(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電気光学装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20240305BHJP
G09F 9/35 20060101ALI20240305BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240305BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20240305BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240305BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240305BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240305BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240305BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G02F1/1368
G09F9/35
G09F9/30 349C
G09F9/30 336
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G02F1/1343
H01L29/78 619B
H01L29/78 613Z
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
(21)【出願番号】P 2020127097
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】森田 喜久哉
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-186293(JP,A)
【文献】特開2013-246359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0207251(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G09F 9/35
G09F 9/30
G02F 1/1343
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体と、
画素電極と、
前記基板本体と前記画素電極との間の層に半導体膜を備えたトランジスターと、
前記トランジスターと前記画素電極との間の層で前記半導体膜と重なる第1容量電極、
および前記第1容量電極と前記画素電極との間の層で前記第1容量電極と誘電体膜を介し
て重なる第2容量電極を備えた容量素子と
、
前記第1容量電極の側面および前記誘電体膜の側面を覆う側壁状の絶縁膜と、
前記トランジスターと前記容量素子との間の層に設けられ、前記容量素子および前記絶
縁膜と重ならない領域に凹部を有する第1層間絶縁膜と、
前記第2容量電極と前記画素電極との
間の層で前記第2容量電極と重なる第1部分
と、
前記第1部分の端部から
前記第2容量電極の側面および前記絶縁膜の側面に沿って前記半
導体膜の側に向けて
前記凹部の底部と接する位置まで突出した第2部分
と、を備え、前記
第1部分が前記第2容量電極と電気的に接続された遮光膜と、
を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置において、
前記第2部分は
、前記半導体膜の幅方向の両側に向けて突出することを特徴とする電気
光学装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気光学装置において
、
前記第2部分は、前記絶縁膜に前記第1容量電極とは反対側から重なっていることを特
徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電気光学装置において
、
前記絶縁膜は、前記第2容量電極と平面視で重ならないように設けられており、
前記第1部分は、前記第2容量電極
に積層されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項
1に記載の電気光学装置において、
前記第2部分が前記第1容量電極の前記半導体膜側の面より前記半導体膜の側に向けて
突出した寸法は、前記第2容量電極が前記
絶縁膜から前記画素電極の側に突出した部分の
厚さと等しい寸法、あるいは前記第2容量電極が前記
絶縁膜から前記画素電極の側に突出
した部分より大きい寸法であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から
5までの何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記基板本体と前記半導体膜との間の層で第1方向に延在する走査線と、
前記第2容量電極と前記画素電極との間の層で前記第1方向と交差する第2方向に延在
するデータ線と、
を備え、
前記半導体膜は、前記走査線と重なるように前記第1方向に延在し、
前記容量素子は、前記半導体膜の前記第2方向の両側に向けて前記第2部分が突出した
第1素子部を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の電気光学装置において、
前記遮光膜の前記第2方向における幅は、前記第1素子部の前記第2方向における幅よ
り広く、前記走査線の前記第2方向における幅より狭いことを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の電気光学装置において、
前記容量素子は、前記第1素子部と前記データ線とが重なる部分から前記第2方向に延
在する第2素子部を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項
6から
8までの何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記半導体膜の前記第2方向の側方には、前記トランジスターのゲート電極と前記走査
線とを電気的に接続する遮光性の導電膜を内部に備えたコンタクトホールが設けられてい
ることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項1から
9までの何れか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子
機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体膜への光の入射を抑制する遮光膜をトランジスターと画素電極との間に備える電気光学装置、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投射型表示装置のライトバルブ等として用いられる電気光学装置は、基板本体と画素電極との間に半導体膜が設けられており、半導体膜を利用してトランジスターが構成される。かかる電気光学装置において、トランジスターと画素電極との間に設けた容量素子において、上層側の容量電極の端部を半導体膜の側に突出させることによって、半導体膜への光の入射を抑制する構造が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容量素子では、下層側の容量電極、薄い誘電体膜、および上層側の容量電極が積層された構造であるため、特許文献1に記載の構造のように、下層側の容量電極の側方に誘電体膜が存在しない場合に上層側の容量電極の端部を下層側の容量電極の側方に向けて延在させると、上層側の容量電極と下層側の容量電極とが短絡するおそれがある。また、下層側の容量電極の端部、誘電体膜、および上層側の容量電極の端部の全てを半導体膜の側に向けて延在させても、半導体膜に向かう部分には誘電体膜が適正に成膜されないため、上層側の容量電極と下層側の容量電極とが短絡するおそれがある。それ故、短絡等の問題を回避しつつ、トランジスターと画素電極との間に設けた遮光膜によって半導体膜への光の入射を抑制することは困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置の一態様は、基板本体と、画素
電極と、前記基板本体と前記画素電極との間の層に半導体膜を備えたトランジスターと、
前記トランジスターと前記画素電極との間の層で前記半導体膜と重なる第1容量電極、お
よび前記第1容量電極と前記画素電極との間の層で前記第1容量電極と誘電体膜を介して
重なる第2容量電極を備えた容量素子と、前記第1容量電極の側面および前記誘電体膜の
側面を覆う側壁状の絶縁膜と、前記トランジスターと前記容量素子との間の層に設けられ
、前記容量素子および前記絶縁膜と重ならない領域に凹部を有する第1層間絶縁膜と、前
記第2容量電極と前記画素電極との間の層で前記第2容量電極と重なる第1部分と、前記
第1部分の端部から前記第2容量電極の側面および前記絶縁膜の側面に沿って前記半導体
膜の側に向けて前記凹部の底部と接する位置まで突出した第2部分と、を備え、前記第1
部分が前記第2容量電極と電気的に接続された遮光膜と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明を適用した電気光学装置は各種電子機器に用いられる。本発明において、電子機器が投射型表示装置である場合、投射型表示装置には、電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電気光学装置の平面図。
【
図3】
図1に示す電気光学装置において隣り合う複数の画素の平面図。
【
図4】
図3に示す画素の1つを拡大して示す平面図。
【
図8】
図4に示す走査線、半導体膜、ゲート電極等の平面図。
【
図9】
図4に示す第1容量電極および第2容量電極等の平面図。
【
図10】
図4に示すデータ線および容量線等の平面図。
【
図11】
図8に示すコンタクトホール周辺を拡大して示す平面図。
【
図12】本発明の実施形態2に係る電気光学装置の説明図。
【
図16】本発明を適用した電気光学装置を用いた投射型表示装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、以下の説明において、第1基板10に形成した各層を説明する際、上層側あるいは表面側とは基板本体19が位置する側とは反対側(第2基板20が位置する側)を意味し、下層側とは基板本体19が位置する側を意味する。また、第1基板10の面内方向で交差する2方向のうち、走査線3aが延在する方向を第1方向Xとし、データ線6aが延在する方向を第2方向Yとする。また、第2方向Yに沿う方向の一方側を第2方向Yの一方側Y1とし、第2方向Yに沿う方向の他方側を第2方向Yの他方側Y2とし、第1方向Xに沿う方向の一方側を第1方向Xの一方側X1とし、第1方向Xに沿う方向の他方側を第1方向Xの他方側X2とする。
【0009】
[実施形態1]
1.電気光学装置100の構成
図1は、本発明の実施形態1に係る電気光学装置100の平面図である。
図2は、
図1に示す電気光学装置100の断面図である。
図1および
図2に示すように、電気光学装置100では、第1基板10と、第2基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、第1基板10と第2基板20とが対向している。シール材107は第2基板20の外縁に沿うように枠状に設けられており、第1基板10と第2基板20との間でシール材107によって囲まれた領域に液晶層等の電気光学層80が配置されている。シール材107は、光硬化性を備えた接着剤、あるいは光硬化性および熱硬化性を備えた接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。本形態において、第1基板10および第2基板20はいずれも四角形であり、電気光学装置100の略中央には、表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、シール材107の内周縁と表示領域10aの外周縁との間には、矩形枠状の周辺領域10bが設けられている。
【0010】
第1基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性基板からなる基板本体19を備えている。基板本体19の第2基板20側の一方面19s側において、表示領域10aの外側には、第1基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が設けられ、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が設けられている。図示を省略するが、端子102には、フレキシブル配線基板が接続され、第1基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0011】
基板本体19の一方面19sの側において、表示領域10aには、ITO(Indium Tin Oxide)膜等からなる透光性の複数の画素電極9aがマトリクス状に形成されている。画素電極9aに対して第2基板20側には第1配向膜16が形成されており、画素電極9aは、第1配向膜16によって覆われている。
【0012】
第2基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性基板からなる基板本体29を備えている。基板本体29において第1基板10と対向する一方面29sの側には、ITO膜等からなる透光性の共通電極21が形成されており、共通電極21に対して第1基板10側には第2配向膜26が形成されている。共通電極21は、第2基板20の略全面に形成されており、第2配向膜26によって覆われている。第2基板20には、基板本体29と共通電極21との間に樹脂、金属または金属化合物からなる遮光性の遮光層27が形成され、遮光層27と共通電極21との間に透光性の保護層28が形成されている。遮光層27は、例えば、表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁状の見切り27aとして形成されている。遮光層27は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた領域と平面視で重なる領域にブラックマトリクスを構成する遮光層27bとしても形成されている。第1基板10の周辺領域10bのうち、見切り27aと平面視で重なる領域には、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。なお、第2基板20において画素電極9aと対向する位置にレンズが設けられることがあり、この場合、遮光層27bが形成されないことが多い。
【0013】
第1配向膜16および第2配向膜26は、例えば、SiOx(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al2O3等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜であり、電気光学層80に用いた負の誘電率異方性を備えた液晶分子を傾斜配向させている。このため、液晶分子は、第1基板10および第2基板20に対して所定の角度を成している。このようにして、電気光学装置100は、VA(Vertical Alignment)モードの液晶装置として構成されている。
【0014】
第1基板10には、シール材107より外側において第2基板20の角部分と重なる領域に、第1基板10と第2基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通用電極109が形成されている。基板間導通用電極109には、導電粒子を含んだ基板間導通材109aが配置されており、第2基板20の共通電極21は、基板間導通材109aおよび基板間導通用電極109を介して、第1基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、第1基板10の側から共通電位が印加される。
【0015】
電気光学装置100において、画素電極9aおよび共通電極21がITO膜等の透光性導電膜により形成されており、電気光学装置100は、透過型液晶装置として構成されている。かかる電気光学装置100では、第1基板10および第2基板20のうち、一方側の基板から電気光学層80に入射した光が他方側の基板を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。本実施形態では、矢印Lで示すように、第2基板20から入射した光が第1基板10を透過して出射される間に電気光学層80によって画素毎に変調され、画像を表示する。
【0016】
2.画素の概略構成
図3は、
図1に示す電気光学装置100において隣り合う複数の画素の平面図である。
図4は、
図3に示す画素の1つを拡大して示す平面図であり、
図4には、トランジスター30付近を拡大して示してある。
図5は、
図4のA1-A1′断面図である。
図6は、
図4のB1-B1′断面図である。
図7は、
図4のC1-C1′断面図である。なお、
図3、
図4、および後述する
図8~
図10では、各層を以下の線で表してある。また、
図3、
図4、および後述する
図8~
図10では、互いの端部が平面視で重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。また、コンタクトホール41gを右上がりの斜線を付した領域で示してある。
走査線3a=太い一点鎖線
半導体膜31a=細くて短い破線
ゲート電極8a=細い実線
第1容量電極4a=細くて長い破線
第2容量電極5a=細い一点鎖線
遮光膜2a=太い実線
データ線6aおよび中継電極6b、6c=太くて長い破線
容量線7aおよび中継電極7b=太い二点鎖線
画素電極9a=太くて短い破線
【0017】
図3および
図4に示すように、第1基板10において第2基板20と対向する面には、複数の画素の各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域に沿って走査線3a、データ線6a、および容量線7aが延在している。データ線6aは、画素間領域において第2方向Yに延在し、走査線3aは、画素間領域において第1方向Xに延在している。容量線7aは、画素間領域において第2方向Yおよび第1方向Xに沿って延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応してトランジスター30が形成されている。ここで、走査線3a、データ線6a、および容量線7aは、遮光性を有している。従って、走査線3a、データ線6a、容量線7a、およびこれらの配線と同層の電極が形成された領域は、光が通過しない遮光領域18であり、遮光領域18で囲まれた領域は、光が透過する開口領域17である。
【0018】
図5、
図6および
図7に示すように、第1基板10は、基板本体19と画素電極9aとの間の層に半導体膜31aを備えたトランジスター30と、トランジスターと画素電極9aとの間の層に設けられた第1層間絶縁膜42と、容量素子55とを備えており、容量素子55は、第1層間絶縁膜42と画素電極9aとの間の層で半導体膜31aと重なる第1容量電極4aと、第1容量電極4aと画素電極9aとの間の層で第1容量電極4aと誘電体膜40を介して重なる第2容量電極5aとを備えている。第1基板10において、走査線3aは、基板本体19と半導体膜31aとの間の層で第1方向Xに延在しており、データ線6aは、第2容量電極5aと画素電極9aとの間の層で第2方向Yに延在している。また、基板本体19と画素電極9aとの間には、層間絶縁膜41、第1層間絶縁膜42、第2層間絶縁膜43、および層間絶縁膜44、45が順に積層されている。第1層間絶縁膜42、第2層間絶縁膜43、および層間絶縁膜41、44、45は各々、酸化シリコン等の透光性の絶縁膜からなる。本形態において、第2層間絶縁膜43、および層間絶縁膜44、45は、画素電極9a側の面が化学的機械研磨等によって連続した平面になっている。
【0019】
3.各層の詳細説明
図5、
図6および
図7を参照するとともに、以下の
図8~
図10を適宜、参照して、第1基板10の詳細構成を説明する。
図8は、
図4に示す走査線3a、半導体膜31a、ゲート電極8a等の平面図である。
図9は、
図4に示す第1容量電極4aおよび第2容量電極5a等の平面図である。
図10は、
図4に示すデータ線6aおよび容量線7a等の平面図である。なお、
図8~
図10には、それらの図に示す電極等の電気的な接続に関連するコンタクトホールを示すとともに、基準となる位置を示すために半導体膜31aおよび画素電極9aを示してある。
【0020】
まず、
図5、
図6および
図7に示すように、第1基板10において、基板本体19と層間絶縁膜41との間には、第1方向Xに沿って延在する走査線3aが形成されている。走査線3aは、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の遮光性の導電膜からなる。本形態において、走査線3aは、タングステンシリサイド(WSi)、タングステン、窒化チタン等からなる。
【0021】
層間絶縁膜41と第1層間絶縁膜42との間には、画素スイッチング用のトランジスター30が構成されている。トランジスター30は、層間絶縁膜41の基板本体19とは反対側の面に形成された半導体膜31aと、半導体膜31aの画素電極9a側に積層されたゲート絶縁膜32と、ゲート絶縁膜32の画素電極9a側で半導体膜31aと平面視で重なるゲート電極8aとを備えている。半導体膜31aは、ポリシリコン膜等によって構成されている。ゲート絶縁膜32は、半導体膜31aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁膜32aと、減圧CVD法等により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁膜32bとの2層構造からなる。ゲート電極8aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜、あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。
【0022】
層間絶縁膜41には、走査線3aとトランジスター30のゲート電極8aとを電気的に接続するためのコンタクトホール41gが設けられている。かかるコンタクトホール41gの詳細な構成は、
図11を参照して後述する。
【0023】
図8に示すように、走査線3aは、同一の幅寸法をもって第1方向Xに沿って直線的に延在している。半導体膜31aは、走査線3aとデータ線6aとの交差部分から第1方向Xの他方側X2に延在しており、走査線3aと平面視で重なっている。半導体膜31aは、ゲート電極8aと平面視で重なる部分がチャネル領域31cになっている。本形態において、トランジスター30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。従って、半導体膜31aにおいて、チャネル領域31cに対してデータ線6aが位置する第1方向Xの一方側X1のデータ線側ソースドレイン領域31sは、チャネル領域31cから離間する第1領域31tと、第1領域31tとチャネル領域31cとに挟まれた第1低濃度領域31uとを有しており、第1低濃度領域31uは、第1領域31tより不純物濃度が低い。また、半導体膜31aにおいて、チャネル領域31cに対してデータ線6aと反対側の第1方向Xの他方側X2の画素電極側ソースドレイン領域31dは、チャネル領域31cから離間する第2領域31eと、第2領域31eとチャネル領域31cとに挟まれた第2低濃度領域31fとを有しており、第2低濃度領域31fは、第2領域31eより不純物濃度が低い。
【0024】
ゲート電極8aは、ゲート絶縁膜32を介して半導体膜31aと平面視で重なるように第2方向Yに延在する第1電極部8a0と、半導体膜31aの第2方向Yの両側で第1電極部8a0の第2方向Yの両側の端部から半導体膜31aに沿って第1方向Xに延在する第2電極部8a1、8a2とを有しており、第2電極部8a1、8a2は、半導体膜31aと平面視で重なっていない。
【0025】
再び
図5、
図6および
図7において、トランジスター30の上層側において、第1層間絶縁膜42と第2層間絶縁膜43との間には、第1容量電極4a、誘電体膜40および第2容量電極5aが順に積層された容量素子55が設けられている。容量素子55は、第1基板10の画素電極9aと第2基板20の共通電極21との間に構成された液晶容量で保持される画像信号の変動を防ぐ保持容量である。第1容量電極4aおよび第2容量電極5aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜、あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、第1容量電極4aおよび第2容量電極5aは、導電性のポリシリコン膜である。
【0026】
図9に示すように、第1容量電極4aは、走査線3aおよび半導体膜31aと平面視で重なるように第1方向Xに延在する本体部分4a1と、本体部分4a1からデータ線6aと平面視で重なるように突出した突出部4a2とを有しており、本体部分4a1の端部は、第1層間絶縁膜42に形成されたコンタクトホール42aを介して半導体膜31aの第2領域31eに電気的に接続されている。第1容量電極4aは、半導体膜31aのうち、データ線6aと重なる端部と平面視で重ならないように切り欠き4a3が形成されている。
【0027】
第2容量電極5aは、第1容量電極4aの本体部分5a1と平面視で重なる本体部分5a1と、第1容量電極4aの突出部4a2と平面視で重なる突出部5a2とを有している。従って、容量素子55は、半導体膜31aと重なるように第1方向Xに延在する第1素子部551と、第1素子部551とデータ線6aとの交差部分からデータ線6aと重なるように第2方向Yに延在する第2素子部552とを有する。また、第2容量電極5aは、第1容量電極4aと同様、半導体膜31aのうち、データ線6aと重なる端部と平面視で重ならないように切り欠き4a3が形成されている。また、第2容量電極5aの本体部分5a1の第1方向Xの他方側X2の端部には、第1容量電極4aの本体部分4a1の端部と重ならないように切り欠き5a4が形成されている。
【0028】
再び
図5、
図6および
図7において、第2層間絶縁膜43の上層側には層間絶縁膜44、45が形成されている。第2層間絶縁膜43と層間絶縁膜44の層間にはデータ線6a、および中継電極6b、6cが設けられている。データ線6a、および中継電極6b、6cは同一の導電膜からなる。データ線6a、および中継電極6b、6cはいずれも、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の遮光性の導電膜からなる。例えば、データ線6a、および中継電極6b、6cは、チタン層/窒化チタン層/アルミニウム層/窒化チタン層の多層構造や、窒化チタン層/アルミニウム層/窒化チタン層の多層構造からなる。
【0029】
第1層間絶縁膜42および第2層間絶縁膜43にはコンタクトホール43aが設けられており、コンタクトホール43aは、ゲート絶縁膜32、第1層間絶縁膜42および第2層間絶縁膜43を貫通している。データ線6aは、コンタクトホール43aを介して第1領域31tに電気的に接続されている。コンタクトホール43aは、
図9を参照して説明した第1容量電極4aの切り欠き4a3、および第2容量電極5aの切り欠き5a3に相当する部分に形成される。従って、コンタクトホール43aと容量素子55とを離間させることができる。第2層間絶縁膜43にはコンタクトホール43bが設けられており、コンタクトホール43bは、第2層間絶縁膜43を貫通している。中継電極6bは、コンタクトホール43bを介して第1容量電極4aに電気的に接続されている。コンタクトホール43bは、
図9を参照して説明した第2容量電極5aの切り欠き5a4に相当する部分に形成される。第2層間絶縁膜43にはコンタクトホール43cが設けられており、中継電極6cは、コンタクトホール43cを介して第2容量電極5aに電気的に接続されている。中継電極6cは、半導体膜31aの少なくとも第1低濃度領域31uから第2低濃度領域31fまでを画素電極9aの側から覆っている。
【0030】
本形態では、後述するように、第1基板10は、第2容量電極5aの画素電極9aの側の面に重なる第1部分2a1を備えた導電性の遮光膜2aを有している。また、中継電極6cは、コンタクトホール43cを介して遮光膜2aに電気的に接続されており、遮光膜2aを介して第2容量電極5aに電気的に接続されている。遮光膜2aは、さらに遮光性を高めるための第2部分2a2を備える。
【0031】
層間絶縁膜44と層間絶縁膜45の層間には容量線7a、および中継電極7bが設けられている。容量線7a、および中継電極7bは同一の導電膜からなる。容量線7a、および中継電極7bはいずれも、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の遮光性の導電膜からなる。例えば、容量線7a、および中継電極7bは、チタン層/窒化チタン層/アルミニウム層/窒化チタン層の多層構造や、窒化チタン層/アルミニウム層/窒化チタン層の多層構造からなる。
【0032】
層間絶縁膜44にはコンタクトホール44cが設けられており、容量線7aは、コンタクトホール44cを介して中継電極6cに電気的に接続されている。従って、容量線7aは、中継電極6cを介して第2容量電極5aに電気的に接続されており、第2容量電極5aには、容量線7aから共通電位等の定電位が印加される。層間絶縁膜44にはコンタクトホール44bが設けられており、中継電極7bは、コンタクトホール44bを介して中継電極6bに電気的に接続されている。
【0033】
層間絶縁膜45には、コンタクトホール45aが設けられており、画素電極9aは、コンタクトホール45aを介して中継電極7bに電気的に接続されている。従って、画素電極9aは、中継電極7b、6bを介して第1容量電極4aに電気的に接続されている。ここで、第1容量電極4aは、コンタクトホール42aを介して第2領域31eに電気的に接続していることから、画素電極9aは、第1容量電極4aを介して第2領域31eに電気的に接続されている。
【0034】
4.コンタクトホール41g周辺の構成
図11は、
図8に示すコンタクトホール41g周辺を拡大して示す平面図である。ゲート電極8aは、ポリシリコン膜81aと遮光層82aとを積層して構成されている。
図11では、ポリシリコン膜81aに右下がりの斜線を付し、遮光層82aに右上がりの斜線を付してある。従って、右下がりの斜線、および右上がりの斜線が付された領域は、ポリシリコン膜81aと遮光層82aとが積層されていることを示す。
【0035】
図11に示すように、コンタクトホール41gは、半導体膜31aの両側で第1方向Xに沿って延在しており、ゲート電極8aおよび走査線3aの双方と平面視で重なっている。従って、ゲート電極8aは、コンタクトホール41gを介して走査線3aに電気的に接続されているので、走査線3aから走査信号が印加される。
【0036】
コンタクトホール41gは、少なくとも、第2低濃度領域31fに沿って設けられている。本形態において、コンタクトホール41gは、少なくとも、第1低濃度領域31uの両側からチャネル領域31cの両側を通って、第2低濃度領域31fの両側まで延在している。
【0037】
本形態において、ゲート電極8aは、半導体膜31aと交差するように第2方向Yに延在した導電性のポリシリコン膜81aと、ポリシリコン膜81aを覆う遮光層82aとを積層することによって構成されている。遮光層82aは、ポリシリコン膜81aより遮光性が高い材料からなる。例えば、遮光層82aは、タングステンシリサイド等の遮光性の導電膜からなる。
【0038】
遮光層82aは、ポリシリコン膜81aより広い範囲にわたって形成されており、ポリシリコン膜81aの全体を覆っている。従って、ゲート電極8aにおいてポリシリコン膜81aが形成されている領域では、ポリシリコン膜81aと遮光層82aの2層構造になっており、ゲート電極8aにおいてポリシリコン膜81aが形成されていない領域では、遮光層82aの単層構造になっている。例えば、ゲート電極8aにおいて、コンタクトホール41gの内部にはポリシリコン膜81aが形成されておらず、遮光層82aの単層構造になっている。従って、遮光層82aは、コンタクトホール41gの側面全体に沿って設けられている。これに対して、ゲート電極8aにおいて第2方向Yに延在する第1電極部8a0のうち、コンタクトホール41gの外側の部分では、ポリシリコン膜81aと遮光層82aとの2層構造になっている。
【0039】
かかる構成は、以下の工程によって実現される。まず、走査線3a、層間絶縁膜41、半導体膜31a、およびゲート絶縁膜32を形成する。次に、導電性のポリシリコン膜を形成した後、ポリシリコン膜をパターニングし、半導体膜31aに対して交差する第2方向Yに延在するポリシリコン膜81aを形成する。
【0040】
次に、エッチングマスクを形成した状態で、ポリシリコン膜81aおよび層間絶縁膜41をエッチングし、コンタクトホール41gを形成する。従って、コンタクトホール41gの内部には、ポリシリコン膜81aが存在しない。次に、遮光膜を形成した後、
図10に示すように、遮光膜をパターニングし、遮光層82aを形成する。
【0041】
5.遮光膜2aによる遮光
図5、
図6、
図7および
図9に示すように、第1基板10には、第2容量電極5aの第1素子部551と画素電極9aとの間の層において、第2容量電極5aと第2層間絶縁膜43との間には、第2容量電極5aと重なる第1部分2a1を備えた導電性の遮光膜2aが設けられている。遮光膜2aは、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の遮光性の導電膜からなる。
【0042】
本形態において、遮光膜2aは、第2容量電極5aと重なる第1部分2a1の端部から、少なくとも第1容量電極4aと離間し、第2容量電極5aおよび第1容量電極4aの側面に沿って、半導体膜31aの側へ突出した第2部分2a2を備えている。
図7に示すように、少なくとも、遮光膜2aは、第1部分2a1の第2方向Yの端部から、第2容量電極5aおよび第1容量電極4aの側方を通って半導体膜31aの幅方向の両側に向けて突出した第2部分2a2を備えている。
【0043】
第1部分2a1は、第2容量電極5aの画素電極9a側の面に積層されており、第2容量電極5aと電気的に接続されている。ここで、第1基板10には、第1容量電極4aの側面を覆う絶縁膜47が設けられており、第2部分2a2は、絶縁膜47に第1容量電極4aとは反対側から重なっている。本形態において、絶縁膜47は、第2容量電極5aと平面視で重ならずに、第1層間絶縁膜42と第2層間絶縁膜43との間で第1容量電極4aの側面および誘電体膜40の側面を覆う側壁であり、第2部分2a2は、絶縁膜47に第1容量電極4aとは反対側から重なっている。また、第2部分2a2の端部は、第1容量電極4aの半導体膜31a側の面4a0より半導体膜31aの側に向けて突出している。
【0044】
かかる構造の電気光学装置100の製造工程では、第1層間絶縁膜42の画素電極9a側の面に第1容量電極4a、誘電体膜40および第2容量電極5aを成膜した後、一括してパターニングし、容量素子55を形成する。次に、絶縁膜47を形成した後、絶縁膜47に対して異方性エッチングを行い、第1層間絶縁膜42および第2容量電極5aと重なる絶縁膜47を除去する。さらに、絶縁膜47に異方性エッチングを行い、第2容量電極5aの側面を露出させる。かかるエッチングの際、第1層間絶縁膜42はエッチングストッパとして作用する。その結果、
図7に示すように、絶縁膜47は、第2容量電極5aの側面を露出させる一方、第1容量電極4aの側面および誘電体膜40の側面を覆う側壁として残る。
【0045】
また、第1層間絶縁膜42の画素電極9a側の面において、絶縁膜47および容量素子55から露出する領域は、絶縁膜47および容量素子55と重なる領域より半導体膜31aの側に凹んだ凹部42cとなる。それ故、遮光膜を成膜した後、遮光膜をパターニングして、遮光膜2aを形成すると、遮光膜2aには、凹部42cの底部と接する位置まで第1容量電極4aの半導体膜31a側の面4a0より半導体膜31aの側に向けて突出した第2部分2a2が形成される。また、第2部分2a2が第1容量電極4aの半導体膜31a側の面4a0より半導体膜31aの側に向けて突出した寸法d1は、凹部42cの深さと等しい。従って、寸法d1は、第2容量電極5aが絶縁膜47から画素電極9aの側に突出した部分の厚さd2と等しい寸法、あるいは第2容量電極5aが絶縁膜47から画素電極9aの側に突出した部分の厚さd2より大きい寸法となる。
【0046】
また、
図4から分かるように、遮光膜2aの第2方向Yにおける幅は、第1素子部551の第2方向Yにおける幅より広く、走査線3aの第2方向Yにおける幅より狭い。
【0047】
なお、上記の工程の途中あるいは上記の工程の後、第1容量電極4aのうち、コンタクトホール43bを形成すべき位置から誘電体膜40および第2容量電極5aをエッチングにより除去する。
【0048】
6.本形態の主な効果
以上説明したように、本実施形態の電気光学装置100において、第1基板10には、第2容量電極5aと画素電極9aとの間の層において、第2容量電極5aと第2層間絶縁膜43との間には導電性の遮光膜2aが設けられている。遮光膜2aは、第1部分2a1の第2方向Yの端部から第1容量電極4aの側方を通って半導体膜31aの幅方向の両側に向けて突出した第2部分2a2を備えている。このため、第2基板20の側から第1基板10に入射した光のうち、ゲート電極8aと容量素子55との間を通って半導体膜31aに向かおうとする光を遮光膜2aの第2部分2a2で遮ることができる。従って、半導体膜31aへの光の入射が抑制される。特に第2部分2a2は、第1容量電極4aの半導体膜31a側の面4a0より半導体膜31aの側に向けて突出しているため、半導体膜31aへの光の入射をより抑制することができる。
【0049】
また、遮光膜2aは、第2容量電極5aと異なる膜であるため、第1容量電極4aと第2容量電極5aとの短絡を発生させない構造を採用することができる。より具体的には、遮光膜2aは第2容量電極5aと電気的に接続されているが、遮光膜2aと第1容量電極4aとの間に側壁状の絶縁膜47が介在している。従って、遮光膜2aを設けても、第1容量電極4aと第2容量電極5aとの短絡を発生させない。
【0050】
また、遮光膜2aの第2方向Yにおける幅は、第1素子部551の第2方向Yにおける幅より広く、走査線3aの第2方向Yにおける幅より狭いため、遮光膜2aを形成しても、画素開口率を低下させることがない。
【0051】
さらに、第2基板20の側から入射した光は、半導体膜31aに対して第2基板20の側に設けられたデータ線6a、中継電極6c、容量線7a等によって遮られるため、半導体膜31aへの入射が抑制される。また、第1基板10の側から出射した光が再び、第1基板10の側から入射した場合でも、半導体膜31aに対して基板本体19の側に設けられた走査線3aによって遮られるため、半導体膜31aへの入射が抑制される。また、半導体膜31aに交差する第2方向Yに進行する光は、ゲート電極8aと走査線3aとを電気的に接続するコンタクトホール41gの内部の遮光層82aからなる遮光性の導電膜によって遮られるため、半導体膜31aへの入射が抑制される。特に本形態では、チャネル領域31cと第2領域31eとの間に第2低濃度領域31fを設けることによって、トランジスター30のオフリーク電流を低減しており、コンタクトホール41gは、少なくとも第2低濃度領域31fに沿って設けられている。このため、半導体膜31aに交差する第2方向Yから第2低濃度領域31fに向けて進行する光をコンタクトホール41gの内部のゲート電極8aによって遮ることができる。従って、第2低濃度領域31fへの光の入射を効率よく抑制している。それ故、トランジスター30は、LDD構造による特性を十分に発揮することができる。
【0052】
また、ゲート電極8aは、導電性のポリシリコン膜81aと遮光層82aとを含み、遮光層82aがコンタクトホール41gの側面に沿って設けられている。このため、ゲート電極8aの遮光性が高い。
【0053】
[実施形態2]
図12は、本発明の実施形態2に係る電気光学装置100の説明図である。
図12には、トランジスター30付近を拡大して示す平面図を示してある。
図13は、
図12のA2-A2′断面図である。
図14は、
図12のB2-B2′断面図である。
図15は、
図12のC2-C2′断面図である。なお、本形態の基本的な構成は実施形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0054】
図12~
図15に示すように、本形態でも、実施形態1と同様、トランジスター30の上層側において、第1層間絶縁膜42と第2層間絶縁膜43との間には、第1容量電極4a、誘電体膜40および第2容量電極5aを有する容量素子55が設けられており、容量素子55の第1素子部551は、半導体膜31aに平面視で重なっている。第1容量電極4aおよび第2容量電極5aは、導電性のポリシリコン膜である。
【0055】
第1基板10には、第2容量電極5aの第1素子部551と画素電極9aとの間の層に、第2容量電極5aと平面視で重なる第1部分6c1を備えた導電性の遮光膜が設けられている。本形態において、遮光膜は、データ線6aと同一の層によって構成された遮光性の中継電極6cであり、中継電極6cは、容量線7aに電気的に接続されている。第2容量電極5aと中継電極6cとの間には、第2層間絶縁膜43が形成されており、中継電極6cは、第2層間絶縁膜43を貫通するコンタクトホール43cを介して第2容量電極5aに電気的に接続されている。
【0056】
図15に示すように、中継電極6cは、第1部分6c1の第2方向Yの端部から、第2容量電極5aの側方を通って半導体膜31aの側に向けて突出した第2部分6c2を備えている。本形態において、第2部分6c2は、第2容量電極5aの側方を通って半導体膜31aの幅方向の両側に向けて突出している。ここで、第2部分6c2の端部は、第2容量電極5aの半導体膜31a側の面5a0より半導体膜31aの側に向けて突出している。また、第1基板10には、第1容量電極4aの側面を覆う絶縁膜が設けられており、第2部分6c2は、絶縁膜に第1容量電極4aとは反対側から重なっている。本形態において、絶縁膜は第2層間絶縁膜43である。第2層間絶縁膜43は、第2容量電極5aと中継電極6cとの間から第1容量電極4aの側面を覆うように略一定の厚さで延在しており、第2部分6c2は、第2層間絶縁膜43に第1容量電極4aとは反対側から重なっている。
【0057】
かかる構造の電気光学装置100の製造工程では、第1層間絶縁膜42の画素電極9a側の面に第1容量電極4a、誘電体膜40および第2容量電極5aを成膜した後、一括してパターニングし、容量素子55を形成する。また、第1容量電極4aのうち、コンタクトホール43bを形成すべき位置から誘電体膜40および第2容量電極5aをエッチングにより除去する。
【0058】
次に、第2層間絶縁膜43を形成した後、第2層間絶縁膜43にコンタクトホール43c等を形成する。次に、遮光性の導電膜を成膜した後、遮光性の導電膜をパターニングして、中継電極6cを形成する。その際、データ線6aおよび中継電極6bを同時に形成する。本形態において、中継電極6cの第2方向Yにおける幅は、第1素子部551の第2方向Yにおける幅より広く、走査線3aの第2方向Yにおける幅より狭い。
【0059】
このように構成した電気光学装置100においても、第1基板10には、第2容量電極5aと画素電極9aとの間の層において、遮光膜としての中継電極6cは、第1部分6c1の第2方向Yの端部から第2容量電極5aの側方を通って半導体膜31aの幅方向の両側に向けて突出した第2部分6c2を備えている。このため、第2基板20の側から第1基板10に入射した光のうち、ゲート電極8aと容量素子55との間を通って半導体膜31aに向かおうとする光を中継電極6cの第2部分6c2で遮ることができる。従って、半導体膜31aへの光の入射が抑制される。
【0060】
[他の実施形態]
上記実施形態では、半導体膜31aが走査線3aと平面視で重なるよう延在していたが、半導体膜31aがデータ線6aと平面視で重なるよう延在している場合に本発明を適用してもよい。
【0061】
上記実施形態では、データ線6a、中継電極6cおよび容量線7aによって、画素電極9aの側から半導体膜31aと平面視で重なる遮光部材を構成したが、第1容量電極4aおよび第2容量電極5aのうちの少なくとも一方を遮光性電極とし、かかる遮光性電極によって、画素電極9aの側から半導体膜31aと平面視で重なる遮光部材を構成してもよい。
【0062】
上記実施形態では、第2基板20の側から光源光が入射する電気光学装置100を例に説明したが、第1基板10の側から光源光が入射する電気光学装置100に本発明を適用してもよい。上記実施形態では、電気光学装置100が透過型液晶装置の場合を例示したが、電気光学装置100が反射型液晶装置である場合に本発明を適用してもよい。また、電気光学装置100が有機エレクトロルミネッセッス表示装置である場合に本発明を適用してもよい。
【0063】
[電子機器への搭載例]
上述した実施形態に係る電気光学装置100を用いた電子機器について説明する。
図16は、本発明を適用した電気光学装置100を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
図16には、偏光板等の光学素子の図示を省略してある。
図16に示す投射型表示装置2100は、電気光学装置100を用いた電子機器の一例である。投射型表示装置2100において、電気光学装置100がライトバルブとして用いられ、装置を大きくすることなく高精細で明るい表示が可能である。この図に示されるように、投射型表示装置2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源を有するランプユニット等からなる光源部2102が設けられている。光源部2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離される。分離された投射光は、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれ、変調される。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124を有するリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0064】
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に反射し、G色の光は透過する。したがって、各原色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射光学系2114によってカラー画像が投射される。
【0065】
[他の投射型表示装置]
なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0066】
[他の電子機器]
本発明を適用した電気光学装置100を備えた電子機器は、上記実施形態の投射型表示装置2100に限定されない。例えば、投射型のヘッドアップディスプレイ、直視型のヘッドマウントディスプレイ、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ等の電子機器に用いてもよい。
【符号の説明】
【0067】
2a…遮光膜、3a…走査線、4a…第1容量電極、5a…第2容量電極、6a…データ線、7a…容量線、8a…ゲート電極、8a0…第1電極部、8a1、8a2…第2電極部、9a…画素電極、10…第1基板、10a…表示領域、16…第1配向膜、17…開口領域、18…遮光領域、19…基板本体、20…第2基板、21…共通電極、26…第2配向膜、30…トランジスター、31a…半導体膜、31c…チャネル領域、31d…データ線側ソースドレイン領域、31e…第2領域、31f…第2低濃度領域、31s…画素電極側ソースドレイン領域、31t…第1領域、31u…第1低濃度領域、32…ゲート絶縁膜、40…誘電体膜、41…層間絶縁膜、41g…コンタクトホール、42…第1層間絶縁膜、42c…凹部、43…第2層間絶縁膜、47…絶縁膜、55…容量素子、80…電気光学層、81a…ポリシリコン膜、82a…遮光層、100…電気光学装置、100B、100G、100R…ライトバルブ、551…第1素子部、552…第2素子部、2100…投射型表示装置、2102…光源部、2114…投射光学系、X…第1方向、Y…第2方向