(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 15/00 20060101AFI20240305BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F04C15/00 K
F04B39/00 106A
F04C15/00 E
F04C15/00 L
(21)【出願番号】P 2020061769
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-090726(JP,A)
【文献】特開2008-128142(JP,A)
【文献】特開2010-112261(JP,A)
【文献】特開2013-021918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 11/00-15/06
F04B 39/00-39/16
H02K 5/00- 5/26、
11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸回りに回転可能なロータを有するモータと、
前記モータに連結されるポンプ機構と、
前記モータと電気的に接続される制御基板と、
前記モータを収容するモータハウジングと、
前記ポンプ機構を収容するポンプハウジングと、
前記モータハウジングまたは前記ポンプハウジングに連結される基板ハウジングと、
前記基板ハウジングとの間に前記制御基板を収容する基板カバーと、
を備え、
前記基板カバーは、樹脂製であり、
前記基板カバーと前記制御基板との間に、前記制御基板に固定される金属製のシールドプレートを有し、
前記シールドプレートの前記基板カバー側を向く外側面と、前記シールドプレートの外側面と対向する前記基板カバーの内側面とは、互いに対向する方向に離れて配置さ
れ、
前記シールドプレートの前記基板ハウジング側を向く内側面と、前記制御基板の前記基板カバー側を向く外側面とは、互いに対向する方向に離れて配置され、
前記シールドプレートは、前記シールドプレートから前記制御基板に向かって延びる接触片を有し、
前記接触片の一部が、前記制御基板に固定され、
前記接触片と前記制御基板とは、共通の固定部材により前記基板カバーに固定され、
前記基板カバーは、前記基板カバーの内側面から前記制御基板側へ突出する複数のボスを有し、
前記制御基板および前記シールドプレートは、前記ボスに固定される、電動ポンプ。
【請求項2】
前記接触片は、前記シールドプレートの周縁から前記制御基板側へ延びる第1部分と、前記第1部分の先端から前記シールドプレートの内側へ延びる第2部分とを有し、
前記接触片の第2部分が、前記制御基板に接触する、
請求項
1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記シールドプレートは、前記シールドプレートの周縁から前記制御基板側へ延びる側壁を有する、
請求項1
または2に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記シールドプレートは、前記制御基板と対向する部位に1つまたは複数の補強ビードを有する、
請求項1から
3のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【請求項5】
前記シールドプレートの外側面と前記基板カバーの内側面との間に位置する制振部材を有する、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【請求項6】
前記シールドプレートは、前記制御基板のグランドパターンと電気的に接続され、
前記制御基板のグランドパターンは、前記基板ハウジングまたは前記モータハウジングまたは前記ポンプハウジングと電気的に接続される、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、樹脂ハウジング内に制御基板を内蔵した電動ポンプにおいて、電磁ノイズ抑制のためのシールドプレートを樹脂ハウジングの内側に配置し、シールドプレートと制御基板とを電気的に接続する構造が知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成では、樹脂ハウジングとシールドプレートとの熱膨張率の違いから、環境温度の変化に伴ってシールドプレートに歪みが生じてシールドプレートの接地が損なわれ、シールドプレートの電磁波遮蔽機能が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、中心軸回りに回転可能なロータを有するモータと、前記モータに連結されるポンプ機構と、前記モータと電気的に接続される制御基板と、前記モータを収容するモータハウジングと、前記ポンプ機構を収容するポンプハウジングと、前記モータハウジングまたは前記ポンプハウジングに連結される基板ハウジングと、前記基板ハウジングとの間に前記制御基板を収容する基板カバーと、を備える電動ポンプが提供される。前記基板カバーは、樹脂製である。前記基板カバーと前記制御基板との間に、前記制御基板に固定される金属製のシールドプレートを有する。前記シールドプレートの前記基板カバー側を向く外側面と、前記シールドプレートの外側面と対向する前記基板カバーの内側面とは、互いに対向する方向に離れて配置される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の1つの態様によれば、環境温度の変化に伴うシールドプレートの変形を抑制でき、変形による電波遮蔽機能の低下を抑制できる電動ポンプが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の電動ポンプの断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の電動ポンプの内部構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、基板ユニットの一部断面を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、電動ポンプの一実施形態として、電動オイルポンプについて説明する。実施形態の電動オイルポンプは、車両等に搭載される機器のオイル供給に用いられる。
【0009】
以下で参照する各図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、X軸方向は、
図1に示される中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。中心軸Jは、後述するモータ220のシャフト21の中心軸線である。Y軸方向は、X軸と直交する方向のうち、
図1の奥行き方向と平行な方向である。Z軸方向は、X軸方向とY軸方向との両方と直交する方向であり、
図1の上下方向と平行な方向である。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のいずれにおいても、図中に示される矢印の向く側を+側、反対側を-側とする。
【0010】
以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(X軸方向)を単に「軸方向」と称する。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と称する。中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と称する。
【0011】
また、X軸方向の正の側(+X側)を「フロント側」と称する場合がある。同様に、X軸方向の負の側(-X側)を「リア側」と称する場合がある。フロント側(+X側)は、本発明における軸方向一方側に相当する。リア側(-X側)は、本発明における軸方向他方側に相当する。
【0012】
電動オイルポンプ200は、
図1に示すように、ポンプボディ210と、モータ220と、ポンプ機構30と、制御基板40と、を備える。
ポンプボディ210は、モータ220を収容するモータハウジング211と、ポンプ機構30を収容するポンプハウジング212と、制御基板40を収容する基板ハウジング213と、を有する。本実施形態の場合、モータハウジング211と、ポンプハウジング212と、基板ハウジング213とは、単一の部材の一部である。
【0013】
モータハウジング211は、ポンプボディ210のリア側(-X側)に位置する。モータハウジング211は、軸方向に延びる円筒状である。モータハウジング211は、リア側に開口する凹部からなる第1収容凹部211aを有する。第1収容凹部211aは、後述するモータカバー226によりリア側から塞がれる。
【0014】
ポンプハウジング212は、ポンプボディ210のフロント側(+X側)に位置する。ポンプハウジング212は、フロント側に開口する凹部からなる第2収容凹部212aを有する。電動オイルポンプ200は、第2収容凹部212aをフロント側から塞ぐポンプカバー212bを有する。
【0015】
基板ハウジング213は、モータハウジング211およびポンプハウジング212の側面に位置する。基板ハウジング213は、モータハウジング211およびポンプハウジング212の図示下側(-Z側)に位置する。基板ハウジング213は、径方向外側から見て概略矩形状である。基板ハウジング213は、ポンプボディ210の図示下側に向かって開口する第3収容凹部213aを有する。基板ハウジング213には、後述する基板ユニット240が図示下側から装着される。
【0016】
ポンプボディ210は、モータハウジング211の第1収容凹部211aと、ポンプハウジング212の第2収容凹部212aとを軸方向に繋ぐ第1貫通孔210aを有する。ポンプボディ210は、第1収容凹部211aと、基板ハウジング213の第3収容凹部213aとを径方向に繋ぐ第2貫通孔210bを有する。すなわち、第2貫通孔210bは、モータハウジング211と基板ハウジング213との間で径方向に延び、後述するジョイントバスバー251a~251cを収容する収容部である。上記収容部は、軸方向に開口し径方向に延びる溝であってもよい。
【0017】
モータ220は、シャフト21を有するロータ22と、ステータ23と、バスバーアッシー224と、バスバーカバー225と、モータカバー226と、第1ベアリング27および第2ベアリング28と、を備える。第1ベアリング27および第2ベアリング28は、本実施形態では転がり軸受である。第1ベアリング27および第2ベアリング28のいずれか一方または両方が、滑り軸受であってもよい。シャフト21のフロント側の端部は、ポンプ機構30に連結される。
【0018】
バスバーアッシー224は、
図2に示すように、3本のバスバー224a、224b、224cと、バスバー224a~224cを保持する樹脂製のバスバーホルダ224dとを有する。バスバーホルダ224dは、軸方向から見て円環状である。3本のバスバー224a~224cは、バスバーホルダ224dのリア側を向く面にねじ止めされる。
【0019】
バスバーアッシー224は、ステータ23のリア側に位置する。バスバーアッシー224は、モータハウジング211の第1収容凹部211aに、リア側から挿入される。
3本のバスバー224a~224cの一方側の端部は、
図1に示すように、コイル23cからリア側へ延びるコイル線23dと接続される。3本のバスバー224a~224cは、コイル線23dとの接続位置から、基板ハウジング213側へ延びる。
図2に示すように、3本のバスバー224a~224cの他方側の端部は、バスバーホルダ224dの基板ハウジング213側(図示下側)の端部に配置される。3本のバスバー224a、224b、224cの他方側の端部は、後述する3本のジョイントバスバー251a、251b、251cにそれぞれ接続される。
【0020】
バスバーカバー225は、バスバーアッシー224のリア側に位置する。バスバーカバー225は、第1収容凹部211aに、リア側から挿入される。バスバーカバー225は、軸方向から見て円環状である。バスバーカバー225は、バスバーアッシー224をリア側から覆う。バスバーカバー225のリア側からモータカバー226が被せられる。モータカバー226は、第1収容凹部211aをリア側から塞ぐ。
【0021】
バスバーカバー225は、リア側を向く面の外周端に、段差部225aを有する。段差部225aは、リア側を向く面と、径方向外側を向く面とを有する。段差部225aの内部に、Oリングからなる弾性部材225bが配置される。弾性部材225bは、モータカバー226とバスバーカバー225とによって軸方向に挟まれる。モータカバー226は、弾性部材225bを介して、バスバーカバー225をフロント側へ押す。
【0022】
バスバーカバー225は、バスバーアッシー224とモータカバー226との間に挿入されるスペーサとして機能する。バスバーカバー225は、弾性部材225bによってフロント側へ押されることにより、バスバーアッシー224をフロント側へ押す。この構成により、バスバーカバー225は、バスバーアッシー224を軸方向において固定する。スペーサとしてのバスバーカバー225を備えることで、弾性部材225bが周方向において均一に圧縮されるので、バスバーアッシー224を周方向において均一な力で軸方向に押すことができる。モータハウジング211内において、バスバーアッシー224が安定に保持される。バスバーカバー225とバスバーアッシー224は、単一の部材の一部であってもよい。
【0023】
モータカバー226は、バスバーカバー225をリア側から覆う円板状の部材である。モータカバー226は、中心軸Jに沿って延びる円筒部226aと、円筒部226aの外周面から径方向外側に広がる円環状のカバー本体226bとを有する。円筒部226aは、モータカバー226の軸方向の両側に開口する。円筒部226aのフロント側の開口部に第1ベアリング27がフロント側から挿入される。第1ベアリング27は、円筒部226aの内部に位置するベアリング保持部226cに支持される。
【0024】
モータカバー226は、径方向において、バスバーカバー225の外側まで広がる。モータカバー226は、バスバーカバー225よりも径方向外側に位置する部位において、モータハウジング211にねじ止めされる。
【0025】
円筒部226aのリア側の端部に、ブリーザ60が装着される。ブリーザ60は、内部にフィルタを内蔵する。ブリーザ60のフィルタは、例えば、気体を通し液体を遮断する気液分離フィルタである。
【0026】
本実施形態では、モータカバー226が、第1ベアリング27を保持するベアリングホルダと、モータハウジング211の通気孔となるブリーザの機能を有する。これにより、電動オイルポンプ200の部品点数を削減でき、低コスト化が可能である。
【0027】
図1に示すように、第2ベアリング28は、第1収容凹部211aと第2収容凹部212aとを接続する第1貫通孔210aに、リア側から挿入される。第1貫通孔210aの内部には、オイルシール15と、固定リング16と、ウェーブワッシャ17と、第2ベアリング28とが、フロント側から順に配置される。
【0028】
シャフト21は、第2ベアリング28、ウェーブワッシャ17、固定リング16、およびオイルシール15の内孔に通される。シャフト21のフロント側の端部に、ポンプ機構30が連結される。
【0029】
図1に示すように、基板ユニット240は、制御基板40と、制御基板40を径方向外側から覆う基板カバー241と、基板カバー241と制御基板40との間に配置されるシールドプレート70と、制御基板40に固定されるバスバーユニット250と、を備える。
【0030】
基板カバー241は、
図1または
図3に示すように、基板ハウジング213側(+Z側)に向かって開口する箱形の部材である。基板カバー241の内側に金属製のシールドプレート70が配置され、シールドプレート70の図示上側に制御基板40が配置される。制御基板40は、基板カバー241の図示上側を向く開口部に固定される。
【0031】
基板カバー241は、本実施形態の場合、樹脂製である。基板カバー241は、複数の金属端子241aがインサート成形されたコネクタ241bを有する。基板カバー241は、平面視で概略六角形状であり、内側に平面視で概略矩形状のプレート収容部242を有する。基板カバー241にインサート成形されるコネクタ241bの一方側の端部は、プレート収容部242内に露出する。
【0032】
基板カバー241は、プレート収容部242の四隅に位置する4本のボス244を有する。4本のボス244は、基板カバー241の基板ハウジング213側(+Z側)を向く内側面246から基板ハウジング213側へ突出する。それぞれのボス244は、ボス244の先端面に開口するねじ穴を有する。
【0033】
シールドプレート70は、
図3に示すように、制御基板40と同程度の外形寸法を有する板金部材である。シールドプレート70は、基板カバー241のプレート収容部242に収容される。シールドプレート70の基板ハウジング213側に、シールドプレート70の板面と概ね平行に制御基板40が配置される。
【0034】
図1および
図4に示すように、シールドプレート70の図示下側を向く面である外側面70aは、基板カバー241の内側面246と上下方向で互いに対向する。シールドプレート70の図示上側を向く面である内側面70bは、制御基板40の図示下側を向く面である外側面40aと上下方向で互いに対向する。
【0035】
シールドプレート70は、
図3に示すように、シールドプレート70の周縁から制御基板40側へ延びる4つの接触片73と、複数の側壁74とを有する。接触片73は、シールドプレート70の四隅に位置する。側壁74は、シールドプレート70の辺縁に位置する。本実施形態では、シールドプレート70の長辺に沿って5つの側壁74が並ぶ。シールドプレート70の短辺には、コネクタ241bと反対側の端部に位置する短辺にのみ、1つの側壁74が配置される。
【0036】
接触片73は、シールドプレート70の周縁から制御基板40側へ延びる第1部分71と、第1部分71の先端からシールドプレート70の内側へ延びる第2部分72とを有する。第2部分72は、第2部分72を貫通する貫通孔を有する。第2部分72のねじ止め部は、貫通孔に限られない。第2部分72は、ねじ止め部として切り欠きを有する形状としてもよい。本実施形態では、第2部分72が第1部分71からシールドプレート70の内側へ折り曲げられているので、シールドプレート70の外形寸法が大型化しにくい。
【0037】
図4に示すように、シールドプレート70がプレート収容部242に収容された状態で、接触片73の第2部分72がボス244の先端面に位置する。制御基板40は、第2部分72の図示上面に接触して配置される。ねじ243により、制御基板40と第2部分72とが、ボス244に共締めされる。制御基板40において、ねじ243が挿入される4つの貫通孔のうち、少なくとも1つの貫通孔の周囲には、グランドパターン、または電源ラインとグランドラインの間に2つのコンデンサを直列に配置し、それら2つのコンデンサの中間点に接続されたパターンが設けられる。接触片73は、上記グランドパターンと電気的に接続される。接触片73と上記グランドパターンとは、直接接触することにより接続されてもよいし、ねじ243を介して接続されてもよい。
【0038】
本実施形態では、接触片73の図示上側の端部に位置する第2部分72が、ボス244の先端面に固定されるので、シールドプレート70の本体部分は、ボス244の先端面から接触片73により図示下側に吊り下げられた状態となる。これにより、シールドプレート70の外側面70aと、シールドプレート70の外側面70aと対向する基板カバー241の内側面246とを、互いが対向する方向に離して配置できる。
上記の構成によれば、樹脂製の基板カバー241と、金属製のシールドプレート70とが、図示上下方向に離れて配置されるので、環境温度の変化に伴う膨張収縮時に、シールドプレート70と基板カバー241との間に応力がかかるのを抑制できる。応力によるシールドプレート70の変形を抑制できるので、変形によってシールドプレート70の接地が損なわれるのを防ぐことができる。
【0039】
本実施形態では、シールドプレート70の内側面70bと制御基板40の外側面40aとが互いに対向する方向に離れて配置され、シールドプレート70から延びる接触片73が制御基板40に固定される。この構成によれば、シールドプレート70に振動が生じた場合も、接触片73が変形することによって、接触片73と制御基板40との固定部位に振動が伝わりにくくなる。シールドプレート70を安定にグランド電位に保持でき、電磁ノイズの放射を抑制する効果が損なわれにくい。
【0040】
本実施形態では、シールドプレート70が接触片73を有する構成としたが、この構成に限られない。シールドプレート70と制御基板40とを相互に固定する部材は、別体の部材であってもよく、制御基板40に設けられていてもよい。例えば、金属製のパイプの両端をシールドプレート70と制御基板40にそれぞれ固定してもよい。
【0041】
本実施形態では、接触片73と制御基板40とは、共通の固定部材であるねじ243により、基板カバー241に固定される。この構成によれば、制御基板40およびシールドプレート70の固定と、制御基板40とシールドプレート70との接触配置を、ねじ243による締結のみで実現できる。制御基板40とシールドプレート70との電気的接続が効率よく行える。
【0042】
本実施形態の制御基板40は、
図4に示すように、基板ハウジング213側(+Z側)を向く面に、オンボードコンタクト42を有する。オンボードコンタクト42は、図示上下方向に弾性変形可能なバネを内蔵する金属端子である。オンボードコンタクト42は、制御基板40上の図示されないグランドパターンに接続される。オンボードコンタクト42は、図示上面において、基板ハウジング213の基板ユニット240側(-Z側)を向く面に接触する。
この構成によれば、オンボードコンタクト42を介して、制御基板40のグランドパターンと基板ハウジング213(ポンプボディ210)とが電気的に接続され、接触片73を介してシールドプレート70と制御基板40のグランドパターンとが電気的に接続される。これにより、制御基板40上のインバータなどの電子回路から放出される電磁ノイズは、グランドに接続されたシールドプレート70および基板ハウジング213に吸収されるので、電動オイルポンプ200の外部への電磁ノイズの放出を抑制できる。
【0043】
本実施形態では、シールドプレート70が側壁74を有する。この構成によれば、制御基板40の外側面と、基板カバー241の側面245との間に、側壁74が配置される。これにより、基板カバーの側面から電磁ノイズが放射されるのを抑制できる。側壁74の制御基板40側の端部74aは、制御基板40の側端面40bの近傍に位置することが好ましい。側壁74は、側面から見て制御基板40の側端面40bと重なって配置されることが好ましい。
【0044】
シールドプレート70は、
図3に示すように、制御基板40と対向する部位に、7本の補強ビード75を有する。本実施形態では、補強ビード75は、シールドプレート70の長辺方向(X軸方向)に沿って延びる直線状である。7本の補強ビード75は、シールドプレート70の短辺方向に並ぶ。補強ビード75の形状および本数は、シールドプレート70の形状、厚さ、材質などに応じて適宜変更可能である。
上記構成によれば、シールドプレート70が補強ビード75を有することで、シールドプレート70の板面の振動を抑制できる。シールドプレート70からの騒音の発生を抑制できる。
【0045】
本実施形態では、シールドプレート70の外側面70aと基板カバー241の内側面246との間に位置する制振部材81を有する。制振部材81は、プレート収容部242の四隅のボス244の近傍に配置される。制振部材81は、例えばシリコンラバーからなる板状の弾性体である。制振部材81の材質は、シリコンラバー以外の弾性材料であってもよい。制振部材81は、
図4に示すように、シールドプレート70の外側面70aと、基板カバー241の内側面246の両方に接触する。制振部材81を備えることで、シールドプレート70の振動を抑制できる。シールドプレート70からの騒音の発生を抑制できる。
【0046】
バスバーユニット250は、制御基板40のリア側の端部に固定される。バスバーユニット250は、モータ220と制御基板40とを接続する。バスバーユニット250は、第3収容凹部213aと第1収容凹部211aとを繋ぐ第2貫通孔210bの内部に収容される。
【0047】
バスバーユニット250は、
図2に示すように、3本のジョイントバスバー251a、251b、251cと、3本のジョイントバスバー251a~251cを支持するジョイントバスバーホルダ252とを有する。本実施形態の場合、3本のジョイントバスバー251a~251cは、ジョイントバスバーホルダ252にインサート成形される。この構成によれば、バスバーユニット250を単一部品として取り扱うことができ、電動オイルポンプ200の組み立て作業性が向上する。
【0048】
3本のジョイントバスバー251a~251cの両端は、ジョイントバスバーホルダ252から外側へ突出する。ジョイントバスバー251a~251cの一方の端部はジョイントバスバーホルダ252からモータ220に向かって延びる。ジョイントバスバー251a~251cの他方の端部は、ジョイントバスバーホルダ252から制御基板40に向かって延びる。
【0049】
3本のジョイントバスバー251a~251cの他方の端部は、制御基板40を厚さ方向に貫通する。3本のジョイントバスバー251a~251cの他方の端部は、制御基板40上の配線パターンと半田接合される。
【0050】
3本のジョイントバスバー251a~251cの制御基板40と反対側の端部は、モータ220に向かって延び、バスバーアッシー224と軸方向に重なる位置に達する。ジョイントバスバー251a、251b、251cは、バスバーアッシー224のバスバー224a、224b、224cとともに、バスバーホルダ224dにねじ止めされる。これにより、制御基板40とモータ220とが、バスバーユニット250を介して電気的に接続される。
【0051】
基板ユニット240は、制御基板40をモータ220側に向けた状態で、ポンプボディ210の基板ハウジング213に固定される。本実施形態の場合、基板ユニット240の基板カバー241が、基板ハウジング213にねじ止めされる。制御基板40は、ポンプボディ210と基板カバー241との間に封入される。
【0052】
本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
22…ロータ、30…ポンプ機構、40…制御基板、40a,70a…外側面、70…シールドプレート、70b,246…内側面、71…第1部分、72…第2部分、73…接触片、74…側壁、75…補強ビード、81…制振部材、211…モータハウジング、212…ポンプハウジング、213…基板ハウジング、220…モータ、241…基板カバー、244…ボス、245…側面、J…中心軸