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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】乗物用サイドシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/427 20060101AFI20240305BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20240305BHJP
   B60R 21/207 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60N2/427
B60N2/68
B60R21/207
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020097438
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021187407
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山元 正樹
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/010011(WO,A1)
【文献】特開2019-156173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/427
B60N 2/68
B60R 21/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートサイドエアバッグが取り付けられる面状の樹脂基材を備えた乗物用サイドシートであって、
前記樹脂基材が、
前記シートサイドエアバッグが取り付けられる取付部を備える基材本体と、
該基材本体の下縁部に形成されたシート後方に張り出し状に延びるフランジ部と、
該フランジ部から下方に延びて乗物ボデーと締結される締結面部と、該締結面部のシート幅方向の側縁からシート前方に折れ曲がり状に延びる側面部と、を有するロア締結部と、
前記側面部の側面と前記フランジ部の底面との内角部に筋交い状に設けられるロアリブと、が一体成形された構成とされる乗物用サイドシート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物用サイドシートであって、
前記取付部が、シート後方に凹んだ凹部とされ、凹んだ奥面の下端部に前記シートサイドエアバッグと接続されるワイヤハーネスの通し孔が形成される乗物用サイドシート。
【請求項3】
請求項2に記載の乗物用サイドシートであって、
前記通し孔が、前記ロアリブの真上の位置に形成され、
前記ロア締結部が、前記ワイヤハーネスのコネクタをクランプするための固定部を前記側面部の側面に有し、
前記ロアリブが、前記固定部をシート前方から覆う乗物用サイドシート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の乗物用サイドシートであって、
前記ロアリブが、シート前後方向に面を向けて前記フランジ部とシートクッションとの間に形成されるシート高さ方向の隙間をシート後方から覆う乗物用サイドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用サイドシートに関する。詳しくは、シートサイドエアバッグが取り付けられる面状の樹脂基材を備えた乗物用サイドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用サイドシートの基材を成す樹脂パネルにシートサイドエアバッグが取り付けられた構成が知られている(特許文献1)。上記樹脂パネルは、その上部と下部とがそれぞれ車両ボデーにボルト締結され、中間部に形成された凹部にシートサイドエアバッグが組み付けられた構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6495588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートサイドエアバッグの膨張展開時に、樹脂パネルに応力集中による割れが発生するおそれがある。そこで、本発明は、シートサイドエアバッグの展開圧を受けても樹脂パネルに割れを生じにくい乗物用サイドシートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の乗物用サイドシートは次の手段をとる。
【0006】
すなわち、本発明の乗物用サイドシートは、シートサイドエアバッグが取り付けられる面状の樹脂基材を備えた乗物用サイドシートである。樹脂基材が、シートサイドエアバッグが取り付けられる取付部を備える基材本体と、基材本体の下縁部に形成されたシート後方に張り出し状に延びるフランジ部と、フランジ部から下方に延びて乗物ボデーと締結されるロア締結部と、ロア締結部の周囲側面とフランジ部の底面との内角部に筋交い状に設けられるロアリブと、が一体成形された構成とされる。
【0007】
上記構成によれば、ロアリブにより、樹脂基材のフランジ部とロア締結部との間の構造強度が高められる。したがって、シートサイドエアバッグの膨張展開時に、フランジ部とロア締結部との繋ぎ部に応力集中による割れを生じさせにくくすることができる。
【0008】
また、本発明の乗物用サイドシートは、更に次のように構成されていても良い。取付部が、シート後方に凹んだ凹部とされ、凹んだ奥面の下端部にシートサイドエアバッグと接続されるワイヤハーネスの通し孔が形成される。
【0009】
上記構成によれば、凹部の奥面の下端部にワイヤハーネスの通し孔を形成することで、凹部にシートサイドエアバッグの膨張展開によるシート幅方向の開拡力が掛けられても、通し孔の周囲に応力集中が掛けられにくくなる。なおかつ、通し孔の近傍にロアリブが形成されることで、通し孔の周囲に応力集中を生じさせにくくすることができる。
【0010】
また、本発明の乗物用サイドシートは、更に次のように構成されていても良い。通し孔が、ロアリブの真上の位置に形成される。ロア締結部が、ワイヤハーネスのコネクタをクランプするための固定部をシート幅方向の側面に有する。ロアリブが、ロア締結部のシート幅方向の側面とフランジ部の底面との内角部に筋交い状に設けられて固定部をシート前方から覆う。
【0011】
上記構成によれば、ロアリブにより補強されたロア締結部のシート幅方向の側面にコネクタの固定部を設けることで、コネクタの固定部を合理的かつ強固に形成することができる。また、ロアリブにより、固定部を合理的にシート前方から覆うことができる。
【0012】
また、本発明の乗物用サイドシートは、更に次のように構成されていても良い。ロアリブが、シート前後方向に面を向けてフランジ部とシートクッションとの間に形成されるシート高さ方向の隙間をシート後方から覆う。
【0013】
上記構成によれば、ロアリブにより、フランジ部とシートクッションとの間の隙間から異物や使用者の手指が入り込むことを合理的かつ適切に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る乗物用サイドシートの概略構成を表す斜視図である。
図2】乗物用サイドシートの内部構造を可視化した斜視図である。
図3図2の正面図である。
図4図2を裏側から見た斜視図である。
図5図3のV-V線断面図である。
図6図4のVI部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0016】
《第1の実施形態》
(サイドシート1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係るサイドシート(乗物用サイドシート)1の構成について、図1図6を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、「シート幅方向」と示す場合には、サイドシート1の左右方向を指すものとする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係るサイドシート1は、セダンタイプの自動車のリヤシート2のシートバック2Bと車両の右側壁との隙間に設けられる補助シートとして構成される。なお、図示は省略されているが、上記リヤシート2のシートバック2Bと車両の左側壁との隙間にも、上記サイドシート1と左右対称な構成を備えた補助シートとしてのサイドシートが設けられている。
【0018】
上記サイドシート1は、具体的には、シートバック2Bの右側部に、シートバック2Bの背凭れ面と略面一状の背凭れ面を形成するように設けられる。シートクッション2Cは、シートバック2Bよりも右方に長く延びる形状とされ、サイドシート1によって延長された背凭れ面に対応するシート幅方向に長尺な着座面を有する構成とされる。
【0019】
図1図3に示すように、サイドシート1は、その骨格を成す面状の樹脂基材10と、樹脂基材10の前面にセットされて着座乗員の荷重を弾性的に支持する発泡ウレタン製のシートパッド20と、サイドシート1の表面を覆うファブリック製のシートカバー30と、で構成される。図2図3に示すように、樹脂基材10の前面には、その略中央部に形成された縦長状の凹部14内に、縦長筒状のシートサイドエアバッグSABが取り付けられる。ここで、凹部14が、本発明の「取付部」に相当する。
【0020】
シートサイドエアバッグSABは、車両の側部衝突が検知された際に、シートカバー30を突き破って車両前方に膨張展開して、着座乗員の身体をシート側方から保護する構成とされる。そのため、樹脂基材10には、シートサイドエアバッグSABの膨張展開時に、シート後方に強く押圧される展開圧が掛けられる。しかし、樹脂基材10は、上記のような展開圧を受けても、局所的な応力集中による割れを発生させることなく、展開圧を広く分散させて受け止めることが可能な高い構造強度を備えた構成とされる。
【0021】
以下、上記樹脂基材10の各部の具体的な構成について、詳しく説明する。樹脂基材10は、インジェクション成形された一部品により構成される。具体的には、図2図4に示すように、樹脂基材10は、シート前後方向に面を向ける縦長面状の基材本体11と、基材本体11の裏面上部に形成されたアッパ引掛部12と、基材本体11からシート下方に延び出すロア締結部13と、を有する。
【0022】
アッパ引掛部12は、図4に示すように、基材本体11の裏面上部から後ろ下側に折れ曲がる略逆L字形状に延び出す形状とされる。上記アッパ引掛部12は、図示しない車両の荷室とを仕切るパーティションパネルに形成された引掛孔内にシート前方から引掛けられる構成とされる。
【0023】
上記アッパ引掛部12は、その略逆L字状に延び出す上腕部分の下面と基材本体11の裏面との内角部に、シート高さ方向に筋交い状に延びるアッパリブ12Aが形成された構成とされる。上記アッパリブ12Aは、シート幅方向に複数並んで形成されている。上記アッパリブ12Aにより、アッパ引掛部12は、曲げや捩りに対する構造強度が高められた構成とされる。
【0024】
ロア締結部13は、基材本体11の下縁部のシート幅方向の略中央箇所からシート下方に延び出す形状とされる。具体的には、ロア締結部13は、基材本体11の下縁部に沿って形成されたシート後方に張り出し状に延びるフランジ部15の底面からシート下方に延び出す構成とされる。詳しくは、ロア締結部13は、シート前方に開口する略コ字状の横断面でシート下方に延び出す形状とされる。
【0025】
上記ロア締結部13は、上述したアッパ引掛部12が不図示のパーティションパネルに引掛けられた後、同パーティションパネル(車両ボデー)の下部にシート前方から当てられてボルト締結される。それにより、アッパ引掛部12とロア締結部13とがパーティションパネルに一体的に結合されて、樹脂基材10がパーティションパネルに一体的に固定される。
【0026】
図2図3に示すように、基材本体11の略中央部には、シートサイドエアバッグSABの取付部となる縦長状の凹部14が形成されている。上記凹部14は、縦長筒状のシートサイドエアバッグSABを内部に完全に収めることのできる深さを有した凹形状とされる。上記凹部14は、内部に組み付けられたシートサイドエアバッグSABを、凹面の奥面部分と左右の側面部分とによって囲い込み状に覆うようになっている。
【0027】
上記組み付けにより、基材本体11は、シートサイドエアバッグSABの膨張展開時に、凹部14の奥面部分がシート後方に押圧されたり左右の側面部分が左右に押し開かれたりするような展開圧を受ける構成とされる。上記凹部14の奥面の下端部には、シートサイドエアバッグSABと電気接続されるワイヤハーネスWHがシート前後方向に通される縦長矩形状の通し孔14Aが形成されている。
【0028】
上記通し孔14Aは、図4図6に示すように、凹部14内に組み付けられるシートサイドエアバッグSABと電気接続されるワイヤハーネスWHを、基材本体11の裏側(後側)へと通して、基材本体11の裏側で、ワイヤハーネスWHのコネクタCNと車両ボデー側から配策される不図示のワイヤハーネスのコネクタとの電気接続を行えるようにしている。上記通し孔14Aは、ロア締結部13の右上側の位置に形成され、ロア締結部13とシート幅方向において隣り合う配置となっている。
【0029】
図6に示すように、上記ワイヤハーネスWHのコネクタCNは、差し込み式の樹脂クリップCLを介して、ロア締結部13の右側面に形成された固定部13A(取付孔)にクランプされている。上記固定部13Aは、通し孔14Aとロア締結部13とがシート幅方向において隣り合う配置となっていることにより、通し孔14Aの裏側(後側)の直下領域に左側から面する配置とされている。
【0030】
ところで、上記基材本体11の下縁部に形成されたフランジ部15の底面と、ロア締結部13の右側面と、の内角部には、これらの間で筋交い状に延びる三角板形状のロアリブ16が形成されている。上記ロアリブ16は、フランジ部15の後縁部から左下側へと垂下状に延びて、ロア締結部13の右側面へと筋交い状に延びる三角板形状とされる。
【0031】
詳しくは、上記ロアリブ16は、フランジ部15の底面における通し孔14Aより右側の領域から左下側へと垂下状に延びて、ロア締結部13の固定部13Aより下側の領域へと繋がる形状とされる。上記ロアリブ16は、シート前後方向に真っ直ぐ面を向ける板形状とされる。
【0032】
上記ロアリブ16により、樹脂基材10のフランジ部15とロア締結部13との間の補強がなされて同部の構造強度が高められる。したがって、樹脂基材10にシートサイドエアバッグSABの展開圧が掛けられた際に、断面の変わり目となるフランジ部15とロア締結部13との繋ぎ目部分に応力集中が生じにくくなる。
【0033】
また、前述したように、シートサイドエアバッグSABのワイヤハーネスWHは、樹脂基材10の凹部14に形成された通し孔14Aから裏側へと通されるようになっている。そのため、樹脂基材10にシートサイドエアバッグSABの展開圧が掛けられた際に、樹脂基材10の凹部14にシート幅方向に押し開かれるような押圧力が掛けられても、通し孔14Aの周囲に応力集中が掛けられにくくなっている。すなわち、凹部14に掛けられるシート幅方向に押し開かれる押圧力(開拡力)は、もっぱら、凹部14の上下面部分に掛けられ、凹部14の奥面に形成された通し孔14Aには掛けられにくいためである。
【0034】
図5に示すように、上記ロアリブ16は、上記内角部に筋交い状に設けられることで、ロア締結部13の右側面の固定部13AにクランプされるワイヤハーネスWHのコネクタCNをシート前方から覆う。また、上記ロアリブ16は、シートクッション2Cの後部に後側から当てられる状態にセットされる。詳しくは、樹脂基材10は、その下側のフランジ部15の下側にシートパッド20の下縁部がシート前方から巻き込まれると共に、この巻き込まれたシートパッド20の下縁部の下側にシートクッション2Cの後部が潜り込むようにセットされる構成とされる。
【0035】
そして、上記フランジ部15の下側に潜り込み状にセットされるシートパッド20の下縁部及びシートクッション2Cの後部に対し、ロアリブ16は、フランジ部15から垂下状に延びて、シートクッション2Cの後部に後側から当てられる状態にセットされる。それにより、ロアリブ16は、フランジ部15の底面とシートクッション2Cの後部上面との間の隙間Tをシート後方から覆った状態とされ、上記隙間Tから異物や使用者の手指が入り込むことを防止する。
【0036】
(まとめ)
以上をまとめると、本実施形態に係る乗物用サイドシート(サイドシート1)は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0037】
すなわち、乗物用サイドシート(1)は、シートサイドエアバッグ(SAB)が取り付けられる面状の樹脂基材(10)を備えた構成とされる。樹脂基材(10)が、シートサイドエアバッグ(SAB)が取り付けられる取付部(14)を備える基材本体(11)と、基材本体(11)の下縁部に形成されたシート後方に張り出し状に延びるフランジ部(15)と、フランジ部(15)から下方に延びて乗物ボデーと締結されるロア締結部(13)と、ロア締結部(13)の周囲側面とフランジ部(15)の底面との内角部に筋交い状に設けられるロアリブ(16)と、が一体成形された構成とされる。
【0038】
上記構成によれば、ロアリブ(16)により、樹脂基材(10)のフランジ部(15)とロア締結部(13)との間の構造強度が高められる。したがって、シートサイドエアバッグ(SAB)の膨張展開時に、フランジ部(15)とロア締結部(13)との繋ぎ部に応力集中による割れを生じさせにくくすることができる。
【0039】
また、取付部(14)が、シート後方に凹んだ凹部(14)とされ、凹んだ奥面の下端部にシートサイドエアバッグ(SAB)と接続されるワイヤハーネス(WH)の通し孔(14A)が形成される。上記構成によれば、凹部(14)の奥面の下端部にワイヤハーネス(WH)の通し孔(14A)を形成することで、凹部(14)にシートサイドエアバッグ(SAB)の膨張展開によるシート幅方向の開拡力が掛けられても、通し孔(14A)の周囲に応力集中が掛けられにくくなる。なおかつ、通し孔(14A)の近傍にロアリブ(16)が形成されることで、通し孔(14A)の周囲に応力集中を生じさせにくくすることができる。
【0040】
また、通し孔(14A)が、ロアリブ(16)の真上の位置に形成される。ロア締結部(13)が、ワイヤハーネス(WH)のコネクタ(CN)をクランプするための固定部(13A)をシート幅方向の側面に有する。ロアリブ(16)が、ロア締結部(13)のシート幅方向の側面とフランジ部(15)の底面との内角部に筋交い状に設けられて固定部(13A)をシート前方から覆う。上記構成によれば、ロアリブ(16)により補強されたロア締結部(13)のシート幅方向の側面にコネクタ(CN)の固定部(13A)を設けることで、コネクタ(CN)の固定部(13A)を合理的かつ強固に形成することができる。また、ロアリブ(16)により、固定部(13A)を合理的にシート前方から覆うことができる。
【0041】
また、ロアリブ(16)が、シート前後方向に面を向けてフランジ部(15)とシートクッション(2C)との間に形成されるシート高さ方向の隙間(T)をシート後方から覆う。上記構成によれば、ロアリブ(16)により、フランジ部(15)とシートクッション(2C)との間の隙間(T)から異物や使用者の手指が入り込むことを合理的かつ適切に防止することができる。
【0042】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0043】
1.本発明の乗物用サイドシートは、鉄道等の自動車以外の車両の他、航空機、船舶等の車両以外の乗物にも適用することができるものである。
【0044】
2.基材本体のシートサイドエアバッグが取り付けられる取付部は、シート後方に凹んだ凹部から成るものの他、基材本体の一般面部と面一状の部分から成るものであっても良い。また、取付部は、基材本体に別体のブラケットを取り付け可能に開口する貫通孔から成るものであっても良い。
【0045】
3.樹脂基材に形成されるロアリブは、ロア締結部の周囲側面とフランジ部の底面との内角部に筋交い状に設けられるものであれば良く、ロア締結部の外側面の他、内側面、前側面或いは後側面とフランジ部の底面との内角部に設けられるものであっても良い。
【0046】
4.上記実施形態では、樹脂基材にワイヤハーネスを裏側へと通すための通し孔を形成した構成を例示した。しかし、ワイヤハーネスは、樹脂基材の表面部に凹状の通し溝を設けて、この通し溝から樹脂基材の表面部に沿ってシート下方へと通されるようになっていても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 サイドシート(乗物用サイドシート)
2 リヤシート
2B シートバック
2C シートクッション
10 樹脂基材
11 基材本体
12 アッパ引掛部
12A アッパリブ
13 ロア締結部
13A 固定部
14 凹部(取付部)
14A 通し孔
15 フランジ部
16 ロアリブ
20 シートパッド
30 シートカバー
SAB シートサイドエアバッグ
WH ワイヤハーネス
CN コネクタ
CL 樹脂クリップ
T 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6