(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
B60L 58/12 20190101AFI20240305BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240305BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20240305BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240305BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240305BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240305BHJP
B60L 58/14 20190101ALI20240305BHJP
B60L 58/16 20190101ALI20240305BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60L58/12
G01C21/36
B60L1/00 L
B60L3/00 S
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L58/14
B60L58/16
H02J7/00 P
H02J7/00 302D
H02J7/00 Y
(21)【出願番号】P 2020092372
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【氏名又は名称】津田 拓真
(72)【発明者】
【氏名】南條 弘行
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-119160(JP,A)
【文献】特開2013-027234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/12
G01C 21/36
B60L 1/00
B60L 3/00
B60L 15/20
B60L 50/60
B60L 58/14
B60L 58/16
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地から目的地まで移動するために必要な車両(10)のエネルギ量である移動エネルギを検出する必要エネルギ検出部(300)と、
前記車両が有している現在のエネルギ残量を検出するエネルギ残量検出部(302)と、
サービスを提供するために用いることが可能なエネルギであるサービス提供可能エネルギを推定するエネルギ推定部(303)と、
前記サービス提供可能エネルギに基づいて、提供可能なサービスを選択又は提示するサービス制御部(304)と、
前記車両に搭載される空調装置(40)及び補機類(42)の少なくとも一方を車載機器とするとき、前記車載機器の駆動を維持するために必要なエネルギである車載機器維持エネルギを検出する維持エネルギ検出部(301)と、を備え
、
前記エネルギ推定部は、
前記車両に搭載される電池の劣化を抑制するために前記電池に蓄えておくべき充電エネルギである電池保護エネルギと、前記移動エネルギと、前記車載機器維持エネルギとを加算することにより必要エネルギを演算し、前記必要エネルギと前記現在のエネルギ残量との差に基づいて前記サービス提供可能エネルギを推定する
車両の制御装置。
【請求項2】
前記維持エネルギ検出部は、前記車載機器の現在のエネルギ消費率と、前記車載機器の駆動時間の予測値である維持予測時間とに基づいて前記車載機器維持エネルギを演算する
請求項
1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記維持エネルギ検出部は、現在地から目的地までの前記車両の予測走行時間及びサービスの予測提供時間の少なくとも一方に基づいて前記維持予測時間を演算する
請求項
2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記サービス制御部は、複数のサービスのうち、サービスを提供するために必要なエネルギが前記サービス提供可能エネルギよりも小さいサービスを選択又は提示する
請求項1~
3のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記車載機器は、通常モードよりもエネルギ消費量が少ない動作モードである省エネルギモードで動作することが可能なものであって、
前記維持エネルギ検出部は、前記車載機器維持エネルギとして、前記車載機器の通常モードの動作を維持するために必要な第1車載機器維持エネルギと、前記車載機器の省エネルギモードの動作を維持するために必要な第2車載機器維持エネルギとを検出し、
前記エネルギ推定部は、前記サービス提供可能エネルギとして、前記車載機器維持エネルギが前記第1車載機器維持エネルギである場合に対応した第1サービス提供可能エネルギを演算するとともに、前記車載機器維持エネルギが前記第2車載機器維持エネルギである場合に対応した第2サービス提供可能エネルギを演算し、
前記サービス制御部は、前記第1サービス提供可能エネルギに基づいて、提供可能な第1サービスを選択又は提示するとともに、前記第2サービス提供可能エネルギに基づいて、提供可能な第2サービスを選択又は提示する
請求項
1~
3のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記車両に対して外部からサービスを提供することが可能なサービス提供システム(50)と通信するための通信部(305)を更に備え、
前記通信部は、前記サービス提供可能エネルギの情報を前記サービス提供システムに送信する
請求項1~
5のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【請求項7】
前記サービス提供システムは、前記通信部から送信される前記サービス提供可能エネルギの情報に基づいて、提供可能なサービスの情報を前記車両に送信するものであり、
前記サービス制御部は、前記サービス提供システムから送信されるサービスの情報に基づいて、提供可能なサービスを選択又は提示する
請求項
6に記載の車両の制御装置。
【請求項8】
車両(10)に搭載される空調装置(40)及び補機類(42)の少なくとも一方を車載機器とするとき、
現在地から目的地まで移動するために必要な車両のエネルギ量である移動エネルギを検出する必要エネルギ検出部(300)と、
前記車両が有している現在のエネルギ残量を検出するエネルギ残量検出部(302)と、
予め定められたサービス提供エネルギと前記移動エネルギとを加算することにより必要エネルギを演算するとともに、前記必要エネルギと前記現在のエネルギ残量との差に基づいて、前記車載機器の駆動を維持するために必要なエネルギである車載機器維持エネルギを検出する維持エネルギ検出部(301)と、
前記車載機器のエネルギ消費率と前記車載機器維持エネルギとに基づいて、前記車載機器の駆動を維持することが可能な維持時間を演算する維持時間演算部(306)と、
前記維持時間に基づいて、サービスを提供することが可能なサービス提供時間を設定するとともに、前記サービス提供時間に基づいて、提供可能なサービスを選択又は提示するサービス制御部(304)と、を備える
車両の制御装置。
【請求項9】
前記維持エネルギ検出部は、前記車両に搭載される電池の劣化を抑制するために前記電池に蓄えておくべき充電エネルギである電池保護エネルギを前記必要エネルギに更に加算する
請求項
8に記載の車両の制御装置。
【請求項10】
前記維持エネルギ検出部は、前記サービス提供エネルギとして、提供可能な複数のサービスのそれぞれのエネルギのうち、最大のエネルギを用いる
請求項
8又は
9に記載の車両の制御装置。
【請求項11】
前記サービス制御部は、提供可能な複数のサービスのうち、必要時間が前記サービス提供時間よりも短いサービスを選択又は提示する
請求項
8~
10のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【請求項12】
前記車載機器は、通常モードよりもエネルギ消費量が少ない状態である省エネルギモードで動作することが可能なものであって、
前記維持エネルギ検出部は、前記車載機器維持エネルギとして、前記車載機器の通常モードの動作を維持するために必要な第1車載機器維持エネルギと、前記車載機器の省エネルギモードの動作を維持するために必要な第2車載機器維持エネルギとを検出し、
前記維持時間演算部は、前記維持時間として、前記車載機器維持エネルギが前記第1車載機器維持エネルギである場合に対応した第1維持時間を演算するとともに、前記車載機器維持エネルギが前記第2車載機器維持エネルギである場合に対応した第2維持時間を演算し、
前記サービス制御部は、前記第1維持時間に基づいて、サービスを提供することが可能な第1サービス提供時間を設定するとともに、前記第1サービス提供時間に基づいて、提供可能な第1サービスを選択又は提示し、且つ前記第2維持時間に基づいて、サービスを提供することが可能な第2サービス提供時間を設定するとともに、前記第2サービス提供時間に基づいて、提供可能な第2サービスを選択又は提示する
請求項
8~
11のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【請求項13】
前記サービス制御部は、前記車両に設けられる報知部を通じて前記サービス提供時間を報知する
請求項
8~
12のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載の車両の制御装置がある。この制御装置は、走行態様決定部と、走行指示部とを備えている。走行態様決定部は、車両の移動中に利用されるサービス提供機器の利用時間と、車両の現在地及び目的地に基づいて設定される走行ルートに応じて走行する場合の移動時間とを比較して、利用時間が移動時間を超える場合に、利用時間が移動時間内に収まるように、車両の走行態様を決定する。走行指示部は、走行態様決定部によって決定された走行態様に応じて車両の走行が行われるように指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車両の利用方法の一つとして、バッテリの充電電力を利用することにより停車中に各種サービスをユーザに提供するという利用方法が提案されている。具体的には、バッテリの充電電力を動画再生装置に供給することにより映画鑑賞が可能としたり、バッテリの充電電力を調理機器に供給することにより料理の提供が可能としたりする等の利用方法がある。動画再生装置や調理機器等のサービス提供機器を動作させた場合、その動作時間の分だけバッテリの充電電力が消費される。
【0005】
一方、上記の特許文献1に記載の制御装置では、サービス提供機器の利用時間を満足することができるように車両の走行態様を変化させている。このような制御方法を用いた場合、仮にユーザがサービス提供機器を長時間利用したような場合に、バッテリの充電電力が枯渇することにより、車両が目的地に到達できないおそれがある。
【0006】
なお、このような課題は、電動車両に限らず、エンジンを動力源とするエンジン車両や、エンジン及び電動機の両方を動力源とするハイブリッド車両等にも共通する課題である。
本開示は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サービスを利用することが可能でありながら、より確実に車両を目的地に到達させることが可能な車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する車両の制御装置は、必要エネルギ検出部(300)と、エネルギ残量検出部(302)と、エネルギ推定部(303)と、サービス制御部(304)と、維持エネルギ検出部(301)と、を備える。必要エネルギ検出部は、現在地から目的地まで移動するために必要な車両(10)のエネルギ量である移動エネルギを検出する。エネルギ残量検出部は、車両が有している現在のエネルギ残量を検出する。エネルギ推定部は、サービスを提供するために用いることが可能なエネルギであるサービス提供可能エネルギを推定する。サービス制御部は、サービス提供可能エネルギに基づいて、提供可能なサービスを選択又は提示する。維持エネルギ検出部は、車両に搭載される空調装置(40)及び補機類(42)の少なくとも一方を車載機器とするとき、車載機器の駆動を維持するために必要なエネルギである車載機器維持エネルギを検出する。エネルギ推定部は、車両に搭載される電池の劣化を抑制するために電池に蓄えておくべき充電エネルギである電池保護エネルギと、移動エネルギと、車載機器維持エネルギとを加算することにより必要エネルギを演算し、必要エネルギと現在のエネルギ残量との差に基づいてサービス提供可能エネルギを推定する。
【0008】
この構成によれば、選択又は提示されたサービスをユーザが利用すれば、現在地から目的地まで移動するために必要な移動エネルギを確保することができる。よって、サービスを利用することが可能でありながら、より確実に車両を目的地に到達させることが可能となる。
【0009】
なお、上記手段、特許請求の範囲に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の車両の制御装置によれば、サービスを利用することが可能でありながら、より確実に車両を目的地に到達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車両の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のEVECUにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1実施形態のEVECUにより演算されるサービス提供可能エネルギE
serv-maxの概念を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のEVECUにより用いられるサービス提供装置、サービスの提供時間、及び必要時間の関係を示すマップである。
【
図5】
図5は、第1実施形態の第1変形例のEVECUにより演算されるサービス提供可能エネルギE
serv-maxの概念を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の第1変形例のEVECUにより演算されるサービス提供可能エネルギE
serv-maxの概念を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の車両の概略構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態のEVECUにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第3実施形態のEVECUにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、車両の制御装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
はじめに、第1実施形態の車両の概略構成について説明する。
図1に示されるように、本実施形態の車両10は、モータジェネレータ20と、インバータ装置21と、電池22とを備えている。本実施形態の車両10は、走行用の動力源としてモータジェネレータ20を用いる、いわゆる電動車両である。車両10はエネルギ源として電力を用いるものであるため、以下では電力量を「エネルギ」とも称する。
【0013】
電池22は、充電及び放電が可能なリチウムイオン電池等の二次電池からなる。電池22は、複数の電池セルが組み合わされることにより構成される、いわゆる組電池である。 インバータ装置21は、電池22に充電されている直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ20に供給する。モータジェネレータ20は、インバータ装置21から供給される交流電力に基づいて駆動し、第1動力伝達軸24にトルクを付与する。第1動力伝達軸24に付与されたトルクが変速機23、第2動力伝達軸25、ディファレンシャルギア26、及び車軸27を介して車輪28に伝達されることで車輪28が回転し、車両10が走行する。
【0014】
モータジェネレータ20は、車両10の減速時等に回生発電を行う。モータジェネレータ20が回生発電を行うことにより車輪28に制動力が付与されるため、車両10を減速させることが可能である。モータジェネレータ20により発電される電力は、インバータ装置21により交流電力から直流電力に変換されて電池22に充電される。
【0015】
車両10は、EV(Electric Vehicle)ECU(Electronic Control Unit)30と、MG(Motor Generator)ECU31と、電池ECU32と、空調ECU33と、ナビゲーションECU34とを備えている。各ECU30~34は、CPUやROM、RAM等を有するマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMに予め記憶されているプログラムを実行することにより各種制御を実行する。
【0016】
MGECU31は、インバータ装置21を駆動させてモータジェネレータ20の通電量を変化させることにより、モータジェネレータ20の出力トルクを制御する。具体的には、MGECU31には、モータジェネレータ20の出力トルクの指令値であるトルク指令値がEVECU30から送信される。MGECU31は、このトルク指令値に基づいて、モータジェネレータ20の通電制御値を設定するとともに、設定された通電制御値に基づいてインバータ装置21を制御する。これにより、通電制御値に応じた電力がインバータ装置21からモータジェネレータ20に供給されて、トルク指令値に応じたトルクがモータジェネレータ20から出力される。また、MGECU31は、車両10の減速時等では、モータジェネレータ20において回生発電が行われるようにインバータ装置21を制御する。
【0017】
電池ECU32は、電池22のSOC(State Of Charge)値を検出するとともに、検出されたSOC値に基づいて電池22の状態を管理している。なお、SOC値は、電池22の完全放電状態を「0[%]」と定義し、電池22の満充電状態を「100[%]」と定義した上で、電池22の充電状態を「0[%]~100[%]」の範囲で表す値である。
【0018】
空調ECU33は、車両10に搭載される空調装置40を制御する。空調装置40は、加熱又は冷却された空調空気を車室内に送風することにより車室内の暖房又は冷房を行う装置である。空調装置40は、電池22から供給される電力に基づいて駆動する。空調ECU33は、空調装置40の単位時間当たりの消費電力であるエネルギ消費率を逐次演算している。
【0019】
ナビゲーションECU34は、車両10に搭載されるナビゲーション装置41を制御する。ナビゲーション装置41は、例えば運転者により目的地が設定された場合、車両10の現在地から目的地までの走行ルートを設定するとともに、その走行ルートを表示したり、音声で通知したりする装置である。ナビゲーション装置41には、車両が走行する道路に関する各種情報が予め記憶されている。
【0020】
EVECU30は車両10を統括的に制御する部分である。本実施形態では、EVECU30が制御装置に相当する。例えば、EVECU30は、運転者のアクセルペダルの操作に基づいて、モータジェネレータ20から出力すべきトルクの指令値を演算するとともに、演算されたトルク指令値をMGECU31に送信することにより、車両10の加速及び減速を制御する。
【0021】
また、EVECU30は、他のECU31~34から各種情報を取得することが可能である。例えば、EVECU30は、電池ECU32から電池22の現在のSOC値の情報を取得することが可能である。また、EVECU30は、空調ECU33から空調装置40のエネルギ消費率の情報を取得することが可能である。さらに、EVECU30は、ナビゲーションECU34から車両10の現在地及び目的地の情報を取得することが可能である。
【0022】
EVECU30は、車両10に搭載される補機類42及びサービス提供装置43からも各種情報を取得することが可能である。補機類42は、例えばライト装置やワイパ装置等である。サービス提供装置43は、ユーザに対してサービスを提供することが可能な各種装置である。サービス提供装置43としては、映画を鑑賞するための動画再生装置、マッサージを行うマッサージ装置、芳香を発するアロマ装置、並びにパーティーに用いることが可能な調理装置等がある。本実施形態の車両10には複数のサービス提供装置43が搭載されている。したがって、ユーザは、車両10において複数のサービス提供装置43のそれぞれのサービスを利用することが可能である。補機類42及びサービス提供装置43は、電池22から供給される電力に基づいて駆動する。EVECU30は、補機類42から、その単位時間当たりの消費電力であるエネルギ消費率の情報を逐次取得している。また、EVECU30は、サービス提供装置43から、サービスを提供するために必要なエネルギの情報を取得している。
【0023】
EVECU30は、車両10に設けられた報知装置44を通じてユーザに対して各種報知を行うことが可能である。報知装置44には、画像を表示することで報知を行う表示装置や、音声により報知を行うスピーカ装置等が含まれている。なお、報知装置44としては、ナビゲーション装置41の表示機能や音声機能を流用してもよい。本実施形態では、報知装置44が報知部に相当する。
【0024】
ところで、このような車両10では、例えば停車中にサービス提供装置43をユーザが利用したような場合、サービス提供装置43の駆動に伴って電池22のエネルギが消費される結果、その後に車両10が目的地に向かって走行しようとした際に、目的地に到達できるだけのエネルギが電池22に残っていないことがある。このような場合、車両10を目的地まで走行させることができないため、ユーザが不満を感じるおそれがある。
【0025】
そこで、本実施形態のEVECU30は、各ECU31~34、補機類42、及びサービス提供装置43から取得可能な情報に基づいて、複数のサービス提供装置43のそれぞれにより提供可能なサービスのうち、車両10が目的地に到達できるだけのエネルギを電池22に確保することが可能なサービスを報知装置44によりユーザに提示することにより、より確実に車両10を目的地まで走行させるようにする。
【0026】
次に、EVECU30により実行されるサービス提示処理の具体的な内容について説明する。
EVECU30は、サービス提示処理を行うために、必要エネルギ検出部300と、維持エネルギ検出部301と、エネルギ残量検出部302と、エネルギ推定部303と、サービス制御部304とを備えている。これらの要素300~304は、
図2に示されるサービス提供処理を所定の周期で繰り返し実行する。
【0027】
図2に示されるように、サービス制御部304は、ステップS10の処理として、ユーザがサービスを要求しているか否かを判断する。具体的には、サービス提供装置43には、ユーザがサービスの提供を受けるか否かを選択可能なスイッチが設けられている。サービス制御部304は、サービス提供装置43のスイッチがオフ操作されている場合、ユーザがサービスを要求していないと判断して、ステップS10の処理で否定的な判断を行う。この場合、サービス制御部304は、
図2に示される処理を一旦終了する。
【0028】
サービス制御部304は、サービス提供装置43のスイッチがオン操作された場合、ステップS10の処理で肯定的な判断を行う。この場合、エネルギ残量検出部302は、ステップS11の処理として、電池22の現在のエネルギ残量Esocを検出する。具体的には、エネルギ残量検出部302は、電池22の現在のSOC値の情報を電池ECU32から取得するとともに、取得したSOC値に基づいて電池22の現在のエネルギ残量Esocを演算式やマップ等を用いて演算する。
【0029】
エネルギ推定部303は、ステップS11に続くステップS12の処理として、電池保護エネルギEbat(単位は[Wh])を設定する。電池保護エネルギEbatは、電池22の劣化を抑制するために電池22に蓄えておくべき充電エネルギである。電池保護エネルギEbatは、例えばSOC値の「20[%]」に相当する充電電力量の値に予め設定されており、EVECU30のROMに記憶されている。
【0030】
エネルギ推定部303は、ステップS12に続くステップS13の処理として、車両10の目的地の情報をナビゲーションECU34から取得する。なお、目的地は、ナビゲーション装置41に対するユーザの操作により設定される目的地に限らず、車両10の現在地の付近に位置する充電所等であってもよい。充電所は、車両10の電池22を充電することが可能な充電設備や、そのような充電機能を備える場所等である。
【0031】
エネルギ推定部303は、ステップS13に続くステップS14の処理として、現在地から目的地まで移動するために必要な車両10のエネルギ量である移動エネルギEkeepを演算する。具体的には、エネルギ推定部303は、車両10の現在地から目的地までの走行距離Ltを演算するとともに、演算された走行距離Lt(単位は[km])と、車両10の平均エネルギ消費率Wave(単位は[Wh/km])とから以下の式f1に基づいて移動エネルギEkeepを演算する。
【0032】
Ekeep=Wave×Lt (f1)
なお、車両10の平均エネルギ消費率Waveは、車両10の走行のために動作させる必要があるモータジェネレータ20等の要素を駆動系とするとき、車両10の単位走行距離当たりの駆動系のエネルギ消費量の平均値を示すものである。平均エネルギ消費率Waveは、予め実験等により求められており、EVECU30のROMに記憶されている。
【0033】
維持エネルギ検出部301は、ステップS14に続くステップS15の処理として、車載機器の現在のエネルギ消費率Wstateを検出する。具体的には、維持エネルギ検出部301は、空調装置40のエネルギ消費率Wac(単位は[W])の情報を空調ECU33から取得するとともに、補機類42のエネルギ消費率Wacc(単位は[W])の情報を補機類42から取得する。維持エネルギ検出部301は、取得した空調装置40のエネルギ消費率Wac及び補機類42のエネルギ消費率Waccから以下の式f2に基づいて車載機器の現在のエネルギ消費率Wstate(単位は[W])を演算する。
【0034】
Wstate=Wac+Wacc (f2)
このように本実施形態では、走行以外の目的で利用される車載機器として、空調装置40及び補機類42が用いられている。なお、走行以外の目的で利用される車載機器としては、空調装置40及び補機類42以内の機器を用いてもよい。
【0035】
維持エネルギ検出部301は、ステップS15に続くステップS16の処理として、車載機器の駆動状態が維持される時間の予測値である維持予測時間Tstateを演算する。例えば、維持エネルギ検出部301は、車両10の現在地から目的地までの予測走行時間を、演算式等を用いて演算する。あるいは、維持エネルギ検出部301は、予測走行時間をナビゲーションECU34から取得する。また、維持エネルギ検出部301はサービスの予測提供時間を推定する。例えば、維持エネルギ検出部301は、ステップS10の処理でオン操作されたサービス提供装置43に対応する平均提供時間Tserv-aveの情報をEVECU30のROMから読み込むとともに、読み込んだ平均提供時間Tserv-aveをサービスの予測提供時間として用いる。なお、EVECU30のROMには、複数のサービスのそれぞれの平均提供時間Tserv-aveの情報が予め記憶されている。例えばサービス提供装置43が、ドラマを再生する動画再生装置である場合、その平均提供時間Tserv-aveは40分等に設定されている。維持エネルギ検出部301は、車両10の現在地から目的地までの予測走行時間と、サービスの予測提供時間とを加算することにより、車載機器の維持予測時間Tstateを演算する。
【0036】
なお、車載機器の維持予測時間Tstateとして予測走行時間のみを用いる等、車載機器の維持予測時間Tstateの演算方法は適宜変更可能である。
維持エネルギ検出部301は、ステップS16に続くステップS17の処理として、車載機器維持エネルギEstateを演算する。具体的には、維持エネルギ検出部301は、ステップS15の処理で得られた車載機器の現在のエネルギ消費率Wstateと、ステップS16の処理で得られた車載機器の維持予測時間Tstateとから以下の式f3を用いて車載機器維持エネルギEstateを演算する。
【0037】
Estate=Wstate×Tstate (f3)
エネルギ推定部303は、ステップS17に続くステップS18の処理として、サービス提供可能エネルギEserv-maxを設定する。具体的には、エネルギ推定部303は、電池22の現在のエネルギ残量Esoc、電池保護エネルギEbat、移動エネルギEkeep、及び車載機器維持エネルギEstateから以下の式f4に基づいて余裕エネルギEmarg(単位は[Wh])を演算する。
【0038】
E
marg=E
soc-(E
bat+E
keep+E
state) (f4)
図3は、式f4の演算式の概念を模式的に示したグラフである。
図3に示されるように、エネルギ推定部303は、「E
bat+E
keep+E
state」を必要エネルギとすると、電池22の現在のエネルギ残量E
socと必要エネルギとのを差に基づいて余裕エネルギE
margを演算する。この余裕エネルギE
margの範囲内でサービス提供装置43が利用されれば、電池保護エネルギE
bat、移動エネルギE
keep、及び車載機器維持エネルギE
stateを確保することができる。結果として、車両10を目的地まで走行させることができるとともに、電池22の劣化を抑制することができ、更に空調装置40や補機類42の駆動を維持することができる。
【0039】
エネルギ推定部303は、余裕エネルギEmargから以下のf5に基づいてサービス提供可能エネルギEserv-max(単位は[Wh])を演算する。なお、「C1」は、予め定められた係数であり、「0<C1<1」の範囲に設定されている。係数C1は例えば「0.8」に設定される。
【0040】
E
serv-max=C1×E
marg (f5)
図2に示されるように、サービス制御部304は、ステップS18に続くステップS19の処理として、提供可能なサービスを報知装置44から報知する。具体的には、EVECU30のROMには、
図4に示されるような複数のサービス提供装置43(1),43(2),・・・,43(i)のそれぞれの提供に必要な時間T
serv(1),T
serv(2),・・・,T
serv(i)と、利用した際に必要となるエネルギE
serv(1),E
serv(2),・・・,E
serv(i)との関係を示すマップが予め記憶されている。なお「i」は2以上の整数である。サービス制御部304は、複数のサービス提供装置43(1),43(2),・・・,43(i)のうち、必要エネルギE
servがサービス提供可能エネルギE
serv-maxよりも小さいサービス提供装置を選定するとともに、その選定されたサービス提供装置に対応したサービスを報知装置44によりユーザに提示する。
【0041】
以上説明した本実施形態のEVECU30によれば、以下の(1)~(5)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)例えば車両10の停車中に、サービス提供装置43により提供されるサービスをユーザが利用しようとした際に、報知装置44から提示されるサービスをユーザが利用すれば、ユーザへのサービスの提供が終了した後に車両10が走行し始める際に、電池22には、現在地から目的地まで移動するために必要な移動エネルギEkeepが確保されている。そのため、車両10を目的地まで走行させることが可能である。結果的に、ユーザがサービスを利用することが可能でありながら、より確実に車両10を目的地に到達させることができる。
【0042】
(2)エネルギ推定部303は、電池保護エネルギEbatと移動エネルギEkeepと車載機器維持エネルギEstateとを加算することにより必要エネルギ「Ebat+Ekeep+Estate」とを演算するとともに、演算された必要エネルギと電池22の現在のエネルギ残量Esocとの差に基づいてサービス提供可能エネルギEserv-maxを推定する。この構成によれば、より高い精度でサービス提供可能エネルギEserv-maxを演算することが可能となる。
【0043】
(3)維持エネルギ検出部301は、空調装置40及び補機類42を車載機器とするとき、車載機器の現在のエネルギ消費率Wstateと車載機器の維持予測時間Tstateとに基づいて車載機器維持エネルギEstateを演算する。この構成によれば、より高い精度で車載機器維持エネルギEstateを演算することが可能となる。
【0044】
(4)維持エネルギ検出部301は、現在地から目的地までの車両10の予測走行時間とサービスの予測提供時間とに基づいて車載機器の維持予測時間Tstateを演算する。この構成によれば、より高い精度で車載機器の維持予測時間Tstateを演算することが可能となる。なお、維持エネルギ検出部301は、車両10の予測走行時間及びサービスの予測提供時間の少なくとも一方に基づいて車載機器の維持予測時間Tstateを演算するものであればよい。
【0045】
(5)サービス制御部304は、複数のサービス提供装置43(1),43(2),・・・,43(i)のうち、必要エネルギEservがサービス提供可能エネルギEserv-maxよりも小さいサービスを提示する。この構成によれば、車両10を目的地まで到達させるという目的を達成することが可能な、より適切なサービスを提供することができる。
【0046】
(第1変形例)
次に、第1実施形態のEVECU30の第1変形例について説明する。
図5に示されるように、本変形例のエネルギ推定部303は、以下の式f6に基づいて余裕エネルギE
margを演算する。なお、係数C2は、予め定められた係数であり、「0<C2<1」の範囲に設定されている。係数C2は例えば「0.3」に設定される。
【0047】
E
marg=C2×(E
soc-E
keep) (f6)
あるいは、
図6に示されるように、エネルギ推定部303は、以下の式f7に基づいて余裕エネルギE
margを演算する。なお、係数C3は、予め定められた係数であり、「0<C3<1」の範囲に設定されている。係数C3は例えば「0.5」に設定される。
【0048】
Emarg=C3×{Esoc-(Ekeep+Ebat)} (f7)
また、エネルギ推定部303は、式f6又は式f7により演算される余裕エネルギEmargから上記の式f5を用いてサービス提供可能エネルギEserv-maxを演算する。
【0049】
本変形例のEVECU30によれば、式f6を用いることにより、電池保護エネルギEbat及び車載機器維持エネルギEstateの両方を演算することなく余裕エネルギEmargを求めることができる。また、式f7を用いることにより、車載機器維持エネルギEstateを演算することなく余裕エネルギEmargを求めることができる。よって、余裕エネルギEmargの演算を簡素化することが可能となるため、EVECU30の処理負担を軽減することができる。
【0050】
(第2変形例)
次に、第1実施形態のEVECU30の第2変形例について説明する。
本変形例の空調装置40及び補機類42は省エネルギモードで動作することが可能となっている。省エネルギモードは、通常モードよりもエネルギ消費量が少ない状態で動作するモードである。通常モード及び省エネルギモードの切り替えは、例えば車両10に設けられた切り替えスイッチを操作することにより行われる。
【0051】
維持エネルギ検出部301は、
図2に示されるステップS15の処理において、通常モードに対応した車載機器の第1エネルギ消費率W1
stateと、省エネルギモードに対応した車載機器の第2エネルギ消費率W2
stateとを検出する。具体的には、維持エネルギ検出部301は、空調装置40が通常モードで動作している場合に対応した第1エネルギ消費率W1
acの情報、及び空調装置40が省エネルギモードで動作している場合に対応した第2エネルギ消費率W2
acの情報を空調ECU33から取得する。また、維持エネルギ検出部301は、補機類42が通常モードで動作している場合に対応した第1エネルギ消費率W1
accの情報、及び補機類42が省エネルギモードで動作している場合に対応した第2エネルギ消費率W2
accの情報を補機類42から取得する。維持エネルギ検出部301は、空調装置40の第1エネルギ消費率W1
ac及び補機類42の第1エネルギ消費率W1
accから上記の式f2を用いることにより、通常モードに対応した車載機器の第1エネルギ消費率W1
stateを演算する。また、維持エネルギ検出部301は、空調装置40の第2エネルギ消費率W2
ac及び補機類42の第2エネルギ消費率W2
accから上記の式f2を用いることにより、省エネルギモードに対応した車載機器の第2エネルギ消費率W2
stateを演算する。
【0052】
維持エネルギ検出部301は、
図2に示されるステップS17の処理として、車載機器の第1エネルギ消費率W1
stateから上記の式f3を用いて、通常モードに対応した第1車載機器維持エネルギE1
stateを演算する。また、維持エネルギ検出部301は、車載機器の第2エネルギ消費率W2
stateから上記の式f3を用いて、省エネルギモードに対応した第2車載機器維持エネルギE2
stateを演算する。
【0053】
エネルギ推定部303は、ステップS18の処理として、第1車載機器維持エネルギE1stateから上記の式f4及びf5を用いて、通常モードに対応した第1サービス提供可能エネルギE1serv-maxを演算する。また、エネルギ推定部303は、第2車載機器維持エネルギE2stateから上記の式f4及びf5を用いて、省エネルギモードに対応した第2サービス提供可能エネルギE2serv-maxを演算する。
【0054】
サービス制御部304は、ステップS19の処理として、第1サービス提供可能エネルギE1serv-maxに基づいて、空調装置40及び補機類42が通常モードで動作した場合に提供可能なサービスを報知装置44によりユーザに提示する。また、サービス制御部304は、第2サービス提供可能エネルギE2serv-maxに基づいて、空調装置40及び補機類42が省エネルギモードで動作した場合に提供可能なサービスを報知装置44によりユーザに提示する。
【0055】
なお、空調装置40及び補機類42が現時点において省エネルギモードで動作している場合には、通常モードに対応したサービスの提示に関しては省略し、省エネルギモードに対応したサービスのみを提示してもよい。
空調装置40及び補機類42が通常モードで動作している場合よりも、空調装置40及び補機類42が省エネルギモードで動作している場合の方が、サービス提供装置43に利用可能なエネルギが大きくなる。よって、前者の場合よりも後者の場合の方が、提供可能なサービスの提供数や提供時間が増加することとなる。そのため、仮に現時点で空調装置40及び補機類42が通常モードで動作している場合であっても、サービスの提供数や提供時間を増加させるために、報知装置44から報知される情報に基づいてユーザが空調装置40及び補機類42の動作モードを省エネルギモードに変更するという選択肢を取ることができる。結果的に、目的地までの車両10の移動可能性を担保しつつも、ユーザに提供可能なサービスを拡充することができるため、快適性を向上させることができる。
【0056】
(第3変形例)
次に、第1実施形態のEVECU30の第3変形例について説明する。
本変形例のサービス制御部304は、ステップS19の処理として、選定されたサービス提供装置43に対応するサービスを提示するという処理に代えて、選定されたサービス提供装置43を自動的に駆動させる。この構成によれば、ユーザがサービスを選択する手間を省くことができるため、更に利便性を向上させることができる。
【0057】
<第2実施形態>
次に、車両10のEVECU30の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態のEVECU30との相違点を中心に説明する。
図7に示されるように、本実施形態の車両10は通信装置45を更に備えている。通信装置45は、車両10の外部のシステムであるサービス提供システム50と無線通信を行うための装置である。サービス提供システム50は、ユーザが車両10のサービス提供装置43を操作した際に、車両10に対して外部からサービスを提供するシステムである。サービス提供システム50としては、例えば映画等を配信する映像ストリーミング配信事業者である。EVECU30は、通信装置45を介したサービス提供システム50との通信に関する処理を実行する部分として通信部305を更に備えている。
【0058】
本実施形態のEVECU30は、
図8に示される処理を所定の周期で繰り返し実行する。なお、
図8に示される処理において、
図2に示される処理と同一の処理には同一の符号を付すことにより重複する説明を割愛する。
図8に示されるように、通信部305は、ステップS18に続くステップS20の処理として、サービス提供可能エネルギE
serv-maxの情報をサービス提供システム50に送信する。サービス提供システム50は、サービス提供可能エネルギE
serv-maxの情報を受信すると、サービスを提供するために必要なエネルギがサービス提供可能エネルギE
serv-maxよりも小さいサービスを選定する。例えばサービス提供システム50は、上映時間が60分の映画を再生するために必要なエネルギがサービス提供可能エネルギE
serv-maxよりも大きく、且つ上映時間が40分の映画を再生するために必要なエネルギがサービス提供可能エネルギE
serv-maxよりも小さい場合には、上映時間が40分の映画のみを提供可能なサービスとして選定する。そして、サービス提供システム50は、選定されたサービスの情報を車両10に送信する。
【0059】
通信部305は、ステップS21の処理として、サービス提供システム50から送信されるサービスの情報を受信する。そして、ステップS19の処理として、サービス制御部304は、サービス提供システム50から送信されるサービスを報知装置44によりユーザに提示する。
【0060】
以上説明した本実施形態のEVECU30によれば、以下の(6)に示される作用及び効果を更に得ることができる。
(6)サービス提供システム50と連携したサービスをユーザに提供することが可能でありながら、上記の(1)に示される作用及び効果を奏することができる。よって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0061】
<第3実施形態>
次に、車両10のEVECU30の第3実施形態について説明する。以下、第1実施形態のEVECU30との相違点を中心に説明する。
本実施形態のEVECU30は、
図9に示される処理を所定の周期で繰り返し実行する。なお、
図9に示される処理において、
図2に示される処理と同一の処理には同一の符号を付すことにより重複する説明を割愛する。
【0062】
図9に示されるように、維持エネルギ検出部301は、ステップS15に続くステップS30の処理として、車載機器維持エネルギE
stateを演算する。具体的には、維持エネルギ検出部301は、電池22の現在のエネルギ残量E
soc、電池保護エネルギE
bat、移動エネルギE
keep、及びサービス提供エネルギの最大値E
serv-maxから以下の式f8に基づいて車載機器維持エネルギE
stateを演算する。
【0063】
Estate=Esoc-(Ebat+Ekeep+Eserv-max) (f8)
なお、サービス提供エネルギの最大値Eserv-maxは、複数のサービス提供装置43(1),43(2),・・・,43(i)のそれぞれを利用した際に必要となるエネルギEserv(1),Eserv(2),・・・,Eserv(i)のうち、最大のものが用いられる。
【0064】
図1に破線で示されるように、EVECU30は維持時間演算部306を更に備えている。
図9に示されるように、維持時間演算部306は、ステップS30に続くステップS31の処理として、維持時間T
stateを演算する。具体的には、維持時間演算部306は、ステップS30の処理で得られた車載機器維持エネルギE
stateと、ステップS15の処理で得られた車載機器の現在のエネルギ消費率W
stateとから以下の式f9に基づいて維持時間T
stateを演算する。
【0065】
Tstate=Estate/Wstate (f9)
サービス制御部304は、ステップS31に続くステップS32の処理として、維持時間Tstateから以下の式f10に基づいてサービス提供時間Tserv-maxを演算する。なお、「C4」は、予め定められた係数であり、「0<C4<1」の範囲に設定されている。係数C4は、例えば「0.8」に設定される。
【0066】
T
serv-max=C4×T
state (f10)
サービス制御部304は、ステップS32に続くステップS33の処理として、提供可能なサービスを報知装置44によりユーザに提示する。具体的には、サービス制御部304は、EVECU30のROMに記憶されている、
図4に示される情報に基づいて、複数のサービス提供装置43(1),43(2),・・・,43(i)のうち、必要時間T
servがサービス提供時間T
serv-maxよりも短いサービスを提供可能なサービス提供装置を選定するとともに、その選定されたサービス提供装置に対応したサービスを報知装置44によりユーザに提示する。
【0067】
以上説明した本実施形態のEVECU30によれば、上記の(1)に示される作用及び効果を得ることができるとともに、以下の(7)に示される作用及び効果を得ることができる。
(7)維持エネルギ検出部301は、サービス提供エネルギの最大値Eserv-maxを用いて車載機器維持エネルギEstateを演算する。この構成によれば、サービスの提供に用いることが可能なエネルギを、より確実に電池22に確保することができるため、各種サービスをユーザに提供することが可能となる。
【0068】
(第1変形例)
次に、第3実施形態のEVECU30の第1変形例について説明する。
本変形例のサービス制御部304は、
図9に示されるステップS33の処理において、複数のサービス提供装置43(1),43(2),・・・,43(i)のうち、必要時間T
servがサービス提供時間T
serv-maxよりも短いという条件、及び必要エネルギE
servがサービス提供エネルギの最大値E
serv-max未満であるという条件の両方を満たすサービスを提供可能なサービス提供装置を選定するとともに、その選定されたサービス提供装置に対応したサービスを報知装置44によりユーザに提示する。この構成によれば、より適切なサービスを提示することが可能となる。
【0069】
(第2変形例)
次に、第3実施形態のEVECU30の第2変形例について説明する。
本変形例のサービス制御部304は、
図9に示されるステップS33の処理を実行する際に、サービス提供時間T
serv-maxの情報を報知装置44から更に報知する。この構成によれば、サービスの提供を受けることが可能な時間をユーザに認知させることができるため、ユーザがサービス提供時間T
serv-maxの範囲内でサービスの提供を受けようと考えるようになる。すなわち、ユーザがサービス提供時間T
serv-maxを超えてサービスの利用しようと考え難くなるため、移動エネルギE
keep等を、より確実に電池22に確保することができる。結果的に、車両10が目的地に到達する可能性を高めることができる。
【0070】
(第3変形例)
第3実施形態のEVECU30の第3変形例として、第1実施形態の第1~第3変形例の構成、並びに第2実施形態のEVECU30の構成を第3実施形態のEVECU30に適用してもよい。これにより、第3実施形態のEVECU30においても、第1実施形態の第1~第3変形例の作用及び効果、並びに第2実施形態の作用及び効果を得ることが可能となる。
【0071】
<他の実施形態>
なお、各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・第1及び第2実施形態のサービス制御部304は、サービス提供可能エネルギEserv-maxに基づくサービスの提示を、複数のサービスを組み合わせて提示しても良い。なお、組み合わせとしては、複数のサービスを時間的に直列で提供する態様や、複数のサービスを時間的に並列で提供する態様がある。同様に、第3実施形態のサービス制御部304は、サービス提供時間Tserv-maxに基づくサービスの提示を、複数のサービスを組み合わせて提示しても良い。
【0072】
・本開示に記載のEVECU30及びその制御方法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載のEVECU30及びその制御方法は、1つ又は複数の専用ハードウェア論理回路を含むプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載のEVECU30及びその制御方法は、1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと1つ又は複数のハードウェア論理回路を含むプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。専用ハードウェア論理回路及びハードウェア論理回路は、複数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路により実現されてもよい。
【0073】
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0074】
10:車両
30:EVECU(制御装置)
40:空調装置
42:補機類
50:サービス提供システム
300:必要エネルギ検出部
301:維持エネルギ検出部
302:エネルギ残量検出部
303:エネルギ推定部
304:サービス制御部
305:通信部
306:維持時間演算部