(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】押出プレス装置のコンテナ
(51)【国際特許分類】
B21C 29/02 20060101AFI20240305BHJP
B21C 27/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B21C29/02
B21C27/00 A
(21)【出願番号】P 2020121938
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】中野 幸次
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533101(JP,A)
【文献】特開2007-044411(JP,A)
【文献】特開平06-159936(JP,A)
【文献】特開昭63-049320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 29/02
B21C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出プレス装置のコンテナであって、
その軸線方向に第一領域、第二領域および第三領域
がこの順番に区分され、
前記第一領域、前記第二領域および前記第三領域に亘って形成されることで前記コンテナの前記軸線方向の第一端面と第二端面との間を貫通し、かつ、円周方向に配列される複数の加熱体収納孔と、
前記第一領域において、前記加熱体収納孔に収納される複数の第一加熱体と、
前記第二領域において、前記加熱体収納孔に収納される複数の第二加熱体と、
前記第三領域において、前記加熱体収納孔に収納される複数の第三加熱体と、を備え、
前記第一加熱体、前記第二加熱体および前記第三加熱体は、独立して加熱温度の制御がなされ、
前記第一加熱体および前記第三加熱体よりも前記第二加熱体の数が少ない、
ことを特徴とする、押出プレス装置のコンテナ。
【請求項2】
複数の前記加熱体収納孔は、同一円周上に配列される、
請求項1に記載の、コンテナ。
【請求項3】
円周方向において、
複数の前記第二加熱体は、間引いて前記加熱体収納孔に収納され、
複数の前記第一加熱体および複数の前記第三加熱体は、間引かれることなく連続的に前記加熱体収納孔に収納される、
請求項1または請求項2に記載の、コンテナ。
【請求項4】
前記第一加熱体と前記第三加熱体の数が同じであり、
前記第二加熱体の数が、前記第一加熱体の数の1/2に等しいか、または、前記第一加熱体の数の1/2と一つ違いである、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の、コンテナ。
【請求項5】
前記第一領域、前記第二領域および前記第三領域のそれぞれにおける半径方向の一方の端部と他方の端部の温度を測定する第一温度計、第二温度計および第三温度計を備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の、コンテナ。
【請求項6】
それぞれが測温部を備える前記第一温度計、前記第二温度計および前記第三温度計は、
少なくとも、それぞれの前記測温部は、前記第一加熱体、前記第二加熱体および前記第三加熱
体よりも、半径方向の内側に設けられる、
請求項5に記載の、コンテナ。
【請求項7】
前記第一加熱体の第一電気配線が、前記第一端面から前記コンテナの外部へ引き出され、
前記第二加熱体の第二電気配線が、前記第二端面から前記コンテナの外部へ引き出され、
前記第三加熱体の第三電気配線が、前記第二端面から前記コンテナの外部へ引き出される、
請求項5または請求項6に記載の、コンテナ。
【請求項8】
前記コンテナは、
コンテナライナと、前記コンテナライナの半径方向の外側に設けられるコンテナタイヤと、を備え、
前記コンテナタイヤは、前記第一端面と前記第二端面のそれぞれに形成される第一環状溝と第二環状溝を備え、
複数の前記加熱体収納孔は、前記第一端面と前記第二端面のそれぞれの第一環状溝と第二環状溝に開口し、
前記第一電気配線が、前記第一端面における前記第一環状溝を通って前記コンテナタイヤの外部へ引き出され、
前記第二電気配線が、前記第二端面における前記第二環状溝を通って前記コンテナタイヤの外部へ引き出され、
前記第三電気配線が、前記第二端面における前記第二環状溝を通って前記コンテナタイヤの外部へ引き出される、
請求項7に記載の、コンテナ。
【請求項9】
前記第二加熱体と前記第三加熱体を収納する加熱体筐体を備え、
前記第二加熱体と前記第三加熱体は、前記第一端面の側からこの順に並んで前記加熱体筐体に収納される、
請求項7または請求項8に記載のコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出プレス装置に用いられるコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
金属の押出プレス装置は、押出ダイスの押出孔の形状にほぼ一致する横断面形状を有する金属製品を成形する。この押出プレス装置は、押出成形の最中に、被加工材である金属材料からなるビレットを保持し、その温度を制御する役割を果たすコンテナを備える。コンテナは、円筒状の形状を有しており、その軸線方向の一方端の側に押出ダイスが設けられ、他方端の側に押出ラムが設けられる。コンテナに収納されるビレットは、温度制御されながら押出ステムで押出ダイスの側に向けて押圧され、押出ダイスの押出孔を通過することで、所望の横断面を有する押出製品が製造される。
【0003】
コンテナは、以上のように、ビレットの温度制御を目的としているため、温度制御に関する提案が少なくない。その中で、例えば特許文献1のコンテナは、押出ダイスが設けられる一方端(ダイス端部)から押出ラムが設けられる他方端(ラム端部)まで延在する複数の長手方向ボアと、それぞれの長手方向ボアに収納され、通電加熱される細長加熱体と、を備える。
【0004】
特許文献1のコンテナにおける、温度を上昇させる必要性が最も高いコンテナの領域は、大まかにはダイス端部およびラム端部であることに基づいて、細長加熱体がダイス端部加熱セクションとラム端部加熱セクションを沿え、二つのセクションの間の中央部分には中央非加熱セクションを設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
押出プレス成形の過程で、ビレットの温度が低下することを防ぐために、コンテナの軸線方向における温度分布を均一に制御することが望まれる。ところが、特許文献1のように中央部分に中央非加熱セクションを設けると、コンテナの軸線方向における温度分布を均一に制御することは難しい。つまり、ラム端部加熱セクションで加熱されたビレットの部分が中央非加熱セクションに移動すると温度が低下してしまい、ダイス端部加熱セクションにおいて加熱しても所望する温度まで加熱できない、という現象がおきるおそれがある。特に、押出方向の寸法が大きい大型の押出プレス装置においては、この傾向が顕著になる。
【0007】
以上より、本発明は、大型の押出プレス装置においても、軸線方向における温度分布を均一に制御するのが容易なコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の押出プレス装置のコンテナは、その軸線方向(L)に第一領域、第二領域および第三領域に区分される。
本発明のコンテナは、第一領域、第二領域および第三領域に亘って形成されることでコンテナの軸線方向の第一端面と第二端面との間を貫通し、かつ、円周方向に配列される複数の加熱体収納孔と、第一領域において、加熱体収納孔に収納される複数の第一加熱体と、第二領域において、加熱体収納孔に収納される複数の第二加熱体と、第三領域において、加熱体収納孔に収納される複数の第三加熱体と、を備える。
本発明のコンテナは、第一加熱体、第二加熱体および第三加熱体は、独立して加熱温度の制御がなされ、第一加熱体および第三加熱体よりも第二加熱体の数が少ない。
【0009】
本発明のコンテナにおいて、好ましくは、複数の加熱体収納孔は、同一円周上に配列される。
【0010】
本発明のコンテナにおいて、好ましくは、円周方向において、複数の第二加熱体は、間引いて加熱体収納孔に収納され、複数の第一加熱体および複数の第三加熱体は間引かれることなく連続的に加熱体収納孔に収納される。
【0011】
本発明のコンテナにおいて、好ましくは、加熱体収納孔には、第一加熱体と、第二加熱体および第三加熱体の全てが収納され、当該加熱体収納孔を除く他の加熱体収納孔には、第一加熱体および第三加熱体だけが収納される。
【0012】
本発明のコンテナにおいて、好ましくは、第一加熱体と第三加熱体の数が同じであり、第二加熱体の数が、第一加熱体の数の1/2に等しいか、または、第一加熱体の数の1/2と一つ違いである。
【0013】
本発明のコンテナにおいて、好ましくは、第一領域、第二領域および第三領域のそれぞれにおける半径方向の一方の端部と他方の端部の温度を測定する第一温度計、第二温度計および第三温度計を備える。
本発明のコンテナにおいて、好ましくは、第一温度計、第二温度計および第三温度計の少なくともそれぞれの測温部が、それぞれ第一加熱体、第二加熱体および第三加熱体の他の部分よりも、半径方向の内側に設けられる。
【0014】
本発明のコンテナにおいて、好ましくは、第一加熱体の第一電気配線が、第一端面からコンテナの外部へ引き出され、第二加熱体の第二電気配線が、第二端面からコンテナの外部へ引き出され、第三加熱体の第三電気配線が、第二端面からコンテナの外部へ引き出される。
【0015】
本発明のコンテナにおいて、好ましくは、コンテナライナと、コンテナライナの半径方向の外側に設けられるコンテナタイヤと、を備える。このコンテナタイヤは、第一端面と第二端面のそれぞれに、第一環状溝と第二環状溝を備える。複数の加熱体収納孔は、第一端面と第二端面に開口する。そして、好ましくは、第一電気配線が、第一端面における第一環状溝Fを通ってコンテナタイヤの外部へ引き出され、第二電気配線が、第二端面における第二環状溝を通ってコンテナタイヤの外部へ引き出され、第三電気配線が、第二端面における第二環状溝を通ってコンテナタイヤの外部へ引き出される。
【0016】
本発明のコンテナにおいて、好ましくは、第二加熱体と第三加熱体を収納する加熱体筐体を備える。第二加熱体と第三加熱体は、第一端面の側からこの順に並んで加熱体筐体に収容される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大型の押出プレス装置においても、軸線方向における温度分布を均一に制御するのが容易なコンテナを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る押出プレス装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の押出プレス装置に用いられるコンテナの縦断面図である。
【
図3】
図2のコンテナを第一端面の側から示す正面図である。
【
図4】
図2のコンテナを示し、第一端面の側から視る、第二領域における横断面図である。
【
図5】
図2のコンテナを第二端面の側から示す背面図である。
【
図6】
図2のコンテナの加熱体収納孔が設けられる円周面を展開して示す図を示している。
【
図8】
図7の変形例を示すコンテナの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る押出プレス装置1は、
図1に示すように、例えばアルミニウム合金、銅合金からなるビレットとも称される押出材EMを押出ダイス16より押し出すのに必要な機械的な構成要素を含んでいる。押出プレス装置1は、典型的には油圧により駆動されるが、駆動源である油圧ポンプユニットの記載は省略される。なお、押出プレス装置1において、(F)が記載されている側が前、(B)が記載されている側が後、と定義される。この前後の定義は相対的なものとする。
【0020】
[押出プレス装置1の全体構成]
押出プレス装置1は、
図1に示すように、エンドプラテン10と、メインシリンダハウジング12と、メインシリンダ12Aと、を備える。
エンドプラテン10は、メインシリンダハウジング12と対向する側の面において、押出ダイス16を支持している。メインシリンダハウジング12は、エンドプラテン10と対向するように配置され、複数のタイロッド14によりエンドプラテン10と連結される。メインシリンダ12Aは、メインシリンダハウジング12の略中央に配置される。
【0021】
また、押出プレス装置1は、メインクロスヘッド13と、メインラム12Bと、を備える。
メインクロスヘッド13は、エンドプラテン10とメインシリンダハウジング12の間に配置され、前端面から突出するように押出ステム15が配置される。メインラム12Bは、メインクロスヘッド13の後端面に一端側が固定され、他端側がメインシリンダ12Aに収納され、メインクロスヘッド13をエンドプラテン10に接近するように前進させる。
【0022】
押出プレス装置1は、複数のサイドシリンダ17と、コンテナ20と、複数のコンテナシリンダ18と、を備える。
図1において、サイドシリンダ17とコンテナシリンダ18は、一つだけが示されている。
サイドシリンダ17は、メインシリンダ12Aの周囲に配置される油圧アクチュエータである。サイドシリンダ17は、押出工程においてメインクロスヘッド13をエンドプラテン10に接近するように前進させるか、または、アイドル工程においてエンドプラテン10から離間するように後退させる。サイドシリンダ17は、図示が省略される油圧ポンプユニットから作動油を受けて前進または後退する。
【0023】
コンテナ20は、エンドプラテン10とメインクロスヘッド13との間に配置され、押出材EMを押出材収納部20Aに収納する。
コンテナシリンダ18は、押出工程において、コンテナホルダ19に固定されたコンテナ20をエンドプラテン10に支持された押出ダイス16に押圧させて、コンテナシール力を発生させる油圧アクチュエータである。また、コンテナシリンダ18は、アイドル工程において、コンテナ20をエンドプラテン10から離間するように後退させる。
【0024】
[コンテナ20:
図2、
図3、
図4および
図5]
次に、本実施形態のコンテナ20の構造を
図2~
図5を参照して説明する。
コンテナ20は、一例として半径方向Rに三層の構造を有しており、内側からコンテナライナ21と、コンテナライナ21の外側に積層されるコンテナスリーブ23と、コンテナスリーブ23の外側に積層されるコンテナタイヤ25と、を備えている。コンテナライナ21、コンテナスリーブ23およびコンテナタイヤ25は、例えば、JIS SKD61などの合金工具鋼で作製される部材であり、焼き嵌めにより三層の積層構造とされる。三層構造は、大きな押出力が必要な場合に採用される。コンテナライナ21、コンテナスリーブ23およびコンテナタイヤ25の三つの部材を焼き嵌めすることにより、内部応力を半径方向に対向して発生させて、コンテナスリーブ23の内周面の耐圧力を確保することができる。
コンテナ20は、その目的を達成できる限り、ここで示す三層構造以外の二層構造などの他の積層構造を採用できる。二層構造の場合、コンテナライナ21およびコンテナタイヤ25に相当する部材で構成される。
なお、コンテナ20において、
図2に示すように水平方向Hおよび鉛直方向Vならびに半径方向Rおよび軸線方向Lが定義され、
図2の紙面左側を前、紙面右側を後とし、紙面上側を上、紙面下側を下とする。
【0025】
[コンテナ20の3領域:
図2参照]
コンテナ20は、
図2に示すように、軸線方向Lに第一領域50A、第二領域50Bおよび第三領域50Cの三つの領域に区分される。コンテナ20は、第一領域50Aが押出ダイス16の側に配置され、第三領域50Cが押出ステム15の側に配置される。コンテナ20において、第一領域50A、第二領域50Bおよび第三領域50Cは、それぞれ後述する第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cによる加熱対象領域となる。なお、軸線方向Lに第一領域50A、第二領域50Bおよび第三領域50Cの三つの領域に区分されるのは、本発明における最小限の規定であり、本発明において第四領域、第五領域などを設けることを許容する。
【0026】
ここでは、第一領域50A、第二領域50Bおよび第三領域50Cの三つの領域の軸線方向Lの寸法が均等に設定されるが、本実施形態はこれに限らない。例えば、第一領域50A、第二領域50Bおよび第三領域50Cの軸線方向Lの寸法を以下のようにしてもよい。なお、LAは、第一領域50Aの軸線方向Lの寸法を意味し、LB,LCも同様である。
LA<LB<LC , LA=LB<LC , LA=LB>LC
【0027】
[コンテナタイヤ25の構成:
図2~
図5参照]
コンテナライナ21、コンテナスリーブ23およびコンテナタイヤ25は、いずれも円筒状の部材であり、その中でコンテナライナ21およびコンテナスリーブ23は一例として単純な円筒部材である。これに対してコンテナタイヤ25は、以下説明するように、第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cを収納して保持する加熱体収納孔26A,26B,26C,26D,26E,26F,26G,26Hを備える。また、コンテナタイヤ25は、第一温度計29A、第二温度計29Bおよび第三温度計29Cを収納して保持する温度計収納孔28A,28B,28C,28D,28E,28Fを備える。
【0028】
コンテナタイヤ25は、
図2に示すように、一例として、内層25Aと、内層25Aの外側に設けられる中間層25Bと、中間層25Bの外側に設けられる外層25Cと、を備える。加熱体収納孔26A~26Hは、中間層25Bに設けられるが、温度計収納孔28A~28Fは加熱体収納孔26A~26Hよりも半径方向Rの内側に設けられる。押出材EMの近くにおいて温度を測定するためである。
なお、
図2においては、温度計収納孔28A~28Fは加熱体収納孔26A~26Hと平行に設けられている。しかしながら、これに限らず、温度計収納孔28A~28Fを加熱体収納孔26A~26Hに対して傾斜させてもよい。温度計収納孔28Aと加熱体収納孔26Aを例にすると、第一端面25Xの側から第二端面25Yに向けて、加熱体収納孔26Aに近づくように温度計収納孔28Aを傾斜させる。そうすると、温度計収納孔28Aに収納される第一温度計29Aは、先端の測温部が、測温部よりも第二端面25Yの側(後端の側)に位置する他の部分よりも半径方向Rの内側に設けられる。こうすれば、温度計収納孔28Aの加工が容易である。この傾斜の形態は他の温度計収納孔28B~28Fについても同様に適用できる。
コンテナタイヤ25は、軸線方向Lの一方端に押出ダイス16が設けられる側の第一端面25Xと、軸線方向Lの他方端に押出ステム15が挿入される側の第二端面25Yと、が設けられる。
【0029】
[加熱体収納孔26A~26H:
図2~
図5参照]
コンテナタイヤ25は、一例として、八つの加熱体収納孔26A~26Hを備える。
八つの加熱体収納孔26A~26Hは、
図3~
図5に示すように、中心軸cを中心にした同一円周上に、隣接するものと45°の均等間隔で形成される。ここでいう同一円周上とは、加熱体収納孔26A~26Hの中心が同一円周上に乗ることをいう。また、それぞれの加熱体収納孔26A~26Hは、コンテナタイヤ25の中間層25Bを軸線方向Lに第一端面25Xと第二端面25Yを貫通して形成される。それぞれの加熱体収納孔26A~26Hには、第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cが収納、保持される。この収納の態様は後述される。
【0030】
ここでは好ましい形態として、八つの加熱体収納孔26A~26Hの例を示しているが、例えばコンテナ20の寸法に応じて加熱体収納孔の数を増減することができる。また、ここでは好ましい形態として、全ての加熱体収納孔26A~26Hが同一円周上に配列される例を示している。
この形態においては、コンテナ20の第一領域50Aにおける半径方向Rの均一加熱を鑑みた場合、すべての第一加熱体27Aを同出力、同仕様の加熱仕様とすることができる。これは、第二領域50Bにおける第二加熱体27B、第三領域50Cにおける第三加熱体27Cについても同様である。また、後述する第一端面25Xの第一環状溝25F、および、第二端面25Yの第二環状溝25Gの半径方向Rの溝幅の増加を抑制することができる。特に、押出工程時において、押出ダイス16と直接接触して押圧力が作用するコンテナ20の第一端面25X側の剛性を向上させるには、第一環状溝25Fの溝幅をできるだけ小さくすることが好ましい。一方、コンテナ20の第一端面25X側の剛性の確保に問題が無く、押出材EMの均一加熱が得られる限り、本発明はこれに限らない。例えば、加熱体収納孔26A,26C,26E,26Gについては半径R1における同一円周上に設けられ、加熱体収納孔26B,26D,26F,26Hついては半径R2(R2>R1)における同一円周上に設けられてもよい。さらに、加熱体収納孔26A~26Hは、円周方向における間隔が均等に限らず、間隔が不均等であってもよい。
【0031】
[温度計収納孔28A~28F:
図2~
図5参照]
次に、コンテナタイヤ25は、一例として、六つの温度計収納孔28A,28B,28C,28D,28E,28Fを備える。
温度計収納孔28A~28Fのうちで、温度計収納孔28A,28Bは、第一端面25Xに開口し(
図2,
図3)第二端面25Yに向けた所定寸法の範囲に形成される。温度計収納孔28Aと温度計収納孔28Bは円周方向に概ね90°の間隔で設けられる。具体的には、鉛直方向Vの上方に温度計収納孔28Aが形成され、鉛直方向Vの下方に温度計収納孔28Bが形成される。これは、周知のように熱は位置的に低いところから高いところに伝わるため、鉛直方向Vに上下を二分割したゾーンにおいて、上側ゾーンと下側ゾーンに同じ容量の熱を与えたとすると、上側ソーンの方が、下側ゾーンより温度が高くなりやすいからである。したがって、コンテナ20の軸線方向Lにおける温度分布を均一に制御することだけでなく、コンテナ20の半径方向Rの上下における温度分布を均一に制御することが好ましい。
温度計収納孔28Aは加熱体収納孔26Aより中心軸cに向けた内側に微小距離だけ隔てて配置され、温度計収納孔28Bは加熱体収納孔26Eより中心軸cに向けた内側に微小距離だけ隔てて形成される。
温度計収納孔28Aおよび温度計収納孔28Bは、第一温度計29Aを保持する。第一温度計29Aは、第一領域50Aの温度を測定する。
【0032】
温度計収納孔28A~28Fのうちで、温度計収納孔28C,28D,28E,28Fは、第二端面25Yに開口し(
図2,
図5)第一端面25Xに向けた所定寸法の範囲に形成されている。温度計収納孔28C,28Dは、加熱体収納孔26Aより中心軸cに向けた内側に微小距離だけ隔て、互いに隣接して配置される。また、温度計収納孔28E,28Fは加熱体収納孔26Eより中心軸cに向けた内側に微小距離だけ隔て、互いに隣接して配置される。温度計収納孔28C,28Dと温度計収納孔28E,28Fは、円周方向に概ね90°の間隔で設けられる。
【0033】
隣接して配置される温度計収納孔28C,28Dは、一方が第二温度計29Bを保持し、他方が第三温度計29Cを保持する。また、隣接して配置される温度計収納孔28E,28Fは、一方が第二温度計29Bを保持し、他方が第三温度計29Cを保持する。第二温度計29Bは第二領域50Bを測定し、第三温度計29Cは、第三領域50Cの温度を測定する。
なお、上記のような温度計収納孔28A~28Fの配置について、温度計収納孔28A~28Fに収納される、第一温度計29A、第二温度計29Bおよび第三温度計29Cの、少なくとも、先端の測温部が、加熱体収納孔26A~26Hよりも半径方向Rの内側に到達するように設けられても良いことは先に説明したとおりである。
【0034】
[第一加熱体27A~第三加熱体27C:
図2~
図6参照]
次に、第一加熱体27A~第三加熱体27Cについて説明する。なお、ここでは
図6を参照したい。
第一加熱体27Aは、
図2、
図3および
図6に示すように、加熱体収納孔26A~26Hのそれぞれの第一領域50Aに対応して収納され、第一領域50Aの加熱を担う。したがって、本実施形態においては、八本の第一加熱体27Aが用意される。
それぞれの第一加熱体27Aは、第一領域50Aに対応する軸線方向Lの寸法と同等の軸線方向Lの寸法を有し、八本が独立して温度制御がなされる。第一領域50Aは、コンテナ20を軸線方向Lに概ね三等分したものであるから、第一加熱体27Aの軸線方向Lの寸法はコンテナ20の軸線方向Lの寸法の1/3である。ただし、先に言及したように、第一領域50A~第三領域50Cの軸線方向Lにおける寸法は変更され得るものであるから、第一加熱体27A~第三加熱体27Cの軸線方向Lにおける寸法も同様に変更され得る。また、独立した温度制御は、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cについても適用される。
また、それぞれの第一加熱体27Aとして、例えば巻き回された電熱線と、周囲を取り囲む絶縁被覆と、を備える加熱体コアが好適に用いられる。電熱線としては、Ni-Cr合金、Cr-Al-Fe合金などの電気抵抗の大きな金属線が好適に用いられる。
【0035】
第二加熱体27Bは、
図2、
図4および
図6に示すように、加熱体収納孔26B,26D,26F,26Hのそれぞれの第二領域50Bに対応して収納され、第二領域50Bの加熱を担う。したがって、本実施形態においては、四本の第二加熱体27Bが用意される。第二加熱体27Bの寸法、構成要素、独立制御などの仕様は、第一加熱体27Aと同様である。
【0036】
第三加熱体27Cは、
図2、
図5および
図6に示すように、加熱体収納孔26A~26Hのそれぞれの第三領域50Cに対応して収納され、第三領域50Cの加熱を担う。したがって、本実施形態においては、八本の第三加熱体27Cが用意される。第三加熱体27Cの寸法、構成要素、独立制御などの仕様は、第一加熱体27Aと同様である。
【0037】
第一加熱体27Aは第一領域50Aにおいて八つの加熱体収納孔26A~26Hの全てに収納され、第三加熱体27Cは第三領域50Cにおいて八つの加熱体収納孔26A~26Hの全てに収納される。したがって、それぞれ八本の第一加熱体27Aおよび第三加熱体27Cがコンテナタイヤ25に、間引かれることなく連続的に収納される。
これに対して第一領域50Aと第三領域50Cの間に挟まれ、軸線方向Lの中央部分を占める第二領域50Bにおいては、第二加熱体27Bは八つの加熱体収納孔26A~26Hに一つ飛ばしで間欠的に収納される。したがって、四本の第二加熱体27Bがコンテナタイヤ25に間引いて収納される。間引いた収納は、一つ飛ばしに限るものではなく、二つ飛ばし以上、一つ飛ばしと二つ飛ばし以上との組み合わせなどを包含する。
以上のように軸線方向Lの中央部に位置する第二領域50Bにおける第二加熱体27Bの数が第一領域50Aおよび第二領域50Bより少ない。ここで、第二領域50Bは、第一領域50Aおよび第三領域50Cから熱の伝達を受けることで、仮に加熱手段を設けなくてもある程度の温度上昇が見込める。そこで、本実施形態は、加熱手段としての第二加熱体27Bの数を第一加熱体27Aおよび第三加熱体27Cより少なくした。
また、第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cは、同一円周上にそれぞれが均等間隔で配列されるため、加熱対象である押出材EMをその周囲から均等に加熱することができる。
【0038】
ここで、本実施形態においては、第二加熱体27Bは、加熱体収納孔(加熱体収納孔26B、26D、26F及び26H)の軸線方向Lの略中央部分、すなわち、第一加熱体27Aと第三加熱体27Cの間に収納される。この形態において、後述するように、第二加熱体27Bの第二電気配線31Bを第二端面25Y側から引き出す場合は、
図7に示すように、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cを、それぞれのON-OFF切り替えが可能なまま、一本の筒状の加熱体筐体27Dに収納することが好ましい。そうすると、第二加熱体27Bと第三加熱体27Cは、第一端面の側からこの順に並んで加熱体筐体27Dに収容される、加えて、両加熱体の動力線を第三加熱体27C側の端部からまとめて引き出し、一体物の加熱体とすることが好ましい。
具体的には、棒状のカートリッジヒーター、あるいは、シーズヒーターを長手方向に連続して2個配置させた鋳込みヒーター等により、このような、長手方向に2分割された領域のそれぞれのON-OFF切り替えが可能な一体物の加熱体の製造が可能である。
このような、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cを一体物の加熱体とする形態であれば、加熱体収納孔から、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cを一体として引き出すことができ、第二加熱体27Bのメンテナンス、修理および交換が容易になる。
【0039】
[第一温度計29A~第三温度計29C:
図2~
図5]
次に、第一温度計29A~第三温度計29Cについて説明する。
第一温度計29Aは、温度計収納孔28Aおよび温度計収納孔28Bのそれぞれに収納される。したがって、第一温度計29Aは第一領域50Aに対応して設けられ、第一領域50Aにおける加熱温度の測定を担う。また、本実施形態においては、二本の第一温度計29Aが用意される。
それぞれの第一温度計29Aは、一例として熱電対から構成され、第一領域50Aの軸線方向Lにおける中央部分において温度測定ができるように、その測温部が当該中央部に対応して配置される。この測温部は、第一端面25Xから最も離れた先端に設けられる。第一温度計29Aは、測温部と、測温部を除いた他の部分と、から構成される。これは、第二温度計29B、第三温度計29Cにおいても同様に当てはまる。ただし、第二温度計29B、第三温度計29Cにおける先端、つまり測温部は、第二端面25Yから最も離れた部分が該当する。
【0040】
第二温度計29Bは、温度計収納孔28Cおよび温度計収納孔28Dのそれぞれに収納される。したがって、第二温度計29Bは第二領域50Bに対応して設けられ、第二領域50Bにおける加熱温度の測定を担う。また、本実施形態においては、二本の第二温度計29Bが用意される。
【0041】
第三温度計29Cは、温度計収納孔28Eおよび温度計収納孔28Fのそれぞれに収納される。したがって、第三温度計29Cは第三領域50Cに対応して設けられ、第三領域50Cにおける加熱温度の測定を担う。また、本実施形態においては、二本の第三温度計29Cが用意される。
【0042】
[電気配線:
図7]
第一加熱体27A~第三加熱体27Cは、
図7に示すように、図示を省略する電源から電力が供給される第一電気配線31A、第二電気配線31Bおよび第三電気配線31Cが接続される。第一電気配線31A~第三電気配線31Cは動力線であるため、制御線にくらべて線径が大きい。したがって、本実施形態のように第一加熱体27A~第三加熱体27Cの数が総計で20と多いと、第一電気配線31A~第三電気配線31Cおよび接続端子の配置や引き回しが難しくなる。
【0043】
そこで、本実施形態においては、第一加熱体27A~第三加熱体27Cの第一電気配線31A~第三電気配線31Cのコンテナタイヤ25の外部への取り出しを以下のようにする。
第一加熱体27Aの第一電気配線31Aは、コンテナタイヤ25の第一端面25Xの第一環状溝25Fを通ってコンテナタイヤ25の外部へ引き出される。第二加熱体27Bの第二電気配線31Bは、コンテナタイヤ25の第二端面25Yの第二環状溝25Gを通ってコンテナタイヤ25の外部へ引き出される。第三加熱体27Cの第三電気配線31Cは、コンテナタイヤ25の第二端面25Yの第二環状溝25Gの内部を通ってコンテナタイヤ25の外部へ引き出される。
【0044】
また、先に説明したように、第二加熱体27B及び第三加熱体27Cを、それぞれのON-OFF切り替えが可能なまま、一本の筒状の加熱体筐体27Dに収納するとともに、両加熱体の動力線を第三加熱体27C側の端部からまとめて引き出した一体物の加熱体を採用できる(
図7)。この形態によれば、第二加熱体27Bの第二電気配線31Bと、第三加熱体27Cの第三電気配線31Cとを、第三加熱体27C側の端部からまとめて引き出すことができる。そうすれば、コンテナタイヤ25の第二端面25Yの第二環状溝25Gを通って、これら部材をまとめてコンテナタイヤ25の外部へ引き出すことが容易になる。
【0045】
一方、コンテナタイヤ25の第一端面25Xの第一環状溝25Fが、すべての第一加熱体27Aの第一電気配線31Aを十分に収納可能な開口面積を有するように構成されることが好ましい。このように構成されることにより、押出工程中に、押出ダイス16およびコンテナ20(実質的にはコンテナライナ21及びコンテナスリーブ23)の接触面から、高温の押出材EMが噴出する、所謂、花咲現象が発生した場合でも、コンテナ20の半径方向Rに噴出した押出材EM片による第一電気配線31Aの溶損が防止できる。
【0046】
また、コンテナタイヤ25の第二端面25Yの第二環状溝25Gが、すべての第二加熱体27Bの第二電気配線31B、および、すべての第三加熱体27Cの第三電気配線31Cを十分に収納可能な開口面積を有するように構成されることが好ましい。このように構成されることにより、コンテナタイヤ25の第一端面25Xの第一環状溝25Fに収納される電気配線を、第一加熱体27Aの第一電気配線31Aのみにできる。そうすると、第一環状溝25Fの溝幅をできるだけ小さくすることができるので、コンテナ20の第一端面25X側の剛性の向上に寄与する。
【0047】
さらに、以上のように構成されることにより、コンテナタイヤ25の第二端面25Yから電気配線や端子が突出することを抑制することができる。そうすると、
図1に示す状態の、押出ステム15の先端部のメンテナンススペースや、リアローディング式押出プレス装置における、押出材EMの供給スペースの確保に寄与する。リアローディング式押出プレス装置は、
図1において、メインクロスヘッド13の前端面に配置される押出ステム15を水平(
図1における図面の奥もしくは手前)あるいは垂直(
図1における図面の上方もしくは下方)に移動させて、コンテナ20の第二端面25Yと、メインクロスヘッド13の前端面との間に、押出材EMの供給スペースを確保する押出プレス装置である。
【0048】
[六つのゾーン温度制御:
図2]
本実施形態においては、コンテナ20を軸線方向Lに三分割、半径方向Rに上下二分割した計六つのゾーンで温度制御を行う構成とした。
第一ゾーンZ1は、
図2に示すように、コンテナ20の上部の第一領域50Aが該当し、加熱には第一加熱体27Aが用いられる。第一ゾーンZ1の温度は、温度計収納孔28Aに収納される第一温度計29Aによって測定される。この第一ゾーンZ1の温度が設定値を越えると、対応する第一加熱体27Aへの通電を抑えることで、第一ゾーンZ1の温度を下げる。
第二ゾーンZ2は、コンテナ20の下部の第一領域50Aが該当し、加熱には第一加熱体27Aが用いられる。第二ゾーンZ2の温度は、温度計収納孔28Bに収納される第一温度計29Aによって測定される。この第二ゾーンZ2の温度が設定値を越えると、対応する第一加熱体27Aへの通電を抑えることで、第二ゾーンZ2の温度を下げる。
【0049】
第三ゾーンZ3は、コンテナ20の上部の第二領域50Bが該当し、加熱には第二加熱体27Bが用いられる。第三ゾーンZ3の温度は、温度計収納孔28Cに収納される第二温度計29Bによって測定される。この第三ゾーンZ3の温度が設定値を越えると、対応する第二加熱体27Bへの通電を抑えることで、第三ゾーンZ3の温度を下げる。
第四ゾーンZ4は、コンテナ20の下部の第二領域50Bが該当し、加熱には第二加熱体27Bが用いられる。第四ゾーンZ4の温度は、温度計収納孔28Dに収納される第二温度計29Bによって測定される。この第四ゾーンZ4の温度が設定値を越えると、対応する第二加熱体27Bへの通電を抑えることで、第三ゾーンZ3の温度を下げる。
【0050】
第五ゾーンZ5は、コンテナ20の上部の第三領域50Cが該当し、加熱には第三加熱体27Cが用いられる。第五ゾーンZ5の温度は、温度計収納孔28Eに収納される第三温度計29Cによって測定される。この第五ゾーンZ5の温度が設定値を越えると、対応する第三加熱体27Cへの通電を抑えることで、第五ゾーンZ5の温度を下げる。
第六ゾーンZ6は、コンテナ20の下部の第三領域50Cが該当し、加熱には第三加熱体27Cが用いられる。第六ゾーンZ6の温度は、温度計収納孔28Fに収納される第三温度計29Cによって測定される。この第六ゾーンZ6の温度が設定値を越えると、対応する第三加熱体27Cへの通電を抑えることで、第六ゾーンZ6の温度を下げる。
以上のように各ゾーンの温度は、所定の設定温度となるように加熱体へ供給する電力を制御することで均一化が図られる。
【0051】
[効 果]
以上説明したコンテナ20は以下の効果を奏する。
[押出材EMの温度均一化]
コンテナ20によれば、押出中の押出材EMの温度を軸線方向Lおよび鉛直方向Vの上下において均一化が図られる。
コンテナ20は、軸線方向Lに区分される第一領域50A、第二領域50Bおよび第三領域50Cのそれぞれに対応して第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cを備える。したがって、軸線方向Lにおける押出材EMの温度を均一にするのが容易である。特に、コンテナ20は、第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cは独立して温度が制御されるので、軸線方向Lにおける押出材EMの温度の均一化の精度を高くできる。これは、鉛直方向Vの上下における加熱温度の均一化についても当てはまる。
また、コンテナ20は、円周方向にそれぞれ複数の第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cを備える。したがって、半径方向Rにおける押出材EMの温度を均一にするのが容易である。
以上を総合すると、第一領域50A、第二領域50Bおよび第三領域50Cのそれぞれに対応して第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cを設けることにより、六つの第一ゾーンZ1~第六ゾーンZ6に区分してコンテナ20をきめ細やかに温度制御できる。
【0052】
[第一電気配線31A~第三電気配線31Cの引き回し容易性]
コンテナ20によれば、第一加熱体27A~第三加熱体27Cの第一電気配線31A~第三電気配線31Cのコンテナタイヤ25の外部への取り出しを容易にできる。
コンテナ20は、第一電気配線31Aは、コンテナタイヤ25の第一端面25Xの第一環状溝25Fの内部を通ってコンテナタイヤ25の外部へ引き出され、第二電気配線31Bおよび第三電気配線31Cは、コンテナタイヤ25の第二端面25Yの第二環状溝25Gの内部を通ってコンテナタイヤ25の外部へ引き出される。したがって、仮に第一端面25Xの第一環状溝25Fだけを通って第一電気配線31A、第二電気配線31Bおよび第三電気配線31Cが引き出されるのに比べて、同じところを通る電線の数を抑えることができる。これにより、本実施形態によれば、第一電気配線31A~第三電気配線31Cを引き回すのが容易である。
【0053】
[コンテナタイヤ25の製造容易性]
コンテナ20によれば、第一加熱体27Aと第三加熱体27Cは同じ加熱体収納孔26A,26B,26C,26D,26E,26F,26G,26Hに収納され、かつ、第二加熱体27Bは加熱体収納孔26A,26C,26E,26Gに収納される。したがって、本実施形態によれば、第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cのそれぞれに専用の加熱体収納孔を設けるのに比べて、加熱体収納孔を形成する手間が省けるので、コンテナタイヤ25を製造するのが容易である。
【0054】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0055】
[第一加熱体27A~第三加熱体27Cの配置(正面視)]
これまで説明した実施形態においては、第一加熱体27Aおよび第三加熱体27Cはそれぞれ八つの加熱体収納孔26A~26Hの全てに収納され、第二加熱体27Bは四つの加熱体収納孔26B,26D,26F,26Hに収納される。これにより第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cのそれぞれは、中心軸cが通る位置(中心)を基準にして点対称の位置に配置される。しかし、これは好ましい一形態に過ぎない。
【0056】
先に説明したように熱は位置的に低いところから高いところに伝わる。したがって、コンテナ20においても、鉛直方向Vの下側に配置される第二ゾーンZ2、第四ゾーンZ4および第六ゾーンZ6(下側ゾーン)から鉛直方向Vの上側に配置される第一ゾーンZ1、第三ゾーンZ3および第五ゾーンZ5(上側ゾーン)に熱が伝達される。したがって、上側ゾーンと下側ゾーンに同じ容量の熱を与えたとすると、上側ソーン、つまり第一ゾーンZ1、第三ゾーンZ3および第五ゾーンZ5の方が、下側ゾーン、つまり第二ゾーンZ2、第四ゾーンZ4および第六ゾーンZ6より温度が高くなりやすい。
【0057】
そこで、例えば、上側ゾーンにおける第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cの数を、下側ゾーンにおける第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cの数より少なくすることができる。この場合、第二加熱体27Bについては、一つ飛ばしの間引かれた配列を踏襲する必要はない。例えば、下側ゾーンに含まれる加熱体収納孔26C,26D,26E,26Fの全てに第二加熱体27Bを収納させる一方、上側ゾーンに含まれる加熱体収納孔26A,26B,26G,26Hについては第二加熱体27Bを間引いて収納させることができる。
【0058】
[第一加熱体27A~第三加熱体27Cの数]
次に、第一加熱体27Aおよび第三加熱体27Cはそれぞれ八つの例、および、第二加熱体27Bは四つの例を示したが、これは本発明における好ましい一形態に過ぎない。
つまり、第一加熱体27Aと第三加熱体27Cは数が同じであるが、第一加熱体27Aの数を例えば八つ、第三加熱体27Cの数を六つというように、第一加熱体27Aを第三加熱体27Cよりも多く設けることができる。逆に、第三加熱体27Cを第一加熱体27Aよりも多く設けることもできる。
また、第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cは偶数に限らず奇数であってもよい。
【0059】
また、第一加熱体27Aおよび第三加熱体27Cに対して第二加熱体27Bの数が1/2の例を示したが、これは本発明における好ましい一形態に過ぎない。例えば、第一加熱体27Aと同数の第二加熱体27Bを設けることもできるし、第一加熱体27Aの1/3の数だけ第二加熱体27Bを設けることもできる。
なお、第一加熱体27Aおよび第三加熱体27Cの数が偶数Nの場合には、第二加熱体27BをN/2だけ設けることができる。第一加熱体27Aおよび第三加熱体27Cの数が奇数M(N+1)の場合には、第二加熱体27BをM/2だけ設けることができないので、N/2±1だけ第二加熱体27Bを設けることになる。
【0060】
[第一加熱体27A~第三加熱体27Cの仕様の異同]
以上の実施形態においては、第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cは、長さ、半径などの寸法、最大発熱量などの特性が同じであることを前提としているが、これも本発明の好ましい一形態に過ぎない。例えば、第一加熱体27A、第二加熱体27Bおよび第三加熱体27Cの発熱量が異なっていてもよい。例えば第二加熱体27Bの最大発熱量(特性)を、第一加熱体27Aおよび第三加熱体27Cに比べて小さくできる。第二加熱体27Bの特性を下げるのは、第二領域50Bの加熱能力が小さくて足りるからである。ただし、第二加熱体27Bの特性を下げる一方で、コンテナタイヤ25に設ける数を増やすことで、第二領域50Bにおける円周方向の加熱温度の均一化に寄与することができる。
【0061】
[加熱体収納孔に収容される加熱体の数:
図8]
以上の実施形態においては、
図6に示されるように、第二加熱体27Bが収納される加熱体収納孔26A,26C,26E,26Gにおいては、第一加熱体27Aおよび第三加熱体27Cを含めて3つの加熱体の全てが収容されるが、本発明はこれに限定されない。例えば
図8に示されるように、本願発明は、第一加熱体27Aおよび第二加熱体27Bしか収容しない形態を含む。この場合、第二加熱体27Bの第二電気配線31Bは、第二端面25Yの側から引き出される。
【符号の説明】
【0062】
1 押出プレス装置
10 エンドプラテン
12 メインシリンダハウジング
12A メインシリンダ
12B メインラム
13 メインクロスヘッド
14 タイロッド
15 押出ステム
16 押出ダイス
17 サイドシリンダ
18 コンテナシリンダ
19 コンテナホルダ
20 コンテナ
20A 押出材収納部
21 コンテナライナ
23 コンテナスリーブ
25 コンテナタイヤ
25A 内層
25B 中間層
25C 外層
25F 第一環状溝
25G 第二環状溝
25X 第一端面
25Y 第二端面
26A,26B,26C,26D,26E,26F,26G,26H 加熱体収納孔
27A 第一加熱体
27B 第二加熱体
27C 第三加熱体
27D 加熱体筐体
28A,28B,28C,28D,28E,28F 温度計収納孔
29A 第一温度計
29B 第二温度計
29C 第三温度計
31A 第一電気配線
31B 第二電気配線
31C 第三電気配線
50A 第一領域
50B 第二領域
50C 第三領域
EM 押出材
Z1 第一ゾーン
Z2 第二ゾーン
Z3 第三ゾーン
Z4 第四ゾーン
Z5 第五ゾーン
Z6 第六ゾーン