートに主に寄与する、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19への伝導について述べる。
【0030】
上記したように、第1基板33において、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75は、第1基板33とベースフレーム31との接続部位81に設けられた第2基板貫通穴65を中心とする、半径L/2の円内に配置されている。換言すれば、図6に示すように、第1距離D1は、第2距離D2よりも短い。第1距離D1とは、接続部位81と、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75のうち接続部位81から最も離れたものとの間の距離、すなわち接続部位81と第1プロセッサー71との間の距離を意味する。より具体的には、第1距離D1とは、接続部位81の中心すなわち第2基板貫通穴65の中心と、第1プロセッサー71において発熱時に最も高温となる箇所との間の距離を意味する。第2距離D2とは、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75のうち相互の間隔が最も大きい2つのものの間の距離、すなわち第1電源回路73と第2電源回路75との間の距離を意味する。より具体的には、第2距離D2とは、第1電源回路73において発熱時に最も高温となる箇所と、第2電源回路75において発熱時に最も高温となる箇所との間の距離を意味する。このように、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75が、接続部位81の近くに設けられているため、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75から発生した熱が、接続部位81を介して、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19へ効率良く伝導される。
【0031】
また、ベースフレーム31において、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19は、接続部位81の近くに設けられている。換言すれば、図7に示すように、第3距離D3は、第4距離D4よりも短い。第3距離D3とは、接続部位81と、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19のうち接続部位81から最も離れた軸との間の距離、すなわち、接続部位81と繰出し軸19との間の距離を意味する。より具体的には、接続部位81の中心すなわち第2フレーム貫通穴49の中心と、繰出し軸19の中心との間の距離を意味する。第4距離D4とは、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19の3つの軸のうち相互の間隔が最も大きい2つの軸の間の距離、すなわちプラテン軸17と繰出し軸19との間の距離を意味する。より具体的には、プラテン軸17の中心と繰出し軸19の中心との間の距離を意味する。このように、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19が、接続部位81の近くに設けられているため、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75から発生した熱が、接続部位81を介して、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19へ効率良く伝導される。
【0032】
印刷前に、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19に熱が伝導されることで、サーマルヘッド15、テープ201およびインクリボン111のプレヒート、すなわちサーマルヘッド15、テープ201およびインクリボン111に対する印刷前の加熱が行われる。ヘッド支軸18に熱が伝導されることで、主に、ヘッド支軸18に支持されたサーマルヘッド15がプレヒートされる。また、プラテン軸17に熱が伝導されることで、主に、プラテン軸17が挿入されたプラテンローラー103とサーマルヘッド15との間に挟持されたテープ201およびインクリボン111がプレヒートされる。また、繰出し軸19に熱が伝導されることで、主に、繰出し軸19が挿入された繰出しコア105に巻回されたインクリボン111がプレヒートされる。
【0033】
また、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75から発生した熱で暖められた空気は、ヘッド開口23、プラテン開口25、繰出し開口27および巻取り開口29を介して、カートリッジ装着部11に送られる。このため、ヘッド支軸18、プラテン軸17および繰出し軸19への熱伝導だけでなく、ヘッド開口23、プラテン開口25、繰出し開口27および巻取り開口29を介した対流によっても、サーマルヘッド15、テープ201およびインクリボン111をプレヒートすることができる。なお、ベースフレーム31および第1基板33は、対流による熱伝達率を向上させるべく、カートリッジ装着部11に対して、鉛直方向下方に設けられていることが好ましい。
【0034】
以上のように、本実施形態のテープ印刷装置1では、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75から発生した熱を利用して、サーマルヘッド15、テープ201およびインクリボン111のプレヒートが行われる。このため、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75の発熱による消費電力とは別に、サーマルヘッド15、テープ201およびインクリボン111のプレヒートのために電力を消費することがなく、テープ印刷装置1の消費電力を低減することができる。また、印刷前に、サーマルヘッド15、テープ201およびインクリボン111の各温度が環境温度よりも高くなるため、環境温度が低いときでも、印刷速度を下げることなく、印刷画像にカスレ等の印刷不良が生じることを抑制することができる。
【0035】
[その他の変形例]
上記の実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態は、上述したほか、以下のような形態に変更することができる。また、実施形態や変形例を、それぞれ組み合わせた構成でもよい。
【0036】
図8に示すように、テープ印刷装置1は、テープ導入経路8の側方すなわち+Y方向に設けられた第2基板83を備えた構成でもよい。第2基板83は、XY平面に対して略垂直に設けられている。第2基板83は、第2プロセッサー85および第3電源回路87を備えている。この構成によれば、印刷前に、第2プロセッサー85および第3電源回路87から発生した熱を利用して、テープ導入経路8に導入されたテープ201のプレヒートを行うことができる。
【0037】
ベースフレーム31と第1基板33とは、直接接続された構成に限定されず、接続部材を介して接続された構成でもよい。接続部材は、金属など、熱伝導性の高い材質であることが好ましい。
【0038】
カートリッジ装着部11の装着底面13には、ヘッド開口23、プラテン開口25、繰出し開口27および巻取り開口29に代えて、或いはこれらに加えて、第1プロセッサー71、第1電源回路73および第2電源回路75から発生した熱で暖められた空気を、カートリッジ装着部11に送るための通気口が設けられた構成でもよい。
【0039】
テープ印刷装置1は、リボンカートリッジ101が装着できるとしたが、リボンカートリッジ101ではなく、テープ201と同様態のテープを巻回したテープロールと、インクリボン111と同様態のインクリボンを巻回した繰出しコアとを収容した、テープカートリッジを装着する構成でもよい。
【0040】
[付記]
以下、テープ印刷装置について付記する。
テープ印刷装置は、テープに印刷を行うサーマルヘッドと、サーマルヘッドを回動可能に支持するヘッド支軸と、ヘッド支軸が取り付けられたベースフレームと、プロセッサーまたは電源回路である複数の第1発熱部が実装され、ベースフレームと接続された第1基板と、を備え、第1基板において、ベースフレームと第1基板との接続部位と、複数の第1発熱部のうち接続部位から最も離れた第1発熱部と、の間の第1距離は、複数の第1発熱部のうち相互の間隔が最も大きい2つの第1発熱部の間の第2距離よりも短い。
【0041】
テープ印刷装置は、テープに印刷を行うサーマルヘッドと、サーマルヘッドを回動可能に支持するヘッド支軸と、ヘッド支軸が取り付けられたベースフレームと、プロセッサーまたは電源回路である複数の第1発熱部が実装され、ベースフレームと接続された第1基板と、を備え、ベースフレームと第1基板との接続部位には、ベースフレームとネジ止めするための貫通穴が設けられ、第1基板の、短辺の長さをLとしたとき、第1基板の実装面において、複数の第1発熱部は、貫通穴を中心とする半径L/2の円内に配置される。
【0042】
この構成によれば、接続部位の近くに複数の第1発熱部が設けられているため、第1発熱部から発生した熱が、接続部位を介して、ヘッド支軸に効率良く伝導される。これにより、第1発熱部から発生した熱を利用して、サーマルヘッドのプレヒートを行うことができる。したがって、第1発熱部の発熱による消費電力とは別に、サーマルヘッドのプレヒートのために消費電力が生じることを回避することができ、テープ印刷装置の消費電力を低減することができる。
なお、第1プロセッサー71は、「第1発熱部」の一例である。第1電源回路73は、「第1発熱部」の一例である。第2電源回路75は、「第1発熱部」の一例である。第2基板貫通穴65は、「貫通穴」の一例である。
【0043】
この場合、インクリボンが巻回された繰出しコアと、テープおよび繰出しコアから繰り出されたインクリボンをサーマルヘッドとの間で挟持するプラテンローラーと、を備えたリボンカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、ベースフレームに取り付けられ、リボンカートリッジがカートリッジ装着部に装着されるときに、繰出しコアに挿入される繰出し軸と、ベースフレームに取り付けられ、リボンカートリッジがカートリッジ装着部に装着されるときに、プラテンローラーに挿入されるプラテン軸と、を備えたことが好ましい。
【0044】
この構成によれば、第1発熱部から発生した熱が、接続部位を介して、繰出し軸およびプラテン軸に伝導される。これにより、印刷前に、第1発熱部から発生した熱を利用して、サーマルヘッド、テープおよびインクリボンのプレヒートを行うことができる。
【0045】
この場合、ベースフレームにおいて、接続部位と、ヘッド支軸、繰出し軸およびプラテン軸の3つの軸のうち接続部位から最も離れた軸と、の間の第3距離は、3つの軸のうち相互の間隔が最も大きい2つの軸の間の第4距離よりも短いことが好ましい。
【0046】
この構成によれば、接続部位の近くにヘッド支軸、繰出し軸およびプラテン軸が設けられているため、第1発熱部から発生した熱が、接続部位を介して、ヘッド支軸、繰出し軸およびプラテン軸に効率良く伝導される。
【0047】
この場合、カートリッジ装着部に向けてテープが送られるテープ導入経路と、プロセッサーまたは電源回路である第2発熱部が実装された第2基板と、を備え、第2基板は、テープ導入経路の側方に設けられていることが好ましい。
【0048】
この構成によれば、印刷前に、第2発熱部から発生した熱を利用して、テープ導入経路においてテープのプレヒートを行うことができる。
なお、第2プロセッサー85は、「第2発熱部」の一例である。第3電源回路87は、「第2発熱部」の一例である。
【0049】
この場合、ベースフレームは、カートリッジ装着部の装着底面と第1基板との間に設けられ、装着底面には、通気口が設けられていることが好ましい。
【0050】
この構成によれば、第1発熱部から発生した熱で暖められた空気が、通気口を介してカートリッジ装着部に送られることで、サーマルヘッド、テープおよびインクリボンのプレヒートを行うことができる。
なお、ヘッド開口23は、「通気口」の一例である。プラテン開口25は、「通気口」の一例である。繰出し開口27は、「通気口」の一例である。巻取り開口29は、「通気口」の一例である。
【0051】
この場合、カートリッジ装着部の装着底面には、ヘッド支軸が貫通したヘッド開口と、繰出し軸が貫通した繰出し開口と、プラテン軸が貫通したプラテン開口と、が設けられ、ヘッド開口、繰出し開口およびプラテン開口は、通気口として機能することが好ましい。
【0052】
この構成によれば、第1発熱部から発生した熱で暖められた空気が、ヘッド開口、繰出し開口およびプラテン開口を介してカートリッジ装着部に送られることで、サーマルヘッド、テープおよびインクリボンのプレヒートを行うことができる。
【0053】
この場合、ベースフレームは、フレーム本体と、フレーム本体から折り曲げられた折曲部と、を有し、ベースフレームは、折曲部において、第1基板とネジ止めされ、ベースフレームと第1基板とは、折曲部において接続していることが好ましい。
なお、第2フレーム本体41は、「フレーム本体」の一例である。第2折曲部43は、「折曲部」の一例である。
【0054】
この構成によれば、第1発熱部から発生した熱が、第1基板とネジ止めされる折曲部を介して、ヘッド支軸に伝導される。このため、折曲部とは別に、ベースフレームと第1基板とを接続するための部位をベースフレームに設ける必要がない。
【符号の説明】
【0055】
1…テープ印刷装置、8…テープ導入経路、11…カートリッジ装着部、13…装着底面、15…サーマルヘッド、17…プラテン軸、18…ヘッド支軸、19…繰出し軸、23…ヘッド開口、25…プラテン開口、27…繰出し開口、31…ベースフレーム、33…第1基板、41…第2フレーム本体、43…第2折曲部、65…第2基板貫通穴、71…第1プロセッサー、73…第1電源回路、75…第2電源回路、81…接続部位、83…第2基板、85…第2プロセッサー、87…第3電源回路、101…リボンカートリッジ、103…プラテンローラー、105…繰出しコア、111…インクリボン、201…テープ、D1…第1距離、D2…第2距離、D3…第3距離、D4…第4距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8