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特許7447677圧電駆動装置、圧電モーターおよびロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】圧電駆動装置、圧電モーターおよびロボット
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/12 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
H02N2/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020092016
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021191049
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 友寿
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-005435(JP,A)
【文献】特開2013-121198(JP,A)
【文献】特開2019-180174(JP,A)
【文献】特開2018-050435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を備える振動部と、前記振動部を支持する支持部と、前記振動部と前記支持部とを接続する接続部と、を有する圧電アクチュエーターと、
前記支持部の一方側に位置する部分と他方側に位置する部分とを接続し、平面視で前記振動部と一部が重なって配置されている支持部材と、
前記支持部材に固定され、前記圧電アクチュエーターを付勢するばね部を備える付勢部材と、を有し、
前記支持部は、前記振動部の前記一方側に位置する第1部分と、前記他方側に位置する第2部分と、を有し、
前記接続部は、前記振動部の前記一方側に位置し、前記振動部と前記第1部分とを接続する第1接続部と、前記他方側に位置し、前記振動部と前記第2部分とを接続する第2接続部と、を有し、
前記第1部分と前記支持部材との接合部である第1接合部と前記振動部との間に、前記第1接続部があり、
前記第2部分と前記支持部材との接合部である第2接合部と前記振動部との間に、前記第2接続部があり、
前記支持部は、前記振動部の基端側に位置し、前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分を有し、
前記支持部材は、前記第3部分とも接合されていることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項2】
前記支持部材は、平面視で、前記第1接続部および前記第2接続部と重なる請求項1に記載の圧電駆動装置。
【請求項3】
前記支持部材と前記第3部分との接合部である第3接合部は、前記第1接合部および前記第2接合部と繋がっている請求項1または2に記載の圧電駆動装置。
【請求項4】
前記第3部分は、平面視で、前記支持部材および前記付勢部材から前記基端側に突出し、前記突出した部分には前記圧電素子と電気的に接続される端子が配置されている請求項1ないし3に記載の圧電駆動装置。
【請求項5】
前記支持部材は、平面視で、前記振動部と重なる部分に配置されている開口を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の圧電駆動装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、前記支持部材に固定されている基部と、前記基部に一端が接続されている前記ばね部と、を有し、
前記基部は、平面視で、前記振動部と重ならない請求項1ないし5のいずれか1項に記載の圧電駆動装置。
【請求項7】
前記支持部材は一対であり、一対の前記支持部材の間に圧電アクチュエーターが配置されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の圧電駆動装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の圧電駆動装置と、
前記振動部の振動によって駆動する被駆動部と、を有することを特徴とする圧電モーター。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の圧電駆動装置を有することを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電駆動装置、圧電モーターおよびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、圧電素子の伸縮により振動する振動部と、振動部を支持する固定板と、振動部と固定板とを接続するばね部材と、を有し、振動部がばね部材によって移動体に押し付けられた超音波駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-292584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の超音波駆動装置では、固定板の機械的強度を十分に確保することができず、振動部の振動がばね部材を介して固定板へ逃げ易く、振動部の駆動力が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の圧電駆動装置は、圧電素子を備える振動部と、前記振動部を支持する支持部と、前記振動部と前記支持部とを接続する接続部と、を有する圧電アクチュエーターと、
前記支持部の一方側に位置する部分と他方側に位置する部分とを接続し、平面視で前記振動部と一部が重なって配置されている支持部材と、
前記支持部材に固定され、前記圧電アクチュエーターを付勢するばね部を備える付勢部材と、を有することを特徴とする圧電駆動装置。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係る圧電モーターを示す平面図である。
図2】圧電モーターが有する圧電駆動装置を示す斜視図である。
図3】圧電駆動装置が有する圧電アクチュエーターを示す断面図である。
図4図3中のA-A線断面図である。
図5図3中のB-B線断面図である。
図6図3中のC-C線断面図である。
図7】圧電アクチュエーターに印加する駆動信号を示す図である。
図8】圧電アクチュエーターの駆動状態を示す平面図である。
図9】圧電アクチュエーターの駆動状態を示す平面図である。
図10】圧電駆動装置が有する支持部材を示す平面図である。
図11図10中のD-D線断面図である。
図12】圧電駆動装置が有する付勢部材を示す平面図である。
図13図12中のE-E線断面図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る支持部材を示す平面図である。
図15】本発明の第3実施形態に係る付勢部材を示す平面図である。
図16】本発明の第4実施形態に係る圧電駆動装置を示す斜視図である。
図17】本発明の第5実施形態に係るロボットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の圧電駆動装置、圧電モーターおよびロボットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0008】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧電モーターを示す平面図である。図2は、圧電モーターが有する圧電駆動装置を示す斜視図である。図3は、圧電駆動装置が有する圧電アクチュエーターを示す断面図である。図4は、図3中のA-A線断面図である。図5は、図3中のB-B線断面図である。図6は、図3中のC-C線断面図である。図7は、圧電アクチュエーターに印加する駆動信号を示す図である。図8および図9は、圧電アクチュエーターの駆動状態を示す平面図である。図10は、圧電駆動装置が有する支持部材を示す平面図である。図11は、図10中のD-D線断面図である。図12は、圧電駆動装置が有する付勢部材を示す平面図である。図13は、図12中のE-E線断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の紙面手前側を「上」とも言い、図1中の紙面奥側を「下」とも言う。また、圧電アクチュエーターのローター側を「先端側」とも言い、ローターと反対側を「基端側」とも言う。
【0009】
なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とし、X軸に沿う方向をX軸方向、Y軸に沿う方向をY軸方向、Z軸に沿う方向をZ軸方向とも言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」とも言い、矢印と反対側を「マイナス側」とも言う。また、X軸方向プラス側を「上」または「上側」とも言い、X軸方向マイナス側を「下」または「下側」とも言う。
【0010】
図1に示すように、圧電モーター1は、回転軸Oまわりに回転可能な被駆動部としてのローター2と、ローター2の外周面21に当接する圧電駆動装置3と、圧電駆動装置3の駆動を制御する制御装置7と、圧電駆動装置3と制御装置7とを電気的に接続する配線基板8と、を有する。このような圧電モーター1では、圧電駆動装置3を駆動することにより、圧電駆動装置3で生じる駆動力がローター2に伝わり、ローター2が回転軸Oまわりに回転する。
【0011】
ただし、圧電モーター1の構成としては、図1の構成に限定されない。例えば、ローター2の周方向に沿って複数の圧電駆動装置3を配置し、複数の圧電駆動装置3の駆動によってローター2を回転させてもよい。また、圧電駆動装置3は、ローター2の外周面21ではなく、ローター2の主面22に当接していてもよい。また、被駆動部は、ローター2のような回転体に限定されず、例えば、直線移動するスライダーであってもよい。
【0012】
また、図2に示すように、圧電駆動装置3は、圧電アクチュエーター4と、圧電アクチュエーター4を間に挟み込んで配置された一対の支持部材5A、5Bと、圧電アクチュエーター4を間に挟み込んで配置された一対の付勢部材6A、6Bと、を有する。
【0013】
また、図3に示すように、圧電アクチュエーター4は、振動部41と、振動部41を支持する支持部42と、振動部41と支持部42とを接続する接続部43と、振動部41の先端部に固定され、振動部41の振動をローター2に伝達する凸部44と、を有する。
【0014】
振動部41は、X軸方向を厚さ方向とし、Y軸およびZ軸を含むY-Z平面に広がる板状である。また、振動部41は、Y軸方向に伸縮しながらZ軸方向に屈曲することによりS字状に屈曲振動する。また、振動部41は、平面視で、伸縮方向であるY軸方向を長手とする長手形状、特に本実施形態では長方形である。ただし、振動部41の形状は、その機能を発揮することができる限り、特に限定されない。
【0015】
振動部41は、振動部41を屈曲振動させる駆動用の圧電素子4A~4Fと、振動部41の振動を検出する検出用の圧電素子4Gと、を有する。振動部41の中央部には、圧電素子4C、4DがY軸方向に並んで配置されている。また、圧電素子4C、4DのZ軸方向プラス側には圧電素子4A、4BがY軸方向に並んで配置され、Z軸方向マイナス側には圧電素子4E、4FがY軸方向に並んで配置されている。これら圧電素子4A~4Fは、それぞれ、通電によってY軸方向に伸縮する。ただし、駆動用の圧電素子の数や配置は、振動部41を屈曲振動させることができれば、特に限定されない。
【0016】
圧電素子4Gは、圧電素子4C、4Dの間に配置されている。圧電素子4Gは、振動部41の屈曲振動に応じた外力を受け、受けた外力に応じた検出信号を出力する。そのため、圧電駆動装置3は、圧電素子4Gから出力される検出信号に基づいて、振動部41の振動状態を検知することができる。なお、検出用の圧電素子の数や配置は、振動部41の振動を検出することができれば、特に限定されない。また、検出用の圧電素子は、省略してもよい。
【0017】
支持部42は、振動部41を支持する機能を有する。支持部42は、平面視で、振動部41の両側方および基端側を囲む略「U」字形状である。支持部42は、振動部41のZ軸方向プラス側に位置し、Y軸方向に延在する第1部分421と、振動部41のZ軸方向マイナス側に位置し、Y軸方向に延在する第2部分422と、振動部41のY軸方向マイナス側に位置し、Z軸方向に延在する第3部分423と、を有する。そして、第1部分421および第2部分422のY軸方向マイナス側の端部同士が第3部分423で接続されている。ただし、支持部42の形状や配置は、その機能を発揮することができる限り、特に限定されない。
【0018】
また、接続部43は、振動部41の屈曲振動の節となる部分、具体的にはY軸方向の中央部と支持部42とを接続している。接続部43は、振動部41のZ軸方向プラス側に位置し、振動部41と第1部分421とを接続する第1接続部431と、振動部41のZ軸方向マイナス側に位置し、振動部41と第2部分422とを接続する第2接続部432と、を有する。ただし、接続部43の構成は、その機能を発揮することができる限り、特に限定されない。例えば、本実施形態の第1、第2接続部431、432は、それぞれ、一本の梁で構成されているが、複数の梁で構成されていてもよい。また、本実施形態の第1、第2接続部431、432は、それぞれ、Z軸方向にまっすぐ伸びた形状であるが、その途中で屈曲または湾曲していてもよいし、その途中で幅や厚みが変化していてもよい。
【0019】
以上のような振動部41、支持部42および接続部43は、図4ないし図6に示すように、2つの圧電素子ユニット40を互いに向かい合わせて貼り合せた構成である。各圧電素子ユニット40は、振動部41、支持部42および接続部43の平面視形状を有する基板401と、基板401上に配置された駆動用の圧電素子40A、40B、40C、40D、40E、40Fおよび検出用の圧電素子40Gと、各圧電素子40A~40Gを覆う保護層405と、を有する。なお、基板401は、例えば、シリコン基板を用いることができる。
【0020】
また、圧電素子40A~40Gは、それぞれ、基板401上に配置された第1電極402と、第1電極402上に配置された圧電体403と、圧電体403上に配置された第2電極404と、を有する。このうち、第1電極402は、圧電素子40A~40Gに共通して設けられている。一方、圧電体403および第2電極404は、それぞれ、圧電素子40A~40Gに個別に設けられている。
【0021】
2つの圧電素子ユニット40は、圧電素子40A~40Gが配置されている側の面を対向させた状態で接着剤49を介して接合されている。また、各圧電素子ユニット40の第1電極402同士が図示しない配線等を介して電気的に接続されている。また、各圧電素子ユニット40の圧電素子40Aが有する第2電極404同士が図示しない配線等を介して電気的に接続され、これら2つの圧電素子40Aから圧電素子4Aが構成される。他の圧電素子40B~40Gについても同様であり、2つの圧電素子40Bから圧電素子4Bが構成され、2つの圧電素子40Cから圧電素子4Cが構成され、2つの圧電素子40Dから圧電素子4Dが構成され、2つの圧電素子40Eから圧電素子4Eが構成され、2つの圧電素子40Fから圧電素子4Fが構成され、2つの圧電素子40Gから圧電素子4Gが構成される。
【0022】
圧電体403の構成材料としては、特に限定されず、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)、メタニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の圧電セラミックスを用いることができる。また、圧電体403としては、上述した圧電セラミックスの他にも、ポリフッ化ビニリデン、水晶等を用いてもよい。
【0023】
また、圧電体403の形成方法としては、特に限定されず、バルク材料から形成してもよいし、ゾル-ゲル法やスパッタリング法を用いて形成してもよい。本実施形態では、圧電体403をゾル-ゲル法を用いて形成している。これにより、例えば、バルク材料から形成する場合と比べて薄い圧電体403が得られ、圧電駆動装置3の薄型化を図ることができる。
【0024】
図3に示すように、凸部44は、振動部41の先端部に設けられ、振動部41からY軸方向プラス側へ突出している。そして、図1に示すように、凸部44の先端部は、ローター2の外周面21に接触している。そのため、振動部41の振動は、凸部44を介してローター2に伝達される。凸部44の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ジルコニア、アルミナ、チタニア等の各種セラミックスが挙げられる。これにより、耐久性に優れた凸部44となる。
【0025】
また、図3に示すように、支持部42の基端面420すなわちY軸方向マイナス側に位置する側面には、圧電素子4A、4Fと電気的に接続された端子451と、圧電素子4C、4Dと電気的に接続された端子452と、圧電素子4B、4Eと電気的に接続された端子453と、圧電素子4Gと電気的に接続された端子454と、が配置されている。また、端子451~454は、基端面420から突出して形成されている。また、基端面420には、配線基板8が接着剤D0を介して接合されており、配線基板8と端子451~454とが電気的に接続されている。
【0026】
配線基板8は、フレキシブル配線基板であり、図3に示すように、可撓性を有するベース80と、ベース80に配置された複数の配線81と、を有する。そして、複数の配線81がそれぞれ対応する端子451~454と電気的に接続されている。ただし、配線基板8としては、特に限定されず、例えば、ベース80が硬質で実質的に変形しないリジッド配線基板であってもよい。
【0027】
以上、圧電アクチュエーター4について説明した。例えば、制御装置7によって図7に示す駆動信号V1を圧電素子4A、4Fに印加し、駆動信号V2を圧電素子4C、4Dに印加し、駆動信号V3を圧電素子4B、4Eに印加すると、図8に示すように、振動部41がY軸方向に伸縮振動しつつZ軸方向に逆S字状に屈曲振動し、これらの振動が合成されて、凸部44の先端が矢印A1で示すように反時計回りに楕円軌道を描く楕円運動する。これにより、ローター2が送り出され、ローター2が矢印B1で示すように時計回りに回転する。また、振動部41の屈曲振動に含まれるY軸方向の伸縮振動に応じた検出信号Vpuが圧電素子4Gから出力される。
【0028】
また、駆動信号V1、V3の波形を切り換えると、図9に示すように、振動部41がY軸方向に伸縮振動しつつZ軸方向にS字状に屈曲振動し、これらの振動が合成されて、凸部44が矢印A2で示すように時計回りに楕円運動する。これにより、ローター2が送り出され、ローター2が矢印B2で示すように反時計回りに回転する。また、振動部41の屈曲振動に含まれるY軸方向の伸縮振動に応じた検出信号Vpuが圧電素子4Gから出力される。
【0029】
なお、制御装置7は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部インターフェースと、を有する。また、メモリーにはプロセッサーにより実行可能なプログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶されたプログラムを読み込んで実行する。このような制御装置7は、図示しないホストコンピューターからの指令を受け、この指令に基づいて圧電アクチュエーター4を駆動する。
【0030】
次に、圧電アクチュエーター4を間に挟んで配置された一対の支持部材5A、5Bについて説明する。なお、一対の支持部材5A、5Bは、互いに構成が同様であるため、以下では、説明の便宜上、圧電アクチュエーター4に対してX軸方向プラス側に位置する支持部材5Aについて代表して説明し、X軸方向マイナス側に位置する支持部材5Bについては、その説明を省略する。
【0031】
支持部材5Aは、圧電アクチュエーター4の支持部42を補強する補強部材として機能する。図10に示すように、支持部材5Aは、板状をなし、平面視で、圧電アクチュエーター4のY軸方向の両端部を除く部分と重なっている。つまり、振動部41の先端部および支持部42の基端部は、それぞれ、支持部材5Aと重なっていない。このように、振動部41の先端部と支持部材5Aとが重ならないことにより、振動部41の先端部に設けられた凸部44とローター2との当接が支持部材5Aによって阻害され難くなる。また、支持部42の基端部と支持部材5Aとが重ならないことにより、基端面420への配線基板8の接合が容易となる。ただし、これに限定されず、支持部材5Aは、振動部41の先端部や支持部42の基端部と重なっていてもよい。
【0032】
また、図11に示すように、支持部材5Aは、接合部材D1を介して支持部42の上面に接合されている。なお、接合部材D1としては、支持部材5Aと支持部42とを接合することができれば、特に限定されない。また、支持部材5Aと支持部42との接合方法としては、特に限定されず、例えば、活性化接合を用いて直接接合してもよい。
【0033】
前述したように、支持部42は、振動部41のZ軸方向プラス側に位置する第1部分421と、振動部41のZ軸方向マイナス側に位置する第2部分422と、振動部41のY軸方向マイナス側に位置する第3部分423と、を有する。そして、支持部材5Aは、第1部分421と第2部分422とに接合されている。これにより、振動部41を間に挟んで配置された第1部分421と第2部分422とが支持部材5Aによって橋架すなわち接続される。そのため、支持部42が補強され、支持部42の剛性が高まる。したがって、振動部41の振動に起因する支持部42の変形が抑えられ、振動部41の振動が接続部43を介して支持部42に逃げ難くなる。その結果、振動部41の振動を効果的にローター2に伝えることができ、高い駆動効率を有する圧電駆動装置3となる。
【0034】
特に、図10に示すように、第1部分421と支持部材5Aとの接合部である第1接合部Q1は、第1接続部431を間にして振動部41と対向している。つまり、第1接合部Q1は、第1接続部431とZ軸方向に並んで配置され、第1部分421の第1接続部431との接続部に位置している。同様に、第2部分422と支持部材5Aとの接合部である第2接合部Q2は、第2接続部432を間にして振動部41と対向している。つまり、第2接合部Q2は、第2接続部432とZ軸方向に並んで配置され、第2部分422の第2接続部432との接続部に位置している。これにより、支持部材5Aによって、支持部42の接続部43との接続部分を特に効果的に補強することができる。したがって、支持部42の変形がより抑えられ、振動部41の振動が支持部42により逃げ難くなる。その結果、振動部41の振動をより効果的にローター2に伝えることができ、より高い駆動効率を有する圧電駆動装置3となる。なお、説明の便宜上、図10では、第1、第2接合部Q1、Q2をハッチングで示している。
【0035】
なお、前述したように、支持部材5Aは、平面視で、第1接続部431および第2接続部432と重なっている。そのため、支持部材5Aは、第1部分421と第1接続部431との接続部と、第2部分422と第2接続部432との接続部と、を最短距離で橋架することができる。これにより、支持部42の接続部43との接続部分をより効果的に補強することができ、上述の効果がより顕著となる。
【0036】
また、第1接合部Q1は、第1部分421のほぼ全域に広がっている。同様に、第2接合部Q2は、第2部分422のほぼ全域に広がっている。そのため、支持部材5Aと支持部42との接合面積が大きくなり、支持部42の剛性がさらに高まる。これにより、上述した効果がさらに顕著となる。
【0037】
また、支持部材5Aは、支持部42の第3部分423とも接合されている。つまり、支持部材5Aは、その外縁に含まれる4辺5a、5b、5c、5dのうちの3辺5a、5b、5cに沿って支持部42に接合されている。これにより、支持部材5Aと支持部42との接合面積が大きくなり、支持部42の剛性がさらに高まる。そのため、上述した効果がさらに顕著となる。特に、第3部分423と支持部材5Aとの接合部である第3接合部Q3は、第3部分423のほぼ全域に広がり、そのZ軸方向プラス側の端部で第1接合部Q1と繋がり、Z軸方向マイナス側の端部で第2接合部Q2と繋がっている。そのため、支持部材5Aと支持部42との接合面積がさらに大きくなり、上述した効果がさらに顕著となる。なお、説明の便宜上、図10では、第3接合部Q3をハッチングで示している。
【0038】
また、図11に示すように、支持部材5Aは、その下面50すなわち圧電アクチュエーター4側の面に開放する凹部51を有する。凹部51は、平面視で、第1~第3接合部Q1~Q3と重ならず、かつ、振動部41および接続部43と重なって配置されている。凹部51は、支持部材5Aと振動部41との接触を抑制する逃げ部として機能する。これにより、振動部41が支持部材5Aと接触、摺動することによる振動部41の振幅低下や振動バランスの低下が抑制される。そのため、圧電駆動装置3の駆動力の低下が抑制され、高い駆動効率を有する圧電駆動装置3となる。
【0039】
このような支持部材5Aは、例えば、シリコン基板から形成されている。これにより、十分な機械的強度を有する支持部材5Aとなる。また、圧電駆動装置3の製造にシリコンウエハプロセスを用いることができ、圧電駆動装置3を効率的にかつ高い加工精度で製造することができる。また、圧電駆動装置3の小型化を図ることもできる。さらには、圧電アクチュエーター4の骨格をなす基板401と同じ材料となり、これらの間の熱膨張係数が等しくなる。そのため、熱膨張係数差に起因した熱応力が生じ難く、圧電アクチュエーター4の撓み、歪み等を効果的に抑制することができる。これにより、圧電駆動装置3の駆動が安定する。
【0040】
なお、支持部材5Aは、一枚のシリコン基板で形成されていてもよいし、複数のシリコン基板を積層して形成されていてもよい。また、支持部材5Aの構成材料は、特に限定されず、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料、各種ガラス材料、各種セラミック材料等を用いることもできる。
【0041】
本実施形態では、図11に示すように、支持部材5A、5Bで圧電アクチュエーター4をその厚さ方向であるX軸方向から挟み込んでいる。これにより、圧電アクチュエーター4を、その厚さ方向の両側からバランスよく補強することができる。そのため、圧電アクチュエーター4の変形、特に、X軸方向への撓みや歪みを効果的に抑制することができる。したがって、振動部41の振動逃げを抑制しつつ、振動部41の振動バランスの低下を効果的に抑制することができる。これにより、高い駆動効率を有する圧電駆動装置3となる。ただし、これに限定されず、支持部材5A、5Bのいずれか一方を省略してもよい。
【0042】
次に、一対の付勢部材6A、6Bについて説明する。図2に示すように、一対の付勢部材6A、6Bは、一対の支持部材5A、5Bの外側に配置され、圧電アクチュエーター4を、X軸方向の両側から挟み込んでいる。つまり、圧電アクチュエーター4のX軸方向プラス側に支持部材5Aが積層され、支持部材5AのX軸方向プラス側に付勢部材6Aが積層されている。また、圧電アクチュエーター4のX軸方向マイナス側に支持部材5Bが積層され、支持部材5BのX軸方向マイナス側に付勢部材6Bが積層されている。
【0043】
なお、一対の付勢部材6A、6Bは、互いに構成が同様であるため、以下では、説明の便宜上、圧電アクチュエーター4に対してX軸方向プラス側に位置する付勢部材6Aについて代表して説明し、X軸方向マイナス側に位置する付勢部材6Bについては、その説明を省略する。
【0044】
付勢部材6Aは、圧電アクチュエーター4をローター2に向けて付勢し、凸部44をローター2の外周面21に押し当てる機能を有する。図12に示すように、付勢部材6Aは、板状をなし、平面視で、圧電アクチュエーター4のY軸方向の両端部を除く部分と重なっている。つまり、振動部41の先端部および支持部42の基端部は、それぞれ、付勢部材6Aと重なっていない。このように、振動部41の先端部と付勢部材6Aとが重ならないことにより、振動部41の先端部に設けられた凸部44とローター2との当接が付勢部材6Aによって阻害され難くなる。また、支持部42の基端部と付勢部材6Aとが重ならないことにより、基端面420への配線基板8の接合が容易となる。ただし、これに限定されず、付勢部材6Aは、振動部41の先端部や支持部42の基端部と重なっていてもよい。
【0045】
図13に示すように、付勢部材6Aは、接合部材D2を介して支持部材5Aと接合された基部61と、基部61に接続された一対のばね部62、63と、一対のばね部62、63を介して基部61と接続された固定部64と、を有する。なお、接合部材D2としては、基部61と支持部材5Aとを接合することができれば、特に限定されない。また、基部61と支持部材5Aとの接合方法としては、特に限定されず、例えば、活性化接合を用いて直接接合してもよい。
【0046】
また、図12に示すように、基部61は、支持部42の第2部分422と重なり、Y軸方向に延在する延在部611と、延在部611の中央部からZ軸方向プラス側に向けて突出する第1突出部612と、延在部611の基端部からZ軸方向プラス側に向けて突出する第2突出部613と、を有し、略「F」字状である。このような基部61は、ほぼ全域において、接合部材D2を介して支持部材5Aの上面に接合されている。ただし、これに限定されず、基部61の一部だけが接合部材D2を介して支持部材5Aの上面に接合されていてもよい。
【0047】
固定部64は、圧電駆動装置3をステージ100に固定するための部分である。本実施形態では、固定部64にネジの挿通孔641が形成されており、この挿通孔641に挿通されたネジSによって固定部64がステージ100に固定されている。ただし、固定部64のステージ100への固定方法は、特に限定されない。
【0048】
また、固定部64は、圧電アクチュエーター4の付勢方向であるY軸方向と直交するZ軸方向に基部61と並んで配置されている。これにより、圧電駆動装置3の全長すなわちY軸方向の長さが抑えられ、圧電駆動装置3の小型化を図ることができる。また、基部61と固定部64をZ軸方向に並べて配置することにより、これらを接続するばね部62、63をZ軸方向に延びる形状とすることができる。そのため、Y軸方向への付勢力を効率的に発生させることのできるばね部62、63をより小さいスペースに配置することができ、圧電駆動装置3の小型化に寄与する。また、このような配置とすることにより、支持部42の基端面420の周囲に十分な空間を確保することができ、基端面420への配線基板8の接続が容易となる。
【0049】
また、ばね部62、63は、延在部611と固定部64との間に配置されている。また、ばね部62、63は、圧電アクチュエーター4の付勢方向であるY軸方向に並んで配置されている。このように、ばね部62、63をY軸方向に並んで配置することにより、より安定して、かつ、より強い付勢力で、圧電アクチュエーター4をY軸方向に付勢することができる。
【0050】
ばね部62は、第1突出部612のY軸方向プラス側に位置し、Z軸方向マイナス側の端が延在部611に接続され、Z軸方向プラス側の端が固定部64に接続されている。一方、ばね部63は、第1突出部612と第2突出部613との間に位置し、Z軸方向マイナス側の端が延在部611に接続され、Z軸方向プラス側の端が固定部64に接続されている。つまり、Y軸方向に並んだばね部62、63を避け、支持部材5Aとの接合面積をより広く確保できるように基部61が設けられている。これにより、基部61と支持部材5Aとの接合強度が向上する。また、ばね部62、63は、それぞれ、Z軸方向に延在する直線形状の複数の梁がY軸方向に等ピッチで並んだ構成となっている。そして、ばね部62、63をY軸方向に弾性変形させた状態で圧電駆動装置3をステージ100に固定することにより、圧電アクチュエーター4に対してY軸方向の付勢力が発生し、凸部44がローター2の外周面21に押し付けられる。
【0051】
また、図13に示すように、ばね部62、63は、基部61および固定部64よりも厚さが薄く、基部61の上面と面一となるようにX軸方向プラス側に偏って配置されている。そのため、ばね部62、63と支持部材5Aとの間に空隙が形成されている。これにより、ばね部62、63と支持部材5Aとの接触、干渉が抑制される。そのため、ばね部62、63の変形が阻害されることなく、圧電アクチュエーター4を安定してY軸方向に付勢することができる。
【0052】
ただし、ばね部62、63の構成は、上述の効果を発揮することができれば、特に限定されない。例えば、ばね部62、63がそれぞれ一本の梁で構成されていてもよい。また、例えば、ばね部62、63のいずれか一方を省略してもよい。また、例えば、ばね部62、63の厚さが基部61および固定部64と同じであってもよい。
【0053】
このような付勢部材6Aは、例えば、シリコン基板から形成されている。これにより、十分な機械的強度を有し、かつ、十分な付勢力を有する付勢部材6Aとなる。また、圧電駆動装置3の製造にシリコンウエハプロセスを用いることができ、圧電駆動装置3を効率的にかつ高い加工精度で製造することができる。また、圧電駆動装置3の小型化を図ることもできる。さらには、圧電アクチュエーター4の骨格をなす基板401と同じ材料となり、これらの間の熱膨張係数が等しくなる。そのため、熱膨張係数差に起因した熱応力が生じ難く、圧電アクチュエーター4の撓み、歪み等を効果的に抑制することができる。これにより、圧電駆動装置3の駆動が安定する。
【0054】
なお、付勢部材6Aは、一枚のシリコン基板で形成されていてもよいし、複数のシリコン基板を積層して形成されていてもよい。また、付勢部材6Aの構成材料は、特に限定されず、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料、各種ガラス材料、各種セラミック材料等を用いることもできる。
【0055】
本実施形態では、図13に示すように、付勢部材6A、6Bで圧電アクチュエーター4をその厚さ方向であるX軸方向から挟み込んでいる。これにより、圧電アクチュエーター4を、その厚さ方向の両側からバランスよく付勢することができる。そのため、圧電アクチュエーター4の姿勢のばらつき、特に、X軸方向への傾斜が抑えられ、圧電アクチュエーター4で発生する駆動力をより効率的にローター2に伝えることができる。したがって、高い駆動効率を有する圧電駆動装置3となる。ただし、これに限定されず、付勢部材6A、6Bのいずれか一方を省略してもよい。
【0056】
また、図13に示すように、付勢部材6Aの固定部64と付勢部材6Bの固定部64との間にはスペーサー65が設けられている。スペーサー65は、一対の固定部64、64の間にある隙間を埋めると共に、これらを接続するための部材である。また、スペーサー65の厚さは、一対の基部61の離間距離と等しい。これにより、ばね部62、63のX軸方向への撓みが抑制され、付勢力にX軸方向の成分が混入するのを効果的に抑制することができる。そのため、振動部41をY軸方向に向けて安定して付勢することができる。また、ばね部62、63への意図しない応力の発生が抑制され、付勢部材6A、6Bの破損、損傷を抑制することもできる。
【0057】
スペーサー65は、第1層651および第3層653が第2層652をX軸方向の両側から挟み込んだ構成である。そして、第1層651は、支持部材5Bと同じシリコン基板から形成されており、第3層653は、支持部材5Aと同じシリコン基板から形成されている。また、第2層652は、圧電アクチュエーター4と同様に、一対の圧電素子ユニット40を貼り合わせて構成されている。これにより、シリコンウエハプロセス中において、圧電アクチュエーター4および支持部材5A、5Bと共にスペーサー65を一括形成することができる。そのため、圧電駆動装置3の製造が容易となる。ただし、スペーサー65の構成は、特に限定されない。
【0058】
以上、圧電モーター1について説明した。このような圧電モーター1に含まれる圧電駆動装置3は、前述したように、圧電素子4A~4Fを備える振動部41と、振動部41を支持する支持部42と、振動部41と支持部42とを接続する接続部43と、を有する圧電アクチュエーター4と、支持部42の振動部41に対して一方側に位置する部分である第1部分421と他方側に位置する部分である第2部分422とを接続し、平面視で、振動部41と一部が重なって配置されている支持部材5A、5Bと、支持部材5A、5Bに固定され、圧電アクチュエーター4を付勢するばね部62、63を備える付勢部材6A、6Bと、を有する。これにより、振動部41を間に挟んで配置された第1部分421と第2部分422とが支持部材5A、5Bによって橋架される。そのため、支持部42が補強され、支持部42の剛性が高まる。したがって、振動部41の振動に起因する支持部42の変形が抑えられ、振動部41の振動が接続部43を介して支持部42に逃げ難くなる。その結果、振動部41の振動を効果的にローター2に伝えることができ、高い駆動効率を有する圧電駆動装置3となる。
【0059】
また、前述したように、支持部42は、振動部41の一方側に位置する第1部分421と、他方側に位置する第2部分422と、を有する。また、接続部43は、振動部41の一方側に位置し、振動部41と第1部分421とを接続する第1接続部431と、他方側に位置し、振動部41と第2部分422とを接続する第2接続部432と、を有する。そして、第1部分421と支持部材5A、5Bとの接合部である第1接合部Q1と振動部41との間に第1接続部431があり、第2部分422と支持部材5A、5Bとの接合部である第2接合部Q2と振動部41との間に第2接続部432がある。これにより、支持部材5A、5Bによって、支持部42の接続部43との接続部分を特に効果的に補強することができる。したがって、支持部42の変形がより抑えられ、振動部41の振動が支持部42により逃げ難くなる。その結果、振動部41の振動をより効果的にローター2に伝えることができ、より高い駆動効率を有する圧電駆動装置3となる。
【0060】
また、前述したように、支持部材5A、5Bは、平面視で、第1接続部431および第2接続部432と重なる。そのため、支持部材5Aは、第1部分421と第1接続部431との接続部と、第2部分422と第2接続部432との接続部と、を最短距離で橋架することができる。これにより、支持部42の接続部43との接続部分をより効果的に補強することができ、上述の効果がより顕著となる。
【0061】
また、前述したように、支持部42は、振動部41の基端側に位置し、第1部分421と第2部分422とを接続する第3部分423を有する。そして、支持部材5A、5Bは、第3部分423とも接合されている。これにより、支持部42の剛性をより高めることができる。特に、本実施形態では、支持部材5A、5Bと第3部分423との接合部である第3接合部Q3は、第1接合部Q1および第2接合部Q2と繋がっている。これにより、支持部42の剛性をさらに高めることができる。
【0062】
また、前述したように、第3部分423は、平面視で、支持部材5A、5Bおよび付勢部材6A、6Bから基端側に突出し、突出した部分である基端面420には圧電素子4A~4Gと電気的に接続されている端子451~454が配置されている。これにより、圧電アクチュエーター4と配線基板8との電気的な接続が容易となる。
【0063】
また、前述したように、圧電アクチュエーター4を間に挟んで一対の支持部材5A、5Bが配置されている。つまり、支持部材は一対であり、一対の支持部材5A、5Bの間に圧電アクチュエーター4が配置されている。これにより、圧電アクチュエーター4を、その厚さ方向の両側からバランスよく補強することができる。そのため、圧電アクチュエーター4の変形、特に、X軸方向への撓みや歪みを効果的に抑制することができる。したがって、振動部41の振動逃げを抑制しつつ、振動部41の振動バランスの低下を効果的に抑制することができる。これにより、高い駆動効率を有する圧電駆動装置3となる。
【0064】
また、前述したように、圧電モーター1は、圧電駆動装置3と、振動部41の振動によって駆動する被駆動部としてのローター2と、を有する。これにより、上述した圧電駆動装置3の効果を享受することができ、優れた駆動効率および高い信頼性を有する圧電モーター1となる。
【0065】
<第2実施形態>
図14は、本発明の第2実施形態に係る支持部材を示す平面図である。
【0066】
本実施形態は、支持部材5A、5Bの構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図14において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。なお、支持部材5A、5Bは、同様の構成であるため、以下では、説明の便宜上、支持部材5Aについて代表して説明し、支持部材5Bについては、その説明を省略する。
【0067】
図14に示すように、支持部材5Aは、平面視で、振動部41と重なる部分に配置される開口52を有する。これにより、通電により圧電素子4A~4Gから発生する熱が支持部材5A、5Bの間に籠り難くなり、当該熱を開口52から外部に放熱することができる。そのため、圧電駆動装置3の過度な昇温を抑えることができ、圧電駆動装置3の駆動が安定する。
【0068】
特に、本実施形態では、開口52は、振動部41の基端部と重なる部分に配置され、支持部42の接続部43との接続部分をZ軸方向に延長した領域Qzと重ならない。そのため、支持部42の第1接続部431との接続部分と、支持部42の第2接続部432との接続部分とを強固に橋架したまま、振動部41の熱を放熱することができる。また、開口52は、支持部材5Aの外縁に開口しておらず、支持部材5Aは、枠状をなしている。このように、支持部材5Aを開口52の周囲を囲む枠状とすることにより、開口52を形成することによる支持部材5Aの強度の低下を抑えることができる。そのため、支持部42の補強効果を発揮しつつ、振動部41の熱を放熱することができる。
【0069】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0070】
<第3実施形態>
図15は、本発明の第3実施形態に係る付勢部材を示す平面図である。
【0071】
本実施形態は、付勢部材6A、6Bの構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図15において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。なお、付勢部材6A、6Bは、同様の構成であるため、以下では、説明の便宜上、付勢部材6Aについて代表して説明し、付勢部材6Bについては、その説明を省略する。
【0072】
図15に示すように、本実施形態の付勢部材6Aは、支持部材5Aと接合された基部61と、基部61に接続されたばね部62と、ばね部62を介して基部61と接続された固定部64と、を有する。つまり、本実施形態の付勢部材6Aは、前述した第1実施形態からばね部63を省略した構成となっている。また、基部61は、支持部42の第2部分422と重なり、Y軸方向に延在する延在部611と、延在部611の基端部からZ軸方向プラス側に向けて突出する第2突出部613と、を有する。つまり、本実施形態の基部61は、前述した第1実施形態から第1突出部612を省略した構成となっており、平面視で、振動部41と重ならないように配置されている。
【0073】
また、ばね部62は、第2突出部613のY軸方向プラス側に位置し、Z軸方向に延在する直線形状の複数の梁がY軸方向に等ピッチで並んだ構成となっている。前述したように、基部61を振動部41と重ならないように配置することにより、ばね部62の配置領域が広くなり、より多くの梁を配置することができる。そのため、付勢部材6Aの付勢力をより高めることができる。
【0074】
以上のように、本実施形態の圧電駆動装置3では、付勢部材6Aは、支持部材5Aに固定される基部61と、基部61に一端が接続されているばね部62と、を有する。そして、基部61は、平面視で、振動部41と重ならない。これにより、例えば、前述した第1実施形態と比べて、ばね部62の配置領域が広くなり、より多くの梁を配置することができる。そのため、付勢部材6Aの付勢力をより高めることができる。付勢部材6Bについても同様である。
【0075】
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0076】
<第4実施形態>
図16は、本発明の第4実施形態に係る圧電駆動装置を示す斜視図である。
【0077】
本実施形態は、一対の支持部材5A、5Bの間に複数の圧電アクチュエーター4が積層されている以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図16において、前述した第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0078】
図16に示すように、本実施形態の圧電駆動装置3は、一対の支持部材5A、5Bの間に積層して配置された複数の圧電アクチュエーター4を有する。なお、隣り合う圧電アクチュエーター4同士は、図示しない接着剤等によって互いに接合されている。このように、複数の圧電アクチュエーター4を積層することにより、例えば、前述した第1実施形態と比較して、圧電駆動装置3の駆動力を高めることができる。なお、積層される圧電アクチュエーター4の数としては、特に限定されず、圧電駆動装置3の配置スペース、圧電駆動装置3に求められる駆動力等によって適宜設定することができる。
【0079】
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0080】
<第5実施形態>
図17は、本発明の第5実施形態に係るロボットを示す斜視図である。
【0081】
図17に示すロボット1000は、精密機器やこれを構成する部品の給材、除材、搬送および組立等の作業を行うことができる。このようなロボット1000は、6軸ロボットであり、床や天井に固定されるベース1100と、ベース1100に回動自在に連結された第1アーム1210と、第1アーム1210に回動自在に連結された第2アーム1220と、第2アーム1220に回動自在に連結された第3アーム1230と、第3アーム1230に回動自在に連結された第4アーム1240と、第4アーム1240に回動自在に連結された第5アーム1250と、第5アーム1250に回動自在に連結された第6アーム1260と、を有する。また、第6アーム1260にはハンド接続部が設けられ、ハンド接続部にはロボット1000に実行させる作業に応じたエンドエフェクター1500が装着される。
【0082】
また、ロボット1000は、ベース1100と第1アーム1210との関節部に配置され、ベース1100に対して第1アーム1210を回動させる第1アーム回動機構1310と、第1アーム1210と第2アーム1220との関節部に配置され、第1アーム1210に対して第2アーム1220を回動させる第2アーム回動機構1320と、第2アーム1220と第3アーム1230との関節部に配置され、第2アーム1220に対して第3アーム1230を回動させる第3アーム回動機構1330と、第3アーム1230と第4アーム1240との関節部に配置され、第3アーム1230に対して第4アーム1240を回動させる第4アーム回動機構1340と、第4アーム1240と第5アーム1250との関節部に配置され、第4アーム1240に対して第5アーム1250を回動させる第5アーム回動機構1350と、第5アーム1250と第6アーム1260との関節部に配置され、第5アーム1250に対して第6アーム1260を回動させる第6アーム回動機構1360と、を有する。また、ロボット1000は、これら第1~第6アーム回動機構1310~1360の駆動を制御するロボット制御部1400を有する。
【0083】
そして、第1~第6アーム回動機構1310~1360の一部または全部には、その動力源として圧電モーター1が搭載されており、圧電モーター1の駆動によって対象のアーム1210~1260が回動する。なお、圧電モーター1には、圧電駆動装置3が組み込まれている。そのため、ロボット1000は、上述した圧電駆動装置3の効果を供述することができ、高い信頼性を発揮することができる。
【0084】
以上のように、ロボット1000は、圧電駆動装置3を有する。そのため、上述した圧電駆動装置3の効果を享受することができ、優れた信頼性を発揮することができる。
【0085】
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0086】
以上、本発明の圧電駆動装置、圧電モーターおよびロボットを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。また、前述した実施形態では、圧電駆動装置をロボットに適用した構成について説明したが、圧電駆動装置は、ロボット以外の、駆動力を必要とする各種電子デバイス、例えば、プリンター、プロジェクター等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0087】
1…圧電モーター、2…ローター、3…圧電駆動装置、4…圧電アクチュエーター、4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G…圧電素子、5A、5B…支持部材、5a、5b、5c、5d…辺、6A、6B…付勢部材、7…制御装置、8…配線基板、21…外周面、22…主面、40…圧電素子ユニット、40A、40B、40C、40D、40E、40F、40G…圧電素子、41…振動部、42…支持部、43…接続部、44…凸部、49…接着剤、50…下面、51…凹部、52…開口、61…基部、62、63…ばね部、64…固定部、65…スペーサー、80…ベース、81…配線、100…ステージ、401…基板、402…第1電極、403…圧電体、404…第2電極、405…保護層、420…基端面、421…第1部分、422…第2部分、423…第3部分、431…第1接続部、432…第2接続部、451、452、453、454…端子、611…延在部、612…第1突出部、613…第2突出部、641…挿通孔、651…第1層、652…第2層、653…第3層、1000…ロボット、1100…ベース、1210…第1アーム、1220…第2アーム、1230…第3アーム、240…第4アーム、1250…第5アーム、1260…第6アーム、1310…第1アーム回動機構、1320…第2アーム回動機構、1330…第3アーム回動機構、1340…第4アーム回動機構、1350…第5アーム回動機構、1360…第6アーム回動機構、1400…ロボット制御部、1500…エンドエフェクター、A1、A2、B1、B2…矢印、D0…接着剤、D1…接合部材、D2…接合部材、O…回転軸、Q1…第1接合部、Q2…第2接合部、Q3…第3接合部、Qz…領域、S…ネジ、V1、V2、V3…駆動信号、Vpu…検出信号
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